IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ミネベア株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-モータ 図1
  • 特開-モータ 図2
  • 特開-モータ 図3
  • 特開-モータ 図4
  • 特開-モータ 図5
  • 特開-モータ 図6
  • 特開-モータ 図7
  • 特開-モータ 図8
  • 特開-モータ 図9
  • 特開-モータ 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022746
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】モータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/26 20060101AFI20240214BHJP
   H02K 3/04 20060101ALI20240214BHJP
   H02K 3/28 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
H02K3/26 D
H02K3/04 E
H02K3/28 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022126051
(22)【出願日】2022-08-08
(71)【出願人】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】中野 智彰
【テーマコード(参考)】
5H603
【Fターム(参考)】
5H603AA09
5H603BB01
5H603BB10
5H603BB12
5H603CA01
5H603CA05
5H603CB03
5H603CB13
5H603CC11
5H603CC14
5H603CC15
5H603CC17
5H603CD23
5H603CD25
5H603CD28
5H603CE02
5H603CE05
5H603CE09
5H603EE01
(57)【要約】
【課題】モータを小型化する。
【解決手段】モータは、ステータと、基板とを備える。前記基板は、軸方向において、前記ステータの両端部側にそれぞれ配置される。前記ステータは、軸方向に延びる複数の導体を有する。前記複数の導体は、前記ステータの周方向に並んで配置される。前記複数の導体の両端部は、それぞれ、前記基板と電気的に接続される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータと、
軸方向において、前記ステータの両端部側にそれぞれ配置される基板と、
を備え、
前記ステータは、軸方向に延びる複数の導体を有し、
前記複数の導体は、前記ステータの周方向に並んで配置され、
前記複数の導体の両端部は、それぞれ、前記基板と電気的に接続される、
モータ。
【請求項2】
前記基板は、内部に配線を有し、
前記配線と前記導体とが電気的に接続される、
請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記複数の導体は、前記ステータの径方向に並んで配置され、
前記配線は、
前記複数の導体のうち一つと電気的に接続される接続部と、
径方向において、前記複数の導体のうち一つと絶縁層を介して対向する絶縁部と、
を備える、請求項2に記載のモータ。
【請求項4】
径方向において、前記配線は、一方側の導体と電気的に接続され、他方側の導体と絶縁層を介して対向する、請求項3に記載のモータ。
【請求項5】
前記配線の通電状態を切り替える切り替え部を有し、
前記基板は、前記基板の径方向に並んで配置される複数の配線を有し、
前記切り替え部は前記配線の径方向の通電状態を切り替える、
請求項3又は4に記載のモータ。
【請求項6】
前記配線の周方向の通電状態を切り替える切り替え部を有する、請求項2乃至4のいずれか1つに記載のモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータに関する。
【背景技術】
【0002】
モータの高効率化のために、コイルの占積率を上げる技術が知られている。例えば、セグメントコイルを用いることで、コイルの占積率を向上させる技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5-308742号公報
【特許文献2】特開2012-143087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
セグメントコイルを用いる場合、コイル同士の干渉を避けるために、巻線高さを高くする場合がある。これにより、軸方向におけるコイルエンドが大きくなるので、モータの小型化が阻害される場合がある。
【0005】
一つの側面では、モータを小型化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの態様において、モータは、ステータと、基板とを備える。前記基板は、軸方向において、前記ステータの両端部側にそれぞれ配置される。前記ステータは、軸方向に延びる複数の導体を有する。前記複数の導体は、前記ステータの周方向に並んで配置される。前記複数の導体の両端部は、それぞれ、前記基板と電気的に接続される。
【0007】
一つの態様によれば、モータを小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1の実施形態におけるモータの一例を示す斜視図である。
図2図2は、第1の実施形態におけるステータの一例を示す分解斜視図である。
図3図3は、第1の実施形態におけるステータの一例を示す側断面図である。
図4図4は、第1の実施形態における第1の基板に形成される配線の一例を示す側面図である。
図5図5は、第1の実施形態における第2の基板に形成される配線の一例を示す拡大斜視図である。
図6図6は、第1の実施形態における接続部及び絶縁部の一例を示す拡大断面図である。
図7図7は、第1の実施形態における第1の基板に形成される配線の一例を示す拡大上面図である。
図8図8は、第1の実施形態における第1の基板に形成される配線の一例を示す拡大斜視図である。
図9図9は、第1の実施形態における第2の基板に形成される配線の一例を示す拡大斜視図である。
図10図10は、第2の実施形態における周方向の通電状態を切り替える切替部を備えた回路の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願の開示するモータの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面における各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。各図面において、説明を分かりやすくするために、モータの回転軸が延在する方向を軸方向とする座標系を図示する場合がある。また、1つの実施形態や変形例に記載された内容は、原則として他の実施形態や変形例にも同様に適用される。
【0010】
(第1の実施形態)
まず、本実施形態におけるモータ1について、図1を用いて説明する。図1は、第1の実施形態におけるモータの一例を示す斜視図である。図2は、第1の実施形態におけるステータの一例を示す分解斜視図である。図3は、第1の実施形態におけるステータの一例を示す側断面図である。図1乃至図3に示すように、本実施形態におけるモータ1は、ステータ10と、第1の基板31及び第2の基板32と、ロータ90とを備える。なお、各実施形態で説明するモータは、例えば、インナーロータ型のDCブラシレスモータである。また、モータ1は、例えば、図示しないフレームに収容される。
【0011】
ロータ90は、ロータコア91と、マグネット92とを含む。ロータコア91は、例えば、電磁鋼板で形成された平板状のコアが複数枚積層されて構成される。ロータコア91は、軸方向に延在する貫通孔99を備える。貫通孔99には、例えば、図示しないシャフトが挿通される。
【0012】
マグネット92は、例えば、ロータコア91の外周面に固定された、筒状の磁石である。マグネット92は、例えば、ネオジム磁石のような希土類磁石により形成される。また、ボンド磁石や焼結磁石を用いてもよい。なお、マグネット92は、筒状の磁石に限定されることはなく、円筒形状の磁石や多角形状の磁石を用いてもよい。また、マグネット92は、単一の磁石に限られず、複数の磁石の組み合わせであってもよい。さらに、マグネット92は、ロータコア91の外周面に固定されるだけではなく、ロータコア91の内部に埋め込まれてもよい。
【0013】
図1及び図2に示すように、実施形態におけるステータ10は、ステータコア13と、複数のインシュレータ11及び12と、軸方向に延びる複数の導体20とを有する。
【0014】
ステータコア13は、例えばステンレス鋼や磁性鋼板などの磁性体を、軸方向に複数積層することによって形成される。ステータコア13は、径方向内側に延在する、周方向に並んだ12個のティース14を備える。なお、以下において、複数のティース14をそれぞれ区別して表現する場合に、ティース14a乃至14lと表記する場合がある。
【0015】
インシュレータ11及び12は、例えば樹脂等の絶縁体により形成される。図2に示すように、インシュレータ11及び12は、ステータコア13のティース14を、軸方向の正方向側及び負方向側からそれぞれ覆う。
【0016】
第1の実施形態におけるモータ1は、例えば4極12スロットのモータである。すなわち、マグネット92は、N極及びS極の対を2組備える。また、ステータコア13は、隣接する2つのティース14の間には、それぞれスロット15a乃至15lが形成される。各スロット15a乃至15lは、インシュレータ11及び12により相互に絶縁される。
【0017】
導体20は、例えば棒状に形成された、銅等の導電性の金属である。第1の実施形態において、各スロット15a乃至15lには、導体20が軸方向に挿通される。この場合において、複数の導体20は、ステータ10の周方向に並んで配置される。
【0018】
また、第1の実施形態においては、複数の導体20が、ステータ10の径方向に並んで配置される。例えば、図2に示すように、スロット15aには、径方向に並んだ3つの導体2a1,2a2及び2a3が挿通される。同様に、図3に示すように、スロット15bには、径方向に並んだ3つの導体2b1,2b2及び2b3が挿通され、スロット15hには、径方向に並んだ3つの導体2h1,2h2及び2h3が挿通される。径方向において、第1導体2a1、2b1及び2h1は最も外周側に位置し、第3導体2a3,2b3及び2h3は最も内周側に位置する。なお、以下において、径方向において最も外周側に位置する12個の導体20を区別せずに表記する場合に、第1導体201と表記する場合がある。同様に、径方向において中央に位置する12個の導体20を区別せずに表記する場合に第2導体202と表記し、最も内周側に位置する12個の導体20を区別せずに表記する場合に、第3導体203と表記する場合がある。また、1つのスロット15aに径方向に並んだ3つの導体2a1,2a2及び2a3を区別せずに表現する場合に、導体20aのように表記する場合がある。
【0019】
第1の実施形態において、径方向に並んだ複数の導体20の間は、互いに絶縁されている。例えば、図3に示すように、各導体2b1,2b2及び2b3は、軸方向における両端部21及び22を除き、それぞれ絶縁性の塗装等による被覆23等により、互いに絶縁される。
【0020】
また、導体20の軸方向の両端部21及び22には、被覆23が形成されていない。軸方向において、各導体20の両端部21及び22は、それぞれ、基板31及び32と電気的に接続される端子となる。なお、以下において、導体20の端部21及び22を、個別の導体20ごとに区別して説明する場合に、それぞれ端部21a2、22b3のように表記する場合がある。
【0021】
第1の基板31及び第2の基板32は、ステータ10の軸方向における両端側にある部分にそれぞれ配置される。図3に示すように、第1の基板31は、ステータ10の軸方向正方向側にある部分に配置され、第2の基板32は、ステータ10の軸方向負方向側にある部分に配置される。
【0022】
図3に示すように、第1の基板31は、内部に配線40を有し、第2の基板32は、内部に配線50を備える。配線40及び50は、例えば銅などの導電性の金属により形成され、導体20と電気的に接続される。具体的には、導体20の端部21が、配線40と接続され、端部22が配線50と接続される。
【0023】
図4は、第1の実施形態における第1の基板に形成される配線の一例を示す側面図である。図5は、第1の実施形態における第2の基板に形成される配線の一例を示す拡大斜視図である。なお、図4及び図5においては、基板を構成する樹脂等の図示を省略している。
【0024】
図3及び図4に示すように、第1の基板31に形成される配線40は、第1導体201と第2導体202とを接続する第1配線4da,4fc,4he,4jg,4li及び4bkと、第3導体203と第2導体202とを接続する第2配線4ad,4cf,4eh,4gj,4il及び4kbとを備える。また、配線40は、第3導体203と第1導体201とを接続する渡り配線4be,4dg及び4fiをさらに備える。
【0025】
また、図3及び図5に示すように、第2の基板32に形成される配線50は、第1導体201を相互に接続する第1配線5aM,5cM,5eM,5gM,5iM及び5kMと、第2導体202を相互に接続する第2配線5aN,5cN,5eN,5gN,5iN及び5kNと、第3導体203を相互に接続する第3配線5aO,5cO,5eO,5gO,5iO及び5kOとを備える。
【0026】
配線40及び50は、それぞれ接続部と絶縁部とを備える。接続部は、複数の導体20のうち一つと電気的に接続される。絶縁部は、径方向において、複数の導体20のうち一つと絶縁層を介して対向する。絶縁層は、例えば第1の基板31又は第2の基板32を形成する樹脂の層であるが、これに限られず、空気等のその他の絶縁体の層であってもよい。
【0027】
なお、配線40及び50は、軸方向において2層にわたって形成されている。その際、異なる2つの層に形成された2つの配線40は、相互に絶縁される。同様に、2つの層に形成された2つの配線50も、相互に絶縁される。例えば、図6に示すように、軸方向において、第2配線4adと、別の第2配線4kbとは、樹脂層等の絶縁層3bLにより絶縁される。図6は、第1の実施形態における接続部及び絶縁部の一例を示す拡大断面図である。図6図3の枠F1に示す部分を拡大した図である。なお、配線40及び50は、部分的に1層のみとなる部分を含んでもよく、また3層以上の多層にわたって形成されてもよい。
【0028】
接続部は、例えば、図6に示す接続部4b1乃至4b3や、図9に示す接続部5a1乃至5a3のように、配線40又は50において、径方向外側又は内側に突出する部位である。図7は、第1の実施形態における第1の基板に形成される配線の一例を示す拡大上面図である。図8は、第1の実施形態における第1の基板に形成される配線の一例を示す拡大斜視図である。図9は、第1の実施形態における第2の基板に形成される配線の一例を示す拡大斜視図である。図7及び図8は、図4の枠F2に示す部分を拡大して回転させた図であり、図9は、図5の枠F3に示す部分を拡大した図である。なお、図7においては、配線40において、軸方向における正方向側に位置する第1配線4da及び第2配線4adを破線で示し、軸方向における負方向側に位置する第1配線4bk,4fc及び第2配線4kb,4cfを破線で示している。
【0029】
図7及び図8に示すように、第1配線4bkは、径方向において外側に突出する接続部4b1を備える。図6乃至図8に示すように、第1導体2b1の軸方向における正方向側の端部21b1は、接続部4b1において、第1配線4bkと電気的に接続される。また、図3及び図9に示すように、第1導体2b1の軸方向における負方向側の端部22b1は、第1配線5kMから径方向において外側に突出する接続部5b1において、第1配線5kMと電気的に接続される。
【0030】
一方、配線40及び50は、電気的に接続されていない導体20とは、径方向において、絶縁層を介して対向する。例えば、図6に示すように、第1配線4daと第1導体2b1の端部21b1とは、絶縁部4bAにおいて、絶縁層3bAを介して対向している。また、図7に示すように、第1配線4bkと第1導体2a1の端部21a1は、絶縁部4aPにおいて、絶縁層3aAを介して対向する。また、図7に示すように、第1配線4bkと第2導体2b2の端部21b2とは、絶縁部4bQにおいて、絶縁層3bBを介して対向している。
【0031】
また、第1の実施形態において、1つの導体20の端部21には、2つ以上の配線40は接続されず、また端部22にも、2つ以上の配線50は接続されない。この場合において、端部21及び22は、径方向一方側においていずれかの配線と電気的に接続される場合、径方向他方側においては、配線と絶縁層を介して対向する。例えば、図7及び図8に示すように、第3導体2b3の端部21b3は、径方向において、内側に位置する渡り配線4beとは接続部4b3において電気的に接続され、外側に位置する第2配線4kbの絶縁部4bDと、絶縁層3bDを介して対向する。
【0032】
なお、例えば図7及び図8に示すように、渡り配線4beの絶縁部4cTは、絶縁層3cEを介して、第3導体2c3の端部21c3と径方向において対向する。渡り配線4beと第3導体2b3の端部21b3とは、径方向において、渡り配線4beから外側に突出する接続部4b3を介して電気的に接続される。また、渡り配線4beの接続部4e0は、例えば図4に示すように、第1導体2e1と周方向において接続してもよい。
【0033】
以上説明したように、第1の実施形態において、第1配線、第2配線、第3配線及び渡り配線は、それぞれ2つの導体20と接続される。また径方向に並んで配置される2つの導体20は、相互に電気的に接続されず絶縁される。この場合において、第1配線、第2配線、第3配線及び渡り配線は、径方向において、それぞれ一方側の導体20と電気的に接続され、他方側の導体20と絶縁層を介して対向するか、又は径方向において両方向側の導体20と絶縁層を介して対向する。例えば、図6及び図9に示す第1配線4bkは、径方向において、接続部4b1を介して、外側の導体2b1と電気的に接続され、第1配線4bkの内側の導体2b2と、絶縁層3bBを介して対向する。また、第1配線4daは、径方向外側の導体2b1及び径方向内側の導体2b2の双方と、絶縁層3bA及び3bBを介して、それぞれ対向する。
【0034】
図8に示すように、導体20a及び20dは、第1配線4da及び5aMと、第2配線4ad及び5aNと、第3配線5aOとにより、電気的に接続される。この場合において、導体20a及び導体20dは、第1のコイル環を形成する。また、第1のコイル環と渡り配線4dgにより相互に電気的に接続される、図2に示す導体20g及び20jは、第2のコイル環を形成する。なお、導体2a1及び2j3において、配線が接続されない端部21a1及び22j3は、それぞれ第1のコイル環及び第2のコイル環の両端として、例えば、外部と接続される端子等として用いられる。同様に、図2に示す導体20e及び20hは第3のコイル環を形成する。また、図2に示す導体20k及び20bは、第3のコイル環と、図4に示す渡り配線4beにより相互に電気的に接続され、第4のコイル環を形成する。また、図2に示す導体20c及び20fは第5のコイル環を形成する。また、図2に示す導体20i及び20lは、第5のコイル環と図4に示す渡り配線4fiにより相互に電気的に接続され、第6のコイル環を形成する。
【0035】
以上説明したように、第1の実施形態におけるモータ1は、ステータ10と、基板31及び32と、を備える。基板31及び32は、軸方向において、ステータ10の両端部側にそれぞれ配置される。ステータ10は、軸方向に延びる複数の導体20を有する。複数の導体20は、ステータ10の周方向に並んで配置され、複数の導体20の両端部21及び22は、それぞれ、基板31及び32と電気的に接続される。かかる構成によれば、コイルエンドを小さくできるので、モータを小型化できる。
【0036】
例えば、平角線を用いてセグメントコイルを形成する場合、ステータ10のスロット15にセグメントコイルの形状を合わせる必要があるため、巻線スペースが小さくなる。また、コイル同士の干渉を避けるために、セグメントコイルの接続位置を軸方向において高くする必要があるため、セグメントコイルの軸方向における巻線高さが高くなる。
【0037】
一方、第1の実施形態においては、棒状の導体20を用いるため、導体20の形状をステータ10のスロット15の形状に合わせることができる。導体20及びコイルの形状の自由度が高いことにより、スロット15におけるコイルの占積率を向上できるので、抵抗値を軽減し、モータ1を高効率化できる。また、配線40が形成される第1の基板31と、配線50が形成される第2の基板32とを用いて導体20間を電気的に接続することで、軸方向における巻線高さを小さくすることができるので、モータ1を小型化できる。
【0038】
なお、第1の実施形態において、第1のコイル環を構成する導体20aと導体20dとは、周方向において、図2に示す3つのティース14a,14b及び14cと、2つのスロット15b及び15cを挟んで対向する。すなわち、第1のコイル環は、3スロットの分布巻き方式のコイル環となる。第2のコイル環乃至第6のコイル環も同様である。
【0039】
また、モータ1において、4極のマグネット92の磁極ピッチは3スロットピッチである。すなわち、第1の実施形態において、第1のコイル環乃至第6のコイル環のコイルピッチは、マグネット92の1磁極ピッチに相当する。ただし、実施の形態はこれに限られず、例えば、各コイル環を、2スロットや4スロットの分布巻き方式に変形してもよく、また、集中巻き方式にも適用可能である。
【0040】
例えば、集中巻きの場合、導体20aは、周方向において隣接する導体20bと接続されるように形成される。同様に、導体20aが、周方向において離間する導体20c又は20eと接続されることにより、2スロット又は4スロットの分布巻き方式とすることができる。
【0041】
(第2の実施形態)
以上第1の実施形態について説明したが、実施の形態はこれに限られない。例えば、配線の通電状態を切り替えることにより、コイルの巻数や、コイルが跨ぐスロットの数を制御できるような構成であってもよい。同じモータでも基板のパターンを変更することで直列、並列やスロット跨ぎ数(コイルピッチ)を容易に変更可能である。
【0042】
図10は、第2の実施形態における周方向の通電状態を切り替える切替部を備えた回路の一例を示す図である。なお、以下の各実施形態及び各変形例において、先に説明した図面に示す部位と同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0043】
図10に示すように、第2の実施形態におけるステータは、配線70の通電状態を切り替える第1スイッチ61及び62を備える。なお、第1スイッチ61及び62は、切り替え部の一例である。
【0044】
第1スイッチ61及び62は、例えば第1の基板又は第2の基板において、導体20と軸方向において対向していない部分等に設けられる。なお、第1スイッチ61及び62は、バスバー等、基板以外の部分に配置されてもよい。
【0045】
第2の実施形態においても、第1の基板又は第2の基板は、基板の径方向に並んで配置される複数の配線を有する。例えば、配線70において、第1導体2d1に電気的に接続された部分配線7da0と、第2導体2d2に電気的に接続された部分配線7ad0とは、径方向において並んで配置される。
【0046】
第1スイッチ61及び62は、配線70の径方向の通電状態を切り替える。例えば、第1スイッチ61は、部分配線7da0の接続先を、第2導体2a2に電気的に接続された部分配線7da2から、第1導体2a1に電気的に接続された部分配線7da1に切り替える。
【0047】
例えば、第1スイッチ61が、配線の一部分(以下、部分配線と呼称する)7da0と7da2とを接続している場合、第1の実施形態と同様に、第1導体2d1が第2導体2a2と電気的に接続される。一方、第1スイッチ61が切り替えられると、第1導体2d1は、第1導体2a1と電気的に接続される。この場合、第2導体2a2及び2d2,並びに第3導体2a3,2d3には通電されなくなるので、第1のコイル環における巻数が減少するのと同様の効果が得られる。この場合において、渡り配線4dgと同様に第1導体2g1と第3導体2d3とを接続する渡り配線7dgについても、第1導体2g1の接続先が、第3導体2d3から第1導体2d1に切り替えられることが望ましい。
【0048】
例えば、モータの回転数が低い場合は、導体2a1乃至2a3及び2d1乃至2d3の全てに通電することで、高トルクでモータを動作させるとともに、回転数が高い場合には第2導体2a2及び2d2や、第3導体2a3及び2d3等に通電しないことで、低トルク駆動とすることができる。
【0049】
以上説明したように、モータは、配線70の通電状態を切り替える切り替え部60を有してもよい。複数の導体20は、ステータ10の径方向に並んで配置され、配線70は、基板の径方向に並んで配置される複数の配線7da0,7ad0を有し、切り替え部60は配線70の径方向の通電状態を切り替えてもよい。かかる構成によれば、モータの回転数等に応じて、トルクを容易に調整できる。
【0050】
DCブラシレスモータにおいて、高速回転させる際に、トルクを低下させるために、コイルに流れる電流を減少させる弱め界磁制御を行うことが知られている。一方、第2の実施形態によれば、電流を変化させることなく、トルクを低下させることができる。
【0051】
例えば、コイルピッチが3スロットであるコイルにおいて、巻数を2ターンから1ターンに減少させることで、Keを50%低下させることができる。これにより、無負荷回転数を100%向上させることができる。
【0052】
また、モータは、配線70の周方向の通電状態を切り替える切り替え部80を有してもよい。例えば、コイルピッチを3スロットから4スロットに変更することで、Keを62%低下させることができる。
【0053】
例えば、第3のコイル環が、導体20cと導体20gとにより構成される場合、コイルピッチは4スロットとなり、磁極ピッチ(3スロット)よりも大きくなる。この場合、第3のコイル環の中にN極とS極とが混在するため、コイルピッチが3スロットである場合と比べてKeを低下させることができる。
【0054】
また、第1スイッチ61及び62に加えて、第2スイッチとして切り替え部80をさらに備えるような構成であってもよい。かかる構成によれば、第1スイッチ61及び62と、切り替え部80とを連動して切り替えることにより、セグメントコイルの巻数と、コイルピッチとを同時に変更させ、より大幅にKeを調整することができる。
【0055】
以上本発明の実施形態及び変形例について説明したが、実施の形態はこれに限られない。例えば、径方向に並んで配置される導体20の数は4本以上であってもよく、また2本以下でもいい。また、導体20と第1の基板31及び第2の基板32とは、バスバー等を介して間接的に接続されていてもよい。また、基板31及び32は、軸方向において、少なくとも両側に一対設けられるが、これに限られず、3つ以上の基板を備えていてもよい。
【0056】
また、導体20が棒状(I字型)である例について説明したが、これに限られず、2つの棒状の導体の一方の端部が連結された、コの字状の導体を用いてもよい。この場合、コイルエンドの高さは第1の実施形態よりも大きくなるが、第2の基板32を用いずにセグメントコイルを構成できる。
【0057】
また、各実施形態におけるモータはインナーロータ型のブラシレスモータに限られず、アウターロータ型等であってもよい。
【0058】
以上、本発明を各実施形態及び各変形例に基づき説明したが、本発明は各実施形態及び各変形例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲での種々の変更が可能であることも言うまでもない。そのような要旨を逸脱しない範囲での種々の変更を行ったものも本発明の技術的範囲に含まれるものであり、そのことは、当業者にとって特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0059】
1 モータ、10 ステータ、11,12 インシュレータ、13 ステータコア、14a~14l ティース、15a~15l スロット、20,20a~20l 導体、201,2a1~2l1 第1導体、202,2a2~2l2 第2導体、203,2a3~2l3 第3導体、21,22,21a1~21a3,21b1~21b3,21c1~21c3,21d1~21d3,21l1~21l3,22b1,22b3,22j3 端部、23 被覆、31,32 基板、3aA,3bA,3bB,3bC,3bD,3bL,3cE 絶縁層、40,50,70 配線、4da,4bk,4fc,4he,4jg,4li,5aM,5cM,5eM,5gM,5iM,5kM 第1配線、4ad,4kb,4cf,4eh,4gj,4il,5aN,5cN,5eN,5gN,5iN,5kN 第2配線、5aO,5cO,5eO,5gO,5iO,5kO 第3配線、4be,4dg,4fi,7dg 渡り配線、7ad0,7da0,7da1,7da2 部分配線、4b1,4b2,4b3,4e0,5a1~5a3,5b1 接続部、4aP,4bA,4bD,4bQ,4cT 絶縁部、61,62 第1スイッチ、80 切り替え部、90 ロータ、91 ロータコア、92 マグネット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10