(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022594
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】冷凍システム
(51)【国際特許分類】
F25B 31/00 20060101AFI20240208BHJP
F25B 1/047 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
F25B31/00 A
F25B31/00 B
F25B1/047 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【公開請求】
(21)【出願番号】P 2023191548
(22)【出願日】2023-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】521362885
【氏名又は名称】コベルコ・コンプレッサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100218132
【弁理士】
【氏名又は名称】近田 暢朗
(72)【発明者】
【氏名】壷井 昇
(72)【発明者】
【氏名】中村 元
(72)【発明者】
【氏名】山本 祐介
(57)【要約】
【課題】 2台の圧縮機を備える冷凍システムの設置面積を縮小する。
【解決手段】 冷凍システム1が、低段側圧縮機11、高段側圧縮機12、油分離器13、凝縮器14、及び蒸発器16を備える。高段側圧縮機12が、低段側圧縮機11の下側に配置される。油分離器13が、高段側圧縮機12の長手方向の一方側に配置される、蒸発器16が、油分離器13の上側に、且つ低段側圧縮機11の長手方向の一方側に配置される。高段側圧縮機12、油分離器13、凝縮器14、及び蒸発器16が、低段側圧縮機11の幅に収まるように配置されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を圧縮する低段側圧縮機と、
前記低段側圧縮機で圧縮された前記冷媒を更に圧縮する高段側圧縮機と、
前記高段側圧縮機で圧縮された前記冷媒からオイルを分離する油分離器と、
前記油分離器で前記オイルと分離された前記冷媒を凝縮させる凝縮器と、
前記凝縮器で凝縮された前記冷媒を蒸発させる蒸発器と、
を備え、
前記高段側圧縮機が、前記低段側圧縮機の下側に配置され、
前記油分離器が、前記高段側圧縮機の長手方向の一方側に配置され、
前記蒸発器が、前記油分離器の上側に、且つ前記低段側圧縮機の長手方向の一方側に配置され、
前記高段側圧縮機、前記油分離器、前記凝縮器、及び前記蒸発器が、前記低段側圧縮機の幅に収まるように配置されている、
冷凍システム。
【請求項2】
前記凝縮器が、前記高段側圧縮機の下側に、且つ前記高段側圧縮機の前記長手方向において前記高段側圧縮機と前記油分離器との間に配置されている、
請求項1に記載の冷凍システム。
【請求項3】
前記低段側圧縮機に設けられて前記冷媒を吐出する低段側吐出口を、前記高段側圧縮機に設けられて前記冷媒を吸い込む高段側吸込口に接続する圧縮機中間配管を更に備え、
前記低段側吐出口が、前記低段側圧縮機の下部に設けられ、前記高段側吸込口が、前記高段側圧縮機の上部に設けられている、
請求項1又は2に記載の冷凍システム。
【請求項4】
前記低段側圧縮機及び前記高段側圧縮機の少なくともいずれか一方が、雄ロータ及び雌ロータを有するスクリュ圧縮機であり、
前記スクリュ圧縮機において、前記雄ロータと前記雌ロータとが鉛直方向に並べられている、
請求項1又は2に記載の冷凍システム。
【請求項5】
前記高段側圧縮機が、前記低段側圧縮機よりも幅狭であり、
前記高段側圧縮機の軸芯が、幅方向の一方側において前記高段側圧縮機の外周位置が前記低段側圧縮機の外周位置と近づくように、前記低段側圧縮機の軸芯に対して前記幅方向にオフセットされている、
請求項1又は2に記載の冷凍システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍システムに関する。
【背景技術】
【0002】
冷凍システムは、冷凍サイクルの圧縮工程の実行のため、圧縮機を備える。例えば、特許文献1は、冷凍システムに適用可能な圧縮機の一例として、第1圧縮機及び第2圧縮機の2台の圧縮機によって構成されるスクリュ圧縮機を開示している。第1圧縮機と第2圧縮機とは、流体的には直列に接続される一方、レイアウト的には横並びに配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
2台の圧縮機を備えた冷凍システムに関しては、設置面積について改善の余地がある。
【0005】
本発明は、2台の圧縮機を備える冷凍システムの設置面積を縮小することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、冷媒を圧縮する低段側圧縮機と、前記低段側圧縮機で圧縮された前記冷媒を更に圧縮する高段側圧縮機と、前記高段側圧縮機で圧縮された前記冷媒からオイルを分離する油分離器と、前記油分離器で前記オイルと分離された前記冷媒を凝縮させる凝縮器と、前記凝縮器で凝縮された前記冷媒を蒸発させる蒸発器と、を備え、前記高段側圧縮機が、前記低段側圧縮機の下側に配置され、前記油分離器が、前記高段側圧縮機の長手方向の一方側に配置され、前記蒸発器が、前記油分離器の上側に、且つ前記低段側圧縮機の長手方向の一方側に配置され、前記高段側圧縮機、前記油分離器、前記凝縮器、及び前記蒸発器が、前記低段側圧縮機の幅に収まるように配置されている、冷凍システムを提供する。
【0007】
上記構成によれば、低段側圧縮機及び高段側圧縮機の2台の圧縮機が、縦並びで配置されている。そのうえで、冷凍システムを構成する主要なデバイス、すなわち油分離器、凝縮器及び蒸発器が、高段側圧縮機と共に、低段側圧縮機の幅内に収まるように配置される。したがって、冷凍システムの設置面積の縮小を実現できる。
【0008】
前記凝縮器が、前記高段側圧縮機の下側に、前記高段側圧縮機の前記長手方向において前記高段側圧縮機と前記油分離器との間に配置されていてもよい。
【0009】
上記構成によれば、凝縮器が、油分離器に対して高段側圧縮機と反対側に配置される場合と対比して、圧縮機の長手方向に設置面積を縮小できる。
【0010】
前記冷凍システムが、前記低段側圧縮機に設けられて前記冷媒を吐出する低段側吐出口を、前記高段側圧縮機に設けられて前記冷媒を吸い込む高段側吸込口に接続する圧縮機中間配管を更に備え、前記低段側吐出口が、前記低段側圧縮機の下部に設けられ、前記高段側吸込口が、前記高段側圧縮機の上部に設けられていてもよい。
【0011】
上記構成によれば、2台の圧縮機同士を繋ぐ配管(圧縮機中間配管)を短縮できる。
【0012】
前記低段側圧縮機及び前記高段側圧縮機の少なくともいずれか一方が、雄ロータ及び雌ロータを有するスクリュ圧縮機であり、前記スクリュ圧縮機において、前記雄ロータと前記雌ロータとが鉛直方向に並べられていてもよい。
【0013】
上記構成によれば、スクリュ圧縮機の適用時において、圧縮機の幅が小さくなり、ひいては冷凍システムの設置面積を幅方向において縮小できる。
【0014】
前記高段側圧縮機が、前記低段側圧縮機よりも幅狭であり、前記高段側圧縮機の軸芯が、幅方向の一方側において前記高段側圧縮機の外周位置が前記低段側圧縮機の外周位置と近づくように、前記低段側圧縮機の軸芯に対して前記幅方向にオフセットされていてもよい。
【0015】
上記構成によれば、低段側圧縮機の下側且つ高段側圧縮機の幅方向の他方側にスペースが生まれる。当該スペースを活用して、冷凍システムを構成するデバイス又は配管を配置できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、2台の圧縮機を備える冷凍システムの設置面積を縮小できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。なお、同一の又は対応する要素には全図を通じて同一の符号を付し、詳細な説明の重複を省略する。
【0019】
図1を参照して、実施形態に係る冷凍システム1は、いわゆる単元型である。冷凍システム1は、冷媒回路10及びオイル循環回路30を備える。冷媒は、特に限定されない。一例として、冷媒には、R23(CHF3)や、R32(CH2F2)を好適に使用できる。
【0020】
冷媒回路10は、低段側圧縮機11、高段側圧縮機12、油分離器13、凝縮器14、膨張弁15、及び蒸発器16を有する。冷媒は、冷媒回路10内でこの順番で循環していく。
【0021】
低段側圧縮機11は、気体の冷媒を段階的に圧縮していく。高段側圧縮機12は、低段側圧縮機で圧縮された気体の冷媒を更に段階的に圧縮していく。油分離器13は、高段側圧縮機12で圧縮された高温高圧の気体の冷媒から、オイルを分離する。凝縮器14は、油分離器13でオイルと分離された高温高圧の気体の冷媒を凝縮する。膨張弁15は、凝縮器14で凝縮された中温高圧の液体の冷媒を膨張させる。蒸発器16は、膨張弁15で膨張された低温低圧の液体の冷媒を蒸発させる。蒸発器16で得られた低温低圧の気体の冷媒は、低段側圧縮機11に戻される。
【0022】
冷媒回路10は、冷媒を循環させるため、冷媒回路10を構成する機器(デバイス)同士を接続する複数の配管部材を有する。配管部材には、例えば、圧縮機吸込配管21、圧縮機中間配管22、圧縮機吐出配管23、凝縮器供給配管24、及び液相配管25が含まれる。
【0023】
圧縮機吸込配管21は、蒸発器16の冷媒出口16Bを低段側圧縮機11の吸込口11Aに接続する。圧縮機中間配管22は、低段側圧縮機11の吐出口11Bを高段側圧縮機12の吸込口12Aに接続し、これにより、低段側圧縮機11と高段側圧縮機12とが直列に接続される。圧縮機吐出配管23は、高段側圧縮機12の吐出口12Bを油分離器13の冷媒入口13Aに接続する。凝縮器供給配管24は、油分離器13の冷媒出口13Bを凝縮器14の冷媒入口14Aに接続する。液相配管25は、凝縮器14の冷媒出口14Bを蒸発器16の冷媒入口16Aに接続する。膨張弁15は、液相配管25上に介在する。
【0024】
より具体的に言えば、低段側圧縮機11及び高段側圧縮機12は、2段式且つ油冷式のスクリュ圧縮機である。低段側圧縮機11は、第1段圧縮部11a及び第2段圧縮部11bを有する。高段側圧縮部12は、第1段圧縮部12a及び第2段圧縮部12bを有する。各圧縮部11a,11b,12a,12bは、雌雄一対のロータ(
図3を参照)によって構成される。
【0025】
低段側圧縮機11と高段側圧縮機12とは、それぞれ別のモータ11c,12cで駆動される。低段側圧縮機11のモータ11cは、第1段圧縮部11aおよび第2段圧縮部11bを駆動する。高段側圧縮機12のモータ12cは、モータ11cとは別体であり、第1段圧縮部12aおよび第2段圧縮部12bを駆動する。モータ11c,12cは、交流モータであり、互いに独立して作動可能である。低段側圧縮機11及び高段側圧縮機12の回転数は、互いに独立して制御される。また、低段側圧縮機11および高段側圧縮機12は、第1圧縮部11a,12aと第2圧縮部11b,12bとが直列に収容され、奥行方向に細長い外観を有している。このような圧縮機を用いることにより、冷凍システムの設置面積の縮小を実現しつつ、超低温(例えば、ブラインの温度を-80℃程度にできる)冷凍機を構成することができる。
【0026】
低段側圧縮機11には、圧縮機吸込配管21から低段側圧縮機11内へ冷媒を吸い込む吸込口11Aと、低段側圧縮機11内から圧縮機中間配管22へ冷媒を吐出する吐出口11Bとが設けられている。高段側圧縮機12には、圧縮機中間配管22から高段側圧縮機12内へ冷媒を吸い込む吸込口12Aと、高段側圧縮機12内から圧縮機吐出配管23へ冷媒を吐出する吐出口12Bとが設けられている。
【0027】
蒸発器16からの冷媒は、圧縮機吸込配管21及び吸込口11Aを介して低段側圧縮機11に吸い込まれ、第1段圧縮部11a及び第2段圧縮部11bをこの順番で通過する過程で順次に圧縮され、低段側圧縮機11から吐出口11Bを介して吐出される。吐出された冷媒は、圧縮機中間配管22及び吸込口12Aを介して高段側圧縮機12に吸い込まれ、第1段圧縮部12a及び第2段圧縮部12bをこの順番で通過する過程で順次に圧縮され、高段側圧縮機12から吐出口12Bを介して吐出される。吐出される冷媒には、圧縮機11,12に供給された潤滑用及び冷却用のオイルが混入する。
【0028】
油分離器13は、縦長のケーシング13aを有する。ケーシング13aには、冷媒を流入させる冷媒入口13A、オイルと分離された冷媒を流出させる冷媒出口13B、及び冷媒から分離されたオイルを流出させるオイル出口13Cが設けられている。冷媒入口13Aは、ケーシング13aの側部に設けられる。冷媒出口13Bは、ケーシング13aの頂部に設けられる。オイル出口13Cは、ケーシング13aの底部に設けられる。
【0029】
高段側圧縮機12からの冷媒は、圧縮機吐出配管23及び冷媒入口13Aを介して油分離器13に流入し、ケーシング13a内でオイルと分離される。オイルは、ケーシング13aの底部に貯留される。オイルと分離された冷媒は、油分離器13から冷媒出口13Bを介して流出する。
【0030】
凝縮器14は、冷媒が通流する冷媒通路14a、及び冷却液が通流する冷却液通路14bを有する。冷媒通路14aの一端が冷媒入口14Aであり、冷媒通路14aの他端が冷媒出口14Bである。膨張弁15は、その開度を調整可能に構成されている。蒸発器16は、冷媒が通流する冷媒通路16a、及びブラインが通流するブライン通路16bを有する。冷媒通路16aの一端が冷媒入口16Aであり、冷媒通路16aの他端が冷媒出口16Bである。
【0031】
油分離器13からの冷媒は、凝縮器供給配管24及び冷媒入口14Aを介して冷媒通路14aに流入し、凝縮器14において冷媒通路14aを通流する過程で冷却液との熱交換によって冷却され且つ凝縮し、凝縮器14から冷媒出口14Bを介して流出する。凝縮器14からの冷媒は、液相配管25を通流する過程で膨張弁15の作用で膨張及び降温し、冷媒入口を介して蒸発器に流入し、蒸発器16において冷媒通路16aを通流する過程でブラインとの熱交換によって加熱され且つ蒸発し、蒸発器16から冷媒出口16Bを介して流出する。蒸発器16は、冷媒の冷熱によってブラインを冷却するクーラとしての役割を果たす。例えば、クーラとしての蒸発器16は、ブラインの温度を-80℃の超低温とすることができる。ブラインは、冷却対象物(図示せず)の冷却に使用される。
【0032】
なお、オイル循環回路30は、油分離器13、オイル戻しライン31、及びオイルクーラ32を有する。オイル戻しライン31は、オイル出口13Cを圧縮機11,12に接続し、油分離器13で分離されたオイルを圧縮機11,12に供給する。オイルクーラ32は、オイル戻しライン31上に介在し、オイルを圧縮機11,12に供給する前に冷却する。
【0033】
次に、
図2~
図4を参照して、冷凍システム1の構成要素の形状及び配置について説明する。
【0034】
冷凍システム1は、例えば工場内に確保された用地Sに設置される。用地Sは、一例として細長い長方形状であり、相対的に長い奥行き方向の要求寸法Xと、相対的に短い幅方向の要求寸法Yとを有する。「要求」とは、冷凍システム1の利用者から冷凍システム1の提供者への要求を指し、冷凍システム1は、用地Sに収まるように設計されることを要求される。説明の便宜上、用地Sは水平であるものとするが、以下に説明する方向は、用地Sの勾配に応じて適宜変更され得る。
【0035】
低段側圧縮機11は、半密閉型の圧縮機である。詳しくは、低段側圧縮機11は、軸方向に長寸のケーシング41を有している。ケーシング41は、概略的に言えば段付きの円筒状である。ケーシング41は、長手方向(軸方向)の一方側(
図2及び
図4紙面左側)において比較的に小径である一方、長手方向の他方側(
図2及び
図4紙面右側)において比較的に大径である。
図2~
図4においては詳細図示を省略するが、モータ11c(
図1を参照)、第1段圧縮部11a(
図1を参照)、及び第2段圧縮部11b(
図1を参照)は、長手方向において他方側から一方側に向かってこの順番で、ケーシング41に収容されている。
【0036】
ケーシング41は、長手方向の他端部に、モータ11cを収容するモータ収容部41aを有している。モータ収容部41aは、ケーシング41のなかでも最大の径を有する。低段側圧縮機11は、長手方向又は軸方向を水平に向けるように且つ用地Sの奥行き方向に向けるようにして、用地Sに設置されている。このことから、ケーシング41のモータ収容部41aの直径が、ケーシング41の最大幅W11に相当する。
【0037】
高段側圧縮機12は、低段側圧縮機11と同様の構造を有している。高段側圧縮機12のケーシング51も、その長手方向の他端部に、モータ12c(
図1を参照)を収容するモータ収容部51aを有する。
【0038】
高段側圧縮機12は、低段側圧縮機11よりも小型である。高段側圧縮機12の最大幅W12は、低段側圧縮機11の最大幅W11よりも小さい。高段側圧縮機12の長さL12は、低段側圧縮機11の長さL11よりも短い。
【0039】
低段側圧縮機11と高段側圧縮機12とは、縦並びに配置されている。高段側圧縮機12は、低段側圧縮機11の下方に配置されている。高段側圧縮機12は、図示しない架台を介し、用地Sの地面から上方に浮いた状態で用地Sに支持される。低段側圧縮機11も、図示しない架台を介し、高段側圧縮機12の上方に配置され且つ用地Sに支持される。低段側圧縮機11においても高段側圧縮機12においても、軸方向は水平に向けられている。低段側圧縮機11の軸芯C11は、高段側圧縮機12の軸芯C12の上方に位置する。平面視において軸芯C11と軸芯C12とは完全に重なる。換言すれば、軸芯C11と軸芯C12とは、(用地Sの)幅方向において同じ位置にある。
【0040】
低段側圧縮機11のケーシング41は、圧縮部11a,11bを収容する圧縮部収容部41bを有する。圧縮部収容部41bは、瓢箪状であり、各圧縮部11a,11bを構成している雄ロータ42及び雌ロータ43が噛合状態で収容される。雄ロータ42は、モータ11cと同軸である。すなわち、第1圧縮部11aを構成している雄ロータ42と、第2圧縮部11bを構成している雄ロータ42と、モータ11cのモータ軸とは同軸である。低段側圧縮機11の軸芯C11は、モータ11c及び雄ロータ42の共通軸線に相当する。雌ロータ43の中心軸A43は、雄ロータ42の中心軸A42(軸芯C11)と平行である。本実施形態では、雌ロータ43の中心軸A43が雄ロータ42の中心軸A42の真下にあり、雄ロータ42及び雌ロータ43が鉛直方向に並べられている。高段側圧縮機12においても、これと同様である。ケーシング51が、各圧縮部12a,12bを構成する雄ロータ52及び雌ロータ53を噛合状態で収容する圧縮部収容部51bを有する。雄ロータ52及び雌ロータ53は鉛直方向に並べられ、雌ロータ53の中心軸A53は雄ロータ52の中心軸A52(高段側圧縮機12の軸芯C12)の真下にある。また、雄ロータ52は、モータ12cと同軸である。すなわち、第1圧縮部12aを構成している雄ロータ52と、第2圧縮部12bを構成している雄ロータ52と、モータ12cのモータ軸とは同軸である。
【0041】
低段側圧縮機11と高段側圧縮機12とは、用地Sの奥行き方向の他方側(
図2及び
図4紙面右側)に寄せて配置される。モータ収容部41a,51aは、用地Sの奥行き方向の他端部に配置され、上下方向に並べられている。
【0042】
これに対し、油分離器13、凝縮器14、膨張弁15、及び蒸発器16は、用地Sの奥行き方向の一方側(
図2及び
図4紙面左側)に固まって配置される。別の言い方では、油分離器13、凝縮器14、膨張弁15、及び蒸発器16は、低段側圧縮機11の長手方向の一方側(
図2及び
図4紙面左側)、あるいは高段側圧縮機12の長手方向の一方側(
図2及び
図4紙面左側)に配置されている。
【0043】
油分離器13は、高段側圧縮機12と同様にして用地Sの地面近くに配置され、油分離器13は、高段側圧縮機12の長手方向の一方側に配置されている。油分離器13のケーシング13aは、軸方向を鉛直方向に向けるようにして、用地Sに支持されている。油分離器13の軸寸、すなわち高さH13は、油分離器13の直径φ13よりも相当に大きい。油分離器13の下端は、高段側圧縮機12の下端よりも下方に位置する。油分離器13の上端は、高段側圧縮機12の上端よりも上方に位置する一方、低段側圧縮機11の下端よりも下方に位置する。
【0044】
蒸発器16は、直方体状であり、平面視で正方形状、側面視及び正面視で長方形状であり、側面及び正面の長辺が高さ方向に向けられる。蒸発器16の冷媒通路16a及びブライン通路16bは、鉛直方向に向けられている。蒸発器16は、油分離器13の上方に配置されている。蒸発器16は、低段側圧縮機11と同様にして用地Sの地面から上方に離れて配置され、低段側圧縮機11の長手方向の一方側に配置されている。
【0045】
凝縮器14は、低背のパネル状であり、平面視で矩形状である。凝縮器14は、高段側圧縮機12の下方に配置される。また、凝縮器14は、高段側圧縮機12の長手方向の一方側に配置されている一方、油分離器13に対し、高段側圧縮機12の長手方向の他方側に配置されている。凝縮器14の他端部は、用地Sの地面と低段側圧縮機11の下端との間に形成されたスペースに進入している。換言すれば、平面視において、凝縮器14は、部分的に低段側圧縮機11とオーバーラップしている。
【0046】
低段側圧縮機11の吸込口11Aは、ケーシング41の上部に設けられ、上方に向けられている。低段側圧縮機11の吐出口11Bは、ケーシング41の下部に設けられ、下方に向けられている。高段側圧縮機12の吸込口12Aは、ケーシング51の上部に設けられ、上方に向けられている。高段側圧縮機12の吐出口12Bは、ケーシング51の下部に設けられ、下方に向けられている。
【0047】
吸込口11A,12Aは、対応するケーシング41,51の長手方向の中央部に設けられている。吐出口11B,12Bは、対応するケーシング41,51の長手方向の一端部に設けられている。高段側圧縮機12の吸込口12Aは、低段側圧縮機11の吐出口11Bに対し、下側に配置され且つ長手方向の他方側に配置されている。
【0048】
圧縮機中間配管22は、このような低段側圧縮機11の吐出口11Bを高段側圧縮機12の吸込口12Aに接続している。圧縮機中間配管22は、吐出口11Bから下方に僅かに延び、長手方向の他方側に向けて直角に曲げられ、更に下方に向けて直角に曲げられ、吸込口12Aに至る。
【0049】
油分離器13の冷媒入口13Aは、水平に向けられ、高段側圧縮機12と対向している。圧縮機吐出配管23は、高段側圧縮機12の吐出口11Bから下方に僅かに延び、長手方向の一方側に向けて直角に曲げられ、上方に向けて直角に曲げられ、更に長手方向の一方側に向けて直角に曲げられ、冷媒入口13Aに至る。
【0050】
油分離器13の冷媒出口13Bは、油分離器13の上端に設けられ、上方に向けられている。凝縮器14の冷媒入口14Aは、凝縮器14の上面側に設けられ、上方に向けられている。冷媒入口14Aは、油分離器13の冷媒出口13Bよりも下方に位置する。また、平面視において冷媒入口14Aは、高段側圧縮機12で上から覆われておらず、用地Sの奥行き方向において油分離器13と高段側圧縮機12との間に位置する。
【0051】
凝縮器供給配管24は、このような油分離器13の冷媒出口13Bを凝縮器14の冷媒入口14Aに接続している。凝縮器供給配管24は、油分離器13の冷媒出口13Bから上方に僅かに延び、長手方向他方側に向けて直角に曲げられ、更に下方に向けて直角に曲げられ、冷媒入口14Aに至る。
【0052】
凝縮器14の冷媒出口14Bは、凝縮器14の下面側に設けられ、下方に向けられている。蒸発器16の冷媒入口16Aは、蒸発器16の下端部に設けられ、水平に向けられ、低段側圧縮機11と対向している。蒸発器16の冷媒入口16Aは、凝縮器14の冷媒出口14Bに対して上方に配置され、且つ用地Sの奥行き方向の一方側に配置されている。
【0053】
液相配管25は、このような凝縮器14の冷媒出口14Bを蒸発器16の冷媒入口16Aに接続している。液相配管25は、冷媒出口14Bから下方に僅かに延び、長手方向の一方側に向けて直角に延び、上方に向けて直角に延び、更に長手方向の一方側に向けて直角に曲げられ、蒸発器16の冷媒入口16Aに至る。液相配管25の鉛直方向に延在する部分は、用地Sの奥行き方向において油分離器13と凝縮器14との間に位置する。膨張弁15は、液相配管25の当該部分に介在している。
【0054】
蒸発器16の冷媒出口16Bは、蒸発器16の上端部に設けられ、水平に向けられ、低段側圧縮機11と対向している。低段側圧縮機11の吸込口11Aの配置は前述したとおりである。冷媒出口16Bは、吸込口11Aよりも上方に位置する。圧縮機吸込配管21は、蒸発器16の冷媒出口16Bから長手方向の他方側に延び、下方に向けて直角に曲げられ、吸込口11Aに至る。
【0055】
前述したとおり、低段側圧縮機11の最大幅W11は、高段側圧縮機12の最大幅W12よりも大きい。また、低段側圧縮機11の最大幅W11は、油分離器13の直径φ13よりも大きく、凝縮器14の幅W14よりも大きく、蒸発器16の幅W16よりも大きい。高段側圧縮器12、油分離器13、凝縮器14、及び蒸発器16は、低段側圧縮機11の幅に収まるように配置されている。「高段側圧縮機12が低段側圧縮機11の幅に収まる」とは、平面視において、高段側圧縮機12が、低段側圧縮機11の幅方向両端の間に完全に入っている状態をいう。油分離器13、凝縮器14、及び蒸発器16についても、高段側圧縮機12と同様である。
【0056】
そのうえで、低段側圧縮機11の最大幅W11は、用地Sの幅方向の要求寸法Y未満である(Y>W11)。そのため、冷凍システム1が、全体として、幅方向において用地S内に収まる。
【0057】
また、低段側圧縮機11と蒸発器16とは、低段側圧縮機11の長手方向、すなわち用地Sの奥行き方向に並べられている。低段側圧縮機11の長さL11と蒸発器16の長さL16の和は、用地Sの奥行き方向の要求寸法X未満である(X>L11+L16)。高段側圧縮機12と油分離器13とは、高段側圧縮機12の長手方向、すなわち用地Sの奥行き方向に並べられている。高段側圧縮機12の長さL12と油分離器13の直径φ13との和は、用地Sの奥行き方向の要求寸法X未満である(X>L12+φ13)。そのため、冷凍システム1が、全体として、奥行き方向において用地S内に収まる。
【0058】
このように、本実施形態によれば、低段側圧縮機11及び高段側圧縮機12の2台の圧縮機が、縦並びで配置されている。そのうえで、冷凍システム1を構成する主要なデバイス、すなわち油分離器13、凝縮器14及び蒸発器16が、高段側圧縮機12と共に、低段側圧縮機11の幅内に収まるように配置される。したがって、冷凍システム1の設置面積の縮小を実現でき、冷凍システム1を狭い用地Sに設置できる。
【0059】
凝縮器14が、高段側圧縮機12の下側に、且つ高段側圧縮機12の長手方向において高段側圧縮機12と油分離器13との間に配置されている。凝縮器14が、油分離器13に対して高段側圧縮機12と反対側に配置される場合と対比して、圧縮機11,12の長手方向において冷凍システム1の設置面積を縮小できる。
【0060】
低段側圧縮機11の吐出口11Bが、低段側圧縮機の下部に設けられ、高段側圧縮機12の吸込口11Aが、高段側圧縮機12の上部に設けられている、これにより、2台の圧縮機11,12を繋ぐ圧縮機中間配管22を短縮できる。
【0061】
また、本実施形態においては、圧縮機吸込配管21、圧縮機中間配管22、圧縮機吐出配管23、凝縮器供給配管24、及び液相配管25のいずれも、1回以上直角に折り曲げられている。配管部材の熱膨張を抑止できる点で有益である。
【0062】
スクリュ圧縮機としての低段側圧縮機11及び高段側圧縮機12において、各雄ロータ42,52と、これに対応する雌ロータ43,53とが、鉛直方向に並べられている。圧縮機11,12の幅が小さくなり、ひいては冷凍システム1の設置面積を幅方向において縮小できる。
【0063】
図5は、変形例に係る冷凍システム1を示す。変形例においては、高段側圧縮機12の軸芯C12が、低段側圧縮機11の軸芯C11に対して幅方向の一方側(
図5紙面左側)にオフセットされている。幅方向の一方側において、高段側圧縮機12の外周位置が、低段側圧縮機11の外周位置に近づけられている。
【0064】
高段側圧縮機12は、低段側圧縮機11よりも小型であり、幅狭である。そのため、高段側圧縮機12の幅方向他方側には、低段側圧縮機11の幅方向他方側と比べて、大きなスペースS1が確保される。このスペースS1を活用して、冷凍システム1のその他のデバイスを配置できる。例えば、冷凍システム1が、凝縮器14と膨張弁15との間にエコノマイザを備えていてもよい。その場合、当該スペースS1をエコノマイザの配置に活用できる。
【0065】
これまで、実施形態について説明したが、上記構成は、本発明の範囲内で適宜変更可能である。例えば、高段側圧縮機12は、長手方向において逆向きに配置されてもよい。すなわち、高段側圧縮機12の長手方向の一方側に、モータ12c(
図1を参照)を収容するモータ収容部51aが配置され、高段側圧縮機12の長手方向の他方側に、圧縮部収容部52bが配置されるように、すなわち、
図2において左右反転させるように、高段側圧縮機12を配置されてもよい。
【0066】
本開示は、以下の態様を含み得る。
(態様1)
冷媒を圧縮する低段側圧縮機と、
前記低段側圧縮機で圧縮された前記冷媒を更に圧縮する高段側圧縮機と、
前記高段側圧縮機で圧縮された前記冷媒からオイルを分離する油分離器と、
前記油分離器で前記オイルと分離された前記冷媒を凝縮させる凝縮器と、
前記凝縮器で凝縮された前記冷媒を蒸発させる蒸発器と、
を備え、
前記高段側圧縮機が、前記低段側圧縮機の下側に配置され、
前記油分離器が、前記高段側圧縮機の長手方向の一方側に配置され、
前記蒸発器が、前記油分離器の上側に、且つ前記低段側圧縮機の長手方向の一方側に配置され、
前記高段側圧縮機、前記油分離器、前記凝縮器、及び前記蒸発器が、前記低段側圧縮機の幅に収まるように配置されている、
冷凍システム。
(態様2)
前記凝縮器が、前記高段側圧縮機の下側に、且つ前記高段側圧縮機の前記長手方向において前記高段側圧縮機と前記油分離器との間に配置されている、
態様1に記載の冷凍システム。
(態様3)
前記低段側圧縮機に設けられて前記冷媒を吐出する低段側吐出口を、前記高段側圧縮機に設けられて前記冷媒を吸い込む高段側吸込口に接続する圧縮機中間配管を更に備え、
前記低段側吐出口が、前記低段側圧縮機の下部に設けられ、前記高段側吸込口が、前記高段側圧縮機の上部に設けられている、
態様1又は2に記載の冷凍システム。
(態様4)
前記低段側圧縮機及び前記高段側圧縮機の少なくともいずれか一方が、雄ロータ及び雌ロータを有するスクリュ圧縮機であり、
前記スクリュ圧縮機において、前記雄ロータと前記雌ロータとが鉛直方向に並べられている、
態様1から3のいずれかに記載の冷凍システム。
(態様5)
前記高段側圧縮機が、前記低段側圧縮機よりも幅狭であり、
前記高段側圧縮機の軸心が、幅方向の一方側において前記高段側圧縮機の外周位置が前記低段側圧縮機の外周位置と近づくように、前記低段側圧縮機の軸心に対して前記幅方向にオフセットされている、
態様1から4のいずれかに記載の冷凍システム。
【符号の説明】
【0067】
1 冷凍システム
10 冷媒回路
11 低段側圧縮機
12 高段側圧縮機
11A,12A 吸込口
11B,12B 吐出口
11a,12a 第1段圧縮部
11b,12b 第2段圧縮部
11c,12c モータ
13 油分離器
13A 冷媒入口
13B 冷媒出口
13C オイル出口
13a ケーシング
14 凝縮器
14A 冷媒入口
14B 冷媒出口
14a 冷媒通路
14b 冷却液通路
15 膨張弁
16 蒸発器
16A 冷媒入口
16B 冷媒出口
16a 冷媒通路
16b ブライン通路
21 圧縮機吸込配管
22 圧縮機中間配管
23 圧縮機吐出配管
24 凝縮器供給配管
25 液相配管
30 オイル循環回路
31 オイル戻しライン
32 オイルクーラ
41,51 ケーシング
41a,51a モータ収容部
41b,51b 圧縮部収容部
42,52 雄ロータ
43,53 雌ロータ
S 用地
S1 スペース
X 奥行き方向の要求寸法
Y 幅方向の要求寸法
A42,A52 雄ロータの中心軸
A43,A53 雌ロータの中心軸
C11 低段側圧縮機の軸芯
C12 高段側圧縮機の軸芯
H13 油分離器の高さ
L11 低段側圧縮機の長さ
L12 高段側圧縮機の長さ
L16 蒸発器の長さ
W11 低段側圧縮機の最大幅
W12 高段側圧縮機の最大幅
W14 凝縮器の幅
W16 蒸発器の幅
φ13 油分離器の直径