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特開2024-22524ブロック保管装置及びブロック保管装置を動作させる方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022524
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】ブロック保管装置及びブロック保管装置を動作させる方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 60/00 20060101AFI20240208BHJP
   B65G 63/00 20060101ALI20240208BHJP
   G01G 19/52 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
B65G60/00 S
B65G63/00 H
B65G63/00 E
G01G19/52 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023124804
(22)【出願日】2023-07-31
(31)【優先権主張番号】22188920.7
(32)【優先日】2022-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】503314705
【氏名又は名称】ユングハインリヒ・アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベッカー, ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】モラヴィーツ, ティム
(72)【発明者】
【氏名】カヴェリウス, イェルク
(57)【要約】
【課題】ブロック保管装置の動作中の危険を最小限に抑える。
【解決手段】複数のコンテナ収容室(2)と、少なくとも1つのコンテナ(3)と、コンテナ収容室(2)に対して積載方向に移動可能であり、少なくとも1つのコンテナ(3)のためのコンテナ収容部を有する少なくとも1つの積載車両(8)とを備えたブロック保管装置(1)が規定される。ブロック保管装置の動作中の危険を最小限に抑えるために、コンテナ積載重心を決定するための装置(17)が、積載方向においてコンテナ収容室(2)の前に配置される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコンテナ収容室(2)と、少なくとも1つのコンテナ(3)と、前記コンテナ収容室(2)に対して積載方向に移動可能であり、前記少なくとも1つのコンテナ(3)のためのコンテナ収容部(7)を有する少なくとも1つの積載車両(6)とを備えたブロック保管装置(1)であって、コンテナ積載重心を決定するための装置(17)が、前記積載方向において前記コンテナ収容室(2)の上流に配置されていることを特徴とするブロック保管装置(1)。
【請求項2】
コンテナ積載重心を決定するための前記装置(17)が、積載偏心を決定することを特徴とする、請求項1に記載のブロック保管装置。
【請求項3】
コンテナ積載重心を決定するための前記装置(17)が、前記コンテナ(3)の質量を決定することを特徴とする、請求項1又は2に記載のブロック保管装置。
【請求項4】
コンテナ積載重心を決定するための前記装置(17)は、制御装置(19)に接続されており、前記制御装置(19)は、コンテナ積載重心を決定するための前記装置(17)からの出力信号に応じてコンテナ収容室(2)を選択することを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のブロック保管装置。
【請求項5】
コンテナ積載重心を決定するための前記装置(17)が、互いに距離を置いて配置された少なくとも3つの計量装置(18)を有することを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のブロック保管装置。
【請求項6】
コンテナ積載重心を決定するための前記装置(17)が、前記コンテナ(3)の角に割り当てられた4つの計量装置(18)を有することを特徴とする、請求項5に記載のブロック保管装置。
【請求項7】
コンテナ積載重心を決定するための前記装置(17)が、作業ステーションもしくは移送ステーション(8)内に、又は前記積載車両(6)上に配置されることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載のブロック保管装置。
【請求項8】
コンテナ積載重心を決定するための前記装置(17)が、光学記録装置(20)を有することを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載のブロック保管装置。
【請求項9】
複数のコンテナ収容室(2)と、前記コンテナ収容室(2)に対して積載方向に移動され、少なくとも1つのコンテナ(3)がコンテナ収容室(2)内に搬送される少なくとも1つの積載車両(3)とを有するブロック保管装置(1)を動作させる方法であって、前記コンテナ(3)がコンテナ収容室(2)内に保管される前に、前記コンテナ(3)のコンテナ積載重心が決定されることを特徴とする方法。
【請求項10】
コンテナ収容室(2)が、決定されたコンテナ積載重心に応じて選択されることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記コンテナ積載重心は、前記コンテナ(3)がコンテナ収容室(2)内に保管される前に毎回決定されることを特徴とする、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記コンテナ積載重心は、前記コンテナ(3)上の複数の異なる位置における重量力を決定することによって決定されることを特徴とする、請求項9~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記コンテナ(3)の総質量が決定されることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記コンテナ積載物の前記重心が光学的に決定されることを特徴とする、請求項9~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記コンテナ積載重心の偏心が決定され、コンテナ収容室(2)が、決定された前記偏心に応じて選択されることを特徴とする、請求項9~14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のコンテナ収容室と、少なくとも1つのコンテナと、コンテナ収容室に対して積載方向に移動可能であり、少なくとも1つのコンテナのためのコンテナ収容部を有する少なくとも1つの積載車両とを備えたブロック保管装置に関する。
【0002】
更に、本発明は、複数のコンテナ収容室と、コンテナ収容室に対して積載方向に移動され、少なくとも1つのコンテナをコンテナ収容室内に搬送する少なくとも1つの積載車両とを有するブロック保管装置を動作させる方法に関する。
【背景技術】
【0003】
「積み重ね保管装置」とも呼ばれるブロック保管装置では、コンテナを積み重ねられた形態で取り付けることができる。コンテナ収容室は、そのようなコンテナスタックの各々に提供される。コンテナはコンテナ収容室内で互いに上下に配置されているので、利用可能な空間は重力方向に完全に利用される。コンテナ収容室はまた、利用可能な空間が重力の方向に対して横方向にも非常に良好に使用され得るように、比較的密に配置され得る。
【0004】
コンテナは、物体を収容する役割を果たす。物体は、例えば、コンテナ内の作業ステーションに保管することができる。続いて、コンテナはコンテナ収容室内に移動される。物体がコンテナから再び取り出される場合、コンテナはコンテナ収容室から取り出され、作業ステーションに運ばれなければならない。そこでは、外側からコンテナへのアクセスが可能である。
【0005】
コンテナ収容室内のコンテナから形成されるスタックは、かなりの高さを有することができる。コンテナのスタックが高くなればなるほど、スタックが傾く傾向があり、極端な場合には転倒する危険が大きくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ブロック保管装置の動作中の損傷の危険を最小限に抑えるという目的に基づくものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、最初に述べたタイプのブロック保管装置において、コンテナ積載重心を決定するための装置が、積載方向においてコンテナ収容室の上流に配置されることによって達成される。
【0008】
コンテナ積載重心を決定するための装置を用いて、特定の限度内でコンテナ内に積載物がどのように分布しているかに関する情報を得ることが可能である。上述したように、積載物は、コンテナに保管される1つ以上の物体からなる。コンテナ積載重心が中心から非常に離れて配置されている場合、例えば、コンテナ積載重心を決定するための装置を用いて、警告信号を生成することができ、その結果、コンテナ内に1つ以上の物体を保管したオペレータは、コンテナの積載をチェックする選択肢を有する。
【0009】
コンテナ積載重心を決定するための装置は、好ましくは積載偏心を決定する。したがって、積載物の重心が依然として許容限度内に配置されているか否かに関する基準として使用することができる尺度が利用可能である。
【0010】
好ましくは、コンテナ積載重心を決定するための装置は、コンテナの質量を決定する。これは、コンテナ収容室内でコンテナスタックが傾く危険を最小限に抑えるための追加の基準を提供する。大きな質量を有するコンテナは、例えば、スタック内で比較的下方に配置することができ、その結果、中心から外れた保管重心は、同じ質量を有するコンテナがスタック内で更に上方に配置された場合よりも、ここでは重要性が低い。
【0011】
好ましくは、コンテナ積載重心を決定するための装置は、制御装置に接続され、制御装置は、コンテナ積載重心を決定するための装置からの出力信号に応じてコンテナ収容室を選択する。このような実施形態は、コンテナが下からコンテナ収容室内に挿入され、コンテナ収容室から下方に取り外される場合に特に有利である。このような場合、重力方向においてコンテナ収容室の下に積載室が存在し、この積載室内で積載車両を移動させることができる。コンテナ収容室内にコンテナ又はコンテナのスタックを保持するために、それぞれのコンテナ収容室と積載室との間に保持装置が配置される。この保持装置は、例えば、コンテナ又はコンテナスタックが載る複数の保持爪又は他の部分を有する。ここでコンテナ積載重心を決定することができる場合、コンテナ積載重心がコンテナの中心点から離れて同じ方向にあるコンテナ収容室内で複数のコンテナが互いの上に積み重ねられることを防止することができる。このような場合、許容できないほど高い負荷が保持装置の一部又はスタックの最下部のコンテナの一部に生じ、一方、保持装置の別の部分ははるかに低い負荷を受ける。したがって、コンテナ積載重心を決定するための装置は、保持装置の過負荷の危険を回避するために使用され得る。
【0012】
好ましい実施形態では、コンテナ積載重心を決定するための装置が、互いに距離を置いて配置された少なくとも3つの計量装置を有することが提供される。計量装置は、例えばロードセルとして設計することができる。少なくとも3つのそのような計量装置を使用することによって、3つの異なる位置でコンテナによって計量装置に加えられる重量力を決定することが容易である。次いで、そのような重量の力を使用して、コンテナ積載重心に関するステートメントを得ることができる。
【0013】
好ましくは、コンテナ積載重心を決定するための装置は、コンテナの角に割り当てられた4つの計量装置を有する。正確に規定された位置に割り当てられた4つの計量装置によって、コンテナ積載物の重心を記録することは比較的容易である。
【0014】
好ましくは、コンテナ積載重心を決定するための装置は、作業ステーションもしくは移送ステーション内に、又は積載車両上に配置される。したがって、コンテナ積載重心を決定するための装置は、コンテナの積載の変化が生じる場所に配置される。次いで、物体がコンテナに保管されるか、又はコンテナから取り出される場合、コンテナ積載重心の決定を行うことができる。その場合、コンテナが初めてブロック保管装置に保管されるときに、コンテナの質量及び重心を決定することも可能である。空のコンテナの場合、重心は、コンテナの水平延長上の中心点にあると仮定される。コンテナ積載重心を決定するための装置を用いて、コンテナが指定された公差内で所望の仕様を満たしているかどうかをチェックすることも可能である。
【0015】
好ましくは、コンテナ積載重心を決定するための装置は、光学記録装置を有する。例えば、光学記録装置は、物体がコンテナ内でどのように分布しているかを検出することができる。例えば、光学記録装置が、全ての物体がコンテナの1つの角に集中していると判定した場合、光学記録装置は警告信号を発することができる。光学記録装置は、計量装置の代わりに、又は計量装置に加えて設けることができる。
【0016】
上述したタイプの方法では、この目的は、コンテナがコンテナ収容室内に保管される前に、コンテナのコンテナ積載重心を決定することによって達成される。
【0017】
コンテナ積載重心が決定され、そのようなコンテナ積載重心が追加領域の外側にあることが分かった場合、アラーム信号が生成されて、コンテナの積載をチェックし、必要に応じて変更する必要があることをオペレータに警告することができる。
【0018】
好ましくは、コンテナ収容室は、決定されるコンテナ積載重心に応じて選択される。これは、ブロック保管装置が重力方向において下方から積載される場合、すなわち、積載車両が移動される積載室がコンテナ収容室の下方に配置される場合に特に有利である。次に、コンテナは、下から保持装置を通して、それぞれのコンテナ収容室内に挿入される。次に、保持装置はコンテナを保持し、必要であればコンテナのスタックを保持する。コンテナ積載重心が許容領域外に配置されている場合、保持装置の一部が保持装置の他の部分よりも重く積載される危険がある。スタック内の複数のコンテナが、コンテナ積載重心の同じ又は類似の位置を有する場合、これは、保持装置のそのような部分及び/又はスタックの最下コンテナの過負荷をもたらし得る。したがって、コンテナ収容室は、保持装置の一部又は最下コンテナの過負荷が回避され、コンテナの保持装置上のコンテナの重量力が保持装置の全ての部分に可能な限り均等に分散されるように選択される。確かに、正確に等しい分布を達成することはできない。しかしながら、保持装置の部分に作用する力がそのような部分の過負荷につながらないことを確実にすることが可能である。保管されるコンテナが、すでに保管されているコンテナのコンテナ積載重心とともに過積載をもたらすであろうコンテナ積載重心を有するために、そのような過積載が明らかになる場合、別のコンテナ収容室が選択される。
【0019】
好ましくは、コンテナ積載重心は、コンテナがコンテナ収容室内に保管される前に毎回決定される。ここでは、ほとんどの場合、コンテナがコンテナ収容室に保管される前に、コンテナの積載状態が変化していると仮定している。コンテナ積載物の重心を毎回決定することによって、コンテナスタックが傾く危険が最小限に抑えられることを確実にすることができる。いくつかの状況では、1つのコンテナ収容室から別のコンテナ収容室にコンテナを積み替えるとき、特に、コンテナ積載重心に関する情報がすでに記憶されている場合、コンテナ積載重心を決定する必要がない場合がある。しかしながら、場合によっては、そのような場合であっても、コンテナ収容室内のコンテナスタック内の総コンテナ積載重心が許容限度内にあることを確実にするために、コンテナ積載重心の決定が行われる。そのような場合、コンテナ積載重心を決定するための装置が積載車両に配置されると有利であり得る。
【0020】
好ましくは、コンテナ積載重心は、コンテナ上の複数の異なる位置における重量力を決定することによって決定される。水平方向におけるコンテナの複数の異なる位置における重量力を決定することによって、コンテナ積載重心を決定することが容易である。
【0021】
好ましくは、コンテナの総質量が決定される。いずれにしても、コンテナの複数の異なる位置における重量力を決定する場合、そのような重量力を加算することによってコンテナの総質量を決定することもできる。したがって、コンテナ収容室の下端における保持装置の過負荷を回避することが可能である。
【0022】
好ましくは、コンテナ積載物の重心は光学的に決定される。そのような場合、例えば、カメラなどを使用して、積載物、通常は複数の物体がコンテナ内でどのように分布しているかをチェックすることができる。コンテナの中心の外側(水平面内)に許容できない濃度がある場合、警告信号を生成することができる。光学的決定は、重量力の決定の代替として、又はそれに加えて実行され得る。
【0023】
好ましくは、コンテナ積載重心の偏心が決定され、コンテナ収容室が、決定された偏心に応じて選択される。偏心は、コンテナスタックの傾斜又は保持装置の任意の部分の過負荷の危険性を最小限にするために使用され得る、単純な測定を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本発明は、図面に関連して好ましい例示的な実施形態を参照して以下に説明される。図面は以下の通りである。
図1】積み重ね保管装置の概略図を示す。
図2】積み重ね保管装置の概略平面図を示す。
図3】作業ステーションの別の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、コンテナ3を積み重ねて保管することができる複数のコンテナ収容室2を有する積み重ね保管装置1を概略的に示している。積み重ね保管装置1は、複数のそのようなコンテナ収容室2を有し、コンテナ収容室2は、行及び列を有するマトリクスの形態で配置され得る。例えば、合計80個のビン3のスタックを収容するために、5列16行を設けることができる。
【0026】
コンテナ3は、それぞれのコンテナ収容室2内に下から挿入され、また、それぞれのコンテナ収容室2から下から取り出される。積載室4は、重力方向においてコンテナ収容室2の下方に配置される。積載室4とコンテナ収容室2との間には保持装置5が設けられており、ここではそのうちの1つのフレームのみが示されている。保持装置5は、各コンテナ収容室2のための保持装置を有し、保持装置は、例えば、スタックのそれぞれの最下コンテナを保持し、最下コンテナの移動、したがって積載室4内のスタックの移動を防止する複数の保持爪を有することができる。
【0027】
コンテナ3がコンテナ収容室2に保管される場合、そのようなコンテナ3は、積載車両6によって積載室4に移動される。積載車両6が、保管すべきコンテナ3が保管されるコンテナ収容室2の下方位置に到達すると、積載車両6のコンテナ収容部7が上昇し、保管すべきコンテナ3がスタックの最下段のコンテナに接触するまで上昇する。コンテナ収容部7は更に上昇し、次に保管されるコンテナ3だけでなく、残りのコンテナのスタックも持ち上げる。このような持ち上げは、保管されるコンテナ3が保持装置を通過するまで行われる。続いて、保管されるコンテナを含むスタック全体が、保持装置が新たに保管されたコンテナと係合してそれを所定の位置に保持するまで下げられる。
【0028】
コンテナが取り出されると、積載車両6は、コンテナスタックの下の位置に再び移動される。コンテナ収容部7は、取り外されるコンテナと接触するまで持ち上げられる。コンテナ収容部7は更に上昇され、次いでスタック全体を持ち上げ、取り出されるコンテナが保持装置から解放されるまで持ち上げ続ける。次に、保持装置は、例えば保持装置の保持爪をコンテナの移動経路から上方外側に、換言すれば解放位置に枢動させることによって解放される。次に、保持装置は、取り出されるコンテナがコンテナ収容部を下降させることによって積載室4内に移動されるまで、開いたままにされる。次に、保持装置は、保持装置が残りのスタックの下側のコンテナを再び保持することができるように、再起動される。図1にはそのうちの3つが示されている積載車両6は、次に、下降位置にあるコンテナ3を積載室4から作業ステーション8に搬送する。
【0029】
コンテナ収容室の外側には、作業ステーション8が配置されている。作業ステーション8は、少なくとも1つの搬送装置10が配置された移送領域9を有し、搬送装置10は、循環して案内され、複数の駆動ローラ11を有する。次に、積載車両6は、それぞれのコンテナ3を搬送装置10に移送するか、又は搬送装置10からコンテナ3を引き取ることができ、そのために移送フィンガ12、13が設けられている。搬送装置10上のそれぞれのコンテナ3を循環全体にわたって移動させることが可能である。これにより、コンテナ3を、作業ステーション8の構成要素であるハンドリングステーション14に搬送することが可能になり、ハンドリングステーション14において、オペレータ15は、例えば品物又は物体をコンテナ3から取り出すために、又はそのような品物又は物体をコンテナ3に挿入するために、コンテナ3にアクセスすることができる。作業ステーション8は、コンテナ3をブロック保管装置1に初めて保管するためにも使用することができる。
【0030】
作業ステーション8は、他の方法で構成することもできる。コンテナが異なる位置で荷積み及び荷降ろしされる場合、作業ステーション8は、コンテナがコンベヤシステムからブロック保管装置に移送される移送ステーションによって置き換えられてもよい。以下で作業ステーション8に言及する場合、それは移送ステーションも意味する。
【0031】
1つ以上の物体又は製品がコンテナ3内に保管される場合、それらがコンテナ3内に不均一に配置され、その結果、以下で「コンテナ積載重心」と呼ばれるコンテナの重心が、コンテナ3の質量中心と一致せず、中心からずれる危険性がある。一般に、このことは、単一のコンテナ3のみを考慮する場合には、まだ重要ではない。しかしながら、複数のコンテナが重力方向に互いに積み重ねられ、全てのコンテナにおけるコンテナ積載重心がコンテナ3の水平中心から同じ方向にずれている場合、コンテナスタック3が傾き、コンテナ積み重ね室2の角に配置され、必要であれば支柱16の間に位置する横材とともにコンテナ積み重ね室を画定する支柱16に、許容できない高い横方向の力が作用する危険がある。他方では、コンテナ積み重ね室2の保持装置5が不均一に積載される危険がある。例えば、コンテナ積み重ね室2の保持装置5が、コンテナ積み重ね室2の4つの角の領域に配置された4つの保持爪を有し、全てのコンテナのコンテナ積載重心が1つの角に配置されている場合、コンテナスタックによって保持装置5に加えられる重量力の大部分は、そのような角の保持爪に作用する。これは、保持爪が過負荷になり、最終的にその機能を失うか又は損傷することにつながる可能性がある。このような場合、スタックの下側のコンテナが過負荷となり、縁部又は角部で損傷を受ける危険性もある。
【0032】
ブロック保管装置1の損傷又は誤動作の危険を最小限に抑えるために、図2及び図3に概略的に示すように、コンテナ積載重心を決定するための装置17が設けられ、この装置17は、作業ステーション8からコンテナ収容室2への積載方向においてコンテナ収容室2の前に配置される。したがって、コンテナ積載重心を決定するための装置17は、コンテナ3がコンテナ収容室2に保管される前に、コンテナ積載重心を検知又は感知することができる。
【0033】
これにより、コンテナ積載重心を決定するための装置17は、図2に示すように、作業ステーション8内、例えば搬送装置10の領域内に配置することができる。しかしながら、それはまた、積載車両6上に、又はコンテナ3がコンテナ収容室2内に保管される前に通過しなければならない任意の他の場所に配置されることもできる。
【0034】
この場合、コンテナ積載重心を決定するための装置17は、ロードセル18の形態の複数の計量装置を有する。この場合、コンテナ3の4つの角に割り当てられた4つのロードセル18が設けられている。ロードセル18の各々は、コンテナ3によって加えられる重量の力の一部を決定し、そのような重量の力の合計が、コンテナの質量に関してステートメントすることも可能にする。したがって、コンテナ積載重心を決定するための装置17は、好ましくは、コンテナ3の質量も決定する。コンテナ積載重心を決定するための装置17は、ロードセル18の信号からコンテナ積載重心の位置を決定する制御装置19に接続されている。これにより、制御装置19は、コンテナ3の重心からの距離と、コンテナ積載物の重心がコンテナ3の水平中心点から離れる方向とを決定することもできる。典型的には、コンテナ3の重心は水平方向の中心点にある。コンテナ積載重心を決定するための装置17を使用して、コンテナ3がブロック保管装置1に最初に保管されるときに、コンテナ3の重心が水平方向においてコンテナ3の中心点の周りの許容限界内に配置されているかどうかをチェックすることもできる。
【0035】
制御装置19は、コンテナ3の重心又は中心点からのコンテナ積載重心の距離、大きさ及び方向から、コンテナ積載重心の偏心を決定することができる。偏心が所定の限界値を超えた場合、制御装置19は、オペレータ15がコンテナ3の積載をチェックできるように、アラーム信号を生成することができる。
【0036】
しかしながら、好ましくは、制御装置19は別の目的のためにも使用される。制御装置19は、コンテナ収容室2内の全てのコンテナ3の偏心を記憶し、次いで、保管されるべき新しいコンテナ3の偏心が依然として許容可能であるか否かを決定することができる。コンテナ収容室2内にすでに多くのコンテナ3があり、それらの偏心が全て同じ方向を向いている場合、制御装置19は、そのようなコンテナ収容室2内に保管されるべき新しいコンテナをもはや保管することができないが、制御装置19は、別のコンテナ収容室2に移動してそこにコンテナ3を保管する命令を積載車両6に与え、ここで、新しく選択されたコンテナ収容室2は、保管されるべき新しいコンテナ3の偏心によって許容できない方法で変更されない許容可能な全偏心を有するコンテナスタックを有する。
【0037】
したがって、以下のように進行する。
コンテナ3が作業ステーションにおいて積み込まれるか又は積み降ろされる場合、すなわち、製品又は物体がコンテナ3に保管されるか又はコンテナ3から取り出される場合、コンテナ3は、コンテナ積載重心を決定するための装置17の上を通過し、そこで、制御装置19を用いて、コンテナ積載重心の位置及び大きさ、言い換えれば偏心が決定される。更に、コンテナ3の総質量が決定される。
【0038】
コンテナ収容室2の重力方向下端の保持装置は、例えば750kgの最大積載物用に設計されている。これにより、平面図で450×650mmのコンテナ3の寸法に対して、例えば75mmのスタックの積載物重心の最大変位も存在する。
【0039】
したがって、コンテナ3は、コンテナ積載重心を決定するための装置17上を案内され、そこで、コンテナ3の重心及び質量が、ロードセル18を用いて決定される。コンテナ3ごとの可能な偏心は、作業ステーション8におけるその重量に応じて許容され得る。コンテナ3の積載量、すなわち保管される物体又は製品の質量が小さいほど、許容される偏心は大きくなる。
【0040】
決定された質量及び決定された偏心に基づいて、制御装置19は、ここで、スタック重量に対する偏心の合計が特定の許容範囲外になることなく、コンテナ3を移動させることができるコンテナ収容室2を決定する。総スタック重量が大きくなればなるほど、積載物固有偏心は小さくなる。
【0041】
単一のコンテナは、最大積載で約150mmの偏心重心に対して承認されている。コンテナ積載重心を決定するための装置17を用いて、コンテナ3の場合、その重心がそのような値を超えていると決定された場合、オペレータ15は、コンテナ3の積載を変更しなければならないというエラーメッセージを受け取る。
【0042】
図3は変形実施形態を示している。ここでは、ロードセル18に加えて、光学記録装置20が設けられており、この光学記録装置20は、重力方向において上部が開いているコンテナを見ることができ、コンテナ3の積載物がどのように配置されているかを光学的に決定することができる。光学記録装置20は、計量装置に加えて、又は計量装置の代替として設けることができる。
【0043】
制御装置19と積載車両6との間の接続は、ワイヤなしで、又は信号ワイヤを用いて行うことができる。
【0044】
多くの場合、コンテナ3が1つのコンテナ収容室2から取り出されて別のコンテナ収容室2に保管されるいわゆる「積み替え作業」を除いて、コンテナ3がコンテナ収容室2に保管されるたびに、コンテナ3のコンテナ積載重心が決定される。これが可能であるのは、制御装置19が、移送又は積み替えされるコンテナ3の偏心に関する情報をすでに有しているからである。この場合、制御装置19は、積み替え作業中であっても、コンテナ収容室2内のスタック全体の積載重心の許容できないほど高い偏心が生じないことを保証することができる。しかしながら、コンテナ積載重心も各積み替え作業中に決定されるようにすることも可能である。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2023-08-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコンテナ収容室(2)と、少なくとも1つのコンテナ(3)と、前記コンテナ収容室(2)に対して積載方向に移動可能であり、前記少なくとも1つのコンテナ(3)のためのコンテナ収容部(7)を有する少なくとも1つの積載車両(6)とを備えたブロック保管装置(1)であって、コンテナ積載重心を決定するための装置(17)が、前記積載方向において前記コンテナ収容室(2)の上流に配置されていることを特徴とするブロック保管装置(1)。
【請求項2】
コンテナ積載重心を決定するための前記装置(17)が、積載偏心を決定することを特徴とする、請求項1に記載のブロック保管装置。
【請求項3】
コンテナ積載重心を決定するための前記装置(17)が、前記コンテナ(3)の質量を決定することを特徴とする、請求項1又は2に記載のブロック保管装置。
【請求項4】
コンテナ積載重心を決定するための前記装置(17)は、制御装置(19)に接続されており、前記制御装置(19)は、コンテナ積載重心を決定するための前記装置(17)からの出力信号に応じてコンテナ収容室(2)を選択することを特徴とする、請求項1又は2に記載のブロック保管装置。
【請求項5】
コンテナ積載重心を決定するための前記装置(17)が、互いに距離を置いて配置された少なくとも3つの計量装置(18)を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載のブロック保管装置。
【請求項6】
コンテナ積載重心を決定するための前記装置(17)が、前記コンテナ(3)の角に割り当てられた4つの計量装置(18)を有することを特徴とする、請求項5に記載のブロック保管装置。
【請求項7】
コンテナ積載重心を決定するための前記装置(17)が、作業ステーションもしくは移送ステーション(8)内に、又は前記積載車両(6)上に配置されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のブロック保管装置。
【請求項8】
コンテナ積載重心を決定するための前記装置(17)が、光学記録装置(20)を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載のブロック保管装置。
【請求項9】
複数のコンテナ収容室(2)と、前記コンテナ収容室(2)に対して積載方向に移動され、少なくとも1つのコンテナ(3)がコンテナ収容室(2)内に搬送される少なくとも1つの積載車両(3)とを有するブロック保管装置(1)を動作させる方法であって、前記コンテナ(3)がコンテナ収容室(2)内に保管される前に、前記コンテナ(3)のコンテナ積載重心が決定されることを特徴とする方法。
【請求項10】
コンテナ収容室(2)が、決定されたコンテナ積載重心に応じて選択されることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記コンテナ積載重心は、前記コンテナ(3)がコンテナ収容室(2)内に保管される前に毎回決定されることを特徴とする、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記コンテナ積載重心は、前記コンテナ(3)上の複数の異なる位置における重量力を決定することによって決定されることを特徴とする、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項13】
前記コンテナ(3)の総質量が決定されることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記コンテナ積載物の前記重心が光学的に決定されることを特徴とする、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項15】
前記コンテナ積載重心の偏心が決定され、コンテナ収容室(2)が、決定された前記偏心に応じて選択されることを特徴とする、請求項9又は10に記載の方法。
【外国語明細書】