(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022778
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】ゲルの製造方法および粒子分散ゲルの製造方法
(51)【国際特許分類】
C08J 3/09 20060101AFI20240214BHJP
【FI】
C08J3/09
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022126112
(22)【出願日】2022-08-08
(71)【出願人】
【識別番号】000165974
【氏名又は名称】古河機械金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 千里
(72)【発明者】
【氏名】石田 怜司
【テーマコード(参考)】
4F070
【Fターム(参考)】
4F070AA01
4F070AA26
4F070AA29
4F070AA38
4F070AA62
4F070AC06
4F070AC36
4F070AE10
4F070AE28
4F070CA12
4F070CB05
4F070CB11
(57)【要約】
【課題】ゲルの網目サイズの均一性を向上できるゲルの製造方法および粒子の分散性を向上できる粒子分散ゲルの製造方法を提供する。
【解決手段】ポリマー(A)および溶媒(B)を含み、かつ、三次元の網目構造を有するゲルを製造するための製造方法であって、前記ポリマー(A)および前記溶媒(B)を混合することによりゲル状物を得る工程と、前記ゲル状物を混錬することにより、三次元の網目構造を有するゲルを得る工程と、を含む、ゲルの製造方法、並びに、ポリマー(A)、溶媒(B)および粒子(C)を含み、かつ、三次元の網目構造を有する粒子分散ゲルを製造するための製造方法であって、前記ポリマー(A)、前記溶媒(B)および前記粒子(C)を混合することによりゲル状物を得る工程と、前記ゲル状物を混錬することにより、三次元の網目構造を有する粒子分散ゲルを得る工程と、を含む、粒子分散ゲルの製造方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー(A)および溶媒(B)を含み、かつ、三次元の網目構造を有するゲルを製造するための製造方法であって、
前記ポリマー(A)および前記溶媒(B)を混合することによりゲル状物を得る工程と、前記ゲル状物を混錬することにより、三次元の網目構造を有するゲルを得る工程と、を含む、ゲルの製造方法。
【請求項2】
前記ゲルは、前記ポリマー(A)により三次元の網目構造が形成され、かつ、前記網目構造内に前記溶媒(B)が含有されている、請求項1に記載のゲルの製造方法。
【請求項3】
前記ゲル状物を混錬する工程では、ロールミルを用いて前記ゲル状物を混錬する、請求項1または2に記載のゲルの製造方法。
【請求項4】
前記溶媒(B)はポリオール化合物(B1)を含む、請求項1または2に記載のゲルの製造方法。
【請求項5】
前記ポリオール化合物(B1)が炭素数2以上6以下のジオール化合物(B2)を含む、請求項4に記載のゲルの製造方法。
【請求項6】
前記ポリオール化合物(B1)がエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオールおよび1,6-ヘキサンジオールからなる群から選択される一種または二種以上を含む、請求項4に記載のゲルの製造方法。
【請求項7】
JIS Z 8826に準拠した光子相関法により測定される前記三次元網目構造のモード径(X1)が10nm以上である、請求項1または2に記載のゲルの製造方法。
【請求項8】
JIS Z 8826に準拠した光子相関法により測定される前記三次元網目構造のメジアン径(X2)が50nm以上である、請求項1または2に記載のゲルの製造方法。
【請求項9】
前記ポリマー(A)が、多糖類、タンパク質、ペプチド、(メタ)アクリル酸系ポリマー、ポリビニルアルコール系ポリマーおよびポリビニルピロリドンからなる群から選択される一種または二種以上を含む、請求項1または2に記載のゲルの製造方法。
【請求項10】
前記ゲル中の前記ポリマー(A)の含有量が0.01質量%以上20.0質量%以下である、請求項1または2に記載のゲルの製造方法。
【請求項11】
ポリマー(A)、溶媒(B)および粒子(C)を含み、かつ、三次元の網目構造を有する粒子分散ゲルを製造するための製造方法であって、
前記ポリマー(A)、前記溶媒(B)および前記粒子(C)を混合することによりゲル状物を得る工程と、前記ゲル状物を混錬することにより、三次元の網目構造を有する粒子分散ゲルを得る工程と、を含む、粒子分散ゲルの製造方法。
【請求項12】
前記粒子分散ゲルは、前記ポリマー(A)により三次元の網目構造が形成され、かつ、前記網目構造内に前記溶媒(B)が含有されており、
前記粒子(C)は前記網目構造内に内包されている、請求項11に記載の粒子分散ゲルの製造方法。
【請求項13】
前記ゲル状物を混錬する工程では、ロールミルを用いて前記ゲル状物を混錬する、請求項11または12に記載の粒子分散ゲルの製造方法。
【請求項14】
前記溶媒(B)はポリオール化合物(B1)を含む、請求項11または12に記載の粒子分散ゲルの製造方法。
【請求項15】
前記ポリオール化合物(B1)が炭素数2以上6以下のジオール化合物(B2)を含む、請求項14に記載の粒子分散ゲルの製造方法。
【請求項16】
前記ポリオール化合物(B1)がエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオールおよび1,6-ヘキサンジオールからなる群から選択される一種または二種以上を含む、請求項14に記載の粒子分散ゲルの製造方法。
【請求項17】
前記ポリマー(A)が、多糖類、タンパク質、ペプチド、(メタ)アクリル酸系ポリマー、ポリビニルアルコール系ポリマーおよびポリビニルピロリドンからなる群から選択される一種または二種以上を含む、請求項11または12に記載の粒子分散ゲルの製造方法。
【請求項18】
前記粒子分散ゲル中の前記ポリマー(A)の含有量が0.01質量%以上20.0質量%以下である、請求項11または12に記載の粒子分散ゲルの製造方法。
【請求項19】
前記粒子(C)が、薬物、香料、抗菌剤、殺菌剤、細胞、金属粒子、無機物粒子、ポリマー粒子、触媒、抗ウイルス剤および抗カビ剤からなる群から選択される一種または二種以上を含む、請求項11または12に記載の粒子分散ゲルの製造方法。
【請求項20】
レーザー回折・散乱法により測定される、前記粒子(C)のメジアン径D50が0.01μm以上10μm以下である、請求項11または12に記載の粒子分散ゲルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲルの製造方法および粒子分散ゲルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
三次元網目構造を有するゲルは、内部に様々な粒子を内包することができる。
三次元網目構造を有するゲルに関する技術としては、例えば、特許文献1(特開2018-115140号)に記載のものが挙げられる。
【0003】
特許文献1には、水酸化カルシウムを主成分とするカルシウム化合物の微粉末を含むヒドロゲルであって、前記ヒドロゲルは、ゲルを構成する分散質が物理的架橋により三次元の網目構造状に構築され、かつ、前記水酸化カルシウムを主成分とするカルシウム化合物の微粉末は、当該三次元の網目構造内に内包されたゲルの分散媒中に含有され、前記ヒドロゲルを構成する親水性高分子樹脂100重量部に対し、前記水酸化カルシウムを主成分とするカルシウム化合物の微粉末の含有量が5乃至300重量部であることを特徴とする抗菌・消臭用ヒドロゲルが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
三次元網目構造を有するゲルには、例えば内部に内包する粒子の分散性を向上させる観点から、網目サイズの均一性を向上させることが求められている。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、ゲルの網目サイズの均一性を向上できるゲルの製造方法および粒子の分散性を向上できる粒子分散ゲルの製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を達成するために鋭意検討を重ねた。その結果、ポリマー(A)および溶媒(B)を混合することにより得られるゲル状物をさらに混錬することにより、ゲルの網目サイズの均一性を向上できることや、ポリマー(A)、溶媒(B)および粒子(C)を混合することにより得られるゲル状物をさらに混錬することにより、粒子(C)の分散性を向上できることを見出して、本発明を完成させた。
【0007】
本発明によれば、以下に示すゲルの製造方法および粒子分散ゲルの製造方法が提供される。
【0008】
[1]
ポリマー(A)および溶媒(B)を含み、かつ、三次元の網目構造を有するゲルを製造するための製造方法であって、
前記ポリマー(A)および前記溶媒(B)を混合することによりゲル状物を得る工程と、前記ゲル状物を混錬することにより、三次元の網目構造を有するゲルを得る工程と、を含む、ゲルの製造方法。
[2]
前記ゲルは、前記ポリマー(A)により三次元の網目構造が形成され、かつ、前記網目構造内に前記溶媒(B)が含有されている、前記[1]に記載のゲルの製造方法。
[3]
前記ゲル状物を混錬する工程では、ロールミルを用いて前記ゲル状物を混錬する、前記[1]または[2]に記載のゲルの製造方法。
[4]
前記溶媒(B)はポリオール化合物(B1)を含む、前記[1]~[3]のいずれかに記載のゲルの製造方法。
[5]
前記ポリオール化合物(B1)が炭素数2以上6以下のジオール化合物(B2)を含む、前記[4]に記載のゲルの製造方法。
[6]
前記ポリオール化合物(B1)がエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオールおよび1,6-ヘキサンジオールからなる群から選択される一種または二種以上を含む、前記[4]または[5]に記載のゲルの製造方法。
[7]
JIS Z 8826に準拠した光子相関法により測定される前記三次元網目構造のモード径(X1)が10nm以上である、前記[1]~[6]のいずれかに記載のゲルの製造方法。
[8]
JIS Z 8826に準拠した光子相関法により測定される前記三次元網目構造のメジアン径(X2)が50nm以上である、前記[1]~[7]のいずれかに記載のゲルの製造方法。
[9]
前記ポリマー(A)が、多糖類、タンパク質、ペプチド、(メタ)アクリル酸系ポリマー、ポリビニルアルコール系ポリマーおよびポリビニルピロリドンからなる群から選択される一種または二種以上を含む、前記[1]~[8]のいずれかに記載のゲルの製造方法。
[10]
前記ゲル中の前記ポリマー(A)の含有量が0.01質量%以上20.0質量%以下である、前記[1]~[9]のいずれかに記載のゲルの製造方法。
[11]
ポリマー(A)、溶媒(B)および粒子(C)を含み、かつ、三次元の網目構造を有する粒子分散ゲルを製造するための製造方法であって、
前記ポリマー(A)、前記溶媒(B)および前記粒子(C)を混合することによりゲル状物を得る工程と、前記ゲル状物を混錬することにより、三次元の網目構造を有する粒子分散ゲルを得る工程と、を含む、粒子分散ゲルの製造方法。
[12]
前記粒子分散ゲルは、前記ポリマー(A)により三次元の網目構造が形成され、かつ、前記網目構造内に前記溶媒(B)が含有されており、
前記粒子(C)は前記網目構造内に内包されている、前記[11]に記載の粒子分散ゲルの製造方法。
[13]
前記ゲル状物を混錬する工程では、ロールミルを用いて前記ゲル状物を混錬する、前記[11]または[12]に記載の粒子分散ゲルの製造方法。
[14]
前記溶媒(B)はポリオール化合物(B1)を含む、前記[11]~[13]のいずれかに記載の粒子分散ゲルの製造方法。
[15]
前記ポリオール化合物(B1)が炭素数2以上6以下のジオール化合物(B2)を含む、前記[14]に記載の粒子分散ゲルの製造方法。
[16]
前記ポリオール化合物(B1)がエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオールおよび1,6-ヘキサンジオールからなる群から選択される一種または二種以上を含む、前記[14]または[15]に記載の粒子分散ゲルの製造方法。
[17]
前記ポリマー(A)が、多糖類、タンパク質、ペプチド、(メタ)アクリル酸系ポリマー、ポリビニルアルコール系ポリマーおよびポリビニルピロリドンからなる群から選択される一種または二種以上を含む、前記[11]~[16]のいずれかに記載の粒子分散ゲルの製造方法。
[18]
前記粒子分散ゲル中の前記ポリマー(A)の含有量が0.01質量%以上20.0質量%以下である、前記[11]~[17]のいずれかに記載の粒子分散ゲルの製造方法。
[19]
前記粒子(C)が、薬物、香料、抗菌剤、殺菌剤、細胞、金属粒子、無機物粒子、ポリマー粒子、触媒、抗ウイルス剤および抗カビ剤からなる群から選択される一種または二種以上を含む、前記[11]~[18]のいずれかに記載の粒子分散ゲルの製造方法。
[20]
レーザー回折・散乱法により測定される、前記粒子(C)のメジアン径D50が0.01μm以上10μm以下である、前記[11]~[19]のいずれかに記載の粒子分散ゲルの製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ゲルの網目サイズの均一性を向上できるゲルの製造方法および粒子の分散性を向上できる粒子分散ゲルの製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0011】
[粒子分散用ゲルの製造方法]
本実施形態のゲルの製造方法は、ポリマー(A)および溶媒(B)を含み、かつ、三次元の網目構造を有するゲルを製造するための製造方法であって、ポリマー(A)および溶媒(B)を混合することによりゲル状物を得る工程と、前記ゲル状物を混錬することにより、三次元の網目構造を有するゲルを得る工程と、を含む。
【0012】
前述したように、三次元網目構造を有するゲルには、例えば内部に内包する粒子の分散性を向上させる観点から、網目サイズの均一性を向上させることが求められている。
本発明者らは、上記課題を達成するために鋭意検討を重ねた。その結果、その結果、ポリマー(A)および溶媒(B)を混合することにより得られるゲル状物をさらに混錬することにより、ゲルの網目サイズの均一性を向上できることを見出した。具体的には、ポリマー(A)および溶媒(B)を混合することにより得られたゲル状物を混錬することにより、ゲルの網目サイズの均一性を向上させることが可能である。
【0013】
本実施形態のゲルの製造方法により得られるゲルは、例えば、ポリマー(A)により三次元の網目構造が形成され、かつ、網目構造内に前記溶媒(B)が含有されている。
【0014】
(ゲル状物を得る工程)
本実施形態のゲルの製造方法において、ゲル状物を得る工程では、ポリマー(A)および溶媒(B)を混合することによりゲル状物を得る。例えば、以下の手順によりゲル状物を得ることができる。
まず、ポリマー(A)と溶媒(B)とを混合する。ポリマー(A)および溶媒(B)としては後述のものを用いることができる。次いで、得られた混合物を、攪拌しながら、40~100℃程度に加熱する。加熱時間は、混合物が適度にゲル化する限り特に限定されず、例えば1~60分程度である。なお、加熱なし(室温)であっても、十分な時間をかければ混合物はゲル化する。次いで、加熱および攪拌を停止し、静置することによりゲル状物を得ることができる。
【0015】
(ゲルを得る工程)
次いで、前記ゲル状物を混錬することにより、三次元の網目構造を有するゲルを得る。
前記ゲル状物の混錬方法としては、本実施形態のゲルにおける三次元網目サイズの均一性をより向上させる観点から、ロールミルおよびボールミルからなる群から選択される少なくとも一種を用いた混錬が好ましく、ロールミルを用いた混錬がより好ましい。
【0016】
本実施形態のロールミルは3本以上のロールにより構成されていることが好ましく、3本ロールミルであることがより好ましい。これにより前記ゲル状物の混錬を連続的におこなうことができるため、得られるゲルの生産性をより向上させることができる。
【0017】
以下、本実施形態のゲルを構成する各成分について詳細に説明する。
【0018】
(ポリマー(A))
本実施形態のゲルは、ポリマー(A)を含む。ポリマー(A)は本実施形態のゲルにおける三次元の網目構造を形成するものである。
ポリマー(A)は溶媒(B)を含むことによりゲル化して三次元の網目構造を形成できるものであれば特に限定されないが、好ましくは、多糖類、タンパク質、ペプチド、(メタ)アクリル酸系ポリマー、ポリビニルアルコール系ポリマー、およびポリビニルピロリドン等からなる群から選択される一種または二種以上を含み、より好ましくは多糖類、(メタ)アクリル酸系ポリマー、ポリビニルアルコール系ポリマー、およびポリビニルピロリドン等からなる群から選択される一種または二種以上を含み、さらに好ましくは多糖類、ポリビニルアルコール系ポリマー、およびポリビニルピロリドン等からなる群から選択される一種または二種以上を含み、さらに好ましくは多糖類を含み、さらに好ましくは水溶性多糖類を含み、さらに好ましくはシロキクラゲ多糖体、ヒアルロン酸、キサンタンガム、アルギン酸、グアーガム、カチオン化グアーガム、カラギーナン、ジェランガム、アガロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、およびセルロースナノファイバー等からなる群から選択される一種または二種以上の水溶性多糖類を含み、さらに好ましくはカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、およびヒドロキシエチルセルロース等からなる群から選択される一種または二種以上の水溶性セルロース類を含み、さらに好ましくはヒドロキシプロピルセルロースを含む。ヒドロキシプロピルセルロースとは、水溶性のセルロース誘導体であり、通常、セルロースを水酸化ナトリウムなどの塩基で処理した後、プロピレンオキサイドなどのエーテル化剤と反応させて得られる。ヒドロキシプロピルセルロースは、例えば富士フイルム和光純薬社から購入することができる。
【0019】
ポリマー(A)は、ゲル中に内包する粒子の移動性をより向上させる観点から、ヒドロキシプロピルセルロースを好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上含み、そして、好ましくは100質量%以下含むことができる。
【0020】
本実施形態のゲル中のポリマー(A)の含有量は、ゲル粘度を向上させつつ網目サイズをより小さくする観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.2質量%以上、さらに好ましくは0.3質量%以上であり、網目サイズをより大きくする観点から、好ましくは20.0質量%以下、より好ましくは15.0質量%以下、さらに好ましくは10.0質量%以下、さらに好ましくは5.0質量%以下、さらに好ましくは2.5質量%以下、さらに好ましくは1.5質量%以下、さらに好ましくは1.0質量%以下、さらに好ましくは0.8質量%以下である。
【0021】
(溶媒(B))
本実施形態のゲルは、ゲルの網目サイズの制御性をより向上させる観点から、溶媒(B)としてポリオール化合物(B1)を含むことが好ましい。
ポリオール化合物(B1)はポリマー(A)とともにゲル化して三次元の網目構造を形成できるものであれば特に限定されないが、ゲルの網目サイズの制御性をより向上させる観点から、好ましくは、炭素数2以上6以下のジオール化合物(B2)を含み、より好ましくは、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオールおよび1,6-ヘキサンジオールからなる群から選択される一種または二種以上を含み、さらに好ましくは、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオールおよび1,6-ヘキサンジオールからなる群から選択される一種または二種以上を含む。
【0022】
本実施形態のゲルは、溶媒(B)としてポリオール化合物(B1)以外の溶媒を含んでもよい。
ポリオール化合物(B1)以外の溶媒としては特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール(IPA)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N-ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン(THF)、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノン、酢酸エチル、アセトニトリル、ジクロロメタン、クロロホルム、トルエン、酢酸、1-メトキシ-2-プロパノール(PGME)、水等が挙げられ、これらの一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0023】
溶媒(B)は、ゲルの網目サイズの制御性をより向上させる観点から、ポリオール化合物(B1)を好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上含み、そして、好ましくは100質量%以下含むことができる。
【0024】
溶媒(B)の沸点は、網目サイズをより大きくする観点やゲル強度をより向上させる観点、ゲル中に内包する粒子の移動性をより向上させる観点から、好ましくは180℃以上、より好ましくは190℃以上、さらに好ましくは195℃以上、さらに好ましくは200℃以上、さらに好ましくは210℃以上、さらに好ましくは220℃以上、さらに好ましくは230℃以上、さらに好ましくは235℃以上であり、網目サイズをより小さくする観点やゲル中に内包する粒子の分散性・保持性をより向上させる観点から、好ましくは300℃以下、より好ましくは280℃以下、さらに好ましくは260℃以下、さらに好ましくは255℃以下、さらに好ましくは245℃以下である。
【0025】
B型粘度計で25℃、回転数30rpmの条件で測定した溶媒(B)の粘度は、網目サイズをより大きくする観点やゲル強度をより向上させる観点、ゲル中に内包する粒子の移動性をより向上させる観点から、好ましくは1mPa・s以上、より好ましくは5mPa・s以上、さらに好ましくは10mPa・s以上、さらに好ましくは15mPa・s以上、さらに好ましくは20mPa・s以上であり、網目サイズをより小さくする観点やゲル中に内包する粒子の分散性・保持性をより向上させる観点から、好ましくは200mPa・s以下、より好ましくは150mPa・s以下、さらに好ましくは100mPa・s以下、さらに好ましくは80mPa・s以下である。
【0026】
ポリオール化合物(B1)の分子量は、網目サイズをより大きくする観点やゲル強度をより向上させる観点、ゲル中に内包する粒子の移動性をより向上させる観点から、好ましくは50以上、より好ましくは60以上、さらに好ましくは70以上、さらに好ましくは75以上、さらに好ましくは80以上、さらに好ましくは85以上であり、網目サイズをより小さくする観点やゲル中に内包する粒子の分散性・保持性をより向上させる観点から、好ましくは300以下、より好ましくは250以下、さらに好ましくは200以下、さらに好ましくは150以下、さらに好ましくは130以下、さらに好ましくは110以下である。
【0027】
コーンプレート粘度計で25℃、コーン2°/20mm、せん断速度15s-1の条件で測定した、本実施形態のゲルの粘度は、ゲル中に内包する粒子の移動性をより向上させる観点やゲルの安定性をより向上させる観点から、好ましくは10mPa・s以上、より好ましくは50mPa・s以上、さらに好ましくは100mPa・s以上、さらに好ましくは200mPa・s以上、さらに好ましくは300mPa・s以上、さらに好ましくは400mPa・s以上であり、そして、好ましくは60000mPa・s以下、より好ましくは30000mPa・s以下、さらに好ましくは5000mPa・s以下、さらに好ましくは2000mPa・s以下、さらに好ましくは1500mPa・s以下、さらに好ましくは1000mPa・s以下、さらに好ましくは800mPa・s以下である。
【0028】
JIS Z 8826に準拠した光子相関法により測定される、本実施形態のゲルにおける三次元網目構造のモード径(X1)は、ゲル中に内包する粒子の移動性および分散性をより向上させる観点から、好ましくは10nm以上、より好ましくは20nm以上、さらに好ましくは50nm以上、さらに好ましくは70nm以上、さらに好ましくは100nm以上、さらに好ましくは200nm以上、さらに好ましくは300nm以上、さらに好ましくは400nm以上であり、ゲル中に内包する粒子の保持性およびゲル強度をより向上させる観点から、好ましくは10000nm以下、より好ましくは5000nm以下、さらに好ましくは2000nm以下、さらに好ましくは1500nm以下、さらに好ましくは1000nm以下である。
【0029】
JIS Z 8826に準拠した光子相関法により測定される、本実施形態のゲルにおける三次元網目構造のメジアン径(X2)は、ゲル中に内包する粒子の移動性および分散性をより向上させる観点から、好ましくは50nm以上、より好ましくは70nm以上、さらに好ましくは80nm以上、さらに好ましくは100nm以上、さらに好ましくは200nm以上、さらに好ましくは300nm以上、さらに好ましくは400nm以上、さらに好ましくは500nm以上であり、ゲル中に内包する粒子の保持性およびゲル強度をより向上させる観点から、好ましくは10000nm以下、より好ましくは5000nm以下、さらに好ましくは2000nm以下、さらに好ましくは1500nm以下、さらに好ましくは1000nm以下、さらに好ましくは800nm以下である。
【0030】
本実施形態のゲルの用途としては、例えば、配線修復材、人工組織用材料、再生足場用材料、シーリング材、癒着防止材、ドラッグデリバリー用材料、コンタクトレンズ用材料、センサー材料、表面コーティング材、分離材料、抗菌材、消臭材、創傷被覆材、触媒、抗ウイルス剤および抗カビ剤等からなる群から選択される一種または二種以上に用いられるゲルが挙げられる。
これらの中でも、本実施形態のゲルは配線修復材を構成するゲルとして用いることが好ましい。
【0031】
本実施形態のゲルは、粒子分散用ゲルとして用いることが好ましい。本実施形態のゲルに内包する粒子としては、粒子分散用ゲルの用途に応じて適宜選択できるため特に限定されないが、例えば、薬物、香料、抗菌剤、殺菌剤、細胞、金属粒子、無機物粒子、ポリマー粒子、触媒、抗ウイルス剤および抗カビ剤等からなる群から選択される一種または二種以上が挙げられる。
これらの中でも、本実施形態のゲルに内包する粒子としては金属粒子が好ましく、導電性金属微粒子がより好ましく、銅、金、銀およびアルミニウムからなる群から選択される一種または二種以上を含む導電性金属微粒子がさらに好ましく、銅微粒子がさらに好ましい。また、上記金属粒子は、その表面のみが上記金属で構成されていてもよい。
【0032】
前記配線修復材とは、例えば、電気配線に断線部が生じた場合に、自己修復を可能とする自己修復型配線に用いられるものであり、例えば、粒子分散用ゲルおよび導電性金属微粒子を含む。導電性金属微粒子は、粒子分散用ゲルの中に分散している。自己修復型配線は、配線に断線部が生じた場合に、配線修復材によってそれが修復される。断線部を配線修復材で覆った場合、一部の導電性金属微粒子が断線部を短絡することにより、断線部は通電する。
【0033】
[粒子分散ゲルの製造方法]
本実施形態の粒子分散ゲルの製造方法は、ポリマー(A)、溶媒(B)および粒子(C)を含み、かつ、三次元の網目構造を有する粒子分散ゲルを製造するための製造方法であって、前記ポリマー(A)、前記溶媒(B)および前記粒子(C)を混合することによりゲル状物を得る工程と、前記ゲル状物を混錬することにより、三次元の網目構造を有する粒子分散ゲルを得る工程と、を含む。
【0034】
本実施形態の粒子分散ゲルの製造方法によれば、ポリマー(A)、溶媒(B)および粒子(C)を混合することにより得られるゲル状物をさらに混錬することにより、粒子(C)の分散性を向上できる。具体的には、ポリマー(A)、溶媒(B)および粒子(C)を混合することにより得られるゲル状物をさらに混錬することにより、ゲルの網目サイズの均一性を向上させることが可能である。
【0035】
本実施形態の粒子分散ゲルの製造方法により得られる粒子分散ゲルは、例えば、ポリマー(A)により三次元の網目構造が形成され、かつ、網目構造内に溶媒(B)が含有されており、粒子(C)は網目構造内に内包されている。
【0036】
(ゲル状物を得る工程)
本実施形態の粒子分散ゲルの製造方法において、ゲル状物を得る工程では、ポリマー(A)、溶媒(B)および粒子(C)を混合することによりゲル状物を得る。例えば、以下の手順によりゲル状物を得ることができる。
まず、ポリマー(A)と溶媒(B)と粒子(C)とを混合する。ポリマー(A)および溶媒(B)としては前述したものを用いることができる。次いで、得られた混合物を、攪拌しながら、40~100℃程度に加熱する。加熱時間は、混合物が適度にゲル化する限り特に限定されず、例えば1~60分程度である。なお、加熱なし(室温)であっても、十分な時間をかければ混合物はゲル化する。次いで、加熱および攪拌を停止し、静置することによりゲル状物を得ることができる。
【0037】
(粒子分散ゲルを得る工程)
次いで、前記ゲル状物を混錬することにより、三次元の網目構造を有する粒子分散ゲルを得る。
前記ゲル状物の混錬方法としては、本実施形態の粒子分散ゲルにおける三次元網目サイズの均一性をより向上させる観点から、ロールミルおよびボールミルからなる群から選択される少なくとも一種を用いた混錬が好ましく、ロールミルを用いた混錬がより好ましい。
【0038】
本実施形態のロールミルは3本以上のロールにより構成されていることが好ましく、3本ロールミルであることがより好ましい。これにより前記ゲル状物の混錬を連続的におこなうことができるため、得られる粒子分散ゲルの生産性をより向上させることができる。
【0039】
本実施形態の粒子分散ゲル中の粒子(C)の含有量は粒子分散ゲルの用途や内包する粒子の種類に応じて適宜選択できるため特に限定されないが、粒子分散ゲルの全体を100質量%としたとき、例えば0.01質量%以上、好ましくは0.02質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、さらに好ましくは0.05質量%以上、さらに好ましくは0.3質量%以上であり、そして、例えば30質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以下である。
【0040】
本実施形態の粒子分散ゲルの用途としては、例えば、配線修復材、人工組織用材料、再生足場用材料、シーリング材、癒着防止材、ドラッグデリバリー用材料、コンタクトレンズ用材料、センサー材料、表面コーティング材、分離材料、抗菌材、消臭材、創傷被覆材、触媒、抗ウイルス剤および抗カビ剤等からなる群から選択される一種または二種以上が挙げられる。
これらの中でも、本実施形態の粒子分散ゲルは配線修復材として用いることが好ましい。
【0041】
(粒子(C))
本実施形態の粒子(C)としては、粒子分散ゲルの用途に応じて適宜選択できるため特に限定されないが、例えば、薬物、香料、抗菌剤、殺菌剤、細胞、金属粒子、無機物粒子、ポリマー粒子、触媒、抗ウイルス剤および抗カビ剤等からなる群から選択される一種または二種以上が挙げられる。
これらの中でも、本実施形態の粒子分散ゲルに用いる粒子としては金属粒子が好ましく、導電性金属微粒子がより好ましく、銅、金、銀およびアルミニウムからなる群から選択される一種または二種以上を含む導電性金属微粒子がさらに好ましく、銅微粒子がさらに好ましい。また、上記の金属粒子は、その表面のみが上記金属で構成されていてもよい。
【0042】
レーザー回折・散乱法により測定される、前記粒子のメジアン径D50は、粒子の移動性および分散性をより向上させる観点から、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.05μm以上、さらに好ましくは0.1μm以上、さらに好ましくは0.3μm以上であり、粒子の保持性をより向上させる観点から、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下、さらに好ましくは3μm以下、さらに好ましくは1μm以下である。
【0043】
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、本発明の効果を損なわない範囲で、上記以外の様々な構成を採用することができる。
【0044】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【実施例0045】
以下、本発明について実施例および比較例を参照して詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例および比較例の記載に何ら限定されるものではない。
【0046】
[材料]
ゲルの製造に用いた材料の詳細は以下の通りである。
(ポリマー(A))
・ヒドロキシプロピルセルロース(富士フイルム和光純薬社製)
【0047】
(溶媒(B))
・エチレングリコール(分子量:62.07、沸点:198℃、富士フイルム和光純薬社製)
・1,3-プロパンジオール(分子量:76.09、沸点:214℃、富士フイルム和光純薬社製)
【0048】
(粒子(C))
・銅粉:(古河ケミカルズ社製の金属銅粉、品番:FMC-SB、レーザー回折・散乱法により測定されたメジアン径D50:0.7μm)
【0049】
[測定および評価]
本実施例において、各種測定および評価は以下の方法により行った。
【0050】
(溶媒(B)の粘度)
B型粘度計(東機産業社製、製品名:TVB-10M、ロータNo.1)を用いて、25℃、回転数30rpm、溶媒(B)200mLの条件で、溶媒(B)の粘度を測定した。ここで、溶媒(B)として2種類以上の混合溶媒を用いる場合は、混合溶媒の粘度を測定した。
【0051】
(ゲルの三次元網目構造のモード径(X1)、メジアン径(X2)および半値幅)
ゲルの三次元網目構造のモード径(X1)、メジアン径(X2)および半値幅は、JIS Z 8826に準拠した光子相関法により測定した。測定装置としては、HORIBA社製のナノ粒子解析装置SZ-100V2ゲルユニットを用いた。測定条件としては、測定レンジを0.3nm~10μmとし、分布形態を多分散・ブロードとし、レーザー照射位置を100μmステップで10ポイント(0~900μm)とした。測定セルにサンプルを投入した際に気泡が混入した場合は脱泡処理を行った。
また、得られた三次元網目構造の網目サイズ分布曲線の半値幅を算出した。前記半値幅は、網目サイズ分布曲線の頻度(%)が最大値の半分になる網目サイズ(nm)を2点算出し、それらの差を半値幅とした。
【0052】
(銅粒子の分散性評価)
実施例および比較例で得られた銅粒子分散ゲル50gを24時間静置し、目視により銅粒子の分散性を評価した。
【0053】
実施例1
まず、ポリマー(A)としてヒドロキシプロピルセルロースと溶媒(B)として1,3-プロパンジオールとを十分に混合して混合物を得た。ポリマー(A)および溶媒(B)の配合量は、表1に記載の通りとした。得られた混合物を、攪拌しながら、50℃で2分間加熱した。これにより混合物はゲルとなった。
加熱停止後、得られたゲルを室温(23℃)になるまで静置した。そして、室温になったゲル100gを、3本ロールミル(アイメックス社製BR-150V)に4回通し、ゲルを得た。ここで、3本ロールミルの第一のロール~第三のロールの通過を1回とした。各ロールは直径が63.5mmのものを用い、ロール間の距離は10μmとした。また、第一のロールの回転速度:第二のロールの回転速度:第三のロールの回転速度=1.0:2.4:6.0とし、第三のロールの回転速度を80rpmとした。得られたゲルについて上記測定をそれぞれおこなった。結果を表1に示す。
【0054】
比較例1
まず、ポリマー(A)としてヒドロキシプロピルセルロースと溶媒(B)として1,3-プロパンジオールとを十分に混合して混合物を得た。ポリマー(A)および溶媒(B)の配合量は、表1に記載の通りとした。得られた混合物を、攪拌しながら、50℃で2分間加熱した。これにより混合物はゲルとなった。
加熱停止後、得られたゲルを室温(23℃)になるまで静置し、ゲルを得た。得られたゲルについて上記測定をそれぞれおこなった。結果を表1に示す。
【0055】
【0056】
表1より、実施例の製造方法により得られたゲルの方が網目サイズ分布曲線の半値幅が小さく、比較例の製造方法により得られたゲルよりも、ゲルの網目サイズの均一性が向上していることが理解できる。すなわち、本実施形態のゲルの製造方法によれば、得られるゲルの網目サイズの均一性を向上できることが分かった。
【0057】
実施例2
まず、ポリマー(A)としてヒドロキシプロピルセルロース0.5gと、溶媒(B)としてエチレングリコール50gと、粒子(C)として銅粒子20mgを十分に混合して混合物を得た。得られた混合物を、攪拌しながら、50℃で2分間加熱した。これにより混合物はゲルとなった。
加熱停止後、得られたゲルを室温(23℃)になるまで静置した。そして、室温になったゲル50gを、3本ロールミル(アイメックス社製BR-150V)に4回通し、銅粒子分散ゲルを得た。ここで、3本ロールミルの第一のロール~第三のロールの通過を1回とした。各ロールは直径が63.5mmのものを用い、ロール間の距離は10μmとした。また、第一のロールの回転速度:第二のロールの回転速度:第三のロールの回転速度=1.0:2.4:6.0とし、第三のロールの回転速度を80rpmとした。得られた銅粒子分散ゲルについて銅粒子の分散性評価をおこなった。その結果、銅粒子はゲル中に均一に分散しており、銅粒子の分散性は良好であった(ゲル全体は赤褐色になっていた)。
【0058】
比較例2
まず、ポリマー(A)としてヒドロキシプロピルセルロース0.5gと、溶媒(B)としてエチレングリコール50gと、粒子(C)として銅粒子20mgを十分に混合して混合物を得た。得られた混合物を、攪拌しながら、50℃で2分間加熱した。これにより混合物はゲルとなった。
加熱停止後、得られたゲルを室温(23℃)になるまで静置し、銅粒子分散ゲルを得た。得られた銅粒子分散ゲルについて銅粒子の分散性評価をおこなった。その結果、銅粒子はゲル中に偏在しており、銅粒子の分散性は不良であった(ゲル全体は赤褐色になっていたが、色味に濃淡が生じていた)。