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特開2024-22624可逆的ゾル-ゲル転移特性が変化された感温性ヒドロゲル組成物及びその用途
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022624
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】可逆的ゾル-ゲル転移特性が変化された感温性ヒドロゲル組成物及びその用途
(51)【国際特許分類】
   C08G 79/025 20160101AFI20240208BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20240208BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20240208BHJP
   A61K 47/20 20060101ALI20240208BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20240208BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20240208BHJP
   A61K 47/40 20060101ALI20240208BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240208BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240208BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20240208BHJP
   B33Y 70/00 20200101ALI20240208BHJP
【FI】
C08G79/025
A61K9/06
A61K47/22
A61K47/20
A61K47/34
A61K47/36
A61K47/40
A61P43/00 111
A61K45/00
A61K47/18
B33Y70/00
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023202963
(22)【出願日】2023-11-30
(62)【分割の表示】P 2022530769の分割
【原出願日】2020-05-18
(31)【優先権主張番号】10-2019-0156759
(32)【優先日】2019-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】523362478
【氏名又は名称】ネックスジェル バイオテック カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ソン,ス チャン
(72)【発明者】
【氏名】ソ,ボ-ベ
(57)【要約】
【課題】感温性ポリホスファゼン系高分子のゾル-ゲル転移特性を変化させてゲル形成後の温度変化に伴う可逆的転移により応用分野が限定されることを克服する。
【解決手段】アミノ酸エステル、長さ及び含有量が調節されたポリエチレングリコール及び末端に機能性モイエティの導入のための官能基を含むグループを所定の割合で含むポリホスファゼン系高分子を含む可逆的ゾル-ゲル転移特性が変化した感温性ヒドロゲル組成物。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表されるポリホスファゼン骨格のリン原子上に、
下記化学式2で表されるアミノ酸エステル第1モイエティ;
下記化学式3で表されるポリエチレングリコール第2モイエティ;及び
エチル-2-(O-グリシル)ラクテート、アミノエタノール、アミノエチルコハク酸、アミノエチルグルタレート、アミノエチルグルタレートベータシクロデキストリン、アミノエチルアジペート、アミノエチルサルフェート、アミノエチルコハク酸イミダゾールおよびアミノエチルコハク酸CRRRRHHHHHHGGGGGRGDSからなる群から選択される少なくとも1つを含む第3モイエティ;をそれぞれa:b:cの割合で含む、
ポリホスファゼン系高分子を含み、
低温から常温までは液相であり、体温である37℃付近でゲル化するが、温度が変化しても可逆的に溶液に転移せずに形成されたゲルの強度及び/または形態を維持するように、可逆的ゾル-ゲル転移特性が変化した感温性ヒドロゲル組成物:
【化1】

前記化学式1~3において、
はC1-6アルキル、(C1-6アルケニル)またはC6-10アリール-C1-6アルキルであり、
は水素、メチル、イソプロピル、1-メチルプロピル、2-メチルプロピル、チオメチル、メチルチオエチル、ベンジル、ヒドロキシベンジルまたは2-インドリルメチルであり、
はC1-6アルキルであり、
nは3~100,000の整数であり、
pは14.8~22.1の整数であるが、
ポリホスファゼンの全結合部位を基準に、a+bは80~99%であり、cは1~20%であり、
pが14.8~22.1の場合、bは10~20%である。
【請求項2】
前記第3モイエティは、末端に機能性モイエティの導入のための官能基を含み、
前記官能基は、アミノ酸、ペプチド、デプシペプチド、デプシペプチドエステル、アミド基、アミノ基、スルフェート基、チオール基、ビニル基、アルデヒド基、アクリレート基、メタクリレート基、ヒドロキシル基及びカルボキシル基からなる群から選択される、請求項1に記載の感温性ヒドロゲル組成物。
【請求項3】
は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ベンジルまたは2-プロフェニルである、請求項1に記載の感温性ヒドロゲル組成物。
【請求項4】
はメチルである、請求項1に記載の感温性ヒドロゲル組成物。
【請求項5】
前記第4モイエティの一部又は全官能基に、高分子の分解速度を調節できる物質、分解速度調節可能なイオン基を含む置換体、架橋結合可能な置換体、組織接合を誘導することができる追加の化合物、生理活性物質、及びそれらのうちの2つ以上の機能性物質が線状に連結されて形成された複合物質からなる群から選択される1つ以上の機能性モイエティが直接またはリンカーを介して結合された第4モイエティをさらに含む、請求項1に記載の感温性ヒドロゲル組成物。
【請求項6】
前記第4モイエティは、葉酸、ヒアルロン酸、シクロデキストリン、イミダゾール系化合物、抗がん剤、ヒスチジン、リジン、アルギニン、システイン、チオールアリールアミン、スペルミン、スペルミジン、ポリエチレンイミン、ポリヒスチジン、ポリリジン、ポリアルギニン、プロタミン、ヘパリン、キトサン、及び1~20個のアミノ酸からなるペプチドからなる群から選択される1つ以上を含む、請求項5に記載の感温性ヒドロゲル組成物。
【請求項7】
前記ポリホスファゼン系高分子が1~50重量%の濃度で溶媒に溶解したものである、請求項1に記載の感温性ヒドロゲル組成物。
【請求項8】
前記溶媒は、水、緩衝溶液、酸性溶液、塩基性溶液、塩溶液、生理食塩水、注射用水、細胞培養液及びグルコース食塩液からなる群から選択された1種以上である、請求項7に記載の感温性ヒドロゲル組成物。
【請求項9】
5~70℃の範囲でゾル-ゲル挙動を示し、あらかじめ定められた所定の温度でヒドロゲルを形成する、請求項1に記載の感温性ヒドロゲル組成物。
【請求項10】
生体に適用時または生体外の環境でゲル化するが、あらかじめ定められた所定の温度で感温性を喪失して温度の変化に関係なくゲル状態を維持するように考案されたものである、請求項1に記載の感温性ヒドロゲル組成物。
【請求項11】
再生が必要な損傷した組織に対してポリホスファゼン系高分子を含む組成物を投与することを含む組織再生用途であって、
前記ポリホスファゼン系高分子は、
下記化学式1で表されるポリホスファゼン骨格のリン原子上に、
下記化学式2で表されるアミノ酸エステル第1モイエティ;
下記化学式3で表されるポリエチレングリコール第2モイエティ;及び
エチル-2-(O-グリシル)ラクテート、アミノエタノール、アミノエチルコハク酸、アミノエチルグルタレート、アミノエチルグルタレートベータシクロデキストリン、アミノエチルアジペート、アミノエチルサルフェート、アミノエチルコハク酸イミダゾールおよびアミノエチルコハク酸CRRRRHHHHHHGGGGGRGDSからなる群から選択される少なくとも1つを含む第3モイエティ;をそれぞれa:b:cの割合で含む:
【化2】

前記化学式1~3において、
はC1-6アルキル、(C1-6アルケニル)またはC6-10アリール-C1-6アルキルであり、
は水素、メチル、イソプロピル、1-メチルプロピル、2-メチルプロピル、チオメチル、メチルチオエチル、ベンジル、ヒドロキシベンジルまたは2-インドリルメチルであり、
はC1-6アルキルであり、
nは3~100,000の整数であり、
pは14.8~22.1の整数であるが、
ポリホスファゼンの全結合部位を基準に、a+bは80~99%であり、cは1~20%であり、
pが14.8~22.1の場合、bは10~20%である。
【請求項12】
前記組成物が、生体に適用時または生体外の環境でゲル化するが、あらかじめ定められた所定の温度で感温性を喪失し、温度の変化に関係なくゲル状態を維持するように考案されたものである、請求項11に記載の組織再生用途。
【請求項13】
前記組成物が、生体に適用時または生体外の環境でゲル化した後、生体内および生体外における温度変化に対して形態および体積を維持することにより、細胞に導入され、自己組織に置換されることにより、前記ゲル状態を維持することが、細胞が付着して生存するための空間を提供する、請求項12に記載の組織再生用途。
【請求項14】
所望の組織の再生を促進させるための、細胞の生存および/または細胞の分化を目的として、前記組成物が、薬物、細胞、ナノ粒子、マイクロ粒子および生理活性物質からなる群から選択される1種以上の機能性物質をさらに含む、請求項11に記載の組織再生用途。
【請求項15】
下記化学式1で表されるポリホスファゼン骨格のリン原子上に、
下記化学式2で表されるアミノ酸エステル第1モイエティ;
下記化学式3で表されるポリエチレングリコール第2モイエティ;及び
エチル-2-(O-グリシル)ラクテート、アミノエタノール、アミノエチルコハク酸、アミノエチルグルタレート、アミノエチルグルタレートベータシクロデキストリン、アミノエチルアジペート、アミノエチルサルフェート、アミノエチルコハク酸イミダゾールおよびアミノエチルコハク酸CRRRRHHHHHHGGGGGRGDSからなる群から選択される少なくとも1つを含む第3モイエティ;をそれぞれa:b:cの割合で含む、
ポリホスファゼン系高分子及び機能性物質を含む薬物送達システム:
【化3】

前記化学式1~3において、
はC1-6アルキル、(C1-6アルケニル)またはC6-10アリール-C1-6アルキルであり、
は水素、メチル、イソプロピル、1-メチルプロピル、2-メチルプロピル、チオメチル、メチルチオエチル、ベンジル、ヒドロキシベンジルまたは2-インドリルメチルであり、
はC1-6アルキルであり、
nは3~100,000の整数であり、
pは14.8~22.1の整数であるが、
ポリホスファゼンの全結合部位を基準に、a+bは80~99%であり、cは1~20%であり、
pが14.8~22.1の場合、bは10~20%である。
【請求項16】
前記機能性物質は、薬物、細胞、ナノ粒子、マイクロ粒子、生理活性物質またはそれらの組み合わせである、請求項15に記載の薬物送達システム。
【請求項17】
体温により3次元構造のゲルを提供する方法であって、
低温から常温までは液相であり、体温である37℃付近でゲル化するが、温度が変化しても可逆的に溶液に転移せずに形成されたゲルの強度及び/または形態を維持する、ポリホスファゼン系高分子を含む感温性ヒドロゲル組成物を使用し、
前記ポリホスファゼン系高分子は、
下記化学式1で表されるポリホスファゼン骨格のリン原子上に、
下記化学式2で表されるアミノ酸エステル第1モイエティ;
下記化学式3で表されるポリエチレングリコール第2モイエティ;及び
エチル-2-(O-グリシル)ラクテート、アミノエタノール、アミノエチルコハク酸、アミノエチルグルタレート、アミノエチルグルタレートベータシクロデキストリン、アミノエチルアジペート、アミノエチルサルフェート、アミノエチルコハク酸イミダゾールおよびアミノエチルコハク酸CRRRRHHHHHHGGGGGRGDSからなる群から選択される少なくとも1つを含む第3モイエティ;をそれぞれa:b:cの割合で含む、方法:
【化4】

前記化学式1~3において、
はC1-6アルキル、(C1-6アルケニル)またはC6-10アリール-C1-6アルキルであり、
は水素、メチル、イソプロピル、1-メチルプロピル、2-メチルプロピル、チオメチル、メチルチオエチル、ベンジル、ヒドロキシベンジルまたは2-インドリルメチルであり、
はC1-6アルキルであり、
nは3~100,000の整数であり、
pは14.8~22.1の整数であるが、
ポリホスファゼンの全結合部位を基準に、a+bは80~99%であり、cは1~20%であり、
pが14.8~22.1の場合、bは10~20%である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アミノ酸エステル、ポリエチレングリコール及び末端に機能性モイエティの導入のための官能基を含むグループを所定の割合で含むが、これに含まれたポリエチレングリコールの長さ及び含有量が調節されたポリホスファゼン系高分子を含む可逆的ゾル-ゲル転移特性が変化した感温性ヒドロゲル組成物及び前記ポリホスファゼン系高分子を含む医療用ヒドロゲル組成物または3Dプリント用インク組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
感温性高分子ヒドロゲルは、低温では液相、例えば、ゾル(sol)状態を維持するが、温度が上昇するにつれてゲル(gel)に変化するゾル-ゲル相転移を示す。その利点は、液相で注入されるため、適用しようとする組織が如何なる形状で存在しても病変に均一に分布させることができ、体温により直ちに三次元構造のゲルを形成するため、効果的に適用部位に適した形態で存在することができ、注射型薬物貯蔵ヒドロゲルや組織接合物質として大きな可能性を有する。しかしながら、低い強度及び感温性によるヒドロゲルの損失または形態の変化により制限的な医療用途にのみ使用されている。
【0003】
本発明者らは、先行研究を通じてジクロロホスファゼン線状高分子にアミノ酸エステル及びメトキシポリエチレングリコールを置換して得られたホスファゼン系高分子が一定温度以下では溶液状態で存在するが、一定温度を超える場合、三次元構造のゲル状態でゾル-ゲル相転移を示す感温性高分子としての特性を有することを確認した(韓国登録特許第10-0259367号(特許文献1)、第10-0315630号(特許文献2))。
【0004】
しかし、このような感温性高分子を有効成分として含むヒドロゲルは、長期的に投薬しなければならない薬物や組織再生に機能する様々な物質を混合して処理できるという利点があるが、温度変化に敏感なゾル-ゲル相転移特性は、人体内注入後に体内で三次元の構造を維持できる条件下で主に利用されており、体温の恒常性がよく維持される位置では薬物送達システムとして利用するには十分であったが、その他の可逆的感温性の特性のため、制限される応用分野が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国登録特許第10-0259367号公報
【特許文献2】韓国登録特許第10-0315630号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らは、感温性ポリホスファゼン系高分子のゾル-ゲル転移特性を変化させてゲル形成後の温度変化に伴う可逆的転移により応用分野が限定されることを克服するために鋭意研究努力した結果、ポリホスファゼン骨格に置換されたポリエチレングリコールモイエティの割合をその長さに応じて適正範囲に調節することにより、これを含有する溶液が低温から常温までは液相であり、体温である37℃付近でゲル化するが、再び常温に低くなるなど温度が変化しても可逆的に溶液に転移せずに形成されたゲルの強度及び/または形態を維持することを確認し、本発明を完成した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、下記化学式1で表されるポリホスファゼン骨格のリン原子上に、下記化学式2で表されるアミノ酸エステル第1モイエティ;下記化学式3で表されるポリエチレングリコール第2モイエティ;及び末端に機能性モイエティの導入のための官能基を含む第3モイエティ;を、それぞれa:b:cの割合で含む、ポリホスファゼン系高分子を含む可逆的ゾル-ゲル転移特性が変化した感温性ヒドロゲル組成物を提供する:
【0008】
【化1】
【0009】
前記化学式1~3において、
はC1-6アルキル、(C1-6アルケニル)またはC6-10アリール-C1-6アルキルであり、
は水素、メチル、イソプロピル、1-メチルプロピル、2-メチルプロピル、チオメチル、メチルチオエチル、ベンジル、ヒドロキシベンジルまたは2-インドリルメチルであり、
はC1-6アルキルであり、
nは3~100,000の整数であり、
pは1~23の整数であるが、
ポリホスファゼンの全結合部位を基準に、a+bは80~99%であり、cは1~20%であり、
i)pが1~13の場合、bは25~40%未満であり、
ii)pが14~18の場合、bは10~20%であり、
iii)pが19~23の場合、bは10~15%である。
【0010】
本発明の第2の態様は、前記ポリホスファゼン系高分子を含む組織再生用組成物を提供する。
【0011】
本発明の第3の態様は、前記ポリホスファゼン系高分子及び機能性物質を含む薬物送達システムを提供する。
【0012】
本発明の第4の態様は、前記ポリホスファゼン系高分子を含む3Dプリント用インク組成物を提供する。
【0013】
本発明の第5の態様は、前記ポリホスファゼン系高分子を含む組成物の組織再生用途を提供する。
【0014】
本発明の第6の態様は、前記ポリホスファゼン系高分子を含む組成物の3Dプリント用インクとしての用途を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明のポリホスファゼン系高分子を含む感温性ヒドロゲル組成物は、それに結合したモイエティ、特にポリエチレングリコールの含有量を調節することにより、それから形成されるヒドロゲルの温度に応じたゾル-ゲル転移特性を変化させ、所定の温度でゲル化した後、再び温度が変化しても溶液相に急激に変化せずに形態を維持することができるため、体温でゲル化するように設定して体内移植体として使用したり、薬物、生理活性物質などをさらに含めて組織修復用または組織再生用構造体及び/または薬物送達システムとして活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施例及び比較例によるポリホスファゼン系高分子溶液の反復的な温度変化による貯蔵弾性率(storage modulus、G’)と損失弾性率(loss modulus,G’’)の変化を示した図である。
図2】本発明の実施例及び比較例に係るポリホスファゼン系高分子溶液の温度によるゾル-ゲル転移を示した図である。
図3】本発明の実施例及び比較例に係るポリホスファゼン系高分子溶液を充填して製造した3Dプリント構造物及びその常温暴露による形態維持能を示した図である。
図4】本発明の実施例に係るポリホスファゼン系高分子溶液を充填して製造した3Dプリント構造物の温度が一定に維持されない環境での細胞培養液に担持した際の形態維持能を示した図である。
図5】本発明の実施例に係るポリホスファゼン系高分子溶液にヒト由来脂肪幹細胞を混合した溶液を充填して製造した3Dプリント構造物における温度が一定に維持されない環境での細胞培養及び経時による培養細胞の生存率を示した図である。
図6】本発明の実施例及び比較例に係るポリホスファゼン系高分子溶液を外部に露出した傷部に塗布して形成したヒドロゲル及びその常温暴露による形態維持能を示した図である。
図7】本発明の実施例及び比較例に係るポリホスファゼン系高分子溶液を体内注入して形成したヒドロゲル及びその外部環境への暴露による形態維持能を示した図である。
図8】本発明の実施例及び比較例に係るポリホスファゼン系高分子溶液を体内に注入して実施例の注入を通じて形成したヒドロゲルが4週間の期間後に流入した周辺細胞により血管及び細胞外基質を形成し、脂肪組織化されることを示した図である。
図9】本発明の実施例及び比較例に係るポリホスファゼン系高分子溶液に骨形成タンパク質(Bone morphogenetic protein-2,BMP-2)を担持してヒドロゲルを形成させた後、体内環境と同様の体外条件での期間別BMP-2放出量を測定して示した図である。
図10】本発明の実施例及び比較例に係るポリホスファゼン系高分子溶液に骨形成タンパク質(Bone morphogenetic protein-2、BMP-2)を担持して体内注入し、8週間後にヒドロゲルの形成部位で発生した新生骨をX-rayとμ-CTを通じて測定して示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の第1の態様は、下記化学式1で表されるポリホスファゼン骨格のリン原子上に、下記化学式2で表されるアミノ酸エステル第1モイエティ;下記化学式3で表されるポリエチレングリコール第2モイエティ;及び末端に機能性モイエティの導入のための官能基を含む第3モイエティ;をそれぞれa:b:cの割合で含む、ポリホスファゼン系高分子を含む可逆的ゾル-ゲル転移特性が変化した感温性ヒドロゲル組成物を提供する:
【0018】
【化2】
【0019】
前記化学式1~3において、
はC1-6アルキル、(C1-6アルケニル)またはC6-10アリール-C1-6アルキルであり、
は水素、メチル、イソプロピル、1-メチルプロピル、2-メチルプロピル、チオメチル、メチルチオエチル、ベンジル、ヒドロキシベンジルまたは2-インドリルメチルであり、
はC1-6アルキルであり、
nは3~100,000の整数であり、
pは1~23の整数であるが、
ポリホスファゼンの全結合部位を基準に、a+bは80~99%であり、cは1~20%であり、
i)pが1~13の場合、bは25~40%未満であり、
ii)pが14~18の場合、bは10~20%であり、
iii)pが19~23の場合、bは10~15%である。
【0020】
本発明の第2の態様は、前記ポリホスファゼン系高分子を含む組織再生用組成物を提供する。
【0021】
本発明の第3の態様は、前記ポリホスファゼン系高分子及び機能性物質を含む薬物送達システムを提供する。
【0022】
本発明の第4の態様は、前記ポリホスファゼン系高分子を含む3Dプリント用インク組成物を提供する。
【0023】
本発明の第5の態様は、前記ポリホスファゼン系高分子を含む組成物の組織再生用途を提供する。
【0024】
本発明の第6の態様は、前記ポリホスファゼン系高分子を含む組成物の3Dプリント用インクとしての用途を提供する。
【0025】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0026】
一般に、感温性高分子は、温度変化に伴い溶解度の突然の変化を示す高分子である。温度を上げるにつれて、高分子と溶媒との間の水素結合が弱くなり、脱水化が起こり、高分子間の疎水性引力が強化され、さらに疎水性構造を有するようになる。臨界下限温度(LCST:low critical solution temperature)では、高分子と水との間の水素結合より高分子-高分子、水-水との間の相互作用がより好まれるため、高分子から急速に脱水現象が起こり、さらに疎水性の構造を有する。感温性高分子は、高分子骨格に結合している疎水性基と親水性基のバランスによって臨界下限温度が変化し、一般に、親水性基の含有量が増加すると相転移温度が上がり、疎水性基が増加すると逆に相転移温度が下がる。
【0027】
これら感温性高分子中、ポリホスファゼン骨格をベースとする高分子は、前記感温性により常温で溶液状態に維持され、体内注入時に体温によりゲル化して三次元構造を形成し、その生分解性により体内で徐々に分解するため、所望の部位に注射剤の形態で注入して移植体を形成するか、必要に応じて薬物を共に混合して注入することにより、構造物の分解に応じて薬物を徐放出することができるため、薬物送達システムとして利用される。しかし、体内環境から外れた場合、温度変化により溶液状態に再び転移される可逆性のため、その応用分野は体内注入用に制限されるだけでなく、顔面や手、足のように外部温度により多くの影響を受ける薄い皮膚膜の下や開いた傷部、歯茎やインプラント部位などでの使用時には、外部環境による体温損失により注入されたヒドロゲルが形態を喪失して移植体としての効果を示さないか、またはそれと同時にこれに含まれる薬物がある場合には、薬物を過剰に放出して副作用が発現することがあり、使用が制限される。
【0028】
本発明は、前記感温性ポリホスファゼン系高分子の可逆的ゾル-ゲル転移特性によりその用途が制限されることを克服するために考案されたものであり、これを構成する必須構成モイエティが所定の割合を有する場合、一定温度以下では、温度変化により高分子溶液のゾル-ゲル転移が可逆的に起こるが、特定の温度以上にさらされた後は、このような急激な可逆的転移特性を失い、ゲル形態を長期間維持することを発見したことに基づく。具体的には、前述の特性は、ポリホスファゼン骨格に特定の割合で置換体が導入された場合にのみ現れることであり、高分子水溶液中の高分子濃度及び/又は組成物にかかわらず、最初の高分子合成時に導入した置換体の割合に応じてこのような特性変化を持たせることができる。
【0029】
したがって、本発明は、下記化学式1で表されるポリホスファゼン骨格のリン原子上に、下記化学式2で表されるアミノ酸エステル第1モイエティ;下記化学式3で表されるポリエチレングリコール第2;及び末端に機能性モイエティの導入のための官能基を含む第3モイエティ;をそれぞれa:b:cの割合で含む、ポリホスファゼン系高分子を含む可逆的ゾル-ゲル転移特性が変化した感温性ヒドロゲル組成物を提供する:
【0030】
【化3】
【0031】
前記化学式1~3において、
はC1-6アルキル、(C1-6アルケニル)またはC6-10アリール-C1-6アルキルであり、
は水素、メチル、イソプロピル、1-メチルプロピル、2-メチルプロピル、チオメチル、メチルチオエチル、ベンジル、ヒドロキシベンジルまたは2-インドリルメチルであり、
はC1-6アルキルであり、
nは3~100,000の整数であり、
pは1~23の整数であるが、
ポリホスファゼンの全結合部位を基準に、a+bは80~99%であり、cは1~20%であり、
i)pが1~13の場合、bは25~40%未満であり、
ii)pが14~18の場合、bは10~20%であり、
iii)pが19~23の場合、bは10~15%である。
【0032】
本発明のヒドロゲル組成物においてポリホスファゼン系高分子に含まれる前記第3 モイエティにおいて機能性モイエティの導入のための官能基は、アミノ酸、ペプチド、デプシペプチド、デプシペプチドエステル、アミド基、アミノ基、スルフェート基、チオール基、ビニル基、アルデヒド基、アクリレート基、メタクリレート基、ヒドロキシ基及びカルボキシル基からなる群から選択することができる。
【0033】
例えば、前記化学式においてRはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ベンジルまたは2-プロフェニルであり得る。
【0034】
例えば、前記化学式においてRはメチルであってもよいが、これらに限定されない。
【0035】
前記第3モイエティの一部または全官能基に高分子の分解速度を調節できる物質、分解速度を調節可能なイオン基を含む置換体、架橋結合可能な置換体、組織接合を誘導することができる追加の化合物、生理活性物質、及びそれらのうちの2つ以上の機能性物質が線状に連結されて形成された複合物質からなる群から選択される1つ以上の機能性モイエティが直接またはリンカーを介して結合された第4モイエティをさらに含んでもよい。
【0036】
このとき、前記第4モイエティは、葉酸、ヒアルロン酸、シクロデキストリン、イミダゾール系化合物、抗がん剤、ヒスチジン、リジン、アルギニン、システイン、チオールアリールアミン、スペルミン、スペルミジン、ポリエチレンイミン、ポリヒスチジン、ポリリジン、ポリアルギニン、プロタミン、ヘパリン、キトサン、及び1~20個のアミノ酸からなるペプチドからなる群から選択される1つ以上を含んでもよい。
【0037】
本発明の可逆的ゾル-ゲル転移特性が変化した感温性ヒドロゲル組成物は、前記ポリホスファゼン系高分子が1~50重量%の濃度で溶媒に溶解された溶液であってもよい。
【0038】
このとき、前記溶媒としては、水、緩衝溶液、酸性溶液、塩基性溶液、塩溶液、生理食塩水、注射用水、細胞培養液及びグルコース食塩液からなる群から選択された1種以上を用いることができるが、これに限定されない。
【0039】
例えば、本発明の可逆的ゾル-ゲル転移特性が変化した感温性ヒドロゲル組成物は、5~70℃の範囲でゾル-ゲル挙動を示し、あらかじめ定められた所定の温度でヒドロゲルを形成することができる。
【0040】
さらに、本発明の可逆的ゾル-ゲル転移特性が変化した感温性ヒドロゲル組成物は、生体に適用時又は生体外の環境でゲル化するが、あらかじめ定められた所定の温度で感温性を喪失して温度の変化に関係なくゲル状態を維持するように考案されたものであってもよい。
【0041】
また、本発明は、下記化学式1で表されるポリホスファゼン骨格のリン原子上に、下記化学式2で表されるアミノ酸エステル第1モイエティ;下記化学式3で表されるポリエチレングリコール第2モイエティ;及び末端に機能性モイエティの導入のための官能基を含む第3モイエティ;をそれぞれa:b:cの割合で含む、ポリホスファゼン系高分子を含む組織再生用組成物を提供する:
【0042】
【化4】
【0043】
前記化学式1~3において、
はC1-6アルキル、(C1-6アルケニル)またはC6-10アリール-C1-6アルキルであり、
は水素、メチル、イソプロピル、1-メチルプロピル、2-メチルプロピル、チオメチル、メチルチオエチル、ベンジル、ヒドロキシベンジルまたは2-インドリルメチルであり、
はC1-6アルキルであり、
nは3~100,000の整数であり、
pは1~23の整数であるが、
ポリホスファゼンの全結合部位を基準に、a+bは80~99%であり、cは1~20%であり、
i)pが1~13の場合、bは25~40%未満であり、
ii)pが14~18の場合、bは10~20%であり、
iii)pが19~23の場合、bは10~15%である。
【0044】
また、本発明は、前記ポリホスファゼン系高分子を含む組成物の組織再生用途を提供する。
【0045】
上述したように、本発明の組織再生用組成物は、生体に適用時または生体外の環境でゲル化するが、あらかじめ定められた所定の温度で感温性を失い、温度の変化に関係なくゲル状態を維持するように考案されたものであってもよい。
【0046】
また、本発明は、下記化学式1で表されるポリホスファゼン骨格のリン原子上に、下記化学式2で表されるアミノ酸エステル第1モイエティ;下記化学式3で表されるポリエチレングリコール第2モイエティ;及び末端に機能性モイエティの導入のための官能基を含む第3モイエティ;をそれぞれa:b:cの割合で含む、ポリホスファゼン系高分子及び機能性物質を含む薬物送達システムを提供する:
【0047】
【化5】
【0048】
前記化学式1~3において、
はC1-6アルキル、(C1-6アルケニル)またはC6-10アリール-C1-6アルキルであり、
は水素、メチル、イソプロピル、1-メチルプロピル、2-メチルプロピル、チオメチル、メチルチオエチル、ベンジル、ヒドロキシベンジルまたは2-インドリルメチルであり、
はC1-6アルキルであり、
nは3~100,000の整数であり、
pは1~23の整数であるが、
ポリホスファゼンの全結合部位を基準に、a+bは80~99%であり、cは1~20%であり、
i)pが1~13の場合、bは25~40%未満であり、
ii)pが14~18の場合、bは10~20%であり、
iii)pが19~23の場合、bは10~15%である。
【0049】
例えば、本発明の薬物送達システムは、機能性物質として、薬物、細胞、ナノ粒子、マイクロ粒子、生理活性物質、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。
【0050】
前記機能性物質は、前骨芽細胞(preosteoblast)、軟骨細胞(chondrocyte)、新生血管細胞(umbilical vein endothelial cell、UVEC)、骨芽細胞(osteoblast)、成体幹細胞(adult stem cell)、シュワン細胞(schwann cell)、乏突起膠細胞(oligodendrocyte)、肝細胞(hepatocyte)、壁細胞(mural cell:UVECと組み合わせて治療)、筋芽細胞(myoblast)、インスリン分泌細胞、内皮細胞(endothelial cell)、平滑筋細胞(smooth nuscle cell))、線維芽細胞(fibroblast)、ベータ細胞(β cell)、内胚葉細胞(endodermal cell)、肝幹細胞(hepatic stem cell)、傍糸球体細胞(juxraglomerular cell)、骨格筋細胞(skeletal muscle cell)、角質細胞(keratinocyte)、メラニン細胞(melanocyte)、ランゲルハンス細胞(langerhans cell)、メルケル細胞(merkel cell)、真皮線維芽細胞(dermal fibroblast)、及び脂肪前駆細胞(preadipocyte)などの細胞;短い干渉リボ核酸(samll interfernce RNA; siRNA)、プラスミドデオキシリボ核酸(plasmid DNA)及びアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチド(antisense oligodeoxynucleotide; AS-ODN)などの遺伝子;エキセンジン-4、エリスロポエチン、インターフェロン-アルファ、インテフェロン-ベータ、インターフェロン-ガンマ、成長ホルモン、成長ホルモン放出因子、神経成長因子、G-CSF(granulocyte-colony stimulating factor)、GM-CSF(granulocyte macrophage-colony stimulating factor)、M-CSF(macrophage-colony stimulating factor)、血液凝固因子、インスリン、オキシトシン、バソプレシン、副腎皮質刺激ホルモン、線維芽細胞成長因子、表皮成長因子、血小板由来成長因子、インスリン様成長因子、血管内皮成長因子、転換成長因子、脳神経成長因子、ニューロトロフィン-3(neurotrophin-3、NT-3)、ニューロトロフィン-4/5、プロラクチン、ルリベリン、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)、LHRH作用剤、LHRH拮抗剤、成長ホルモン放出抑制因子(somatostatin)、グルカゴン、インターロイキン-2(IL-2)、インターロイキン-11(IL-11)、ガストリン、テトラガストリン、ペンタガストリン、ウロガストロン、セクレチン、カルシトニン、エンケファリン、エンドルフィン、アンギオテンシン、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン、腫瘍壊死因子、腫瘍壊死因子関連アポトーシス誘発リガンド、ヘパリン分解酵素、骨形成タンパク質、hANP(human atrial natriuretic peptide)、グルカゴン様ペプチド、レニン(renin)、ブラジキニン、バシトラシン、ポリミキシン、コリスチン、チロシジン、グラミシジン、シクロスポリン、ニューロテンシン、タキキニン、ニューロペプチドY、ペプチドYY、 血管活性腸内ポリペプチド、下垂体アデニル酸シクラーゼ活性ポリペプチド、及びそれらに対する特異的な抗体、酵素及び/またはサイトカイン類などのタンパク質、ペプチドまたはポリペプチド;肝炎ワクチンなどのワクチン;テストステロン(testosterone)、エストラジオール(estradiol)、プロゲステロン(progesterone)、及びプロスタグランジン(prostaglandins)などのホルモン;パクリタキセル(paclitaxel)、ドキソルビシン(doxorubicin)、5-フルオロウラシル(5-fluorouracil)、シスプラチン(cisplatin)、カルボプラチン(carboplatin)、オキサリプラチン(oxaliplatin)、テガフール(tegafur)、イリノテカン(irinotecan)、ドセタキセル(docetaxel)、シクロホスファミド(cyclophosphamide)、ゲムシタビン(cemcitabine)、イホスファミド(ifosfamide)、マイトマイシンC(mitomycin C)、ビンクリスチン(vincristine)、エトポシド(etoposide)、メトトレキサート(methotrexate)、トポテカン(topotecan)、タモキシフェン(tamoxifen)、ビノレルビン(vinorelbine)、カンプトテシン(camptothecin)、ダウノルビシン(danuorubicin)、クロラムブシル(chlorambucil)、ブリオスタチン-1(bryostatin-1)、カリケアミシン(calicheamicin)、メイタンシン(mayatansine)、レバミソール(levamisole)、DNA組換えインターフェロンα-2a(DNA recombinant interferon alfa-2a)、ミトサントロン(mitoxantrone)、ニムスチン(nimustine)、インターフェロンα-2a(interferon alfa-2a)、ドキシフルリジン(doxifluridine)、ホルメスタン(formestane)、ロイプロリドアセテート(leuprolide acetate)、メゲストロールアセテート(megestrol acetate)、カルモフール(carmofur)、テニポシド(teniposide)、ブレオマイシン(bleomycin)、カルムスチン(carmustine)、ヘプタプラチン(heptaplatin)、エキセメスタン(exemestane)、アナストロゾール(anastrozole)、エストラムスチン(estramustine)、カペシタビン(capecitabine)、ゴセレリンアセテート(goserelin acetate)、ポリサッカリドカリウム(polysaccharide potassium)、メドロキシプロゲステロンアセテート(medroxypogesterone acetate)、エピルビシン(epirubicin)、レトロゾール(letrozole)、ピラルビシン(pirarubicin)、トポテカン(topotecan)、アルトレタミン(altretamine)、トレミフェンシトレート(toremifene citrate)、BCNU、タキソテール(taxotere)、アクチノマイシンD(actinomycin D)、アナストロゾール(Anasterozole)、ベロテカン(Belotecan)、イマチニブ(Imatinib)、フロキシウリジン(Floxuridine)、ゲムシタビン(Gemcitabine)、ヒドロキシウレア(Hydroxyurea)、ゾレドロネート(Zoledronate)、フルタミド(Flutamide)、バルルビシン(Valrubicin)、ストレプトゾシン(Streptozocin)及びこれらのポリエチレングリコール結合抗がん剤などの抗がん剤; クロドロネート(Clodronate)、6-デオキシ-6-デメチル-4-デジメチルアミノテトラサイクリン(6-deoxy-6-demethyl-4-dedimethylaminotetracycline;COL-3)、ドキシサイクリン(Doxycycline)、マリマスタット(Marimastat)、2-メトキシエストラジオール(2-Methoxyestradiol)、スクアラミン(Squalamine)、サリドマイド(Thalidomide)、TNP-470、コンブレタスタチンA4(Combretastatin A4)、ソイイソフラボン(Soy Isoflavone)、エンザスタウリン(Enzastaurin)、レビミド(Revimid)、セレコキシブ(Celecoxib)、バンデタニブ(Vandetanib)、ハロフジノン臭化水素酸塩(Halofuginone hydrobromide)、インターフェロン-アルファ、ベバシズマブ(Bevacizumab)、サメ軟骨抽出物、インターロイキン-12、血管内皮成長因子トラップ(VEFG-trap)、セツキシマブ(Cetuximab)、レビマスタト(Rebimastat)、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)阻害剤、プロテインキナーゼCベータ阻害剤(Protein kinase C beta inhibitor)、エンドスタチン(Endostatin)、バタラニブ(vatalanib)、スニチニブマレート(sunitinib malate)、シレンギチド(cilengitide)、ヒト化モノクローナル抗体、ボロシキシマブ(Volociximab)、インテグリンα-5-β-1拮抗剤などの新生血管抑制剤;またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0051】
具体的には、本発明の薬物送達システムは、重量平均分子量200~750,000の、ポリアルギニン、ポリリジン、ポリエチレングリコール、ポリエチレンイミン、キトサン、及びプロタミンからなる群から選択される1種以上のカチオン性高分子;重量平均分子量200~750,000のポリビニルアセテート、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ヘパリン及びアルギネートからなる群から選択される1種以上のアニオン性高分子;アミノ酸、ペプチド、タンパク質、脂肪酸、リン脂質、ビタミン類、ポリエチレングリコールエステル、ステロイド、アミン化合物、アクリル系共重合体、有機溶媒、保存剤、糖類、ポリオール、糖含有ポリオール、糖含有アミノ酸、界面活性剤、糖含有イオン、ケイ酸塩、金属塩及びアンモニウム塩からなる群から選択される1種以上の添加剤を、1×10-6~30重量%の量でさらに含むことができる。
【0052】
さらに、本発明は、下記化学式1で表されるポリホスファゼン骨格のリン原子上に、下記化学式2で表されるアミノ酸エステル第1モイエティ;下記化学式3で表されるポリエチレングリコール第2モイエティ;及び末端に機能性モイエティの導入のための官能基を含む第3モイエティ;をそれぞれa:b:cの割合で含む、ポリホスファゼン系高分子を含む3Dプリント用インク組成物を提供する:
【0053】
【化6】
【0054】
前記化学式1~3において、
はC1-6アルキル、(C1-6アルケニル)またはC6-10アリール-C1-6アルキルであり、
は水素、メチル、イソプロピル、1-メチルプロピル、2-メチルプロピル、チオメチル、メチルチオエチル、ベンジル、ヒドロキシベンジルまたは2-インドリルメチルであり、
はC1-6アルキルであり、
nは3~100,000の整数であり、
pは1~23の整数であるが、
ポリホスファゼンの全結合部位を基準に、a+bは80~99%であり、cは1~20%であり、
i)pが1~13の場合、bは25~40%未満であり、
ii)pが14~18の場合、bは10~20%であり、
iii)pが19~23の場合、bは10~15%である。
【0055】
また、本発明は、前記ポリホスファゼン系高分子を含む組成物の3Dプリント用インクとしての用途を提供する。
【0056】
例えば、本発明の3Dプリント用インク組成物は、常温で液体状態を維持し、感温性を失うあらかじめ定められた所定の温度以上でプリントしてゲル化し、プリントされた結果物は温度の変化に関係なくゲル状態を維持することを特徴とする。
【0057】
例えば、本発明の3Dプリント用インク組成物は、移植用生体類似体または薬物テスト用生体類似体の製造のために1種以上の細胞をさらに含むことができる。具体的には、本発明の3Dプリント用インク組成物は、上述した可逆的ゾル-ゲル転移特性が変化した感温性ヒドロゲルとしての特性を示すため、溶液状態を維持する温度で高分子溶液に使用しようとする細胞を混合して3Dプリントカートリッジに注入して所望の形態に印刷し、温度を上昇させてゲル化することにより固形化し、これを培養液に入れて培養することにより、所望の3D形態で培養することができる。本発明の具体的な実施例では、前記のように本発明の3Dプリント用インク組成物に細胞を添加して3Dプリントされた構造物を細胞培養液に培養して細胞生存率を測定したところ、21日まで長期間培養にも毒性を示すなどの副作用なしに100%に近い生存率を維持することを確認した(図4)。
【0058】
本発明の一実施形態は、〔1〕~〔17〕に示す発明でもあり得る。
〔1〕下記化学式1で表されるポリホスファゼン骨格のリン原子上に、
下記化学式2で表されるアミノ酸エステル第1モイエティ;
下記化学式3で表されるポリエチレングリコール第2モイエティ;及び
末端に機能性モイエティの導入のための官能基を含む第3モイエティ;をそれぞれa:b:cの割合で含む、
ポリホスファゼン系高分子を含む可逆的ゾル-ゲル転移特性が変化した感温性ヒドロゲル組成物:
【0059】
【化7】
【0060】
前記化学式1~3において、
はC1-6アルキル、(C1-6アルケニル)またはC6-10アリール-C1-6アルキルであり、
は水素、メチル、イソプロピル、1-メチルプロピル、2-メチルプロピル、チオメチル、メチルチオエチル、ベンジル、ヒドロキシベンジルまたは2-インドリルメチルであり、
はC1-6アルキルであり、
nは3~100,000の整数であり、
pは1~23の整数であるが、
ポリホスファゼンの全結合部位を基準に、a+bは80~99%であり、cは1~20%であり、
i)pが1~13の場合、bは25~40%未満であり、
ii)pが14~18の場合、bは10~20%であり、
iii)pが19~23の場合、bは10~15%である。
〔2〕前記第3モイエティにおいて機能性モイエティの導入のための官能基は、アミノ酸、ペプチド、デプシペプチド、デプシペプチドエステル、アミド基、アミノ基、スルフェート基、チオール基、ビニル基、アルデヒド基、アクリレート基、メタクリレート基、ヒドロキシル基及びカルボキシル基からなる群から選択される、〔1〕に記載の可逆的ゾル-ゲル転移特性が変化した感温性ヒドロゲル組成物。
〔3〕Rは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ベンジルまたは2-プロフェニルである、〔1〕または〔2〕に記載の可逆的ゾル-ゲル転移特性が変化した感温性ヒドロゲル組成物。
〔4〕Rはメチルである、〔1〕~〔3〕の何れか1つに記載の可逆的ゾル-ゲル転移特性が変化した感温性ヒドロゲル組成物。
〔5〕前記第3モイエティの一部又は全官能基に高分子の分解速度を調節できる物質、分解速度調節可能なイオン基を含む置換体、架橋結合可能な置換体、組織接合を誘導することができる追加の化合物、生理活性物質、及びそれらのうちの2つ以上の機能性物質が線状に連結されて形成された複合物質からなる群から選択される1つ以上の機能性モイエティが直接またはリンカーを介して結合された第4モイエティをさらに含む、〔1〕~〔4〕の何れか1つに記載の可逆的ゾル-ゲル転移特性が変化した感温性ヒドロゲル組成物。
〔6〕前記第4モイエティは、葉酸、ヒアルロン酸、シクロデキストリン、イミダゾール系化合物、抗がん剤、ヒスチジン、リジン、アルギニン、システイン、チオールアリールアミン、スペルミン、スペルミジン、ポリエチレンイミン、ポリヒスチジン、ポリリジン、ポリアルギニン、プロタミン、ヘパリン、キトサン、及び1~20個のアミノ酸からなるペプチドからなる群から選択される1つ以上を含む、〔5〕に記載の可逆的ゾル-ゲル転移特性が変化した感温性ヒドロゲル組成物。
〔7〕前記ポリホスファゼン系高分子が1~50重量%の濃度で溶媒に溶解したものである、〔1〕~〔6〕の何れか1つに記載の可逆的ゾル-ゲル転移特性が変化した感温性ヒドロゲル組成物。
〔8〕前記溶媒は、水、緩衝溶液、酸性溶液、塩基性溶液、塩溶液、生理食塩水、注射用水、細胞培養液及びグルコース食塩液からなる群から選択された1種以上である、〔7〕に記載の可逆的ゾル-ゲル転移特性が変化した感温性ヒドロゲル組成物。
〔9〕5~70℃の範囲でゾル-ゲル挙動を示し、あらかじめ定められた所定の温度でヒドロゲルを形成する、〔1〕~〔8〕の何れか1つに記載の可逆的ゾル-ゲル転移特性が変化した感温性ヒドロゲル組成物。
〔10〕生体に適用時または生体外の環境でゲル化するが、あらかじめ定められた所定の温度で感温性を喪失して温度の変化に関係なくゲル状態を維持するように考案されたものである、〔1〕~〔9〕の何れか1つに記載の可逆的ゾル-ゲル転移特性が変化した感温性ヒドロゲル組成物。
〔11〕下記化学式1で表されるポリホスファゼン骨格のリン原子上に、
下記化学式2で表されるアミノ酸エステル第1モイエティ;
下記化学式3で表されるポリエチレングリコール第2モイエティ;及び
末端に機能性モイエティの導入のための官能基を含む第3モイエティ;をそれぞれa:b:cの割合で含む、
ポリホスファゼン系高分子を含む組織再生用組成物:
【0061】
【化8】
【0062】
前記化学式1~3において、
はC1-6アルキル、(C1-6アルケニル)またはC6-10アリール-C1-6アルキルであり、
は水素、メチル、イソプロピル、1-メチルプロピル、2-メチルプロピル、チオメチル、メチルチオエチル、ベンジル、ヒドロキシベンジルまたは2-インドリルメチルであり、
はC1-6アルキルであり、
nは3~100,000の整数であり、
pは1~23の整数であるが、
ポリホスファゼンの全結合部位を基準に、a+bは80~99%であり、cは1~20%であり、
i)pが1~13の場合、bは25~40%未満であり、
ii)pが14~18の場合、bは10~20%であり、
iii)pが19~23の場合、bは10~15%である。
〔12〕生体に適用時または生体外の環境でゲル化するが、あらかじめ定められた所定の温度で感温性を喪失し、温度の変化に関係なくゲル状態を維持するように考案されたものである、〔11〕に記載の組織再生用組成物。
〔13〕下記化学式1で表されるポリホスファゼン骨格のリン原子上に、
下記化学式2で表されるアミノ酸エステル第1モイエティ;
下記化学式3で表されるポリエチレングリコール第2モイエティ;及び
末端に機能性モイエティの導入のための官能基を含む第3モイエティ;をそれぞれa:b:cの割合で含む、
ポリホスファゼン系高分子及び機能性物質を含む薬物送達システム:
【0063】
【化9】
【0064】
前記化学式1~3において、
はC1-6アルキル、(C1-6アルケニル)またはC6-10アリール-C1-6アルキルであり、
は水素、メチル、イソプロピル、1-メチルプロピル、2-メチルプロピル、チオメチル、メチルチオエチル、ベンジル、ヒドロキシベンジルまたは2-インドリルメチルであり、
はC1-6アルキルであり、
nは3~100,000の整数であり、
pは1~23の整数であるが、
ポリホスファゼンの全結合部位を基準に、a+bは80~99%であり、cは1~20%であり、
i)pが1~13の場合、bは25~40%未満であり、
ii)pが14~18の場合、bは10~20%であり、
iii)pが19~23の場合、bは10~15%である。
〔14〕前記機能性物質は、薬物、細胞、ナノ粒子、マイクロ粒子、生理活性物質またはそれらの組み合わせである、〔13〕に記載の薬物送達システム。
〔15〕下記化学式1で表されるポリホスファゼン骨格のリン原子上に、
下記化学式2で表されるアミノ酸エステル第1モイエティ;
下記化学式3で表されるポリエチレングリコール第2モイエティ;及び
末端に機能性モイエティの導入のための官能基を含む第3モイエティ;をそれぞれa:b:cの割合で含む、
ポリホスファゼン系高分子を含む3Dプリント用インク組成物:
【0065】
【化10】
【0066】
前記化学式1~3において、
はC1-6アルキル、(C1-6アルケニル)またはC6-10アリール-C1-6アルキルであり、
は水素、メチル、イソプロピル、1-メチルプロピル、2-メチルプロピル、チオメチル、メチルチオエチル、ベンジル、ヒドロキシベンジルまたは2-インドリルメチルであり、
はC1-6アルキルであり、
nは3~100,000の整数であり、
pは1~23の整数であるが、
ポリホスファゼンの全結合部位を基準に、a+bは80~99%であり、cは1~20%であり、
i)pが1~13の場合、bは25~40%未満であり、
ii)pが14~18の場合、bは10~20%であり、
iii)pが19~23の場合、bは10~15%である。
〔16〕常温で液体状態を維持し、感温性を喪失するあらかじめ定められた所定の温度以上でプリントしてゲル化し、プリントされた結果物は温度の変化に関係なくゲル状態を維持するものである、〔15〕に記載の3Dプリント用インク組成物。
〔17〕移植用生体類似体または薬物テスト用生体類似体の製造のために1種以上の細胞をさらに含む、〔15〕または〔16〕に記載の3Dプリント用インク組成物。
【0067】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。これらの実施例は、もっぱら本発明をより具体的に説明するためのものであり、本発明の範囲がこれらの実施例により限定されるものではない。
【実施例0068】
<化合物の同定>
以下の実施例において、合成された高分子を同定するために韓国科学技術院特性分析センターのPerkin-Elmer社のC、H、N分析器で炭素、水素及び窒素元素分析を行った。また、Varian Gemini-300で水素及びリン核磁気共鳴スペクトルを、Waters 1515ポンプ及び2410示差屈折計ゲル浸透クロマトグラフィーで重量平均分子量(Mw)を測定した。
【0069】
[実施例1:ポリ[(イソロイシンエチルエステル)1.19(アミノメトキシポリエチレングリコール550)0.79(エチル-2-(O-グリシル)ラクテート)0.02ホスファゼン]nの製造]
乾燥イソロイシンエチルエステル塩酸塩(IleOEt.HCl,20.09g)をトリエチルアミンが含まれた無水テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran;THF)に溶解させた。前記溶液にポリジクロロホスファゼン(10g)を無水テトラヒドロフランに溶解した溶液をドライアイス-アセトン重湯で滴加した後、徐々に40~50℃まで温度を上げて24時間反応させた。反応物を室温に冷却した後、乾燥エチル-2-(O-グリシル)ラクテートアンモニウムシュウ酸塩(0.52g)をトリエチルアミンが添加された無水アセトニトリルを加え、前記反応物に添加し、40~50℃で24時間反応させた。
【0070】
反応物を室温に冷却した後、無水THFに乾燥させた分子量550のポリエチレングリコール(37.49g)を溶解させ、トリエチルアミンを添加した溶液を前記反応物に添加し、40~50℃まで温度を上げて24時間反応させた。
【0071】
前記反応が完了した溶液を濾過して生成されたトリエチルアミン塩酸塩を除去し、反応濾液を少量の溶媒のみ残るまで減圧濃縮した。前記濃縮液を無水THFに溶解した後、過量のヘキサンを加えて沈殿を誘導した。前記過程を2~3回繰り返した後、沈殿物を再び少量のメタノールに溶かした後、MWCO 12000メンブレン(Spectrum Laboratories、Inc.)に入れ、室温で4日間メタノールで透析し、4日間蒸留水で透析した後、低温乾燥してイソロイシンエチルエステル、アミノメトキシポリエチレングリコール及びエチル-2-(O-グリシル)ラクテートを含むポリホスファゼン高分子[NP(IleOEt)1.19(AMPEG550)0.79(GlyLacOEt)0.02]nを得た。
【0072】
水素核磁気共鳴スペクトル(CDCl3,ppm):
δ0.8-1.1(b,-NHCH(CH(CH 3)CH2 CH 3)COOCH2CH3),
δ1.1-1.4(b,-NHCH(CH(CH3)CH 2CH3)COOCH2 CH 3),
δ1.3-1.5(b,-NHCH2COOCH(CH3)COOCH2CH 3),
δ1.4-1.8(b,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH2CH3),
δ1.6-1.7(b,-NHCH2COOCH(CH 3)COOCH2CH3),
δ2.67-3.2(b,-NH(CH2CH2O)11 CH 3),
δ3.4(s,-NH(CH2CH2O)11 CH 3),
δ3.4-3.9(b,-NH(CH 2 CH 2O)11CH3,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH2CH3),
δ3.9-4.3(b,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH 2CH3),
δ4.0-4.4(b,-NHCH 2COOCH(CH3)COOCH 2CH3),
δ5.2-5.4(b,-NHCH2COOCH(CH3)COOCH2CH3),
平均分子量(Mw):23,000
[実施例2:ポリ[(イソロイシンエチルエステル)1.56(アミノメトキシポリエチレングリコール750)0.39(エチル-2-(O-グリシル)ラクテート)0.05ホスファゼン]nの製造]
実施例1と同様な方法でイソロイシンエチルエステル塩酸塩(26.34g)、ポリジクロロホスファゼン(10g)、エチル-2-(O-グリシル)ラクテートシュウ酸アン
モニウム(52g)、及び分子量750のポリエチレングリコール(25.23g)を用いて最終生成物である[NP(IleOEt)1.56(AMPEG750)0.39(GlyLacOEt)0.05]nを得た。
【0073】
水素核磁気共鳴スペクトル(CDCl3,ppm):
δ0.8-1.1(b,-NHCH(CH(CH 3)CH2 CH 3)COOCH2CH3),
δ1.1-1.4(b,-NHCH(CH(CH3)CH 2CH3)COOCH2 CH 3),
δ1.3-1.5(b,-NHCH2COOCH(CH3)COOCH2CH 3),
δ1.4-1.8(b,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH2CH3),
δ1.6-1.7(b,-NHCH2COOCH(CH 3)COOCH2CH3),
δ2.67-3.2(b,-NH(CH2CH2O)11 CH 3),
δ3.4(s,-NH(CH2CH2O)16 CH 3),
δ3.4-3.9(b,-NH(CH 2 CH 2O)16CH3,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH2CH3),
δ3.9-4.3(b,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH 2CH3),
δ4.0-4.4(b,-NHCH 2COOCH(CH3)COOCH 2CH3),
δ5.2-5.4(b,-NHCH2COOCH(CH3)COOCH2CH3),
平均分子量(Mw):19,000
[実施例3:ポリ[(イソロイシンエチルエステル)1.77(アミノメトキシポリエチレングリコール1000)0.21(エチル-2-(O-グリシル)ラクテート)0.02ホスファゼン]nの製造]
実施例1と同様な方法でイソロイシンエチルエステル塩酸塩(29.88g)、ポリジクロロホスファゼン(10g)、エチル-2-(O-グリシル)ラクテートシュウ酸アンモニウム(52g)、及び分子量1000のポリエチレングリコール(18.12g)を用いて最終生成物である[NP(IleOEt)1.77(AMPEG1000)0.21(GlyLacOEt)0.02]nを得た。
【0074】
水素核磁気共鳴スペクトル(CDCl3,ppm):
δ0.8-1.1(b,-NHCH(CH(CH 3)CH2 CH 3)COOCH2CH3),
δ1.1-1.4(b,-NHCH(CH(CH3)CH 2CH3)COOCH2 CH 3),
δ1.3-1.5(b,-NHCH2COOCH(CH3)COOCH2 CH 3),
δ1.4-1.8(b,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH2CH3),
δ1.6-1.7(b,-NHCH2COOCH(CH 3)COOCH2CH3),
δ2.67-3.2(b,-NH(CH2CH2O)20 CH 3),
δ3.4(s,-NH(CH2CH2O)20 CH 3),
δ3.4-3.9(b,-NH(CH 2 CH 2O)20CH3,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH2CH3),
δ3.9-4.3(b,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH 2CH3),
δ4.0-4.4(b,-NHCH 2COOCH(CH3)COOCH 2CH3),
δ5.2-5.4(b,-NHCH2COOCH(CH3)COOCH2CH3),
平均分子量(Mw):48,000
[実施例4:ポリ[(イソロイシンエチルエステル)1.29(アミノメトキシポリエチレングリコール550)0.50(アミノエタノール)0.21ホスファゼン]nの製造]
イソロイシンエチルエステル塩酸塩(21.61g)、ポリジクロロホスファゼン(10g)、アミノエタノール(1.21g)、及び分子量550のポリエチレングリコール(23.25g)を使用するが、アミノエタノールを添加するとき、無水アセドニトリルの代わりにTHFを使用した以外は、前記実施例1と同様な方法で反応させて最終生成物である[NP(IleOEt)1.29(AMPEG550)0.50(Aminoethanol)0.21]nを得た。
【0075】
水素核磁気共鳴スペクトル(CDCl3,ppm):
δ0.8-1.1(b,-NHCH(CH(CH 3)CH2 CH 3)COOCH2CH3),
δ1.1-1.4(b,-NHCH(CH(CH3)CH 2CH3)COOCH2 CH 3),
δ1.4-1.8(b,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH2CH3),
δ2.67-3.2(b,-NHCH2 CH 2OH,-NH(CH2CH2O)11 CH 3),
δ2.9-3.2(b,-NHCH2CH2OCOCH2 CH 2COOH),
δ3.4(s,-NH(CH2CH2O)11 CH 3),
δ3.4-3.9(b,-NH(CH 2 CH 2O)11CH3,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH2CH3),
δ3.9-4.3(b,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH 2CH3),
平均分子量(Mw):8,800
[実施例5:ポリ[(イソロイシンエチルエステル)1.45(アミノメトキシポリエチレングリコール750)0.32(アミノエタノール)0.23ホスファゼン]nの製造]
イソロイシンエチルエステル塩酸塩(24.48g)、ポリジクロロホスファゼン(10g)、アミノエタノール(1.21g)、及び分子量750のポリエチレングリコール(20.70g)を使用するが、アミノエタノールを添加するとき、無水アセドニトリルの代わりにTHFを使用した以外は、前記実施例1と同様な方法で反応させて最終生成物である[NP(IleOEt)1.45(AMPEG750)0.32(Aminoethanol)0.23]nを得た。
【0076】
水素核磁気共鳴スペクトル(CDCl3,ppm):
δ0.8-1.1(b,-NHCH(CH(CH 3)CH2 CH 3)COOCH2CH3),
δ1.1-1.4(b,-NHCH(CH(CH3)CH 2CH3)COOCH2 CH 3),
δ1.4-1.8(b,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH2CH3),
δ2.67-3.2(b,-NHCH2 CH 2OH,-NH(CH2CH2O)16 CH 3),
δ2.9-3.2(b,-NHCH2CH2OCOCH2 CH 2COOH),
δ3.4(s,-NH(CH2CH2O)16 CH 3),
δ3.4-3.9(b,-NH(CH 2 CH 2O)16CH3,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH2CH3),
δ3.9-4.3(b,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH 2CH3),
平均分子量(Mw):7,900
[実施例6:ポリ[(イソロイシンエチルエステル)1.70(アミノメトキシポリエチレングリコール1000)0.20(アミノエタノール)0.10ホスファゼン]nの製造]
イソロイシンエチルエステル塩酸塩(28.70g)、ポリジクロロホスファゼン(10g)、アミノエタノール(0.52g)、及び分子量1000のポリエチレングリコール(17.25g)を使用するが、アミノエタノールを添加するとき、無水アセドニトリルの代わりにTHFを使用した以外は、前記実施例1と同様な方法で反応させて最終生成物である[NP(IleOEt)1.70(AMPEG1000)0.20(Aminoethanol)0.10]nを得た。
【0077】
水素核磁気共鳴スペクトル(CDCl3,ppm):
δ0.8-1.1(b,-NHCH(CH(CH 3)CH2 CH 3)COOCH2CH3),
δ1.1-1.4(b,-NHCH(CH(CH3)CH 2CH3)COOCH2 CH 3),
δ1.4-1.8(b,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH2CH3),
δ2.67-3.2(b,-NHCH2 CH 2OH,-NH(CH2CH2O)20 CH 3),
δ2.9-3.2(b,-NHCH2CH2OCOCH2 CH 2COOH),
δ3.4(s,-NH(CH2CH2O)20 CH 3),
δ3.4-3.9(b,-NH(CH 2 CH 2O)20CH3,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH2CH3),
δ3.9-4.3(b,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH 2CH3),
平均分子量(Mw):14,000
[実施例7:ポリ[(イソロイシンエチルエステル)1.21(アミノメトキシポリエチレングリコール550)0.61(アミノエチルコハク酸)0.18ホスファゼン]nの製造]
実施例4と同様な方法でイソロイシンエチルエステル塩酸塩(20.43g)、ポリジクロロホスファゼン(10g)、アミノエタノール(0.94g)、分子量550のポリエチレングリコール(28.94g)、無水コハク酸(4.00g)及びジメチルアミノピリジン(4.00g)を用いて最終生成物である[NP(IleOEt)1.21(AMPEG550)0.61(Aminoethylsuccinate)0.18]nを得た。
【0078】
水素核磁気共鳴スペクトル(CDCl3,ppm):
δ0.8-1.1(b,-NHCH(CH(CH 3)CH2 CH 3)COOCH2CH3),
δ1.1-1.4(b,-NHCH(CH(CH3)CH 2CH3)COOCH2 CH 3),
δ1.4-1.8(b,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH2CH3),
δ2.5-2.7(b,-NHCH2CH2OCOCH 2CH2COOH),
δ2.67-3.2(b,-NHCH2 CH 2OH,-NH(CH2CH2O)11 CH 3),
δ2.9-3.2(b,-NHCH2CH2OCOCH2 CH 2COOH),
δ3.4(s,-NH(CH2CH2O)11 CH 3),
δ3.4-3.9(b,-NH(CH 2 CH 2O)11CH3,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH2CH3),
δ3.9-4.3(b,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH 2CH3,-NHCH2 CH 2OCOCH2CH2COOH),
平均分子量(Mw):8,400
[実施例8:ポリ[(イソロイシンエチルエステル)1.48(アミノメトキシポリエチレングリコール750)0.33(アミノエチルコハク酸)0.19ホスファゼン]nの製造]
実施例7と同様な方法でイソロイシンエチルエステル塩酸塩(24.99g)、ポリジクロロホスファゼン(10g)、アミノエタノール(1.00g)、分子量750のポリエチレングリコール(21.35g)、無水コハク酸(4.00g)及びジメチルアミノピリジン(4.00g)を用いて最終生成物である[NP(IleOEt)1.48(AMPEG750)0.33(Aminoethylsuccinate)0.19]nを得た。
【0079】
水素核磁気共鳴スペクトル(CDCl3,ppm):
δ0.8-1.1(b,-NHCH(CH(CH 3)CH2 CH 3)COOCH2CH3),
δ1.1-1.4(b,-NHCH(CH(CH3)CH 2CH3)COOCH2 CH 3),
δ1.4-1.8(b,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH2CH3),
δ2.5-2.7(b,-NHCH2CH2OCOCH 2CH2COOH),
δ2.67-3.2(b,-NHCH2 CH 2OH,-NH(CH2CH2O)16 CH 3),
δ2.9-3.2(b,-NHCH2CH2OCOCH2 CH 2COOH),
δ3.4(s,-NH(CH2CH2O)16 CH 3),
δ3.4-3.9(b,-NH(CH 2 CH 2O)16CH3,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH2CH3),
δ3.9-4.3(b,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH 2CH3,-NHCH2 CH 2OCOCH2CH2COOH),
平均分子量(Mw):6,700
[実施例9:ポリ[(イソロイシンエチルエステル)1.70(アミノメトキシポリエチレングリコール1000)0.20(アミノエチルコハク酸)0.10ホスファゼン]nの製造]
実施例7と同様な方法でイソロイシンエチルエステル塩酸塩(28.70g)、ポリジクロロホスファゼン(10g)、アミノエタノール(0.52g)、分子量1000のポリエチレングリコール(17.25g)、無水コハク酸(4.00g)及びジメチルアミノピリジン(4.00g)を用いて最終生成物である[NP(IleOEt)1.70(AMPEG1000)0.20(Aminoethylsuccinate)0.10]nを得た。
【0080】
水素核磁気共鳴スペクトル(CDCl3,ppm):
δ0.8-1.1(b,-NHCH(CH(CH 3)CH2 CH 3)COOCH2CH3),
δ1.1-1.4(b,-NHCH(CH(CH3)CH 2CH3)COOCH2 CH 3),
δ1.4-1.8(b,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH2CH3),
δ2.5-2.7(b,-NHCH2CH2OCOCH 2CH2COOH),
δ2.67-3.2(b,-NHCH2 CH 2OH,-NH(CH2CH2O)20 CH 3),
δ2.9-3.2(b,-NHCH2CH2OCOCH2 CH 2COOH),
δ3.4(s,-NH(CH2CH2O)20 CH 3),
δ3.4-3.9(b,-NH(CH 2 CH 2O)20CH3,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH2CH3),
δ3.9-4.3(b,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH 2CH3,-NHCH2 CH 2OCOCH2CH2COOH),
平均分子量(Mw):14,600
[実施例10:ポリ[(イソロイシンエチルエステル)1.23(アミノメトキシポリエチレングリコール550)0.68(アミノエチルグルタレート)0.09ホスファゼン]nの製造]
実施例7と同様な方法でイソロイシンエチルエステル塩酸塩(20.76g)、ポリジクロロホスファゼン(10g)、アミノエタノール(0.47g)、分子量550のポリエチレングリコール(32.27g)、無水グルタル酸(8.00g)及びジメチルアミノピリジン(8.00g)を用いて最終生成物である[NP(IleOEt)1.23(AMPEG550)0.68(AminoethylGlutarate)0.09]nを得た。
【0081】
水素核磁気共鳴スペクトル(CDCl3,ppm):
δ0.8-1.1(b,-NHCH(CH(CH 3)CH2 CH 3)COOCH2CH3),
δ1.1-1.4(b,-NHCH(CH(CH3)CH 2CH3)COOCH2 CH 3),
δ1.4-1.8(b,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH2CH3),
δ2.1-2.32(b,-NHCH2CH2OCOCH 2 CH 2CH2COOH),
δ2.67-3.2(b,-NHCH2 CH 2OH,-NH(CH2CH2O)11 CH 3),
δ2.9-3.2(b,-NHCH2CH2OCOCH2CH2 CH 2COOH),
δ3.4(s,-NH(CH2CH2O)11 CH 3),
δ3.4-3.9(b,-NH(CH 2 CH 2O)11CH3,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH2CH3),
δ3.9-4.3(b,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH 2CH3,-NHCH2 CH 2OCOCH2CH2CH2COOH),
平均分子量(Mw):8,400
[実施例11:ポリ[(イソロイシンエチルエステル)1.38(アミノメトキシポリエチレングリコール750)0.38(アミノエチルグルタレート)0.24ホスファゼン]nの製造]
実施例10と同様な方法でイソロイシンエチルエステル塩酸塩(23.30g)、ポリジクロロホスファゼン(10g)、アミノエタノール(1.26g)、分子量750のポリエチレングリコール(24.59g)、無水グルタル酸(8.00g)及びジメチルアミノピリジン(8.00g)を用いて最終生成物である[NP(IleOEt)1.38(AMPEG750)0.38(AminoethylGlutarate)0.24]nを得た。
【0082】
水素核磁気共鳴スペクトル(CDCl3,ppm):
δ0.8-1.1(b,-NHCH(CH(CH 3)CH2 CH 3)COOCH2CH3),
δ1.1-1.4(b,-NHCH(CH(CH3)CH 2CH3)COOCH2 CH 3),
δ1.4-1.8(b,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH2CH3),
δ2.1-2.32(b,-NHCH2CH2OCOCH 2 CH 2CH2COOH),
δ2.67-3.2(b,-NHCH2 CH 2OH,-NH(CH2CH2O)16 CH 3),
δ2.9-3.2(b,-NHCH2CH2OCOCH2CH2 CH 2COOH),
δ3.4(s,-NH(CH2CH2O)16 CH 3),
δ3.4-3.9(b,-NH(CH 2 CH 2O)16CH3,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH2CH3),
δ3.9-4.3(b,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH 2CH3,-NHCH2 CH 2OCOCH2CH2CH2COOH),
平均分子量(Mw):9,400
[実施例12:ポリ[(イソロイシンエチルエステル)1.61(アミノメトキシポリエチレングリコール1000)0.22(アミノエチルグルタレート)0.17ホスファゼン]nの製造]
実施例10と同様な方法でイソロイシンエチルエステル塩酸塩(27.18g)、ポリジクロロホスファゼン(10g)、アミノエタノール(0.89g)、分子量1000のポリエチレングリコール(18.98g)、無水グルタル酸(8.00g)及びジメチルアミノピリジン(8.00g)を用いて最終生成物である[NP(IleOEt)1.61(AMPEG1000)0. 22(AminoethylGlutarate)0.17]nを得た。
【0083】
水素核磁気共鳴スペクトル(CDCl3,ppm):
δ0.8-1.1(b,-NHCH(CH(CH 3)CH2 CH 3)COOCH2CH3),
δ1.1-1.4(b,-NHCH(CH(CH3)CH 2CH3)COOCH2 CH 3),
δ1.4-1.8(b,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH2CH3),
δ2.1-2.32(b,-NHCH2CH2OCOCH 2 CH 2CH2COOH),
δ2.67-3.2(b,-NHCH2 CH 2OH,-NH(CH2CH2O)20 CH 3),
δ2.9-3.2(b,-NHCH2CH2OCOCH2CH2 CH 2COOH),
δ3.4(s,-NH(CH2CH2O)20 CH 3),
δ3.4-3.9(b,-NH(CH 2 CH 2O)20CH3,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH2CH3),
δ3.9-4.3(b,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH 2CH3,-NHCH2 CH 2OCOCH2CH2CH2COOH),
平均分子量(Mw):17,500
[実施例13:ポリ[(イソロイシンエチルエステル)1.48(アミノメトキシポリエチレングリコール750)0.34(アミノエチルグルタレートベータシクロデキストリン)0.18ホスファゼン]nの製造]
実施例10と同様な方法でイソロイシンエチルエステル塩酸塩(24.99g)、ポリジクロロホスファゼン(10g)、アミノエタノール(0.94g)、分子量750のポリエチレングリコール(22.00g)、無水グルタル酸(8.00g)及びジメチルアミノピリジン(8.00g)を使用して高分子を得た後、さらにアミノベータシクロデキストリン(10g)を添加して反応させて最終生成物である[NP(IleOEt)1.48(AMPEG750)0.34(AminoethylGlutaricBeta-CD)0.18]nを得た。
【0084】
水素核磁気共鳴スペクトル(CDCl3,ppm):
δ0.8-1.1(b,-NHCH(CH(CH 3)CH2 CH 3)COOCH2CH3),
δ1.1-1.4(b,-NHCH(CH(CH3)CH 2CH3)COOCH2 CH 3),
δ1.4-1.8(b,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH2CH3),
δ2.1-2.32(b,-NHCH2CH2OCOCH 2 CH 2CH2COOH),
δ2.67-3.2(b,-NHCH2 CH 2OH,-NH(CH2CH2O)16 CH 3),
δ2.9-3.2(b,-NHCH2CH2OCOCH2CH2 CH 2COOH),
δ3.4(s,-NH(CH2CH2O)16 CH 3),
δ3.4-3.9(b,-NH(CH 2 CH 2O)16CH3,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH2CH3),
δ3.9-4.3(b,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH 2CH3,-NHCH2 CH 2OCOCH2CH2CH2COOH),
δ4.7-4.8(b,-NHCH2 Beta-cyclodextrin),
平均分子量(Mw):7,500
[実施例14:ポリ[(イソロイシンエチルエステル)1.51(アミノメトキシポリエチレングリコール750)0.25(アミノエチルアジペート)0.24ホスファゼン]nの製造]
実施例10と同様な方法でイソロイシンエチルエステル塩酸塩(25.49g)、ポリジクロロホスファゼン(10g)、アミノエタノール(1.26g)、分子量750のポリエチレングリコール(22.00g)、無水アジピン酸(7.00g)及びジメチルアミノピリジン(7.00g)を用いて最終生成物である[NP(IleOEt)1.51(AMPEG750)0.25(AminoethylAdipate)0.24]nを得た。
【0085】
水素核磁気共鳴スペクトル(CDCl3,ppm):
δ0.8-1.1(b,-NHCH(CH(CH 3)CH2 CH 3)COOCH2CH3),
δ1.1-1.4(b,-NHCH(CH(CH3)CH 2CH3)COOCH2 CH 3),
δ1.4-1.8(b,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH2CH3),
δ1.52-1.64(b,-NHCH2CH2OCOCH2 CH 2 CH 2CH2COOH),
δ2.3-2.32(b,-NHCH2CH2OCOCH 2CH2CH2 CH 2COOH),
δ2.67-3.2(b,-NHCH2 CH 2OH,-NH(CH2CH2O)16 CH 3),
δ3.4(s,-NH(CH2CH2O)16 CH 3),
δ3.4-3.9(b,-NH(CH 2 CH 2O)16CH3,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH2CH3),
δ3.94.3(b,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH 2CH3,-NHCH2 CH 2OCOCH2CH2CH2COOH),
平均分子量(Mw):4,530
[実施例15:ポリ[(イソロイシンエチルエステル)1.18(アミノメトキシポリエチレングリコール550)0.72(アミノエチルサルフェート)0.10ホスファゼン]nの製造]
実施例10と同様な方法でイソロイシンエチルエステル塩酸塩(19.92g)、ポリジクロロホスファゼン(10g)、アミノエタノール(0.52g)、分子量550のポリエチレングリコール(34.17g)、及びスルファトリオキシドピリジン複合体(5.00g)を用いて最終生成物である[NP(IleOEt)1.18(AMPEG550)0.72(Aminoethylsulfate)0.10]nを得た。
【0086】
水素核磁気共鳴スペクトル(CDCl3,ppm):
δ0.8-1.1(b,-NHCH(CH(CH 3)CH2 CH 3)COOCH2CH3),
δ1.1-1.4(b,-NHCH(CH(CH3)CH 2CH3)COOCH2 CH 3),
δ1.4-1.8(b,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH2CH3),
δ2.67-3.2(b,-NHCH2 CH 2SO4,-NH(CH2CH2O)11 CH 3),
δ3.4(s,-NH(CH2CH2O)11 CH 3),
δ3.4-3.9(b,-NH(CH 2 CH 2O)11CH3,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH2CH3),
δ3.9-4.3(b,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH 2CH3),
平均分子量(Mw):8,600
[実施例16:ポリ[(イソロイシンエチルエステル)1.40(アミノメトキシポリエチレングリコール750)0.30(アミノエチルサルフェート)0.30ホスファゼン]nの製造]
実施例15と同様な方法でイソロイシンエチルエステル塩酸塩(23.63g)、ポリジクロロホスファゼン(10g)、アミノエタノール(1.58g)、分子量750のポリエチレングリコール(19.41g)、及びスルファトリオキシドピリジン複合体(8.00g)を用いて最終生成物である[NP(IleOEt)1.40(AMPEG750)0.30(Aminoethylsulfate)0.30]nを得た。
【0087】
水素核磁気共鳴スペクトル(CDCl3,ppm):
δ0.8-1.1(b,-NHCH(CH(CH 3)CH2 CH 3)COOCH2CH3),
δ1.1-1.4(b,-NHCH(CH(CH3)CH 2CH3)COOCH2 CH 3),
δ1.4-1.8(b,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH2CH3),
δ2.67-3.2(b,-NHCH2 CH 2SO4,-NH(CH2CH2O)16 CH 3),
δ3.4(s,-NH(CH2CH2O)16 CH 3),
δ3.4-3.9(b,-NH(CH 2 CH 2O)16CH3,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH2CH3),
δ3.9-4.3(b,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH 2CH3),
平均分子量(Mw):7,700
[実施例17:ポリ[(イソロイシンエチルエステル)1.40(アミノメトキシポリエチレングリコール750)0.30(アミノエチルメタクリレート)0.30ホスファゼン]nの製造]
実施例1と同様な方法でイソロイシンエチルエステル塩酸塩(23.63g)、ポリジクロロホスファゼン(10g)、分子量750のポリエチレングリコール(19.41g)、及びジメチルホルムアミドに溶解させたアミノメタクリレート塩化水素(3.00g)を用いて最終生成物である[NP(IleOEt)1.40(AMPEG750)0.30(AminoethylMethacrylate)0.30]nを得た。
【0088】
水素核磁気共鳴スペクトル(CDCl3,ppm):
δ0.8-1.1(b,-NHCH(CH(CH 3)CH2 CH 3)COOCH2CH3),
δ1.1-1.4(b,-NHCH(CH(CH3)CH 2CH3)COOCH2 CH 3),
δ1.4~1.8(b,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH2CH3),
δ1.9(s,-NHCH2CH2O2C(CH 3)C=CH2),
δ3.4(s,-NH(CH2CH2O)16 CH 3),
δ3.4-3.9(b,-NH(CH 2 CH 2O)16CH3,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH2CH3),
δ3.9~4.3(b,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH 2CH3),
δ5.5(s,-NHCH2CH2O2C(CH3)C=CH 2),
δ6.1(s,-NHCH2CH2O2C(CH3)C=CH 2),
平均分子量(Mw):14,500
[実施例18:ポリ[(イソロイシンエチルエステル)1.11(アミノメトキシポリエチレングリコール550)0.75(アミノエチルアクリレート)0.14ホスファゼン]nの製造]
実施例10と同様な方法でイソロイシンエチルエステル塩酸塩(18.74g)、ポリジクロロホスファゼン(10g)、アミノエタノール(0.73g)、分子量550のポリエチレングリコール(35.59g)、及びTHFに溶解したアクリル酸(3.00g)を用いて最終生成物である[NP(IleOEt)1.11(AMPEG550)0.75(AminoethylAcrylate)0.14]nを得た。
【0089】
水素核磁気共鳴スペクトル(CDCl3,ppm):
δ0.8-1.1(b,-NHCH(CH(CH 3)CH2 CH 3)COOCH2CH3),
δ1.1-1.4(b,-NHCH(CH(CH3)CH 2CH3)COOCH2 CH 3),
δ1.4~1.8(b,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH2CH3),
δ1.9(s,-NHCH2CH2O2C(CH 3)C=CH2),
δ3.4(s,-NH(CH2CH2O)11 CH 3),
δ3.4-3.9(b,-NH(CH 2 CH 2O)11CH3,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH2CH3),
δ3.9~4.3(b,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH 2CH3),
δ5.5~6.5(s,-NHCH2CH2O2 C=CH),
平均分子量(Mw):26,500
[実施例19:ポリ[(イソロイシンエチルエステル)1.55(アミノメトキシポリエチレングリコール750)0.38(アミノエチルコハク酸イミダゾール)0.07ホスファゼン]nの製造]
実施例10と同様な方法でイソロイシンエチルエステル塩酸塩(26.17g)、ポリジクロロホスファゼン(10g)、アミノエタノール(0.36g)、分子量750のポリエチレングリコール(24.59g)、無水コハク酸(4.00g)、ジメチルアミノピリジン(4.00g)、ジイソプロピルカルボイミダゾール(15.00g)、ヒドロキシスクシンイミド(15.00g)、及びTHFに溶解させた1-(3-アミノプロピルイミダゾール)(10.00g)を用いて最終生成物である[NP(IleOEt)1.55(AMPEG750)0.38(AminoethylsuccinateImidazole)0.07]nを得た。
【0090】
水素核磁気共鳴スペクトル(CDCl3,ppm):
δ0.8-1.1(b,-NHCH(CH(CH 3)CH2 CH 3)COOCH2CH3),
δ1.1-1.4(b,-NHCH(CH(CH3)CH 2CH3)COOCH2 CH 3),
δ1.4-1.8(b,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH2CH3),
δ2.5-2.7(b,-NHCH2CH2OCOCH 2CH2COOH),
δ2.67-3.2(b,-NHCH2 CH 2OH,-NH(CH2CH2O)16 CH 3),
δ2.9-3.2(b,-NHCH2CH2OCOCH2 CH 2COOH),
δ3.4(s,-NH(CH2CH2O)16 CH 3),
δ3.4-3.9(b,-NH(CH 2 CH 2O)16CH3,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH2CH3),
δ3.9-4.3(b,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH 2CH3,-NHCH2 CH 2OCOCH2CH2COOH),
δ6.8-7.8(b,-NHCH2CH2OCOCH 2CH2CONH-Imi),
平均分子量(Mw):9,700
[実施例20:ポリ[(イソロイシンエチルエステル)1.51(アミノメトキシポリエチレングリコール750)0.40(アミノエチルコハク酸ポリペプチド)0.09ホスファゼン]nの製造]
実施例10と同様な方法でイソロイシンエチルエステル塩酸塩(25.15g)、ポリジクロロホスファゼン(10g)、アミノエタノール(0.47g)、分子量750のポリエチレングリコール(27.18g)、無水コハク酸(4.00g)、ヘキシルアミン(4.00g)、及び二メチル一酸化硫黄に溶解させたポリペプチド(3.00g)を用いて最終生成物である[NP(IleOEt)1.51(AMPEG750)0.40(AminoethylsuccinateCRRRRHHHHHHGGGGGRGDS)0.09]nを得た。ポリペプチドはアミノ酸定量法を用いて定量した。
【0091】
水素核磁気共鳴スペクトル(CDCl3,ppm):
δ0.8-1.1(b,-NHCH(CH(CH 3)CH2 CH 3)COOCH2CH3),
δ1.1-1.4(b,-NHCH(CH(CH3)CH 2CH3)COOCH2 CH 3),
δ1.4-1.8(b,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH2CH3),
δ2.5-2.7(b,-NHCH2CH2OCOCH 2CH2COOH),
δ2.67-3.2(b,-NHCH2 CH 2OH,-NH(CH2CH2O)16 CH 3),
δ2.9-3.2(b,-NHCH2CH2OCOCH2 CH 2COOH),
δ3.4(s,-NH(CH2CH2O)16 CH 3),
δ3.4-3.9(b,-NH(CH 2 CH 2O)16CH3,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH2CH3),
δ3.9-4.3(b,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH 2CH3,-NHCH2 CH 2OCOCH2CH2COOH),
平均分子量(Mw):13,700
[比較例1:ポリ[(イソロイシンエチルエステル)1.12(アミノメトキシポリエチレングリコール550)0.85(エチル-2-(O-グリシル)ラクテート)0.03ホスファゼン]nの製造]
実施例1と同様な方法でイソロイシンエチルエステル塩酸塩(19.75g)、ポリジクロロホスファゼン(10g)、エチル-2-(O-グリシル)ラクテートシュウ酸アンモニウム(0.52g)、分子量550のポリエチレングリコール(37.96g)を用いて最終生成物である[NP(IleOEt)1.12(AMPEG550)0.85(GlyLacOEt)0.03]nを得た。
【0092】
水素核磁気共鳴スペクトル(CDCl3,ppm):
δ0.8-1.1(b,-NHCH(CH(CH 3)CH2 CH 3)COOCH2CH3),
δ1.1-1.4(b,-NHCH(CH(CH3)CH 2CH3)COOCH2 CH 3),
δ1.3-1.5(b,-NHCH2COOCH(CH3)COOCH2CH 3),
δ1.4-1.8(b,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH2CH3),
δ1.6-1.7(b,-NHCH2COOCH(CH 3)COOCH2CH3),
δ2.67-3.2(b,-NH(CH2CH2O)11 CH 3),
δ3.4(s,-NH(CH2CH2O)11 CH 3),
δ3.4-3.9(b,-NH(CH 2 CH 2O)11CH3,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH2CH3),
δ3.9-4.3(b,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH 2CH3),
δ4.0-4.4(b,-NHCH 2COOCH(CH3)COOCH 2CH3),
δ5.2-5.4(b,-NHCH2COOCH(CH3)COOCH2CH3),
平均分子量(Mw):69,000
[比較例2:ポリ[(イソロイシンエチルエステル)1.32(アミノメトキシポリエチレングリコール750)0.65(エチル-2-(O-グリシル)ラクテート)0.03ホスファゼン]nの製造]
実施例1と同様な方法でイソロイシンエチルエステル塩酸塩(22.28g)、ポリジクロロホスファゼン(10g)、エチル-2-(O-グリシル)ラクテートシュウ酸アンモニウム(0.52g)、分子量750のポリエチレングリコール(42.06g)を用いて最終生成物である[NP(IleOEt)1.32(AMPEG750)0.65(GlyLacOEt)0.03]nを得た。
【0093】
水素核磁気共鳴スペクトル(CDCl3,ppm):
δ0.8-1.1(b,-NHCH(CH(CH 3)CH2 CH 3)COOCH2CH3),
δ1.1-1.4(b,-NHCH(CH(CH3)CH 2CH3)COOCH2 CH 3),
δ1.3-1.5(b,-NHCH2COOCH(CH3)COOCH2CH 3),
δ1.4-1.8(b,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH2CH3),
δ1.6-1.7(b,-NHCH2COOCH(CH 3)COOCH2CH3),
δ2.67-3.2(b,-NH(CH2CH2O)16 CH 3),
δ3.4(s,-NH(CH2CH2O)16 CH 3),
δ3.4-3.9(b,-NH(CH 2 CH 2O)16CH3,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH2CH3),
δ3.9-4.3(b,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH 2CH3),
δ4.0-4.4(b,-NHCH 2COOCH(CH3)COOCH 2CH3),
δ5.2-5.4(b,-NHCH2COOCH(CH3)COOCH2CH3),
平均分子量(Mw):58,000
[比較例3:ポリ[(イソロイシンエチルエステル)1.30(アミノメトキシポリエチレングリコール750)0.42(アミノエタノール)0.28ホスファゼン]nの製造]
イソロイシンエチルエステル塩酸塩(21.95g)、ポリジクロロホスファゼン(10g)、アミノエタノール(1.58g)、分子量750のポリエチレングリコール(25.88g)を使用するが、アミノエタノールを添加するとき、無水アセトニトリルの代わりにTHFを使用した以外は、実施例1と同様な方法で反応させて最終生成物である[NP(IleOEt)1.30(AMPEG750)0.42(Aminoethanol)0.28]nを得た。
【0094】
水素核磁気共鳴スペクトル(CDCl3,ppm):
δ0.8-1.1(b,-NHCH(CH(CH 3)CH2 CH 3)COOCH2CH3),
δ1.1-1.4(b,-NHCH(CH(CH3)CH 2CH3)COOCH2 CH 3),
δ1.4-1.8(b,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH2CH3),
δ2.67-3.2(b,-NHCH2 CH 2OH,-NH(CH2CH2O)11 CH 3),
δ2.9-3.2(b,-NHCH2CH2OCOCH2 CH 2COOH),
δ3.4(s,-NH(CH2CH2O)11 CH 3),
δ3.4-3.9(b,-NH(CH 2 CH 2O)11CH3,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH2CH3),
δ3.9-4.3(b,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH 2CH3),
平均分子量(Mw):5,900
[比較例4:ポリ[(イソロイシンエチルエステル)1.07(アミノメトキシポリエチレングリコール550)0.81(アミノエチルコハク酸)0.12ホスファゼン]nの製造]
実施例4と同様な方法でイソロイシンエチルエステル塩酸塩(18.06g)、ポリジクロロホスファゼン(10g)、アミノエタノール(0.63g)、分子量550のポリエチレングリコール(38.44g)、無水コハク酸(4.00g)及びジメチルアミノピリジン(4.00g)を用いて最終生成物である[NP(IleOEt)1.07(AMPEG550)0.81(Aminoethylsuccinate)0.12]nを得た。
【0095】
水素核磁気共鳴スペクトル(CDCl3,ppm):
δ0.8-1.1(b,-NHCH(CH(CH 3)CH2 CH 3)COOCH2CH3),
δ1.1-1.4(b,-NHCH(CH(CH3)CH 2CH3)COOCH2 CH 3),
δ1.4-1.8(b,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH2CH3),
δ2.5-2.7(b,-NHCH2CH2OCOCH 2CH2COOH),
δ2.67-3.2(b,-NHCH2 CH 2OH,-NH(CH2CH2O)11 CH 3),
δ2.9-3.2(b,-NHCH2CH2OCOCH2 CH 2COOH),
δ3.4(s,-NH(CH2CH2O)11 CH 3),
δ3.4-3.9(b,-NH(CH 2 CH 2O)11CH3,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH2CH3),
δ3.9-4.3(b,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH 2CH3,-NHCH2 CH 2OCOCH2CH2COOH),
平均分子量(Mw):13,200
[比較例5:ポリ[(イソロイシンエチルエステル)1.39(アミノメトキシポリエチレングリコール750)0.41(アミノエチルコハク酸)0.20ホスファゼン]nの製造]
実施例4と同様な方法でイソロイシンエチルエステル塩酸塩(23.47g)、ポリジクロロホスファゼン(10g)、アミノエタノール(1.05g)、分子量750のポリエチレングリコール(26.53g)、無水コハク酸(4.00g)及びジメチルアミノピリジン(4.00g)を用いて最終生成物である[NP(IleOEt)1.39(AMPEG750)0.41(Aminoethylsuccinate)0.20]nを得た。
【0096】
水素核磁気共鳴スペクトル(CDCl3,ppm):
δ0.8-1.1(b,-NHCH(CH(CH 3)CH2 CH 3)COOCH2CH3),
δ1.1-1.4(b,-NHCH(CH(CH3)CH 2CH3)COOCH2 CH 3),
δ1.4-1.8(b,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH2CH3),
δ2.5-2.7(b,-NHCH2CH2OCOCH 2CH2COOH),
δ2.67-3.2(b,-NHCH2 CH 2OH,-NH(CH2CH2O)16 CH 3),
δ2.9-3.2(b,-NHCH2CH2OCOCH2 CH 2COOH),
δ3.4(s,-NH(CH2CH2O)16 CH 3),
δ3.4-3.9(b,-NH(CH 2 CH 2O)16CH3,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH2CH3),
δ3.9-4.3(b,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH 2CH3,-NHCH2 CH 2OCOCH2CH2COOH),
平均分子量(Mw):41,200
[比較例6:ポリ[(イソロイシンエチルエステル)1.05(アミノメトキシポリエチレングリコール550)0.81(アミノエチルグルタレート)0.14ホスファゼン]nの製造]
実施例7と同様な方法でイソロイシンエチルエステル塩酸塩(17.72g)、ポリジクロロホスファゼン(10g)、アミノエタノール(0.73g)、分子量550のポリエチレングリコール(38.44g)、無水グルタル酸(7.00g)及びジメチルアミノピリジン(7.00g)を用いて最終生成物である[NP(IleOEt)1.05(AMPEG550)0.81(AminoethylGlutarate)0.14]nを得た。
【0097】
水素核磁気共鳴スペクトル(CDCl3,ppm):
δ0.8-1.1(b,-NHCH(CH(CH 3)CH2 CH 3)COOCH2CH3),
δ1.1-1.4(b,-NHCH(CH(CH3)CH 2CH3)COOCH2 CH 3),
δ1.4-1.8(b,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH2CH3),
δ2.1-2.32(b,-NHCH2CH2OCOCH 2 CH 2CH2COOH),
δ2.67-3.2(b,-NHCH2 CH 2OH,-NH(CH2CH2O)11 CH 3),
δ2.9-3.2(b,-NHCH2CH2OCOCH2CH2 CH 2COOH),
δ3.4(s,-NH(CH2CH2O)11 CH 3),
δ3.4-3.9(b,-NH(CH 2 CH 2O)11CH3,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH2CH3),
δ3.9-4.3(b,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH 2CH3,-NHCH2 CH 2OCOCH2CH2CH2COOH),
平均分子量(Mw):7,900
[比較例7:ポリ[(イソロイシンエチルエステル)1.32(アミノメトキシポリエチレングリコール750)0.42(アミノエチルグルタレート)0.26ホスファゼン]nの製造]
実施例7と同様な方法でイソロイシンエチルエステル塩酸塩(22.28g)、ポリジクロロホスファゼン(10g)、アミノエタノール(1.58g)、分子量750のポリエチレングリコール(24.59g)、無水グルタル酸(8.00g)及びジメチルアミノピリジン(8.00g)を用いて最終生成物である[NP(IleOEt)1.32(AMPEG750)0.42(AminoethylGlutarate)0.26]nを得た。
【0098】
水素核磁気共鳴スペクトル(CDCl3,ppm):
δ0.8-1.1(b,-NHCH(CH(CH 3)CH2 CH 3)COOCH2CH3),
δ1.1-1.4(b,-NHCH(CH(CH3)CH 2CH3)COOCH2 CH 3),
δ1.4-1.8(b,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH2CH3),
δ2.1-2.32(b,-NHCH2CH2OCOCH 2 CH 2CH2COOH),
δ2.67-3.2(b,-NHCH2 CH 2OH,-NH(CH2CH2O)16 CH 3),
δ2.9-3.2(b,-NHCH2CH2OCOCH2CH2 CH 2COOH),
δ3.4(s,-NH(CH2CH2O)16 CH 3),
δ3.4-3.9(b,-NH(CH 2 CH 2O)16CH3,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH2CH3),
δ3.9-4.3(b,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH 2CH3,-NHCH2 CH 2OCOCH2CH2CH2COOH),
平均分子量(Mw):5,800
[比較例8:ポリ[(イソロイシンエチルエステル)1.61(アミノメトキシポリエチレングリコール1000)0.34(アミノエチルグルタレート)0.05ホスファゼン]nの製造]
実施例7と同様な方法でイソロイシンエチルエステル塩酸塩(29.54g)、ポリジクロロホスファゼン(10g)、アミノエタノール(0.26g)、分子量1000のポリエチレングリコー
ル(17.25g)、無水グルタル酸(8.00g)及びジメチルアミノピリジン(8.00g)を用いて最終生成物である[NP(IleOEt)1.61(AMPEG1000)0.34(AminoethylGlutarate)0.05]nを得た。
【0099】
水素核磁気共鳴スペクトル(CDCl3,ppm):
δ0.8-1.1(b,-NHCH(CH(CH 3)CH2 CH 3)COOCH2CH3),
δ1.1-1.4(b,-NHCH(CH(CH3)CH 2CH3)COOCH2 CH 3),
δ1.4-1.8(b,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH2CH3),
δ2.1-2.32(b,-NHCH2CH2OCOCH 2 CH 2CH2COOH),
δ2.67-3.2(b,-NHCH2 CH 2OH,-NH(CH2CH2O)20 CH 3),
δ2.9-3.2(b,-NHCH2CH2OCOCH2CH2 CH 2COOH),
δ3.4(s,-NH(CH2CH2O)20 CH 3),
δ3.4-3.9(b,-NH(CH 2 CH 2O)20CH3,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH2CH3),
δ3.9-4.3(b,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH 2CH3,-NHCH2 CH 2OCOCH2CH2CH2COOH),
平均分子量(Mw):9,800
[比較例9:ポリ[(イソロイシンエチルエステル)1.33(アミノメトキシポリエチレングリコール750)0.47(アミノエチルグルタレートベータシクロデキストリン)0.20ホスファゼン]nの製造]
実施例10と同様な方法でイソロイシンエチルエステル塩酸塩(22.45g)、ポリジクロロホスファゼン(10g)、アミノエタノール(1.05g)、分子量750のポリエチレングリコール(30.41g)、無水グルタル酸(8.00g)及びジメチルアミノピリジン(8.00g)を使用して高分子を得た後、さらにアミノベータシクロデキストリン(16.00g)を添加して反応させて最終生成物である[NP(IleOEt)1.33(AMPEG750)0.47(AminoethylGlutaricBeta-CD)0.20]nを得た。
【0100】
水素核磁気共鳴スペクトル(CDCl3,ppm):
δ0.8-1.1(b,-NHCH(CH(CH 3)CH2 CH 3)COOCH2CH3),
δ1.1-1.4(b,-NHCH(CH(CH3)CH 2CH3)COOCH2 CH 3),
δ1.4-1.8(b,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH2CH3),
δ2.1-2.32(b,-NHCH2CH2OCOCH 2 CH 2CH2COOH),
δ2.67-3.2(b,-NHCH2 CH 2OH,-NH(CH2CH2O)16 CH 3),
δ2.9-3.2(b,-NHCH2CH2OCOCH2CH2 CH 2COOH),
δ3.4(s,-NH(CH2CH2O)16 CH 3),
δ3.4-3.9(b,-NH(CH 2 CH 2O)16CH3,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH2CH3),
δ3.9-4.3(b,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH 2CH3,-NHCH2 CH 2OCOCH2CH2CH2COOH),
δ4.7-4.8(b,-NHCH2 Beta-cyclodextrin),
平均分子量(Mw):15,500
[比較例10:ポリ[(イソロイシンエチルエステル)1.48(アミノメトキシポリエチレングリコール750)0.42(アミノエチルアジペート)0.10ホスファゼン]nの製造]
実施例10と同様な方法でイソロイシンエチルエステル塩酸塩(24.99g)、ポリジクロロホスファゼン(10g)、アミノエタノール(0.52g)、分子量750のポリエチレングリコール(27.18g)、無水アジピン酸(8.00g)及びジメチルアミノピリジン(8.00g)を用いて最終生成物である[NP(IleOEt)1.48(AMPEG750)0.42(AminoethylAdipate)0.10]nを得た。
【0101】
水素核磁気共鳴スペクトル(CDCl3,ppm):
δ0.8-1.1(b,-NHCH(CH(CH 3)CH2 CH 3)COOCH2CH3),
δ1.1-1.4(b,-NHCH(CH(CH3)CH 2CH3)COOCH2 CH 3),
δ1.4-1.8(b,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH2CH3),
δ1.52-1.64(b,-NHCH2CH2OCOCH2 CH 2 CH 2CH2COOH),
δ2.3-2.32(b,-NHCH2CH2OCOCH 2CH2CH2 CH 2COOH),
δ2.67-3.2(b,-NHCH2 CH 2OH,-NH(CH2CH2O)16 CH 3),
δ3.4(s,-NH(CH2CH2O)16 CH 3),
δ3.4-3.9(b,-NH(CH 2 CH 2O)16CH3,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH2CH3),
δ3.94.3(b,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH 2CH3,-NHCH2 CH 2OCOCH2CH2CH2COOH),
平均分子量(Mw):4,600
[比較例11:ポリ[(イソロイシンエチルエステル)1.49(アミノメトキシポリエチレングリコール750)0.44(アミノエチルサルフェート)0.07ホスファゼン]nの製造]
実施例15と同様な方法でイソロイシンエチルエステル塩酸塩(25.15g)、ポリジクロロホスファゼン(10g)、アミノエタノール(0.36g)、分子量750のポリエチレングリコール(28.47g)及びスルファトリオキシドピリジン複合体(5.00g)を用いて最終生成物である[NP(IleOEt)1.49(AMPEG750)0.44(Aminoethylsulfate)0.07]nを得た。
【0102】
水素核磁気共鳴スペクトル(CDCl3,ppm):
δ0.8-1.1(b,-NHCH(CH(CH 3)CH2 CH 3)COOCH2CH3),
δ1.1-1.4(b,-NHCH(CH(CH3)CH 2CH3)COOCH2 CH 3),
δ1.4-1.8(b,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH2CH3),
δ2.67-3.2(b,-NHCH2 CH 2SO4,-NH(CH2CH2O)16 CH 3),
δ3.4(s,-NH(CH2CH2O)16 CH 3),
δ3.4-3.9(b,-NH(CH 2 CH 2O)16CH3,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH2CH3),
δ3.9-4.3(b,-NHCH(CH(CH3)CH2CH3)COOCH 2CH3),
平均分子量(Mw):8,800
[実験例1:可逆的-不可逆的特性を表すポリホスファゼン系高分子の温度変化によるソル-ゲル転移]
前記実施例1~20及び比較例1~11に従って準備した様々なポリホスファゼン系高分子をそれぞれ10重量%の濃度で4℃のリン酸緩衝食塩水(pH 7.4)に溶解させ、それを自動調節水槽(TC-501)のチャンバーに入れ、温度変化に伴うゾル-ゲル(sol-gel)挙動を観察した。具体的には、自動調節水槽(TC-501)が装置された強度計(Brookfield DB-III+ Rheometer)のチャンバーに入れ、せん断速度を0.1~1.7/secとし、分当たり0.33℃ずつ温度を上昇させながら温度変化に伴うゾル-ゲル(sol-gel)挙動を観察し、粘性が始まる温度及びヒドロゲルの最高強度を測定し、その結果を表1に示した。
【0103】
【表1】
【0104】
【0105】
【0106】
前記表1に示すように、実施例1~20及び比較例1~11のポリホスファゼン系高分子溶液(10重量%)は、開始ゲル温度以下で全て流れる溶液状態であるが、体内温度条件である37℃以上ではゲル状態に転換した。その後、約10℃付近まで再冷却させる場合でも依然としてゲル状態を維持するのに対し、比較例1~11の組成物からなるヒドロゲルは全て流れる溶液であるゾル状態に再び転換した。
【0107】
[実験例2:可逆的-不可逆的特性を表すポリホスファゼン系高分子水溶液の温度変化によるレオロジー特性評価]
上述した本発明のポリホスファゼン系高分子溶液を一定温度以上に露出した後、温度変化による可逆的ゾル-ゲル変化性質を失うようにする特性を観察するために、温度変化を繰り返して与え、高分子溶液のレオロジー特性を観察し、その結果を図1に示す。前記実験例1と同様に、実施例4と比較例3のポリホスファゼン系高分子溶液(10重量%)を準備した。各準備した実施例4と比較例3のポリホスファゼン系高分子溶液に5%の歪率(strain)と0.8Hzの周波数(frequency)の力を印加し、温度変化に伴う貯蔵弾性率(storage modulus)と損失弾性率(loss modulus)値を測定した。その結果、実施例4のポリホスファゼン系高分子溶液は、低温では貯蔵弾性率値が損失弾性率値より低く溶液状態で存在し、温度の上昇に伴い貯蔵弾性率値が損失弾性率値より高くなりながらヒドロゲルを形成した。また、実施例4の高分子溶液は40℃以前に可逆的特性変化を失うようになるが、これにより40℃まで温度を上昇させた後には、再び徐々に温度を下げても、貯蔵弾性率値が損失弾性率値より著しく高い値を維持し、ヒドロゲル状態を継続的に維持した。一方、比較例3のポリホスファゼン系高分子溶液は、低温では貯蔵弾性率値が損失弾性率値より低く溶液状態で存在し、温度の上昇に伴い貯蔵弾性率値が損失弾性率値より高くなりながらヒドロゲルを形成したが、40℃まで温度を上昇させた後、再び徐々に冷却させたとき、温度変化に応じて再び貯蔵弾性率値が損失弾性率値より低くなりながら溶液状態に戻ることを確認した。また、再び温度を徐々に上げてから下げたとき、温度変化による可逆的ゾル-ゲル変化特性をよく示すことが分かる。
【0108】
[実験例3:可逆的-不可逆的特性を表すポリホスファゼン系高分子のゾル-ゲル変化の観察]
上述した本発明のポリホスファゼン系高分子溶液を一定温度以上に露出した後、温度変化による可逆的ゾル-ゲル変化特性を失う特性を肉眼で観察するために温度変化を与え、ヒドロゲルに変化した形態から再度溶液の状態に変化するかを観察して図2に示す。実験例1と同様に、実施例8と比較例5のポリホスファゼン系高分子溶液(10重量%)を準備した。実施例8と比較例5のポリホスファゼン系高分子溶液はいずれも4℃で溶液の状態を示し、体温である37℃で3分以上露出させた後には逆にバイアルを置いても重力方向に流れないヒドロゲル状態を示した。このとき、再び実施例8と比較例5のポリホスファゼン系高分子溶液で形成させたヒドロゲルを4℃に露出させると、比較例5は1分以内で再び溶液の状態に変化することが観察されたが、実施例8のヒドロゲルは、4℃の状態で6時間以上露出した場合でも重力方向に流れないヒドロゲルの形態に維持されることを観察した。
【0109】
[実験例4:可逆的-不可逆的特性を表すポリホスファゼン系高分子の3Dプリント用途]
上述した本発明のポリホスファゼン系高分子の可逆的-不可逆的特性に基づいて、その3Dプリントインクとしての使用可能性を確認した。前記実験例1と同様に、実施例10と11並びに比較例6と7のポリホスファゼン系高分子溶液(10重量%)を準備した。3次元でプリントされた結果物の形態をより容易に識別するために、実施例11のポリホスファゼン系高分子溶液には赤系の染料を、比較例7のポリホスファゼン系高分子溶液には青系の染料をそれぞれ0.1%未満で混合してプリントした。このとき、4℃状態で3Dプリンタカートリッジに溶液状態で充填し、これを開始ゲル温度以上の弱いゲルを形成できる粘度範囲でプリントした。プリント時に可逆的特性を失うことができる程度の温度、例えば、本発明において体温である37℃に底を加熱してプリントされた結果物の形態を固めた後、常温に露出させて形態維持の有無及び/又は溶液相への回帰の有無を観察した。
【0110】
図3には、実施例10と11並びに比較例6と7のポリホスファゼン系高分子溶液(10重量%)で3次元プリントして形成した構造物をゲル化した後、常温にさらした際の形態変化の有無を写真で撮り、示した。実施例10及び11の高分子溶液で製造した3Dプリント構造物は、ヒドロゲルで固めた後、常温にさらしても溶液状態に転換せずに、プリントされた3D形態を維持するのに対し、比較例6及び7の高分子溶液で製造した3Dプリント構造物はヒドロゲルで固められた後、常温に露出される直後からゾル状態への可逆的変化により3D構造物の強度が変化し、形態が崩れることが観察された。
【0111】
[実験例5:可逆的特性を変化させるポリホスファゼン系高分子の3Dプリント後の細胞培養における形態維持の観察]
前記実験例4では、3Dプリントされた生成物の温度変化による形態維持能を確認した。そこで、前記ポリホスファゼン系高分子の生体適合性を考慮して細胞の3D培養に適用可能性を確認するために、細胞培養液に暴露して形態維持能を確認した。前記実験例4と同様に3Dプリントしてゲル化した構造物を細胞培養液に浸漬し、経時による形態変化を観察して図4に示した。実施例11及び13の高分子溶液で製造した3D構造物は、細胞培養液に浸漬したまま1週間以上経過しても構造の崩壊なしに形態を維持するのに対し、比較例7のポリホスファゼン系高分子溶液で製造した3D構造物は、ゲル化後、常温にさらされた直後から強度及び/または形態の変化が現れ始め、細胞培養液に浸漬すると、すぐに細胞培養液に溶け込んで写真を撮ることができないほど速やかに構造が崩壊した。
【0112】
[実験例6:可逆特性を変化させるポリホスファゼン系高分子の3Dプリント後の細胞生存能の評価]
前記実験例5により、細胞培養液における形態維持能が確認された実施例の高分子溶液で製造された3D構造物の細胞培養支持体としての適用可能性を確認した。具体的には、実施例11の高分子溶液(10重量%)を準備し、4℃で脂肪由来ヒト幹細胞(human adipose-derived mesenchymal stem cells;hADMSC)と混合した後、3Dプリンタカートリッジに溶液状態で充填した。これを開始ゲル温度以上の弱いゲルになり得る粘度範囲でプリントした後、可逆的特性を喪失しうる程度の温度である37℃に底を加熱してプリントされた形態を固めた後、細胞培養液に浸漬して3週間維持した後、これに含まれる細胞の生存能を評価し、その結果を図5に示した。実施例11のポリホスファゼン系高分子溶液にADMSCを担持し、3Dプリントした構造物を3週間細胞培養液に置いて培養しながら確認した結果、3週間までも100%に近い生存率を示すことを確認した。
【0113】
[実験例7:可逆特性を変化させるポリホスファゼン系高分子からなるヒドロゲル構造物の露出した傷部に移植時の変形有無の観察]
本発明のポリホスファゼン系高分子の可逆的特性変化、及び/又は薬物担持及び放出能に基づいて相対的に頻繁な、高い偏差の温度変化が予想される外部環境に曝される傷部に組織修復用又は組織再生用移植体としての適用可能性を確認した。具体的には、背部に深刻な損傷を与えた6週齢の雄性ラットの傷部にそれぞれ実施例13及び比較例8のポリホスファゼン高分子溶液を処理してヒドロゲルを形成し、前記露出した傷部で前記ヒドロゲルの維持状態を確認し、その結果を図6に示す。図6に示すように、実施例13の高分子溶液からなるヒドロゲルは2週間以上まで形態を維持したのに対し、比較例8の高分子溶液からなるヒドロゲルは形態を長期間維持できず、1日以内に流れ落ちたり吸収された。
【0114】
[実験例8:可逆特性を変化させるポリホスファゼン系高分子からなるヒドロゲル構造物の外部環境への暴露による変形有無の観察]
本発明のポリホスファゼン系高分子の可逆的特性変化に基づいて、薬物送達システム、及び/又は組織修復用又は組織再生用治療剤としての使用可能性を確認するために、体内注入して形成したヒドロゲルの環境変化による形態維持能を評価した。具体的には、6週齢の雄性ラットの背部に実施例11及び比較例7のポリホスファゼン高分子溶液(10重量%)を皮下注射してヒドロゲルを形成し、1日経過後にヒドロゲルの分解を観察するために背部をオープンしたとき、外部環境への暴露による即時的な状態変化を観察し、その結果を図7に示した。図7に示すように、実施例13の高分子溶液を注入して形成したヒドロゲルは、オープン時にも形態が維持され、容易に体外に分離することができたが、比較例7の高分子溶液を注入して形成したヒドロゲルは、オープン時に外部環境にさらされると同時に、ヒドロゲルの強度が弱くなり、形態が崩れて体外に分離するのが容易ではなかった。
【0115】
[実験例9:可逆的ゾル-ゲル特性を変化させるポリホスファゼン系高分子ヒドロゲルの体内注入時に細胞浸透誘導及び付着後の生存による自己組織再生の観察]
本発明のポリホスファゼン系高分子の可逆的特性変化に基づき、薬物や細胞の適用なしに高分子ヒドロゲル自体としての組織修復用途及び自己組織再生用治療剤としての使用可能性を確認した。可逆的ゾル-ゲル特性が変化した高分子ヒドロゲルは、温度変化により親水性-疎水性バランスが崩れて疎水性凝集能力が持続することにより、一定温度以上では疎水性特性がかなり高くなった状態が維持されることで、この性質を通じてヒドロゲルの内部に流入した細胞はヒドロゲルの構造網に付着して生存するのが容易になり、経時につれて高分子ヒドロゲルは生分解されてなくなるが、流入して生存した細胞により発生した自己組織は、移植部位に残って一定体積以上を維持する。具体的には、6週齢の雄性ラットの背部に実施例5及び比較例7のポリホスファゼン高分子溶液(10重量%)を皮下注射してヒドロゲルを形成し、4週間経過後にヒドロゲルの分解及び自己組織の再生結果を観察するために背部を切開してヒドロゲルが注入された部位を観察及び評価し、その結果を図8に示した。図8に示すように、比較例7の高分子溶液を注入してヒドロゲルを形成したところは4週間後に完全に生分解されて消えたが、実施例5の高分子溶液を注入して形成したヒドロゲルは4週間以後までもヒドロゲル形態を約80%以上維持しており、当該ヒドロゲル部位を剥がして様々な染色法で観察したところ、自己組織に置換されたことを確認した。染色法としては、ヘマトキシリン&エオシン(Hematoxylin&Eosin)、オイルレッドO(Oil red O)、マッソントリクローム染色(Masson’s trichrome staining)を用い、その結果、ヒドロゲル形成部位が全て浸透した細胞で満たされ、血管、脂肪組織、及び/または細胞外基質からなることを確認した。
【0116】
[実験例10:可逆的特性を変化させるポリホスファゼン系高分子ヒドロゲルの向上した薬物送達能力及び組織再生能力の観察]
本発明のポリホスファゼン系高分子の可逆的特性変化に基づき、ヒドロゲルの疎水性特性が最大の状態が維持される特性を有することにより、ヒドロゲルの生分解時間を著しく遅延させることができ、それにより、薬物の送達期間を著しく増加させることを観察した。さらに、細胞の生存及び分化に関連するサイトカインを送達する場合、かなり長い期間徐々に薬物を放出することにより、組織の再生能力を最大限に高めることができた。具体的には、比較例5、実施例16及び実施例14のポリホスファゼン高分子溶液(10重量%)を準備し、同じ用量の骨形成タンパク質(bone morphogenetic protein-2)を各7μgずつ添加し、体外条件(in vitro)で期間別の薬物放出量を観察し、生体内条件(in vivo、6週齢の雄性ラット)で背部に皮下注射してヒドロゲルを形成した後、8週間後に新たに形成された骨の発生程度を観察し、それぞれ図9及び図10に示す。図9に示すように、比較例5から放出された骨形成タンパク質は急速に放出されるのに対し、実施例16及び実施例14の高分子ヒドロゲルからは骨形成タンパク質が約2ヶ月余りにわたってゆっくり放出された。図10に示すように、ヒドロゲルに骨形成タンパク質を含み、動物の背部の皮下に注入したとき、8週間後に注入したヒドロゲルを分離してX-ray及びμ-CTを通じて骨組織に置換したかを特定する評価を行った。比較例5の骨形成タンパク質が含まれた高分子ヒドロゲルを注入したときは、ヒドロゲルの時間の変化による生分解及び/又はヒドロゲルの親水性の性質により形成された骨が注入したヒドロゲルの体積の40%より小さいか内側まで骨形成がうまく行われていないのに対し、実施例16及び実施例14の高分子ヒドロゲルに骨形成タンパク質を担持して注入した場合には、ヒドロゲルの生分解性質が低下し、最大化した疎水性の性質が維持される現象により、8週間が経過した後もヒドロゲルを初めて注入したときの体積の80%以上を維持し、新たに発生した骨に置換されたことが確認できた。また、新たに発生した骨組織は内側まで骨がよく満たされたことを確認した。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10