(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022809
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】抽出部付容器
(51)【国際特許分類】
B65D 1/02 20060101AFI20240214BHJP
B65D 47/18 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
B65D1/02 232
B65D47/18 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022126166
(22)【出願日】2022-08-08
(71)【出願人】
【識別番号】000206185
【氏名又は名称】大成化工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】小川 幸弘
(72)【発明者】
【氏名】林 大貴
【テーマコード(参考)】
3E033
3E084
【Fターム(参考)】
3E033AA02
3E033BA01
3E033BA13
3E033CA20
3E033DA03
3E033DB01
3E033DD02
3E033DD06
3E033FA02
3E033GA02
3E084AA02
3E084AA12
3E084AA24
3E084AA32
3E084AA33
3E084AB01
3E084BA01
3E084CA01
3E084CB04
3E084DA01
3E084DB12
3E084FA09
3E084FB01
3E084GA04
3E084GB04
3E084KB01
3E084LD29
(57)【要約】
【課題】内部に収容された液を十分に抽出することができる抽出部付容器を提供する。
【解決手段】液を溜めることができ、底壁部、側壁部、及び、口部を備える容器本体と、口部に着脱可能な蓋本体部、及び、該蓋本体部に設けられ前記口部を介して容器本体内に挿入されて液を抽出可能な液抽出部を備える蓋部と、を備え、容器本体は、前記底壁部の底外周部と側壁部における底外周部から連続して立ち上がる下端部とで構成され、底壁部の径方向中央部より下向きに凹設される環状の環状凹部を備え、環状凹部は、周方向の一部に形成される深部と、該深部に対して径方向で対向配置され、該深部よりも上下方向の深さが浅い浅部と、を備え、口部は、上下方向軸線に対して上側が深部の方へ傾いた傾斜軸線に口部軸線が沿うように、側壁部に対して突設されている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液を溜めることができ、底壁部、該底壁部の底外周部から立ち上がる側壁部、及び、該側壁部に対して外向きに突設される口部を備える容器本体と、
前記口部に着脱可能な蓋本体部、及び、該蓋本体部に設けられ前記口部を介して前記容器本体内に挿入されて液を抽出可能な液抽出部を備える蓋部と、を備え、
前記容器本体は、前記底壁部の底外周部と、前記側壁部における底外周部から連続して立ち上がる下端部とで構成され、前記底壁部の径方向中央部より下向きに凹設される環状の環状凹部を備え、
前記環状凹部は、周方向の一部に形成される深部と、該深部に対して径方向で対向配置され、該深部よりも上下方向の深さが浅い浅部と、を備え、
前記口部は、前記底壁部の径方向中央を通る上下方向軸線に対して上側が前記深部の方へ傾いた傾斜軸線に口部軸線が沿うように、前記側壁部に対して突設されている、抽出部付容器。
【請求項2】
前記底壁部の底外周部のうち前記深部を形成する底深部は、径外方ほど下方に傾斜した第一テーパ部と、該第一テーパ部の径内側に設けられ、該第一テーパ部よりも小さい傾斜で外方ほど下方に傾斜する第二テーパ部と、を備え、
前記口部から挿入された液抽出部の先端は、第二テーパ部に当接又は近接可能である、請求項1に記載の抽出部付容器。
【請求項3】
前記液抽出部は、抽出軸線方向に沿った抽出本体部と、該抽出本体部の先端に設けられ、抽出軸線に対して傾斜した抽出傾斜軸線に沿う抽出先端部と、を備え、
前記抽出先端部は、前記第二テーパ部に対して前記抽出本体部より前記第一テーパ部の方へ傾斜した状態で当接又は近接可能である、請求項2に記載の抽出部付容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部に収容した液を抽出可能な抽出部付容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内部に収容した液を抽出可能な抽出部付容器として、スポイト付き容器が知られている(特許文献1)。この容器は、
図7に示すように、内部に液を収容する容器本体101と、容器本体101の口部103に配置され貫通穴が設けられた蓋体106と、蓋体106の貫通穴に挿入されたスポイト109と、を備える。容器本体101は、底102と口部103とを有する。また、容器本体101では、底102と口部103との間の中央よりやや低い位置が最大幅となっている。この容器本体101の最大幅部分が、液溜部104である。
【0003】
この容器では、容器本体101に残った液が少なくなった場合、容器本体101を傾斜させて液を液溜部104に貯めることで、スポイト109でこの液を吸引することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記容器において、容器本体を傾斜させたとしても、液が最大幅部分と底との間に広がって溜まるため、スポイトで液を吸引し切れず、液が容器本体内に残存してしまうおそれがあった。
【0006】
本発明は、内部に収容された液を十分に抽出することができる抽出部付容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の抽出部付容器は、液を溜めることができ、底壁部、該底壁部の底外周部から立ち上がる側壁部、及び、該側壁部に対して外向きに突設される口部を備える容器本体と、前記口部に着脱可能な蓋本体部、及び、該蓋本体部に設けられ前記口部を介して前記容器本体内に挿入されて液を抽出可能な液抽出部を備える蓋部と、を備え、前記容器本体は、前記底壁部の底外周部と、前記側壁部における底外周部から連続して立ち上がる下端部とで構成され、前記底壁部の径方向中央部より下向きに凹設される環状の環状凹部を備え、前記環状凹部は、周方向の一部に形成される深部と、該深部に対して径方向で対向配置され、該深部よりも上下方向の深さが浅い浅部と、を備え、前記口部は、前記底壁部の径方向中央を通る上下方向軸線に対して上側が前記深部の方へ傾いた傾斜軸線に口部軸線が沿うように、前記側壁部に対して突設されている。
【0008】
かかる構成によれば、環状凹部が深部と浅部とを備え、口部が深部の方に傾斜して突設されているので、液の残りが少なくなった場合に、深部が下になるように容器本体を傾けると、液が浅部の方から深部の方へ流れ、深部に集中的に溜まる。よって、液抽出部を口部から深部の方へ挿入することで、液を十分に抽出することができる。
【0009】
また、前記抽出部付容器では、前記底壁部の底外周部のうち前記深部を形成する底深部は、径外方ほど下方に傾斜した第一テーパ部と、該第一テーパ部の径内側に設けられ、該第一テーパ部よりも小さい傾斜で外方ほど下方に傾斜する第二テーパ部と、を備え、前記口部から挿入された液抽出部の先端は、第二テーパ部に当接又は近接可能であってもよい。
【0010】
かかる構成によれば、第二テーパ部によって深部の径内部分に浅場を形成することができ、該浅場に液抽出部の先端を位置させて液を抽出することができるので、液抽出部の先端への液の付着を抑えつつ、確実に液を抽出できる。
【0011】
また、前記抽出部付容器では、前記液抽出部は、抽出軸線方向に沿った抽出本体部と、該抽出本体部の先端に設けられ、抽出軸線に対して傾斜した抽出傾斜軸線に沿う抽出先端部と、を備え、前記抽出先端部は、前記第二テーパ部に対して前記抽出本体部より前記第一テーパ部の方へ傾斜した状態で当接又は近接可能であってもよい。
【0012】
かかる構成によれば、抽出先端部を浅場に位置させつつ、容器本体を深い方へ向けて傾斜させて液を抽出できるので、確実に液を抽出できる。
【発明の効果】
【0013】
以上より、本発明によれば、内部に収容された液を十分に抽出することができる抽出部付容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る抽出部付容器の収納時における正面図である。
【
図2】
図2は、前記抽出部付容器の収納時における縦断面図である。
【
図3】
図3は、前記抽出部付容器の台座部を除く容器本体を縦断面図とし台座部を正面図とした模式図である。
【
図4】
図4は、前記抽出部付容器の抽出時における正面図である。
【
図6】
図6は、前記抽出部付容器の抽出時における縦断面図である。
【
図7】
図7は、従来の抽出部付容器の断面図である。を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態に係る抽出部付容器について、
図1~
図6を参照しつつ説明する。この抽出部付容器は、例えば、内部に溜まった液(美容液等の液状の化粧品、薬液、調味料等の液状の食品、その他の液)を抽出できる容器である。この液は、粘度が低い液であってもよいし、粘度が高い液であってもよい。
【0016】
抽出部付容器1は、
図1及び
図2に示すように、底壁部3、底壁部3の底外周部30から立ち上がる側壁部4、及び、側壁部4に対して外向きに突設される口部5を備える容器本体2を備える。また、抽出部付容器1は、口部5に着脱可能な蓋本体部7、及び、該蓋本体部7に設けられ口部5を介して容器本体2内に挿入される液抽出部8を備える蓋部6を備える。
【0017】
容器本体2は、液を溜めることができる部位である。また、容器本体2は、水平な容器載置面に載置可能な形状を有する。例えば、容器本体2は、底壁部3と側壁部4とで構成される有底の略筒状であり、本実施形態では、有底の円筒状である。容器本体2は、例えば、樹脂製であるが、ガラス製等の樹脂以外の材料で形成されたものであってもよい。また、容器本体2は、ブロー成形で形成されるが、他の方法で形成されてもよい。
【0018】
さらに、容器本体2は、底壁部3の底外周部30と、側壁部4における底外周部30から連続して立ち上がる下端部40とで構成される環状凹部20を備える(
図2参照)。
【0019】
環状凹部20は、底壁部3の径方向中央部31より下向きに凹設された環状の凹部である。また、環状凹部20には、抽出部付容器1を水平な容器載置面に載置した状態で、液が溜まりやすい。この環状凹部20は、
図5に示すように、上方から視たとき、略円環状である。
【0020】
さらに、環状凹部20は、周方向の一部(
図5における左側の部分)に形成される深部22と、該深部22に対して径方向で対向配置(
図5における右側の部分に配置)され、該深部22よりも上下方向の深さが浅い浅部23と、を備える。本実施形態では、環状凹部20は、深部22と浅部23とを周方向で連結する連結部24を備える。
【0021】
深部22は、環状凹部20のうち連結部24よりも深い部位である(
図2参照)。深部22における底壁部3と側壁部4との境界は、本実施形態では、曲面であるが、曲面でなくてもよい。
【0022】
浅部23は、環状凹部20のうち連結部24よりも浅い部位である。浅部23における底壁部3と側壁部4との境界は、例えば、傾斜の向きが変わる凹形状の底であり、曲面であり、本実施形態では、深部22における底壁部3と側壁部4との境界よりも曲率が小さい曲面である。即ち、環状凹部20では、底壁部3と側壁部4との境界の曲率が異なることにより、深部22や浅部23が形成されやすくなっている。なお、浅部23における底壁部3と側壁部4との境界は、深部22における底壁部3と側壁部4との境界と曲率が略同じな曲面であってもよいし、曲面でなくてもよい。
【0023】
連結部24は周方向の一部が他の部分(連結部24の他の部分)よりも径方向の凹幅が狭い中継部241を含む(
図5参照)。また、連結部24は、深部22と連続する深連部242と、浅部23と連続する浅連部243と、を備える。深連部242は、深部22と中継部241とを連結する。深連部242の凹幅は、深部22から中継部241へ徐々に変化する。浅連部243は、浅部23と中継部241とを連結する。浅連部243の凹幅は、浅部23から中継部241へ徐々に変化する。具体的に、連結部24の凹幅は、深部22側から中継部241側へ徐々に狭くなり、浅部23側から中継部241側へ徐々に狭くなる。また、連結部24の周方向中央部が、中継部241で狭く、両端にかけて広くなっている。
【0024】
底壁部3は、容器本体2の底を構成する部位である。本実施形態では、底壁部3は、略円板状である。
【0025】
底外周部30は、容器本体2を容器載置面に載置する際に、容器載置面と当接する部位である。底外周部30は、底壁部3の径方向中央部31から径外方ほど下方に傾斜する傾斜状となっている。また、底外周部30は、略円環板状である。本実施形態では、底外周部30の外周縁は、角の無い形状(曲線状)である。
【0026】
また、底外周部30は、深部22を形成する底深部32を備える。さらに、底外周部30は、浅部23を形成する底浅部33を備える。底外周部30は、底深部32と底浅部33とを連結する底連部34を備える。
【0027】
底深部32は、容器載置面(例えば、水平面)に対して異なる角度で傾斜する複数の部位を備える。具体的に、底深部32は、径外方ほど下方に傾斜した第一テーパ部321と、該第一テーパ部321の径内側に設けられた第二テーパ部322と、を備える。第二テーパ部322は、第一テーパ部321よりも小さい傾斜で外方ほど下方に傾斜する。本実施形態では、第一テーパ部321の傾斜方向における長さは、第二テーパ部322の傾斜方向における長さよりも長くなっている。また、第一テーパ部321の上端の容器載置面からの高さは、第二テーパ部322の上端の容器載置面からの高さよりも低くなっている。なお、底深部32が、容器載置面に対して異なる角度で傾斜する複数の部位を備えなくてもよく、即ち、底深部32の全体が、容器載置面に対して均一な角度で傾斜してもよい。
【0028】
さらに、本実施形態では、底深部32は、第二テーパ部322と径方向中央部31とを連結する中央連結部323を備える。本実施形態では、中央連結部323は、上向きに凸となっており、R形状を有する。なお、底深部32は、中央連結部323を備えなくてもよく、第二テーパ部322と径方向中央部31とが直接連結していてもよい。
【0029】
底浅部33は、底壁部3の容器載置面(例えば、水平面)に対して均一な角度で傾斜している。底浅部33の容器載置面に対する傾斜角度は、第二テーパ部322の容器載置面に対する傾斜角度よりも小さい。なお、底浅部33が、容器載置面に対して異なる角度で傾斜する複数の部位を備えていてもよい。
【0030】
本実施形態では、底浅部33の傾斜方向における長さは、第一テーパ部321の傾斜方向における長さと第二テーパ部322の傾斜方向における長さとの和よりも長い。底浅部33の上端の容器載置面からの高さは、第一テーパ部321の上端の容器載置面からの高さより低い。
【0031】
底連部34は、周方向の一部が他の部分(底外周部30の他の部分)よりも径方向の幅が狭い底中部341を含む。また、底連部34は、底深部32と連続する底深連部342と、底浅部33と連続する底浅連部343と、を備える。底深連部342は、底深部32と底中部341とを連結する。底深連部342の幅は、底深部32から底中部341へ徐々に変化する。底浅連部343は、底浅部33と底中部341とを連結する。底浅連部343の幅は、底浅部33から底中部341へ徐々に変化する。具体的に、底浅連部343の幅は、底深部32側から底中部341側へ徐々に狭くなり、底浅部33側から底中部341側へ徐々に狭くなる。また、底連部34の周方向中央部が、底中部341で狭く、両端にかけて広くなっている。
【0032】
底壁部3の径方向中央部31は、容器本体2を容器載置面に載置したとき、容器載置面と離間して上方に位置する部位である。径方向中央部31は、例えば、略円板から一部が欠けた形状である。本実施形態では、径方向中央部31は、深部22側から浅部23側にかけて下方向に僅かに傾斜している。具体的に、径方向中央部31の容器載置面に対する傾斜角度は、底浅部33の容器載置面に対する傾斜角度よりも小さい。これにより、容器本体2を容器載置面に載置したとき、径方向中央部31から浅部23に液が流れやすい。また、底深部32を深く形成することができる。
【0033】
本実施形態では、径方向中央部31の傾斜方向における長さは、第一テーパ部321の傾斜方向における長さと第二テーパ部322の傾斜方向における長さの和よりも長い。また、径方向中央部31の傾斜方向における長さは、底浅部33の傾斜方向における長さよりも長い。径方向中央部31の上端の容器載置面からの高さは、第一テーパ部321の上端の容器載置面からの高さよりも高い。また、径方向中央部31の上端の容器載置面からの高さは、第二テーパ部322の上端の容器載置面からの高さよりも低い。さらに、径方向中央部31の上端の容器載置面からの高さは、底浅部33の上端の容器載置面からの高さよりも高い。径方向中央部31の上端の容器載置面からの高さは、底連部34の上端の容器載置面からの高さよりも高い。径方向中央部31の下端の容器載置面からの高さは、第一テーパ部321の上端の容器載置面からの高さよりも低い。
【0034】
側壁部4は、容器本体2の側壁を構成する部位である。側壁部4は、上端に、口部5が設けられる口設置開口部460を有する。本実施形態では、側壁部4は、底壁部3と連続する下側部45と、下側部45の上端縁から上方に延びる上側部46と、を備える(
図2参照)。下側部45の下端部が、側壁部4の下端部40を構成する。
【0035】
側壁部4の下端部40は、略円筒状である。本実施形態では、下側部45の上下方向における寸法は、深部22側に位置する部位(
図2における左側に位置する部位)で短く、浅部23側に位置する部位(
図2における右側に位置する部位)で長い。下側部45は、深部22側へ傾いた状態で開口している。
【0036】
また、下端部40は、深部22を形成する側深部42と、浅部23を形成する側浅部43と、を備える(
図5参照)。さらに、下端部40は、側深部42と側浅部43とを連結する側連部44を備える。下端部40の各部位42、43、44は、いずれも曲面である。
【0037】
側深部42では、上下方向におけるいずれの部位でも曲率が略均一である。側浅部43では、下方に位置する部位ほど曲率が大きくなっている。また、側浅部43の曲率は、側深部42の曲率よりも大きい。さらに、側深部42の底浅部33に対する傾斜角度は、側深部42の第一テーパ部321に対する傾斜角度よりも大きい。これにより、深部22が深く且つ狭くなっており、浅部23が浅く且つ広くなっている。側連部44の曲率は、側深部42から側浅部43へ徐々に変化する。また、側連部44の曲率は、側深部42から側浅部43にかけて徐々に大きくなっている。
【0038】
側壁部4の上側部46は、口部5側ほど径が小さい略円筒状である。上側部46の上下方向における寸法は、深部22側に位置する部位(
図2における左側に位置する部位)で短く、浅部23側に位置する部位(
図2における右側に位置する部位)で長い。上側部46は、深部22側へ傾いた状態で開口している。具体的に、上側部46は、下側部45よりも深部22側へ傾いている。上側部46の上端部は、口設置開口部460を構成する。
【0039】
口設置開口部460は、上側部46の上端開口に連続して設けられる。口設置開口部460の上面は、平坦な面である。口設置開口部460は、外向きに延設された延設部461と、延設部461から内側に延びる内フランジ部462と、を備える。内フランジ部462の外面であるフランジ面は、平坦な円環状の面である。このフランジ面から外向きに口部5が突設される。
【0040】
環状凹部20では、周方向において、深部22、深連部242、中継部241、浅連部243、及び、浅部23が順に周方向で並んでいる。従って、環状凹部20の液を溜めることのできる量は、深部22では底深部32が深いことにより液を集めやすいため多く、連結部24では底連部34の幅が狭いため少なく、浅部23では底浅部33の幅が広いため多い。
【0041】
口部5は、容器本体2の上端部に位置し、蓋本体部7が取り付けられる部位である(
図2参照)。また、口部5は、底壁部3の径方向中央C3を通る上下方向軸線L1に対して上側が深部22の方へ傾いた傾斜軸線L2に口部軸線L3が沿うように、側壁部4に対して突設されている。
【0042】
口部軸線L3は、容器載置面(例えば、水平面)に対して、40°~60°程度傾斜しており、45°~55°程度傾斜していることが好ましい。口部軸線L3が45°以上であれば、容器本体2を容器載置面に載置したときに倒れにくくなる。また、口部軸線L3が45°以上であれば、同じ量の液を容器本体2に収容したときに、液面が高くなり見栄えが良い。さらに、口部軸線L3が55°以下であれば、容器本体2内の液が少なくなった場合に、環状凹部20の深部22に液抽出部8を挿入しやすい。
【0043】
本実施形態では、口部5は、
図3及び
図4に示すように、容器本体2に連続する台座部50と、台座部50から外向き(
図3における上向き)に突設され、蓋本体部7が着脱可能な口本体部51と、を備える。
【0044】
台座部50は、略円筒状である。また、台座部50は、口設置開口部460から外向きに突設されている。具体的に、台座部50は、内フランジ部462のフランジ面から垂直に突設されている。また、台座部50は、口本体部51より大径に構成されており、周方向の一部に他の部位より突設方向(
図3における上下方向)の高さが高い高台部52を備える。さらに、台座部50は、他の部位より低い低台部53を備える。即ち、高台部52は、低台部53よりも高い。本実施形態では、高台部52は、台座部50の周方向における半分未満の領域に設けられている。
【0045】
高台部52は、周方向において深部22と対応した位置に設けられ、具体的には、傾斜軸線L2から視たとき、深部22と重なる位置に設けられる。また、高台部52の上面520は、台座部50の他の部位の上面よりも、突設方向において高い。そのため、高台部52の径内側には、台座部50の他の部位よりも、突設方向において広い空間が確保されている。
【0046】
低台部53は、周方向において浅部23と対応した位置、即ち、高台部に対して径方向で対向する位置、具体的には、傾斜軸線L2から視たとき、浅部23と重なる位置に設けられる。また、低台部53の上面530は、台座部50の他の部位の上面よりも、突設方向において低い。そのため、低台部53の径外側には、台座部50の他の部位よりも、突設方向における外側において広い空間が確保されている。
【0047】
口本体部51は、略円筒状であり、外周に雄螺子が設けられている。口本体部51の内径は、台座部50の内径よりも小さい。
【0048】
蓋部6は、容器本体2に取り付け可能な部材である(
図1及び
図4参照)。また、蓋部6は、抽出部付容器1を使用せずに保管するとき(収納するとき、
図1)の蓋と、液を抽出するとき(容器本体2から液を抽出するとき、
図4)の抽出部とを兼ねた部材である。
【0049】
蓋本体部7は、貫通穴70が設けられた天板71と、天板71で塞がれた円筒部72と、を有する。また、円筒部72の内周には、口本体部51の雄螺子と螺合可能な雌螺子が設けられている。蓋本体部7の内径は、口本体部51の外径よりも大きい。また、蓋本体部7の内径は、台座部50の外径よりも大きい。
【0050】
液抽出部8は、容器本体2から液を抽出可能な部位である(
図2参照)。本実施形態では、液抽出部8は、液を吸引するスポイトであるが、液が浸み込む綿棒や液が付着又は液を掬い取ることのできる棒状の部材等であってもよい。また、液抽出部8は、蓋本体部7の貫通穴に挿通されている。
【0051】
さらに、液抽出部8は、抽出軸線L4方向に沿った抽出本体部80と、該抽出本体部80の先端に設けられ、抽出軸線L4に対して傾斜した抽出傾斜軸線L5に沿う抽出先端部81と、を備える。また、液抽出部8は、液抽出部8の抽出操作をするための抽出操作部82を備える。本実施形態では、抽出操作部82は、抽出部8の位置決めと、液の抽出(吸引)を操作する。
【0052】
口部5から挿入された液抽出部8の先端(本実施形態では、抽出先端部81)は、底壁部3の底深部32に当接又は近接可能である。本実施形態では、第二テーパ部322に当接又は近接可能である。具体的に、液抽出部8の先端(本実施形態では、抽出先端部81)は、収納時(
図2参照)に底壁部3の上面から1mm~3mm程度上方に位置するため、底壁部3に当たって液抽出部8の先端(本実施形態では、抽出先端部81)が傷つくことを防ぐことができる、また、液抽出部8の先端(本実施形態では、抽出先端部81)は、抽出時(
図6参照)に第二テーパ部322に当接又は近接する。この状態において、液抽出部8の先端である抽出先端部81に設けられた液抽出用の穴は、深部22側、具体的には、第一テーパ部321の方を向いている。
【0053】
また、液抽出部8の先端(本実施形態では、抽出先端部81)は、例えば、丸まった形状を有するため、底深部32に当接した際に、液抽出部8の先端(本実施形態では、抽出先端部81)を傷つけにくい。さらに、この丸まった形状により、液抽出部8が液を抽出してから滴下するまでの間に、液だれが生じにくい。なお、液抽出部8の先端(本実施形態では、抽出先端部81)は、丸まっていない形状であってもよい。
【0054】
本実施形態では、抽出本体部80及び抽出先端部81は、一体であり、ガラスにより形成されている。なお、抽出本体部80及び抽出先端部81は、別体で構成された部材を組み合わせたものであってもよく、樹脂等のガラス以外の材料で形成されてもよい。
【0055】
抽出先端部81は、抽出時において、第二テーパ部322に対して抽出本体部80より第一テーパ部321の方へ傾斜した状態で当接又は近接可能である(
図6参照)。抽出傾斜軸線L5は、抽出軸線L4に対して上下方向軸線L1側に傾斜している。なお、抽出時以外のときには、抽出先端部81は、どのような姿勢であってもよい。例えば、抽出先端部81は、抽出本体部80より水平方向側へ傾斜していてもよい。
【0056】
本実施形態では、抽出操作部82と、抽出本体部80や抽出先端部81とは、別体で構成された部材を組み合わせたものである。また、抽出操作部82は、例えばゴム製である。
【0057】
以上の抽出部付容器1によれば、例えば、液の残りが多い状態では、浅部23が深部22よりも下になるように容器本体2を傾けて、液を抽出する。また、環状凹部20が深部22と浅部23とを備え、口部5が深部22の方に傾斜して突設されているので、液の残りが少なくなった場合に、深部22が浅部23よりも下になるように容器本体2を傾けると、液が浅部23の方から深部22の方へ流れ、深部22に集中的に溜まる。よって、液抽出部8を口部5から深部22の方へ挿入することで、液を十分に抽出することができる。そのため仮に製造誤差により、液抽出部8の寸法が設計値よりも短かったとしても、容器本体2内から液を十分に抽出することができる。
【0058】
本実施形態では、環状凹部20の深部22における底壁部3と側壁部4との境界が、曲面であるため、平坦な面を組み合わせたV字状である構成と比べて、深部22に溜まった液を抽出しやすい。また、環状凹部20の浅部23における底壁部3と側壁部4との境界が、曲面であるため、平坦な面を組み合わせたV字状である構成と比べて、深部22が下になるように容器本体2を傾けて、液が浅部23の方から深部22の方へ流れる際に、浅部23に液が残りにくい。
【0059】
さらに、本実施形態の抽出部付容器1では、第二テーパ部322によって深部22の径内部分に浅場を形成することができ、該浅場に液抽出部8の先端(本実施形態では、抽出先端部81)を位置させて液を抽出することができる。そのため、液の抽出時に、液抽出部8の先端(本実施形態では、抽出先端部81)への液の付着を抑えつつ、確実に液を抽出できる。
【0060】
本実施形態の抽出部付容器1では、抽出先端部81を浅場に位置させつつ、容器本体2を深い方(深部22の方)へ向けて傾斜させて液を抽出できるので、確実に液を抽出できる。
【0061】
また、本実施形態の抽出部付容器1では、台座部50における深部22と対応した位置に高台部52を設けることにより、高台部52の径内側に、突設方向において広い空間が確保されているため、液抽出部8を口部5から挿入するときに、液抽出部8が台座部50の内部に干渉しにくくなり、液抽出部8を底まで挿入できる。
【0062】
本実施形態の抽出部付容器1では、台座部50における浅部23と対応した位置(高台部に対して径方向で対向する位置)に低台部53を設けることにより、低台部53の径外側には、突設方向における外側において広い空間が確保されているため、液抽出部8を挿入するときに、蓋本体部7の台座部50への干渉を抑制できる。
【0063】
また、本実施形態の抽出部付容器1では、環状凹部20で連結部24の径方向の凹幅が狭い中継部241によって、中継部241において液の流れを速くすることができるから、浅部23から深部22へスムースに溶液を移動させることができる。
【0064】
なお、本発明の抽出部付容器は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。
【0065】
例えば、抽出先端部81は、抽出軸線L4に対して傾斜した抽出傾斜軸線L5に沿っていたが、抽出軸線L4に沿った構成であってもよい。
【0066】
上記実施形態では、抽出先端部81は、抽出時に、第二テーパ部322に対して抽出本体部80より第一テーパ部321の方へ傾斜した状態で当接又は近接可能であったが、別の姿勢(例えば、傾斜軸線L2に沿った状態で)第二テーパ部322に対して当接又は近接してもよい。なお、抽出先端部81は、抽出時に、第二テーパ部322に当接可能であったが、第二テーパ部322に当接又は近接しなくてもよく、容器本体2に収容された液の少なくとも上面に当接すればよい。この場合であっても、液抽出部8が液を抽出することができる。
【0067】
また、環状凹部20を構成する底外周部30の径方向における幅(環状凹部20の径方向における凹幅)は、上記以外の寸法であってもよく、底深部32、底連部34、及び、底浅部33において略同じ幅であってもよい。
【符号の説明】
【0068】
1…抽出部付容器、2…容器本体、3…底壁部、4…側壁部、5…口部、6…蓋部、7…蓋本体部、8…液抽出部、20…環状凹部、22…深部、23…浅部、24…連結部、30…底外周部、31…径方向中央部、32…底深部、33…底浅部、34…底連部、40…下端部、42…側深部、43…側浅部、44…底連部、45…下側部、46…上側部、50…台座部、51…口本体部、52…高台部、53…低台部、70…貫通穴、71…天板、72…円筒部、80…抽出本体部、81…抽出先端部、82…抽出操作部、101…容器本体、102…底、103…口部、104…液溜部、106…蓋体、109…スポイト、241…中継部、242…深連部、243…浅連部、321…第一テーパ部、322…第二テーパ部、323…中央連結部、341…底中部、342…底深連部、343…底浅連部、460…口設置開口部、461…延設部、462…内フランジ部、520、530…上面、C3…径方向中央、L1…上下方向軸線、L2…傾斜軸線、L3…口部軸線、L4…抽出軸線、L5…抽出傾斜軸線