(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022695
(43)【公開日】2024-02-20
(54)【発明の名称】土木作業装置
(51)【国際特許分類】
E21B 7/20 20060101AFI20240213BHJP
【FI】
E21B7/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022125972
(22)【出願日】2022-08-07
(71)【出願人】
【識別番号】515348389
【氏名又は名称】株式会社Lavie
(74)【代理人】
【識別番号】100167081
【弁理士】
【氏名又は名称】本谷 孝夫
(72)【発明者】
【氏名】前池 典子
【テーマコード(参考)】
2D129
【Fターム(参考)】
2D129BB03
2D129EA02
2D129EA11
2D129EB29
2D129EC32
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ケーシングチューブ内周面に対する圧接力を確保できる安価な土木作業装置を提供する。
【解決手段】コントロールフレーム装置122、係合装置124、係合体連動装置126、及びアタッチメント118を含む土木作業装置100は、ケーシングチューブ102内に吊り下げられる。係合装置124を構成する係合体174は、油圧ポンプ152からの作動油によって油圧シリンダ166のピストンロッド170を引き上げ、係合体連動装置を構成する載頭円錐形の駆動カム224によって拡径方向へ移動され、ケーシングチューブの内周面に圧接される。ケーシングチューブの回転によって、係合体を介して係合体連動装置が回転され、土木作業様のアタッチメントを作動させる。駆動カムは、ベアリングを介して駆動軸に回転自在に支持され、油圧シリンダによって引き上げられる。コントロールフレーム装置に作用するトルクは、ジャイロスコープによって相殺される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状のケーシングチューブ(102)内に配置した係合体(174)を、前記ケーシングチューブ(102)の内周面(102i)に係合して前記ケーシングチューブ(102)と一体化し、前記係合体(174)を介して土木作業用のアタッチメント(118)を作動させるようにした土木作業装置(100)であって、
コントロールフレーム装置(122)と係合装置(124)が設けられ、
前記コントロールフレーム装置(122)はクレーンワイヤ(116)によって吊り下げられると共に、ジャイロスコープ(130)が設けられ、
前記係合装置(124)には、前記係合体(174)を前記ケーシングチューブ(102)の内周面(102i)側に移動させる係合体連動装置(126)と、
前記コントロールフレーム装置(122)に取り付けられた駆動装置(162)と、
前記駆動装置(162)によって前記ケーシングチューブ(102)の軸線に沿って上方へ移動される駆動軸(206)を含み、
前記係合体連動装置(126)は前記駆動軸(206)の上方移動によって前記係合体(174)を前記内周面(102i)側に移動させ、
前記コントロールフレーム装置(122)に作用する回転力を前記ジャイロスコープ(130)によって打ち消す
ことを特徴とする土木作業装置。
【請求項2】
円筒状のケーシングチューブ(102)内に配置した係合体(174)を、前記ケーシングチューブ(102)の内周面(102i)に係合して前記ケーシングチューブ(102)と一体化し、前記係合体(174)を介して土木作業用のアタッチメント(118)を作動させるようにした土木作業装置(100)であって、
コントロールフレーム装置(122)と係合装置(124)が設けられ、
前記コントロールフレーム装置(122)はクレーンワイヤ(116)によって吊り下げられると共に、ジャイロスコープが設けられ、
前記係合装置(124)には、前記係合体(174)を前記ケーシングチューブ(102)の内周面(102i)側に移動させる係合体連動装置(126)と、
前記係合体連動装置(126)にベアリング(208)を介して前記ケーシングチューブ(102)の軸線に沿って移動可能な駆動軸(206)と、
前記駆動軸(206)を前記ケーシングチューブ(102)の軸線に沿って上方へ移動させるため、前記コントロールフレーム装置(122)に取り付けられた駆動装置(162)を含み、
前記係合体(174)と前記係合体連動装置(126)はカム装置(226)を構成し、
前記コントロールフレーム装置(122)に作用する回転力を前記ジャイロスコープ(130)によって打ち消す
ことを特徴とする土木作業装置。
【請求項3】
さらに、前記駆動軸(206)の反力打ち消し装置(128)を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載した土木作業装置。
【請求項4】
前記反力打ち消し装置(128)は歯車装置(238)である
ことを特徴とする請求項3に記載した土木作業装置。
【請求項5】
前記駆動装置(162)は、前記コントロールフレーム装置(122)に取り付けられた油圧ポンプ(152)と油圧アクチュエータ(160)を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載した土木作業装置。
【請求項6】
前記油圧アクチュエータ(160)は油圧シリンダ(166)であり、前記油圧シリンダ(166)のピストンロッド(170)は前記駆動軸(206)と同軸上に配置されている
ことを特徴とする請求項5に記載した土木作業装置。
【請求項7】
前記係合体(174)と前記係合体連動装置(126)はカム装置(226)を構成する
ことを特徴とする請求項1に記載した土木作業装置。
【請求項8】
前記カム装置(226)は斜面カムである
ことを特徴とする請求項2又は7に記載した土木作業装置。
【請求項9】
前記係合体連動装置(126)は載頭円錐形である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載した土木作業装置。
【請求項10】
前記カム装置(226)は、被動カム(188)と駆動カム(224)を含み、前記駆動カム(224)は前記ベアリング(208)に一体化され、
前記駆動軸(206)の軸線方向の移動によって、前記被動カム(188)は前記駆動カム(224)によって前記ケーシングチューブ(102)の内周面(102i)側へ移動され、前記ケーシングチューブの内周面(102i)に係合される
ことを特徴とする請求項8に記載した土木作業装置。
【請求項11】
前記係合体連動装置(126)には土木作業用のアタッチメント(118)が取り付けられる
ことを特徴とする請求項1又は2に記載した土木作業装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円筒形のケーシングチューブの回転力を、ケーシングチューブへの係合によってケーシング内の土木作業用のアタッチメントに伝達するようにした土木作業装置に関する。特に、ケーシングチューブ内周面と係合体との圧接力が十分に得られると共に、安価に構成できる土木作業装置に関する。なお、以下の説明において、第一、第二、等の数字を使った名称を使用するが、同一名称において混同を生じないようにする説明の便のためのものであって、権利の解釈に影響を与えない。
【背景技術】
【0002】
第1の従来技術として、ケーシングチューブを回転させつつ地中に押し込むチュービング機構を備えると共に、ワイヤロープにより前記ケーシングチューブ内に吊下げられて前記ケーシングチューブ内周面に係合されるグリップ機構を備え、該グリップ機構に掘削具を取り付けた掘削装置において、前記グリップ機構は、前記ワイヤロープに吊り下げられた駆動軸と、該駆動軸に上下方向に摺動可能に挿着された中空部材と、前記ケーシングチューブの内周面に沿って配置された複数のグリップ部材とを備え、前記中空部材に前記掘削具を取り付けると共に、前記駆動軸の下方向の移動によりリンクを介して前記グリップ部材を拡開して前記ケーシングチューブ内周面に係合させ、前記掘削具は、前記ケーシングチューブの内径よりも小さな外径を有する筒部材を備え、前記筒部材に前記ケーシングチューブの内周面に沿って掘削する掘削ビットを取り付けると共に、前記掘削具に、前記掘削ビットにより掘削された円柱状の岩盤の外周に対向して配置されたチャック爪が揺動可能に支持されると共に、前記駆動軸の上方向の移動により前記チャック爪を揺動させて前記岩盤の外周を把持することを特徴とする掘削装置が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
第2の従来技術として、地中にチュービング装置で回転させながら押し込まれたケーシングチューブ内の土砂の掘削方法において、ベースマシンに設けたブームまたはリーダの上端からケリーバを垂下するとともに該ケリーバを回転駆動させるケリーバ駆動装置を該ブームまたはリーダに設け、かつ、該ケリーバの下端に径方向へ拡開させてケーシングチューブの内周面に係合する圧接部材を備えた脱着可能なグリップ機構を介して掘削バケットを取り付けた掘削機により、硬質地盤層では、チュービング装置を駆動して掘削バケットを回動させて掘削する掘削方法が知られ、この掘削方法に使用する掘削機は、ベースマシンに備えたウインチでブームまたはリーダの上端からケリーバを吊持し、ケリーバ駆動装置で掘削バケットを回転させるもので、ケリーバの下端にはケーシングチューブの内周面に係合する脱着可能なグリップ機構を介して掘削バケットを取り付けたものが知られている。(特許文献2参照)。
【0004】
第3の従来技術として、地中に埋設された既存の基礎杭を囲むようにケーシングを埋設し、該ケーシングの内筒面と前記基礎杭との間に形成される作業空間を使って前記基礎杭を解体する地中基礎杭用解体方法において、円筒状の前記ケーシングは、前記ケーシングを回転させる全周回転装置によって保持され、前記ケーシング内に、起重機で吊された地中基礎杭用解体装置を挿入し、前記地中基礎杭用解体装置が備えるストッパを、前記地中基礎杭用解体装置を前記ケーシングの内周面に対して当接させることで、前記地中基礎杭用解体装置を前記ケーシングと係合し、前記地中基礎杭用解体装置が備えるアームを、該アームに接続される油圧シリンダを駆動することで閉じて、前記基礎杭の外周面に対して前記アームの先端に備えるブレードを当接させ、前記全周回転装置によって前記ケーシングを回転させることで、前記地中基礎杭用解体装置を回転させ、前記基礎杭を切断する技術が知られている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3947304号(
図1、段落番号0006~0007)
【特許文献2】特許第3853218号(
図1、段落番号0010~0011)
【特許文献3】特許第6588502号(
図4、段落番号0009~0010)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
第1の従来技術において、ケーシングチューブ内周面から工具たる掘削ビットへ回転力を伝えるグリップ機構は、ウエイトの自重とスプリングの付勢力により駆動軸が下降し、リンクを介してグリップ部材が拡開されてケーシングチューブの内周面に押し付けられて、グリップ機構とケーシングチューブとが係合される。したがって、グリップ部材とケーシングチューブの内周面への圧接力は、ウエイトの重量によって決定される。よって、ウエイトの重量には限界があり、結果、圧接力が不十分であり、グリップ部材とケーシングチューブの内周面の間にスリップが生じる懸念がある。
第2の従来技術おいて、ケリーバを押し込んでグリップ機構をケーシングチューブの内周面に係合する。ケリーバが長くなった場合、圧接力が不十分になり、グリップ機構をケーシングチューブの内周面との間にスリップが生じる懸念がある。
第3の従来技術において、ケーシング内周面に、油圧シリンダによってストッパを押し付ける。油圧シリンダにはケーシング外に設置した油圧ポンプから油圧用のスイベルジョイントを介して作動油を送給する。油圧用のスイベルジョイントは高価であり、一層安価な装置が求められている。
【0007】
本出願人は、この課題を解決するため、以下の発明を提案した。
円筒状のケーシングチューブ内に配置した係合体を、前記ケーシングチューブの内周面に係合して前記ケーシングチューブと一体化し、前記係合体を介して土木作業用のアタッチメントを作動させるようにした土木作業装置であって、前記係合体を前記ケーシングチューブの内周面側に移動させる係合体連動装置と、前記係合体連動装置にベアリングを介して前記ケーシングチューブの軸線に沿って移動可能な駆動軸と、前記駆動軸を前記ケーシングチューブの軸線に沿って上方へ移動させる駆動装置を含み、前記係合体と前記係合体連動装置はカム装置を構成することを特徴とする土木作業装置。
上記土木作業装置は、圧接力を十分に確保できる利点がある。しかしながら、ベアリングにおける摩擦力を介して駆動軸にトルクが作用するので、駆動軸を支持するコントロールフレーム装置にもトルクが作用し、ケーシングチューブの軸線回りに回転され、ワイヤ類がクレーンワイヤに絡みつく懸念がある。
【0008】
本発明の目的は、駆動軸を支持するコントロールフレーム装置にトルクが作用した場合であっても、駆動軸を支持するコントロールフレーム装置を静止状態に維持できるようにした土木作業装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係る第1の発明は以下のように構成されている。
円筒状のケーシングチューブ内に配置した係合体を、前記ケーシングチューブの内周面に係合して前記ケーシングチューブと一体化し、前記係合体を介して土木作業用のアタッチメントを作動させるようにした土木作業装置であって、
コントロールフレーム装置と係合装置が設けられ、
前記コントロールフレーム装置はクレーンワイヤによって吊り下げられると共に、ジャイロスコープが設けられ、
前記係合装置には、前記係合体を前記ケーシングチューブの内周面側に移動させる係合体連動装置と、
前記コントロールフレーム装置に取り付けられた駆動装置と、
前記駆動装置によって前記ケーシングチューブの軸線に沿って上方へ移動される駆動軸を含み、
前記係合体連動装置は前記駆動軸の上方移動によって前記係合体を前記内周面側に移動させ、
前記コントロールフレーム装置に作用する回転力を前記ジャイロスコープによって打ち消す
ことを特徴とする土木作業装置である。
【0010】
上記目的を達成するため、本発明に係る第2の発明は以下のように構成されている。
円筒状のケーシングチューブ内に配置した係合体を、前記ケーシングチューブの内周面に係合して前記ケーシングチューブと一体化し、前記係合体を介して土木作業用のアタッチメントを作動させるようにした土木作業装置であって、
コントロールフレーム装置と係合装置が設けられ、
前記コントロールフレーム装置はクレーンワイヤによって吊り下げられると共に、ジャイロスコープが設けられ、
前記係合装置には、前記係合体を前記ケーシングチューブの内周面側に移動させる係合体連動装置と、
前記係合体連動装置にベアリングを介して前記ケーシングチューブの軸線に沿って移動可能な駆動軸と、
前記駆動軸を前記ケーシングチューブの軸線に沿って上方へ移動させるため、前記コントロールフレーム装置に取り付けられた駆動装置を含み、
前記係合体と前記係合体連動装置はカム装置を構成し、
前記コントロールフレーム装置に作用する回転力を前記ジャイロスコープによって打ち消す
ことを特徴とする土木作業装置である。
【0011】
本発明に係る第3の発明は以下のように構成されている。
さらに、前記駆動軸の反力打ち消し装置を含むことを特徴とする第1又は2の発明に記載した土木作業装置である。
【0012】
本発明に係る第4の発明は以下のように構成されている。
前記反力打ち消し装置は歯車装置であることを特徴とする第3の発明の土木作業装置である。
【0013】
本発明に係る第5の発明は以下のように構成されている。
前記駆動装置は、前記コントロールフレーム装置に取り付けられた油圧ポンプと油圧アクチュエータを含むことを特徴とする第1又は第2の発明の土木作業装置である。
【0014】
本発明に係る第6の発明は以下のように構成されている。
前記油圧アクチュエータは油圧シリンダであり、前記油圧シリンダのピストンロッドは前記駆動軸と同軸上に配置されていることを特徴とする第5の発明の土木作業装置である。
【0015】
本発明に係る第7の発明は以下のように構成されている。
前記係合体と前記係合体連動装置はカム装置を構成することを特徴とする第1の発明の土木作業装置である。
【0016】
本発明に係る第8の発明は以下のように構成されている。
前記カム装置は斜面カムであることを特徴とする第2又は第7の発明の土木作業装置である。
【0017】
本発明に係る第9の発明は以下のように構成されている。
前記係合体連動装置は載頭円錐形であることを特徴とする第1又は第2の発明の土木作業装置である。
【0018】
本発明に係る第10の発明は以下のように構成されている。
前記カム装置は、被動カムと駆動カムを含み、前記駆動カムは前記ベアリングに一体化され、前記駆動軸の軸線方向の移動によって、前記被動カムは前記駆動カムによって前記ケーシングチューブの内周面側へ移動され、前記ケーシング内周面に係合される
ことを特徴とする第8の発明の土木作業装置である。
【0019】
本発明に係る第11の発明は以下のように構成されている。
前記係合体連動装置には土木作業用のアタッチメントが取り付けられることを特徴とする第1又は第2の発明の土木作業装置である。
【発明の効果】
【0020】
第1の発明において、コントロールフレーム装置が吊り下げられ、当該コントロールフレーム装置に駆動軸を介して係合装置が設けられている。
駆動軸は係合体連動装置を介してケーシングチューブの軸線に沿って移動可能である。駆動軸の軸線方向の移動によって、係合体連動装置を介して係合体はケーシングチューブの内周面側に移動させられる。これによって、ケーシングチューブの回転によって、係合体を介して係合体連動装置がケーシングチューブの軸線回りに回転される。係合体連動装置の回転によって、アタッチメントは掘削等を実行する。一方、駆動軸はベアリングを介して係合体連動装置に取り付けられている。したがって、係合体連動装置が回転しても、駆動軸はベアリングによって係合体連動装置に対して回転自在であるから、軸線回りの回転は制限される。駆動軸はその軸線方向に引き上げることが出来れば良いので、駆動軸の駆動装置として油圧シリンダ等の大出力装置を用いることができ、係合体とケーシングチューブ内周面との間の十分な圧接力を得ることができる。この場合、ベアリングと係合体連動装置の間の摩擦力によって、駆動軸に対し回転方向にトルクが作用する可能性がある。駆動軸にトルクが作用した場合、当該駆動軸が設けられているコントロールフレーム装置にはジャイロスコープが設けられている。当該ジャイロスコープは前記トルクとは逆方向のトルクを発生させ、かつ前記トルクを打ち消す方向に作用させる。よって、コントロールフレーム装置は軸線回りに回転されることはない。よって、駆動軸に作用するトルクを考慮せずともよいのでスイベルジョイント等の高価な装置を使うことは必須でないので、安価に構成することができる利点がある。
【0021】
第2の発明において、コントロールフレーム装置が吊り下げられ、当該コントロールフレーム装置に駆動軸を介して係合装置が設けられている。駆動軸は係合体連動装置にベアリングを介してケーシングチューブの軸線に沿って移動可能に配置されている。駆動軸の軸線方向の移動によって、係合体連動装置を介して係合体はケーシングチューブの内周面側に移動させられる。これによって、ケーシングチューブの回転によって、係合体を介して係合体連動装置がケーシングチューブの軸線回りに回転される。係合体連動装置の回転によって、アタッチメントは掘削等を実行する。一方、駆動軸はベアリングを介して係合体連動装置に取り付けられている。したがって、係合体連動装置が回転しても、駆動軸はベアリングによって係合体連動装置に対して回転自在であるから、軸線回りの回転は制限される。換言すれば、駆動軸は実質的に回転されない。よって、駆動軸はその軸線方向に引き上げることが出来れば良いので、駆動軸の駆動装置として油圧シリンダ等の大出力装置を用いることができ、係合体とケーシングチューブ内周面との間の十分な圧接力を得ることができる。この場合、ベアリングと係合体連動装置の間の摩擦力によって、駆動軸に対し回転方向にトルクが作用する可能性がある。駆動軸にトルクが作用した場合、当該駆動軸が設けられているコントロールフレーム装置にはジャイロスコープが設けられている。当該ジャイロスコープは前記トルクとは逆方向のトルクを発生させ、かつ前記トルクを打ち消す方向に作用させる。よって、コントロールフレーム装置は軸線回りに回転されることはない。よって、回転を考慮せずともよいのでスイベルジョイント等の高価な装置を使うことは必須でないので、安価に構成することができる利点がある。
【0022】
第3の発明において、第1又は第2の発明と同一の構成を有するので、本願発明の目的を達成できる。更に、第3の発明において、反力打ち消し装置を含んでいる。よって、係合体連動装置の回転によって、駆動軸に回転力が作用しても反力打ち消し装置によって打ち消されるので、駆動軸が回転されることはない。よって、更に確実に本願発明の目的を達成できる利点がある。
【0023】
第4の発明においては、第1又は第2の発明と同一の構成を有するので、本願発明の目的を達成できる。更に、第4の発明において、反力打ち消し装置が歯車装置で構成されているので、安価に構成できる利点がある。
【0024】
第5の発明においては、第1又は第2の発明と同一の構成を有するので、本願発明の目的を達成できる。更に、第5の発明において、前記コントロールフレーム装置に取り付けられた油圧ポンプと油圧アクチュエータを含むことから、それらを近傍に配置することができ、圧力損失を抑制できるので、エネルギー効率を高めることができる利点がある。
【0025】
第6の発明においては、第1又は第2の発明と同一の構成を有するので、本願発明の目的を達成できる。更に、第6の発明において、油圧アクチュエータは油圧シリンダであるので市場に流通している製品を利用することができ、安価に構成できる利点がある。
【0026】
第7の発明においては、第1の発明と同一の構成を有するので、本願発明の目的を達成できる。更に、第7の発明において、係合体と前記係合体連動装置はカム装置を構成する。カムは安価に構成できることから、装置を安価に構成できる利点がある。
【0027】
第8の発明においては、第1又は2の発明と同一の構成を有するので、本願発明の目的を達成できる。更に、第8の発明において、カム装置は斜面カムである。よって、斜面カムは製作が容易で安価であることから、装置を安価に構成できる利点がある。
【0028】
第9の発明においては、第1又は第2の発明と同一の構成を有するので、本願発明の目的を達成できる。更に、第9の発明において、係合体連動装置は載頭円錐形である。載頭円錐形は製作が容易であることから安価に構成できる利点がある。
【0029】
第10の発明においては、第1又は第2の発明と同一の構成を有するので、本願発明の目的を達成できる。更に、第10の発明において、前記カム装置は、被動カムと駆動カムを含み、前記駆動カムは前記ベアリングに一体化され、前記駆動軸の軸線方向の移動によって、前記被動カムは前記駆動カムによってケーシングチューブの内周面側へ移動され、同内周面に係合される。カムは安価に構成できることから、装置を安価に構成できる利点がある。
【0030】
第11の発明においては、第1又は第2の発明と同一の構成を有するので、本願発明の目的を達成できる。更に、第11の発明において、前記係合体連動装置には土木作業用のアタッチメントが取り付けられる。よって、係合体とケーシング間の十分な圧接力を得る土木作業装置を、安価に製造することができる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】
図1は、本発明にかかる実施例1の土木作業装置の概要説明図である。
【
図2】
図2は、本発明にかかる実施例1の土木作業装置の縦断面図である。
【
図3】
図3は、本発明にかかる実施例1の土木作業装置のコントロールフレーム装置であり、(A)は平面図、(B)は(A)におけるB―B線断面である。
【
図4】
図4は、本発明にかかる実施例1の土木作業装置の係合装置であり、(A)は縦断面図、(B)は
図2におけるC―C線断面図である。
【
図5】
図5は、本発明にかかる実施例1の土木作業装置の係合装置であり、(A)は
図2におけるA―A線断面図、(B)は
図2におけるB―B線断面図である。
【
図6】
図6は、本発明にかかる実施例1の土木作業装置の係合体連動装置であり、(A)は係合体連動装置の正面図、(B)は係合体連動装置の縦断面図、(C)は作動体の縦断面図、(D)は駆動軸とベアリングの組立体の正面図である。
【
図7】
図7は、本発明にかかる実施例1の土木作業装置の反力打ち消し装置の説明図である。
【
図8】
図8は、本発明にかかる実施例1の土木作業装置の作動説明図である。
【
図9】
図9は、本発明にかかる実施例1の土木作業装置に用いるジャイロスコープの概略図であり、(A)はコントロールフレーム装置の斜視図縦断面図、(B)はジャイロスコープの斜視図概略図である。
【
図10】
図10は、本発明にかかる実施例2の土木作業装置の反力打ち消し装置の説明用縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明に係る土木作業装置は、円筒状のケーシングチューブ内に配置した係合体を、前記ケーシングチューブの内周面に係合して前記ケーシングチューブと一体化し、前記係合体を介して土木作業用のアタッチメントを作動させるようにした土木作業装置であって、コントロールフレーム装置と係合装置が設けられ、前記コントロールフレーム装置はクレーンワイヤによって吊り下げられると共に、ジャイロスコープが設けられ、前記係合装置には、前記係合体を前記ケーシングチューブの内周面側に移動させる係合体連動装置と、前記コントロールフレーム装置に取り付けられた駆動装置と、前記駆動装置によって前記ケーシングチューブの軸線に沿って上方へ移動される駆動軸を含み、前記係合体連動装置は前記駆動軸の上方移動によって前記係合体を前記内周面側に移動させ、前記コントロールフレーム装置に作用する回転力を前記ジャイロスコープによって打ち消すことを特徴とする土木作業装置であることが好ましい。
また、円筒状のケーシングチューブ内に配置した係合体を、前記ケーシングチューブの内周面に係合して前記ケーシングチューブと一体化し、前記係合体を介して土木作業用のアタッチメントを作動させるようにした土木作業装置であって、コントロールフレーム装置と係合装置が設けられ、前記コントロールフレーム装置はクレーンワイヤによって吊り下げられると共に、ジャイロスコープが設けられ、前記係合装置には、前記係合体を前記ケーシングチューブの内周面側に移動させる係合体連動装置と、前記係合体連動装置にベアリングを介して前記ケーシングチューブの軸線に沿って移動可能な駆動軸と、前記駆動軸を前記ケーシングチューブの軸線に沿って上方へ移動させるため、前記コントロールフレーム装置に取り付けられた駆動装置を含み、前記係合体と前記係合体連動装置はカム装置を構成し、前記コントロールフレーム装置に作用する回転力を前記ジャイロスコープによって打ち消すことを特徴とする土木作業装置であることが好ましい。
さらに、前記駆動軸の反力打ち消し装置を含むことを特徴とすることが好ましい。
さらにまた、 前記反力打ち消し装置は歯車装置であることが好ましい。
また、前記駆動装置は、前記コントロールフレーム装置に取り付けられた油圧ポンプと油圧アクチュエータを含むことが好ましい。
さらに、前記油圧アクチュエータは油圧シリンダであり、前記油圧シリンダのピストンロッドは前記駆動軸と同軸上に配置されていることが好ましい。
さらにまた、前記係合体と前記係合体連動装置はカム装置を構成することが好ましい。
また、前記カム装置は斜面カムであることが好ましい。
さらに、前記係合体連動装置は載頭円錐形であることが好ましい。
さらにまた、前記カム装置は、被動カムと駆動カムを含み、前記駆動カムは前記ベアリングに一体化され、前記駆動軸の軸線方向の移動によって、前記被動カムは前記駆動カムによって前記ケーシングチューブの内周面側へ移動され、前記ケーシング内周面に係合されることが好ましい。
また、前記係合体連動装置には土木作業用のアタッチメントが取り付けられることが好ましい。
【実施例0033】
本発明の実施例1に係る土木作業装置100を
図1及び
図2を参照しつつ説明する。
本発明に係る土木作業装置100は、ケーシングチューブ102内に挿入され、当該ケーシングチューブ102と一体となって掘削等の土木作業を行う機能を有する。
【0034】
まずケーシングチューブ102を主に
図2を参照しつつ説明する。
ケーシングチューブ102は、公知のように、所定の長さLC(高さ)と直径DCを有する金属製の円筒体であって、下端部に掘削ビット104が設けられ、チュービング装置106によって、ケーシングチューブ軸線CLCの回りに回転されつつ土中108に押し込められる。よって、ケーシングチューブ102は、その外周面102o、内周面102i、下端開口102b、及び上端開口102uを有する。なお、土中108への押し込み量がケーシングチューブ102の長さLCに対し、所定の比率を超えた場合、同一構成のケーシングチューブ102を直列に繫いで延長する。土木作業装置100は、クレーン112のブーム114先端から垂下するクレーンワイヤ116の先端のフック110に係止された4本の索条1201~1204に吊り下げられてケーシングチューブ102内に配置される。
【0035】
次に土木作業装置100を主に
図2を参照しつつ説明する。
土木作業装置100は、ケーシングチューブ102内において、ケーシングチューブ102の内周面102iと係合して動力を受け、アタッチメント118を作動させる機能を有する。本実施例1において、土木作業装置100は、コントロールフレーム装置122、係合装置124、係合体連動装置126、反力打ち消し装置128、及びアタッチメント118を含んでいる。
【0036】
まず、コントロールフレーム装置122を
図3をも参照しつつ説明する。
コントロールフレーム装置122は、クレーンワイヤ116に吊り下げられると共に、係合体連動装置126を上下方向に移動可能に支持する機能を有する。さらに、ジャイロスコープ130が設置され、結果的にコントロールフレーム装置122を静止状態に維持される機能を有する。したがって、コントロールフレーム装置122は、本実施例1に限定されず同様の機能を有する他の構造を採用することができる。本実施例1において、コントロールフレーム装置122は、全体として円柱形に形成され、天板132、第1中間板133、第2中間板134、底板136、及び円筒状の囲板138を含んでいる。
【0037】
天板132は、厚板円板形であり、上面中央にはクレーンワイヤ116に接続するための、4の第1接続金具1421~第4金具1424が固定されている。本実施例1においては、天板132には、天板連通孔144が穿孔されている。天板連通孔144には、電気モーター156に電気を供給するための電気ケーブル158が引き通される。
【0038】
囲板138は所定の厚みを有する板状体によって縦向きの円筒形に形成されている。囲板138の上端は、円盤型の天板132に固定され、天板132の下方に円柱形の空間146を形成する。
【0039】
第1中間板133は、空間146における、天板132の下方において、天板132に対し所定の間隔で平行に配置された所定の厚みを有する円盤型の板である。天板132と第1中間板133の間の空間は、ジャイロスコープ室135である。ジャイロスコープ室135の第1中間板133には、ジャイロスコープ130が固定されている。また、電気ケーブル158用の孔が形成されている。
【0040】
第2中間板134は、空間146における、第1中間板133の下方において、第1中間板133に対し所定の間隔で平行に配置された所定の厚みを有する円盤型の板である。
第1中間板133と第2中間板134の間の空間は、駆動装置室148である。第2中間板134には、後述する油圧ホース150を通す中間板通孔140が形成されている。また、ジャイロセンサ137がケーシングチューブ軸線CLC(囲板138の軸線)上に配置されている。
【0041】
駆動装置室148には、油圧ポンプ152、油圧タンク154、及び電気モーター156が配置されている。油圧ポンプ152は、天板連通孔144から引き込まれた電気ケーブル158を介して電力が提供される電気モーター156によって駆動され、油圧タンク154に貯留された作動油を所定の圧力で後述する駆動装置162へ送出する。
【0042】
底板136は、所定の厚みを有する円盤型の板であって、囲板138の下端部に固定され、空間146の下端を閉止する。底板136の中央には、コントロールフレーム透孔164が形成されている。
【0043】
次に駆動装置162を説明する。
駆動装置162は、係合体連動装置126を駆動する機能を有する。したがって、駆動装置162は、本実施例1に限定されず同様の機能を有する他の構造を採用することができる。本実施例1において、駆動装置162は、油圧アクチュエータ160たる油圧シリンダ166である。油圧シリンダ166は、上端の取付部166Uが第2中間板134の下面に取り付けられた取付機構168に揺動自在に取り付けられている。油圧シリンダ166の軸線は、コントロールフレーム装置122のコントロールフレーム軸線CLFと一致するように設置される。油圧シリンダ166は、油圧ポンプ152から油圧ホース150を介して圧送される作動油によって、ピストンロッド170を出し入れする。換言すれば、ピストンロッド170は作動油によって、選択的に上下方向に移動される。ピストンロッド170の先端たる下端部には、係合体連動装置126を連結するための連結部170Bが設けられている。本実施例1において、油圧ポンプ152及び電気モーター156は、コントロールフレーム装置122に設置されている。しかしながら、ケーシングチューブ102の外部に設置した油圧ポンプ152から油圧ホース150を介して油圧シリンダ166へ作動油を圧送してもよい。油圧ポンプ152をコントロールフレーム装置122に設置した場合、作動油の圧力損失を減少させ、また油圧ホース150を短縮できることから、安価に構成できる。
【0044】
次に囲板138を説明する。
囲板138は、前述したように、上端部が天板132に固定され、中間部に第2中間板134が固定され、下端部に底板136が固定され、コントロールフレーム軸線CLFを有する円筒形体である。囲板138のコントロールフレーム軸線CLFは、ケーシングチューブ軸線CLCと大凡同軸になる。
【0045】
次に係合装置124を主に
図4及び
図5を参照しつつ説明する。
係合装置124は、係合体174がケーシングチューブ102の内周面102iに係合して動力を受ける機能を有する。したがって、係合装置124は、本実施例1に限定されず同様の機能を有する他の構造を採用することができる。本実施例1において係合装置124は、係合基盤172、係合体174(第1係合体1741、第2係合体1742、第3係合体1743、第4係合体1744)、及び係合体リンク装置176(第1係合体リンク装置1761、第2係合体リンク装置1762、第3係合体リンク装置1763、第4係合体リンク装置1764)を含んでいる。
【0046】
まず係合基盤172を説明する。
係合基盤172は、係合体リンク装置176を介して係合体174をケーシングチューブ102の半径方向へ移動可能に支持する機能を有する。したがって、係合基盤172は、本実施例1に限定されず同様の機能を有する他の構造を採用することができる。本実施例1において係合基盤172は、厚板円盤形であって、中心部に所定の直径を有する基盤貫通孔178が形成されている。更に、係合体174及び係合体リンク装置176を受け容れるための係合体溝182(第1係合体溝1821、第2係合体溝1822、第3係合体溝1823、第4係合体溝1824)が周面から基盤貫通孔178へ向かって所定の長さ(深さ)で形成されている。係合体溝182は、係合基盤172の係止装置軸線CLBに対し等角度で、少なくとも2以上の複数個を形成することが好ましい。すなわち、係合体174と内周面102iの接触面積、圧接力、及び摩擦係数によって定まる動力の伝達力が十分になるように、係合体174の数が定められるので、当該係合体174の数に対応して係合体溝182の数が定められる。本実施例1において、係合体溝182は、第1係合体溝1821、第2係合体溝1822、第3係合体溝1823、及び第4係合体溝1824の4つの溝が同一形状に形成されている。
【0047】
次に係合体174を説明する。
係合体174は、ケーシングチューブ102の内周面102iに接触し、当該ケーシングチューブ102のケーシングチューブ軸線CLCを中心とする回転力を伝達され、係合体リンク装置176へ伝達する機能を有する。したがって、係合体174は、本実施例1に限定されず同様の機能を有する他の構造を採用することができる。本実施例1において係合体174は、4つの係合体溝182に対応して、第1係合体1741、第2係合体1742、第3係合体1743、第4係合体1744の4つが個別に対応付けられて設けられ、それらの構造は同一に構成されている。よって、第1係合体1741を代表して説明し、その他の係合体174に対しては符号の末尾を、第2等の順序を表わす数字に変更して表示することにより、説明を省略する。
図4(A)に示すように、第1係合体1741は側面視形状が倒立台形状であって、大凡立方体を呈している。第1係合体1741の内周面102iに対面する係合面184たる第1係合面1841は、内周面102iの曲率と同一の曲率の円弧面に形成されている。第1係合面1841に対面する被動面186たる第1被動面1861は、下方から上方に向かって、係合基盤172の係止装置軸線CLBに近づく斜面に形成され、被動カム188たる第1被動カム1881が構成されている。したがって、第1被動カム1881は斜面カムである。係合体174たる第1係合体1741は、係合体リンク装置176たる第1係合体リンク装置1761によって、係合基盤172に対し、係止装置軸線CLBに対し平行状態を維持した状態で接離するよう移動可能に取り付けられている。
【0048】
次に係合体リンク装置176を説明する。
係合体リンク装置176は、係合体174が、係合体連動装置126によって内周面102i側へ平行移動するように支持する機能を有する。したがって、係合体リンク装置176は、本実施例1に限定されず同様の機能を有する他の構造を採用することができる。本実施例1において、第1係合体1741~第4係合体1744に対し、それぞれ第1係合体リンク装置1761、第2係合体リンク装置1762、第3係合体リンク装置1763、又は第4係合体リンク装置1764が取り付けられている。第1係合体リンク装置1761、第2係合体リンク装置1762、第3係合体リンク装置1763、又は第4係合体リンク装置1764は同一構成であるので、第1係合体リンク装置1761を代表して説明し、その他の係合体リンク装置176に対しては、符号の末尾を第2等の順序を表わす数字に変更して表示することにより、説明を省略する。
第1係合体リンク装置1761は、リンク軸192、上リンク194、枢軸196、下リンク198、及び支軸202を含んでいる。
【0049】
次に、リンク軸192を説明する。
リンク軸192は、上リンク194を係合基盤172に揺動自在に支持する機能を有する。
リンク軸192は、第1係合体溝1821の奥部において両端部が係合基盤172に形成された軸孔204たる第1軸孔2041に、リンク軸192たる第1リンク軸1921の端部がそれぞれ挿入され、水平状態に支持される。
【0050】
第1リンク軸1921には、第1係合体1741の左右両側において、上リンク194たる左第1上リンク1941L及び右第1上リンク1941Rが揺動自在に支持されている。左第1上リンク1941L及び右第1上リンク1941Rは、
図4(A)に示すように、約45度の角度で下向きの傾斜になった場合、ストッパ190たる第1ストッパ1901によって、さらなる回動を阻止される。上リンク194の下端部には、枢軸196によって下リンク198が揺動自在に取り付けられている。
【0051】
第1上リンク194たる左第1上リンク1941L又は右第1上リンク1941Rの下端部には、それぞれ第1枢軸1961たる左第1枢軸1961L、右第1枢軸196Rによって、第1下リンク198たる左第1下リンク1981L、右第1下リンク1981Rが揺動自在に支持されている。第1下リンク1981の下端部には、支軸202たる第1支軸2021によって揺動自在に取り付けられている。
【0052】
この構成によって、第1係合体1741が内周面102i側へ押動された場合、第1上リンク1941及び第1下リンク1981がそれぞれ第1リンク軸1921、第1枢軸1961又は第1支軸2021回りに自由に回動され、大凡垂立状態を保ったまま、内周面102i側へ移動される。換言すれば、第1係合体1741は係止装置軸線CLBに対し近接又は離隔するように平行移動することができる。
【0053】
次に係合体連動装置126を主に
図6を参照しつつ説明する。
係合体連動装置126は、係合装置124(係合体174)を移動させてケーシングチューブ102の内周面102iに圧接させ、又は離隔させる機能を有する。したがって、係合体連動装置126は、本実施例1に限定されず同様の機能を有する他の構造を採用することができる。本実施例1において係合体連動装置126は、駆動軸206、ベアリング208、作動体212、及びアタッチメント取付部214を含んでいる。
【0054】
まず駆動軸206を説明する。
駆動軸206は、コントロールフレーム装置122から垂下する駆動装置162たる油圧アクチュエータ160である油圧シリンダ166のピストンロッド170の下端部の連結部170Bに取り付けられ、係合体連動装置126たる作動体212を相対回転自在に支持する機能を有する。したがって、駆動軸206は、本実施例1に限定されず同様の機能を有する他の構造を採用することができる。本実施例1において駆動軸206は、所定直径を有する真っ直ぐな丸棒体であり、上端部のピン孔216に引き通された連結ピン218によって、揺動自在に取り付けられている。駆動軸206の下端部にはベアリング208が取り付けられている。
【0055】
次にベアリング208を説明する。
ベアリング208は、駆動軸206に対し作動体212を駆動軸線CLD回りに回動自在に支持する機能を有する。したがって、ベアリング208は、本実施例1に限定されず同様の機能を有する他の構造を採用することができる。本実施例1においてベアリング208は、転がり軸受が好ましく、例えば、スラストベアリングであり、ベアリングの内輪(図示せず)は駆動軸206の下端部に固定され、外輪(図示せず)は作動体212に固定されている。作動体212はベアリング208を介して駆動軸206の下端部に回転自在に取り付けられている。
【0056】
次に作動体212を説明する。
作動体212は、係合装置124における係合体174をケーシングチューブ102の内周面102i側へ移動させる機能を有する。したがって、作動体212は、本実施例1に限定されず同様の機能を有する他の構造を採用することができる。本実施例1において作動体212は、外形が載頭円錐形に形成され、内部にベアリング収納室222が形成されている。作動体212は、ベアリング収納室222に収納されたベアリング208を介して駆動軸206の下端部に、駆動軸線CLDの回りに回転自在に支持されている。作動体212の載頭円錐形の外周面は、係合体174の被動カム188と協働して係合体174を内周面102i側へ移動させる駆動カム224を構成する。駆動カム224は、載頭円錐形の外周面によって構成されるので、下方から上方に向かって駆動軸線CLDに近づくように傾斜する斜面カムである。よって、被動カム188と駆動カム224はカム装置226を構成する。よって、カム装置226は、傾斜する被動面186と傾斜する駆動カム224で構成されているので、斜面カムである。
作動体212が上方に移動された場合、駆動カム224は載頭円錐形であるから、係合体174の被動カム188の同一部に増径した部分が相対する。結果、係合体174は、ケーシングチューブ102の内周面102i側へ順次移動される。作動体212が下方へ移動した場合、駆動カム224の小径部が被動カム188の同一部に相対することから、係合体174は自重により、又は、例えば別途バネによって付加される下方へ向かう力によって下方へ移動され、結果、係合体174は内周面102iから離れる方向へ移動される。作動体212の下面にはアタッチメント取付部214が設けられている。
【0057】
次にアタッチメント取付部214を説明する。
アタッチメント取付部214は、アタッチメント118が取り付けられる機能を有する。したがって、アタッチメント取付部214は本実施例1に限定されず同様の機能を有する他の構造を採用することができる。本実施例1においてアタッチメント取付部214は、作動体212の下面に駆動軸線CLDと同一軸線になるよう固定される。アタッチメント取付部214の下端部にはアタッチメント118が取り付けられる。アタッチメント118は、本実施例1において掘削バケット220である。アタッチメント118は、
図9に示すアースオーガ232、
図10に示すハンマーグラブ236、その他の土木作業用のアタッチメントに適宜交換して利用することができる。
【0058】
次にジャイロスコープ130を主に
図9を参照しつつ説明する。
ジャイロスコープ130は、コントロールフレーム装置122に作用するコントロールフレーム軸線CLF周りのトルクを打ち消す機能を有する。ケーシングチューブ102の回転によって、係合装置124、及び係合体連動装置126はケーシングチューブ102と同一方向へ回転される。この回転は、ベアリング208を介することにより、駆動軸206は回転されないが、ベアリングにおける摩擦接触によって、駆動軸206にはコントロールフレーム軸線CLF周りにトルクが作用する。このトルクを打ち消すために反力打ち消し装置128を設けたが、反力打ち消し装置128における摩擦接触によって、コントロールフレーム軸線CLF周りにトルクが作用し、コントロールフレーム装置122が回転される恐れがある。ジャイロスコープ130は、このコントロールフレーム装置122の回転を実質的に打ち消す機能を有する。本実施例1において、ジャイロスコープ130は、回転体262、回転体用電気モーター264、ジンバル266、ジンバル用電気モーター268、制御装置272を含んでいる。
【0059】
まず、回転体262を説明する。
回転体262は、回転体用電気モーター264によって所定の速度で回転され、ジャイロ効果を発生する機能を有する。本実施例1において、回転体262は所定の直径を有する円盤体であり、ジンバル266に設けられた回転体支軸274によって回転自在に支持されている。換言すれば、回転体支軸274の回転体軸線RSLの回りに矢印RDDの方向に所定の速度で回転される。回転体262は、フライホイールであることが好ましい。したがって、回転体262は、回転体用電気モーター264によって回転駆動されない場合、慣性力によって回転される。
【0060】
次に回転体用電気モーター264を説明する。
回転体用電気モーター264は、回転体262を所定の速度で回転させる機能を有する。本実施例1において回転体用電気モーター264は、可変速の電気モーターであるが、定速の電気モーターであっても良い。回転体用電気モーター264は、ジンバル266に固定され、出力軸の軸線は回転体軸線RSLと一致する。回転体用電気モーター264の反対側のジンバル266には、バランスウエイト282が固定されている。回転体用電気モーター264は、ジャイロセンサ137の出力に基づく制御装置272からの制御情報によって、選択的に回転体時計方向RDDC又は回転体反時計方向RDDCCへ所定の速度で回転される。回転体用電気モーター264は、電気ケーブル158を介して電源が供給される。
【0061】
次にジンバル266を説明する。
ジンバル266は、回転体262を回転自在に支持し、当該回転体262が回転体支軸724において回転している状態において、回転体262の回転体支軸724を一定の向きに保つ機能を有する。本実施例1において、ジンバル266は長方形の枠であって、左右の枠中央から横方向に突出する大凡水平に配置される第1ジンバル支軸2761、第2ジンバル支軸2762が回転自在に支持されている。第1ジンバル支軸2761、第2ジンバル支軸2762は同一のジンバル軸線GSL回りに回転可能に支持されている。ジンバル軸線GSLは、回転体軸線RSLに対し交点IPにおいて直交する。第1ジンバル支軸2761は、第1軸受(図示せず)に回転自在に支持され、かつジンバル用電気モーター268によってジンバル軸線GSL回りに回動される。第2ジンバル支軸2762は、第2軸受278に回転自在に支持される。ジンバル軸線GSLは、略水平に配置される。換言すれば、第1中間板133は、略水平にクレーンワイヤ116に吊り下げられるように、索条1201~1204の長さが定められる。交点IPは、コントロールフレーム軸線CLF(ケーシングチューブ軸線CLC)上に設定されることが好ましい。
【0062】
次にジンバル用電気モーター268を説明する。
ジンバル用電気モーター268は、ジンバル266をジンバル軸線GSL回りに回動させる機能を有する。本実施例1においてサーボモーターであり、正又は逆転方向に回転させ、かつ、所定の角度位置で停止することが出来る。ジンバル用電気モーター268がオフである場合、ジンバル266は、ジンバル軸線GSL回りを自由に回動できる。
これらによって、回転体用電気モーター264及びジンバル用電気モーター268がオフ(非回転状態)である場合、回転体262は、回転体軸線RSLが水平状態になるよう作用する。
ジンバル用電気モーター268は、ジャイロセンサ137の出力に基づく制御装置272からの制御情報によって、選択的にジンバル時計方向GDC又は回転体反時計方向GDCCへ所定の速度で回転される。ジンバル用電気モーター268の回転によって、第1ジンバル支軸2761を介してジンバル266は、ジンバル時計方向GDD又はジンバル反時計方向GDCCへ所定の角度傾けられる。
ジンバル用電気モーター268は、電気ケーブル158を介して電源が供給される。
【0063】
次に制御装置272を説明する。
制御装置272は、ジャイロセンサ137からの角速度情報等に基づいて、回転体用電気モーター264及びジンバル用電気モーター268のオン・オフ、及び回転速度の制御を行う機能を有する。本実施例1において、制御装置272はマイクロコンピュータによって構成され、所定のアルゴリズムに基づくプログラムに基づいて、回転体用電気モーター264及びジンバル用電気モーター268を制御する。
回転体用電気モーター264が回転し、回転体262が所定の速度で回転した場合、回転体軸線RSは水平になるよう、ジンバル266は第1ジンバル支軸2761、第2ジンバル支軸2762のジンバル軸線RSLの回りを回動し、水平状態になる。この状態で、ジンバル用電気モーター268が回転し、ジンバル266がジンバル時計方向GDCへ傾けられた場合、傾斜角度に対応したジャイロ効果によって、ジンバル時計方向GDCに対し90度をなすコントロールフレーム軸線CLF(ケーシングチューブ軸線CLC)回りに、所定の大きさの偶力(トルク)が発生し、コントロールフレーム装置122に対し対応するトルクを付与する。
制御装置272は、電気ケーブル158を介して電源が供給される。
【0064】
次にジャイロセンサ137を説明する。
ジャイロセンサ137は、コントロールフレーム装置122の状態を検出する機能を有する。コントロールフレーム装置122の状態とは、例えば、水平方向の角速度、加速度、又は姿勢角であり、少なくとも水平方向の角速度を計測できればよい。水平方向とは、コントロールフレーム軸線CLF(ケーシングチューブ軸線CLC)に対し、直角方向である。ジャイロセンサ137としては、公知の振動ジャイロセンサ、地磁気式、光学式、機械式等を使用することが出来る。本実施例1においてジャイロセンサ137は、第1中間板133上に設けられ、コントロールフレーム軸線CLF(ケーシングチューブ軸線CLC)上に設けられている。
ジャイロセンサ137は、電気ケーブル158を介して電源が供給される。
【0065】
上記構成によって、係合体連動装置126は、油圧シリンダ166によって、駆動軸206、ベアリング208を介して上方へ移動される。係合体連動装置126の上方動によって、係合体連動装置126たる駆動カム224が上方へ移動される。これによって、駆動カム224の傾斜面を構成する大径部が上方へ移動するので、被動カム188を係止装置軸線CLBから離れるように移動させる。換言すれば、第1係合体1741、第2係合体1742、第3係合体1743、及び第4係合体1744は、ケーシングチューブ102の内周面102i側へ移動され、ついには内周面102iへ所定の圧力で圧接される(
図8)。この状態でケーシングチューブ102が回転された場合、ケーシングチューブ102の内周面102iと第1係合体1741の第1係合面1841、第2係合体1742の第2係合面1842、第3係合体1743第3係合面1843、及び第4係合体1744の第4係合面1844を介して係合体連動装置126及びアタッチメント取付部214が係止装置軸線CLB(ケーシングチューブ軸線CLC回りに回転される。
係合体連動装置126が係止装置軸線CLB回りに回転された場合、駆動軸206は、ベアリング208における摩擦力によって回転力を受けるが、その回転力が駆動軸206の静止力よりも小さい場合、駆動軸206は静止状態を維持することができる。なお、駆動軸206に作用するトルクを打ち消して駆動軸206を静止状態に保つため、反力打ち消し装置128を設けることができる。しかし、反力打ち消し装置128は必須の構成ではなく、必要に応じて設けることができる。
【0066】
次に反力打ち消し装置128を主に
図7を参照しつつ説明する。
反力打ち消し装置128は、ベアリング208を介して駆動軸206に作用する駆動軸線CLDの回りの回転力を打ち消し、駆動軸206を非回転状態(静止状態)に維持する機能を有する。したがって、反力打ち消し装置128は、本実施例1に限定されず同様の機能を有する他の構造を採用することができる。本実施例1において反力打ち消し装置128は、歯車装置238によって構成されている。
【0067】
歯車装置238は、第1歯車242、第1歯車242に噛み合う第2歯車244、第2歯車244に噛み合う第3歯車246、及び第3歯車246に噛み合う第4歯車248によって構成されている。
【0068】
第1歯車242は、中央部に円形の第1貫通孔242Hが形成され、係合基盤172の上面に固定され、その軸線は係止装置軸線CLBと同軸である。
【0069】
第2歯車244は、コントロールフレーム装置122の底板136から下向きに突出した第1従動軸252に回転自在に取り付けられている。
【0070】
第3歯車246は、底板136から下向きに突出した第2従動軸254に回転自在に取り付けられている。
【0071】
コントロールフレーム装置122の底板136の下面には第4歯車248が固定され、この第4歯車248に、第2従動軸254に回転自在に取り付けられた第3歯車246が噛み合い、この第3歯車246に第1従動軸252に回転自在に取り付けられた第2歯車244が噛み合い、第2歯車244に係合基盤172に固定された第1歯車242が噛み合っている。
【0072】
第4歯車248は、中央部に円形の第2貫通孔248Hが形成され、底板136の下面に固定され、その軸線はフレーム軸線CLFと同軸である。
【0073】
歯車装置238の歯車比は、一対一乃至十分の一程度迄調整できるようにすることが好ましい。換言すれば、第1歯車242、第2歯車244、第3歯車246、及び第4歯車248の歯数を適宜変更することにより歯車比を変更することができる。第2歯車244及び第3歯車246を交換することにより、歯車比を変更可能に構成することが好ましい。
【0074】
係合体連動装置126をコントロールフレーム装置122に組み付けた場合、第1歯車242に第2歯車244が噛み合う。係合体連動装置126のコントロールフレーム装置122への組み付けは、係合体連動装置126の作動体212に係合装置124を、駆動軸線CLDと係止装置軸線CLBが同軸になるように装着する。これにより、駆動軸206は、係合基盤172の基盤貫通孔178、第1歯車242の第1貫通孔242H、及び第4歯車248の第2貫通孔248Hを貫通し、連結ピン218を連結部170Bに嵌合することにより、ピストンロッド170の下端部に揺動可能に連結される。通常、ピストンロッド170は油圧シリンダ166から最も突出した状態にされる。この状態において、係合体174を構成する第1係合体1741の第1被動カム1881、第2係合体1742の第2被動カム1882、第3係合体1743の第3被動カム1883、及び第4係合体1744の第4被動カム1884は、作動体212の外周面たる駆動カム224に接触した状態を呈する。この状態において、第1係合体1741の第1係合面1841、第2係合体1742の第2係合面1842、第3係合体1743の第3係合面1843、及び第4係合体1744の第4係合面1844は、ケーシングチューブ102の内周面102iに接触しない、近接した位置になるように設定される。この状態において、駆動軸206の駆動軸線CLD、係止装置軸線CLB、及びフレーム軸線CLFは同一軸線になり、ケーシングチューブ軸線CLCと大凡同軸になる。アタッチメント取付部214に、土木作業に適したアタッチメント118が取り付けられる。これによって、コントロールフレーム装置122、係合装置124、係合体連動装置126、及びアタッチメント118からなる土木作業装置100が構成される。電気モーター156は、クレーンワイヤ116に沿って配置された電気ケーブル158を介して電力を供給される。
【0075】
次に測位センサー306(Global Positioning System)を説明する。
測位センサー306は、三次元測位(X緯度、Y経度、及びZ高さ)が可能な公知の測位センサーである。測位センサー306は、本実施例1においては、天板132の上面であって、コントロールフレーム軸線CLF上に配置されている。これによって、土木作業の精度を高めることが出来る。しかし、測位センサー306は、天板132の裏面、第1中間板133、第2中間板134、又は底板136に取り付けることが出来る。コントロールフレーム装置122に取り付けることにより、アタッチメント118を交換した場合であっても、共通に用いることが出来る。測位センサー306の情報は、無線又は有線で外部情報機器に送信し、当該三次元測位情報を可視化することが好ましい。この三次元測位情報から、異常兆候又は異常状態を迅速に把握することが出来る利点がある。また、測位センサー306からの情報によって、切削位置や切削方向等を得ることができるので、土木作業の精度を向上させることができる。なお、測位センサー306の情報は、情報記録装置に記録し、爾後に確認できるようにしてもよい。
【0076】
次に土木作業装置100を用いて作業を行う場合を主に
図8を参照しつつ説明する。
コントロールフレーム装置122の第1接続金具1421~第4金具1424が索条1201~1204を介してクレーンワイヤ116の下端部にフック110によって吊り下げられる。クレーンワイヤ116を引き上げることにより、土木作業装置100はクレーンワイヤ116に垂下され、次いで、上端開口102uからケーシングチューブ102内へ挿入され、所定の高さ位置迄降下させられる。この状態において、コントロールフレーム装置122のコントロールフレーム軸線CLF、係合装置124の係合装置軸線CLB、及びアタッチメント118の軸線は一直線上に位置する。係合体174(第1係合体1741乃至第4係合体1744)は、ケーシングチューブ102の直径DC(
図2)よりも僅かに小さい円上に位置する。よって、コントロールフレーム軸線CLF、係合装置軸線CLB及びアタッチメント118の軸線は、ケーシングチューブ軸線CLCとほぼ重なり合う。
【0077】
次いで、油圧シリンダ166によってピストンロッド170が引き上げられる。ピストンロッド170の上方動によって、駆動軸206が引き上げられる。駆動軸206の上方動によって、係合体連動装置126を構成する作動体212が上方へ移動される。作動体212、したがって、駆動カム224が上方へ移動した場合、駆動カム224の大径部が被動カム188(第1被動カム1881~第4被動カム1884)に相対し、係合体174(第1係合体1741乃至第4係合体1744)を係止装置軸線CLBから離れる方向へ押動する。これによって、第1係合体1741乃至第4係合体1744は、それぞれ第1係合体リンク装置1761乃至第4係合体リンク装置1764によって支持されて係止装置軸線CLBから離れる方向に、大凡垂立状態を維持したまま移動される。換言すれば、第1係合体1741乃至第4係合体1744の第1係合面1841乃至第4係合面1844が、ケーシングチューブ102の内周面102iに圧接される。この圧接力が所定の値になるまで、駆動軸206は油圧シリンダ166のピストンロッド170によって引き上げられる。
【0078】
この状態において、ケーシングチューブ102が、所定方向に、ケーシングチューブ軸線CLCの回りに回転された場合、内周面102iと係合面184(第1係合面1841乃至第4係合面1844)の接触面積、それらの間の摩擦係数と圧接力によって定まる伝達力によって、第1係合体1741乃至第4係合体1744、したがって、係合体連動装置126、換言すれば、アタッチメント118がケーシングチューブ軸線CLC(係止装置軸線CLB、駆動軸線CLD)回りに回転される。同様に、係合体リンク装置176(第1係合体リンク装置1761乃至第4係合体リンク装置1764)を介して、係合基盤172がケーシングチューブ軸線CLC(係止装置軸線CLB)回りに回転される。係合基盤172の係止装置軸線CLBの回りの回転によって、第1歯車242が、例えば、
図7に示すように、時計方向へ回動された場合、第2歯車244は第1従動軸252の回りに反時計方向へ回動される。第2歯車244の反時計方向の回転によって、第3歯車246は時計方向へ第2従動軸254回りを回転される。これによって、第3歯車246は第4歯車248、したがってコントロールフレーム装置122を反時計方向へ回転させる。第1歯車242~第4歯車248の歯車比が一対一である場合、係合基盤172に対しコントロールフレーム装置122は、逆方向へ同一角度回転されるので、コントロールフレーム装置122は静止状態を維持される。したがって、クレーンワイヤ116にトルクが作用することはなく、また、電気ケーブル158がクレーンワイヤ116に巻きつくことがない。係合基盤172とコントロールフレーム装置122の間の回転比率に応じて、第3歯車246と第4歯車248の歯数を変更することにより、歯車比を変更することができる。
【0079】
この状態において、チュービング装置106によってケーシングチューブ102を回転させつつ下方へ押動することにより、アタッチメント118たる掘削バケットによってケーシングチューブ102内を掘削する。
【0080】
このケーシングチューブ102の回転によって、係合体174、係合体連動装置126は同方向に一体的に回転される。係合体連動装置126の回転は、ベアリング208の相対運動機能によって直接的に駆動軸206を回転させることはない。しかしながら、ベアリング208における摩擦接触によって、駆動軸206に対し、コントロールフレーム軸線CLF(ケーシングチューブ軸線CLC)回りに所定のトルクが作用する。
このトルクは、ピストンロッド170及び油圧シリンダ166を介して第2中間板134に対しコントロールフレーム軸線CLF(ケーシングチューブ軸線CLC)回りに付与される。
このトルクによって、第2中間板134に水平方向の角速度が発生するので、ジャイロセンサ137は、当該角速度情報を制御装置272へ出力する。
この角速度情報に基づいて、制御装置272は、第2中間板134、従ってコントロールフレーム装置122に作用するトルクを打ち消すように、回転体用電気モーター264がオンにされ、回転体262を所定の方向に所定の速度で回転させる。また、ジンバル用電気モーター268がオンにされ、ジンバル266を所定の方向に所定角度傾ける。よって、ジャイロ効果によって、ジンバル266の所定の傾きに対応した偶力(トルク)が第2中間板134に作用し、前記ベアリング208を介して作用するトルクを打ち消すよう制御する。よって、コントロールフレーム装置122は静止状態に保たれる。
ジャイロセンサ137の出力は、無線又は有線によって外部情報機器に出力し、ディスプレイに表示することが好ましい。これにより、事前に土木作業の異常又は異常の兆候を把握することが出来る利点がある。ジャイロセンサ137の出力は、メモリーカード等の情報記録装置に記録し、爾後に確認できるようにしてもよい。
【0081】
所定の掘削が終了した場合、チュービング装置106によるケーシングチューブ102の回転を停止した後、油圧シリンダ166を作動させてピストンロッド170を下方へ移動させる。これによって、駆動軸206も同様に下方へ移動される。これにより、作動体212、したがって駆動カム224が下方へ移動され、小径部が第1被動カム1881乃至第4被動カム1884に相対することから、第1係合体1741乃至第4係合体1744は内周面102i側への押動力が消滅する。これにより、第1係合体1741乃至第4係合体1744は自重によって下方へ移動し、第1係合面1841乃至第4係合面1844は内周面102iから離れ、土木作業装置100をケーシングチューブ102内から引き上げることができる。
第21歯車292は、中央部に円形の第21貫通孔292Hが形成され、係合基盤172の上面に固定された傘歯車であり、その軸線は係止装置軸線CLBと同軸である。
第24歯車298は、中央部に円形の第22貫通孔298Hが形成され、コントロールフレーム装置122の底板136の下面に固定され、その軸線はフレーム軸線CLFと同軸である傘歯車である。