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特開2024-2277ダクト構造及びそれを備えた空気調和装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002277
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】ダクト構造及びそれを備えた空気調和装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 13/02 20060101AFI20231228BHJP
   F24F 1/028 20190101ALI20231228BHJP
   F24F 13/06 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
F24F13/02 A
F24F1/028
F24F13/02 B
F24F13/06 C
F24F13/06 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022101373
(22)【出願日】2022-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】504027657
【氏名又は名称】株式会社イーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100165423
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 雅久
(72)【発明者】
【氏名】黒川 和哉
【テーマコード(参考)】
3L049
3L080
【Fターム(参考)】
3L049BB03
3L049BB10
3L080AA02
3L080AB02
3L080AD02
3L080AD03
3L080BD02
(57)【要約】
【課題】取り付け取り外しが容易で、冷暖房を必要とする複数の場所に効率良く冷風または温風を供給することができるダクト構造及びそれを備えた空気調和装置を提供する。
【解決手段】移動式の空気調和装置1に取り付けられ冷却または加熱された空気を空調対象空間に導くダクト40を具備し、ダクトは、水平に置かれた際の上半分を構成する上部材43と、下半分を構成する下部材47と、を有し、上部材と下部材は、送風方向に沿った互いの辺部が結合部材44、48、48によって着脱自在に結合されている。これにより、上部材と下部材を重ねて辺部の結合部材を結合して、容易にダクトを形成することができる。また、任意の場所で部分的に上部材と下部材を剥がしてその開口から冷風または温風を吹き出すことができる。よって、冷暖房を必要とする複数の場所に直接的に効率良く冷風または温風を供給することができ、高効率な空調運転を行うことができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動式の空気調和装置に取り付けられ前記空気調和装置で冷却または加熱された空気を空調対象空間に導くダクトを具備し、
前記ダクトは、水平に置かれた際の上半分を構成する上部材と、下半分を構成する下部材と、を有し、
前記上部材と前記下部材は、送風方向に沿った互いの辺部が結合部材によって着脱自在に結合されていることを特徴とするダクト構造。
【請求項2】
前記上部材及び前記下部材は、前記ダクトの入口開口を形成する端部に入口用結合部材が設けられており、
前記ダクトは、前記入口用結合部材によって前記空気調和装置に着脱自在に接続されることを特徴とする請求項1に記載のダクト構造。
【請求項3】
前記ダクトに接続され前記空調対象空間に空気を吹き出す分岐ダクトを具備し、
前記分岐ダクトの入口側の端部には、前記結合部材に結合する分岐入口用結合部材が設けられており、
前記分岐ダクトは、前記結合部材と前記分岐入口用結合部材の結合により前記上部材と前記下部材に着脱自在に挟持されることを特徴とする請求項1に記載のダクト構造。
【請求項4】
前記上部材及び前記下部材は、前記ダクトの出口開口を形成する端部に出口用結合部材が設けられており、
前記ダクトは、前記出口用結合部材によって前記上部材と前記下部材が着脱自在に結合され前記出口開口を閉状態として利用可能であることを特徴とする請求項1に記載のダクト構造。
【請求項5】
前記分岐ダクトは、水平に置かれた際の上半分を構成する分岐上部材と、下半分を構成する分岐下部材と、を有し、
前記分岐上部材と前記分岐下部材は、送風方向に沿った互いの辺部が分岐ダクト用結合部材によって着脱自在に結合されていることを特徴とする請求項3に記載のダクト構造。
【請求項6】
前記分岐上部材及び前記分岐下部材は、前記分岐ダクトの出口側の端部に分岐出口用結合部材が設けられており、
前記分岐ダクトは、前記分岐出口用結合部材によって前記分岐上部材と前記分岐下部材が着脱自在に結合され前記出口側を閉状態として利用可能であることを特徴とする請求項5に記載のダクト構造。
【請求項7】
前記結合部材及び前記入口用結合部材の少なくとも一方は、面ファスナまたは磁石であることを特徴とする請求項2に記載のダクト構造。
【請求項8】
前記上部材及び前記下部材は、合成樹脂製のシート材または合成繊維から成る織布若しくは不織布から形成されていることを特徴とする請求項1に記載のダクト構造。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8の何れか1項に記載のダクト構造が設けられることを特徴とする空気調和装置。
【請求項10】
利用側熱交換器及び利用側送風ファンが設けられた利用側ユニットと、
熱源側熱交換器及び熱源側送風ファンが設けられた熱源側ユニットと、
前記利用側ユニット及び前記熱源側ユニットが載置された架台と、を具備し、
前記ダクトは、前記利用側ユニットの吹出口に接続されることを特徴とする請求項9に記載の空気調和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和装置のダクト構造及びそのダクト構造が設けられた空気調和装置に関し、特に、利用側ユニットと熱源側ユニットが一体的に設けられた移動可能な空気調和装置のダクト構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷凍サイクルを利用する空気調和装置であって、移動自在な一つの架台上に利用側ユニットと熱源側ユニットが設けられた移動式の空気調和装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、室内熱交換器と、該室内熱交換器を流れる空気を室内に送り出す室内送風ファンと、を有する室内ユニットと、室内熱交換器に冷媒循環可能に接続された室外熱交換器と、該室外熱交換器を流れる空気を送り出す室外送風ファンと、を有する室外ユニットと、移動可能に車輪を有し室内熱交換器の吸込口と室外熱交換器の吸込口とが対向するように室内ユニットと室外ユニットが載置された架台と、を具備する空気調和機が開示されている。
【0004】
この種の空気調和装置は、通常の空気調和機を設置することが難しい大空間、例えば、工場、作業場、物流倉庫、体育館等において、作業者等の近傍に冷風や温風を送って作業空間を効率良く冷房または暖房するスポット空調等に利用される。
【0005】
また例えば、特許文献2には、この種の空気調和装置に接続される風導管接続構造であって、室外に載置された空気調和機で冷却または加熱された空気を室内に導く給気ダクトと、室内の空気を空気調和機に導く還気ダクトと、給気ダクトが接続される給気口と還気ダクトが接続される還気口とが形成された風導管接続板と、を具備し、風導管接続板が、室内につながる開口部に取り外し自在に載置される風導管接続構造が開示されている。
【0006】
このような構成により、室外に載置された空気調和機によって冷却または加熱された空気を、給気ダクト及び還気ダクトを介して効率良く室内に循環させることができる。よって、屋外に利用側ユニットと熱源側ユニットが一体的に置かれた移送式の空気調和装置であっても、室内ユニットが室内に設置され室外ユニットが屋外に設置された一般的な空気調和機のように、高効率な循環冷房または循環暖房を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2021-11984号公報
【特許文献2】特開2021-173444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記した従来技術の移動式の空気調和装置では、空調対象空間内の冷房または暖房を必要とする場所に効率良く冷風または温風を送ることができるよう改善すべき点があった。
【0009】
具体的には、特許文献1に開示された空気調和機は、例えば工場等の大空間における冷房運転において、利用側ユニットとしての室内ユニットから空調対象空間に向かって冷風を強力に吹き付ける優れた性能を有する。しかしながら、従来技術の空気調和機では、少し離れた複数の場所にそれぞれ冷風を効率良く供給することは容易ではなかった。例えば、空調対象空間となる工場や物流倉庫等の中では、複数の作業者が少し離れた場所で作業を行っていることがある。そのような場合、多くの作業者がいる作業場所に向かって冷風を吹き付けることはできても、離れた位置にあるそれぞれの作業場所に直接的に冷風または温風を送ることは難しかった。
【0010】
また、特許文献2に開示された風導管接続構造を採用することにより、室内ユニットの室内熱交換器で冷却または加熱された空気を給気ダクト及び還気ダクトを介して空調対象空間に循環させて効率的な空調運転を行うことができる。しかしながら、同文献に開示された風導管接続構造では、空調対象空間の内部を全体的に冷房または暖房することができても、空調対象空間内の複数個所に冷却または加熱された空気を直接的に供給することは容易ではなかった。そのため、このような風導管接続構造のみでは、冷房または暖房を必要とする複数個所の近傍のみに冷風または温風を送る高効率なスポット的空気調和を行うことは難しかった。
【0011】
また、従来の一般的な空気調和用のダクト構造として、本管と、本管から分岐する複数の分岐管と、を有し、複数の部屋に冷風または温風を供給できる構成が知られている。しかしながら、従来技術の空気調和用ダクトは、アルミニウム材や鋼材等から円管状若しくは角管状に形成されたものであり、その設置が容易ではなく、簡単に取り外して移動し送風場所を変更できるような構成ではなかった。
【0012】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、取り付け取り外しが容易で、冷房または暖房を必要とする複数の場所に効率良く冷風または温風を供給することができ、高効率な空調運転を可能とするダクト構造及びそのダクト構造を備えた空気調和装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のダクト構造は、移動式の空気調和装置に取り付けられ前記空気調和装置で冷却または加熱された空気を空調対象空間に導くダクトを具備し、前記ダクトは、水平に置かれた際の上半分を構成する上部材と、下半分を構成する下部材と、を有し、前記上部材と前記下部材は、送風方向に沿った互いの辺部が結合部材によって着脱自在に結合されていることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の空気調和装置は、前記ダクト構造が設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明のダクト構造は、移動式の空気調和装置に取り付けられ前記空気調和装置で冷却または加熱された空気を空調対象空間に導くダクトを具備し、前記ダクトは、水平に置かれた際の上半分を構成する上部材と、下半分を構成する下部材と、を有し、前記上部材と前記下部材は、送風方向に沿った互いの辺部が結合部材によって着脱自在に結合されている。このような構成により、上部材と下部材を重ねて辺部の結合部材を結合して、容易にダクトを形成することができる。即ち、空調対象空間となる工場や倉庫等の大がかりな改築工事等を行うことなく、空気調和装置から吹き出される空気を空調を必要とする空間に効率良く送ることができる。また、結合部材によって着脱自在に結合され形成されたダクトは、上部材と下部材に分解する作業や移送、保管等も容易である。また、結合部材で結合された上部材と下部材の辺部は着脱自在であるので、任意の場所で部分的に上部材と下部材を剥がして開口を形成することもできる。即ち、冷房または暖房を必要とする場所の近傍において、上部材と下部材の辺部を部分的に剥がして開口を形成し、その開口から冷風または温風を吹き出すことができる。よって、このダクト機構によれば、空調対象空間内の冷房または暖房を必要とする複数の場所に直接的に効率良く冷風または温風を供給することができ、大空間であっても高効率な空調運転を行うことができる。
【0016】
また、本発明のダクト構造によれば、前記上部材及び前記下部材は、前記ダクトの入口開口を形成する端部に入口用結合部材が設けられており、前記ダクトは、前記入口用結合部材によって前記空気調和装置に着脱自在に接続されても良い。これにより、空気調和装置にダクトを取り付ける作業及び取り外す作業も容易である。空調を必要とする場所に空気調和装置及びダクトを容易に移動して設置することができ、それぞれの作業者等に近い複数の場所に好適な冷気または暖気を送ることができる。
【0017】
また、本発明のダクト構造は、前記ダクトに接続され前記空調対象空間に空気を吹き出す分岐ダクトを具備し、前記分岐ダクトの入口側の端部には、前記結合部材に結合する分岐入口用結合部材が設けられており、前記分岐ダクトは、前記結合部材と前記分岐入口用結合部材の結合により前記上部材と前記下部材に着脱自在に挟持されても良い。このような構成により、ダクトに複数の分岐ダクトを設け、ダクトから離れた場所にまで空調に必要な冷風または温風を直接的に供給することができる。ダクトには、複数の分岐ダクトを設けることができ、分岐ダクトを接続する位置も任意である。よって、冷房または暖房を必要とする複数の作業場所等にそれぞれ冷房または暖房に必要な空気を好適に送ることができ、工場等の大空間において、それぞれの作業者に対して好適であって且つ効率的でエネルギー消費の少ない空気調和運転を行うことができる。
【0018】
また、本発明のダクト構造によれば、前記上部材及び前記下部材は、前記ダクトの出口開口を形成する端部に出口用結合部材が設けられており、前記ダクトは、前記出口用結合部材によって前記上部材と前記下部材が着脱自在に結合され前記出口開口を閉状態として利用可能であることを特徴とする請求項1に記載のダクト構造。これにより、ダクトの端部の出口開口から吹き出される空気の量を減らし、ダクトの側方に形成された開口等からそれぞれの場所に送られる空気の量を好適に調整することができる。よって、空調を必要とするそれぞれの作業場所等に好適な風量の冷風または温風を供給することができ、無駄の少ない高効率な空気調和を行うことができる。
【0019】
また、本発明のダクト構造によれば、前記分岐ダクトは、水平に置かれた際の上半分を構成する分岐上部材と、下半分を構成する分岐下部材と、を有し、前記分岐上部材と前記分岐下部材は、送風方向に沿った互いの辺部が分岐ダクト用結合部材によって着脱自在に結合されても良い。このような構成により、分岐上部材と分岐下部材を重ねて辺部の分岐ダクト用結合部材を結合することにより、分岐ダクトを容易に形成することができる。即ち、大がかりな改築工事等を行うことなく、空調を必要とする複数の場所に効率良く空気を送る送風経路を容易な作業で形成することができる。そして、空気調和装置から吹き出される空気を、分岐ダクトを介して、空調を必要とする複数個所に効率良く送ることができる。また、分岐ダクト用結合部材によって着脱自在に結合され形成された分岐ダクトは、分岐上部材と分岐下部材の分解、移送、保管等も容易である。また、分岐ダクト用結合部材で結合された分岐上部材と分岐下部材の辺部は着脱自在であるので、任意の場所において、分岐上部材と分岐下部材を剥がして開口を形成することができる。即ち、冷房または暖房を必要とする場所の近傍において、分岐上部材と分岐下部材の辺部を部分的に剥がして冷風または温風を吹き出す部分的な開口を形成することができる。よって、このダクト機構によれば、空調対象空間内の冷房または暖房を必要とする複数の場所に直接的に効率良く冷風または温風を供給することができ、大空間であっても高効率な空調運転を行うことができる。
【0020】
また、本発明のダクト構造によれば、前記分岐上部材及び前記分岐下部材は、前記分岐ダクトの出口側の端部に分岐出口用結合部材が設けられており、前記分岐ダクトは、前記分岐出口用結合部材によって前記分岐上部材と前記分岐下部材が着脱自在に結合され前記出口側を閉状態として利用可能であっても良い。これにより、分岐ダクトの出口側の端部の開口から吹き出される空気の量を減らし、分岐ダクトの側方に形成された開口や他の分岐ダクトの開口等からそれぞれの場所に送られる空気の量を好適に調整することができる。よって、空調を必要とするそれぞれの作業場所等に好適な風量の冷風または温風を供給することができ、無駄の少ない高効率な空気調和を行うことができる。
【0021】
また、本発明のダクト構造によれば、前記結合部材及び前記入口用結合部材の少なくとも一方は、面ファスナまたは磁石であっても良い。これにより、ダクトの組み立て、取り付け取り外しが容易であると共に、風圧に耐え得る好適な強度のダクトが得られる。
【0022】
また、本発明のダクト構造によれば、前記上部材及び前記下部材は、合成樹脂製のシート材または合成繊維から成る織布若しくは不織布から形成されても良い。これにより、取り付け取り外し、搬送及び保管が容易で、且つ高性能なダクトが得られる。
【0023】
また、本発明の空気調和装置は、前記ダクト構造が設けられることを特徴とする。これにより、空気調和装置から吹き出される冷気または暖気を分岐して空調対象空間の複数の場所にそれぞれ直接的に効率良く供給することができる。よって、高効率な空調運転を行うことができる。
【0024】
また、本発明の空気調和装置によれば、利用側熱交換器及び利用側送風ファンが設けられた利用側ユニットと、熱源側熱交換器及び熱源側送風ファンが設けられた熱源側ユニットと、前記利用側ユニット及び前記熱源側ユニットが載置された架台と、を具備し、前記ダクトは、前記利用側ユニットの吹出口に接続されても良い。このような構成により、空気調和装置の移動、設置及びダクトの取り付け取り外し作業を効率良く行うことができる。そして、空調対象空間の内部に配設された空気調和装置は、利用側熱交換器で冷却された低温の空気または加熱された高温の空気をダクトに送り、ダクト側面の複数個所において、上部材と下部材との間から、冷房または暖房を必要とするそれぞれの場所に向けて空気を送り出すことができる。よって、大規模空間における高効率なスポット空調運転が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施形態に係る空気調和装置の概略構成を示す図である。
図2】本発明の実施形態に係る空気調和装置の本体の概略構成を示す側面図である。
図3】本発明の実施形態に係る空気調和装置のダクト部の概略構成を示す斜視図である。
図4】本発明の実施形態に係る空気調和装置のダクトの概略構成を示す分解図である。
図5】本発明の実施形態に係る空気調和装置の分岐ダクトの概略構成を示す分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態に係るダクト構造を備えた空気調和装置1を図面に基づき詳細に説明する。
【0027】
図1は、本発明の実施形態に係る空気調和装置1の概略構成を示す図である。図1に示すように、空気調和装置1は、利用側ユニット10と熱源側ユニット20が架台30の上に一体的に設けられた移動式の強力スポットエアコンである。空気調和装置1は、利用側ユニット10に接続されるダクト40を備えている。
【0028】
空気調和装置1は、通常のパッケージエアコン等の空気調和機を設置することが難しい大空間を冷房または暖房する移動自在な装置であり、例えば、工場、作業場、物流倉庫、体育館等の空気調和に利用される。
【0029】
ダクト40は、空気調和装置1の本体2に取り付けられ空気調和装置1で冷却または加熱された空気を空調対象空間に導くメインダクトである。具体的には、ダクト40は、利用側ユニット10の冷却または加熱された空気を吹き出す吹出口16に着脱自在に接続され、吹出口16から吹き出される冷暖房用の空気を空調対象空間の複数個所に供給する。
【0030】
ダクト40には、ダクト40を流れる冷風または温風を空調対象空間内の所定の場所に送る複数の分岐ダクト50が設けられている。分岐ダクト50は、ダクト40の任意の場所に着脱自在に接続され、利用側ユニット10で冷却または加熱された空気を冷房または暖房を必要とするそれぞれの場所の近傍に送る。
【0031】
図2は、空気調和装置1の本体2の概略構成を示す側面図である。図2を参照して、利用側ユニット10は、利用側の空気を冷却または加熱して供給する装置である。利用側ユニット10は、一般的なパッケージエアコンの室内機に相当する構成を有する。
【0032】
具体的には、利用側ユニット10は、金属板材等から形成された略箱状の筐体である利用側ハウジングとしてのハウジング11を有し、ハウジング11の内部に冷凍サイクルを構成する部品である利用側熱交換器12と利用側送風ファン13が設けられている。
【0033】
熱源側ユニット20は、排気側の空気に対して放熱または吸熱する装置である。熱源側ユニット20は、一般的なパッケージエアコンの室外機に相当する構成を有する。
【0034】
具体的には、熱源側ユニット20は、金属板材等から形成された略箱状の筐体である利用側ハウジングとしてのハウジング21を有し、ハウジング21の内部に冷凍サイクルを構成する部品である熱源側熱交換器22と熱源側送風ファン23が設けられている。
【0035】
利用側ユニット10の利用側熱交換器12は、冷媒配管28を介して熱源側ユニット20の熱源側熱交換器22に連結されている。詳しくは、利用側熱交換器12及び熱源側熱交換器22は、低圧の冷媒を圧縮して高圧にする図示しない圧縮機、高圧の冷媒を膨張させて低圧にする図示しない膨張弁、冷媒配管28及びその他の図示しない冷媒配管等を介して接続されており、蒸気圧縮式の冷凍サイクル回路を構成している。冷凍サイクルで用いられる冷媒は、例えば、HFC冷媒等である。
【0036】
利用側ユニット10には、空気を吸引する吸込口15と、空気を吹き出す吹出口16が形成されている。吸込口15の内側には、ハウジング11の外部から吸い込まれた空気と冷媒との間で熱交換を行う利用側熱交換器12が設けられている。これにより、例えば、冷房運転の際には、利用側熱交換器12が蒸発器となり、ハウジング11の外部から吸い込まれた空気は、利用側熱交換器12内で蒸発する冷媒によって冷却される。
【0037】
吹出口16の内側には、利用側熱交換器12と熱交換したハウジング11内の空気を外側に吹き出す利用側送風ファン13が設けられている。利用側送風ファン13は、例えば、プロペラファン等であり、図示しないモータによって回転駆動される。
【0038】
本実施形態に係る空気調和装置1では、特に強力な利用側送風ファン13が装着されている。具体的には、利用側送風ファン13は、吹出口16から風速8m/sで空気を吹き出す強力な送風能力を有している。これにより、直進性の強い強風を、吹出口16から遠くまで届けることができ、広い室内を効率良く冷房または暖房することができる。
【0039】
吹出口16には、利用側送風ファン13によって送られる空気の流れ方向を調整するための風向ガイド14が設けられている。風向ガイド14は、利用側送風ファン13の外周を囲む、例えば、略円筒状の形態を成す外周部を有する。風向ガイド14の外周部に囲まれた内部は吹出口16につながる開口となっており、そこには空気の流れを調整する図示しない可変式の風向調整板が設けられても良い。
【0040】
風向ガイド14の外周には、ダクト40(図1参照)を接続するためのダクト支持部17が設けられている。ダクト支持部17は、例えば、面ファスナであり、詳しくは、雄面を有する面ファスナであっても良い。ダクト支持部17は、ダクト40の入口開口41(図1参照)の内周面に設けられた入口用結合部材45(図4参照)としての面ファスナに着脱自在に結合される。
【0041】
熱源側ユニット20には、空気を吸引する吸込口25と、空気を吹き出す吹出口26が形成されている。吸込口25の内側には、外部から吸い込まれた空気と冷媒との間で熱交換を行う熱源側熱交換器22が設けられている。これにより、例えば、冷房運転の際には、熱源側熱交換器22内の冷媒は、吸込口25から流入する空気によって冷却される。換言すれば、吸込口25から吸い込まれた空気は、熱源側熱交換器22内の冷媒と熱交換して加熱される。
【0042】
吹出口26の内側には、熱源側熱交換器22と熱交換したハウジング21内の空気を外側に吹き出す熱源側送風ファン23が設けられている。熱源側送風ファン23は、例えば、プロペラファン等であり、図示しないモータによって回転駆動される。熱源側送風ファン23は、例えば、上下に2つ設けられている。
【0043】
また、吹出口26には、熱源側送風ファン23によって送られる空気の吹き出し方向を調整するための風向ガイド24が設けられても良い。風向ガイド24は、熱源側送風ファン23の外周を囲むような、例えば、略四角形状の形態を成す外枠部を有し、金属板材料や樹脂製板材料等から形成されている。風向ガイド24は、上下に分けて2つ設けられた熱源側送風ファン23に対応して、例えば、上下に一対設けられている。
【0044】
架台30は、利用側ユニット10及び熱源側ユニット20を一体的に支える台である。架台30は、例えば、山形鋼、溝形鋼、その他の鋼材等から形成されている。架台30の下部には、外周が上面視で略矩形枠状の形態を成すベース31が形成されている。熱源側ユニット20は、ベース31の上部に固定されている。
【0045】
架台30には、利用側ユニット10が設置される利用側ユニット設置台32が形成されている。利用側ユニット設置台32は、利用側ユニット10の底部を熱源側ユニット20の底部よりも高い位置で支持できるよう、ベース31の上部から上方に突出するよう形成されている。
【0046】
ベース31の上部に利用側ユニット設置台32が設けられることにより、利用側ユニット10は熱源側ユニット20よりも高い位置に固定される。これにより、利用側ユニット10の吹出口16の位置が高くなり、ダクト40が接続されていない場合でも、空調用の冷風や温風を必要とする作業空間等に対して広く効率的に空気を吹き流すことができる。
【0047】
また、利用側ユニット10が利用側ユニット設置台32の上部に設けられ、利用側ユニット10の上面部と、熱源側ユニット20の上面部とは、略同じ高さになっている。そして、利用側ユニット10の上部と熱源側ユニット20の上部とは、連結部材33によって連結固定されている。この連結部材33によって、利用側ユニット10の上部と熱源側ユニット20の上部が支持され、ダクト40の荷重や、搬送時、使用時の振動等による空気調和装置1の変形が抑えられる。
【0048】
利用側ユニット10及び熱源側ユニット20の下方には、図示しないドレンパンが設けられても良い。ドレンパンは、利用側ユニット10の利用側熱交換器12または熱源側ユニット20の熱源側熱交換器22に付着して滴下する水分を受け止めて図示しない配水管に排水するための部材である。ドレンパンが設けられることにより、利用側熱交換器12または熱源側熱交換器22から滴下する水分を集めて好適に排水することができ、作業空間等に水分が飛散することを防止することができる。
【0049】
ベース31の下部の角部近傍には、車輪34が設けられている。車輪34は、例えば、ゴム車輪等を有するキャスタであり、一方の端辺側が所定の一方向に向かって移動可能な固定車、他方の端辺側が方向変更可能な自在車であっても良い。車輪34が設けられることにより、架台30は、利用側ユニット10及び熱源側ユニット20を一体的に支持した状態で移動可能に構成される。
【0050】
利用側ユニット10と熱源側ユニット20は、空気を吸引する吸込口15と吸込口25を対向させるように架台30上に設けられている。即ち、利用側ユニット10と熱源側ユニット20は、利用側熱交換器12側と熱源側熱交換器22側が対向するよう配設されている。
【0051】
換言すれば、利用側ユニット10と熱源側ユニット20は、それぞれが逆方向に空気を吹き出すよう、利用側ユニット10の吹出口16と熱源側ユニット20の吹出口26とが逆方向を向くよう背中合わせに配設されている。
【0052】
上記のように、吹出口16と吹出口26が逆方向に空気を吹き出すよう、吸込口15と吸込口25を対向させて、利用側ユニット10と熱源側ユニット20が背中合わせに配設されることにより、物流倉庫や大規模工場、体育館等に対する効率的な空気調和が実現する。
【0053】
即ち、利用側ユニット10の吹出口16から、冷却または加熱された空気を、ダクト40を介して、空調対象空間に効率良く強力に吹き出すことができる。そして、利用側ユニット10の吹出口16に対して反対側を向く熱源側ユニット20の吹出口26から、空調運転に不要な空気が吹き出される。
【0054】
図3は、空気調和装置1のダクト部の概略構成を示す斜視図である。図3を参照して、ダクト40は、水平に置かれた際の上半分を構成する上部材43と、下半分を構成する下部材47と、を有する。上部材43と下部材47は、送風方向に沿った互いの辺部近傍が着脱自在に結合されており、上部材43と下部材47に挟まれたダクト40の内部に、空気が流れる風路が形成されている。
【0055】
分岐ダクト50は、水平に置かれた際の上半分を構成する分岐上部材53と、下半分を構成する分岐下部材57と、を有する。分岐上部材53と分岐下部材57は、着脱自在に結合されている。具体的には、分岐上部材53と分岐下部材57は、送風方向に沿った互いの辺部近傍が着脱自在に結合されており、分岐上部材53と分岐下部材57に挟まれた分岐ダクト50の内部に、空気が流れる風路が形成されている。
【0056】
図4は、ダクト40の概略構成を示す分解図である。図3及び図4を参照して、上部材43と下部材47は、略長方形状の形態を成し、例えば、合成樹脂製のシート材または合成繊維から成る織布若しくは不織布から形成されても良い。これにより、上部材43及び下部材47は、軽量で折り畳みも可能であり、搬送及び保管が容易である。
【0057】
また、上部材43及び下部材47の少なくとも一方は、わずかに通気性を有する素材から形成されても良い。これにより、例えば、冷房運転時のようにダクト40に冷風が流される場合、ダクト40の表面の結露を防止することができる。
【0058】
また、例えば暖房運転において、下部材47のみに通気性を有する素材から形成されたものが使用されても良い。これにより、暖かい空気を空調対象空間の床面に向けて供給することができ、快適な暖房運転を行うことができる。
【0059】
上部材43の送風方向に沿った辺部近傍には、結合部材44が設けられ、下部材47の送風方向に沿った辺部近傍には、結合部材48が設けられている。結合部材44、48は、上部材43と下部材47を着脱自在に結合する部材であり、例えば、面ファスナである。
【0060】
具体的には、上部材43に設けられる結合部材44は、内周面に雌面を有する面ファスナであり、下部材47に設けられる結合部材48は、上部材43の結合部材44に結合するよう内周面に雄面を有する面ファスナである。なお、上部材43及び下部材47の面ファスナの雄雌面は、上記とは逆の構成でも良い。
【0061】
このような構成により、ダクト40を組み立てる作業及び分解する作業が容易である。そして、容易な作業で、上部材43と下部材47が風圧によって分離しないよう、上部材43と下部材47をしっかりと結合することができる。
【0062】
具体的には、上部材43と下部材47を重ねて辺部近傍の結合部材44、48を結合して、略円筒状の形態を成すダクト40を容易に形成することができる。これにより、空調対象空間となる工場や倉庫等の大がかりな改築工事等を行うことなく、空気調和装置1(図1参照)の本体2(図2参照)から吹き出される空気を、空調を必要とする空間に効率良く送ることができる。また、結合部材44、48によって着脱自在に結合され形成されたダクト40は、上部材43と下部材47に分解する作業や移送、保管等も容易である。
【0063】
また、結合部材44、48で結合された上部材43と下部材47の辺部近傍は着脱自在であるので、任意の場所で部分的に上部材43と下部材47を剥がして開口を形成することもできる。即ち、冷房または暖房を必要とする場所の近傍において、上部材43と下部材47の辺部近傍を部分的に剥がして開口を形成し、その開口から冷風または温風を吹き出すことができる。よって、このダクト機構によれば、空調対象空間内の冷房または暖房を必要とする複数の場所に直接的に効率良く冷風または温風を供給することができ、大空間であっても高効率な空調運転を行うことができる。
【0064】
なお、結合部材44、48は、磁力を利用した結合手段が採用されても良い。例えば、上部材43には、結合部材44としてネオジム等の磁石を含む構成が採用され、下部材47には、結合部材48として磁性体が設けられても良い。また、磁石と磁性体の取り付け対象は、上記の逆でも良い。このような構成によっても、上部材43と下部材47が風圧等によって外れないように強く固定されると共に、上部材43と下部材47を結合してダクト40を形成する作業、及び上部材43と下部材47を離してダクト40を分解する作業を容易に行うことができる。
【0065】
また、上部材43及び下部材47は、ダクト40の入口開口41を形成する端部近傍に入口用結合部材45が設けられている。入口用結合部材45は、ダクト40を空気調和装置1の本体2に着脱自在に接続する部材であり、例えば、面ファスナである。
【0066】
具体的には、入口用結合部材45としての面ファスナは、上部材43及び下部材47の端部近傍の内周面に設けられ、その内周面に雌面を有する。これに対して利用側ユニット10(図2参照)に設けられたダクト支持部17としての面ファスナは、外周面に雄面を有する。なお、面ファスナの雄面、雌面は、入口用結合部材45とダクト支持部17が結合できれば良く、上記とは逆の構成が採用されても良い。
【0067】
このように、ダクト40の上部材43及び下部材47に入口用結合部材45が設けられているので、利用側ユニット10とダクト40は、利用側送風ファン13(図2参照)から送られる空気の圧力によって外れないようにしっかりと固定される。そして、利用側ユニット10にダクト40を取り付ける作業及び取り外す作業が容易である。よって、空調を必要とする場所に空気調和装置1及びダクト40を容易に移動して設置することができる。
【0068】
なお、ダクト40の接続は、磁力を利用した接続方法が採用されても良い。具体的には、ダクト40の入口用結合部材45としてネオジムその他の磁石を含む部材が設けられ、利用側ユニット10のダクト支持部17として磁性体が設けられても良い。また、磁石と磁性体の構成は、この逆でも良い。このような構成によっても、ダクト40を利用側ユニット10に容易且つ安全に取り付けることができ、また、容易に取り外すことができる。
【0069】
ダクト40の出口開口42を形成する端部近傍には、上部材43に出口用結合部材46が設けられ、下部材47に出口用結合部材49が設けられている。出口用結合部材46、49は、上部材43と下部材47を着脱自在に結合する部材であり、例えば、面ファスナである。
【0070】
具体的には、上部材43に設けられる出口用結合部材46は、内周面に雌面を有する面ファスナであり、下部材47に設けられる出口用結合部材49は、上部材43の出口用結合部材46に結合するよう内周面に雄面を有する面ファスナである。面ファスナの雄雌面は、この逆の構成でも良い。
なお、出口用結合部材46、49は、既に説明した結合部材44、48と同様に、磁力を利用する結合手段が採用されても良い。
【0071】
上部材43及び下部材47の端部近傍に出口用結合部材46、49が設けられることにより、ダクト40の出口開口42近傍で上部材43及び下部材47を結合して、ダクト40の出口開口42を閉じることができる。
【0072】
なお、出口開口42は、完全に閉じられなくても良く、開口面積が小さくなるよう上部材43と下部材47の端部近傍が部分的に結合されても良い。詳しくは、出口用結合部材46、49の長さL1、即ち上部材43及び下部材47の端辺方向の出口用結合部材46、49の長さL1は、上部材43及び下部材47の端辺の長さL2より短くても良い。例えば、出口用結合部材46、49の長さL1は、上部材43及び下部材47の端辺の長さL2の1/10から9/10、好ましくは、1/3から2/3でも良い。
【0073】
このように、上部材43及び下部材47に出口用結合部材46、49が設けられることにより、出口用結合部材46、49で上部材43及び下部材47を結合してダクト40の端部の出口開口42から吹き出される空気の量を減らす、または増やすよう調整することができる。これにより、ダクト40の側方に形成された開口等からそれぞれの場所に送られる空気の量を好適に調整することができる。よって、空調を必要とするそれぞれの作業場所等に好適な風量の冷風または温風を供給することができ、無駄の少ない高効率な空気調和を行うことができる。
【0074】
図5は、分岐ダクト50の概略構成を示す分解図である。図3及び図5を参照して、分岐上部材53と分岐下部材57は、略長方形状の形態を成し、合成樹脂製のシート材または合成繊維から成る織布若しくは不織布から形成されている。これにより、分岐上部材53及び分岐下部材57は、軽量で折り畳みも可能であり、搬送及び保管が容易である。
【0075】
また、分岐上部材53及び分岐下部材57は、わずかに通気性を有する素材から形成されても良い。これにより、例えば、冷房運転時のように分岐ダクト50に冷風が流される場合、分岐ダクト50の表面の結露を防止することができる。
【0076】
また、例えば暖房運転において、分岐下部材57のみ通気性を有する素材から形成されたものが使用されても良い。これにより、暖かい空気を空調対象空間の床面に向けて供給することができ、快適な暖房運転を行うことができる。
【0077】
分岐上部材53は、辺部近傍に、送風方向にそって延在する分岐ダクト用結合部材54が設けられ、分岐下部材57は、辺部近傍に、送風方向にそって延在する分岐ダクト用結合部材58が設けられている。分岐ダクト用結合部材54、58は、着脱自在に結合される部材であり、既に説明した結合部材44、48と同様に、例えば、面ファスナである。
【0078】
具体的には、分岐上部材53に設けられる分岐ダクト用結合部材54は、内周面に雌面を有する面ファスナであり、分岐下部材57に設けられる分岐ダクト用結合部材58は、分岐上部材53の分岐ダクト用結合部材54に結合するよう内周面に雄面を有する面ファスナである。なお、面ファスナの雄面、雌面の構成は、これとは逆であっても良い。
【0079】
このような構成により、分岐上部材53と分岐下部材57を重ねて辺部近傍の分岐ダクト用結合部材54、58を結合することにより、分岐ダクト50を容易に形成することができる。即ち、従来の一般的なアルミニウム材や鋼材等から形成された円管状若しくは角管状の空気調和用ダクトを使用して大がかりな改築工事等を行うことなく、空調を必要とする複数の場所に効率良く空気を送る送風経路を容易な作業で形成することができる。
【0080】
なお、分岐ダクト用結合部材54、58は、ダクト40の結合部材44、48と同様に、磁力を利用する着脱自在な結合手段であっても良い。これにより、分岐ダクト50の組み立て、分解を容易に行うことができると共に、風圧に耐え得る好適な強度の分岐ダクト50が得られる。
【0081】
分岐上部材53は、分岐ダクト50の入口側、即ち分岐入口51側、の端部近傍に、ダクト40の上部材43の結合部材44に結合する分岐入口用結合部材55が設けられている。分岐下部材57は、分岐入口51側の端部近傍に、ダクト40の下部材47の結合部材48に結合する分岐入口用結合部材59が設けられている。分岐入口用結合部材55、59は、例えば、面ファスナである。
【0082】
具体的には、分岐上部材53に設けられる分岐入口用結合部材55は、外周面に雄面を有し、ダクト40の上部材43の結合部材44に結合する面ファスナである。分岐下部材57に設けられる分岐入口用結合部材59は、下部材47の結合部材48に結合するよう外周面に雌面を有する面ファスナである。なお、面ファスナの雄面、雌面の構成は、上部材43及び下部材47の結合部材44、48に合わせて上記とは逆の構成も可能である。
【0083】
また、分岐入口用結合部材55、59は、上部材43及び下部材47の結合部材44、48に着脱自在に結合できるような構成であれば良く、磁力を利用する結合手段が利用されても良い。このような構成によっても、分岐ダクト50の取り付け取り外しが容易であると共に、風圧に耐え得る好適な強度で分岐ダクト50を取り付けることができる。
【0084】
このように分岐ダクト50は、ダクト40の上部材43及び下部材47の結合部材44、48に対して着脱自在な分岐入口用結合部材55、59を有し、分岐入口用結合部材55、59と結合部材44、48の結合により分岐入口51側の端部近傍が上部材43及び下部材47に着脱自在に挟持される。
【0085】
このような構成により、ダクト40の適当な位置に複数の分岐ダクト50を設け、分岐ダクト50を介して、ダクト40から離れた場所にまで、空気調和装置1から吹き出される空調に必要な冷風または温風を直接的に供給することができる。
【0086】
即ち、ダクト40には、複数の分岐ダクト50を容易に設けることができ、分岐ダクト50を接続する位置も任意である。よって、冷房または暖房を必要とする複数の作業場所等に冷房または暖房に必要な空気を好適に送ることができ、工場等の大空間において、それぞれの作業者に対して好適であって且つ効率的でエネルギー消費の少ない空気調和運転を行うことができる。
【0087】
また、分岐ダクト用結合部材54、58によって着脱自在に結合され形成された分岐ダクト50は、分岐上部材53と分岐下部材57の分解、移送、保管等も容易である。また、分岐ダクト用結合部材54、58で結合された分岐上部材53と分岐下部材57の辺部近傍は着脱自在であるので、任意の場所において、分岐上部材53と分岐下部材57を剥がして開口を形成することができる。
【0088】
即ち、冷房または暖房を必要とする場所の近傍において、分岐上部材53と分岐下部材57の辺部近傍を部分的に剥がして冷風または温風を吹き出す部分的な開口を形成することができる。よって、本実施形態に係るダクト機構によれば、空調対象空間内の冷房または暖房を必要とする複数個所に直接的に効率良く冷風または温風を供給することができ、大空間であっても高効率なスポット空調運転を行うことができる。
【0089】
また、分岐上部材53は、分岐ダクト50の出口52側の端部近傍に分岐出口用結合部材56が設けられており、分岐下部材57は、出口52側の端部近傍に分岐出口用結合部材60が設けられている。分岐出口用結合部材56、60は、分岐ダクト50の出口52側の端部近傍において、分岐上部材53と分岐下部材57を着脱自在に結合する、例えば、面ファスナである。
【0090】
具体的には、分岐上部材53に設けられる分岐出口用結合部材56は、内周面に雌面を有する面ファスナであり、分岐下部材57に設けられる分岐出口用結合部材60は、分岐上部材53の分岐出口用結合部材56に結合するよう内周面に雄面を有する面ファスナである。面ファスナの雄雌面は、この逆の構成でも良い。
【0091】
これにより、分岐出口用結合部材56、60の結合、分解が容易であると共に、風圧に耐え得る好適な強度が得られる。なお、分岐出口用結合部材56、60は、既に説明した結合部材44、48と同様に、磁力を利用する結合手段であっても良い。磁力を利用した結合手段によっても、作業効率が良く、且つ安全な結合強度が得られる。
【0092】
このように分岐上部材53及び分岐下部材57の端部近傍に分岐出口用結合部材56、60が設けられることにより、分岐ダクト50の出口52近傍で分岐上部材53及び分岐下部材57を結合して、分岐ダクト50の出口52側の開口面積を小さくすることができる。
【0093】
詳しくは、分岐ダクト50の出口52は、完全に閉じられなくても良く、開口面積が小さくなるよう分岐上部材53と分岐下部材57の端部近傍が部分的に結合されても良い。分岐出口用結合部材56、60の長さ、即ち分岐上部材53及び分岐下部材57の端辺方向の分岐出口用結合部材56、60の長さL3は、分岐上部材53及び分岐下部材57の端辺の長さL4より短くても良い。例えば、分岐出口用結合部材56、60の長さL3は、分岐上部材53及び分岐下部材57の端辺の長さL4の1/10から9/10、好ましくは、1/3から2/3でも良い。
【0094】
このように、分岐上部材53及び分岐下部材57に分岐出口用結合部材56、60が設けられることにより、分岐出口用結合部材56、60で分岐上部材53及び分岐下部材57を結合して分岐ダクト50の端部の出口52から吹き出される空気の量を調整することができる。
【0095】
このような分岐出口用結合部材56、60による開口面積の調整により、分岐ダクト50の側方に形成された開口や他の分岐ダクト50の出口52等からそれぞれの場所に送られる空気の量を好適に調整することができる。よって、空調を必要とするそれぞれの作業場所等に好適な風量の冷風または温風を供給することができ、無駄の少ない高効率な空気調和を行うことができる。
【0096】
このように本発明の空気調和装置1は、ダクト40及び分岐ダクト50を有することにより、空気調和装置1から吹き出される冷気または暖気を分流して空調対象空間の複数の場所にそれぞれ直接的に効率良く供給することができる。よって、高効率な空調運転を行うことができる。
【0097】
以上説明の如く、本実施形態に係る空気調和装置1は、移動、設置が容易であると共に、ダクト40及び分岐ダクト50の組み立て、分解、取り付け取り外し作業を効率良く行うことができる。そして、利用側熱交換器12で冷却された低温の空気または加熱された高温の空気をメインダクトとしてのダクト40に送り、ダクト40に側面に着脱自在に設けられた分岐ダクト50を介して、冷房または暖房を必要とする複数の場所に向けて送り出すことができる。よって、大規模空間における高効率な空調運転が可能となる。
【0098】
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更実施が可能である。
【符号の説明】
【0099】
1 空気調和装置
2 本体
10 利用側ユニット
11 ハウジング
12 利用側熱交換器
13 利用側送風ファン
14 風向ガイド
15 吸込口
16 吹出口
17 ダクト支持部
20 熱源側ユニット
21 ハウジング
22 熱源側熱交換器
23 熱源側送風ファン
24 風向ガイド
25 吸込口
26 吹出口
28 冷媒配管
30 架台
31 ベース
32 利用側ユニット設置台
33 連結部材
34 車輪
40 ダクト
41 入口開口
42 出口開口
43 上部材
44 結合部材
45 入口用結合部材
46 出口用結合部材
47 下部材
48 結合部材
49 出口用結合部材
50 分岐ダクト
51 分岐入口
52 出口
53 分岐上部材
54 分岐ダクト用結合部材
55 分岐入口用結合部材
56 分岐出口用結合部材
57 分岐下部材
58 分岐ダクト用結合部材
59 分岐入口用結合部材
60 分岐出口用結合部材
図1
図2
図3
図4
図5