(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002271
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】トンネル内計測システム、計測地点ユニット及び計測地点ユニットの制御装置
(51)【国際特許分類】
G08C 19/00 20060101AFI20231228BHJP
G08C 15/00 20060101ALI20231228BHJP
G01L 7/00 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
G08C19/00 J
G08C15/00 E
G01L7/00 N
G01L7/00 M
G01L7/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】40
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022101363
(22)【出願日】2022-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】522253003
【氏名又は名称】株式会社FITUT研究所
(71)【出願人】
【識別番号】505398941
【氏名又は名称】東日本高速道路株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】505398952
【氏名又は名称】中日本高速道路株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】505398963
【氏名又は名称】西日本高速道路株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】507194017
【氏名又は名称】株式会社高速道路総合技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】593153428
【氏名又は名称】中日本ハイウェイ・エンジニアリング東京株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】水野 明哲
(72)【発明者】
【氏名】橋本 進一朗
(72)【発明者】
【氏名】高橋 謙介
(72)【発明者】
【氏名】矢島 裕介
(72)【発明者】
【氏名】千原 隆
(72)【発明者】
【氏名】中山 拓
(72)【発明者】
【氏名】深澤 元
【テーマコード(参考)】
2F055
2F073
【Fターム(参考)】
2F055AA39
2F055BB20
2F055CC60
2F055DD20
2F055EE40
2F055FF34
2F055GG49
2F073AA03
2F073AB01
2F073AB06
2F073BB01
2F073BB04
2F073BC01
2F073BC02
2F073BC06
2F073CC02
2F073CC03
2F073CD01
2F073CD11
2F073DD07
2F073EE12
2F073FF01
2F073FF12
2F073FF14
2F073FG01
2F073FG02
2F073FG04
2F073GG01
2F073GG04
2F073GG07
2F073GG09
(57)【要約】 (修正有)
【課題】トンネル内の圧力分布を計測する際、計測機器の設置と撤去を容易に行えるようにする。またトンネル内の圧力分布の計測を制御する際、計測機器による計測状態を監視できるようにする。
【解決手段】複数の計測地点ユニットの計測地点用通信コネクタ及び演算処理部の演算処理部用通信コネクタを介し通信ケーブルが通信可能に直列接続される。また複数の計測地点ユニットの計測地点用伝送コネクタ及び基準計測地点ユニットの基準計測地点用伝送コネクタを介し伝送路が基準物理量を伝送可能に直列接続される。また通信ケーブル計測値取得指示信号が間欠的に送信される毎に対応する計測地点ユニットに向けて計測値取得が指示されたことを示す第1の表示が対応する個別表示部でなされ、更新計測値信号を受信する毎に対応する計測地点ユニットで計測値の更新を示す第2の表示が第1の表示とは識別可能に対応する個別表示部でなされるように表示部を制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネル内の複数の計測地点の物理量を計測するトンネル内計測システムであって、
前記複数の計測地点毎に配置され、物理量を検出するセンサ部と、前記センサ部で検出された物理量を通信可能な信号に処理する計測地点用処理部と、前記計測地点用処理部に通信可能に接続された計測地点用通信コネクタが設けられた複数の計測地点ユニットと、
前記複数の計測地点ユニットそれぞれで検出される物理量を演算処理する演算処理部と、
前記演算処理部に通信可能に接続された演算処理部用通信コネクタと、
前記計測地点用通信コネクタ及び前記演算処理部用通信コネクタを通信可能に直列接続する通信ケーブル、
を備えたトンネル内計測システム。
【請求項2】
前記計測地点用処理部は、前記センサ部で検出された物理量のアナログ信号を、通信可能なデジタル信号に変換する処理部を含んでいる、
請求項1に記載のトンネル内計測システム。
【請求項3】
前記センサ部は、圧力を検出する圧力センサである、
請求項1又は2に記載のトンネル内計測システム。
【請求項4】
前記センサ部は、静圧を検出するセンサを含んでいる、
請求項1から3のいずれか一項に記載のトンネル内計測システム。
【請求項5】
前記センサ部は、ピトー管を含んで構成されている、
請求項1から4のいずれか一項に記載のトンネル内計測システム。
【請求項6】
前記計測地点ユニットは、
可搬のスタンドと、
前記スタンドに取り付けられた前記センサ部と、
前記スタンドに取り付けられた前記計測地点用処理部と、
前記計測地点用処理部に分岐通信ケーブルを介して通信可能に接続された前記計測地点用通信コネクタ、
を含んで構成される、
請求項1から5のいずれか一項に記載のトンネル内計測システム。
【請求項7】
電源から電力を供給するための電力供給ケーブルが配置されると共に、前記電力供給ケーブルから分岐して複数の計測地点ユニットそれぞれに電力を供給するための分岐電力供給ケーブルが配置される、
請求項1から6のいずれか一項に記載のトンネル内計測システム。
【請求項8】
トンネル内の複数の計測地点の物理量を計測するトンネル内計測システムであって、
前記複数の計測地点毎に配置され、物理量を検出するセンサ部と、前記センサ部で検出された物理量と基準物理量に応じた物理量を取得する物理量取得部と、前記物理量取得部に基準物理量を伝送可能に接続された計測地点用伝送コネクタが設けられた複数の計測地点ユニットと、
基準物理量を取得する基準計測地点に配置され、基準物理量を検出する基準センサ部と、 前記基準センサ部から基準物理量を伝送可能に接続された基準計測地点用伝送コネクタが設けられた基準計測地点ユニットと、
前記複数の計測地点ユニットそれぞれに通信可能に接続され、前記複数の計測地点ユニット毎に取得される物理量を演算処理する演算処理部と、
基準物理量を伝送可能に前記計測地点用伝送コネクタ及び前記基準計測地点用伝送コネクタを直列接続する伝送路、
を備えたトンネル内計測システム。
【請求項9】
前記物理量取得部で取得された物理量のアナログ信号を、通信可能なデジタル信号に変換する計測地点用処理部を更に備えた、
請求項8に記載のトンネル内計測システム。
【請求項10】
前記センサ部は、圧力を検出する圧力センサである、
請求項8又は9に記載のトンネル内計測システム。
【請求項11】
前記センサ部は、静圧を検出するセンサを含んでいる、
請求項8から10のいずれか一項に記載のトンネル内計測システム。
【請求項12】
前記センサ部は、ピトー管を含んで構成されている、
請求項8から11のいずれか一項に記載のトンネル内計測システム。
【請求項13】
前記物理量取得部は、圧力と基準圧力の差圧を取得する差圧計であり、
前記伝送路は、エアチューブである、
請求項8から12のいずれか一項記載のトンネル内計測システム。
【請求項14】
前記計測地点ユニットは、
可搬のスタンドと、
前記スタンドに取り付けられた前記センサ部と、
前記スタンドに取り付けられた前記物理量取得部と、
前記物理量取得部に分岐伝送路を介して基準物理量を伝送可能に接続された前記計測地点用伝送コネクタ、
を含んで構成される、
請求項8から13のいずれか一項に記載のトンネル内計測システム。
【請求項15】
電源から電力を供給するための電力供給ケーブルが配置されると共に、前記電力供給ケーブルから分岐して複数の計測地点ユニットそれぞれに電力を供給するための分岐電力供給ケーブルが配置される、
請求項8から14のいずれか一項に記載のトンネル内計測システム。
【請求項16】
前記基準計測地点ユニットは、前記計測地点ユニットを兼ねており、
複数の計測地点ユニットのいずれかが前記基準計測地点ユニットである、
請求項8から15のいずれか一項に記載のトンネル内計測システム。
【請求項17】
トンネル内の複数の計測地点の物理量を計測するトンネル内計測システムであって、
前記複数の計測地点毎に配置され、物理量を検出するセンサ部と、前記センサ部で検出された物理量と基準物理量に応じた物理量を取得する物理量取得部と、前記物理量取得部に基準物理量を伝送可能に接続された計測地点用伝送コネクタと、前記物理量取得部で取得された物理量を通信可能な信号に処理する計測地点用処理部と、前記計測地点用処理部に通信可能に接続される計測地点用通信コネクタが設けられた複数の計測地点ユニットと、
基準物理量を取得する基準計測地点に配置され、基準物理量を検出する基準センサ部と、前記基準センサ部から基準物理量を伝送可能に接続された基準計測地点用伝送コネクタが設けられた基準計測地点ユニットと、
前記複数の計測地点ユニット毎に取得される物理量を演算処理する演算処理部と、
前記演算処理部に通信可能に接続された演算処理部用通信コネクタと、
基準物理量を伝送可能に前記計測地点用伝送コネクタ及び前記基準計測地点用伝送コネクタを直列接続する伝送路と、
前記計測地点用通信コネクタ及び前記演算処理部用通信コネクタを通信可能に直列接続する通信ケーブル、
を備えたトンネル内計測システム。
【請求項18】
前記計測地点用処理部は、前記物理量取得部で取得された物理量のアナログ信号を、通信可能なデジタル信号に変換する処理部を含んでいる、
請求項17に記載のトンネル内計測システム。
【請求項19】
前記センサ部は、圧力を検出する圧力センサである、
請求項17又は18に記載のトンネル内計測システム。
【請求項20】
前記センサ部は、静圧を検出するセンサを含んでいる、
請求項17から19のいずれか一項に記載のトンネル内計測システム。
【請求項21】
前記センサ部は、ピトー管を含んで構成されている、
請求項17から20のいずれか一項に記載のトンネル内計測システム。
【請求項22】
前記物理量取得部は、圧力と基準圧力の差圧を取得する差圧計であり、
前記伝送路は、エアチューブである、
請求項17から21のいずれか一項記載のトンネル内計測システム。
【請求項23】
前記計測地点ユニットは、
可搬のスタンドと、
前記スタンドに取り付けられた前記センサ部と、
前記スタンドに取り付けられた前記物理量取得部と、
前記物理量取得部に分岐伝送路を介して基準物理量を伝送可能に接続された前記計測地点用伝送コネクタと、
前記スタンドに取り付けられた前記計測地点用処理部と、
前記計測地点用処理部に分岐通信ケーブルを介して通信可能に接続された前記計測地点用通信コネクタ、
を含んで構成される、
請求項17から22のいずれか一項に記載のトンネル内計測システム。
【請求項24】
電源から電力を供給するための電力供給ケーブルが配置されると共に、前記電力供給ケーブルから分岐して複数の計測地点ユニットそれぞれに電力を供給するための分岐電力供給ケーブルが配置される、
請求項17から23のいずれか一項に記載のトンネル内計測システム。
【請求項25】
前記基準計測地点ユニットは、前記計測地点ユニットを兼ねており、
複数の計測地点ユニットのいずれかが前記基準計測地点ユニットである、
請求項17から24のいずれか一項に記載のトンネル内計測システム。
【請求項26】
トンネル内の複数の計測地点の物理量を計測するトンネル内計測システムのために使用される計測地点ユニットであって、
前記計測地点ユニットは、
可搬のスタンドと、
前記スタンドに取り付けられ、物理量を検出するセンサ部と、
前記スタンドに取り付けられ、前記センサ部で検出された物理量と基準物理量に応じた物理量を取得する物理量取得部と、
前記物理量取得部に分岐伝送路を介して基準物理量を伝送可能に接続された計測地点用伝送コネクタと、
前記スタンドに取り付けられ、前記物理量取得部で取得された物理量を通信可能な信号に処理する計測地点用処理部と、
前記計測地点用処理部に分岐通信ケーブルを介して通信可能に接続された計測地点用通信コネクタ、
を含んで構成される計測地点ユニット。
【請求項27】
前記計測地点用処理部は、前記物理量取得部で取得された物理量のアナログ信号を、通信可能なデジタル信号に変換する処理部を含んでいる、
請求項26に記載の計測地点ユニット。
【請求項28】
前記センサ部は、圧力を検出する圧力センサである、
請求項26又は27に記載の計測地点ユニット。
【請求項29】
前記センサ部は、静圧を検出するセンサを含んでいる、
請求項26から28のいずれか一項に記載のトンネル内計測システム。
【請求項30】
前記センサ部は、ピトー管を含んで構成されている、
請求項26から29のいずれか一項に記載のトンネル内計測システム。
【請求項31】
前記物理量取得部は、圧力と基準圧力の差圧を取得する差圧計であり、
前記分岐伝送路は、エアチューブである、
請求項26から30のいずれか一項記載の計測地点ユニット。
【請求項32】
前記計測地点ユニットには、電源から電力が供給されるための分岐電力供給ケーブルが電気的に接続されている、
請求項26から31のいずれか一項に記載の計測地点ユニット。
【請求項33】
トンネル内の複数の計測地点の物理量を計測するトンネル内計測システムのために使用される計測地点ユニットであって、
前記計測地点ユニットは、
可搬のスタンドと、
前記スタンドに取り付けられ、物理量を検出するセンサ部と、
前記スタンドに取り付けられ、前記センサ部で検出された物理量と基準物理量に応じた物理量を取得する物理量取得部と、
前記物理量取得部に分岐伝送路を介して基準物理量を伝送可能に接続された計測地点用伝送コネクタと、
前記スタンドに取り付けられ、前記物理量取得部で取得された物理量を通信可能な信号に処理する計測地点用処理部と、
を含んで構成される計測地点ユニット。
【請求項34】
前記計測地点用処理部で処理された信号を無線で外部の機器に送信する送信部を備えた、
請求項33に記載の計測地点ユニット。
【請求項35】
トンネル内の複数の計測地点それぞれに配置された複数の計測地点ユニットを制御する計測地点ユニットの制御装置であって、
前記計測地点ユニットに向けて計測値の取得を指示するための計測値取得指示信号を間欠的に送信する送信部と、
前記計測値取得指示信号に応じて前記計測地点ユニットから間欠的に送信され、更新された計測値と計測地点ユニットを特定する特定符号を含む更新計測値信号を受信する受信部と、
前記複数の計測地点ユニットそれぞれの送受信状態を個別表示する表示部と、
前記計測値取得指示信号が間欠的に送信される毎に、対応する計測地点ユニットに向けて計測値取得が指示されたことを示す第1の表示が、個別表示され、前記更新計測値信号を受信する毎に、対応する計測地点ユニットで計測値が更新されたことを示す第2の表示が前記第1の表示とは識別可能に、個別表示されるように前記表示部の表示を制御する表示制御部と、
を備えた計測地点ユニットの制御装置。
【請求項36】
前記表示部は、それぞれ異なる色の前記第1の表示と前記第2の表示がなされるように表示が制御される、
請求項35に記載の計測地点ユニットの制御装置。
【請求項37】
前記表示部は、対応する計測地点ユニットで取得された計測値が、前記第1の表示又は前記第2の表示を背景色として表示される、
請求項35又は36に記載の計測地点ユニットの制御装置。
【請求項38】
前記計測値取得指示信号を送信するための操作ボタンが、表示画面上に配置される、
請求項35から37のいずれか一項に記載の計測地点ユニットの制御装置。
【請求項39】
表示画面上に、前記複数の計測地点ユニットそれぞれに対応づけられた複数の個別表示部が配置され、
前記表示制御部は、前記計測値取得指示信号が間欠的に送信される毎に、対応する計測地点ユニットに向けて計測値取得が指示されたことを示す第1の表示が、当該計測地点ユニットに対応する個別表示部でなされ、前記更新計測値信号を受信する毎に、対応する計測地点ユニットで計測値が更新されたことを示す第2の表示が前記第1の表示とは識別可能に、当該計測地点ユニットに対応する個別表示部でなされるように前記表示部の表示を制御する、
請求項35から38のいずれか一項に記載の計測地点ユニットの制御装置。
【請求項40】
複数の計測地点ユニットは、前記計測値取得指示信号及び前記更新計測値信号が伝送される通信ケーブルに直列接続されており、
複数の計測地点ユニットからそれぞれ、前記更新計測値信号が前記通信ケーブル内で混線しないように互いに送信時刻をずらして送信される、
請求項35から39のいずれか一項に記載の計測地点ユニットの制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネル内計測システム、計測地点ユニット及び計測地点ユニットの制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特開平9-5185号公報)には、トンネル内の圧力計測システムに関し、ピトー管が取り付けられた測定車をトンネル内で走行させながら、差圧計で走行経路の各地点の動圧を測定するという発明が記載されている。
【0003】
特許文献2(特開2021-140511号公報)には、トンネル内の温度監視システムに関し、トンネルの長手方向に沿って温度センサケーブルを敷設し所定間隔毎に温度検出センサを配置することで、温度センサケーブルを介して送られた温度データに基づきトンネル温度分布実測部でトンネル内温度分布を計測するという発明が記載されている。
【0004】
特許文献3(特開2016-156730号公報)には、トンネル内で使用する音響検査装置に関し、AD変換器とセンサ部を一体化した計測地点ユニットが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9-5185号公報
【特許文献2】特開2021-140511号公報
【特許文献3】特開2016-156730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、トンネル内の物理量の分布を計測するに際して計測機器の設置と撤去を容易に行えようにすることを課題とする。また本発明は、トンネル内の物理量の計測を制御するに際して計測機器による計測状態を監視できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様は、トンネル内の複数の計測地点の物理量を計測するトンネル内計測システムであって、前記複数の計測地点毎に配置され、物理量を検出するセンサ部と、前記センサ部で検出された物理量を通信可能な信号に処理する計測地点用処理部と、前記計測地点用処理部に通信可能に接続された計測地点用通信コネクタが設けられた複数の計測地点ユニットと、前記複数の計測地点ユニットそれぞれで検出される物理量を演算処理する演算処理部と、前記演算処理部に通信可能に接続された演算処理部用通信コネクタと、前記計測地点用通信コネクタ及び前記演算処理部用通信コネクタを通信可能に直列接続する通信ケーブル、を備えたトンネル内計測システムである。
【0008】
第2の態様は、第1の態様において、前記計測地点用処理部は、前記センサ部で検出された物理量のアナログ信号を、通信可能なデジタル信号に変換する処理部を含んでいる、トンネル内計測システムである。
【0009】
第3の態様は、第1又は第2の態様において、前記センサ部は、圧力を検出する圧力センサである、トンネル内計測システムである。
【0010】
第4の態様は、第1から第3の態様のいずれかにおいて、前記センサ部は、静圧を検出するセンサを含んでいる、トンネル内計測システムである。
【0011】
第5の態様は、第1から第4の態様のいずれかにおいて、前記センサ部は、ピトー管を含んで構成されている、トンネル内計測システムである。
【0012】
第6の態様は、第1から第5の態様のいずれかにおいて、前記計測地点ユニットは、可搬のスタンドと、前記スタンドに取り付けられた前記センサ部と、前記スタンドに取り付けられた前記計測地点用処理部と、前記計測地点用処理部に分岐通信ケーブルを介して通信可能に接続された前記計測地点用通信コネクタ、を含んで構成される、トンネル内計測システムである。
【0013】
第7の態様は、第1から第6の態様のいずれかにおいて、電源から電力を供給するための電力供給ケーブルが配置されると共に、前記電力供給ケーブルから分岐して複数の計測地点ユニットそれぞれに電力を供給するための分岐電力供給ケーブルが配置されるトンネル内計測システムである。
【0014】
第8の態様は、トンネル内の複数の計測地点の物理量を計測するトンネル内計測システムであって、前記複数の計測地点毎に配置され、物理量を検出するセンサ部と、前記センサ部で検出された物理量と基準物理量に応じた物理量を取得する物理量取得部と、前記物理量取得部に基準物理量を伝送可能に接続された計測地点用伝送コネクタが設けられた複数の計測地点ユニットと、基準物理量を取得する基準計測地点に配置され、基準物理量を検出する基準センサ部と、前記基準センサ部から基準物理量を伝送可能に接続された基準計測地点用伝送コネクタが設けられた基準計測地点ユニットと、前記複数の計測地点ユニットそれぞれに通信可能に接続され、前記複数の計測地点ユニット毎に取得される物理量を演算処理する演算処理部と、前記計測地点用伝送コネクタ及び前記基準計測地点用伝送コネクタを介して基準物理量を伝送可能に直列接続された伝送路、を備えたトンネル内計測システムである。
【0015】
第9の態様は、第8の態様において、前記物理量取得部で取得された物理量のアナログ信号を、通信可能なデジタル信号に変換する計測地点用処理部を更に備えた、トンネル内計測システムである。
【0016】
第10の態様は、第8又は第9の態様において、前記センサ部は、圧力を検出する圧力センサである、トンネル内計測システムである。
【0017】
第11の態様は、第8から第10の態様のいずれかにおいて、前記センサ部は、静圧を検出するセンサを含んでいる、トンネル内計測システムである。
【0018】
第12の態様は、第8から第11の態様のいずれかにおいて、前記センサ部は、ピトー管を含んで構成されている、トンネル内計測システムである。
【0019】
第13の態様は、第8から第12の態様のいずれかにおいて、前記物理量取得部は、圧力と基準圧力の差圧を取得する差圧計であり、前記伝送路は、エアチューブである、トンネル内計測システムである。
【0020】
第14の態様は、第8から第13の態様のいずれかにおいて、前記計測地点ユニットは、 可搬のスタンドと、前記スタンドに取り付けられた前記センサ部と、前記スタンドに取り付けられた前記物理量取得部と、前記物理量取得部に分岐伝送路を介して基準物理量を伝送可能に接続された前記計測地点用伝送コネクタ、を含んで構成される、トンネル内計測システムである。
【0021】
第15の態様は、第8から第14の態様のいずれかにおいて、電源から電力を供給するための電力供給ケーブルが配置されると共に、前記電力供給ケーブルから分岐して複数の計測地点ユニットそれぞれに電力を供給するための分岐電力供給ケーブルが配置される、トンネル内計測システムである。
【0022】
第16の態様は、第8から第15の態様のいずれかにおいて、前記基準計測地点ユニットは、前記計測地点ユニットを兼ねており、複数の計測地点ユニットのいずれかが前記基準計測地点ユニットである、トンネル内計測システムである。
【0023】
第17の態様は、トンネル内の複数の計測地点の物理量を計測するトンネル内計測システムであって、前記複数の計測地点毎に配置され、物理量を検出するセンサ部と、前記センサ部で検出された物理量と基準物理量に応じた物理量を取得する物理量取得部と、前記物理量取得部に基準物理量を伝送可能に接続された計測地点用伝送コネクタと、前記物理量取得部で取得された物理量を通信可能な信号に処理する計測地点用処理部と、前記計測地点用処理部に通信可能に接続される計測地点用通信コネクタが設けられた複数の計測地点ユニットと、基準物理量を取得する基準計測地点に配置され、基準物理量を検出する基準センサ部と、前記基準センサ部から基準物理量を伝送可能に接続された基準計測地点用伝送コネクタが設けられた基準計測地点ユニットと、前記複数の計測地点ユニット毎に取得される物理量を演算処理する演算処理部と、前記演算処理部に通信可能に接続された演算処理部用通信コネクタと、前記計測地点用伝送コネクタ及び前記基準計測地点用伝送コネクタを介して基準物理量を伝送可能に直列接続された伝送路と、前記計測地点用通信コネクタ及び前記演算処理部用通信コネクタを通信可能に直列接続する通信ケーブル、 を備えたトンネル内計測システムである。
【0024】
第18の態様は、第17の態様において、前記計測地点用処理部は、前記物理量取得部で取得された物理量のアナログ信号を、通信可能なデジタル信号に変換する処理部を含んでいる、トンネル内計測システムである。
【0025】
第19の態様は、第17又は第18の態様において、前記センサ部は、圧力を検出する圧力センサである、トンネル内計測システムである。
【0026】
第20の態様は、第17から第19の態様のいずれにおいて、前記センサ部は、静圧を検出するセンサを含んでいる、トンネル内計測システムである。
【0027】
第21の態様は、第17から第20の態様のいずれにおいて、前記センサ部は、ピトー管を含んで構成されている、トンネル内計測システムである。
【0028】
第22の態様は、第17から第21の態様のいずれにおいて、前記物理量取得部は、圧力と基準圧力の差圧を取得する差圧計であり、前記伝送路は、エアチューブである、トンネル内計測システムである。
【0029】
第23の態様は、第17から第22の態様のいずれにおいて、前記計測地点ユニットは、 可搬のスタンドと、前記スタンドに取り付けられた前記センサ部と、前記スタンドに取り付けられた前記物理量取得部と、前記物理量取得部に分岐伝送路を介して基準物理量を伝送可能に接続された前記計測地点用伝送コネクタと、前記スタンドに取り付けられた前記計測地点用処理部と、前記計測地点用処理部に分岐通信ケーブルを介して通信可能に接続された前記計測地点用通信コネクタ、を含んで構成される、トンネル内計測システムである。
【0030】
第24の態様は、第17から第23の態様のいずれにおいて、電源から電力を供給するための電力供給ケーブルが配置されると共に、前記電力供給ケーブルから分岐して複数の計測地点ユニットそれぞれに電力を供給するための分岐電力供給ケーブルが配置される、トンネル内計測システムである。
【0031】
第25の態様は、第17から第24の態様のいずれにおいて、前記基準計測地点ユニットは、前記計測地点ユニットを兼ねており、複数の計測地点ユニットのいずれかが前記基準計測地点ユニットである、トンネル内計測システムである。
【0032】
第26の態様は、トンネル内の複数の計測地点の物理量を計測するトンネル内計測システムのために使用される計測地点ユニットであって、前記計測地点ユニットは、可搬のスタンドと、前記スタンドに取り付けられ、物理量を検出するセンサ部と、前記スタンドに取り付けられ、前記センサ部で検出された物理量と基準物理量に応じた物理量を取得する物理量取得部と、前記物理量取得部に分岐伝送路を介して基準物理量を伝送可能に接続された計測地点用伝送コネクタと、前記スタンドに取り付けられ、前記物理量取得部で取得された物理量を通信可能な信号に処理する計測地点用処理部と、前記計測地点用処理部に分岐通信ケーブルを介して通信可能に接続された計測地点用通信コネクタ、を含んで構成される計測地点ユニットである。
【0033】
第27の態様は、第26の態様において、前記計測地点用処理部は、前記物理量取得部で取得された物理量のアナログ信号を、通信可能なデジタル信号に変換する処理部を含んでいる、計測地点ユニットである。
【0034】
第28の態様は、第26又は第27の態様において、前記センサ部は、圧力を検出する圧力センサである、計測地点ユニットである。
【0035】
第29の態様は、第26から第28の態様のいずれにおいて、前記センサ部は、静圧を検出するセンサを含んでいる、トンネル内計測システムである。
【0036】
第30の態様は、第26から第29の態様のいずれにおいて、前記センサ部は、ピトー管を含んで構成されている、トンネル内計測システムである。
【0037】
第31の態様は、第26から第30の態様のいずれにおいて、前記物理量取得部は、圧力と基準圧力の差圧を取得する差圧計であり、前記分岐伝送路は、エアチューブである、計測地点ユニットである。
【0038】
第32の態様は、第26から第31の態様のいずれにおいて、前記計測地点ユニットには、電源から電力が供給されるための分岐電力供給ケーブルが電気的に接続されている、計測地点ユニットである。
【0039】
第33の態様は、トンネル内の複数の計測地点の物理量を計測するトンネル内計測システムのために使用される計測地点ユニットであって、前記計測地点ユニットは、可搬のスタンドと、前記スタンドに取り付けられ、物理量を検出するセンサ部と、前記スタンドに取り付けられ、前記センサ部で検出された物理量と基準物理量に応じた物理量を取得する物理量取得部と、前記物理量取得部に分岐伝送路を介して基準物理量を伝送可能に接続された計測地点用伝送コネクタと、前記スタンドに取り付けられ、前記物理量取得部で取得された物理量を通信可能な信号に処理する計測地点用処理部と、を含んで構成される計測地点ユニットである。
【0040】
第34の態様は、第33の態様において、前記計測地点用処理部で処理された信号を無線で外部の機器に送信する送信部を備えた、計測地点ユニットである。
【0041】
第35の態様は、トンネル内の複数の計測地点それぞれに配置された複数の計測地点ユニットを制御する計測地点ユニットの制御装置であって、前記計測地点ユニットに向けて計測値の取得を指示するための計測値取得指示信号を間欠的に送信する送信部と、前記計測値取得指示信号に応じて前記計測地点ユニットから間欠的に送信され、更新された計測値と計測地点ユニットを特定する特定符号を含む更新計測値信号を受信する受信部と、 前記複数の計測地点ユニットそれぞれの送受信状態を個別表示する表示部と、前記計測値取得指示信号が間欠的に送信される毎に、対応する計測地点ユニットに向けて計測値取得が指示されたことを示す第1の表示が、個別表示され、前記更新計測値信号を受信する毎に、対応する計測地点ユニットで計測値が更新されたことを示す第2の表示が前記第1の表示とは識別可能に、個別表示されるように前記表示部の表示を制御する表示制御部と、を備えた計測地点ユニットの制御装置である。
【0042】
第36の態様は、第35の態様において、前記表示部は、それぞれ異なる色の前記第1の表示と前記第2の表示がなされるように表示が制御される、計測地点ユニットの制御装置である。
【0043】
第37の態様は、第35又は第36の態様において、前記表示部は、対応する計測地点ユニットで取得された計測値が、前記第1の表示又は前記第2の表示を背景色として表示される、計測地点ユニットの制御装置である。
【0044】
第38の態様は、第35から第37の態様のいずれにおいて、前記計測値取得指示信号を送信するための操作ボタンが、表示画面上に配置される、計測地点ユニットの制御装置である。
【0045】
第39の態様は、第35から第38の態様のいずれにおいて、表示画面上に、前記複数の計測地点ユニットそれぞれに対応づけられた複数の個別表示部が配置され、前記表示制御部は、前記計測値取得指示信号が間欠的に送信される毎に、対応する計測地点ユニットに向けて計測値取得が指示されたことを示す第1の表示が、当該計測地点ユニットに対応する個別表示部でなされ、前記更新計測値信号を受信する毎に、対応する計測地点ユニットで計測値が更新されたことを示す第2の表示が前記第1の表示とは識別可能に、当該計測地点ユニットに対応する個別表示部でなされるように前記表示部の表示を制御する、計測地点ユニットの制御装置である。
【0046】
第40の態様は、第35から第39の態様のいずれにおいて、複数の計測地点ユニットは、前記計測値取得指示信号及び前記更新計測値信号が伝送される通信ケーブルに直列接続されており、複数の計測地点ユニットからそれぞれ、前記更新計測値信号が前記通信ケーブル内で混線しないように互いに送信時刻をずらして送信される、計測地点ユニットの制御装置である。
【発明の効果】
【0047】
第1乃至第34の態様によれば、トンネル内の物理量の分布を計測するに際して計測機器の設置と撤去を容易に行うことができる。また第35乃至第40の態様によれば、トンネル内の物理量分布の計測を制御するに際して計測機器による計測状態を監視することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【
図1】
図1は、トンネル内計測システムの全体構成を示す図である。
【
図2】
図2は、計測地点ユニットの構成を示すブロック図である。
【
図3A】
図3Aは、基準計測地点ユニットの構成を示すブロック図である。
【
図3B】
図3Bは、計測地点ユニットの機能を兼ねた基準計測地点ユニットの構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、中央計測部の構成を示すブロック図である。
【
図7A】
図7Aは、電源と、電力供給ケーブルと、分岐電力供給ケーブルの構成を示す図である。
【
図7B】
図7Bは、電力供給ケーブルと、分岐電力供給ケーブルの構成を示す図である。
【
図8】
図8は、計測地点ユニットの構成例の外観を示す斜視図である。
【
図9】
図9は、
図8に示す計測地点ユニットの部分構成を説明する図である。
【
図10】
図10は、基準計測地点ユニットの構成例の外観を示す斜視図である。
【
図12】
図12は、中央計測部の構成例の外観を示す図である。
【
図13】
図13は、演算処理部をパーソナルコンピュータで構成した場合のハードウェア構成を例示するブロック図である。
【
図14】
図14は、計測地点ユニット及び基準計測地点ユニットを制御する制御装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図16】
図16A、
図16B、
図16C、
図16D、
図16Eはそれぞれ、中央計測部から送信される計測値取得指示信号、中央計測部で受信される計測地点N(N=1、2、・・・19)の更新計測値信号、中央計測部で受信される計測地点N+1の更新計測値信号、個別表示部DNの表示状態、個別表示部DN+1の表示状態を示すタイミングチャートである。
【
図17】
図17は、ストレージに格納されるデータの一部を示す図で、トンネル内の同時刻における差圧分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、本発明に係るトンネル内計測システム、計測地点ユニット及び計測地点ユニットの制御装置の実施形態について説明する。
【0050】
以下第1実施形態について説明する。
【0051】
(第1の実施形態)
【0052】
(トンネル内計測システム)
【0053】
図1は、トンネル内計測システム1の全体構成を示す。
図1は、トンネルTNを上面からみた図である。トンネルTN内に、トンネル内計測システム1の各構成要素が配置される。
【0054】
実施形態で対象としているトンネルは、自動車道用、鉄道用のみならず、水路用、人道等任意の用途のトンネルを含むものとする。
【0055】
トンネル内計測システム1は、トンネルTN内の複数(例えば20個)の計測地点PT1(基準計測地点PTS)、PT2、・・・PT20の物理量、例えば複数の計測地点PT1~PT20における静圧Pと基準計測地点PTSにおける基準静圧Psとの差圧を計測する計測システムである。なお、計測した差圧ΔPに基づいてジェットファンJFの換気特性値を計測する。
【0056】
トンネル内計測システム1は、大きくは、複数の計測地点ユニット100と、基準計測地点ユニット100Sと、中央計測部200と、伝送路300と、通信ケーブル400と、電源500と、電力供給ケーブル600と、分岐電力供給ケーブル610を含んで構成されている。
【0057】
図2は、計測地点ユニット100の構成を示すブロック図である。
【0058】
複数の計測地点ユニット100はそれぞれ、複数の計測地点PT2、・・・PT20毎に配置されている。なお基準計測地点PTSとなる計測地点PT1に配置される計測地点ユニット100Sについての構成は
図3A、
図3Bにて後述する。
【0059】
複数の計測地点ユニット100はそれぞれ、センサ部110と、物理量取得部120と、計測地点用伝送コネクタ130と、計測地点用処理部140と、計測地点用通信コネクタ150を含んで構成される。
【0060】
センサ部110は、物理量、例えば圧力を検出する。センサ部110は、ピトー管111を含んで構成されている。ピトー管111としては、静圧Pを検出するピトー静圧管を用いることができる。なお、センサ部110は、圧力を検出する圧力センサであればよく、ピトー管111以外の圧力センサを使用する実施も可能である。またセンサ部110としては、圧力以外の温度等の他の物理量を検出するものであってもよく、他の物理量に置き替えて本実施形態を適用することができる。
【0061】
物理量取得部120は、センサ部110で検出された物理量と基準物理量に応じた物理量を取得する。物理量取得部120は、例えば差圧計121を含んで構成される。差圧計121は、センサ部110で検出された静圧Pと基準静圧Psの差圧ΔPを取得する。
【0062】
計測地点用伝送コネクタ130は、物理量取得部120に基準物理量を伝送可能に接続されている。基準物理量は、例えば基準静圧Psである。計測地点用伝送コネクタ130と物理量取得部120の間は、基準静圧Psを示す信号(エア)を伝送する分岐伝送路131によって接続されている。分岐伝送路131は、例えばエアチューブで構成されている。
【0063】
計測地点用処理部140は、物理量取得部120で取得された物理量、例えば差圧計121で取得された差圧ΔPのアナログ信号を通信可能な信号に処理する。計測地点用処理部140は、物理量取得部120で取得された物理量のアナログ信号、例えば差圧計121で取得された差圧ΔPのアナログ信号SAを、通信可能なデジタル信号SDに変換する処理部141を含んでいる。計測地点用処理部140は、例えばマイクロコントローラで構成することができる。また処理部141は、例えばA/D変換器で構成することができる。
【0064】
計測地点用通信コネクタ150は、計測地点用処理部140に通信可能に接続されている。計測地点用通信コネクタ150と計測地点用処理部140の間は、送受信のためのデジタル電気信号が通電される分岐通信ケーブル151によって接続されている。
【0065】
図3Aは、基準計測地点ユニット100Sの構成を示すブロック図である。
【0066】
基準計測地点ユニット100Sは、基準物理量、例えば基準静圧Psを取得する基準計測地点PTS、例えば計測地点PT1に配置されている。
【0067】
基準計測地点ユニット100Sは、基準センサ部110Sと、基準計測地点用伝送コネクタ130Sを含んで構成されている。
【0068】
基準センサ部110Sは、センサ部110と同じ物理量の基準となる値、例えば基準圧力を検出する。基準センサ部110Sは、ピトー管111を含んで構成されている。ピトー管111としては、基準静圧Psを検出するピトー静圧管を用いることができる。なお、基準センサ部110Sは、圧力を検出する圧力センサであればよく、ピトー管111以外の圧力センサを使用する実施も可能である。また基準センサ部110Sとしては、圧力以外の温度等の他の物理量を検出するものであってもよく、他の物理量に置き替えて本実施形態を適用することができる。
【0069】
基準計測地点用伝送コネクタ130Sは、基準センサ部110Sから基準物理量を伝送可能に接続されている。基準物理量は、例えば基準静圧Psである。基準センサ部110Sと基準計測地点用伝送コネクタ130Sの間は、基準静圧Psを示す信号(エア)を伝送する分岐伝送路131Sによって接続されている。分岐伝送路131Sは、例えばエアチューブで構成されている。
【0070】
なお、基準計測地点ユニット100Sは、計測地点ユニット100の機能を兼ねていてもよく、複数の計測地点ユニット100のいずれかを基準計測地点ユニット100Sに置き替える実施も可能である。
【0071】
図3Bは、計測地点ユニット100の機能を兼ねた基準計測地点ユニット100Sの構成を示すブロック図である。
図2、
図3Aと同じ構成要素には同じ符号を付して適宜説明を省略する。基準計測地点ユニット100Sは、計測地点PT1(基準計測地点PTS)に配置される。
【0072】
基準センサ部110Sと基準計測地点用伝送コネクタ130Sの間は、基準静圧Psを示す信号(エア)を伝送する分岐伝送路131Sによって接続されている。物理量取得部120は、例えば差圧計121を含んで構成される。差圧計121は、基準センサ部110Sで検出された静圧P(=Ps)と基準静圧Psの差圧ΔP(=0)を取得する。
【0073】
図4は、中央計測部200の構成を示すブロック図である。
【0074】
中央計測部200は、トンネルTN内の所定位置PTCに配置されている。
【0075】
中央計測部200は、演算処理部210と、演算処理部用通信コネクタ220を含んで構成される。
【0076】
演算処理部210は、複数の計測地点ユニット100毎に取得される物理量、例えば差圧ΔPを演算処理する。演算処理部210は、例えばパーソナルコンピュータ211で構成されている。
【0077】
演算処理部用通信コネクタ220は、分岐通信ケーブル221を介して演算処理部210に通信可能に接続されている。
【0078】
図5A、
図5Bは、伝送路300の構成を示す。
図5A、
図5Bは、トンネルTNの側方からみた図でトンネルTNの長手方向に沿って伝送路300が配置された様子を示す。
図5Aは、複数の計測地点ユニット100及び基準計測地点ユニット100Sに伝送路300を接続する前の状態を示し、
図5Bは、複数の計測地点ユニット100及び基準計測地点ユニット100Sに、伝送路300を接続した後の状態を示す。
【0079】
伝送路300は、基準物理量を伝送可能に計測地点用伝送コネクタ130及び基準計測地点用伝送コネクタ130Sを直列接続するように構成されている。伝送路300は、基準物理量としての基準静圧Psを示すエアを伝送するエアチューブで構成されている。
【0080】
伝送路300は、各計測地点間の距離に応じた長さの計測地点間伝送路300Pを複数個備えて構成されている。計測地点間伝送路310の両端にはそれぞれ、計測地点用伝送コネクタ130及び基準計測地点用伝送コネクタ130Sのメス口132A、132Bに接続可能なオス口311A、311Bが設けられている。
【0081】
計測地点用伝送コネクタ130は、3口が開口されたT字型に形成され、互いに反対側に開口するメス口132A、132Bを備えている。基準計測地点用伝送コネクタ130Sは、少なくともメス口132Bを備えている。
【0082】
計測地点用伝送コネクタ130の一方のメス口132Aは、計測地点ユニット100を挟んで同じ一方に配置された計測地点間伝送路300Pのオス口311Aに接続される。計測地点用伝送コネクタ130及び基準計測地点用伝送コネクタ130Sの他方のメス口132Bは、計測地点ユニット100及び基準計測地点ユニット100Sを挟んで同じ他方に配置された計測地点間伝送路300Pのオス口311Bに接続される。これにより伝送路300は計測地点用伝送コネクタ130及び基準計測地点用伝送コネクタ130Sそれぞれを介して分岐伝送路131及び131Sに連通する。
【0083】
図6A、
図6Bは、通信ケーブル400の構成を示す。
図6A、
図6Bは、トンネルTNの側方からみた図でトンネルTNの長手方向に沿って通信ケーブル400が配置された様子を示す。
図6Aは、複数の計測地点ユニット100、基準計測地点ユニット100S及び中央計測部200に、通信ケーブル400を接続する前の状態を示し、
図6Bは、複数の計測地点ユニット100、基準計測地点ユニット100S及び中央計測部200に、通信ケーブル400を接続した後の状態を示す。
【0084】
通信ケーブル400は、デジタル信号通信ケーブルである。通信ケーブル400は、計測地点用通信コネクタ150及び演算処理部用通信コネクタ220を通信可能に直列接続するように構成されている。
【0085】
通信ケーブル400は、各計測地点間の距離に応じた長さの計測地点間通信ケーブル400Pを複数個備えて構成されている。計測地点間通信ケーブル400Pの両端にはそれぞれ、計測地点用通信コネクタ150及び演算処理部用通信コネクタ220のメス端子152A、152Bに接続可能なオス端子411A、411Bが設けられている。なお計測地点用通信コネクタ150及び演算処理部用通信コネクタ220は例えば10極コネクタを用いることができる。
【0086】
計測地点用通信コネクタ150及び演算処理部用通信コネクタ220は、端子間通信ケーブル153を挟んで互いに反対向きに配置されたメス端子152A、152Bを備えて構成されている。なお計測地点用通信コネクタ150及び演算処理部用通信コネクタ220のメス端子152Aはそれぞれ、分岐通信ケーブル151及び221に電気的に接続されている。
【0087】
計測地点用通信コネクタ150及び演算処理部用通信コネクタ220の一方のメス端子152Aは、計測地点ユニット100及び中央計測部200を挟んで同じ一方に配置された計測地点間通信ケーブル400Pのオス端子411Aに接続される。計測地点用通信コネクタ150及び演算処理部用通信コネクタ220の他方のメス端子152Bは、計測地点ユニット100、基準計測地点ユニット100S及び中央計測部200を挟んで同じ他方に配置された計測地点間通信ケーブル400Pのオス端子411Bに接続される。これにより通信ケーブル400は計測地点用通信コネクタ150及び演算処理部用通信コネクタ220それぞれを介して分岐通信ケーブル151及び221に電気的に接続される。
【0088】
図7A、
図7Bは、電源500と、電力供給ケーブル600と、分岐電力供給ケーブル610の構成を示す。
図7Aは、トンネルTNの長手方向に沿った配置を示す図で、
図7Bは、トンネルTNの覆工断面に沿った配置を示す図で、
図7AのA-A断面図である。
【0089】
電源500は電工リール510を介して電力供給ケーブル600に電気的に直列に接続されている。
【0090】
電工リール510は、例えば複数の計測地点ユニット100、基準計測地点ユニット100S、中央計測部200それぞれの側方に配置されている。
【0091】
電工リール510は、分岐電力供給ケーブル610、ACアダプタ180、計測機器用電力供給ケーブル190を介して複数の計測地点ユニット100の計測地点用処理部140、基準計測地点ユニット100Sの計測地点用処理部140、中央計測部200の演算処理部210それぞれに電気的に接続されている。
【0092】
電源500は、発電機を使用することができる。電源500から電力が、電力供給ケーブル600、電工リール510、分岐電力供給ケーブル610、ACアダプタ180、計測機器用電力供給ケーブル190を介して複数の計測地点ユニット100の計測地点用処理部140、基準計測地点ユニット100Sの計測地点用処理部140、中央計測部200の演算処理部210それぞれに供給される。ACアダプタ180は、交流電力を所定電圧の直流電力に変換する。複数の計測地点ユニット100の計測地点用処理部140、基準計測地点ユニット100Sの計測地点用処理部140、中央計測部200の演算処理部210は、供給された所定電圧の直流電力によって動作する。
【0093】
(計測地点ユニット)
【0094】
図8は、計測地点ユニット100の構成例を示す図で、外観を斜視図にて示す。
図9は、
図8に示す計測地点ユニット100の部分構成を説明する図である。
【0095】
計測地点ユニット100は、大きくは、可搬のスタンド160と、スタンド160の上部に取り付けられたセンサ部110と、スタンド160の中央部に取り付けられた計測機器用筐体170と、スタンド160の下端に配置された計測地点用伝送コネクタ130と、スタンド160の下端に配置された計測地点用通信コネクタ150を含んで構成されている。
【0096】
スタンド160は、例えば3足のポールスタンドを用いることができる。台座161の上に、スタンドポール162が立設するように取り付けられている。なおスタンド160は、三脚等任意の形態のスタンドを使用することができる。
【0097】
センサ部110及び計測機器用筐体170はそれぞれ、締結部材181、182を用いてスタンド160に取り付けられる。締結部材181は、スタンドポール162に締結固定されると共に、センサ部110に締結固定される。同様に締結部材182は、スタンドポール162に締結固定されると共に、計測機器用筐体170に固定される。
【0098】
計測機器用筐体170内には、物理量取得部120と、計測地点用処理部140が配置されている。計測機器用筐体170には、表示部171が設けられている。表示部171は、例えば液晶ディスプレイで構成されている。計測機器用筐体170の外側には表示部171の表示面171Aが視認可能に設けられている。
【0099】
センサ部110と計測機器用筐体170内の物理量取得部120はセンサ・筐体間伝送路133によって接続されている。これにより物理量取得部120には、センサ部110で検出された静圧Pを示す信号が入力される。
【0100】
計測地点用伝送コネクタ130と計測機器用筐体170内の物理量取得部120は、分岐伝送路131によって接続されている。これにより物理量取得部120には、基準静圧Psを示す信号が入力される。物理量取得部120は、入力された検出静圧Pと入力された基準静圧Psの差圧ΔPのアナログ信号SAを取得する。
【0101】
計測地点用処理部140には、計測機器用電力供給ケーブル190及びACアダプタ180が電気的に接続されている。計測地点用通信コネクタ150と計測機器用筐体170内の計測地点用処理部140は、分岐通信ケーブル151によって電気的に接続されている。
【0102】
計測地点用処理部140は、ACアダプタ180、計測機器用電力供給ケーブル190を介して供給される所定電圧の直流電力によって動作する。計測地点用処理部140は、分岐通信ケーブル151を介して受信される信号に応じて所定の処理を実行する。計測地点用処理部140は、処理結果を示す信号を分岐通信ケーブル151に送出する。
【0103】
計測地点用処理部140は、物理量取得部120で差圧ΔPのアナログ信号SAが取得されると、信号線129を介して差圧ΔPのアナログ信号SAを取り込み差圧ΔPのデジタル信号SDに変換する。計測地点用処理部140は、差圧ΔPの数値が表示部171の表示面171Aに表示されるように表示を制御する。
【0104】
(基準計測地点ユニット)
【0105】
図10は、基準計測地点ユニット100Sの構成例を示す図で、外観を斜視図にて示す。
図11は、
図10に示す基準計測地点ユニット100Sの部分構成を説明する図である。
図10、
図11は、計測地点ユニット100の機能を兼ねた基準計測地点ユニット100Sの構成を例示する。
【0106】
図8、
図9に示す計測地点ユニット100の構成と同一の構成については説明を省略する。
【0107】
基準センサ部110Sと計測機器用筐体170内の物理量取得部120はセンサ・筐体間伝送路133によって接続されている。これにより物理量取得部120には、基準センサ部110Sで検出された静圧P(=基準静圧Ps)を示す信号が入力される。基準センサ部110Sと物理量取得部120の間は、基準静圧Psを示す信号(エア)を伝送する分岐伝送路131によって接続されている。これにより物理量取得部120には、基準静圧Psを示す信号が入力される。物理量取得部120は、入力された検出静圧P(=基準静圧Ps)と入力された基準静圧Psの差圧ΔP(=0)のアナログ信号SAを取得する。基準センサ部110Sと基準計測地点用伝送コネクタ130Sの間は、基準静圧Psを示す信号(エア)を伝送する分岐伝送路131Sによって接続されている。
【0108】
(中央計測部)
【0109】
図12は、中央計測部200の構成例を示す斜視図で、その外観を示す。
【0110】
演算処理部210(例えばパーソナルコンピュータ211)には、計測機器用電力供給ケーブル190及びACアダプタ180が電気的に接続されている。演算処理部用通信コネクタ220と演算処理部210(例えばパーソナルコンピュータ211)は、分岐通信ケーブル221によって電気的に接続されている。
【0111】
演算処理部210(例えばパーソナルコンピュータ211)は、ACアダプタ180、計測機器用電力供給ケーブル190を介して供給される所定電圧の直流電力によって動作する。演算処理部210(例えばパーソナルコンピュータ211)は、分岐通信ケーブル221を介して受信される信号に応じて所定の処理を実行する。演算処理部210(例えばパーソナルコンピュータ211)は、処理結果を示す信号を分岐通信ケーブル221に送出する。
【0112】
図13は演算処理部210をパーソナルコンピュータ211で構成した場合のハードウェア構成を例示するブロック図である。
図13に示すように、パーソナルコンピュータ211は、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、ストレージ14、入力装置16、表示装置17、通信I/F(インタフェース)18がシステムバス15を介して相互に通信可能に接続されて構成されている。
CPU11は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、システムバス15に接続される各デバイスを制御したりする。すなわち、CPU11は、ROM12又はストレージ14からプログラムを読み出し、RAM13を作業領域としてプログラムを実行する。CPU11は、ROM12又はストレージ14に記録されているプログラムにしたがって、システムバス15に接続される各デバイスの制御及び各種の演算処理を行う。ROM12又はストレージ14には、CPU11が実行する制御プログラムであるBIOS(Basic Input/Output System)やOS(Operating System)や、本実施形態を実現するためのコンピュータで読み取りが可能で実行が可能なプログラム及び必要な各種データを保持している。
【0113】
ROM12は、各種制御プログラム及び各種データを格納する。RAM13は、CPU11の主メモリ、ワークエリア等として機能し作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。ストレージ14は、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)により構成され、BIOS、OSを含む各種プログラム及び各種データを格納する。
【0114】
入力装置16は、マウス等のポインティングデバイス、及びキーボードを含み、各種の入力を行うために使用される。
【0115】
表示装置17は、例えば、液晶ディスプレイであり、各種の情報を表示する。表示装置17は、タッチパネル方式を採用して、入力装置16として機能しても良い。
【0116】
表示装置17の表示画面には、後述する各種画面が表示される。
【0117】
通信インタフェース18は、他の計測機器、つまり計測地点ユニット100及び基準計測地点ユニット100Sと通信するためのインタフェースであり、例えば、イーサネット(登録商標)、FDDI、Wi-Fi(登録商標)等の規格が用いられる。通信インタフェース18は、所定の通信プロトコルに従いデータの送受信の制御を行う。
【0118】
(制御装置)
【0119】
図14は、計測地点ユニット100及び基準計測地点ユニット100Sを制御する制御装置2の機能構成を示すブロック図である。制御装置2の機能構成は、演算処理部210としてのパーソナルコンピュータ211が備えている。制御装置2の機能は、
図13に示すハードウェア及び
図13に示すROM12又はストレージ14に格納されたソフトウェアによって実現される。
【0120】
制御装置2は、送信部21と、受信部22と、表示部23と、表示制御部24を含んで構成される。
【0121】
送信部21は、各計測地点ユニット100及び基準計測地点ユニット100Sに向けて計測値の取得を指示するための計測値取得指示信号を間欠的に送信する。
【0122】
受信部22は、計測値取得指示信号に応じて各計測地点ユニット100及び基準計測地点ユニット100Sから間欠的に送信され、更新された計測値と計測地点ユニット100及び基準計測地点ユニット100Sを特定する特定符号を含む更新計測値信号を受信する。
【0123】
表示部23は、計測地点PT1に設置された基準計測地点ユニット100S、計測地点PT2に設置された計測地点ユニット100、・・・計測地点PT20に設置された計測地点ユニット100それぞれの送受信状態を個別表示する。
【0124】
表示制御部24は、計測値取得指示信号が間欠的に送信される毎に、対応する計測地点ユニット100及び基準計測地点ユニット100Sに向けて計測値取得が指示されたことを示す第1の表示が、個別表示され、更新計測値信号を受信する毎に、対応する計測地点ユニット100及び基準計測地点ユニット100Sで計測値が更新されたことを示す第2の表示が第1の表示とは識別可能に、個別表示されるように表示部23の表示を制御する。
【0125】
以下、トンネル内計測システム1の設置から撤去までの手順について説明する。
【0126】
(計測機器の設置)
【0127】
図1に示すように、例えば計測対象となるトンネルTN内の一方の出入口側の基準計測地点PT1(PTS)に基準計測地点ユニット100Sを設置する。トンネルTN内の一方の出入口側から他方の出入口に向かうトンネル長手方向に沿った各計測地点PT2、・・・PT20にそれぞれ、計測地点ユニット100を設置する。
【0128】
中央計測部200は、計測地点PT7と計測地点PT8の間の地点PTCに設置する。
【0129】
(ケーブルの接続)
【0130】
図5A、
図5Bに示すように、計測地点ユニット100の計測地点用伝送コネクタ130の一方のメス口132Aに、計測地点間伝送路300Pのオス口311Aを接続する。同様にして計測地点ユニット100の計測地点用伝送コネクタ130及び基準計測地点ユニット100Sの基準計測地点用伝送コネクタ130Sの他方のメス口132Bに、計測地点間伝送路300Pのオス口311Bを接続する。
【0131】
図6A、
図6Bに示すように、計測地点ユニット100の計測地点用通信コネクタ150及び中央計測部200の演算処理部用通信コネクタ220の一方のメス端子152Aに、計測地点間通信ケーブル400Pのオス端子411Aを接続する。同様にして基準計測地点ユニット100Sの計測地点用通信コネクタ150、計測地点ユニット100の計測地点用通信コネクタ150及び中央計測部200の演算処理部用通信コネクタ220の他方のメス端子152Bに、計測地点間通信ケーブル400Pのオス端子411Bを接続する。
【0132】
図7A、
図7Bに示すように、トンネルTN内の所定箇所に電源500を設置し、電工リール510を、計測地点ユニット100、基準計測地点ユニット100S、中央計測部200の設置箇所の側方にそれぞれ設置する。各電工リール510を、電力供給ケーブル600によって電気的に直列に接続する。
【0133】
電工リール510に分岐電力供給ケーブル610の一端を電気的に接続する共に、分岐電力供給ケーブル610の他端をACアダプタ180に電気的に接続する。
【0134】
(計測地点ユニット及び基準計測地点ユニットの制御)
【0135】
以下、計測地点ユニット100及び基準計測地点ユニット100Sの制御について説明する。
【0136】
(制御用画面の表示)
【0137】
中央計測部200に配置されたパーソナルコンピュータ211(演算処理部210)を起動させ、ROM12又はストレージ14に格納されたプログラムが実行されると、表示装置17の表示画面は、
図15に示す制御用画面700に遷移する。
【0138】
図15に示す制御用画面700には、送受信状態表示部710と、計測値分布表示部720と、計測値取得指示部730と、計測値取得停止指示部740が配置されている。
【0139】
送受信状態表示部710は、表示部23に対応する。送受信状態表示部710は、計測地点PT1に設置された基準計測地点ユニット100S、計測地点PT2に設置された計測地点ユニット100、・・・計測地点PT20に設置された測地点ユニット100それぞれの送受信状態を個別表示する。
【0140】
送受信状態表示部710には、計測地点PT1に設置された基準計測地点ユニット100S、計測地点PT2に設置された計測地点ユニット100、・・・計測地点PT20に設置された計測地点ユニット100にそれぞれに対応付けられた個別表示部D1、D2、・・・D20が配置されている。個別表示部D1は、計測地点PT1に設置された基準計測地点ユニット100Sの送受信状態を個別表示する。個別表示部D2は、計測地点PT2に設置された計測地点ユニット100の送受信状態を個別表示する。同様に個別表示部D3~D20はそれぞれ、計測地点PT3~PT20それぞれに設置された計測地点ユニット100の送受信状態を個別表示する。個別表示部D3~D20には、対応する計測地点ユニット100又は基準計測地点ユニット100Sで取得された計測値ΔPが、第1の表示DS1(
図15に地色の白色で示す)又は第2の表示DS2(
図15にハッチング(水色)で示す)を背景色として表示される。
【0141】
計測値分布表示部720は、一方の軸Xの各X軸位置PT1~PT20を、各計測地点PT1~PT20とし、他方の軸YのY軸値を、差圧ΔPとして、各計測地点PT1~PT20それぞれで取得された差圧ΔPの分布を棒グラフとして表示する。
【0142】
計測値取得指示部730は、送信部21に対応する。計測値取得指示部730は操作ボタンとして機能する。計測値取得指示部730の箇所が、例えばクリック操作されることによって計測値取得指示信号S1が間欠的に送信される。計測値取得指示信号S1は、計測地点ユニット100及び基準計測地点ユニット100Sに向けて計測値ΔPの取得を指示すると共に、取得した計測値ΔPを自己の計測地点ユニット(又は基準計測地点ユニット)を特定する識別符号IDに対応付けて送信することを求める信号である。
【0143】
計測値取得停止指示部740は、計測値取得指示信号S1の送信停止を指示するための信号である。
【0144】
(計測値取得指示信号の送信)
【0145】
操作者は、計測値取得指示部730をクリック操作する。これによって計測地点ユニット100及び基準計測地点ユニット100Sに向けて計測値取得指示信号S1が間欠的に送信される。
【0146】
図16A、
図16B、
図16C、
図16D、
図16Eはそれぞれ、中央計測部200から送信される計測値取得指示信号S1、中央計測部200で受信される計測地点PTN(N=1、2、・・・19)の更新計測値信号SrN、中央計測部200で受信される計測地点PTN+1の更新計測値信号SrN+1、個別表示部DNの表示状態DS、個別表示部DN+1の表示状態DSを示すタイミングチャートである。
【0147】
【0148】
計測値取得指示部730をクリック操作すると、計測値取得指示信号S1が通信ケーブル400を介して全ての計測地点の計測地点ユニット100及び基準計測地点ユニット100Sに向けて一定時間間隔τ(例えば2秒)毎に送信される(
図16Aの時刻t10、t20、t30参照)。
【0149】
個別表示部D1~D20の表示DSは、中央計測部200で計測値取得指示信号S1が間欠的に送信される毎に、個別表示部D1~D20の表示DSは、水色(
図15にハッチングで示す)という第2の表示DS2から白色という第1の表示DS1に切り替わる(
図16D、
図16Eの時刻t10、t20、t30参照)。
【0150】
中央計測部200から計測値取得指示信号S1が通信ケーブル400を介して送信されると、全ての計測地点の計測地点ユニット100及び基準計測地点ユニット100Sの計測地点用処理部140は、計測値取得指示信号S1をほぼ同時に受け付ける(
図16Aの時刻t10参照)。
【0151】
全ての計測地点の計測地点ユニット100及び基準計測地点ユニット100Sの計測地点用処理部140は、計測値取得指示信号S1を受信すると、計測値取得指示信号S1が示す指示に従い、物理量取得部120から差圧ΔPのアナログ信号SAを取り込み、差圧ΔPのデジタル信号SD、例えば10ビットのデジタル値SDに変換する。このため全ての計測地点PT1~PT20において計測値ΔPが、ほぼ同時に計測地点用処理部140で取得されることになる。
【0152】
つぎに、全ての計測地点の計測地点ユニット100及び基準計測地点ユニット100Sの計測地点用処理部140は、計測値取得指示信号S1が示す指示に従い、計測値ΔPを自己の識別符号ID1、ID2、・・・IDN、IDN+1、ID20に対応付けて、更新計測値信号Sr1、Sr2、・・・SrN、SrN+1・・・、Sr20として送信する。
【0153】
ただし複数の計測地点ユニットPT1、PT2、・・・PTN、PTN+1・・・、PT20からそれぞれ、更新計測値信号Sr1、Sr2、・・・SrN、SrN+1・・・、Sr20が通信ケーブル400内で混線しないように順次送信時刻を所定遅れ時間Δt(例えば0.1秒)ずつずらして送信される。
【0154】
例えば計測地点PTNの計測地点ユニット100では、自己の識別符号IDNに応じた遅れ時間(N-1)・Δtだけずらして、更新計測値信号SrNが通信ケーブル400に送信される(
図16Bの時刻t11参照)。つぎに計測地点PTN+1の計測地点ユニット100では、自己の識別符号IDN+1に応じた遅れ時間N・Δtだけずらして、更新計測値信号SrN+1が通信ケーブル400に送信される(
図16Cの時刻t12参照)。
【0155】
中央計測部200で更新計測値信号Sr1~Sr20が受信される毎に、対応する個別表示部D1~D20の表示DSはそれぞれ、第1の表示DS1から第2の表示DA2に切り替わる。例えば計測地点PTNの計測地点ユニット100又は基準計測地点ユニット100Sから送信された更新計測値信号SrNが受信されると、演算処理部210は、対応する個別表示部DNの表示DSが、第1の表示DS1から第2の表示DA2に切り替わるように表示を制御する(
図16Dの時刻t11、t21、t31参照)。同様に計測地点PTN+1の計測地点ユニット100から送信された更新計測値信号SrN+1が受信されると、演算処理部210は、対応する個別表示部DN+1の表示DSが、第1の表示DS1から第2の表示DA2に切り替わるように表示を制御する(
図16Eの時刻t12、t22、t32参照)。なお、第2の表示DS2は、第1の表示DS1と識別可能な表示であればよい。第1の表示DS1と第2の表示DS2を、任意の異なる色の表示とする実施、任意の異なる明度、彩度の表示とする実施等が可能である。
【0156】
中央計測部200で更新計測値信号Sr1、Sr2、・・・SrN、SrN+1・・・、Sr20が受信されると、演算処理部210は、計測値ΔPを取り出して、送受信状態表示部710の対応する個別表示部D1、D2、・・・DN、DN+1・・・、D20に差圧ΔPを表示させる処理を実行する。例えば演算処理部210は、更新計測値信号SrNを受信すると(
図16Bの時刻t11参照)、計測地点PTNの計測地点ユニット100又は基準計測地点ユニット100Sに対応する個別表示部DNに、第2の表示DS2を背景色として、更新された差圧値ΔPを表示する(
図16Dの時刻t11参照)。同様に演算処理部210は、更新計測値信号SrN+1を受信すると(
図16Cの時刻t12参照)、計測地点PTN+1の計測地点ユニット100に対応する個別表示部DN+1に、第2の表示DS2を背景色として、更新された差圧値ΔPを表示する(
図16Eの時刻t12参照)。
【0157】
また中央計測部200で更新計測値信号Sr1、Sr2、・・・SrN、SrN+1・・・、Sr20が受信されると、演算処理部210は、計測値ΔPを取り出して、計測値分布表示部720の対応するX軸位置PT1、PT2、・・・PTN、PTN+1・・・、PT20に、差圧ΔPに応じたY軸値を表示する。なお、差圧値ΔPは、10ビットのデジタル値を表示してもよく、圧力の単位Paに応じた値に換算して表示してもよい。
【0158】
以上のような表示の制御を行うようにしたため、操作者は、個別表示部D1~D20で背景色が第1の表示DS1から第2の表示DS2に切り替わることを視認することにより、対応する計測地点PT1~PT20で計測値ΔPが更新されたことを容易に確認することができる。また個別表示部D1~D20で背景色が第1の表示DS1のままで第2の表示DS2に切り替わらない場合には、対応する計測地点で計測や通信に問題が生じているといことを即座に確認することができる。
【0159】
また個別表示部D1~D20で背景色が第1の表示DS1であるか第2の表示DS2になっているかを確認するだけで、個別表示部D1~D20にて表示されている計測値ΔPが、更新前の値であるか更新後の値であるかを容易に確認することができる。
【0160】
(計測データの格納)
【0161】
演算処理部210は、計測値ΔPを計測地点PT1~PT20及び更新された時刻に対応付けて、一定時間間隔τ(例えば2秒)毎に、逐次、ストレージ14に格納する。計測地点PT1~PT20を、トンネルTNの位置、距離に換算してもよい。
図17は、ストレージ14に格納されるデータの一部を示す図で、横軸をジェットファンFTの中心位置に対する軸方向距離Lとし、縦軸を差圧ΔPとしたトンネルTN内の同時刻における差圧分布を示す。
【0162】
実施形態によれば、複数の計測地点PT1~PT20の同時刻における計測値を容易に取得して記録することができる。
【0163】
(計測機器の制御停止)
【0164】
操作者は、計測値取得停止指示部740をクリック操作する。これに応じて計測値取得指示信号S1の送信が停止される。なお、計測値取得指示信号S1の送信の停止を手動で行うのではなく自動的に行うようにしてもよい。例えば自動停止プログラムを起動させて、計測値取得指示信号S1の送信を開始してから予め定めた所定時間経過後に計測値取得指示信号S1の送信を停止させてもよい。
【0165】
(計測機器及びケーブルの撤去)
【0166】
上記したケーブルの接続及び計測機器の設置とは、逆の手順でケーブルの接続の解除、撤去及び計測機器の撤去を実施する。
【0167】
すなわち、電源500、電工リール510、電力供給ケーブル600、分岐電力供給ケーブル610と計測地点ユニット100、基準計測地点ユニット100S、中央計測部200との接続を解除し、電源500、電工リール510、電力供給ケーブル600、分岐電力供給ケーブル610を撤去する。また計測地点間通信ケーブル400P(通信ケーブル400)と計測地点ユニット100、基準計測地点ユニット100S、中央計測部200との接続を解除し、計測地点間通信ケーブル400P(通信ケーブル400)を撤去する。また計測地点間伝送路300P(伝送路300)と計測地点ユニット100、基準計測地点ユニット100Sとの接続を解除し、計測地点間伝送路300P(伝送路300)を撤去する。
【0168】
そして設置した計測地点ユニット100、基準計測地点ユニット100S、中央計測部200を撤去する。
【0169】
以上のように第1の実施形態によれば、トンネルTN内の圧力分布を計測するに際して計測機器の設置と撤去を容易に行うことができる。またトンネルTN内の圧力分布の計測を制御するに際して計測機器による計測状態を監視することができる。
【0170】
(第2の実施形態)
【0171】
第1の実施形態では、基準計測地点ユニット100Sを設け、基準計測地点ユニット100Sから伝送路300を介して各計測地点ユニット100に基準物理量としての基準静圧Psを伝送するようにしている。しかし、伝送路300及び伝送路300の接続に必要なコネクタ等を省略する実施も可能である。例えば基準計測地点ユニット100Sから基準物理量としての基準静圧Psを中央計測部200に送り、中央計測部200で各計測地点の差圧ΔPを計測するようにしてもよい。
【0172】
(第3の実施形態)
【0173】
第1実施形態では、中央計測部200と計測地点ユニット100及び基準計測地点ユニット100Sとの間の通信を、有線の通信ケーブル400を用いて行うようにしている。しかし、通信ケーブル400及び通信ケーブル400の接続に必要なコネクタ等を省略する実施も可能である。例えば、計測地点ユニット100及び基準計測地点ユニット100Sから中央計測部200に向けて、計測地点用処理部140で処理された更新計測値信号Sr1~Sr20に相当する無線信号を、中央計測部200の演算処理部210に向けて送信するようにしてもよい。無線通信は、イーサネット(登録商標)、FDDI、Wi-Fi(登録商標)等の規格を用いて行うことができる。
【符号の説明】
【0174】
100 計測地点ユニット
100S 基準計測地点ユニット
200 中央計測部
300 伝送路
400 通信ケーブル
500 電源
600 電力供給ケーブル
610 分岐電力供給ケーブル
21 送信部
22 受信部
23 表示部
24 表示制御部