(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022566
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】無線電力伝送装置及び方法
(51)【国際特許分類】
H02J 50/80 20160101AFI20240208BHJP
H02J 50/12 20160101ALI20240208BHJP
【FI】
H02J50/80
H02J50/12
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023127069
(22)【出願日】2023-08-03
(31)【優先権主張番号】10-2022-0096694
(32)【優先日】2022-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】509256045
【氏名又は名称】ヒタチ-エルジー データ ストレージ コリア,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100165191
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 章
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100159259
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 実
(72)【発明者】
【氏名】チン チョル
(57)【要約】
【課題】本明細書は無線電力伝送方法及び装置に関する。
【解決手段】本明細書の一実施例に係る無線電力伝送方法は、マルチ構造の1次コイルを構成する各コイルに対してアナログピング動作を遂行するステップと、アナログピング動作の結果に基づいてオブジェクトがあるか否かを判断するステップと、オブジェクトがあると判断されたときにデジタルピング動作を遂行して1次コイルと磁気誘導結合ができる2次コイルを含む受信装置があるか否かを判断するステップ、及び、受信装置があると判断したとき、受信装置に電力を無線で伝送したり、電力伝送を中断したりするステップと、を含み、オブジェクトがあるか否かを判断するステップは、アナログピング動作を介して各コイルに対して求めたアナログピング変動量に基づいてオブジェクトがあるか否かを判断する第1のステップを含む。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチ構造の1次コイルを構成する各コイルに対してアナログピング動作を遂行するステップと、
前記アナログピング動作の結果に基づいてオブジェクトがあるか否かを判断するステップと、
前記オブジェクトがあると判断されたときにデジタルピング動作を遂行して前記1次コイルと磁気誘導結合ができる2次コイルを含む受信装置があるか否かを判断するステップと、
前記受信装置があると判断したときに、前記受信装置に電力を無線で伝送したり、電力伝送を中断したりするステップと、を含み、
前記オブジェクトがあるか否かを判断するステップは、
前記アナログピング動作を介して各コイルに対して得られたアナログピング変動量に基づいてオブジェクトがあるか否かを判断する第1のステップ、及び、
前記第1のステップでオブジェクトがないと判断されたとき、各コイルのアナログピング変動量を加えて求めたアナログピング合算変動量に基づいてオブジェクトがあるか否かを判定する第2のステップを含む、ことを特徴とする無線電力伝送方法。
【請求項2】
前記第1のステップは、前記1次コイルを構成するコイルのうちの少なくとも1つのアナログピング変動量が負の値の第1のレベルより小さいときにオブジェクトがあると判断し、前記1次コイルを構成する全てのコイルのアナログピング変動量が前記第1のレベルより大きいときにオブジェクトがないと判断することを特徴とする、請求項1に記載の無線電力伝送方法。
【請求項3】
前記第2のステップは、前記アナログピング合算変動量が前記第1のレベルよりも小さいときにオブジェクトがあると判断し、前記アナログピング合算変動量が前記第1のレベルより大きいときにオブジェクトがないと判断することを特徴とする、請求項2に記載の無線電力伝送方法。
【請求項4】
前記オブジェクトがあるか否かを判断するステップは、さらに、オブジェクトがないと判断したときにオブジェクト存在フラグをリセットするステップを含むことを特徴とする、請求項1に記載の無線電力伝送方法。
【請求項5】
前記受信装置があるか否かを判断するステップは、信号強度パケットを受信したときに受信装置があると判断し、前記信号強度パケットを受信できなかったときに受信装置がないと判断することを特徴とする、請求項4に記載の無線電力伝送方法。
【請求項6】
さらに、受信装置があると判断して前記オブジェクト存在フラグが設定されたときに、前記受信装置に電力を伝送できる最大パワー値を制限するステップを含むことを特徴とする、請求項5に記載の無線電力伝送方法。
【請求項7】
前記電力を無線で伝送したり、電力伝送を中断したりするステップは、前記オブジェクト存在フラグが設定されたときに電力伝送を中断することを特徴とする、請求項5に記載の無線電力伝送方法。
【請求項8】
さらに、受信装置がないと判断したときに、前記オブジェクト存在フラグを設定するステップを含むことを特徴とする、請求項5に記載の無線電力伝送方法。
【請求項9】
前記オブジェクトがあるか否かを判断するステップは、さらに、前記第1のステップでオブジェクトが無いと判断されたとき、前記1次コイルを構成する各コイルに対して測定された共振周波数変動量に基づいてオブジェクトがあるか否かを判定する第3のステップを含むことを特徴とする、請求項1に記載の無線電力伝送方法。
【請求項10】
前記第3のステップは、前記1次コイルを構成するコイルのうちの少なくとも1つの共振周波数変動量が正の値の第2のレベルより大きいとき、又は負の値の第3のレベルより小さいときにオブジェクトがあると判断し、前記1次コイルを構成する全てのコイルの共振周波数変動量が前記第2のレベルより小さく前記第3のレベルより大きいとき、オブジェクトがないと判断することを特徴とする、請求項9に記載の無線電力伝送方法。
【請求項11】
直流電源を交流に変換するためのインバータと受信装置の2次コイルとの磁気誘導結合によって電力を伝送するための1次コイルをマルチコイル構造で含む共振回路を含む電力変換部と、
アナログピング動作に応じたアナログピング値を検出するための検出部と、
前記電力変換部を制御して前記1次コイルを構成する各コイルに対してアナログピング動作を遂行し、前記検出部を介して検出したアナログピング値に基づいてオブジェクトがあるか否かを判断し、オブジェクトがあると判断するときに前記電力変換部を制御してデジタルピング動作を遂行して前記受信装置があるか否かを判断し、前記受信装置があると判断したときに前記電力変換部を制御して前記受信装置に電力を無線で伝送したり、電力伝送を中断したりする制御部と、を含み、
前記制御部は、前記アナログピング動作を通じて各コイルに対して求めたアナログピング変動量に基づいてオブジェクトがあるか否かを判断し、オブジェクトがないと判断されたときに各コイルのアナログピング変動量を加えて求めたアナログピング合算変動量に基づいてオブジェクトがあるか否かを判断することを特徴とする、無線電力伝送装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記1次コイルを構成するコイルのうちの少なくとも1つのアナログピング変動量が負の値の第1のレベルより小さいときにオブジェクトがあると判断し、前記1次コイルを構成する全てのコイルのアナログピング変動量が前記第1のレベルより大きいときにオブジェクトがないと判断することを特徴とする、請求項11に記載の無線電力伝送装置。
【請求項13】
前記制御部は、前記アナログピング合算変動量が前記第1のレベルよりも小さいときにオブジェクトがあると判断し、前記アナログピング合算変動量が前記第1のレベルより大きいときにオブジェクトがないと判断することを特徴とする、請求項12に記載の無線電力伝送装置。
【請求項14】
前記制御部は、前記アナログピング変動量に基づいてオブジェクトがないと判断したとき、前記電力変換部を制御して前記1次コイルを構成する各コイルに対して測定した共振周波数変動量に基づいてオブジェクトがあるか否かを追加で判断することを特徴とする、請求項11に記載の無線電力伝送装置。
【請求項15】
前記制御部は、オブジェクトがないと判断したときにオブジェクト存在フラグをリセットすることを特徴とする、請求項11に記載の無線電力伝送装置。
【請求項16】
前記制御部は、前記デジタルピング動作にて信号強度パケットを受信して受信装置があると判断して前記オブジェクト存在フラグが設定されたとき、前記受信装置に電力を伝送できる最大パワー値を制限することを特徴とする、請求項15に記載の無線電力伝送装置。
【請求項17】
前記制御部は、前記デジタルピング動作にて信号強度パケットを受信できなくて受信装置がないと判断したとき、前記オブジェクト存在フラグを設定することを特徴とする、請求項15に記載の無線電力伝送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、無線で電力を送信する装置及び方法に関し、より詳しくは、マルチコイルを使用する無線充電器での異物を検出する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通信及び情報処理技術が発達することにつれて、スマートフォン等はスマート端末の使用が徐々に増加しているが、現在スマート端末に多く適用されている充電方式は、電源に接続されたアダプタをスマート端末に直接接続して、外部電源の供給を受け取って充電するか、またはホストのUSB端子を介してスマート端末に接続してホストのUSB電源の供給を受け取って充電する方式である。
【0003】
最近には、接続線を介してアダプタ(adaptor)にまたはホストにスマート端末を直接接続しなければならない不便を減らすために、電気的接触なしで磁気結合を用いてバッテリーを無線で充電する無線充電方式が徐々にスマート端末に適用されている。
【0004】
無線で電気エネルギーを供給するか又は供給を受けるための方法がいくつかあるが、代表的に、電磁誘導現象に基づく誘導結合(Inductive Coupling)方式と特定周波数の無線電力信号による電磁気的共振現象に基づく共振結合(Electromagnetic Resonance Coupling)方式がある。
【0005】
両方式とも無線充電装置とスマート端末のような電子機器との間に通信チャネルを形成してデータを送受信することで電力伝送の安定性を確保し、伝送効率を高めることができる。誘導結合方式は無線で電力を伝送する間電力受信装置が移動して伝送効率が低下するという問題があり、共振結合方式は通信チャネルにノイズが発生してパワー伝送が中断される現象が発生する問題がある。
【0006】
伝送装置と受信装置との間にコインのような金属異物があるとき、電力損失が発生し、金属異物に無線伝送電力が集中すると発熱の危険があるから、安定した電力伝送を妨げる。したがって、近年、誘導結合方式の無線充電規格を適用する製品に伝送装置に金属異物が置かれているか否かを探知できるFOD(Foreign Object Detection)機能が必須的に実現されている。
【0007】
一方、最近一般的に使用されている無線充電器の場合、例えば15W以下の低電力のみで充電が可能であり、伝送距離も数mm以下と短い問題がある。また、電力受信装置が電力伝送装置、すなわち無線充電器のインターフェース表面上で移動して伝送効率が低下されるという問題もある。
【0008】
無線充電器の電力伝送能力と伝送距離を改善して無線充電領域を広げるために、誘導結合方式の無線電力伝送装置に伝送コイルを1つだけ形成せずに伝送コイルを複数個重ねるように配置する多重コイル(又はマルチコイル)タイプの無線充電器が発売されている。
【0009】
マルチコイルを採用した無線充電器がアナログピング(Analog Ping)値を用いて異物を検出するとき、サイズの小さい異物を正しく検出できない場合が発生する。無線充電器と受信装置との間に異物があっても検出できず、無線充電を進行する場合に温度が上昇するという問題が発生するしかない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本明細書はこのような状況に鑑み、本明細書の目的は、マルチコイルを採用した伝送装置が、異物があるか否かを効果的に判断する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を実現するための本明細書の一実施例に係る無線電力伝送方法は、マルチ構造の1次コイルを構成する各コイルに対してアナログピング動作を実行するステップと、アナログピング動作の結果に基づいてオブジェクトがあるか否かを判断するステップと、オブジェクトがあると判断されたときにデジタルピング動作を実行して1次コイルと磁気誘導結合ができる2次コイルを含む受信装置があるか否かを判断するステップ、及び、受信装置があると判断したとき、受信装置に電力を無線で伝送したり、電力伝送を中断したりするステップと、を含み、オブジェクトがあるか否かを判断するステップは、アナログピング動作を介して各コイルに対して求めたアナログピング変動量に基づいてオブジェクトがあるか否かを判断する第1のステップ、及び、第1のステップでオブジェクトがないと判断されたとき、各コイルのアナログピング変動量を加えて求めたアナログピング合算変動量に基づいてオブジェクトがあるか否かを判定する第2のステップを含むことを特徴とする。
【0012】
本明細書の他の実施例に係る無線電力伝送装置は、直流電源を交流に変換するためのインバータと受信装置の2次コイルとの磁気誘導結合によって電力を伝送するための1次コイルをマルチコイル構造で含む共振回路を含む電力変換部と、アナログピング動作に応じたアナログピング値を検出するための検出部、及び、電力変換部を制御して1次コイルを構成する各コイルに対してアナログピング動作を遂行し、検出部を介して検出したアナログピング値に基づいてオブジェクトがあるか否かを判断し、オブジェクトがあると判断したときに電力変換部を制御してデジタルピング動作を遂行して受信装置があるか否かを判断し、受信装置があると判断したときに電力変換部を制御して受信装置に電力を無線で伝送したり、電力伝送を中断したりする制御部を含み、制御部は、アナログピング動作を通じて各コイルに対して求めたアナログピング変動量に基づいてオブジェクトがあるか否かを判断し、オブジェクトがないと判断されたときに各コイルのアナログピング変動量を加えて求めたアナログピング合算変動量に基づいてオブジェクトがあるか否かを判断することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
したがって、マルチコイルを採用した無線充電器が、金属異物が受信装置間にあるか否かを効果的に判断することができ、これにより無線電力伝送時に金属異物に出力が集中して発熱が激しくなって火災が発生する危険を事前に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、無線電力伝送装置から電子機器へ電力が無線で伝送されることを概念的に示したものである。
【
図2】
図2は、電磁誘導方式で電力を無線で伝送するための伝送モジュールの電力変換部の回路構成を概念的に示したものである。
【
図3】
図3は、無線電力伝送モジュールと受信モジュールが電力とメッセージを送受信するための構成を示す図である。
【
図4】
図4は、無線電力伝送モジュールと受信モジュールとの間の電力伝送を制御するためのループをブロックで示したものである。
【
図5】
図5は、コイルに共振周波数の信号を入力してADCを介してコイルの出力電圧を得るアナログピング(Analog Ping)動作を遂行するときのコイル入力と出力を示したものである。
【
図6】
図6は、オブジェクトをマルチコイルで構成される伝送コイルを通過して移動させながら、各コイルの共振周波数とアナログのピーク電圧を測定する動作を示したものである。
【
図7】
図7は、
図6の動作を通じて各コイルで測定したピーク電圧の変動量(アナログピング変動量)とオブジェクト測定レベルを比較して示したものである。
【
図8a】
図8aは、第1ないし第3の伝送コイルに対して測定したアナログピング変動量、オブジェクト検出レベル、及びオブジェクトを検出できない区間を示したものである。
【
図8b】
図8bは、第1ないし第3の伝送コイルに対して測定したアナログピング変動量、オブジェクト検出レベル、及びオブジェクトを検出できない区間を示したものである。
【
図8c】
図8cは、第1ないし第3の伝送コイルに対して測定したアナログピング変動量、オブジェクト検出レベル、及びオブジェクトを検出できない区間を示したものである。
【
図9】
図9は、第1ないし第3のコイルに対して測定したアナログピング値を合算した値の変動量とオブジェクト検出レベルを示したものであり、
【
図10a】
図10aは、第1ないし第3の伝送コイルに対してオブジェクトを
図6のように移動させながら測定したアナログピング変動量、測定した共振周波数の変動量、アナログピング変動量に対するオブジェクト検出レベル、共振周波数変動量に対するオブジェクト検出レベルを示したものである。
【
図10b】
図10bは、第1ないし第3の伝送コイルに対してオブジェクトを
図6のように移動させながら測定したアナログピング変動量、測定した共振周波数の変動量、アナログピング変動量に対するオブジェクト検出レベル、共振周波数変動量に対するオブジェクト検出レベルを示したものである。
【
図10c】
図10cは、第1ないし第3の伝送コイルに対してオブジェクトを
図6のように移動させながら測定したアナログピング変動量、測定した共振周波数の変動量、アナログピング変動量に対するオブジェクト検出レベル、共振周波数変動量に対するオブジェクト検出レベルを示したものである。
【
図11】
図11は、本明細書が適用される無線電力伝送装置の構成をブロックで示したものである。
【
図12】
図12は、本明細書に従って異物を検出しながら無線で電力を伝送する方法の動作フローチャートを示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本明細書による無線電力伝送装置及び方法に対する実施例を添付する図面に基づいて詳細に説明する。
【0016】
図1は、無線電力伝送装置から電子機器へ電力が無線で電送られることを概念的に示したものである。
【0017】
無線電力伝送装置1は、電子機器2が必要とする電力を無線で伝達する電力伝達装置であるか、無線で電力を伝達することにより電子機器2のバッテリーを充電するための無線充電装置で有り得、または接触していない状態で電源が必要な電子機器2に電力を伝達する様々な形態の装置で実現することができる。
【0018】
電子機器2は無線電力伝送装置1から無線で電力を受信して動作可能な機器で、無線で受信される電力を用いてバッテリーを充電することもできる。無線で電力を受信する電子機器は、携帯可能な電子機器、例えば、スマートフォンやスマート端末、タブレットコンピュータ、マルチメディア端末、キーボード、マウス、映像または音声の補助装置などの入出力装置、補助バッテリーなどを含むことができる。
【0019】
無線電力伝送装置1の無線電力信号による電磁誘導現象に基づく誘導結合方式、すなわち無線電力伝送装置1から伝送する無線電力信号によって電子機器2で共振が発生し、共振現象によって無線電力伝送装置1から電子機器2に接触することなく無線で電力を伝達することができるが、電磁誘導現象により1次コイルで交流電流により磁場を変化させて2次コイル側に電流を誘導することにより電力を伝達する。
【0020】
無線電力伝送装置1の1次コイルに流れる電流の強度が変化すると、その電流により1次コイルまたは伝送コイル(primary coil, TX coil)を通過する磁場が変化し、変化した磁場は電子機器2内の2次コイルまたは受信コイル(secondary coil, RX coil)側に誘導起電力を発生させる。
【0021】
無線電力伝送装置1側の1次コイルと電子機器2側の2次コイルが近づくように無線電力伝送装置1及び電子機器2を配置し、無線電力伝送装置1が1次コイルの電流が変化するように制御すると、電子機器2は2次コイルに誘導された起電力を用いてバッテリーのような負荷に電源を供給する。
【0022】
誘導結合方式による無線電力伝達の効率は、無線電力伝送装置1と電子機器2との間の配置と距離の影響を受けるようになるので、無線電力伝送装置1は、平らなインターフェース表面を含むように構成され、インターフェース表面の下部には1次コイルが取り付けられ、インターフェース表面の上部に1つ以上の電子機器が置かれることができる。インターフェース表面下部に取り付けられた1次コイルとインターフェース表面上部に位置した2次コイル間の空間を十分に小さくすることで誘導結合方式による無線電力伝達の効率を上げることができる。
【0023】
インターフェース表面上部には電子機器が置かれる位置を指示するマークが表示されることができるが、インターフェース表面下部に取り付けられた1次コイルと2次コイルとの間の配列が適切に行われるようにする電子機器の位置を指示することができる。電磁機器の位置を案内するための突出形状の構造物がインターフェース表面上部に形成されることもでき、インターフェース表面下部に磁石のような磁性体を形成して電子機器内部に設けられた他極の磁性体との引力により1次コイルと2次コイルがよく配列されるように案内することもできる。
【0024】
図2は電磁誘導方式で電力を無線で伝送するための伝送モジュールの電力変換部の回路構成を概念的に示すものである。
【0025】
無線電力伝送モジュールは大きく電源及びインバータと共振回路で構成される電力変換部を含んで構成され得るが、電源は電圧源または電流源になることができ、電力変換部は、電源から供給される電力を無線電力信号に変換し、無線電力受信モジュールに伝達する。無線電力信号は共振特性を有する磁場または電磁場の形で形成され、共振回路は無線電力信号を発生させるコイルを含む。
【0026】
インバータは、スイッチング素子と制御回路を介して直流入力を所望する電圧と周波数の交流波形に変換するが、
図2においてはフルブリッジ(Full-bridge)インバータを示したものであり、ハーフブリッジインバータなど他の種類のインバータも可能である。
【0027】
共振回路は、磁気誘導方式で電力を伝送する1次コイル(Lp)とキャパシタ(Cp)を含んで構成されるが、コイルとキャパシタがパワー伝送の基本共振周波数を決める。1次コイルは、電流の変化に応じて無線電力信号に該当する磁場を形成し、平板形態またはソレノイド形態で実現することができる。
【0028】
インバータによって変換された交流電流が共振回路を駆動することにより1次コイルに磁場が形成されるが、インバータを含まれたスイッチのオン/オフタイミングを制御して共振回路の共振周波数に近い周波数の交流を生成して伝送モジュールの伝送効率を高めることができ、インバータを制御することで伝送モジュールの伝送効率を変更することができる。
【0029】
図3は、無線電力伝送モジュールと受信モジュールが電力とメッセージを送受信するための構成を示すものである。
【0030】
電力変換部は、受信モジュールの受信状態にかかわらず一方的に電力を伝送するだけなので、受信モジュールの状態に合うように電力を伝送するためには、受信モジュールから受信状態に関連するフィードバックを受けるための構成が無線電力伝送モジュールに必要である。
【0031】
無線電力伝送モジュール100は、電力変換部110、通信部120、制御部130及び電源部140を含んで構成することができ、無線電力受信モジュール200は、電力受信部210、通信部220及び制御部230を含んで構成され得、受信される電力が供給される負荷(または電源部)240をさらに含んで構成され得る。負荷240は、電力受信部210から供給される電力で内部バッテリーを充電するための充電部を含むことができる。
【0032】
電力変換部110は、
図2のインバータと共振回路で構成され、無線電力信号を形成するために使用される周波数、電圧、電流などの特性を調整できる回路をさらに含むように構成することができる。
【0033】
通信部120は、電力変換部110に接続され、伝送モジュール100から磁気誘導に従って無線で電力を受信する受信モジュール200によって変調される無線電力信号を復調して電力制御メッセージを検出することができる。
【0034】
制御部130は、通信部120が検出するメッセージに基づいて、電力変換部110の動作周波数、電圧、電流の内、1つ以上の特性を決定し、電力変換部110を制御して電力変換部110がメッセージに適合した無線電力信号を生成するようにすることができる。通信部120と制御部130は1つのモジュールで構成することができる。
【0035】
電力受信部210は、電力変換部110の1次コイルで発生する磁場の変化に応じて誘導起電力が発生する2次コイルとキャパシタからなるマッチング回路を含み、2次コイルに流れる交流電流を整流して直流電流を出力する整流回路を含むことができる。
【0036】
受信モジュールの通信部220は、電力受信部210に接続され、DCでの抵抗負荷及び/またはACでの容量性負荷を調整する方式で電力受電部の負荷を調整することにより、伝送モジュールと受信モジュールの間の無線電力信号を変化させ、電力制御メッセージを伝送モジュールに伝送することができる。
【0037】
受信モジュールの制御部230は、受信モジュールに含まれた各構成要素を制御するが、電力受電部210の出力を電流または電圧の形で測定し、これに基づいて通信部220を制御して無線電力伝送モジュール100に電力制御メッセージを伝達することができる。メッセージは、無線電力伝送モジュール100に無線電力信号の伝達を開始するかまたは終了するように指示することができ、また無線電力信号の特性を調整するようにすることができる。
【0038】
伝送モジュールの電力変換部110によって形成された無線電力信号は、電力受信部210によって受信され、受信モジュールの制御部230は無線電力信号を変調するように通信部220を制御するが、制御部230は通信部220のリアクタンス(reactance)を変更することにより、無線電力信号から受信する電力量が変化するようにする変調過程を行うことができる。無線電力信号から受信される電力量が変わると無線電力信号を形成させる電力変換部110の電流及び/または電圧も変わり、無線電力伝送モジュール100の通信部120は、電力変換部110の電流及び/または電圧の変更を感知して復調過程を行うことができる。
【0039】
受信モジュールの制御部230は、無線電力伝送モジュール100に伝達するようとするメッセージを含むパケットを生成し、生成されるパケットを含むように無線電力信号を変調し、伝送モジュールの制御部130は、通信部120を介して抽出したパケットをデコードして電力制御メッセージを獲得することができるが、受信モジュールの制御部230は、受信されるパワーを調整するために電力受信部210を介して受信される電力量に基づいて無線電力信号の特性を変更するように要請するメッセージを伝送することができる。
【0040】
図4は無線電力伝送モジュールと受信モジュールとの間のパワー伝送を制御するためのループをブロックで示したものである。
【0041】
伝送モジュール100の電力変換部110で発生する磁場の変化に従って、受信モジュール200の電力受信部210で電流が誘導され、電力が伝送され、受信モジュールの制御部230は、所望する制御点、すなわち所望する出力電流及び/または電圧を選択し、電力受信部210を介して受信される電力の実際の制御点を決定する。
【0042】
受信モジュール100の制御部230は、電力が伝送される間に所望する制御点と実際の制御点を用いて制御エラー値を計算する。たとえば、2つの出力電圧または電流の差を制御エラー値とすることができる。所望の制御点に到達するために少ない電力が要求されると、例えばマイナス値となり、所望の制御点に達するためにさらに多くの電力が必要な場合は、正の値になるように制御エラー値を決定することができる。受信モジュール200の制御部230は、通信部220を介して電力受信部210のリアクタンスを経時的に変更する方式で計算された制御エラー値を含むパケットを生成して伝送モジュール100に伝送することができる。
【0043】
伝送モジュールの通信部120は、受信モジュール200によって変調される無線電力信号に含まれるパケットを復調してメッセージを検出するが、制御エラー値を含む制御エラーパケットを復調することができる。
【0044】
伝送モジュールの制御部130は、通信部120を介して抽出した制御エラーパケットをデコードして制御エラー値を獲得し、電力変換部110に実際に流れる実際電流値と制御エラー値を用いて受信モジュールが所望の電力を伝送するための新しい電流値を決定できる。
【0045】
伝送モジュールの制御部130は、受信モジュールから制御エラーパケットを受信する過程からシステムが安定化すると、1次コイルに流れる実際の電流値が新しい電流値になるように新しい動作点、すなわち1次コイルに印加されるAC電圧の大きさ、周波数、デューティ比などが新たな値になるように電力変換部110を制御し、受信モジュールがさらに制御情報やまたは状態情報を通信できるように、新しい動作点を継続するようにする。
【0046】
無線電力伝送モジュール100と無線電力受信モジュール200との間の相互作用は選択(selection)、ピング(ping)、識別/構成(identification & configuration)及びパワー伝送(power transfer)を含んで4つの段階からなることができる。選択ステップは、伝送モジュールがインターフェース表面上に置いた対象物を発見するためのステップであり、ピングステップは、対象物が受信モジュールを含むかどうかを確認するステップであり、識別/構成段階は、受信モジュールに電力を送るための準備段階で、受信モジュールから適切する情報を受信し、それに基づいて受信モジュールとパワー伝送契約(Power Transfer Contract)を締結し、パワー伝送段階は伝送モジュールと受信モジュールの相互作用として実際に電力を無線で受信モジュールに伝送するステップである。
【0047】
ピング段階では、受信モジュール200が1次コイルと受信コイルの磁束結合程度を指す信号強度パケット(Signal Strength Packet、SSP)を共振波形の変調を介して伝送モジュール100に伝送する。信号強度パケット(SSP)は受信モジュールにおいて整流された電圧をモニタリングして生成するメッセージとして、伝送モジュール100はそれを受信モジュール200から受信して電力伝送のための初期駆動周波数を選定することに活用することができる。
【0048】
識別/構成段階においては、受信モジュール200のバージョン、メーカーコード、装置識別情報等を含む識別パケット(Identification Packet)、受信モジュール200の最大パワー、パワー伝送方法などの情報を含む構成パケット(Configuration Packet)等を受信モジュール200が伝送モジュール100に伝送する。
【0049】
パワー伝送段階においては、受信モジュール200が電力信号を受信する動作点とパワー伝送契約で定めた動作点との差を指す制御エラーパケット(Control Error Packet、CEP)、受信モジュール200がインターフェース表面を介して受信するパワーの平均値を指す受信パワーパケット(Received Power Packet、RPP)などを受信モジュール200が伝送モジュール100に伝送する。
【0050】
受信パワーパケット(RPP)は、受信モジュールの電力受信部210の整流電圧、負荷電流、オフセット電力などを考慮した受信電力量データで、受信モジュール200により電力を受信中に伝送モジュール100に伝送され続け、伝送モジュール100はこれを受信して、電力制御のための演算因子として使用する。
【0051】
伝送モジュールの通信部120は、それぞれ共振波形の変化からパケットを追出し、制御部130は、抽出したパケットをデコードしてメッセージを獲得し、それに基づいて電力変換部110を制御して受信モジュール200が要請するようにパワー伝送特性を変えながら電力を無線で伝送することができる。
【0052】
一方、誘導結合により電力を無線で伝達方式でその効率は周波数特性による影響は少ないが、伝送モジュール100と受信モジュール200との間の配列と距離の影響を受けることになる。
【0053】
無線電力信号が到達できる領域を2つに区分できるが伝送モジュール100が受信モジュール200に無線で電力を伝達するとき、高効率の磁場が通過できる、インターフェース表面の部分を活動領域と呼ぶことができ、伝送モジュール100が受信モジュール200の存在を感知できる領域を感知領域とすることができる。
【0054】
伝送モジュールの制御部130は、受信モジュール200が活動領域又は感知領域に配置されるかまたは除去されたかどうかを感知することができるが、電力変換部110で形成される無線電力信号を用いたり、別途備えられたセンサにより受信モジュール200が活動領域または感知領域に配置されたかどうかを検出することができる。
【0055】
例えば、伝送モジュールの制御部130は、感知領域に存在する受信モジュール200により無線電力信号が影響を受け、電力変換部110の無線電力信号を形成するための電力の特性が変化するかどうかをモニタリングすることによって受信モジュール200の存在を検出することができる。伝送モジュールの制御部130は受信モジュール200の存在を検出した結果に基づいて受信モジュール200を識別する過程を実行するか、または無線電力伝送を開始するかどうかなどを決定することができる。
【0056】
伝送モジュールの電力変換部110は位置決め部をさらに含むことができるが、位置決め部は誘導結合方式による無線電力伝達の効率を高めるために1次コイルを移動または回転させることができ、特に受信モジュール200が伝送モジュール100の活動領域内に存在しない場合に使用され得る。
【0057】
位置決定部は、伝送モジュール100の1次コイルと受信モジュール200の2次コイルの中心間距離が一定範囲内になるように1次コイルを移動させたり、1次コイルと受信コイルの中心が重畳されるように1次コイルを移動させる駆動部を含むように構成されることができる。このために、伝送モジュール100は受信モジュール200の位置を感知するためのセンサや感知部をさらに備えることができ、伝送モジュールの制御部130は感知部のセンサから受信する受信モジュール200の位置情報に基づいて位置決定部を制御することができる。
【0058】
あるいは、伝送モジュールの制御部130は、通信部120を介して受信モジュール200との配列または距離に関する制御情報を受信し、これに基づいて位置決め部を制御することもできる。
【0059】
また、伝送モジュール100は、2つ以上複数の1次コイルを含むように形成されて複数の1次コイルの内、受信モジュール200の受信コイルと適合に配列される一部のコイルを選択的に用いて伝送効率を向上させることができるが、この場合位置決め部は、複数の1次コイルの内、どれが電力伝達のために使用されるかを決定することができる。
【0060】
活動領域を通過する磁場を形成させる単一1次コイルまたは1つ以上の1次コイルの組み合わせを主要セル(primary cell)と称することができるが、伝送モジュールの制御部130は、受信モジュール200の位置を感知し、これに基づいて活動領域を決定し、活動領域に対応する主要セルを構成する伝送モジュールを接続し、該当伝送モジュールの1次コイルと受信モジュール200の2次コイルとが誘導結合できるように制御できる。
【0061】
一方、受信モジュール200は、スマートフォンまたはマルチメディア再生端末を含むスマートフォンやスマート機器のような電子機器内に内蔵され、電子機器が伝送モジュール100のインターフェース表面の上に垂直または水平方向に一定でない方向や位置に置かれるので、伝送モジュールは広い活動領域を必要とする。
【0062】
活動領域を広げるために複数個の場合の1次コイルを使用する場合、一時コイル数だけ駆動回路が必要であり、複数個の1次コイルの制御が複雑になるので、製品化するとき、伝送モジュールすなわち無線充電器のコストが増加する。さらに、活動領域を拡大するために伝送コイルの位置を変更する方式を適用する場合でも1次コイルの位置を移動するための移送メカニズムを備えなければならないので、体積と重量が大きくなって製作コストが多くなる問題がある。
【0063】
位置が固定された一つの1次コイルを有しても活動領域を拡張する方法があれば効果的であるが、単に1次コイルの大きさを大きくするなら1次コイルの単位面積当たりの磁束密度が低下し、送受信コイル間に磁気結合力が弱くなって期待するほど活動領域が増加することもなく、伝送効率も低下することになる。
【0064】
このように、活動領域の拡大と伝送効率の向上のために、1次コイルの適切な形状とサイズを決定することが重要である。複数の1次コイルを採用するマルチコイル方式が無線電力伝送モジュールの活動領域を拡大する方法として有効的である。
【0065】
一方、受信装置と伝送装置との間にオブジェクト又は異物、特に金属異物が置かれているか否かを検出するために、一般にアナログピング(Analog Ping)動作を遂行する。
【0066】
アナログピング動作は、共振周波数で所定電圧の信号をコイルに所定時間印加した後に放電したとき、時間の経過に伴うコイル電圧の変化を測定してオブジェクトの有無を判断する。デジタルピング動作は、アナログピング動作でオブジェクトが検出された以降に受信モジュールがあるか否かを判断する過程であり、受信モジュールが動き出すのに十分なパワーをコイルに印加して受信モジュールからの応答を確認する過程である。
【0067】
図5は、コイルに共振周波数の信号を入力してADCを介してコイルの出力電圧を得るアナログピング(Analog Ping)動作を遂行するときのコイル入力と出力を示す。
【0068】
アナログピング動作時にオブジェクト検出効率を上げるためにコイルに共振周波数を印加する。共振周波数は、コイル両端に電圧を印加した後にコイルスイッチをオン(On)させるとコイルに共振が発生し、このときコイルの出力信号を、コンパレータを経てパルス状の矩形波に変換してパルスの周期を測定することで、求めることができる。
【0069】
図5に示すように、共振周波数で所定電圧をコイルに入力し、コイルの出力電圧を、ADCを介してデジタル値に変換し、出力電圧のピーク値をアナログピング値として測定する。
【0070】
マルチコイルを採用した伝送コイルでオブジェクトを検出するとき、オブジェクトと各コイルの位置関係に応じたアナログピング値の特性を
図6ないし
図8を参照して把握することができる。
【0071】
図6は、オブジェクトをマルチコイルで構成される伝送コイルを通過して移動させながら各コイルの共振周波数とアナログのピーク電圧を測定する動作を示し、
図7は、
図6の動作を通じて各コイルで測定したピーク電圧の変動量(アナログピング変動量)とオブジェクト測定レベルを比較して示し、
図8aないし
図8cは、それぞれ第1ないし第3の伝送コイルに対して測定したアナログピング変動量、オブジェクト検出レベル及びオブジェクトを検出できない区間を示した。
【0072】
図6にて、伝送モジュールの伝送コイルは、コイル1、コイル2、及びコイル3(又は第1のコイル、第2のコイル、及び第3のコイル)が水平方向に沿って一部の区間が互いに重なった状態で順に並べられている。
図6に示すように、オブジェクトをコイル1、コイル2、及びコイル3が並べられる水平方向に沿って移動させながら、オブジェクトの各位置でコイル1、コイル2、及びコイル3にそれぞれに該当コイルの共振周波数を供給した後、該当コイルの出力電圧を測定して該当コイルのアナログピング値を計算することができる。
【0073】
図7にて、横軸はオブジェクトが左端から右に水平方向に移動した変位を指し、縦軸はアナログピング値の変動量を描いたもの、すなわちオブジェクトがない状態で測定したアナログピング値に基づいてオブジェクトがあるときに測定したアナログピング値の変動量を描いたものである。
【0074】
オブジェクトがあるとき、オブジェクト、特に金属物質のオブジェクトによってコイルの出力電圧が減少し、
図7ではアナログピング値の変動量(以降は簡略にアナログピング変動量と表す)が負の値で表され、アナログピング変動量が大きいほど、負の値の絶対値も大きくなる。
【0075】
横軸を基準にコイル1(Coil1)が一番左にあり、コイル2(Coil2)が中間にあり、コイル3(Coil3)が一番右にあるため、コイル1に関するグラフ(
図7と
図8aを参照)で一番初め、すなわち左区間でアナログピング変動が発生し、その次にコイル2(Coil2)に関するグラフで(
図7と
図8bを参照)、中間区間でアナログピング変動が発生し、その次にコイル3(Coil)に関するグラフで(
図7及び
図8c)、右側の区間でアナログピング変動が発生する。
【0076】
図7及び
図8aないし
図8cにて、アナログピング変動が発生する区間、すなわちオブジェクトがあると判断される区間内で変動量が上がり下がりするが、これは測定に用いられたオブジェクトがコイル1ないしコイル3のそれぞれの直径に比べて小さいためである。
【0077】
オブジェクトがあると判断する基準となるオブジェクト検出レベル(Object Detection Level)を所定値(0を基準に負の値)に設定するとき、
図7に示すように、アナログピング変動量がオブジェクト検出レベルより下にある区間が、オブジェクトがあると判断される区間に該当する。
【0078】
しかし、一部の区間では、
図8aないし
図8cにてボックスで表示した区間では、オブジェクトがあるにもかかわらず負の値で表現されるアナログピング変動量がオブジェクト検出レベルよりも大きくなり、オブジェクトがないと誤って判断し得る。
【0079】
図8aないし
図8cにて、アナログピング変動量がオブジェクト検出レベルよりも大きくなる区間は、概してオブジェクトが該当コイルの中央付近、すなわち該当コイルのワイヤが通らない区間に当たる。しかし、該当区間には該当コイルに隣接する他のコイルのワイヤが通るようになり、これにより他のコイルでは該当区間でのアナログピング変動量がオブジェクト検出レベルよりも小さくなる。
【0080】
本明細書では、このようなマルチコイルの配置特性に基づき、マルチコイルそれぞれのアナログピング値を総合的に考慮してオブジェクトを検出する精度を高めることができるようにする。すなわち、マルチコイルを採用する伝送コイルからなる無線電力伝送装置にて、個別のコイルで測定するアナログピング変動量でオブジェクトを誤って判断するときに発生する問題を解決するために、伝送コイルを構成する各コイルにおけるアナログピング値を検出し、各コイルのアナログピング値を加え、加えたその値に対して変動量を求め、それをオブジェクト検出レベルと比較してオブジェクトがあるか否かを判断する。
【0081】
図9は、第1ないし第3のコイルに対して測定したアナログピング値を合算した値の変動量とオブジェクト検出レベルとを示す。
【0082】
図9にて、コイル1ないしコイル3に対して測定したアナログピング値の合算値に対する変動量(Coil1+Coil2+Coil3)(以下ではアナログピング合算変動量として表現する)は、左側ではコイル1に対してアナログピング変動量がオブジェクト検出レベルよりも小さくなる第1の地点から右側にはコイル3に対してアナログピング変動量がオブジェクト検出レベルより小さい第2の地点まで至る区間で、オブジェクト検出レベルよりも小さい。このとき、第1の地点と第2の地点は、それぞれコイル1の左端とコイル3の右端に対応する。
【0083】
したがって、アナログピング合算変動量は、オブジェクトがマルチコイルで構成された伝送コイルのどの点にあってもオブジェクト検出レベルよりも小さくなり、マルチコイルの伝送モジュールは、アナログピング合算変動量を求め、これをオブジェクト検出レベルと比較することにより、オブジェクトを正確に検出できるようになる。
【0084】
一方、オブジェクト、すなわち金属異物が伝送コイル上のインターフェース表面に置かれると、伝送コイルに所定の電圧を印加して駆動するときに出力電圧の共振周波数が変わるようになる。
【0085】
本明細書では、この点を考慮し、共振周波数の変動量に基づいてオブジェクトがあるか否かを判断することができる。
【0086】
図10aないし
図10cは、それぞれ第1ないし第3の伝送コイルに対してオブジェクトを
図6のように移動させながら測定したアナログピング変動量、測定した共振周波数の変動量、アナログピング変動量に対するオブジェクト検出レベル、共振周波数変動量に対するオブジェクト検出レベルを示す。
【0087】
図10aないし
図10cにて、オブジェクト検出レベルODL_1はアナログピング変動量と比較するためのものであり、アナログピング用オブジェクト検出レベルで表現でき、オブジェクト検出レベルODL_21、ODL_22は共振周波数変動量と比較するためであり、共振周波数用オブジェクト検出レベルで表現できる。
【0088】
図10aないし
図10cに示すように、オブジェクトがコイルの一方の外径から反対側の外径に移動している間にコイルで測定した信号で検出する共振周波数も変動するようになる。また、オブジェクトを移動しながら測定する共振周波数の変動量は、一部の区間で正の値を有することを除いては、コイルで測定するアナログピング変動量と似た形態を有する。
【0089】
すなわち、オブジェクトをコイルの上を通過して移動させるとき、オブジェクトがコイルの一方の外径と内径を形成するワイヤストランドが置かれた区間にあるときは、コイルで測定した信号の共振周波数が元の共振周波数よりも小さくなり、コイルの中心、すなわちワイヤがない区間にあるときは共振周波数が元の共振周波数より大きくなり、再びオブジェクトがコイルの反対側の内径と外径を形成するワイヤストランドが置かれた区間にあるときは共振周波数が元の共振周波数よりも小さくなる。
【0090】
したがって、共振周波数の変動量に基づいてオブジェクトの有無を判断することができ、共振周波数の変動がオブジェクトの位置に応じて正の値と負の値を有する特性を考慮し、
図10aないし
図10cに示すように共振周波数変動量に基づくオブジェクト検出レベル(Object Detection Level:ODL)も、正の値ODL_21と負の値ODL_22で2つを使用する。
【0091】
共振周波数変動量が正の値のオブジェクト検出レベルODL_21(以下では共振周波数用の第1のオブジェクト検出レベルとして表現する)よりも大きいとき、又は負の値のオブジェクト検出レベルODL_22(以下では共振周波数用の第2のオブジェクト検出レベルとして表現する)より小さいときに、該当コイル付近にオブジェクトがあると判断する。
【0092】
マルチコイルを採用した無線充電器は、マルチコイルを構成する各コイルに対してアナログピング動作を遂行して得られたアナログピング変動量とアナログピング用オブジェクト検出レベルODL_1との比較に基づいてオブジェクトを検出したり、各コイルに所定電圧を印加して駆動するときに検出される共振周波数変動量と共振周波数用の第1及び第2のオブジェクト検出レベルODL_21、ODL_22の比較に基づいてオブジェクトを検出したり、又は各コイルで得られるアナログピング値を合算した値の変動量、すなわちアナログピング合算変動量とアナログピング用オブジェクト検出レベルODL_1との比較に基づいてオブジェクトを検出したりすることができるが、このような3つの方法のうちの1つのみを使用してもよく、又は2つ以上を組み合わせて使用してもよい。
【0093】
図11は、本明細書が適用される無線電力伝送装置の構成をブロックで示す。
【0094】
図11の伝送装置は、
図3に示す伝送モジュールに加え、アナログピング値及び/又は共振周波数を検出するための検出部をさらに含む。また、
図11の伝送装置は、各コイルの元のアナログピン値(異物や受信モジュールがないときのアナログピン値)と元の共振周波数(異物や受信モジュールがないときの共振周波数)を保存するための保存手段と受信モジュールでないオブジェクト、すなわち金属異物が置かれたことをユーザに知らせるための出力手段をさらに含む。
【0095】
無線電力伝送装置100又は伝送モジュール100は、
図11に示すように、電力変換部110、通信部120、制御部130、電源部140、及び検出部150を含むように構成される。
【0096】
電力変換部110は、
図2のインバータと共振回路で構成され、無線電力信号を形成するために使用される周波数、電圧、電流などの特性を調節することができる回路をさらに含むように構成される。
【0097】
共振回路を構成する伝送コイル(又は1次コイル)は、マルチコイル構造で、2つ以上又は3つ以上のコイルの一部が互いに重なる形態になる。
【0098】
通信部120は、電力変換部110につながり、磁気誘導に応じて無線で電力を受信する受信装置によって変調される無線電力信号を復調して電力制御メッセージを検出する。中電力以上の電力を伝送できる伝送モジュールの通信部120は、ブルートゥース(登録商標)(Bluetooth(登録商標))などの近距離通信手段を含んで受信モジュールと通信することもできる。
【0099】
制御部130は、通信部120が検出するメッセージに基づき、電力変換部110の動作周波数、電圧、電流のうちの1つ以上の特性を決定し、電力変換部110を制御して電力変換部110がメッセージに適合した無線電力信号を生成するようにする。通信部120と制御部130は1つのモジュールで構成される。
【0100】
電源部140は、伝送装置の構成要素に電力を供給する。
【0101】
制御部130は、電力変換部110を制御し、マルチコイルを構成する各コイルに対して該当コイル(該当コイルを含む共振回路)の共振周波数で所定電圧をコイルに印加するアナログピング動作を遂行し、検出部150は、アナログピング動作の結果として該当コイルの電圧をアナログピング値で検出する。
【0102】
また、制御部130は、電力変換部110を制御して各コイルに所定の電圧を印加した状態でインバータをオンさせて共振回路に共振が発生するようにし、検出部150を介して該当コイルの共振周波数を測定する。
【0103】
制御部130に含まれたプロセッサは、アナログピング動作を通じて測定した各コイルのアナログピング値とメモリ(図示せず)に保存された該当コイルの元のアナログピング値との差を計算して該当コイルのアナログピング変動量を求められるが、一般に、測定されたアナログピング値は保存されている元のアナログピング値より小さいため、アナログピング変動量は負の値を有する。
【0104】
また、制御部130のプロセッサは、測定した各コイルの共振周波数をメモリ(図示せず)に保存された該当コイルの元の共振周波数と比較して該当コイルの共振周波数変動量を算出する。
【0105】
制御部130のプロセッサは、各コイルのアナログピング変動量をメモリに保存されたアナログピング用オブジェクト検出レベルODL_1と比較し、負の値のアナログピング変動量が負の値のアナログピング用オブジェクト検出レベルODL_1よりもその値が小さいとき、オブジェクトが伝送モジュールのインターフェース表面上にあると判断し、そうでなければオブジェクトがないと判断する。
【0106】
また、制御部130のプロセッサは、各コイルの共振周波数変動量をメモリに保存された共振周波数用の第1及び第2のオブジェクト検出レベルODL_21、ODL_22と比較し、共振周波数変動量が正の値の第1のオブジェクト検出レベルODL_21より大きいとき、又は負の値の第2のオブジェクト検出レベルODL_22より小さいときに、オブジェクトが伝送モジュールのインターフェース表面上にあると判断し、そうでないときにオブジェクトがないと判断する。
【0107】
また、制御部130のプロセッサは、各コイルのアナログピング変動量を合算してアナログピング合算変動量を求め、アナログピング合算変動量をアナログピング用オブジェクト検出レベルODL_1と比較し、負の値のアナログピング合算変動量が負の値のアナログピング用オブジェクト検出レベルODL_1よりもその値が小さいとき、オブジェクトが伝送モジュールのインターフェース表面上にあると判断し、そうでなければオブジェクトがないと判断する。
【0108】
電源部140は、伝送装置の構成要素に電力を供給する。
【0109】
伝送モジュール100は、出力部(図示せず)をさらに含み、オブジェクト、例えば金属異物があることをユーザに知らせる。出力部は、イメージや光を介してメッセージを出力するディスプレイ部、音を介してメッセージを伝達するサウンド部、振動を介してメッセージを伝達する振動部のうちの少なくとも1つ以上を含むように構成される。
【0110】
図12は、本明細書に従ってオブジェクトを検出しながら無線で電力を伝送する方法についての動作フロー図であり、
図12の動作は、伝送装置の制御部130、又は制御部130に含まれたプロセッサが遂行する。
【0111】
制御部130は、電力変換部110を制御して伝送装置又は伝送モジュール100に含まれたマルチコイル構造の1次コイルを構成する各コイルに対してアナログピング動作を遂行し、検出部150を介して各コイルに対するアナログピング値を検出する(S1200)。
【0112】
また、制御部130は、各コイルに対して検出したアナログピング値とメモリに保存された元のアナログピング値との差で該当コイルのアナログピング変動量(AP variation)を算出する。
【0113】
制御部130は、電力変換部110を制御して各コイルの共振回路に共振が発生するようにし、検出部150を介して該当コイルの共振周波数を測定し、これをメモリに保存された元の共振周波数と比較して該当コイルの共振周波数変動量(RF variation)を計算することができ(S1205)、アナログピング動作と共振周波数測定動作は順番が変わってもよい。
【0114】
制御部130は、マルチコイルを構成するコイルのうちの1つ以上に対してアナログピング変動量(AP variation)をアナログピング用オブジェクト検出レベルODL_1と比較する(S1210)。
【0115】
制御部130は、1つのコイルであっても、負の値のアナログピング変動量(AP variation)が負の値のアナログピング用オブジェクト検出レベル(ODL_1)より小さいとき(又は、アナログピング変動量がアナログピング用オブジェクト検出レベルより絶対値が大きいとき)(S1210で「はい」)、伝送装置100のインターフェース表面上にオブジェクトがあると判断し、ステップS1250に進む。
【0116】
一方、制御部130は、全てのコイルにて負の値のアナログピング変動量(AP variation)が負の値のアナログピング用オブジェクト検出レベルODL_1より大きいとき(又はアナログピング変動量がアナログピング用オブジェクト検出レベルより絶対値が小さいとき)(S1210で「いいえ」)、伝送装置100のインターフェース表面上にオブジェクトがないと判断し、マルチコイルを構成するコイルのうちの1つ以上に対して共振周波数変動量(RF variation)を共振周波数用の第1及び第2のオブジェクト検出レベルODL_21、ODL_22と比較する(S1220)。
【0117】
制御部130は、1つのコイルであっても共振周波数変動量(RF variation)が正の値の共振周波数用第1のオブジェクト検出レベルODL_21より大きいとき、又は負の値の共振周波数用第2のオブジェクト検出レベルODL_22よりも小さいとき(S1220で「はい」)、伝送装置100のインターフェース表面上にオブジェクトがあると判断し、ステップS1250に進む。
【0118】
一方、制御部130は、全てのコイルにて共振周波数変動量(RF variation)が正の値の共振周波数用第1のオブジェクト検出レベルODL_21より小さく、負の値の共振周波数用第2のオブジェクト検出レベルODL_22よりも 大きいとき(S1220で「いいえ」)、伝送装置100のインターフェース表面上にオブジェクトがないと判断し、マルチコイルを構成するコイルのアナログピング値を加えたアナログピング合算(APS)を求め、さらにこれを元のアナログピング値と比較してアナログピング合算変動量(APS variation)を算出する(S1230)。
【0119】
制御部130は、負の値のアナログピング合算変動量(APS variation)が負の値のアナログピング用オブジェクト検出レベルODL_1より小さいとき(又は、アナログピング合算変動量がアナログピング用オブジェクト検出レベルより絶対値が大きいとき)(S1235で「はい」)、伝送装置100のインターフェース表面上にオブジェクトがあると判断し、ステップS1250に進む。
【0120】
一方、制御部130は、負の値のアナログピング合算変動量(APS variation)が負の値のアナログピング用オブジェクト検出レベルODL_1より大きいとき(又はアナログピング合算変動量がアナログピング用オブジェクト検出レベルより絶対値が小さいとき)(S1235で「いいえ」)、最終的に伝送装置100のインターフェース表面上にオブジェクトがないと判断し、オブジェクト存在フラグOEFの値を0の値にリセットする(S1240)。
【0121】
共振周波数変動量を共振周波数用オブジェクト検出レベルと比較するステップS1220は、アナログピング合算変動量を計算し、これをアナログピン用オブジェクト検出レベルと比較するステップS1230とステップS1235以降に遂行してもよい。
【0122】
ステップS1210、ステップS1220、及びステップS1235のうちの少なくとも1つでオブジェクトがあると判断された場合、制御部130は、電力変換部110を制御してマルチコイルを構成するコイルのうちの1つ以上に対して受信モジュールが動き出すのに十分なパワーを印加するデジタルピング動作を遂行する(S1250)。
【0123】
制御部130は、通信部120を介してデジタルピング動作に従って受信モジュールから信号強度パケット(Signal Strength Packet)が受信されたか否かを確認する(S1260)。
【0124】
制御部130は、信号強度パケットが受信されると(S1260で「はい」)、すなわち受信装置がインターフェース表面上に置かれていると判断すると、受信装置でなく他の異物を検出したか否かを示すオブジェクト存在フラグOEFの値が1に設定されていることを確認する(S1270)。
【0125】
制御部130は、オブジェクト存在フラグOEFの値が1に設定されていると(S1270で「はい」)、伝送装置100のインターフェース表面上に受信装置だけでなく金属の異物があると判断し、受信装置に無線で伝送する電力の最大大きさを制限することができる(S1280)。
【0126】
以降、制御部130は、電力変換部110と通信部120を制御して受信装置に電力を無線で伝達する充電動作を遂行する(S1290)。あるいは、制御部130は、信号強度パケットを受信して受信装置を検出した状態でオブジェクト存在フラグOEFの値が1に設定されていると(S1270で「はい」)、受信装置への電力伝送を中断してもよく、この場合、ステップS1290は省かれる。
【0127】
制御部130は、信号強度パケットを受信できないとき(S1260で「いいえ」)、受信装置がインターフェース表面上にないと判断し、検出されたオブジェクトは受信装置でなく金属異物であると判断してオブジェクト存在フラグOEFの値を1に設定する(S1275)。
【0128】
アナログピング変動量とアナログピング合算変動量だけでオブジェクトを検出することもできるので、ステップS1205の共振周波数測定動作とステップS1220の共振周波数変動量をオブジェクト検出レベルと比較する動作は省かれてもよい。
【0129】
このように、マルチコイル構造の無線電力伝送装置がアナログピング変動量、アナログピング合算変動量及び共振周波数変動量を用いてインターフェース表面上にオブジェクトがあるかをより正確に判断できるようになり、電力伝送動作(又は充電)を進行するか、又は中断させるか、あるいは電力伝送の最大大きさを減少させるかを判断できるようになる。
【0130】
また、金属異物のオブジェクトがインターフェース表面にあるときに異物の有無をイメージや音などを通じて知らせたり、電力伝送を中止させて異物による熱の過剰な発生や火災の発生を防げたりすることができ、また充電に影響をあまり及ぼさない異物によって充電動作が間欠的に中断されるのを防ぎ、電子機器を素早く充電できるようになる。
【0131】
本明細書に記載された無線電力伝送方法及び装置は、以下のように説明される。
【0132】
一実施例に係る無線電力伝送方法は、マルチ構造の1次コイルを構成する各コイルに対してアナログピング動作を遂行するステップと、アナログピング動作の結果に基づいてオブジェクトがあるか否かを判断するステップと、オブジェクトがあると判断されたときにデジタルピング動作を遂行して1次コイルと磁気誘導結合ができる2次コイルを含む受信装置があるか否かを判断するステップ、及び、受信装置があると判断したときに、受信装置に電力を無線で伝送したり、電力伝送を中断したりするステップと、を含み、オブジェクトがあるか否かを判断するステップは、アナログピング動作を通じて各コイルに対して求めたアナログピング変動量に基づいてオブジェクトがあるか否かを判断する第1のステップ、及び、第1のステップでオブジェクトがないと判定されたとき、各コイルのアナログピング変動量を合算して求めたアナログピング合算変動量に基づいてオブジェクトがあるか否かを判定する第2のステップを含む。
【0133】
一実施例で、第1のステップは、1次コイルを構成するコイルのうちの少なくとも1つのアナログピング変動量が負の値の第1のレベルより小さいときにオブジェクトがあると判断し、1次コイルを構成するすべてのコイルのアナログピング変動量が第1のレベルより大きいときにオブジェクトがないと判断する。
【0134】
一実施例で、第2のステップは、アナログピング合計変動量が第1のレベルより小さいときにオブジェクトがあると判断し、アナログピング合計変動量が第1のレベルより大きいときにオブジェクトがないと判断する。
【0135】
一実施例で、オブジェクトがあるか否かを判断するステップは、さらにオブジェクトがないと判断したときにオブジェクト存在フラグをリセットするステップを含む。
【0136】
一実施例で、受信装置があるか否かを判断するステップは、信号強度パケットを受信したときに受信装置があると判断し、信号強度パケットを受信できなかったときに受信装置がないと判断する。
【0137】
一実施例で、受信装置があると判断してオブジェクト存在フラグが設定されたときに、受信装置に電力を伝送できる最大パワー値が制限される。
【0138】
一実施例で、電力を無線で伝送したり、電力送信を中断したりするステップは、オブジェクト存在フラグが設定されたときに電力伝送を中断する。
【0139】
一実施例で、受信装置がないと判断したときにオブジェクト存在フラグが設定される。
【0140】
一実施例で、オブジェクトがあるか否かを判断するステップは、さらに第1のステップでオブジェクトがないと判断したときに、1次コイルを構成する各コイルに対して測定した共振周波数変動量に基づいてオブジェクトがあるか否かを判断する第3のステップを含む。
【0141】
一実施例では、第3のステップは、1次コイルを構成するコイルのうちの少なくとも1つの共振周波数変動量が正の値の第2のレベルより大きいとき、又は負の値の第3のレベルより小さいときにオブジェクトがあると判断し、1次コイルを構成するすべてのコイルの共振周波数変動量が第2のレベルより小さく、第3のレベルよりも大きいときにオブジェクトがないと判断する。
【0142】
他の実施例に係る無線電力伝送装置は、直流電源を交流に変換するためのインバータと受信装置の2次コイルとの磁気誘導結合により電力を伝送するための1次コイルをマルチコイル構造で含む共振回路を含む電力変換部と、アナログピング動作に応じたアナログピング値を検出するための検出部、及び、電力変換部を制御して1次コイルを構成する各コイルに対してアナログピング動作を遂行し、検出部を介して検出したアナログピング値に基づいてオブジェクトがあるか否かを判断し、オブジェクトがあると判断したときに電力変換部を制御してデジタルピング動作を遂行して受信装置があるか否かを判断し、受信装置があると判断したときに電力変換部を制御して受信装置に電力を無線で伝送したり、電力伝送を中断したりする制御部を含み、制御部は、アナログピング動作を通じて各コイルに対して求めたアナログピング変動量に基づいてオブジェクトがあるか否かを判断し、オブジェクトがないと判断されたときに各コイルのアナログピング変動量を加えて求めたアナログピング合算変動量に基づいてオブジェクトがあるか否かを判断する。
【0143】
一実施例で、制御部は、1次コイルを構成するコイルのうちの少なくとも1つのアナログピング変動量が負の値の第1のレベルより小さいときにオブジェクトがあると判断し、1次コイルを構成するすべてのコイルのアナログピング変動量が第1のレベルより大きいときにオブジェクトがないと判断する。
【0144】
一実施例で、制御部は、アナログピング合計変動量が第1のレベルより小さいときにオブジェクトがあると判断し、アナログピング合計変動量が第1のレベルより大きいときにオブジェクトがないと判断する。
【0145】
一実施例で、制御部は、アナログピング変動量に基づいてオブジェクトがないと判断したとき、電力変換部を制御して1次コイルを構成する各コイルに対して測定した共振周波数変動量に基づいてオブジェクトがあるか否かを追加で判断する。
【0146】
一実施例で、制御部は、オブジェクトがないと判断したときにオブジェクト存在フラグをリセットする。
【0147】
一実施例で、制御部は、デジタルピング動作にて信号強度パケットを受信して受信装置があると判断し、オブジェクト存在フラグが設定されたときに受信装置に電力を伝送できる最大パワー値を制限する。
【0148】
一実施例で、制御部は、デジタルピング動作にて信号強度パケットを受信できなくて受信装置がないと判断したときにオブジェクト存在フラグを設定する。
【0149】
本明細書は記載された実施例に限定されるものではなく、本発明の思想及び範囲から逸脱することなく様々に修正及び変形することができることは、この技術分野で通常の知識を有する者に自明である。したがって、そのような修正例又は変形例は本発明の特許請求の範囲に属すべきである。
【符号の説明】
【0150】
1 無線電力伝送装置 2 電子機器
100 無線電力伝送モジュール 110 電力変換部
120 通信部 130 制御部
140 電源部 150 検出部
200 無線電力受信モジュール 210 電力受信部
220 通信部 230 制御部
240 負荷