(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022723
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】アルコール・インターロック装置
(51)【国際特許分類】
B60K 28/06 20060101AFI20240214BHJP
G01N 33/497 20060101ALI20240214BHJP
G01N 33/98 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
B60K28/06 B
G01N33/497 A
G01N33/98
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022126015
(22)【出願日】2022-08-08
(71)【出願人】
【識別番号】592239486
【氏名又は名称】ダイサン企画株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100073287
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 聞一
(72)【発明者】
【氏名】片岡 直堂
【テーマコード(参考)】
2G045
3D037
【Fターム(参考)】
2G045AA40
2G045CB22
2G045DA74
2G045JA01
2G045JA07
3D037FA03
3D037FA04
3D037FB12
3D037FB16
(57)【要約】
【課題】運転者以外の未飲酒者の呼気が代用可能となる。
【解決手段】ハンドユニット1には、アルコールセンサ3、呼気音を検出するための音センサ4及び原動機の始動可否表示手段5が内蔵され、メインユニット2は、アルコールセンサ3及び音センサ4から入力される電気信号により原動機の始動可否を判定するマイコン6と、「始動可」の判定で原動機に通電可能な状態とするリレー7が内蔵され、「始動可」の判定で原動機の始動操作の所定時間内での不実行でリレー7を「OFF」とするタイマー機能が備わっていることで、座席に座った被検者が運転者とならなければ原動機を始動できない条件下で、人間特有の呼気音を判定条件とすることによって、被検者以外の呼気を利用出来ないため、運転者の呼気中のアルコール濃度を確実に検査することが出来る。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼気を吹き込むハンドユニットと、該ハンドユニットから入力された電気信号に基づき原動機の始動可否を判定し表示すると共に始動可の判定で前記原動機を通電可能な状態とするメインユニットとを有し、前記ハンドユニットには、呼気に含まれるアルコール量を検出するためのアルコールセンサ、ハンドユニット内に吹き込まれた呼気の音を検出するための音センサ及び前記原動機の始動可否表示手段が内蔵され、前記メインユニットは、前記アルコールセンサ及び前記音センサから入力される電気信号により前記原動機の始動可否を判定するマイコンと、「始動可」の判定で前記原動機に通電可能な状態とするリレーが内蔵され、「始動可」の判定で原動機の始動操作の所定時間内での不実行でリレーを「OFF」とするタイマー機能が備わっていることを特徴とするアルコール・インターロック装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転者が飲酒状態である判定すると車両の原動機を始動出来ない様にしたアルコール・インターロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、かかるアルコール・インターロック装置にあっては、車両の運転者が飲酒状態であるか否かを判定する飲酒判定手段と、前記車両の原動機の始動を許可または禁止する始動制御手段とを備えており、前記始動制御手段は、前記運転者が飲酒状態ではないと前記飲酒判定手段によって判定されたときに前記始動を許可し、前記運転者が飲酒状態であると前記飲酒判定手段によって判定されたときに前記始動を禁止し、前記始動を許可してから所定の時間以内に前記原動機が始動されないときに前記始動を禁止するアルコールインターロックシステムであって、前記始動制御手段の状態を表示する表示部と、前記表示部における表示を制御する表示制御手段とを備えており、前記表示制御手段は、前記始動制御手段が前記始動を許可している状態であるときと、前記始動制御手段が前記始動を禁止している状態であるときとで、前記表示部に異なる表示を行わせるものが見受けられる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このアルコール・インターロック装置によれば、始動制御手段が原動機の始動を許可している状態である時と、始動制御手段が原動機の始動を禁止している状態である時とで、表示部に異なる表示を行わせことで、始動制御手段が原動機の始動を許可した後、原動機の始動が許可されている状態であるか否かを表示部の表示によって運転者に認識させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来技術にあっては、呼気センサとして、吹込まれる気体の圧力を測定する圧力センサ、吹込まれる気体の温度が人間の呼気の温度であるか否かを確認するための温度センサ、吹込まれる気体中の炭酸ガスの濃度が人間の呼気中の炭酸ガスの濃度であるか否かを確認するための呼気CO2 センサなどが採用され得るとされているが、これらのものでは、例えば運転者以外の未飲酒者が袋などに吹き込んだ呼気で代用することも可能であるなど、解決せねばならない課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記従来技術に基づく、運転者以外の未飲酒者の呼気が代用可能な課題に鑑み、呼気を吹き込むハンドユニットと、該ハンドユニットから入力された電気信号に基づき原動機の始動可否を判定し表示すると共に始動可の判定で前記原動機を通電可能な状態とするメインユニットとを有し、前記ハンドユニットには、呼気に含まれるアルコール量を検出するためのアルコールセンサ、ハンドユニット内に吹き込まれた呼気の音を検出するための音センサ及び前記原動機の始動可否表示手段が内蔵され、前記メインユニットは、前記アルコールセンサ及び前記音センサから入力される電気信号により前記原動機の始動可否を判定するマイコンと、「始動可」の判定で前記原動機に通電可能な状態とするリレーが内蔵され、「始動可」の判定で原動機の始動操作の所定時間内での不実行でリレーを「OFF」とするタイマー機能が備わっていることで、座席に座った被検者が運転者にならなければ原動機を始動できない条件下で、人間特有の呼気音を判定条件とすることによって、被検者以外の呼気を利用出来ないため、運転者の呼気中のアルコール濃度を確実に検査することが出来る様にして、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
要するに本発明は、呼気を吹き込むハンドユニットと、該ハンドユニットから入力された電気信号に基づき原動機の始動可否を判定し表示すると共に始動可の判定で前記原動機を通電可能な状態とするメインユニットとを有し、前記ハンドユニットには、呼気に含まれるアルコール量を検出するためのアルコールセンサ、ハンドユニット内に吹き込まれた呼気の音を検出するための音センサ及び前記原動機の始動可否表示手段が内蔵されているので、人間特有の呼気音を判定条件とすることにより、代用品での不正を完全に防止することが出来ると共に、被検者が原動機の始動可否を確実に確認することが出来、而も前記メインユニットは、前記アルコールセンサ及び前記音センサから入力される電気信号により前記原動機の始動可否を判定するマイコンと、「始動可」の判定で前記原動機に通電可能な状態とするリレーが内蔵され、「始動可」の判定で原動機の始動操作の所定時間内での不実行でリレーを「OFF」とするタイマー機能が備わっているので、座席に座った被検者が運転者にならなければ原動機を始動操作することができない状況を確保することが出来る。
従って、本発明に係るアルコール・インターロック装置によれば、運転者の呼気中のアルコール濃度を確実に検査することが出来る等その実用的効果甚だ大である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明に係るアルコール・インターロック装置のハンドユニットの要部拡大斜視図である。
【
図2(a)】本発明に係るアルコール・インターロック装置の実施例1のハンドユニットの断面図である。
【
図2(b)】本発明に係るアルコール・インターロック装置の実施例2のハンドユニットの断面図である。
【
図3】本発明に係るアルコール・インターロック装置のブロック図である。
【
図4】本発明に係るアルコール・インターロック装置による処理工程を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係るアルコール・インターロック装置にあっては、基本的に、呼気を吹き込むハンドユニット1と、該ハンドユニット1から入力された電気信号に基づき原動機始動の可否を判定し被検者に通知すると共に始動可能と判定された場合に原動機を通電可能な状態とするメインユニット2とを有している。
【0010】
ハンドユニット1には、基本的に、検査対象、即ち呼気に含まれるアルコール量を検出するためのアルコールセンサ3、ハンドユニット1内に吹き込まれた検査対象、即ち呼気音を検出するための音センサ4、原動機の始動可否表示手段5が内蔵されている。
【0011】
メインユニット2には、基本的に、ハンドユニット1のアルコールセンサ3及び音センサ4から入力される電気信号により原動機(図示せず)の始動の可否を判定するマイコン6と、「始動可」と判定された場合に原動機に通電可能な状態とするためのリレー7が内蔵され、「始動可」と判定された後所定時間内に原動機の始動操作が行われなかった場合にリレー7を「OFF」とするタイマー機能が備わっている。
【実施例0012】
図2(a)は、本発明に係るアルコール・インターロック装置の実施例1のハンドユニットの断面図であり、
図3は、アルコール・インターロック装置の実施例1のブロック図であり、かかるアルコール・インターロック装置の実施例1は、アルコールセンサ3、ハンドユニット1内に吹き込まれた検査対象の音を検出するための音センサ4及び始動可否表示手段5を有するハンドユニット1と、マイコン6及びリレー7を有し、且つ前記タイマー機能が備わったメインユニット2を有している。
【0013】
ハンドユニット1は、LAN(ローカルエリアネットワーク)ケーブルでメインユニット2に接続し、先端に吹込口8及び始動可否表示手段5による表示を確認可能とする確認窓9を形成し、アルコールセンサ3は、吹き掛けられた呼気中のアルコール量を電気信号に変換してマイコン6に出力する様になっており、音センサ4は、吹き掛けられた音を電気信号に変換してマイコン6に出力する様になっている。
【0014】
始動可否表示手段5は、少なくとも2色で発光可能なLED(発光ダイオード))が備わっており、確認窓9からの光の色で原動機の始動の可否を確認可能とし、ハンドユニット1の側面にLEDの冷却孔10、10a …を形成している。
【0015】
メインユニット2は、IG(イグニッション)電源11に接続し且つボディーアースして、原動機が始動していなくとも作動可能としている。
尚、IG電源11を「ON」にする、即ち「IGモード」とするには、差し込んだキーを原動機が始動する前の段階まで回転させることにより実行される。
【0016】
リレー7の接点側の端子は、原動機(内燃機関の場合はセルモーターに、電気機関の場合は駆動モーター)の電極12に接続し、コイル側の端子はマイコン6に接続している。
【0017】
原動機とリレー7の間及びマイコン6とIG電源11の間にヒューズ13、14を設けることで、過電流によるメインユニット2の損傷を防止可能とするのが好ましい。
【0018】
マイコン6は、音センサ4から入力された電気信号に基づき、呼気の条件に合致しているか否かを判定し、同時にアルコールセンサ3から入力された電気信号に基づきアルコール量が条件に合致したか否かを判定し、呼気音と判定し且つアルコール非検知と判定した時点でリレー7に通電することで、該リレー7が「ON」にならなければ原動機を始動させることが出来ない構造となっている。
マイコン6は、音センサ4及び湿度センサ15から入力された電気信号に基づき、呼気の条件に合致しているか否かを判定し、同時にアルコールセンサ3から入力された電気信号に基づきアルコール量が条件に合致したか否かを判定し、呼気音と判定し且つアルコール非検知と判定した時点でリレー7に通電することで、該リレー7が「ON」にならなければ原動機を始動させることが出来ない構造となっている。
上記2.で、検出した音が呼気の条件を満たさなかったり、アルコールを検知した場合、或いは上記3.で、原動機の始動操作を所定時間内に実行しなかった場合、始動可否表示手段5のLEDが「赤」点灯し、リレー7が「OFF」となって、原動機が始動不可の状態となる。
始動可否表示手段5は、色が異なる2個の単色LED又は1個の2色LEDが好ましいが、点滅・点灯による識別や、音による識別など、要するに対象者が確認可能な構成のものであれば良い。