(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022584
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】内服用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/4745 20060101AFI20240208BHJP
A61K 31/555 20060101ALI20240208BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20240208BHJP
A61K 9/16 20060101ALI20240208BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20240208BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20240208BHJP
A61K 47/08 20060101ALI20240208BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20240208BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20240208BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20240208BHJP
A61K 31/519 20060101ALI20240208BHJP
A61P 39/06 20060101ALI20240208BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240208BHJP
A61P 17/16 20060101ALI20240208BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20240208BHJP
A61P 17/14 20060101ALI20240208BHJP
A61P 17/18 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
A61K31/4745
A61K31/555
A61K9/20
A61K9/16
A61K47/02
A61K47/22
A61K47/08
A61K47/26
A61K47/38
A61K47/12
A61K31/519
A61P39/06
A61P43/00 107
A61P17/16
A61P25/28
A61P17/14
A61P17/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023128731
(22)【出願日】2023-08-07
(31)【優先権主張番号】P 2022125400
(32)【優先日】2022-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000115991
【氏名又は名称】ロート製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】掛樋 奈穂子
(72)【発明者】
【氏名】松本 夏子
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA31
4C076AA36
4C076CC01
4C076CC18
4C076CC21
4C076CC26
4C076DD21
4C076DD37
4C076DD41
4C076DD59
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4C076DD61
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4C076FF36
4C076FF37
4C086AA01
4C086AA10
4C086CB05
4C086CB09
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4C086MA02
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4C086MA04
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4C086MA41
4C086MA52
4C086NA03
4C086NA14
4C086ZA02
4C086ZA89
4C086ZA92
4C086ZB22
4C086ZC21
4C086ZC75
(57)【要約】
【課題】ピロロキノリンキノン又はその塩を含有し、その保存による残存率低下を抑制できる組成物を提供する。
【解決手段】(A)ピロロキノリンキノン又はその塩、及び、(B)ヘム鉄を含有する、内服用組成物を調製する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ピロロキノリンキノン又はその塩、及び、
(B)ヘム鉄
を含有する、内服用組成物。
【請求項2】
前記(A)成分の含有量が、0.001~70質量%である、請求項1に記載の内服用組成物。
【請求項3】
前記(A)成分1質量部に対して、(B)成分の総含有量が、0.005~2000質量部である、請求項1に記載の内服用組成物。
【請求項4】
固形製剤である、請求項1に記載の内服用組成物。
【請求項5】
さらに、(C)葉酸を含有する、請求項1に記載の内服用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内服用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ピロロキノリンキノン(PQQ)は新しいビタミンの可能性が示唆されており、注目を集めている(例えば、非特許文献1)。ピロロキノリンキノンは、活性酸素やラジカルの除去作用、細胞増殖促進作用、紫外線吸収作用、神経成長因子産生促進作用、脳機能改善作用、育毛作用、顔色改善作用、メラニン産生抑制及び美白作用、ミトコンドリア賦活作用など多くの生理活性を有することが知られており、医薬品、医薬部外品、化粧品又は健康補助食品(サプリメント)における有効成分としての使用が期待されている(例えば、特許文献1、2)。
【0003】
ここで、ピロロキノリンキノンの製剤中での安定性を向上させるための試みが、例えば特許文献3及び4で提案されている。これらの特許文献には、ピロロキノリンキノンの塩やその誘導体が製剤中での安定性に優れていることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8-20512号公報
【特許文献2】特開平6-100428号公報
【特許文献3】特開平8-20585号公報
【特許文献4】特開2017-25110号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Nature,422,p832,2003
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は新規の内服用組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、(A)成分として、ピロロキノリンキノン又はその塩、及び(B)成分としてヘム鉄を含有する組成物とすることにより、組成物の変色が抑制され、(A)成分の安定性が高まることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、下記に掲げる内服用組成物及び方法を提供する。
[1]
(A)ピロロキノリンキノン又はその塩、及び、
(B)ヘム鉄
を含有する、内服用組成物。
[2]
前記(A)成分の含有量が、0.001~70質量%である、[1]に記載の内服用組成物。
[3]
前記(A)成分1質量部に対して、(B)成分の総含有量が、0.005~2000質量部である、[1]又は[2]に記載の内服用組成物。
[4]
さらに、(C)葉酸を含有する、[1]~[3]のいずれか1に記載の内服用組成物。
[5]
固形製剤である、[1]~[4]に記載の内服用組成物。
[6]
(A)ピロロキノリンキノン又はその塩を含む内服用組成物に、(B)ヘム鉄を共存させることによる、(A)成分の残存率低下抑制方法。
[7]
(A)ピロロキノリンキノン又はその塩、及び(C)葉酸を含有する内服用組成物に、(B)ヘム鉄を共存させることによる、(C)成分の残存率低下抑制方法。
[8]
(B)ヘム鉄を含有する内服用組成物と(A)ピロロキノリンキノン又はその塩を共存させることによる、変色抑制方法。
[9]
(A)ピロロキノリンキノン又はその塩と(B)ヘム鉄を含有し、(A)成分の残存率低下が抑制された内服用組成物。
[10]
(A)ピロロキノリンキノン又はその塩、及び(C)葉酸、及び(B)ヘム鉄を含有し、(C)成分の残存率低下が抑制された内服用組成物。
[11]
(B)ヘム鉄と(A)ピロロキノリンキノン又はその塩を含有し、変色が抑制された内服用組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、組成物の変色が抑制され、ピロロキノリンキノン又はその塩の安定性が高められた内服用組成物を提供することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[内服用組成物]
本発明の内服用組成物は、(A)ピロロキノリンキノン又はその塩、及び(B)ヘム鉄を含有するものである。
【0011】
((A)ピロロキノリンキノン又はその塩)
ピロロキノリンキノンは、下記式1:
【化1】
で表される公知の化合物である。
【0012】
ピロロキノリンキノンの塩としては、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩及びアンモニウム塩が挙げられる。アルカリ金属塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩及びリチウム塩が挙げられる。アルカリ土類金属塩としては、例えば、カルシウム塩及びマグネシウム塩が挙げられる。
【0013】
ピロロキノリンキノン又はその塩としては、ピロロキノリンキノンのアルカリ金属塩が好ましく、ピロロキノリンキノンのナトリウム塩がより好ましく、ピロロキノリンキノン二ナトリウム塩がさらに好ましい。
【0014】
ピロロキノリンキノン又はその塩は、市販品を使用することもできる。また、ピロロキノリンキノン又はその塩は、1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。ピロロキノリンキノン又はその塩として、例えば、納豆、大豆、ココアパウダー、カカオマス、カカオ、パセリ、ピーマンなど、ピロロキノリンキノン又はその塩を含有するものを使用してもよい。
【0015】
(A)成分の含有量は、本発明の効果を顕著に奏する観点から、例えば、内服用組成物の総量を基準として、(A)成分の総含有量が、0.001質量%以上であることが好ましく、0.005質量%以上であることがより好ましく、0.01質量%以上であることが特に好ましい。また、0.1質量%以上、0.5質量%以上、1質量%以上などであってもよい。また、(A)成分の総含有量が、70質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることが特に好ましい。また、20質量%以下、10質量%以下、5質量%以下などであってよい。
【0016】
(A)成分の一日あたりの摂取量は摂取する個体の状態(体重、年齢、性別等)、内服用組成物の製剤形態等に応じて異なりうるが、本発明の効果を顕著に奏する観点から、例えば、1mg以上であることが好ましく、3mg以上であることがより好ましく、5mg以上がさらに好ましい。また、50mg以下でもよく、30mg以下であることが好ましく、25mg以下であることがより好ましく、20mg以下がさらに好ましい。
【0017】
((B)ヘム鉄)
ヘム鉄は、2価の鉄原子とポリフィリンからなる下記の錯体を含む成分であれば、特に限定はされない。
【化2】
【0018】
ヘム鉄の調製方法は、限定はされないが、例えば、赤血球を溶血させ、タンパク質分解酵素処理し、得られる処理物を限外濾過により分離するか、タンパク質分解酵素処理物を等電点沈殿処理により分離する方法等が挙げられる。赤血球は、血液を遠心分離等の手段により分離したものを用いても、赤血球の凍結品、凍結乾燥品又は粉末品を使用してもよい。赤血球の代わりに、精製したヘモグロビンやミオグロビンを使用してもよい。
【0019】
ヘム鉄は、市販品を使用することもできる。
【0020】
本発明で使用するヘム鉄としては、特に限定はされないが、好ましくは鉄分を0.5~5質量%、より好ましくは1~3質量%程度含むものである。
【0021】
(B)成分の含有量は、本発明の効果を顕著に奏する観点から、例えば、内服用組成物の総量を基準として、0.01質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることがより好ましく、0.1質量%以上であることがさらに好ましい。また、1質量%以上、3質量%以上、5質量%以上であってもよい。10質量%以上、20質量%以上、30質量%以上、40質量%以上とすることもできる。また、97質量%以下であることが好ましく、93質量%以下であることがより好ましく、90質量%以下であることが特に好ましい。また、80質量%以下、70質量%以下、60質量%以下、50質量%以下とすることもできる。
【0022】
(B)成分の一日あたりの摂取量は摂取する個体の状態(体重、年齢、性別等)、内服用組成物の製剤形態等に応じて異なりうるが、本発明の効果を顕著に奏する観点から、例えば、1mg以上であることが好ましく、5mg以上であることがより好ましく、さらに好ましくは10mg以上である。0.1mg以上、0.5mg以上、20mg以上、50mg以上でもあり得る。また、1500mg以下であることが好ましく、1100mg以下であることがより好ましく、600mg以下であることがさらに好ましく、さらに500mg以下であることがさらにより好ましい。300mg以下、100mg以下、50mg以下、10mg以下でもあり得る。
【0023】
本発明において、本発明の効果をより顕著に奏する観点から、(A)成分に対する(B)成分の比率は、例えば、(A)成分の含有量1質量部に対する(B)成分の含有量が、0.005質量部以上が好ましく、0.01質量部以上がより好ましく、0.05質量部以上がさらに好ましく、0.1質量部以上がさらにより好ましく、0.3質量部以上が特に好ましく、0.5質量部以上が最も好ましい。また、(A)成分の含有量1質量部に対する(B)成分の含有量が2000質量部以下が好ましく、1100質量部以下がより好ましく、500質量部以下がさらに好ましく、300質量部以下がさらにより好ましく、100質量部以下が特に好ましく、30質量部以下が最も好ましい。10質量部以下、5質量部以下、1質量部以下でもあり得る。
【0024】
本発明の(A)成分と(B)成分とを含有する内服用組成物においては、ヘム鉄の存在によって、組成物の保存による(A)成分の残存率の低下が抑制されるとの知見も得られている。従って、限定はされないが、例えば、(B)成分は、(A)成分の残存率低下の抑制剤としても用いられ得る。(A)成分と(B)成分とを含有する内服用組成物では、例えば、光刺激によって組成物中の(A)成分の残存率が低下することが抑制され得る。
【0025】
本発明の(A)成分と(B)成分とを含有する内服用組成物においては、ヘム鉄に起因する、保存による変色が抑制されるとの知見も得られている。よって、限定はされないが、例えば、(A)成分は、(B)成分に起因する変色の抑制剤としても用いられ得る。(A)成分と(B)成分とを含有する内服用組成物では、例えば、光刺激によって組成物が変色することが抑制され得る。
【0026】
((C)葉酸類)
本発明の内服用組成物は、(A)成分及び(B)成分の他に、(C)葉酸類を含んでいても良い。ここで、葉酸類とは、水に溶ける水溶性ビタミンのひとつで、ビタミンB群に包含され、プテロイルグルタミン酸(プテロイルモノグルタミン酸、プテロイルポリグルタミン酸を含む)、及びそれらの塩を指す。塩としては、例えば、硫酸、塩酸、チオシアン酸又はリン酸等の鉱酸の塩、酪酸、マレイン酸又はメタンスルホン酸等の有機酸の塩、リシン等の有機塩基との塩、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、又はアンモニウム塩等が挙げられる。アルカリ金属塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩及びリチウム塩が挙げられる。アルカリ土類金属塩としては、例えば、カルシウム塩及びマグネシウム塩が挙げられる。
【0027】
葉酸類は、市販品を使用することもできる。本発明に用いることができる葉酸類の市販品としては、葉酸(DSM社)、葉酸含有酵母(Grow社)が挙げられる。
【0028】
(C)成分の含有量は、本実施態様の効果を顕著に奏する観点から、例えば、内服用組成物の総量を基準として、(C)成分の総含有量が、0.0001質量%以上であることが好ましく、0.0005質量%以上であることがより好ましく、0.001質量%以上であることが特に好ましい。また、0.01質量%以上、0.05質量%以上、0.1質量%以上などであってもよい。また、内服用組成物の総量を基準として、(C)成分の総含有量が、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることが特に好ましい。50質量%以下、30質量%以下、20質量%以下などであってもよい。
【0029】
(C)成分の一日あたりの摂取量は摂取する個体の状態(体重、年齢、性別等)、内服用組成物の製剤形態等に応じて異なりうるが、本発明の効果を顕著に奏する観点から、例えば、0.001mg以上であることが好ましく、0.01mg以上であることがより好ましく、0.05mg以上であることがさらに好ましく、0.1mg以上であることが特に好ましい。また、10mg以下であることが好ましく、5mg以下であることがより好ましく、3mg以下であることがさらに好ましく、1mg以下であることが特に好ましい。
【0030】
本実施態様において、効果をより顕著に奏する観点から、(A)成分に対する(C)成分の比率は、例えば、(A)成分の総含有量1質量部に対する(C)成分の総含有量が、0.001質量部以上が好ましく、0.002質量部以上がより好ましく、0.01質量部以上がさらに好ましく、0.05質量部以上が特に好ましい。また、0.00002質量部以上、0.0003質量部以上などであってもよい。また、(A)成分の総含有量1質量部に対する(C)成分の総含量が、10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましく、2質量部以下がさらに好ましく、1.5質量部以下がさらにより好ましく、1.2質量部以下が特に好ましく、1質量部以下が最も好ましい。また、0.6質量部以下、0.2質量部以下などであってもよい。
【0031】
本実施態様において、効果をより顕著に奏する観点から、(B)成分に対する(C)成分の比率は、例えば、(B)成分の総含有量1質量部に対する(C)成分の総含有量が、0.000001質量部以上が好ましく、0.000005質量部以上がより好ましく、0.00001質量部以上がさらに好ましく、0.00004質量部以上が特に好ましい。また、0.0000005質量部以上、0.0001質量部以上などであってもよい。0.001質量部以上、0.01質量部以上ということもあり得る。
また、(B)成分の総含有量1質量部に対する(C)成分の総含有量が、10質量部以下が好ましく、1質量部以下がより好ましく、0.5質量部以下がさらに好ましく、0.2質量部以下がさらにより好ましく、0.1質量部以下が特に好ましい。0.01質量部以下、0.05質量部以下、ということもあり得る。
【0032】
本実施態様の(A)成分、(B)成分、及び(C)成分を含有する内服用組成物においては、(B)成分の働きによって、(A)成分及び(C)成分を含有する組成物の保存による(C)成分の残存率の低下が抑制されるとの知見も得られている。従って、限定はされないが、例えば、(B)成分は、(A)成分及び(C)成分を含有する組成物中の(C)成分の残存率低下の抑制剤としても用いられ得る。(A)成分、(B)成分、及び(C)成分を含有する内服用組成物では、例えば、光刺激によって組成物中の(C)成分の残存率が低下することが抑制され得る。すなわち本発明は、(A)成分及び(C)成分を含有する組成物に(B)成分を共存させる、(C)成分の残存率低下抑制方法も包含する。
【0033】
(その他の成分)
本発明の内服用組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、(A)成分及び(B)成分以外の薬理活性成分又は生理活性成分を含むことができる。薬理活性成分又は生理活性成分は、1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0034】
このような成分には、限定はされないが、各種のビタミン類や亜鉛等の金属が含まれる。
【0035】
ここで、ビタミン類としては、例えば、ビタミンA類[例えば、レチナール、レチノール、レチノイン酸、カロチン、デヒドロレチナール、リコピンなど]、ビタミンB類[例えば、チアミン、チアミンジスルフィド、ジセチアミン、オクトチアミン、シコチアミン、ビスイブチアミン、ビスベンチアミン、プロスルチアミン、ベンフォチアミン、フルスルチアミン、リボフラビン、フラビンアデニンジヌクレオチド、ピリドキシン、ピリドキサール、ヒドロキソコバラミン、シアノコバラミン、メチルコバラミン、デオキシアデノコバラミン、葉酸、テトラヒドロ葉酸、ジヒドロ葉酸、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、ニコチニルアルコール、パントテン酸、パンテノール、ビオチン、コリン、イノシトールなど]、ビタミンC類[例えば、アスコルビン酸、アスコルビン酸の塩、エリソルビン酸、又はその誘導体など]、ビタミンD類[例えば、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール、ヒドロキシコレカルシフェロール、ジヒドロキシコレカルシフェロール、ジヒドロタキステロールなど]、ビタミンE類[例えば、トコフェロール及びその誘導体、ユビキノン誘導体など]、その他のビタミン類[例えば、ヘスペリジン、カルニチン、フェルラ酸、γ-オリザノール、オロチン酸、ルチン、エリオシトリンなど]などが挙げられる。このうち、水溶性ビタミンが好ましく、アスコルビン酸及び/又はその塩、あるいはビタミンB類を含む水溶性ビタミンがより好ましい。
【0036】
本発明の内服用組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、添加剤を含むことができる。このような添加剤の具体例としては、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味剤、矯臭剤、糖類、糖アルコール・多価アルコール類、高甘味度甘味料、油脂、乳化剤、増粘剤、酸味料、果汁類等が挙げられる。
【0037】
このうち、結合剤又は滑沢剤が特に好ましく用いられる。
【0038】
結合剤としては、例えば、精製白糖、ブドウ糖、乳糖、マルトース、トレハローズ;セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、アクリル酸系高分子、ゼラチン、アラビアゴム、プルラン、アルファー化デンプン、カンテン、トラガント、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等が挙げられる。
【0039】
滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸塩が挙げられる。ステアリン酸塩としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛が挙げられる。
【0040】
本発明の内服用組成物は、例えば、医薬品、医薬部外品、化粧品、飲食品(飲料、食品)の成分として使用することができる。また、本実施形態に係る内服用組成物は、例えば、医薬製剤、医薬部外品製剤、特定保健用食品、栄養機能食品、老人用食品、特別用途食品、機能性表示食品、健康補助食品(サプリメント)、食品用製剤(例、製菓錠剤)、等の食品として使用することもできる。
【0041】
本発明の内服用組成物が飲食品として使用される場合、当該食品は一般食品に(A)成分、(B)成分、並びに必要に応じて(C)成分やその他の成分を含有するものであってもよい。このような飲食品としては、クッキー、ビスケット、スナック菓子、ゼリー、グミ、チョコレート、ガム、飴、チーズ等の固体食品;栄養ドリンク、ジュース、茶飲料、コーヒー飲料、乳飲料等の液体食品が挙げられる。
【0042】
[製造方法]
本発明の内服用組成物の製造方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。具体的には、必要に応じ各成分を加熱しながら攪拌し、溶解又は分散させて、混合後、冷却しながら撹拌し、その後室温で静置する方法が挙げられるが、特にこれに限定はされない。
【0043】
[製剤形態]
本発明の内服用組成物の製剤形態としては特に限定されず、例えば、錠剤(口腔内崩壊錠、チュアブル錠、トローチ錠等を含む)、顆粒剤、散剤、ソフトカプセル剤、ハードカプセル剤、トローチ剤、ゼリー剤等の固形製剤又は液剤(懸濁剤、乳剤、シロップ剤等を含む)等が挙げられる。これらの中でも、取り扱いやすさの観点、本発明による効果をより一層高める観点から、固形製剤が好ましく、錠剤又は顆粒剤であることがより好ましい。
【0044】
本発明の内服用組成物は、限定はされないが、1週間分以上、10日分以上、14日分以上、20日分以上、又は30日分以上の投与分量で公知の容器にて保管及び/又は販売され得る。
【0045】
本発明の内服用組成物は、限定はされないが、投与期間は、例えば少なくとも3日以上とすることができ、5日以上、7日以上、10日以上、14日以上、20日以上、30日以上であってもよい。
【0046】
[残存率低下抑制方法]
本発明の1つの実施態様において、(A)ピロロキノリンキノン又はその塩を含む内服用組成物において、(A)成分の残存率低下抑制方法を提供することも可能である。(A)ピロロキノリンキノン又はその塩及び(B)ヘム鉄を含有する内服用組成物とすることにより、(A)成分の残存率低下抑制を達成することができる。各成分の含有量やその他の条件は、[内服用組成物]に記載した内容に準ずる。
【0047】
さらに本発明の別の実施態様において、(A)ピロロキノリンキノン又はその塩及び(C)葉酸を含む内服用組成物において、(C)成分の残存率低下抑制方法を提供することも可能である。(A)ピロロキノリンキノン又はその塩及び(C)葉酸を含む内服用組成物に、(B)ヘム鉄を共存させることによって、(C)成分の残存率低下抑制を達成することができる。各成分の含有量やその他の条件は、[内服用組成物]に記載した内容に準ずる。
【0048】
[変色抑制方法]
本発明の1つの実施態様において、(B)ヘム鉄を含む内服用組成物において、変色を抑制する方法を提供することも可能である。(A)ピロロキノリンキノン又はその塩及び(B)ヘム鉄を含有する内服用組成物とすることにより、(B)成分に起因する変色抑制を達成することができる。各成分の含有量やその他の条件は、[内服用組成物]に記載した内容に準ずる。
【実施例0049】
次に、実施例や試験例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例や試験例に限定されるものではない。表における各成分量の単位は、特に記載がない限り、質量%である。
試薬としては下記のものを用いた。
PQQ-2Na:ピロロキノリンキノン二ナトリウム(製品名:ピロロキノリンキノン二ナトリウム塩:株式会社げんてん本店)製品中、ピロロキノリンキノン二ナトリウム塩は99質量%
ヘム鉄:(製品名:ヘムロン2HiWS:ILS株式会社)製品中、ヘム鉄の割合は、2~2.6質量%
非ヘム鉄:クエン酸第一鉄(製品名:サンフェロール:三菱ケミカル株式会社)製品中、鉄は18質量%
葉酸:(製品名:葉酸:DSM株式会社)
【0050】
[試験例1.残存率確認試験]
下記表1の組成を有する実施例及び比較例の各組成物を調製した。
これらの組成物の各成分を秤量し、乳棒と乳鉢を用いて混合後、ガラス瓶に封入し、密封状態とした上で、サンテスターを用いて765W/m2で24時間照射し、光刺激を与えた。
【0051】
光刺激前と光刺激後のPQQ-2Na含量(g/100g)を定量し、光刺激前の値を100%とした場合の光刺激後のPQQ-2Na残存率(%)を求めた。各組成物の実施例1-1及び比較例1-2におけるPQQ-2Na残存率を、比較例1-1と比較し、算出した改善率を表1に示す。
各組成物における残存改善率(%)=100×[(各組成物におけるPQQ-2Na残存率-比較例1-1のPQQ-2Na残存率)/比較例1-1のPQQ-2Na残存率]
【0052】
なお、定量にあたり、各試料の調製は、約0.1gを量り取り、ガラスビーズ2g及び5mg/mLエデト酸二ナトリウム含有炭酸緩衝液(pH10)25mLを正確に加えて振り混ぜた後、超音波処理した。再度振り混ぜた後、遠心分離した。水層1mLを正確に量り、移動相を加えて正確に10mLとし、試料溶液とした。別に定量用ピロロキノリンキノン二ナトリウム約10mgを量り、5mg/Lエデト酸二ナトリウム含有炭酸緩衝液(pH10)を加えて溶かし正確に100mLとした。この液1mLを量り、移動相を加えて正確に10mLとし、標準溶液とした。
【0053】
HPLCの条件は以下の通りである。
送液ユニット:LC-40liteシステム (株式会社島津製作所製)
逆相カラム :Shodex DE-613
内径6mm×長さ150mm
溶離液 :pH3.5の7.4mmol/L硫酸水素テトラブチルアンモニウ
ム溶液/アセトニトリル(7:3)
流速 :0.68mL/min
カラム温度 :50℃
注入量 :5μL
検出器UV :335nm
分析時間 :8分
【0054】
【0055】
PQQ-2Naとデキストリンのみを含む比較例1-1の組成物では、光刺激後に、PQQ-2Naの量が減少していた。一方、実施例1-1の組成物では、光刺激後のPQQ-2Naの残存率の低下が抑えられていた。比較例1-2の組成物では、光刺激後のPQQ-2Naの残存率は比較例1-1よりさらに低下していた。
【0056】
[試験例2.光刺激による色差変化試験1]
光刺激による色差変化試験を実施した。
表2に記載の処方に従って各成分を秤量し、乳棒と乳鉢を用いて混合後、ガラス瓶に封入後、粉体の色差を、分光測色計(CM-5、コニカミノルタ株式会社製)を用いて測定した。その後再度蓋をして密封状態とした上で、サンテスターを用いて765W/m2で24時間照射し、光刺激を与えた。その後、粉体について、光刺激前と同様の方法で色差を測定し、光刺激前後のΔE*(D65)の値の差を算出し、変色を評価した。
【0057】
各組成における成分含量と、色差変化の抑制率を表2に示す。比較例を基準とした色差変化の抑制率を下記式により算出した。
色差変化抑制率(%)=100×[(比較例の色差変化-実施例の色差変化)/比較例の色差変化]
【0058】
【0059】
ヘム鉄とデキストリンのみを含有する組成物(比較例2-1)は光刺激前後で変色が進んでいたが、表2に記載の通り、PQQ-2Naとヘム鉄とを含有する組成物(実施例2-1)では、光刺激前後での変色が抑制された。
【0060】
[試験例3.残存率確認試験2]
下記表3の組成を有する実施例及び比較例の各組成物を調製した。
これらの組成物の各成分を秤量し、乳棒と乳鉢を用いて混合後、ガラス瓶に封入し、密封状態とした上で、サンテスターを用いて765W/m2で24時間照射し、光刺激を与えた。
【0061】
試験例1と同様にして、光刺激前と光刺激後の葉酸含量(g/100g)を定量し、光刺激前の値を100%とした場合の光刺激前後の葉酸の残存率(%)及び葉酸の低下率を求めた。
葉酸の低下率=基準例の葉酸残存率-各実施例又は比較例の葉酸の残存率
実施例3-1及び比較例3-1の各組成物における葉酸の低下率から葉酸の低下改善率を算出した。
実施例3-1における葉酸の低下改善率(%)=100×[(比較例3-1の葉酸低下率-実施例3-1の葉酸低下率)/比較例3-1の葉酸低下率]
【0062】
【0063】
葉酸とデキストリンのみを含む基準例の組成物では、光刺激前後に、葉酸の量の変化は全く見られなかった。ここで、PQQ-2Naと葉酸とを共存させた比較例3-1の組成物では光刺激により、葉酸が10%以上低下していた。一方、ヘム鉄及びPQQ-2Naを含む実施例3-1の組成物では、葉酸の残存率の低下が大きく抑えられていた。
【0064】
[試験例4.光刺激による色差変化試験2]
別途光刺激による色差変化試験を下記の通り実施した。
表4に記載の処方に従って各成分を秤量し、乳棒と乳鉢を用いて混合後、ガラス瓶に封入後、粉体の色差を、分光測色計(CM-5、コニカミノルタ株式会社製)を用いて測定した。その後再度蓋をして密封状態とした上で、サンテスターを用いて765W/m2で24時間照射し、光刺激を与えた。その後、粉体について、光刺激前と同様の方法で色差を測定し、光刺激前後のΔE*(D65)の値の差を算出し、変色を評価した。
【0065】
各組成における成分含量と、色差変化の抑制率を表4に示す。比較例を基準とした色差変化の抑制率を下記式により算出した。
(実施例の色差変化抑制率)=100×[(比較例4-1の色差変化-実施例4-1の色差変化)/比較例の色差変化]
(比較例4-3の色差変化抑制率)=100×[(比較例4-2の色差変化-比較例4-3の色差変化)/比較例4-2の色差変化]
【0066】
【0067】
ヘム鉄にさらに葉酸を含有させた組成物(比較例4-1)は、光刺激後で変色が進んでいたが、表4に記載の通り、ヘム鉄、葉酸、及びPQQ-2Naを含有する組成物(実施例4-1)では、光刺激前後での変色が抑制されていた。一方、ヘム鉄に変えて、非ヘム鉄を用いた場合では、PQQ-2Naの存在による変色の抑制は見られなかった。
【0068】
[処方例]
下記表5に示す通りの処方を製造し、1日2回製剤とした。(1日量、単位:mg)
【表5】