(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022505
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】風力タービンブレードの状態判定
(51)【国際特許分類】
F03D 17/00 20160101AFI20240208BHJP
F03D 80/40 20160101ALI20240208BHJP
【FI】
F03D17/00
F03D80/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023118731
(22)【出願日】2023-07-21
(31)【優先権主張番号】22382763.5
(32)【優先日】2022-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】513131419
【氏名又は名称】ゼネラル エレクトリック レノバブレス エスパーニャ, エセ.エレ.
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(72)【発明者】
【氏名】エフレン・アルビス・イソ
(72)【発明者】
【氏名】マウロ・グラマティコ
(72)【発明者】
【氏名】ペドロ・アロヨ・ベルトリ
【テーマコード(参考)】
3H178
【Fターム(参考)】
3H178AA03
3H178AA40
3H178AA43
3H178BB44
3H178BB56
3H178CC02
3H178DD12Z
3H178DD52X
3H178DD54X
3H178EE06
3H178EE26
(57)【要約】
【課題】風力タービンブレード(22)の状態を検出するために構成された方法(400,500,600)を提供する。
【解決手段】方法(400,500,600)は、風力タービンブレード(22)から(401,501)荷重信号を受信し、第1及び第2の周波数での荷重信号のエネルギーを決定し(402,503)、第1の周波数におけるエネルギーが第2の周波数におけるエネルギーよりも小さい場合にフラグ信号を生成する(403,504)ことを含む。風力タービンブレード(22)の状態を検出するのに適した制御システム(600)も提供され、そのような制御システム(600)を含む風力タービン(10)も提供される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
風力タービンブレード(22)の状態を検出する方法(400,500,600)であって、当該方法が、
風力タービンブレード(22)上の荷重を測定するように構成された1以上のセンサから1以上の荷重信号を受信するステップ(401,501)と、
第1の周波数での荷重信号のエネルギー及び第2の周波数での荷重信号のエネルギーを決定するステップ(402,503)であって、第1の周波数が、デフォルト状態でのブレードの固有周波数に実質的に対応する、ステップ(402,503)と、
第1の周波数での荷重信号のエネルギーを第2の周波数での荷重信号のエネルギーと比較するステップ(403,504)と、
第1の周波数での荷重信号のエネルギーが第2の周波数での荷重信号のエネルギーよりも小さい場合にフラグ信号を生成するステップ(404,505)と
を含む方法。
【請求項2】
荷重信号が、風力タービンブレード(22)に作用するエッジ方向荷重を表す、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ブレード(22)の固有振動数が、デフォルト状態でのブレードの第1のノーマルモード又は第2のノーマルモードの固有振動数である、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ブレードのデフォルト状態がブレードの理想的状態に対応する、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
第2の周波数が、許容閾値を超える着氷を伴う風力タービンブレード(22)の固有周波数に実質的に対応する、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
当該方法が、エネルギーを決定する前に、荷重信号からロータ回転速度周波数で風力タービンブレードに作用する荷重を表す信号をフィルタリング(407)することをさらに含む、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
フィルタリング(407)が、ノッチフィルタを使用することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
第1及び第2の周波数での荷重信号のエネルギーを決定するステップ(402,503)が、バンドパスフィルタを使用して第1及び第2の周波数での荷重信号を決定することを含む、請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
第1及び第2の周波数での荷重信号のエネルギーを決定するステップ(402,503)が、第1及び第2の周波数での荷重信号の二乗平均平方根を計算することを含む請求項8に記載の方法。
【請求項10】
当該方法が、荷重信号のエネルギーを決定する前に(402,503)、さらに、風力タービンブレードに作用する荷重を表す信号から高周波成分をフィルタリングする、請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
信号からの高周波成分のフィルタリングが平滑化フィルタを使用することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
フラグ信号(404,505)が、除氷システムをアクティブにするコマンドを含む、請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
風力タービン用の制御システム(600)であって、当該制御システムが、プロセッサと不揮発性メモリとを備えており、不揮発性メモリが、プロセッサによって実行されると、制御システムに請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載の方法を実行させる命令を含む、制御システム(600)。
【請求項14】
複数のブレード(22)と請求項13に記載の制御システムをと備える風力タービン(10)。
【請求項15】
風力タービンブレード(22)上の荷重を測定するように構成されたセンサをさらに備えており、センサが、ブレード(22)に取り付けられた歪みゲージであり、センサが、適宜、ブレード(22)に作用するエッジ方向荷重を示す信号を提供するように構成されている、請求項14に記載の風力タービン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、風力タービン並びに風力タービンの運転方法に関する。本開示は、さらに具体的には、風力タービンブレードの状態、さらに具体的には例えば着氷による風力タービンブレードの状態の変化を検出するための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
最新式の風力タービンは、電力網への電力の供給に常用されている。この種の風力タービンは一般にタワー及びタワー上に配置されたロータを備える。ロータは通例ハブ及び複数のブレードを備えており、ブレードに対する風の影響下で回転するように設定される。この回転は通常ロータシャフトによって発電機に直接(「直接駆動」又は「ギアレス」)又はギアボックスを用いて伝達されるトルクを生成する。こうして、発電機は電力を発生し、電力を電力網に供給することができる。
【0003】
最新式の風力タービンは、その寿命を通して捕捉されるエネルギーを増やしてエネルギーコストを削減するため、ロータ直径の大型化が図られてきた。ロータサイズが増大しても、ブレードの剛性は比例して増加せず、動的摂動を受け易い柔軟なブレードをもたらす。こうした動的摂動は、エッジ(翼弦)方向及びスパン(翼長)方向の振動を招きかねない。
【0004】
寒冷地に設置される風力タービンは、設計及び安全面での追加の考慮を必要とする。着氷は、寒冷地での風力資源の最適収穫における障害として認識されている。低温では、風力タービンの部品に着氷が発生するおそれがある。実際、風力タービンブレードの着氷は、ブレードの空力効率、ひいては出力に影響を与え、高荷重を招いて、風力タービン全体に対する危険因子となりかねない。氷形成は、ブレードの構造的挙動及び疲労寿命にも影響する。さらに、ブレード上で氷が成長するとブレードの不均衡が発生するおそれがあり、風力タービンブレードの根元に氷がなくても、風力タービンブレードの先端には氷が体積することがある。その原因としては、特に、風力タービンのブレード先端と大気中の水滴との間の相対速度が高いこと並びに風力タービンのブレード先端部分の大気掃引面積が大きいことが挙げられる。こうして、風力タービンブレードでの不均一な着氷も、回転中のブレード不均衡を引き起こし、風力タービンの運転にとって深刻なリスクをもたらすおそれがある。
【0005】
風力タービンブレードにおける着氷はまた、運転中(又はパーキング中)に風力タービンブレードからの氷の塊の剥落を生じることもある。氷塊の落下は、風力タービン構造体の他の部材に影響を与えるおそれがあり、風力タービンの付近で働く作業員にも危険を及ぼしかねない。
【0006】
氷検出システム(例えばブレード上の氷の存在を検出するためのカメラに基づくものなど)を利用することが知られている。また、1枚以上のブレードの氷を検出するため、運転を中断して特定の試験(不均衡試験など)を実行することも知られている。
【0007】
本開示は、上述の短所の幾つかを少なくとも部分的に克服すべく、風力タービンブレードの動的応答の変動(特に着氷に起因するもの)を検出するための方法及びシステムを提供する。
【発明の概要】
【0008】
本開示の一態様では、風力タービンブレードの状態を検出する方法を提供する。本方法は、風力タービンブレード上の荷重を測定するように構成された1以上のセンサから1以上の荷重信号を受信するステップを含む。本方法は、第1の周波数での荷重信号のエネルギーを決定するステップ、及び第2の周波数での荷重信号のエネルギーを決定するステップも含んでおり、第1の周波数は、デフォルト状態でのブレードの固有周波数に実質的に対応する周波数である。本方法は、第1の周波数での荷重信号のエネルギーを第2の周波数での荷重信号のエネルギーと比較するステップも含む。さらに、本方法は、第1の周波数での荷重信号のエネルギーが第2の周波数での荷重信号のエネルギーよりも小さい場合にフラグ信号を生成するステップを含む。
【0009】
この態様では、風力タービンブレードの状態は、荷重信号のエネルギーのシフト又は変調(すなわち、ある周波数(帯域)から別の周波数(帯域)へのシフト又は変調)に基づいて検出することができる。そのため、追加のデバイス(つまりカメラなど)を設置せずに、風力タービン運転中の風力タービンブレードの状態を判断できる方法が得られる。こうして、本方法は、風力タービンの全体的出力に影響を与えずに、風力タービンブレードの状態を監視することができる。
【0010】
本開示を通して、「荷重信号」という用語は、作用荷重を少なくとも部分的に表す信号として解される。したがって、荷重信号は、例えば運動又は変形を示す信号、加速度値を含む信号、力又は応力読取値或いはその部品又はその部品に機械的に接続した別の部品に作用する荷重を推定するのに使用し得る他の量を含む信号であってもよい。
【0011】
「デフォルト状態」は、本明細書では、風力タービンブレードの基準状態、すなわち比較を行うときの基準となる状況又は状態とみなすことができる。デフォルト状態は、風力タービンブレードの「理想的」状態、すなわちブレードの劣化又は氷その他の物質の堆積又は付着のない、納品されたまま状態の清浄なブレードとすることができる。ただし、デフォルト状態は別途選択してもよい。
【0012】
本開示を通して、信号の「エネルギー」又は「エネルギー含量」を決定するという場合、特に信号の大きさの二乗、信号の二乗平均平方根(RMS)、信号の大きさの二乗の包絡線又は信号の大きさの二乗の積分の使用を含めて、当技術分野においてエネルギーを示すことが知られている指標を決定(計算又は推定)することをいう。信号のエネルギー又はエネルギー含量は、有限の期間にわたって計算又は推定できる。なお、信号エネルギーは、物理学で理解される通り、実際には必ずしも「エネルギー」の尺度ではない。
【0013】
本開示の実施形態のその他の目的、利点及び特徴は、以下の記載を考察することによって当業者には明らかになろうし、或いは実施を通じて習得し得る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】風力タービンのハブ及びナセルの一例を示す図。
【
図3】本開示の第1の態様に係る風力タービンブレードの状態を検出する方法の一例のフローチャート。
【
図5】荷重信号及び周波数帯域の例を含むグラフを示す。
【
図6】本開示の第2の態様による風力タービンブレードの状態を検出するための別の方法の例のフローチャートを示す。
【
図7】本開示に係る風力タービンの制御システムの一例の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示の様々な実施形態について詳細に説明し、その1以上の実施例を図面に示す。各実施例は、本技術を限定するものではなく、例示のためのものである。実際、特許請求の範囲に記載された技術的範囲及び技術的思想を逸脱することなく、本技術に様々な修正及び変更をなし得ることは当業者には明らかであろう。例えば、ある実施形態の一部として例示又は記載された特徴を、別の実施形態と共に用いてさらに別の実施形態とすることができる。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲及びその均等の範囲に属する修正及び変更を包含する。
【0016】
図1は、風力タービン10の一例の斜視図である。この例では、風力タービン10は水平軸風力タービンである。或いは、風力タービン10は、垂直軸風力タービンであってもよい。この例では、風力タービン10は、地上12の支持システム14から延在するタワー15と、タワー15に取り付けられたナセル16と、ナセル16に結合したロータ18とを含む。ロータ18は、回転可能なハブ20と、ハブ20から外側に結合され且つ延在する少なくとも1つのロータブレード22とを含む。この例では、ロータ18は3枚のロータブレード22を有する。別の実施形態では、ロータ18は、2枚以下又は4枚以上のロータブレード22を含む。タワー15は、支持システム14とナセル16の間の空洞(
図1には図示せず)を画成するために管状鋼から製造し得る。別の実施形態では、タワー15は、任意の適切な高さを有する任意の適切なタイプのタワーである。別の実施形態では、タワーは、コンクリート製の部分と管状鋼部分とを含むハイブリッドタワーであってもよい。また、タワーは部分的又は完全な格子タワーであってもよい。
【0017】
ロータブレード22は、ハブ20の周りに離間して配置され、ロータ18の回転を容易にして、運動エネルギーを風から使用可能な機械的エネルギー、次いで電気エネルギーへと伝達することができる。ロータブレード22は、ブレード根元部24を複数の荷重伝達領域26でハブ20に結合することによってハブ20に結合される。荷重伝達領域26は、ハブ荷重伝達領域及びブレード荷重伝達領域(いずれも
図1には図示せず)を有していてもよい。ロータブレード22に誘導された荷重は、荷重伝達領域26を介してハブ20に伝達される。
【0018】
実施例では、ロータブレード22は、約15m~約90m以上の範囲の長さを有し得る。ロータブレード22は、本明細書に記載の機能を風力タービン10が発揮し得る任意の適切な長さを有し得る。例えば、ブレード長の非限定的な例として、20m以下、37m、48.7m、50.2m、52.2m又は91m超の長さが挙げられる。風方向28からロータブレード22に風が当たると、ロータ18はロータ軸30の周りで回転する。ロータブレード22が回転して遠心力を受けると、ロータブレード22にも様々な力及びモーメントが加わる。そこで、ロータブレード22は、中立又は非撓み位置から撓み位置まで撓む及び/又は回転し得る。
【0019】
さらに、ロータブレード22のピッチ角(すなわち風方向に対するロータブレード22の向きを決定する角度)は、風ベクトルに対する1以上のロータブレード22の角度位置の調整によって風力タービン10で発生する荷重及び電力を制御するためのピッチシステム32によって変更し得る。ロータブレード22のピッチ軸34が示してある。風力タービン10の運転中、ピッチシステム32は、特にロータブレード(の部分)の迎え角が小さくなるようにロータブレード22のピッチ角を変化させることができ、回転速度の低下を促進し、及び/又はロータ18の失速を促進する。
【0020】
この例では、各ロータブレード22のブレードピッチは、風力タービンコントローラ36又はピッチ制御システム80によって個々に制御される。或いは、全てのロータブレード22に対する翼ピッチは、制御システムによって同時に制御してもよい。
【0021】
また、この例では、風方向28の変化に伴って、ロータブレード22を風方向28に対して位置付けるため、ナセル16のヨー方向をヨー軸38を中心に回転させてもよい。
【0022】
この例では、風力タービンコントローラ36は、ナセル16内で集中化したものとしてが示してあるが、風力タービンコントローラ36は、風力タービン10全体、支持システム14上、風力発電所内及び/又は遠隔制御センターにおける分散システムとしてもよい。風力タービンコントローラ36は、本明細書に記載の方法及び/又はステップを実行するように構成されたプロセッサ40を含む。さらに、本明細書に記載の他の部品の多くは、プロセッサを含む。
【0023】
本明細書で用いる「プロセッサ」という用語は、当技術分野でコンピュータと呼ばれる集積回路に限定されず、広義には、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロコンピュータ、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)、特定用途向け集積回路その他のプログラマブル回路をいい、これらの用語は、本明細書で互換的に用いられる。プロセッサ及び/又は制御システムは、メモリ、入力チャネル及び/又は出力チャネルも含むことができる。
【0024】
図2は、風力タービン10の一部の拡大断面図である。この例では、風力タービン10は、ナセル16と、ナセル16に回転可能に結合したロータ18とを含む。さらに具体的には、ロータ18のハブ20は、主軸44、ギアボックス46、高速シャフト48及びカップリング50によってナセル16内に位置する電動発電機42に回転可能に結合している。この例では、主軸44は、ナセル16の長手軸(図示せず)に対して少なくとも部分的に同軸に配置されている。主軸44の回転はギアボックス46を駆動し、ギアボックス46は、次いでロータ18及び主軸44の比較的遅い回転運動を高速シャフト48の比較的速い回転運動に変換することによって高速シャフト48を駆動する。後者は、カップリング50の助けを借りて電気エネルギーを生成するための発電機42に接続されている。さらに、400V~1000Vの間の電圧を有する発電機42によって生成された電気エネルギーを中電圧(10~35KV)を有する電気エネルギーに変換するために、変圧器90及び/又は適切な電子機器、スイッチ、及び/又はインバータがナセル16内に配置してもよい。電気エネルギーは、ナセル16からタワー15へ電力ケーブルを介して伝導される。
【0025】
ギアボックス46、発電機42及び変圧器90は、ナセル16の主支持構造フレームによって支持してもよく、適宜メインフレーム52として具現化される。ギアボックス46は、1以上のトルクアーム103によってメインフレーム52に接続されたギアボックスハウジングを含んでいてもよい。この例では、ナセル16は、主前方支持軸受60と主後方支持支持軸受62とも含む。さらに、発電機42は、特に発電機42の振動がメインフレーム52に導入され、それによって騒音の放射源を生じることを防止するために、デカップリング支持手段54によってメインフレーム52に取り付けることができる。
【0026】
適宜、メインフレーム52は、ロータ18及びナセル16の構成部品の重量並びに風及び回転荷重によって生じる全荷重を担持するように構成され、さらに、これらの荷重を風力タービン10のタワー15に導入する。ロータシャフト44、発電機42、ギアボックス46、高速シャフト48、カップリング50、及びサポート52、前方支持ベアリング60及び後方支持ベアリング62を含むがこれらに限定されない任意の関連する固定、支持、及び/又は固定装置は、駆動トレイン64と呼ばれることもある。
【0027】
幾つかの例では、風力タービンは、ギアボックス46のない直接駆動風力タービンであってもよい。発電機42は、直接駆動風力タービンにおけるロータ18と同じ回転数で動作する。したがって、それらは一般に、ギアボックスを備えた風力タービンよりも同様の量の電力を供給するためのギアボックス46を有する風力タービンで使用される発電機よりもはるかに大きい直径を有する。
【0028】
ナセル16はまた、ナセル16を回転させ、それによってヨー軸38の周りのロータ18を風方向28に対するロータブレード22の遠近法を制御するために使用し得るヨー駆動機構56を含むこともできる。
【0029】
ナセル16を風方向28に対して適切に位置決めするために、ナセル16は、風方向計及び風速計を含み得る少なくとも1つの気象測定システム58も含み得る。気象計測システム58は、風方向28及び/又は風速を含み得る情報を風力タービンコントローラ36に提供することができる。この例では、ピッチシステム32は、ハブ20内のピッチアセンブリ66として少なくとも部分的に配置されている。ピッチアセンブリ66は、1以上のピッチ駆動システム68と、少なくとも1つのセンサ70とを含む。各ピッチ駆動システム68は、ピッチ軸34に沿ってロータブレード22のピッチ角を変調するためのそれぞれのロータブレード22(
図1に示す)に結合している。3つのピッチ駆動システム68のうちの1つだけが
図2に示してある。
【0030】
この例では、ピッチアセンブリ66は、ハブ20に結合した少なくとも1つのピッチベアリング72と、それぞれのロータブレード22をピッチ軸34を中心に回転させるためのそれぞれのロータブレード22(
図1に示す)とを含む。ピッチ駆動システム68は、ピッチ駆動モータ74と、ピッチ駆動ギアボックス76と、ピッチ駆動ピニオン78とを含む。ピッチ駆動モータ74は、ピッチ駆動モータ74がピッチ駆動ギアボックス76に機械的な力を与えるように、ピッチ駆動ギアボックス76に結合している。ピッチ駆動ギアボックス76は、ピッチ駆動ピニオン78がピッチ駆動ギアボックス76によって回転するように、ピッチ駆動ピニオン78に結合される。ピッチ軸受72は、ピッチ駆動ピニオン78の回転がピッチ軸受72の回転を生じさせるようにピッチ駆動ピニオン78に結合している。
【0031】
ピッチ駆動システム68は、風力タービン制御装置36からの1以上の信号の受信時にロータブレード22のピッチ角を調整するために風力タービン制御装置36に結合される。この例では、ピッチ駆動モータ74は、ピッチアセンブリ66が本明細書に記載の通り機能することができる電力及び/又は油圧システムによって駆動される任意の適切なモータである。代替的に、ピッチアセンブリ66は、任意の適切な構造、構成、配置、及び/又は、油圧シリンダ、ばね、及び/又はサーボ機構などの部品を含んでいてもよい。ある実施形態では、ピッチ駆動モータ74は、ハブ20の回転慣性及び/又は風力タービン10の部品にエネルギーを供給する蓄積されたエネルギー源(図示せず)から抽出されたエネルギーによって駆動される。
【0032】
ピッチアセンブリ66は、特定の優先順位付けされた状況の場合及び/又はロータ18の過速度の場合に、風力タービンコントローラ36からの制御信号に従ってピッチ駆動システム68を制御するための1以上のピッチ制御システム80も含み得る。この例では、ピッチアセンブリ66は、風力タービンコントローラ36から独立してピッチ駆動システム68を制御するためのそれぞれのピッチ駆動システム68に通信可能に結合した少なくとも1つのピッチ制御システム80を含む。この例では、ピッチ制御システム80は、ピッチ駆動システム68及びセンサ70に結合している。風力タービン10の通常運転中、風力タービンコントローラ36は、ロータブレード22のピッチ角を調整するようにピッチ駆動システム68を制御してもよい。
【0033】
一実施形態では、例えば電池及び電気キャパシタを含む電力発生器84は、ハブ20内に配置され、センサ70、ピッチ制御システム80、及びピッチ駆動システム68に結合して、これらの部品に電力源を提供する。この例では、発電機84は、風力タービン10の運転中にピッチアセンブリ66に継続的な電力源を提供する。別の実施形態では、電力発生器84は、風力タービン10の電力損失事象の間だけピッチアセンブリ66に電力を供給する。電力損失事象は、電力網の損失又はディップ、風力タービン10の電気システムの誤動作、及び/又は風力タービンコントローラ36の故障を含んでいてもよい。電力損失イベントの間、発電機84は、ピッチアセンブリ66が電力損失イベント中に動作できるように、ピッチアセンブリ66に電力を供給するように動作する。
【0034】
この例では、ピッチ駆動システム68、センサ70、ピッチ制御システム80、ケーブル、及び発電機84は、それぞれ、ハブ20の内面88によって画成されるキャビティ86内に位置決めされる。別の実施形態では、部品は、ハブ20の外側屋根表面に対して位置決めされ、直接的又は間接的に、外側屋根表面に結合し得る。
【0035】
図3は、本開示の第1の態様による風力タービンブレードの状態を検出するための方法400の一例のフローチャートを示す。
図3の方法400は、ブロック401において、風力タービンブレード上の荷重を測定するように構成された1以上のセンサから1以上の荷重信号を受信することを含む。方法400はまた、ブロック402において、第1の周波数での荷重信号のエネルギーを決定するステップと、第2の周波数での荷重信号のエネルギーを決定するステップを含み、第1の周波数は、デフォルト状態でのブレードの固有周波数に実質的に対応する周波数である。方法400は、ブロック403において、第1の周波数での荷重信号のエネルギーを、第2の周波数での荷重信号のエネルギーと比較するステップを含む。さらに、方法400は、ブロック404において、第1の周波数での荷重信号のエネルギーが第2の周波数での荷重信号のエネルギーよりも小さい場合にフラグ信号を生成するステップを含む。
【0036】
前述の通り、方法400は、荷重信号のエネルギーのシフト又は変調に基づいて、すなわち、ある周波数(帯域)から別の周波数(帯域)へのシフト又は変調に基づいて、風力タービンブレードの状態を検出することができる。したがって、方法400は、受信した荷重信号から風力タービンブレードの状態を正確かつロバストな方法で推定することができる。さらに、方法400は、風力タービンの運転中に、風力タービンの全体的な出力に影響を与えることなく、風力タービンブレードの状態を決定することができる。さらに、方法400は、一般に風力タービンに既に含まれる装置によって実行することができ、したがって、風力タービンに追加の装置を設置する必要がない。方法400及びさらなる例に関するさらなる詳細は、
図4及び
図5に関連して議論される。
【0037】
第1及び第2の周波数は、検出される現象に応じて選択し得る。ブレードのデフォルト状態は、ブレードがきれいで、外部の質量が蓄積しないブレードの理想的状態に対応している場合がある。そして、第1の周波数は、このデフォルト状態でのブレードの固有周波数、すなわち任意の質量蓄積(氷、汚れなど)に対応するように選択し得る。第2の周波数は、実施例では、氷蓄積を伴う風力タービンブレードの固有振動数に実質的に対応するように選択し得る。第2の周波数は、指定された閾値を超える着氷を伴う風力タービンブレードの固有周波数に対応するように選択し得る。
【0038】
図4は、風力タービンブレード22の状態を検出するための方法400の別の例のフローチャートを示す。
【0039】
図4に示す例では、方法400は、ブロック401において風力タービンブレードに作用するエッジ方向荷重を表す荷重信号410を受信するステップを含んでいてもよい。荷重信号は、例えばひずみゲージから受信することができる。エッジ方向荷重を使用すると、空力減衰が少ないため、ブレードの状態決定の信頼性が向上することがわかっている。他のタイプの荷重信号も、例えばフラップワイズ荷重を表す荷重信号などの方法400に従って受信及び処理し得る。
【0040】
さらに、方法400は、ブロック402の前に、ロータ回転速度と共に風力タービンブレード22に作用する荷重を表す信号410をフィルタリングするステップ407を含んでいてもよい。ロータ周波数(ロータ回転速度に関連する)は、ロータハブ20が回転する周波数として理解されるべきである。この周波数は、当技術分野では1P周波数とも呼ばれる。
【0041】
この例では、ノッチフィルタを使用して、ロータ周波数(1P)を有する荷重を表す信号をフィルタリングしてもよい。このフィルタリングは、異なる周波数におけるエネルギーを決定する前に実施し得る。他の例では、フィルタリングステップ407は、ロータ周波数(1P)又は当技術分野で3P周波数と呼ばれるブレード通過周波数に実質的に対応するカットオフ周波数を有するハイパスフィルタなどの他のフィルタリング方法を使用することを含んでいてもよい。
【0042】
このフィルタリングステップ407は、少なくとも1P周波数の荷重を除去することを可能にし、荷重信号410のエネルギーにおける風力タービンタワー15を通過するブレード22の寄与を緩和することができる。したがって、方法400の後続のステップは、異なる周波数帯域における信号410のエネルギーの変化のより正確な推定を提供し得る。
【0043】
さらに、方法400は、さらなるフィルタリング工程(
図4には図示せず)を含んでもよく、荷重信号410からの高周波成分がフィルタリングされる。このフィルタリングステップは、時間領域又は周波数領域内の信号410に適用し得る平滑化フィルタを使用することを含んでいてもよい。平滑化フィルタリングは、移動平均フィルタ、二項式、指数関数的又は多項式加重移動平均フィルタなどの加重移動平均フィルタ、中央値フィルタ、又はその他であってもよい。さらに、フィルタリングステップは、平滑フィルタを適用する前に荷重信号410をリサンプリングすることを含んでもよい。フィルタリング工程は、外れ値を除去する工程も含み得る。さらに、外れ値の除去と平滑化を組み合わせたフィルタリングアプローチも、例えばハンペルフィルタのように適用し得る。
【0044】
図4の例の方法400に見られるように、ブロック402は、第1の周波数421における荷重信号410のエネルギーを決定する第1のサブステップ405と、第2の周波数422における荷重信号410のエネルギーを決定する第2のサブステップ406とを含んでいてもよい。サブステップ405、406は、例えば利用可能な計算能力に応じて、順次(任意の順序で)又は並行して実行し得る。
【0045】
バンドパスフィルタを適用して、第1及び第2の周波数での荷重信号を決定してもよい。バンドパスフィルタ又はバンドパスフィルタ(BPF)は、本明細書では、ある範囲内の周波数を通過させ、その範囲外の周波数を拒絶(減衰)するフィルタとみなすことができる。したがって、第1の周波数及び第2の周波数での荷重信号は、必ずしもその周波数のみにおける荷重信号に正確に対応するとは限らず、代わりに、第1の周波数の周りの小さな(狭い)周波数帯域と、第2の周波数の周りの小さな周波数帯域とを含んでいてもよい。これらの小さな周波数帯域は、「通過帯域」と呼ばれることもある。
【0046】
この例では、エネルギーは、荷重信号の二乗平均平方根(RMS)を計算することによって決定し得る。サブステップ405、406では、第1及び第2の周波数(及び通過帯域)における荷重信号が決定し得る。次に、一定期間にわたるこれらの信号のRMSを計算してもよい。この期間は、検出すべき現象の出現を判定できるようにするために適宜選択すればよい。例では、期間は、1分(風力タービンロータの少なくとも数回転を含む)と15分の間、具体的には3分から10分の間であるように選択し得る。前述のように、荷重信号のエネルギーを決定又は推定するために、RMS以外の他のアプローチが使用し得る。また、他の期間を使用することもできる。
【0047】
実施例では、方法400の特定のステップの順序は変更し得る。例えば、方法400が以前に受信した荷重信号のエネルギーを決定している間に荷重信号を受信してもよく、すなわち方法400の幾つかのステップは、方法400の異なるループ間で重複し得る。また、あるステップが終了してから別のステップが開始される必要はない。
【0048】
幾つかの例では、サブステップ405の第1周波数421におけるブレード22の固有周波数は、デフォルト状態でのブレード22の第1のノーマルモード又は第2のノーマルモードの固有周波数であってもよい。
【0049】
振動システムのノーマルモードは、システムの全ての部分が同じ周波数で、かつ固定位相関係で正弦波状に移動する運動パターンである。ノーマルモードによって記述される自由運動は、固定周波数で行われる。システムのノーマルモードのこれらの固定周波数は、固有振動数又は共振周波数として知られている。第1固有振動数及び第1のノーマルモードは、風力タービンの最低共振周波数及びこの周波数に対応する発振モードを指す。第2のノーマルモード及び対応する第2固有周波数は、第2の最低共振周波数及び対応する発振モードを指す。
【0050】
この例では、サブステップ406の第2周波数422は、許容閾値を超える着氷を伴う風力タービンブレード22の周波数モードを含んでいてもよい。さらに、第2の周波数422は、風力タービンブレードシミュレーションを通じて、又はフィールドデータを通じて取得し得る。
【0051】
幾つかの例では、許容閾値は、ブレードの質量の3%と5%の間の着氷を表し得る。他の例では、許容閾値は、風力タービンブレード22の質量に対する氷のより低い又はより高い蓄積を表し得る。許容閾値の値は、ブレードの機械的特性及びブレードの動的応答に少なくとも部分的に依存し得る。閾値のレベルは、生成されるフラグ信号のタイプにさらに依存し得る。
【0052】
図4に示すように、方法400の例は、ブロック403において、第1及び第2の周波数における信号のエネルギーの比較を含んでいてもよい。結果に応じて、フラグ信号は、ブロック404において生成される場合と生成されない場合がある。
【0053】
この例では、ブロック404で生成されるフラグ信号は、風力タービンの除氷システムを有効にするコマンドを含んでいてもよい。また、フラグ信号は、風力タービン運転を停止するコマンドを含んでもよい。他の例では、フラグ信号は、風力タービンブレード22における氷の初期蓄積、又は風力タービンブレードにおける別の構造変化、例えば構造劣化を警告する他のコマンドを含んでいてもよい。これは、着氷が風力タービン10の正常な動作に危険をもたらす前に風力タービンブレード22のメンテナンスタスクを実行することを可能にし得る。例では、対応する異なるフラグ信号を有する複数の閾値(及び2以上の周波数)が使用し得る。
【0054】
幾つかの例では、フラグ信号は、風力タービンをディレーティングする信号、すなわち風力タービンの出力及び/又は回転速度を、ブレード上の荷重を低減するために低下させる信号であってもよい。このようなフラグ信号は午前中に生成される場合があるが、日中は温度が上昇し、これにより氷がブレードから落下又は溶融する。本開示の方法及びシステムの例では、風力タービンの正常な動作を再開できるように、ブレードが着氷なしに(又は少なくともかなりの程度まで)そのデフォルト状態又はクリーン状態に戻ったように見えるという決定がなし得る。
【0055】
同様に、除氷作業が行われる場合、本開示の方法及びシステムは、氷が実際にブレードから除去されたことを確認するのに役立つことができる。動作が再開されると、ブレードがデフォルト又はクリーン状態(又は少なくともかなりの程度)に戻ったと判断し得る。そうでない場合は、新しいフラグ信号が生成され、さらに除氷操作が実行される可能性がある。
【0056】
したがって、幾つかの例では、本方法は、第1の周波数での荷重信号が第2の周波数での荷重信号よりも多くのエネルギーを有すると決定された後、フラグ信号を非アクティブ化するか、又はフラグ信号の前のように動作を再開することを含んでいてもよい。
【0057】
図5は、荷重信号411、412及び周波数帯域421、422の例を示すグラフを示す。グラフは、周波数領域における任意の単位(変位データ、力データ、加速度データ、又は任意の他の適切なデータ)の2つの例荷重信号411、412のパワースペクトル密度を示す。グラフにおいて、第1の荷重信号411(実線で図示)は、デフォルト状態で動作中の風力タービンブレード22からの荷重信号を概略的に表している。さらに、第2の荷重信号412(破線で図示)は、着氷が生じた運転中の風力タービンブレードからの荷重信号を概略的に表す。したがって、
図5のパワースペクトル密度(PSD)図は、本開示の実施例におけるデフォルト状態からのブレードのずれの検出を可能にする現象を説明するのに役立つ。本開示の範囲内では、荷重信号のPSDを計算又は別の方法で推定する必要はない。動作中に実質的に連続的にPSDを計算するには、かなりの処理能力が必要である。
【0058】
方法400に関連して論じるように、荷重信号410(図示せず)は、デフォルト状態でのブレードの固有周波数に実質的に対応する第1周波数421におけるエネルギーを推定するように処理し得る。さらに、第2の周波数422における荷重信号410のエネルギーも決定し得る。したがって、方法400は、第1の周波数421における荷重信号410のエネルギーを、第2の周波数での荷重信号410のエネルギーと比較することができる。荷重信号410のエネルギーが第1の周波数帯域421において第2の周波数422よりも大きい場合(これは、ブレードの構造的挙動がそのデフォルト状態に実質的に対応することを意味する)、方法400は、最終的なフラグを生成しないであろう。
【0059】
以前に論じたように、第2の周波数(又は第2の周波数帯域)422は、荷重信号411と比較してより小さい周波数値での荷重信号412のパワースペクトル密度におけるピークから観察し得るように、許容閾値を超える着氷が生じたときの風力タービンブレードの通常モードに対応する周波数であってもよい。
【0060】
方法400の例では、第1及び第2の周波数421、422は、ある周波数(又は周波数帯域)の間に十分な分離が存在し、ある周波数と別の周波数との間の区別の信頼できる決定を可能にするように選択し得る。同時に、周波数は、生成されるフラグ又は警告信号に応じて選択し得る(風力タービンの運転停止は、必要な場合を除いて避けることが好ましいが、ブレードの変化がまだあまり顕著でない場合には警告信号を生成することができる)。
【0061】
本開示の別の態様では、風力タービンブレード22の状態を検出する別の方法500を提供する。方法500は、
図6に概略的に示してある。
【0062】
方法500は、ブロック501において、風力タービンブレード22上のエッジ方向荷重を測定するように構成された1以上のセンサ610から1以上のエッジ方向荷重信号を受信するステップを含む。さらに、ブロック502において、方法500は、ロータ回転速度周波数(1P)に実質的に対応する周波数を有するエッジ方向荷重信号をフィルタリングするステップを含む。
【0063】
方法500は、ブロック503において、第1の周波数におけるエッジ方向荷重信号のエネルギーを決定するステップをさらに含み、第1の周波数は、デフォルト状態でのブレードの固有周波数に実質的に対応する周波数である。
【0064】
また、ブロック503において、方法は、第2の周波数におけるエッジ方向荷重信号のエネルギーを決定するステップを含む。さらに、方法500は、ブロック504において、第1の周波数におけるエッジ方向荷重信号のエネルギーを第2の周波数での荷重信号のエネルギーと比較するステップを含む。次いで、ブロック505において、方法500は、第1の周波数帯域におけるエッジ方向荷重信号のエネルギーが第2の周波数帯域におけるエッジ方向荷重信号のエネルギーよりも小さい場合にフラグ信号を生成するステップを含む。
【0065】
したがって、方法500は、ブレード内のエッジ方向の振動を表す荷重信号に基づいて風力タービンブレードの状態を決定するステップができる。エッジ方向の振動は激しい空力減衰を受けないので、方法500は、風力タービンブレードの状態の変化を正確かつ信頼性の高い方法で正確に検出し得る。
【0066】
本開示のさらに別の態様では、風力タービン10のための制御システム600を提供する。制御システム600は、プロセッサと不揮発性メモリとを備える。メモリは、プロセッサによって実行されると、制御システム600に一連の動作を実行させる命令を含む。1つの動作は、風力タービンブレード上の荷重を測定するように構成された1以上のセンサ610から1以上の荷重信号410を受信するステップ401を含む。別の動作は、第1の周波数帯域及び第2の周波数帯域における荷重信号410のエネルギーを決定するステップ402を含み、第1の周波数帯域は、デフォルト状態でのブレードの固有周波数を含む周波数帯域である。さらに別の動作は、第1の周波数帯域における荷重信号410のエネルギーを第2の周波数帯域における荷重信号410のエネルギーと比較するステップ403を含む。さらに、プロセッサによって実行される別の動作は、第1の周波数帯域における荷重信号410のエネルギーが第2の周波数帯域における荷重信号410のエネルギーよりも小さい場合にフラグ信号を生成するステップ404を含む。
【0067】
一部の例では、制御システム600のメモリは、風力タービンブレードの荷重データをさらに含み得る。この荷重データは、デフォルト状態での通常運転中の風力タービンブレードからのデータ、異なる量の氷蓄積の影響下での運転中の風力タービンブレードからのデータ、又はその他を含んでいてもよい。また、荷重データは、許容閾値を超える着氷が発生したときに発生する荷重に対応する所定のデータであってもよい。例えば、荷重データは、記録された荷重日、すなわち制御された条件下で実験的に記録された、又は風力タービンブレードシミュレーションからの荷重データであってもよい。荷重データは、とりわけ第1及び第2の周波数帯域を定義するためにプロセッサによって使用し得る。荷重データには、様々な状況(様々な量の着氷など)でのブレードの固有振動数に関するデータが含まれる場合がある。
【0068】
本開示のさらなる態様では、上記で開示した通り、複数のブレード及び制御システム600を備える風力タービン10を提供する。さらに、風力タービン10は、風力タービンブレード上の荷重を測定するように構成されたセンサ610を備えてもよい。さらに具体的には、センサ610は、ブレードに取り付けられたひずみゲージであってもよい。さらに、幾つかの例では、センサ610は、ブレードに作用するエッジ方向荷重を提供するように構成される。
【0069】
この例では、風力タービン10は、フラグ信号をローカル風力タービンコントローラ、SCADAシステム、又は遠隔オペレーティングセンタに送るように構成された通信ユニット620をさらに備えることができる。他の例では、制御システム600は、局所風力タービンコントローラの一部を形成し得る。
【0070】
制御システム600のすべての特徴を、風力タービンブレードの状態を検出するのに適した方法400,500に含めることができ、逆もまた同様であることに留意されたい。
【0071】
この書面による説明は、好ましい実施形態を含む教示を開示するために、また、任意のデバイス又はシステムを作成及び使用し、任意の組み込まれた方法を実行することを含む、教示を実践するために、例を使用する。特許適用範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者に思いつく他の例を含んでいてもよい。このような他の例は、特許請求の範囲のリテラル言語と異ならない構造要素を有する場合、又は特許請求の範囲のリテラル言語と実質的に異なる同等の構造要素を含む場合、特許請求の範囲内にあることが意図される。記載される様々な実施形態からの態様、並びにそのような各態様についての他の既知の等価物を、本出願の原理に従って追加の実施形態及び技術を構築するために当業者の1人によって混合及びマッチングし得る。図面に関連する参照記号が請求項の括弧内に置かれている場合、それらはクレームの明瞭度を高めようとするためだけにあり、クレームの範囲を制限するものと解釈されないものとする。
【符号の説明】
【0072】
10 風力タービン
22 風力タービンブレード
36 風力タービンコントローラ
410 荷重信号
600 制御システム
610 センサ
【外国語明細書】