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特開2024-22534車両の車載電圧網用の遮断スイッチ装置
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  • 特開-車両の車載電圧網用の遮断スイッチ装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022534
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】車両の車載電圧網用の遮断スイッチ装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 1/00 20060101AFI20240208BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
H02J1/00 306F
H02J1/00 304E
B60R16/02 645A
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023126061
(22)【出願日】2023-08-02
(31)【優先権主張番号】10 2022 119 431.0
(32)【優先日】2022-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】520113767
【氏名又は名称】エーバーシュペッヒャー コントロールズ ランダウ ゲー・エム・ベー・ハー ウント コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Eberspaecher Controls Landau GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Max-Planck-Strasse 3, 76829 Landau, Germany
(71)【出願人】
【識別番号】523293622
【氏名又は名称】エーバーシュペッヒャー コントロールズ エスリンゲン ゲー・エム・ベー・ハー ウント コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Eberspaecher Controls Esslingen GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Eberspaecherstrasse 24, 73730 Esslingen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】シュテフェン ヴァンドレス
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル クリースル
【テーマコード(参考)】
5G165
【Fターム(参考)】
5G165AA01
5G165BB04
5G165CA01
5G165DA01
5G165DA02
5G165EA02
5G165GA09
5G165HA01
5G165HA07
5G165HA16
5G165JA04
5G165KA02
5G165KA05
5G165LA01
5G165LA02
5G165MA10
5G165NA05
5G165PA01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】余分なエネルギー消費を生じさせることなく、車載電圧網内を流れる電流に関する情報を提供する車載電圧網用の遮断スイッチ装置及び方法を提供する。
【解決手段】選択的に電圧源12を負荷14に接続し、かつ、電圧源を負荷から切り離すための車両の車載電圧網10用の遮断スイッチ装置16であって、電圧源接続領域18及び負荷接続領域20と、電圧源接続領域と負荷接続領域との間に互いに並列に接続された複数のMOSFET遮断スイッチ素子22、24、26、28、30と、を含み、複数のMOSFET遮断スイッチ素子のうち少なくとも1つのMOSFET遮断スイッチ素子22は、電圧源接続領域と負荷接続領域との間に流れる電流を表す電流量を供給する電流監視遮断スイッチ素子として構成され、複数のMOSFET遮断スイッチ素子のうち少なくとも1つのMOSFET遮断スイッチ素子は、電流監視遮断スイッチ素子として構成されていない。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
選択的に電圧源(12)を負荷(14)に接続しかつ前記電圧源(12)を前記負荷(14)から切り離すための、車両の車載電圧網用の遮断スイッチ装置であって、前記遮断スイッチ装置は、
電圧源接続領域(18)および負荷接続領域(20)と、前記電圧源接続領域(18)と前記負荷接続領域(20)との間に互いに並列に接続された複数のMOSFET遮断スイッチ素子(22,24,26,28,30)と、を含み、
前記複数のMOSFET遮断スイッチ素子(22,24,26,28,30)のうち少なくとも1つのMOSFET遮断スイッチ素子(22)は、前記電圧源接続領域(18)と前記負荷接続領域(20)との間に流れる電流を表す電流量を供給する電流監視遮断スイッチ素子として構成されており、
前記複数のMOSFET遮断スイッチ素子(22,24,26,28,30)のうち少なくとも1つのMOSFET遮断スイッチ素子(24,26,28,30)は、電流監視遮断スイッチ素子として構成されていない、
遮断スイッチ装置。
【請求項2】
ただ1つのMOSFET遮断スイッチ素子(22)は、電流監視遮断スイッチ素子として構成されており、かつ/または、複数のMOSFET遮断スイッチ素子(24,26,28,30)は、電流監視遮断スイッチ素子として構成されていない、
請求項1記載の遮断スイッチ装置。
【請求項3】
MOSFET遮断スイッチ素子(22,24,26,28,30)の各々は、前記電圧源接続領域(18)に接続された電圧源端子(32)、好ましくはドレイン端子と、前記負荷接続領域(20)に接続された負荷端子(34)、好ましくはソース端子と、制御ユニット(40)に接続されたゲート端子(36)と、を有する、
請求項1または2記載の遮断スイッチ装置。
【請求項4】
電流監視遮断スイッチ素子として構成された前記少なくとも1つのMOSFET遮断スイッチ素子(22)は、前記電圧源(12)を前記負荷(14)に接続する前記素子の導通状態において、前記素子の電圧源端子(32)と前記素子の負荷端子(34)との間に、電流監視遮断スイッチ素子抵抗を有し、
電流監視遮断スイッチ素子として構成されていない前記少なくとも1つのMOSFET遮断スイッチ素子(24,26,28,30)は、前記電圧源(12)を前記負荷(14)に接続する前記素子の導通状態において、前記素子の前記電圧源端子(32)と前記素子の前記負荷端子(34)との間に、MOSFET遮断スイッチ素子抵抗を有し、
前記電流監視遮断スイッチ素子抵抗は、前記MOSFET遮断スイッチ素子抵抗よりも大きい、
請求項3記載の遮断スイッチ装置。
【請求項5】
電流監視遮断スイッチ素子として構成されたすべての前記MOSFET遮断スイッチ素子(22)によって形成されている前記電流監視遮断スイッチ素子抵抗全体に対する、電流監視遮断スイッチ素子として構成されていないすべての前記MOSFET遮断スイッチ素子(24,26,28,30)によって形成されている前記MOSFET遮断スイッチ素子抵抗全体の比率は、0.05~0.15の範囲内にある、
請求項4記載の遮断スイッチ装置。
【請求項6】
電流監視遮断スイッチ素子として構成された前記少なくとも1つのMOSFET遮断スイッチ素子(22)は、過電流保護回路(42)を含み、前記過電流保護回路(42)は、電流監視遮断スイッチ素子として構成された前記少なくとも1つのMOSFET遮断スイッチ素子(22)の前記電圧源端子(32)と前記負荷端子(34)との間の電流が閾値電流を上回っているならば、電流監視遮断スイッチ素子として構成された前記少なくとも1つのMOSFET遮断スイッチ素子(22)を、前記電圧源(12)を前記負荷(14)から切り離す状態に切り替えるように、または、前記状態に保持するように、構成されている、
請求項3から5までのいずれか1項記載の遮断スイッチ装置。
【請求項7】
電流監視遮断スイッチ素子として構成された前記少なくとも1つのMOSFET遮断スイッチ素子(22)は、過熱保護回路(44)を含み、前記過熱保護回路(44)は、電流監視遮断スイッチ素子として構成された前記少なくとも1つのMOSFET遮断スイッチ素子(22)の温度が閾値温度を上回っているならば、電流監視遮断スイッチ素子として構成された前記少なくとも1つのMOSFET遮断スイッチ素子(22)を、前記電圧源(12)を前記負荷(14)から切り離す状態に切り替えるように、または、前記状態に保持するように、構成されている、
請求項1から6までのいずれか1項記載の遮断スイッチ装置。
【請求項8】
電流監視遮断スイッチ素子として構成された前記少なくとも1つのMOSFET遮断スイッチ素子(22)は、少なくとも1つのMOSFET遮断スイッチ素子(24,26,28,30)に依存することなく、好ましくは電流監視遮断スイッチ素子として構成されていないいずれのMOSFET遮断スイッチ素子(24,26,28,30)にも依存することなく、前記電圧源を前記負荷に接続する状態および前記電圧源を前記負荷から切り離す状態に切り替え可能である、
請求項1から7までのいずれか1項記載の遮断スイッチ装置。
【請求項9】
電流監視遮断スイッチ素子として構成されていないすべてのMOSFET遮断スイッチ素子(24,26,28,30)は、前記電圧源(12)を前記負荷(14)に接続する状態および前記電圧源(12)を前記負荷(14)から切り離す状態に一緒に切り替え可能である、
請求項1から8までのいずれか1項記載の遮断スイッチ装置。
【請求項10】
前記電圧源接続領域(18)は、すべてのMOSFET遮断スイッチ素子(22,24,26,28,30)に導電接続されかつ熱伝導するように接続されたバスバー(54)、好ましくは銅製バスバー、を含み、かつ/または、
前記負荷接続領域(20)は、すべてのMOSFET遮断スイッチ素子(22,24,26,28,30)に導電接続されかつ熱伝導するように接続されたバスバー(56)、好ましくは銅製バスバー、を含む、
請求項1から9までのいずれか1項記載の遮断スイッチ装置。
【請求項11】
車両用の車載電圧網であって、
前記車載電圧網は、電圧源(12)と、前記電圧源(12)から電気エネルギーを給電すべき負荷(14)と、を含み、
前記車載電圧網は、請求項1から10までのいずれか1項記載の遮断スイッチ装置(16)をさらに含み、
前記遮断スイッチ装置(16)の電圧源接続領域(18)は、前記電圧源(12)に接続されており、負荷接続領域(20)は、前記負荷(14)に接続されている、
車載電圧網。
【請求項12】
請求項11記載の車載電圧網を動作させる方法であって、
前記方法によれば、前記車載電圧網(10)の低負荷動作状態において、電流監視遮断スイッチ素子として構成された少なくとも1つのMOSFET遮断スイッチ素子(22)は、前記電圧源(12)を前記負荷(14)に接続する状態に切り替えられており、電流監視遮断スイッチ素子として構成されていない少なくとも1つのMOSFET遮断スイッチ素子(24,26,28,30)は、前記電圧源(12)を前記負荷(14)から切り離す状態に切り替えられている、
請求項11記載の車載電圧網を動作させる方法。
【請求項13】
前記低負荷動作状態において、電流監視遮断スイッチ素子として構成されたいずれのMOSFET遮断スイッチ素子(22)も、前記電圧源(12)を前記負荷(14)に接続する状態に切り替えられており、かつ/または、電流監視遮断スイッチ素子として構成されていないいずれのMOSFET遮断スイッチ素子(24,26,28,30)も、前記電圧源(12)を前記負荷(14)から切り離す状態に切り替えられている、
請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記低負荷動作状態において、電流監視遮断スイッチ素子として構成されていないすべてのMOSFET遮断スイッチ素子(24,26,28,30)が、前記電圧源(12)を前記負荷(14)から切り離す状態に切り替えられている場合に、
電流監視遮断スイッチ素子として構成された前記少なくとも1つのMOSFET遮断スイッチ素子(22)により供給される電流量が、閾値電流を上回る電流を表すならば、かつ/または、閾値電流勾配を上回る経時的電流変化を表すならば、
電流監視遮断スイッチ素子として構成されていない前記MOSFET遮断スイッチ素子(24,26,28,30)のうちの少なくとも一部、好ましくはすべては、前記電圧源(12)を前記負荷(14)に接続する状態に切り替えられる、
請求項12または13記載の方法。
【請求項15】
前記遮断スイッチ装置(16)によって前記電圧源(12)を前記負荷(14)に接続すべき場合に、少なくとも、電流監視遮断スイッチ素子として構成された前記少なくとも1つのMOSFET遮断スイッチ素子(22)は、前記電圧源(12)を前記負荷(14)に接続する状態に切り替えられる、
請求項12から14までのいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、選択的に電圧源を負荷に接続しかつ電圧源を負荷から切り離すための、車両の車載電圧網用の遮断スイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の車載電圧網において過電流または短絡の発生を検出できるようにする目的で、独国特許出願公開第102019108541号明細書から公知であるように、例えばこの種の車載電圧網に電流測定ユニットを組み込むことが知られている。この電流測定ユニットの場合、2つのバスバー間に1つのシャント抵抗が接続されている。シャント抵抗を介して流れる電流を検出する目的で、このシャント抵抗に2つの測定導体路が割り当てられており、これらの測定導体路を介して、シャント抵抗における電圧降下を検出することができ、ひいてはこのシャント抵抗を介して流れる電流も検出することができる。負荷電流が高ければ、この種の低抵抗のシャント抵抗において比較的大きい電力損失が発生する一方、電流が小さければ、相応に小さい測定値を評価可能な信号レベルまで演算増幅器において増幅しなければならず、このような演算増幅器によって余分なエネルギー消費も引き起こされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、簡単かつ確実な手法で実質的に余分なエネルギー消費を生じさせることなく、車載電圧網内を流れる電流に関する情報を提供できるようにした、車両の車載電圧網用の遮断スイッチ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によればこの課題は、選択的に電圧源を負荷に接続しかつ電圧源を負荷から切り離すための、以下のような車両の車載電圧網用の遮断スイッチ装置によって解決される。すなわちこの遮断スイッチ装置は、電圧源接続領域および負荷接続領域と、電圧源接続領域と負荷接続領域との間に互いに並列に接続された複数のMOSFET遮断スイッチ素子と、を含み、複数のMOSFET遮断スイッチ素子のうち少なくとも1つのMOSFET遮断スイッチ素子が、電圧源接続領域と負荷接続領域との間に流れる電流を表す電流量を供給する電流監視遮断スイッチ素子として構成されており、複数のMOSFET遮断スイッチ素子のうち少なくとも1つのMOSFET遮断スイッチ素子が、電流監視遮断スイッチ素子として構成されていない。
【0005】
本発明に従って構成された遮断スイッチ装置は、それぞれ異なる種類のMOSFET遮断スイッチ素子を使用する。電流監視遮断スイッチ素子として構成されていないMOSFET遮断スイッチ素子は、実質的に負荷スイッチを形成するものであり、車両の運転中、つまり負荷が電圧源に接続されているときには、これらの負荷スイッチを介して電流の大部分が流れる。電流監視遮断スイッチ素子として構成され、一般的にはIPS(Intelligent Power Switch)と称される少なくとも1つのMOSFET遮断スイッチ素子は、動作中、電圧源と負荷との間に流れる電流の一部を同様に案内するけれども、電流監視遮断スイッチ素子として構成されておらず負荷スイッチとして動作する1つもしくは複数のMOSFET遮断スイッチ素子よりも、著しく僅かな部分だけしか案内しない。電流全体のうちこの一部の電流は、電流監視遮断スイッチ素子として構成された少なくとも1つのMOSFET遮断スイッチ素子を介して流れる電流の正確な検出を保証できるようにするのに十分な大きさであるけれども、他方、高負荷の場合であっても、電流監視遮断スイッチ素子として構成されたこの種のMOSFET遮断スイッチ素子の許容短絡電流を基本的には上回らないことを保証するのにも十分なほど小さい。
【0006】
単純に構築されたコストのかからない構造において、電流レベルに関して必要とされる情報を提供できるようにする目的で、ただ1つのMOSFET遮断スイッチ素子が、電流監視遮断スイッチ素子として構成されており、かつ/または複数のMOSFET遮断スイッチ素子が、電流監視遮断スイッチ素子として構成されていない、ということが提案される。
【0007】
本発明に従って構成された遮断スイッチ装置の場合、MOSFET遮断スイッチ素子の各々は、電圧源接続領域に接続された電圧源端子、好ましくはドレイン端子、負荷接続領域に接続された負荷端子、好ましくはソース端子、および制御ユニットに接続されたゲート端子を有することができる。
【0008】
遮断スイッチ装置において電力損失をできるかぎり僅かに抑える目的で、電流監視遮断スイッチ素子として構成された少なくとも1つのMOSFET遮断スイッチ素子は、電圧源を負荷に接続するこの素子の導通状態において、この素子の電圧源端子とこの素子の負荷端子との間に、電流監視遮断スイッチ素子抵抗を有し、電流監視遮断スイッチ素子として構成されていない少なくとも1つのMOSFET遮断スイッチ素子は、電圧源を負荷に接続するこの素子の導通状態において、この素子の電圧源端子とこの素子の負荷端子との間に、MOSFET遮断スイッチ素子抵抗を有し、電流監視遮断スイッチ素子抵抗は、MOSFET遮断スイッチ素子抵抗よりも大きい、ということが提案される。
【0009】
特にこの場合、電流監視遮断スイッチ素子として構成されたすべてのMOSFET遮断スイッチ素子により形成されている電流監視遮断スイッチ素子抵抗全体に対する、電流監視遮断スイッチ素子として構成されていないすべてのMOSFET遮断スイッチ素子により形成されているMOSFET遮断スイッチ素子抵抗全体の比率が、0.05~0.15の範囲内にあるならば、少なくとも1つの電流監視遮断スイッチ素子を介して正確に検出するために十分に大きい電流の流れを意図した構成を達成することができる。
【0010】
電流監視遮断スイッチ素子として構成された少なくとも1つのMOSFET遮断スイッチ素子を過電流から保護する目的で、このMOSFET遮断スイッチ素子は過電流保護回路を含むことができ、この過電流保護回路は、電流監視遮断スイッチ素子として構成された少なくとも1つのMOSFET遮断スイッチ素子の電圧源端子と負荷端子との間の電流が閾値電流を上回っているならば、電流監視遮断スイッチ素子として構成された少なくとも1つのMOSFET遮断スイッチ素子を、電圧源を負荷から切り離す状態に切り替えるように、またはこの状態に保持するように、構成されている。
【0011】
さらに、電流監視遮断スイッチ素子として構成された少なくとも1つのMOSFET遮断スイッチ素子を過熱から保護する目的で、このMOSFET遮断スイッチ素子は過熱保護回路を含むことができ、この過熱保護回路は、電流監視遮断スイッチ素子として構成された少なくとも1つのMOSFET遮断スイッチ素子の温度が閾値温度を上回っているならば、電流監視遮断スイッチ素子として構成された少なくとも1つのMOSFET遮断スイッチ素子を、電圧源を負荷から切り離す状態に切り替えるように、またはこの状態に保持するように、構成されている。
【0012】
電圧源と負荷との間に流れる電流を選択的に少なくとも1つの電流監視遮断スイッチ素子を介して案内することができるようにする目的で、電流監視遮断スイッチ素子として構成された少なくとも1つのMOSFET遮断スイッチ素子は、少なくとも1つのMOSFET遮断スイッチ素子に依存することなく、好ましくは電流監視遮断スイッチ素子として構成されていないいずれのMOSFET遮断スイッチ素子にも依存することなく、電圧源を負荷に接続する状態および電圧源を負荷から切り離す状態に切り替え可能である、ということが提案される。
【0013】
回路技術的に簡単に実現可能な構造のために提案することができるのは、電流監視遮断スイッチ素子として構成されていないすべてのMOSFET遮断スイッチ素子は、電圧源を負荷に接続する状態および電圧源を負荷から切り離す状態に一緒に切り替え可能である、ということである。よって、これらのMOSFET遮断スイッチ素子を互いに独立して制御する必要がない。
【0014】
電圧源と負荷との間に流れる電流を正確に検出するために、種々のMOSFET遮断スイッチ素子間で温度差が発生するのを回避する目的で、電圧源接続領域は、すべてのMOSFET遮断スイッチ素子に導電接続されかつ熱伝導するように接続されたバスバー、好ましくは銅製バスバー、を含み、かつ/または負荷接続領域は、すべてのMOSFET遮断スイッチ素子に導電接続されかつ熱伝導するように接続されたバスバー、好ましくは銅製バスバー、を含む、ということが提案される。
【0015】
本発明はさらに車両用の車載電圧網に関し、この車載電圧網は、電圧源と、この電圧源から電気エネルギーを給電すべき負荷と、を含み、さらに本発明に従って構成された遮断スイッチ装置を含み、この遮断スイッチ装置の電圧源接続領域は電圧源に接続されており、負荷接続領域は負荷に接続されている。
【0016】
さらに本発明は、この種の車載電圧網を動作させる方法に関し、この方法によれば、車載電圧網の低負荷動作状態において、電流監視遮断スイッチ素子として構成された少なくとも1つのMOSFET遮断スイッチ素子が、電圧源を負荷に接続する状態に切り替えられており、電流監視遮断スイッチ素子として構成されていない少なくとも1つのMOSFET遮断スイッチ素子が、電圧源を負荷から切り離す状態に切り替えられている。この種の低負荷動作状態を例えば車両のパーキング状態とすることができ、パーキング状態の場合には負荷は実質的に、例えば警報設備またはその他のセキュリティシステムといった消費機器によって形成されており、このような消費機器は車載電圧網に僅かな負荷しか加えず、したがって同様に、電流監視遮断スイッチ素子として構成された少なくとも1つのMOSFET遮断スイッチ素子に過負荷を加えない電流の流れだけしか生じさせない。この状態において電流全体は、電流監視遮断スイッチ素子として構成された少なくとも1つのMOSFET遮断スイッチ素子を介して流れるので、この電流監視遮断スイッチ素子を介した電流の流れの比較的高い検出精度を達成することができる。
【0017】
好ましくは本発明による方法において提案されているのは、低負荷動作状態において、電流監視遮断スイッチ素子として構成されたいずれのMOSFET遮断スイッチ素子も、電圧源を負荷に接続する状態に切り替えられており、かつ/または電流監視遮断スイッチ素子として構成されていないいずれのMOSFET遮断スイッチ素子も、電圧源を負荷から切り離す状態に切り替えられている、ということである。
【0018】
例えばパーキングヒータまたは他の電気エネルギー消費機器のスイッチオンによって、もっと高い負荷が発生したときに、電流監視遮断スイッチ素子として構成された少なくとも1つのMOSFET遮断スイッチ素子の過負荷を回避する目的で提案されるのは、低負荷動作状態において、電流監視遮断スイッチ素子として構成されていないすべてのMOSFET遮断スイッチ素子が、電圧源を負荷から切り離す状態に切り替えられている場合に、電流監視遮断スイッチ素子として構成された少なくとも1つのMOSFET遮断スイッチ素子により供給される電流量が、閾値電流を上回る電流を表すならば、かつ/または閾値電流勾配を上回る経時的電流変化を表すならば、電流監視遮断スイッチ素子として構成されていないMOSFET遮断スイッチのうちの少なくとも一部、好ましくはすべてが、電圧源を負荷に接続する状態に切り替えられる、ということである。
【0019】
負荷を電圧源から給電すべきである車両の車載電圧網のいかなる動作状態においても、電圧源と負荷との間に流れる電流に関する情報が得られることを保証できるようにする目的でさらに提案されるのは、遮断スイッチ装置によって電圧源を負荷に接続すべき場合に、少なくとも、電流監視遮断スイッチ素子として構成された少なくとも1つのMOSFET遮断スイッチ素子が電圧源を負荷に接続する状態に切り替えられる、ということである。
【0020】
次に、車両の車載電圧網における遮断スイッチ装置の回路図を示す添付の図面を参照しながら、本発明について詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】全体として参照符号10で表された車両の車載電圧網の部分領域を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1には、全体として参照符号10で表された車両の車載電圧網の部分領域が示されている。図1に示されている車載電圧網10の部分には、電圧源12と、複数の電気エネルギー消費機器を含む負荷14と、選択的に電圧源12を負荷14に接続するかまたは負荷14から切り離す遮断スイッチ装置16と、が示されている。遮断スイッチ装置16は、電圧源12、例えばバッテリもしくは蓄電池の正極、に接続された電圧源接続領域18と、負荷14に接続された負荷接続領域20と、を含む。
【0023】
遮断スイッチ装置16はさらに、複数のMOSFET遮断スイッチ素子22,24,26,28,30を含む。MOSFET遮断スイッチ素子22,24,26,28,30の各々は、電圧源端子32と負荷端子34とゲート端子36とを含む。MOSFET遮断スイッチ素子22,24,26,28,30がnチャネルMOSFETとして構成されているならば、電圧源接続領域32は、実質的にドレイン端子によって形成されているかもしくはドレイン端子に接続されている一方、負荷接続領域34は、実質的にソース端子によって形成されているかもしくはソース端子に接続されている。
【0024】
図1に示されている遮断スイッチ装置16の場合、MOSFET遮断スイッチ素子22は、電流監視遮断スイッチ素子として構成されており、この電流監視遮断スイッチ素子は、負荷電流検出回路38を介して、この素子の電圧源端子32と負荷端子34との間に流れる電流を表す電流量を供給し、この情報を例えば制御ユニット40に伝える。
【0025】
電流監視遮断スイッチ素子として構成されたMOSFET遮断スイッチ素子22はさらに、過電流保護回路42を含む。この回路にも電流量が供給され、この電流量に基づき過電流保護回路42は、電圧源端子32と負荷端子34との間に流れる電流が最大許容短絡電流を上回っているのかまたは下回っているのかを識別する。最大許容短絡電流に到達するかもしくはこれを上回ると、過電流保護回路42は、電流監視遮断スイッチ素子として構成されたMOSFET遮断スイッチ素子22のゲート制御ユニットもしくは電荷キャリアポンプ44を制御して、電圧源端子32と負荷端子34との間の導通接続が遮断されるようにし、MOSFET遮断スイッチ素子22が、電圧源12を負荷14から切り離すこの素子の状態に切り替えられるようにする。
【0026】
同様に、電流監視遮断スイッチ素子として構成されたMOSFET遮断スイッチ素子22は、過熱保護回路46を含む。この回路には温度センサ48から、電流監視遮断スイッチ素子として構成されたMOSFET遮断スイッチ素子22の領域における温度に関する情報が供給される。この温度が許容温度閾値を上回ると、同様にゲート制御ユニット44が制御されて、電圧源端子32すなわちドレイン端子と負荷端子34すなわちソース端子との間の導通接続が遮断される。
【0027】
電流監視遮断スイッチ素子として構成されたMOSFET遮断スイッチ素子22を基本的に、導通状態すなわちこの素子が電圧源12を負荷14に接続している状態と、この素子の開放状態すなわち電圧源12が負荷14から切り離されている状態と、の間で切り替えることができるようにする目的で、ゲート制御ユニット44は、制御ユニット40に制御可能に接続されており、制御ユニット40は、MOSFET遮断スイッチ素子22の基本構成部分を形成しているMOSFETスイッチ50の導通状態を必要に応じて確立する目的で、車両において要求される負荷14もしくはこの負荷の個々の電気エネルギー消費機器の動作に依存して、相応の制御信号をゲート制御ユニット44に送出する。
【0028】
さらなるMOSFET遮断スイッチ素子24,26,28,30は、電流監視遮断スイッチ素子として構成されているのではなく、これらの素子のMOSFETスイッチ52によって慣用の負荷スイッチを成しており、これらの負荷スイッチは、そのゲート端子36を相応に制御することによって、電圧源12を負荷14に接続するそれらの導通状態に切り替えることができる。図1に示されているように、電流監視遮断スイッチ素子として構成されていないすべてのMOSFET遮断スイッチ素子24,26,28,30は、共通に制御ユニット40の制御下にあるので、これらの素子を一緒に、つまりただ1つの制御信号の送出によって、それらの導通状態とそれらの開放状態との間で切り替えることができる。
【0029】
電流監視遮断スイッチ素子として構成され一般的にはIPS(Intelligent Power Switch)と呼ばれるMOSFET遮断スイッチ素子22と、負荷スイッチとして動作し電流監視遮断スイッチ素子として構成されていないMOSFET遮断スイッチ素子24,26,28,30と、の間の重要な相違点とは、電流監視遮断スイッチ素子として構成されたMOSFET遮断スイッチ素子22は導通状態において比較的高抵抗であり、mΩ範囲の電気抵抗を有するのに対し、電流監視遮断スイッチ素子として構成されていないMOSFET遮断スイッチ素子24,26,28,30は導通状態において低抵抗であり、μΩ範囲の電気抵抗を有する、ということである。さらなる重要な相違点とは、電流監視遮断スイッチ素子として構成されたMOSFET遮断スイッチ素子22についての最大許容電流は、最大で100~150Aの範囲内にあるのに対し、負荷スイッチとして動作し電流監視遮断スイッチ素子として構成されていないMOSFET遮断スイッチ素子24,26,28,30を介して、それぞれ数100Aの電流を案内することができる、ということである。
【0030】
導通状態における抵抗がそれぞれ異なることから、電圧源12と負荷14との間に数100Aの電流、例えば600Aまでの電流、を流そうとするならば、この電流の大部分は、互いに並列に接続され電流監視遮断スイッチ素子として構成されていないMOSFET遮断スイッチ素子24,26,28,30を介して流れる一方、電流監視遮断スイッチ素子として構成されていないMOSFET遮断スイッチ素子24,26,28,30に並列に接続され電流監視遮断スイッチ素子として構成されたMOSFET遮断スイッチ素子22を介しては、それよりも著しく僅かな電流が流れる。このことに寄与しているのは、電流監視遮断スイッチ素子として構成されていない低抵抗のMOSFET遮断スイッチ素子24,26,28,30が並列に接続されていることから、それらの素子により形成されている電気抵抗全体が、電流監視遮断スイッチ素子として構成されたMOSFET遮断スイッチ素子22により形成されている抵抗の5%~15%にある、ということである。
【0031】
種々の電気抵抗の比率は既知であるので、基本的に、電流監視遮断スイッチ素子として構成されたMOSFET遮断スイッチ素子22を介して流れる電流だけに相当する電流量を供給することによって、遮断スイッチ装置16全体を介して流れる電流を推定することができ、したがって種々のMOSFET遮断スイッチ素子22,24,26,28,30の種々の電気抵抗を考慮し、かつすべてのMOSFET遮断スイッチ素子22,24,26,28,30に実質的に同じ電圧が印加されるという状況を考慮して、電流量を用いることによって電圧源12と負荷14との間に流れる電流全体が推定される。
【0032】
この種の半導体素子の製造において製造公差によって、電気抵抗の少なくとも僅かな偏差が生じる可能性もあるので、この場合に有利であるのは、較正過程において、遮断スイッチ装置16において使用されるMOSFET遮断スイッチ素子22,24,26,28,30もしくはそれらのMOSFETスイッチ50,52の電気抵抗を求め、次いで、このようにして求められた電気抵抗を考慮して、MOSFET遮断スイッチ素子22を介した電流を再現する電流量に基づき遮断スイッチ装置16を介して流れる電流全体を求める際に用いられる計算基準を提供する、ということである。
【0033】
この電流の正確な検出のために、遮断スイッチ装置16において使用される種々のMOSFET遮断スイッチ素子22,24,26,28,30の個々の抵抗値も考慮して、遮断スイッチ装置16を介して流れる電流を、電流量を考慮しながら正確に特定できるようにする目的で、さらに有利であるのは、もしくは必要とされるのは、種々のMOSFET遮断スイッチ素子22,24,26,28,30においてほぼ等しい温度状態が生じるように配慮し、かつそれらの素子がそれぞれ異なる強さで加熱されないようにし、ひいてはそれぞれ異なる温度を有さないように配慮する、ということである。このことを達成するために有利であるのは、すべてのMOSFET遮断スイッチ素子22,24,26,28,30を、例えばそれぞれ1つの主端子を形成しているそれらのドレイン端子つまりそれらの電圧源端子32によって、例えば銅材料で構成され電圧源接続領域18の比較的中実な部品を形成しているバスバー54上にポジショニングする、ということである。バスバー54により、種々のMOSFET遮断スイッチ素子22,24,26,28,30の電圧源端子32が互いに導電接続されるだけでなく、これらの電圧源端子32もしくはそれらのMOSFETスイッチ50,52が互いに熱伝導するようにも接続される。かくしてそれらの間の温度補償を行うことができ、それらが実質的に同じ温度レベルにあることが保証されている。択一的にまたは付加的に、遮断スイッチ装置16の負荷接続領域20を、例えば銅材料により構成されたこの種のバスバー56を用いて構成してもよい。
【0034】
本発明に従って構成された遮断スイッチ装置16もしくはこの装置を有する車載電圧網10によれば、以下のことを配慮することができる。すなわち、負荷14に電圧源12から電気エネルギーが給電されるときは常に、電圧源12と負荷との間に流れる電流に関する情報を利用できるようにし、電圧源12を負荷14に接続する状態に遮断スイッチ装置16を切り替えるべきときには常に、少なくとも電流監視遮断スイッチ素子として構成されたMOSFET遮断スイッチ素子22が、その導通状態すなわち電圧源12を負荷14に接続する状態に切り替えられるよう、配慮することができる。
【0035】
車両もしくは車載電圧網10が、例えば車両のパーキング状態において、負荷もしくは負荷要求が低いことに起因して比較的小さい電流しか予期されない低負荷状態にあるならば、電流監視遮断スイッチ素子として構成されたMOSFET遮断スイッチ素子22だけをその導通状態に切り替えれば十分であるとすることができ、その間、負荷スイッチとして動作するMOSFET遮断スイッチ素子24,26,28,30は、電圧源12を負荷14から切り離すそれらの開放状態のままにされ、もしくはそれらの開放状態に切り替えられる。このようにしたならば、電圧源12と負荷14との間に流れる電流全体は、電流監視遮断スイッチ素子として構成されたMOSFET遮断スイッチ素子22を介して案内されるので、このケースでは電流量は実際に遮断スイッチ装置16を介して流れる電流全体も表す。かくしてこのような低負荷状態でも、MOSFET遮断スイッチ素子22を介した十分に大きな電流に基づき正確な電流検出を行うことができることが保証されている。
【0036】
このような低負荷状態から出発して、例えば負荷14においてさらなる電気エネルギー消費機器がスイッチオンされたことに起因して電流の流れが増加すると、このことによって、電圧源12と負荷14との間に流れる電流が、電流監視遮断スイッチ素子として構成されたMOSFET遮断スイッチ素子22に対し許容されている最大電流を上回る状態に至る可能性がある。このことを例えば、電圧源12と負荷14との間に流れる電流が閾値電流を上回る、ということによって、または電流勾配すなわち経時的電流変化が、割り当てられた閾値電流勾配を上回るような大きさである、ということによって識別することができる。つまり、この種の閾値電流もしくは閾値電流勾配を使用して例えば、これらの閾値のうちの少なくとも一方に達するかもしくはそれを上回ったならば、電流監視遮断スイッチ素子として構成されたMOSFET遮断スイッチ素子22を介して電流全体が案内される状態を終了させることができ、このことは、電流監視遮断スイッチ素子として構成されていないMOSFET遮断スイッチ素子24,26,28,30も同様に、電圧源12を負荷14に接続するそれらの導通状態に切り替えられるようにして行われる。かくして、電流監視遮断スイッチ素子として構成されたMOSFET遮断スイッチ素子22の過負荷を回避することができる。
【0037】
車両用の遮断スイッチ装置もしくはこの遮断スイッチ装置を有する車載電圧網の本発明による構造によって可能になるのは、慣用のMOSFET遮断スイッチ素子を使用して、もしくは電流監視遮断スイッチ素子として構成された少なくとも1つのMOSFET遮断スイッチ素子を、電流監視遮断スイッチ素子として構成されていない少なくとも1つのMOSFET遮断スイッチ素子と組み合わせることによって、車載電圧網において電圧源と負荷との間に流れる電流に関する情報を、単純に構築された構造で確実に提供することができる。車載電圧システムにおける負荷要求に依存して、種々のMOSFET遮断スイッチ素子を選択的に導通状態もしくは非導通状態に切り替えることができるので、電圧源と負荷との間に比較的小さい電流しか流れていない状態においても、この電流を確実かつ良好なダイナミクスで検出できる、ということが可能となり、ただしそれにもかかわらず、電流監視遮断スイッチ素子として構成されたMOSFET遮断スイッチ素子の過負荷を回避することが可能となり、このことはたとえこのMOSFET遮断スイッチ素子がその構造形態ゆえに、電圧源と負荷との間に流れる電流全体のうち比較的僅かな割合だけしか案内できないとしても、可能となる。かくして、全体として流れる電流について広い測定範囲において高い測定ダイナミクスで、僅かな損失電力および数100μAの範囲内の僅かな固有電流消費しか生じさせずに、遮断スイッチ装置を動作させることができる。遮断スイッチ装置の構造のために市販の半導体部品を使用することができるので、コストをかけずに基本的に確実に動作する構造で、遮断スイッチ装置を提供することもできる。
図1
【手続補正書】
【提出日】2023-08-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
選択的に電圧源(12)を負荷(14)に接続しかつ前記電圧源(12)を前記負荷(14)から切り離すための、車両の車載電圧網用の遮断スイッチ装置であって、前記遮断スイッチ装置は、
電圧源接続領域(18)および負荷接続領域(20)と、前記電圧源接続領域(18)と前記負荷接続領域(20)との間に互いに並列に接続された複数のMOSFET遮断スイッチ素子(22,24,26,28,30)と、を含み、
前記複数のMOSFET遮断スイッチ素子(22,24,26,28,30)のうち少なくとも1つのMOSFET遮断スイッチ素子(22)は、前記電圧源接続領域(18)と前記負荷接続領域(20)との間に流れる電流を表す電流量を供給する電流監視遮断スイッチ素子として構成されており、
前記複数のMOSFET遮断スイッチ素子(22,24,26,28,30)のうち少なくとも1つのMOSFET遮断スイッチ素子(24,26,28,30)は、電流監視遮断スイッチ素子として構成されていない、
遮断スイッチ装置。
【請求項2】
ただ1つのMOSFET遮断スイッチ素子(22)は、電流監視遮断スイッチ素子として構成されており、かつ/または、複数のMOSFET遮断スイッチ素子(24,26,28,30)は、電流監視遮断スイッチ素子として構成されていない、
請求項1記載の遮断スイッチ装置。
【請求項3】
MOSFET遮断スイッチ素子(22,24,26,28,30)の各々は、前記電圧源接続領域(18)に接続された電圧源端子(32)、好ましくはドレイン端子と、前記負荷接続領域(20)に接続された負荷端子(34)、好ましくはソース端子と、制御ユニット(40)に接続されたゲート端子(36)と、を有する、
請求項1記載の遮断スイッチ装置。
【請求項4】
電流監視遮断スイッチ素子として構成された前記少なくとも1つのMOSFET遮断スイッチ素子(22)は、前記電圧源(12)を前記負荷(14)に接続する前記素子の導通状態において、前記素子の電圧源端子(32)と前記素子の負荷端子(34)との間に、電流監視遮断スイッチ素子抵抗を有し、
電流監視遮断スイッチ素子として構成されていない前記少なくとも1つのMOSFET遮断スイッチ素子(24,26,28,30)は、前記電圧源(12)を前記負荷(14)に接続する前記素子の導通状態において、前記素子の前記電圧源端子(32)と前記素子の前記負荷端子(34)との間に、MOSFET遮断スイッチ素子抵抗を有し、
前記電流監視遮断スイッチ素子抵抗は、前記MOSFET遮断スイッチ素子抵抗よりも大きい、
請求項3記載の遮断スイッチ装置。
【請求項5】
電流監視遮断スイッチ素子として構成されたすべての前記MOSFET遮断スイッチ素子(22)によって形成されている前記電流監視遮断スイッチ素子抵抗全体に対する、電流監視遮断スイッチ素子として構成されていないすべての前記MOSFET遮断スイッチ素子(24,26,28,30)によって形成されている前記MOSFET遮断スイッチ素子抵抗全体の比率は、0.05~0.15の範囲内にある、
請求項4記載の遮断スイッチ装置。
【請求項6】
電流監視遮断スイッチ素子として構成された前記少なくとも1つのMOSFET遮断スイッチ素子(22)は、過電流保護回路(42)を含み、前記過電流保護回路(42)は、電流監視遮断スイッチ素子として構成された前記少なくとも1つのMOSFET遮断スイッチ素子(22)の前記電圧源端子(32)と前記負荷端子(34)との間の電流が閾値電流を上回っているならば、電流監視遮断スイッチ素子として構成された前記少なくとも1つのMOSFET遮断スイッチ素子(22)を、前記電圧源(12)を前記負荷(14)から切り離す状態に切り替えるように、または、前記状態に保持するように、構成されている、
請求項3記載の遮断スイッチ装置。
【請求項7】
電流監視遮断スイッチ素子として構成された前記少なくとも1つのMOSFET遮断スイッチ素子(22)は、過熱保護回路(44)を含み、前記過熱保護回路(44)は、電流監視遮断スイッチ素子として構成された前記少なくとも1つのMOSFET遮断スイッチ素子(22)の温度が閾値温度を上回っているならば、電流監視遮断スイッチ素子として構成された前記少なくとも1つのMOSFET遮断スイッチ素子(22)を、前記電圧源(12)を前記負荷(14)から切り離す状態に切り替えるように、または、前記状態に保持するように、構成されている、
請求項1記載の遮断スイッチ装置。
【請求項8】
電流監視遮断スイッチ素子として構成された前記少なくとも1つのMOSFET遮断スイッチ素子(22)は、少なくとも1つのMOSFET遮断スイッチ素子(24,26,28,30)に依存することなく、好ましくは電流監視遮断スイッチ素子として構成されていないいずれのMOSFET遮断スイッチ素子(24,26,28,30)にも依存することなく、前記電圧源を前記負荷に接続する状態および前記電圧源を前記負荷から切り離す状態に切り替え可能である、
請求項1記載の遮断スイッチ装置。
【請求項9】
電流監視遮断スイッチ素子として構成されていないすべてのMOSFET遮断スイッチ素子(24,26,28,30)は、前記電圧源(12)を前記負荷(14)に接続する状態および前記電圧源(12)を前記負荷(14)から切り離す状態に一緒に切り替え可能である、
請求項1記載の遮断スイッチ装置。
【請求項10】
前記電圧源接続領域(18)は、すべてのMOSFET遮断スイッチ素子(22,24,26,28,30)に導電接続されかつ熱伝導するように接続されたバスバー(54)、好ましくは銅製バスバー、を含み、かつ/または、
前記負荷接続領域(20)は、すべてのMOSFET遮断スイッチ素子(22,24,26,28,30)に導電接続されかつ熱伝導するように接続されたバスバー(56)、好ましくは銅製バスバー、を含む、
請求項1記載の遮断スイッチ装置。
【請求項11】
車両用の車載電圧網であって、
前記車載電圧網は、電圧源(12)と、前記電圧源(12)から電気エネルギーを給電すべき負荷(14)と、を含み、
前記車載電圧網は、請求項1記載の遮断スイッチ装置(16)をさらに含み、
前記遮断スイッチ装置(16)の電圧源接続領域(18)は、前記電圧源(12)に接続されており、負荷接続領域(20)は、前記負荷(14)に接続されている、
車載電圧網。
【請求項12】
請求項11記載の車載電圧網を動作させる方法であって、
前記方法によれば、前記車載電圧網(10)の低負荷動作状態において、電流監視遮断スイッチ素子として構成された少なくとも1つのMOSFET遮断スイッチ素子(22)は、前記電圧源(12)を前記負荷(14)に接続する状態に切り替えられており、電流監視遮断スイッチ素子として構成されていない少なくとも1つのMOSFET遮断スイッチ素子(24,26,28,30)は、前記電圧源(12)を前記負荷(14)から切り離す状態に切り替えられている、
請求項11記載の車載電圧網を動作させる方法。
【請求項13】
前記低負荷動作状態において、電流監視遮断スイッチ素子として構成されたいずれのMOSFET遮断スイッチ素子(22)も、前記電圧源(12)を前記負荷(14)に接続する状態に切り替えられており、かつ/または、電流監視遮断スイッチ素子として構成されていないいずれのMOSFET遮断スイッチ素子(24,26,28,30)も、前記電圧源(12)を前記負荷(14)から切り離す状態に切り替えられている、
請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記低負荷動作状態において、電流監視遮断スイッチ素子として構成されていないすべてのMOSFET遮断スイッチ素子(24,26,28,30)が、前記電圧源(12)を前記負荷(14)から切り離す状態に切り替えられている場合に、
電流監視遮断スイッチ素子として構成された前記少なくとも1つのMOSFET遮断スイッチ素子(22)により供給される電流量が、閾値電流を上回る電流を表すならば、かつ/または、閾値電流勾配を上回る経時的電流変化を表すならば、
電流監視遮断スイッチ素子として構成されていない前記MOSFET遮断スイッチ素子(24,26,28,30)のうちの少なくとも一部、好ましくはすべては、前記電圧源(12)を前記負荷(14)に接続する状態に切り替えられる、
請求項12記載の方法。
【請求項15】
前記遮断スイッチ装置(16)によって前記電圧源(12)を前記負荷(14)に接続すべき場合に、少なくとも、電流監視遮断スイッチ素子として構成された前記少なくとも1つのMOSFET遮断スイッチ素子(22)は、前記電圧源(12)を前記負荷(14)に接続する状態に切り替えられる、
請求項12記載の方法。
【外国語明細書】