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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022541
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】ブラケット
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/042 20060101AFI20240208BHJP
   F16L 5/00 20060101ALI20240208BHJP
   A47K 5/12 20060101ALI20240208BHJP
   B64C 1/00 20060101ALI20240208BHJP
   B64F 5/10 20170101ALI20240208BHJP
【FI】
E03C1/042 E
F16L5/00 S
F16L5/00 A
A47K5/12 B
B64C1/00 A
B64F5/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023126259
(22)【出願日】2023-08-02
(31)【優先権主張番号】22188593
(32)【優先日】2022-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】523293932
【氏名又は名称】ゾディアック・キャビン・コントロールズ・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】クラース・ブルーメ
(72)【発明者】
【氏名】トールシュテン・キーナート
(72)【発明者】
【氏名】エラスモ・ベンナ
(72)【発明者】
【氏名】エドウィン・ファン・デル・ペルク
【テーマコード(参考)】
2D060
【Fターム(参考)】
2D060BA03
2D060BA10
2D060BF01
2D060BF09
(57)【要約】
【課題】ブラケットを提供する。
【解決手段】本発明は、少なくとも1つの第1の固定手段および少なくとも1つの第2の固定手段を介して、例えば航空機構造体などの構造体または構造的環境に対して、デバイスまたは設備を連結し、設置し、取付け、および/または固定するための固定システムを提供する。さらに本発明は、例えば航空機構造体などの構造体または構造的環境に対してデバイスまたは設備を連結し、設置し、取付け、および/または固定するための方法において、かかる固定システムを使用するための方法に関する。固定システムは、ブラケット(100)とすることが可能である。固定システムは、固定システムに対して構造体または構造的環境を連結するための少なくとも1つの第1の固定手段と、固定システムに対してデバイスまたは設備を連結するための少なくとも1つの第2の固定手段とを備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造体に対してデバイスを連結するためのブラケット(100)であって、
少なくとも1つの固定ねじ(101)、前記少なくとも1つの固定ねじ(101)に対して連結された少なくとも1つのロックウィング(102)であって、前記少なくとも1つのロックウィング(102)により回転されるように構成された少なくとも1つのロックウィング(102)、および前記少なくとも1つのロックウィング(102)の移動を所定の位置に限定するように構成された少なくとも1つのストップリブ(103)を備える、少なくとも1つの第1の固定手段と、
前記ブラケット(100)に対して前記デバイスを固定するように構成された少なくとも1つの第2の固定手段と
を備え、
前記ブラケット(100)は、前記構造体の穴の中に位置するように構成される、ブラケット(100)。
【請求項2】
前記ブラケット(100)に対して少なくとも1つの供給ラインを連結するように構成された少なくとも1つのコネクタ(106、107)をさらに備える、請求項1に記載のブラケット(100)。
【請求項3】
前記ブラケット(100)が、前記構造体の前記穴の切欠部内に嵌入するように構成された、径方向への突出部(112)を有する、請求項1または2に記載のブラケット(100)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの固定ねじ(101)のうちの少なくとも1つが、前記ブラケット(100)の輪郭部に対して垂直な方向へと外方に傾斜されるかつ/または向けられる、請求項1から3のいずれか一項に記載のブラケット(100)。
【請求項5】
前記少なくとも1つの固定ねじ(101)のうちの少なくとも1つが、前記ブラケット(100)の輪郭部に対して垂直な方向に対して平行である、請求項1から3のいずれか一項に記載のブラケット(100)。
【請求項6】
前記少なくとも2つの固定ねじ(101)のうちの少なくとも2つが、互いに平行である、請求項1から5のいずれか一項に記載のブラケット(100)。
【請求項7】
前記固定ねじ(101)のうちの少なくとも2つが、互いに対して傾斜される、請求項1から6のいずれか一項に記載のブラケット(100)。
【請求項8】
少なくとも2つの固定ねじ(101)が、互いに対して傾斜され、外方に向けられる、請求項1から7のいずれか一項に記載のブラケット(100)。
【請求項9】
前記ブラケット(100)が、前記デバイスの外壁部を囲むように構成される、請求項1から8のいずれか一項に記載のブラケット(100)。
【請求項10】
構造体およびデバイスに対してブラケット(100)を連結するための方法であって、
前記構造体の穴の中に前記ブラケット(100)を位置決めするステップと、
少なくとも1つのロックウィング(102)に対して連結された少なくとも1つの固定ねじ(101)を回転させ、前記少なくとも1つのロックウィング(102)の回転が少なくとも1つの停止リブ(103)により停止されるまで、前記少なくとも1つのロックウィング(102)を回転させるステップであって、前記少なくとも1つの固定ねじ(101)の回転は、前記ブラケット(100)が前記構造体に対して固定されるまで、前記構造体の背面から前記構造体に向かって前記少なくとも1つのロックウィング(102)を移動させる、ステップと
を含む、方法。
【請求項11】
前記構造体の前記穴の中に前記ブラケット(100)を位置決めする前記ステップの前に、前記ブラケット(100)のコネクタに対して少なくとも1つの供給ラインを連結するステップ
をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの第1の固定手段および少なくとも1つの第2の固定手段を介して、例えば航空機構造体などの構造体または構造的環境に対して、デバイスまたは設備を連結し、設置し、取付け、および/または固定するための固定システムに関する。さらに、本発明は、例えば航空機構造体などの構造体または構造的環境に対してデバイスまたは設備を連結し、設置し、取付け、および/または固定するための方法において、かかる固定システムを使用するための方法に関する、航空機の構造体に対しておよびデバイスに対して。
固定システムは、ブラケットとすることが可能である。
【0002】
本発明の1つの特定の用途は、航空機洗面所内の洗面台に対して蛇口またはソープディスペンサを連結し、設置し、取付け、および/または固定することにあり得る。
【背景技術】
【0003】
現行では、デバイスまたは設備のための3つの異なる取付けシステムが入手可能である。これらの既知の取付けシステムを例示の水栓に関して以下に説明する。
【0004】
図10に示す第1の先行技術のシステムでは、構造体および/または洗面台1が、少なくとも2つのねじ山付きインサート9を提供し、このねじ山付きインサート9内において、ブラケット2が、少なくとも2つのねじ3により固定される。このブラケット2は、蛇口4を設置および固定するために使用される。それぞれのブラケット2が、それぞれの蛇口4に帰属し、これらは、通常は1つのアセンブリ(1パーツ部材)内において配布される。
【0005】
図11に示す第2の先行技術のシステムでは、洗面台5は、2つのボルト6を提供し、これらのボルト6は、さらに水圧連絡部としての役割も果たす。水栓7が、これらのボルト6の上に配置され、少なくとも2つのねじ8を備えるブラケットを用いてまたはボルト6中の2つのアンダーカット部内に噛み合う少なくとも2つのねじを用いて(図11には図示せず)固定される。
【0006】
第3の先行技術のシステムは、第1のシステムおよび第2のシステムの組合せであり、ここでは2つのボルトを有するプレートが、ねじにより洗面台に対して固定される。
【0007】
さらに、例えば十分な空間が利用できるおよび/または限定的な短時間でのデバイスもしくは設備の迅速な交換が必要とされない、建造物、家、またはフラットの中の洗面所またはキッチンなどの移動不可能な構造体においては、例えば蛇口などのデバイスまたは設備は、その構造体の背面から固定される。
【0008】
先行技術に関連する問題
空間的に限定された先行技術のあらゆる既存のシステムは、蛇口などのデバイスまたは設備の穴パターンが、構造体、例えば航空機構造体、例えば洗面台などであり得る例えば洗面所構造体などの、穴パターンと厳密に合致する必要があるという少なくとも1つの重大かつ致命的な欠点を有する。ここにおいて、種々の航空機クラスごとの例えば洗面所などの種々の構造的環境もまた、例えば洗面所内の洗面台などであり得る例えば航空機構造体などの構造体においてそれぞれ異なる穴パターンをしばしば有する。種々の構造体においてそれぞれ異なる穴パターンが存在する場合には、例えばある特定の蛇口などの同一のデバイスまたは設備を、例えば洗面所内の洗面台などである例えばそれぞれ異なる航空機構造体などのそれぞれ異なる構造体に設定することができない場合がある。ある特定のデバイスまたは設備が、特定の対応する構造体ごとに作製される必要がある。
【0009】
この欠点は、蛇口に限定されるものではなく、さらには航空機および/または航空機構造体に限定されるものでもなく、ある穴パターンを有する構造体または構造的環境に対して連結され、設置され、取付けられ、および/または固定されるべきデバイスまたは設備において全般的に生じるものである。なぜならば、ある構造体に対して連結され、設置され、取付けられ、および/または固定されるべき任意のデバイスまたは設備における穴パターンは、前記構造体の穴パターンに対して厳密に合致しなければならないからである。
【0010】
移動不可能な構造体における固定システムは、十分なサイズの1つの穴を貫通して設置される場合があるが、ここにおいてデバイスまたは設備は、背面から固定される。なぜならば、空間的もしくは重量的な制約、および/または限定的な短時間でデバイスまたは設備を迅速に交換するという要件が、通常は存在しないからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明により解決されることとなる主な技術的課題は、以下の通りである。
1)多数の構造的環境において、構造体およびデバイスまたは設備のための空間は、徐々に縮小されつつあり、これにより幾何学的および環境的な設計上の制約が生じる。
例えば、近年の航空機洗面所は、例えばより多くの座席およびより売上に繋がる、より多くの乗客を確保するためなどに、洗面台空間などの空間の縮小化がますます進んでおり、これにより、例えば蛇口の幾何学的および環境的な設計上の制約など、デバイスまたは設備の幾何学的および環境的な設計上の制約が結果として生ずる。
2)固定システムの統一化。本発明は、例えばアダプタパーツを用いずに様々な構造体または構造的環境に設置されることとなるデバイスまたは設備のための共通的な設置ブラケットコンセプトなどを見出すための固定コンセプトを開示する。
3)構造体または構造的環境に対するデバイスまたは設備の設置の最適化および容易化。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の目的は、専用のアダプタを必要とすることなく、種々の構造的環境に関して最小限の空間使用および最大限の自由度実現を可能にするための、例えば航空機構造体、例えば洗面所などの、あらゆる種類の構造体または構造的環境に設置された任意のデバイスまたは設備、例えば航空機洗面所内の洗面台に対する蛇口またはソープディスペンサなどに対する固定コンセプトである。
【0013】
場合によってはユニバーサル取付けブラケットの形態である、場合によっては固定システムの形態であるユニバーサル固定コンセプトは、適切なデバイスまたは設備の設置を可能にするために、あらゆる構造的環境において適用可能である。
【0014】
構造体は、デバイスまたは設備が連結され、設置され、取付けられ、および/または固定され得るあらゆる種類のものとすることが可能であり、例えば航空機、列車、バス、トラック、船舶、または自動車などの輸送車両、より具体的には、例えば旅客機、旅客列車、旅客バス、旅客トラック、旅客船、または乗用車などの乗客輸送用の旅客輸送車両、さらにより具体的には、例えば航空機の洗面所、キャビン、および/もしくは調理室、列車の洗面所、キャビン、調理室、および/もしくは簡易台所、バスの洗面所、キャビン、調理室、および/もしくは簡易台所、トラックの洗面所、キャビン、調理室、および/もしくは簡易台所、船舶の洗面所、キャビン、調理室、および/もしくは簡易台所、またはRV(レクリエーション用車両)の洗面所、キャビン、調理室、および/もしくは簡易台所などの、前記旅客輸送車両上の洗面所、キャビン、調理室、および/または簡易台所などとすることが可能である。
【0015】
また、この構造体は、例えばあらゆる種類の建築物、家、フラット、または移動不可能な設置物であることも可能であり、例えばそれらの洗面所、キャビン、調理室、および/または簡易台所とすることが可能である。
【0016】
デバイスまたは設備の例は、洗面所もしくは調理室のコンパートメント内のタッチレス式、プッシュボタン式、機械式、電気機械式の蛇口、ソープディスペンサ、もしくはウォータディスペンサであり、または航空機キャビン内にある位置を占める消毒剤ディスペンサである。
【0017】
構造的環境の一例は、航空機構造体である。
航空機構造体の一例は、洗面台であり、前記洗面台は、航空機洗面所内に位置し得る。
【0018】
「デバイス」および「設備」という語は、互換的に使用されるが、それらの意味は、それぞれの語の通常の意味で理解され、同義語ではない。「構造体」および「構造的環境」という語もまた、互換的に使用されるが、それらの意味は、それぞれの語の通常の意味で理解され、同義語ではない。
【0019】
複数の目的が、本発明により達成される。
- 構造体の壁部厚さに左右されない設置。
- 構造体の予め規定された連結部に左右されない。
- 例えば電気接続部および/または水圧連絡部などの連結部が、固定コンセプトに組み込まれ得る。
- 設備パーツに左右されない固定コンセプト。
- 視認可能な固定点を用いない前面からの取付け。
- 構造的環境の背面における固定。
- 複数の異なる構造的環境において設備を固定することが可能であること。
- 厚さおよび予め規定された連結部に左右されない。
- カバーリングおよび/またはシーリングを必要とする視認可能な固定手段が存在しないこと。
- 例えば水圧連絡部および/または電気接続部などの少なくとも1つの連結部ならびに設備の固定が、この固定コンセプトに組み込まれ、これにより所要サイズが縮小される。
- 設備の迅速な設置および取外しが可能になる。
- 例えば1つのねじによる固定などの簡易的かつ縮小的な固定手段により、仕上がりおよび外観の向上ならびに汚染物質による影響の被りにくさが実現され得る。
【0020】
本発明の技術的解決策および有利な効果
次に、具体的な例により、航空機内の洗面台上の蛇口に関する固定ブラケットおよび方法を説明するが、本発明は、蛇口の固定に限定されない。本発明は、例えば航空機などの構造体の内部の任意の他のデバイスまたは設備(例えばソープディスペンサ)のためのユニバーサル取付けブラケットの形態とすることが可能な、ユニバーサル固定システムを開示する。また、本発明は、構造体およびデバイスに対してブラケットを連結する対応する方法をさらに開示する。
また、本発明は、洗面所モジュール内の洗面台に限定されない。本発明の固定システムおよび/または方法は、例えば調理室および/またはキャビン仕切りなどの任意の他の構造的環境においても使用可能である。
【0021】
上述の技術的課題を解決するために、本発明による固定システムは、請求項1に記載されるようなブラケットと、請求項10による本発明のブラケットを設置する方法とを提供する。好ましい実施形態は、従属請求項において開示される。
【0022】
本発明によれば、構造体に対してデバイスを連結するためのブラケットが、構造体に対してブラケットを固定するように構成された少なくとも1つの第1の固定手段を備える。
このブラケットの形状は、具体的には限定されず、ブラケットが構造体中の穴に嵌入し得る限りにおいて、円形形状、楕円形形状、三角形形状、自由形状、矩形形状、正方形形状、または任意の他の適切な形状とすることが可能である。
さらに、少なくとも1つの第1の固定手段は、この少なくとも1つの第1の固定手段が2つの所定の位置を実現することが可能であり、ブラケットと少なくとも1つの第1の固定手段の少なくとも一部との間のブラケットの輪郭部に対して垂直な方向における距離が適合化され得る限りにおいて、具体的には限定されない。第1の位置では、少なくとも1つの第1の固定手段は、ブラケットが構造体の前面から構造体の穴に挿入され得るように、ブラケットの輪郭部内に位置する。第2の位置では、少なくとも1つの第1の固定手段は、ブラケットが構造体の穴に嵌挿されることが不可能となり、構造体の背面から構造体に対して固定されることが不可能になるように、ブラケットの輪郭部の外部に少なくとも部分的に位置する。
第2の所定の位置では、ブラケットは、構造体に対して固定され得る。
【0023】
さらに、少なくとも1つの第1の固定手段は、異なる厚さの構造体に対しても使用が可能である。少なくとも1つの第1の固定手段は、ブラケットの輪郭部に対して垂直な方向における距離を変更することが可能であり、ブラケットの輪郭部の内部および外部に位置し得る少なくとも1つの第1の固定手段の部分は、構造体の厚さに応じた可変距離に固定され得る。
これは、ねじ、ボルト、または均等な効果を実現し得る任意の均等な手段を用いて実現することが可能である。
【0024】
この少なくとも1つの第1の固定手段を実装するための1つの可能性は、少なくとも1つのロックウィング、少なくとも1つの固定ねじ、および少なくとも1つの停止リブの特徴部によるものである。
少なくとも1つの固定ねじは、少なくとも1つのロックウィングに対して連結される。少なくとも1つの停止リブは、少なくとも1つの第1の固定手段がブラケットの輪郭部の外部に少なくとも部分的に位置するように、所定位置に少なくとも1つのロックウィングの移動を限定するように構成される。
少なくとも1つのロックウィングは、ブラケットの輪郭部内の第1の位置から、少なくとも1つの固定ねじが閉鎖方向に回転されるときに(時計回り方向回転または反時計回り方向回転であってよい)少なくとも1つのロックウィングがブラケットの輪郭部の外部に少なくとも部分的に位置するような第2の位置まで移動することが可能である。後の開口方向は、反時計回り方向または時計回り方向となる。さらに、少なくとも1つの固定ねじは、構造体の前面から接触し、少なくとも1つのロックウィングの移動により構造体にブラケットを締め付けるおよび構造体から緩めるために、スクリュードライバなどの適切な工具を用いて回転され得る。少なくとも1つの固定ねじにより、少なくとも1つのロックウィングは、ブラケットの輪郭部に対して垂直な方向に移動され得る。
【0025】
少なくとも1つの固定ねじを回転することにより、少なくとも1つのロックウィングは、回転し始めることが可能となる。少なくとも1つの固定ねじは、平行でなくてもよく、ブラケットの輪郭部に対して垂直な方向に対して傾斜されてもおよび/または外方に向けられてもよい。しかしながら、ブラケットの輪郭部に対して垂直な方向に対してこの少なくとも1つの固定ねじを平行にすることもまた可能である。また、2個、3個、4個、5個、6個、またはそれ以上の固定ねじが存在することも可能である。2つ以上のねじが存在する場合には、2つ以上の固定ねじは、互いに対して平行にすることが可能であり、および/または2つ以上のねじは、互いに対して傾斜されることが可能である。この少なくとも1つのねじの傾斜により、対応する工具でのねじ頭へのアクセスがより良好になり、ブラケットの直径が不必要に大きくなることが防止される。
【0026】
少なくとも1つの停止リブは、少なくとも1つのロックウィングが過度に回転し得るのを防止し、少なくとも1つのロックウィングがブラケットの輪郭部の外部に少なくとも部分的に位置するように、少なくとも1つのロックウィングの回転移動を所定の位置に限定する。少なくとも1つのロックウィングは、少なくとも1つの停止リブに接触すると、それ以上回転することが不可能になるが、少なくとも1つのねじは、少なくとも1つのロックウィングのねじ山の中に回転し続けることが可能であり、それにより少なくとも1つのロックウィングは、ブラケットが構造体の厚さに左右されずに構造体に対して完全に固定されるまで、構造体の背面に対してより近くに移動する。
少なくとも1つの固定ねじの所定長さにより、少なくとも1つのロックウィングは、ブラケットに対する可変距離に位置することが可能であり、ブラケットは、少なくとも1つの固定ねじの長さを最大とする種々の厚さの構造体に対して固定されることが可能となる。
したがって、本発明のブラケットは、様々な異なる厚さを有する多様な構造体に対して固定され得る。
【0027】
また、少なくとも1つのロックウィングが、ある構造体内における種々の厚さに対して適合し得るように、構造体の厚さが多様であることも可能である。
【0028】
ブラケットは、ブラケットに対してデバイスを固定するように構成された少なくとも1つの第2の固定手段をさらに備える。
ブラケットが、少なくとも1つの第1の固定手段により上述のように構造体に対して固定され得る一方で、設備は、少なくとも1つの第2の固定手段を用いてブラケットに対して固定され得る。
少なくとも1つの第2の固定手段は、ブラケットに対して設備を安定的に固定し得る限りにおいては、特に限定されない。
ここで、ブラケットの設計により、ブラケットは、設備の外壁部を囲み、設備の荷重を担持することが可能となる。
したがって、ブラケットに対して設備を固定するための構造的要件は、大幅に削減され、それにより設備の固定は、はるかにより容易にかつより安定的になる。
【0029】
ブラケットに対して設備を固定するための1つの可能性は、ねじによるものである。この場合に、上記で説明したような先行技術(図10および図11)とは異なり、迅速かつ安定的な固定を実現するためには1つのみのねじで十分となる。1つの固定ねじは、ロックボルトを上方に圧迫する。ロックボルトは、ブラケット内に案内される。ロックボルトは、ブラケットの上面に対して設備を固定することができる。
【0030】
この場合に、ブラケットは、構造体中の十分なかつそれぞれの寸法の単一の穴内に位置する。かかる穴を用いる場合に、構造体中のすべての他の穴および個々の穴パターンは、不要となり、この構造体において省くことが可能である。
また、それぞれの寸法のかかる単一の穴により、構造体の背後の空間を使用することが可能となる。これは、様々な供給ラインが個々の穴パターンを有する構造体を貫通する複数の個々のより小さな穴を貫通して配置される場合には、不可能である。
【0031】
また、構造体の穴の中の追加の切欠部が存在してもよく、これはブラケットの任意の突出部に合致する。ブラケット中のこの任意の突出部およびその関連する構造体中の追加の切欠部は、ブラケットに対するセンタリング特徴を有することが可能であり、さらにブラケットの回転を防止し得る。
【0032】
また、構造体とブラケットの間におけるセンタリングを確立するように構成された任意のセンタリング特徴部を実装するための代替的な方法が存在してもよい。かかるセンタリング特徴部の実装は、センタリングが実現され得る限りにおいて限定されるものではない。
例えば、構造体部分の穴の中に少なくとも1つの平坦領域を実装することも可能であり、この平坦領域において、ブラケットは、ブラケットの少なくとも2つのリブまたは少なくとも1つの平坦表面で支持される。
【0033】
ブラケットの任意の突出部は、構造体の上面に配置されてもよく、または構造体の周囲の任意の適切な位置に配置されてもよい。
この追加の切欠部は、任意の突出部の位置に関連するものであるべきである。
【0034】
さらに、ブラケットは、ブラケットに対して少なくとも1つの供給ラインを連結するように構成された少なくとも1つのコネクタを備えてもよい。この供給ラインは、少なくとも1つの水圧パイプ、および/または少なくとも1つの電気ワイヤ、および/または例えば水、電流、もしくはソープなどの必需品を設備に供給するためのチューブもしくはワイヤとすることが可能である。
【0035】
さらに、例えば少なくとも1つの水圧パイプおよび/または少なくとも1つの電気ワイヤなどである供給ラインが、少なくとも1つのコネクタに対して連結され得る。
【0036】
本発明の開示を通じて、先行技術により知られる解決策に対する本発明の本解決策の決定的な相違は、ブラケットの固定が構造体の背面に完全に移動される点である。先行技術により知られる解決策では、固定は前面に位置する。これにより、例えばブラケット内部における1つの水圧連絡部および1つの電気接続部、例えば少なくとも1つの水圧連絡部および/または少なくとも1つの電気接続部など、少なくとも1つの供給ラインの実装が可能になり、したがって他の特徴物のために設備内部により大きな空間が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】例えばブラケットなどの本発明の固定システムを用いて環境に連結される構造体のための可能な一例としての穴を有する洗面台を示す図である。
図2】例示の2つの油圧連結部および1つの電気接続部がブラケットおよび一例の洗面台に対して連結される、本発明の一実施形態によるブラケットを示す図である。
図3図2に示す実施形態によるブラケットの正面図である。
図4図2に示す実施形態によるブラケットの断面図である。
図5】第1の位置および第2の位置にある、図2に示すブラケット内の例示の2つのロックウィングの回転を示す正面図(左)および側面図(右)である。
図6図2に示すブラケットおよび蛇口の断面図である。
図7図2に示すブラケットに対する蛇口の固定の一例を示す図である。
図8図7の蛇口が固定された状態にあるブラケットの側方断面図である。
図9図2に示すブラケットを備えるアセンブリの分解図である。
図10】先行技術の第1の取付けコンセプトを示す図である。
図11】先行技術の第2の取付けコンセプトを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
これらの技術的課題を解決するために、本発明による方法では、十分なおよびそれぞれの寸法の単一の穴201が、例えば蛇口などのデバイスまたは設備が固定され得る例えば航空機キャビン内の洗面台200などの構造体中に穿孔され得る。図1は、固定システムを摘要することが可能な構造体の可能な一例としての洗面台200を示す。
本発明は、構造体に対して設備を固定することが可能な固定システムと、この固定システムを用いて構造体に対して設備を固定するための方法とに関する。図2図9に示すような固定システムの一例は、ブラケットであり得る。
図1に示す構造体としての洗面台200の例においては、洗面台200中の穴201の直径は、68mmであってもよい。ある特定のパターンにおけるより小さいサイズの穴を用いた先行技術のアプローチとは対照的に、本発明によれば、1つのみの十分な寸法の穴が設けられる。また、この十分な寸法の穴は、例えば洗面台200などの構造体の奥の空間を使用することが可能である。
さらに、ブラケット100に対する任意のセンタリング特徴を有するように、洗面台200の穴201の輪郭部に切欠部202が存在してもよく、これは、さらにブラケット100の回転を防止することもできる。この切欠部202は、ブラケット100のセンタリングを可能にするように、円形形状、矩形形状、三角形形状、自由形状、または他の形状を有し得る。
【0039】
図2では、少なくとも1つの供給ラインについての可能な一例として、少なくとも1つの水圧パイプ203のうちの2つと、少なくとも1つの電気ワイヤ204のうちの1つとが図示される。この電気ワイヤ204は、穴201に引き通され、ブラケット100に対して固定され得る。その後、ブラケット100は、洗面台200の穴201内に配置され得る。
【0040】
少なくとも1つの固定ねじ101を回転させることにより(図3では左側のねじ101の軸方向における2つの固定ねじ101を含む図が示される)、少なくとも1つのロックウィング1012が、回転を開始する。本発明のこの例示の実施形態では、これらの固定ねじ101は、平行ではないが、図4に示すように外方に向けられる。しかし、これらの固定ねじ101は、互いに平行である、かつ/またはブラケット100の輪郭部に対して垂直な方向に対して平行であるようにすることもまた可能である。固定ねじ101が傾いていることにより、対応する工具による固定ねじ101のねじ頭へのアクセスの容易化が可能になり、ブラケット100の直径が不必要に大きくなることを防止する。
【0041】
図5では、少なくとも1つの停止リブ103が示される。この少なくとも1つの停止リブ103は、少なくとも1つのロックウィング102の過度な回転を防止する。少なくとも1つのロックウィング102が少なくとも1つの停止リブ103に接触すると、少なくとも1つのロックウィング102はそれ以上の回転が不可能になる。しかし、少なくとも1つの固定ねじ101が、少なくとも1つのロックウィング102のねじ山の中に回転し続けることにより、少なくとも1つのロックウィング102は、ブラケット100が洗面台200に対して完全に固定されるまで、洗面台200の背面に対してより近くに移動し続ける。
【0042】
本発明において、先行技術における他の解決策と比較した場合の本解決策の相違点は、ブラケット100の固定が、洗面台200の背面へと完全に移動されることである。先行技術の解決策では、この固定は前面側で行われる。これにより、少なくとも1つの水圧コネクタ106および/または少なくとも1つの電気コネクタ107を本発明のブラケット100の内部において実装することが可能となり、したがって蛇口205の内部に他の特徴部のためにより多くの空間が得られる。
【0043】
ブラケット100は、洗面台200の切欠部202内に嵌入し得る突出部112をさらに有し得る。
【0044】
ブラケット100が設置された後に、蛇口205の少なくとも1つの電気コネクタは、ブラケット100に対して手動で連結される必要がある。その後、蛇口205は、ブラケット100内に配置される。ブラケット100の設計により、ブラケット100は、蛇口205の外壁部を囲み、蛇口205の荷重を担持することが可能となる(図6)。
【0045】
その後、蛇口205は、1つのみのねじ207を用いて固定され得る(図7)。この特定の例のこの1つの固定ねじ207は、ロックボルトを上方に圧迫する。ロックボルト105は、ブラケット100内に案内され、上面に蛇口205を固定し得る(図8)。先行技術のあらゆる蛇口においては、少なくとも2つの視認可能な固定ねじが必要となる。あらゆる視認可能なねじは、封止される必要があり、蛇口の清掃をより困難にし、蛇口が汚染物質の影響を被りやすくなるため、欠点を有する。
【0046】
本発明のコンセプトが実装され得る例示の特徴部は、図2図9において、2つのロックウィング102、2つの固定ねじ101、2つの停止リブ103、2つの水圧パイプ用の2つのコネクタ106、および1つの電気ワイヤ用の1つのコネクタ107に関して図示される。しかし、ロックウィング102および固定ねじ101の個数は、これらの各特徴部に対応する限りにおいて、1個、2個、3個、4個、5個、6個、または任意の他の個数とすることが可能である。したがって、各ロックウィング102は、1つの固定ねじ101に対して連結される。ここで、ロックウィング102の個数は、固定ねじ101の個数と同一であるまたはそれ未満とすることが可能である。ロックウィング102の個数が、固定ねじ101の個数と同一である場合には、各ロックウィング102は、1つの対応する固定ねじ101に対して連結され得る。ロックウィング102の個数が、固定ねじ101の個数未満である場合には、1つまたは複数のロックウィング102が、1つの固定ねじ101に対して連結され得る。
さらに、停止リブ103の個数は、各ロックウィング102が上述のような第1の位置および第2の位置を有し得る限りにおいては、1個、2個、3個、4個、5個、6個、または任意の他の個数とすることが可能である。
停止リブ103の個数は、ロックウィング102および固定ねじ101の個数と同一でなくてもよい。各停止リブ103は、1つまたは複数のロックウィング102の回転を限定するように構成され得る。
さらに、コネクタ106、107の個数は、必要に応じた個数のコネクタを提供するために、1個、2個、3個、4個、5個、6個、または任意の他の個数とすることが可能である。
【0047】
さらに、この例は、図7および図8において勾配のある蛇口205を示すが、本発明は、いかなる勾配またはいかなる一定角度にも限定されない。設備と構造的環境との間の角度は、その設備の使用に適する限りにおいては、任意の数値を有することが可能である。
【0048】
さらに、図9は、本発明の一実施形態のブラケットを備えるある特定の例示のアセンブリを示す。このブラケットは、2つのロックウィング102、2つの固定ねじ101、ロックボルト105、水圧コネクタ106、および電気コネクタ107を備える。しかし、上述のように、本発明においては、これらの特徴部のいずれもの個数が、デバイスまたは設備の必要および構造的制約に応じて変更可能である。図9は、アセンブリに含まれ得るオプションの特徴部をさらに示す。カバーおよびOリングが、結合ねじ110を介してブラケットに対して連結され得る。代替的には、カバーおよび/またはOリングは、ブラケットに対して一体化されてもよく、かつ/またはブラケットに対して一体的に連結されてもよい。
【0049】
本発明のユニバーサル取付けブラケットの主要要素は、以下の通りである。
- 構造体の壁厚さに左右されることなくブラケットを設置するための少なくとも1つのロックウィング。
- 構造的に予め規定された連結部に左右されない。
- 多数の電気接続部および水圧連絡部が、ブラケットに組み込まれ得る。
- 装備パーツに左右されない取付けブラケット。
- 視認可能な固定点を用いない前面からの取付け。
- 構造的環境の背面における固定。
- 厚さおよび予め規定された連結部に左右されることなく複数の異なる構造的環境に設備を固定することが可能であること。
- カバーリングおよび/またはシーリングを必要とする視認可能な固定ねじが存在しないこと。
- 水圧連絡部および電気連絡部ならびに設備の固定が、ブラケットに組み込まれ、これにより設備のサイズが縮小される。
- 設備の迅速な設置および取外し。
- 1つのねじでの設備固定による仕上がりおよび外観の向上、ならびに汚染物質による影響の被りにくさ。
【0050】
代替的な実施形態
本発明は、航空機洗面所内の固定システムのための解決策について記載するものであるが、同様のデバイスは、様々な設備のための他の構造体において使用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、例えば商業用航空機などの輸送車両内の構造体において適用されることが可能である。
【符号の説明】
【0052】
100 ブラケット
101 固定ねじ
102 ロックウィング
103 停止リブ
104 固定ねじ
105 ロックボルト
106 水圧コネクタ
107 電気コネクタ
108 カバー
109 Oリング
110 結合ねじ
111 水圧連絡部
112 突出部
200 洗面台
201 穴
202 切欠部
203 水圧パイプ
204 電気ワイヤ
205 蛇口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【外国語明細書】