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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022738
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】移動電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02S 20/30 20140101AFI20240214BHJP
   H02S 10/40 20140101ALI20240214BHJP
   H02S 10/20 20140101ALI20240214BHJP
   H02S 30/20 20140101ALI20240214BHJP
【FI】
H02S20/30 D
H02S20/30 A
H02S10/40
H02S10/20
H02S30/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022126041
(22)【出願日】2022-08-08
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】523277507
【氏名又は名称】GX株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103207
【弁理士】
【氏名又は名称】尾崎 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】都 英吾
【テーマコード(参考)】
5F151
5F251
【Fターム(参考)】
5F151JA01
5F151JA14
5F151JA28
5F251JA01
5F251JA14
5F251JA28
(57)【要約】
【課題】 一時的な利用のための移動が容易であること、夜間にはすぐ撤去(盗難等の防犯上の理由)できること、日照量の状況に応じて、移動しながら電力を発生し蓄電し、必要に応じて、他の太陽電池の蓄電池を充電すること、作業場所の移動を伴う電気の発電、使用が可能となること。
【解決手段】移動電源装置1は、太陽電池パネル2及び太陽電池パネル3と、それぞれの主面がなす仰角を変更するよう、太陽電池パネル2及び太陽電池パネル3を回転軸の回りに回動可能として折り畳み状態と拡開状態とに変化させる角度変更機構4aを有する架台4と、太陽電池パネル2及び太陽電池パネル3の一側を支持する第1支柱5と、他側を高さ調節可能に支持する第2支柱6と、第1支柱5と第2支柱6とを支持する、横方向に延設される横材7と、を備え、第1支柱5の下端に一対の車輪8を設け、車輪8が設けられていない側の第2支柱6に把手9を設けている。
【選択図】図18
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の太陽電池パネルと、
該複数枚の太陽電池パネルの主面がなす仰角を変更するよう、該複数枚の太陽電池パネルを回転軸の回りに回動可能として折り畳み状態と拡開状態とに変化させることが可能な角度変更機構を有する架台と、
前記複数枚の太陽電池パネルの一側を支持する第1支柱と、
前記複数枚の太陽電池パネルの他側を高さ調節可能に支持する第2支柱と、
前記第1支柱と第2支柱とを支持する、横方向に延設される横材と、
を備える移動電源装置であって、
前記第1支柱又は第2支柱の下端に設けられる車輪と、
前記車輪が設けられていない側の前記第1支柱又は第2支柱に設けられる把手と、
前記第1支柱及び第2支柱の下部に設けられる回動部材と、該回動部材を開閉し、傾斜方向にスライドさせる開閉・昇降機構とを設ける一対の脚部と、
を有し、
該回動部材の回動軌跡が前記横材の方向に対して傾斜して設けられ、該回動部材を拡開することにより、前記回動部材の端部が下降し、該端部が接地し、該回動部材を閉じることで、前記端部が上昇し未接地状態となり、前記車輪が接地状態となり、前記複数枚の太陽電池パネルを移動可能とすることを特徴とする、移動電源装置。
【請求項2】
前記把手を持ち上げて、片輪走行することにより、移動が容易になる請求項1の移動電源装置。
【請求項3】
蓄電池と該蓄電池を収容する収容部材を備える蓄電装置を取り付ける取付部が前記横材に装着された請求項1又は2の移動電源装置。
【請求項4】
複数枚の太陽電池パネルと、
該複数枚の太陽電池パネルのそれぞれの主面がなす仰角を変更するよう、該複数の太陽電池パネルを回転軸の回りに回動可能とする角度変更機構を有する架台と、
前記架台を支持する第1支柱と、
前記架台を支持する第2支柱と、
前記第1支柱と第2支柱とを支持する、横方向に延設される横材と、
を備える移動電源装置であって、
前記横材の特定の位置に設けられる車輪と、
特定の方向に回動する回動部材と、該回動部材を開閉し、前記第1支柱及び第2支柱に対して上下にスライドさせる開閉・昇降機構とを設ける1対の脚部と、
を有し、
該脚部を下降させ、前記回動部材の端部を接地することにより、前記車輪が未接地となり、一方、前記脚部を上昇させ、前記脚部を未接地とすることにより、前記車輪が接地することを特徴とする、移動電源装置。
【請求項5】
前記架台が、前記複数枚の太陽電池パネルを固定するフレームと、横方向に配置され前記複数枚の太陽電池パネルの前記回転軸となる第1軸部材と、該第1軸部材と平行に設けられ、前記角度変更機構を取り付ける第2軸部材とを有し、前記第1軸部材と第2軸部材とは、前記第1支柱及び第2支柱に固定される請求項4の移動電源装置。
【請求項6】
前記車輪が前記横材の長手方向の特定の位置中央に配置され、前記脚部が前記横材の長手方向両端に配置される請求項4又は5の移動電源装置。
【請求項7】
移動時には前記第1支柱、第2支柱、横材及び脚部が未接地状態、前記車輪が接地状態であり、収納保管時には前記脚部が閉じている接地状態、前記車輪、前記第1支柱、第2支柱及び横材が未接地状態であり、太陽電池パネルの発電時は、前記脚部が開いている接地状態、前記車輪、前記第1支柱、第2支柱及び横材が未接地状態である請求項4又は5の移動電源装置。
【請求項8】
前記複数枚の太陽電池パネルは収納時の垂直から水平まで仰角変更できる構造である請求項4又は5の移動電源装置。
【請求項9】
前記複数枚の太陽電池パネルを縦長置きとし、同時に仰角を変更できる請求項4又は5の移動電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は太陽電池パネルを支持し、移動させる移動電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示す通り、太陽電池パネル及びその架台を組み立てたままでよりコンパクトに収納可能とすること、簡易迅速に太陽電池パネルを移動し設置すること、また、その設置状態において太陽電池パネルの仰角を調節可能とする架台を備えた太陽光発電装置を提供するため、太陽光発電装置1は、矩形の第1太陽電池パネル2及び第2太陽電池パネル3と、第1太陽電池パネル2及び第2太陽電池パネル3の相対仰角を変更するようにして第1太陽電池パネル2及び第2太陽電池パネル3を回動可能とするヒンジ機構と、第1太陽電池パネル2及び第2太陽電池パネル3の前側を高さ調節可能に支持する第1支柱5と、第1太陽電池パネル2及び第2太陽電池パネル3の後側を高さ調節可能に支持する第2支柱6と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-188296号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、一時的な利用のために容易に移動したり、夜間にはすぐ撤去(盗難等の防犯上の理由)したりできず、煩雑な作業を必要としたり、日照量の状況に応じて、移動しながら電力を発生し蓄電し、必要に応じて、他の太陽電池の蓄電池を充電することが困難であり、作業場所の移動を伴う電気の発電、使用が困難である。
【0005】
そこで、本発明は、一時的な利用のために容易に移動したり、夜間にはすぐ撤去(盗難等の防犯上の理由)できること、日照量の状況に応じて、移動しながら電力を発生し蓄電し、必要に応じて、他の太陽電池の蓄電池を充電すること、作業場所の移動を伴う電気の発電、使用が可能となることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題に鑑み、本発明1の移動電源装置は、複数枚の太陽電池パネルと、該複数枚の太陽電池パネルの主面がなす仰角を変更するよう、該複数枚の太陽電池パネルを回転軸の回りに回動可能として折り畳み状態と拡開状態とに変化させることが可能な角度変更機構を有する架台と、前記複数枚の太陽電池パネルの一側を支持する第1支柱と、前記複数枚の太陽電池パネルの他側を高さ調節可能に支持する第2支柱と、前記第1支柱と第2支柱とを支持する、横方向に延設される横材と、を備える移動電源装置であって、前記第1支柱又は第2支柱の下端に設けられる車輪と、前記車輪が設けられていない側の前記第1支柱又は第2支柱に設けられる把手と、前記第1支柱及び第2支柱の下部に設けられる回動部材と、該回動部材を開閉し、傾斜方向にスライドさせる開閉・昇降機構とを設ける一対の脚部と、を有し、該回動部材の回動軌跡が前記横材の方向に対して傾斜して設けられ、該回動部材を拡開することにより、前記回動部材の端部が下降し、該端部が接地し、該回動部材を閉じることで、前記端部が上昇し未接地状態となり、車輪が接地状態となり、前記複数枚の太陽電池パネルを移動可能とすることを特徴とする。
【0007】
前記把手を持ち上げて、片輪走行することにより、移動が容易になることが好ましい。これにより、他の作業場所への移動効率が向上する。
【0008】
蓄電池と該蓄電池を収容する収容部材を備える蓄電装置を取り付ける取付部が前記横材に装着されていることが好ましい。これにより、蓄電装置を横材に装着することで、移動電源装置の重心が安定し、悪天候や強風対策に効果を発揮する。
【0009】
本発明2の移動電源装置は、複数枚の太陽電池パネルと、該複数枚の太陽電池パネルのそれぞれの主面がなす仰角を変更するよう、該複数の太陽電池パネルを回転軸の回りに回動可能とする角度変更機構を有する架台と、前記架台を支持する第1支柱と、前記架台を支持する第2支柱と、前記第1支柱と第2支柱とを支持する、横方向に延設される横材と、を備える移動電源装置であって、前記横材の特定の位置に設けられる車輪と、特定の方向に回動する回動部材と、該回動部材を開閉し、前記第1支柱及び第2支柱に対して上下方向にスライドさせる開閉・昇降機構とを設ける一対の脚部と、 を有し、該脚部を下降させ、前記回動部材の端部を接地することにより、前記車輪が未接地となり、一方、前記脚部を上昇させて、前記脚部を未接地とすることにより、前記車輪が接地することを特徴とする。
【0010】
前記架台が、複数枚の太陽電池パネルを固定するフレームと、横方向に配置され前記複数枚の太陽電池パネルの前記回転軸となる第1軸部材と、該第1軸部材と平行に設けられ、前記角度変更機構を取り付ける第2軸部材とを有し、前記第1軸部材と第2軸部材とは、前記第1支柱及び第2支柱に固定されることが好ましい。これにより、架台構造を簡素化することができる。
【0011】
前記車輪が前記横材の長手方向の中央の位置に配置され、前記脚部が前記横材の長手方向両端に配置されることが好ましい。これにより、移動させる場合に、バランスが良好で、移動が容易になる。
【0012】
移動時には前記第1支柱、第2支柱、横材及び脚部が未接地状態、前記車輪が接地状態であり、収納保管時には前記脚部が閉じている接地状態、前記車輪、前記第1支柱、第2支柱及び横材が未接地状態であり、太陽電池パネルの発電時は、前記脚部が開いている接地状態、前記車輪、前記第1支柱、第2支柱及び横材が未接地状態である。これにより、移動電源装置の移動、保管、設置が容易になる。
【0013】
前記複数枚の太陽電池パネルは収納時の垂直から水平まで仰角変更できる構造であることが好ましい。これにより、設置場所の日照条件や設置環境に合わせることができる。
【0014】
前記複数枚の太陽電池パネルを縦長置きとし、同時に仰角を変更できることが好ましい。これにより、太陽電池パネルの方向を揃えた状態のままで、仰角を一度に調整できるとともに、設置場所の日照条件や設置環境に合わせることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の移動電源装置は、一時的な利用のために容易に移動でき、夜間にはすぐ撤去(盗難等の防犯上の理由)でき、日照量の状況に応じて、作業場所を移動しながら電力を発生し蓄電し、必要に応じて、他の太陽電池等の蓄電池を充電でき、作業場所の移動を伴う電気の発電、使用が可能となることを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明による実施形態1の移動電源装置1の収納・保管状態の正面図である。
図2】同左側面図である。
図3】同設置状態(使用時)の左側面図である。
図4】同収納・保管状態の斜視図である。
図5】同底面図である。
図6】(a)(b)は、それぞれ、図3のJで示す枠線内にある部分の平面図、及び左側面図である。
図7】(a)(b)は、それぞれ、同部分の斜視図、及び図2のVII(b)-VII(b)断面端面図である。
図8】同実施形態1の移動電源装置に移動式蓄電装置を取り付けた適応例の使用状態を示す平面図である。
図9】同背面図である。
図10】同左側面図である。
図11】同斜視図である。
図12】同正面図である。
図13】同底面図である。
図14図9のXIV-XIV断面図である。
図15】(a)(b)は、それぞれ、図10のXV(a)-XV(a)断面図、及び、(a)のD部分の拡大図である。
図16】(a)は、同支持横材に固定された移動式蓄電装置の平面図、(b)は、図16(a)のXVI(b)-XVI(b)断面図。
図17図16(b)のG部分の拡大図である。
図18】同実施形態1の移動電源装置の一適用例を示す斜視図である。
図19】本発明による実施形態2の収納・保管状態(横長置き状態)を示す正面図である。
図20】同背面図である。
図21】同左側面図である。
図22】同右側面図である。
図23】同平面図である。
図24】同底面図である。
図25】同斜視図である。
図26】本発明による実施形態2の移動・運搬状態(横長置き状態)を示す正面図である。
図27】同背面図である。
図28】同左側面である。
図29】同右側面である。
図30】同平面図である。
図31】同底面図である。
図32】同斜視図である。
図33】同実施形態2の設置状態(横長置き状態で仰角30°)を示す正面図である。
図34】同背面図である。
図35】同左側面図である。
図36】同右側面図である
図37】同平面図である。
図38】同底面図である。
図39】同斜視図である。
図40】同本発明による実施形態2の設置状態(横長置き状態で仰角0°)を示す正面図である。
図41】同背面図である。
図42】同左側面図である。
図43】同右側面図である。
図44】同平面図である。
図45】同底面図である。
図46】同斜視図である。
図47】本発明による実施形態2の設置状態(縦長置き状態でブロックを図示)を示す正面図である。
図48】同背面図(縦長置き状態でブロックを図示)である。
図49】同左側面図(縦長置き状態でブロックを図示)である。
図50】同右側面図(縦長置き状態でブロックを図示)である。
図51】同平面図(縦長置き状態でブロック図示略)である。
図52】同底面図(縦長置き状態でブロック図示略)である。
図53】同斜視図(縦長置き状態でブロック図示略)である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明1の実施形態1による移動電源装置1(以下、単に電源装置1という。)について図1図18を参照して説明する。図3等に示すように、電源装置1は、太陽電池パネル2及び太陽電池パネル3と、太陽電池パネル2及び太陽電池パネル3のそれぞれの主面がなす仰角を変更するよう、太陽電池パネル2及び太陽電池パネル3を回転軸の回りに回動可能として、折り畳み状態と拡開状態とに変化させることが可能な角度変更機構4a(図11、12参照)を有する架台4と、太陽電池パネル2及び太陽電池パネル3の一側を支持する第1支柱5と、太陽電池パネル2及び太陽電池パネル3の他側を高さ調節可能に支持する第2支柱6と、第1支柱5と第2支柱6とを支持する、横方向に延設される横材7と、を備える。角度変更機構4aは、伸縮可能な筒状部材である。角度変更機構4aが伸縮することにより、太陽電池パネル2及び太陽電池パネル3が架台4の長手軸の周りに開閉動作を行う。第2支柱6が長さ方向に伸縮する伸縮機構6aを備えている。これは、第2支柱6の高さを変更するためである。
【0018】
横材7の両端部が第1支柱5及び第2支柱6の下端部と連結している。図7(b)に示す通り、横材7は長手方向に沿って、上面に凹溝7a、左側面に凹溝7b、右側面に凹溝7c、下面に凹溝7dが連続的に設けられている。また、横材7には、後述の適用例で詳述するように、移動式蓄電装置201を取り付けるためのスライド式固定具13が装着されている。
【0019】
第1支柱5の下端に一対の車輪8を設け、車輪8が設けられていない側の第2支柱6に把手9を設けている。車輪8は一対のタイヤとタイヤを連結する、横材7と直交する回転軸を有する。第1支柱5及び第2支柱6の下部に、それぞれ、左右一対の回動部材10と、回動部材10をスライドさせながら開閉させる開閉・昇降機構11(図4等参照)と、を設ける脚部12を有する。図5等に示すように、開閉・昇降機構11は、案内孔11aと、案内孔11aを設ける傾斜板11bと、を備えている。傾斜板11bの下方で、案内孔11aに摺動しながら、回動部材10が回動し、回動部材10の回動軌跡が水平方向に対して傾斜して設けられ、回動部材10をR方向に拡開することにより、回動部材10の端部10a(図11、12参照)が接地し、車輪8がY方向に相対的に上昇し未接地となる。一方、回動部材10をR方向に内側に閉じることにより、端部10aが上昇し、横材7に隣接して配置され、接地しなくなり、また、作業の邪魔になることがなくなる。またこのとき、車輪8が接地することで、複数枚の太陽電池パネル2、3が移動可能となる。端部10aの先端の軌跡が傾斜していることで、このような機構を発揮する。
【0020】
上記のように、脚部12が閉じられた状態で、把手9を持ち上げて、車輪8の片輪走行することにより、作業場所の移動が容易になる。
【0021】
なお、太陽電池パネル2、太陽電池パネル3、架台4等の詳細例は、特許文献1を参照されたい。架台4はフレーム構造である。
【0022】
図8図17は、本発明実施形態1の移動電源装置1に移動式蓄電池201を取り付けた適用例である。横材7は、第1支柱5及び第2支柱6の下部と連結し、これらを支える部材である。図6図7に示すように、横材7には、移動式蓄電装置201を支えるためのスライド式固定具13を設けている。スライド式固定具13は凹溝7aと凹溝7dに嵌合し、横材7の長手方向にスライドできる構造である。このスライド式固定具13は、移動式蓄電装置201を下方から支える支持具であって横材7の軸方向にスライドする一対のスライダ14と、移動式蓄電装置201を所定の位置に取付ける固定具15(本実施形態ではキャッチクリップであり、別途南京錠等を用いて盗難防止可能である)と、スライダ14を横材7に固定するノブ16と、を備えている。図16図17等に示すように、横材7に移動式蓄電装置201を取り付けて固定具15で固定した後、スライダ14をノブ16で固定することにより、移動式蓄電装置201を下方から支える。これにより、太陽電池パネル2及び太陽電池パネル3の仰角を設定し、発電された電気を移動式蓄電装置201に蓄電できるとともに、風圧等に対する、重しとして機能し、脚部12とともに、電源装置1の不意の転倒等を防止できる。固定具15の固定を解除することで、移動式蓄電装置201を横材7から取り外すことができる。
【0023】
上記図8図17の適用例では、電源装置1に移動式蓄電装置201を取り付けて固定したが、太陽電池パネル2及び太陽電池パネル3の受光状態が悪い場合には、図18に示す通り、電源装置1を移動式蓄電装置201から取り外し、受光状態のよい場所に電源装置1を移動させることで、蓄電効率を向上させることができる。
【0024】
運搬時には、作業者が把手9を持ち上げ、把手9を引くことで、電源装置1は、車輪8により、移動可能である。
【0025】
次に、電源装置1の電気利用体401(ここでは防犯カメラ)への適用例の構成と動作を、図18を参照して、効果とともに説明する。
【0026】
図18は、電源装置1と移動式蓄電装置201を分離した状態で配線接続し、太陽電池パネル2及び太陽電池パネル3で発生した電力を移動式蓄電装置201に蓄電する。移動式蓄電装置201は、図16(b)に示すように、蓄電池201аと蓄電池201аを被覆し保護する収容部材201bと、車輪201cと、を備えている。この移動式蓄電装置201と、他の太陽電池パネル、又は電気利用体401(防犯カメラであるが、照明灯、監視装置、送風機等でもよい)等と配線301で接続し、移動式蓄電装置201の蓄電池201аから他の電気利用体401に送電することで、電気を供給することができる。
【0027】
図18に示す通り、移動式蓄電装置201は、前記した構成のほかに、作業用支持具202を備えている。作業用支持具202は、台座部211、固定支持部212、支柱213及び取付部214を有している。取付部214からは、例えば、磁性体で取付部214を介して脱着が可能な支柱215が上方に延び出しており、支柱215は伸縮可能な構造を有している。電気利用体401は、支柱215の先端部に取付部216により、固定されている。
【0028】
本実施形態では、作業用支持具202に取り付ける電気利用体401として、防犯カメラを例示しているが、電気を利用して動作して特定の目的を達成できるもの、例えば、照明灯、送風機、ミスト発生装置、撮影装置(監視カメラ等)であってもよい。
【0029】
磁性体の磁力は、被吸着体に支柱215を吸着したとき、作業可能な風速下で支柱215が被吸着体と分離しない吸着力を具備することが好ましい。特定の吸着力が確保できる磁力については、作業条件等を勘案して適宜定めればよい。
【0030】
上記した通り、作業用支持具202は、吸着する対象を適宜選定することで作業効率の向上を図り得る。また、防犯カメラ以外の電気利用体401を取り付けることで本発明1の適用範囲の拡大を図り得る。
【0031】
作業用支持具202の利便性を、作業員の移動を伴う作業に使用する状況を例に挙げて説明する。
【0032】
作業現場では、発電機を搭載した電気利用体401を使用するのが一般的である。発電機を搭載した電気利用体401は極めて重く、ユニック車を用いて荷下ろし、設置、撤去の作業をすることが一般的である。また、作業場所の移動を伴う移動作業では、発電機を搭載した電気利用体401を作業場所の移動に伴って移動する、あるいは、あらかじめ移動が想定される場所に電気利用体401を設置しておく等の対応をとる必要がある。
【0033】
一方、本実施形態において、移動式蓄電装置201に吸着した作業用支持具202を使用する場合、電気利用体401を作業用支持具202に取り付けさえすれば現場エリアで使用できる。発電機を搭載していないので、軽量であり、荷下ろし、設置、移動、撤去にユニック車等の必要がなくなる。また、電気利用体401に必要な電気は、例えばシガレット電源を利用することで、作業用車両からダイレクトに供給を受けることができる。作業用車両から供給される電力が電気利用体401の使用に充分でない場合は、電源装置1又は移動式蓄電装置201の蓄電池201aを利用できる。また、作業場所の移動に伴って電源装置1又は移動式蓄電装置201を移動させればよい。移動式蓄電装置201を用いる場合、電気利用体401を取り付けた支柱215を取付部214を介して固定支持部212に吸着することで十分であり、電気利用体401の設置、撤去の作業において別途ユニック車等を使用して荷揚げ・荷下ろしをする必要は生じない。
【0034】
本発明2の実施形態2による移動電源装置101(以下、単に電源装置101という。)について図19図53を参照して説明する。実施形態1と共通する、実施形態2の構成の説明は適宜省略し、実施形態2の特徴を中心として説明する。共通する要素の番号は100番台として対応する番号を引用する。実施形態1と実施形態2の相違点は主として、太陽電池パネル2、3を横置きから縦置きに変更し枚数を増加した点、太陽電池パネルを片側に並列して設けたこと、車輪8の位置を中央部に移動させた点、架台4の角度変更機構4аが片側だけに設けられている点、架台4の構造を変更した点である。
【0035】
図19図25は、電源装置101の収容・保管の状態を示す。図26図32は、電源装置101の移動運搬状態を示す。図33図39は、設置状態(仰角30°)を示す。図40図46は、設置状態(仰角0°)を示す。図47図53は、設置状態(ブロック501で太陽電池パネル102a~102dの仰角を調整)を示す。
【0036】
電源装置101は、図25等に示すように、縦方向に並列して連接して設けられる複数枚の太陽電池パネル102a~102dと、複数枚の太陽電池パネル102a~102dの主面がなす仰角を変更するよう、太陽電池パネル102a~102dを軸の回りに回動可能にさせる角度変更機構104a(図19等参照)を有する、太陽電池パネル102a~102dを支持する架台104と、架台104の一側部を支持する第1支柱105と、架台104の他側部を支持する第2支柱106と、第1支柱105と第2支柱106の下部を支持する、横方向に延設される横材107と、を備える。横材107の中央部位に車輪108を設けている。
【0037】
車輪108の位置する横材107の位置から第3支柱100を立設してある。
【0038】
図19図20等に示すように、電源装置101は、第1支柱105及び第2支柱106に、横材107と直交する面において特定方向に回動する一対の回動部材110と、回動部材110を開閉させるとともに、第1支柱105及び第2支柱106に対して、Y方向に昇降して位置を変更できる開閉・昇降機構111と、を有する脚部112を備えている。回動部材110と開閉・昇降機構111を備える脚部112が、第1支柱105及び第2支柱106に対して、Y方向に昇降(上下方向にスライド)可能に取り付けられる。Y方向に脚部112を下降させることにより、回動部材110の端部110aが接地し、車輪108が未接地となり、一方、脚部112を上昇させることにより、脚部112が未接地となり、車輪108が接地する。
【0039】
図22等に示すように、架台104は、複数枚の太陽電池パネル102a~102dを間隔を開けて固定するフレーム104bと、横方向に配置される第1軸部材104cと、第1軸部材104cの下部に平行に設けられ、角度変更機構104aでフレーム104bの横部材104b-1と連結される第2軸部材104dとを有する。第1軸部材104cは、第1支柱105と第2支柱106と第3支柱100の上端部に固定され、第2軸部材104dは、第1軸部材104cより下の位置で、第1支柱105と第2支柱106と第3支柱100に横架され固定される。複数枚の太陽電池パネル102a~102dは、第1軸部材104cを回転軸として回動する。
【0040】
第1軸部材104cと、第2軸部材104dは、それらと直交する補強部材117で互いに連結されることで、補強されている。
【0041】
車輪108を横材107の長手方向の中央に配置し、横材107の長手方向両端に脚部112を設ける。車輪108は第3支柱100の下部に設ける。
【0042】
図19図20図25等に示すように、脚部112は各々、回動部材110と、開閉・昇降機構111を有している。図20図25等に示すように、開閉・昇降機構111は、第1支柱105と回動部材110の上部をそれらの両外側から挟持して連結する一対の第1連結板111a(1枚でもよいが2枚の方が強度がある)と、第1連結板111aよりも下の位置において、第1支柱105と一対の回動部材110をそれらの両外側から挟持して連結する一対の第2連結板111b(1枚でもよいが2枚の方が強度がある)を有している。同様に、図19に示すように、第2支柱106と回動部材110をそれらの両外側から挟持して連結する一対の第1連結板111a、一対の第2連結板111bも設けられていて、上記の説明を援用する。
【0043】
一対の第1連結板111aは、リンク機構として作用し、その左右に配置される左板111cと、右板111dとを有し(本実施形態においては左板111cと右板111dは一体に形成されている)、これら2つの板111c、111dが、それぞれ、第1支柱105と一対の回動部材110とに対して、締結部材111e、111f、111gで回動可能に連結されている。中央の締結部材111fは止着部として機能し、ねじを緩めると、脚部112が上下にスライドできる。
【0044】
一対の第2連結板111bは、リンク機構として作用し、その左右に配置される左板111hと、中央板111i、右板111jとを有し、これら3つの板111h、111i、右板111jとが、それぞれ、第1支柱105と一対の回動部材110とに対して、締結部材111k、111m、111oで回動可能に連結されている。また、左板111hと中央板111iと右板111jは、締結部材111lと111nで連結されている。中央の締結部材111mは止着部として機能し、ねじを緩めると、脚部112が上下にスライドできる。
【0045】
図19図25に示す通り、収納・保管時には、回動部材110を閉じ(図示のように、自立できる程度に若干開いていることが好ましい)、脚部112を下降させて接地させ、車輪108を未接地状態とする。
【0046】
移動・運搬時には、図26図32に示す通り、回動部材110を閉じ、脚部112を上昇させて、第1支柱105、第2支柱106、第3支柱100、横材107及び脚部112を未接地状態とし、車輪108を接地状態とする。横材107を傾斜させると、いずれかの脚部112が接地する。
【0047】
横長置きで仰角30°で設置時(太陽電池パネル102a~102dの発電時)には、図33図39に示す通り、回動部材110を開き、脚部112を下降させて接地させ、第1支柱105、第2支柱106、第3支柱100、横材107及び車輪108を未接地状態とする。脚部112を特定幅(ここでは最大幅)で開いて接地することができ、転倒しないよう安定させることができる。複数枚の太陽電池パネル102a~102dは、それぞれのパネルの長手方向の仰角が30°となっている。
【0048】
横長置きで仰角0°で設置時(太陽電池パネル102a~102dの発電時)には、図40図46に示す通り、回動部材110を開き、脚部112を下降させて接地させ、第1支柱105、第2支柱106、第3支柱100、横材107及び車輪108を未接地状態とする。脚部112を特定幅(ここでは最大幅)で開いて接地することができ、転倒しないよう安定させることができる。複数枚の太陽電池パネル102a~102dは、それぞれのパネルの長手方向の仰角が0°となっている。
【0049】
縦長置きで仰角30°で設置時(太陽電池パネル102a~102dの発電時)には、図47図53に示す通り、回動部材110を開き、脚部112を下降させて接地させ、第1支柱105、第2支柱106、第3支柱100、横材107及び車輪108を、未接地状態とする。脚部112を特定幅(ここでは最大幅)で開いて接地することができ、転倒しないよう安定させることができる。また、この場合、図49図50に示すように、脚部112の下降スライドの度合を、第1支柱105側より第2支柱106側の方が大きくなるようにし、さらに、第2支柱106側の脚部112をブロック501に載置することにより、太陽電池パネル102a~102dを傾斜させている。
【0050】
言い換えれば、当該設置時(縦長置きで仰角30°)の場合、横長置きで仰角0°の位置状態から、第1支柱105側の脚部112をスライドさせて第1支柱105側を下降させ、ブロック501を2個、基台として用いて、第2支柱106側の脚部112をブロック501に載置して上昇させることにより、太陽電池パネル102a~102dを1つのまとまりとして見た場合の長手方向の仰角を30°に設定している。ブロック501の高さや、脚部112のスライド位置を調整することにより、他の角度でも設置できる。
【0051】
このように、複数枚の太陽電池パネル102a~102dは、縦置きとしても、収納時の垂直状態から水平状態まで特定角度範囲で、仰角を変更できる構造である。
【0052】
以上説明した本発明実施形態2の作用効果を説明する。車輪108を横材107の長手方向の中央に配置し、横材107の長手方向両端に脚部112を設けるので、車輪108が接地状態で第1支柱105、第2支柱106、第3支柱100、及び脚部112を未接地状態となすことができるので、取手やフック等があっても、なくても、車輪108を引いて他の作業場所に移動が可能である。
【0053】
電源装置101を移動させる場合に、バランスが良好で、軽い力で支えることができ、移動が容易になる。
【0054】
車輪108と、第1支柱105、第2支柱106、第3支柱100が未接地状態で、脚部112が開いている接地状態となすことができるので、車輪108と、第1支柱105、第2支柱106、第3支柱100が邪魔になることなく、発電時の作業性や支持の安定性が増加する。
【0055】
移動時や収納保管時には脚部112をほぼ閉じて接地し、太陽電池パネル102a~102dの発電時は、特定幅で開いて脚部112を接地することができる。これにより、移動や保管が容易になり、作業効率の向上を図ることができるとともに、発電時の安定性が高まる。
【0056】
太陽電池パネル102a~102dは収納時の垂直から水平まで仰角変更できる構造であるので、設置場所の日照条件や設置環境に合わせることができる。
【0057】
太陽電池パネル102a~102dを縦長置きとし、いずれか一方の脚部112のスライド位置の変更やブロック501設置によっても仰角を変更できるので、太陽電池パネル102a~102dの仰角を一度に調整できるとともに、設置場所の日照条件や設置環境にさらに柔軟に合わせることができる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明1、2に係る電源装置は、移動が簡単であるので、悪天候のときでも、適切な場所に移動させて、発電が可能である。様々な電気利用体を取り付けることで作業の効率化を図ることができる。これらから、本発明の産業上の利用可能性は大である。
【符号の説明】
【0059】
1 移動電源装置
2 太陽電池パネル
3 太陽電池パネル
4 架台
4a 角度変更機構
5 第1支柱
6 第2支柱
6a 伸縮機構
7 横材
8 車輪
9 把手
10 回動部材
10a 端部
11 開閉・昇降機構
11a 案内孔
11b 傾斜板
12 脚部
13 固定具
14 スライダ
15 固定具
16 ノブ
101 移動電源装置
102a~102d 太陽電池パネル
104 架台
104a 角度変更機構
104b フレーム
104c 第1軸部材
104d 第2軸部材
105 第1支柱
106 第2支柱
107 横材
108 車輪
109 把手
110 回動部材
110a 端部
111 開閉・昇降機構
111a 第1連結板
111b 第2連結板
111c 左板
111d 右板
111e~111g 締結部材
111h 左板
111i 中央板
111j 右板
111k~111o 締結部材
112 脚部
117 補強部材
201 移動式蓄電装置
201a 蓄電池
201b 収容部材
201c 車輪
202 作業用支持具
211 台座部
212 固定支持部
213 支柱
214 取付部
215 支柱
216 取付部
301 配線
401 電気利用体
501 ブロック
図1
図2
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