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特開2024-22786遠隔診療支援装置、遠隔診療支援方法及び遠隔診療支援プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022786
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】遠隔診療支援装置、遠隔診療支援方法及び遠隔診療支援プログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 50/00 20180101AFI20240214BHJP
【FI】
G16H50/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022126129
(22)【出願日】2022-08-08
(71)【出願人】
【識別番号】522315655
【氏名又は名称】土屋 肇
(71)【出願人】
【識別番号】515089998
【氏名又は名称】株式会社MirrorLife
(74)【代理人】
【識別番号】110003546
【氏名又は名称】弁理士法人伊藤IP特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土屋 肇
(72)【発明者】
【氏名】占部 祐二
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA04
5L099AA22
(57)【要約】
【課題】患者の生体情報に基づいて、医師による遠隔診療を好適に支援できる技術を提供する。
【解決手段】本開示の遠隔診療支援装置は、患者ユーザの生体情報である患者生体情報に基づいて、医師ユーザによる遠隔診療を支援する遠隔診療支援装置である。この遠隔診療支援装置は、生体情報検出手段によって検出された患者生体情報を取得することと、患者ユーザが所在する患者室の環境情報を検出する環境情報検出手段によって検出された環境情報を取得することと、患者ユーザを撮影する撮影手段によって撮影された撮影データを取得することと、遠隔診療のために予め定められたタイミングにおいて、患者生体情報及び環境情報及び撮影データを医師ユーザが操作する医師ユーザ端末に表示させることと、を実行する制御部を備える。そして、制御部は、リアルタイムの患者生体情報及び環境情報及び撮影データを、医師ユーザ端末に重畳表示させる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者ユーザの所定の生体情報である患者生体情報に基づいて、医師ユーザによる遠隔診療を支援する遠隔診療支援装置であって、
所定の生体情報検出手段によって検出された前記患者生体情報を取得することと、
前記患者ユーザが所在する患者室の環境情報を検出する環境情報検出手段によって検出された該環境情報を取得することと、
前記患者ユーザを撮影する撮影手段によって撮影された撮影データを取得することと、
前記遠隔診療のために予め定められたタイミングにおいて、前記患者生体情報及び前記環境情報及び前記撮影データを、前記医師ユーザが操作する医師ユーザ端末に表示させることと、
を実行する制御部を備え、
前記制御部は、
リアルタイムの前記患者生体情報及び前記環境情報及び前記撮影データを、前記医師ユーザ端末に重畳表示させる、
遠隔診療支援装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記患者生体情報に含まれる数値であって前記患者ユーザの生体の状態を表す生体数値の変化が所定の閾値未満の場合は、該生体数値の現在値を表示させ、
前記生体数値の変化が前記閾値以上の場合は、該生体数値の推移の時系列をグラフ表示させる、
請求項1に記載の遠隔診療支援装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記患者ユーザの所定の身体部位の運動データであって該身体部位の運動についての加速度を表す加速度データを取得することを更に実行し、
前記加速度データが所定の加速度閾値以上となった場合に、前記タイミングによらず、前記患者生体情報及び前記環境情報及び前記撮影データを前記医師ユーザ端末に表示させる、
請求項1に記載の遠隔診療支援装置。
【請求項4】
前記生体情報検出手段は、前記患者ユーザの生命活動に付随して変化する物理量を、該患者ユーザの所定の身体部位に対して接触して又は非接触で検出する装置である、
請求項1から請求項3の何れか1項に記載の遠隔診療支援装置。
【請求項5】
患者ユーザの所定の生体情報である患者生体情報に基づいて、医師ユーザによる遠隔診療を支援する遠隔診療支援方法であって、
コンピュータが、
所定の生体情報検出手段によって検出された前記患者生体情報を取得することと、
前記患者ユーザが所在する患者室の環境情報を検出する環境情報検出手段によって検出された該環境情報を取得することと、
前記患者ユーザを撮影する撮影手段によって撮影された撮影データを取得することと、
前記遠隔診療のために予め定められたタイミングにおいて、前記患者生体情報及び前記環境情報及び前記撮影データを、前記医師ユーザが操作する医師ユーザ端末に表示させることと、
を実行し、
前記コンピュータが、
リアルタイムの前記患者生体情報及び前記環境情報及び前記撮影データを、前記医師ユーザ端末に重畳表示させることを実行する、
遠隔診療支援方法。
【請求項6】
患者ユーザの所定の生体情報である患者生体情報に基づいて、医師ユーザによる遠隔診療を支援する遠隔診療支援プログラムであって、
コンピュータに、
所定の生体情報検出手段によって検出された前記患者生体情報を取得することと、
前記患者ユーザが所在する患者室の環境情報を検出する環境情報検出手段によって検出された該環境情報を取得することと、
前記患者ユーザを撮影する撮影手段によって撮影された撮影データを取得することと、
前記遠隔診療のために予め定められたタイミングにおいて、前記患者生体情報及び前記環境情報及び前記撮影データを、前記医師ユーザが操作する医師ユーザ端末に表示させることと、
を実行させ、
前記コンピュータに、
リアルタイムの前記患者生体情報及び前記環境情報及び前記撮影データを、前記医師ユーザ端末に重畳表示させることを実行させる、
遠隔診療支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者生体情報に基づいて、医師ユーザによる遠隔診療を支援する遠隔診療支援装置、遠隔診療支援方法及び遠隔診療支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、患者は、医療機関に訪問し医師からの診療を受けていた。これに対して、空間的にあるいは時間的に医療機関から遠隔である患者は、医療機関に訪問するのに困難が伴う場合があった。また、近年の新型コロナウイルス感染症の予防の観点から、患者と医師との間で非対面での診療が求められる事態が生じている。
【0003】
これら事態に対応する医療支援として、患者と医師との間で行われる遠隔診療が広まっている。そして、このような遠隔診療に対して、多くの提案がなされている。
【0004】
例えば、特許文献1には、医療機関内の患者に医療的な対応をすることが必要なことが検知された場合に、簡単に且つ即座に遠隔医療支援機関に伝えることができる遠隔医療支援の技術が開示されている。この技術では、患者の状態を監視するための生体情報に基づいて、患者に医療的な対応をすることが必要な場合にアラートが通知される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6512527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
遠隔地における患者の状態を診断するために、患者の状態をモニタリングしておけば、例えば、患者の生体情報に異常が発見された場合の該異常の自動判定が実施され得る。例えば、特許文献1に記載の技術によれば、患者の生体情報が、患者の容態として正常の状態から外れた状態を示す場合、医療機関コンピュータが、患者に医療的な対応をすることが必要であると判断し、支援機関コンピュータに対してアラートを自動的に通知する。これによれば、遠隔医療支援システムにより、遠隔診療を支援できるようにも思われる。しかしながら、このような遠隔医療支援システムを用いたとしても、患者に医療的な対応をすることが必要であると判断された場合には、医師による医療的アドバイスが必要となる。
【0007】
ここで、上記の特許文献1に記載の技術では、患者の生体情報の測定データや生体情報モニタの画面が医師に共有されるものの、医師による診療を直接的に支援するものではない。そして、医師による遠隔診療を支援する技術については、未だ改良の余地を残すものである。
【0008】
本開示の目的は、患者の生体情報に基づいて、医師による遠隔診療を好適に支援できる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の遠隔診療支援装置は、患者ユーザの所定の生体情報である患者生体情報に基づいて、医師ユーザによる遠隔診療を支援する遠隔診療支援装置である。そして、この遠隔診療支援装置は、所定の生体情報検出手段によって検出された前記患者生体情報を取得することと、前記患者ユーザが所在する患者室の環境情報を検出する環境情報検出手段によって検出された該環境情報を取得することと、前記患者ユーザを撮影する撮影手段によって撮影された撮影データを取得することと、前記遠隔診療のために予め定められたタイミングにおいて、前記患者生体情報及び前記環境情報及び前記撮影データを、前記医師ユーザが操作する医師ユーザ端末に表示させることと、を実行する制御部を備える。そして、前記制御部は、リアルタイムの前記患者生体情報及び前記環境情報及び前記撮影データを、前記医師ユーザ端末に重畳表示させる。
【0010】
上記の遠隔診療支援装置では、患者生体情報として、例えば、患者ユーザの心拍数、血圧、体温、血中酸素濃度等が取得され、環境情報として、例えば、患者室の温度、湿度、二酸化炭素濃度等が取得され、更に、患者ユーザが撮影された撮影データが取得される。そして、これら情報が医師ユーザ端末に重畳表示されることで、医師ユーザから患者ユーザに対する遠隔診療において、医師ユーザが、患者生体情報から患者ユーザのバイタルを把握し、環境情報から患者ユーザがおかれている環境を把握し、撮影データから患者ユーザの外観の身体を観察できるとともに、これら情報を一度に容易に確認することができる。これにより、医師ユーザによる診療を直接的に支援することができ、以て、医師による遠隔診療を好適に支援することができる。
【0011】
そして、本開示の遠隔診療支援装置において、前記制御部は、前記患者生体情報に含まれる数値であって前記患者ユーザの生体の状態を表す生体数値の変化が所定の閾値未満の場合は、該生体数値の現在値を表示させ、前記生体数値の変化が前記閾値以上の場合は、該生体数値の推移の時系列をグラフ表示させてもよい。ここで、上記の生体数値の変化の閾値は、心拍数や血圧、体温、血中酸素濃度等に対して、その異常を表す数値として予め定められ得る。これによれば、医師ユーザは、患者ユーザの生体数値の推移の過去の時系列や現在値の推移に基づいて、患者ユーザの状態をより的確に把握することが可能になる。一方、生体数値の変化が上記閾値未満であって患者ユーザの状態が安定していることが想定される場合には、生体数値の現在値のみが表示されることになり、例えば、医師ユーザは、ビデオ通話による患者ユーザとのコミュニケーションに集中することができる。
【0012】
また、本開示の遠隔診療支援装置において、前記制御部は、前記患者ユーザの所定の身体部位の運動データであって該身体部位の運動についての加速度を表す加速度データを取得することを更に実行し、前記加速度データが所定の加速度閾値以上となった場合に、前記タイミングによらず、前記患者生体情報及び前記環境情報及び前記撮影データを前記医師ユーザ端末に表示させてもよい。ここで、上記の加速度閾値は、人が転倒した際に検出される加速度として定義され、加速度センサの装着位置に応じて予め定められ得る。これによれば、患者ユーザが転倒したと推定される場合に、速やかに医師ユーザによる遠隔診療が行われるように、支援が実施されることになる。
【0013】
更に、以上に述べた遠隔診療支援装置において、前記生体情報検出手段は、前記患者ユーザの生命活動に付随して変化する物理量を、該患者ユーザの所定の身体部位に対して接触して又は非接触で検出する装置である。
【0014】
また、本開示は、コンピュータによる遠隔診療支援方法の側面から捉えることができる。すなわち、本開示の遠隔診療支援方法は、患者ユーザの所定の生体情報である患者生体情報に基づいて、医師ユーザによる遠隔診療を支援する遠隔診療支援方法であって、コンピュータが、所定の生体情報検出手段によって検出された前記患者生体情報を取得することと、前記患者ユーザが所在する患者室の環境情報を検出する環境情報検出手段によって検出された該環境情報を取得することと、前記患者ユーザを撮影する撮影手段によって撮影された撮影データを取得することと、前記遠隔診療のために予め定められたタイミングにおいて、前記患者生体情報及び前記環境情報及び前記撮影データを、前記医師ユーザが操作する医師ユーザ端末に表示させることと、を実行する。そして、前記コンピュータが、リアルタイムの前記患者生体情報及び前記環境情報及び前記撮影データを、前記医師ユーザ端末に重畳表示させることを実行する。
【0015】
また、本開示は、遠隔診療支援プログラムの側面から捉えることができる。すなわち、本開示の遠隔診療支援プログラムは、患者ユーザの所定の生体情報である患者生体情報に基づいて、医師ユーザによる遠隔診療を支援する遠隔診療支援プログラムであって、コンピュータに、所定の生体情報検出手段によって検出された前記患者生体情報を取得することと、前記患者ユーザが所在する患者室の環境情報を検出する環境情報検出手段によって検出された該環境情報を取得することと、前記患者ユーザを撮影する撮影手段によって撮影された撮影データを取得することと、前記遠隔診療のために予め定められたタイミングにおいて、前記患者生体情報及び前記環境情報及び前記撮影データを、前記医師ユーザが操作する医師ユーザ端末に表示させることと、を実行させる。そして、前記コンピュータに、リアルタイムの前記患者生体情報及び前記環境情報及び前記撮影データを、前記医師ユーザ端末に重畳表示させることを実行させる。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、患者の生体情報に基づいて、医師による遠隔診療を好適に支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1実施形態における遠隔診療支援システムの概略構成を示す図である。
図2】第1実施形態における、遠隔診療支援システムに含まれるサーバの構成要素をより詳細に示すとともに、サーバと通信を行うユーザ端末の構成要素を示した図である。
図3】第1実施形態における遠隔診療支援システムの動作の流れを例示する図である。
図4】医師ユーザのユーザ端末に重畳表示される、リアルタイムの患者生体情報及び環境情報及び撮影データを説明するための第1の図である。
図5】医師ユーザのユーザ端末に重畳表示される、リアルタイムの患者生体情報及び環境情報及び撮影データを説明するための第2の図である。
図6】第1実施形態の変形例における遠隔診療支援システムの動作の流れを例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面に基づいて、本開示の実施の形態を説明する。以下の実施形態の構成は例示であり、本開示は実施形態の構成に限定されない。
【0019】
<第1実施形態>
第1実施形態における遠隔診療支援システムの概要について、図1を参照しながら説明する。図1は、本実施形態における遠隔診療支援システムの概略構成を示す図である。本実施形態に係る遠隔診療支援システム100は、ネットワーク200と、サーバ300と、ユーザ端末400と、生体情報検出手段500と、環境情報検出手段600と、撮影手段700と、を含んで構成される。なお、本開示の遠隔診療支援システムは、患者ユーザの所定の生体情報である患者生体情報に基づいて、医師ユーザによる遠隔診療を支援するシステムであって、該遠隔診療の支援がサーバ300によって実行される。
【0020】
ネットワーク200は、例えば、IPネットワークである。ネットワーク200は、IPネットワークであれば、無線であっても有線であっても無線と有線の組み合わせであってもよく、例えば、無線による通信であれば、ユーザ端末400は、無線LANアクセスポイント(不図示)にアクセスし、LANやWANを介してサーバ300と通信してもよい。また、ネットワーク200は、これらの例に限られず、例えば、公衆交換電話網や、光回線、ADSL回線、衛星通信網などであってもよい。なお、本実施形態におけるネットワーク200には、サーバ300と生体情報検出手段500との間で近距離通信を行うBluetooth(登録商標)が含まれ得る。
【0021】
サーバ300は、ネットワーク200を介して、ユーザ端末400、および生体情報検出手段500と、環境情報検出手段600と、撮影手段700と接続される。なお、図1において、説明を簡単にするために、サーバ300は1台、ユーザ端末400は1台示してあるが、これらに限定されないことは言うまでもない。
【0022】
サーバ300は、データの取得、生成、更新等の演算処理及び加工処理のための処理能力のあるコンピュータ機器であればどの様な電子機器でもよく、例えば、パーソナルコンピュータ、サーバ、メインフレーム、その他電子機器であってもよい。すなわち、サーバ300は、CPUやGPU等のプロセッサ、RAMやROM等の主記憶装置、EPROM、ハードディスクドライブ、リムーバブルメディア等の補助記憶装置を有するコンピュータとして構成することができる。なお、リムーバブルメディアは、例えば、USBメモリ、あるいは、CDやDVDのようなディスク記録媒体であってもよい。補助記憶装置には、オペレーティングシステム(OS)、各種プログラム、各種テーブル等が格納されている。
【0023】
また、サーバ300は、本実施形態に係る遠隔診療支援システム100専用のソフトウェアやハードウェア、OS等を設けずに、クラウドサーバによるSaaS(Software as a Service)、Paas(Platform as a Service)、IaaS(Infrastructure as a Service)を適宜用いてもよい。
【0024】
ユーザ端末400は、遠隔診療支援システム100を利用するユーザが保有する携帯端末等の電子機器であればよく、例えば、携帯端末、タブレット端末、スマートフォン、ウェアラブル端末、パーソナルコンピュータ等、その他端末機器であってもよい。
【0025】
次に、図2に基づいて、主にサーバ300の構成要素の詳細な説明を行う。図2は、第1実施形態における、遠隔診療支援システム100に含まれるサーバ300の構成要素をより詳細に示すとともに、サーバ300と通信を行うユーザ端末400の構成要素を示した図である。
【0026】
サーバ300は、機能部として通信部301、記憶部302、制御部303を有しており、補助記憶装置に格納されたプログラムを主記憶装置の作業領域にロードして実行し、プログラムの実行を通じて各機能部等が制御されることによって、各機能部における所定の目的に合致した各機能を実現することができる。ただし、一部または全部の機能はASICやFPGAのようなハードウェア回路によって実現されてもよい。
【0027】
ここで、通信部301は、サーバ300をネットワーク200に接続するための通信インタフェースである。通信部301は、例えば、ネットワークインタフェースボードや、無線通信のための無線通信回路(Wi-Fi(登録商標)やBluetooth(登録商標)の通信回路を含む。)を含んで構成される。サーバ300は、通信部301を介して、ユーザ端末400や、生体情報検出手段500、環境情報検出手段600、撮影手段700、その他の外部装置と通信可能に接続される。
【0028】
記憶部302は、主記憶装置と補助記憶装置を含んで構成される。主記憶装置は、制御部303によって実行されるプログラムや、当該制御プログラムが利用するデータが展開されるメモリである。補助記憶装置は、制御部303において実行されるプログラムや、当該制御プログラムが利用するデータが記憶される装置である。また、記憶部302は、ユーザ端末400や、生体情報検出手段500、環境情報検出手段600、撮影手段700等から送信されたデータを記憶し、記憶部302には、後述する患者生体情報や環境情報、撮影データが記憶される。なお、サーバ300は、通信部301を介してこれらのデータを取得する。
【0029】
制御部303は、サーバ300が行う制御を司る機能部である。制御部303は、CPUなどの演算処理装置によって実現することができる。制御部303は、更に、第1取得部3031と、第2取得部3032と、第3取得部3033と、表示制御部3034と、の4つの機能部を有して構成される。各機能部は、記憶されたプログラムをCPUによって実行することで実現してもよい。
【0030】
第1取得部3031は、患者ユーザの所定の生体情報である患者生体情報を取得する。ここで、第1取得部3031は、生体情報検出手段500との間でBluetooth(登録商標)による近距離通信を行うことで、該生体情報検出手段500によって検出された患者生体情報を取得することができる。ただし、サーバ300と生体情報検出手段500との間の通信をBluetooth(登録商標)による近距離通信に限定する意図はなく、上記の患者生体情報は、Wi-Fi(登録商標)によって無線通信されてもよい。そして、第1取得部3031は、通信により取得した患者生体情報をサーバ300の記憶部302に記憶させる。
【0031】
なお、上記の患者生体情報とは、患者ユーザの心拍数、血圧、体温、血中酸素濃度等であって、生体情報検出手段500によって検出され得る。生体情報検出手段500は、患者ユーザの生命活動に付随して変化する物理量を、該患者ユーザの所定の身体部位に対して接触して又は非接触で検出する装置であって、例えば、患者ユーザの心拍数を測定する光学式心拍センサや、患者ユーザの血圧をリアルタイムで測定するウェアラブル血圧計、患者ユーザの体温を測定する体温計、患者ユーザの血中酸素濃度を測定するパルスオキシメータである。
【0032】
第2取得部3032は、患者ユーザが所在する患者室の環境情報を取得する。ここで、第2取得部3032は、環境情報検出手段600との間でWi-Fi(登録商標)による無線通信を行うことで、該環境情報検出手段600によって検出された環境情報を取得することができる。そして、第2取得部3032は、通信により取得した環境情報をサーバ300の記憶部302に記憶させる。
【0033】
なお、上記の環境情報とは、患者室の温度、湿度、二酸化炭素濃度等であって、環境情報検出手段600によって検出され得る。この場合、環境情報検出手段600は、温度計、湿度計、二酸化炭素濃度測定器等である。
【0034】
第3取得部3033は、患者ユーザが撮影された撮影データを取得する。ここで、第3取得部3033は、撮影手段700との間でWi-Fi(登録商標)による無線通信を行うことで、該撮影手段700によって撮影された上記の撮影データを取得することができる。そして、第3取得部3033は、通信により取得した撮影データをサーバ300の記憶部302に記憶させる。
【0035】
なお、上記の撮影手段700は、静止画や動画等の画像を撮像する装置であって、具体的には、Charged-Coupled Devices(CCD)、Metal-oxide-semiconductor(MOS)あるいはComplementary Metal-Oxide-Semiconductor(CMOS)等のイメージセンサを用いたカメラにより実現され得る。
【0036】
表示制御部3034は、遠隔診療のために予め定められたタイミングにおいて、患者生体情報及び環境情報及び撮影データを、医師ユーザが操作する医師ユーザ端末であるユーザ端末400に表示させる。なお、表示制御部3034が実行する処理の詳細は、後述する図3に基づいて説明する。
【0037】
ここで、本実施形態におけるユーザ端末400は、機能部として通信部401、入出力部402、記憶部403を有している。通信部401は、ユーザ端末400をネットワーク200に接続するための通信インタフェースであり、例えば、ネットワークインタフェースボードや、無線通信のための無線通信回路を含んで構成される。入出力部402は、通信部401を介して外部から送信されてきた情報等を表示させたり、通信部401を介して外部に情報を送信する際に当該情報を入力したりするための機能部である。記憶部403は、サーバ300の記憶部302と同様に主記憶装置と補助記憶装置を含んで構成される。
【0038】
入出力部402は、更に、表示部4021、操作入力部4022、画像・音声入出力部4023を有している。表示部4021は、各種情報を表示する機能を有し、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)ディスプレイ、LED(Light Emitting Diode)ディスプレイ、OLED(Organic Light Emitting Diode)ディスプレイ等により実現される。操作入力部4022は、ユーザからの操作入力を受け付ける機能を有し、具体的には、タッチパネル等のソフトキーあるいはハードキーにより実現される。画像・音声入出力部4023は、静止画や動画等の画像の入力を受け付ける機能を有し、具体的には、Charged-Coupled Devices(CCD)、Metal-oxide-semiconductor(MOS)あるいはComplementary Metal-Oxide-Semiconductor(CMOS)等のイメージセンサを用いたカメラにより実現される。また、画像・音声入出力部4023は、音声の入出力を受け付ける機能を有し、具体的には、マイクやスピーカーにより実現される。
【0039】
医師ユーザは、このように構成されたユーザ端末400を用いて、該ユーザ端末400に表示された患者生体情報及び環境情報及び撮影データを確認しながら、患者ユーザに対して遠隔診療を実施することができる。そして、このように構成されたユーザ端末400と、患者ユーザ側の撮影手段700と、を用いて、医師ユーザは、ビデオ通話を行う等により患者ユーザとコミュニケーションを図ることができる。
【0040】
なお、制御部303が、第1取得部3031、第2取得部3032、第3取得部3033、および表示制御部3034の処理を実行することで、本開示に係る制御部として機能する。
【0041】
ここで、本実施形態における遠隔診療支援システム100の動作の流れについて説明する。図3は、本実施形態における遠隔診療支援システム100の動作の流れを例示する第1の図である。図3では、本実施形態における遠隔診療支援システム100におけるサーバ300とユーザ端末400との間の動作の流れ、およびサーバ300とユーザ端末400とが実行する処理を説明する。なお、本実施形態では、図3に示す処理フローが所定の周期(例えば、10秒毎)で繰り返し実行される。
【0042】
本実施形態では、生体情報検出手段500によって患者生体情報が検出され、環境情報検出手段600によって環境情報が検出され、撮影手段700によって撮影データが撮影される。そして、これら情報が、ネットワーク200を介してサーバ300に送信されることで、サーバ300が、患者生体情報及び環境情報及び撮影データを取得する(S101、S102、S103)。
【0043】
次に、サーバ300は、患者ユーザに対する遠隔診療のために予め定められたタイミングが到来したか否かを判別する(S104)。ここで、上記のタイミングとは、例えば、遠隔診療の実施が予約された予約日時であって、該予約日時は予め定められサーバ300の記憶部302に記憶されている。そして、S104において肯定判定された場合、サーバ300はS105の処理へ進み、S104において否定判定された場合、本フローの実行が終了される。
【0044】
S104において肯定判定された場合、次に、S105において、サーバ300は、医師ユーザのユーザ端末400に表示させるための重畳表示データを作成する(S105)。そうすると、重畳表示データが、サーバ300から医師ユーザのユーザ端末400に送信され、該ユーザ端末400が、その情報を取得する(S106)。そして、医師ユーザのユーザ端末400に、重畳表示データが表示される(S107)。
【0045】
ここで、上記の重畳表示データは、リアルタイムの患者生体情報及び環境情報及び撮影データをユーザ端末400に重畳表示させるためのデータである。これについて、図4に基づいて説明する。
【0046】
図4は、医師ユーザのユーザ端末400に重畳表示される、リアルタイムの患者生体情報及び環境情報及び撮影データを説明するための第1の図である。
【0047】
そして、図4(a)は、サーバ300の記憶部302に記憶される患者生体情報を例示する図である。なお、説明のため、図4(a)では、患者生体情報の数値の推移の時系列をグラフ表示しているが、サーバ300の記憶部302に記憶される患者生体情報は、このような形式に限定されない。また、患者生体情報の数値のプロットについて、白丸は過去の数値を表し黒丸は現在の数値を表していて、本実施形態では、図3に示す処理フローが10秒毎に繰り返し実行されるため、10秒毎の患者生体情報がサーバ300の記憶部302に記憶される。
【0048】
そして、このような患者生体情報について、図4(b)に示す例では、生体数値の現在値が、環境情報、撮影データと併せてユーザ端末400に重畳表示される。ここで、上記の生体数値は、患者生体情報に含まれ、患者ユーザの生体の状態を表す数値である。詳しくは、図4(b)に示すように、画面SC1が医師ユーザのユーザ端末400の表示部4021に表示され、この画面SC1には、生体数値の現在値SC11、環境情報SC12、および撮影データSC13が示される。図4(b)に示す例では、生体数値の現在値として、心拍数95回、血圧115.0mmHg,86.0mmHg、体温36.9℃、血中酸素濃度99%と表示される。そして、医師ユーザは、ユーザ端末400に表示されたこれらデータと環境情報、撮影データを確認しながら、患者ユーザの状態を把握することができる。
【0049】
これによれば、医師ユーザから患者ユーザに対する遠隔診療において、医師ユーザが、ユーザ端末400に重畳表示された患者生体情報から患者ユーザのバイタルを把握し、環境情報から患者ユーザがおかれている環境を把握し、撮影データから患者ユーザの外観の身体を観察できるとともに、これら情報を一度に容易に確認することができる。これにより、医師ユーザによる診療を直接的に支援することができ、以て、医師による遠隔診療を好適に支援することができる。
【0050】
なお、医師ユーザのユーザ端末400には、上記生体数値の推移の時系列がグラフ表示されてもよい。これにより、医師ユーザは、診療しながら患者ユーザの生体数値の推移を把握することが可能になる。ただし、このようなグラフ表示は、ユーザ端末400の画面の比較的多くの部分を占有してしまうことになり、医師ユーザが患者ユーザの外観を観察し難くなったり、医師ユーザが患者ユーザとのコミュニケーションに集中し難くなったりする事態が生じ得る。そこで、サーバ300は、所定の条件が成立した場合のみ、生体数値の推移の時系列を含んだ重畳表示データを医師ユーザのユーザ端末400に表示させるようにしてもよい。
【0051】
詳しくは、サーバ300は、医師ユーザのユーザ端末400に対して、生体数値の変化が所定の閾値未満の場合は、該生体数値の現在値を表示させ、生体数値の変化が閾値以上の場合は、該生体数値の推移の時系列をグラフ表示させてもよい。これについて、図5に基づいて説明する。
【0052】
図5は、医師ユーザのユーザ端末400に重畳表示される、リアルタイムの患者生体情報及び環境情報及び撮影データを説明するための第2の図である。
【0053】
そして、図5(a)は、サーバ300の記憶部302に記憶される患者生体情報を例示する図である。図5(a)に示す例では、心拍数の現在値が130回となっており、心拍数の10秒前の前回値95回よりも30%以上変化している。ここで、心拍数は、緊張、不安、痛み、ストレスなど、心身の緊張状態や、身体への負荷や異常に応じて変動する傾向があり、心拍数が30%以上変化する場合は、患者ユーザにこれら影響のいずれかが作用している可能性がある。
【0054】
したがって、このような場合には、図5(b)に示すように、患者ユーザの生体数値の推移の時系列をグラフ表示させることで、医師ユーザは、その変化の推移に基づいて患者ユーザの状態をより的確に把握することが可能になる。例えば、あるタイミングで心拍数が30%以上変化したものの、その後の数分間(例えば、2分間)で、変化前の心拍数の値に収束していくような推移の場合は、医師ユーザは、患者ユーザに一時的な緊張状態等が作用したと推定することができる。一方、心拍数が上昇した状態が続く場合には、医師ユーザは、患者ユーザに何らかの異常が生じていると推定することができる。なお、上記の例では、30%の生体数値の変化が所定の閾値となる。そして、本開示の生体数値の変化の閾値は、心拍数や血圧、体温、血中酸素濃度等に対して、その異常を表す数値として予め定められ得る。
【0055】
これによれば、医師ユーザは、患者ユーザの生体数値の推移の過去の時系列や現在値の推移に基づいて、患者ユーザの状態をより的確に把握することが可能になる。一方、生体数値の変化が閾値未満であって患者ユーザの状態が安定していることが想定される場合には、生体数値の現在値のみが表示されることになり、例えば、医師ユーザは、ビデオ通話による患者ユーザとのコミュニケーションに集中することができる。
【0056】
以上に述べた遠隔診療支援システム100によれば、患者の生体情報に基づいて、医師による遠隔診療を好適に支援することができる。
【0057】
<第1実施形態の変形例>
第1実施形態の変形例における遠隔診療支援システム100について、図6に基づいて説明する。上述した第1実施形態では、遠隔診療のために予め定められたタイミングにおいて、医師ユーザのユーザ端末400に、リアルタイムの患者生体情報及び環境情報及び撮影データが重畳表示される例について説明した。これに対して、本変形例では、サーバ300の制御部303が、患者ユーザの所定の身体部位の運動データであって該身体部位の運動についての加速度を表す加速度データを取得することを更に実行し、該加速度データが所定の加速度閾値以上となった場合に、上記のタイミングによらず、患者生体情報及び環境情報及び撮影データを医師ユーザのユーザ端末400に表示させる例について説明する。
【0058】
ここで、本変形例における遠隔診療支援システム100の動作の流れについて説明する。図6は、本変形例における遠隔診療支援システム100の動作の流れを例示する図である。図6では、本変形例における遠隔診療支援システム100におけるサーバ300とユーザ端末400との間の動作の流れ、およびサーバ300とユーザ端末400とが実行する処理を説明する。なお、図6に示す各処理において、上記の図3に示した処理と実質的に同一の処理については、同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0059】
図6に示す例では、加速度センサ800によって、患者ユーザの所定の身体部位の運動データであって該身体部位の運動についての加速度が検出される。なお、加速度センサ800は、例えば、周知のジャイロセンサであって、患者ユーザは、ウェアラブルデバイスとしてジャイロセンサを自身の身体に装着することで、該患者ユーザの所定の身体部位の運動加速度が検出され得る。そして、この情報が、ネットワーク200を介してサーバ300に送信されることで、サーバ300が、加速度データを取得する(S201)。
【0060】
次に、サーバ300は、取得した加速度データが所定の加速度閾値未満であるか否かを判別する(S202)。ここで、上記の加速度閾値は、人が転倒した際に検出される加速度として定義され、ジャイロセンサの装着位置に応じて予め定められ得る。そして、S202において肯定判定された場合、サーバ300はS104の処理へ進み、S202において否定判定された場合、サーバ300はS105の処理へ進む。
【0061】
S202において否定判定された場合、次に、S105において、サーバ300は、医師ユーザのユーザ端末400に表示させるための重畳表示データを作成する(S105)。つまり、患者ユーザの所定の身体部位の運動加速度が加速度閾値以上となって、患者ユーザが転倒したと推定される場合には、遠隔診療のために予め定められたタイミングによらず、重畳表示データが作成され、医師ユーザのユーザ端末400に該重畳表示データが表示されることになる。
【0062】
これによれば、患者ユーザが転倒したと推定される場合に、速やかに医師ユーザによる遠隔診療が行われるように、支援が実施されることになる。
【0063】
そして、以上に述べた遠隔診療支援システム100によっても、患者の生体情報に基づいて、医師による遠隔診療を好適に支援することができる。
【0064】
<その他の変形例>
上記の実施形態はあくまでも一例であって、本開示はその要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施しうる。例えば、本開示において説明した処理や手段は、技術的な矛盾が生じない限りにおいて、自由に組み合わせて実施することができる。
【0065】
また、1つの装置が行うものとして説明した処理が、複数の装置によって分担して実行されてもよい。例えば、表示制御部3034をサーバ300とは別の演算処理装置に形成してもよい。このとき当該別の演算処理装置はサーバ300と好適に協働可能に構成される。また、異なる装置が行うものとして説明した処理が、1つの装置によって実行されても構わない。コンピュータシステムにおいて、各機能をどのようなハードウェア構成(サーバ構成)によって実現するかは柔軟に変更可能である。
【0066】
本開示は、上記の実施形態で説明した機能を実装したコンピュータプログラムをコンピュータに供給し、当該コンピュータが有する1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出して実行することによっても実現可能である。このようなコンピュータプログラムは、コンピュータのシステムバスに接続可能な非一時的なコンピュータ可読記憶媒体によってコンピュータに提供されてもよいし、ネットワークを介してコンピュータに提供されてもよい。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、例えば、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクドライブ(HDD)等)、光ディスク(CD-ROM、DVDディスク・ブルーレイディスク等)など任意のタイプのディスク、読み込み専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気カード、フラッシュメモリ、光学式カード、電子的命令を格納するために適した任意のタイプの媒体を含む。
【符号の説明】
【0067】
100・・・遠隔診療支援システム
200・・・ネットワーク
300・・・サーバ
301・・・通信部
302・・・記憶部
303・・・制御部
400・・・ユーザ端末
500・・・生体情報検出手段
600・・・環境情報検出手段
700・・・撮影手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6