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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002280
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】更年期障害改善剤
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/10 20160101AFI20231228BHJP
   A61P 15/12 20060101ALI20231228BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20231228BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20231228BHJP
   A61P 25/20 20060101ALI20231228BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20231228BHJP
   A61K 36/068 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
A23L33/10
A61P15/12
A61P21/00
A61P25/00
A61P25/20
A61P25/24
A61K36/068
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022101378
(22)【出願日】2022-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】000003506
【氏名又は名称】第一工業製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 志穂
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】小森 紀明
【テーマコード(参考)】
4B018
4C087
【Fターム(参考)】
4B018LB10
4B018LE02
4B018MD82
4B018ME14
4B018MF01
4B018MF06
4B018MF07
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC04
4C087CA09
4C087CA11
4C087MA43
4C087MA52
4C087NA14
4C087ZA01
4C087ZA05
4C087ZA12
4C087ZA81
4C087ZA94
(57)【要約】
【課題】新規な更年期障害改善剤を提供する。
【解決手段】本発明の更年期障害改善剤は、カイコハナサナギタケの粉末又は抽出物を含む。斯かる更年期障害改善剤により、更年期障害の予防又は改善をもたらすことができる。本発明の更年期障害改善剤は、飲食品組成物の形態、栄養補助食品組成物の形態で又は食品添加剤の形態であることが好ましい。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カイコハナサナギタケの粉末又は抽出物を含む、更年期障害改善剤。
【請求項2】
筋量低下の予防又は改善、神経過敏の予防又は改善、イライラ感の抑制及び憂鬱感の抑制からなる群より選択される少なくとも1種のために用いられる、請求項1に記載の更年期障害改善剤。
【請求項3】
飲食品組成物の形態である、請求項1又は2に記載の更年期障害改善剤。
【請求項4】
栄養補助食品組成物の形態である、請求項1又は2に記載の更年期障害改善剤。
【請求項5】
食品添加剤の形態である、請求項1又は2に記載の更年期障害改善剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、更年期障害改善剤に関する。
【背景技術】
【0002】
更年期障害は、更年期に現れる自律神経性や心因性を成因とする不定愁訴症候群であり、内分泌ホルモン(卵胞ホルモン;エストロゲン)の発現減少といった身体的変化がもたらすだけでなく、社会的な環境の変化などによるストレスも関係しているとされている。また、近年は、20~30代にかけて発症し得る若年性更年期障害も注目されている。更年期障害で現れる症状は多種多様であり、例えば、筋量低下、神経過敏、睡眠障害を引き起こし、また、イライラ感、憂鬱感、不安感、疲労感も蓄積される。この観点から更年期障害を予防又は改善させることを可能とする更年期障害改善剤の開発が広く行われている(例えば、特許文献1等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-156521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記事情より、更年期障害改善剤が求められているところ、本発明は、新規な更年期障害改善剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、カイコハナサナギタケの粉末又は抽出物が更年期障害を予防又は改善できることを初めて見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、例えば、以下の項に記載の主題を包含する。
項1
カイコハナサナギタケの粉末又は抽出物を含む、更年期障害改善剤。
項2
筋量低下の予防又は改善、神経過敏の予防又は改善、イライラ感の抑制及び憂鬱感の抑制からなる群より選択される少なくとも1種のために用いられる、項1に記載の更年期障害改善剤。
項3
飲食品組成物の形態である、項1又は2に記載の更年期障害改善剤。
項4
栄養補助食品組成物の形態である、項1又は2に記載の更年期障害改善剤。
項5
食品添加剤の形態である、項1又は2に記載の更年期障害改善剤。
項6
前記項1~5のいずれか1項に記載の更年期障害改善剤を製造するためのカイコハナサナギタケの粉末又は抽出物の使用。
項7
更年期障害の予防又は改善が必要な対象にカイコハナサナギタケの粉末又は抽出物を投与する方法。
項8
更年期障害の予防又は改善における使用のためのカイコハナサナギタケの粉末又は抽出物。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、更年期障害改善剤を提供することができる。斯かる更年期障害改善剤により、更年期障害の予防又は改善をもたらすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例で得た更年期障害改善剤を用いた試験例の結果である。
図2】実施例で得た更年期障害改善剤を用いた試験例の結果である。
図3】実施例で得た更年期障害改善剤を用いた試験例の結果である。
図4】実施例で得た更年期障害改善剤を用いた試験例の結果である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書中において、「含有」及び「含む」なる表現については、「含有」、「含む」、「実質的にからなる」及び「のみからなる」という概念を含む。
【0010】
本発明は、カイコハナサナギタケ又はその抽出物を含む更年期障害改善剤を包含する。
【0011】
本発明の更年期障害改善剤は、カイコハナサナギタケを必須成分とし、あるいは、カイコハナサナギタケの抽出物を必須成分とする。本発明の更年期障害改善剤は、カイコハナサナギタケ及びその抽出物の両方を含むこともできる。更年期障害改善剤において、カイコハナサナギタケ又はその抽出物は有効成分である。
【0012】
カイコハナサナギタケは、カイコに寄生して生育したハナサナギタケ(P.tenuipes、「冬虫夏草」とも称される)である。カイコハナサナギタケは、カイコ蛹を宿主として得られる。
【0013】
カイコハナサナギタケは、例えば、市販品から入手することができ、あるいは、栽培により入手することもできる。カイコハナサナギタケを栽培する方法は特に限定されず、例えば、公知の栽培方法を広く適用することができる。
【0014】
カイコハナサナギタケの具体的な栽培方法としては、カイコの幼虫やカイコの蛹を加熱滅菌処理した後、冬虫夏草の菌を植菌して育成する方法が例示される。
【0015】
また、特開2005-237201号公報に開示される方法でカイコハナサナギタケを栽培することもできる。この公報に記載される方法では、繭を形成する前のカイコの幼虫又はカイコの蛹を煮沸し、次いで、乾燥させ、これにより得られるカイコ乾燥粉末と、豆類、穀類、海藻類及びキノコ類からなる群より選ばれる少なくとも1種の乾燥粉末とを混合して食物乾燥粉末を調製する。この食物乾燥粉末に培養液を加えて混練してから育成箱の底部に敷き詰めて培地を作成し、この培地を、植菌袋に封入して加熱滅菌処理した後、培地に冬虫夏草の菌を接種して、カイコハナサナギタケを育成することができる。前記食物乾燥粉末において、カイコ乾燥粉末は50~90質量%とすることができる。
【0016】
更年期障害改善剤がカイコハナサナギタケの粉末を含む場合、斯かる粉末を得る方法は特に限定されず、例えば、公知の方法を広く採用することができる。例えば、カイコハナサナギタケを凍結乾燥させ、粉砕することで、カイコハナサナギタケの粉末を得ることができる。ハナサナギタケの子実体のみを用いてカイコハナサナギタケの粉末を得ることができ、子実体および宿主(例えば、カイコ)を用いてカイコハナサナギタケの粉末を得ることが好ましい。
【0017】
更年期障害改善剤がカイコハナサナギタケの抽出物を含む場合、斯かる抽出物を得る方法は特に限定されず、例えば、公知の方法を広く採用することができる。例えば、カイコハナサナギタケの抽出方法としては、カイコハナサナギタケをそのまま、裁断、粉砕及び/又は乾燥し、搾取又は適宜の溶媒による抽出を行うことで、カイコハナサナギタケの抽出物を得る方法が挙げられる。
【0018】
抽出に使用する溶媒の種類は特に限定されず、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール等の多価アルコール;アセトン等のケトン類、ジエチルエーテル;ジオキサン;アセトニトリル;酢酸エチルエステル等のエステル類、その他、ジメチルスルホキシド、キシレン、ベンゼン、クロロホルム等が挙げられる。一実施形態において好ましい溶媒は、水であり、好ましくは熱水である。熱水は、60℃以上であってもよく、70℃以上であってもよく、80℃以上であってもよく、90℃以上であってもよい。
【0019】
カイコハナサナギタケの抽出物を得る好ましい方法として、前記熱水を用いた抽出である。この方法では、カイコハナサナギタケの乾燥粉末に、水又は前記熱水を加え、60℃以上80℃以下の温度で所定の時間、例えば、1時間以上5時間以下の時間で撹拌して抽出液を調製し、この抽出液を濾過して得られた濾液を乾燥(例えば、スプレー噴霧)することにより、カイコハナサナギタケの抽出物を得ることができる。
【0020】
斯かる抽出方法において、前記乾燥粉末は、例えば、カイコハナサナギタケを凍結乾燥することで得ることができる。前記乾燥粉末と水又は熱水との混合割合は特に限定されず、例えば、乾燥粉末1質量部に対して水又は熱水を5~20質量部使用することができ、好ましくは7~15質量部である。
【0021】
更年期障害改善剤がカイコハナサナギタケの抽出物を含む場合、カイコハナサナギタケの抽出物中の水分量は特に限定されず、例えば、20質量%以下とすることができ、10質量%以下が好ましく、8質量%以下がより好ましく、5質量%以下がさらに好ましい。
【0022】
更年期障害改善剤は、カイコハナサナギタケの粉末又はその抽出物以外に、任意の他の成分を含むことができる。他の成分の種類は、例えば、公知の更年期障害改善剤に含まれ得る各種添加剤を挙げることができ、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、湿潤剤、流動化剤、保存剤、界面活性剤、安定剤、希釈剤、溶解剤、等張化剤、殺菌剤、防腐剤、矯味剤、矯臭剤、着色剤、香料等が例示される。更年期障害改善剤は、カイコハナサナギタケの粉末又はその抽出物以外に公知の更年期障害改善剤も含むことができる。
【0023】
更年期障害改善剤に含まれる、カイコハナサナギタケ又はその抽出物の含有割合は特に限定されず、例えば、固形分換算で、0.1質量%以上100質量%以下の範囲で設定することができる。前記含有割合の下限は、例えば、1質量%以上、2質量%以上、5質量%以上、10質量%以上、15質量%以上、20質量%以上、30質量%以上、40質量%以上、50質量%以上、60質量%以上または70質量%以上とすることができ、上限は99質量%以下、95質量%以下、90質量%以下、80質量%以下、70質量%以下、又は60質量%以下とすることができる。これらの下限及び上限は任意に組み合わせられる。
【0024】
本発明の更年期障害改善剤の形態は特に限定されず、例えば、半固形、固形、液状等が挙げられる。具体的な形態は、粉末状、細粒状、顆粒状、錠剤状、カプセル状、トローチ、チュアブル、ゲル状、クリーム状、ペースト状、ムース状、液剤、乳剤、懸濁剤、シロップ等が例示される。
【0025】
本発明の更年期障害改善剤は、例えば、経口摂取されるものであることが好ましく、また、これ以外の摂取であってもよい。
【0026】
本発明の更年期障害改善剤は、ヒト又は動物(ヒトを除く。以下同じ。)への摂取又は投与が可能であり、更年期障害の改善をもたらすことができ、あるいは、更年期障害の予防をもたらすことができ、従って、本発明の更年期障害改善剤は、更年期障害を改善又は予防する用途に好適に使用することができる。本発明の更年期障害改善剤は、女性にはもちろんのこと、男性に対しても作用することができる。
【0027】
とりわけ、本発明の更年期障害改善剤は、筋量低下の予防又は改善、神経過敏の予防又は改善、イライラ感の抑制、憂鬱感の抑制、骨密度低下の予防又は改善、抑うつの予防又は改善、集中力低下の予防又は改善、睡眠障害の予防又は改善、体脂肪増加の予防又は改善、及び、貧血の予防又は改善からなる群より選択される少なくとも1種のために用いられることが好ましく、筋量低下の予防又は改善、神経過敏の予防又は改善、イライラ感の抑制及び憂鬱感の抑制からなる群より選択される少なくとも1種のために用いられることがより好ましい。
【0028】
本発明の更年期障害改善剤の摂取(投与)量は、目的とする効果が奏される限り特に限定されず、対象者(又は対象動物)の体格、年齢、症状、適用形態、使用目的等に応じて適宜設定することができる。例えば、1日当たりの更年期障害改善剤の摂取(投与)量は、体重60kgの成人を基準として、カイコハナサナギタケ又はその抽出物の乾燥重量換算として、1mg~8000mg、10mg~4000mg、100mg~3000mg、500mg~2000mg等の範囲で設定することができる。摂取(投与)回数は任意であり、例えば、1日あたり単回摂取(投与)であってもよく複数回摂取(投与)であってもよい。
【0029】
本発明の更年期障害改善剤は、飲食品組成物の形態とすることができる。すなわち、本発明は、更年期障害改善剤を含む飲食品組成物も包含する。斯かる飲食品組成物は、更年期障害の改善又は予防に好適に用いられるものである。飲食品には、一般食品だけでなく、保健機能食品(具体的には、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品)、病者用食品、サプリメント等が含まれる。
【0030】
飲食品組成物は、例えば、液状、ゲル状あるいは固形状の食品に好ましく適用できる。具体的には、飲料類(例えば、果汁飲料、野菜ジュース、清涼飲料、アルコール飲料、炭酸飲料、スポーツドリンク、滋養強壮ドリンク、栄養ドリンク等)、菓子類(例えば、スナック菓子、米菓、チョコレート、グミ、キャンディー、ゼリー、プリン、和菓子、洋菓子等)、調味料類(例えば、醤油、味噌、みりん風調味料、ミックススパイス、たれ、つゆ、ソース、ケチャップ等)、ドレッシング類、麺類(例えば、うどん、そば、スパゲッティ等)、畜肉魚肉加工食品類(例えば、ソーセージ、ウインナー、ハム、ハンバーグ等)、乳製品類(ヨーグルト、牛乳、チーズ、クリーム、バター等)等の食品を挙げることができる。
【0031】
本発明の更年期障害改善剤は、栄養補助食品の形態とすることができる。すなわち、本発明は、更年期障害改善剤を含む栄養補助食品組成物も包含する。斯かる栄養補助食品組成物は、更年期障害改善又は予防に好適に用いられるものである。栄養補助食品組成物は、例えば、サプリメントに使用でき、いわゆるドクターズサプリメントに好適である。
【0032】
本発明の更年期障害改善剤は、食品添加剤の形態とすることができる。すなわち、本発明は、更年期障害改善剤を含む食品添加剤も包含する。斯かる食品添加剤は、更年期障害改善の改善又は予防に好適に用いられるものである。食品添加剤における食品は、前述の飲食品組成物における食品等同様の種類が例示される。
【0033】
本発明の更年期障害改善剤は、上述の食品用(健康食品及び健康増進剤を包含する)、栄養補助食品用、食品添加剤の他、医薬、化粧品、飼料などとしても用いることができる。
【0034】
本発明の更年期障害改善剤が医薬の形態である場合(例えば、医薬組成物である場合)は、カイコハナサナギタケの粉末又は抽出物と共に必要に応じて薬学的に許容可能な賦形剤を組み合わせることができる。
【0035】
本発明は、カイコハナサナギタケの粉末又は抽出物の使用も包含する。すなわち、本発明は、前記更年期障害改善剤を製造するためのカイコハナサナギタケの粉末又は抽出物の使用(又は使用方法)を包含する。
【0036】
また、本発明はカイコハナサナギタケの粉末又は抽出物を投与する方法を包含する。すなわち、本発明は、更年期障害の改善又は予防が必要な対象にカイコハナサナギタケの粉末又は抽出物を投与する方法を包含する。斯かる方法におけるカイコハナサナギタケの粉末又は抽出物は、本発明の更年期障害改善剤に含まれるカイコハナサナギタケの粉末又は抽出物と同様である。更年期障害改善又は予防が必要な対象は、ヒト又はヒト以外の動物である。
【0037】
また、本発明は更年期障害の改善又は予防における使用のためのカイコハナサナギタケの粉末又は抽出物を包含する。斯かるカイコハナサナギタケの粉末又は抽出物は、本発明の更年期障害改善剤に含まれるカイコハナサナギタケの粉末又は抽出物と同様である。
【0038】
本開示に包含される発明を特定するにあたり、本開示の各実施形態で説明した各構成(性質、構造、機能等)は、どのように組み合わせられてもよい。すなわち、本開示には、本明細書に記載される組み合わせ可能な各構成のあらゆる組み合わせからなる主題が全て包含される。
【実施例0039】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の態様に限定されるものではない。
【0040】
(実施例1)
カイコ蛹を宿主として得られるハナサナギタケ(カイコハナサナギタケ)を凍結乾燥し、ミキサーで粉砕することによりカイコハナサナギタケ粉末を得た。得られたカイコハナサナギタケ粉末200mgをハードカプセルへ充填することで、更年期障害改善剤サンプルとして調製した。
【0041】
(試験例)
スクリーニングにより選定した被験者20名(男性14人、女性6人)に、4週間にわたって、実施例1で得られたサンプルを一日2回摂取させた。1回あたりの摂取では4カプセル(カイコハナサナギタケ粉末として1日摂取量1,600mg)とした。摂取前、摂取2週間後及び4週間後に各被験者に下記のアンケートを実施し、アンケートにおける質問毎に「なし1点|軽度2点|中程度3点|重度4点|極めて重度5点」と点数をつけ、このアンケート結果に基づいて更年期障害改善作用について評価した。
<アンケート>
Q1:肉体的、精神的健康状態の低下を感じる自覚症状がある。
Q2:関節痛や筋肉痛がある。腰痛、筋肉痛、手足の痛み、背中全体の痛みなどがある。
Q3:汗をよくかく。思いがけず、突然発汗する。緊張していないのにのぼせる。
Q4:睡眠障害がある。寝付けない。しばしば目が覚める。早く目が覚め、疲れを感じる。睡眠不足があり、眠れない。
Q5:睡眠の欲求が強く、しばしば疲労感がある。
Q6:怒りっぽく、イライラする。小さなことですぐにカッとなる。不機嫌になる。
Q7:神経過敏である。緊張感がある。つねにそわそわして落ち着かない。
Q8:不安症、心配性、パニックになりやすい。
Q9:身体的疲労、活力不足、能力全体の低下、活動の低下、余暇活動への興味の低下がある。無気力、達成感がない、何かをするのに無理に奮い立たせないとできない。
Q10:筋力が低下してきた。弱くなってきたと感じる。
Q11:憂鬱気味で落ち込みやすい。もの悲しい。泣きそうな感じ。意欲減退、無力感がある。気分の浮き沈みが激しい。
Q12:「燃え尽きた」「どん底状態にある」と感じる。
【0042】
上記アンケートのうち、Q6はイライラ感、Q7は神経過敏、Q10は筋力低下、Q11は憂鬱を判断する指標とした。
【0043】
図1~4は、それぞれQ6(イライラ感)、Q7(神経過敏)、Q10(筋力低下)、Q11(憂鬱)に対する被験者20名(横軸に1~20で表記)のアンケート結果に基づく点数(縦軸)を示している。なお、図1~4のグラフでは、横軸の各被験者1~20における3つの棒グラフは左から順に摂取前、摂取開始から2週間後、摂取開始から4週間後のアンケート結果に基づく点数を示している。
【0044】
図1~4の結果より、20名のうち少なくとも5名以上に改善傾向がみられたことから、更年期障害改善剤の摂取により、筋量低下の改善、神経過敏の改善、イライラ感の抑制及び憂鬱感の抑制効果が発現したことがわかる。
図1
図2
図3
図4