(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022822
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】車両用バンパフェイス取付構造
(51)【国際特許分類】
B60R 19/24 20060101AFI20240214BHJP
B60Q 1/04 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
B60R19/24 D
B60Q1/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022126183
(22)【出願日】2022-08-08
(71)【出願人】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124110
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 大介
(74)【代理人】
【識別番号】100120400
【弁理士】
【氏名又は名称】飛田 高介
(72)【発明者】
【氏名】堀田 新太郎
【テーマコード(参考)】
3K339
【Fターム(参考)】
3K339AA02
3K339BA14
3K339BA18
3K339BA25
3K339CA01
3K339GA02
3K339GA06
3K339GA08
3K339GB03
3K339GC01
3K339GC02
3K339GC04
3K339GC09
(57)【要約】
【課題】ライトの下端が欠損するようにライトを小さくした場合であっても、バンパフェイスとフェンダパネルの境界およびその周辺が撓みにくくなり、この境界を所望の精度に保つことができる車両用バンパフェイス取付構造を提供する。
【解決手段】車両用バンパフェイス取付構造100は、ライト102と、ライトに隣接して配置されたフェンダパネル104と、ライトの下方でフェンダパネルに隣接するバンパフェイス106と、バンパフェイスのフェンダパネルに対する境界を保つスペーサ126とを備え、バンパフェイスは、ライトとフェンダパネルとの境界118に沿う第1方向Aと交差する方向Bに延びる第1境界122を形成し、バンパフェイスの車幅方向の端部に位置する端部領域112と、第1方向に延びる第2境界116を形成し、第1境界側からライトに向かって延長された延長領域114とを有し、スペーサの少なくとも一部は、延長領域に配置されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ライトと、該ライトに隣接して配置され車両の車輪の上側を囲うフェンダパネルと、前記ライトの下方で前記フェンダパネルに隣接するバンパフェイスとを備える車両用バンパフェイス取付構造において、当該車両用バンパフェイス取付構造はさらに、
前記バンパフェイスの前記フェンダパネルに対する境界を保つスペーサを備え、
前記バンパフェイスは、
前記ライトと前記フェンダパネルとの境界に沿う第1方向と交差する方向に延びる第1境界を形成し、前記バンパフェイスの車幅方向の端部に位置する端部領域と、
前記第1方向に延びる第2境界を形成し、前記第1境界側から前記ライトに向かって延長された延長領域とを有し、
前記スペーサの少なくとも一部は、前記延長領域に配置されていることを特徴とする車両用バンパフェイス取付構造。
【請求項2】
前記スペーサは、
前記バンパフェイスの前記延長領域に配置され該延長領域を支持する第1スペーサと、
前記バンパフェイスの前記端部領域の第1境界に沿って配置され該端部領域を支持する第2スペーサとを有することを特徴とする請求項1に記載の車両用バンパフェイス取付構造。
【請求項3】
前記第1スペーサと前記第2スペーサは、それぞれ別体の部品であることを特徴とする請求項2に記載の車両用バンパフェイス取付構造。
【請求項4】
前記第1スペーサは、
車体に固定される少なくとも2つの固定部と、
前記固定部の間に配置され前記フェンダパネルを位置決めするフェンダ位置決め部とを有することを特徴とする請求項2または3に記載の車両用バンパフェイス取付構造。
【請求項5】
前記固定部の少なくとも一方は、前記ライトに固定されるライト固定部であり、
前記第1スペーサはさらに、前記ライト固定部に隣接して配置され前記ライトに位置決めされるライト位置決め部を有し、
前記フェンダ位置決め部は、前記ライト固定部と前記ライト位置決め部とが並ぶ方向に突出していることを特徴とする請求項4に記載の車両用バンパフェイス取付構造。
【請求項6】
前記固定部は、前記ライトに固定される2つのライト固定部を有し、
前記第1スペーサはさらに、前記2つのライト固定部に隣接して配置され前記ライトに位置決めされる2つのライト位置決め部を有し、
前記2つのライト固定部の一方および前記2つのライト位置決め部の一方は、車両前後方向に並んでいて、
前記2つのライト固定部の他方および前記2つのライト位置決め部の他方は、車両上下方向に並んでいることを特徴とする請求項4に記載の車両用バンパフェイス取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用バンパフェイス取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車などの車両の前部には、ライトとバンパフェイスとが設置されている。バンパフェイスは、ライトの下方でフェンダパネルに隣接している。フェンダパネルは、ライトに隣接して配置され車両の車輪の上側を囲っている。
【0003】
バンパフェイスの外周部には、バンパフェイスを車体側に固定する複数の固定部が設けられている。複数の固定部は、被係合部やスペーサ用被係合部を含む。被係合部は、ランプハウジングに設けられた係合部に係合する。スペーサ用被係合部は、バンパスペーサに設けられた係合部に係合する。
【0004】
バンパスペーサは、主にバンパフェイスとその周囲に配置される外装部品との境界(見切り)を一定に保つために設けられ、例えばランプハウジングや車体側に固定される。なお外装部品としては、フェンダパネルやメタリック調の加飾部品などがある。例えば特許文献1には、バンパスペーサを用いてバンパフェイスとフロントフェンダとの境界を一定に保つバンパ構造が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで特許文献1のバンパ構造において、設計上またはデザイン上の理由により、フェンダパネルとバンパフェイスとの固定位置は変更せず、ヘッドランプ(ライト)の位置や外形寸法が変わるなどして、ヘッドランプのバンパフェイスに対する隣接面が上方に移動した場合、例えばヘッドランプの下端が欠損するようにライトを小さくした場合を想定する。このような場合、バンパフェイスの形状は上記隣接面に隣接するように拡張されることになる。
【0007】
しかし特許文献1のバンパ構造では、バンパフェイスを拡張すると、フェンダパネルとバンパフェイスとの固定位置を規定するバンパスペーサと、ヘッドランプの下端とバンパフェイスとの境界とが離間することになる。このため、バンパフェイスが外力を受けたときに、上記境界およびその周辺が撓みやすくなったり、この境界を所望の精度に保ち見切りを一定に保ったりすることが困難になってしまう。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑み、ライトの下端が欠損するようにライトを小さくした場合であっても、バンパフェイスとフェンダパネルの境界およびその周辺が撓みにくくなり、この境界を所望の精度に保つことができる車両用バンパフェイス取付構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の代表的な構成は、ライトと、ライトに隣接して配置され車両の車輪の上側を囲うフェンダパネルと、ライトの下方でフェンダパネルに隣接するバンパフェイスとを備える車両用バンパフェイス取付構造において、車両用バンパフェイス取付構造はさらに、バンパフェイスのフェンダパネルに対する境界を保つスペーサを備え、バンパフェイスは、ライトとフェンダパネルとの境界に沿う第1方向と交差する方向に延びる第1境界を形成し、バンパフェイスの車幅方向の端部に位置する端部領域と、第1方向に延びる第2境界を形成し、第1境界側からライトに向かって延長された延長領域とを有し、スペーサの少なくとも一部は、延長領域に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ライトの下端が欠損するようにライトを小さくした場合であっても、バンパフェイスとフェンダパネルの境界およびその周辺が撓みにくくなり、この境界を所望の精度に保つことができる車両用バンパフェイス取付構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施例に係る車両用バンパフェイス取付構造を示す図である。
【
図2】
図1(b)の車両用バンパフェイス取付構造の一部を省略して示す図である。
【
図3】
図1の車両用バンパフェイス取付構造の要部を示す図である。
【
図4】
図3の第1スペーサおよび第2スペーサを示す図である。
【
図5】
図1(a)のバンパフェイスの裏面を示す図である。
【
図6】
図5のバンパフェイスに第1スペーサおよび第2スペーサを取り付けた状態を示す図である。
【
図7】
図6の車両用バンパフェイス取付構造を他の方向から見た状態を示す図である。
【
図8】
図1(a)の車両用バンパフェイス取付構造の裏面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施形態の代表的な構成は、ライトと、ライトに隣接して配置され車両の車輪の上側を囲うフェンダパネルと、ライトの下方でフェンダパネルに隣接するバンパフェイスとを備える車両用バンパフェイス取付構造において、車両用バンパフェイス取付構造はさらに、バンパフェイスのフェンダパネルに対する境界を保つスペーサを備え、バンパフェイスは、ライトとフェンダパネルとの境界に沿う第1方向と交差する方向に延びる第1境界を形成し、バンパフェイスの車幅方向の端部に位置する端部領域と、第1方向に延びる第2境界を形成し、第1境界側からライトに向かって延長された延長領域とを有し、スペーサの少なくとも一部は、延長領域に配置されていることを特徴とする。
【0013】
上記構成では、スペーサは、バンパフェイスのフェンダパネルに対する境界を保ちつつ、その少なくとも一部が、ライトの下方に位置するバンパフェイスの延長領域に配置されている。また延長領域は、本願では、下端が欠損するようにライトを小さくした結果、もともとライトがあった領域にまでバンパフェイスが上方に延長してきた部位、という想定をしている。このため上記構成によれば、バンパフェイスの延長領域がスペーサによってフェンダパネルと連結されるので、延長領域およびその周辺が外力を受けても撓み(ベカツキ)にくくなり、さらに、延長領域とフェンダパネルの境界を所望の精度に保ちやすくなる。
【0014】
上記のスペーサは、バンパフェイスの延長領域に配置され延長領域を支持する第1スペーサと、バンパフェイスの端部領域の第1境界に沿って配置され端部領域を支持する第2スペーサとを有するとよい。
【0015】
これにより、バンパフェイスの第2境界に沿う延長領域とフェンダパネルとの境界が第1スペーサによって所望の精度に保たれやすくなる。さらに、バンパフェイスの第1境界に沿う端部領域とフェンダパネルとの境界が第2スペーサによって所望の精度に保たれやすくなる。
【0016】
上記の第1スペーサと第2スペーサは、それぞれ別体の部品であるとよい。これにより、第1スペーサと第2スペーサとを、個別に車体側に固定したり位置合わせしたりすることができる。したがって、バンパフェイスの第2境界に沿う延長領域とフェンダパネルとの境界、および、バンパフェイスの第1境界に沿う端部領域とフェンダパネルとの境界について所望の精度を容易に保つことができる。
【0017】
上記の第1スペーサは、車体に固定される少なくとも2つの固定部と、固定部の間に配置されフェンダパネルを位置決めするフェンダ位置決め部とを有するとよい。
【0018】
このように、第1スペーサのフェンダ位置決め部を、車体に固定される少なくとも2つの固定部の間に配置したので、フェンダ位置決め部の周辺が変形や振動などして位置ずれが生じることを抑制することができる。このため、フェンダパネルの位置決め精度を高めることができる。
【0019】
上記の固定部の少なくとも一方は、ライトに固定されるライト固定部であり、第1スペーサはさらに、ライト固定部に隣接して配置されライトに位置決めされるライト位置決め部を有し、フェンダ位置決め部は、ライト固定部とライト位置決め部とが並ぶ方向に突出しているとよい。
【0020】
これにより、フェンダ位置決め部に伝達される荷重や振動は、ライト固定部およびライト位置決め部を介してライト側すなわち車体に固定される車体側で受け止められる。このため、フェンダ位置決め部の周辺の位置ずれや変形を抑制することができる。
【0021】
上記の固定部は、ライトに固定される2つのライト固定部を有し、第1スペーサはさらに、2つのライト固定部に隣接して配置されライトに位置決めされる2つのライト位置決め部を有し、2つのライト固定部の一方および2つのライト位置決め部の一方は、車両前後方向に並んでいて、2つのライト固定部の他方および2つのライト位置決め部の他方は、車両上下方向に並んでいるとよい。
【0022】
これにより、車両前後方向に並んだ一方のライト固定部およびライト位置決め部によって、第1スペーサの車両上下方向の移動を規制し、車両上下方向に並んだ他方のライト固定部およびライト位置決め部によって、第1スペーサの車両前後方向の移動を規制することができる。このため、第1スペーサを車両前後および車両上下方向に位置決めして固定することができ、第1スペーサの位置決め精度を高めることができる。したがって、バンパフェイスの位置決め精度を高めて、バンパフェイスのフェンダパネルに対する境界を所望の精度に維持することができる。
【実施例0023】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施例について詳細に説明する。かかる実施例に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0024】
図1は、本発明の実施例に係る車両用バンパフェイス取付構造(以下、取付構造100)を示す図である。
図1(a)は、取付構造100を斜め前方から見た状態を示す図である。
図1(b)は、
図1(a)の要部を拡大して示す図である。以下各図において、車両前後方向をそれぞれ矢印Front、Back、車幅方向の左右をそれぞれ矢印Left、Right、車両上下方向をそれぞれ矢印Up、Downで例示する。なお以下の説明では、
図1の車両左側の取付構造100を例示するが、車両右側に本実施例を適用してもよい。
【0025】
取付構造100は、
図1(a)に示すようにライト102と、フェンダパネル104と、バンパフェイス106とを備える。フェンダパネル104は、ライト102に隣接して配置され、車両の不図示の車輪の上側を囲う。バンパフェイス106は、ライト102の下方でフェンダパネル104に隣接している。またライト102の下端108とフェンダパネル106の間には、装飾部品110が配置されている。
【0026】
ここで本実施例において、ライト102は、設計上またはデザイン上の観点から通常のライトに比べて、その下端が欠損するように小さくした形状を有するものであって、ライト102の下端108が通常のライトの下端に比べて上方に位置している。
【0027】
そこで本実施例では、バンパフェイス106は、
図1(b)に示す端部領域112に加え、延長領域114を有している。端部領域112は、第1境界122を形成し、バンパフェイス106の車幅方向の端部に位置する領域である。第1境界122は、ライト102とフェンダパネル104との境界118に沿う第1方向Aと交差する第2方向Bに延びている。また、端部領域112の第1境界122は、フェンダパネル104の第1縁124に対面していて、端部領域112のフェンダパネル104に対する境界となっている。
【0028】
延長領域114は、第1方向Aに延びる第2境界116を形成し、第1境界122側からライト102に向かって延長された領域である。より具体的には、延長領域114は、端部領域112からライト102の下端108に向かって上方に延長された領域である。また、延長領域114の第2境界116は、フェンダパネル104の第2縁120に対面していて、延長領域114のフェンダパネル104に対する境界となっている。
【0029】
図2は、
図1(b)の取付構造100の一部を省略して示す図である。
図2(a)は、
図1(b)の取付構造100からバンパフェイス106および装飾部品110を省略した図である。
図2(b)は、
図1(b)の取付構造100からフェンダパネル104を省略した図である。
【0030】
取付構造100はさらに、
図2(a)に示すスペーサ126を備える。スペーサ126は、別体の部品である第1スペーサ128と第2スペーサ130を有する。第1スペーサ128は、少なくとも一部が延長領域114(
図2(b)参照)の裏面に配置され、延長領域114を支持している。また第1スペーサ128は、延長領域114の第2境界116およびフェンダパネル104の第2縁120(
図2(a)参照)に沿って延びていて、
図2(a)および
図2(b)に示すようにバンパフェイス106の延長領域114とフェンダパネル104の第2縁120を跨ぐように配置されている。
【0031】
第2スペーサ130は、バンパフェイス106の端部領域112の裏面に配置され、端部領域112の第1境界122およびフェンダパネル104の第1縁124に沿って延び、端部領域112を支持している。このようにスペーサ126は、その少なくとも一部である第1スペーサ128が延長領域114に配置されている。
【0032】
図3は、
図1の取付構造100の要部を示す図である。
図3(a)は、
図1(a)の取付構造100からフェンダパネル104、バンパフェイス106および装飾部品110を省略した図である。
図3(b)は、
図3(a)の要部を拡大して示す図である。
図4は、
図3の第1スペーサ128および第2スペーサ130を示す図である。
図4(a)、
図4(b)はそれぞれ、
図3(b)の第1スペーサ128、第2スペーサ130を別の方向から見た状態を示す図である。
【0033】
ライト102は、
図3(a)に示すライトカバー132と、バンパ支持部134が設けられた基部136とを有する。ライト102は、
図1(a)に示すようにバンパフェイス106および装飾部品110で基部136が覆われて、ライトカバー132が露出した状態となる。またライトカバー132と基部136の外周の一部には、ライト取付ブラケット138が取り付けられている。ライト取付ブラケット138は、車体への固定部140、142と、下方に延びる脚部144とを有する。
【0034】
ライト取付ブラケット138の脚部144には、
図3(b)に示すようにライト102を位置決めする突起146、148、150が設けられている。突起146、148は、
図4(a)に示す第1スペーサ128のライト位置決め部である孔部152、154に挿入され、これによりライト102が位置決めされる。また突起150は、
図2(a)に示すフェンダパネル104の第1縁124から下方に張り出したフェンダフランジ156に設けられた孔部158に挿入され、これによりライト102が位置決めされる。
【0035】
第1スペーサ128はさらに、
図4(a)に示すようにライト固定部である締結孔160、162と、フェンダ位置決め部である位置決め突起164とを有する。締結孔160、162には、ボルト166、168(
図3(b)参照)が挿入されて締結され、これによりライト102が固定される。
【0036】
位置決め突起164は、締結孔160、162の間に配置され、孔部152と締結孔160が並ぶ方向である車両前後方向に沿って車両後側に突出している。このため、位置決め突起164に伝達される荷重や振動は、締結孔160、162および孔部152、154を介してライト102側すなわち車体に固定される車体側で受け止められる。したがって取付構造100では、位置決め突起164の周辺の位置ずれや変形を抑制することができる。
【0037】
また位置決め突起164は、フェンダパネル104のフランジ170(
図8(b)参照)に設けられた位置決め孔172に挿入され、これによりフェンダパネル104が位置決めされる。
【0038】
第1スペーサ128では、車両前後方向に並んだ孔部152と締結孔160によって、第1スペーサ128の車両上下方向の移動を規制することができる。また第1スペーサ128では、
図4(a)に示すように孔部154と締結孔162が車両上下方向に並んでいるため、車両上下方向に並んだ孔部154と締結孔162によって、第1スペーサ128の車両前後方向の移動を規制することができる。
【0039】
これにより、第1スペーサ128を車両前後および車両上下方向に位置決めして固定することができ、第1スペーサ128の位置決め精度を高めることができる。そして、第1スペーサは、バンパフェイス106の延長領域114を支持している。したがって取付構造100では、バンパフェイス106の位置決め精度を高めて、バンパフェイス106のフェンダパネル104に対する境界を所望の精度に維持することができる。
【0040】
第1スペーサ128はさらに、位置決めリブ174a、174b、174c、174dと、バンパ係合部176a、176bと、バンパ規制部178a、178bとを有する。
【0041】
第2スペーサ130は、位置決めリブ180a、180b、180c、180dと、バンパ係合部182a、182bと、バンパ規制部184a、184bと、フェンダ連結部186a、186bとを有する。フェンダ連結部186a、186bは、連結部材挿入孔188a、188bと連結部材係合部190a、190bとを有する。なお、連結部材挿入孔188a、188bと連結部材係合部190a、190bにおける連結部材とは、スクリュー(ネジ)やクリップ、ボルトなどを含む。
【0042】
また第2スペーサ130は、バンパ・フェンダ連結部192を有する。バンパ・フェンダ連結部192は、第1連結孔194a、第1規制部194b、第2規制部194cおよび不図示の第2連結孔194dを有する。第2スペーサ130はさらに、ライト締結孔196を有する。なお第1スペーサ128および第2スペーサ130の上記各部位については後述する。
【0043】
図5は、
図1(a)のバンパフェイス106の裏面を示す図である。
図5(a)は、バンパフェイス106の車両左側を示している。
図5(b)は、
図5(a)の要部を拡大して示す図である。
【0044】
バンパフェイス106の裏面には、溝198とバンパフランジ200とが設けられている。溝198は、
図3(a)に示すライト102の基部136に設けられたバンパ支持部134が挿入され、バンパ支持部134が取り付けられる。バンパフランジ200は、
図5(b)に示すように第1フランジ202と、第2フランジ204とを有する。
【0045】
第1フランジ202は、延長領域114の第2境界116に沿って延びて車幅方向内側に張り出していて、窪み部206a、206bと開口208a、208bとを有する。
【0046】
第2フランジ204は、端部領域112の第1境界122に沿って第1フランジ202に連続して延び車幅方向内側に張り出していて、窪み部206c、206dと、開口208c、208dと、バンパ・フェンダ連結孔210とを有する。
【0047】
図6は、
図5のバンパフェイス106に第1スペーサ128および第2スペーサ130を取り付けた状態を示す図である。なお
図6では第1スペーサ128にハッチングを付して他の部材との境を明確化している。
図7は、
図6の取付構造100を他の方向から見た状態を示す図である。また図中ではライト取付ブラケット138も示している。
【0048】
図6に示すようにバンパフェイス106は、バンパフランジ200の第1フランジ202の開口208a、208bに、第1スペーサ128のバンパ係合部176a、176bが挿入され、車幅方向の位置が規制されている。またバンパフェイス106は、第1フランジ202の窪み部206a、206b(
図5(b)参照)に、第1スペーサ128のバンパ規制部178a、178bが後方から配置され、車両前後方向の位置が規制されている。
【0049】
また第1スペーサ128の孔部152(
図4(a)参照)には、ライト取付ブラケット138の脚部144の突起146が挿入されている。
【0050】
バンパフェイス106は、第1スペーサ128のバンパ係合部176a、176bの両側に配置された位置決めリブ174a、174b、174c、174dが第1フランジ202に接することで位置がより安定する。
【0051】
図6および
図7に示すようにバンパフェイス106は、バンパフランジ200の第2フランジ204の開口208c、208dに、第2スペーサ130のバンパ係合部182a、182bが挿入され、車幅方向の位置が規制されている。またバンパフェイス106は、第2フランジ204の窪み部206c、206dに、第2スペーサ130のバンパ規制部184a、184bが上方から配置され、車両上下方向の位置が規制されている。なおバンパフェイス106は、第2スペーサ130のバンパ係合部182a、182bの両側に配置された位置決めリブ180a、180b、180c、180dが第2フランジ204に接することで位置がより安定する。
【0052】
また第2スペーサ130のフェンダ連結部186a、186bには、例えばクリップ212、214が挿入されている。ただしクリップ212、214に代えて、スクリュー(ネジ)やボルトなどを挿入してもよい。また第2スペーサ130のライト締結孔196(
図4(b)参照)は、ライト取付ブラケット138の脚部144に取り付けられた固定部216に重ねられている。固定部216は、不図示のブラケットなどを介して車体側に固定される。
【0053】
図8は、
図1(a)の取付構造100の裏面を示す図である。なお図中ではライト102およびライト取付ブラケット138を省略している。
図8(a)は、
図1(a)の取付構造100を斜め後方から見た状態を示す図である。
図8(b)は、
図8(a)の要部を拡大して示す図である。
【0054】
第2スペーサ130のフェンダ連結部186aは、
図8(b)に示すように、フェンダパネル104のフェンダフランジ156の壁部218の開口220に上方から重ねられ、壁部218の開口220を貫通する。そしてフェンダ連結部186aには、クリップ212が下方から連結部材挿入孔188a(
図4(b)参照)に挿入されることで、連結部材係合部190aがフェンダフランジ156の壁部218に係合する。
【0055】
第2スペーサ130のフェンダ連結部186bは、フェンダパネル104のフェンダフランジ156の開口222に車幅方向内側から重ねられ、フェンダフランジ156の開口222を貫通する。そしてフェンダ連結部186bには、クリップ214が車幅方向外側から連結部材挿入孔188b(
図4(b)参照)に挿入されることで、連結部材係合部190bがフェンダフランジ156に係合する。このようにして第2スペーサ130は、フェンダ連結部186a、186bによりフェンダフランジ156に固定される。
【0056】
また第2スペーサ130のライト締結孔196は、フェンダフランジ156の開口224に車幅方向内側から重ねられている。さらにライト締結孔196には、
図6および
図7に示すようにライト取付ブラケット138の脚部144の固定部216に重ねられていて、不図示のボルトが挿入され締結される。このようにして第2スペーサ130は、ライト取付ブラケット138および車体側に固定される。
【0057】
また第2スペーサ130のバンパ・フェンダ連結部192は、
図4(b)に示す第1規制部194bと第2規制部194cの間に、フェンダフランジ156の壁部218とバンパフランジ200の第2フランジ204を挟み込んだ状態で、第1連結孔194aおよび第2連結孔194dに不図示のボルトが挿入され締結される。このようにして第2スペーサ130は、バンパ・フェンダ連結部192によってフェンダパネル104およびバンパフェイス106に固定される。
【0058】
このように取付構造100では、スペーサ126がバンパフェイス106のフェンダパネル104に対する境界を保ちつつ、その少なくとも一部である第1スペーサ128が、ライト102の下方に位置するバンパフェイス106の延長領域114に配置されている。したがって、バンパフェイス106の延長領域114がスペーサ126によってフェンダパネル104と連結されるので、延長領域114およびその周辺が外力を受けても撓み(ベカツキ)にくくなり、さらに、延長領域114とフェンダパネル104の境界を所望の精度に保ちやすくなる。
【0059】
また取付構造100では、第1スペーサ128がバンパフェイス106の延長領域114を支持するため、バンパフェイス106の第2境界116に沿う延長領域114とフェンダパネル104との境界が第1スペーサ128によって所望の精度に保たれやすくなる。さらに取付構造100では、第2スペーサ130がバンパフェイス106の端部領域112を支持するため、バンパフェイス106の第1境界122に沿う端部領域112とフェンダパネル104との境界が第2スペーサ130によって所望の精度に保たれやすくなる。
【0060】
また取付構造100では、第1スペーサ128のフェンダ位置決め部である位置決め突起164を、ライト固定部である締結孔160、162の間に配置したので、位置決め突起164の周辺が変形や振動などして位置ずれが生じることを抑制することができる。このため、フェンダパネル104の位置決め精度を高めることができる。
【0061】
また取付構造100では、第1スペーサ128と第2スペーサ130が別体の部品であるため、第1スペーサ128と第2スペーサ130を、個別に車体側に固定したり位置合わせしたりすることができる。これにより、バンパフェイス106の第2境界116に沿う延長領域114とフェンダパネル104との境界、および、バンパフェイス106の第1境界122に沿う端部領域112とフェンダパネル104との境界について所望の精度を容易に保つことができる。
【0062】
上記取付構造100では、スペーサ126が別体の部品である第1スペーサ128と第2スペーサ130を有するようにしたが、これに限られず、第1スペーサ128と第2スペーサ130を一体の部品としてもよい。このような場合であっても、バンパフェイス106の延長領域114が一体の部品であるスペーサによってフェンダパネル104と連結されるので、延長領域114およびその周辺が外力を受けても撓みにくくなり、さらに、延長領域114とフェンダパネル104の境界を所望の精度に保ちやすくなる。
【0063】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施例について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
100…車両用バンパフェイス取付構造、102…ライト、104…フェンダパネル、106…バンパフェイス、108…ライトの下端、110…装飾部品、112…バンパフェイスの端部領域、114…バンパフェイスの延長領域、116…延長領域の第2境界、118…ライトとフェンダパネルの境界、120…フェンダパネルの第2縁、122…端部領域の第1境界、124…フェンダパネルの第1縁、126…スペーサ、128…第1スペーサ、130…第2スペーサ、132…ライトカバー、134…バンパ支持部、136…ライトの基部、138…ライト取付ブラケット、140、142…ライト取付ブラケットの固定部、144…ライト取付ブラケットの脚部、146、148、150…脚部の突起、152、154…第1スペーサの孔部、156…フェンダフランジ、158…フェンダフランジの孔部、160、162…第1スペーサの締結孔、164…第1スペーサの突起、166、168…ボルト、170…フェンダパネルのフランジ、172…フランジの位置決め孔、174a、174b、174c、174d…第1スペーサの位置決めリブ、176a、176b…第1スペーサのバンパ係合部、178a、178b…第1スペーサのバンパ規制部、180a、180b、180c、180d…第2スペーサの位置決めリブ、182a、182b…第2スペーサのバンパ係合部、184a、184b…第2スペーサのバンパ規制部、186a、186b…第2スペーサのフェンダ連結部、188a、188b…フェンダ連結部の連結部材挿入孔、190a、190b…フェンダ連結部の連結部材係合部、192…第2スペーサのバンパ・フェンダ連結部、194a…バンパ・フェンダ連結部の第1連結孔、194b…バンパ・フェンダ連結部の第1規制部、194c…バンパ・フェンダ連結部の第2規制部、194d…バンパ・フェンダ連結部の第2連結孔、196…第2スペーサのライト締結孔、198…バンパフェイスの溝、200…バンパフランジ、202…第1フランジ、204…第2フランジ、206a、206b…第1フランジの窪み部、208a、208b…第1フランジの開口、206c、206d…第2フランジの窪み部、208c、208d…第2フランジの開口、210…第2フランジのバンパ・フェンダ連結孔、212、214…クリップ、216…固定部、218…フェンダフランジの壁部、220、222、224…フェンダフランジの開口