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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022796
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】画像記録装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20240214BHJP
【FI】
B41J2/01 125
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022126145
(22)【出願日】2022-08-08
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】清水 慶和
(72)【発明者】
【氏名】西村 洋平
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056HA34
2C056HA44
2C056HA46
2C056HA58
2C056HA60
(57)【要約】
【課題】シートの放熱が読取部に影響しにくい画像記録装置を提供すること。
【解決手段】プリンタ10は、搬送路33に沿って搬送向きGにシートSを搬送する搬送部と、インクを吐出する記録ヘッド24と、記録ヘッド24よりも搬送向きGの下流に位置し、シートSを加熱するヒータ26と、ヒータ26よりも搬送向きGの下流に位置し、シートSの画像を読み取るCISユニット30とを備えている。搬送部はCISユニット30よりも搬送向きGの上流に位置し、搬送向きGと交差する第1方向に沿う軸心周りに回転可能であり、シートSと接触する第1ローラ28Aと、これを冷却する冷却機構50とを有する。冷却機構50は、タンク51と、第1ローラ28Aの軸心に沿って延びておりタンク51との間で冷却水Cを流通する第1流路52と、タンク51と第1流路52との間で冷却水Cを流通するポンプ53とを有している。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送路に沿って搬送向きにシートを搬送する搬送部と、
液体を吐出する記録ヘッドと、
上記記録ヘッドよりも上記搬送向きの下流に位置し、シートまたは液体の少なくとも一方を加熱する加熱部と、
上記加熱部よりも上記搬送向きの下流に位置し、シートの画像を読み取る読取部と、を備えており、
上記搬送部は、上記読取部よりも上記搬送向きの上流に位置し、上記搬送向きと交差する第1方向に沿う軸心周りに回転可能であり、シートと接触する第1ローラと、上記第1ローラを冷却する冷却機構と、を有しており、
上記冷却機構は、
冷却水を貯留するタンクと、
上記第1ローラの軸心に沿って延びており、上記タンクとの間で上記冷却水を流通する流路と、
上記タンクと上記流路との間で上記冷却水を流通するポンプと、を有している画像記録装置。
【請求項2】
上記搬送部は、上記読取部よりも上記搬送向きの下流に位置し、上記第1方向に沿う軸心周りに回転可能な第2ローラをさらに有しており、
上記流路は、上記第2ローラの軸心に沿って延びる請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項3】
少なくとも上記第1ローラまたは上記第2ローラのいずれかが金属製であって、複数の凸部を有するローラ面を備えている請求項2に記載の画像記録装置。
【請求項4】
上記凸部は、上記ローラ面に付着されたセラミック粒子を有する請求項3に記載の画像記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像記録装置の一例として、特許文献1には、インクを連続紙に定着させるために画像記録後の連続紙を冷却する冷却装置を備えたものが開示されている。冷却装置は、複数本のクーリングローラを備えており、連続紙が複数のクーリングローラの間を搬送される間にクーリングローラへ熱が伝導したり、大気中に放熱されたりして連続紙が冷却される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-6301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に係る画像記録装置においては、クーリングローラが吸収できる熱量を超えると、読取部が連続紙からの放熱を受けやすくなる。その結果、読取部の基板の温度が上昇して読取不良が発生し得る。特に、画像記録装置が小型化されると、筐体の内部空間が小さくなるので、前述された問題が生じやすい。
【0005】
本発明は、上記点に鑑みてなされたものであり、その目的は、シートの放熱が読取部に影響しにくい画像記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1) 本発明に係る画像記録装置は、搬送路に沿って搬送向きにシートを搬送する搬送部と、液体を吐出する記録ヘッドと、上記記録ヘッドよりも上記搬送向きの下流に位置し、シートまたは液体の少なくとも一方を加熱する加熱部と、上記加熱部よりも上記搬送向きの下流に位置し、シートの画像を読み取る読取部と、を備えている。上記搬送部は、上記読取部よりも上記搬送向きの上流に位置し、上記搬送向きと交差する第1方向に沿う軸心周りに回転可能であり、シートと接触する第1ローラと、上記第1ローラを冷却する冷却機構と、を有している。上記冷却機構は、冷却水を貯留するタンクと、上記第1ローラの軸心に沿って延びており、上記タンクとの間で上記冷却水を流通する流路と、上記タンクと上記流路との間で上記冷却水を流通するポンプと、を有している。
【0007】
上記構成によれば、シートから第1ローラへ伝わった熱が冷却水に吸収される。冷却水は、第1ローラとタンクとの間を流通するので熱容量が大きい。このため、第1ローラにおいてシートの熱が十分に吸収されて、読取部周辺における温度上昇を抑制でき、その結果、読取部の読取性能が低下することを抑制できる。
【0008】
(2) 好ましくは、上記搬送部は、上記読取部よりも上記搬送向きの下流に位置し、上記第1方向に沿う軸心周りに回転可能な第2ローラをさらに有しており、上記流路は、上記第2ローラの軸心に沿って延びる。
【0009】
上記構成によれば、第2ローラもシートの熱を十分に吸収するので、小型化された画像記録装置においてもシートの熱を回収する第2ローラを配置できる。シートを冷却することでより確実にインクをシートに定着できる。
【0010】
(3) 好ましくは、少なくとも上記第1ローラまたは上記第2ローラのいずれかが金属製であって、複数の凸部を有するローラ面を備えている。
【0011】
上記構成によれば、第1ローラまたは第2ローラ、或いは、第1ローラおよび第2ローラのいずれもが熱を吸収し易いため、効率よく読取部の温度上昇を抑制できる。
【0012】
(4) 好ましくは、上記凸部は、上記ローラ面に付着されたセラミック粒子を有する。
【0013】
上記構成によれば、シートにローラ面のセラミック粒子を食い込ませて搬送できるため、シートを滑らせることなく確実に搬送できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、シートの放熱が読取部に影響し難い。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1(A)は、プリンタ10の外観を模式的に示す斜視図、図1(B)は、筐体カバー13が開状態にあるプリンタ10の外観を模式的に示す斜視図。
図2図2は、図1(A)のII-IIに沿うプリンタ10の縦断を示す模式図。
図3図3は、図1のII-IIに沿う筐体カバー13の縦断面のうちCISユニット30およびヒータ26周辺を拡大して示す断面図。
図4図4は、CISユニット30の底面を示す斜視図であって、拍車ホルダユニット31が装着された状態を示す図。
図5図5は、第1ローラ28Aを冷却機構50とともに示す模式図。
図6図6(A)は、第1ローラ28Aの第1流路52を示す断面図、図6(B)は、ローラ面56における凸部57を示す拡大図。
図7図7は、変形例1に係るプリンタの冷却機構50,80を模式的に示す図。
図8図8は、第2ローラ34Aの流路82を示す断面図。
図9図9は、変形例2に係るプリンタの冷却機構100を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態に係るプリンタ10について詳説する。なお、下記の実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
【0017】
実施形態では、矢印の起点から終点に向かう進みが向きと表現され、矢印の起点と終点とを結ぶ線上の往来が方向と表現される。プリンタ10が使用可能に設置された状態(図1(A)の状態)を基準として上下方向7が定義される。プリンタ10において排出口16が設けられている側を前側として、前後方向8が定義される。プリンタ10を前方から見て左右方向9が定義される。
【0018】
[プリンタ10の筐体1]
図1図2に示されるように、プリンタ10(画像記録装置の一例)は、インクジェット記録方式でシートSに画像を記録する。
【0019】
プリンタ10において、筐体1は、略直方体形状であり、プリンタ10の内部空間11を外部から区画する。筐体1は、筐体ケース12と、筐体カバー13とを有する。
【0020】
筐体ケース12の前壁15には、排出口16が形成される。排出口16は、左右に細長い矩形形状の貫通孔である。筐体カバー13は、筐体ケース12の後壁17に、軸受およびシャフト(不図示)により取り付けられる。
【0021】
筐体カバー13は、シャフトの回動軸18(図1(B)参照)の周方向に閉位置(図1(A)に示される位置)および開位置(図1(B)に示される位置)の間で回動する。回動軸18は、左右方向9に平行である。閉位置の筐体カバー13は、筐体ケース12における上端の開口19を閉塞し、開位置の筐体カバー13は、開口19を開放する。なお、図1(B)には、筐体1内の構成は示されていない。また、以下では、特に断り書きが無い場合、用語「筐体カバー13」は、「閉位置の筐体カバー13」を意味する。
【0022】
[プリンタ10の内部構成]
図2に示されるように、プリンタ10は、内部空間11に、ロールホルダ21、テンショナ22、搬送ローラ対23、記録ヘッド24、支持機構25、ヒータ(加熱部の一例)26、ヒータカバー27、拍車ホルダユニット31、第1ローラ対28、第2ローラ対34、冷却機構50、基準板29およびCISユニット(読取部の一例)30を備える。
【0023】
[ロールホルダ21]
内部空間11内で後方寄り且つ下方寄りには、隔壁36によりシート収容空間37が区画される。ロールホルダ21は、シート収容空間37内において内部空間11内で左右両端付近に位置するフレーム(不図示)により支持される。ロールホルダ21には、ロール体38が装着され、シートSが芯管に巻回される。ロール体38は、芯管を有さないロール状に巻回されたシートSでもよい。また、シート収容空間37には、シートSとして、長尺のファンフォールド紙、またはカット紙が収容可能であってもよい。隔壁36の後端と、後壁17との間には、シートSが通過する隙間39が形成されている。シートSは、ロール体38から引き出されて隙間39を通ってテンショナ22に向かって延びる。つまり、ロール体38のシートSは搬送向きGに沿って上方に搬送される。
【0024】
[テンショナ22]
テンショナ22は、隔壁36より上方且つ後壁17付近に位置する。テンショナ22は、フレームに支持され、フレーム間で左右方向9に延びる。テンショナ22は、前後方向8に移動可能であり、コイルバネ32により後向きに付勢される。テンショナ22は、筐体1の外方を向く湾曲面40を有している。シートSは、湾曲面40に下方から巻き掛けられて湾曲面40の上端を通過して、テンショナ22の前方に位置する搬送ローラ対23に向かって延びる。テンショナ22に巻き掛けられたシートSには、テンションが付与される。
【0025】
[搬送ローラ対23]
搬送ローラ対23は、ロール体38から引き出したシートSを排出口16に搬送する。搬送ローラ対23は、駆動ローラ42とピンチローラ43とを有する。駆動ローラ42およびピンチローラ43は左右方向9に沿った軸線周りに回転する。駆動ローラ42およびピンチローラ43は、上下方向7に対向してローラ面が当接する。駆動ローラ42およびピンチローラ43のローラ面の間にシートSがニップされる。駆動ローラは、不図示のモータから動力が伝達されて回転する。ピンチローラ43は、駆動ローラ42に従動して回転する。これにより、搬送ローラ対23は、ロール体38から繰り出されたシートSを前向き(搬送向きの一例)に搬送する。
【0026】
[搬送路33]
図2に示されるように、内部空間11には、ロール体38から排出口16に至る搬送路33を有する。搬送路33は、ロール体38からテンショナ22へ上方に向かって概ね直線状に延び、湾曲面40で湾曲してテンショナ22から排出口16へ前方に向かって概ね直線状に延びる。搬送路33は、シートSが通過可能な空間である。搬送路33は、上下方向7に離れて位置する記録ヘッド24と支持機構25、ヒータ26とヒータカバー27、基準板29とCISユニット30等により区画される。
【0027】
[記録ヘッド24]
記録ヘッド24は、ピンチローラ43の前方且つ支持機構25の上方の位置でフレームに支持される。記録ヘッド24は、記録ヘッド24の下面に形成された複数のノズル70が開口する面であるノズル面71を有しており、ノズル70から、支持機構25に支持されたシートSへ向かってインク(液体の一例)を吐出する。これにより、シートSの記録面にインクによる画像が記録される。記録ヘッド24は、インクタンク(不図示)からチューブ(不図示)を介してインクの供給を受ける。インクは、水、顔料、熱可塑性樹脂微粒子を含有するPPインクである。
【0028】
[支持機構25]
支持機構25は、駆動ローラ42より前方、且つ記録ヘッド24の直下に位置し、フレームにより支持される。支持機構25は、搬送ベルト64と、搬送ベルト64の左右両側でシートSを支持する支持部(不図示)と、を有する。搬送ベルト64は、モータ(不図示)で生成された動力により回転する。詳細には、搬送ベルト64において記録ヘッド24と直下で対向する搬送面が前方へと走行する。これにより、搬送ローラ対23から送り出されたシートSが前方へと摩擦搬送され、支持機構25の前方のヒータ26へと送られる。支持部65は、搬送ベルト64の搬送面と概ね同じ上下位置で前後方向8および左右方向9に拡がる支持面を有する。この支持面は、記録ヘッド24の直下で搬送されるシートSを支持して、ノズル70およびシートSの間の上下距離を維持する。なお、プリンタ10は、図示しない吸着機構によりシートSを支持面に吸着してもよい。
【0029】
[ヒータ26]
ヒータ26は、記録ヘッド24の前方に位置する。ヒータ26は、フレームに支持され、左右方向9に延びる。ヒータ26は、伝熱プレート73と、フィルムヒータ74と、を有している。伝熱プレート73は金属製であり、搬送ベルト64の搬送面と概ね同じ上下位置に、前後左右に拡がる支持面を有する。支持機構25から送り出されたシートSは、伝熱プレート73の支持面上で前方へと搬送される。フィルムヒータ74は、伝熱プレート73の下面に固定されており、コントローラ(不図示)の制御下で発熱する。発熱した熱は、伝熱プレート73を介して、伝熱プレート73上のシートSに伝わる。伝熱プレート73の熱は、シートS、シートSに吐出されたインク、或いはシートSに吐出されてシートSに含浸したインクを加熱して水分を蒸発させる。
【0030】
[ヒータカバー27]
ヒータカバー27は、ヒータ26から上方に若干離れて位置する。ヒータカバー27は、筐体カバー13の左壁14および右壁20(図1(B)参照)の間で前後左右に拡がる。ヒータカバー27は、伝熱プレート73の支持面全域を覆っている。ヒータカバー27内には、3個の第3拍車ローラ75が前後に並んでいる。第3拍車ローラ75の各々は、左右方向9に平行な回転軸周りに回転可能にヒータカバー27に支持される。第3拍車ローラ75の各下端は、ヒータカバー27の下面に形成されたスリット(不図示)から、ヒータカバー27の下面に対し若干下方に突出する。
【0031】
[拍車ホルダユニット31]
図2図3、および図4に示されるように、筐体カバー13の内部空間11においてCIS筐体45の直前および直後には、収容空間89A,89Bがそれぞれ形成される。収容空間89Aは、ヒータカバー27より前方に区画される。収容空間89A,89Bの各々は、下向きに開放されている。収容空間89Aには、二個一対の支持部材90Aが筐体カバー13に取り付けられており、収容空間89Bには、二個一対の支持部材90Bが筐体カバー13に取り付けられている。二個の支持部材90Aの間には、円柱形状のシャフト91Aが左右方向9に平行に架け渡されており、二個の支持部材90Bの間には、円柱形状のシャフト91Bが左右方向9に平行に架け渡されている。
【0032】
シャフト91A,91Bには、拍車ホルダユニット31が着脱可能に取り付けられている。拍車ホルダユニット31は、シャフト91A,91Bに装着されるとき、収容空間89A,89Bに収容され、後述する第1ローラ28Aおよび第2ローラ34Aの上方に位置する。図4に示されるように、拍車ホルダユニット31は、拍車ホルダ92A,92Bと、連結部材93A,93Bと、嵌合部94A,94Bと、を有する。
【0033】
[拍車ホルダ92A,92B]
拍車ホルダ92A,92Bの各々は、左右方向9に細長く拍車ホルダユニット31がシャフト91A,91Bに装着された時に、収容空間89A,89Bに収容され位置決めされる。連結部材93Aは、CIS筐体45よりも左方の位置で前後に延びる平板であり、拍車ホルダ92A,92Bの左端同士を互いに連結する。連結部材93Bは、CIS筐体45よりも右方の位置で前後に延びる平板であり、拍車ホルダ92A,92Bの右端同士を互いに連結する。
【0034】
嵌合部94Aは、拍車ホルダ92Aから後方に延びている。嵌合部94Bは、拍車ホルダ92Bから前方に突出している。嵌合部94A,94Bは、シャフト91A,91Bに嵌合する。嵌合部94A,94Bがシャフト91A,91Bに嵌合することで第1拍車ローラ28B、第2拍車ローラ34Bが、CISユニット30の前後に位置する。
【0035】
図2図3に示されるように、第1ローラ対28は、ヒータ26の前方、且つCISユニット30の後方に位置する。第1ローラ対28は、シートSの下面に接触する第1ローラ(搬送部の一例)28AとシートSの上面に接触する第1拍車ローラ28Bとを有する。第1ローラ28Aは、フレームに回転可能に支持されている。第1拍車ローラ28Bは、左右方向9(搬送向きGと交差する第1方向の一例)に沿う回転軸周りに回転可能に拍車ホルダ92Aに支持される。第1拍車ローラ28Bの下端は、拍車ホルダ92Aに形成されたスリットから若干突出し、第1ローラ28Aの上端に接触する。第1ローラ28Aは、モータ(不図示)から駆動伝達されて回転することによって、第1拍車ローラ28Bとの間にシートSをニップしつつ前方にシートSを搬送する。
【0036】
第2ローラ対34は、CISユニット30の前方、且つ排出口16の後方に位置する。第2ローラ対34は、シートSの下面に接触する第2ローラ34AとシートSの上面に接触する第2拍車ローラ34Bとを有する。第2ローラ34Aは、搬送向きGと交差する左右方向9に沿う回転軸周りに回転可能に拍車ホルダ92Aに支持される。第2拍車ローラ34Bの下端は、拍車ホルダ92Bに形成されたスリットから若干突出し、第2ローラ34Aの上端に接触する。第2ローラ34Aは、モータ(不図示)から駆動伝達されて回転することによって、第2拍車ローラ34Bとの間にシートSをニップしつつ前方にシートSを搬送する。
【0037】
[冷却機構50]
図5に示されるように、第1ローラ28Aは、ヒータ26によって加熱されたシートSを冷却するための冷却機構50が接続されている。具体的には、冷却機構50は、タンク51と、第1流路(流路の一例)52と、ポンプ53とを有している。タンク51は、内部空間11内で前方寄り且つ下方寄りに位置している(図2参照)。タンク51は、箱形の密閉容器であって、第1ローラ28Aを冷却する冷却水Cが貯留されている。冷却水Cには、水が使用されているが、水以外のアンモニア、エチレングリコール、または潤滑油などが使用されてもよい。
【0038】
第1流路52は、第1ローラ28Aと、第1チューブ54と、第2チューブ55とによって連通している。第1ローラ28Aは、左右方向9に沿って延びる軸心Xを中心とする円筒形状である。つまり、第1ローラ28Aには、軸心Xに沿って貫通する貫通穴66が形成されている。第1ローラ28Aは、アルミニウム、鉄、ステンレス等の金属製部材である。図6(B)において拡大して示されるように、第1ローラ28Aは、ローラ面56において複数の凸部57を有している。凸部57は、ローラ面56に接着剤などによって付着したセラミック粒子58である。セラミック粒子58は、大きさが均一でなくてもよい。
【0039】
第1チューブ54は、一端がタンク51に接続されている。第1チューブ54の一端は、タンク51内において冷却水Cに浸されており、タンク51の底面近くに位置している。第1チューブ54は、他端が第1ローラ28Aの左端に接続されている。具体的には、第1ローラ28Aの左端には、軸受60が嵌められており、軸受60に第1チューブ54の他端が嵌められている。軸受60は、ホルダ61によって支持されている。
【0040】
第2チューブ55は、一端がタンク51に接続されている。第2チューブ55の一端は、タンク51内において冷却水Cに浸されている。第2チューブ55の一端は、上下方向7において第1チューブ54の一端よりも上方に位置する。第2チューブ55は、他端が第1ローラ28Aの右端に接続されている。具体的には、第1ローラ28Aの右端には、軸受60が嵌められており、軸受60に第2チューブ55の他端が嵌められている。軸受60は、ホルダ61によって支持されている。
【0041】
ポンプ53は、第1チューブ54に配置されている。ポンプ53は、冷却水Cを第1チューブ54、第1ローラ28A、第2チューブ55、タンク51において循環可能である。ポンプ53は、例えば、ロータリ式のチューブポンプである。ポンプ53は、コントローラの制御下で不図示のモータに駆動されることによって、タンク51内の冷却水Cを第1チューブ54を通じて吸引可能である。
【0042】
[基準板29]
図2図3に示されるように、基準板29は、前後方向8において第1ローラ28Aと第2ローラ34Aの間の位置でフレームに支持される。基準板29は、第1ローラ28A、第2ローラ34Aの各上端と概ね同じ上下位置で前後方向8および左右方向9に拡がる支持面を有する。支持面は上方を向いており白色に着色されている。
【0043】
[CISユニット30]
CISユニット30は、ヒータ26によって加熱されたシートSの画像を基準板29上において読み取る。CISユニット30は、第1ローラ28Aの前方に位置する。CISユニット30は、前後方向8には第1ローラ28Aと第2ローラ34Aの間に位置し、上下方向7には基準板29の直上に位置する。図3図4に示されるように、CISユニット30は、左壁14および右壁20の間で左右方向9に長い略直方体のCIS筐体45を有している。
【0044】
CISユニット30は、CIS筐体45内に、基準板29に向けて線状光を出射するLEDアレイ47と、基準板29での反射光をラインセンサに結像させるロッドレンズアレイ48と、および入射光量に応じたデータを出力するラインセンサ49と、およびこれらLEDアレイ47、ロッドレンズアレイ48、ラインセンサ49を搭載する基板46とを有する。基板46は、CIS筐体45内の上寄りに位置している。基板46は、前後方向8および左右方向9に広がる平板形状であり、左右方向9に長い。
【0045】
[プリンタ10の冷却動作]
次に、プリンタ10によるシートSの冷却動作について説明される。記録ヘッド24によって画像が記録されたシートSは、搬送ローラ対23、第1ローラ対28、第2ローラ対34によって搬送路33を搬送されつつ画像が定着するようにヒータ26によって加熱される。シートSが第1ローラ対28を搬送されるとき、シートSにローラ面56の凸部57が食い込む。シートSは凸部57が食い込むことで搬送路33上を滑ることなく搬送される。このとき、シートSの熱が第1ローラ28Aへ伝導する。
【0046】
シートSから第1ローラ28Aへ伝導した熱は、更に貫通穴66を通る冷却水Cへと伝達する。冷却水Cの熱容量が第1ローラ28Aの熱容量よりも十分に大きく、冷却水Cがポンプ53の駆動力によって第1流路52を流通するため、第1ローラ28Aにおいて熱が蓄積されない。シートSは、第1ローラ28Aおよび冷却水Cによって冷却されながら排出口16に搬送される。
【0047】
[本実施形態の作用効果]
シートSから第1ローラ28Aへ伝わった熱を冷却機構50によって冷却水Cに吸収させることができる。冷却水Cは第1ローラ28Aとタンク51との間を流通するので、第1ローラ28Aから吸収できる熱容量が冷却機構50を備えることで大きくなる。このため、第1ローラ28AにおいてシートSの熱が十分に吸収されて、CISユニット30周辺における温度上昇を抑制できる。その結果、CISユニット30の基板が熱せられて読取性能が低下するのを抑制でき、CISユニット30は読取性能が低下することなく画像を確実に読み取ることができる。
【0048】
第1ローラ28Aまたは第2ローラ34A、或いは、第1ローラ28Aおよび第2ローラ34Aのいずれもが熱を吸収し易い金属製であるため、画像記録されたシートSの熱が効率よく冷却水Cに回収される。このため、CISユニット30が温度上昇するのを抑制できる。
【0049】
第1ローラ28Aまたは第2ローラ34Aによって、シートSをローラ面に接触させることなく、シートSにローラ面56のセラミック粒子58を食い込ませて搬送できる。このため、シートSのインクがローラ面56に付着することによってシートSを汚すことなく搬送でき、シートSを滑らせることなく確実に搬送できる。
【0050】
[変形例1]
上述の実施形態においては、プリンタ10の第1ローラ28Aが冷却機構50に接続されている場合を例にあげて説明したが、この構成に限らない。例えば、図7に示されるように、プリンタは、第1ローラ28Aが有する冷却機構50に加えてさらに第2ローラ34Aにおいても冷却機構80を有してもよい。
【0051】
変形例1に係るプリンタの冷却機構80は、タンク51と、第2流路82(流路の一例)と、ポンプ83とを有している。第2流路82は、第2ローラ34Aと、第3チューブ84と、第4チューブ85とによって連通している。
【0052】
図8に示されるように、第2ローラ34Aは、左右方向9に沿って延びる軸心Yを中心とする円筒形状である。つまり、第2ローラ34Aには、軸心Yに沿って貫通する貫通穴81が形成されている。第2ローラ34Aは、ローラ面86において複数の凸部87を有している。凸部87は、ローラ面86に接着剤などによって付着したセラミック粒子88である。
【0053】
第3チューブ84は、第1チューブ54と同様に、一端がタンク51に接続されており、タンク51内において冷却水Cに浸されている。第3チューブ84は、タンク51の底面近くに位置している。第3チューブ84は、他端が第2ローラ34Aの左端に接続されている。具体的には、第2ローラ34Aの左端には、軸受62が嵌められており、軸受62に第3チューブ84の他端が嵌められている。軸受62は、ホルダ63によって支持されている。
【0054】
第4チューブ85は、第2チューブ55と同様に、一端がタンク51に接続されており、タンク51内において冷却水Cに浸されている。第4チューブ85の一端は、上下方向7において第3チューブ84の一端よりも上方に位置する。第4チューブ85は、他端が第2ローラ34Aの右端に接続されている。具体的には、第2ローラ34Aの右端には、軸受62が嵌められており、軸受62に第4チューブ85の他端が嵌められている。軸受62は、ホルダ63によって支持されている。
【0055】
ポンプ83は、第3チューブ84に配置されている。ポンプ83は、冷却水Cを第3チューブ84、第2ローラ34A、第4チューブ85、タンク51において循環可能である。ポンプ83のその他の構成は、ポンプ53と同様である。
【0056】
変形例1に係るプリンタの第2ローラ対34においては、第1ローラ対28と同様に、CISユニット30において読み取られたシートSが冷却される。シートSが第2ローラ対34を搬送されるとき、シートSにローラ面86の凸部87が食い込む。シートSは凸部87が食い込むことで搬送路33上を滑ることなく搬送される。このとき、シートSの熱が第2ローラ34Aへ伝導する。
【0057】
シートSから第2ローラ34Aへ伝導した熱は、更に貫通穴81を通る冷却水Cへと伝達する。冷却水Cの熱容量が第2ローラ34Aの熱容量よりも十分に大きく、冷却水Cがポンプ83の駆動力によって第2流路82を流通するため、第2ローラ34Aにおいて熱が蓄積されない。このためCISユニット30の周辺における温度上昇が抑制される。また、シートSは、第1ローラ28Aおよび冷却水Cによって冷却された後に再度第2ローラ34Aによって冷却される。第2ローラ対34によって搬送されたシートSは排出口16に搬送される。
【0058】
上述の構成によると、CISユニット30の前方においてもシートSの熱を吸収できる。つまり、小型化されたプリンタ10であってもシートSの熱を回収するための第2ローラ34Aを配置できスペース効率が良い。シートSをCISユニット30の前方で冷却することで、より確実にインクをシートSに定着できる。
【0059】
[変形例2]
上述の実施形態においては、プリンタ10の第1ローラ28Aが冷却機構50に接続されている場合を例にあげて説明し、変形例1においては、第2ローラ34Aが冷却機構80に接続されている場合について説明したがこれらの構成に限らない。図9に示されるように、冷却機構100が、第1ローラ28Aとともに第2ローラ34Aが直列的に接続されてもよい。
【0060】
つまり、冷却機構100は、タンク51と、第3流路102と、ポンプ53とを有している。第3流路102は、第1ローラ28Aと、第2ローラ34Aと、第5チューブ96と、第6チューブ97と、第7チューブ98とによって連通している。
【0061】
第5チューブ96は、一端がタンク51に接続されている。第5チューブ96の一端は、タンク51内において冷却水Cに浸されており、タンク51の底面近くに位置している。第5チューブ96は、他端が第1ローラ28Aの左端に接続されている。第5チューブ96の第1ローラ28Aへの接続について、上述の実施形態と同様である。
【0062】
第6チューブ97は、一端が第1ローラ28Aの右端に接続されており、他端が第2ローラ34Aの左端に接続されている。第6チューブ97の第1ローラ28Aおよび第2ローラ34Aへの接続については、上述の実施形態および変形例1と同様である。
【0063】
第7チューブ98は、一端が第2ローラ34Aの右端に接続されており、他端がタンク51内において冷却水Cに浸されている。第7チューブ98の他端は、上下方向7において第5チューブ96の一端よりも上方に位置する。第7チューブ98は、他端が第2ローラ34Aの右端に接続されている。第7チューブ98の第2ローラ34Aへの接続については、上述の変形例1と同様である。
【0064】
ポンプ53は、第5チューブ96に配置されている。ポンプ53は、冷却水Cを第5チューブ96、第1ローラ28A、第6チューブ97、第2ローラ34A、第7チューブ98、タンク51において循環可能である。
【0065】
[その他の変形例]
上述の実施形態においては、第1チューブ54の一端および第2チューブ55の一端がタンク51内における冷却水Cに浸されている場合を例にあげて説明したが、これに限らない。第1チューブ54の一端がタンク51内の冷却水Cに浸されており、第2チューブ55の一端がタンク51内の冷却水に浸されていなくてもよい。つまり、ポンプ53に冷却水Cが流入可能であればよい。
【0066】
上述の実施形態においては、第1ローラ28Aが金属製部材である場合を例にあげて説明したがこれに限らない。第1ローラ28Aは、ゴム製であってもよいし、樹脂製であってもよい。また、変形例1における第2ローラ34Aについても同様である。
【0067】
上述の実施形態においては、シートSを冷却する第1ローラ28Aが、ヒータ26とCISユニット30の間に位置する場合を例にあげて説明したが、これに限らない。例えば、シートSを冷却する冷却機構を有する冷却ローラ(不図示)が、第1ローラ28AとCISユニット30との間に配置されてもよいし、CISユニット30と第2ローラ34Aとの間に配置されてもよい。また、冷却ローラが、第1ローラ28Aに従動するローラとして配置されてもよく、変形例1における第2ローラ34Aに従動するローラとして配置されてもよい。
【0068】
上述の実施形態においては、ポンプ53がコントローラの制御下で駆動されるが、例えば、ポンプは、CISユニット30に配置された温度センサからの信号に基づいて駆動されてもよい。この場合において、コントローラは、温度センサが予め設定された温度以上であることを検知したときに信号を受信し、これに基づいてポンプを駆動する。
【0069】
上述の実施形態においては、インクは、水、顔料、熱可塑性樹脂微粒子を含有するPPインクである場合を例にあげて説明したが、インクは、顔料インクであってもよいし、染料インクであってもよい。
【0070】
上述の実施形態においては、ヒータカバー27内に3個の第3拍車ローラ75が前後に並んでいる場合を例にあげて説明したが、この構成に限らない。例えば、第3拍車ローラ75は、左右方向9において複数並んでいてもよく、また、前後方向8および左右方向9にそれぞれ複数並んでいてもよい。
【0071】
10・・・プリンタ(画像記録装置)
24・・・記録ヘッド
26・・・ヒータ(加熱部)
28A・・・第1ローラ(搬送部)
30・・・CISユニット(読取部)
33・・・搬送路
34A・・・第2ローラ(搬送部)
50,80,100・・・冷却機構
51・・・タンク
52・・・第1流路(流路)
82・・・第2流路(流路)
53・・・ポンプ
56・・・ローラ面
57・・・凸部
58・・・セラミック粒子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9