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特開2024-22800半導体モジュールおよび半導体モジュールの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022800
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】半導体モジュールおよび半導体モジュールの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/60 20060101AFI20240214BHJP
   H01L 25/07 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
H01L21/60 301A
H01L25/04 C
H01L21/60 301N
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022126154
(22)【出願日】2022-08-08
(71)【出願人】
【識別番号】000233273
【氏名又は名称】株式会社 日立パワーデバイス
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】山崎 真尚
(72)【発明者】
【氏名】小林 稔幸
【テーマコード(参考)】
5F044
【Fターム(参考)】
5F044AA04
5F044AA14
(57)【要約】
【課題】
半導体素子と緩衝板とを焼結金属層で接合した半導体モジュールにおいて、半導体素子と緩衝板との接合時(焼結金属層の焼結時)の接合材料に含まれる溶剤の排出性を向上し、焼結金属層の厚みのばらつきを抑制し、さらに半導体素子にかかる応力を緩和することが可能な半導体モジュールおよび半導体モジュールの製造方法を提供する。
【解決手段】
本発明の半導体モジュールは、半導体素子1と、緩衝板10と、半導体素子1および緩衝板10を接合する焼結金属層2とを備え、緩衝板10は、複数の部材10a,10b,10cで構成されていることを特徴とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、半導体素子と、緩衝板と、前記半導体素子および前記緩衝板を接合する焼結金属層とを備え、前記緩衝板は、複数の部材で構成されていることを特徴とする半導体モジュール。
【請求項2】
前記半導体素子1つあたりに前記緩衝板を1つ設け、この1つの前記緩衝板が複数の部材で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体モジュール。
【請求項3】
前記緩衝板を構成する前記複数の部材の間に間隙を有することを特徴とする請求項1に記載の半導体モジュール。
【請求項4】
前記間隙が、前記基板または前記半導体素子の反りの曲率を低減する方向に沿って設けられていることを特徴とする請求項3に記載の半導体モジュール。
【請求項5】
前記複数の部材を連結する連結部材を有することを特徴とする請求項1に記載の半導体モジュール。
【請求項6】
前記連結部材が前記基板または前記半導体素子の反りの曲率を低減する方向に沿って設けられていることを特徴とする請求項5に記載の半導体モジュール。
【請求項7】
前記焼結金属層の厚みがほぼ一定であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の半導体モジュール。
【請求項8】
前記間隙の幅が0.5mm以下であることを特徴とする請求項3に記載の半導体モジュール。
【請求項9】
前記焼結金属層の前記間隙の直下に間隙を有することを特徴とする請求項3に記載の半導体モジュール。
【請求項10】
前記焼結金属層の前記間隙の直下の部分の焼結密度が前記焼結金属層の他の部分部分よりも小さいことを特徴とする請求項3に記載の半導体モジュール。
【請求項11】
前記基板、前記半導体素子、前記焼結金属層および前記緩衝板がこの順で積層されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体モジュール。
【請求項12】
基板と、半導体素子と、緩衝板と、前記半導体素子および前記緩衝板を接合する焼結金属層とを備える半導体モジュールの製造方法であって、
前記半導体素子の複数の部分に焼結ペーストを塗布する工程と、
前記複数の部分に塗布したそれぞれの焼結ペーストの上に複数の緩衝板を設置する工程と、
前記焼結ペーストを加熱して焼結する工程と、を有することを特徴とする半導体モジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体モジュールおよび半導体モジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電鉄、EV(Electric Vehicle)および産業用途向けに使用される高耐熱パワー半導体モジュールには、高耐熱およびパワーサイクル寿命向上のニーズがある。従来の半導体モジュールの例として、例えば特許文献1(特開2016-167527号公報)がある。特許文献1には、配線層を有する基板と、基板に搭載され、表面に電極を有する半導体素子と、半導体素子の電極と焼結金属層を介して接合された導電板と、を備える半導体モジュールが開示されている。導電板は、半導体素子と配線部材の熱膨張率差による熱応力を緩和する役割と、半導体素子からの熱を放熱する役割がある。電極は、ゲート配線部によって複数の電極に分割されており、焼結金属層は、ゲート配線部上部の領域が電極上部の領域よりも焼結密度が低いことを特徴としている。
【0003】
上記特許文献1によれば、半導体素子101と導電板150とを接合する焼結金属層(第2の焼結接合層)105´に、半導体素子の非アクティブエリアであるゲート配線上に位置する領域の焼結密度をアクティブエリア上の部位より低くすることにより、ゲート配線部に集中する熱ひずみを抑えることができ、これにより、チップ上の接合層の接続信頼性を向上することが可能となるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2016-167527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、半導体モジュールのパワーサイクル寿命を向上するために、半導体チップに接合するワイヤを、従来のAlワイヤからより長寿命なCuワイヤへの代替が検討されている。しかしながら、Cuワイヤは硬いワイヤであるために、半導体素子とワイヤとを接合する際に、ワイヤ接合時に半導体素子を破壊してしまうリスクがある。
【0006】
これに対する対策として、半導体素子とワイヤとの間に緩衝板を設けることで接合時の負荷を低減する構造がある。緩衝板と半導体素子とは、耐熱性確保のために、焼結金属を接合材料として用いて接合されるのが一般的であるが、焼結接合には以下の課題がある。まず、焼結接合は、圧力と200~400℃程度の熱を加えることで接合させるが、この接合温度に達する前に接合材料を含むペーストに含まれる溶剤を乾燥させる必要があり、この乾燥工程が製造時間を増大させる。
【0007】
また、基板や半導体素子の反りによって、焼結金属層の厚みがばらつく場合があるが、厚みが薄くなると半導体素子にかかる応力が増大したり、接合界面に伝わる圧力が不均一となり、接合不良となる場合がある。
【0008】
さらに、緩衝板を有する構造の課題としては、従来のワイヤ接合のみの場合と比較して、半導体素子上面の拘束が強くなるために、素子にかかる応力が増大することが挙げられる。
【0009】
本発明の目的は、上記事情に鑑み、半導体素子と緩衝板とを焼結金属層で接合した半導体モジュールにおいて、半導体素子と緩衝板との接合時(焼結金属層の焼結時)の接合材料に含まれる溶剤の排出性を向上し、焼結金属層の厚みのばらつきを抑制し、さらに半導体素子にかかる応力を緩和することが可能な半導体モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明の一態様は、半導体素子と、緩衝板と、半導体素子および緩衝板を接合する焼結金属層とを備え、緩衝板は、複数の部材で構成されていることを特徴とする半導体モジュールである。
【0011】
また、上記目的を達成するための本発明の他の態様は、半導体装置に複数の部分に焼結ペーストを塗布する工程と、複数の部分に塗布したそれぞれの焼結ペーストの上に複数の緩衝板を設置する工程と、焼結ペーストを加熱して焼結する工程と、を有することを特徴とする半導体モジュールの製造方法である。
【0012】
本発明のより具体的な構成は、特許請求の範囲に記載される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、半導体素子と緩衝板との接合時(焼結金属層の焼結時)の接合材料に含まれる溶剤排出性を向上し、焼結金属層の厚みのばらつきを抑制し、さらに半導体素子にかかる応力を緩和することが可能な半導体モジュールを提供できる。
【0014】
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施例1の半導体モジュールの一例を示す断面図
図2図1の半導体素子1、焼結金属層2および緩衝板10の上面図
図3】緩衝板10を分割しない半導体モジュールの半導体素子1、焼結金属層2および緩衝板10を示す側面図
図4】緩衝板10を分割した実施例1の半導体モジュールの半導体素子1、焼結金属層2および緩衝板10を示す側面図
図5】実施例2の半導体モジュールの半導体素子1と緩衝板10の接合工程のフローを示す図
図6】実施例2の半導体モジュールの半導体素子1と緩衝板10の接合工程のフローを示す図
図7A】実施例3の半導体モジュールの半導体素子1、焼結金属層2および緩衝板10の第1の例の上面図
図7B図7AのX-X´線断面図
図7C】実施例3の半導体モジュールの半導体素子1、焼結金属層2および緩衝板10の第2の例の上面図
図7D図7AのY-Y´線断面図
図8A】実施例4の半導体モジュールの半導体素子1、焼結金属層2および緩衝板10の上面図
図8B図8AのX-X´線断面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0017】
<実施例1(基本形態)>
図1は実施例1の半導体モジュールの一例を示す断面図であり、図2図1の半導体素子1、焼結金属層2および緩衝板10の上面図である。図1に示すように、実施例1の半導体モジュール20は、ベース板4の表面に、基板3と、半導体素子1と、緩衝板10とがこの順で積層されており、これらがケース8で覆われ、ケース8の内部は封止樹脂9によって封止されている。
【0018】
基板3の裏面(ベース板4との接合面側の面)には、裏面回路3bが設けられており、はんだ層5によってベース板4と接合されている。なお、はんだ層5は、焼結金属層であっても良い。基板3の表面(半導体素子1が搭載されている面)は、回路3aa,3ab,3acを有している。緩衝板10と回路3aaとは、ワイヤ6によって電気的に接続されており、回路3acには端子7が接続されており、半導体モジュール20は、端子7を通して外部電源と電気的に接続される。
【0019】
半導体素子1と回路3abおよび半導体素子1と緩衝板10とは、焼結金属層2によって接合される。
【0020】
図2に示すように、本実施例の半導体モジュール20は、1つの半導体素子1に1つの緩衝板10が設けられており、この1つの緩衝板10が複数の部材10a,10b,10cで構成され、複数の領域に分割された形状を有している。図4では、緩衝板10の短手方向に沿って設けられた間隙12a,12bによって、3枚に分割されている。このような緩衝板10の形状は、例えば以下の様な方法で製造される。まず、基板3に接合された半導体素子1の上面に、ディスペンサや印刷機を用いて焼結金属層を構成する金属粒子(銀や銅の粒子)および溶剤を含む焼結ペースト(以下、単に「ペースト」と称する。)を供給する。次に、マウンタを用いて緩衝板10をペーストの表面に搭載する。
【0021】
また、別の製造方法としては、まず緩衝板10にペーストを塗布し、ペーストを塗布した緩衝板10を一緒に半導体素子1の表面に搭載しても良い。こその後、緩衝板10の上から加圧と加熱を行うことで、ペースト中の溶剤の乾燥および半導体素子1と緩衝板10との焼結接合を行う。なお、使用するペーストによっては、加熱のみで加圧は必要ないものもある。緩衝板10としては、例えば銅板を使用することができるが、これに限定されるものではない。
【0022】
本実施例の半導体モジュール20は、緩衝板10を複数の部材10a,10b,10cに分割することで、各部材の間にできる間隙12a,12bが溶剤乾燥経路となり、溶剤が乾燥しやすくなり、製造時間を短時間化できる。溶剤乾燥経路の確保方法として、緩衝板10に溝や穴をといった排気口を設ける形状が考えられるが、このような排気口は機械加工上の限界から一定以上の大きさとする必要がある。一方で、複数の部材に分割する方式だと、部材の間隙はマウンタの搭載位置精度に依存することになるが、これは通常の機械加工の最小幅よりも小さく設定可能であり、例えば0.5mm~0.2mm程度まで小さくできる。緩衝板の部材10a,10b,10cの間隙12a,12bを小さくできることで、間隙12a,12bから焼結金属が脱落して意図しない箇所に付着することで短絡不良となるリスクを抑え、放熱経路を大きく確保できる。
【0023】
図3は緩衝板10を分割しない半導体モジュールの半導体素子1、焼結金属層2および緩衝板10を示す側面図であり、図4は緩衝板10を分割した実施例1の半導体モジュールの半導体素子1、焼結金属層2および緩衝板10を示す側面図である。図3および図4は半導体モジュールの半導体素子1、焼結金属層2および緩衝板10(10a,10b,10c)の形状の一例を模式的に示す図である。図3に示すように、焼結接合では、基板(図示せず)や半導体素子1の反りに起因して焼結金属層2の厚みが場所によってばらつく場合がある。焼結金属層2の厚みがばらつくと、例えば、焼結時(接合時)の加圧が均等に伝わらず未接合となったり、厚みが薄くなった箇所付近の半導体素子1の応力が増大したりする課題が生じる。
【0024】
一方、本実施例の半導体モジュール20は、図4に示すように、緩衝板10を複数の部材10a,10b,10cに分割することで、それぞれの部材ごとに加圧ができるために、図3に示す様に基板(図示せず)や半導体素子1の反りに寄らずに、焼結金属層2の厚み(例えば、図4中の距離X、Y,Z)を均一化する効果が得られる。
【0025】
また、複数の部材に分割しない緩衝板10を設けるだけでは、ワイヤ6のみを半導体素子1の上面に接合させている場合と比べて、半導体素子1の上面の拘束が厳しくなり、信頼性に悪影響を及ぼす場合がある。一方で、緩衝板10を複数に分割することで、基板(図示せず)や半導体素子1の反りに追従して変形がし易くなり、半導体素子1上面の応力緩和効果がある。
【0026】
さらに、緩衝板10を複数の部材に分割する形状は、溝や穴を有する緩衝板10の形状と比較して、緩衝板10が単純形状となるため、部材の加工コストを抑えることができる。
【0027】
実施例1の形態によれば、ペースト中の溶剤が乾燥しやすくなるために、乾燥工程を短時間化することができる。また接合信頼性を損なう基板反り起因の焼結層の厚みばらつきを抑制することができる。更に、緩衝板が小区間に分割されることで素子の拘束が緩くなり、応力緩和効果も得られる。
【0028】
<実施例2(緩衝板の位置ずれを防止する焼結ペースト塗布方法)>
図5および図6は半導体モジュールの半導体素子1と緩衝板10の接合工程のフローを示す図である。図5に示すように、緩衝板10をペースト13の表面にマウントする際に、緩衝板10をペースト13に押し付けることになるが、緩衝板10bを搭載する際に、ペースト13が流動することで隣の緩衝板10bの位置をずらしてしまう場合が想定される。
【0029】
これに対する対策として、図6に示す様に、ペーストを緩衝板10の小部材10a,10b,10c毎に区切ったペースト13a,13b,13cとして供給する方法が考えられる。これにより、マウンタの緩衝板10押し付けによるペースト13a,13bの潰れ広がりの緩衝幅Aが小さくなるので、位置ずれのリスクを抑えられる。なお、緩衝幅Aの領域は、ペーストが他領域よりも少なかったり、接合時に緩衝板10からの圧力が伝わらなかったりすることで焼結密度が小さくなる場合があるが、信頼性に影響を及ぼす程度ではない。
【0030】
また、位置ずれのリスクをさらに抑えるために、緩衝板10のマウント後に各部材間(図6では部材10b,10c間)および各焼結層間(図6では焼結層13b,13c間)に間隙Bがあるように、部材の間に間隙が空いていても良い。ここで、焼結金属層内部に大きな間隙を開けることは、例えばパワーモジュールの絶縁性を向上させるために用いる封止樹脂のボイドの起点になる恐れがあるので望ましくないが、今回の実施の形態においては、焼結金属層に空く間隙の直上が各緩衝板間の間隙になるため、大きく開口した空洞となり、ボイドは発生しにくいため問題ない。
【0031】
<実施例3(緩衝板の搭載方法)>
図7Aは実施例3の半導体モジュールの半導体素子1、焼結金属層2および緩衝板10の第1の例の上面図であり、図7B図7AのX-X´線断面図である。また、図8Aは実施例3の半導体モジュールの半導体素子1、焼結金属層2および緩衝板10の第2の例の上面図であり、図8B図7AのY-Y´線断面図である。図7A図7Dに示す様に、各緩衝板を基板や素子の反りの曲率が大きくなる方向に分割することで、少ない分割回数でも厚み均一化の効果を高めることができる。
【0032】
<実施例4(曲げ剛性を考慮した緩衝板構造)>
図8Aは実施例4の半導体モジュールの半導体素子1、焼結金属層2および緩衝板10の上面図であり、図8B図8AのX-X´線断面図である。上述した様に、緩衝板10を複数の部材に分割することで、溶剤乾燥の促進や接合厚みのばらつき抑制などの効果が得られる。しかしながら、複数の部材に分割することは、緩衝板10のマウント回数が増えるという不利点もある。
【0033】
そこで、例えば図8Aおよび8Bに示す様に、各部材10a,10b,10cを連結する連結部材11で結合した緩衝板構造とすることで、単一の緩衝板でありながら、溶剤乾燥経路を確保しつつ、特定方向の曲げ剛性を小さくできるので、ある程度厚みバラツキを抑制する効果が得られる。
【0034】
各部材10a,10b,10cおよび連結部材11とは1つの部材で形成されていても良いし、それぞれ分けた部材を接合したものであっても良い。
【0035】
以上、説明したように、本発明によれば、半導体素子と緩衝板とを焼結金属層で接合した半導体モジュールにおいて、半導体素子と緩衝板との接合時(焼結金属層の焼結時)の接合材料に含まれる溶剤の排出性を向上し、焼結金属層の厚みのばらつきを抑制し、さらに半導体素子にかかる応力を緩和することが可能な半導体モジュールを提供できることが示された。
【0036】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0037】
1…半導体素子、2…焼結金属層、3…基板、3aa,3ab、3ac…回路、3b…裏面回路、4…ベース板、5…はんだ層または焼結層、6…ワイヤ、7…端子、8…ケース、9…封止樹脂、10,10a,10b,10c…緩衝板、11…緩衝板を構成する複数の部材の連結部材、12…間隙、13,13a,13b,13c…焼結ペースト、20…半導体モジュール。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図8A
図8B