(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022792
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】光学発光装置、光学発光装置の製造方法および光学発光素子
(51)【国際特許分類】
G09F 9/302 20060101AFI20240214BHJP
G09F 9/33 20060101ALI20240214BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20240214BHJP
H01L 33/48 20100101ALI20240214BHJP
【FI】
G09F9/302 Z
G09F9/33
G09F9/00 338
H01L33/48
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022126141
(22)【出願日】2022-08-08
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】石原 朋幸
【テーマコード(参考)】
5C094
5F142
5G435
【Fターム(参考)】
5C094AA43
5C094BA03
5C094BA25
5C094DB01
5C094ED01
5C094ED15
5C094FA03
5C094FA04
5C094JA08
5F142AA82
5F142BA32
5F142CA11
5F142CG27
5F142CG32
5G435AA17
5G435BB04
5G435CC09
5G435FF13
5G435HH02
5G435KK05
(57)【要約】
【課題】LED素子などの同一部品を大量に回路基板に配置する実装工程を効率化することが可能な技術を提供する。
【解決手段】光学発光装置は、自発光素子をおのおの有する複数の正多面体のパッケージと、前記複数の正多面体のパッケージの3面と嵌合する複数の実装穴を有する基板と、を含む。前記複数の正多面体のパッケージにおいて、正多面体の外装は透明部材により構成されている。前記複数の正多面体のパッケージの各々は、各頂点に各々第1電極を有し、各々2つの頂点を結ぶ直線状に各々第2電極を有し、前記複数の第1電極は前記自発光素子の一方の電極に接続され、前記複数の第2電極は前記自発光素子の他方の電極に接続されている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自発光素子をおのおの有する複数の正多面体のパッケージと、
前記複数の正多面体のパッケージの3面と嵌合する複数の実装穴を有する基板と、を含み、
前記複数の正多面体のパッケージにおいて、正多面体の外装は透明部材により構成され、
前記複数の正多面体のパッケージの各々は、
各頂点に各々第1電極を有し、
各々2つの頂点を結ぶ直線上に各々第2電極を有し、
前記複数の第1電極は前記自発光素子の一方の電極に接続され、
前記複数の第2電極は前記自発光素子の他方の電極に接続されている、
光学発光装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光学発光装置において、
前記自発光素子の前記一方の電極と前記他方の電極は、アノードとカソードである、光学発光装置。
【請求項3】
請求項1に記載の光学発光装置において、
前記正多面体の1辺の長さは100μmから5mmであり、
前記基板の上における前記複数の正多面体のパッケージの配置のピッチは100μmから5mmである、光学発光装置。
【請求項4】
請求項1に記載の光学発光装置において、
前記正多面体は、正四面体である、光学発光装置。
【請求項5】
請求項4に記載の光学発光装置において、
前記複数の第2電極は前記正多面体の各々の辺に設けられている、光学発光装置。
【請求項6】
請求項4に記載の光学発光装置において、
前記正四面体の1つの頂点と前記自発光素子との間に、前記自発光素子を固定する固定部材を有する、光学発光装置。
【請求項7】
請求項6に記載の光学発光装置において、
前記正四面体の残りの頂点に、各々前記固定部材と同じ透明度の部材を有する、光学発光装置。
【請求項8】
請求項6に記載の光学発光装置において、
前記固定部材は遮光性を有する、光学発光装置。
【請求項9】
請求項1に記載の光学発光装置において、
前記正多面体は、立方体である、光学発光装置。
【請求項10】
請求項9に記載の光学発光装置において、
前記複数の第2電極は、前記立方体の各々の面の中心に設けられている、光学発光装置。
【請求項11】
請求項9に記載の光学発光装置において、
前記立方体の1つの面と前記自発光素子との間に、前記自発光素子を固定する固定部材を有する、光学発光装置。
【請求項12】
請求項11に記載の光学発光装置において、
前記立方体の残りの面の中心に、各々前記固定部材と同じ透明度の部材を有する、光学発光装置。
【請求項13】
請求項11に記載の光学発光装置において、
前記固定部材は遮光性を有する、光学発光装置。
【請求項14】
請求項1に記載の光学発光装置の製造方法であって、
前記基板に前記複数の正多面体のパッケージを前記複数の実装穴の数よりも多い数ばらまく第1工程と、
前記基板を振動させる第2工程と、 前記複数の実装穴に嵌合しなかった前記正多面体のパッケージは吹き飛ばして回収する第3工程と、
前記複数の実装穴に嵌合した前記複数の正多面体のパッケージの前記複数の第1電極と前記複数の第2電極と前記基板上の配線とを半田で固定する第4工程と、を含む、
光学発光装置の製造方法。
【請求項15】
自発光素子と、
前記自発光素子を格納する透光性の正多面体のパッケージと、を有し、
前記正多面体のパッケージの各頂点に各々第1電極を有し、
前記正多面体のパッケージの各々2つの頂点を結ぶ直線上に各々第2電極を有し、
前記複数の第1電極は前記自発光素子の一方の電極に接続され、
前記複数の第2電極は前記自発光素子の他方の電極に接続されている、
光学発光素子。
【請求項16】
請求項15に記載の光学発光素子において、
前記自発光素子の前記一方の電極と前記他方の電極は、アノードとカソードである、光学発光素子。
【請求項17】
請求項15に記載の光学発光素子において、
前記正多面体の1辺の長さは100μmから5mmである、光学発光素子。
【請求項18】
請求項15に記載の光学発光素子において、
前記正多面体は、正四面体であり、前記複数の第2電極は前記正多面体の各々の辺に設けられている、光学発光素子。
【請求項19】
請求項18に記載の光学発光素子において、
前記正四面体の1つの頂点と前記自発光素子との間に、前記自発光素子を固定する固定部材を有する、光学発光素子。
【請求項20】
請求項19に記載の光学発光素子において、
前記正四面体の全ての頂点に、遮光性を有する固定部材を有する、光学発光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示装置または照明装置等の光学発光装置、光学発光装置の製造方法および光学発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
光学発光素子としての複数のLED(Light Emitting Diode)素子を用いた表示装置(LEDディスプレイとも言う)や照明装置などが知られている。たとえば、複数のLEDを用いた表示装置では、回路基板に複数のLEDが実装されている。
【0003】
複数のLEDチップを用いた表示装置の提案として、例えば、特開2002-358022号公報がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
LEDディスプレイ等の同一部品(LED素子)の大量実装工程においては、例えば、マウンター装置によって部品であるLED素子を1つずつ摘まんで回路基板に配置する実装作業が行われる。
【0006】
この実装作業によって、実装工程の時間が長くなり、製品生産数量の制約や実装不良の発生率の増加が課題であった。
【0007】
本開示は、LED素子などの同一部品を大量に回路基板に配置する実装工程を効率化することが可能な技術を提供することにある。
【0008】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
【0010】
すなわち、実施形態に係る光学発光装置は、
自発光素子をおのおの有する複数の正多面体のパッケージと、
前記複数の正多面体のパッケージの3面と嵌合する複数の実装穴を有する基板と、を含み、
前記複数の正多面体のパッケージにおいて、正多面体の外装は透明部材により構成され、
前記複数の正多面体のパッケージの各々は、
各頂点に各々第1電極を有し、
各々2つの頂点を結ぶ直線状に各々第2電極を有し、
前記複数の第1電極は前記自発光素子の一方の電極に接続され、
前記複数の第2電極は前記自発光素子の他方の電極に接続されている。
【0011】
また、実施形態に係る光学発光装置の製造方法は、
基板に前記複数の正多面体のパッケージを前記複数の実装穴の数よりも多い数ばらまく第1工程と、
前記基板を振動させる第2工程と、 前記複数の実装穴に嵌合しなかった前記正多面体のパッケージは吹き飛ばして回収する第3工程と、
前記複数の実装穴に嵌合した前記複数の正多面体のパッケージの前記複数の第1電極と前記複数の第2電極と前記基板上の配線とを半田で固定する第4工程と、を含む。
【0012】
また、実施形態に係る光学発光素子は、
自発光素子と、
前記自発光素子を格納する透光性の正多面体のパッケージと、を有し、
前記正多面体のパッケージの各頂点に各々第1電極を有し、
前記正多面体のパッケージの各々2つの頂点を結ぶ直線上に各々第2電極を有し、
前記複数の第1電極は前記自発光素子の一方の電極に接続され、
前記複数の第2電極は前記自発光素子の他方の電極に接続されている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、実施形態に係る光学発光装置の全体構成例を概念的に示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る光学発光装置の他の構成例を概念的に示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るLED素子の構造を説明するための斜視図である。
【
図5】
図5は、LED素子が実装穴に実装された状態を示す概念的な平面図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る光学発光装置の製造方法を説明するフロー図である。
【
図8】
図8は、LED素子の正四面体のパッケージPKGを実装穴の開口部に嵌め込む工程および回収工程を説明する概念図である。
【
図9】
図9は、変形例1に係るLED素子の構造を説明するための斜視図である。
【
図10】
図10は、変形例2に係るLED素子の構造を説明するための概念的な斜視図である。
【
図11】
図11は、変形例2のLED素子の正六面体(立方体)のパッケージを実装穴の開口部に嵌め込む工程および回収工程を説明する概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0015】
なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【0016】
また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0017】
(実施の形態)
(光学発光装置の全体構成例)
図1は、実施形態に係る光学発光装置の全体構成例を概念的に示す図である。
図2は、実施形態に係る光学発光装置の他の構成例を概念的に示す図である。
【0018】
図1には、本実施形態に係る光学発光装置10の一構成例が示されている。
図1の光学発光装置10は、表示装置や照明装置である。以下では、代表例として、LEDディスプレイ等の表示装置について説明する。
【0019】
表示装置10は、基板(回路基板とも言う)12の上に、表示部4を有する。表示部4には、自発光素子としての1つのLED素子2を含む画素3の複数がマトリクス状に配列されている。また、表示部4には、LED素子2のアノード電極にアノード電位を入力するための複数の行信号線6と、LED素子2のカソード電極にカソード電位を入力するための複数の列信号線8が配設される。行信号線6と列信号線8は交差するように配設される。基板12の周縁部には、行信号線6を駆動するロウドライバRDRVと列信号線8を駆動するカラムドライバCDRVとが設けられている。ロウドライバRDRVとカラムドライバCDRVとは、コントローラCICに接続されており、コントローラCICはロウドライバRDRVとカラムドライバCDRVの動作を制御する。
【0020】
ロウドライバRDRVは、コントローラCICからの制御信号に基づき、複数の行信号線6を1行ずつ順次選択して(走査して)、選択した行信号線6にアノード電圧を印加(ON)する。
【0021】
カラムドライバCDRVは、コントローラCICからの制御信号に基づき、選択された行信号線6のアノード電圧の印加(ON)期間において、点灯するLED素子2の列の列信号線8の電位(カソード電位)を接地電位レベル(GNDレベル、例えば、0V)とし、消灯するLED素子2の列の列信号線8の電位(カソード電位)を、接地電位レベルと異なるフロート状態とする。
【0022】
LED素子2のカソードをGNDレベルとする期間長を調整する事で階調制御も可能となる。この制御は、PWM(Pulse Width Modulation)制御と言われる。これを、複数の行信号線6の全行について繰り返す事で、LED素子2の点灯および消灯を制御して、所望の画像表示もしくは照明調光を行うことができる。
【0023】
図2には、本実施形態に係る光学発光装置10aの一構成例が示されている。
図2の光学発光装置10aは、アクティブマトリックス型のLEDディスプレイである。
【0024】
表示装置10aは、基板12aの上に、表示部4を有する。表示部4には、LED素子2と選択トランジスタSMとドライバトランジスタDMと容量素子Cを含む画素3aの複数がマトリクス状に配列されている。複数の画素3aの各々は、この例では、LED素子2と選択トランジスタSMとドライバトランジスタDMと容量素子Cを含む構成とされている。
【0025】
表示部4には、画素3aの選択トランジスタSMのゲート電極に選択信号を印加するための複数の走査線6aと、画素3aの選択トランジスタSMのソース電極またはドレイン電極に信号値の電位を印加するための複数の信号線8aが配設される。走査線6aと信号線8aは、交差するように配設される。基板12の周縁部には、走査線6aを駆動する走査線駆動回路SCLDRVと信号線8aを駆動する信号線ドライバSIGDRVとが設けられている。走査線駆動回路SCLDRVと信号線ドライバSIGDRVとは、コントローラCICに接続されており、コントローラCICは査線駆動回路SCLDRVと信号線ドライバSIGDRVの動作を制御する。
【0026】
画素3aにおいて、選択トランジスタSMのソースドレイン経路(ソース電極とドレイン電極との間の経路)は、信号線8aとドライバトランジスタDMのゲート電極との間に接続されている。ドライバトランジスタDMのソースドレイン経路は、電源電位VCCが供給される電源配線とLED素子2のアノード電極との間に接続されている。LED素子2のカソード電極は、接地電位(GND)が供給される配線に接続されている。容量素子Cは、ドライバトランジスタDMのゲート電極とLED素子2のアノード電極との間に接続されている。すなわち、容量素子Cは、ドライバトランジスタDMのゲート電極とソース電極との間に接続されている。
【0027】
画素3aにおいて、選択トランジスタSMが走査線6aの選択信号により選択(ON)されると、信号線8aの信号値に対応した電圧が容量素子Cのアノード電極側に印加される。これにより、信号線8aから供給される信号値に応じて、容量素子Cの両端の電位が設定される。そして、容量素子Cの両端の電圧により、ドライバトランジスタDMのゲート-ソース間電圧が設定され、LED素子2に流れる電流値が制御される。これにより、所望の画像表示もしくは照明調光を行うことができる。
【0028】
図3は、実施形態に係るLED素子の構造を説明するための斜視図である。
図4は、
図1の基板の構成例を説明する図である。
【0029】
図3に示すように、自発光素子であるLED素子2は、正多面体のパッケージPKGとして構成されている。この例では、正多面体のパッケージPKGは、正四面体のパッケージPKGとして構成されている。正四面体のパッケージPKGは、4つの頂点TO1-TO4と、4つの面と、6つの辺SL1-SL6と、を有する。4つの面は、透明素材(透明部材)により構成された4つの外装面PGKEXとされている。
【0030】
正四面体のパッケージPKGにおいて、LEDチップLEDCは固定部材である設置台LEDSTの上に載置され、この例では、設置台LEDSTが頂点TO4の側に固定されて設置されている。LEDチップLEDCから発光された光は、4つの透明な外装面PGKEXを通して正四面体のパッケージPKGの外部に照射されるように構成されている。設置台LEDSTは遮光性を有する材料により構成されている。設置台LEDSTは透明素材により構成してもよい。言い換えると、正四面体のパッケージPKGの1つの頂点(TO4)と自発光素子であるLEDチップLEDCとの間に、LEDチップLEDCを固定する固定部材である設置台LEDSTが設けられている。
【0031】
LEDチップLEDCは、アノードパッドANpadとカソードパッドCSpadとを有している。この例では、LEDチップLEDCは、矩形形状のチップとされており、アノードパッドANpadとカソードパッドCSpadは設置台LEDSTのLEDチップLEDCの搭載面の側に、矩形形状のチップの底面を挟むように離間されて設けられている。
【0032】
正四面体のパッケージPKGの4つの頂点TO1-TO4には、第1電極としてのカソード端子CSEが設けられている。4つのカソード端子CSEは、カソードパッドCSpadに、正四面体のパッケージPKGの内部に設けられたカソード配線CSLによって電気的に接続されている。
【0033】
正四面体のパッケージPKGの6つの辺SL1-SL6には、第2電極としてのアノード端子ANEが設けられている。つまり、2つの頂点を結ぶ直線(つまり、6つの辺SL1-SL6)の上に、6つのアノード端子ANEのおのおのが配置されている。6つのアノード端子ANEは、アノードパッドANpadに、正四面体のパッケージPKGの内部に設けられたアノード配線ANLによって電気的に接続されている。この例では、6つの4つの頂点TO1-TO4は、6つの辺SL1-SL6のほぼ中央位置の領域に配置されている。なお、6つの辺SL1-SL6の各々のほぼ中央位置の領域にカソード端子CSEを、4つの頂点TO1-TO4の各々にアノード端子ANEを設ける構成としてもよい。
【0034】
図4を用いて、
図1の基板12の構成例を説明する。
図5は、LED素子2が実装穴に実装された状態を示す概念的な平面図である。
図6は、
図5のB-B線に沿う概念的な断面図である。
図4には、LED素子2が実装される前の基板12の部分的な拡大図が平面
図PVと断面
図SVとで示されている。平面
図PVのA-A線に沿う断面が断面
図SVに対応する。
【0035】
図4に示すように、基板12は、複数のLED素子2が実装される複数の実装穴40が設けられている。実装穴40は、平面視において、三角形の形状とされている。実装穴40の三角形の形状は、LED素子2の正四面体のパッケージPKGがはめ込むことができるように構成されている。基板12は、表面12MSと裏面12BSとを有しており、実装穴40は、断面
図SVに示すように、基板12の表面12MSから裏面12BSに貫通した開口部とされている。実装穴40の開口部は、断面視において、傾斜面(テーパ面)40TPとなっており、実装穴40の開口部の上側(表面12MS側)が広くされ、実装穴40の開口部の下側(裏面12BS側)が、実装穴40の開口部の上側と比較して、狭くされている。LED素子2の正四面体のパッケージPKGが実装穴40の開口部に嵌め込まれると、LED素子2の正四面体のパッケージPKGの3面が実装穴40の開口部の3つ面の傾斜面(テーパ面)40TPと嵌合するように構成されている。
【0036】
基板12には、複数の行信号線6と複数の列信号線8とが設けられている。複数の行信号線6は基板12の表面12MSの側に設けられた実線で示される配線43により構成されている。複数の列信号線8は、基板12の裏面12BSの側に設けられた点線で示される配線44により構成されている。
【0037】
次に、代表として、1つの実装穴40の周囲の構成について説明する。表面12MS側の実装穴40の周囲は、LED素子2の正四面体のパッケージPKGのアノード電極ANEと電気的に接続されるアノード端子用の接続配線部分46と、LED素子2の正四面体のパッケージPKGのカソード電極CSEと電気的に接続されるカソード端子用の接続配線部分47と、半田などの複数の固定端子41と、を有する。アノード端子用の接続配線部分46は行信号線6に電気的に接続される。表面12MS側のカソード端子用の接続配線部分47は、ビア電極45を介して、裏面12BSに設けられた列信号線8に電気的に接続される。
【0038】
次に、
図5、
図6を用いて、LED素子2が実装穴に実装された状態を説明する。
【0039】
図5に示すように、LED素子2の正四面体のパッケージPKGが実装穴に嵌合されると、LED素子2の正四面体のパッケージPKGのアノード電極ANEとアノード端子用の接続配線部分46とが接近して配置されるので、
図6に示すように、接続半田60を用いてアノード電極ANEとアノード端子用の接続配線部分46とを電気的に接続できる。また、LED素子2の正四面体のパッケージPKGのカソード電極CSEとカソード端子用の接続配線部分47とが接近して配置されるので、
図6に示すように、接続半田60を用いてアノード電極ANEとアノード端子用の接続配線部分46とを電気的に接続できる。
【0040】
また、
図5、
図6から理解できるように、LED素子2の正四面体のパッケージPKGが実装穴40の開口部に嵌め込まれると、LED素子2の正四面体のパッケージPKGの3面が実装穴40の開口部の3つ面の傾斜面(テーパ面)40TPと嵌合するように構成されている。
【0041】
ここで、LED素子2の正四面体のパッケージPKGの1辺の長さは、たとえば、100μmから5mmである。また、基板12の上における複数の正多面体のパッケージPKGの配置ピッチ、または、記複数の実装穴の配置のピッチは、たとえば、100μmから5mmである。
【0042】
次に、
図7、
図8を用いて、LED素子2などの同一部品を大量に基板12の実装穴40に配置する光学発光装置の製造方法を説明する。
図7は、実施形態に係る光学発光装置の製造方法を説明するフロー図である。
図8は、LED素子2の正四面体のパッケージPKGを実装穴40の開口部に嵌め込む工程および回収工程を説明する概念図である。
【0043】
まず、複数のLED素子2の正四面体のパッケージPKGと、複数の実装穴40を有する基板12とを準備する。準備する複数のLED素子2の正四面体のパッケージPKGの個数は、基板12に設けられた複数の実装穴40の数以上である。これにより、数の実装穴40のすべてに、複数のLED素子2を嵌合させることができるので、実装不良の発生率を低減させることができる。
【0044】
(ステップS1:第1工程)
基板12の主面側(12MS)に、複数のLED素子2の正多面体のパッケージPKGがばらまかれる。ばらまかれる複数のLED素子2の正多面体のパッケージPKGの数は、複数の実装穴40の数よりも多い数ばらまく。
【0045】
(ステップS2:第2工程)
ステップS1の状態で、基板12が基板振動装置を用いて振動80させられる(
図8参照)。これにより、LED素子2の正多面体のパッケージPKGが複数の実装穴40に嵌合されていく(
図8参照:PKGa)。複数の実装穴40に嵌合しなかった複数のLED素子2の正多面体のパッケージPKG(PKGb)は、基板12の主面側(12MS)に残存していることになる。撮像や画像認識で確認して、基板12に設けたすべての実装穴40にLED素子2が嵌合されたら、ステップS3へ移行する。
【0046】
(ステップS3:第3工程)
ステップS2において、複数の実装穴40に嵌合しなかった複数のLED素子2の正多面体のパッケージPKG(PKGb)が基板12の主面側(12MS)に残存している。これらを回収するため、基板12の主面側(12MS)をブロー装置などにより生成した風81で吹き飛ばす(
図8参照)。これにより、基板12の主面側(12MS)に残存していた未嵌合の複数のLED素子2の正多面体のパッケージPKGが、例えば、回収袋などに回収される。回収が完了したら、ステップS4へ移行する。回収した未嵌合の複数のLED素子2の正多面体のパッケージPKGは、再利用することができるので、例えば、次のステップS1において利用される。
【0047】
(ステップS4:第4工程)
複数の実装穴40に嵌合した複数のLED素子2の正多面体のパッケージPKGの複数の第1電極(カソード電極)と複数の第2電極(アノード電極)と基板12上の配線(アノード端子用の接続配線部分46、カソード端子用の接続配線部分47)とが半田リフローなどを用いて接続用の半田60で固定される。
【0048】
実施形態によれば、LEDディスプレイ等の同一部品(LED素子2)の大量の実装工程においては、マウンター装置を利用せずに、基板12を振動させて、大量のLED素子2を基板12の実装穴40に嵌合させて配置する。そのため、作業時間が短くできる。これにより、LEDディスプレイ等の製品の生産数量の制約がなくなり、実装不良の発生率も低減できる。
【0049】
(変形例1)
図9は、変形例1に係るLED素子の構造を説明するための斜視図である。
図9に示すLED素子2aの正多面体のパッケージPKGが、
図3のLED素子2の正多面体のパッケージPKGと異なる点は、実装の向きによる光量の差を軽減するため、LEDチップLEDCの設置台(固定部材)LEDSTと同一の構成の設置台(固定部材)90を他の3つの頂点に追加し、各頂点に設置台を設けられている。
図9のLED素子2aの正多面体のパッケージPKGのその他の構成及び効果は、
図3のLED素子2の正多面体のパッケージPKGのその他の構成及び効果と同じであるので、重複する説明は省略する。
【0050】
設置台LEDSTが遮光性を有する材料により構成されている場合、設置台90も遮光性を有する材料により構成する。つまり、設置台90は設置台LEDSTと同じ透明度の部材を有する。
【0051】
これにより、LED素子2の正多面体のパッケージPKGの実装の向きによる光量の差を大幅に改善できる。なお、さらに、各設置台90にLEDチップLEDCを実装してもよい。この構成でも、LED素子2の正多面体のパッケージPKGの実装の向きによる光量の差を改善できる。
【0052】
(変形例2)
図10は、変形例2に係るLED素子の構造を説明するための概念的な斜視図である。
図11は、変形例2のLED素子の正六面体(立方体)のパッケージを実装穴の開口部に嵌め込む工程および回収工程を説明する概念図である。
【0053】
図3には、正四面体のLED素子2のパッケージPKGが示されているが、変形例2に係るLED素子2bは、
図10に示すように、正六面体(立方体)のパッケージPKGcとされてもよい。
【0054】
正六四面体のパッケージPKGcは、6つの頂点と、6つの面と、8つの辺と、を有する。6つの面は、透明素材により構成された6つの外装面とされている。6つの頂点の各々には、1つのカソード端子CSE(合計6つのカソード端子CSE)が設けられている。6つの面の中央部分(対応する面の2対の対角の角を結ぶ対角線の交点部分の位置)の各々には、1つアノード端子ANE(合計6つのアノード端子ANE)が設けられている。
【0055】
設置台LEDSTの上に、LEDチップLEDCが載置されている。つまり、設置台LEDSTは、正六面体(立方体)のパッケージPKGcの1つの面と自発光素子であるLEDチップLEDCとの間に設けられている。設置台LEDSTの材料は、透明材料でも良いし、遮光性材料とされてもよい。なお、設置台LEDSTの設けられた正六面体(立方体)のパッケージPKGcの1つの面と異なる残りの5つの面の中心に、各々設置台LEDSTと同じ透明度の部材を設けることができる。これにより、変形例1と同様に、LED素子2bの正六面体のパッケージPKGcの実装の向きによる光量の差を改善できる。
【0056】
図10では、図面の複雑さを避けるため、LEDチップLEDCのアノードパッドANpadと6つのアノード端子ANEとの間に設けられる接続配線(
図3のANLに対応する)の記載、および、LEDチップLEDCのカソードパッドCSpadと6つのカソード端子CSEとの間に設けられる接続配線(
図3のCSLに対応する)の記載が省略されている。
【0057】
LED素子2bの正六面体のパッケージPKGcは、
図4で説明した実装穴40を有する基板12に実装することができる。
図10に示される正三角形の点線100は、代表的に、LED素子2bの正六面体のパッケージPKGcが実装穴40に嵌合した時の基板との接触部分の上辺部分を示している。この例でも、実装穴40の3つの傾斜面(テーパ面)TPに、LED素子2bの正六面体のパッケージPKGbの3つの面が接触して嵌め込まれる(嵌合する)。
【0058】
複数の実装穴40を有する基板12へのLED素子2bの正六面体のパッケージPKGcの実装の構成は、
図5、
図6と同じである。なお、複数の実装穴40を有する基板12へのLED素子2bの正六面体のパッケージPKGcの実装方法は、
図7、
図8で説明した構成を利用できる。つまり、
図11に示すように、基板12の主面側(12MS)に、複数のLED素子2bの正六面体のパッケージPKGcがばらまかれる。基板12が基板振動装置を用いて振動80させられる。これにより、複数のLED素子2bの正六面体のパッケージPKGcが複数の実装穴40に嵌合されていく(PKGca)。複数の実装穴40に嵌合しなかった複数のLED素子2bの正六面体のパッケージPKGc(PKGcb)が基板12の主面側(12MS)に残存している。これらを回収するため、基板12の主面側(12MS)をブロー装置などにより生成した風81で吹き飛ばす。これにより、基板12の主面側(12MS)に残存していた未嵌合の複数の複数のLED素子2bの正六面体のパッケージPKGcbが、例えば、回収袋などに回収される。
【0059】
変形例2の構成でも、実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0060】
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。例えば、上述の各実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0061】
また、本実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について本明細書記載から明らかなもの、又は当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【0062】
上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0063】
2:LED素子
10:光学発光装置(表示装置)
12:基板(回路基板)
40:実装穴
PKG:正多面体のパッケージ
LEDST:設置台(固定部材)
LEDC:LEDチップ
ANE:アノード端子
CSE:カソード端子