(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022669
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】蓋体、容器と蓋体の組み合わせ、及び蓋体付き容器
(51)【国際特許分類】
B65D 53/08 20060101AFI20240208BHJP
B65D 51/24 20060101ALI20240208BHJP
B65D 3/00 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
B65D53/08 ZBP
B65D51/24 200
B65D3/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023210800
(22)【出願日】2023-12-14
(62)【分割の表示】P 2022136383の分割
【原出願日】2022-06-08
(31)【優先権主張番号】63/344,399
(32)【優先日】2022-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】P 2021099797
(32)【優先日】2021-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2021132093
(32)【優先日】2021-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2021183765
(32)【優先日】2021-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2022000005
(32)【優先日】2022-01-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2022018335
(32)【優先日】2022-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2022083460
(32)【優先日】2022-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2022088116
(32)【優先日】2022-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2022089977
(32)【優先日】2022-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】320007734
【氏名又は名称】株式会社KY7
(72)【発明者】
【氏名】林 裕義
(57)【要約】
【課題】蓋体における飲み口を簡単かつ衛生的に開閉することのできる蓋体を提供する。
【解決手段】
蓋体は、容器の口部を開閉可能に形成されており、閉蓋時に前記口部を覆うように形成された天面部を有し、天面部は、小蓋片と、小蓋片を引き上げる際に形成される開口部とを備え、小蓋片の先端寄りには、タブ部材の一端部と接合した接合部が形成されており、タブ部材は、他端部に形成された摘み部を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の口部を開閉可能に形成された蓋体であって、
前記容器に取り付けられた状態で前記容器が閉蓋される時に前記口部を覆うように形成された天面部を有し、
前記天面部は、小蓋片と、前記小蓋片を引き上げる際に形成される開口部とを備え、
前記小蓋片に接合されるタブ部材を備え、
前記小蓋片には、前記タブ部材の一端部と接合した接合部が形成されており、
前記タブ部材は、該タブ部材の他端部に摘み部を形成している、
蓋体。
【請求項2】
容器の口部の周縁に接合される接合領域を有する蓋体であって、
前記容器に対する接合時に前記口部を覆う形状を有し、
小蓋片と、前記小蓋片に接合されるタブ部材と、前記小蓋片を引き上げる際に形成される開口部とを備え、
前記小蓋片が前記接合領域の内側に設けられており、
前記タブ部材の一端部と前記小蓋片とが接合されており、
前記一端部と前記先端寄りの部分との接合部分を接合部とした場合に、
前記タブ部材は、該タブ部材の他端部に摘み部を形成している、
蓋体。
【請求項3】
前記タブ部材は、前記接合部及び前記摘み部の間に形成された保持片を有し、前記摘み部を摘んで前記小蓋片を開蓋した際に前記タブ部材から前記保持片が突出するように形成されており、
前記天面部には、突出した前記保持片が差し込まれる差し込み部が形成されており、
前記保持片を前記差し込み部に差し込んで前記小蓋片が開いた状態を維持することができるように構成されている、請求項1に記載の蓋体。
【請求項4】
前記タブ部材は、前記接合部及び前記摘み部の間に形成された保持片を有し、前記摘み部を摘んで前記小蓋片を開蓋した際に前記タブ部材から前記保持片が突出するように形成されており、
突出した前記保持片が差し込まれる差し込み部が形成されており、
前記保持片を前記差し込み部に差し込んで前記小蓋片が開いた状態を維持することができるように構成されている、請求項2に記載の蓋体。
【請求項5】
前記摘み部は、前記保持片が前記差し込み部に差し込まれたときに立ち上がるように形成されている請求項3または4に記載の蓋体。
【請求項6】
前記保持片は、前記摘み部側から前記接合部側に向かって突出するように形成されている請求項3から5のいずれか1項に記載の蓋体。
【請求項7】
前記差し込み部は、前記保持片が差し込まれる主部と、前記主部と交差する補助部とを有する請求項3から6のいずれか1項に記載の蓋体。
【請求項8】
前記タブ部材は、前記摘み部に人物の表情を模した図柄が設けられている請求項3から7のいずれか1項に記載の蓋体。
【請求項9】
前記図柄は、前記保持片を突出させる前後で立体的に変化する請求項8記載の蓋体。
【請求項10】
前記容器に対して接合された状態で露出面を有し、
前記小蓋片の外周縁の少なくとも一部は、前記接合領域の内縁に沿って延びており、且つ、前記容器に対して接合された状態における前記露出面と前記容器の内周面の延長面との交差位置よりも外側に形成されている、請求項2に記載の蓋体。
【請求項11】
前記小蓋片が閉じられた閉蓋状態で、前記小蓋片の外周端面に向かい合う向き合い面を有し、
前記閉蓋状態から前記小蓋片を開く場合に、前記外周端面の少なくとも一部と前記向き合い面とが擦れあう、請求項1から10のいずれか1項に記載の蓋体。
【請求項12】
前記天面部に窓部が形成されている請求項1から11のいずれかに記載の蓋体。
【請求項13】
前記天面部は、該天面部の少なくとも一部が隆起した隆起部を有する請求項1から12のいずれかに記載の蓋体。
【請求項14】
紙系素材で形成されている、請求項1から13のいずれか1項に記載の蓋体。
【請求項15】
口部を有する容器と、請求項1から14のいずれか1項に記載の蓋体とを有する、
容器と蓋体の組み合わせ。
【請求項16】
口部を有する容器と、請求項1から14のいずれか1項に記載の蓋体とを有し、
容器の口部が蓋体で被覆されている、
蓋体付き容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓋体、容器と蓋体の組み合わせ、及び蓋体付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、容器に飲食物を収容して蓋を閉じた状態で提供することが広く行われている。また、近年は、例えばコンビニエンスストアにおいてはコーヒー等の飲料を上記した新たな形態で提供することが広く行われている。このように容器の中に収容する飲食料品(以下においては「内容物」とも言う。)がコーヒー等のような飲料物の場合には、購入者は蓋がついた状態の容器を手に取り、その容器を傾けて内容物を飲むといった動作を行う。そのため、蓋体には、容器を傾けたときに内容物が容器の外部に流出するように、飲み口とも言われる開口部を形成しておくことが一般的に行われている。しかしながら、ただ単に飲み口が開口形成されているだけでは、飲み口から埃等が容器の中に入り込むおそれがあり、必ずしも衛生的であるとは言えなかった。そのため、使用前の状態では蓋体に飲み口が開口しないようにしておき、使用者が内容物を飲むときにはじめて飲み口が開口形成されるように構成することが行われている。
【0003】
このような蓋体としては、例えば下記に示す特許文献1や特許文献2に開示されているものが挙げられる。特許文献1に開示されている蓋体は、側壁と天蓋部とを備えており、天蓋部にはタブが形成されている。この蓋体は、使用者がタブを摘んで引き上げると、ベル形又はひょうたん形の孔が開口し、飲み口が形成されるように構成されている。また、特許文献2に開示されている飲料用カップ蓋は、天面(天蓋部)に開口部(飲み口)が開口形成されており、この開口部を閉じたり開いたりする小蓋が設けられている。また、この小蓋には凸部が設けられており、この小蓋の凸部を天面部の凹部に嵌合させることで小蓋が開いた状態を維持するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2016/069755号公報
【特許文献2】特開2008-062952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した特許文献1及び2に開示されている蓋体は、タブや小蓋を直接摘んで飲み口を開口形成する動作と、タブをタブホールに差し込んだり、小蓋の凸部を天面の凹部に嵌合させる動作をスムーズに行うことができず、飲み口を開口形成する動作が非常に行いにくいという問題があった。この問題は、蓋体自体の構造や形状を工夫することで解決することができる可能性は上がるものの、この場合には蓋体自体の構造や形状を複雑にしなければならないといった別の問題があった。また、上記した蓋体は、タブや摘みとなる凸部が天蓋部に直接形成されているため、使用者が飲み口を開口形成するときには蓋体に直接触れなければならず、衛生面においても問題があった。また、このような従来の蓋体では、一旦飲み口を開口形成した後、再び飲み口を閉じる場合には、タブや小蓋を指で触れて操作する必要が生じる。そのため、飲み口を閉じた後は、指の触れた面が飲料物の接する側に位置することになり、やはり衛生的ではないという問題があった。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、蓋体における飲み口を簡単かつ衛生的に開閉することのできる蓋体、容器と蓋体の組み合わせ、及び蓋体付き容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、次に示す(1)から(16)を要旨とする。
(1)容器の口部を開閉可能に形成された蓋体であって、
前記容器に取り付けられた状態で前記容器が閉蓋される時に前記口部を覆うように形成された天面部を有し、
前記天面部は、小蓋片と、前記小蓋片を引き上げる際に形成される開口部とを備え、
前記小蓋片に接合されるタブ部材を備え、
前記小蓋片には、前記タブ部材の一端部と接合した接合部が形成されており、
前記タブ部材は、該タブ部材の他端部に摘み部を形成している、
蓋体、
(2)容器の口部の周縁に接合される接合領域を有する蓋体であって、
前記容器に対する接合時に前記口部を覆う形状を有し、
小蓋片と、前記小蓋片に接合されるタブ部材と、前記小蓋片を引き上げる際に形成される開口部とを備え、
前記小蓋片が前記接合領域の内側に設けられており、
前記タブ部材の一端部と前記小蓋片とが接合されており、
前記一端部と前記先端寄りの部分との接合部分を接合部とした場合に、
前記タブ部材は、該タブ部材の他端部に摘み部を形成している、
蓋体、
(3)前記タブ部材は、前記接合部及び前記摘み部の間に形成された保持片を有し、前記摘み部を摘んで前記小蓋片を開蓋した際に前記タブ部材から前記保持片が突出するように形成されており、
前記天面部には、前記突出した保持片が差し込まれる差し込み部が形成されており、
前記保持片を前記差し込み部に差し込んで前記小蓋片が開いた状態を維持することができるように構成されている上記(1)に記載の蓋体、
(4)前記タブ部材は、前記接合部及び前記摘み部の間に形成された保持片を有し、前記摘み部を摘んで前記小蓋片を開蓋した際に前記タブ部材から前記保持片が突出するように形成されており、
突出した前記保持片が差し込まれる差し込み部が形成されており、
前記保持片を前記差し込み部に差し込んで前記小蓋片が開いた状態を維持することができるように構成されている上記(2)に記載の蓋体、
(5)前記摘み部は、前記保持片が前記差し込み部に差し込まれたときに立ち上がるように形成されている上記(3)または(4)に記載の蓋体、
(6)前記保持片は、前記摘み部側から前記接合部側に向かって突出するように形成されている上記(3)から(5)のいずれか1つに記載の蓋体、
(7)前記差し込み部は、前記保持片が差し込まれる主部と、前記主部と交差する補助部とを有する上記(3)から(6)のいずれか1つに記載の蓋体、
(8)前記タブ部材は、前記摘み部に人物の表情を模した図柄が設けられている上記(3)から(7)のいずれか1つに記載の蓋体、
(9)前記図柄は、前記保持片を突出させる前後で立体的に変化する上記(8)記載の蓋体、
(10)前記容器に対して接合された状態で露出面を有し、
前記小蓋片の外周縁の少なくとも一部は、前記接合領域の内縁に沿って延びており、且つ、前記容器に対して接合された状態における前記露出面と前記容器の内周面の延長面との交差位置よりも外側に形成されている、上記(2)に記載の蓋体、
(11)前記小蓋片が閉じられた閉蓋状態で、前記小蓋片の外周端面に向かい合う向き合い面を有し、
前記閉蓋状態から小蓋片を開く場合に、前記外周端面の少なくとも一部と前記向き合い面とが擦れあう、上記(1)から(10)のいずれか1つに記載の蓋体、
(12)前記天面部に窓部が形成されている上記(1)から(11)のいずれかに記載の蓋体、
(13)前記天面部は、該天面部の少なくとも一部が隆起した隆起部を有する上記(1)から(12)のいずれかに記載の蓋体、
(14)紙系素材で形成されている、上記(1)から(13)のいずれかに記載の蓋体、
(15)口部を有する容器と、上記(1)から(14)のいずれかに記載の蓋体とを有する、容器と蓋体の組み合わせ、
(16)口部を有する容器と、上記(1)から(14)のいずれかに記載の蓋体とを有し、
容器の口部が蓋体で被覆されている、蓋体付き容器、
を要旨とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、タブ部材と接合されている小蓋片がタブ部材の摘み片を摘んで引き上げることで容易に開口することができる。また、タブ部材に保持片が形成され、天面部に差し込み部が形成されている場合においては、タブ部材の摘み部を摘んで小蓋片を引き上げたまま、タブ部材に形成されている保持片を天面部に形成されている差し込み部に差し込むことにより、小蓋片が開いた状態、すなわち開口部が開口形成する状態を維持することができる。したがって、本発明に係る蓋体によれば、使用者が小蓋片を直接触れることなく開口部を開口させる動作を実施することができる。さらに、本発明によれば、タブ部材に保持片が形成され、天面部に差し込み部が形成されている場合においては、小蓋片を開口した状態を保持する動作とをスムーズに行うことができ、小蓋片の開閉を容易にすることが可能になる。また、本発明に係る蓋体によれば、非常に衛生的な状態を維持しながら、内容物を飲んだりすることが可能になる。また、開口部を再び閉じる場合においても、タブ部材を操作することによって開口部を閉じた状態まで小蓋片を閉じることができるので、湯気などによって小蓋片に付着しがちな付着物などが使用者の指に触れることを低減することができ、使用者に不快に感じさせる事態を低減することが可能になる。また、このように、タブ部材を操作することのみによって小蓋片を開閉することができるので、使用者が操作する際にも煩雑さを感じることがなく、快適に使用することも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1(a)、
図1(b)は、本発明の蓋体に係る実施の形態(第1実施形態)を表す外観斜視図である。
【
図2】
図2は、小蓋片を開く動作を表した蓋体の外観斜視図である。
【
図3】
図3(a)、
図3(b)は、開口部が開口した状態での蓋体を表す外観斜視図である。
【
図4】
図4は、小蓋片が閉じた状態での蓋体を表す平面図である。
【
図5】
図5は、小蓋片が開いた状態での蓋体を表す平面図である。
【
図6】
図6(a)は、
図1(a)におけるA-A線縦断面図である。
図6(b)は、
図6(a)の部分拡大図である。
【
図7】
図7(a)、
図7(b)は、タブ部材の構成及び作用を説明するための説明図である。
【
図8】
図8(a)、
図8(b)、
図8(c)は、小蓋片を開く動作を説明するための説明図である。
【
図9】
図9は、蓋体を容器に取り付けた状態を説明するための説明図である。
【
図10】
図10は、蓋体を容器に取り付ける際の作用効果を説明するための説明図である。
【
図11】
図11は、蓋体をスタッキングした状態を表す説明図である。
【
図13】
図13(a)、
図13(b)は、本実施の形態に係る蓋体の第1の変形例を表す外観斜視図及び縦断面図である。
【
図21】
図21は、蓋体の他の態様の構成を表す斜視図である。
【
図22】
図22は、蓋体における差し込み部の他の態様を説明するための外観斜視図である。
【
図23】
図23(a)は、蓋体における差し込み部の他の態様を説明するための外観斜視図である。
図23(b)は、蓋体の他の態様の構成を表す外観斜視図である。
【
図24】
図24(a)は、他の態様のタブ部材を有する蓋体の構成を表す平面図である。
図24(b)は、
図24(a)で示した蓋体の外観斜視図である。
【
図25】
図25(a)は、他の態様のタブ部材を有する蓋体の構成を表す平面図である。
図25(b)は、
図25(a)で示した蓋体の外観斜視図である。
【
図26】
図26(a)は、他の態様のタブ部材を有する蓋体の構成を表す平面図である。
図26(b)は、
図26(a)で示した蓋体の外観斜視図である。
【
図27】
図27は、他の態様のタブ部材を有する蓋体の構成を表す外観斜視図である。
【
図28】
図28(a)は、本発明の第2実施形態にかかる蓋体の一実施例を説明するための平面図である。
図28(b)は、
図28(a)のB-B線縦断面図である。
【
図29】
図29は、本発明の第2実施形態にかかる蓋体の一実施例を説明するための平面図である。
【
図30】
図30(a)は、本発明の第2実施形態にかかる蓋体の一実施例を説明するための平面図である。
図30(b)は、
図30(a)のC-C線縦断面図である。
【
図31】
図31は、本発明の第2実施形態の変形例2にかかる蓋体の一実施例を説明するための平面図である。
【
図32】
図32は、本発明の第2実施形態にかかる蓋体の一実施例を説明するための要部断面図である。
【
図33】
図33(a)は、本発明の第2実施形態の変形例1にかかる蓋体の一実施例を説明するための平面図である。
図33(b)は、
図33(a)のD-D線縦断面図である。
【
図34】
図34(a)、
図34(b)は、本発明の第2実施形態の変形例3にかかる蓋体の一実施例を説明するための平面図である。
【
図35】
図35は、本発明の第2実施形態にかかる蓋体の一実施例を説明するための要部断面図である。
【
図36】
図36は、本発明の第2実施形態にかかる蓋体の一実施例を説明するための要部断面図である。
【
図37】
図37(a)は、本発明の第2実施形態の変形例4にかかる蓋体の一実施例を説明するための平面図である。
図37(b)は、
図37(a)のE-E線縦断面図である。
【
図38】
図38は、蓋体付き容器の一実施例を表す断面図である。
【
図39】
図39は、本発明の第2実施形態にかかる蓋体の一実施例を説明するための平面図である。
【
図40】
図40(a)は、本発明の第2実施形態にかかる蓋体の一実施例を説明するための断面図である。
図40(b)は、
図40(a)においてXで示す範囲を拡大した部分拡大図である。
【
図41】
図41(a)は、本発明の第2実施形態の変形例5にかかる蓋体の一実施例を説明するための平面図である。
図41(b)は、
図41(a)のF-F線縦断面図である。
【
図42】
図42は、蓋体付き容器の一実施例を表す断面図である。
【
図43】
図43は、蓋体付き容器の一実施例を表す断面図である。
【
図44】
図44は、蓋体付き容器の一実施例を表す断面図である。
【
図45】
図45(a)、
図45(b)は、本発明の第2実施形態の変形例2にかかる蓋体の一実施例を説明するための平面図である。
【
図46】
図46(a)は、本発明の第2実施形態の変形例6にかかる蓋体の一実施例を説明するための平面図である。
図46(b)は、本発明の第2実施形態の変形例6にかかる蓋体の一実施例を説明するための断面図である。
【
図47】
図47は、本発明の蓋体の一実施例を説明するための平面図である。
【
図48】
図48は、本発明の蓋体の一実施例を説明するための平面図である。
【
図49】
図49(a)、
図49(b)は、本発明の蓋体の一実施例を説明するための平面図である。
【
図50】
図50(a)、
図50(b)は、本発明の第2実施形態にかかる蓋体の一実施例を説明するための説明図である。
【
図51】
図51は、本発明の第2実施形態の変形例7にかかる蓋体の一実施例を説明するための平面図である。
【
図52】
図52は、本発明の第2実施形態の変形例8にかかる蓋体の一実施例を説明するための説明図である。
【
図53】
図53(a)は、他の態様のタブ部材を有する蓋体の構成を表す平面図であり、
図53(b)は、
図53(a)で示したタブ部材を有する蓋体の使用例を説明する図である。
【
図54】
図54は、他の態様のタブ部材を有する蓋体の構成を表す平面図である。
【
図56】
図56は、本発明の第2の実施形態の変形例にかかる蓋体の一実施例を説明するための平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る蓋体について、図面に基いて詳細に説明する。なお、本発明に係る蓋体は、コーヒーカップのような各種の飲料物を入れる容器(カップ)に対して用いられる蓋体を例として挙げて説明するが、飲料物を入れる容器の蓋体に限定されるものではなく、飲料物以外の食料品を収容する容器の蓋体としても適用することが可能である。また、本発明に係る蓋体は、飲食物以外の各種物品、例えばボルトやナット等といった部品や、上記した部品以外の物品を収容することのできる容器にも適用することができる。さらに、本発明に係る蓋体は、以下においては平面視したときの形状が円形状であるものの例を用いて説明するが、蓋体は平面視したときの形状が円形状であるものに限定されることはなく、楕円形状、矩形状、三角形状などの多角形状、面取り矩形状、面取り多角形状等、円形状以外の各種の形状の蓋体にも適用することができる。
【0011】
なお、説明は、容器に嵌めつけることができるタイプの蓋体を第1実施形態として説明し、容器に嵌めつけないタイプの蓋体を第2実施形態として説明する。本明細書において、実施形態が異なっていても実質的に同様の特徴を有する構成については、同じ符号を用いて示すこととし、その構成についての詳細な説明は省略される。
【0012】
(第1実施形態)
図1から
図6に示すように、第1実施形態にかかる蓋体1は、天蓋部2と側壁3とを備えている。側壁3は、紙系素材の両端部を接合することにより、筒状又は環状に形成して構成されている。この側壁3は、上部壁5と下部壁6とを有している。また、側壁3は、上端3b側から下端3c側に向けて先細り状に形成されている。
なお、ここで「先細り状」とは、側壁3の外壁3aの形状が上端3b側から下端3c側に向かって、側壁3が全体的に先細り状に形成されていることを意味している。この「先細り状」には、側壁3の外壁3aが上端3b側から下端3c側に向かって順次大きさが小さくなる形状を含むほか、側壁3の外壁3aの一部に、一部大きさが大きくなる膨出部や突出部等があったり、これら膨出部や突出部が形成されていたとしても、側壁3の外壁3aが全体的に先細り状になっている形状も含む。側壁3の外壁3aが上端3b側から下端3c側に向かって順次大きさが小さくなる形状の場合には、該側壁3の外壁3aが上端3b側から下端3c側に向かって直線状に順次大きさが小さくなる形状のほか、曲線状に順次大きさが小さくなる形状であってもよいし、また上端3b側と下端3c側との間に段差3d(
図6等参照)が形成されている形状であってもよい。また、側壁3の一部分が先細り形状に形成されていないストレートの筒状形状又は環状形状であったとしても、側壁3の外壁3aが全体的に先細り形状になっている形状も、この「先細り状」に含まれる。すなわち、ここでの「先細り状」とは、側壁3の外壁3aの形状が側壁3全体として先細りしている形状であればよく、外壁3aの一部分が先細り形状とは異なる形状に形成されている態様であっても含む概念である。
【0013】
天蓋部2は、天面部2aと立ち上がり部4とを有している。天面部2aは天蓋部2の中央部分に形成されている天蓋の本体部となる箇所であり、
図9に示すように容器101の口部102を閉蓋するときに、該口部102の周縁に形成されている縁部103の少なくとも一部と接して口部102を覆うことができる大きさ及び形状に形成されている。天面部2aは、開口部12を有する本体2a1と、小蓋片13とを有する。小蓋片13は、開閉可能に形成されている。容器103に取り付けられた状態では、天面部2aは、口部102の上側に位置し、本体2a1と小蓋片13とで口部102を覆う。立ち上がり部4は、天面部2aの周縁に形成されている部分であり、天面部2aの周縁から上方向に立ち上がるように形成されている。天面部2aと立ち上がり部4とは、別体で形成してもよいが、製造効率や蓋体1としての密閉性等の観点から、一体的に形成されていることが好ましい。天蓋部2において天面部2aと立ち上がり部4とを一体的に形成する場合には、従来から公知の方法を任意に採用して形成することができるが、天蓋部2の形成の容易さの観点から、折り曲げ成形することによって、天面部2aと立ち上がり部4とを形成することが好ましい。すなわち、立ち上がり部4は、天面部2aの周縁に曲げ形成されていることが好ましい。
【0014】
天蓋部2と側壁3とは、天蓋部2の立ち上がり部4の外面4bを側壁3の上部壁5の内面5aと接合することで一体化されている。側壁3の下部壁6の内面6a側には、
図9に示すように、容器101に形成されている口部102に設けられた縁部103(
図9においてはカール形状に形成されているカール部)と係合することのできる形状に形成された係合部7が形成されている。係合部7は、容器101の縁部103と係合することができれば任意の形状に形成することができる。例えば、
図1に示すような直線状の先細り形状とすることもできるし、縁部103の形状に合わせて下部壁6を膨出させることにより、係合部7を形成しても良い。また、下部壁6の内面6a側に、内向きに突出する突出部を形成することにより係合部7を形成したり、係合部7の一部として先に説明した突出部を設けるように形成してもよい。このように、内面6a側に内向きに突出する突出部を形成することにより係合部7を形成する場合には、内面6aに対して連続的に形成してもよいし、突出部が形成されている部分と突出部が形成されていない部分とを交互に形成して、該突出部を断続的に形成するようにしてもよい。また、突出部を断続的に形成する場合においては、それぞれの突出部の突出の大きさや長さは同じにしてもよいし、異ならせてもよい。
【0015】
係合部7は、側壁3の下部壁6の内周面を押圧プレスすることにより形成してもよい。特に、係合部7を環状の凹溝状に形成する場合等においては、下部壁6の内周面を押圧プレスすることにより、矩形状や扇形状の紙系素材の両端部を接合して形成した側壁3の下部壁6に形成される係合部7の接合部分における段差を小さくすることができ、蓋体1と容器101との間に隙間が形成され難く、閉蓋時における蓋体1による密閉性が向上する。
【0016】
本実施の形態に係る蓋体1では、側壁3を上端3b側の弧の長さが下端3c側の弧の長さよりも長い扇形状をしたブランク材(図示せず)の両端部を接合して、筒状又は環状に形成して構成されている。そのため、側壁3は、側面が上端3b側から下端3c側に向かって(容器101の口部102の方向に向かって)全体的に先細り形状(
図6の矢印a方向に向けて全体的に傾斜状に)形成され、係合部7の下端側の内寸法が係合部7の上端側の内寸法よりも小さくなるように形成されている。
【0017】
本実施の形態に係る蓋体1は、側壁3が上端3b側から下端3c側に向けて先細りした傾斜状に形成されているため、
図11に示すように複数の蓋体1を積み重ねたときのスタッキング性に優れている。すなわち、本実施の形態に係る蓋体1は、複数の蓋体1を上下に積み重ねることによって、少ないスペースでの保管や運搬が可能となり、保管時や運搬時のコストの低減化を図ることができる。側壁3は、外壁3aの側面が全体的に傾斜状に形成されている場合に限定されず、側壁3の一部部分、例えば側壁3の上端3b側又は下端3c側だけが傾斜状に形成されていてもよい。また、側壁3の上端3b側と下端3c側とで異なる傾斜角となるように形成されていてもよい。さらに、本実施の形態に係る蓋体1は、側壁3を矩形状の紙系素材で囲繞状、すなわち天蓋部2の天面部2aの周囲を囲むような環状又は筒状に形成することにより、非傾斜状の筒状又は環状に構成してもよい。さらに、紙系素材により形成された逆扇形状のブランク材で側壁3を構成することにより、
図11等に示した場合と逆の傾斜状にすることもできるものの、側壁3は非傾斜状とするか、又は
図11等に示したように、容器101の側壁104の傾斜角に沿うような先細り形状に傾斜した構成とすることが好ましい。その中でも、側壁3は、外壁3aの側面を上端3b側から下端3c側に向かって先細り形状となるように傾斜した環状又は筒状となるように形成することにより、複数個の蓋体1を積み重ねる場合における蓋体1のスタッキング性が向上する。また、上記したように側壁3を形成することで、蓋体1を容器101に嵌合させて容器101の口部102を閉蓋した場合における容器101に対する閉止性、密閉性をより優れたものとすることができる。なお、蓋体1のスタッキング性を更により向上させる観点からは、側壁3の外面には段差3dを形成することが好ましい。側壁3の外面に段差3dを形成することにより、スタッキング時において上に積み重ねられる蓋体の下部壁6がその下に位置する蓋体1の上部壁5により囲まれた空間内に侵入し、かつ下部壁6の侵入が上部壁5の内面によって規制されることを大きく低減することもできる。そのため、複数個の蓋体1を積み重ねる際に、より少ないスペースにより多くの蓋体1を積み重ねることができる。これは、例えば蓋体1をコンテナや包装箱などのように高さが決まったものの中に収容する場合、スタッキングできる蓋体1の数を増加させることが可能となる。そのため、蓋体1を輸送するときなどのような物流コストをも低減することが可能になる。
【0018】
蓋体1における側壁3を形成する紙系素材により形成されたブランク材の両端部の接合や、天蓋部2における立ち上がり部4と側壁3との接合は、従来から公知の接合方法により行うことができる。接合方法は、例えば通常の接着剤やホットメルト接着剤、二液型接着剤、ヒートシール、超音波接合、高周波接合等のような方法が挙げられるが、天蓋部2の立ち上がり部4及び側壁3の接合面を、ヒートシール性を有する素材で構成して、ヒートシールにより接合することが製造効率上の観点から好ましい。
【0019】
図9は、蓋体1を容器101に被せて容器101の口部102を封止した状態を示し、
図10は、蓋体1を容器101に被せる途中の状態を示す。本実施の形態に係る蓋体1は、係合部7が容器101の縁部103と係合するように形成されている。本実施の形態に係る蓋体1は、係合部7を容器101の縁部103に係合させた際に、下部壁6の下端部8が容器101の側壁104と接しないように形成されている。蓋体1は、容器101を高い密閉性で閉蓋することができるのみならず、また下部壁6が弾力性を有するために容器101からの取り外しも容易に行うことができる。また、蓋体1は、容器101に取り付けた際に、下部壁6の下端部8が容器101の側壁104と接しない構造とすることにより、容器101から蓋体1を取り外す際に、下部壁6の下端部8等に指等をかけて下部壁6を引き上げることにより、容器101の口部102の縁部103と蓋体1の係合部7との係合が外れる。そして、さらに蓋体1を上方に引き上げることによって、容器101から蓋体1をより容易に取り外すことができる。
【0020】
蓋体1は、紙系素材を囲繞状、すなわち環状又は筒状にして形成された側壁3の下部壁6に、容器101の口部102と係合する係合部7を形成した構成を有している。また、係合部7が設けられている側壁3の下部壁6は、側壁3の下部壁6を折り返して天蓋部2と接合した場合に比べて弾力性に優れている。そのため、蓋体1の係合部7の径を容器101の縁部103の外径より小さめに設計しても、蓋体1を容器101に確実に係合させることができる。また、このように、係合部7の径を容器101の縁部103の外径よりも小さめに設計することで、容器101の中に形成された空間部105にコーヒー等の液体製品、特に熱い液体製品等といった内容物を収容することで空間部105内の圧力が高まった場合でも、蓋体1が容易に外れるおそれがなく、高い密閉性を維持した状態で容器01を閉蓋することができ、側壁3が上端側から下端側に向けて全体的に先細り状に傾斜するように形成されていることと相まって、高い密閉性をもって閉蓋することができる。
【0021】
また、第1実施形態に係る蓋体1は、側壁3の下部壁6が弾力性を有することにより、容器101の口部102の寸法に誤差があっても、確実に容器101の口部102を確実に閉止して高い密閉性を保持することができる。また、側壁3を上端3b側から下端3c側に先細り状に傾斜させ、この側壁3の上部壁5の内面5aに立ち上がり部4を接合して天蓋部2と側壁3とを接合一体化しているので、天蓋部2の立ち上がり部4の外面と側壁3の上部壁5の内面との接合強度が高まる。特に、
図1等に示す蓋体1は、側壁3の上部壁5を立ち上がり部4の内面4a側に折り返した折り返し部9を形成し、立ち上がり部4の内面4aと、この内面4aと対向する折り返し部9の対向面9aとが接合されている。そのため、上記した天蓋部2と側壁3との接合強度はより高まる。そのため、蓋体1に負荷力が加わった時でも、蓋体1に捩れ等が生じ難くなり、係合部7と容器101の縁部103との係合が外れるおそれもなく、熱い飲料等を収容した際に密閉した容器101の内圧が高まっている場合でも、蓋体1が容器101から外れるおそれが極めて少ない。
【0022】
一般に、天蓋部2の大きさが大きい蓋体1ほど、蓋体1への負荷によって天蓋部2は捩れやすくなる。しかし、第1実施形態に係る蓋体1のように、側壁3を上端3b側から下端3c側に向けて先細りするように傾斜させて形成し、この側壁3の上部壁の内面に、拡開傾斜状に立ち上がり形成した立ち上がり部4を接合した構成とし、更にはこの立ち上がり部4と折り返し部9とを接合した構成とすることにより、蓋体1が大型の場合であっても、蓋体1に加わる負荷によって蓋体1が容器101から外れるおそれが少なくなる。蓋体1は、天蓋部2の立ち上がり部4と側壁3の上部壁5との接合部分の下接合点10の間の大きさ(円形の天蓋部2の場合、下接合点10の径)が、係合部7の下端部8の間の大きさ(円形の天蓋部2の場合、係合部7の下端部の内径)より大きく形成されることで、確実な閉蓋状態を保持することができる。本実施の形態に係る蓋体1は、天蓋部2の上側に、側壁3の上部壁5と天蓋部2の立ち上がり部4との接合部が突出壁121として形成されている。この突出壁は、容器101の内容物がコーヒー等の飲料の場合、飲料を飲む際に使用者が口を当てる部分である口当て部として利用することができるとともに、飲料が溢れるのを防止する溢れ防止壁として利用することもできる。
【0023】
容器101は、コーヒーカップやカップヌードルの容器のような側壁104が傾斜した形状の容器に限定されず、ナッツ缶等のような円筒状の容器であってもよい。蓋体1は、紙容器、プラスチック容器、発泡プラスチック容器、金属管等の種々の容器に使用することができ、液体物を収容する容器に限らず、乾燥した食品等の収納容器や非食品容器等の蓋体としても用いることができる。また、蓋体1は、コーヒーカップやカップヌードル、ナッツ缶等の容器の他、スープ、ヨーグルト、アイスクリーム、各種総菜や弁当の容器等の蓋体として用いることができるが、飲食品用の容器に限らず、あらゆる容器の蓋体として用いることができる。
【0024】
側壁3が上端3b側から下端3c側に先細り傾斜状に形成されている本実施形態の蓋体1は、蓋体1の側壁3の傾斜角:α(
図9参照)と、容器101の側壁104の傾斜角:β(
図9参照)は、同じであっても異なっていても良く、異なる場合には側壁3の傾斜角:αが、容器101の側壁104の傾斜角:βより大きくても小さくても良いが、傾斜角:αが傾斜角:βより小さい場合(傾斜が大きい場合)には、蓋体1の容器101への嵌合力がより高くなり、より密閉性が高められる。蓋体1の側壁3の傾斜角:αの、容器101の側壁104の傾斜角:βに対する大きさは、蓋体1の密閉性を高めるために、容器101の大きさ(蓋体1の大きさ)等の違いに応じて任意に変更することができる。また多角形状の容器のような非円形容器の場合には、蓋体1がはまり込む容器部位の形状の違いに応じて蓋体1の側壁3の傾斜角:αを変えることにより、容器の部位の違いによる密閉性が変化することを防止することもできる。
【0025】
上記実施形態の蓋体1は、側壁3の上部壁5と、天蓋部2の立ち上がり部4とが同一の高さとなるように形成されているが、側壁3の上部壁5と、天蓋部2の立ち上がり部4とは、高さは等しくなるように形成されている場合に限らず、側壁3の上部壁5、天蓋部2の立ち上がり部4のいずれか一方が他方よりも短く形成されていても良い。
【0026】
蓋体1の側壁3を構成する紙系素材としては、繊維原料のスラリーを網上に抄き取り、乾燥ないし押圧乾燥、抄紙してシート状にして得られる、いわゆる紙や、パルプ系繊維等からなる原料シートを粉砕機で粉砕して得られる粉砕パルプ等の開繊繊維原料を空気流によって積繊し、積繊体の繊維相互をバインダーで固定して得られるいわゆるエアレイドシート等、植物繊維、その他の繊維を膠着させて製造される所謂紙類の他、化学繊維紙、合成紙、耐水紙、コート紙、代替紙、羊皮紙、羊毛紙、ガラス繊維紙、ストーンペーパー、陶紙等や、これらを複数枚積層したもの等が挙げられる。紙系素材としては、パルプだけからなるもののほか、非パルプ系の天然繊維や合成繊維、再生繊維等の繊維を含むものであっても良いが、パルプを50質量%以上含むことが好ましく、70質量%以上含むものがより好ましく、更に80質量%以上含むものが好ましいが、特にパルプ100質量%からなるものが好ましい。紙系素材は、合成樹脂や天然樹脂のフィルムや不織布、木箔等の木質系素材等、さらにはアルミ箔等の素材との複合材料も用いることができるが、複合材料とする場合、複合材料全体としてパルプを50質量%以上含有することが好ましく、特に80質量%以上のパルプを含むものが好ましい。パルプ含有分の高いほど、紙系素材が生分解されやすくなるため好ましい。
【0027】
パルプとしては、木材パルプ、非木材パルプ、古紙パルプ、合成パルプ、などが挙げられる。より具体的には、砕木パルプ(GP)、ストーングランドパルプ(SGP)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、加圧式砕木パルプ(PGW)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、ブリーチドケミサーモメカニカルパルプ(BCTMP)等の機械パルプ(MP)、化学的機械パルプ(CGP)、半化学的パルプ(SCP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)等のクラフトパルプ(KP)、ソーダパルプ(AP)、サルファイトパルプ(SP)、溶解パルプ(DP)等の化学的パルプ(CP)、ナイロン、レーヨン、ポリエステル、ポリビニルアルコール(PVA)等を原料とする合成パルプ、かすパルプ(TP)、木綿、アマ、麻、黄麻、マニラ麻、ラミー等を原料とするぼろパルプ、わらパルプ、エスパルトパルプ、バガスパルプ、竹パルプ、ケナフパルプ等の茎稈パルプ、靭皮パルプ等の補助パルプなどから、一種又は数種を適宜選択して使用するものが挙げられる。パルプは、赤松、トド松、エゾ松、ダグラスファー、ヘムロック、スプルース等の針葉樹パルプ、ブナ、ナラ、カバ、ユーカリ、ポプラ、アルダー等の広葉樹パルプ、針葉樹パルプと広葉樹パルプの混合物等の木材パルプ、ケナフ、バガスパルプ、タケパルプ、シリアルパルプ、ワラパルプ、アバカパルプ、木綿パルプ等の非木材パルプ、古紙パルプ等を用いることができる。針葉樹パルプは広葉樹パルプに比べて繊維長が長いため、針葉樹パルプ等の繊維長の長いパルプを用いた紙材料は、繊維相互の絡み具合が高まり、また針葉樹パルプ等を用いた原料シートを粉砕した粉砕パルプも、広葉樹パルプからなる原料シートを粉砕した粉砕パルプに比べて繊維長が長いため、繊維相互の絡み合いにより紙系素材の強度が向上する。なお、用いるパルプとしては、上記したもののうち生分解性を有するパルプを用いることが好ましい。
【0028】
紙系素材は耐水性を有することが好ましく、耐水紙等のあらかじめ耐水性が付与された素材を用いたり、少なくとも紙系素材の容器側に位置する表面にコート層を設けたものを用いても良い。コート層は、フィルムを貼着したり、塗工剤を塗布することにより設けることができる。
【0029】
コート層を形成する樹脂としては、例えばポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタラート、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、シアノアクリレート、エポキシ樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ポリメタクリル酸樹脂、ナイロン、ポリカーボネート;ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリヒドロキシブチレート、ポリ乳酸、エステル化デンプン等のデンプン系樹脂、酢酸セルロース、ポリエチレンサクシネート、ポリビニルアルコール、ポリグリコール酸、キトサン/セルロース/デンプン、ポリ(ヒドロキシブチレート/ヒドロキシヘキサノエート)、ポリ(カプロラクトン/ブチレンサクシネート)、ポリブチレンサクシネート、ポリ(ブチレンサクシネート/アジペート)、ポリ(ブチレンサクシネート/カーボネート)、ポリ(エチレンテレフタレート/サクシネート)、ポリ(ブチレンアジペート/テレフタレート)、ポリ(テトラメチレンアジペート/テレフタレート)等の天然分解性樹脂や天然分解性樹脂混合物;天然分解性バイオマス樹脂や天然分解性バイオマス樹脂の混合物;フッ素樹脂、シリコーン樹脂、紫外線硬化樹脂や、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-プロピレン-ブタジエン共重合体、アクリル-スチレン共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体等、上記樹脂を構成するモノマーの共重合体、天然樹脂、パラフィン、ゼラチン、セロハン、ポリメチルペンテン等を用いることができる。コート層は、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシアルカノエート、デンプン系樹脂等の天然分解性樹脂、天然分解性バイオマス樹脂、天然樹脂等の天然分解性樹脂やこれらで形成することが好ましい。
【0030】
天然分解性樹脂としては、天然樹脂、天然分解性プラスチックやバイオマスプラスチック等が挙げられる。天然分解性プラスチック、バイオマスプラスチックとしては、例えばポリカプロラクトン、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリヒドロキシブチレート、ポリ乳酸、エステル化デンプン等のデンプン系樹脂、酢酸セルロース、ポリエチレンサクシネート、ポリビニルアルコール、ポリグリコール酸、キトサン/セルロース/デンプン、ポリ(ヒドロキシブチレート/ヒドロキシヘキサノエート)、ポリ(カプロラクトン/ブチレンサクシネート)、ポリブチレンサクシネート、ポリ(ブチレンサクシネート/アジペート)、ポリ(ブチレンサクシネート/カーボネート)、ポリ(エチレンテレフタレート/サクシネート)、ポリ(ブチレンアジペート/テレフタレート)、ポリ(テトラメチレンアジペート/テレフタレート)等の天然分解性樹脂や天然分解性樹脂混合物が挙げられる。
【0031】
また、天然分解性樹脂は、例えばステアリン酸アミド、脂肪酸エステル、脂肪酸金属塩、脂肪酸、油脂、グリセリン脂肪酸エステルなどの滑剤;トリフェニルフォスフェート、無水フタル酸、トリスジブチルフォスフェート、無水酢酸などの安定剤;二酸化チタン、カオリン、マイカ、ベントナイト、珪藻土、酸化マグネシウム、珪砂アルミニウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、貝殻粉末などの無機材料;高級脂肪酸アミド、非イオン界面活性剤、グリセリン脂肪酸エステルなどの界面活性剤;クエン酸、炭酸水素ナトリウム、ブタンなどの発泡剤;帯電防止剤、ホットメルト接着剤などのその他の材料等、日本バイオプラスチック協会のポジティブリストに掲載されている添加剤を含有していても良い。
【0032】
また、「天然分解性」とは、空中、土中、水中のいずれかにおいて、微生物、紫外線、気候の変化等によって分解されて、環境負荷を少なくすることができる性質をいう。また、蓋体は、該蓋体を取り付ける容器の内容物によって限定されるものではなく、あらゆる種類の内容物を入れることのできる容器を閉止する蓋体に対して適用することができる。
【0033】
蓋体1における天蓋部2は、側壁3と同様の紙系素材で構成することができるが、紙系素材の他に、フィルム乃至シート材で構成することができる。天蓋部2をフィルムやシート材で構成すると、天蓋部2が紙系素材よりなる場合よりも屈曲性が高いため、蓋体1の容器101へのはめ込みがより容易となる。また透明なフィルムやシート材で構成すると、容器101に取り付けた際に、容器101内の収納物を容易に目視確認することができる。フィルムやシート材としては、例えばポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリビニルアルコール、アクリル系樹脂であるポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体等、ポリエチレンテレフタレート、セロファン、ナイロン、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリメチルペンテン、ポリ酢酸ビニル、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシアルカノエート、デンプン系樹脂や、これらの複合体等を用いることができるが、ポリ酢酸ビニル、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシアルカノエート、デンプン系樹脂等の生分解性を有するものが好ましい。また紙等に蒸着等によりアルミニウム層を形成したものや、更に紙等の表面にアルミニウム層を設け、更にその片面又は両面にポリエチレン、ポリプロピレン等のラミネート層やコート層を設けた積層体も用いることもできる。天蓋部2をフィルムやシート材で構成する場合、PET等のヒートシールが困難な材質を用いる場合、側壁3と接合する面に、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン(OPP、CPP等)がコートされていると、ヒートシールによる接合を容易に行うことができる。
【0034】
蓋体1は、天蓋部2を紙系素材で構成する場合も、フィルムやシート材で構成する場合も、天蓋部2の容器101の口部と接する側がヒートシール性を有する素材で構成されている場合には、天蓋部2を容器101の縁部103とヒートシールによって接合しておいても良く、使用時にシールを外しながら蓋体1を容器101から取り外すようにしても良い。このようにすると、容器101の内容物を使用するまで、外気から遮断することが可能となる。天蓋部2をフィルムやシート材で構成する場合、耐通気性や耐透湿性を有する材質を用いると、外気に対する遮断性が高まり好ましい。
【0035】
第1実施形態の蓋体1により容器101を閉蓋する場合、まず、
図10に示すように蓋体1の一端側の係合部7を、容器101の縁部103にはめ込み、次いで、蓋体1の反対に向けて係合部7を順次、縁部103にはめ込んで行き、天蓋部2を反らせるようにして、蓋体1の他端側の係合部7を容器101の縁部103にはめ込むことで、容器101に蓋体1をはめ込んで、
図9に示すように閉蓋することができる。第1実施形態の蓋体1は全体としての撓み性を有し、かつ側壁3の下部壁6は肉厚方向に弾力性を有しているため、容器101の口部の外寸法よりも下部壁6の下端部の内寸法が小さい場合でも、容器101に蓋体1をはめ込むことができ、容器口部(縁部103)と蓋体1の下部壁内面及び天蓋下面側とが密着して高い密閉性をもって確実に容器101を閉蓋することができる。第1実施形態の蓋体1は、カール部を有する容器に限らず、容器口部に嵌め込んで高い密閉性を維持することができる。
【0036】
次に、天蓋部2における開口形成部11等の構成について説明する。
図1等に示すように、開口形成部11は、開口部12及び小蓋片13を有している。開口部12は、
図1に示すように、天面部2aにおける本体2a1の内部に形成されていることが好適である。また、小蓋片13は、本体2a1の開口部12を開閉自在に形成されていることが好適である。この場合、小蓋片13及び開口部12は、
図1及び
図4に示すように小蓋片13が開口部12を閉じている状態と、
図3及び
図5に示すように小蓋片13が開いて開口部12が開口している状態となるように形成されている。開口形成部11を構成する開口部12は、天蓋部2の内外を連通し、天蓋部2の表面2b及び裏面2cの間を貫通形成するように形成されている。この開口部12は、例えば蓋体1を容器101に取り付けた場合には、容器101の空間部105にある内容物(例えば飲料物や飲食物など)の出入口を開口形成するためのものである。
図1等に示すように、開口形成部11は、天蓋部2において、天蓋部2の中央部から外側へ向かう方向の所定位置までずれた位置に設けられている。また、天蓋部2に形成されている小蓋片13は、天蓋部2の中央部から外側に向けて所定距離離れた位置に位置する一端部13aが自由端となり、一端部13aよりも中央寄りに位置する他端部13bが固定端となるように形成されている。なお、小蓋片13において、一端部13aのことを天面部2aの中央寄りに位置する基端部とも言い、他端部13bのことを天面部2aの縁部側に位置する先端部とも言う。また、この自由端となっている一端部13aを先端とも言い、この先端と他端部13b(ヒンジ部14)との間において他端部13bよりも先端である一端部13aに近接する位置のことを「先端寄りの位置」や「先端寄り」という。
【0037】
他端部13bにはヒンジ部14が形成されており、このヒンジ部14を介して小蓋片13が開閉可能に形成されている。つまり、開口形成部11は、小蓋片13の他端部13bにおけるヒンジ部14を支点として回動し、一端部13aが天蓋部2に対して開く動作や閉じる動作を行うように構成されている。また、開口形成部11は、小蓋片13が開いたときに開口部12が開口形成されるようになっている。なお、小蓋片13が開閉動作するにあたり、ヒンジ部14には折り曲げ線15が形成されていることが好ましい(
図12(g)参照)。この折り曲げ線15は天蓋部2の表面2b側及び/又は裏面2c側に形成されていてもよい。このように、折り曲げ線15をヒンジ部14に形成することにより、この折り曲げ線15を基準にして小蓋片13の開閉動作をしやすくすることができるとともに、折り曲げ線15が形成されている箇所で小蓋片13の他端部13bが折れ曲がるので、ヒンジ部14で折り曲げられたとき、すなわち小蓋片13が開いたときに折れ曲がりやすく、かつきれいに折れ曲がるようにすることができる。言い換えると、折り曲げ線15を形成することによって、該折り曲げ線15が形成されている箇所以外の場所が支点となって小蓋片13が折り曲げられるといったことを防止することができる。なお、この折り曲げ線15は、例えばプレス成形によって線状に押圧することができる。すなわち、プレス成型機等によって折り曲げ線15を形成する所定の箇所に線状のプレスを行うことにより、折り曲げ線15を形成することができる。このようにして折り曲げ線15を形成した特定の場所においてのみ小蓋片13が折り曲げられるので、該小蓋片13が折り曲げられる位置のバラツキを大きく低減することができる。なお、折り曲げ線15の形成については、従来から知られている任意の方法を適宜選択して用いることができる。
【0038】
開口形成部11は、容器101に蓋体1を取り付けた状態で小蓋片13を開くと、容器101の空間部105が開口部12を通じて視認することができるようになっている。なお、この開口部12が形成されている箇所は、容器101に蓋体1を取り付けた状態のときに、開口部12の一端側端部12a(小蓋片13の一端部と同じ側の端部)が容器101の内側壁106よりも外側に位置する場所に形成することが望ましい。
【0039】
開口形成部11は、ヒンジ部14が形成されている箇所においては折り曲げ線15が形成されており、ヒンジ部14が形成されている箇所以外の箇所においては、切込み線16が形成されるとともに、この切込み線16と切込み線16との間に形成された点状接合部17が設けられている。この点状接合部17は、天面部2aに小蓋片13を接合し、開口部12が閉じた状態を維持するためのものである。開口形成部11をこのように形成することにより、使用前の状態では点状接合部17が存在することにより小蓋片13が閉まっている状態を維持することができるとともに、後述するタブ部材21により引っ張られたり、又はタブ部材21により引き上げられたときに、点状接合部17が切断し、この点状合部17での接合が解除されるように構成されている。
【0040】
また、開口形成部11は、前述したように切込み線16と点状接合部17によって形成するほかに、小蓋片13の形状に全体的に沿って(言い換えると開口部12の形状に全体的に沿って)切断可能ラインを形成した、ハーフカットとして形成してもよい。ハーフカット部として形成する場合には、上記したような切込み線16や点状接合部17はなく、小蓋片13(又は開口部12)の形状に沿って全体的に切り込みが形成されている。このハーフカット部における切り込みの深さは、天蓋部2の全体的な肉厚よりも薄く、かつ切込み線16のように天蓋部2の表面2b及び裏面2cの間を貫通しないように形成されている。なお、これら切込み線16及び点状接合部17と、ハーフカット部とを使用する際は、これら蓋体1において切込み線16及び点状接合部17に代えてハーフカット部を形成する場合のほか、切込み線16及び点状接合部17とハーフカット部とをそれぞれ用いていてもよい。
【0041】
図1等に示すように、小蓋片13には、ヒンジ部14が形成されている他端部13bに、小蓋片13を引き上げた際に加わる力に対して生じる応力を軽減させるための応力軽減部18が形成されている。この応力軽減部18は、
図1等に示す例ではヒンジ部14が形成されている箇所において小蓋片13が形成されている方向とは逆の方向に向けて、互いの切込み線16の間の距離が離れる方向に湾曲形成するように形成されている。この応力軽減部18は、切込み線16の他端部側の端部が、ヒンジ部14の形成されている径方向の位置からずれた位置、すなわち、該径方向の位置よりも径方向外側に向かった位置となるように形成されている。応力軽減部18において切込み線16の他端側の端部の位置を上記した位置とすることで、ヒンジ部14に隣接する位置での切込み線16が形成されることにより当該位置に加わる応力の大きさを低くすることができる。なお、このように当該位置において発生する応力の大きさを小さくするためには、ヒンジ部14が形成されている箇所と同じ箇所に切込み線16の他端側の位置を形成するのではなく、ヒンジ部14が形成されている箇所とは別の異なる箇所に切込み線の他端側端部の位置が位置するように形成すればよい。このように、応力軽減部18を形成することにより、小蓋片13を開いたときに、切込み線16の他端側端部側に加わる応力を低減することができ、小蓋片13を開くのと併せて天蓋部2に破れや破損が生じるといった不具合を解消することもできるようになる。
【0042】
なお、切込み線16は、
図6に示すように、天蓋部2の表面2bから裏面2cと垂直に切り込み形成されていてもよく、また天蓋部2の表面2bから裏面2cに向けて、所定の角度を有するように切り込み形成されていてもよい。
図6に示すように天蓋部2の表面2bから裏面2cに向けて垂直に切りこみを形成した場合には、この切込み線16に沿って比較的に小蓋片13を開きやすくすることができる。また、所定の角度を有するように切込み線16を切り込み形成した場合には、天蓋部2側に形成されている斜面状に形成された切込み面と、小蓋片13側に形成されている斜面状に形成された切込み面とが互いに当接し合っている。そのため、小蓋片13を引き上げようとした際や、容器101を蓋体1で閉蓋した場合に、空間部105内の蒸気圧の変化などによって天蓋部2の裏面2c側から表面2b側に向けて押圧されたときであっても、小蓋片13側の切込み面と天蓋部2側の切込み面とが互いに当接し合って、小蓋片13を開きにくくすることができる。そのため、このように蓋片を形成すると、不意に小蓋片13が開いたりすることをより効果的に防止することが可能になる。なお、天蓋部2側と小蓋片13側とで互いに斜面状の切込み面を形成する場合には、天蓋部2側の切込み面は、表面側の切込み面端部が裏面2c側の切込み面端部よりも中央寄りに形成された斜面であることが好ましい。また、加えて小蓋片13側の切込み面は、裏面2c側の切込み面の端部が表面2b側の切込の端部が径方向外方寄りとなるように形成されることが好ましい。
【0043】
開口形成部11は、例えばトムソン型を用いて抜き加工する方法や、これに相当する従来から公知の方法を任意に選択して形成することが出来る。また、上記した方法で開口形成部11を形成するためには、抜き加工を行うときに用いられる抜き刃の厚さが1.0mm以下であることが好ましい。より具体的には、0.7mm以下であることがより好ましく、さらには0.4mm以下であることが好ましい。抜き刃の厚さが0.4mm以下である場合には、切込み線16が形成されつつも、切断後における紙材料の特性により、該切込み線16からの隙間が形成されにくくなる。そのため、この切込み線16からの漏れを大きく低減することが可能になる。なお、本実施の形態では、開口部12の形状は小蓋片13の形状と対応する形状となるように形成されているが、開口部12の形状はこのような形状に限定されるものではなく、小蓋片13の形状とは異なる形状となるように形成しても良いが、この場合において例えば開口部12と小蓋片13との間に隙間が形成されるときは、この隙間から埃などが容器101の内部に侵入しないようにすることが望ましい。したがって、蓋体1の成形のしやすさや埃等のような異物が混入するといったおそれを解消するといった観点から、開口部12の形状は小蓋片13の形状と同じ形状となるように形成することが好ましい。
【0044】
開口部12は、例えば本実施の形態のように飲料物を入れる容器の蓋体1の場合には容101内の飲料物を利用者が飲む際に容器101内の飲料物を容器101外へ流出させることができる飲み口として機能させることができるように形成されている開口である。また、開口部12は、ストローのような物を容器101の空間部105へ挿入することができる挿入口として機能させてもよい。
【0045】
図1等に示すように、小蓋片13には、タブ部材21が取り付けられている。このタブ部材21は、小蓋片13の先端寄りの位置において該小蓋片13と接合する接合部22が一端部21aに形成されている。すなわち、小蓋片13の先端寄りには、タブ部材21の一端部21aと接合した接合部22が接合されていることになる。この接合部22は、超音波接合やヒートシール、接着剤による接合などといった各種の方法により、小蓋片13に接合するためのものである。接合部22における接合の仕方としては、上記したもののうち接合のしやすさや接合の強度等といった観点から、超音波接合により行うのが好ましい。この小蓋片13に対してタブ部材21が取り付けられている一端部21a側の箇所は、小蓋片13の中央部からずれた位置、さらには該小蓋片13において天蓋部2の中央部から離れた位置、さらには該天蓋部2の中央部からもっとも離れた位置に取り付けられている。すなわち、タブ部材21は、小蓋片13において、一端部13a側に近接する位置、すなわち小蓋片13の先端寄りの位置に取り付けられている。言い換えると、小蓋片13において、タブ部材21が天蓋部2の一端側と接合することとなるように形成されている。特に、小蓋片13及びタブ部材21が接合する接合部22は、小蓋片13においてヒンジ部14とは離れた一端部13a側に形成されていることが好ましい。
【0046】
このように、小蓋片13において、タブ部材21がヒンジ部14よりも離れた先端寄りの位置において接合されていれば、ヒンジ部14(支点)に対する力点までの距離を広げることができる。これにより、タブ部材21を持ち上げる等しているときに、タブ部材21を介して小蓋片13に力が付与され、点状接合部17やハーフカット部における接合を解除し、小蓋片13をより開閉しやすくすることができるようになっている。
【0047】
タブ部材21は、小蓋片13に取り付けられている一端部21aと、この一端部21aと対向する他端部21bとを有している。また、このタブ部材21はタブ本体と保持部23とを有しており、タブ本体から保持部23が突出することができるように形成されていることが好ましい。また、この場合、保持部23は、タブ部材21における一端部21aと他端部21bとの間の位置に形成されており、タブ部材21(より具体的にはタブ本体)に切込み線23aを入れることによって爪状に形成されていることが好ましい。なお、この保持部23は、一端部21aと他端部21bとの間の位置に形成されているが、タブ部材21において他端部21bに近接する位置、言い換えると後述する摘み部24が形成されている位置又はこの摘み部24に近接した位置に形成されていることが好ましい。この保持部23は、
図1及び
図4に示す状態であるときは、タブ部材21(タブ本体)に対して切込み線23aが形成された状態となっているが、天蓋部2に形成された差し込み部26により保持されるとき、すなわち本実施の形態においては爪状に形成された保持部23が差し込み部26として天面部2aに形成された切込み線に差し込まれるときは、タブ部材21(タブ本体)から天蓋部2の表面2bに向けて突出する爪状に形成された状態となるように形成されている。本実施の形態では、
図1に示すようにこの保持部23の形状は先端23bが三角形状で先端が丸みを帯びつつも全体として尖った状態となるように形成されているが、この保持部23の形状は三角形状に限定されるものではない。例えば、保持部23の形状は半円形状や四角形状などの多角形状、楕円形状など、従来から公知の形状を任意に採用して用いることができる。即ち、保持部23は、差し込み部26に差し込まれることができ、かつ差し込み部26に差し込まれた状態のときに小蓋片13が開いた状態、言い換えると開口部12が開口した状態を維持することができるのであれば、どのような形状であってもよい。このような形状に形成された保持部23は、保持片と称呼されることがある。保持片は保持部と実質的に同じ概念であるため、以下では、保持部と保持片は同じ符号を用いて記載する。
【0048】
この保持片23は、
図2や
図3等に示すように、後述する摘み部24を摘んで小蓋片13を開蓋した際に、該タブ部材21のタブ本体から突出するように形成されていることは上記した通りである。この保持片23が形成される向きはタブ部材21における摘み部24が形成されている側から、接合部22が形成されている側に向かって突出するように形成されているのが好ましい。このように保持片23を形成することで、差し込み部26に差し込んだ時に保持片23が差し込み部26から外れにくくすることができ、小蓋片13が開蓋した状態、すなわち開口部12が開口形成された状態をより確実に維持することができるようになる。また、保持片23を突出しやすくするために、タブ部材21には折り込み線23cを形成してもよい。このような折り込み線23cを形成することにより、より保持片23を差し込み部26に差し込みやすくすることができ、上記した効果を得やすくすることができる。また、差し込み部26は、保持部23が差し込まれる前は容器101内の内容物の漏れがなくこぼれないように形成されており、保持部23が差し込まれることによって貫通形成されるようになっている。
【0049】
また、
図1及び
図3等に示すように、タブ部材21は、他端部21b側の位置に摘み部24が形成されている。摘み部24は一端部21aにおいて接合部22が形成されている箇所よりも広い幅となるように形成されており、使用者がタブ部材21を用いて小蓋片13を開口させる際にタブ部材21を摘みやすく、かつ小蓋片13を引き上げて開口する際に引っ張ったり、開口した小蓋片13をさらに閉じる際に押したりしやすくするように形成されている。本実施の形態では、摘み部24は全体的に曲線を描く形状に形成されているが、摘み部24の形状は曲線を描く形状に限定されるものではなく、使用者が摘みやすく、かつタブ部材21を操作しやすい形状であれば任意に採用してよい。また、摘み部24には、表示部24aが形成されている。この表示部24aは任意に形成してよく、例えば本実施の形態では「OPEN」という文字が記載されている。この表示部24aを形成することで、本実施の形態であればタブ部材21がどのような機能を有する部材であるかを使用者に知らせることができる。なお、表示部24aにおいて表示される文字は上記した例に限定されるものではなく、他の文字を表記してもよい。また、表示部24aの大きさや表記する文字のフォントや色などは任意に採用してよい。
【0050】
また、摘み部24には、人物の表情を模した図柄24bが設けられている。本実施の形態では、この図柄24bは、
図1(a)に示すように、保持部23が形成される切込み線23aに沿うように描かれた図柄と、この切込み線23aの基端部と近接する位置に描かれた図柄から構成されている。このように、切込み線23aに沿うように描かれた図柄を人物の口とし、切込み線23aの基端部と近接する位置に描かれた図柄を人物の目とすると、あたかも人物が微笑んでいるかのような意匠図柄が形成される。なお、この図柄を明確に表す趣旨で、
図1(b)においては、切込み線23aの記載を省略している。また、
図3に示すように、保持部23が差し込み部26に差し込まれて小蓋片13が開口した状態となった場合には、切込み線23aに沿うように描かれた図柄はそのままで、切込み線23aの基端部と近接する位置に描かれた図柄は摘み部24が立ち上がることにより、先に説明した意匠図柄とは異なる印象を受ける図柄が形成される。すなわち、この図柄24bは、保持片23を突出させる前後で異なる表情の図柄となるように形成されている。この場合、図柄24bは、保持片23を突出させる前後で立体的に変化し、保持片23を突出させる前の図柄の示す表情と、保持片23を突出させた後の図柄の示す表情とが異なるような図柄となる。このような図柄24bを形成することにより、使用者の気持ちをやわらげて、温かい気持ちにすることができる。一般に、このような蓋体1は何も印刷されずに利用されるか、又は内容物の銘柄やメーカーなどの印刷などが施されて利用されることが多いところ、このような図柄24bを設けておくことにより、無機質な状態になりがちな蓋体1においても、使用者の遊び心をくすぐったり、気持ちをやわらげたりして温かい気持ちを引き起こしたり、高い癒しの効果を得られるようにすることもできる。なお、上記した図柄24bの態様は一つの例示に過ぎず、上記した以外の図柄を任意に採用して適宜用いてもよく、摘み部24に図柄24bを形成しなくてもよい。また、先の説明では、図柄24bの例として人物の表情を模したものを取り上げて説明したが、用いられる図柄24bは人物の表情を模したものに限定されることはなく、例えば店舗やブランドのロゴマークや商品名などを図柄24aとして用いてもよいし、単に摘み部24を所定の色に着色するのみであってもよい。
【0051】
また、摘み部24は、保持片23が差し込み部26に差し込まれたときに、立ち上がるように形成されていることが好ましい。このように摘み部24を形成することで、上記した図柄24bによる視覚的効果を得ることができるのみならず、差し込み部26に保持片23を差し込むときに、該差し込む動作の煩雑さを大幅に軽減して差し込みやすくすることができる。また、差し込んだ保持片23を該差し込み部26から引き抜くときにも使用者がタブ部材21を摘みやすくすることができ、操作性を向上させることが可能になる。
【0052】
なお、必要に応じて、先に挙げた接着剤等を用いて他端部21bを天面部2aに接着しておいてもよい。それにより、使用前にタブ部材21が破損したりすることを防止できる。
【0053】
また、このタブ部材21を形成する素材は、天蓋部2や側壁3を形成する素材と同じもの、例えば上記した紙系素材やそれ以外の上記したものを適宜選択して用いることにより形成することができる。そのほかに、タブ部材21を形成可能な素材としては、例えば木片やフィルム状の部材、金属製の部材などを用いることもできる。ただし、これらの部材を用いる際には、保持部23が形成可能であることと、保持部23が差し込み部26において保持された状態を維持することができるものであることが必要とされる。つまり、タブ部材21は、使用者が摘み部24を摘んで操作することにより小蓋片13を引き上げることができ、さらには保持部23が差し込み部26に保持され、加えて保持部23が差し込み部26に差し込まれた状態で保持されている間は開口部12が開口した状態を維持することができるように形成されるものであれば、任意の材料を適宜選択して用いてよい。
【0054】
次に、第1実施形態に係る蓋体1において、開口形成部11における作用効果を説明する。まず、
図8(a)に示すように、蓋体1においてタブ部材21の摘み部24を使用者が摘み、タブ部材21の他端部21bを持ち上げる。このとき、先に説明したように、他端部21bが天蓋部2に接合されている場合には、使用者はタブ部材21の他端部21bを摘むときに該タブ部材21を天蓋部2の表面2bから剥がすことによってこれらの接合を解除して、タブ部材21の他端部21bにおける摘み部24を摘んで持ち上げる。次に、
図8(b)に示すように、使用者が摘み部24を摘みながらタブ部材21をB方向へと引っ張ると、タブ部材21の一端部21aにおける接合部22により接合されている小蓋片13が、ヒンジ部14を基準にして図中C方向に持ち上げられる。このとき、接合部22が小蓋片13の一部、より具体的には接合部22が小蓋片13の先端部寄りに形成されており、小蓋片13とタブ部材21における接合部22以外の箇所においては、これら小蓋片13とタブ部材21との間は接合されていない非接合部が形成されている。このように、タブ部材21は小蓋片13の一端部13a側に近い位置において接合されているので、ヒンジ部14を支点とし、接合部22を力点として考えた場合に、接合部22を介して使用者が加えるB方向の力により、C方向へと小蓋片13が回動して持ち上げられる力が作用しやすくなる。なお、このときにヒンジ部14が形成されている箇所に折り曲げ線15が形成されていると、より小蓋片13がC方向へと持ち上げられやすくなる。そして、さらに使用者がB方向へとタブ部材21を引っ張ると、小蓋片13は他端部13bを中心にC方向へと回動し続け、開口部12が開口形成される。なお、このときに、使用者は摘み部24を摘みながら、保持部23を天蓋部2の表面2b側に向けて突出するように、タブ部材21の他端部21bを折り曲げてもよいし、差し込み部26の近傍へ到達するまで他端部21bを折り曲げずにいて、保持部23を差し込み部26へ差し込んで保持部23が保持される直前に、タブ部材21の他端部21bを折り曲げて該保持部23を形成するようにしてもよい。次に、
図8(c)に示すように、使用者は保持部23を差し込み部26に差し込む。このように保持部23と差し込み部26に差し込むことにより、タブ部材21の位置及び小蓋片13の開口する位置が物理的に固定される。すなわち、例えば粘着性を有するシールを用いて小蓋片13が開いた状態を維持しようとすると、小蓋片13の裏面側は、特に内容物が飲料だったり熱いものだったりすると、シールしてもすぐに剥がれてしまうことが多い。そのため、粘着性を有するシールで小蓋片13を止めようとしても、時間の経過とともに粘着力が次第に弱くなり、いずれかは剥がれて小蓋片13が開口部12を閉じている元の位置に戻ろうとする現象が起こる。このような小蓋片13の動作は、例えば使用者が飲料を飲むために天蓋部2の表面2bを顔に近づけているときに発生すると、使用者の鼻や顔に小蓋片13が触れたりするため、使用者に不快感を与えるおそれがある。しかしながら、第1実施形態に係る蓋体1は、タブ部材21を保持部23を差し込み部26により保持させることで物理的に固定するので、時間の経過とともに小蓋片13が元の位置に戻ろうとする動作を確実に抑制することができ、開口部12が開口した状態を維持し続けることができる。そのため、使用者が容器101の空間部105にある内容物を口にしようとするような場合であっても、小蓋片13が顔に触れることなく、快適に使用することが可能になる。
【0055】
また、第1実施形態に係る蓋体1によれば、使用者は保持部23を操作して小蓋片13を引き上げるので、小蓋片13の裏面側に触れることなく開口部12を開口させたり、開口部12を閉じるように小蓋片13を操作することができる。そのため、例えば小蓋片13の裏面に付着している内容物に使用者の指が触れたりすることもないので、衛生的であり、かつ開口部12を開口させるときにも快適に操作することができる。
【0056】
さらに、第1実施形態に係る蓋体1によれば、差し込み部26に差し込まれることにより保持された状態の保持片23を操作することにより、小蓋片13によって開口部12を閉じる方向にも該小蓋片13を動作させることができる。そのため、保持片23を操作することによって複数回にわたる小蓋片13の開閉動作も簡単に行うことができ、短時間のうちに容器101内の内容物、例えば飲料を飲み終えなかった場合などにも、小蓋片13を簡単に閉じることや、小蓋片13を閉じた状態を維持し続けることも可能になる。また、第1実施形態に係る蓋体1によれば、紙系素材を用いて形成されているので、環境問題にも配慮することが可能な蓋体1を提供することも可能になる。
【0057】
なお、このように小蓋片13を開蓋した場合、
図8(c)に示した小蓋片13の開蓋する角度θは、90°超であることが好ましく、100°以上であることがより好ましく、120°以上であることがさらにより好ましい。また、140°以上であることがより好ましく、最も好ましいのは178°以上又は180°である。このような角度になるまで小蓋片13を開蓋することにより、使用者が内容物を飲もうとするときに、小蓋片13が使用者の鼻に当たることを防ぐことができ、使用者が不快感を感じることを大きく低減することができる。
【0058】
図12(a)から(f)に示すのは、開口形成部11の例である。なお、
図12(d)の態様は先に説明した蓋体1に形成した開口形成部11の例であるが、ここでも記載している。なお、この開口形成部11は、具体的には小蓋片13の形状と同一であり、かつ小蓋片13が開いた場合には開口部12も同一の形状となる。ここでは、開口形成部11の形状として説明するが、小蓋片13及び開口部12も含むものとして説明する。まず、この開口形成部11は、先に説明した形状には限定されるものではなく例えば後述する変形例にも示すように、任意に選択した形状であってよい。例えば、
図12(a)に示す開口形成部11は、該開口形成部11における一端部13a側となる一端部側に1箇所、そして一端部側から他端部13b側となる他端部側に至る途中において、左右それぞれに1箇所ずつの合計3か所において点状接合部17を形成している。また、他端部13b側となる他端部側では、開口形成部11を形成する切込み線16が他端部側から一端部側に向けて円弧を描くように形成されている。また、本変形例においては、切込み線16の他端部13b側に応力軽減部18が形成されている。この応力軽減部18は、円弧状に形成されており、切込み線16の他端部13b側端部が開口形成部11における他端部13b側端部よりも上方に位置している。また、この応力軽減部18は、開口形成部11に比べて外側に位置するように形成されている。このように応力軽減部18を形成していることで、開口部12を開口すべく小蓋片13を移動させるとき等に、該小蓋片13等に対して加えていた力による天蓋部2の破損などを防止することができる。
【0059】
図12(b)に示す開口形成部11は、上記した
図12(a)における形状と同じ形状である。そして、
図12(b)に示す開口形成部11では、切込み線16に加えて、基端部側に折り曲げ線15を形成している態様であり、また
図12(c)に示すのは切込み線16に加えて、小蓋片13の先端部側に折り曲げ線31を形成している態様である。このように形成された折り曲げ線15及び折り曲げ線31は、開口形成部11である小蓋片13が寝ている状態(すなわち開口部12を閉塞している状態)から起き上がる状態(すなわち開口部12を開いている状態)になるときに、該開口形成部11としての小蓋片13の他端部13b側端部が折り曲がる位置を特定するために形成されている。このように、折り曲げ線15が開口形成部11の基端部側に形成することで、開口形成部11としての小蓋片13が起き上がる状態になる時の起き上がり方や起き上がった時のバラつきなどを効果的に抑制できる。また、折り曲げ線31は、開口形成部11の一端部13a側端部に形成されることで、該開口形成部11が形成されている天蓋部2が折り曲げられる箇所を特定することができる。そのため、開口形成部11が寝ている状態から起き上がった状態へと移動するときに、開口形成部11の一端部13a側端部への影響を軽減することができる。
【0060】
図12(d)に示す開口形成部11では、上記した
図12(a)における形状とは他端部13b側の幅寸法よりも一端部13a側の幅寸法の方が大きくなっている点で異なっている。このように開口形成部11を形成することによって、上記した効果を得ることができるのみならず、例えば、容器101内の内容物に氷等のような固体が存在する場合、利用者が利用に供しているときに、該氷等のような固体が利用者の口内に飛び込むといったおそれをも確実に防止することができる。
【0061】
図12(e)に示す開口形成部11では、
図12(d)における形状とは逆の幅寸法を有している。すなわち、この開口形成部11は、他端部13b側の幅寸法が一端部13a側の幅寸法よりも大きくなっている点で異なっている。このように開口形成部11を形成することによっても、上記した効果を得ることができるのみならず、例えば、容器101内の内容物に氷等のような固体が存在する場合、利用者が利用に供しているときに、該氷等のような固体は本例の開口形成部11ではこのような固体等を利用者の口内に飛び込むといったおそれをも確実に防止することができる。
図12(f)に示す開口形成部11は、応力軽減部18が内向きになるように形成されている態様である。このように、応力軽減部18を内向きにしても、ヒンジ部14とは異なる位置に切込み線16の端部が位置するので、上記したのと同様、天蓋部2の破損などを防止することができる。
【0062】
なお、点状接合部17は、少なくとも一端部13a側の端部である一端側端部の最先端部に形成されることがより好ましい。一般に開口形成部11はタブ部材21を介して使用者の力が付与されるところ、上記した箇所に点状接合部17が形成されていないと、使用者の力が付与されたところで持ち上がりが生じ、容器101の内容物が開口部12から漏れ出るおそれを大きく低減させることができる。なお、
図8(a)から
図8(c)に示す態様においても、開口形成部11としての小蓋片13を形成するにあたり切込み線16を形成することによってもよいし、ハーフカット部を形成することによってもよい。また、これら以外の態様で開口形成部11としての小蓋片13を形成してもよい。
【0063】
図13、
図22及び
図23に示すのは、第1実施形態に係る蓋体1の変形例である。これらの図で示す変形例では、差し込み部26の構成が先に説明したものとは構成が相違する。まず、
図13に示す蓋体1における差し込み部26は、該差し込み部26が主部26aと補助部26bとから構成されている。主部26aは保持片23が差し込まれる箇所であり、補助部26bは主部26aと交差するように形成されている。このように差し込み部26を形成することにより、
図13(b)に示すように、保持片23を差し込み部26に差し込む際に補助部26bが形成されていることにより主部26aが保持片23の動作に沿って上下方向に動作しやすくすることができる。そのため、保持片23を差し込み部26に差し込みやすくすることができる。なお、この補助部26bは、主部26aに対してタブ部材21が設けられている箇所とは離れた箇所において、該主部26aと交差するように形成されていることが好ましい。
【0064】
また、
図22に示す蓋体1では、差し込み部26が主部26a及び補助部26bにより形成されている点では先に説明した変形例と共通している。これに加えて本変形例に係る蓋体1の差し込み部26は、主部26aと補助部26bとが連続的に形成されており、補助部26bは、一端側の端部が主部26aと連続する連続部26cとなっている。また、補助部26bは、連続部26cとなっている一端側の端部とは反対側に位置する他端側の端部が差し込み補助部26dとして形成されている。この差し込み補助部26dは、保持片23が差し込み部26に差し込まれる際に、保持片23が差し込まれる動作に伴って差し込み部26における主部26aと補助部26bとで囲まれた部位(以下においては「差し込み部形成領域26e」ともいう。)をより変形しやすくさせるために形成されている。この差し込み補助部26dは、補助部26bが一端側の端部から他端側の端部に向かう方向とは異なる方向となるように形成されていることが好ましい。例えば、差し込み補助部26dの形状としては、
図22に示すように、補助部26bの他端側の端部が差し込み部形成領域26eに向かって内側に曲線を描くように形成されていることが好ましい。差し込み補助部26dをこのように形成すると、より差し込み部26における差し込み部形成領域26eとして形成されている部位が保持片23の差し込み動作に伴って変形しやすくすることができ、保持片23の差し込み動作をよりスムーズに行うことができる。そして、差し込み部26に差し込まれた状態にある保持片23を該保持片23の裏面側、言い換えるとタブ部材21を使用する前の状態において天面部2aと対向する面側が差し込み部26と当接した状態に維持することができる。そのため、より物理的に保持片23が差し込み部26に差し込まれた状態を維持しやすくすることができ、不意な衝撃などで保持片23が差し込み部26から外れるといった不都合を低減することもできる。一方、使用者が摘み部24を摘んで保持片23を差し込み部26から引き抜こうとする場合には、スムーズに引き抜くこともできるため、使用者が保持片23を差し込み部26に差し込む動作や保持片23を差し込み部26から引き抜く動作を行うときの操作性を大きく向上させることも可能になる。
【0065】
この差し込み補助部26dは、
図23(a)に示すような態様であってもよい。
図23(a)に示すのは、蓋体1における差し込み部26の更に別の変形例である。この例では、差し込み部26における差し込み補助部26dは、差し込み部形成領域26eから離れる方向、言い換えると差し込み部形成領域26eとは反対側の領域へと向かって曲線を描くように形成されている。差し込み補助部26dは、このように形成してもよい。
【0066】
図23(b)に示すのは、蓋体1の他の変形例である。この変形例に係る蓋体1は、差し込み部26と天面部2aにおける縁部2dとの間に案内表示部27が形成されている。この案内表示部27は、差し込み部26の位置を使用者に知らせることによって保持片23を差し込む位置を案内するためのものである。この案内表示部27は、従来から公知の方法を用いて任意に形成することができる。例えば、この案内表示部27は、天面部2aにエンボス加工を施すことによって該天面部2aの表面2cに凹凸を形成することによって形成してもよいし、また天面部2aの表面2cに印刷を施すことによって形成してもよい。また、これら以外の方法によって形成してもよい。この案内表示部27を形成することによって、例えば使用者がタブ部材21の摘み部24を摘んで小蓋片13を引っ張り上げ、開口部12を開口させる動作をする場合に、保持片23を差し込む差し込み部26の位置を知らせて案内することによって、使用者によるタブ部材21の操作性をより向上させることが可能になる。本例のように差し込み部26を形成するにあたって切込み線により形成する場合、使用者はこの切込み線の位置が分からないために戸惑うことがある。そのような場合に、本例における案内表示部27を形成しておくことにより、差し込み部26の位置を使用者に知らせることができ、上記した操作性を向上させることができる。なお、
図23(b)では、案内表示部27の例として、差し込み部26の位置を矢印で示すような形状を用いているものの、案内表示部27は、使用者に差し込み部26の位置を案内することができればよく、その形状や構成はこの態様に限定されるものではなく、種々の態様を任意に採用してよい。
【0067】
次に、タブ部材21の他の変形例について
図24から
図27を用いて説明する。これらの例で示すタブ部材21は、表示部としての識別表示部28が形成されている。この識別表示部28は、蓋体1を容器101に対して閉蓋して用いる場合に、該容器101の中に入れられている内容物(例えば飲料)の種類を識別しやすくするためのものである。この識別表示部28は、タブ部材21におけるタブ本体から幅方向、言い換えると使用者がタブ部材21を操作する際に該タブ部材21を移動させる方向と交わる方向、より具体的にはタブ部材21を移動させる方向と直交する方向に延出又は突出するように形成されている。この識別表示部28は、
図24に示す例においては幅方向の両端にそれぞれ2個ずつ、合計4個形成されており、それぞれに「Orange」、「Cola」、「Latte」、「Tea」という内容物の種類を表す表示が施されている。また、図にも示すように、これら識別表示部28が形成されている箇所には所定の着色が施されている。この場合、例えばオレンジジュースを表す「Orange」の識別表示部の色はオレンジ色、「Cola」の識別表示部28の色は茶色、「Latte」の識別表示部28の色は薄茶色、「Tea」の識別表示部28の色は薄い赤色又は緑色といった具合に、内容物の色に応じた色を着色しておくことによって一目で識別しやすくすることもできる。この場合、識別表示部28に所定の着色を施すと、施した色によっては識別表示部28における文字の表記が黒文字では見えにくくなることがある。このような場合には、識別表示部28における文字の表記を白色に代えたり、又は他の可読性の良い色を用いて表記するとよい。また、このように識別表示部28の色をそれぞれ変えておくと、タブ部材21が蓋体1を見た者に対して全体的に鮮やかな印象を与えやすくすることができる。そのため、この例におけるタブ部材21のように人物の表情を模した図柄24bにおける作用と相まって、よりこの蓋体1を手に取った者に対して視覚的にもいい印象を与えやすくすることが可能になる。
【0068】
この識別表示部28は、
図24(b)に示すように、タブ本体に対して折り曲げることができるように構成されている。この場合、折り曲げる箇所に折り曲げ補助部として切り込みなどを形成しておくことによってより折り曲げやすくすることができる。このように識別表示部28を折り曲げると、使用者はその蓋体1により閉蓋されている容器の内容物が何であるかを識別表示部28によって一目で判別することができる。例えば、
図24(b)に示すように、タブ部材21における識別表示部28のうち、「Orange」の識別表示部28が折られている場合には、使用者はその容器101の中にオレンジジュースが入っていることを一目で判別することができ、取り間違いなどを簡単に防止することが可能になる。また、この識別表示部28は、飲料等を提供する側の者にとっては内容物に該当する識別表示部28を折り曲げることのみによって容器101の内容物を知らせることができるので、提供者側での取り違いを防止することができるとともに、顧客へ商品を提供する際にも内容物の確認を容易に行いつつ提供することができるので、飲料等の提供もスムーズに行うことが可能になる。
【0069】
なお、この識別表示部28においては、先の説明ではそれぞれの識別表示部28によって異なる着色を施す例を用いて説明したが、全ての識別表示部28を同じ色で着色してもよいし、又は識別表示部28に対して着色しなくてもよい。また、識別表示部28において標記する内容物の種類も、先に説明したものに限定されず、他の内容物の種類を適宜用いてよい。また、
図24に示す例では、識別表示部28を4個形成した例を用いて説明したが、識別表示部28を形成する数は4個に限定されるものではなく、4個より多くても少なくてもよい。また、
図24(b)においては、識別表示部28のうち「Orange」の識別表示部28のみが折り曲げた例を用いて説明しているが、「Orange」以外の他の識別表示部28も折り曲げることができるように構成されていることは言うまでもない。
【0070】
図25に示すのは、タブ部材21における識別表示部28の他の例である。
図25に示す識別表示部28は、折り曲げ補助部29の形成されている位置が
図24において示したものよりもタブ本体の内側へ位置するように形成されている。このように形成すると、識別表示部28を形成した場合においても、先に説明したのと同様の作用効果を得ることができるのみならず、タブ部材21の大きさを小さくすることができる。また、
図26に示す識別表示部28の他の例では、タブ本体に切り込みを入れることによって識別表示部28を形成している。つまり、識別表示部28の外縁がタブ本体の外縁ともなるように形成されている例である。このようにすると、先に説明したタブ部材21の大きさや形状を変えることなく識別表示部28を形成することができる。
【0071】
また、これら
図24から
図26を用いて説明した識別表示部28においては、
図27にも示すように、識別表示部28の裏面側にも内容物の表示を設けてもよい。このように、識別表示部28の表面28a側のみならず裏面28b側にも内容物の表示を設けることにより、上記したように該当する内容物に対応する識別表示部28を折り曲げた際にも、表面28a又は裏面28bに描かれたいずれかの表記を見て内容物の識別をしやすくすることができる。そのため、飲料等を提供する者や提供された使用者等が内容物を判別する際により簡単に判別しやすくすることが可能になる。なお、識別表示部28における裏面28b側の表記は、表面28a側の表記の仕方と同じであってもよいし、異なっていてもよい。例えば、先に説明した「Orange」の表記がされた識別表示部28の場合、表面28a側には、オレンジ色の着色を施して白文字で「Orange」と表記しておき、裏面28b側は着色を施さない紙の地色に対して黒文字で「Orange」と表記するようにしてもよいし、または裏面28b側における「Orange」の表記は、表面28aの着色で用いたオレンジ色で行ってもよい。このようにすると、識別表示部28において表面28aと裏面28bのどちらの面に表示されているものかを容易に識別することができるのみならず、さらに内容物の種類も簡単に識別することができる。また、識別表示部28において、表面28aと裏面28bのいずれにおいても同じ色を用いて着色又は文字の表記を行うため、使用者も一目見てどの容器にどの種類の内容物が入っているのかを確認することが可能になる。このように、タブ部材21に識別表示部28を形成する場合には、先に説明したように識別表示部28を折り曲げることによって容器101の内容物が何であるかを特定することができ、商品の取り間違いなどを防ぎ、内容物が何であるかが分かったうえで飲食することができるので、安心感を持たせることも可能になる。なお、この識別表示部28は、先の説明ではタブ本体に対して交わる方向へと折り曲げることで内容物の特定をすることができるように構成している旨を説明したが、識別表示部28は、折り曲げる前の状態と折り曲げた後の状態とのなす角が180°に近くなることが好ましい。また、このように折り曲げた場合に、折り曲がった状態を維持することができるように構成することがより好ましい。このように形成すると、識別表示部28によって、容器101の内容物の特定がよりしやすくなり、より安心感を持ちつつ飲食することが可能になる。
【0072】
また、タブ部材21における識別表示部28は、先に説明した構成に限定されるものではない。例えば、
図53に示すように、「LATTE」などのような内容物の種類を表す表示をする場合に、タブ本体にこのような表示をした表示部300を形成し、表示部300の外周部分の所定箇所が折り曲げ可能に形成された折り曲げ部301となるように形成してもよい。このように表示部300及び折り曲げ部301により識別表示部28を形成した場合、容器101の内容物が例えばラテであったときは表示部300の表示が「LATTE」となっている箇所に対応する折り曲げ部301をタブ本体に向けて折り曲げる。このとき、折り曲げ部301を略180°まで折り曲げると、
図53(b)に示すように、折り曲げ部301を折り曲げても表示部300が視認できるような表示窓302が形成される。識別表示部28をこのように形成することで、表示窓302で表示されたものが容器101の内容物であることを視覚的に確認することができる。このように、識別表示部28を形成することにより、使用者や提供者に対して内容物が何であるかを確認しやすくすることができ、安心感を与えることが可能になる。なお、識別表示部28による内容物の識別方法は、上記したものに限定されない。例えば、先に説明した折り曲げ部301などを破くなどして、容器101の内容物を知らせるようにしても良いし、内容物の識別を利用者や提供者が確認しやすくできるのであれば、その態様は上記した以外のものであってもよい。
【0073】
図14から
図21に示すのは、第1実施形態に係る蓋体の天蓋部2及び側壁3における他の例である。なお、ここで示すのは例示するに過ぎず、他の構成の天蓋部2及び側壁3を用いてもよいのはもちろんである。なお、
図14から
図17は、説明の便宜上、タブ部材21の記載を省略する。
【0074】
図14に示す蓋体1は、天蓋部2の立ち上がり部4と側壁3の上端が面一となっている態様である。この場合、
図14(a)に示すように、立ち上がり部4と側壁3の上端とが面一になっている態様のみならず、
図14(b)に示すように、立ち上がり部4を内側に折り込み、立ち上がり部4の上端となる屈曲部分の高さ位置と側壁3の上端の位置とを面一にしてもよい。また、
図14(c)に示すように、立ち上がり部4の屈曲部分の高さ位置と側壁3の上端の位置とを面一にしつつ、立ち上がり部4の折り返し部を天蓋部2まで到達させないように形成しても良い。さらに、
図14(d)、(e)に示すように、側壁3を外側に折り返した折り返し部分の上端位置と立ち上がり部4の上端位置とを合わせて面一としてもよい。
【0075】
図15に示すのは、蓋体1の上端部に張出部としてのカール部41を形成した例である。このカール部41の形状は、
図15にも示すようにカール状に形成したものでもよいし、カール状に形成したものをつぶしてフランジ状にしたものであってもよい。ここでの張出部は、側壁3よりも外側に向けて張り出しているものを含む概念である。
図15(a)では、立ち上がり部4と側壁3とが面一に形成されており、かつ側壁3にカール部41が形成されている例である。また、
図15(b)は、側壁3にカール部41が形成されているのは
図15(a)と同様であるが、立ち上がり部4が側壁3よりも低く形成されている例である。
図15(c)に示すのは、側壁3にカール部41が形成されており、かつ立ち上がり部4が側壁3の上端位置よりも高く突出している例である。さらに、
図15(d)に示すのは、立ち上がり部4の上端部分が側壁3の上端の上に位置し、さらに側壁3より外側に張り出してカール部41を形成している例である。このようにしてカール部41を形成することもできる。
【0076】
なお、カール部41を形成すると、側壁3や天蓋部2の強度を増すことができるのみならず、断熱作用も向上させることができる。例えば、熱い飲料を飲むときなどにおいては、このカール部41が形成されていることによって唇に不快な熱さを感じにくくすることができたり、口当たりを良くしたりすることが可能になる。
【0077】
図16に示すのは、立ち上がり部4が側壁3よりも上方に突出している態様である。例えば、
図16(a)では、立ち上がり部4が側壁3よりも上方に突出しており、
図16(b)及び
図16(c)では、立ち上がり部4が内側に折り返し形成されており、その折り返し端部の位置が側壁3の上端よりも上に突出している。
図16(d)及び
図16(e)では、側壁3が外側に折り返し形成されており、その折り返し端部の位置よりも立ち上がり部4の上端の位置が上に突出している。
【0078】
図17に示すのは、
図16とは逆に、立ち上がり部4の上端が側壁3の上端よりも低い位置に形成されている態様である。
図17(a)では、側壁3の上端の位置が立ち上がり部4の上端よりも高い位置にあり、
図17(b)及び
図17(c)では、立ち上がり部4が内側に折り返し形成されており、その折り返し部分の上端位置よりも側壁3の上端位置の方が上に位置する例である。また、
図17(d)及び
図17(e)では、側壁3が外側に折り返し形成されており、その折り返し部分の高さ位置が立ち上がり部4の上端位置よりも上にある例である。
【0079】
図18(a)及び
図18(b)に示すのは、天蓋部2に傾斜部51が形成されている例である。このように、天蓋部2に傾斜部51が形成されていると、例えば飲料などを飲み終えて容器101や容器101に取り付けた蓋体1を傾けた状態から天蓋部2が水平となるような状態へと戻したときに、立ち上がり部4の内面に残った飲料が傾斜部51を伝って開口部12に戻りやすくなる。このように傾斜部51を形成することによって、天蓋部2の表面2bなどに飲料が残りにくくなる。なお、このように傾斜部51を天蓋部2に形成した場合には、開口部12の位置は、
図18(a)に示すように傾斜部51を避けた位置に形成しても良いし、
図18(b)に示すように傾斜部51の一部に開口部12が形成されるように形成しても良い。また、側壁3の形状も、
図18(a)に示すように直線状に形成しても良いし、
図18(b)に示すように下部壁6を膨出させるように形成してもよい。
図18(c)に示すのは、これまで説明した蓋体1であって、下部壁6の下端部に誘導部52を形成した例である。この誘導部52は、容器101に取り付けるときに、蓋体1を容器101に取り付けやすくするためのものである。この誘導部52を形成することによって、容器101に対してよりスムーズに取り付けることができるようになる。
【0080】
図19に示すのは、これまで説明した蓋体1であって、下部壁6に形成されている係合部7の形態の別の例である。これら
図19(a)に示すのは、これまで説明した蓋体1の態様であり、係合部7が外方向に向けて膨出せず、直線状に先細りテーパ形状となるように形成されている。また、
図19(b)から(e)に示すのは、係合部7の形状は
図19(a)において説明したのと同様、直線状に先細りテーパ状に形成されているに加え、立ち上がり部4を形成せず、天蓋部2の周縁部を立ち下がり形成した立ち下がり部61を有する構成である。このような形態の蓋体1であってもよい。
【0081】
図20に示すのは、天蓋部2における天面部2aの周縁が立ち下がる立ち下がり部61を有し、その立ち下がり部61の周囲を囲むように側壁3が形成され、かつこれら立ち下がり部61と側壁3とが接合されて形成された蓋体1の例である。
図20(a)の蓋体1は、係合部7が直線状に形成された先細りテーパ状であり、
図20(b)の蓋体1は、係合部7が外方向に膨出する形態である。係合部7の構成はこの態様に限定されるものではなく、先に説明した構成などを適宜用いてよい。なお、
図20(a)に示す態様の蓋体1を
図21に示す。
【0082】
(第2実施形態)
次に第2実施形態にかかる蓋体1について説明する。第2実施形態にかかる蓋体1は、容器101の口部102の縁部103に沿って接合されて用いられるものである。蓋体1は、容器101の口部102に接合された状態において口部102を覆うような形状に形成される。蓋体1は、
図28(a)、
図28(b)、
図29、
図30(a)、
図30(b)等に示すように、容器101の口部102の縁部103に接合される接合領域R及び該接合領域Rに対応する部分(以下、この接合領域Rに対応する部分を「接合領域対応部Rd」と言う)。を有する。また、蓋体1は、蓋体1の平面視上(上下方向を視線方向)、蓋体1の露出面70のうち接合領域Rの内側に対応する領域(以下、単に接合領域Rの内側の領域、又は内側領域Rnと呼ぶことがある)に小蓋片13が設けられている。この他の構成については、第1の実施形態と同様に形成されてよい。したがって、蓋体1では、小蓋片13を引き上げる際に開口部12が形成される。また、蓋体1では、タブ部材21が小蓋片13に接合されている。第2実施形態にかかる蓋体1の小蓋片13、開口部12、及びタブ部材21は、第1実施形態の天蓋部2に設けられる小蓋片13、開口部12、及びタブ部材21と同様に形成されている。蓋体1においても、小蓋片13と開口部12とで開口形成部11が形成される。
図28(a)、
図28(b)、
図29は、第2実施形態にかかる蓋体1の一実施例を示す図である。
【0083】
(接合領域)
接合領域Rは、容器101の口部102に応じた形状で口部102に沿って環状に形成される領域である。接合領域Rの幅W(内外方向に沿った幅)は、口部102の縁部103の幅と同じ又はその幅よりも細い幅であることが通常である。ただし、このことは接合領域Rの幅Wが、口部102の縁部103の幅よりも太いことを禁止するものではない。また、接合領域Rは、蓋体1の外周端71よりも内側に形成されてもよいし、
図39に示すように、蓋体1の外周端71まで形成されていてもよい。
図39は、第2実施形態にかかる蓋体1の他の実施例の一つを示す平面図である。接合領域Rに対する位置は、特に限定しない限り、蓋体1における接合領域Rを形成する部分に対する位置として定められ、例えば、接合領域Rの内側(外側)という場合には、特に限定しない限り、蓋体1における接合領域Rを形成する部分に対して内側(外側)であることを示す。
【0084】
(小蓋片)
蓋体1には、小蓋片13が設けられている。第2実施形態にかかる蓋体1においては、小蓋片13は、接合領域Rを含む周辺部72に連結されている。周辺部72は、蓋体1の平面視上、蓋体1の露出面70を形成する部分のうち小蓋片13を除いた部分で構成される。
図30(a)、
図30(b)に示すように、蓋体1においては、第1実施形態で示したことと同様に、小蓋片13に対して接合部22で接合されたタブ部材21の動きに連動して、小蓋片13が持ち上げられた状態が形成される。小蓋片13は、周辺部72と小蓋片13との連結部分をヒンジ部14としており、連結部分を支軸として小蓋片13が持ち上げられるにつれ、開口部12が露出する。小蓋片13は、蓋体1の平面視上、接合領域Rの内側に設けられている。
図30(a)、
図30(b)は、第2実施形態にかかる蓋体1において、小蓋片13が持ち上げられた状態とされることで開口部12が露出した状態を説明するための図である。以下では、小蓋片13の外周縁73のうち、小蓋片13が持ち上げられる際の支軸となる連結部分(ヒンジ部14)をヒンジ連結部74と呼ぶ。
【0085】
小蓋片13の形状や構造は、特に限定されない。小蓋片13の形状や構造は、
図28(a)、
図28(b)に示すように、第1実施形態の一例で示す各種の形状や構造と同様でよい。また、小蓋片13の形状は、
図29等に示すように、小蓋片13の外周縁73の少なくとも一部が接合領域Rの内側端に沿って延びているような輪郭形状を有していることが好ましい。
図29の例の場合、小蓋片13の外周縁73のうち前端縁部75の形状が、接合領域Rの内側端に沿った形状となっている。また、このとき、前端縁部75の形状は口部102の縁部103の内側端に沿った形状となりやすい。このような小蓋片13の形状は第1実施形態にかかる蓋体1の小蓋片13に適用されてよい。以下、第2の実施形態にかかる蓋体1の説明では、特に明示しない限り、
図29に示すような小蓋片13が用いられている場合を例として説明を続ける。なお、
図29に示す小蓋片13の例では、外周縁73は、前端縁部75とヒンジ連結部74、前端縁部75とヒンジ連結部74とをつなぐ側端縁部76で構成されている。
【0086】
図30に示す例では、小蓋片13の外周縁73のうち前端縁部75は、蓋体1の平面視上、
図32に示すように位置PM1と位置PM2の間に形成されていることが好ましい。
図32は、前端縁部75の位置を説明する図である。位置PM1は、蓋体1を容器101に接合した状態で、容器101の側壁104の内周面の延長面M1と蓋体1の露出面70とが交差する交差位置である。位置PM2は、接合領域Rの内側端の位置から蓋体1の厚み方向に沿って延びる面M2と、蓋体1の露出面70とが交差する交差位置を示す。ただし、このことは、小蓋片13のうち前端縁部75が、位置PM1と位置PM2の間から外れることを禁止するものではない。例えば、前端縁部75が位置PM2よりもやや蓋体1の中央側に形成されていることは禁止されない。
【0087】
小蓋片13の外周縁73は、ヒンジ連結部74を除いた部分では、周辺部72に対して切断された状態である切断部を形成していてもよいし、部分的に接合された状態である脆弱部を形成していてもよい。切断部は、
図29の例に示すように、小蓋片13と周辺部72との境界に沿って切込み線16が設けられることで形成することができる。脆弱部は、
図28の例に示すように、小蓋片13と周辺部72との境界で、短い長さの切込み線16と点状接合部17を交互に並べた構造(ミシン目構造)を設けることや、ハーフカット構造が形成されることで形成することができる。ハーフカット構造は、例えば、
図40(a)、
図40(b)を用いて後述するように、蓋体1の厚み方向に所定の深さまで切り込まれた構造を示すことができる。
【0088】
第2実施形態にかかる蓋体1においては、小蓋片13が立ち上げられることで開口部12が露出した後においても小蓋片13で開口部12を覆う状態とすることができる。小蓋片13が立ち上げられた状態では、開口部12が露出した状態となる。この状態を開蓋状態と呼ぶ。小蓋片13で開口部12が覆われた状態を閉蓋状態と呼ぶ。
【0089】
蓋体1においては、
図35に示すように、閉蓋状態で、小蓋片13の外周縁73の端面73a(外周端面)に周辺部72の端面が向かい合うことができる。このとき、周辺部72の端面のうち小蓋片13の外周縁73の端面73aに向かい合う部分が向き合い面77となる。第2実施形態にかかる蓋体1においては、外周縁73の端面73aと向き合い面77が接触して接触部78を形成することが好ましい。このような蓋体1は、蓋体1が紙系素材で形成された場合、例えば、小蓋片13と周辺部72の境界に切込み線16が形成されることで形成できる。切込み線16が形成される際には、蓋体1を形成する紙系素材が小蓋片13と周辺部72の境界で圧縮されながら切断される。また、このとき紙系素材が小蓋片13と周辺部72の境界の近傍で引き延ばされた状態となりやすい。したがって、小蓋片13の外周縁73の端面73aと向き合い面77とが向い合せになるように配置された状態(すなわち閉蓋状態)では、切込み線16では端面73aと向き合い面77が接触し接触部78が形成され、接触部78で小蓋片13と周辺部72が押し合う力Fを生じやすい。そして、このような閉蓋状態から小蓋片13を開く場合には、外周縁73の端面73aの少なくとも一部と向き合い面77とが擦れあう。このため、蓋体1では、閉蓋状態で、小蓋片13によってしっかりと開口部12を覆った状態を形成することができ、容器101の内部から、小蓋片13と周辺部72の間を通って液体が漏れ出す虞を低減することができる。ただし、蓋体1においては、小蓋片13と周辺部72は切込み線16で分断されているため、通気性を確保することができ、小蓋片13と周辺部72の間から蒸気を通じることは可能となる。
【0090】
なお、蓋体1が紙系素材で形成された場合には、
図35の例に示すように、小蓋片13の端面73aの位置及び向き合い面77の近傍では、蓋体1を構成する紙系素材の圧縮部79が形成されていることが好ましい。
図35の例では、小蓋片13の端面73aの近傍位置の圧縮部79は、端面73aに向かって徐々に圧縮率が高くなり厚みが小さくなるように構成されている。また、向き合い面77の近傍位置の圧縮部79は、向き合い面77に向かって徐々に圧縮率が高くなり厚みが小さくなるように構成されている。この場合、端面73aと向き合い面77がある程度強い力で接触しても、接触部78で歪みやたわみを生じにくく、しっかりと接触部78の構造を維持することができる。
【0091】
さらに、蓋体1では、閉蓋状態で、小蓋片13によってしっかりと開口部12を覆った状態を形成する観点からは、小蓋片13と周辺部72が3に示すように形成されてよい。
図36では、小蓋片13の外周縁73の形状が一部に波状構造を形成した形状とされ、開口部12の周縁(周辺部72における向き合い面77を形成する部分)の形状が、小蓋片13の外周縁73の形状に整合する形状とされている。小蓋片13と周辺部72がこのような形状に形成されている場合、接触部78の少なくとも一部が波状構造を有するようになり、すなわち接触部78の面積が大きくなり、小蓋片13によってしっかりと開口部12を覆った状態が維持されやすくなる。
【0092】
(タブ部材)
タブ部材21は、
図28、
図29や
図30等に示すように、第1実施形態にかかる蓋体1に設けられるタブ部材と同様に構成されてよい。タブ部材21は、タブ部材21の一端21aで、小蓋片13の先端寄りの部分(一端部13aに近い位置)に接合されている。
【0093】
図30(a)、
図30(b)の例では、タブ部材21は、接合部22及び摘み部24の間に形成された保持片23を有し、摘み部24を摘んで小蓋片13を開蓋した際にタブ部材21から保持片23が突出するように形成されている。そして、周辺部72には、突出した保持片23が差し込まれる差し込み部26が形成されている。さらに、保持片23を前記差し込み部26に差し込んで前記小蓋片が開いた状態を維持することができるように構成されている。なお、差し込み部26は、第1実施形態と同様に、主部26aと補助部26bを有してもよい。
【0094】
また、
図28,
図29の例ではタブ部材21は、閉蓋状態で、小蓋片13の直上にタブ部材21の少なくとも一部が重なり合うように設けられている。このように形成されている場合、閉蓋状態としても、タブ部材21を蓋体1に対しておおむね平行となるようにタブ部材21の位置を水平に保ちながら、タブ部材21を移動させて小蓋片13の立ち上がりを解消することで、小蓋片13の端面73aと向き合い面77との接触部78を形成した状態で小蓋片13の動きを静止させやすくなる。
【0095】
また、
図28等の例ではタブ部材21は、接合部22よりも摘み部24のほうが蓋体1の中心側に位置するように配置されているが、タブ部材21の配置はこれに限定されない。蓋体1の中心から接合部22までの距離と蓋体1の中心から摘み部24までの距離が同じとなるように位配置されてもよいし、タブ部材21が、
図47に示すように、摘み部24よりも接合部22のほうが蓋体1の中心側に位置するように配置されていてもよい。蓋体1の平面視上、タブ部材21を蓋体1の露出面70内に収める観点からは、
図28等の例に示すように、タブ部材21は、接合部22よりも摘み部24のほうが蓋体1の中心側に位置するように配置されていることが好ましい。
【0096】
第2実施形態によれば、第1実施形態にかかる蓋体1と同様に、飲み口に対応する開口部を簡単かつ衛生的に開けた状態とすることのできる蓋体を得ることができる。
【0097】
第2実施形態にかかる蓋体1の変形例について説明する。
【0098】
(変形例1)
第2実施形態にかかる蓋体1においては、
図33(a)、
図33(b)に示すように、蓋体1の平面視上、露出面70には接合領域Rの内側に対応する領域(単に、接合領域Rの内側と呼ぶ)に溝80が形成されていてもよい(変形例1)。
図33(a)、
図33(b)は、第2実施形態の変形例1にかかる蓋体1の一実施例を示す図である。
【0099】
(溝)
変形例1において、溝80は、接合領域Rの内側で、接合領域Rの内縁RAに沿って延びるように形成されていることが好ましい。溝80の深さは特に限定されないが、小蓋片13に対して遠い位置から小蓋片13に近づくにつれて徐々に深くなっているように構成されていることが好ましい。また、溝80は、
図33(a)の例に示すように、小蓋片13にも形成されていることが好ましい。
【0100】
図33(a)の例では、溝80は、接合領域Rの内縁RAに沿ってC字状に形成されているが、環状に形成されてもよい。
【0101】
溝80が形成されている場合においても、小蓋片13の外周縁73のうち、ヒンジ連結部74を除く部分(前端縁部75、側端縁部76)は、
図33(b)に示すように切込み線16を形成していてよいし、
図40(a)、
図40(b)に示すように脆弱部の一例としてのハーフカット部81であってもよい。
図40(a)、
図40(b)は、溝80を形成した場合における蓋体1の実施例の一つを示す図である。
図40(b)は、
図40(a)の破線領域Xの部分拡大図である。この例に示すハーフカット部81は、蓋体1の露出面70側から所定の深さまで蓋体1を形成する部材を切り込んで形成された部分である。すなわち、ハーフカット部81は、蓋体1を形成する部材を貫通しない程度に切り込んだ部分であり、上記したハーフカット構造を有する部分である。ただし、このことはハーフカット部81の構成を限定するものではない。なお、
図40(a)、
図40(b)示す例の場合では、すなわち小蓋片13の外周縁73のうちヒンジ連結部74を除く部分が脆弱部としてのハーフカット部81である場合では、溝80がその深さを深くした状態とされ且つ溝80が小蓋片13と周辺部72との境界を跨いで形成されても、小蓋片13と周辺部72との境界と溝80との交差する位置で隙間が生じにくくなる。
【0102】
溝80の形成数は、
図33(a)の例では1つであるが、溝80は、同心状に複数形成されてもよい。溝80の形成数が複数である場合、口部102の径の異なる複数種類の容器101に対して、1種類の蓋体1を多種類の容器101の口部102を覆うために用いることができる。
【0103】
第2実施形態の変形例1にかかる蓋体1によれば、液体を収容した容器101の口部102に対して蓋体1を接合した場合に、蓋体1の露出面70上に容器101内部から液体が漏れ出たとしても、蓋体1の外側に液体がこぼれる前に、溝80に液体が流れ落ちるようにすることが可能となる。また、溝80が小蓋片13に向かって深くなるように形成されている場合には、溝80に流れこんだ液体を小蓋片13の位置に向かって流下させることができる。そして、小蓋片13を引き上げて開口部12を露出させることで液体を開口部12から容器内へと垂れ落ちるようにすることができる。
【0104】
(突出部)
蓋体1においては、溝80の形成位置に対応した位置且つ溝80の形成面(露出面70)とは逆面側の位置が突出部82となっていることが好ましい。この場合、
図43に示すように、突出部82が、容器101の口部102の縁部103の内面側に接するような位置に形成されていることが好ましい。また、突出部82の高さは、容器101の口部102の縁部103にたいして蓋体1の露出面70の面方向のズレを生じにくい程度の高さを確保されていることが好ましい。このような突出部82は、蓋体1にエンボス加工を施すことで実現することができる。エンボス加工により、蓋体1の露出面70側に溝80が形成され、溝80の形成位置に対応する逆面側の位置に溝80の深さに対応した高さの突出部82が形成される。そして、溝80を容器101の口部102の縁部103の内側に沿って形成することで、
図43に示すように、突出部82を、容器101の口部102の縁部103の内端に沿い、且つ、容器101の口部102の縁部103の内面側に接するように形成することができる。なお、
図43は、蓋体1を容器101に配置した一例を示す断面図である。
【0105】
このような突出部82が形成されていることで、容器101の口部102を覆うように蓋体1を配置する際に、容器101に対する蓋体1の位置あわせを行うことが容易となる。
【0106】
(変形例2)
第2実施形態にかかる蓋体1においては、
図31に示すように、蓋体1の外周縁73から外側に向かって摘み83(タブ)やラベル84が形成されていてもよい(変形例1)。摘み83は、小蓋片13の開口開始端(一端部13a)から遠い位置に形成されていることが好ましい。摘み83の形状や大きさは、使用者が手の指先でつまむことができるような形状や大きさに形成されていることが好適である。このように摘み83が形成されていることで、蓋体1を掴むときに開口部12に手が触れてしまう虞を低減することができ、手が開口部12に触れることによる開口部12の汚染を抑制することができる。なお、
図31の例では、摘み83は、蓋体1の平面視上、周辺部72に形成されており、且つ、外周縁73の位置のうち一端部13aからに最も遠い位置を含む部分に形成されている。
摘み83には、蓋体1や容器101の大きさを示す文字(例えば、
図48に示す「L」等の文字)等の任意の表示200を施すことができる。摘み83に施す表示等は、印刷による場合に限らず、エンボス加工により凹凸を形成することで視認することのできる文字、摘み83において文字(例えばL)に対応する形状を切り抜くことで視認することのできる文字等として表示しても良い。また、摘み83には、上記した表示等に代えて、又は表示等に加えて、該摘み83に対して部分的又は全体的にエンボス加工や切り抜き加工等を施してもよい。摘み83に対してこのような加工を施すことにより、使用者が摘み83を摘んで蓋体1を手に取るときに、使用者が蓋体1を摘みやすくすることができる。なお、上記した例では、蓋体1や容器101の大きさを文字等によって表示する例について説明したが、蓋体1や容器101の大きさを表示する態様は上記した例に限定されるものではない。例えば、摘み83の形状や摘み83の色を蓋体1や容器101の大きさに応じて変更しておき、その形状や色を視認することで蓋体1や容器101の大きさを識別することができるようにしてもよい。例えば、摘み83の形状を変更することにより識別をする場合には、先に説明した摘み83の形状に加えて、例えば
図49(a)や
図49(b)に示すように摘み83の形状を変更してもよいし、これら以外の形状にして識別することができるようにしてもよい。また、これら以外の方法により、蓋体1や容器101の大きさを識別することができるようにしてもよい。さらに、上記したのは蓋体1や容器101の大きさを識別する例についてであるが、識別する対象はこのような蓋体1や容器101の大きさに限定されるものではなく、識別する対象として他のものを挙げてもよい。
【0107】
ラベル84は、その形状や大きさを限定されるものではないが、使用者に認識できるような形状や大きさであることが好適である。
図31の例では、蓋体1の外周縁73において摘み83の近傍に、複数のラベル84が形成されている。ラベル84は例えば次のように使用されてよい。すなわち複数のラベル84のそれぞれに個別の商品名称が記載されており、容器101の内容物に対応する商品名称を記載されたラベル84を折り曲げる。これにより、蓋体1で容器101が接着された後においても容器101の内部に収容された商品の内容を、折り曲げられたラベル84を認識することで、識別することができる。
【0108】
また、
図54及び
図55の例では、蓋体1の外周縁73に複数のラベル84が形成されている。これら複数のラベル84は、蓋体1の外周縁73に沿って折り曲げることができるように構成されている。外周縁73とラベル84との境界には、ラベル84を折り曲げやすくするための折り曲げ部400が形成されていることが好ましい。この折り曲げ部400は、ラベル84を折り曲げやすくすることができればどのような構成であってもよく、例えば外周縁73とラベル84との境界にミシン目線を入れたり、蓋体1を構成する素材の厚さ未満の切込みを形成したり、折り込み線を形成したり、又はこれらを複合的に形成してもよい。また、ラベル84を折り曲げやすくすることができるのであれば、上記した以外の構成であってもよい。蓋体1には、ラベル84が形成されている箇所と対応する箇所に、例えば「COLA」、「LATTE」、「TEA」、「OTHER」といった個別の商品名称を記載することができる。これら個別の商品名称は上記したものに限定されず、他の表記であってもよい。また、これら個別の商品名称は、少なくとも一部は外周縁73よりも内側に表示されることが好ましく、個別の商品名称の全部が外周縁73よりも内側に表示されることが好ましい。このように表示することで、商品名をより明確に視認することができる。
図55(a)に示すのは、本例における蓋体1の使用例を示す平面図である。この例は、内容物がコーラである場合の使用例である。この場合には、ラベル84のうち、コーラに対応する「COLA」の表示がされている箇所と対応するラベル84を折り曲げる。
図55(b)では、このラベル84を折り曲げた状態を示している。ラベル84の折り曲げる方向は、
図55(b)に示すように上向きに限らず、下向きであってもよい。このように、内容物に対応するラベル84を折り曲げると、他のラベル84は折り曲げられていないために、ラベル84が折り曲げられた箇所に対応する表記のものが内容物であることを明確に視認することができ、店舗の従業員や購入者なども内容物が何であるかを簡単に知ることができ、安心して飲食することが可能になる。なお、この例では、ラベル84を折り曲げる態様を用いて説明したが、ラベル84はちぎるなどして取り外してもよい。この場合にも、上記した折り曲げ部400と対応する箇所に、ラベル84をちぎりやすくするために、上記したミシン目線などのようなものを形成しておくことが好ましい。このようにラベル84をちぎった場合でも、対応する内容物が何であるかを明確にしやすくすることが可能になる。なお、ラベル84を折り曲げたり、ちぎる以外の態様であっても、内容物の識別が明確にできる構成であれば、他の構成であってもよい。また、ラベル84は、所定の色などを付して着色してもよいし、またエンボス加工を施すなど、従来から公知の方法を任意に選択して適宜用いてもよい。
【0109】
なお、ラベル84は、
図31の例では、蓋体1の周辺部72に形成されていたが、タブ部材21に形成されていてもよい。例えば、
図45(a)に示すように、タブ部材21の周囲に複数のラベル84が形成されてもよい。また、摘み83が形成されている場合には、
図45(b)に示すように、差し込み部26とともに又は差し込み部26にかえて、摘み83に形成されていてもよい。差し込み部90は、差し込み部26と同様の構造に形成されてよい。
図45(b)では、差し込み部26に替えて差し込み部90が形成されている。差し込み部90は、差し込み部26と同様の機能を有する。ただし、この場合、タブ部材21又は小蓋片13(開口部12)の大きさは、小蓋片13が持ち上げられた状態で、タブ部材21の保持片23が差し込み部90に差し込まれるような大きさとされることが好適である。また、蓋体1の外周縁73の位置に保持片23が掛けられることで、タブ部材21を係止してもよい。この場合においては、蓋体1について差し込み部26が省略されてもよい。
【0110】
図45(b)に示すように、摘み83に挿し込み部90を形成した場合は、特に小蓋片13の輪郭がハーフカット線で形成されていると、接合領域Rで囲まれた領域に、天面部2の表面と裏面との間を連通する箇所が存在しなくなる。そのため、蓋体1を容器101にシールした後であって使用者が小蓋片13を開く前においては、容器101内を完全に密封した状態とすることが可能になり、外部から異物が混入したり、使用者が容器1010を持ち歩いて該容器101が揺れたときに内容物が容器101の外部へ漏れ出るといったことを防止することが可能になる。また、このように摘み83に挿し込み部90を形成した場合には、小蓋片13の大きさ、ひいては開口部12の大きさを大型化することができる。このように、開口部12及び小蓋片13を大型化することができると、使用者が内容物を飲むときに飲みやすくすることができるとともに、開口部12から容器101の内部に内容物となる飲料物などを入れるときの入れやすさも大きく向上させることが可能になる。
【0111】
なお、
図45(b)では摘み83に形成した挿し込み部90を形成して保持片23が差し込まれてタブ部材21を係止する態様を説明したが、
図50(a)に示すように蓋体1の外周縁73に保持片23を引っ掛けてタブ部材21を係止してもよい。また、
図50(b)に示すように、小蓋片13を再閉止したときに、該小蓋片13と近接する側の外周縁73に保持片23を引っ掛けて小蓋片13が再閉止した状態を維持することができるように構成してもよい。なお、再閉止した小蓋片13を再度開くときは、外周縁73と小蓋片13との引っ掛かりを解除すればよい。また、
図56に示すように、差し込み部に代えて外周縁73から延出するように形成された保持受部401を形成してもよい。このように保持受部401を形成した場合には、この保持受部401に保持部23を引っ掛ける等して小蓋片13が開いた状態を保持し、小蓋片13を再閉止する場合には保持部23を保持受部401から取り外して、小蓋片13を再閉止すればよい。なお、この場合において、保持受部401は、保持部23を保持することができればよく、形状や大きさは限定されず、任意に選択してよい。
なお、この例ではタブ部材21に形成した保持片23を外周縁73に引っ掛けることで小蓋片13が開いた状態及び小蓋片13を再閉止した状態を維持することができるようにしているが、小蓋片13が開いた状態及び再閉止した状態を維持するための構成は上記したものに限定されず、他の態様のものを任意に選択して用いてよい。例えば、タブ部材21に代えてシール部材を用いて粘着作用により小蓋片13が開いた状態や再閉止された状態を維持することのできるようにしても良いし、他のものを用いて小蓋片13の上記した状態を維持することができるようにしてもよい。
【0112】
(変形例3)
第2実施形態にかかる蓋体1においては、
図34(a)、
図34(b)に示すように、閉蓋状態においてタブ部材21の全体が小蓋片13に重なるように、小蓋片13が大きな寸法にて形成されていてもよい(変形例3)。ただし、第2実施形態の変形例3においても、小蓋片13は、接合領域Rの内側に形成されており、蓋体1の寸法よりも小さい。
図34(a)、
図34(b)は、第2実施形態の変形例3にかかる蓋体1の一実施例を示す図である。
【0113】
第2実施形態にかかる蓋体1においては、開蓋状態において、小蓋片の外周縁のうちヒンジ連結部で切断されてもよい。この場合、
図34(a)に示すように、小蓋片13の外周縁73のうちヒンジ連結部74は、脆弱部と同様の構成となっていることが好ましい。
図34(a)では、脆弱部は、切込み線16と点状接合部17の繰り返し構造(ミシン目造)となっている。なお、
図34(a)の例では、小蓋片13の外周縁73のうちヒンジ連結部74を除く部分は、切込み線16となっている。
【0114】
また、第2実施形態にかかる蓋体1においては、
図34(b)に示すようにヒンジ連結部74が省略されてもよい。
図34(b)の例では、小蓋片13の外周縁73は、脆弱部となっている。脆弱部は、
図34(a)と同様に、切込み線16と点状接合部17の繰り返し構造(ミシン目構造)となっている。
【0115】
このような第2実施形態の変形例3においては、閉蓋状態においてタブ部材21で小蓋片13を持ち上げられると、小蓋片13と周辺部72とが分離される。また、第2実施形態の変形例3においては、
図34に示すように、保持片23と差し込み部26が省略されてよい。ただし、本発明においては、小蓋片13を周辺部72に保持させる効果を得る観点からは、保持片23と差し込み部26が存在することが好ましい。
【0116】
(変形例4)
第2実施形態にかかる蓋体1においては、接合領域Rの内側に溝80が形成されていることに替えて、
図37(a)、
図37(b)に示すように、接合領域Rに対応する部分に対して接合領域Rの内側の領域を全体的にくぼませた凹み部85が形成されていてもよい(変形例4)。
図37(a)、
図37(b)は、第2実施形態の変形例4にかかる蓋体1の一実施例を示す図である。
【0117】
蓋体1においては、凹み部85の形成面(露出面70)とは逆面側の位置が隆起部86となっていることが好ましい。この場合、隆起部86の外周端86aが、容器101の口部102の縁部103の内面側に接するように形成されていることが好ましい。また、隆起部86の高さは、容器101の口部102に対してズレを生じにくい程度の高さを確保されていることが好ましい。このような隆起部86は、蓋体1にエンボス加工を施すことで実現することができる。エンボス加工により、蓋体1の露出面70側に凹み部85が形成され、凹み部85の形成位置に対応する逆面側の位置に凹み部85の深さに対応した高さの隆起部86が形成される。そして、凹み部85の輪郭形状が容器101の口部102に沿う形状となるように凹み部85が形成されることで、
図44に示すように、隆起部86を、容器101の口部102の縁部103の内面側に接するように形成することができる。なお、
図44は、蓋体1を容器101に配置した一例を示す断面図である。
【0118】
このような隆起部86が形成されていることで、容器101の口部102を覆うように蓋体1を配置する際に、容器101に対する蓋体の位置あわせを行うことが容易となる。
【0119】
(変形例5)
第2実施形態にかかる蓋体1においては、
図41(a)、
図41(b)に示すように、接合領域Rの内側に上側隆起部87が形成されてもよい(変形例5)。
図41(a)、
図41(b)は、変形例5にかかる蓋体1の一実施例を示す図である。上側隆起部87は、小蓋片13を避けた領域に形成されていることが好ましい。この場合、容器101内に液が収容され、蓋体1の露出面70上に液体が漏れ出ても上側隆起部87に対して下流側に形成された小蓋片13側に流れやすいため、小蓋片13を開いて開口部12を露出させることで漏れ出た液体を容器101内に戻すことが容易となる。また、上側隆起部87には、蓋体1を貫通するスリット88が形成されていてもよい。スリット88は、外部からストロー等の棒状態を差し入れることができる程度の寸法に形成される。スリット88が形成されていることで、ストローなどで容器内の液体を吸い出すことができる。
図41(a)の例では、スリット88は、蓋体1を構成する部材にクロス状の切り込みを入れた構造部として形成されているが、スリット88の構造はこれに限定されない。
【0120】
(変形例6)
図44の例では、凹み部86は、接合領域Rの内側の領域を全体的にくぼませていたが、第2実施形態にかかる蓋体1においては、
図46(a)、
図46(b)に示すように、接合領域のRの内側の領域を部分的にくぼませた部分的凹み部89が形成されてもよい(変形例6)。
図46(a)は、第2の実施形態の変形例6にかかる蓋体1の一実施例を説明するための平面図である。
図46(b)は、
図46(a)のG-G線縦断面の状態を模式的に示す断面図である。部分的凹み部89は、開口部12の外側、且つ、内側領域Rnに形成されている。この例では、部分的凹み部89は開口部12に向かって下り傾斜した傾斜面を形成するようにくぼんだ形状を有している。また、この例では、蓋体1における露出面とは逆面側においては、部分的凹み部89を形成した部分に対応した形状に部分的隆起部91が形成されている。部分的隆起部91が形成されていることで、蓋体1を容器101の口部102に配置する際の位置決めが容易となる。
図46に示すように、開口部12の位置を避けるように部分的凹み部89を開口部12の外側に形成する場合、部分的凹み部89を形成するためのプレス工程等を行った際に、口部12付近の部分160に押圧力が加わり難いため、開口形成部11の周縁の点状接合部17が切断されて開口部12が開口してしまう虞がない。
【0121】
(変形例7)
図51に示すように、蓋体1は、接合領域Rの内側に窓部201を形成してもよい。窓部201を形成することにより、容器101に蓋体1を接合して封止したときに、容器101の内容物を視認することができ、内容物が何であるかを簡単に確認して安心感を与えることができる。なお、窓部201に用いるフィルム材としては、原料として合成樹脂や生分解性樹脂等を用いたものが挙げられる。合成・天然の樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)等のオレフィン系樹脂、ポリスチレン(PS)等のスチレン系樹脂、ポリアクリレートやポリメタクリレート等のアクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)やポリ酢酸ビニル等のビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリカーボネート系樹脂(PC)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)やポリエーテルサルフォン(PES)等のポリエーテル系樹脂等が挙げられる。
生分解性樹脂としては、例えば、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)やPHA系共重合体等の微生物生産系生分解性樹脂;酢酸セルロース等のセルロース誘導体やトウモロコシデンプン等の澱粉を主原料とした澱粉系樹脂等の天然物系生分解性樹脂;ポリ乳酸(PLA)、ポリ乳酸/ポリカプロラクトン共重合体、ポリ乳酸/ポリエーテル共重合体等の乳酸系樹脂、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリブチレンサクシネートアジペート(PBSA)、ポリエチレンテレフタレートサクシネート(PETS)等のサクシネート系樹脂、ポリカプロラクトン、ポリビニルアルコール(PVA)等の化学合成系生分解性樹脂等、その他、ポリグリコール酸(PGA)、ポリブチレンアジペート/テレフタレート、生分解性ポリオレフィン(商品面:Biorecover、商品名;Cra Drop等)が挙げられる。
これらの中でも環境汚染の問題の少ない生分解性樹脂が好ましい。また容器内収納製品が液体等の場合には、耐水性、耐油性等に優れた素材が好ましい。
【0122】
(変形例8)
図52に示すように、蓋体1は接合領域Rの内側を隆起させてもよい。このように隆起させた隆起部202を形成することで、容器101において内容物が収容される空間を増加させることができ、例えば内容物がコーヒー等の液体の場合に、その液体の上に例えばクリーム状のものなどを載せたときでも、蓋体1の裏面に接触することを大きく低減することが可能になる。なお、この隆起部202の高さは任意に決定してよい。
【0123】
なお、本発明の蓋体にかかる第2実施形態の各態様については、第1実施形態の態様のそれぞれに適用してもよい。例えば、第2実施形態の変形例7や8において説明した窓部や隆起部の構成については第1実施形態の蓋体に対して適用することができ、また窓部や隆起部以外の構成についても、第1実施形態の蓋体に対して適宜適用してよい。
【0124】
(適用例)
第2実施形態にかかる蓋体1は、
図38に示すように蓋体付き容器150に用いることができる。
図38は、第2実施形態にかかる蓋体1を、口部102を有する容器101の口部102の縁部103に接合させた実施例を示す断面図である。蓋体1と容器101との接合方法は特に限定されず、圧着や、ヒートシール等の接合方法と適宜用いることができる。
【0125】
容器101は、上方向にむかって径が太くなるような筒状の側壁104と底面部107を有し内部に空間部105を形成する本体と、本体の上端(側壁104の上端)で開口した口部102を有する。図示しないが、容器101の口部102は円形状に形成されている。ただし、ここに示す容器101は一例であり、容器101の構成を限定するものではない。例えば、容器は口部を矩形状に形成されてもよい。容器は、蓋体で口部を被覆できるものであればよい。また、容器の内部に収納されるものは、特に限定されず、例えば液体状のもの、固形状のもの、またはそれらの組み合わせなどを例示することができる。
【0126】
図38に示す容器では、口部102の縁部103に、容器の本体を形成する部材を外向きに巻きまわされたカール部108が形成されていたが、容器101はこれに限定されない。口部102の縁部103に側壁104の端面が露出していてもよいし、
図42に示すように、口部102の縁部103に、容器101の口部102の外側に向かって延びるつば部110が形成されていてもよい。
図41の例では、つば部110で容器101と蓋体1とが接合されている。
【0127】
また、第2実施形態にかかる蓋体は、口部を有する容器との組み合わせとされてもよい。
【0128】
第2実施形態の説明で示したことは、発明の効果を没却しない限りで、第1実施形態の蓋体に適用されてもよい。適用例は、第1実施形態の蓋体に対しても適用されてよい。なお、第1実施形態の説明で示したことも、発明の効果を没却しない限りで、第2実施形態の蓋体に適用されてもよい。
【0129】
これまで説明したように、本発明に係る蓋体1は、このような多くの態様の蓋体1に対して適用することができる。また、上記した以外の態様の蓋体1に対しても適用することが可能である。以上、本発明に係る蓋体について詳細に説明したが、上記したのは本発明係る蓋体を例示したに過ぎず、これらに限定されるものではない。したがって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更してよい。また、上記した蓋体の構成は、それぞれの例の蓋体の構成を独立して用いてもよいし、それぞれの例の蓋体の構成を適宜組み合わせて適用してもよい。
【0130】
上述に説明する本発明は、下記の技術的思想を包含する。
(1)容器の口部を開閉可能に形成された蓋体であって、
閉蓋時に前記口部を覆うように形成された天面部を備え、
前記天面部は、小蓋片と、前記小蓋片を引き上げる際に形成される開口部とを有し、
前記小蓋片には、タブ部材の一端部と接合した接合部が形成されており、
前記接合部は、前記小蓋片の一部に形成されており、
前記タブ部材は、他端部に形成された摘み部と、前記接合部及び前記摘み部の間に形成された保持片とを有し、
前記天面部には、前記保持片が差し込まれる差し込み部が形成されており、
前記保持片は、前記差し込み部に差し込まれる際に前記タブ部材から突出するように形成されており、前記差し込み部に差し込んで前記小蓋片が開いた状態を維持することができるように形成されていることを特徴とする蓋体。
(2)前記天面部は縁部を有しており、
前記小蓋片は、前記天面部の中央よりに位置する切端部と、前記縁部側に位置する先端部とを有し、
前記接合部は、前記先端部寄りに形成されている上記(1)記載の蓋体。
(3)前記小蓋片と前記タブ部材との間に非接合部が形成されている上記(1)又は(2)記載の蓋体。
(4)前記非接合部が形成される位置は、前記接合部が形成される位置よりも前記天面部の中央寄りに位置する上記(1)から(3)のいずれかに記載の蓋体。
(5)前記タブ部材は、前記接合部の前記他端部側端部に折り曲げ部が形成されている上記(1)から(4)のいずれかに記載の蓋体。
(6)前記タブ部材は、前記接合部と前記摘み部との間に本体部を有しており、
前記保持片は、前記本体部に形成されており、前記本体部から突出するように形成されている上記(1)から(5)のいずれかに記載の蓋体。
(7)前記摘み部は、前記保持片が前記本体部から突出しているときには、前記本体部に対して立ち上がるように形成されている上記(1)から(6)のいずれかに記載の蓋体。
(8)前記保持片は前記摘み部側から前記接合部側に向かって突出するように形成されている上記(1)から(7)のいずれかに記載の蓋体。
(9)前記差し込み部は、前記保持片が差し込まれる主部と、前記主部と交差する補助部とを有する上記(1)から(8)のいずれかに記載の蓋体。
(10)前記主部と前記補助部とが連続的に形成されており、
前記補助部は、前記主部と連続する連続部とは反対側の端部の方向が異なる方向となるように形成されている上記(9)記載の蓋体。
(11)前記タブ部材は、前記摘み部に人物の表情を模した図柄が設けられている上記(1)から(10)のいずれかに記載の蓋体。
(12)前記図柄は、前記保持片を突出させる前後で異なる表情となる図柄である上記(11)記載の蓋体。
(13)前記タブ部材は、所定の表示を行うための表示部を有する上記(1)から(12)のいずれかに記載の蓋体。
(14)前記表示部は、前記容器の中に収容されている内容物の種類を示す表示を有する上記(13)記載の蓋体。
(15)前記表示部は、前記本体部に形成されており、前記本体部に対して折り曲げ可能に形成されている上記(13)から(14)記載の蓋体。
(16)前記表示部は、表面と裏面とを有しており、
前記表示が前記表面及び裏面に設けられている上記(13)から(15)のいずれかに記載の蓋体。
(17)前記表示部は、前記本体部に対する折り曲げ箇所に折り曲げ補助部が形成されている上記(13)から(16)のいずれかに記載の蓋体。
(A1)容器の口部を開閉可能に形成された蓋体であって、
前記容器に取り付けられた状態で前記容器が閉蓋される時に前記口部を覆うように形成された天面部を有し、
前記天面部は、小蓋片と、前記小蓋片を引き上げる際に形成される開口部とを備え、
前記小蓋片に接合されるタブ部材を備え、
前記小蓋片には、前記タブ部材の一端部と接合した接合部が形成されており、
前記タブ部材は、該タブ部材の他端部に摘み部を形成している、
蓋体。
(A2)容器の口部の周縁に接合される接合領域を有する蓋体であって、
前記容器に対する接合時に前記口部を覆う形状を有し、
小蓋片と、前記小蓋片に接合されるタブ部材と、前記小蓋片を引き上げる際に形成される開口部とを備え、
前記小蓋片が前記接合領域の内側に設けられており、
前記タブ部材の一端部と前記小蓋片とが接合されており、
前記一端部と前記先端寄りの部分との接合部分を接合部とした場合に、
前記タブ部材は、該タブ部材の他端部に摘み部を形成している、
蓋体。
(A3)前記タブ部材は、前記接合部及び前記摘み部の間に形成された保持片を有し、前記摘み部を摘んで前記小蓋片を開蓋した際に前記タブ部材から前記保持片が突出するように形成されており、
前記天面部には、前記突出した保持片が差し込まれる差し込み部が形成されており、
前記保持片を前記差し込み部に差し込んで前記小蓋片が開いた状態を維持することができるように構成されている上記(A1)に記載の蓋体。
(A4)前記タブ部材は、前記接合部及び前記摘み部の間に形成された保持片を有し、前記摘み部を摘んで前記小蓋片を開蓋した際に前記タブ部材から前記保持片が突出するように形成されており、
突出した前記保持片が差し込まれる差し込み部が形成されており、
前記保持片を前記差し込み部に差し込んで前記小蓋片が開いた状態を維持することができるように構成されている上記(A2)に記載の蓋体。
(A5)前記摘み部は、前記保持片が前記差し込み部に差し込まれたときに立ち上がるように形成されている上記(A3)または(A4)に記載の蓋体。
(A6)前記保持片は、前記摘み部側から前記接合部側に向かって突出するように形成されている上記(A3)から(A5)のいずれか1つに記載の蓋体。
(A7)前記差し込み部は、前記保持片が差し込まれる主部と、前記主部と交差する補助部とを有する上記(A3)から(A6)のいずれか1つに記載の蓋体。
(A8)前記タブ部材は、前記摘み部に人物の表情を模した図柄が設けられている上記(A3)から(A7)のいずれか1つに記載の蓋体。
(A9)前記図柄は、前記保持片を突出させる前後で立体的に変化する上記(A8)記載の蓋体。
(A10)前記容器に対して接合された状態で露出面を有し、
前記小蓋片の外周縁の少なくとも一部は、前記接合領域の内縁に沿って延びており、且つ、前記容器に対して接合された状態における前記露出面と前記容器の内周面の延長面との交差位置よりも外側に形成されている、上記(A2)に記載の蓋体。
(A11)前記小蓋片が閉じられた閉蓋状態で、前記小蓋片の外周端面に向かい合う向き合い面を有し、
前記閉蓋状態から小蓋片を開く場合に、前記外周端面の少なくとも一部と前記向き合い面とが擦れあう、上記(A1)から(A10)のいずれか1つに記載の蓋体。
(A12)前記天面部に窓部が形成されている上記(A1)から(A11)のいずれかに記載の蓋体。
(A13)前記天面部は、該天面部の少なくとも一部が隆起した隆起部を有する上記(A1)から(A12)のいずれかに記載の蓋体。
(A14)紙系素材で形成されている、上記(A1)から(A13)のいずれかに記載の蓋体。
(A15)口部を有する容器と、上記(A1)から(A14)のいずれかに記載の蓋体とを有する、容器と蓋体の組み合わせ。
(A16)口部を有する容器と、上記(A1)から(A14)のいずれかに記載の蓋体とを有し、
容器の口部が蓋体で被覆されている、蓋体付き容器。
【符号の説明】
【0131】
1 :蓋体
2 :天蓋部
2a :天面部
2b :表面
2c :裏面
3 :側壁
3a :外壁
3b :上端
3c :下端
3d :段差
4 :立ち上がり部
4a :内面
5 :上部壁
5a :内面
6 :下部壁
7 :係合部
8 :下端部
9 :折り返し部
9a :対向面
10 :下接合点
11 :開口形成部
12 :開口部
12a :一端側端部
13 :小蓋片
13a :一端部
13b :他端部
14 :ヒンジ部
15 :折り曲げ線
16 :切込み線
17 :点状接合部
18 :応力軽減部
21 :タブ部材
21a :一端部
21b :他端部
22 :接合部
23 :保持片(保持部)
23a :切込み線
23b :先端
23c :折り込み線
24 :摘み部
24a :表示部
24b :図柄
26 :差し込み部
26a :主部
26b :補助部
31 :折り曲げ線
41 :カール部
51 :傾斜部
52 :誘導部
61 :立ち下がり部
70 :露出面
71 :外周端
72 :周辺部
73 :外周縁
73a :端面
74 :ヒンジ連結部
75 :前端縁部
76 :側端縁部
77 :向き合い面
78 :接触部
79 :圧縮部
80 :溝
81 :ハーフカット部
82 :突出部
83 :摘み
84 :ラベル
85 :凹み部
86 :隆起部
86a :外周端
87 :上側隆起部
88 :スリット
101 :容器
102 :口部
103 :縁部
104 :側壁
105 :空間部
106 :内側壁
107 :底面部
108 :カール部
110 :つば部
121 :突出壁
150 :蓋体付き容器
160 :開口部付近の部分
F :力
M1 :延長面
M2 :面
R :接合領域
RA :内縁
Rn :内側領域
X :破線領域
a :矢印
θ :角度