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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022696
(43)【公開日】2024-02-20
(54)【発明の名称】鼻紋の取得表示システム
(51)【国際特許分類】
   A01K 11/00 20060101AFI20240213BHJP
   G06T 7/90 20170101ALI20240213BHJP
【FI】
A01K11/00 Z
G06T7/90 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022125973
(22)【出願日】2022-08-07
(71)【出願人】
【識別番号】501222275
【氏名又は名称】株式会社南日本情報処理センター
(74)【代理人】
【識別番号】100133271
【弁理士】
【氏名又は名称】東 和博
(72)【発明者】
【氏名】宮武 卓徳
【テーマコード(参考)】
5L096
【Fターム(参考)】
5L096CA02
5L096EA43
5L096GA51
(57)【要約】
【課題】カメラ付き端末を利用した簡易なシステムで、動物の鼻紋を明瞭に取得し、登記書へ出力表示することを可能とする、鼻紋の取得表示システムを提供する。
【解決手段】管理サーバ10が、カメラ付き端末20と、動物個体1の登記書Rが保存された登記書サーバ30にネットワーク40で接続可能とする。カメラ付き端末20は個体識別番号が付与された動物個体の顔画像を撮影し、管理サーバ10に送信する。管理サーバ10は画像保存部13、顔画像から鼻部画像を切出す鼻部画像切出部14、鼻部画像をカメラ付き端末20に返信する画像返信部15、複数の閾値を用いて鼻部画像を閾値処理し複数の鼻紋画像に変換する鼻紋画像変換部16、複数の鼻紋画像から一つの画像を登録鼻紋画像として登録する鼻紋画像登録部17、登記書サーバから登記書を呼び出し、登記書の鼻紋欄に登録鼻紋画像を埋め込む鼻紋画像埋込部18、登録鼻紋画像が埋め込まれた登記書を出力表示する出力表示部19を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理サーバが、カメラ付き端末と、個体識別番号ごとに動物個体の登記書データが保存された登記書サーバに対しネットワークで接続可能とされ、
カメラ付き端末は、個体識別番号が付与された動物個体について、鼻部を中心とする顔画像を撮影し、撮影後の顔画像を前記管理サーバに送信可能であり、
管理サーバは、
カメラ付き端末から送信された動物個体の顔画像から鼻部画像を切り出す鼻部画像切り出し手段と、
送信元のカメラ付き端末に、切り出し後の鼻部画像を返信する画像返信手段と、
切出し後の鼻部画像を、複数の異なる閾値を用いて閾値処理し、色調・輝度・明度の一又は複数要素が異なる複数の鼻紋画像に変換する鼻紋画像変換手段と、
複数の鼻紋画像から選択および決定された一の鼻紋画像を、個体識別番号ごとに登録鼻紋画像として登録する鼻紋画像登録手段と、
前記登記書サーバから個体識別番号ごとに動物個体の登記書データを呼び出し、呼び出された動物個体の登記書データの鼻紋欄に、該当する登録鼻紋画像を埋め込む鼻紋画像埋め込み手段と、
鼻紋欄に登録鼻紋画像が埋め込まれた個体の登記書データを出力表示する出力表示手段を備えることを特徴とする鼻紋の取得表示システム。
【請求項2】
前記管理サーバにおいて、
前記画像返信手段が、鼻紋画像変換手段により変換された複数の鼻紋画像をカメラ付き端末に送信し、カメラ付き端末が、画面上に表示された複数の鼻紋画像から一の鼻紋画像を登録鼻紋画像として選択および決定し、管理サーバに送信することを特徴とする請求項1記載の鼻紋の取得表示システム。
【請求項3】
前記管理サーバにおいて、
前記鼻紋画像変換手段が、複数の閾値を決定するにあたり、処理対象となる中心画素を含むブロックサイズを複数設定することを特徴とする請求項1記載の鼻紋の取得表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物の鼻紋、特に家畜の鼻紋を明瞭に取得し、登記書に出力表示するための鼻紋の取得表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
人間の指紋と同様に動物の鼻紋は個体ごとに異なるため、特に牛などの家畜を個体ごとに識別する手段として鼻紋が用いられている。鼻紋は鼻の表面に形成される紋様のもので、従来は、家畜の鼻にローラで墨汁などを塗布し、そこに吸水性のある和紙を貼付け、鼻紋を採取し、次いで鼻紋が転写された和紙を、個体別の登記書に貼付け、登記書に貼付けた鼻紋によって個体を照合するようにしていた。
【0003】
上記従来の照合方法によると、墨汁により家畜の鼻部が汚れること、鼻紋の浅い子牛等の場合は明瞭に鼻紋を和紙に写し取ることが難しいこと等から、鼻紋面を光源で照明して陰影を明瞭にした状態で鼻紋をカメラで撮像する方法(特許文献1、特許文献2)が提案されている。
【0004】
また、上記以外に、鼻紋をCCDカメラで撮像し、鼻紋画像に特徴データを付加し鼻紋データとして登録管理する管理システム(特許文献3)、鼻紋の照合に機械学習を用いる方法(特許文献4)も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9-140288号公報
【特許文献2】特開平11-45330号公報
【特許文献3】特開2001-148957号公報
【特許文献4】特許第6795243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1、2の方法は、光源が必要で、光源の方向、角度によって陰影に差が出るなど明瞭な鼻紋を採取するには難しい面がある。また、専門の装置が必要で費用が高価になるという問題もある。特許文献3の方法は、鼻紋画像に特徴データを付加しなければならず、特許文献4の方法は機械学習を用いる点で進んではいるが、いずれの方法もシステムが複雑になる。
【0007】
本発明は、前記課題に鑑みてなされたもので、カメラ付き端末を利用した簡易なシステムで、動物の鼻紋を明瞭に取得し、登記書へ出力表示することを可能とする、鼻紋の取得表示システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る鼻紋の取得表示システムは、
管理サーバが、カメラ付き端末と、個体識別番号ごとに動物個体の登記書データが保存された登記書サーバに対しネットワークで接続可能とされ、
カメラ付き端末は、個体識別番号が付与された動物個体について、鼻部を中心とする顔画像を撮影し、撮影後の顔画像を前記管理サーバに送信可能であり、
管理サーバは、
カメラ付き端末から送信された動物個体の顔画像から鼻部画像を切り出す鼻部画像切り出し手段と、
送信元のカメラ付き端末に、切り出し後の鼻部画像を返信する画像返信手段と、
切出し後の鼻部画像を、複数の異なる閾値を用いて閾値処理し、色調・輝度・明度の一又は複数要素が異なる複数の鼻紋画像に変換する鼻紋画像変換手段と、
複数の鼻紋画像から選択および決定された一の鼻紋画像を、個体識別番号ごとに登録鼻紋画像として登録する鼻紋画像登録手段と、
前記登記書サーバから個体識別番号ごとに動物個体の登記書データを呼び出し、呼び出された動物個体の登記書データの鼻紋欄に、該当する登録鼻紋画像を埋め込む鼻紋画像埋め込み手段と、
鼻紋欄に登録鼻紋画像が埋め込まれた個体の登記書データを出力表示する出力表示手段を備えることを第1の特徴とする。
【0009】
本発明に係る鼻紋の取得表示システムは、
前記管理サーバにおいて、
前記画像返信手段が、鼻紋画像変換手段により変換された複数の鼻紋画像をカメラ付き端末に送信し、カメラ付き端末が、画面上に表示された複数の鼻紋画像から一の鼻紋画像を登録鼻紋画像として選択および決定し、管理サーバに送信することを第2の特徴とする。
【0010】
本発明に係る鼻紋の取得表示システムは、
前記管理サーバにおいて、
前記鼻紋画像変換手段が、複数の閾値を決定するにあたり、処理対象となる中心画素を含むブロックサイズを複数設定することを第3の特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本発明に係る鼻紋の取得表示システムによると、従来のような和紙により鼻紋を転写する方法に比べ、カメラ付き端末を利用した簡易なシステムで、個体識別番号ごとに動物個体の鼻紋を明瞭に取得し、容易に登記書へ出力表示することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明における鼻紋の取得表示システムの全体構成図、
図2】(A)(B)は管理サーバの構成図と画像保存部の構成図、
図3】(A)(B)はカメラ付携帯のログイン画面とスタート画面を示す図、
図4】(A)(B)はカメラ付携帯により顔画像を撮影する手順を示す図、
図5】(A)(B)はカメラ付携帯の画面に鼻画像を表示させる手順を示す図、
図6】(A)(B)はカメラ付携帯の画面に鼻紋画像を表示させる手順を示す図、
図7】カメラ付携帯の画面に登録鼻紋画像が表示されている様子を示す図、
図8】(A)(B)はカメラ付携帯の画面に登記書を表示させる手順を示す図、
図9】鼻紋欄に登録鼻紋画像が表示された登記書を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しながら説明する。本実施形態では、鼻紋を取得する動物の例として和牛が例示される。図1は本発明に係る鼻紋の取得表示システムのネットワーク構成例を示している。
【0014】
図1に示すように、本発明に係る鼻紋の取得表示システムS(以下、本システムSという)は、事務室に設置された管理サーバ10が、複数のカメラ付き端末20と、登記書サーバ30に対し、ネットワーク40で接続可能とされている。
【0015】
管理サーバ10は、図2(A)に示すように、通信部11、プログラム登録部12、画像保存部13、鼻部画像切出部14,画像返信部15,鼻紋画像変換部16、鼻紋画像登録部17、鼻紋画像埋込部18、出力表示部19を備えている。通信部11は、複数のカメラ付き端末20、登記書サーバ30との間でデータの相互通信を行う。
【0016】
プログラム登録部12は、本実施形態で実行される各種プログラムが登録される。本実施形態で実行されるプログラムには、牛個体の顔画像から鼻部画像を切出し処理するためのプログラム、鼻部画像から鼻紋画像に変換処理するためのプログラム、登録された鼻紋画像を登記書の鼻紋欄に埋め込むためのプログラム等が含まれる。
【0017】
画像保存部13は、カメラ付き端末20から送信された画像が保存される。保存される画像には、個体識別番号が付与された牛個体の顔画像、すなわち、牛個体の鼻部を中心として正面視した顔画像が個体識別番号とともに保存される。後述する鼻部画像、鼻部の基準モデル画像、鼻紋画像も保存される。
【0018】
鼻部画像切出し部14は、画像保存部13に保存された牛個体の顔画像から、牛の鼻部の基準モデル画像を基にして鼻部画像を切り出す。牛の鼻部の基準画像は、牛の画像(特に鼻部を中心として正面視した顔画像)を大量に取得し、鼻部を囲んでAIに学習させ、牛の鼻部の基準モデル画像を作成する。切り出された鼻部画像は個体識別番号とともに画像保存部13に保存される。
【0019】
画像返信部15は、切り出された鼻部画像を、送信元のカメラ付き端末20に返信する。送信元は自分のカメラ付き端末20の画面から切り出された鼻部画像を確認し、管理サーバ10に対し、閾値処理の実行を指示することができる。
【0020】
鼻紋画像変換部16は、送信元のカメラ付き端末20からの指示により、画像保存部13に保存された鼻部画像に、閾値処理、すなわち、複数(本実施形態では4つ)の異なる閾値を用いて階調、輝度、明度のいずれか一又は複数の要素が異なる鼻紋画像に変換し、個体識別番号ごとに複数(本実施形態では4つ)の異なる鼻紋画像を生成する。閾値処理の手順は後述する。生成された複数の鼻紋画像は、個体識別番号とともに画像保存部13に保存される。
【0021】
画像返信部15は、取得された複数の鼻紋画像を、送信元のカメラ付き端末20に返信する。送信元は自分のカメラ付き端末20の画面から4つの鼻紋画像を確認し、最も明瞭な紋様を持つ鼻紋画像を登録鼻紋画像に選んで決定し、管理サーバ10に対し、登録鼻紋画像としての登録を指示することができる。
【0022】
鼻紋画像登録部17は、送信元のカメラ付き端末20からの指示により、4つの鼻紋画像から登録鼻紋画像として決定された鼻紋画像を、個体識別番号とともに画像保存部13に登録保存する。
【0023】
鼻紋画像埋込部18は、送信元のカメラ付き端末20からの指示により、登記書サーバ30に個体識別番号ごとに登録された登記書データを呼び出し、呼び出した登記書データの鼻紋欄に、該当する登録鼻紋画像、すなわち、個体識別番号が一致する登録鼻紋画像を埋め込む。登録鼻紋画像が埋め込まれた登記書データは、登記書サーバ30に、元の登記書データとは別に登録保存される。
【0024】
出力表示部19は、送信元のカメラ付き端末20からの指示により、登録鼻紋画像が鼻紋欄に埋め込まれた登記書データを出力し、同データを送信元のカメラ付き端末20に送信し、同カメラ付き端末20の画面に、登録鼻紋画像が鼻紋欄に埋め込まれた登記書データを表示させるようになっている。また、カメラ付き端末20からの指示または事務所PCからの指示により、プリンターから印刷出力することもできる。
【0025】
画像保存部13は、図2(B)に示すように、顔部画像保存部13A、鼻部画像保存部13B、鼻部の基準モデルが保存される基準モデル画像保存部13C、鼻紋画像保存部13D、登録鼻紋画像保存部13Eを備えており、個体識別番号が紐付けされた顔画像、鼻部画像、鼻紋画像、登録鼻紋画像がそれぞれ登録保存されるようになっている。
【0026】
登記書サーバ30は、個体識別番号ごとに牛個体の登記書Rが登録されている。
【0027】
次に、上記構成の本システムSを用いて、図3ないし図9を参照しつつ、鼻紋画像の取得から登記書への出力表示までの一連の流れについて以下に説明する。
【0028】
最初に、図3を参照し、子牛検査員資格を持った検査委員(以下、検査委員という)が、カメラ付き端末20の画面上から、図3(A)に示す本システムSのログイン画面S0を呼び出し、IDとパスワードを入力し、次いで、図3(B)に示すスタート画面(メニュー画面)S1からメニュー項目の[鼻紋撮影]M1を選択する。
【0029】
次いで、図4を参照し、検査委員が、図4(A)に示す次の画面S2の個体識別番号欄aに個体識別番号を入力し、鼻紋撮影釦bをクリックすると、カメラが起動し、個体識別番号に対応する牛個体1(図1参照)の顔画像、すなわち、牛個体1の鼻部を中心として正面視した顔画像を撮影する。図4(B)の画面S3に撮影された牛個体の鼻部2を中心とする顔画像G0を示す。検査委員は、画面S3に表示される顔画像G0を確認の上、送信釦cをクリックすると、顔画像G0が管理サーバ10に送信される。
【0030】
検査委員は、画面S3に表示される顔画像G0を確認し、正常に撮影できなかった場合、画面S3上の撮り直し釦dをクリックし、次の画面S4に表示される再撮影釦eをクリックすることで、前の画面S2に戻り、鼻紋撮影釦bを押してカメラを再起動させ、牛個体の顔画像G0を再度撮影することができる。
【0031】
顔画像G0を撮り直した場合、送信釦cをクリックすることにより、撮り直し後の顔画像G0を管理サーバ10に送信することができる。管理サーバ10に送信された牛個体の顔画像G0は、個体識別番号とともに画像保存部13の顔画像保存部13Aに保存される。
【0032】
牛個体の顔画像G0が画像保存部13に保存されると、管理サーバ10は、鼻部画像切出し部14が、画像保存部13に保存された牛個体の顔画像から、牛の鼻部の基準モデル画像を基にして牛個体の鼻部2の鼻部画像を切り出す。切り出された鼻部画像は個体識別番号とともに画像保存部13の鼻部画像保存部13Bに保存される。
【0033】
次いで、管理サーバ10は、画像返信部15が、切り出された鼻部画像を、送信元のカメラ付き端末20に返信する。図5(B)に示す画面S5に返信された鼻部画像G1が表示される。検査委員は、カメラ付き端末20の画面S5から鼻部画像G1が正常に切り出されているか確認し、表示された鼻部画像G1について、閾値処理を実行するか否か判断する。
【0034】
検査委員は、カメラ付き端末20の画面S5に表示された鼻部画像G1について、閾値処理を実行しないと判断した場合、適正な鼻部画像が得られるまで、顔画像G0の撮影から鼻部画像G1の取得までの各工程を繰り返すことができる。
【0035】
次ぎに、検査委員が、カメラ付き端末20の画面S5に表示された鼻部画像G1が適正と判断した場合、管理サーバ10に対し、変換釦fをクリックすることにより、閾値処理の実行を指示する。
【0036】
管理サーバ10は、検査委員のカメラ付き端末20から、閾値処理の実行指示を受信すると、鼻紋画像変換部16が、画像保存部13に保存された鼻部画像から該当する個体識別番号の鼻部画像G1を選択し、閾値処理を実行する。
【0037】
閾値処理は、複数(本実施形態では4つ)の異なる閾値を画素ごとに設定して、二値化処理を実行し、複数(本実施形態では4つ)の鼻紋画像を生成する。閾値処理の手順は以下のようにして行われる。
【0038】
本実施形態では、OpenCV(オープンソースコンピュータ・ビジョン・ライブラリ)にNumPyで各パラメータを実装して変換処理を行った。表1に閾値処理に用いる関数式とパラメータを示す。
【0039】
【表1】
【0040】
本実施形態では、鼻部画像から4つの鼻紋画像に変換処理するにあたり、「block Size」として、「31、51、71、91」の4種類を設定した。「block Size」の「31、51、71、91」は、中心画素を含む周囲画素のブロックサイズが、31行×31列、51行×51列、71行×71列、91列×91列であることを示している。なお、「block Size」の種類、サイズは任意に設定可能である。
【0041】
上記のパラメータの設定に従い、中心画素の閾値は、中心画素と周囲画素の平均値を算出して閾値を決定し、中心画素値が閾値を下回ると、二値化処理により中心画素値は0となり、中心画素値が閾値以上となると、二値化処理により中心画素値は255の最大値となるようにした。中心画素の閾値の算出は、下記の数式(式1)を用いた。
【0042】
【数1】
【0043】
次に、鼻紋画像変換部16が、鼻部画像に含まれる画素ごとに複数の異なる閾値を決定し、複数の異なる閾値ごとに閾値処理(二値化処理)を実行し、色調値・輝度・明度の一又は複数要素が異なる複数の鼻紋画像に変換したら、画像返信部15が、生成された複数の鼻紋画像を送信元のカメラ付き端末20に返信する。
【0044】
検査委員は、カメラ付き端末20に送信された複数の鼻紋画像を画面上で確認し、最適な鼻紋画像、すなわち紋様の最も明瞭な鼻紋画像を、登録鼻紋画像として選択し、決定することができる。図6(A)の画面S6に2つの鼻紋画像Gm1,Gm2、次の画面S7に2つの鼻紋画像Gm3,Gm4を示す。検査委員は、4つの鼻紋画像Gm1~Gm4から、一つの鼻紋画像を選択し、登録鼻紋画像として決定することができる。
【0045】
検査委員が、カメラ付き端末20の画面S6上で、一つの鼻紋画像(例えば鼻紋画像Gm1)を登録鼻紋画像として選択したら、決定釦gをクリックすることにより、管理サーバ10に対し、登録鼻紋画像に決定した鼻紋画像Gm1を送信することができる。
【0046】
検査委員は、カメラ付き端末20の、次の画面S7上で、複数の鼻紋画像を画面上で確認し、登録鼻紋画像を選択できない場合、再撮影釦eをクリックすることにより、前の画面S2に戻り、顔画像の撮り直しをすることができる。
【0047】
管理サーバ10は、発信元のカメラ付き端末20から、登録鼻紋画像に決定した鼻紋画像Gm1を受信したら、鼻紋画像登録部17が、登録鼻紋画像に決定された鼻紋画像Gm1を画像保存部13の登録鼻紋画像保存部13Eに、個体識別番号とともに登録し、また、画像返信部15が、登録された鼻紋画像Grm1をカメラ付き端末20に返信する。図7に画面S8上に表示された登録鼻紋画像Grm1を示す。
【0048】
検査委員は、カメラ付き端末20の画面S8から、登録された鼻紋画像Grm1を確認することができる。検査委員は、スタート画面S1に戻り、メニュー項目[登記書印刷]M2を選択して、登録鼻紋画像が埋め込まれた登記書をカメラ付き端末20の画面上に表示させ印刷出力することができる。
【0049】
検査委員が、カメラ付き端末20のスタート画面S1上で[登記書印刷]M2を選択し、次の画面S9の印刷釦hをクリックすると、管理サーバ10は、鼻紋画像埋込部18が、入力された個体識別番号に対応する登録鼻紋画像を画像保存部13から呼び出し、また、入力された個体識別番号に対応する登記書を登記書サーバ30から呼び出し、呼び出され登記書の鼻紋欄に、登録鼻紋画像を埋め込む。図9に鼻紋欄A1に登録鼻紋画像Grm1が埋め込まれた登記書R1を示す。
【0050】
管理サーバ10は、出力表示部19が、鼻紋欄A1に登録鼻紋画像Grm1が埋め込まれた登記書R1のデータを出力し、発信元のカメラ付き端末20に送信する。検査委員は、送信された登記書R1のデータをカメラ付き端末20の画面上に表示させ、印刷出力することができる。図8(B)にカメラ付き端末20の画面S10上に表示された登記書R1を示す。
【0051】
本システムSによると、従来のような和紙により鼻紋を転写する方法に比べ、カメラ付き端末20を利用した簡易なシステムで、検査委員が、個体識別番号ごとに動物個体の鼻紋を明瞭に取得し、容易に登記書へ出力表示することができるようになる。
【0052】
本実施形態では、4種類の鼻紋画像に変換したが、4種類に限らず、任意に設定することができる。また、牛個体を対象としたが、鼻紋の取得対象はこれに限らず、鼻紋欄を備えて個体識別番号ごとに登記書が発行される動物はすべて対象となる。
【0053】
かくして、本発明に係る鼻紋の取得表示システムによると、カメラ付き端末を利用した簡易なシステムで、検査委員が、個体識別番号が付与された動物個体の鼻紋を明瞭に取得し、取得した鼻紋画像を登記書へ埋め込み、これを容易に出力表示することができるシステムを提供することができるようになった。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明に係る鼻紋の取得表示システムは、動物個体の鼻紋を取得し、取得した鼻紋画像を埋め込んだ登記書を出力表示させることを行うシステムとして利用可能である。
【符号の説明】
【0055】
1 牛個体
2 鼻部
10 管理サーバ
11 通信部
12 プログラム登録部
13 画像保存部
14 鼻部画像切出部
15 画像返信部
16 鼻紋画像変換部
17 鼻紋画像登録部
18 鼻紋画像埋込部
19 出力表示部
20 カメラ付き端末
30 登記書サーバ
40 ネットワーク
G0 顔画像
G1 鼻部画像
Gm1,Gm2,Gm3,Gm4 鼻紋画像
Grm1 登録鼻紋画像
R,R1 登記書
S 鼻紋の取得表示システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9