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特開2024-22579情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022579
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/105 20230101AFI20240208BHJP
【FI】
G06Q10/105
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023128121
(22)【出願日】2023-08-04
(31)【優先権主張番号】P 2022125419
(32)【優先日】2022-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】307021210
【氏名又は名称】HRソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100190621
【弁理士】
【氏名又は名称】崎間 伸洋
(74)【代理人】
【識別番号】100212510
【弁理士】
【氏名又は名称】笠原 翔
(72)【発明者】
【氏名】武井 繁
(72)【発明者】
【氏名】大藪 貴之
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA11
(57)【要約】
【課題】労働者に対する評価を、上長による評価や勤怠情報等限られた情報に基づいて行う従来の評価に比べて精度良く行えるようにする。
【解決手段】情報処理システムは、労働者に関する複数の評価を記憶する評価記憶手段と、1以上の企業又は店舗で勤務する労働者を特定可能な識別情報を記憶する識別情報記憶手段と、前記識別情報に対応した評価を取得し、取得した複数の前記評価に基づき、前記識別情報に対応した前記労働者の労働評価スコアである個別評価スコアを算出するスコア算出手段と、算出された前記個別評価スコアを出力する送信制御手段と、を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
労働者に関する複数の評価を記憶する評価記憶手段と、
1以上の企業又は店舗で勤務する労働者を特定可能な識別情報を記憶する識別情報記憶手段と、
前記識別情報に対応した評価を取得し、取得した複数の前記評価に基づき、前記識別情報に対応した前記労働者の労働評価スコアである個別評価スコアを算出するスコア算出手段と、
算出された前記個別評価スコアを出力する送信制御手段と、
を有する情報処理システム。
【請求項2】
前記スコア算出手段は、複数の前記労働者の前記個別評価スコアを平均した平均評価スコアを更に算出し、
前記送信制御手段は、算出された前記平均評価スコアを更に出力する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記スコア算出手段は、評価情報として、前記労働者に対する顧客からの評価に関する顧客評価情報と、前記労働者の能力の評価に関する能力評価情報と、前記労働者の職場からの評価に関する勤務先評価情報と、前記労働者の勤怠の評価に関する勤怠評価情報と、前記労働者の給与の評価に関する給与評価情報とのうちユーザにより選択された2つ以上の前記評価情報に基づいて、前記個別評価スコアを算出する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記能力評価情報は、前記労働者の学習実績と獲得スキル情報とのうち少なくとも一方の情報に基づいて生成される、
請求項3に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記学習実績は、ゲーミフィケーションにより前記労働者の獲得したバッチ数である獲得バッチ数と受講済コンテンツ数のうち少なくとも一方の情報に基づいて生成される、
請求項4に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記獲得スキル情報は、前記労働者が対応可能な業務数と難易度とのうち少なくとも一方の情報に基づいて生成される、
請求項4に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記勤務先評価情報は、前記労働者の上司又は同僚からの評価と、前記労働者による他者評価実績と、前記労働者による有益情報の投稿数と、獲得スキル情報とのうち1以上の情報に基づいて生成される、
請求項3に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記顧客評価情報は、前記労働者が前記顧客から取得したチップの額に基づいて生成される、
請求項3に記載の情報処理システム。
【請求項9】
前記勤怠評価情報は、前記労働者の遅刻日数、早退日数、キャンセル日数、及び代替要員として勤務した日数のうち1以上の情報に基づいて生成される、
請求項3に記載の情報処理システム。
【請求項10】
前記給与評価情報は、前記労働者の前借実績に基づいて生成される、
請求項3に記載の情報処理システム。
【請求項11】
識別情報記憶手段は、複数の企業又は店舗に適用可能な共通識別情報と、企業又は店舗ごとに適用可能な個別識別情報とを関連付けて記憶する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項12】
前記個別評価スコアに基づいて、前記労働者の前払額、前借額、及び前記労働者への融資額のうち1以上の上限額を算出する上限額算出手段を更に有する、
請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項13】
前記評価記憶手段により記憶された前記評価情報の重みづけを行うことで前記評価情報を調整する評価調整手段を更に有し、
前記スコア算出手段は、前記評価調整手段により調整された前記評価情報に基づいて、前記個別評価スコアを算出する、
請求項3に記載の情報処理システム。
【請求項14】
前記評価調整手段は、複数の企業又は店舗に適用される共通の重みづけと、企業又は店舗ごとに適用される個別の重みづけとのうちユーザにより選択され前記情報処理システムにより取得された重みづけを行うことで前記評価情報を調整する、
請求項13に記載の情報処理システム。
【請求項15】
前記評価記憶手段に記憶された複数の前記労働者の前記個別評価スコアを教師データとする機械学習を行い、前記個別評価スコアを算出するためのモデルを生成するモデル生成手段を更に有し、
前記スコア算出手段は、生成された前記モデルを用いて前記個別評価スコアを算出する、
請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項16】
前記評価情報の作成に用いられた評価指標を対象とする主成分分析を行うことで主成分を導出する分析手段を更に有し、
前記評価調整手段は、前記分析手段により導出された前記主成分に基づく前記重みづけを行うことで前記評価情報を調整する、
請求項13に記載の情報処理システム。
【請求項17】
前記評価調整手段は、前記分析手段により対応付けられた前記主成分の変数となる複数の前記評価指標の因子負荷量に基づく前記重みづけを行うことで、複数の前記評価情報を調整する、
請求項16に記載の情報処理システム。
【請求項18】
労働者に関する複数の評価を記憶する評価記憶手段と、
1以上の企業又は店舗で勤務する労働者を特定可能な識別情報を記憶する識別情報記憶手段と、
前記識別情報に対応した評価を取得し、取得した複数の前記評価に基づき、前記識別情報に対応した前記労働者の労働評価スコアである個別評価スコアを算出するスコア算出手段と、
算出された前記個別評価スコアを出力する送信制御手段と、
を有する情報処理装置。
【請求項19】
労働者に関する複数の評価を記憶する評価記憶ステップと、
1以上の企業又は店舗で勤務する労働者を特定可能な識別情報を記憶する識別情報記憶ステップと、
前記識別情報に対応した評価を取得し、取得した複数の前記評価に基づき、前記識別情報に対応した前記労働者の労働評価スコアである個別評価スコアを算出するスコア算出ステップと、
算出された前記個別評価スコアを出力する送信制御ステップと、
を含む情報処理方法。
【請求項20】
労働者に関する複数の評価を記憶する評価記憶ステップと、
1以上の企業又は店舗で勤務する労働者を特定可能な識別情報を記憶する識別情報記憶ステップと、
前記識別情報に対応した評価を取得し、取得した複数の前記評価に基づき、前記識別情報に対応した前記労働者の労働評価スコアである個別評価スコアを算出するスコア算出ステップと、
算出された前記個別評価スコアを出力する送信制御ステップと、
を含む処理をコンピュータにより実行させるプログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、職務に必要とされるスキルの観点から対象者を評価する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-276168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、労働者に対して顧客の評価を含めた多様な観点からの評価を行うことができなかった。また、労働者が転職した場合に、前職の評価を引き継ぐような労働者への継続的な評価を行うことができなかった。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、顧客の評価を含めた多様な観点から労働者の評価を行うとともに、異なる企業でも利用可能な労働者識別情報と労働者の評価とを紐づけることにより、労働者が転職した後も継続的に評価を行うことを可能にする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様は、
労働者に関する複数の評価を記憶する評価記憶手段と、
1以上の企業又は店舗で勤務する労働者を特定可能な識別情報を記憶する識別情報記憶手段と、
前記識別情報に対応した評価を取得し、取得した複数の前記評価に基づき、前記識別情報に対応した前記労働者の労働評価スコアである個別評価スコアを算出するスコア算出手段と、
算出された前記個別評価スコアを出力する送信制御手段と、
を有する情報処理システムである。
【0007】
本発明の一態様の上記情報処理システムに対応する情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムも、本発明の一態様の情報処理システムに対応する情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムとして提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、顧客の評価を含めた多様な観点から労働者の評価を行うとともに、異なる企業でも利用可能な労働者識別情報と労働者の評価とを紐づけることにより、労働者が転職した後も継続的に評価を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係る情報処理システムの全体構成の一例を示す図である。
図2】本実施形態に係る管理サーバのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図3】管理サーバ、評価者端末、及び労働者端末における機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
図4】管理サーバの処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図5】評価者端末の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図6】労働者端末の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図7】情報処理システムを利用する労働者及び評価者の具体例を示すイメージ図である。
図8】主成分分析の具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<概要>
以下、本実施形態について、図面を用いて説明する。
本実施形態では、1以上の企業又は店舗への勤務が想定される者に対する評価情報を所定の値で示したスコアを算出し、労働者を特定可能な識別情報と対応付けて管理し、労働者が転職した後も継続的に評価することができるシステムについて説明する。
本システムを使用する者はユーザと総称される。ユーザは、労働者及び評価者を含む。
【0011】
<情報処理システムS>
図1は、本実施形態に係る情報処理システムSの全体構成の一例を示す図である。
情報処理システムSは、1以上の企業又は店舗への勤務が想定される者(以下、「労働者」と呼ぶ。)に対する評価者による主観的な評価と、データ等に基づく客観的な評価とを所定の値で示したスコア(以下、「個別評価スコア」と呼ぶ。)を算出して出力することを可能とする情報処理システムである。「評価者」とは、労働者を評価する者のことであり、例えば、労働者が勤務する企業又は店舗における顧客、上司、同僚等である。
【0012】
具体的には、情報処理システムSは、労働者を特定可能な識別情報(以下、「労働者識別情報」と呼ぶ。)と、労働者の評価に関する情報(以下、「評価情報」と呼ぶ。)とを対応付けて管理する。また、情報処理システムSは、労働者識別情報に対応する評価情報に基づいて、1の労働者の個別評価スコアを算出し、労働者の労働者識別情報に対応付けて管理する。また、情報処理システムSは、複数の労働者の個別評価スコアの平均値となる平均評価スコアを算出する。情報処理システムSは、算出した個別評価スコア及び平均評価スコアを出力する。
【0013】
情報処理システムSは、管理している評価情報の調整を行う。例えば、情報処理システムSは、評価情報の重みづけを行うことで評価情報を調整する。また、情報処理システムSは、評価情報の作成に用いられた評価指標を対象とする主成分分析を行い、評価情報ごとに導出された主成分の対応付けを行うことで複数の評価情報を調整する。また、情報処理システムSは、個別評価スコアを算出するためのモデル(以下、「評価モデル」と呼ぶ。)を生成する。
【0014】
情報処理システムSは、管理サーバ1と、評価者端末2-1乃至2-n(nは1以上の整数値)と、労働者端末3-1乃至3-m(mは1以上の整数値)とがネットワークNを介して接続されることで構成される。ネットワークNは、例えば、インターネット、LAN(Local Area Network)、VPN(Vertual Private Network)等である。以下、評価者端末2-1乃至2-nの各々を個別に説明する必要がない場合には、これらをまとめて「評価者端末2」と呼ぶ。また、労働者端末3-1乃至3-mの各々を個別に説明する必要がない場合には、これらをまとめて「労働者端末3」と呼ぶ。
【0015】
情報処理システムSは、各労働者に労働者識別情報を付与し、評価モデルに基づいて個別評価スコアを算出する。各労働者は転職及び又は兼業で1以上の企業又は店舗で働く可能性がある。各労働者の労働者識別情報と評価情報とは、転職等に関わらず維持される。このため、労働者が転職した後も継続的に評価が行われ得る。
【0016】
労働者を評価する手法は、労働者が勤務する企業又は店舗ごとに異なり得る。情報処理システムSは、詳細は後述するが、複数の企業又は店舗の各々から提供された評価情報を調整する。
【0017】
(管理サーバ1)
管理サーバ1は、情報処理システムSの全体を管理するサーバとしての情報処理装置である。管理サーバ1は、取得部31、情報管理部32、評価調整部33、分析部34、スコア算出部35、モデル生成部36、上限額算出部37、そして、送信制御部38を備える。
【0018】
管理サーバ1は、評価者端末2と、労働者端末3との各々から送信されてくる各種の情報を取得し、各種の処理を行うことを可能とする。また送信制御部38は、評価者端末2と、労働者端末3との各々に向けて各種の情報を送信し、各種の処理を実行させることを可能とする。
【0019】
管理サーバ1は、労働者識別情報を管理する。また、取得部31は、労働者ごとの評価情報を取得する。情報管理部32は、当該評価情報を労働者識別情報に対応付けて管理する。
本実施形態では、評価情報には、能力評価情報、勤務先評価情報、顧客評価情報、勤怠評価情報、資質評価情報、給与評価情報等が含まれるものとする。各々の評価情報は、所定の評価指標に基づいて数値化されてもよい。
【0020】
顧客評価情報は、評価者(例えば、顧客)からの評価に基づいて生成された情報である。顧客評価情報には、労働者が顧客から取得したチップの額等の情報が含まれる。例えば、当該チップの額が評価指標の一つとなる。
【0021】
勤務先評価情報は、労働者の勤務先における評価者としての上司や同僚からの評価に基づいて生成された情報である。勤務先評価情報には、労働者の上司又は同僚からの評価の他、労働者による他者評価実績、労働者による有益情報の投稿数、獲得スキル情報等の情報が含まれる。例えば、労働者の上司又は同僚からの評価の数値、当該有益情報の投稿数が評価指標となる。
【0022】
勤怠評価情報は、労働者の勤怠の評価に基づいて生成された情報である。勤怠評価情報には、労働者の遅刻日数、早退日数、キャンセル日数、代替要員として勤務した日数等の情報が含まれる。労働者の遅刻日数、早退日数、キャンセル日数、代替要員として勤務した日数等が評価指標となる。
【0023】
能力評価情報は、労働者の能力の評価に基づいて生成された情報である。能力評価情報には、労働者の学習実績や獲得スキル情報等の情報が含まれる。
学習実績には、ゲーミフィケーションによる労働者の獲得バッチ数や、受講済コンテンツ数等の情報が含まれる。
例えば、ゲームにおけるポイントの獲得の如く、労働者が労働する中で顧客或いは上司、同僚から、例えば接客態度、笑顔、計画遂行等に対してバッチが与えられ、獲得されたバッチの数がカウントされる。
獲得スキル情報は、労働者が対応可能な業務数や難易度等に基づいて生成された情報である。
これらの情報は、例えば、評価指標に基づいて数値化される。評価指標は、より具体的には、例えば、TOEICの点数、英検の取得級、漢字検定の取得級、建築士の取得級、弁理士資格の有無、獲得バッチ数、受講済コンテンツ数等である。
【0024】
資質評価情報は、労働者の資質の評価に基づいて生成された情報である。資質評価情報には、労働者の創造性、協調性、順応性、規範遵守性、健康状態等の情報が含まれる。これらの情報は、例えば、評価指標に基づいて導出される。例えば、協調性に関係する評価指標とは、例えば、他人の話への傾聴の度合い、気遣いの度合い等である。
【0025】
給与評価情報は、労働者の給与の評価に基づいて生成された情報である。給与評価情報には、労働者による前借りの実績である前借実績が含まれる。
なお、評価情報のうち、顧客評価情報、勤務先評価情報及び資質評価情報は、評価者による主観的な評価であり、勤怠評価情報、能力評価情報、及び給与評価情報は、データに基づく客観的な評価である。
【0026】
また管理サーバ1は、労働者識別情報に対応する評価情報に基づいて、個別評価スコアを算出する。送信制御部38は、評価者端末2及び労働者端末3に向けて当該個別評価スコアを送信する。また、スコア算出部35は、複数の労働者の個別評価スコアの平均値となる平均評価スコアを算出する。送信制御部38は、評価者端末2及び労働者端末3に向けて当該平均評価スコアを送信する。また、情報管理部32は、算出した労働者の個別評価スコアを、その労働者に対応して設けられる労働者識別情報に対応付けて管理する。
【0027】
また、管理サーバ1は、評価情報を調整する。具体的には、評価調整部33は、評価情報及び/又は評価指標の重みづけを行うことで評価情報を調整する。取得部31は、評価情報の重みづけを行う際、複数の企業又は店舗に共通して適用される重みづけと、企業又は店舗ごとに適用される個別の重みづけとのうちユーザにより選択された重みづけを取得する。評価調整部33は、当該取得された重みづけを採用する。
【0028】
また、管理サーバ1は、データベースに記憶されている複数の労働者の個別評価スコアを教師データとする機械学習を行い、評価モデルを生成する。そして、スコア算出部35は、生成した評価モデルを用いて、労働者の個別評価スコアを算出する。また、分析部34は、各種の評価情報の作成に用いられた評価指標を対象とする主成分分析を行い、評価情報ごとに主成分を導出する。そして、評価調整部33は、例えば、導出した主成分の対応付けを行うことで複数の評価情報を調整する。
【0029】
また、管理サーバ1は、データベースに記憶されている労働者の個別評価スコアに基づいて、労働者の給与にかかる前払額、前借額、及び労働者への融資額の各々の上限額(以下、これらをまとめて「各種上限額」と呼ぶ。)を算出する。このうち、「前払額」とは、労働者に支払われる給与額のうち、通常の給与支払日よりも早く支払うことが可能な額のことをいう。また、「前借額」とは、労働者に支払われる給与額のうち労働者が前借りできる額のことをいう。また、「融資額」とは、労働者に対して融資可能な額のことをいう。送信制御部38は、各種上限額を算出すると、算出結果を労働者端末3に向けて送信する。なお、管理サーバ1の具体的な構成や処理の詳細については後述する。
【0030】
(評価者端末2)
評価者端末2は、評価者が情報処理システムSを利用するために操作する情報処理装置であり、例えば、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォン等で構成される。評価者端末2は、情報処理システムSを利用可能にする所定のアプリケーションプログラムを実行可能とする。評価者端末2は、取得した各種の情報や、評価者の操作により入力された各種の情報等に基づいて、各種の処理を行うことを可能とする。また、評価者端末2は、管理サーバ1に向けて各種の情報を送信することを可能とする。
【0031】
例えば、評価者端末2は、評価情報を入力する操作を受け付けて、その入力情報を管理サーバ1に向けて送信する。具体的には、評価者端末2は、評価情報として、顧客評価情報、勤務先評価情報、勤怠評価情報、能力評価情報、資質評価情報、及び給与評価情報のうち1以上の情報を管理サーバ1に向けて送信する。
【0032】
また、評価者端末2は、評価対象とされた1の労働者の個別評価スコアや、算出の際に対象とされた複数の労働者にかかる平均評価スコアを表示させるための入力操作を受け付けて、その入力情報を管理サーバ1に向けて送信する。また、評価者端末2は、管理サーバ1から送信されてきた個別評価スコアや平均評価スコアを取得して表示する。なお、評価者端末2の具体的な構成や処理の詳細については後述する。
【0033】
また、評価者端末2は、使用者側である例えば企業が使用する端末である。評価者端末2は、企業の人事担当者により使用されてもよい。
【0034】
(労働者端末3)
労働者端末3は、情報処理システムSを利用する労働者が操作する情報処理装置であり、例えば、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォン等で構成される。労働者端末3は、情報処理システムSを利用可能にする所定のアプリケーションプログラムを実行可能とする。労働者端末3は、取得した各種の情報や、労働者の操作により入力された各種の情報等に基づいて、各種の処理を行うことを可能とする。また、労働者端末3は、管理サーバ1に向けて各種の情報を送信することを可能とする。
【0035】
例えば、労働者端末3は、個別評価スコアや平均評価スコアを表示させるための入力操作を受け付けて、その入力情報を管理サーバ1に向けて送信する。また、労働者端末3は、各種上限額を表示させるための入力操作を受け付けて、その入力情報を管理サーバ1に向けて送信する。また、労働者端末3は、管理サーバ1から送信されてきた個別評価スコアや平均評価スコアを取得して表示する。また、労働者端末3は、管理サーバ1から送信されてきた各種上限額を取得して表示する。なお、評価者端末2の具体的な構成や処理の詳細については後述する。
【0036】
情報処理システムSを構成する管理サーバ1、評価者端末2、及び労働者端末3の各々による上述の処理は一例である。また、情報処理システムS全体として上述の処理を実現させる機能が備わっていればよいので、上述の処理を実現させる機能のうち一部又は全部が情報処理システムS内で分担されてもよいし協働されてもよい。
【0037】
例えば、管理サーバ1の機能の一部又は全部を情報処理システムS内の他の情報処理装置(評価者端末2や労働者端末3)の機能としてもよい。また、情報処理システムS内の他の情報処理装置の機能の一部又は全部を管理サーバ1の機能としてもよい。更に、管理サーバ1の機能の一部又は全部を図示せぬ他のサーバ等に移譲してもよい。これにより、情報処理システムS全体としての処理が促進され、また、処理を補完し合うことが可能となる。
【0038】
<ハードウェア構成>
(管理サーバ1のハードウェア構成)
図2は、本実施形態に係る管理サーバ1のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
管理サーバ1は、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、バス14と、入出力インターフェース15と、出力部16と、入力部17と、記憶部18と、通信部19と、ドライブ20とを備えている。
【0039】
CPU11は、ROM12に記録されているプログラム、又は、記憶部18からRAM13にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM13には、CPU11が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。CPU11、ROM12、及びRAM13は、バス14を介して相互に接続されている。このバス14にはまた、入出力インターフェース15も接続されている。
【0040】
入出力インターフェース15には、出力部16、入力部17、記憶部18、通信部19、及びドライブ20が接続されている。出力部16は、ディスプレイやスピーカ等で構成され、各種の情報を画像や音声として出力する。入力部17は、キーボード、マウス、タッチパネル等で構成され、各種情報の入力を受け付ける。記憶部18は、ハードディスクやDRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、各種データを記憶する。通信部19は、インターネット等で構成された上述のネットワークNを介して他の装置との間で通信を行う。
【0041】
ドライブ20には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等からなるリムーバブルメディア21が適宜装着される。ドライブ20によりリムーバブルメディア21から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部18にインストールされる。また、リムーバブルメディア21は、記憶部18に記憶されている各種データも、記憶部18と同様に記憶することができる。
【0042】
(評価者端末2及び労働者端末3のハードウェア構成)
また、図示はしないが、評価者端末2及び労働者端末3は、図2に示す管理サーバ1のハードウェア構成と同様の構成を有する。即ち、評価者端末2及び労働者端末3は、図2のCPU11、ROM12、RAM13、バス14、入出力インターフェース15、出力部16、入力部17、記憶部18、通信部19、ドライブ20、及びリムーバブルメディア21の各々に対応する、CPU、ROM、RAM、バス、入出力インターフェース、出力部、入力部、記憶部、通信部、ドライブ、及びリムーバブルメディアの各々を有する。
【0043】
<機能構成>
(管理サーバ1、評価者端末2、及び労働者端末3の機能構成)
〔管理サーバ1の機能構成〕
図3は、管理サーバ1、評価者端末2、及び労働者端末3における機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
管理サーバ1のCPU11においては、動作する際に、取得部31と、情報管理部32と、評価調整部33と、分析部34と、スコア算出部35と、モデル生成部36と、上限額算出部37と、送信制御部38とが機能する。また、管理サーバ1の記憶部18においては、各種のデータベース(以下、DB)が設けられている。例えば、識別情報が記憶された識別DB41(識別データベース)、評価情報が記憶された評価DB42(評価データベース)、各種のスコア(個別評価スコア及び平均評価スコア)が記憶されたスコアDB43(スコアデータベース)、評価モデルが記憶されたモデルDB44(モデルデータベース)等が設けられている。
【0044】
取得部31は、各種の情報を取得する。取得部31は、労働者及び/又は評価者等のユーザによって選択された各種情報を取得する。例えば、取得部31は、評価者端末2及び労働者端末3の各々から送信されてくる各種の情報を取得する。
評価者端末2から送信されてくる情報としては、例えば、評価情報としての顧客評価情報、勤務先評価情報、勤怠評価情報、能力評価情報、資質評価情報、給与評価情報等が挙げられる。
取得部31は、当該情報の個々にかけられる重みづけの手法についての情報を取得する。重みづけの手法として、複数の企業又は店舗に適用される共通の重みづけの手法と、企業又は店舗ごとに適用される個別の重みづけの手法とが挙げられる。取得部31は、少なくとも何れかの重みづけの手法を取得する。一方の手法のみが取得されてもよく、両方の手法が取得されてもよい。
労働者端末3から送信されてくる情報としては、例えば、個別評価スコアを表示させるための入力情報、平均評価スコアを表示させるための入力情報、各種上限額を表示させるための入力情報等が挙げられる。
【0045】
情報管理部32は、各種の情報をデータベースに記憶させて管理する。例えば、情報管理部32は、記憶部18の識別DB41、評価DB42、スコアDB43、及びモデルDB44の各々に、労働者識別情報、評価情報、各種のスコア(個別評価スコア及び平均評価スコア)、及び評価モデルの各々を記憶させて管理する。情報管理部32は、労働者識別情報として、複数の企業又は店舗に適用可能な共通識別情報と、企業又は店舗ごとに適用可能な個別識別情報とを対応付けて管理する。
【0046】
評価調整部33は、データベースに記憶されている評価情報を調整する。具体的には、評価調整部33は、記憶部18の評価DB42に記憶されている労働者の評価情報の重みづけを行い、その結果に基づいて、評価情報の調整を行う。重みづけの手法としては、例えば、複数の企業又は店舗に適用される共通の重みづけの手法や、企業又は店舗ごとに適用される個別の重みづけの手法等がある。この場合、評価調整部33は、評価者により選択され取得部31により取得された重みづけの手法を用いて重みづけを行うことができる。
【0047】
また、評価調整部33は、後述する分析部34による主成分分析の結果として対応付けられた主成分について、変数となる評価指標の因子負荷量を求める。評価調整部33は、当該因子負荷量に基づいて評価指標に重みづけを行い、評価情報を調整する。
【0048】
分析部34は、データベースに記憶されている評価情報を対象とする各種の分析を行う。例えば、分析部34は、記憶部18の評価DB42に記憶されている複数の評価情報の各々の作成に用いられた評価指標を対象とする主成分分析を行い、評価情報ごとに導出された主成分の対応付けを行う。具体的には、分析部34は、主成分の変数となる複数の評価指標の比較により得られる類似性の度合に基づいて、主成分の対応付けを行う。なお、主成分分析の具体例については、図8を参照して後述する。
【0049】
スコア算出部35は、各種のスコアを算出する。例えば、スコア算出部35は、労働者識別情報に対応する評価情報に基づいて、労働者に対する評価を所定の値で示した個別評価スコアを算出する。具体的には、例えば、スコア算出部35は、能力評価情報と、資質評価情報と、勤務先評価情報と、勤怠評価情報と、給与評価情報と、顧客評価情報とのうち、評価者により選択され取得部31により取得された2種類以上の評価情報に基づいて、個別評価スコアを算出する。能力評価情報、資質評価情報などの評価情報は、単なる情報の場合と数値化されている場合とが考えられる。数値化されていない場合には、評価情報の内容に基づいて個別評価スコアが導出される。評価情報が数値化されている場合には、例えば、当該数値に重みづけの係数をかけて合計を個別評価スコアとする。労働者識別情報に対応する評価情報には、評価調整部33により調整された評価情報が含まれる。
【0050】
また、スコア算出部35は、記憶部18のスコアDB43に記憶されている複数の労働者の個別評価スコアの平均値となる平均評価スコアを算出する。また、スコア算出部35は、後述するモデル生成部36により生成された評価モデルを用いて個別評価スコアを算出することもできる。
【0051】
モデル生成部36は、評価モデルを生成する。具体的には、モデル生成部36は、記憶部18のスコアDB43に記憶されている複数の労働者の個別評価スコアを教師データとする機械学習を行うことで評価モデルを生成する。例えば、スコア算出部35により提示される労働者の個別評価スコアに対して、理にかなっているかが人事担当者により判定される。当該判定結果が教師データの役割を果たす。教師データに基づいて機械学習が行われ、評価モデルがより信頼性の高いモデルへと改良される。
【0052】
上限額算出部37は、各種上限額を算出する。具体的には、上限額算出部37は、記憶部18のスコアDB43に記憶されている労働者の個別評価スコアに基づいて、各種上限額を算出する。
【0053】
送信制御部38は、通信部19を介して各種の情報を送信する制御を行う。具体的には、送信制御部38は、評価者端末2及び労働者端末3の各々に向けて各種の情報を送信する制御を行う。例えば、送信制御部38は、評価者端末2及び労働者端末3の各々の表示部に各種の情報を表示させるための制御情報を、評価者端末2及び労働者端末3の各々に向けて送信する制御を行う。
【0054】
評価者端末2の表示部に各種の情報を表示させるための制御情報としては、例えば、評価者端末2に各種のスコア(個別評価スコア及び平均評価スコア)を表示させるための制御情報等が挙げられる。また、労働者端末3の表示部に各種の情報を表示させるための制御情報としては、例えば、労働者端末3に各種のスコア(個別評価スコア及び平均評価スコア)を表示させるための制御情報、労働者端末3の表示部に各種上限額を表示させるための制御情報等が挙げられる。
【0055】
〔評価者端末2の機能構成〕
評価者端末2のCPU11においては、動作する際に、取得部51と、表示制御部52と、送信制御部53とが機能する。
【0056】
取得部51は、各種の情報を取得する。例えば、取得部51は、入力部17により入力が受け付けられた情報を取得する。入力部17により入力が受け付けられる情報としては、例えば、個別評価スコア及び平均評価スコアの各々を表示させるために入力された情報や、各種の評価情報等が挙げられる。また、取得部51は、管理サーバ1から送信されてきた情報を取得する。管理サーバ1から送信されてくる情報としては、例えば、各種のスコア(個別評価スコア及び平均評価スコア等)が挙げられる。
【0057】
表示制御部52は、各種の情報を表示させる制御を行う。具体的には、表示制御部52は、各種の情報を出力部16のディスプレイ等に表示させる制御を行う。例えば、表示制御部52は、取得部51により取得された個別評価スコア及び平均評価スコアの各々を出力部16のディスプレイ等に表示させる制御を行う。
【0058】
送信制御部53は、通信部19を介して各種の情報を送信する制御を行う。例えば、送信制御部53は、各種の入力情報を管理サーバ1に向けて送信する制御を行う。管理サーバ1に向けて送信される入力情報としては、例えば、労働者を評価するために入力された情報を、個別評価スコア及び平均評価スコアの各々を表示させるために入力された情報等が挙げられる。
【0059】
〔労働者端末3の機能構成〕
労働者端末3のCPU11においては、動作する際に、取得部71と、表示制御部72と、送信制御部73とが機能する。
【0060】
取得部71は、各種の情報を取得する。例えば、取得部71は、入力部17により入力が受け付けられた情報を取得する。入力部17により入力が受け付けられる情報としては、例えば、各種のスコア(個別評価スコア及び平均評価スコア)を表示させるために入力された情報、各種上限額を表示させるために入力された情報等が挙げられる。また、取得部71は、管理サーバ1から送信されてきた情報を取得する。管理サーバ1から送信されてくる情報としては、例えば、各種のスコア(個別評価スコア及び平均評価スコア)や、各種上限額等が挙げられる。
【0061】
表示制御部72は、各種の情報を表示させる制御を行う。具体的には、表示制御部72は、各種の情報を出力部16のディスプレイ等に表示させる制御を行う。例えば、表示制御部72は、取得部71により取得された個別評価スコア及び平均評価スコアの各々を出力部16のディスプレイ等に表示させる制御を行う。また、表示制御部72は、取得部71により取得された、各種上限額を出力部16のディスプレイ等に表示させる制御を行う。
【0062】
送信制御部73は、通信部19を介して各種の情報を送信する制御を行う。例えば、送信制御部73は、各種の入力情報を管理サーバ1に向けて送信する制御を行う。管理サーバ1に向けて送信される入力情報としては、例えば、個別評価スコア及び平均評価スコアの各々を表示させるために入力された情報や、各種上限額を表示させるために入力された情報等が挙げられる。
【0063】
<処理の流れ>
(管理サーバ1の処理の流れ)
図4は、管理サーバ1の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
情報管理部32は、労働者識別情報を管理する(ステップS1)。取得部31は、労働者ごとの評価情報が送信されてくると(ステップS2:YES)、送信されてきた評価情報を取得する。情報管理部32は、労働者識別情報に評価情報を対応付けて管理する(ステップS3)。これに対して、評価情報が送信されてきていない場合(ステップS2:NO)、取得部31は、評価情報が送信されてくるまでステップS2の判断処理を繰り返す。
【0064】
評価調整部33は、労働者識別情報に複数種類の評価情報が対応付けられている場合には(ステップS4:YES)、評価情報を調整する(ステップS5)。具体的には、評価調整部33は、評価情報の重みづけを行うことで評価情報を調整する。
【0065】
評価情報としては、能力評価情報、勤務先評価情報、顧客評価情報、勤怠評価情報、資質評価情報、給与評価情報等が含まれる。これらの評価情報は例えば、それぞれが数値化されている。更に、例えば能力評価情報は、労働者の学習実績や獲得スキル情報等の情報等に基づいて生成されている。そして、例えば、学習実績、獲得スキル等が数値化されている。当該複数の数値に対して重みづけの係数がかけられて数値としての能力評価情報が生成されてもよい。
【0066】
このとき、評価調整部33は、複数の企業又は店舗に適用される共通の重みづけの手法と、企業又は店舗ごとに適用される個別の重みづけの手法とのうち、ユーザにより選択され取得部31により取得された手法を用いて重みづけを行う。これに対して、労働者識別情報に複数種類の評価情報が対応付けられていない場合(ステップS4:NO)、処理は、ステップS6の判断処理に進む。
【0067】
取得部31は、評価者端末2又は労働者端末3から、労働者の個別評価スコアを表示させるための入力情報が送信されてくると(ステップS6:YES)、送信されてきた入力情報を取得する。スコア算出部35は、個別評価スコアを算出する(ステップS7)。具体的には、スコア算出部35は、労働者識別情報に対応する評価情報に基づいて、個別評価スコアを算出する。例えば、各評価情報が数値化されている場合には、スコア算出部35は、複数の数値化された当該評価情報に対して重みづけの係数をかけて合計を数値化された個別評価スコアとする。このステップにおいて、評価調整部33は、複数の企業又は店舗に適用される共通の重みづけの手法と、企業又は店舗ごとに適用される個別の重みづけの手法とのうち、ユーザにより選択され取得部31により取得された手法を用いて重みづけを行う。
【0068】
このとき、スコア算出部35は、複数の労働者の個別評価スコアに基づいて、例えば個別評価スコアの蓋然性を教師データとして、機械学習により生成した評価モデルを用いて個別評価スコアを算出することもできる。
【0069】
送信制御部38は、労働者の個別評価スコアを表示させるための入力情報の送信元である評価者端末2又は労働者端末3に向けて、ステップS7で算出した個別評価スコアを送信する(ステップS8)。これに対して、個別評価スコアを表示させるための入力情報が送信されてきていない場合(ステップS6:NO)、取得部31は、個別評価スコアを表示させるための入力情報が送信されてくるまでステップS6の判断処理を繰り返す。
【0070】
取得部31は、評価者端末2又は労働者端末3から、労働者の平均評価スコアを表示させるための入力情報が送信されてくると(ステップS9:YES)、送信されてきた入力情報を取得し、スコア算出部35は、平均評価スコアを算出する(ステップS10)。そして、送信制御部38は、平均評価スコアを表示させるための入力情報の送信元である評価者端末2又は労働者端末3に向けて、算出した平均評価スコアを送信して(ステップS11)、ステップS12の判断処理に進む。これに対して、個別評価スコアを表示させるための入力情報が送信されてきていない場合(ステップS9:NO)、取得部31は、平均評価スコアを表示させるための入力情報が送信されてくるまでステップS9の判断処理を繰り返す。
【0071】
取得部31は、労働者端末3から各種上限額を表示させるための入力情報が送信されてくると(ステップS12:YES)、送信されてきた入力情報を取得し、上限額算出部37は、各種上限額を算出する(ステップS13)。そして、送信制御部38は、労働者端末3に向けて、算出した各種上限額を送信する(ステップS14)。これに対して、各種上限額を表示させるための入力情報が送信されてきていない場合(ステップS12:NO)、取得部31は、各種上限額を表示させるための入力情報が送信されてくるまでステップS12の判断処理を繰り返す。
【0072】
上記の管理サーバ1の処理の流れにおいては、個別評価スコア、平均評価スコア、各種上限額、の全てが順次導出され、ユーザに送信されている。これらが個別にユーザから要求され、管理サーバ1の送信制御部38から送信されてもよい。具体的には、個別評価スコア、平均評価スコア、各種上限額のうち、少なくとも一つがユーザから要求され、管理サーバ1の送信制御部38から送信してもよいし、全てを順次導出する場合の順序が変更されてもよい。
【0073】
(評価者端末2の処理の流れ)
図5は、評価者端末2の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
評価者端末2の取得部51は、評価情報が入力されると(ステップS21:YES)、その入力操作を受け付けて、送信制御部53は、管理サーバ1に向けてその入力情報を送信する(ステップS22)。管理サーバ1に向けて送信される入力情報には、評価情報としての顧客評価情報、勤務先評価情報、勤怠評価情報、能力評価情報、資質評価情報、給与評価情報等が含まれる。これに対して、評価情報が入力されていない場合(ステップS21:NO)、取得部51は、評価情報が入力されるまでステップS21の判断処理を繰り返す。
【0074】
送信制御部53は、評価対象とされた1の労働者の個別評価スコアを表示させるための入力操作が行われると(ステップS23:YES)、その入力操作を受け付けて、管理サーバ1に向けてその入力情報を送信する(ステップS24)。これに対して、個別評価スコアを表示させるための入力操作が行われていない場合(ステップS23:NO)、送信制御部53は、個別評価スコアを表示させるための入力操作が行われるまでステップS23の判断処理を繰り返す。
【0075】
取得部51は、管理サーバ1から個別評価スコアが送信されてくると(ステップS25:YES)、送信されてきた個別評価スコアを取得し、表示制御部52は、表示部のディスプレイ等に表示する(ステップS26)。これに対して、個別評価スコアが送信されてきていない場合(ステップS25:NO)、取得部51は、個別評価スコアが送信されてくるまでステップS25の判断処理を繰り返す。
【0076】
取得部51は、評価対象とされた複数の労働者の平均評価スコアを表示させるための入力操作が行われると(ステップS27:YES)、その入力操作を受け付け、送信制御部53は、管理サーバ1に向けてその入力情報を送信する(ステップS28)。これに対して、平均評価スコアを表示させるための入力操作が行われていない場合(ステップS27:NO)、取得部51は、平均評価スコアを表示させるための入力操作が行われるまでステップS27の判断処理を繰り返す。
【0077】
取得部51は、管理サーバ1から平均評価スコアが送信されてくると(ステップS29:YES)、送信されてきた平均評価スコアを取得し、表示制御部52は、表示部のディスプレイ等に表示する(ステップS30)。これに対して、個別評価スコアが送信されてきていない場合(ステップS29:NO)、取得部51は、個別評価スコアが送信されてくるまでステップS29の判断処理を繰り返す。
【0078】
上記の評価者端末2の処理の流れにおいては、個別評価スコア、平均評価スコア、各種上限額、の全てが順次導出され、評価者端末2に表示されている。これらが個別に評価者から要求され、管理サーバ1の送信制御部38から送信され、評価者端末2に表示されてもよい。具体的には、個別評価スコア、平均評価スコア、各種上限額のうち、少なくとも一つが評価者から要求され、管理サーバ1の送信制御部38から送信してもよいし、全てを順次導出する場合の順序が変更されてもよい。
【0079】
(労働者端末3の処理の流れ)
図6は、労働者端末3の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
労働者端末3の取得部71は、自機を操作する労働者の個別評価スコアを表示させるための入力操作が行われると(ステップS41:YES)、その入力操作を受け付け、送信制御部73は管理サーバ1に向けてその入力情報を送信する(ステップS42)。これに対して、個別評価スコアを表示させるための入力操作が行われていない場合(ステップS41:NO)、取得部71は、個別評価スコアを表示させるための入力操作が行われるまでステップS41の判断処理を繰り返す。
【0080】
取得部71は、管理サーバ1から個別評価スコアが送信されてくると(ステップS43:YES)、送信されてきた個別評価スコアを取得し、表示制御部72は表示部のディスプレイ等に当該個別評価スコアを表示する(ステップS44)。これに対して、個別評価スコアが送信されてきていない場合(ステップS43:NO)、取得部71は、個別評価スコアが送信されてくるまでステップS43の判断処理を繰り返す。
【0081】
取得部71は、複数の労働者の平均評価スコアを表示させるための入力操作が行われると(ステップS45:YES)、その入力操作を受け付け、管理サーバ1に向けてその入力情報を送信する(ステップS46)。これに対して、平均評価スコアを表示させるための入力操作が行われていない場合(ステップS45:NO)、取得部71は、平均評価スコアを表示させるための入力操作が行われるまでステップS45の判断処理を繰り返す。
【0082】
取得部71は、管理サーバ1から平均評価スコアが送信されてくると(ステップS47:YES)、送信されてきた平均評価スコアを取得し、表示制御部72は表示部のディスプレイ等に表示する(ステップS48)。これに対して、個別評価スコアが送信されてきていない場合(ステップS47:NO)、取得部71は、個別評価スコアが送信されてくるまでステップS47の判断処理を繰り返す。
【0083】
労働者端末3は、自機を操作する労働者の各種上限額を表示させるための入力操作が行われると(ステップS49:YES)、その入力操作を受け付けて、管理サーバ1に向けてその入力情報を送信する(ステップS50)。これに対して、各種上限額を表示させるための入力操作が行われていない場合(ステップS49:NO)、労働者端末3は、各種上限額を表示させるための入力操作が行われるまでステップS49の判断処理を繰り返す。
【0084】
取得部71は、管理サーバ1から各種上限額が送信されてくると(ステップS51:YES)、送信されてきた各種上限額を取得し、表示制御部72は表示部のディスプレイ等に当該各種上限額を表示する(ステップS52)。これに対して、各種上限額が送信されてきていない場合(ステップS51:NO)、取得部71は、各種上限額が送信されてくるまでステップS51の判断処理を繰り返す。
【0085】
上記の評価者端末2の処理の流れにおいては、個別評価スコア、平均評価スコア、各種上限額、の全てが順次導出され、労働者端末3に表示されている。これらが個別に評価者から要求され、管理サーバ1の送信制御部38から送信され、労働者端末3に表示されてもよい。具体的には、個別評価スコア、平均評価スコア、各種上限額のうち、少なくとも一つが労働者から要求され、管理サーバ1の送信制御部38から送信してもよいし、全てを順次導出する場合の順序が変更されてもよい。
【0086】
<具体例>
図7は、情報処理システムSを利用する労働者及び評価者の具体例を示すイメージ図である。
図7に示す労働者W1は、企業K1と企業K2とにアルバイト社員として勤務する労働者である。労働者W1は、労働者端末3を操作することで情報処理システムS(図1参照)を利用する。なお、企業K1と企業K2との間の資本関係の有無は問わない。
【0087】
企業K1には、企業K1に勤務する労働者W1の勤怠評価情報、能力評価情報、資質評価情報、及び給与評価情報等の各々を管理する評価者端末2-1が設置されている。評価者端末2-1に管理されているこれらの評価情報は、所定のタイミングで管理サーバ1に送信される。また、企業K2には、企業K2に勤務する労働者W1の勤怠評価情報、能力評価情報、資質評価情、及び給与評価情報等の各々を管理する評価者端末2-6が設置されている。評価者端末2-6に管理されているこれらの評価情報は、所定のタイミングで管理サーバ1に送信される。
【0088】
上司J1及び同僚D1の各々は、企業K1に勤務する労働者W1の評価者として評価者端末2-2及び2-3の各々を操作し、労働者W1の勤務先評価情報を入力する。評価者端末2-2及び2-3の各々に入力された勤務先評価情報は、所定のタイミングで管理サーバ1に送信される。
【0089】
上司J2及び同僚D2の各々は、企業K2に勤務する労働者W1の評価者として評価者端末2-7及び2-8の各々を操作し、労働者W1の勤務先評価情報を入力する。評価者端末2-7及び2-8の各々に入力された労働者W1の勤務先評価情報は、所定のタイミングで管理サーバ1に送信される。
【0090】
顧客C1は、企業K1の顧客であり、企業K1に勤務する労働者W1を評価する評価者である。顧客C1は、自身が所持する評価者端末2-4、又は企業K1に備え付けの評価者端末2-5を操作することで、企業K1に勤務する労働者W1の顧客評価情報を直接入力し、又は間接的に入力する。
【0091】
「間接的に入力」とは、労働者W1の顧客評価情報の入力操作を他の評価者が行うことであり、例えば、顧客C1が口頭で告げ、又は所定の紙媒体(例えば、アンケート用紙等)等に記入した労働者W1の顧客評価情報を他の評価者が入力する場合等が該当する。
【0092】
顧客C2は、企業K2の顧客であり、企業K2に勤務する労働者W1を評価する評価者である。顧客C2は、自身が所持する評価者端末2-9、又は企業K2に備え付けの評価者端末2-10を操作することで、企業K2に勤務する労働者W1の顧客評価情報を直接入力し、又は間接的に入力する。
【0093】
情報管理部32は、評価者端末2-1から送信されてくる労働者W1の勤怠評価情報、能力評価情報、及び給与評価情報と、評価者端末2-2及び2-3の各々から送信されてくる労働者W1の勤務先評価情報及び顧客評価情報と、評価者端末2-4及び2-5の各々から送信されてくる労働者W1の顧客評価情報とを、企業K1に勤務する労働者W1の評価情報として、労働者W1の労働者識別情報に対応付けて管理する。スコア算出部35は、指示に応じて労働者W1の個別評価スコアを算出する。
【0094】
また、情報管理部32は、評価者端末2-6から送信されてくる労働者W1の勤怠評価情報、能力評価情報、及び給与評価情報と、評価者端末2-7及び2-8の各々から送信されてくる労働者W1の勤務先評価情報及び顧客評価情報と、評価者端末2-9及び2-10の各々から送信されてくる労働者W1の顧客評価情報とを、企業K2に勤務する労働者W1の評価情報として、労働者W1の労働者識別情報に対応付けて管理する。スコア算出部35は、指示に応じて労働者W1の個別評価スコアを算出する。
【0095】
スコア算出部35は、上述のように、労働者W1の個別評価スコアを、企業K1及び企業K2において算出する。労働者W1には固有の労働者識別情報が設定されている。このため、労働者W1の個別評価スコアは、企業K1での個別評価スコアと企業K2での個別評価スコアとを含む。
【0096】
労働者W1は、企業K1での個別評価スコアと企業K2での評価スコアとを比較することで、例えば、どちらの企業での評価が相対的に高いかを知ることができる。労働者W1は、例えば、自分への評価の高い企業での就業を主にする、企業特有の評価委内容に基づいて就業形態を修正する等の判断をすることができる。
【0097】
第3の企業K3が本実施形態の情報処理システム使用している場合が想定される。労働者W1は、企業K1での個別評価スコアを第3の企業K3にて持続して使用することも可能である。例えば、第3の企業K3への就職に際して、企業K1での個別評価スコアを提示し、優秀さをアピールすることができる。更に、第3の企業K3にて同様の評価が継続され得る。
【0098】
本実施形態の情報処理システムSにおいて、例えば企業K1の人事担当者は、企業K1での労働者W1の評価に加えて、他企業における労働者W1の評価を得られてもよい。例えば、何れの企業でも労働者W1の個別評価スコアが高い場合には、労働者W1の給料待遇を上げて囲い込む、という方策を採ることが可能となる。
【0099】
(主成分分析)
上述においては、労働者を評価する手法が労働者が勤務する企業又は店舗に共通との前提に単純化して説明がなされている。労働者を評価する手法は、労働者が勤務する企業又は店舗ごとに異なり得るため、複数の企業又は店舗の各々から情報処理システムS(図1参照)に提供される評価情報を比較することが困難になることがある。このため、情報処理システムSは、複数の企業又は店舗の各々から提供された評価情報の評価指標を調整することで、評価情報を相互に比較可能な情報に変換する。評価指標の調整には主成分分析が用いられてもよい。
図8は、主成分分析の具体例を示す図である。
【0100】
具体的には、情報処理システムSの分析部34は、評価情報の作成に用いられた評価手法を構成する複数の評価指標を対象とする主成分分析を行い、評価手法ごとに1以上の主成分を導出する。そして、分析部34は、導出した1以上の主成分の対応付けを行う。これにより、複数の評価情報の比較が可能になる。
【0101】
例えば、図8に示すように、労働者W1の評価者として情報処理システムSを利用する企業K1と企業K2との各々が、労働者W1を評価する手法として、評価手法M1と評価手法M2との各々を採用していたとする。更に、企業K1が採用している評価手法M1は、評価指標A1乃至Ap(pは1以上の整数値)で構成され、企業K2が採用している評価手法M2は、評価指標B1乃至Br(rは1以上の整数値)で構成されていたとする。このような状況の下、企業K1と企業K2との各々に勤務する労働者W1は、企業K1からは評価手法M1による評価を受け、企業K2からは評価手法M2による評価を受けることになる。
【0102】
分析部34は、評価DB42に記憶されている企業K1から得られた評価情報にかかる評価指標A1乃至Apを対象とする主成分分析を行い、1以上の主成分を導出する。また、分析部34は、評価DB42に記憶されている企業K2から得られた評価情報にかかる評価指標B1乃至Brを対象とする主成分分析を行い、1以上の主成分を導出する。そして、情報処理システムSは、評価指標A1乃至Apの主成分と、評価指標B1乃至Brの主成分との対応付けを行う。主成分の対応付けは、例えば、同様の傾向を示す主成分の名称を統一化することより行われる。
【0103】
例えば、資質評価情報について説明する。具体的には、例えば、企業K1が採用する評価手法M1を構成する評価指標A1乃至Apに、「人の話をきくことができる」という評価指標や、「周りからの好感度が高い」といった評価指標が含まれていたとする。これに対して、企業K2が採用する評価手法M2を構成する評価指標B1乃至Brに、「気遣いができる」という評価指標や、「朗らかである」といった評価指標が含まれていたとする。この場合、情報処理システムSは、「人の話をきくことができる」、「周りからの好感度が高い」、「気遣いができる」、「朗らかである」といった評価指標について、「協調性」という観点で同様の傾向を示すと判断し、主成分の名称を「協調性」に統一化することで主成分を対応付ける。
【0104】
評価調整部33は、主成分の対応付けを行う際、主成分の変数となる複数の評価指標について、因子負荷量に基づく重みづけを行う。「因子負荷量」とは、各因子(主成分)に対してそれぞれの変数(評価指標)がどのくらい強く関与しているか示す値に相当し、例えば、全体を1とする割合で示される。
【0105】
具体例として、評価指標A1乃至Apの主成分である「協調性」の変数が評価指標A1及びA2であり、評価指標A1の因子負荷量が「0.6」、評価指標A2の因子負荷量が「0.3」であり、評価指標A1による評価値が10点満点の「9点」、評価指標A2による評価値が10点満点の「8点」であったとする。この場合、評価指標A1による評価値「9点」と因子負荷量「0.6」との積「5.4」と、評価指標A2による評価値「8点」と因子負荷量「0.3」との積「2.4」との和「7.8点」が、主成分である「協調性」についての企業K1から労働者W1に対する評価値となる。上記のように求められた因子負荷量は重みづけとして評価DBに記憶される。
【0106】
また、評価指標B1乃至Bmの主成分である「協調性」の変数が評価指標B1及びB2であり、評価指標B1の因子負荷量が「0.7」、評価指標B2の因子負荷量が「0.2」であり、評価指標B1による評価値が100点満点の「70点」、評価指標B2による評価値が100点満点の「80点」であったとする。この場合、評価指標B1による評価値「70点」と因子負荷量「0.7」との積「49」と、評価指標B2による評価値「80点」と因子負荷量「0.2」との積「16」との和「65点」が、主成分である「協調性」についての企業K2から労働者W1に対する評価値となる。上記のように求められた因子負荷量は重みづけとして評価DBに記憶される。
【0107】
ここで、労働者W1に対する企業K1からの評価値が10点満点評価であるのに対し、労働者W1に対する企業K2からの評価値が100点満点評価であるため、労働者W1に対する評価値を単純比較することはできない。このため、情報処理システムSは、評価値を正規化することで比較可能にする。例えば、10点満点評価を100点満点評価に正規化したり、100点満点評価を10点満点評価に正規化したりすることで、労働者W1に対する企業K1からの評価値と、労働者W1に対する企業K2からの評価値とが比較可能になる。例えば、図8に示すように、「7.8点」を「78点」に正規化することで、企業K1の評価値と企業K2の評価値との比較が容易になる。
【0108】
また、上述のように対応付けが行われた主成分のうち、評価者により選択され取得部31により取得された2つの主成分に基づいて、労働者の評価を可視化することができる。具体的には、例えば、対応付けが行われた主成分のうち、「協調性」と「創造性」とが選択されたとする。この場合、情報処理システムSは、図示はしないが、「協調性」を示す軸と、「創造性」を示す軸とからなるグラフを生成し、そのグラフに労働者の評価値をプロットすることで、「協調性」と「創造性」との2つの観点からの労働者に対する評価を可視化できる。また、複数の労働者の評価値がグラフにプロットされると、評価値の分布が可視化されるので、労働者に対する相対的な評価が容易になる。情報処理システムSは、上述のように対応付けが行われた主成分のうち、様々な主成分の組み合わせのグラフを生成できるので、様々な観点からの労働者に対する評価を可視化できる。
【0109】
更に、情報処理システムSは、グラフにプロットした労働者の評価値の座標を、継続的に記録することができる。これにより、労働者の評価値の経時的な変化を評価対象とすることができる。その結果、例えば、労働者の成長度合いを評価指標とする評価も可能となる。
【0110】
<本実施形態の有利な効果>
上述の実施形態によれば、顧客の評価を含めた多様な観点から労働者の評価を行うとともに、異なる企業でも利用可能な労働者識別情報と労働者の評価とを紐づけることにより、労働者が転職した後も継続的に評価を行うことができる。複数の企業又は店舗に勤務する(又は、勤務していた)労働者に対する評価は、上長による評価や勤怠情報等限られた情報に基づいて行う従来の評価に比べて精度良く行わられ得るようになる。
【0111】
<他の実施形態>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0112】
例えば、上述の実施形態では、労働者の勤務先である企業又は店舗における労働者の上司や同僚は、労働者を評価する立場にある評価者であるが、同時にその企業又は店舗を勤務先とする労働者でもある。このため、上司や同僚が所持するパーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォン等の情報処理装置は、上述のように評価者端末2として機能する場合と、労働者端末3として機能する場合とがある。
【0113】
また、例えば、上述の実施形態では、各種上限額が、労働者端末3に表示される構成となっているが、これに限定されず、評価者端末2に表示されるようにしてもよい。
【0114】
また、例えば、上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。換言すると、上述の機能的構成は例示に過ぎず、特に限定されない。即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が情報処理システムSに備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは特に上述の例に限定されない。
【0115】
また、機能ブロックの存在場所も、特に限定されず、任意でよい。例えば、管理サーバ1の機能ブロックは他の装置等に移譲されてもよいし、他の装置の機能ブロックをサーバ等に移譲されてもよい。また、一つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
【0116】
一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えばサーバの他汎用のスマートフォンやパーソナルコンピュータであってもよい。
【0117】
このようなプログラムを含む記録媒体は、ユーザ等にプログラムを提供するために装置本体とは別に配布される図示せぬリムーバブルメディアにより構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザ等に提供される記録媒体等で構成される。プログラムはネットワークを介して配信可能であることから、記録媒体は、ネットワークに接続された、或いは接続可能なコンピュータに搭載、或いはアクセス可能なものであってもよい。
【0118】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的或いは個別に実行される処理をも含むものである。また、本明細書において、システムの用語は、複数の装置や複数の機能部等より構成される全体的な装置を意味するものとする。
【0119】
換言すると、本発明が適用される情報処理システムは、次のような構成を有する各種各様の実施形態を取ることができる。
(1)即ち、本発明が適用される情報処理システム(例えば、図1の情報処理システムS)は、労働者に関する複数の評価を記憶する評価記憶手段と、1以上の企業又は店舗で勤務する労働者を特定可能な識別情報を記憶する識別情報記憶手段と、前記識別情報に対応した評価を取得し、取得した複数の前記評価に基づき、前記識別情報に対応した前記労働者の労働評価スコアである個別評価スコアを算出するスコア算出手段と、算出された前記個別評価スコアを出力する送信制御手段と、を有する。
【0120】
これにより、顧客の評価を含めた多様な観点から労働者の評価を行うとともに、異なる企業でも利用可能な労働者識別情報と労働者の個別評価スコアとを紐づけ、労働者が転職した後も継続的に評価を行うことができる。
【0121】
(2)また、前記スコア算出手段は、複数の前記労働者の前記個別評価スコアを平均した平均評価スコアを更に算出し、
前記送信制御手段は、算出された前記平均評価スコアを更に出力するとよい。
これにより、複数の労働者の各々に対する評価を所定の値で示した個別評価スコアの平均値が出力されるので、複数の労働者の個別評価スコアの平均値に基づく個々の労働者の評価が可能となる。その結果、上長による評価や勤怠情報等限られた情報に基づいて行う従来の評価に比べて精度の高い評価を行うことができる。
【0122】
(3)また、前記スコア算出手段は、評価情報として、前記労働者に対する顧客からの評価に関する顧客評価情報と、前記労働者の能力の評価に関する能力評価情報と、前記労働者の職場からの評価に関する勤務先評価情報と、前記労働者の勤怠の評価に関する勤怠評価情報と、前記労働者の給与の評価に関する給与評価情報とのうちユーザにより選択された2つ以上の前記評価情報に基づいて、前記個別評価スコアを算出するとよい。
これにより、労働者の評価を複数の観点から行うことが可能となるので、上長による評価や勤怠情報等限られた情報に基づいて行う従来の評価に比べて精度の高い評価を行うことができる。
【0123】
(4)また、前記労働者の学習実績と獲得スキル情報とのうち少なくとも一方の情報に基づいて生成されるとよい。
これにより、労働者の学習実績及び獲得スキル情報等の観点からその労働者の評価を行うことが可能となるので、上長による評価や勤怠情報等限られた情報に基づいて行う従来の評価に比べて精度の高い評価を行うことができる。
【0124】
(5)また、前記学習実績は、ゲーミフィケーションにより前記労働者の獲得したバッチ数である獲得バッチ数と受講済コンテンツ数のうち少なくとも一方の情報に基づいて生成されるとよい。
これにより、ゲーミフィケーションを利用した労働者の獲得バッチ数や受講済コンテンツ数等の観点からその労働者の評価を行うことが可能となるので、上長による評価や勤怠情報等限られた情報に基づいて行う従来の評価に比べて精度の高い評価を行うことができる。
【0125】
(6)また、前記獲得スキル情報は、前記労働者が対応可能な業務数と難易度とのうち少なくとも一方の情報に基づいて生成されるとよい。
これにより、労働者が対応可能な業務数や難易度等の観点からその労働者の評価を行うことが可能となるので、上長による評価や勤怠情報等限られた情報に基づいて行う従来の評価に比べて精度の高い評価を行うことができる。
【0126】
(7)また、前記勤務先評価情報は、前記労働者の上司又は同僚からの評価と、前記労働者による他者評価実績と、前記労働者による有益情報の投稿数と、獲得スキル情報とのうち1以上の情報に基づいて生成されるとよい。
これにより、労働者の上司又は同僚からの評価、労働者による他者評価実績、及び労働者による有益情報の投稿数、獲得スキル情報等の観点からその労働者の評価を行うことが可能となるので、上長による評価や勤怠情報等限られた情報に基づいて行う従来の評価に比べて精度の高い評価を行うことができる。
【0127】
(8)また、前記顧客評価情報は、前記労働者が前記顧客から取得したチップの額に基づいて生成されるとよい。
これにより、労働者が顧客から取得したチップの額等の観点からその労働者の評価を行うことが可能となるので、上長による評価や勤怠情報等限られた情報に基づいて行う従来の評価に比べて精度の高い評価を行うことができる。
【0128】
(9)また、前記勤怠評価情報は、前記労働者の遅刻日数、早退日数、キャンセル日数、及び代替要員として勤務した日数のうち1以上の情報に基づいて生成されるとよい。
これにより、労働者の遅刻日数、早退日数、キャンセル日数、及び代替要員として勤務した日数等の観点からその労働者の評価を行うことが可能となるので、上長による評価や勤怠情報等限られた情報に基づいて行う従来の評価に比べて精度の高い評価を行うことができる。
【0129】
(10)また、前記給与評価情報は、前記労働者の前借実績に基づいて生成されるとよい。
これにより、労働者の前借実績(例えば、前借の頻度や金額等)等の観点からその労働者の評価を行うことが可能となるので、上長による評価や勤怠情報等限られた情報に基づいて行う従来の評価に比べて精度の高い評価を行うことができる。
【0130】
(11)また、識別情報記憶手段は、複数の企業又は店舗に適用可能な共通識別情報と、企業又は店舗ごとに適用可能な個別識別情報とを関連付けて記憶するとよい。
これにより、識別情報において、複数の企業又は店舗に適用可能な共通識別情報と、企業又は店舗ごとに適用可能な個別識別情報とが対応付けられるので、必要に応じて共通識別情報と個別識別情報とを使い分けることが可能となる。その結果、情報処理システムの利便性が向上する。
【0131】
(12)また、前記個別評価スコアに基づいて、前記労働者の前払額、前借額、及び前記労働者への融資額のうち1以上の上限額を算出する上限額算出手段(例えば、図3の上限額算出部37)を更に有するとよい。
これにより、労働者の給与にかかる前払額、前借額、及び労働者への融資額の上限が、その労働者の個別評価スコアに基づいて算出されるので、労働者の能力に応じた前払、前借、及び融資の利用が可能となる。
【0132】
(13)また、前記評価記憶手段により記憶された前記評価情報の重みづけを行うことで前記評価情報を調整する評価調整手段(例えば、図3の評価調整部33)を更に有し、前記スコア算出手段は、前記評価調整手段により調整された前記評価情報に基づいて、前記個別評価スコアを算出するとよい。
これにより、評価情報の重みづけが行われるので、労働者を評価する観点に応じたスコアの算出が可能となる。
【0133】
(14)また、前記評価調整手段は、複数の企業又は店舗に適用される共通の重みづけと、企業又は店舗ごとに適用される個別の重みづけとのうちユーザにより選択され前記情報処理システムにより取得された重みづけを行うことで前記評価情報を調整するとよい。
これにより、複数の企業又は店舗に適用される共通の重みづけが選択されると、社会人としての基礎的な評価が可能となる。また、企業又は店舗ごとに適用される個別の重みづけが選択されると、企業又は店舗ごとの個性や価値観に応じた評価(例えば、採用時における評価)が可能となる。
【0134】
(15)また、前記評価記憶手段に記憶された複数の前記労働者の前記個別評価スコアを教師データとする機械学習を行い、前記個別評価スコアを算出するためのモデルを生成するモデル生成手段(例えば図3のモデル生成部36)を更に有し、前記スコア算出手段は、生成された前記モデルを用いて前記個別評価スコアを算出するとよい。
これにより、複数の労働者の個別評価スコアを教師データとして生成されたモデルによる個々の労働者の個別評価スコアの算出が可能となる。その結果、算出され記憶された個別評価スコアの集積に応じて、算出される個別評価スコアの精度を高めることができる。
【0135】
(16)また、前記評価情報の作成に用いられた評価指標を対象とする主成分分析を行うことで主成分を導出する分析手段(例えば、図3の分析部34)を更に有し、前記評価調整手段は、前記分析部34により導出された前記主成分に基づく前記重みづけを行うことで前記評価情報を調整するとよい。
これにより、主成分分析の結果に基づく重みづけが行われるので、労働者を評価する観点の重要性に応じたスコアの算出が可能となる。
【0136】
(17)また、前記評価調整手段は、前記分析部により対応付けられた前記主成分の変数となる複数の評価指標の因子負荷量に基づく前記重みづけを行うことで、複数の前記評価情報を調整するとよい。
これにより、対応付けられた主成分の変数となる複数の評価指標の因子負荷量に基づき重みづけされた評価情報を用いた個別評価スコアの算出が可能となる。その結果、算出される個別評価スコアの精度を高めてもよい。
【0137】
(18)また、本発明が適用される情報処理装置は、 労働者に関する複数の評価を記憶する評価記憶手段と、1以上の企業又は店舗で勤務する労働者を特定可能な識別情報を記憶する識別情報記憶手段と、前記識別情報に対応した評価を取得し、取得した複数の前記評価に基づき、前記識別情報に対応した前記労働者の労働評価スコアである個別評価スコアを算出するスコア算出手段と、算出された前記個別評価スコアを出力する送信制御手段と、を有する情報処理装置である。
【0138】
(19)また、本発明が適用される情報処理方法は、労働者に関する複数の評価を記憶する評価記憶ステップと、1以上の企業又は店舗で勤務する労働者を特定可能な識別情報を記憶する識別情報記憶ステップと、前記識別情報に対応した評価を取得し、取得した複数の前記評価に基づき、前記識別情報に対応した前記労働者の労働評価スコアである個別評価スコアを算出するスコア算出ステップと、算出された前記個別評価スコアを出力する送信制御ステップと、を含む情報処理方法である。
【0139】
(20)また、本発明が適用されるプログラムは、労働者に関する複数の評価を記憶する評価記憶ステップと、1以上の企業又は店舗で勤務する労働者を特定可能な識別情報を記憶する識別情報記憶ステップと、前記識別情報に対応した評価を取得し、取得した複数の前記評価に基づき、前記識別情報に対応した前記労働者の労働評価スコアである個別評価スコアを算出するスコア算出ステップと、算出された前記個別評価スコアを出力する送信制御ステップと、を含む処理をコンピュータにより実行させるプログラムである。
【符号の説明】
【0140】
1:管理サーバ、2:評価者端末、3:労働者端末、11:CPU、16:出力部、17:入力部、18:記憶部、19:通信部、31:取得部、32:情報管理部、33:評価調整部、34:分析部、35:スコア算出部、36:モデル生成部、37:上限額算出部、38:送信制御部、51:取得部、52:表示制御部、53:送信制御部、71:取得部、72:表示制御部、73:送信制御部、S:情報処理システム、N:ネットワーク

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8