IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 極東開発工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-塵芥収集車 図1
  • 特開-塵芥収集車 図2
  • 特開-塵芥収集車 図3
  • 特開-塵芥収集車 図4
  • 特開-塵芥収集車 図5
  • 特開-塵芥収集車 図6
  • 特開-塵芥収集車 図7
  • 特開-塵芥収集車 図8
  • 特開-塵芥収集車 図9
  • 特開-塵芥収集車 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022782
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】塵芥収集車
(51)【国際特許分類】
   B65F 3/00 20060101AFI20240214BHJP
【FI】
B65F3/00 C
B65F3/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022126121
(22)【出願日】2022-08-08
(71)【出願人】
【識別番号】000163095
【氏名又は名称】極東開発工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲今▼岡 大策
【テーマコード(参考)】
3E024
【Fターム(参考)】
3E024AA01
3E024CA02
3E024CA04
3E024CB01
3E024DC03
3E024HA02
3E024HB06
3E024HC03
3E024HD03
(57)【要約】
【課題】塵芥投入箱の投入口をカバー部材により開閉する塵芥収集車において、塵芥の積込作業を効率的に行えるようにする。
【解決手段】塵芥収集車1は、塵芥収容箱2と、塵芥収容箱2の後方に配置され後部に塵芥が投入される投入口3aを有する塵芥投入箱3と、投入口3aから塵芥投入箱3内に投入された塵芥を塵芥収容箱2に積み込み可能な積込装置T1と、塵芥投入箱3において投入口3aを閉鎖する下位置及び投入口3aを開放する上位置の間で上下移動可能に設けられたカバー部材20と、カバー部材20を上下移動させる開閉シリンダ25と、積込装置T1の動作を制御するとともに開閉シリンダ25の駆動を制御する制御部30と、を備える。制御部30は、積込装置T1の動作に対応して開閉シリンダ25の駆動を制御する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塵芥収容箱と、
前記塵芥収容箱の後方に配置され、後部に塵芥が投入される投入口を有する塵芥投入箱と、
前記投入口から前記塵芥投入箱内に投入された塵芥を前記塵芥収容箱に積み込み可能な積込装置と、
前記塵芥投入箱において、前記投入口を閉鎖する下位置、及び前記投入口を開放する上位置の間で上下移動可能に設けられたカバー部材と、
前記カバー部材を上下移動させる駆動部と、
前記積込装置の動作を制御するとともに、前記駆動部の駆動を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記積込装置の動作に対応して前記駆動部の駆動を制御する、塵芥収集車。
【請求項2】
前記制御部は、前記積込装置の序盤動作が行われるときに、前記カバー部材が前記下位置へ移動するように前記駆動部を駆動させる下移動制御を行う、請求項1に記載の塵芥収集車。
【請求項3】
前記制御部は、前記序盤動作と並行して、前記下移動制御を行う、請求項2に記載の塵芥収集車。
【請求項4】
前記積込装置は、前記塵芥投入箱内において前後揺動可能かつ上下移動可能に設けられた押込板を有し、前記押込板が後方揺動する反転工程、前記押込板が下降して塵芥を圧縮する一次圧縮工程、前記押込板が前方揺動して塵芥を圧縮する二次圧縮工程、及び前記押込板が上昇して前記塵芥収容箱に塵芥を押し込む押込工程の順に1サイクル動作可能であり、
前記制御部は、前記一次圧縮工程の前に、前記下移動制御を行う、請求項2又は請求項3に記載の塵芥収集車。
【請求項5】
前記積込装置は、前記塵芥投入箱内において回転可能に設けられた回転板と、前記塵芥投入箱内において前記回転板の上方で前後揺動可能に設けられた押込板と、を有し、前記回転板が原位置から第1位置まで回転する回転工程、前記回転板が前記第1位置から第2位置まで回転しつつ前記押込板が後方揺動する後退工程、前記回転板が前記第2位置から前記原位置まで回転して塵芥を掻き上げる掻上工程、及び前記押込板が前方揺動して掻き上げられた塵芥を前記塵芥収容箱に押し込む押込工程の順に1サイクル動作可能であり、
前記制御部は、前記掻上工程の前に、前記下移動制御を行う、請求項2又は請求項3に記載の塵芥収集車。
【請求項6】
前記制御部は、前記積込装置の終盤動作が行われるときに、前記カバー部材が前記上位置へ移動するように前記駆動部を駆動させる上移動制御を行う、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の塵芥収集車。
【請求項7】
前記制御部は、前記終盤動作と並行して、前記上移動制御を行う、請求項6に記載の塵芥収集車。
【請求項8】
前記積込装置は、前記塵芥投入箱内において前後揺動可能かつ上下移動可能に設けられた押込板を有し、前記押込板が後方揺動する反転工程、前記押込板が下降して塵芥を圧縮する一次圧縮工程、前記押込板が前方揺動して塵芥を圧縮する二次圧縮工程、及び前記押込板が上昇して前記塵芥収容箱に塵芥を押し込む押込工程の順に1サイクル動作可能であり、
前記制御部は、前記押込工程と並行して、前記上移動制御を行う、請求項7に記載の塵芥収集車。
【請求項9】
前記積込装置は、前記塵芥投入箱内において回転可能に設けられた回転板と、前記塵芥投入箱内において前記回転板の上方で前後揺動可能に設けられた押込板と、を有し、前記回転板が原位置から第1位置まで回転する回転工程、前記回転板が前記第1位置から第2位置まで回転しつつ前記押込板が後方揺動する後退工程、前記回転板が前記第2位置から前記原位置まで回転して塵芥を掻き上げる掻上工程、及び前記押込板が前方揺動して掻き上げられた塵芥を前記塵芥収容箱に押し込む押込工程の順に1サイクル動作可能であり、
前記制御部は、前記押込工程と並行して、前記上移動制御を行う、請求項7に記載の塵芥収集車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塵芥収集車に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載された塵芥収集車は、塵芥投入箱の投入口から投入された塵芥を塵芥収容箱に積み込む積込装置と、塵芥投入箱の投入口を開閉するカバー部材(扉)と、カバー部材を昇降させる油圧シリンダと、カバー部材の昇降を操作する上昇用ボタン及び下降用ボタンと、を備えている。作業者が下降用ボタンを操作すると、油圧シリンダによりカバー部材が下降して投入口が閉鎖され、作業者が上昇用ボタンを操作すると、油圧シリンダによりカバー部材が上昇して投入口が開放される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-228850号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記積込装置の動作を開始したときに塵芥投入箱の投入口が開放されたままだと、塵芥投入箱内の塵芥は、積込装置により圧縮されるときに投入口から外部に溢れるおそれがある。このため、積込装置の動作を開始する際には、作業者は下降用ボタンを操作し、カバー部材を下降させて投入口を閉鎖する必要がある。積込動作の動作が終了した後は、塵芥投入箱に次の塵芥を投入するために、作業者は上昇用ボタンを操作し、カバー部材を上昇させて塵芥投入箱の投入口を開放する必要がある。このように、特許文献1の塵芥収集車では、積込装置の動作前後において、カバー部材の下降操作と上昇操作を作業者が行う必要があり、塵芥の積込作業が非常に面倒である。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、塵芥投入箱の投入口をカバー部材により開閉する塵芥収集車において、塵芥の積込作業を効率的に行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明は、塵芥収容箱と、前記塵芥収容箱の後方に配置され、後部に塵芥が投入される投入口を有する塵芥投入箱と、前記投入口から前記塵芥投入箱内に投入された塵芥を前記塵芥収容箱に積み込み可能な積込装置と、前記塵芥投入箱において、前記投入口を閉鎖する下位置、及び前記投入口を開放する上位置の間で上下移動可能に設けられたカバー部材と、前記カバー部材を上下移動させる駆動部と、前記積込装置の動作を制御するとともに、前記駆動部の駆動を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記積込装置の動作に対応して前記駆動部の駆動を制御する、塵芥収集車である。
【0007】
本発明によれば、制御部により、積込装置の動作に対応して、カバー部材を自動的に上位置へ移動させたり自動的に下位置へ移動させたりすることができる。これにより、作業者によってカバー部材を下位置へ移動させる操作や、カバー部材を上位置へ移動させる操作が不要になるので、塵芥の積込作業を効率的に行うことができる。
【0008】
(2)前記(1)の塵芥収集車において、前記制御部は、前記積込装置の序盤動作が行われるときに、前記カバー部材が前記下位置へ移動するように前記駆動部を駆動させる下移動制御を行うのが好ましい。
この場合、積込装置の序盤動作が行われるときに、作業者によりカバー部材を下位置へ移動させる操作が不要になるので、積込装置の序盤動作を効率的に行うことができる。
【0009】
(3)前記(2)の塵芥収集車において、前記制御部は、前記序盤動作と並行して、前記下移動制御を行うのが好ましい。
この場合、積込装置の序盤動作と並行して、下移動制御によりカバー部材が下位置へ移動して塵芥投入箱の投入口が閉鎖される。これにより、積込装置の序盤動作が行われる前に下移動制御を行う必要がないので、塵芥投入箱内に塵芥を投入した後、積込装置の序盤動作を迅速に開始することができる。その結果、積込装置の序盤動作をさらに効率的に行うことができる。
【0010】
(4)前記(2)又は(3)の塵芥収集車において、前記積込装置は、前記塵芥投入箱内において前後揺動可能かつ上下移動可能に設けられた押込板を有し、前記押込板が後方揺動する反転工程、前記押込板が下降して塵芥を圧縮する一次圧縮工程、前記押込板が前方揺動して塵芥を圧縮する二次圧縮工程、及び前記押込板が上昇して前記塵芥収容箱に塵芥を押し込む押込工程の順に1サイクル動作可能であり、前記制御部は、前記一次圧縮工程の前に、前記下移動制御を行うのが好ましい。
【0011】
押込板のみで1サイクル動作が行われる積込装置では、一次圧縮工程において押込板が下降して塵芥を一次圧縮するときに、塵芥投入箱内の塵芥が投入口から外部に溢れ易い。これに対して、上記(4)の塵芥収集車では、一次圧縮工程の前に、下移動制御によりカバー部材が下位置へ移動して塵芥投入箱の投入口が閉鎖されるので、一次圧縮工程において塵芥投入箱内の塵芥が投入口から外部に溢れるのを抑制することができる。
【0012】
(5)前記(2)又は(3)の塵芥収集車において、前記積込装置は、前記塵芥投入箱内において回転可能に設けられた回転板と、前記塵芥投入箱内において前記回転板の上方で前後揺動可能に設けられた押込板と、を有し、前記回転板が原位置から第1位置まで回転する回転工程、前記回転板が前記第1位置から第2位置まで回転しつつ前記押込板が後方揺動する後退工程、前記回転板が前記第2位置から前記原位置まで回転して塵芥を掻き上げる掻上工程、及び前記押込板が前方揺動して掻き上げられた塵芥を前記塵芥収容箱に押し込む押込工程の順に1サイクル動作可能であり、前記制御部は、前記掻上工程の前に、前記下移動制御を行うのが好ましい。
【0013】
回転板と押込板により1サイクル動作が行われる積込装置では、掻上工程において回転板が塵芥を掻き上げるときに、塵芥投入箱内の塵芥が投入口から外部に溢れ易い。これに対して、上記(5)の塵芥収集車では、掻上工程の前に、下移動制御によりカバー部材が下位置へ移動して塵芥投入箱の投入口が閉鎖されるので、掻上工程において塵芥投入箱内の塵芥が投入口から外部に溢れるのを抑制することができる。
【0014】
(6)前記(1)から(3)のいずれかの塵芥収集車において、前記制御部は、前記積込装置の終盤動作が行われるときに、前記カバー部材が前記上位置へ移動するように前記駆動部を駆動させる上移動制御を行うのが好ましい。
この場合、積込装置の終盤動作が行われるときに、作業者によりカバー部材を上位置へ移動させる操作が不要になるので、積込装置の終盤動作を効率的に行うことができる。また、下移動制御を行った後に上移動制御を行う場合には、下移動制御を行ってから上移動制御を行うまでの間、カバー部材は投入口を閉鎖している下位置に維持されるので、その間に塵芥投入箱内の塵芥が投入口から外部に溢れるのをさらに抑制することができる。
【0015】
(7)前記(6)の塵芥収集車において、前記制御部は、前記終盤動作と並行して、前記上移動制御を行うのが好ましい。
この場合、積込装置の終盤動作と並行して、上移動制御によりカバー部材が上位置へ移動して塵芥投入箱の投入口が開放される。これにより、積込装置の終盤動作が行われた後に上移動制御を行う必要がないので、塵芥投入箱内に次の塵芥を投入する作業を迅速に行うことができる。その結果、塵芥の積込作業をさらに効率的に行うことができる。
【0016】
(8)前記(7)の塵芥収集車において、前記積込装置は、前記塵芥投入箱内において前後揺動可能かつ上下移動可能に設けられた押込板を有し、前記押込板が後方揺動する反転工程、前記押込板が下降して塵芥を圧縮する一次圧縮工程、前記押込板が前方揺動して塵芥を圧縮する二次圧縮工程、及び前記押込板が上昇して前記塵芥収容箱に塵芥を押し込む押込工程の順に1サイクル動作可能であり、前記制御部は、前記押込工程と並行して、前記上移動制御を行うのが好ましい。
【0017】
この場合、押込板による1サイクル動作の終盤動作における押込工程と並行して、上移動制御によりカバー部材が上位置へ移動して塵芥投入箱の投入口が開放される。これにより、押込工程が終了した後に上移動制御を行う必要がないので、塵芥投入箱に次の塵芥を投入する作業を迅速に行うことができる。
【0018】
(9)前記(7)の塵芥収集車において、前記積込装置は、前記塵芥投入箱内において回転可能に設けられた回転板と、前記塵芥投入箱内において前記回転板の上方で前後揺動可能に設けられた押込板と、を有し、前記回転板が原位置から第1位置まで回転する回転工程、前記回転板が前記第1位置から第2位置まで回転しつつ前記押込板が後方揺動する後退工程、前記回転板が前記第2位置から前記原位置まで回転して塵芥を掻き上げる掻上工程、及び前記押込板が前方揺動して掻き上げられた塵芥を前記塵芥収容箱に押し込む押込工程の順に1サイクル動作可能であり、前記制御部は、前記押込工程と並行して、前記上移動制御を行うのが好ましい。
【0019】
この場合、回転板と押込板による1サイクル動作の終盤動作における押込工程と並行して、上移動制御によりカバー部材が上位置へ移動して塵芥投入箱の投入口が開放される。これにより、押込工程が終了した後に上移動制御を行う必要がないので、塵芥投入箱に次の塵芥を投入する作業を迅速に行うことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、塵芥投入箱の投入口をカバー部材により開閉する塵芥収集車において、塵芥の積込作業を効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1実施形態に係る塵芥収集車の後部を示す側断面図である。
図2】第1実施形態の積込装置の動作を示す説明図である。
図3】塵芥投入箱を車両後方から見た正面図である。
図4】塵芥投入箱の側面図である。
図5】第1実施形態の塵芥収集車の制御構成を示すブロック図である。
図6】第1実施形態における、積込装置の動作制御、下移動制御、及び上移動制御の制御例を示すフローチャートである。
図7】本発明の第2実施形態に係る塵芥収集車の後部を示す側断面図である。
図8】第2実施形態の積込装置の動作を示す説明図である。
図9】第2実施形態の塵芥収集車の制御構成を示すブロック図である。
図10】第2実施形態における、積込装置の動作制御、下移動制御、及び上移動制御の制御例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の好ましい実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
[第1実施形態]
<全体構成>
図1は、本発明の第1実施形態に係る塵芥収集車1の後部を示す側断面図である。図1において、塵芥収集車1は、車体1a上に搭載された塵芥収容箱2と、塵芥収容箱2の後方に配置された塵芥投入箱3と、を備えている。塵芥収容箱2の後端には、塵芥を塵芥収容箱2内に積み込むための開口部2aが形成されている。塵芥投入箱3は、その後部に塵芥が投入される投入口3aを有している。また、塵芥投入箱3は、その内部に投入された塵芥を受けるホッパプレート3bを有している。
【0023】
塵芥投入箱3は、その上部に設けられた支点Pを中心として、塵芥収容箱2に対して上下方向に回動可能である。これにより、塵芥投入箱3は、塵芥収容箱2に対しての開閉動作が可能である。すなわち、塵芥投入箱3は、図1に示す下方へ回動した位置で塵芥収容箱2の開口部2aを閉鎖し、図示しない上方へ回動した位置で開口部2aを開放して塵芥収容箱2内の塵芥を排出することができる状態となる。
【0024】
塵芥収集車1は、塵芥投入箱3内に設けられた積込装置T1を備えている。積込装置T1は、投入口3aから塵芥投入箱3内に投入された塵芥を塵芥収容箱2に積み込み可能である。本実施形態の積込装置T1は、押込板のみで塵芥を積み込むプレス式である。積込装置T1は、ガイドレール4、スライダ5、押込板7、プッシュシリンダ8、及びプレスシリンダ9を有している。
【0025】
ガイドレール4は、塵芥投入箱3内において左右の側壁3cにそれぞれ設けられている。ガイドレール4は、各側壁3cの前斜め上側から後斜め下側に向かって延びている。スライダ5は、塵芥投入箱3内において左右のガイドレール4に沿って上下移動可能に設けられている。押込板7は、塵芥投入箱3内において、スライダ5の下端部に支持軸6を介して前後揺動可能に取り付けられている。これにより、押込板7は、スライダ5を介して上下移動可能であり、かつスライダ5に対して前後揺動可能である。
【0026】
プッシュシリンダ8は、塵芥投入箱3の左右両側に一対配置されている。プッシュシリンダ8の基端部は、塵芥投入箱3の側壁3cにおける下端部の後側に連結されている。プッシュシリンダ8の先端部8aは、スライダ5の側面部材5aの上端部に連結されている。プレスシリンダ9も、塵芥投入箱3の左右両側に一対配置されている。プレスシリンダ9の基端部は、押込板7の側面部材7aに連結されている。プレスシリンダ9の先端部は、スライダ5の側面部材5aの上端部に連結されている。
【0027】
図2は、積込装置T1の動作を示す説明図である。なお、図2では、便宜上、プッシュシリンダ8の位置を少しずらしている。以下、図1及び図2を参照しながら、積込装置T1の動作について説明する。まず、図2(a)に示す原位置から、プレスシリンダ9を収縮動作させると、図2(b)に示すように、押込板7は、図中の反時計回り方向に後方揺動して反転する(反転工程)。
【0028】
次に、プッシュシリンダ8を収縮動作させると、図2(c)に示すように、押込板7は、スライダ5と共に後斜め下方に下降する。その際、押込板7の先端7bは、投入口3aに近づくように下降する。これにより、投入口3aから投入された塵芥は一次圧縮される(一次圧縮工程)。次に、プレスシリンダ9を伸長動作させると、図2(d)に示すように、押込板7は、図中の時計回り方向に前方揺動し、一次圧縮された塵芥を二次圧縮する(二次圧縮工程)。次に、プッシュシリンダ8を伸長動作させると、図2(a)に示すように、スライダ5と共に押込板7が前斜め上方に上昇し、二次圧縮された塵芥を塵芥収容箱2に押し込む(押込工程)。
【0029】
以上より、積込装置T1は、反転工程、一次圧縮工程、二次圧縮工程、押込工程の順に1サイクル動作することで、塵芥投入箱3内に投入された塵芥を塵芥収容箱2に積み込むことができる。その際、押込板7の先端7bの動作軌跡は、図中の二点鎖線で示すように4点を結ぶ閉じた形状を描く。なお、この動作軌跡は、図1においても二点鎖線で示している。
【0030】
図2において、塵芥収集車1は、プッシュシリンダ8の伸縮動作位置を検出する第1検出部14及び第2検出部15と、プレスシリンダ9の伸縮動作位置を検出する第3検出部16及び第4検出部17と、を備えている。本実施形態では、第1~第4検出部14~17は、いずれも近接センサからなる。第1~第4検出部14~17の各検出信号は、後述する制御部30に出力される。
【0031】
第1検出部14及び第2検出部15は、塵芥投入箱3の側壁3c(図1参照)に固定されており、プッシュシリンダ8の先端部8aを検出する。図2(a)に示すように、第1検出部14は、プッシュシリンダ8が伸長端に達したときに先端部8aを検出する。図2(c)に示すように、第2検出部15は、プッシュシリンダ8が収縮端に達したときに先端部8aを検出する。
【0032】
第3検出部16及び第4検出部17は、スライダ5(図1参照)に取り付けられ、スライダ5と共に前後移動するようになっている。第3検出部16及び第4検出部17は、プレスシリンダ9に取り付けられたドグ18を検出する。図2(d)に示すように、第3検出部16は、プレスシリンダ9が伸長端に達したときにドグ18を検出する。図2(b)に示すように、第4検出部17は、プレスシリンダ9が収縮端に達したときにドグ18を検出する。
【0033】
図3は、塵芥投入箱3を車両後方から見た正面図である。図3において、塵芥投入箱3の側壁3cの後部には、スイッチボックスSBが設けられている。スイッチボックスSBには、積込スイッチ11が設けられている。積込スイッチ11は、積込装置T1の動作を開始させる操作信号を制御部30(後述)に出力するスイッチである。積込スイッチ11がオン操作されると、プッシュシリンダ8及びプレスシリンダ9がそれぞれ伸縮駆動し、スライダ5及び押込板7による1サイクル動作が実行される。
【0034】
図1及び図3において、塵芥投入箱3には、投入口3aの下部に載置台10が設けられている。載置台10は、塵芥投入箱3に対して水平軸回りに回動可能に取り付けられ、起立姿勢(図1の実線位置)と展開姿勢(図1の一点鎖線位置)とに姿勢変化する。つまり、図1の実線位置にある載置台10は、その基端部を中心として下方(後方)へ回動可能とされており、下方へ90°回動して展開された状態(図1の一点鎖線位置)となる。
【0035】
載置台10が展開された展開姿勢となると、作業者が投入口3aから塵芥を投入する際に、載置台10上に塵芥を一旦載置することができ、塵芥投入の作業性を高めることができる。載置台10は、投入口3aの車幅方向の全長にわたって形成されており、起立姿勢になると投入口3aの下部を閉鎖する。
【0036】
<カバー部材>
塵芥収集車1は、塵芥投入箱3の投入口3aを開閉するためのカバー部材20と、カバー部材20を上下移動可能に案内するレール部材21と、を備えている。カバー部材20は、投入口3aの車幅方向の全長にわたって形成されており、投入口3aの下部を除く他部、つまり、投入口3aにおいて起立姿勢時の載置台10よりも上側部分を開閉するものである。
【0037】
レール部材21は、塵芥投入箱3の側壁3cにおいて、投入口3aの車幅方向の側端部に沿って上下方向に延びて設けられている。なお、レール部材21は、図示を省略するが、塵芥投入箱3の左右の側壁3cにおいて、投入口3aの車幅方向の両側端部に沿って設けられている。
【0038】
カバー部材20の車幅方向の両端部には、それぞれガイドローラ(図示省略)が回転自在に設けられており、これらのガイドローラが各レール部材21に沿って上下方向に移動するようになっている。これにより、カバー部材20は、塵芥投入箱3に対して、上下移動可能に設けられている。
【0039】
図4は、塵芥投入箱3の側面図である。図4に示すように、載置台10が起立姿勢のとき、カバー部材20は、上位置(図4の二点鎖線位置)と、下位置(図4の実線位置)との間で上下移動可能とされている。本実施形態のカバー部材20は、上位置において塵芥投入箱3の天板3dよりも上方に配置されるアウター式である。
【0040】
図4の実線で示すように、下位置に移動させたカバー部材20と、起立姿勢とした載置台10とが上下に連続して配置されることで、投入口3a全体が閉鎖される。そして、この閉鎖状態から、図4の二点鎖線で示すように、カバー部材20を上位置まで移動させるとともに、載置台10を展開姿勢(図1参照)とすることで、投入口3a全体が開放される。なお、カバー部材20は、図示しないロック機構により下位置でロックされるようになっている。
【0041】
側壁3cの外側面の前端部には、その上下方向の略中央部に固定されたブラケット23を介して、アーム部材24の下端部が上下スライド可能かつ上下回動可能に連結されている。アーム部材24の上端部は、カバー部材20の上端部に連結されている。これにより、カバー部材20が上下方向に移動すると、アーム部材24の上端部は、アーム部材24の下端部が上下に移動しながら、当該下端部を中心として上下回動するようになっている。
【0042】
アーム部材24の下端部側には、開閉シリンダ(駆動部)25の一端が連結されている。開閉シリンダ25の他端は、側壁3cの外側面の上端部に連結されている。開閉シリンダ25は、その伸縮動作によりアーム部材24を上下回動させることで、カバー部材20を上下移動させる。
【0043】
開閉シリンダ25が伸長動作すると、アーム部材24が下方回動することで、カバー部材20は下位置まで移動する。開閉シリンダ25が収縮動作すると、アーム部材24が上方回動することで、カバー部材20は上位置まで移動する。なお、図示を省略するが、ブラケット23、アーム部材24、及び開閉シリンダ25は、塵芥投入箱3の左右の側壁3cそれぞれに設けられている。
【0044】
<制御部>
図5は、塵芥収集車1の制御構成を示すブロック図である。図5において、塵芥収集車1は、積込装置T1の動作、及び開閉シリンダ25の駆動を制御する制御部30を備えている。制御部30は、CPU等を有するコンピュータを備えて構成されている。制御部30の各機能は、前記コンピュータの記憶装置に記憶された制御プログラムがCPUにより実行されることで発揮される。
【0045】
制御部30には、積込スイッチ11、第1検出部14、第2検出部15、第3検出部16、及び第4検出部17が、それぞれ信号線(図示省略)を介して接続されている。積込スイッチ11の操作信号、及び第1~第4検出部14~17の各検出信号は、制御部30に入力される。
【0046】
制御部30は、入力された操作信号及び各検出信号に基づいて、プッシュシリンダ8、プレスシリンダ9、及び開閉シリンダ25の各伸縮動作を切り換える電磁弁(図示省略)をそれぞれ切り換え制御することで、これらのシリンダ8,9,25の各伸縮動作(駆動)を制御する。
【0047】
制御部30は、積込装置T1の動作に対応して開閉シリンダ25の伸縮動作を制御する。具体的には、制御部30は、積込装置T1の序盤動作を行うときに、カバー部材20が下位置へ移動するように開閉シリンダ25を伸長動作させる下移動制御を行う。また、制御部30は、積込装置T1の終盤動作を行うときに、カバー部材20が上位置へ移動するように開閉シリンダ25を収縮動作させる上移動制御を行う。
【0048】
ここで、積込装置T1の「序盤動作を行うとき」とは、積込装置T1の序盤動作を実際に行う期間だけでなく、その期間の開始直前と終了直後も含む意味である。本実施形態では、積込装置T1の序盤動作は反転工程であり、積込装置T1の「序盤動作を行うとき」には、反転工程の開始直前から、反転工程の終了直後(一次圧縮工程の開始直後)までの期間が含まれる。
【0049】
同様に、積込装置T1の「終盤動作を行うとき」とは、積込装置T1の終盤動作を実際に行う期間だけでなく、その期間の開始直前と終了直後も含む意味である。本実施形態では、積込装置T1の終盤動作は押込工程であり、積込装置T1の「終盤動作を行うとき」には、押込工程の開始直前(二次圧縮工程の終了直前)から、押込工程の終了直後までの期間が含まれる。
【0050】
下移動制御は、積込装置T1の序盤動作と並行して行われる。本実施形態では、積込装置T1の反転工程と並行して、下移動制御が行われる。したがって、本実施形態の下移動制御は、一次圧縮工程の前に行われる。
上移動制御は、積込装置T1の終盤動作と並行して行われる。本実施形態では、積込装置T1の押込工程と並行して、上移動制御が行われる。
【0051】
図6は、制御部30が実行する、積込装置T1の動作制御、下移動制御、及び上移動制御の制御例を示すフローチャートである。以下、図2及び図6を参照しながら、これらの制御について説明する。ここでは、積込装置T1が図2(a)に示す状態にあり、かつカバー部材20が上位置にある状態から説明を開始する。
【0052】
まず、制御部30は、積込スイッチ11からオン操作の操作信号が入力されたか否かを判定する(ステップST1)。積込スイッチ11の操作信号が入力されていない場合(ステップST1で「No」の場合)、制御部30は、所定時間が経過した後、再度ステップST1の判定を行う。
【0053】
積込スイッチ11の操作信号が入力されると(ステップST1で「Yes」の場合)、制御部30は、積込装置T1の1サイクル動作を開始する。具体的には、制御部30は、プレスシリンダ9を収縮動作させ、押込板7を後方揺動させる反転工程を開始する(ステップST2)。
【0054】
その直後に、制御部30は、開閉シリンダ25を伸長動作させ、カバー部材20を下位置へ移動させる下移動制御を実行する(ステップST3)。これにより、積込装置T1の反転工程が行われている間に、カバー部材20は下位置まで移動し、塵芥投入箱3の投入口3a(図1参照)が閉鎖される。
【0055】
次に、制御部30は、第4検出部17の検出信号が入力されたか否かを判定する(ステップST4)。第4検出部17の検出信号が入力されていない場合(ステップST4で「No」の場合)、制御部30は、所定時間が経過した後、再度ステップST4の判定を行う。第4検出部17の検出信号が入力されると(ステップST4で「Yes」の場合)、制御部30は、プレスシリンダ9の収縮動作を停止させ、反転工程を終了する(ステップST5)。そして、制御部30は、プッシュシリンダ8を収縮動作させ、押込板7を下降させる一次圧縮工程を開始する(ステップST6)。
【0056】
次に、制御部30は、第2検出部15の検出信号が入力されたか否かを判定する(ステップST7)。第2検出部15の検出信号が入力されていない場合(ステップST7で「No」の場合)、制御部30は、所定時間が経過した後、再度ステップST7の判定を行う。第2検出部15の検出信号が入力されると(ステップST7で「Yes」の場合)、制御部30は、プッシュシリンダ8の収縮動作を停止させ、一次圧縮工程を終了する(ステップST8)。そして、制御部30は、プレスシリンダ9を伸長動作させ、押込板7を前方揺動させる二次圧縮工程を開始する(ステップST9)。
【0057】
次に、制御部30は、第3検出部16の検出信号が入力されたか否かを判定する(ステップST10)。第3検出部16の検出信号が入力されていない場合(ステップST10で「No」の場合)、制御部30は、所定時間が経過した後、再度ステップST10の判定を行う。第3検出部16の検出信号が入力されると(ステップST10で「Yes」の場合)、制御部30は、プレスシリンダ9の伸長動作を停止させ、二次圧縮工程を終了する(ステップST11)。
【0058】
次に、制御部30は、プッシュシリンダ8を伸長動作させ、押込板7を上昇させる押込工程を開始する(ステップST12)。その直後に、制御部30は、開閉シリンダ25を収縮動作させ、カバー部材20を上位置へ移動させる上移動制御を実行する(ステップST13)。これにより、積込装置T1の押込工程が行われている間に、カバー部材20は上位置まで移動し、塵芥投入箱3の投入口3aが開放される。
【0059】
次に、制御部30は、第1検出部14の検出信号が入力されたか否かを判定する(ステップST14)。第1検出部14の検出信号が入力されていない場合(ステップST14で「No」の場合)、制御部30は、所定時間が経過した後、再度ステップST14の判定を行う。第1検出部14の検出信号が入力されると(ステップST14で「Yes」の場合)、制御部30は、プッシュシリンダ8の伸長動作を停止させ、押込工程を終了する(ステップST15)。
【0060】
<作用効果>
本実施形態の塵芥収集車1では、制御部30は、積込装置T1の動作に対応して開閉シリンダ25の伸縮動作を制御するので、作業者によりカバー部材20を下位置へ移動させる操作、及びカバー部材20を上位置へ移動させる操作が不要になる。これにより、塵芥の積込作業を効率的に行うことができる。
【0061】
制御部30は、積込装置T1の序盤動作を行うときに、カバー部材20が下位置へ移動するように開閉シリンダ25を伸長動作させる下移動制御を行うので、積込装置T1の序盤動作が行われるときに、作業者によりカバー部材20を下位置へ移動させる操作が不要になる。これにより、積込装置T1の序盤動作を効率的に行うことができる。
【0062】
制御部30は、積込装置T1の序盤動作における反転工程と並行して下移動制御を行うので、積込装置T1の動作前に下移動制御を行う必要がない。これにより、塵芥投入箱3内に塵芥を投入した後、積込装置T1の序盤動作を迅速に開始することができるので、積込装置T1の序盤動作をさらに効率的に行うことができる。
【0063】
押込板7のみで1サイクル動作が行われるプレス式の積込装置T1では、一次圧縮工程において押込板7が下降して塵芥を一次圧縮するときに、塵芥投入箱3内の塵芥が投入口3aから外部に溢れ易い。これに対して、本実施形態では、積込装置T1の一次圧縮工程の前に、下移動制御によりカバー部材20が下位置へ移動して塵芥投入箱3の投入口3aが閉鎖されるので、一次圧縮工程において塵芥投入箱3内の塵芥が投入口3aから外部に溢れるのを抑制することができる。
【0064】
制御部30は、積込装置T1の終盤動作が行われるときに、カバー部材20が上位置へ移動するように開閉シリンダ25を収縮動作させる上移動制御を行うので、積込装置T1の終盤動作が行われるときに、作業者によりカバー部材20を上位置へ移動させる操作が不要になる。これにより、積込装置T1の終盤動作を効率的に行うことができる。また、下移動制御を行ってから上移動制御を行うまでの間、カバー部材20は投入口3aを閉鎖している下位置に維持されるので、その間に塵芥投入箱3内の塵芥が投入口3aから外部に溢れるのをさらに抑制することができる。
【0065】
制御部30は、積込装置T1の終盤動作における押込工程と並行して上移動制御を行うので、押込工程が終了した後に上移動制御を行う必要がない。これにより、塵芥投入箱3内に次の塵芥を投入する作業を迅速に行うことができるので、塵芥の積込作業をさらに効率的に行うことができる。
【0066】
[第2実施形態]
<全体構成>
図7は、本発明の第2実施形態に係る塵芥収集車1の後部を示す側断面図である。本実施形態の塵芥収集車1は、回転板と押込板とにより塵芥を積み込む回転板式の積込装置T2を備えている。積込装置T2は、回転板41、押込板43、モータ45(図9参照)、及び押込シリンダ46を有している。回転板41、押込板43、及び押込シリンダ46は、塵芥投入箱3内に設けられている。モータ45は、図7では図示を省略するが、塵芥投入箱3の車幅方向外側において側壁3cに設けられている。
【0067】
回転板41の基端部は、左右の側壁3cに対して、支持軸42を介して回転可能に取り付けられている。回転板41は、その先端41aが塵芥投入箱3の投入口3aの近傍を通過するように、図中の時計回り方向に回転するようになっている。回転板41は、モータ45により回転駆動される。塵芥投入箱3のホッパプレート3bは、回転板41の先端41aの回転軌跡に沿って円弧状に形成されている。
【0068】
押込板43は、塵芥投入箱3内において回転板41の上方に配置されている。押込板43は、左右の側壁3cに対して、支持軸44を介して前後揺動可能に取り付けられている。押込板43は、押込シリンダ46により揺動駆動される。押込シリンダ46は、塵芥投入箱3の左右の側壁3cに一対配置されている。押込シリンダ46の基端部は、側壁3cの上端部に連結されている。押込シリンダ46の先端部は、押込板43の上端部に連結されている。
【0069】
図8は、本実施形態の積込装置T2の動作を示す説明図である。図8(a)に示すように、本実施形態の積込装置T2は、円軌跡Rで示す回転板41の回転動作と、円弧軌跡Sで示す押込板43の揺動動作とにより、塵芥投入箱3内に投入された塵芥を塵芥収容箱2に積み込む。以下、図7及び図8を参照しながら、積込装置T2の具体的な動作について説明する。
【0070】
まず、図8(a)に示すように回転板41が原位置B0(9時の位置)にある状態から、モータ45を駆動させ、回転板41を原位置B0から第1位置B1(図8(b)の12時の位置)まで、図中の時計回り方向へ回転させる(回転工程)。
【0071】
次に、モータ45の駆動を継続しながら押込シリンダ46を収縮動作させることで、回転板41を第1位置B1から第2位置B2(図8(c)の3時の位置)まで、図中の時計回り方向へ回転させつつ、押込板43を図中の反時計回り方向に後方揺動させる(後退工程)。これにより、押込板43は、回転板41と干渉することなく、図8(c)に示す位置まで後方揺動する。
【0072】
図8(c)に示す状態から、さらにモータ45の駆動を継続させ、回転板41を第2位置B2から原位置B0まで、図中の時計回り方向へ回転させると、回転板41の先端41aがホッパプレート3bに沿って移動することで、ホッパプレート3b上の塵芥は回転板41により掻き上げられる(掻上工程)。そして、図8(d)に示すように、回転板41が原位置B0に達すると、モータ45の駆動を停止させる。
【0073】
次に、押込シリンダ46を収縮動作させると、図8(a)に示すように、押込板43は、原位置B0にある回転板41の上方において図中の時計回り方向に前方揺動し、回転板41により掻き上げられた塵芥を塵芥収容箱2に押し込む(押込工程)。
【0074】
以上より、積込装置T2は、回転工程、後退工程、掻上工程、押込工程の順に1サイクル動作することで、塵芥投入箱3内に投入された塵芥を塵芥収容箱2に積み込むことができる。積込装置T2は、積込スイッチ11(図9参照)がオン操作されると、モータ45及び押込シリンダ46がそれぞれ駆動し、回転板41及び押込板43による1サイクル動作が実行される。
【0075】
図8において、塵芥収集車1は、回転板41の回転位置を検出する第1検出部51と、押込板43の揺動位置を検出する第2検出部52及び第3検出部53と、を備えている。本実施形態では、第1~第3検出部51~53は、いずれも近接センサからなる。第1~第3検出部51~53の各検出信号は、後述する制御部60に出力される。
【0076】
第1検出部51は、塵芥投入箱3の側壁3c(図7参照)に固定されており、回転板41の基端部に取り付けられた第1ドグ55を検出する。図8(a)に示すように、第1検出部51は、回転板41が原位置B0から第1位置B1の直前までの間を回転しているときに、第1ドグ55を検出する検出状態となる。そして、図8(b)に示すように、第1検出部51は、回転板41が第1位置B1に達したときに、前記検出状態から、第1ドグ55を検出しない非検出状態に切り換わるようになっている。
【0077】
第2検出部52及び第3検出部53は、塵芥投入箱3の側壁3cに固定されており、第2ドグ56を検出する。第2ドグ56は、押込板43と共に回転する支持軸44に取り付けられている。図8(d)に示すように、第2検出部52は、押込板43が後方揺動端に達したときに第2ドグ56を検出する。図8(a)に示すように、第3検出部53は、押込板43が前方揺動端に達したときに第2ドグ56を検出する。
【0078】
<制御部>
図9は、本実施形態の塵芥収集車1の制御構成を示すブロック図である。図9において、塵芥収集車1は、積込装置T2の動作、及びカバー部材20(図7参照)を上下移動させる開閉シリンダ25の駆動を制御する制御部60を備えている。制御部60は、CPU等を有するコンピュータを備えて構成されている。制御部60の各機能は、前記コンピュータの記憶装置に記憶された制御プログラムがCPUにより実行されることで発揮される。
【0079】
制御部60には、積込スイッチ11、第1検出部51、第2検出部52、及び第3検出部53が、それぞれ信号線(図示省略)を介して接続されている。積込スイッチ11の操作信号、及び第1~第3検出部51~53の各検出信号は、制御部60に入力される。
【0080】
制御部60は、入力された操作信号及び各検出信号に基づいて、モータ45の駆動と駆動停止を切り換える電磁弁(図示省略)と、押込シリンダ46及び開閉シリンダ25の各伸縮動作を切り換える電磁弁(図示省略)をそれぞれ切り換え制御することで、モータ45及び各シリンダ46,25の駆動を制御する。
【0081】
制御部60は、積込装置T2の動作に対応して開閉シリンダ25の伸縮動作を制御する。具体的には、制御部60は、積込装置T2の序盤動作のときに、カバー部材20が下位置へ移動するように開閉シリンダ25を伸長動作させる下移動制御を行う。また、制御部60は、積込装置T2の終盤動作のときに、カバー部材20が上位置へ移動するように開閉シリンダ25を収縮動作させる上移動制御を行う。
【0082】
ここで、積込装置T2の「序盤動作を行うとき」とは、積込装置T2の序盤動作を実際に行う期間だけでなく、その期間の開始直前と終了直後も含む意味である。本実施形態では、積込装置T2の序盤動作は回転工程であり、積込装置T2の「序盤動作を行うとき」には、回転工程の開始直前から、回転工程の終了直後(後退工程の開始直後)までの期間が含まれる。
【0083】
同様に、積込装置T2の「終盤動作を行うとき」とは、積込装置T2の終盤動作を実際に行う期間だけでなく、その期間の開始直前と終了直後も含む意味である。本実施形態では、積込装置T2の終盤動作は押込工程であり、積込装置T2の「終盤動作を行うとき」には、押込工程の開始直前(掻上工程の終了直前)から、押込工程の終了直後までの期間が含まれる。
【0084】
下移動制御は、積込装置T2の序盤動作と並行して行われる。本実施形態では、積込装置T2の回転工程と並行して、下移動制御が行われる。したがって、本実施形態の下移動制御は、掻上工程の前に行われる。
上移動制御は、積込装置T2の終盤動作と並行して行われる。本実施形態では、積込装置T2の押込工程と並行して、上移動制御が行われる。
【0085】
図10は、制御部60が実行する、積込装置T2の動作制御、下移動制御、及び上移動制御の制御例を示すフローチャートである。以下、図8及び図10を参照しながら、これらの制御について説明する。ここでは、積込装置T2が図8(a)に示す状態にあり、かつカバー部材20が上位置にある状態から説明を開始する。
【0086】
まず、制御部60は、積込スイッチ11からオン操作の操作信号が入力されたか否かを判定する(ステップST21)。積込スイッチ11の操作信号が入力されていない場合(ステップST21で「No」の場合)、制御部60は、所定時間が経過した後、再度ステップST21の判定を行う。
【0087】
積込スイッチ11の操作信号が入力されると(ステップST21で「Yes」の場合)、制御部60は、積込装置T2の1サイクル動作を開始する。具体的には、制御部60は、モータ45を駆動させ、回転板41を回転させる回転工程を開始する(ステップST22)。
【0088】
その直後に、制御部60は、開閉シリンダ25を伸長動作させ、カバー部材20を下位置へ移動させる下移動制御を実行する(ステップST23)。これにより、積込装置T2の回転工程が行われている間に、カバー部材20は下位置まで移動し、塵芥投入箱3の投入口3a(図7参照)が閉鎖される。
【0089】
次に、制御部60は、第1検出部51の検出信号が入力されなくなったか否かを判定する(ステップST24)。第1検出部51の検出信号が入力されている場合(ステップST24で「No」の場合)、制御部60は、所定時間が経過した後、再度ステップST24の判定を行う。
【0090】
第1検出部51の検出信号が入力されなくなると(ステップST24で「Yes」の場合)、制御部60は、モータ45の駆動を継続しながら、押込シリンダ46を収縮動作させ、押込板43を後方揺動させる後退工程を開始する(ステップST25)。このとき、回転板41の回転位置は、第1位置B1となるので、回転工程は終了する。
【0091】
次に、制御部60は、第2検出部52の検出信号が入力されたか否かを判定する(ステップST26)。第2検出部52の検出信号が入力されていない場合(ステップST26で「No」の場合)、制御部60は、所定時間が経過した後、再度ステップST26の判定を行う。第2検出部52の検出信号が入力されると(ステップST26で「Yes」の場合)、制御部60は、押込シリンダ46の収縮動作を停止させ、後退工程を終了する(ステップST27)。このとき、回転板41の回転位置は、第2位置B2となる。
【0092】
次に、制御部60は、モータ45の駆動をさらに継続させ、回転板41を第2位置B2から原位置B0に向けて回転させる掻上工程を開始する(ステップST28)。次に、制御部60は、第1検出部51の検出信号が入力されたか否かを判定する(ステップST29)。第1検出部51の検出信号が入力されていない場合(ステップST29で「No」の場合)、制御部60は、所定時間が経過した後、再度ステップST29の判定を行う。
【0093】
第1検出部51の検出信号が入力さると(ステップST29で「Yes」の場合)、制御部60は、モータ45の駆動を停止させ、回転板41の回転を原位置B0で停止させ、掻上工程を終了する(ステップST30)。
【0094】
次に、制御部60は、押込シリンダ46を伸長動作させ、押込板43を前方揺動させる押込工程を開始する(ステップST31)。その直後に、制御部60は、開閉シリンダ25を収縮動作させ、カバー部材20を上位置へ移動させる上移動制御を実行する(ステップST32)。これにより、積込装置T2の押込工程が行われている間に、カバー部材20は上位置まで移動し、塵芥投入箱3の投入口3aが開放される。
【0095】
次に、制御部60は、第3検出部53の検出信号が入力されたか否かを判定する(ステップST33)。第3検出部53の検出信号が入力されていない場合(ステップST33で「No」の場合)、制御部60は、所定時間が経過した後、再度ステップST33の判定を行う。第3検出部53の検出信号が入力されると(ステップST33で「Yes」の場合)、制御部60は、押込シリンダ46の伸長動作を停止させ、押込工程を終了する(ステップST34)。
本実施形態の他の構成は、第1実施形態と同様であるため、同一の符号を付して説明を省略する。
【0096】
<作用効果>
本実施形態の塵芥収集車1においても、制御部60は、積込装置T2の動作に対応して開閉シリンダ25の伸縮動作を制御するので、作業者によりカバー部材20を下位置へ移動させる操作、及びカバー部材20を上位置へ移動させる操作が不要になる。これにより、塵芥の積込作業を効率的に行うことができる。
【0097】
制御部60は、積込装置T2の序盤動作を行うときに、カバー部材20が下位置へ移動するように開閉シリンダ25を伸長動作させる下移動制御を行うので、積込装置T2の序盤動作が行われるときに、作業者によりカバー部材20を下位置へ移動させる操作が不要になる。これにより、積込装置T2の序盤動作を効率的に行うことができる。
【0098】
制御部60は、積込装置T2の序盤動作における回転工程と並行して下移動制御を行うので、積込装置T2の動作前に下移動制御を行う必要がない。これにより、塵芥投入箱3内に塵芥を投入した後、積込装置T2の序盤動作を迅速に開始することができるので、積込装置T2の序盤動作をさらに効率的に行うことができる。
【0099】
回転板41と押込板43により1サイクル動作が行われる回転板式の積込装置T2では、掻上工程において回転板41が塵芥を掻き上げるときに、塵芥投入箱3内の塵芥が投入口3aから外部に溢れ易い。これに対して、本実施形態では、積込装置T2の掻上工程の前に、下移動制御によりカバー部材20が下位置へ移動して塵芥投入箱3の投入口3aが閉鎖されるので、掻上工程において塵芥投入箱3内の塵芥が投入口3aから外部に溢れるのを抑制することができる。
【0100】
制御部60は、積込装置T2の終盤動作が行われるときに、カバー部材20が上位置へ移動するように開閉シリンダ25を収縮動作させる上移動制御を行うので、積込装置T2の終盤動作が行われるときに、作業者によりカバー部材20を上位置へ移動させる操作が不要になる。これにより、積込装置T2の終盤動作を効率的に行うことができる。また、下移動制御を行ってから上移動制御を行うまでの間、カバー部材20は投入口3aを閉鎖している下位置に維持されるので、その間に塵芥投入箱3内の塵芥が投入口3aから外部に溢れるのをさらに抑制することができる。
【0101】
制御部60は、積込装置T2の終盤動作における押込工程と並行して上移動制御を行うので、押込工程が終了した後に上移動制御を行う必要がない。これにより、塵芥投入箱3内に次の塵芥を投入する作業を迅速に行うことができるので、塵芥の積込作業をさらに効率的に行うことができる。
【0102】
[その他]
本実施形態のカバー部材20は、アウター式であるが、上位置において塵芥投入箱3の天板3dよりも下方に配置されるインナー式であってもよい。カバー部材20を上下移動させる駆動部25は、シリンダ(開閉シリンダ)以外の他のアクチュエータであってもよい。
【0103】
第1実施形態の第1検出部14及び第2検出部15は、プッシュシリンダ8の伸縮位置を検出しているが、スライダ5又は押込板7の上下移動位置を検出してもよい。第1実施形態の第3検出部16及び第4検出部17は、プレスシリンダ9の伸縮位置を検出しているが、押込板7の揺動位置を検出してもよい。第1~第4検出部14~17は、近接センサに限定されるものではなく、例えばリミットスイッチでもよい。
【0104】
第2実施形態の第1検出部51は、近接センサに限定されるものではなく、例えば、タイマであってもよい。その場合、タイマにより、例えば回転板41の原位置B0からの回転時間をカウントすることで、第1位置B1等を検出することができる。第2実施形態の第2検出部52及び第3検出部53は、支持軸44(第2ドグ56)の回転位置を検出しているが、押込板43の揺動位置を検出してもよい。また、第2検出部52及び第3検出部53は、近接センサに限定されるものではなく、例えばリミットスイッチでもよい。
【0105】
第1実施形態の下移動制御は、積込装置T1の反転工程の開始直後に行っているが、任意のタイミングで行ってもよい。例えば、第1実施形態の下移動制御は、積込装置T1の一次圧縮工程と並行して行ってもよい。その際、カバー部材20が下位置にあることを近接センサ等の下位置検出部で検出し、制御部30は、以下のように制御してもよい。すなわち、制御部30は、塵芥の溢れが生じやすくなる一次圧縮工程の途中(例えば押込板7の先端7bが投入口3aの上縁と略一致する位置)において、下位置検出部がカバー部材20の下位置を検出したか否かを判定する。下位置検出部が検出した場合、制御部30は一次圧縮工程を継続する。一方、下位置検出部が検出しなかった場合、制御部30は一次圧縮工程を一時停止し、下位置検出部が検出した後に一次圧縮工程を再開させる。これにより、塵芥が溢れやすい一次圧縮工程の後半において、カバー部材20により投入口3aを確実に閉鎖することができる。
【0106】
第2実施形態の下移動制御は、積込装置T2の回転工程の開始直後に行っているが、任意のタイミングで行ってもよい。例えば、第2実施形態の下移動制御は、積込装置T2の後退工程と並行して行ってもよい。その際、カバー部材20が下位置にあることを近接センサ等の下位置検出部で検出し、制御部60は、以下のように制御してもよい。すなわち、制御部60は、塵芥の溢れが生じやすくなる後退工程の途中(例えば回転板41の先端41aが投入口3aの上縁と略一致する姿勢)において、下位置検出部がカバー部材20の下位置を検出したか否かを判定する。下位置検出部が検出した場合、制御部60は後退工程を継続する。一方、下位置検出部が検出しなかった場合、制御部60は後退工程を一時停止し、下位置検出部が検出した後に後退工程を再開させる。これにより、塵芥が溢れやすい後退工程の後半において、カバー部材20により投入口3aを確実に閉鎖することができる。
【0107】
第1実施形態の上移動制御は、積込装置T1の押込工程の開始直後に行っているが、任意のタイミングで行ってもよい。第2実施形態の上移動制御は、積込装置T2の押込工程の開始直後に行っているが、任意のタイミングで行ってもよい。
【0108】
第1実施形態の下移動制御は、積込装置T1の動作と並行して行っているが、積込装置T1の動作を一時停止させた状態で行ってもよい。例えば、第1実施形態において、積込装置T1の反転工程が終了した時点で積込装置T1の動作を一時停止し、下移動制御を行った後に、積込装置T1の動作を再開(一次圧縮工程を開始)させてもよい。その際、カバー部材20が下位置にあることを近接センサ等の下位置検出部で検出してもよい。その場合、下位置検出部が検出したときに、下移動制御を停止し、積込装置T1の一次圧縮工程を開始させてもよい。
【0109】
第2実施形態の下移動制御は、積込装置T2の動作と並行して行っているが、積込装置T2の動作を一時停止させた状態で行ってもよい。例えば、第2実施形態において、積込装置T2の回転工程が終了した時点で積込装置T2の動作を一時停止し、下移動制御を行った後に、積込装置T2の動作を再開(後退工程を開始)させてもよい。その際、カバー部材20が下位置にあることを近接センサ等の下位置検出部で検出してもよい。その場合、下位置検出部が検出したときに、下移動制御を停止し、積込装置T2の後退工程を開始させてもよい。
【0110】
第1及び第2実施形態の上移動制御は、積込装置T1,T2の動作と並行して行っているが、積込装置T1,T2の動作を一時停止させた状態で行ってもよい。例えば、第1実施形態において、積込装置T1の二次圧縮工程が終了した時点で積込装置T1の動作を一時停止し、上移動制御を行った後に、積込装置T1の動作を再開(押込工程を開始)させてもよい。
【0111】
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0112】
1 塵芥収集車
2 塵芥収容箱
3 塵芥投入箱
3a 投入口
7 押込板
20 カバー部材
25 開閉シリンダ(駆動部)
30 制御部
41 回転板
43 押込板
60 制御部
B0 原位置
B1 第1位置
B2 第2位置
T1 積込装置
T2 積込装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10