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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022803
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】部品の締結構造
(51)【国際特許分類】
   F16B 17/00 20060101AFI20240214BHJP
   F16B 5/07 20060101ALI20240214BHJP
   F16B 7/20 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
F16B17/00 E
F16B5/07 C
F16B7/20 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022126159
(22)【出願日】2022-08-08
(71)【出願人】
【識別番号】000157083
【氏名又は名称】トヨタ自動車東日本株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松尾 茂
【テーマコード(参考)】
3J001
3J036
3J039
【Fターム(参考)】
3J001FA03
3J001GA06
3J001GC09
3J001GC12
3J001HA08
3J001JB03
3J001JB12
3J001JC13
3J001KA12
3J001KA18
3J036AA03
3J036BA01
3J036EA04
3J036GA02
3J039AA03
3J039BB04
3J039CA02
3J039DA01
3J039MA01
(57)【要約】
【課題】第一部品および第二部品を適切に位置決めした状態で螺合締結できる締結構造を開示する。
【解決手段】部品の締結構造は、基部12と、前記基部12から立脚して受入通路18を画定する1以上の立壁16と、を有する第一部品10と、前記基部12に接触する位置まで前記受入通路18に挿し込まれ、その状態で締結ボルト50により前記基部12と螺合締結される挿入部42を有する第二部品40と、を備え、前記1以上の立壁16は、前記挿入部42を前記受入通路18に挿し込んだ際、前記挿入部43の周面の一部が押し当てられる当接面22と、前記挿入部42を前記受入通路18に挿し込んだ際、前記挿入部42の周面の他の一部に食い込む、位置決めリブ30と、を含み、前記位置決めリブ30のうち、前記締結ボルト50の締め付け回転方向Ra上流側の端面は、前記締め付け回転方向Raに対して略直交している。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部と、前記基部から立脚して受入通路を画定する1以上の立壁と、を有する第一部品と、
前記基部に接触する位置まで前記受入通路に挿し込まれ、その状態で締結部材により前記基部と螺合締結される挿入部を有する第二部品と、
を備え、前記1以上の立壁は、
前記挿入部を前記受入通路に挿し込んだ際、前記挿入部の周面の一部が押し当てられる当接面と、
前記挿入部を前記受入通路に挿し込んだ際、前記挿入部の周面の他の一部に食い込む、位置決めリブと、
を含み、前記位置決めリブのうち、前記締結部材の締め付け回転方向上流側の端面は、前記締め付け回転方向に対して略直交している、
ことを特徴とする部品の締結構造。
【請求項2】
請求項1に記載の部品の締結構造であって、
前記位置決めリブのうち、前記受入通路の中心側に向かって突き出た頂部には、1以上の係合溝が形成されており、
前記係合溝のうち、前記挿入部の挿入方向上流側の端面は、前記挿入方向に対して略直交している、
ことを特徴とする部品の締結構造。
【請求項3】
請求項1に記載の部品の締結構造であって、
前記位置決めリブのうち、前記挿入部の挿入方向上流側端から少なくとも一定の範囲は、挿入方向上流側に進むにつれて、幅が細くなっている、ことを特徴とする部品の締結構造。
【請求項4】
請求項1または3に記載の部品の締結構造であって、
前記位置決めリブのうち、前記挿入部の挿入方向上流側端から少なくとも一定の範囲は、前記挿入方向上流側に近づくにつれて突出量が小さくなっている、ことを特徴とする部品の締結構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、第一部品と第二部品との締結構造を開示する。
【背景技術】
【0002】
従来から、第一部品と、第二部品と、をガタつきなく位置決めするために、第一部品および第二部品の一方に、他方に干渉するリブを設けることが提案されている。例えば、特許文献1には、スイッチ等が固定配置された載置板を、意匠パネルに、ガタつきなく、位置決めする技術が開示されている。特許文献1では、意匠パネルから二つの壁を立脚させ、この二つの壁の間に、載置板の前端を挿し込んでいる。ここで、二つの壁の間隔は、載置板の厚みとほぼ同じであり、二つの壁のうち一方には、他方に向かって突出する楔形状のリブが形成されている。この場合、二つの壁の間に載置板を挿し込むと、リブおよび載置板の一方は、他方の形状に追従するように変形し、両者は、隙間なく密着する。そして、これにより、意匠パネルと載置板とがガタつくことなく、位置決めされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-226929号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1では、二つの壁の間に載置板を挿し込むことで、載置板および意匠パネルの組み付けは、完了しており、載置板と意匠パネルとを螺合締結していない。しかし、部品の種類によっては、第一部品と第二部品を、リブを利用して位置決めした後、締結部材により螺合締結することがある。この場合、締結部材を締め付ける力により、第一部品および第二部品の一方が他方に対して回転し、両者の位置関係がズレてしまうことがあった。結果として、従来の技術では、第一部品および第二部品を、適切に位置決めした状態で螺合締結することが難しかった。
【0005】
そこで、本明細書では、第一部品および第二部品を適切に位置決めした状態で螺合締結できる締結構造を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書で開示する部品の締結構造は、基部と、前記基部から立脚して受入通路を画定する1以上の立壁と、を有する第一部品と、前記基部に接触する位置まで前記受入通路に挿し込まれ、その状態で締結部材により前記基部と螺合締結される挿入部を有する第二部品と、を備え、前記1以上の立壁は、前記挿入部を前記受入通路に挿し込んだ際、前記挿入部の周面の一部が押し当てられる当接面と、前記挿入部を前記受入通路に挿し込んだ際、前記挿入部の周面の他の一部に食い込む、位置決めリブと、を含み、前記位置決めリブのうち、前記締結部材の締め付け回転方向上流側の端面は、前記締め付け回転方向に対して略直交している、ことを特徴とする。
【0007】
この場合、前記位置決めリブのうち、前記受入通路の中心側に向かって突き出た頂部には、1以上の係合溝が形成されており、前記係合溝のうち、前記挿入部の挿入方向上流側の端面は、前記挿入方向に対して略直交していてもよい。
【0008】
また、前記位置決めリブのうち、前記挿入部の挿入方向上流側端から少なくとも一定の範囲は、挿入方向上流側に進むにつれて、幅が細くなっていてもよい。
【0009】
また、前記位置決めリブのうち、前記挿入部の挿入方向上流側端から少なくとも一定の範囲は、前記挿入方向上流側に近づくにつれて突出量が小さくなっていてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本明細書で開示する部品の締結構造によれば、位置決めリブの締め付け回転方向上流側端面が、締め付け回転方向に対して略直交している。そのため、締結部材を締め付ける際、第二部品の、第一部品に対する回転が効果的に抑制される。結果として、第一部品および第二部品を適切に位置決めした状態で螺合締結できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第一部品および第二部品の模式的な斜視図である。
図2】第一部品の横断面図である。
図3】第一部品および第二部品を、図2のA-A線で切断した断面図である。
図4】位置決めリブ周辺の斜視図である。
図5】位置決めリブを正面から見た図である。
図6図5のB-B断面図である。
図7】受入通路に挿入部に挿入した際の模式的な横断面図である。
図8】比較例の第一部品の受入通路に挿入部に挿入した際の模式的な横断面図である。
図9】挿入部を受入通路に挿入する際の、係合溝周辺の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して部品の締結構造について説明する。図1は、第一部品10および第二部品40の模式的な斜視図である。また、図2は、第一部品10の横断面図であり、図3は、図2のA-A線での断面図である。また、各図面では、第一部品10および第二部品40の要部周辺のみを図示しており、その他の部分の図示を省略している。また、以下の説明では、後述する第二部品40の挿入部42を、第一部品10の受入通路18に挿入する際の挿入方向上流側を「上」とする。また、上下方向に直交する二方向を、前後方向および左右方向とする。したがって、以下の説明における「上」は、重力方向上側と異なる方向でもよい。
【0013】
第一部品10は、基部12と、基部12から立脚する受入筒15と、を有している。基部12は、図3に示す通り、平板状部位である。この基部12には、厚み方向に貫通する締結孔14が形成されている。この締結孔14は、締結ボルト50(図3参照)のネジ径よりも充分に大きい。また、図1では、図示していないが、基部12には、さらに、他の部位が接続されていてもよい。
【0014】
受入筒15は、基部12の上面から立脚している。この受入筒15は、90度の角度を成して互いに接続された四つの立壁16で構成されている。したがって、受入筒15全体としては、締結孔14を囲む角筒状である。以下では、受入筒15の内部空間、すなわち、四つの立壁16で取り囲まれる空間を「受入通路18」と呼ぶ。図2図3に示すように、各立壁16の内面(すなわち受入通路18に向いた面)には、当該立壁16の上端から下端に亘って帯部20が形成されている。帯部20は、周囲より僅かに突出し、上下方向に長尺な帯状の突起部である。図3から明らかな通り、この帯部20のうち、上端から一定の範囲は、上端から下方に向かうにつれて(すなわち挿入方向上流側端から下流側端に向かうにつれ)、急激に突出量が大きくなるように傾斜した傾斜部20aとなっている。かかる傾斜部20aを設けることで、後述する第二部品40の挿入部42を、受入通路18に挿入しやすくなる。なお、帯部20のうち、傾斜部20aより下側部分も、下方に向かうにつれて徐々に突出量が大きくなるように傾斜しているが、その傾斜角度は、傾斜部20aの傾斜角度に比べて小さい。
【0015】
また、図2から明らかな通り、四つの帯部20のうち二つの帯部20には、さらに、位置決めリブ30が形成されており、残り二つの帯部20には、位置決めリブ30は形成されていない。位置決めリブ30が形成されていない帯部20の表面は、挿入部42の周面が押し当てられる当接面22として機能する。本例では、位置決めリブ30と当接面22とが、締結孔14を挟んで対向するように配置している。具体的には、左側および後側の立壁16に位置決めリブ30が設けられ、右側および前側の立壁16に当接面22が設けられている。
【0016】
位置決めリブ30は、帯部20の表面から突出し、上下方向に長尺なリブである。この位置決めリブ30は、図2に示す通り、横断面形状が、略三角形状である。かかる位置決めリブ30は、受入通路18に挿入部42を挿入した際、挿入部42の周面に食い込みつつ、挿入部42を当接面22に押し当てるが、これについては後述する。
【0017】
この位置決めリブ30の詳細な構成について、図4図6を参照して説明する。図4は、位置決めリブ30周辺の斜視図である。また、図5は、位置決めリブ30を正面から見た図であり、図6は、図5のB-B断面図である。
【0018】
図4に示す通り、位置決めリブ30は、帯部20の傾斜部20aより下側位置から立壁16の下端まで上下方向に延びるリブである。位置決めリブ30の横断面形状(すなわち挿入方向に直交する面での断面形状)は、図2に示す通り、帯部20の表面に対して略直交する面と、帯部20の表面に対して非直角に傾斜した面と、を有する略直角三角形状である。このように、位置決めリブ30の断面形状を、略直角三角形状とする理由については後述する。
【0019】
位置決めリブ30のうち、その上端から一定の範囲は、挿入された挿入部42と最初に接触するアプローチ領域31となる。図5に示すように、このアプローチ領域31において、位置決めリブ30は、上端に近づくにつれて、徐々に幅が細くなっている。換言すれば、位置決めリブ30の上端は、鋭く尖った切っ先形状である。また、図6に示すように、アプローチ領域31において、位置決めリブ30は、上端に近づくにつれて帯部20からの突出量が徐々に小さくなっている。かかる構成とすることで、受入通路18に挿入部42を挿入した初期段階において、位置決めリブ30と位置決め突起44との接触面積を小さくでき、これにより、位置決めリブ30が位置決め突起44に食い込みやすくなる。
【0020】
また、図4図6に示す通り、位置決めリブ30の下端近傍には、二つの係合溝36が、上下方向に間隔を開けて形成されている。各係合溝36は、位置決めリブ30の頂部(すなわち受入通路18の内部に最も突出した部分)に形成された溝である。図6に示す通り、この係合溝36の上端面(すなわち挿入方向上流側の端面)は、上下方向に対して略直交している。そして、係合溝36の縦断面形状は、略直角三角形である。かかる係合溝36を設ける理由についても、後述する。
【0021】
第二部品40は、受入通路18に挿入される挿入部42を有する。なお、当然ながら第二部品40は、挿入部42に加えて、他の部位を有してもよいが、図面では、こうした他の部位の図示を省略している。挿入部42は、受入通路18に挿し込まれる部位である。図1図3に示す通り、本例において挿入部42は、略円筒形である。挿入部42の周面には、四つの位置決め突起44が形成されている。この位置決め突起44は、挿入部42の下端から上端に亘って延びる帯状の突起部である。四つの位置決め突起44は、挿入部42を受入通路18に挿し込んだ際、当接面22および位置決めリブ30と向かいあって、これらに接触するように、周方向に等間隔に設けられている。
【0022】
図3において、破線で示すように挿入部42の底面には、ネジ穴46が形成されている。このネジ穴46は、挿入部42を受入通路18に完全に挿し込んだ際、第一部品10の締結孔14と上下方向に重なる。そして、締結孔14とネジ穴46が重なった状態で、締結ボルト50を、下側から、ネジ穴46に螺合することで、第一部品10および第二部品40が、螺合締結される。
【0023】
ここで、第一部品10および第二部品40は、いずれも、樹脂からなる。ただし、後に詳説する通り、本例では、位置決めリブ30を、第二部品40の位置決め突起44に確実に食い込ませる必要がある。そのため、位置決めリブ30は、位置決め突起44よりも硬い必要がある。そこで、本例では、第一部品10を、第二部品40よりも硬い樹脂で構成している。なお、別の形態として、第一部品10および第二部品40を同じ素材で構成する一方で、位置決めリブ30の表面に硬度を高めるコーティングを施してもよい。
【0024】
次に、第二部品40を第一部品10に締結する手順について説明する。第二部品40を第一部品10に締結する際には、第二部品40の挿入部42を、第一部品10の受入通路18に挿し込む。ここで、受入通路18には、位置決めリブ30および当接面22が互いに対向して配置されている。この位置決めリブ30と当接面22との最小間隔D1(図3参照)は、挿入部42の最大外径D2よりも小さい。そのため、受入通路18に挿入部42を挿入すると、位置決めリブ30が、挿入部42の位置決め突起44に食い込みつつ、当該挿入部42を当接面22に押し付ける。図7は、挿入部42を受入通路18に挿入した際の模式的な横断面図である。図7に示すように、挿入部42が、二つの当接面22に押し付けられることで、挿入部42、ひいては第二部品40が、第一部品10に対して位置決めされる。
【0025】
挿入部42の末端が基部12に接触し、挿入部42の受入通路18への挿入が完了すれば、換言すれば、第二部品40の第一部品10に対する位置決めが完了すれば、締結ボルト50が下側から締結孔14に挿し込まれ、ネジ穴46に螺合される。そして、この締結ボルト50を十分に締め付けることで、第二部品40が、第一部品10に螺合締結される。
【0026】
ここで、締結ボルト50を締め付ける際には、第二部品40に締め付け回転方向Raの力が作用し、第二部品40が第一部品10に対して回転しようとする。第二部品40が第一部品10に対して回転した場合には、当然ながら、両者の相対位置関係が変化し、位置決め不良になる。本例では、こうした第二部品40の第一部品10に対する回転を防止するために、位置決めリブ30の断面形状を略直角三角形状としている。これについて比較例と比較して説明する。
【0027】
図8は、比較例の第一部品10*の受入通路18に第二部品40を挿入した際の模式的な横断面図である。図8に示す通り、比較例の第一部品10*にも、当接面22および位置決めリブ30*が設けられている。ただし、比較例の位置決めリブ30*は、帯部20の表面から直角に立ち上がる面を有しておらず、位置決めリブ30*の断面形状は、略二等辺三角形である。
【0028】
この場合において、締結ボルト50を締め付け回転方向Raに回転させると、挿入部42も締め付け回転方向Raに動こうとする。そして、これにより、位置決めリブ30の締め付け回転方向Raの上流側端面30a*が、挿入部42の食い込み面に強く当たることになる。このとき、比較例では、上流側端面30a*は、締め付け回転方向Raに対する傾斜角度が小さい。そのため、挿入部42の食い込み面が、上流側端面30a*に強く当たると、その力の一部が、径方向の力に変換されてしまう。そして、これにより、挿入部42が、位置決めリブ30*を乗り越えて、受入通路18内で回転するおそれがあった。そして、挿入部42が回転すると、当然ながら、第一部品10*に対する第二部品40の位置決めがずれるという問題が生じる。
【0029】
そこで、本例では、繰り返し述べる通り、位置決めリブ30の断面形状を、略直角三角形状としている。より正確に説明すると、図7に示す通り、位置決めリブ30のうち、締め付け回転方向Raの上流側端面30aを、締め付け回転方向Raに対して略直交させている。かかる構成とすることで、第二部品40に締め付け回転方向Raの力が作用して、挿入部42の食い込み面が、上流側端面30aに強く当たったとしても、この当接の力(すなわち周方向の力)は径方向の力に変換されない。その結果、挿入部42が、位置決めリブ30を乗り越えることが効果的に防止され、第二部品40の第一部品10に対する位置決めが適正な状態で維持される。結果として、本例によれば、第一部品10と第二部品40を、適切に位置決めした状態で螺合締結できる。
【0030】
なお、上述した通り、また、図4図6に示す通り、本例では、位置決めリブ30の上端部は、上端に近づくにつれて幅および突出量が徐々に小さくなっている。そのため、受入通路18に挿入部42の末端を挿し入れた際、位置決めリブ30と位置決め突起44との接触面積を小さくできる。これにより、位置決めリブ30が位置決め突起44に食い込み始める際の抵抗を小さくでき、比較的小さな力で、位置決めリブ30を位置決め突起44に食い込ませることができる。
【0031】
また、図4図6に示す通り、本例では、位置決めリブ30の下端近傍に、二つの係合溝36を設けている。かかる係合溝36を設ける理由について図9を参照して説明する。図9は、挿入部42を受入通路18に挿入する際の、係合溝36周辺の縦断面図である。挿入部42を、基部12側、すなわち、下側に押し込んでいくと、その過程で、位置決めリブ30が、位置決め突起44を押圧し、位置決め突起44に食い込んでいく。図9に示すように、係合溝36を設けた場合、位置決めリブ30により押圧された位置決め突起44の材料の一部が、係合溝36側へと逃げる。以下では、位置決め突起44のうち、係合溝36側に逃げて膨出した部分を、「膨出部45」と呼ぶ。また、図9における二点鎖線は、変形前の挿入部42の形状を示している。
【0032】
ここで、係合溝36の上端面は、挿入部42の挿入方向に対して略直交している。そのため、係合溝36に、位置決め突起44の一部である膨出部45が入り込んだ場合、挿入部42を受入通路18から引き抜こうとしても、膨出部45が、係合溝36の上端面に引っかかる。換言すれば、挿入部42が受入通路18から容易に離脱しない状態となっている。そのため、挿入部42の挿入作業の途中、あるいは、締結ボルト50の締め付け作業の途中において、作業者が、第二部品40から手を離したとしても、挿入部42は、受入通路18に挿入された状態を容易に維持できる。換言すれば、係合溝36を設けることで、作業途中で、作業者の片手を第二部品40から離すことができ、作業者の作業性を向上できる。
【0033】
なお、これまで説明した構成は、一例であり、第一部品10に、挿入部42の周面に食い込む位置決めリブ30が設けられており、この位置決めリブ30の締め付け回転方向Raの上流側端面30aが、締め付け回転方向Raに対して略直交しているのであれば、その他の構成は変更されてもよい。例えば、本例では、位置決めリブ30の途中に係合溝36を設けているが、こうした係合溝36はなくてもよい。また、位置決めリブ30の上端部周辺において、当該位置決めリブ30の幅および突出量を、連続的に変化させているが、これらは、変化することなく一定であってもよい。また、本例では、第一部品10に、二つの当接面22と、二つの位置決めリブ30と、を設けているが、これらの個数は変更されてもよい。例えば、第二部品40を第一部品10に対して、前後方向にのみ位置決めし、左右方向に位置決めする必要がない場合を考える。この場合、前側および後側の立壁16にのみ当接面22および位置決めリブ30を設ければよく、右側および左側の立壁16には、当接面22および位置決めリブ30を設けなくてもよい。また、この場合、右側および左側の立壁16そのものを無くしてもよい。したがって、立壁16の個数も適宜変更されてもよい。また、挿入部42の形状も、適宜、変更されてもよく、例えば、位置決め突起44は、無くてもよい。
【符号の説明】
【0034】
10,10* 第一部品、12 基部、14 締結孔、15 受入筒、16 立壁、18 受入通路、20 帯部、22 当接面、30,30* 位置決めリブ、30a,30a* 上流側端面、31 アプローチ領域、36 係合溝、40 第二部品、42 挿入部、44 位置決め突起、45 膨出部、46 ネジ穴、50 締結ボルト、Ra 締め付け回転方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9