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特開2024-22772学習データ生成システム、推定システム、学習データ生成方法、推定方法、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022772
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】学習データ生成システム、推定システム、学習データ生成方法、推定方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01S 5/02 20100101AFI20240214BHJP
【FI】
G01S5/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022126102
(22)【出願日】2022-08-08
(71)【出願人】
【識別番号】507234427
【氏名又は名称】公立大学法人岩手県立大学
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【弁理士】
【氏名又は名称】村雨 圭介
(72)【発明者】
【氏名】堀川 三好
(72)【発明者】
【氏名】猪股 一歩希
【テーマコード(参考)】
5J062
【Fターム(参考)】
5J062AA09
5J062BB05
5J062CC18
(57)【要約】
【課題】端末装置が存在するエリアを信号の受信信号強度に関する情報に基づいて推定するための学習データを容易に生成することの可能な学習データ生成システム、学習データ生成方法、プログラムと、学習データを用いた推定システム、推定方法、プログラムと、を提供する。
【解決手段】学習データ生成システムは、所定の領域内の複数のエリアのうち端末装置が存在する何れかのエリアに関する情報を取得する第1取得手段と、端末装置が何れかのエリアに存在する場合に、所定の領域内の複数の第1通信装置の各々と端末装置との間で送受信される信号の受信信号強度に関する情報を取得する第2取得手段と、受信信号強度に関する情報に対して何れかのエリアに関する情報をラベルとして付与することによって、受信信号強度に関する情報に基づいて、端末装置が存在するエリアを推定するための学習データを生成する生成手段と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の領域内の複数のエリアのうち端末装置が存在する何れかのエリアに関する情報を取得する第1取得手段と、
前記端末装置が前記何れかのエリアに存在する場合に、前記所定の領域内に設けられた複数の第1通信装置の各々と前記端末装置との間で送受信される信号の受信信号強度に関する情報を取得する第2取得手段と、
取得した前記受信信号強度に関する情報に対して前記何れかのエリアに関する情報をラベルとして付与することによって、前記複数の第1通信装置の各々と前記端末装置との間で送受信される信号の受信信号強度に関する情報に基づいて、前記複数のエリアのうち前記端末装置が存在するエリアを推定するための学習データを生成する生成手段と、を備える、
学習データ生成システム。
【請求項2】
前記所定の領域内に設けられた複数の第2通信装置であって、前記複数の第1通信装置と異なる複数の第2通信装置と前記端末装置との間で送受信される信号の受信信号強度に関する情報に基づいて前記何れかのエリアを推定する推定手段を備える、請求項1に記載の学習データ生成システム。
【請求項3】
前記推定手段は、前記複数の第2通信装置のうち、送信又は受信した信号の受信信号強度の最も高い第2通信装置を含む少なくとも2つの第2通信装置を選択し、選択した第2通信装置の間に受信信号強度の所定期間内の平均値の有意差があるか否かを検定し、前記有意差があると検定された場合に、前記複数のエリアのうち受信信号強度の最も高い第2通信装置が存在するエリアを前記何れかのエリアとして推定する、請求項2に記載の学習データ生成システム。
【請求項4】
前記推定手段は、前記複数の第2通信装置のうち所定の条件を満たす第2通信装置の中から前記少なくとも2つの第2通信装置を選択する、請求項3に記載の学習データ生成システム。
【請求項5】
前記所定の条件は、第2通信装置又は端末装置における受信信号の受信間隔が所定値以下であることを含む、請求項4に記載の学習データ生成システム。
【請求項6】
前記推定手段は、前記複数の第2通信装置のうち対応する受信信号強度の高い順に2つの第2通信装置を選択する、請求項3に記載の学習データ生成システム。
【請求項7】
前記複数の第2通信装置の通信距離は、前記複数の第1通信装置の通信距離よりも短い、請求項2に記載の学習データ生成システム。
【請求項8】
前記複数の第2通信装置は、前記複数のエリア毎に少なくとも1つ設けられている、請求項2に記載の学習データ生成システム。
【請求項9】
所定の領域内に設けられた複数の第1通信装置の各々と前記所定の領域内に存在する端末装置との間で送受信される信号の受信信号強度に関する情報を取得する情報取得手段と、
取得した前記受信信号強度に関する情報と、請求項1~8の何れかの学習データ生成システムによって生成された学習データを用いた機械学習に基づく学習済モデルと、に基づいて、前記所定の領域内の複数のエリアのうち前記端末装置が存在するエリアを推定するエリア推定手段と、を備える、
推定システム。
【請求項10】
コンピュータが、
所定の領域内の複数のエリアのうち端末装置が存在する何れかのエリアに関する情報を取得するステップと、
前記端末装置が前記何れかのエリアに存在する場合に、前記所定の領域内に設けられた複数の第1通信装置の各々と前記端末装置との間で送受信される信号の受信信号強度に関する情報を取得するステップと、
取得した前記受信信号強度に関する情報に対して前記何れかのエリアに関する情報をラベルとして付与することによって、前記複数の第1通信装置の各々と前記端末装置との間で送受信される信号の受信信号強度に関する情報に基づいて、前記複数のエリアのうち前記端末装置が存在するエリアを推定するための学習データを生成するステップと、
の各ステップを実行する、学習データ生成方法。
【請求項11】
コンピュータが、
所定の領域内に設けられた複数の第1通信装置の各々と前記所定の領域内に存在する端末装置との間で送受信される信号の受信信号強度に関する情報を取得するステップと、
取得した前記受信信号強度に関する情報と、請求項10の学習データ生成方法によって生成された学習データを用いた機械学習に基づく学習済モデルと、に基づいて、前記所定の領域内の複数のエリアのうち前記端末装置が存在するエリアを推定するステップと、
の各ステップを実行する、推定方法。
【請求項12】
コンピュータに、
所定の領域内の複数のエリアのうち端末装置が存在する何れかのエリアに関する情報を取得する機能と、
前記端末装置が前記何れかのエリアに存在する場合に、前記所定の領域内に設けられた複数の第1通信装置の各々と前記端末装置との間で送受信される信号の受信信号強度に関する情報を取得する機能と、
取得した前記受信信号強度に関する情報に対して前記何れかのエリアに関する情報をラベルとして付与することによって、前記複数の第1通信装置の各々と前記端末装置との間で送受信される信号の受信信号強度に関する情報に基づいて、前記複数のエリアのうち前記端末装置が存在するエリアを推定するための学習データを生成する機能と、
を実現させるためのプログラム。
【請求項13】
コンピュータに、
所定の領域内に設けられた複数の第1通信装置の各々と前記所定の領域内に存在する端末装置との間で送受信される信号の受信信号強度に関する情報を取得する機能と、
取得した前記受信信号強度に関する情報と、請求項12のプログラムによって生成された学習データを用いた機械学習に基づく学習済モデルと、に基づいて、前記所定の領域内の複数のエリアのうち前記端末装置が存在するエリアを推定する機能と、
を実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、学習データ生成システム、推定システム、学習データ生成方法、推定方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば医療、介護、セキュリティ、業務・行動管理、情報提供サービス等の分野では、Wi-Fi(登録商標)やBluetooth(登録商標)等の無線通信において送受信される信号の受信信号強度(RSSI:Received Signal Strength Indicator)を用いて、対象となる動体(例えば、人物、動物、機械等)の位置(動体が存在するエリア)を推定する技術の研究が進められている。
【0003】
特許文献1には、所定の領域内の複数のエリアの各々におけるRSSIのセットを事前に測定しておき、移動端末装置が実測したRSSIのセットとの一致度によって当該移動端末装置の現在位置を推定する、いわゆるフィンガープリント法を用いた技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2013-512423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のフィンガープリント法を用いる技術において移動端末装置の現在位置の推定精度を向上させるためには、例えば、複数のエリアの各々におけるRSSIのセットを構成するRSSIの数(つまり、移動端末装置と信号の送受信を行うために所定の領域内に設けられた通信装置の数)を増やしたり、測定対象となるエリアの数(測定地点の数)を増やしたりする必要がある。また、フィンガープリント法を用いる場合には、例えば、所定の領域内の環境(地形や設置物等)が変化することによって各エリアにおけるRSSIの値が変化する毎に、複数のエリアの各々におけるRSSIのセットを測定し直す必要がある。これにより、移動端末装置の現在位置を推定するためのコストが増大する虞があった。このため、移動無線端末等の端末装置が存在する位置(エリア)を信号の受信信号強度に関する情報に基づいて容易に推定するための技術がもとめられている。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、端末装置が存在するエリアを信号の受信信号強度に関する情報に基づいて容易に推定するための学習データを生成することの可能な学習データ生成システム、学習データ生成方法、プログラム、及び、かかる学習データに基づいて、端末装置が存在するエリアを容易に推定することの可能な推定システム、推定方法、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、第一に本発明は、所定の領域内の複数のエリアのうち端末装置が存在する何れかのエリアに関する情報を取得する第1取得手段と、前記端末装置が前記何れかのエリアに存在する場合に、前記所定の領域内に設けられた複数の第1通信装置の各々と前記端末装置との間で送受信される信号の受信信号強度に関する情報を取得する第2取得手段と、取得した前記受信信号強度に関する情報に対して前記何れかのエリアに関する情報をラベルとして付与することによって、前記複数の第1通信装置の各々と前記端末装置との間で送受信される信号の受信信号強度に関する情報に基づいて、前記複数のエリアのうち前記端末装置が存在するエリアを推定するための学習データを生成する生成手段と、を備える、学習データ生成システムを提供する(発明1)。
【0008】
ここで、受信信号強度に関する情報とは、例えば、受信信号強度の値であってもよいし、受信信号強度の値を所定の計算式に代入することによって得られた値であってもよいし、受信信号強度の度合いを表す情報であってもよい。
【0009】
かかる発明(発明1)によれば、所定の領域内の複数のエリアのうち何れかのエリアに端末装置が存在する場合に端末装置と複数の第1通信装置の各々との間で送受信される信号の受信信号強度に関する情報に対して、当該何れかのエリアに関する情報がラベルとして付与されることによって、学習データが生成される。そして、この学習データを用いた機械学習に基づいて生成された学習済モデルを用いることによって、複数の第1通信装置の各々と端末装置との間で送受信される信号の受信信号強度に関する情報に基づいて、複数のエリアのうち端末装置が存在するエリアを容易に推定することが可能になる。これにより、端末装置が存在するエリアを信号の受信信号強度に関する情報に基づいて容易に推定するための学習データを生成することができる。
【0010】
上記発明(発明1)においては、前記所定の領域内に設けられた複数の第2通信装置であって、前記複数の第1通信装置と異なる複数の第2通信装置と前記端末装置との間で送受信される信号の受信信号強度に関する情報に基づいて前記何れかのエリアを推定する推定手段を備えてもよい(発明2)。
【0011】
かかる発明(発明2)によれば、複数の第2通信装置と端末装置との間で送受信される信号の受信信号強度に関する情報に基づいて推定されたエリア(端末装置が存在するものとして推定されたエリア)をラベルとして付与することが可能になる。
【0012】
上記発明(発明2)においては、前記推定手段は、前記複数の第2通信装置のうち、送信又は受信した信号の受信信号強度の最も高い第2通信装置を含む少なくとも2つの第2通信装置を選択し、選択した第2通信装置の間に受信信号強度の所定期間内の平均値の有意差があるか否かを検定し、前記有意差があると検定された場合に、前記複数のエリアのうち受信信号強度の最も高い第2通信装置が存在するエリアを前記何れかのエリアとして推定してもよい(発明3)。
【0013】
かかる発明(発明3)によれば、例えば、複数の第2通信装置の各々に対応する受信信号強度を単に大小比較するのではなく、特定の第2通信装置に対応する受信信号強度と他の第2通信装置に対応する受信信号強度との間に有意差があるのか否か(つまり、受信信号強度の差が偶然的なものであるのか否か)に基づいて、端末装置が存在するエリアを推定することが可能になる。これにより、例えば電波のゆらぎ等の影響を低減させた上で端末装置の位置を正確に推定することができる。
【0014】
上記発明(発明3)においては、前記推定手段は、前記複数の第2通信装置のうち所定の条件を満たす第2通信装置の中から前記少なくとも2つの第2通信装置を選択してもよい(発明4)。
【0015】
ここで、所定の条件とは、例えば、複数の第2通信装置のうち何れかの第2通信装置が端末装置の近くに存在していると考えられる条件であってもよく、具体的には、第2通信装置又は端末装置における受信信号強度の値が所定の閾値以上であることを含んでもよいし、第2通信装置又は端末装置における受信信号の受信間隔が所定値以下であることを含んでもよい。
【0016】
かかる発明(発明4)によれば、所定の条件を満たす(例えば、端末装置の近くに存在していると考えられる)第2通信装置以外の他の第2通信装置が選択されないので、当該他の第2通信装置が存在するエリアを端末装置が存在するエリアと誤って推定する可能性を低減することができる。これにより、端末装置が存在するエリアの推定精度を向上させることができる。
【0017】
上記発明(発明4)においては、前記所定の条件は、第2通信装置又は端末装置における受信信号の受信間隔が所定値以下であることを含んでもよい(発明5)。
【0018】
ここで、端末装置又は第2通信装置の受信特性は、端末装置又は第2通信装置の種類毎及び/又は個体毎に異なり得ることから、例えば、受信信号強度の値と所定の閾値との大小比較を行う場合には、最適な閾値を設定するのが困難になる虞がある。一方、第2通信装置又は端末装置における受信信号の受信間隔は、第2通信装置と端末装置との距離や装置間の障害物の有無等に依存するが、端末装置又は第2通信装置の種類や個体の違いによる影響を受け難い。
【0019】
かかる発明(発明5)によれば、第2通信装置又は端末装置における受信信号の受信間隔が所定値以下の通信装置(すなわち、端末装置との距離が短いと考えられる第2通信装置)の中から少なくとも2つの第2通信装置を選択することができる。これにより、端末装置又は第2通信装置の種類や個体の違いによる影響を受けることなく、端末装置が存在するエリアを正確に推定することができる。
【0020】
上記発明(発明3)においては、前記推定手段は、前記複数の第2通信装置のうち対応する受信信号強度の高い順に2つの第2通信装置を選択してもよい(発明6)。
【0021】
かかる発明(発明6)によれば、受信信号強度の高い順に選択された2つの第2通信装置の間に受信信号強度の所定期間内の平均値の有意差があるか否かを検定し、この検定結果に基づいて端末装置が存在するエリアを推定することができるので、例えば、受信信号強度の所定期間内の平均値の有意差があるか否かを、選択した第2通信装置の複数の組み合わせ毎に検定する場合と比較して、検定処理に係る負荷を低減することができる。これにより、端末装置が存在するエリアを正確且つ容易に推定することができる。
【0022】
上記発明(発明2)においては、前記複数の第2通信装置の通信距離は、前記複数の第1通信装置の通信距離よりも短くてもよい(発明7)。
【0023】
かかる発明(発明7)によれば、学習データが生成される場合に、第1通信装置よりも多くの第2通信装置を所定の領域内に配置することが可能になる。これにより、例えば、所定の領域内に配置される第2通信装置の数が少ない場合と比較して、端末装置に近接する第2通信装置の推定精度をより向上させることができる。
【0024】
上記発明(発明2)においては、前記複数の第2通信装置は、前記複数のエリア毎に少なくとも1つ設けられていてもよい(発明8)。
【0025】
かかる発明(発明8)によれば、例えば、端末装置に最も近接する第2通信装置が設けられたエリアを、端末装置が存在するエリアとして推定することが可能になる。
【0026】
第二に本発明は、所定の領域内に設けられた複数の第1通信装置の各々と前記所定の領域内に存在する端末装置との間で送受信される信号の受信信号強度に関する情報を取得する情報取得手段と、取得した前記受信信号強度に関する情報と、上記発明(発明1~8)の何れかの学習データ生成システムによって生成された学習データを用いた機械学習に基づく学習済モデルと、に基づいて、前記所定の領域内の複数のエリアのうち前記端末装置が存在するエリアを推定するエリア推定手段と、を備える、推定システムを提供する(発明9)。
【0027】
かかる発明(発明9)によれば、信号の受信信号強度に関する情報に基づいて、端末装置が存在するエリアを容易に推定することができる。
【0028】
第三に本発明は、コンピュータが、所定の領域内の複数のエリアのうち端末装置が存在する何れかのエリアに関する情報を取得するステップと、前記端末装置が前記何れかのエリアに存在する場合に、前記所定の領域内に設けられた複数の第1通信装置の各々と前記端末装置との間で送受信される信号の受信信号強度に関する情報を取得するステップと、取得した前記受信信号強度に関する情報に対して前記何れかのエリアに関する情報をラベルとして付与することによって、前記複数の第1通信装置の各々と前記端末装置との間で送受信される信号の受信信号強度に関する情報に基づいて、前記複数のエリアのうち前記端末装置が存在するエリアを推定するための学習データを生成するステップと、の各ステップを実行する、学習データ生成方法を提供する(発明10)。
【0029】
第四に本発明は、コンピュータが、所定の領域内に設けられた複数の第1通信装置の各々と前記所定の領域内に存在する端末装置との間で送受信される信号の受信信号強度に関する情報を取得するステップと、取得した前記受信信号強度に関する情報と、請求項10の学習データ生成方法によって生成された学習データを用いた機械学習に基づく学習済モデルと、に基づいて、前記所定の領域内の複数のエリアのうち前記端末装置が存在するエリアを推定するステップと、の各ステップを実行する、推定方法を提供する(発明11)。
【0030】
第五に本発明は、コンピュータに、所定の領域内の複数のエリアのうち端末装置が存在する何れかのエリアに関する情報を取得する機能と、前記端末装置が前記何れかのエリアに存在する場合に、前記所定の領域内に設けられた複数の第1通信装置の各々と前記端末装置との間で送受信される信号の受信信号強度に関する情報を取得する機能と、取得した前記受信信号強度に関する情報に対して前記何れかのエリアに関する情報をラベルとして付与することによって、前記複数の第1通信装置の各々と前記端末装置との間で送受信される信号の受信信号強度に関する情報に基づいて、前記複数のエリアのうち前記端末装置が存在するエリアを推定するための学習データを生成する機能と、を実現させるためのプログラムを提供する(発明12)。
【0031】
第六に本発明は、コンピュータに、所定の領域内に設けられた複数の第1通信装置の各々と前記所定の領域内に存在する端末装置との間で送受信される信号の受信信号強度に関する情報を取得する機能と、取得した前記受信信号強度に関する情報と、請求項12のプログラムによって生成された学習データを用いた機械学習に基づく学習済モデルと、に基づいて、前記所定の領域内の複数のエリアのうち前記端末装置が存在するエリアを推定する機能と、を実現させるためのプログラムを提供する(発明13)。
【発明の効果】
【0032】
本発明の学習データ生成システム、学習データ生成方法、プログラムによれば、端末装置が存在するエリアを信号の受信信号強度に関する情報に基づいて推定するための学習データを容易に生成することができる。また、本発明の推定システム、推定方法、プログラムによれば、かかる学習データに基づいて、端末装置が存在するエリアを容易に推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明の一実施形態に係る推定システムの基本構成を概略的に示す図である。
図2】推定装置の構成を示すブロック図である。
図3】学習データ生成システム及び推定システムで主要な役割を果たす機能を説明するための機能ブロック図である。
図4】本発明の一実施形態に係る学習データ生成システムにおいて第1取得データを取得する場合について説明する図である。
図5】第1取得データの構成例を示す図である。
図6】ラベル用のエリア推定処理の一例を示すフローチャートである。
図7】第2通信装置及び端末装置間の距離と、受信信号強度との関係を示す図である。
図8】本発明の一実施形態に係る学習データ生成システムにおいて第2取得データを取得する場合について説明する図である。
図9】第2取得データの構成例を示す図である。
図10】学習データの構成例を示す図である。
図11】第3取得データの構成例を示す図である。
図12】推定データの構成例を示す図である。
図13】本発明の一実施形態に係る学習データ生成システムの主要な処理の一例を示すフローチャートである。
図14】本発明の一実施形態に係る推定システムの主要な処理の一例を示すフローチャートである。
図15】学習データ生成システム及び推定システムの各機能について、生成装置と、推定装置との間の分担例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の一実施形態について添付図面を参照して詳細に説明する。ただし、この実施形態は例示であり、本発明はこれに限定されるものではない。
【0035】
(1)学習データ生成システム及び推定システムの基本構成
図1は、本発明の一実施形態に係る推定システムの基本構成を概略的に示す図である。図1に示すように、本実施形態に係る推定システムは、所定の領域R内に設けられた複数(図1に示す例では、4つ)の第1通信装置10の各々と領域R内に存在する端末装置20との間で送受信される信号の受信信号強度(RSSI)に関する情報を推定装置30が取得し、取得した受信信号強度に関する情報と、後述する学習データ生成システムによって生成された学習データを用いた機械学習に基づく学習済モデルと、に基づいて、領域R内の複数のエリア(図1に示す例では、エリアA~Eの5つのエリア)のうち端末装置20が存在するエリアを推定装置30が推定するようになっている。ここで、端末装置20及び推定装置30は、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等の通信網NW(ネットワーク)に接続されている。また、複数の第1通信装置10の各々も通信網NWに接続されていてもよい。
【0036】
また、本実施形態に係る学習データ生成システムは、推定装置30が、領域R内の複数のエリアのうち端末装置20が存在する何れかのエリアに関する情報を取得し、端末装置20が当該何れかのエリアに存在する場合に、領域R内に設けられた複数の第1通信装置10の各々と端末装置20との間で送受信される信号の受信信号強度に関する情報を取得し、取得した受信信号強度に関する情報に対して当該何れかのエリアに関する情報をラベルとして付与することによって、複数の第1通信装置10の各々と端末装置20との間で送受信される信号の受信信号強度に関する情報に基づいて、複数のエリアのうち端末装置20が存在するエリアを推定するための学習データを生成するようになっている。
【0037】
複数の第1通信装置10の各々は、領域R内で無線LAN(例えばWi-Fi(登録商標))を用いて端末装置20と無線通信を行うことが可能な位置に設けられている。なお、本実施形態では、複数の第1通信装置10の各々が領域Rの四隅に配置されている場合を一例として説明するが、複数の第1通信装置10の各々は、領域R内の任意の位置に配置されてもよい。また、複数の第1通信装置10の各々は、例えば、2つ以上の端末装置20間の無線通信を中継する装置であってもよいし、端末装置20と領域R内に存在する他の端末装置(図示省略)との間の無線通信を中継する装置であってもよいし、端末装置20と、通信網NWを介して接続された他の装置との間の通信を中継する装置であってもよい。さらに、複数の第1通信装置10の各々は、パケットキャプチャであってもよい。
【0038】
端末装置20は、領域R内に存在する場合に、無線LANを用いて複数の第1通信装置10の各々と無線通信を行うことができるように構成されている。なお、端末装置20は、例えば、端末装置20のユーザの身体に装着可能なウェアラブルデバイスであってもよいし、当該ユーザが所持可能な携帯型デバイスであってもよい。また、端末装置20は、例えば、携帯端末、スマートフォン、PDA(Personal Digital Assistant)、パーソナルコンピュータ、双方向の通信機能を備えたテレビジョン受像機(いわゆる多機能型のスマートテレビも含む。)等のように、個々のユーザによって操作される端末装置であってもよい。
【0039】
なお、ここでは、Wi-Fi(登録商標)を用いて無線通信を行う場合を一例として説明しているが、通信方式は、この場合に限られない。例えば、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)、UWB、光無線通信(例えば赤外線)等の無線通信方式が用いられてもよいし、USB等の有線通信方式が用いられてもよい。
【0040】
また、複数の第1通信装置10及び端末装置20のうち一方(例えば、端末装置20)には、複数の第1通信装置10及び端末装置20のうち他方(例えば、複数の第1通信装置10)から送信された無線信号を受信したときの受信信号強度を検出するRSSI回路が設けられていてもよい。この場合、複数の第1通信装置10及び端末装置20のうち他方(例えば、複数の第1通信装置10)は、複数の第1通信装置10及び端末装置20のうち一方(例えば、端末装置20)との間で無線通信を行うために、自身の識別情報(例えば、装置IDやMACアドレス等)を含む無線信号(例えばプローブ要求等)を所定間隔(例えば、数秒間隔)で送信するように構成されていてもよい。
【0041】
本実施形態では、端末装置20が、複数の第1通信装置10の各々から送信された無線信号を受信すると、受信した無線信号の受信信号強度を検出し、検出した受信信号強度に関する情報を、端末装置20の識別情報(例えば、端末装置IDやMACアドレス等)と対応付けた状態で推定装置30に送信する場合を一例として説明する。これに対し、複数の第1通信装置10の各々が、端末装置20から送信された無線信号を受信すると、受信した無線信号の受信信号強度を検出し、検出した受信信号強度に関する情報を、第1通信装置10の識別情報(例えば、装置IDやMACアドレス等)と対応付けた状態で推定装置30に送信するように構成されてもよい。
【0042】
推定装置30は、通信網NWを介して端末装置20と通信を行い、端末装置20から送信された受信信号強度に関する情報を、通信網NWを介して経時的に取得するように構成されている。推定装置30は、例えば、携帯端末、スマートフォン、PDA、パーソナルコンピュータ、双方向の通信機能を備えたテレビジョン受像機(いわゆる多機能型のスマートテレビも含む。)等のように、個々のユーザによって操作される端末装置であってもよい。
【0043】
(2)推定装置の構成
図2を参照して推定装置30の構成について説明する。図2は、推定装置30の内部構成を示すブロック図である。図2に示すように、推定装置30は、CPU(Central Processing Unit)31と、ROM(Read Only Memory)32と、RAM(Random Access Memory)33と、記憶装置34と、表示処理部35と、表示部36と、入力部37と、通信インタフェース部38と、を備えており、各部間の制御信号又はデータ信号を伝送するためのバス30aが設けられている。
【0044】
CPU31は、電源が推定装置30に投入されると、ROM32又は記憶装置34に記憶された各種のプログラムをRAM33にロードして実行する。本実施形態では、CPU31は、ROM32又は記憶装置34に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、後述する推定手段41、第1取得手段42、第2取得手段43、生成手段44、学習手段45、情報取得手段46及びエリア推定手段47(図3に示す)の機能を実現する。
【0045】
記憶装置34は、例えば、フラッシュメモリ、SSD(Solid State Drive)、磁気記憶装置(例えばHDD(Hard Disk Drive)、フロッピーディスク(登録商標)、磁気テープ等)、光ディスク等の不揮発性の記憶装置であってもよいし、RAM等の揮発性の記憶装置であってもよく、CPU31が実行するプログラムやCPU31が参照するデータを格納する。また、記憶装置34には、後述する第1取得データ(図5に示す)、第2取得データ(図9に示す)、学習データ(図10に示す)、第3取得データ(図11に示す)及び推定データ(図12に示す)が記憶されている。
【0046】
表示処理部35は、CPU31から与えられる表示用データを表示部36に表示する。表示部36は、例えば、マトリクス状に画素単位で配置された薄膜トランジスタを含むLCD(Liquid Crystal Display)モニタであり、表示用データに基づいて薄膜トランジスタを駆動することで、表示されるデータを表示画面に表示する。
【0047】
推定装置30が釦入力方式の装置である場合には、入力部37は、ユーザの操作入力を受け入れるための方向指示釦及び決定釦等の複数の指示入力釦を含む釦群と、テンキー等の複数の指示入力釦を含む釦群とを備え、各釦の押下(操作)入力を認識してCPU31へ出力するためのインタフェース回路を含む。
【0048】
推定装置30がタッチパネル入力方式の装置である場合には、入力部37は、主として表示画面に指先又はペンで触れることによるタッチパネル方式の入力を受け付ける。タッチパネル入力方式は、静電容量方式等の公知の方式であってもよい。
【0049】
また、推定装置30が音声入力可能な装置である場合には、入力部37は、音声入力用のマイクを含むように構成されてもよいし、外付けのマイクを介して入力された音声データをCPU31へ出力するためのインタフェース回路を備えてもよい。さらに、推定装置30が動画像及び/又は静止画像を入力可能な装置である場合には、入力部37は、画像入力用のデジタルカメラやデジタルビデオカメラを含むように構成されてもよいし、外付けのデジタルカメラやデジタルビデオカメラで撮像された画像データを受け付けてCPU31へ出力するためのインタフェース回路を備えてもよい。
【0050】
通信インタフェース部38は、通信網NWを介して他の装置(例えば、複数の第1通信装置10及び後述する複数の第2通信装置50等)と通信を行うためのインタフェース回路を含む。
【0051】
(3)学習データ生成システム及び推定システムにおける各機能の概要
本実施形態の学習データ生成システム及び推定システムで実現される機能について、図3を参照して説明する。図3は、本実施形態の学習データ生成システム及び推定システムで主要な役割を果たす機能を説明するための機能ブロック図である。図3の機能ブロック図では、第1取得手段42、第2取得手段43及び生成手段44が本発明の学習データ生成システムの主要な構成に対応しており、情報取得手段46及びエリア推定手段47が本発明の推定システムの主要な構成に対応している。他の手段(推定手段41及び学習手段45)は必ずしも必須の構成ではないが、本発明をさらに好ましくするための構成要素である。
【0052】
推定手段41は、所定の領域R内に設けられた複数の第2通信装置50であって、複数の第1通信装置10と異なる複数の第2通信装置50と端末装置20との間で送受信される信号の受信信号強度に関する情報に基づいて、複数のエリアのうち端末装置20が存在する何れかのエリアを推定する機能を備えてもよい。ここで、受信信号強度に関する情報とは、例えば、受信信号強度の値であってもよいし、受信信号強度の値を所定の計算式に代入することによって得られた値であってもよいし、受信信号強度の度合いを表す情報であってもよい。これにより、複数の第2通信装置50と端末装置20との間で送受信される信号の受信信号強度に関する情報に基づいて推定されたエリア(端末装置20が存在するものとして推定されたエリア)をラベルとして付与することが可能になる。
【0053】
また、推定手段41は、複数の第2通信装置50のうち、送信又は受信した信号の受信信号強度の最も高い第2通信装置50を含む少なくとも2つの第2通信装置50を選択し、選択した第2通信装置50の間に受信信号強度の所定期間内の平均値の有意差があるか否かを検定し、有意差があると検定された場合に、複数のエリアのうち受信信号強度の最も高い第2通信装置50が存在するエリアを端末装置20が存在する何れかのエリアとして推定してもよい。これにより、例えば、複数の第2通信装置50の各々に対応する受信信号強度を単に大小比較するのではなく、特定の第2通信装置50に対応する受信信号強度と他の第2通信装置50に対応する受信信号強度との間に有意差があるのか否か(つまり、受信信号強度の差が偶然的なものであるのか否か)に基づいて、端末装置20が存在するエリアを推定することが可能になる。これにより、例えば電波のゆらぎ等の影響を低減させた上で端末装置20の位置を正確に推定することができる。
【0054】
さらに、推定手段41は、複数の第2通信装置50のうち所定の条件を満たす第2通信装置50の中から少なくとも2つの第2通信装置50を選択してもよい。ここで、所定の条件とは、例えば、複数の第2通信装置50のうち何れかの第2通信装置50が端末装置20の近くに存在していると考えられる条件であってもよく、具体的には、第2通信装置50又は端末装置20における受信信号強度の値が所定の閾値以上であることを含んでもよいし、第2通信装置50又は端末装置20における受信信号の受信間隔が所定値以下であることを含んでもよい。この場合、所定の条件を満たす(例えば、端末装置20の近くに存在していると考えられる)第2通信装置50以外の他の第2通信装置50が選択されないので、当該他の第2通信装置50が存在するエリアを端末装置20が存在するエリアと誤って推定する可能性を低減することができる。これにより、端末装置20が存在するエリアの推定精度を向上させることができる。
【0055】
さらにまた、上記の所定の条件は、第2通信装置50又は端末装置20における受信信号の受信間隔が所定値以下であることを含んでもよい。ここで、端末装置20又は第2通信装置50の受信特性は、端末装置20又は第2通信装置50の種類毎及び/又は個体毎に異なり得ることから、例えば、受信信号強度の値と所定の閾値との大小比較を行う場合には、最適な閾値を設定するのが困難になる虞がある。一方、第2通信装置50又は端末装置20における受信信号の受信間隔は、第2通信装置50と端末装置20との距離や装置間の障害物の有無等に依存するが、端末装置20又は第2通信装置50の種類や個体の違いによる影響を受け難い。この場合、第2通信装置50又は端末装置20における受信信号の受信間隔が所定値以下の通信装置(すなわち、端末装置20との距離が短いと考えられる第2通信装置50)の中から少なくとも2つの第2通信装置50を選択することができる。これにより、端末装置20又は第2通信装置50の種類や個体の違いによる影響を受けることなく、端末装置20が存在するエリアを正確に推定することができる。
【0056】
また、推定手段41は、複数の第2通信装置50のうち対応する受信信号強度の高い順に2つの第2通信装置50を選択してもよい。これにより、受信信号強度の高い順に選択された2つの第2通信装置50の間に受信信号強度の所定期間内の平均値の有意差があるか否かを検定し、この検定結果に基づいて端末装置20が存在するエリアを推定することができるので、例えば、受信信号強度の所定期間内の平均値の有意差があるか否かを、選択した第2通信装置50の複数の組み合わせ毎に検定する場合と比較して、検定処理に係る負荷を低減することができる。これにより、端末装置20が存在するエリアを正確且つ容易に推定することができる。
【0057】
さらに、複数の第2通信装置50の通信距離は、複数の第1通信装置10の通信距離よりも短くてもよい。これにより、学習データが生成される場合に、第1通信装置10よりも多くの第2通信装置50を領域R内に配置することが可能になる。したがって、例えば、領域R内に配置される第2通信装置50の数が少ない場合と比較して、端末装置20に近接する第2通信装置50の推定精度をより向上させることができる。
【0058】
さらにまた、複数の第2通信装置50は、複数のエリア毎に少なくとも1つ設けられていてもよい。これにより、例えば、端末装置20に最も近接する第2通信装置50が設けられたエリアを、端末装置20が存在するエリアとして推定することが可能になる。
【0059】
推定手段41の機能は、例えば以下のように実現される。なお、ここでは、図4に示すように、領域R内の複数のエリア毎に少なくとも1つの第2通信装置50が設けられており、端末装置20が複数のエリアのうちエリアAに存在する場合に、複数の第2通信装置50の各々から送信された無線信号を受信する場合を一例として説明する。ここで、複数の第2通信装置50の各々は、複数の第1通信装置10と同様に構成されてもよい。また、複数の第2通信装置50の通信距離(例えば、5m等)は、複数の第1通信装置10の通信距離(例えば、15m等)より短くてもよい。
【0060】
先ず、端末装置20は、複数の第2通信装置50の各々から送信された無線信号(ここでは、5つの第2通信装置50から送信された全ての無線信号)を受信する毎に、受信した無線信号のデータ(例えば、第2通信装置50の識別情報(例えば、装置ID等))を、通信網NWを介して推定装置30に送信する。ここで、端末装置20は、複数の第2通信装置50の各々から無線信号を受信したときにRSSI回路によって検出された当該無線信号の受信信号強度の値と、端末装置20の識別情報(例えば、端末装置ID等)とを、当該無線信号のデータに対応付けた状態で推定装置30に送信する。
【0061】
一方、推定装置30のCPU31は、無線信号のデータと、当該無線信号の受信信号強度の値と、端末装置20の識別情報とを、通信インタフェース部38を介して受信(取得)する毎に、複数のエリアの各々に配置された第2通信装置50に対応する無線信号の受信信号強度の値と、端末装置20の識別情報と、を対応付けた状態で例えば図5に示す第1取得データに記憶する。第1取得データは、端末装置20の識別情報(端末装置ID)毎に、複数のエリア(図の例では、エリアA~E)の各々に配置された複数の第2通信装置50から端末装置20に送信された無線信号の受信信号強度の値が対応付けられた状態で記述されているデータである。なお、第1取得データは、同一の端末装置20が領域R内の異なる複数の位置の各々において複数の第2通信装置50から受信した無線信号の受信信号強度の値を含むように構成されてもよい。
【0062】
次に、推定装置30のCPU31は、例えば図6に示すフローチャートに従って、端末装置20が存在するエリアを推定する。ところで、1つの第2通信装置50と端末装置20との距離は、例えば、以下の式(1)及び(2)を用いることによって算出することができる。
=P+G+G-L …(1)
【数1】

式(1)中、Pは受信信号強度(dBm)を示し、Pは電波発信装置(ここでは、端末装置20)の送信電力(dBm)を示し、Gは第2通信装置50の受信アンテナの利得(dBi)を示し、Gは端末装置20の送信アンテナの利得(dBi)を示し、Lは自由空間損失(dBm)を示している。このLは式(2)でもとめられ、式(2)中、dは第2通信装置50と端末装置20との距離(m)を示し、fは電波の周波数(Hz)を示し、cは光速(=2.99792458×10)(m/s)を示している。式(1)及び式(2)によってもとめられる距離と受信信号強度の値との関係は、例えば図7に示す対数関数で表される。図7に示すように、第2通信装置50と端末装置20との距離が短いほど、受信信号強度の値が大きいことがわかる。
【0063】
そこで、図6のフローチャートを参照すると、推定装置30のCPU31は、第1取得データにアクセスして、複数のエリアの各々に配置された複数の第2通信装置50のうち、無線信号に対応する受信信号強度(RSSI)の最も高い第2通信装置50を含む少なくとも2つの第2通信装置50を選択する(ステップS100)。例えば、CPU31は、第1取得データにアクセスして、複数のエリアの各々に配置された複数の第2通信装置50のうち、無線信号に対応する受信信号強度の値が高い順に2つの第2通信装置50(例えば、エリアA及びエリアBの各々に配置された2つの第2通信装置50)を選択する。
【0064】
次に、推定装置30のCPU31は、選択した2つの第2通信装置50に対応する受信信号強度の値が正規分布に従うか否か(正規性を有しているか否か)を、正規性検定(例えば、Kolmogorv-Smirnov検定やShapiro-Wilk検定等)を行うことにより判別する(ステップS102)。
【0065】
推定装置30のCPU31は、正規性を有していると判別した場合に(ステップS102:YES)、パラメトリック検定を行う。具体的には、CPU31は、選択した2つの第2通信装置50に対応する受信信号強度の値が等分散性を有しているか否かを、例えばF検定を行うことにより判別する(ステップS104)。さらに、CPU31は、等分散性を有していると判別した場合に(ステップS104:YES)、選択した2つの第2通信装置50の間に受信信号強度の平均値の有意差があるか否かを、例えばt検定を行うことにより判別する(ステップS106)。また、CPU31は、等分散性を有していないと判別した場合に(ステップS104:NO)、選択した2つの第2通信装置50の間に受信信号強度の所定期間内の平均値の有意差があるか否かを、例えばWelchのt検定を行うことにより判別する(ステップS108)。
【0066】
なお、推定装置30のCPU31は、正規性を有していないと判別した場合に(ステップS102:NO)、選択した2つの第2通信装置50の間に受信信号強度の所定期間内の平均値の有意差があるか否かを、例えばMann-WhitneyのU検定やWilcoxonの順位和検定等のノンパラメトリック検定を行うことにより判別する(ステップS110)。
【0067】
次に、推定装置30のCPU31は、ステップS106、ステップS108又はステップS110の処理において、選択した2つの第2通信装置50の間に受信信号強度の所定期間内の平均値の有意差があると判別した場合に(ステップS112:YES)、選択した2つの第2通信装置50のうち対応する受信信号強度の最も高い第2通信装置50が存在するエリア(例えば、エリアA)を、端末装置20が存在するエリアと推定してもよい(ステップS114)。また、推定装置30のCPU31は、受信信号強度の所定期間内の平均値の有意差がないと判別した場合には(ステップS112:NO)、端末装置20の現在位置の変更なし(つまり、端末装置20の位置は、端末装置20の事前の位置と同じ位置である)と判別して処理を終了してもよい。
【0068】
このようにして、複数の第2通信装置50と端末装置20との間で送受信される信号の受信信号強度に関する情報に基づいて、複数のエリアのうち端末装置20が存在する何れかのエリアを推定することができる。
【0069】
第1取得手段42は、所定の領域R内の複数のエリアのうち端末装置20が存在する何れかのエリアに関する情報を取得する機能を備える。
【0070】
第1取得手段42の機能は、例えば以下のように実現される。推定装置30のCPU31は、例えば、推定手段41の機能に基づいて推定された何れかのエリア(端末装置20が存在するエリア)に関する情報を、例えばRAM33又は記憶装置34に記憶(取得)してもよい。
【0071】
第2取得手段43は、端末装置20が何れかのエリア(第1取得手段42の機能に基づいて取得された何れかのエリア)に存在する場合に、所定の領域R内に設けられた複数の第1通信装置10の各々と端末装置20との間で送受信される信号の受信信号強度に関する情報を取得する機能を備える。
【0072】
第2取得手段43の機能は、例えば以下のように実現される。なお、ここでは、図8に示すように、端末装置20が複数のエリアのうちエリアAに存在する場合に、複数の第1通信装置10の各々から送信された無線信号を受信する場合を一例として説明する。
【0073】
先ず、端末装置20は、複数の第1通信装置10の各々から送信された無線信号(ここでは、4つの第1通信装置10から送信された全ての無線信号)を受信する毎に、受信した無線信号のデータ(例えば、第1通信装置10の識別情報(例えば、装置ID等))を、通信網NWを介して推定装置30に送信する。ここで、端末装置20は、複数の第1通信装置10の各々から無線信号を受信したときにRSSI回路によって検出された当該無線信号の受信信号強度の値と、端末装置20の識別情報(例えば、端末装置ID等)とを、当該無線信号のデータに対応付けた状態で推定装置30に送信する。
【0074】
一方、推定装置30のCPU31は、無線信号のデータと、当該無線信号の受信信号強度の値と、端末装置20の識別情報とを、通信インタフェース部38を介して受信(取得)する毎に、複数の第1通信装置10の各々に対応する無線信号の受信信号強度の値と、端末装置20の識別情報と、を対応付けた状態で例えば図9に示す第2取得データに記憶する。第2取得データは、端末装置20の識別情報(端末装置ID)毎に、複数の第1通信装置10から端末装置20に送信された無線信号の受信信号強度の値が対応付けられた状態で記述されているデータである。なお、第2取得データは、同一の端末装置20が領域R内の異なる複数の位置の各々において複数の第1通信装置10から受信した無線信号の受信信号強度の値を含むように構成されてもよい。
【0075】
生成手段44は、取得した受信信号強度に関する情報に対して何れかのエリア(第1取得手段42の機能に基づいて取得された何れかのエリア)に関する情報をラベルとして付与することによって、複数の第1通信装置10の各々と端末装置20との間で送受信される信号の受信信号強度に関する情報に基づいて、複数のエリアのうち端末装置20が存在するエリアを推定するための学習データを生成する機能を備える。
【0076】
生成手段44の機能は、例えば以下のように実現される。推定装置30のCPU31は、例えば、第2取得手段43の機能に基づいて、複数の第1通信装置10の各々と端末装置20との間で送受信される信号の受信信号強度に関する情報を取得すると、取得した受信信号強度に関する情報と、第1取得手段42の機能に基づいて例えばRAM33又は記憶装置34に記憶された何れかのエリアに関する情報と、を対応付けた状態で例えば図10に示す学習データに記憶する。図10に示す第2学習データは、端末装置20が複数の第1通信装置10の各々から受信した無線信号の受信信号強度に関する情報と、端末装置20が複数の第1通信装置10の各々から無線信号を受信したときに存在すると推定されたエリア(エリアラベル)と、が対応付けた状態で記述されているデータである。これにより、機械学習の結果として、端末装置20が複数の第1通信装置10の各々から受信した無線信号の受信信号強度と、端末装置20が複数の第1通信装置10の各々から無線信号を受信したときに存在するエリアとの関係を示す学習済モデルが構成される。
【0077】
なお、学習データに記述されるデータは、同一の端末装置20が領域R内の異なる位置に存在する場合のデータを含んでもよいし、異なる端末装置20が領域R内の同じ位置に存在する場合のデータを含んでもよい。
【0078】
学習手段45は、複数の第1通信装置10の各々と端末装置20との間で送受信される信号の受信信号強度に関する情報を学習データとして用いた機械学習によって、複数の第1通信装置10の各々と端末装置20との間で送受信される信号の受信信号強度に関する情報に基づいて、複数のエリアのうち端末装置20が存在するエリアを推定するのに用いられるモデルを学習する機能を備える。
【0079】
学習手段45の機能は、例えば以下のように実現される。推定装置30のCPU31は、例えば、所定のモデル学習指示が入力部37を用いて入力されると、図10に示す学習データを用いて、複数のエリアのうち端末装置20が存在するエリアを推定するのに用いられるモデルの学習を行ってもよい。CPU31は、例えば、時系列対応型ニューラルネットワークモデルを用いて学習してもよい。ここで、時系列対応型ニューラルネットワークとして、例えば、RNN(Recurrent Neural Network)や、RNNの発展型であるLSTM(Long Short-Term Memory)等を適用することができる。また、CPU31は、例えば、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)モデル、サポートベクターマシン(SVM)モデル、全結合ニューラルネットワーク(FNN)モデル、勾配ブースティング(HGB)モデル、ウェーブネット(WN)モデル、ExtraTrees(Extremely Randomized Trees)モデル等の複数のモデルのうち何れかのモデルを用いて学習してもよい。
【0080】
情報取得手段46は、所定の領域R内に設けられた複数の第1通信装置10の各々と領域R内に存在する端末装置20との間で送受信される信号の受信信号強度に関する情報を取得する機能を備える。
【0081】
情報取得手段46の機能は、例えば以下のように実現される。なお、ここでは、図1に示すように、端末装置20が複数のエリアのうちエリアAに存在する場合に、複数の第1通信装置10の各々から送信された無線信号を受信する場合を一例として説明する。この場合、複数の第2通信装置50は、領域R内に設けられていなくてもよい。
【0082】
先ず、端末装置20は、複数の第1通信装置10の各々から送信された無線信号(ここでは、4つの第1通信装置10から送信された全ての無線信号)を受信する毎に、受信した無線信号のデータ(例えば、第1通信装置10の識別情報(例えば、装置ID等))を、通信網NWを介して推定装置30に送信する。ここで、端末装置20は、複数の第1通信装置10の各々から無線信号を受信したときにRSSI回路によって検出された当該無線信号の受信信号強度の値と、端末装置20の識別情報(例えば、端末装置ID等)とを、当該無線信号のデータに対応付けた状態で推定装置30に送信する。
【0083】
一方、推定装置30のCPU31は、無線信号のデータと、当該無線信号の受信信号強度の値と、端末装置20の識別情報とを、通信インタフェース部38を介して受信(取得)する毎に、複数の第1通信装置10の各々に対応する無線信号の受信信号強度の値と、端末装置20の識別情報と、これらの情報の受信日時(取得日時)と、を対応付けた状態で例えば図11に示す第3取得データに記憶する。ここで、受信日時(取得日時)は、CPU31に内蔵されたタイマ(図示省略)等によって取得されてもよい。第3取得データは、端末装置20の識別情報(端末装置ID)毎に、複数の第1通信装置10の各々から端末装置20に送信された無線信号の受信信号強度の値と、受信日時(取得日時)と、が対応付けられた状態で記述されているデータである。なお、第3取得データは、同一の端末装置20が領域R内の異なる複数の位置の各々において複数の第1通信装置10から受信した無線信号の受信信号強度の値を含むように構成されてもよい。
【0084】
エリア推定手段47は、取得した受信信号強度に関する情報と、学習データ生成システムによって生成された学習データを用いた機械学習に基づく学習済モデルと、に基づいて、所定の領域R内の複数のエリアのうち端末装置20が存在するエリアを推定する機能を備える。
【0085】
エリア推定手段47の機能は、例えば以下のように実現される。推定装置30のCPU31は、例えば、情報取得手段46の機能に基づいて受信信号強度に関する情報を取得する毎に、第3取得データにアクセスして、新たに記憶されたデータ(ここでは、端末装置ID、複数の第1通信装置10の各々に対応する受信信号強度及び取得日時)を抽出する。
【0086】
次に、CPU31は、第3取得データから抽出した複数の第1通信装置10の各々に対応する受信信号強度を、学習手段45の機能に基づいて構成された学習済モデルに入力することによって、所定の領域R内の複数のエリアのうち端末装置20が存在するエリアを推定してもよい。また、CPU31は、第3取得データから抽出したデータと、推定されたエリアと、を例えば図12に示す推定データに記憶してもよい。図12に示す推定データは、第3取得データから抽出されたデータ(ここでは、端末装置ID、複数の第1通信装置10の各々に対応する受信信号強度及び取得日時)と、複数の第1通信装置10の各々に対応する受信信号強度に基づいて推定された、端末装置20が存在するエリアと、が対応付けられた状態で記述されているデータである。
【0087】
このようにして、CPU31は、複数の第1通信装置10の各々に対応する受信信号強度に関する情報を学習済モデルに入力することによって、端末装置20が存在するエリアを容易に推定することができる。
【0088】
なお、CPU31は、エリア推定手段47の機能に基づいて推定された、端末装置20が存在するエリアに関する情報を提示してもよい。例えば、CPU31は、端末装置20が存在するエリアを推定すると、端末装置20が存在するエリアに関する情報を例えば表示部36に表示してもよい。ここで、端末装置20が存在するエリアに関する情報は、テキストデータで構成されてもよいし、画像データ等で構成されてもよい。また、端末装置20が存在するエリアに関する情報が音声データで構成されている場合には、端末装置20が存在するエリアに関する情報を、スピーカ等の音声出力装置から出力してもよい。
【0089】
また、CPU31は、端末装置20が存在するエリアに関する情報を、通信網NWを介して推定装置30に接続された他のコンピュータ(例えば、サーバ等)に送信してもよい。
【0090】
(4)本実施形態の学習データ生成システムの主要な処理のフロー
次に、本実施形態の学習データ生成システムにより行われる主要な処理のフローの一例について、図13のフローチャートを参照して説明する。
【0091】
先ず、推定装置30のCPU31は、第1取得手段42の機能に基づいて、所定の領域R内の複数のエリアのうち端末装置20が存在する何れかのエリアに関する情報を取得する(ステップS200)。ここで、CPU31は、推定手段41の機能に基づいて推定されたエリア(端末装置20が存在すると推定されたエリア)を何れかのエリアに関する情報として取得してもよい。
【0092】
次に、推定装置30のCPU31は、第2取得手段43の機能に基づいて、端末装置20が何れかのエリア(ステップS200の処理において取得した情報に対応するエリア)に存在する場合に、所定の領域R内に設けられた複数の第1通信装置10の各々と端末装置20との間で送受信される信号の受信信号強度に関する情報を取得する(ステップS202)。
【0093】
次いで、推定装置30のCPU31は、生成手段44の機能に基づいて、取得した受信信号強度に関する情報に対して何れかのエリアに関する情報をラベルとして付与することによって、複数の第1通信装置10の各々と端末装置20との間で送受信される信号の受信信号強度に関する情報に基づいて、複数のエリアのうち端末装置20が存在するエリアを推定するための学習データを生成する(ステップS204)。
【0094】
(5)本実施形態の推定システムの主要な処理のフロー
次に、本実施形態の推定システムにより行われる主要な処理のフローの一例について、図14のフローチャートを参照して説明する。
【0095】
先ず、推定装置30のCPU31は、情報取得手段46の機能に基づいて、所定の領域R内に設けられた複数の第1通信装置10の各々と領域R内に存在する端末装置20との間で送受信される信号の受信信号強度に関する情報を取得する(ステップS300)。
【0096】
次に、推定装置30のCPU31は、エリア推定手段47の機能に基づいて、取得した受信信号強度に関する情報と、学習データ生成システムによって生成された学習データを用いた機械学習に基づく学習済モデルと、に基づいて、所定の領域R内の複数のエリアのうち端末装置20が存在するエリアを推定する(ステップS302)。
【0097】
上述したように、本実施形態の学習データ生成システム、学習データ生成方法、プログラムによれば、所定の領域R内の複数のエリアのうち何れかのエリアに端末装置20が存在する場合に端末装置20と複数の第1通信装置10の各々との間で送受信される信号の受信信号強度に関する情報に対して、当該何れかのエリアに関する情報がラベルとして付与されることによって、学習データが生成される。そして、この学習データを用いた機械学習に基づいて生成された学習済モデルを用いることによって、複数の第1通信装置10の各々と端末装置20との間で送受信される信号の受信信号強度に関する情報に基づいて、複数のエリアのうち端末装置20が存在するエリアを容易に推定することが可能になる。これにより、端末装置20が存在するエリアを信号の受信信号強度に関する情報に基づいて容易に推定するための学習データを生成することができる。
【0098】
また、本実施形態の推定システム、推定方法、プログラムによれば、信号の受信信号強度に関する情報に基づいて、端末装置20が存在するエリアを容易に推定することができる。
【0099】
なお、本発明のプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記憶されていてもよい。このプログラムを記録した記憶媒体は、図2に示す推定装置30のROM32、RAM33又は記憶装置34であってもよい。また、記憶媒体は、例えばCD-ROMドライブ等のプログラム読取装置に挿入されることで読み取り可能なCD-ROM等であってもよい。さらに、記憶媒体は、磁気テープ、カセットテープ、フレキシブルディスク、MO/MD/DVD等であってもよいし、半導体メモリであってもよい。
【0100】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0101】
上述した実施形態では、第1取得手段42が、推定手段41の機能に基づいて推定されたエリアに関する情報を取得する場合を一例として説明したが、本発明はこの場合に限られない。例えば、第1取得手段42は、端末装置20から送信されたエリア(端末装置20が存在するエリア)に関する情報を受信することによって、エリアに関する情報を取得してもよい。ここで、端末装置20から送信されるエリアに関する情報は、例えば、端末装置20のユーザによって入力された情報であってもよいし、端末装置20に設けられた測定装置(例えば、位置検出装置等)によって測定された情報であってもよい。この場合、推定装置30のCPU31は、端末装置20から送信されたエリアに関する情報を受信すると、受信したエリアに関する情報を例えばRAM33又は記憶装置34に記憶してもよい。また、第1取得手段42は、端末装置20以外の他の装置から送信されたエリア(端末装置20が存在するエリア)に関する情報を受信することによって、エリアに関する情報を取得してもよい。
【0102】
また、上述した実施形態では、動体が人物(ユーザ)である場合を一例として説明したが、この場合に限られない。動体は、存在するエリア(位置)推定の対象となり得るものであれば如何なるものであってもよく、例えば、人物以外の動物であってもよいし、作業機械、車両、飛行体等のオブジェクトであってもよい。
【0103】
さらに、上述した実施形態では、領域R内の複数のエリア(エリアA~E)の各々が略矩形状に形成されている場合を一例として説明したが、各エリアの形状は、矩形以外の他の形状(例えば、円形等)に形成されてもよい。
【0104】
さらにまた、上述した実施形態では、領域R内の複数のエリア(エリアA~E)の各々のサイズが異なるように形成されている場合を一例として説明したが、各エリアのうち少なくとも2つ以上が同じサイズに形成されてもよい。また、各エリアの配置は、任意に設定されてもよい。
【0105】
また、上述した実施形態では、領域R内の複数のエリア(エリアA~E)の各々に1つの第2通信装置50が設けられている場合を一例として説明したが、各エリアに2つ以上の第2通信装置50が設けられていてもよい。また、各エリアに配置される第2通信装置50の数は、エリア毎に異なっていてもよいし、同じであってもよい。
【0106】
さらに、上述した実施形態では、領域Rにおいて1つの端末装置20が存在するエリアが推定される場合を一例として説明したが、例えば領域R内に複数の端末装置20が存在する場合には、複数の端末装置20毎に端末装置20が存在するエリアが推定されてもよい。
【0107】
さらにまた、上述した実施形態では、1つの推定装置30が設けられている場合を一例として説明したが、この場合に限られない。例えば、複数の推定装置30が設けられてもよく、この場合には、何れかの推定装置30上の操作内容及び処理結果等が他の推定装置30上でリアルタイムに提示されてもよいし、何れかの推定装置30での処理結果等が複数の推定装置30間で共有されてもよい。
【0108】
また、上述した実施形態では、推定装置30によって、推定手段41、第1取得手段42、第2取得手段43、生成手段44、学習手段45、情報取得手段46及びエリア推定手段47の各機能を実現する構成としたが、この構成に限られない。例えば、インターネットやLAN等の通信網を介して推定装置30と通信可能に接続されたコンピュータ等(例えば、汎用のパーソナルコンピュータやサーバコンピュータ等)から構成された生成装置60(図15に示す)であって、複数の第1通信装置10の各々と端末装置20との間で送受信される信号の受信信号強度に関する情報に基づいて、端末装置20が存在するエリアを推定するための学習データを生成するのに用いられる生成装置60が設けられてもよい。この場合、推定装置30及び生成装置60は、実質的に同一のハードウェア構成を採ることができるので、上記実施形態において説明した各手段41~47のうち少なくとも1つの手段の機能を生成装置60によって実現することが可能になる。例えば、図3に示した機能ブロック図の各機能は、図15(a),(b)に示すように、推定装置30と生成装置60との間で任意に分担されてもよい。
【0109】
さらに、上記各手段41~47のうち少なくとも1つの手段の機能を、推定装置30以外の他の装置(例えば、第1通信装置10及び/又は第2通信装置50等)によって実現する構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0110】
上述したような本発明の学習データ生成システム、推定システム、学習データ生成方法、推定方法、プログラムは、所定の領域R内で端末装置20(ひいては、端末装置20が設けられた動体)が存在するエリアを正確且つ容易に把握することができ、例えば、動体(例えば、作業者や作業機械等)の行動分析等を行う業務管理システムや、動体が存在するエリアに応じて適切な情報を提供する情報提供システムや、動体(例えば、入院患者、施設の入居者、ペット等)のモニタリングシステム等に好適に利用することができるので、その産業上の利用可能性は極めて大きい。
【符号の説明】
【0111】
10…第1通信装置
20…端末装置
30…推定装置
41…推定得手段
42…第1取得手段
43…第2取得手段
44…生成手段
45…学習手段
46…情報取得手段
47…エリア推定手段
50…第2通信装置
60…生成装置
R…領域
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