(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022552
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】パウチ製造方法およびパウチ製造装置
(51)【国際特許分類】
B31B 70/64 20170101AFI20240208BHJP
B31B 70/10 20170101ALI20240208BHJP
B65B 41/16 20060101ALI20240208BHJP
B65B 51/14 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
B31B70/64
B31B70/10
B65B41/16 501A
B65B51/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023126559
(22)【出願日】2023-08-02
(31)【優先権主張番号】P 2022125255
(32)【優先日】2022-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】313005282
【氏名又は名称】東洋製罐株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100153497
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 信男
(74)【代理人】
【識別番号】100138254
【弁理士】
【氏名又は名称】澤井 容子
(72)【発明者】
【氏名】松永 史絵
(72)【発明者】
【氏名】山口 円
(72)【発明者】
【氏名】石坂 公一
(72)【発明者】
【氏名】西松 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】三浦 崇
(72)【発明者】
【氏名】本郷 勝弘
【テーマコード(参考)】
3E075
3E094
【Fターム(参考)】
3E075AA05
3E075BA42
3E075CA02
3E075DA03
3E075DA04
3E075DA14
3E075DA32
3E075DB03
3E075DB14
3E075DD12
3E075DD32
3E075DD42
3E075DD45
3E075FA32
3E075FA33
3E075GA01
3E075GA04
3E094AA12
3E094CA06
3E094CA12
3E094DA10
3E094EA20
3E094FA05
3E094GA05
3E094GA12
3E094GA23
3E094HA10
(57)【要約】
【課題】パウチ製造後のパウチのハンドリング性を向上させるパウチ製造方法およびパウチ製造装置を提供すること。
【解決手段】搬送路R上に設定された熱溶着エリアAにおいて、搬送路Rに沿って送られてきた長尺状の第1フィルム材F1および第2フィルム材F2の被熱溶着箇所に対して熱溶着処理を施すことでパウチPを製造するパウチ製造方法であって、繰り返し実施される熱溶着処理において、第1フィルム材F1の被熱溶着箇所F1’と、無負荷状態におけるフィルム長手方向寸法が第1フィルム材F1の被熱溶着箇所F1’よりも大きい第2フィルム材F2の被熱溶着箇所F2’とを、フィルム表裏方向に熱溶着バー61で挟み込むことで熱溶着を施すパウチ製造方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送路上に設定された熱溶着エリアにおいて、前記搬送路に沿って送られてきた長尺状の第1フィルム材および第2フィルム材の被熱溶着箇所に対して熱溶着処理を施すことでパウチを製造するパウチ製造方法であって、
繰り返し実施される前記熱溶着処理において、前記第1フィルム材の前記被熱溶着箇所と、無負荷状態におけるフィルム長手方向寸法及び幅方向寸法の少なくともいずれかが前記第1フィルム材の前記被熱溶着箇所よりも大きい前記第2フィルム材の前記被熱溶着箇所とを、フィルム表裏方向に熱溶着バーで挟み込むことで熱溶着を施すことを特徴とするパウチ製造方法。
【請求項2】
前記熱溶着エリアには、前記熱溶着処理を施す処理エリアが設定され、
前記処理エリアには、前記処理エリアのうち最も上流側に設定された第1処理エリアが含まれ、
前記第1処理エリアにおいて、前記第2フィルム材の前記被熱溶着箇所を、フィルム搬送方向の下流側に向かうに従って前記第1フィルム材側に寄るまたは前記第1フィルム材側から離れるように傾斜させることで、前記熱溶着バーで挟み込まれる、前記第2フィルム材の前記被熱溶着箇所の無負荷状態におけるフィルム長手方向寸法が、前記第1フィルム材の前記被熱溶着箇所の無負荷状態におけるフィルム長手方向寸法よりも大きくなるようにすることを特徴とする請求項1に記載のパウチ製造方法。
【請求項3】
前記熱溶着エリアの上流側において、前記第2フィルム材をガイド部材によって前記第1フィルム材から離れる方向に押すことで、前記第1処理エリアにおいて、前記第2フィルム材の前記被熱溶着箇所を、フィルム搬送方向の下流側に向かうに従って前記第1フィルム材側に寄るように傾斜させることを特徴とする請求項2に記載のパウチ製造方法。
【請求項4】
前記搬送路上には、前記熱溶着エリアよりも上流側において、前記第1フィルム材および前記第2フィルム材を接触させるように合流させるフィルム合流部が設けられており、
前記ガイド部材は、前記熱溶着エリアよりも上流側かつ前記フィルム合流部よりも下流側に設置されていることを特徴とする請求項3に記載のパウチ製造方法。
【請求項5】
前記ガイド部材は、フィルム表裏方向に移動可能に設けられていることを特徴とする請求項3に記載のパウチ製造方法。
【請求項6】
前記ガイド部材によって前記第2フィルム材を押すことで、前記第1処理エリアにおいて、前記第2フィルム材の幅方向両側部よりも幅方向中央部が前記第1フィルム材から離れる方向に寄った状態とすることを特徴とする請求項3に記載のパウチ製造方法。
【請求項7】
前記熱溶着エリアにおいて、前記第1フィルム材の張力を前記第2フィルム材の張力よりも大きくすることにより、前記熱溶着バーで挟み込まれる、前記第2フィルム材の前記被熱溶着箇所の無負荷状態におけるフィルム長手方向寸法を、前記第1フィルム材の前記被熱溶着箇所の無負荷状態におけるフィルム長手方向寸法よりも大きくすることを特徴とする請求項1に記載のパウチ製造方法。
【請求項8】
前記搬送路は、前記第1フィルム材を単独で搬送する第1搬送経路と、前記第2フィルム材を単独で搬送する第2搬送経路と、前記第1搬送経路および前記第2搬送経路の下流側に設けられ、前記第1フィルム材および前記第2フィルム材を合流させて搬送する合流搬送経路とを含み、
前記熱溶着エリアは、前記合流搬送経路上に設定され、
前記第1搬送経路には、前記第1フィルム材をガイドする複数の第1ガイドロールが設置され、
前記第2搬送経路には、前記第2フィルム材をガイドする複数の第2ガイドロールが設置されていることを特徴とする請求項7に記載のパウチ製造方法。
【請求項9】
前記第1搬送経路の経路長は、前記第2搬送経路の経路長よりも長く設定されていることを特徴とする請求項8に記載のパウチ製造方法。
【請求項10】
前記複数の第1ガイドロールには、往復動可能に設けられた第1ダンサーロールが含まれ、
前記複数の第2ガイドロールには、往復動可能に設けられた第2ダンサーロールが含まれ、
前記第1ダンサーロールによって前記第1フィルム材を押す力を、前記第2ダンサーロールによって前記第2フィルム材を押す力よりも大きく設定することを特徴とする請求項8に記載のパウチ製造方法。
【請求項11】
前記各第1ガイドロールによって前記第1フィルム材を押す圧力値を合計した値を、前記各第2ガイドロールによって前記第2フィルム材を押す圧力値を合計した値よりも大きく設定することを特徴とする請求項8に記載のパウチ製造方法。
【請求項12】
前記各第1ガイドロールの外周面に対して前記第1フィルム材が接触する円周長を合計した値を、前記各第2ガイドロールの外周面に対して前記第2フィルム材が接触する円周長を合計した値よりも大きく設定することを特徴とする請求項8に記載のパウチ製造方法。
【請求項13】
前記第1ガイドロールによって前記第1フィルム材を押す圧力値に当該第1ガイドロールの外周面に対して前記第1フィルム材が接触する円周長を乗じた前記第1ガイドロール毎の値を合計した値を、前記第2ガイドロールによって前記第2フィルム材を押す圧力値に当該第2ガイドロールの外周面に対して前記第2フィルム材が接触する円周長を乗じた前記第2ガイドロール毎の値を合計した値よりも大きく設定することを特徴とする請求項8に記載のパウチ製造方法。
【請求項14】
前記第1フィルム材の熱収縮率が、前記第2フィルム材の熱収縮率よりも大きく形成されていることを特徴とする請求項1に記載のパウチ製造方法。
【請求項15】
前記熱溶着エリアには、前記熱溶着処理を施す処理エリアが設定され、
前記処理エリアには、前記処理エリアのうち最も上流側に設定された第1処理エリアが含まれ、
前記第1処理エリアにおいて、前記搬送路の搬送方向に略平行に延びる複数の上流側熱溶着バーによる搬送方向溶着処理が行われ、
前記搬送方向溶着処理は、前記複数の上流側熱溶着バーの間で、前記第1フィルム材と前記第2フィルム材の無負荷状態におけるフィルム幅方向寸法を異ならせた状態で熱溶着を施すことを特徴とする請求項1に記載のパウチ製造方法。
【請求項16】
前記複数の上流側熱溶着バーの間で、前記第2フィルム材をガイド部材によって前記第1フィルム材から離れる方向に押すことで、前記第1フィルム材と前記第2フィルム材の無負荷状態におけるフィルム幅方向寸法を異ならせることを特徴とする請求項15に記載のパウチ製造方法。
【請求項17】
前記複数の熱溶着バーの間で、前記第1フィルム材および前記第2フィルム材の両方をガイド部材によって押すことで、前記第1フィルム材と前記第2フィルム材の無負荷状態におけるフィルム長手方向寸法及び幅方向寸法の少なくともいずれかを異ならせることを特徴とする請求項1に記載のパウチ製造方法。
【請求項18】
前記複数の上流側熱溶着バーの上流または間で、前記第1フィルム材および前記第2フィルム材のいずれかを搬送方向または幅方向において傾斜するようにガイド部材によって押すことで、前記第1フィルム材と前記第2フィルム材の無負荷状態におけるフィルム長手方向寸法および幅方向寸法を同時に異ならせることを特徴とする請求項15に記載のパウチ製造方法。
【請求項19】
前記第1フィルム材および前記第2フィルム材は、同一のフィルム構成を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項18のいずれかに記載のパウチ製造方法。
【請求項20】
搬送路上に設定された熱溶着エリアにおいて、前記搬送路に沿って送られてきた長尺状の第1フィルム材および第2フィルム材の被熱溶着箇所に対して熱溶着処理を施すことでパウチを製造するパウチ製造装置であって、
繰り返し実施される前記熱溶着処理において、前記第1フィルム材の前記被熱溶着箇所と、無負荷状態におけるフィルム長手方向寸法及び幅方向寸法の少なくともいずれかが前記第1フィルム材の前記被熱溶着箇所よりも大きい前記第2フィルム材の前記被熱溶着箇所とを、フィルム表裏方向に熱溶着バーで挟み込むことで熱溶着を施すように構成されていることを特徴とするパウチ製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パウチ製造方法およびパウチ製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、可撓性を有する樹脂製のフィルム材を熱接着によって製袋してなるパウチが、洗剤、シャンプー等のサニタリー用品や醤油、調味料等の食品類などの種々の流動性の内容物を包装する包装容器として広く用いられており、特に、プラスチックボトルやガラス瓶などの他の容器に内容物を詰め替えて使用する詰替パウチと称される包装容器として多用されている。
【0003】
このようなパウチは、例えば、下記の特許文献1に示されるように、ロール状に巻かれた長尺な樹脂製の原反フィルムを順次繰り出しながら、上下2枚のフィルム材およびその両側部に挟み込まれた底用フィルム材を連続的に搬送し、フィルム搬送方向(縦方向)の両側部およびフィルム幅方向(横方向)に延びる所定の間隔の横断部を熱接着する熱溶着処理や、隣接するパウチ間において設定されたカットラインでフィルム材を切断して個々のパウチとして分離する裁断処理が流れ作業的に行われることにより、製造される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記のように製造されたパウチには、水平面に平らに置いたときに四隅の一部または全部が浮く、いわゆる反りが発生することがある。このような反りの発生の原因は、フィルム材の厚みムラ、滑り性、二軸延伸フィルムの配向(異方性による捻れ)、フィルム材のラミネート工程におけるピッチ伸びや収縮等の原反フィルム自体の特性等、種々の要因の複合的なものであると推測される。
【0006】
そして、製造されたパウチの一部のみに反りが発生してしまった場合や、反りの方向が異なるパウチが混在してしまった場合には、パウチ製造後のパウチのハンドリングが難しくなるという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、これらの問題点を解決するものであり、簡素な構成で、パウチ製造後のパウチのハンドリング性を向上させるパウチ製造方法およびパウチ製造装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のパウチ製造方法は、搬送路上に設定された熱溶着エリアにおいて、前記搬送路に沿って送られてきた長尺状の第1フィルム材および第2フィルム材の被熱溶着箇所に対して熱溶着処理を施すことでパウチを製造するパウチ製造方法であって、繰り返し実施される前記熱溶着処理において、前記第1フィルム材の前記被熱溶着箇所と、無負荷状態におけるフィルム長手方向寸法が前記第1フィルム材の前記被熱溶着箇所よりも大きい前記第2フィルム材の前記被熱溶着箇所とを、フィルム表裏方向に熱溶着バーで挟み込むことで熱溶着を施すことにより、前記課題を解決するものである。
本発明のパウチ製造装置は、搬送路上に設定された熱溶着エリアにおいて、前記搬送路に沿って送られてきた長尺状の第1フィルム材および第2フィルム材の被熱溶着箇所に対して熱溶着処理を施すことでパウチを製造するパウチ製造装置であって、繰り返し実施される前記熱溶着処理において、前記第1フィルム材の前記被熱溶着箇所と、無負荷状態におけるフィルム長手方向寸法が前記第1フィルム材の前記被熱溶着箇所よりも大きい前記第2フィルム材の前記被熱溶着箇所とを、フィルム表裏方向に熱溶着バーで挟み込むことで熱溶着を施すように構成されていることにより、前記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1、19、20に係る発明によれば、繰り返し実施される熱溶着処理において、第1フィルム材の被熱溶着箇所と、無負荷状態におけるフィルム長手方向寸法が第1フィルム材の被熱溶着箇所よりも大きい第2フィルム材の被熱溶着箇所とを、フィルム表裏方向に熱溶着バーで挟み込むことで熱溶着を施すことにより、製造されたパウチに生じる反りの方向を一方向に誘導し、すなわち、パウチの隅部が第1フィルム材側に寄るようにパウチの反り態様を誘導し、製造されるパウチに、反りの方向が異なるパウチが混在してしまうことを抑制できるため、パウチ製造後のパウチのハンドリング性を向上させることができる。
【0010】
請求項2に係る発明によれば、第1処理エリアにおいて、第2フィルム材の被熱溶着箇所を、フィルム搬送方向の下流側に向かうに従って第1フィルム材側に寄るまたは第1フィルム材側から離れるように傾斜させることにより、簡素な構成で、熱溶着バーで挟み込まれる、第2フィルム材の被熱溶着箇所の無負荷状態におけるフィルム長手方向寸法が、第1フィルム材の被熱溶着箇所の無負荷状態におけるフィルム長手方向寸法よりも大きくなるようにすることができる。
請求項3に係る発明によれば、熱溶着エリアの上流側において、第2フィルム材をガイド部材によって第1フィルム材から離れる方向に押すことにより、簡素な構成で、第1処理エリアにおいて、第2フィルム材の被熱溶着箇所を傾斜させることができる。
請求項4に係る発明によれば、ガイド部材は、熱溶着エリアよりも上流側かつフィルム合流部よりも下流側に設置されていることにより、フィルム合流部を備えた既存のパウチ製造装置にガイド部材を追加で設けただけの簡素な構成で、第1処理エリアにおいて、第2フィルム材の被熱溶着箇所を傾斜させることができる。
請求項5に係る発明によれば、ガイド部材は、フィルム表裏方向に移動可能に設けられていることにより、熱溶着処理を施す時には、ガイド部材によって第2フィルム材を押し、第2フィルム材を下流側に送る時にはガイド部材によって第2フィルム材を押さないようにすることが可能である等、第2フィルム材の搬送を円滑に行うことができる。
請求項6に係る発明によれば、ガイド部材によって第2フィルム材を押すことで、第1処理エリアにおいて、第2フィルム材の幅方向両側部よりも幅方向中央部が第1フィルム材から離れる方向に寄った状態とすることにより、パウチの隅部が第1フィルム材側に寄るようにパウチの反り態様を確実に誘導することができる。
請求項7に係る発明によれば、熱溶着エリアにおいて、第1フィルム材の張力を第2フィルム材の張力よりも大きくすることにより、簡素な構成で、熱溶着バーで挟み込まれる、第2フィルム材の被熱溶着箇所の無負荷状態におけるフィルム長手方向寸法を、第1フィルム材の被熱溶着箇所の無負荷状態におけるフィルム長手方向寸法よりも大きくすることができる。
請求項8に係る発明によれば、フィルム材の張力を維持しつつ、フィルム材を円滑に搬送することができる。
請求項9~13に係る発明によれば、簡素な構成で、熱溶着エリアにおける第1フィルム材の張力を第2フィルム材の張力よりも容易に大きくすることができる。
請求項14に係る発明によれば、第1フィルム材の熱収縮率が、第2フィルム材の熱収縮率よりも大きく形成されていることにより、パウチの隅部が第1フィルム材側に寄るようにパウチの反り態様を確実に誘導することができる。
請求項15に係る発明によれば、複数の上流側熱溶着バーの間で、前記第1フィルム材と前記第2フィルム材の幅方向の材料の長さを異ならせた状態で熱溶着を施すことにより、下流側の溶着バーによる幅方向溶着処理の際に、第1フィルム材と第2フィルム材の無負荷状態におけるフィルム幅方向寸法を異ならせることができ、製造されたパウチに生じる反りの方向を一方向に誘導し、製造されるパウチに反りの方向が異なるパウチが混在してしまうことを抑制できるため、パウチ製造後のパウチのハンドリング性を向上させることができる。
請求項16に係る発明によれば、第2フィルム材をガイド部材によって第1フィルム材から離れる方向に押すことで、上流側熱溶着バーによる幅方向溶着処理の際に、第1フィルム材と第2フィルム材の無負荷状態におけるフィルム幅方向寸法を異ならせることができ、製造されたパウチに生じる反りの方向を一方向に誘導し、製造されるパウチに反りの方向が異なるパウチが混在してしまうことを抑制できるため、パウチ製造後のパウチのハンドリング性を向上させることができる。
請求項17に係る発明によれば、第1フィルム材および第2フィルム材の両方をガイド部材によって押すことで、熱溶着バーによる溶着処理の際に、第1フィルム材と第2フィルム材の無負荷状態におけるフィルム寸法を異ならせることができ、製造されたパウチに生じる反りの方向を一方向に誘導し、製造されるパウチに反りの方向が異なるパウチが混在してしまうことを抑制できるため、パウチ製造後のパウチのハンドリング性を向上させることができる。
請求項18に係る発明によれば、第1フィルム材および第2フィルム材のいずれかを搬送方向において傾斜するようにガイド部材によって押すことで、上流側熱溶着バーによる幅方向溶着処理の際に、第1フィルム材と第2フィルム材の無負荷状態におけるフィルム長手方向寸法および幅方向寸法を同時に異ならせることができ、製造されたパウチに生じる反りの方向を一方向に誘導し、製造されるパウチに反りの方向が異なるパウチが混在してしまうことを抑制できるため、パウチ製造後のパウチのハンドリング性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係るパウチ製造装置を示す説明図。
【
図2】ガイド部材によって第2フィルム材を押した状態を示す説明図。
【
図3】ガイド部材の設置態様を上方側から見て示す説明図。
【
図4】ガイド部材の設置態様の変形例を上方側から見て示す説明図。
【
図8】第2実施形態のガイド部材によって第2フィルム材を押した状態を示す説明図。
【
図9】第3実施形態のガイド部材によって第2フィルム材を押した状態を示す説明図。
【
図10】第4実施形態のガイド部材によって第2フィルム材を押した状態を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の一実施形態であるパウチ製造装置10およびパウチ製造方法について、図面に基づいて説明する。
【0013】
パウチ製造装置10は、搬送路R上に設定された熱溶着エリアAにおいて、搬送路Rに沿って送られてきた長尺状の第1フィルム材F1および第2フィルム材F2の被熱溶着箇所に対して熱溶着処理を順次施すことで、可撓性を有した樹脂フィルムを所定箇所で熱溶着して成る袋状包装容器としてのパウチPを連続的に製造するものである。
【0014】
本実施形態では、パウチPは、
図7に示すように、対向して配置される樹脂フィルムから成る第1フィルム材F1および第2フィルム材F2と、その底部において第1フィルム材F1および第2フィルム材F2の間に2つ折り状態で折り畳まれた状態で配置される樹脂フィルムから成る底用フィルム材F3とから構成され、各フィルム材F1、F2、F3を所定箇所で熱溶着するシール部(
図7に示す、ボトムシール部S1、サイドシール部S2)を形成することで、その底部にマチ部を有したスタンディングパウチとして構成されている。
なお、パウチ製造装置10で製造されたパウチPでは、
図7に示すトップシール予定箇所S3については熱溶着されていない。このトップシール予定箇所S3は、パウチP内に内容物を充填した後に熱溶着される部位である。
【0015】
以下に、パウチ製造装置10の各構成要素について、図面に基づいて説明する。
【0016】
まず、パウチ製造装置10は、
図1に示すように、フィルム材F、F1、F2、F3をフィルム搬送方向に沿って搬送するフィルム搬送設備20と、フィルム材F1、F2、F3に熱溶着処理を施すヒートシール機構60と、裁断処理を施す裁断機構70と、パウチ製造装置10の各部を制御するCPU等を有したパソコンやPLC等から成る制御部(図示しない)とを備えている。
【0017】
フィルム搬送設備20は、
図1に示すように、フィルム材F、F1、F2を連続送りする連続フィード機構30と、連続フィード機構30の下流側においてフィルム材F1、F2、F3を間欠送りする間欠フィード機構50と、連続フィード機構30および間欠フィード機構50の間に設けられたフィード調節機構40とを備えている。
【0018】
連続フィード機構30は、
図1に示すように、分割前フィルム材Fを供給するフィルム供給部31と、フィルム供給部31の下流側に設置された連続フィードロール群32と、連続フィードロール群32の下流側に設置された分割手段33とを備えている。
【0019】
フィルム供給部31は、
図1に示すように、分割前フィルム材Fをロール状に巻いた原反ロールRを水平軸回りに軸支するように構成されている。
連続フィードロール群32は、
図1に示すように、垂直軸周りに軸支されてモータ等から成る制御駆動部(図示しない)によって駆動される複数の送り出しロールから構成され、分割前フィルム材Fを連続送りするように構成されている。
フィルム供給部31から水平に引き出された分割前フィルム材Fは、
図1に示すように、複数の傾斜状のガイドロール群に掛け回されて、垂直面に沿うように偏向されて連続フィードロール群32にフィードされる。
分割手段33は、カッター等から構成され、
図1に示すように、分割前フィルム材Fを中央で分割して上側の第1フィルム材F1および下側の第2フィルム材F2に連続的に分割するように構成されている。
分割後のフィルム材F1、F2は、分割手段33によって再び水平面に沿うように偏向されて、下流のフィード調節機構40にフィードされる。
【0020】
フィード調節機構40では、
図1に示すように、連続フィード機構30からフィードされたフィルム材F1、F2が、上下に間隔をおいた対称の経路をフィードされ、下流側のフィルム合流部43において、重ね合わせロール43aによって互いに重ね合わされて、間欠フィード機構50にフィードされる。
【0021】
ここで、上記のフィルム合流部43は、搬送路R(更に詳しくは、後述する合流搬送経路R3)上に設けられ、熱溶着エリアAよりも上流側において、第1フィルム材F1および第2フィルム材F2を接触させるように合流させる部位である。
なお、本実施形態では、
図1に示すように、フィルム合流部43の手前から、製造後にスタンディングパウチの底材として機能する底用フィルム材F3が供給され、フィルム合流部43において上下2枚のフィルム材F1、F2の両側部に重ね合わせて挟み込まれる。
【0022】
フィード調節機構40の上下の経路(第1フィルム材F1を送る上方の経路、および、第2フィルム材F2を送る下方の経路)のうち上方側の経路(後述する第1搬送経路R1)には、
図1に示すように、送られるフィルム材F1、F2との接触によって回転する従動ロールとして構成された、円筒状の外周面を有した複数の第1ガイドロール41が設置され、これら複数の第1ガイドロール41には、フィルム材F、F1、F2に生じる張力変動を制御(調整)する張力制御手段として機能する、少なくとも1つの第1ダンサーロール41aと少なくとも1つの第1張力検出ロール41bとが含まれる。
【0023】
同様に、フィード調節機構40の上下の経路のうち下方側の経路(後述する第2搬送経路R2)には、
図1に示すように、第1ガイドロール41と同様に構成された複数の第2ガイドロール42が設置され、これら複数の第2ガイドロール42には、第1ダンサーロール41aと同様に構成された少なくとも1つの第2ダンサーロール42aと、第1張力検出ロール41bと同様に構成された少なくとも1つの第2張力検出ロール42bとが含まれる。
【0024】
ダンサーロール41a、42aは、
図1に示すように、
図1に示す矢印方向に往復揺動可能に設けられ、アクチュエータやモータ等の駆動源(図示しない)によって揺動駆動されるように構成されている。
張力検出ロール41b、42bには、その回転軸にかかる力を検出する張力センサ(図示しない)が接続され、フィルム材F1、F2の張力を検出するように構成されている。
【0025】
間欠フィード機構50では、
図1に示すように、最下流に設置された間欠フィードロール51によって、底用フィルム材F3を挟んで重ね合わされた上下2枚のフィルム材F1、F2を所定の量ずつ間欠送りするように構成されている。
【0026】
フィルム合流部43と間欠フィードロール51との間の区間には、フィルム材の表面に設けられた複数のマークを検知してフィルム材の位置を検出する2次元光学センサ(図示しない)が設置されている。
【0027】
間欠フィード機構50によってフィルム材F1、F2、F3が間欠送りされる領域において搬送路R上に設定された熱溶着エリアAには、
図1に示すように、フィルム材F1、F2、F3に熱溶着処理を施すヒートシール機構60が設けられている。
【0028】
搬送路Rは、
図1や
図5に示すように、第1フィルム材F1を単独で搬送する第1搬送経路R1と、第2フィルム材F2を単独で搬送する第2搬送経路R2と、第1搬送経路R1および第2搬送経路R2の下流側に設けられ、第1フィルム材F1および第2フィルム材F2の内側面同士を対向(接触)させるように、第1フィルム材F1および第2フィルム材F2を合流させて搬送する合流搬送経路R3と、第1搬送経路R1および第2搬送経路R2の上流側に設けられ、分割前フィルム材Fを搬送する上流側搬送路R4とを含んでいる。
【0029】
本実施形態では、
図1や
図5に示すように、第1搬送経路R1および第1搬送経路R2は、分割手段33からフィルム合流部43までの区間であり、合流搬送経路R3は、フィルム合流部43から裁断機構70までの区間であり、上流側搬送路R4は、フィルム供給部31から分割手段33までの区間である。
【0030】
第1搬送経路R1には、
図5に示すように、上述した複数の第1ガイドロール41が設置され、複数の第1ガイドロール41には、
図6に示すように、第1フィルム材F1の内側面に接触するように設置された複数の第1内側ガイドロール41cと、第1フィルム材F1の外側面に接触するように設置された複数の第1外側ガイドロール41dとが含まれる。
【0031】
同様に、第2搬送経路R2には、
図5に示すように、上述した複数の第2ガイドロール42が設置され、複数の第2ガイドロール42には、
図6に示すように、第2フィルム材F2の内側面に接触するように設置された複数の第2内側ガイドロール42cと、第2フィルム材F2の外側面に接触するように設置された複数の第2外側ガイドロール42dとが含まれる。
【0032】
ヒートシール機構60は、
図1や
図2に示すように、フィルム材F1、F2、F3の所定箇所をフィルム表裏方向(本実施形態の場合、上下方向)に挟み込んで熱溶着を施す平坦状の押圧面61aを有した金属製の複数の熱溶着バー61と、熱溶着バー61を加熱するヒーター等から成る加熱手段(図示しない)と、フィルム材F1、F2、F3の所定箇所をフィルム表裏方向(本実施形態の場合、上下方向)に挟み込んで冷却を施す平坦状の押圧面を有した金属製の複数の冷却バー62と、冷却水等を用いて冷却バー62を冷却する冷却手段(図示しない)とを有している。
各熱溶着バー61の平坦状の押圧面61aおよび各冷却バー62の平坦状の押圧面は、フィルム表裏方向(上下方向)に対して垂直に形成されている。
【0033】
熱溶着エリアAには、
図1に示すように、熱溶着処理を施す複数の処理エリアA-1、A-2がフィルム搬送方向に並べて設定され、本実施形態では、複数の処理エリアA-1、A-2に、複数の処理エリアA-1、A-2のうち最も上流側に設定された第1処理エリアA-1、および、その下流側に設定された第2処理エリアA-2、2つの処理エリアA-1、A-2が含まれている。
第1処理エリアA-1には、
図1に示すように、フィルム搬送方向に沿って延びた形状の(本実施形態では、ボトムシール部S1を形成するための)熱溶着バー61(および冷却バー62)が配置され、また、第2処理エリアA-2には、フィルム搬送方向に垂直な方向であるフィルム幅方向に沿って延びた形状の(本実施形態では、サイドシール部S2を形成するための)熱溶着バー61(および冷却バー62)が配置されている。
なお、熱溶着エリアAにおける各熱溶着バー61(および冷却バー62)の配置態様、個数や、各熱溶着バー61(および冷却バー62)による形成部位については、上記に限定されず、実施形態に応じて任意に設定すればよい。例えば、製造するパウチPがスタンディングパウチではなく所謂平パウチの場合、第1処理エリアA-1における熱溶着によってパウチPのトップシール部またはボトムシール部を形成し、第2処理エリアA-2における熱溶着によってパウチPのサイドシール部を形成してもよい。また、第1処理エリアA-1における熱溶着によってパウチPのサイドシール部を形成し、第2処理エリアA-2における熱溶着によってパウチPのトップシール部またはボトムシール部を形成してもよい。
【0034】
また、間欠フィードロール51の下流には、カッター等から成る裁断機構70が配置され、裁断機構70は、熱溶着処理を施されたフィルム材F1、F2、F3に裁断処理を施すことで、個々のパウチPに切断分離するように構成されている。
なお、
図3に示す符号P1は、裁断処理後に個々のパウチPとなる領域を示している。
【0035】
パウチ製造装置10の制御部(図示しない)は、連続フィード機構30における連続送りと間欠フィード機構50における間欠送りの間の周期的なフィルム送り量の変動等に起因して、フィルム材F、F1、F2に生じる張力変動を制御(調整)する張力制御を行うように構成されている。
【0036】
具体的には、パウチ製造装置10の制御部(図示しない)は、ダンサーロール41a、42aのモータ等から成る駆動制御部(図示しない)、連続フィードロール群32のモータ等から成る制御駆動部(図示しない)、間欠フィードロール51のモータ等から成る駆動制御部(図示しない)、上記の張力センサ(図示しない)、上記の2次元光学センサ(図示しない)、等に接続され、これら各部から得た情報を基に、ダンサーロール41a、42aの駆動(往復揺動速度・揺動幅・駆動タイミング)、間欠フィードロール51の駆動(駆動速度・駆動タイミング)、連続フィードロール群32の駆動(駆動速度)を制御することで、フィルム材F1、F2の弛みを吸収して、フィルム材F1、F2の張力を制御(調整)するように構成されている。
【0037】
次に、本実施形態におけるパウチ製造方法について、以下に説明する。
【0038】
まず、
図1に示すように、フィルム供給部31から供給された分割前フィルム材Fは、分割手段33において第1フィルム材F1および第2フィルム材F2に分割され、その後、フィルム合流部43において、第1フィルム材F1および第2フィルム材F2は、相互間に底用フィルム材F3が配置された状態で合流し、熱溶着エリアAに送られる。
【0039】
熱溶着エリアAに送られたフィルム材F1、F2、F3は、ヒートシール機構60によって、第1フィルム材F1の被熱溶着箇所F1’と第2フィルム材F1の被熱溶着箇所F2’とをフィルム表裏方向に熱溶着バー61で挟み込むことで熱溶着を施す熱溶着処理が複数回施され、その後、下流側の裁断機構70によって個々のパウチPに切断分離される。
なお、
図2に示す被熱溶着箇所F1’、F2’は、第1処理エリアA-1に配置された熱溶着バー61によって熱溶着を施される箇所を示している。
【0040】
ここで、本実施形態では、繰り返し実施される全ての熱溶着処理において、第1フィルム材F1の被熱溶着箇所F1’と、無負荷状態におけるフィルム長手方向(フィルム搬送方向)の寸法が第1フィルム材F1の被熱溶着箇所F1’よりも大きい第2フィルム材F2の被熱溶着箇所F2’とを、フィルム表裏方向に熱溶着バー61で挟み込むことで熱溶着を施すようになっており、これにより、
図7(b)に示すように、製造されたパウチPに生じる反りの方向を一方向に誘導し、すなわち、パウチPの隅部が第1フィルム材F1側に寄るようにパウチPの反り態様を誘導する。
【0041】
上記について具体的に説明すると、まず、本実施形態では、無負荷状態におけるフィルム長手方向寸法(すなわち、熱溶着が施される前の状態であって、張力を含めて何らの負荷がフィルム材にかかっていない状態でフィルム材を平坦にした状態でのフィルム長手方向寸法)が、第1フィルム材F1の被熱溶着箇所F1’よりも第2フィルム材F2の被熱溶着箇所F2’の方が大きくなるようにするための手段として、
図2に示すように、熱溶着エリアAの上流側において第1フィルム材F1から離れる方向(下方)に向けて第2フィルム材F2を押すガイド部材80が設けられている。
【0042】
このガイド部材80は、
図2に示すように、熱溶着エリアAよりも上流側かつフィルム合流部43よりも下流側において、第1フィルム材F1と第2フィルム材F2との間に位置して、第2フィルム材F2を下方側に向けて押すように構成されている。
このように、ガイド部材80によって下方側に向けて押すことにより、
図2に示すように、少なくとも第1処理エリアA-1において、第2フィルム材F2の被熱溶着箇所F2’を、フィルム搬送方向の下流側に向かうに従って第1フィルム材F1側に寄るように傾斜させることで、無負荷状態におけるフィルム長手方向寸法が、第1フィルム材F1の被熱溶着箇所F1’よりも第2フィルム材F2の被熱溶着箇所F2’の方が大きくなるようにしている。
【0043】
なお、本実施形態では、
図2に示すように、熱溶着エリアAにおいて、第1フィルム材F1の被熱溶着箇所F1’が、フィルム搬送方向に対して傾斜していない(各熱溶着バー61の押圧面61aに対して平行な状態になっている)。
また、本実施形態では、熱溶着エリアAにおいて、第1フィルム材F1の張力と第2フィルム材F2の張力とが同じまたはほぼ同じになるように設定しているが、各フィルム材F1、F2の張力については、任意に設定すればよい。
【0044】
また、本実施形態では、ガイド部材80は、
図2に示すように、第2フィルム材F2との接触によって回転する水平軸回りに軸支された従動ロールとして構成されているが、ガイド部材80の具体的態様は、熱溶着エリアAの上流側において第1フィルム材F1から離れる方向(下方)に向けて第2フィルム材F2を押すものであれば、如何なるものでもよく、例えば、ガイド部材80を、回転可能なロールではなく、回転することなく第2フィルム材F2を摺動させる摺動部材として構成してもよい。
また、本実施形態では、ガイド部材80は、
図2に示すように、フィルム表裏方向(上下方向)に移動可能に設けられているが、ガイド部材80を、フィルム表裏方向にその位置が移動しないように設けてもよい。
【0045】
また、本実施形態では、ガイド部材80は、
図3に示すように、第2フィルム材F2の幅方向全域に亘って第2フィルム材F2を下方に向けて押すようになっているが、
図4に示すように、第2フィルム材F2の幅方向中央部(付近)のみを下方に向けて押し、少なくとも第1処理エリアA-1において、第2フィルム材F2の幅方向両側部よりも幅方向中央部が第1フィルム材F1から離れる方向(下方)に寄った状態とするようにしてもよい。
【0046】
また、本実施形態では、少なくとも第1処理エリアA-1において、第2フィルム材F2の被熱溶着箇所F2’を、フィルム搬送方向の下流側に向かうに従って第1フィルム材F1側に寄るように傾斜させるように構成されているが、反対に、少なくとも第1処理エリアA-1において、第2フィルム材F2の被熱溶着箇所F2’を、フィルム搬送方向の下流側に向かうに従って第1フィルム材F1側から離れるように傾斜させることで、無負荷状態におけるフィルム長手方向寸法が、第1フィルム材F1の被熱溶着箇所F1’よりも第2フィルム材F2の被熱溶着箇所F2’の方が大きくなるようにしてもよい。
【0047】
なお、
図2においては、底用フィルム材F3を図示していないが、本実施形態では、ガイド部材80が第2フィルム材F2のみを下方に向けて押すように設置され、すなわち、第2フィルム材F2の上方側であって底用フィルム材F3の下方側にガイド部材80が設置されている。しかしながら、ガイド部材80を第2フィルム材F2に加えて底用フィルム材F3についても下方に向けて押すように設置してもよく、すなわち、底用フィルム材F3の上方側にガイド部材80を設置してもよい。
【0048】
また、無負荷状態におけるフィルム長手方向寸法が、第1フィルム材F1の被熱溶着箇所F1’よりも第2フィルム材F2の被熱溶着箇所F2’の方が大きくなるようにするための方法として、上述したガイド部材80を用いた方法に換えて(またはガイド部材80を用いた方法に加えて)、熱溶着エリアAにおいて、第1フィルム材F1の張力を第2フィルム材F2の張力よりも大きくする(第1フィルム材F1を第2フィルム材F2よりも伸ばす)ことにより、熱溶着バー61で挟み込まれる、第2フィルム材F2の被熱溶着箇所F2’の無負荷状態におけるフィルム長手方向寸法を、第1フィルム材F1の被熱溶着箇所F1’の無負荷状態におけるフィルム長手方向寸法よりも大きくするようにしてもよい。
【0049】
ここで、熱溶着エリアAにおいて、第1フィルム材F1の張力を第2フィルム材F2の張力よりも大きくするための具体的方法としては、以下のようなものが考えられる。
【0050】
まず、第1搬送経路R1の経路長を、第2搬送経路R2の経路長よりも長く設定する(すなわち、第1搬送経路R1の経路長と合流搬送経路R3の経路長を足した長さを、第2搬送経路R2の経路長と合流搬送経路R3の経路長を足した長さよりも長く設定する)ことで、熱溶着エリアAにおいて、第1フィルム材F1の張力を第2フィルム材F2の張力よりも大きくするようにしてもよい。
【0051】
なお、ここで、第1搬送経路R1および合流搬送経路R3の区間に配置される(送り出される)第1フィルム材F1の無負荷状態におけるフィルム長手方向寸法は、第2搬送経路R2および合流搬送経路R3の区間に配置される第2フィルム材F2の無負荷状態におけるフィルム長手方向寸法とほぼ同じになるように(正確には、上述したように、無負荷状態におけるフィルム長手方向寸法が第1フィルム材F1の被熱溶着箇所F1’よりも第2フィルム材F2の被熱溶着箇所F2’の方が大きくなるようにしていることから、第2搬送経路R2および合流搬送経路R3の区間に配置される第2フィルム材F2の無負荷状態におけるフィルム長手方向寸法の方が僅かに長くなるように)設定されている。
また、フィルム材F、F1、F2の幅方向寸法(フィルム長手方向に直交する方向における寸法)は、フィルム長手方向に亘って均一である。
【0052】
また、第1ダンサーロール41aによって第1フィルム材F1を押す力(または圧力値)を、第2ダンサーロール42aによって第2フィルム材F2を押す力(または圧力値)よりも大きく設定することで、熱溶着エリアAにおいて、第1フィルム材F1の張力を第2フィルム材F2の張力よりも大きくするようにしてもよい。
【0053】
また、各第1ガイドロール41によって第1フィルム材F1を押す圧力値(N/m2)を合計した値(例えば、n個の各第1ガイドロール41毎の圧力値をP1、P2・・・Pnとした場合、P1+P2・・・+Pn)を、各第2ガイドロール42によって第2フィルム材F2を押す圧力値(N/m2)を合計した値よりも大きく設定することで、熱溶着エリアAにおいて、第1フィルム材F1の張力を第2フィルム材F2の張力よりも大きくするようにしてもよい。
【0054】
また、各第1ガイドロール41の外周面に対して第1フィルム材F1が接触する円周長(
図5の符号Lで示す長さ)を合計した値(例えば、n個の各第1ガイドロール41毎の円周長をL1、L2・・・Lnとした場合、L1+L2・・・+Ln)を、各第2ガイドロール42の外周面に対して第2フィルム材F2が接触する円周長を合計した値よりも大きく設定することで、熱溶着エリアAにおいて、第1フィルム材F1の張力を第2フィルム材F2の張力よりも大きくするようにしてもよい。
【0055】
また、第1ガイドロール41によって第1フィルム材F1を押す圧力値に当該第1ガイドロール41の外周面に対して第1フィルム材F1が接触する円周長を乗じた第1ガイドロール41毎の値を合計した値(例えば、n個の各第1ガイドロール41毎の圧力値をP1、P2・・・Pnとするとともに、各第1ガイドロール41毎の円周長をL1、L2・・・Lnとした場合、P1×L1+P2×L2・・・+Pn×Ln)を、第2ガイドロール42によって第2フィルム材F2を押す圧力値に当該第2ガイドロール42の外周面に対して第2フィルム材F2が接触する円周長を乗じた第2ガイドロール42毎の値を合計した値よりも大きく設定することで、熱溶着エリアAにおいて、第1フィルム材F1の張力を第2フィルム材F2の張力よりも大きくするようにしてもよい。
【0056】
また、第1フィルム材F1の張力(第1フィルム材F1にかかる張力)を第2フィルム材F2の張力(第2フィルム材F2にかかる張力)よりも大きくするための具体的方法は、上述した各手法以外にも、ダンサーロール41a、42aの駆動(往復揺動速度・揺動幅・駆動タイミング)、間欠フィードロール51の駆動(駆動速度・駆動タイミング)、連続フィードロール群32の駆動(駆動速度)、フィード調節機構40の上下の経路を構成する各ガイドロール41、42の回転抵抗や個数等のうち、少なくとも1つを調整することで、第1フィルム材F1の張力を第2フィルム材F2の張力よりも大きくすることが考えられる。
また、上述した手法を任意に組み合わせて張力を調整してもよい。
【0057】
なお、上述したように、フィルム材F1、F2の張力を調整することによって、熱溶着エリアAにおいて、第1フィルム材F1の張力を第2フィルム材F2の張力よりも大きくする場合、熱溶着エリアAにおける、フィルム材F1、F2の被熱溶着箇所F1’、F2’の状態については、フィルム搬送方向に対して傾斜していない状態(各熱溶着バー61の押圧面61aに対して平行な状態)、または、(上述したガイド部材80の設置等の手法によって、)フィルム搬送方向に対して傾斜した状態(フィルム搬送方向の下流側に向かうに従って他方のフィルム材F1、F2側に寄るまたは他方のフィルム材F1、F2側から離れるように傾斜した状態)のいずれに設定してもよい。
【0058】
また、製造されたパウチPに生じる反りの方向を一方向に誘導し、すなわち、パウチPの隅部が第1フィルム材F1側に寄るようにパウチPの反り態様を誘導するための方法として、以下のような方法も考えられる。
なお、以下に説明する、パウチPの隅部が第1フィルム材F1側に寄るようにパウチPの反り態様を誘導するための方法を、上述した第1フィルム材F1の被熱溶着箇所F1’よりも第2フィルム材F2の被熱溶着箇所F2’の方が大きくなるようにするための各種方法と任意に組み合わせて、または、単独で実施してもよい。
【0059】
まず、各第1内側ガイドロール41cによって第1フィルム材F1を押す圧力値(例えば、n個の各第1内側ガイドロール41c毎の圧力値をP1、P2・・・Pnとした場合、P1+P2・・・+Pn)を合計した値を、各第1外側ガイドロール41dによって第1フィルム材F1を押す圧力値を合計した値よりも大きく設定するとともに、各第2内側ガイドロール42cによって第2フィルム材F2を押す圧力値を合計した値を、各第2外側ガイドロール42dによって第2フィルム材F2を押す圧力値を合計した値よりも小さく設定することで、パウチPの隅部が第1フィルム材F1側に寄るようにパウチPの反り態様を誘導してもよい。
【0060】
また、各第1内側ガイドロール41cの外周面に対して第1フィルム材F1が接触する円周長を合計した値(例えば、n個の各第1内側ガイドロール41c毎の円周長をL1、L2・・・Lnとした場合、L1+L2・・・+Ln)を、各第1外側ガイドロール41dの外周面に対して第1フィルム材F1が接触する円周長を合計した値よりも大きく設定するとともに、各第2内側ガイドロール42cの外周面に対して第2フィルム材F2が接触する円周長を合計した値を、各第2外側ガイドロール42dの外周面に対して第2フィルム材F2が接触する円周長を合計した値よりも小さく設定することで、パウチPの隅部が第1フィルム材F1側に寄るようにパウチPの反り態様を誘導してもよい。
【0061】
また、第1内側ガイドロール41cによって第1フィルム材F1を押す圧力値に当該第1内側ガイドロール41cの外周面に対して第1フィルム材F1が接触する円周長を乗じた第1内側ガイドロール41c毎の値を合計した値(例えば、n個の各第1内側ガイドロール41c毎の圧力値をP1、P2・・・Pnとするとともに、各第1内側ガイドロール41c毎の円周長をL1、L2・・・Lnとした場合、P1×L1+P2×L2・・・+Pn×Ln)を、第1外側ガイドロール41dによって第1フィルム材F1を押す圧力値に当該第1外側ガイドロール41dの外周面に対して第1フィルム材F1が接触する円周長を乗じた第1外側ガイドロール41d毎の値を合計した値よりも大きく設定するとともに、第2内側ガイドロール42cによって第2フィルム材F2を押す圧力値に当該第2内側ガイドロール42cの外周面に対して第2フィルム材F2が接触する円周長を乗じた第2内側ガイドロール42c毎の値を合計した値を、第2外側ガイドロール42dによって第2フィルム材F2を押す圧力値に当該第2外側ガイドロール42dの外周面に対して第1フィルム材F1が接触する円周長を乗じた第2外側ガイドロール42d毎の値を合計した値よりも小さく設定することで、パウチPの隅部が第1フィルム材F1側に寄るようにパウチPの反り態様を誘導してもよい。
【0062】
本発明の第2実施形態におけるパウチ製造方法について、以下に説明する。
図8に示すように、第1処理エリアA-1において、搬送路の搬送方向に略平行に延びる複数の上流側熱溶着バー61による搬送方向溶着処理が行われ、複数の上流側熱溶着バー61の間で、第2フィルム材F2をガイド部材80によって第1フィルム材F1から離れる方向に押すことで、第1フィルム材F1と第2フィルム材F2の無負荷状態におけるフィルム幅方向寸法を異ならせた状態で搬送方向に熱溶着を施すように構成されている。
この第1処理エリアA-1における上流側熱溶着バー61による搬送方向溶着処理の際に、第1フィルム材F1と第2フィルム材F2の無負荷状態におけるフィルム幅方向寸法を異ならせることができ、製造されたパウチに生じる反りの方向を一方向に誘導し、製造されるパウチに反りの方向が異なるパウチが混在してしまうことを抑制できる。
【0063】
本発明の第3実施形態におけるパウチ製造方法について、以下に説明する。
図9に示すように、第1処理エリアA-1において、搬送路の搬送方向に略平行に延びる複数の上流側熱溶着バー61による搬送方向溶着処理が行われ、複数の上流側熱溶着バー61の間で、第1フィルム材F1および第2フィルム材F2をガイド部材80によって押すことで、第1フィルム材F1と第2フィルム材F2の無負荷状態におけるフィルム幅方向寸法を異ならせた状態で搬送方向に熱溶着を施すように構成されている。
このことで、第2処理エリアA-2にける下流側熱溶着バー61による幅方向溶着処理の際に、第1フィルム材F1と第2フィルム材F2の無負荷状態におけるフィルム幅方向寸法を異ならせることができ、製造されたパウチに生じる反りの方向を一方向に誘導し、製造されるパウチに反りの方向が異なるパウチが混在してしまうことを抑制できる。
また、本実施形態のガイド部材は第1フィルム材F1および第2フィルム材F2の間に配置する必要がないため、すでに長手方向の熱溶着が完了している第2処理エリアA-2で下流側熱溶着バー61の間にガイド部材を設けて長手方向寸法を異ならせるように構成されてもよい。
【0064】
本発明の第4実施形態におけるパウチ製造方法について、以下に説明する。
図10に示すように、第1処理エリアA-1において、搬送路の搬送方向に略平行に延びる複数の上流側熱溶着バー61による搬送方向溶着処理が行われ、複数の上流側熱溶着バー61の上流側で、第2フィルム材F2を搬送路の幅方向において傾斜するようにガイド部材80によって押すことで、第1フィルム材F1と第2フィルム材F2の無負荷状態における長手方向寸法およびフィルム幅方向寸法を同時に異ならせた状態で搬送方向に熱溶着を施すように構成されている。
この第1処理エリアA-1における上流側熱溶着バー61による搬送方向溶着処理の際に、第1フィルム材F1と第2フィルム材F2の無負荷状態におけるフィルム長手方向寸法および幅方向寸法を同時に異ならせることができ、製造されたパウチに生じる反りの方向を一方向に誘導し、製造されるパウチに反りの方向が異なるパウチが混在してしまうことを抑制できる。
また、ガイド部材80を複数の上流側熱溶着バー61の間に搬送方向に伸びるように配置し、第2フィルム材F2を搬送路の搬送方向において傾斜するようにガイド部材80によって押すことで、第1フィルム材F1と第2フィルム材F2の無負荷状態における長手方向寸法と幅方向寸法を同時に異ならせた状態で搬送方向に熱溶着を施すように構成してもよい。
【0065】
なお、第2実施形態乃至第4実施形態において、ガイド部材80はフィルム幅方向の間に存在すればよく、その搬送方向の寸法や位置関係はいかなるものであってもよい。
また、第2実施形態乃至第4実施形態において、ガイド部材80によって第1フィルム材F1を逆方向に押すものであってもよい。
また、各実施形態は、上流側熱溶着バー61を幅方向両サイドに1対ずつの2列のもので説明したが、3列以上設けられたものであってもよく、その場合は、各列の上流側熱溶着バー61の間またはその上流にガイド部材80を有するものであってもよい。
【0066】
以上、本発明の実施形態を詳述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、上記または下記の実施形態や変形例の各構成を任意に組み合わせてパウチ製造装置10およびパウチ製造方法を構成する等、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行なうことが可能である。
【0067】
例えば、上述した実施形態では、製造されるパウチPが、
図7に示すようなスタンディングパウチであるものとして説明したが、パウチPの具体的態様については、第1フィルム材F1および第2フィルム材F2を熱溶着して成るものであれば、例えば、底用フィルム材F3を有さない所謂平パウチ等、如何なるものよい。
【0068】
また、上述した実施形態では、搬送路途中で分割前フィルム材Fを第1フィルム材F1および第2フィルム材F2に分割するものとして説明したが、搬送路途中で分割するのではなく予め別体に形成された第1フィルム材F1および第2フィルム材F2を用意してパウチ製造装置10にセットしてもよい。
また、上述した実施形態では、第1フィルム材F1および第2フィルム材F2が同一のフィルム構成を備えているものとして説明したが、第1フィルム材F1および第2フィルム材F2が異なるフィルム構成を備えるようにしてもよく、例えば、第1フィルム材F1の熱収縮率が、第2フィルム材F2の熱収縮率よりも大きくなるようにしてもよい。
なお、本明細書で言うところの「同一のフィルム構成」とは、例えば印刷層等の付加的な層を除いたフィルムの基本的な構成が同一であることを意味する。
【0069】
また、上述した実施形態では、搬送路において第1フィルム材F1が上方側に配置され第2フィルム材F2が下方側に配置されているものとして説明したが、搬送路におけるフィルム材F1、F2の具体的な位置関係は、上記に限定されず、例えば、反対に、第1フィルム材F1を下方側に配置し第2フィルム材F2を上方側に配置してもよい。
【0070】
また、上述した実施形態では、間欠フィードロール51が熱溶着エリアAの下流側に設置されているものとして説明したが、間欠フィードロール51の設置個数や設置場所については、上記に限定されず、任意の個数を任意の場所に設置すればよい。
【0071】
また、上述した実施形態では、熱溶着エリアAに、複数の処理エリアA-1、A-2が含まれるものとして説明したが、処理エリアの数は、1つまたは3つ以上であってもよい。
【0072】
上述の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
搬送路上に設定された熱溶着エリアにおいて、前記搬送路に沿って送られてきた長尺状の第1フィルム材および第2フィルム材の被熱溶着箇所に対して熱溶着処理を施すことでパウチを製造するパウチ製造方法であって、
繰り返し実施される前記熱溶着処理において、前記第1フィルム材の前記被熱溶着箇所と、無負荷状態におけるフィルム長手方向寸法及び幅方向寸法の少なくともいずれかが前記第1フィルム材の前記被熱溶着箇所よりも大きい前記第2フィルム材の前記被熱溶着箇所とを、フィルム表裏方向に熱溶着バーで挟み込むことで熱溶着を施すことを特徴とするパウチ製造方法。
(付記2)
前記熱溶着エリアには、前記熱溶着処理を施す処理エリアが設定され、
前記処理エリアには、前記処理エリアのうち最も上流側に設定された第1処理エリアが含まれ、
前記第1処理エリアにおいて、前記第2フィルム材の前記被熱溶着箇所を、フィルム搬送方向の下流側に向かうに従って前記第1フィルム材側に寄るまたは前記第1フィルム材側から離れるように傾斜させることで、前記熱溶着バーで挟み込まれる、前記第2フィルム材の前記被熱溶着箇所の無負荷状態におけるフィルム長手方向寸法が、前記第1フィルム材の前記被熱溶着箇所の無負荷状態におけるフィルム長手方向寸法よりも大きくなるようにすることを特徴とする付記1に記載のパウチ製造方法。
(付記3)
前記熱溶着エリアの上流側において、前記第2フィルム材をガイド部材によって前記第1フィルム材から離れる方向に押すことで、前記第1処理エリアにおいて、前記第2フィルム材の前記被熱溶着箇所を、フィルム搬送方向の下流側に向かうに従って前記第1フィルム材側に寄るように傾斜させることを特徴とする付記2に記載のパウチ製造方法。
(付記4)
前記搬送路上には、前記熱溶着エリアよりも上流側において、前記第1フィルム材および前記第2フィルム材を接触させるように合流させるフィルム合流部が設けられており、
前記ガイド部材は、前記熱溶着エリアよりも上流側かつ前記フィルム合流部よりも下流側に設置されていることを特徴とする付記3に記載のパウチ製造方法。
(付記5)
前記ガイド部材は、フィルム表裏方向に移動可能に設けられていることを特徴とする付記3または付記4に記載のパウチ製造方法。
(付記6)
前記ガイド部材によって前記第2フィルム材を押すことで、前記第1処理エリアにおいて、前記第2フィルム材の幅方向両側部よりも幅方向中央部が前記第1フィルム材から離れる方向に寄った状態とすることを特徴とする付記3乃至付記5のいずれかに記載のパウチ製造方法。
(付記7)
前記熱溶着エリアにおいて、前記第1フィルム材の張力を前記第2フィルム材の張力よりも大きくすることにより、前記熱溶着バーで挟み込まれる、前記第2フィルム材の前記被熱溶着箇所の無負荷状態におけるフィルム長手方向寸法を、前記第1フィルム材の前記被熱溶着箇所の無負荷状態におけるフィルム長手方向寸法よりも大きくすることを特徴とする付記1乃至付記6のいずれかに記載のパウチ製造方法。
(付記8)
前記搬送路は、前記第1フィルム材を単独で搬送する第1搬送経路と、前記第2フィルム材を単独で搬送する第2搬送経路と、前記第1搬送経路および前記第2搬送経路の下流側に設けられ、前記第1フィルム材および前記第2フィルム材を合流させて搬送する合流搬送経路とを含み、
前記熱溶着エリアは、前記合流搬送経路上に設定され、
前記第1搬送経路には、前記第1フィルム材をガイドする複数の第1ガイドロールが設置され、
前記第2搬送経路には、前記第2フィルム材をガイドする複数の第2ガイドロールが設置されていることを特徴とする付記1乃至付記7のいずれかに記載のパウチ製造方法。
(付記9)
前記第1搬送経路の経路長は、前記第2搬送経路の経路長よりも長く設定されていることを特徴とする付記8に記載のパウチ製造方法。
(付記10)
前記複数の第1ガイドロールには、往復動可能に設けられた第1ダンサーロールが含まれ、
前記複数の第2ガイドロールには、往復動可能に設けられた第2ダンサーロールが含まれ、
前記第1ダンサーロールによって前記第1フィルム材を押す力を、前記第2ダンサーロールによって前記第2フィルム材を押す力よりも大きく設定することを特徴とする付記8または付記9に記載のパウチ製造方法。
(付記11)
前記各第1ガイドロールによって前記第1フィルム材を押す圧力値を合計した値を、前記各第2ガイドロールによって前記第2フィルム材を押す圧力値を合計した値よりも大きく設定することを特徴とする付記8乃至付記10のいずれかに記載のパウチ製造方法。
(付記12)
前記各第1ガイドロールの外周面に対して前記第1フィルム材が接触する円周長を合計した値を、前記各第2ガイドロールの外周面に対して前記第2フィルム材が接触する円周長を合計した値よりも大きく設定することを特徴とする付記8乃至付記11のいずれかに記載のパウチ製造方法。
(付記13)
前記第1ガイドロールによって前記第1フィルム材を押す圧力値に当該第1ガイドロールの外周面に対して前記第1フィルム材が接触する円周長を乗じた前記第1ガイドロール毎の値を合計した値を、前記第2ガイドロールによって前記第2フィルム材を押す圧力値に当該第2ガイドロールの外周面に対して前記第2フィルム材が接触する円周長を乗じた前記第2ガイドロール毎の値を合計した値よりも大きく設定することを特徴とする付記8乃至付記12のいずれかに記載のパウチ製造方法。
(付記14)
前記搬送路は、前記第1フィルム材を単独で搬送する第1搬送経路と、前記第2フィルム材を単独で搬送する第2搬送経路と、前記第1搬送経路および前記第2搬送経路の下流側に設けられ、前記第1フィルム材および前記第2フィルム材の内側面同士を対向させるように、前記第1フィルム材および前記第2フィルム材を合流させて搬送する合流搬送経路とを含み、
前記熱溶着エリアは、前記合流搬送経路上に設定され、
前記第1搬送経路には、前記第1フィルム材をガイドする複数の第1ガイドロールが設置され、
前記第2搬送経路には、前記第2フィルム材をガイドする複数の第2ガイドロールが設置され、
前記複数の第1ガイドロールには、前記第1フィルム材の内側面に接触するように設置された複数の第1内側ガイドロールと、前記第1フィルム材の外側面に接触するように設置された複数の第1外側ガイドロールとが含まれ、
前記複数の第2ガイドロールには、前記第2フィルム材の内側面に接触するように設置された複数の第2内側ガイドロールと、前記第2フィルム材の外側面に接触するように設置された複数の第2外側ガイドロールとが含まれることを特徴とする付記1乃至付記13のいずれかに記載のパウチ製造方法。
(付記15)
前記各第1内側ガイドロールによって前記第1フィルム材を押す圧力値を合計した値を、前記各第1外側ガイドロールによって前記第1フィルム材を押す圧力値を合計した値よりも大きく設定するとともに、
前記各第2内側ガイドロールによって前記第2フィルム材を押す圧力値を合計した値を、前記各第2外側ガイドロールによって前記第2フィルム材を押す圧力値を合計した値よりも小さく設定することを特徴とする付記14に記載のパウチ製造方法。
(付記16)
前記各第1内側ガイドロールの外周面に対して前記第1フィルム材が接触する円周長を合計した値を、前記各第1外側ガイドロールの外周面に対して前記第1フィルム材が接触する円周長を合計した値よりも大きく設定するとともに、
前記各第2内側ガイドロールの外周面に対して前記第2フィルム材が接触する円周長を合計した値を、前記各第2外側ガイドロールの外周面に対して前記第2フィルム材が接触する円周長を合計した値よりも小さく設定することを特徴とする付記14または付記15に記載のパウチ製造方法。
(付記17)
前記第1内側ガイドロールによって前記第1フィルム材を押す圧力値に当該第1内側ガイドロールの外周面に対して前記第1フィルム材が接触する円周長を乗じた前記第1内側ガイドロール毎の値を合計した値を、前記第1外側ガイドロールによって前記第1フィルム材を押す圧力値に当該第1外側ガイドロールの外周面に対して前記第1フィルム材が接触する円周長を乗じた前記第1外側ガイドロール毎の値を合計した値よりも大きく設定するとともに、
前記第2内側ガイドロールによって前記第2フィルム材を押す圧力値に当該第2内側ガイドロールの外周面に対して前記第2フィルム材が接触する円周長を乗じた前記第2内側ガイドロール毎の値を合計した値を、前記第2外側ガイドロールによって前記第2フィルム材を押す圧力値に当該第2外側ガイドロールの外周面に対して前記第1フィルム材が接触する円周長を乗じた前記第2外側ガイドロール毎の値を合計した値よりも小さく設定することを特徴とする付記14乃至付記17のいずれかに記載のパウチ製造方法。
(付記18)
前記第1フィルム材の熱収縮率が、前記第2フィルム材の熱収縮率よりも大きく形成されていることを特徴とする付記1乃至付記17のいずれかに記載のパウチ製造方法。
(付記19)
前記熱溶着エリアには、前記熱溶着処理を施す処理エリアが設定され、
前記処理エリアには、前記処理エリアのうち最も上流側に設定された第1処理エリアが含まれ、
前記第1処理エリアにおいて、前記搬送路の搬送方向に略平行に延びる複数の上流側熱溶着バーによる搬送方向溶着処理が行われ、
前記搬送方向溶着処理は、前記複数の上流側熱溶着バーの間で、前記第1フィルム材と前記第2フィルム材の無負荷状態におけるフィルム幅方向寸法を異ならせた状態で熱溶着を施すことを特徴とする付記1乃至付記18のいずれかに記載のパウチ製造方法。
(付記20)
前記複数の上流側熱溶着バーの間で、前記第2フィルム材をガイド部材によって前記第1フィルム材から離れる方向に押すことで、前記第1フィルム材と前記第2フィルム材の無負荷状態におけるフィルム幅方向寸法を異ならせることを特徴とする付記19に記載のパウチ製造方法。
(付記21)
前記複数の熱溶着バーの間で、前記第1フィルム材および前記第2フィルム材の両方をガイド部材によって押すことで、前記第1フィルム材と前記第2フィルム材の無負荷状態におけるフィルム長手方向寸法及び幅方向寸法の少なくともいずれかを異ならせることを特徴とする付記1に記載のパウチ製造方法。
(付記22)
前記複数の上流側熱溶着バーの上流または間で、前記第1フィルム材および前記第2フィルム材のいずれかを搬送方向または幅方向において傾斜するようにガイド部材によって押すことで、前記第1フィルム材と前記第2フィルム材の無負荷状態におけるフィルム長手方向寸法および幅方向寸法を同時に異ならせることを特徴とする付記19乃至付記20のいずれかに記載のパウチ製造方法。
(付記23)
前記第1フィルム材および前記第2フィルム材は、同一のフィルム構成を備えていることを特徴とする付記1乃至付記22のいずれかに記載のパウチ製造方法。
(付記24)
搬送路上に設定された熱溶着エリアにおいて、前記搬送路に沿って送られてきた長尺状の第1フィルム材および第2フィルム材の被熱溶着箇所に対して熱溶着処理を施すことでパウチを製造するパウチ製造装置であって、
繰り返し実施される前記熱溶着処理において、前記第1フィルム材の前記被熱溶着箇所と、無負荷状態におけるフィルム長手方向寸法及び幅方向寸法の少なくともいずれかが前記第1フィルム材の前記被熱溶着箇所よりも大きい前記第2フィルム材の前記被熱溶着箇所とを、フィルム表裏方向に熱溶着バーで挟み込むことで熱溶着を施すように構成されていることを特徴とするパウチ製造装置。
【符号の説明】
【0073】
10 ・・・ パウチ製造装置
20 ・・・ フィルム搬送設備
30 ・・・ 連続フィード機構
31 ・・・ フィルム供給部
32 ・・・ 連続フィードロール群
33 ・・・ 分割手段
40 ・・・ フィード調節機構
41 ・・・ 第1ガイドロール
41a ・・・ 第1ダンサーロール
41b ・・・ 第1張力検出ロール
41c ・・・ 第1内側ガイドロール
41d ・・・ 第1外側ガイドロール
42 ・・・ 各第2ガイドロール
42a ・・・ 第2ダンサーロール
42b ・・・ 第2張力検出ロール
42c ・・・ 第2内側ガイドロール
42d ・・・ 第2外側ガイドロール
43 ・・・ フィルム合流部
43a ・・・ 重ね合わせロール
50 ・・・ 間欠フィード機構
51 ・・・ 間欠フィードロール
60 ・・・ ヒートシール機構
61 ・・・ 熱溶着バー
61a ・・・ 押圧面
62 ・・・ 冷却バー
70 ・・・ 裁断機構
80 ・・・ ガイド部材
F ・・・ 分割前フィルム材
F1 ・・・ 第1フィルム材
F2 ・・・ 第2フィルム材
F3 ・・・ 底用フィルム材
R ・・・ ロール原反
A ・・・ 熱溶着エリア
A-1 ・・・ 第1処理エリア
A-2 ・・・ 第2処理エリア
R ・・・ 搬送路
R1 ・・・ 第1搬送経路
R2 ・・・ 第2搬送経路
R3 ・・・ 合流搬送経路
R4 ・・・ 上流側搬送路
P ・・・ パウチ
S1 ・・・ ボトムシール部
S2 ・・・ サイドシール部
S3 ・・・ トップシール予定箇所