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  • 特開-給湯システム 図1
  • 特開-給湯システム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002276
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】給湯システム
(51)【国際特許分類】
   F24H 15/104 20220101AFI20231228BHJP
   F24H 15/395 20220101ALI20231228BHJP
   F24H 15/281 20220101ALI20231228BHJP
   F24H 15/345 20220101ALI20231228BHJP
   F24H 1/14 20220101ALI20231228BHJP
【FI】
F24H15/104
F24H15/395
F24H15/281
F24H15/345
F24H1/14 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022101372
(22)【出願日】2022-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100120514
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 雅人
(72)【発明者】
【氏名】田中 慎之介
(72)【発明者】
【氏名】若竹 孝史
(72)【発明者】
【氏名】五島 大輔
【テーマコード(参考)】
3L034
【Fターム(参考)】
3L034BA22
3L034BB03
(57)【要約】
【課題】給湯装置のガス供給経路の電磁弁の故障診断時に、燃料ガスの異常着火の燃焼が生じる虞を適切に防止することが可能な給湯システムを提供する。
【解決手段】ガス元栓Vaおよび制御弁V0~V5が設けられているガス供給経路5、およびこのガス供給経路5を介して供給される燃料ガスを燃焼させて湯水加熱用の燃焼ガスを発生させるバーナ1を備えている給湯装置WHと、この給湯装置WHの故障診断が可能であり、かつ情報の報知手段80および情報入力手段81を有する故障診断装置Aと、を備えている、給湯システムSYであって、前記故障診断として、制御弁V0~V5の故障診断が行なわれる場合には、ガス元栓Vaを閉栓することを促す情報が、報知手段80を用いて報知されるように構成されている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス元栓および制御弁が設けられているガス供給経路、およびこのガス供給経路を介して供給される燃料ガスを燃焼させて湯水加熱用の燃焼ガスを発生させるバーナを備えている給湯装置と、
この給湯装置の故障診断が可能であり、かつ情報の報知手段および情報入力手段を有する故障診断装置と、
を備えている、給湯システムであって、
前記故障診断として、前記制御弁の故障診断が行なわれる場合には、前記ガス元栓を閉栓することを促す情報が、前記報知手段を利用して報知されるように構成されていることを特徴とする、給湯システム。
【請求項2】
請求項1に記載の給湯システムであって、
前記ガス元栓を閉栓することを促す情報が報知された後に、前記ガス元栓を閉栓した旨を示す所定の情報入力操作が前記情報入力手段を利用して行なわれた場合には、前記制御弁の故障診断を進めていくことが許容される一方、そうでない場合には、前記制御弁の故障診断を進めていくことは許容されないように構成されている、給湯システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の給湯システムであって、
前記制御弁の故障診断が開始されてから終了するまでの期間中は、前記バーナにおける燃料ガスへの点火動作が阻止されるように構成されている、給湯システム。
【請求項4】
請求項1または2に記載の給湯システムであって、
前記バーナおよび前記バーナによって発生された燃焼ガスの進行領域を囲むケースと、
前記バーナに燃焼用空気が供給されるように前記ケース内に空気を送り込むファンと、
をさらに備えており、
前記制御弁の故障診断が終了した後には、前記ファンが駆動し、前記ケース内の残存ガスが前記ケースの外部にパージ可能に構成されている、給湯システム。
【請求項5】
請求項4に記載の給湯システムであって、
前記制御弁の故障診断が開始されてから前記ファンによる残存ガスのパージが完了するまでの期間中は、前記バーナにおける燃料ガスへの点火動作が阻止されるように構成されている、給湯システム。
【請求項6】
請求項1または2に記載の給湯システムであって、
前記制御弁として、複数の制御弁を備えており、
これら複数の制御弁の故障診断方式としては、プログラム制御によって前記複数の制御弁の故障診断を順次実行可能な自動診断方式と、前記複数の制御弁の中から作業者により選択された制御弁の故障診断を個別に実行可能な非自動個別診断方式と、があり、これらのうちの一方を選択的に実行可能とされている、給湯システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯装置の故障診断が可能とされた給湯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
給湯システムの具体例としては、特許文献1~3に示すように、給湯装置に故障診断部を接続することにより、給湯装置の各部の故障診断を行なうことが可能とされているものがある。
ここで、給湯装置としては、たとえば燃料ガスを燃焼させるバーナ(ガスバーナ)と、このバーナによって発生された燃焼ガスから熱回収を行なうための伝熱管(熱交換部)などを有するものが用いられる。この場合、バーナに燃料ガスを供給するためのガス供給経路には、制御弁として、たとえば電磁弁が設けられており、この電磁弁も故障診断の対象とされる。
【0003】
しかしながら、前記した給湯シスムにおいては、次に述べるように、改善すべき余地がある。
【0004】
すなわち、ガス供給経路に設けられている電磁弁の故障診断を行なうべくこの電磁弁を開閉させると、バーナに燃料ガスが供給されてしまい、このような場合に点火動作がなされると、バーナおよびその付近において、異常着火の燃焼を生じる虞がある。これを解消するには、ガス元栓を予め閉栓状態にしておけばよいが、故障診断の作業者がその作業を忘れてしまい、前記した虞を生じる場合がある。給湯装置の故障診断においては、たとえばバーナの燃焼動作を実際に生じさせるような項目もあり、この場合には電磁弁の故障診断時とは反対に、ガス元栓を開栓状態に設定していなければならない。このようなことから、電磁弁の故障診断が開始される前に、作業者が元栓を予め閉栓状態に設定することは一層忘れ易くなっており、前記した異常着火の燃焼が生じてしまう場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2726623号公報
【特許文献2】特開2004-308935号公報
【特許文献3】特開2013-195007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記したような事情のもとで考え出されたものであり、給湯装置のガス供給経路の電磁弁の故障診断時に、燃料ガスの異常着火の燃焼が生じる虞を適切に防止することが可能な給湯システムを提供することを、その課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0008】
本発明により提供される給湯システムは、ガス元栓および制御弁が設けられているガス供給経路、およびこのガス供給経路を介して供給される燃料ガスを燃焼させて湯水加熱用の燃焼ガスを発生させるバーナを備えている給湯装置と、この給湯装置の故障診断が可能であり、かつ情報の報知手段および情報入力手段を有する故障診断装置と、を備えている、給湯システムであって、前記故障診断として、前記制御弁の故障診断が行なわれる場合には、前記ガス元栓を閉栓することを促す情報が、前記報知手段を利用して報知されるよ
うに構成されていることを特徴としている。
【0009】
このような構成によれば、次のような効果が得られる。
すなわち、ガス供給経路に設けられている制御弁(電磁弁など)の故障診断が行なわれる場合には、ガス元栓を閉栓することを促す情報が報知される。したがって、作業者は、この報知により、ガス元栓を閉栓することを察知し、ガス元栓を適切なタイミングで閉栓することとなる。したがって、本発明によれば、ガス元栓が開栓状態のまま制御弁の故障診断がなされることは回避され、給湯装置において燃料ガスの異常着火の燃焼を生じることを適切に防止することが可能である。
【0010】
本発明において、好ましくは、前記ガス元栓を閉栓することを促す情報が報知された後に、前記ガス元栓を閉栓した旨を示す所定の情報入力操作が前記情報入力手段を利用して行なわれた場合には、前記制御弁の故障診断を進めていくことが許容される一方、そうでない場合には、前記制御弁の故障診断を進めていくことは許容されないように構成されている。
【0011】
このような構成によれば、ガス元栓を閉栓することを促す情報が報知された後に、作業者がガス元栓を閉栓した旨を示す所定の情報入力操作を行なわない限りは、制御弁の故障診断を進めていくことはできない。このため、ガス元栓が閉栓されないまま制御弁の故障診断が進められることは、より確実に防止される。
【0012】
本発明において、好ましくは、前記制御弁の故障診断が開始されてから終了するまでの期間中は、前記バーナにおける燃料ガスへの点火動作が阻止されるように構成されている。
【0013】
このような構成によれば、制御弁の故障診断時に、バーナおよびその付近において燃料ガスの異常着火の燃焼を生じることは、一層確実に防止される。
【0014】
本発明において、好ましくは、前記バーナおよび前記バーナによって発生された燃焼ガスの進行領域を囲むケースと、前記バーナに燃焼用空気が供給されるように前記ケース内に空気を送り込むファンと、をさらに備えており、前記制御弁の故障診断が終了した後には、前記ファンが駆動し、前記ケース内の残存ガスが前記ケースの外部にパージ可能に構成されている。
【0015】
このような構成によれば、制御弁の故障診断時に、仮に、ガス供給経路からバーナに燃料ガスが流出すると、故障診断の終了時には、前記燃料ガスを含む残存ガスが存在することとなるが、この残存ガスはファンの駆動によりパージ可能である。したがって、故障診断の終了後に、ケース内のバーナ付近などに燃料ガスが残留したままとなって、この燃料ガスに着火を生じるといった不具合は適切に防止される。
【0016】
本発明において、好ましくは、前記制御弁の故障診断が開始されてから前記ファンによる残存ガスのパージが完了するまでの期間中は、前記バーナにおける燃料ガスへの点火動作が阻止されるように構成されている。
【0017】
このような構成によれば、ガス供給経路からケース内に流出した燃料ガスに不用意な着火を生じることを、一層確実に防止することが可能である。
【0018】
本発明において、好ましくは、前記制御弁として、複数の制御弁を備えており、これら複数の制御弁の故障診断方式としては、プログラム制御によって前記複数の制御弁の故障診断を順次実行可能な自動診断方式と、前記複数の制御弁の中から作業者により選択され
た制御弁の故障診断を個別に実行可能な非自動個別診断方式と、があり、これらのうちの一方を選択的に実行可能とされている。
【0019】
このような構成によれば、複数の制御弁の故障診断を行なう場合に、作業者は、様々な条件を考慮した上で、自動診断方式および非自動個別診断方式のうち、いずれか好ましいと考えられる方式を選択して実行することができるため、便利である。
【0020】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明に係る給湯システムの一例を示す説明図である。
図2図1に示す給湯システムにおける動作手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0023】
図1に示す給湯システムSYは、給湯装置WHと、故障診断装置Aとを備えている。故障診断装置Aは、故障診断中継ユニット7と、パーソナルコンピュータ8(以下、「パソコン8」と適宜称する)とを組み合わせたものである。勿論、後述するように、本発明でいう故障診断装置は、そのような組み合わせのものに限らない。
【0024】
給湯装置WHは、ガス給湯装置であり、一般給湯機能および風呂(または暖房)給湯機能を備えたものとして構成されており、ガスバーナとしてのバーナ1(1a,1b)、熱交換部2(2a,2b)、これらバーナ1や熱交換部2を内部に収容し、かつ下部にファン30が取付けられ、上部に排気口40が設けられたケース4、制御部31、およびこれら全体を囲む外装ケース9を備えている。
【0025】
バーナ1(1a,1b)は、ケース4の下部(バーナケースに相当)内に配されており、ガス管を用いたガス供給経路5からの燃料ガスの供給、およびファン30からの燃焼用空気の供給を受け、その駆動燃焼が可能である。バーナ1a,1bには、点火プラグ18が付属して設けられている。
【0026】
ガス供給経路5のうち、外装ケース9の外側の位置には、手動式のガス元栓Vaが設けられており、外装ケース9内には、複数の燃料ガス用電磁弁(電磁開閉弁)V0~V5が設けられている。これらの電磁弁V0~V5は、故障診断の対象となる電磁弁であり、本発明でいう制御弁の具体例である。
バーナ1は、複数のブロックB1~B5に区分され、かつガス供給経路5は、そのようなブロックB1~B5に対応した分岐流路5a~5eを備えている。電磁弁V0は、分岐流路5a~5eよりもガス供給方向上流位置に設けられた元電磁弁であり、電磁弁V1~V5は、分岐流路5a~5eに設けられた電磁弁である。
【0027】
熱交換部2(2a,2b)は、バーナ1の駆動燃焼により発生した燃焼ガスから熱回収を行ない、湯水の生成を行なう部位であり、入水口および出湯口を有する伝熱管20a,20bを含んでいる。これら伝熱管20a,20bは、ケース4の高さ方向中間部(熱交換部ケースに相当)内に配されている。バーナ1aおよび熱交換部2aは、一般給湯用である。バーナ1bおよび熱交換部2bは、風呂(または暖房)給湯用である。
【0028】
制御部31は、マイクロコンピュータなどを用いて構成されており、燃料ガス用電磁弁
V0~V5などの各種の弁や、点火プラグ18による点火動作などを始めとして、給湯装置WHの各部の動作や、各種のデータ処理を実行する。また、故障診断装置Aが接続されている場合には、故障診断装置Aによる各部の故障診断を可能とする故障診断モードとなり、故障診断装置Aからの制御コマンドに対応した応答を行なうように構成されている。
【0029】
パソコン8は、このパソコン8のデータ記憶部に、給湯装置WHの故障診断を行なうための制御プログラムが記憶されたものであり、後述するような動作手順での故障診断およびこれに付随する制御を実行可能とされている。パソコン8は、所望の画像を表示可能な表示部80、複数の操作キーを有する操作部81、スピーカSP、マイクMCなどを備えている。
【0030】
故障診断中継ユニット7は、給湯装置WHの制御部31とパソコン8との相互間のデータ伝送を可能とするものであり、制御部31の端子部31aおよびパソコン8に対しての配線La,Lbを用いた通信接続を可能とする端子部70a,70b、および中継回路71を備えている。中継回路71は、給湯装置WH側での通信方式とパソコン8側での通信方式との相互変換を図るためのマイクロコンピュータ71aやレシーバ回路71bを備えている。
【0031】
次に、前記した給湯システムSYの動作処理手順の一例について、図2に示したフローチャートを参照して説明し、併せてその作用も説明する。
【0032】
まず、図1に示したように、給湯装置WHに故障診断中継ユニット7を介してパソコン8が接続されている故障診断の準備状態において、パソコン8の操作部81で所定の操作がなされると、表示部80には、燃料ガス用電磁弁V0~V5の故障診断を選択するための画面表示がなされる(S1:YES,S2)。次いで、電磁弁V0~V5の故障診断を実行する旨の操作が操作部81においてなされると、表示部80には、ガス元栓Vaを閉栓することを促す情報が画面表示されるとともに、閉栓後には、閉栓した旨を示すための所定のスイッチ操作を操作部81において行なうことを促す情報も画面表示される(S3:YES,S4)。
表示部80は、本発明でいう報知手段の一例に相当する。操作部81は、本発明でいう情報入力手段の一例に相当する。
【0033】
前記した画面表示がなされると、作業者は、ガス元栓Vaを閉栓し、かつ閉栓を行なった旨のスイッチ操作を行なうこととなり(S5:YES)、ガス元栓Vaの閉栓を忘れる不具合が解消される。また、ガス元栓Vaを閉栓したことを示すスイッチ操作がされるため、ガス元栓Vaが閉栓されたことについての信頼性を高めることができ、またそのようなスイッチ操作がなされた時点で、次の処理を即座に開始することができるため、故障診断のスピードアップにも役立つ。
【0034】
前記したステップS4の画面表示がなされたにも拘わらず、ガス元栓Vaを閉栓した旨のスイッチ操作がなされず、かつ所定の時間がタイムアップになった場合には、燃料ガス用電磁弁V0~V5の故障診断は実行不可である旨の画面が表示され、それ以降は故障診断を進行させることなく終了する(S5:NO,S13:YES,S14)。したがって、ガス元栓Vaを閉栓することなく、燃料ガス用電磁弁V0~V5の故障診断が進められることは解消される。ガス元栓Vaが閉栓されない場合には、その後の燃料ガス用電磁弁V0~V5の故障診断時において、これら電磁弁V0~V5が開閉される際に、バーナ1に向けて燃料ガスが供給され、この燃料ガスに着火し、異常着火の燃焼を生じる虞があるが、本実施形態によれば、そのような虞を適切に解消することが可能である。
【0035】
本実施形態においては、燃料ガス用電磁弁V0~V5の故障診断を行なうための方式と
して、自動診断方式と、非自動個別診断方式とがあり、いずれか一方を選択的に実行可能とされている。前者の自動診断方式は、パソコン8に記憶されたプログラムを利用したプログラム制御によって燃料ガス用電磁弁V0~V5の故障診断を順次自動的に実行する方式である。後者の非自動個別診断方式は、燃料ガス用電磁弁V0~V5の中から作業者によって選択されたものの故障診断を個別に実行する方式である。
ステップS5において、ガス元栓Vaを閉栓した旨の操作がなされた場合には、自動診断方式および非自動個別診断方式の選択画面が表示部80に表示される(S6)。
【0036】
これに対し、非自動個別診断方式を選択する操作がなされると、バーナ1における点火動作(点火プラグ18の駆動動作)が制限された上で、非自動個別診断方式について先に説明した動作内容での故障診断が実行される(S7:YES,S8)。一方、自動診断方式を選択する操作がなされると、前記同様に、バーナ1における点火動作が制限され、その上で自動診断方式について先に説明した動作内容での故障診断が実行される(S7:NO,S15)。
このように、自動診断方式および非自動個別診断方式のいずれか一方を、作業者が適宜に選択することができれば、故障診断の仕方を作業者が要望するもの、またはそれに近いものとし、故障診断の作業効率の向上などを図ることが可能である。
また、バーナ1における点火動作が制限されるため、仮に、燃料ガス用電磁弁V0~V5を診断するための開閉動作に起因して、ガス供給経路5からバーナ1側に燃料ガスが流れた場合であっても、この燃料ガスに着火を生じないようにすることが可能である。
【0037】
前記したような燃料ガス用電磁弁V0~V5の故障診断が終了した場合には、ファン30が所定時間駆動され、この駆動が終了すると、バーナ1における点火動作(点火プラグ18の駆動動作)の制限が解除される(S9:YES,S10,S11)。前記したファン30の駆動によれば、給湯装置WHのケース4内の残存ガスは外部にパージされることとなる。したがって、故障診断の終了時において、仮に、残存ガス中に燃料ガスが含まれていたとしても、これをケース4の外部に適切に排出することが可能である。
なお、前記したファン30の駆動時間や回転速度は、一定でもよいが、これらを可変とすることもできる。たとえば、給湯装置WHに排気筒が接続されている場合、この排気筒が長いほど、ファン30の駆動時間を長くし、および/または回転速度を速くすることが可能に構成することもできる。
【0038】
本発明は、上述した実施形態の内容に限定されない。本発明に係る給湯システムの各部の具体的な構成は、本発明の意図する範囲内において種々に設計変更自在である。
【0039】
本発明に係る故障診断装置は、上述したように、故障診断中継ユニットとパソコンとを組み合わせた構成に限らない。たとえば、パソコンに代えて、タブレットやスマートホンなどの他のデータ処理装置を用いてもよいことは勿論のこと、全体が1つの装置として纏められた専用装置として構成することも可能である。また、給湯装置内に故障診断装置が組み込まれた構成とすることも可能である。
本発明でいう制御弁は、電磁弁に限らず、たとえばモータ駆動方式の弁であってもよい。
報知手段としては、画像表示可能な表示部に代えて、または加えて、スピーカを用いた構成とし、このスピーカから所望の旨の音声メッセージを出力させる構成とすることも可能である。情報入力手段は、操作スイッチを備えた操作部に限らず、このような操作部に代えて、または加えて、たとえばマイクを利用した音声入力方式とすることもできる。
本発明でいう「ガス元栓を閉栓することを促す情報」の具体的な表現態様も限定されない。
【符号の説明】
【0040】
A 故障診断装置
WH 給湯装置
SY 給湯システム
Va ガス元栓
V0~V5 燃料ガス用電磁弁(制御弁)
1 バーナ
30 ファン
4 ケース
5 ガス供給経路
7 故障診断中継ユニット(故障診断装置)
8 パソコン(故障診断装置)
80 表示部(報知手段)
81 操作部(情報入力手段)
図1
図2