(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022840
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/06 20120101AFI20240214BHJP
G06Q 30/0207 20230101ALI20240214BHJP
【FI】
G06Q20/06 300
G06Q30/02 328
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022126219
(22)【出願日】2022-08-08
(71)【出願人】
【識別番号】514020389
【氏名又は名称】TIS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】染谷 真吾
(72)【発明者】
【氏名】菊地 英輔
【テーマコード(参考)】
5L049
5L055
【Fターム(参考)】
5L049BB07
5L055AA16
(57)【要約】
【課題】或るアプリケーションで利用可能なポイントを、他のアプリケーションで利用可能なポイントに、より適切に変換することを可能にする。
【解決手段】情報処理装置は、N名(N≧2)のユーザに提供されている複数のアプリケーションのうち、第1のアプリケーションにおいて利用可能な第1のポイントを第2のアプリケーションにおいて利用可能な第2のポイントに変換する指示を受け付ける受付部と、前記受付部により前記指示が受け付けられると、前記第1のアプリケーションの利用率と前記第2のアプリケーションの利用率との少なくともいずれかに基づき、前記第1のポイントから前記第2のポイントへの変換を制御する制御部と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
N名(N≧2)のユーザに提供されている複数のアプリケーションのうち、第1のアプリケーションにおいて利用可能な第1のポイントを第2のアプリケーションにおいて利用可能な第2のポイントに変換する指示を受け付ける受付部と、
前記受付部により前記指示が受け付けられると、前記第1のアプリケーションの利用率と前記第2のアプリケーションの利用率との少なくともいずれかに基づき、前記第1のポイントから前記第2のポイントへの変換を制御する制御部と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、第1の比率に応じた変換率で、前記第1のポイントを前記第2のポイントに変換するように制御し、
前記第1の比率とは、前記第1のアプリケーションの利用率、前記第2のアプリケーションの利用率、前記第2のアプリケーションの利用率に対する前記第1のアプリケーションの利用率の比率、前記第2のアプリケーションの利用率に対する基準値の比率、または、前記基準値に対する前記第1のアプリケーションの利用率の比率である、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第2のポイントの1ポイントあたりの予め定められた価値に対する前記第1のポイントの1ポイントあたりの予め定められた価値の比率である第2の比率および前記第1の比率に応じた変換率で、前記第1のポイントを前記第2のポイントに変換するように制御する、
ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1の比率が閾値以下である場合には、予め定まった特定の倍率と前記第2の比率とに応じた変換率で、前記第1のポイントを前記第2のポイントに変換するように制御する、
ことを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記基準値は、前記複数のアプリケーションの利用率の平均である、
ことを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記第1のポイントから前記第2のポイントへの変換を行う場合には、前記第1のポイントのうち前記変換に用いるポイントに相当する金銭を、特定の者に支払うように、前記第1のアプリケーションの提供者に要求する、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記第1のポイントから前記第2のポイントへの変換を行う場合であっても、前記第1のアプリケーションの利用者の健康改善の効果指標が基準よりも高い場合には、前記第1のポイントのうち前記変換に用いるポイントに相当する額を割引率に応じて減額した額の金銭を、前記特定の者に支払うように、前記第1のアプリケーションの提供者に要求し、
前記基準は、前記複数のアプリケーションそれぞれの利用者の健康改善の効果指標の平均である、
ことを特徴とする請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記N名に対するアプリケーションの特定の機能の利用者の数の比率を、前記アプリケーションの利用率として判定する、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
コンピュータが実行する情報処理方法であって、
N名(N≧2)のユーザに提供されている複数のアプリケーションのうち、第1のアプリケーションにおいて利用可能な第1のポイントを第2のアプリケーションにおいて利用可能な第2のポイントに変換する指示を受け付ける受付ステップと、
前記受付ステップにおいて前記指示が受け付けられると、前記第1のアプリケーションの利用率と前記第2のアプリケーションの利用率との少なくともいずれかに基づき、前記第1のポイントから前記第2のポイントへの変換を制御する制御ステップと、
を有することを特徴とする情報処理方法。
【請求項10】
請求項9に記載の情報処理方法の各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、プログラムに関する
【背景技術】
【0002】
企業では、従業員の健康を促進するために、健康に関するアプリケーション(以下、「ヘルスケアアプリ」と呼ぶ)を含む複数のアプリケーションの中から従業員が任意に選択したものを利用可能にするサービスが提供されることがある。そして、複数のアプリケーションそれぞれにおいて独自のポイントを従業員に付与して、従業員のアプリケーションの利用を促進することなどが行われている。
【0003】
特許文献1では、発行されているポイントを他のポイントに変換する際の変換率を、各ポイントに対する顧客の需要と供給のバランスによる市場原理に基づき決定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、一般的な市場において利用可能なポイント(電子マネーのポイントや飲食店で利用可能なポイントなど)間の変換率の決定をすることを前提としている。一方で、例えば、アプリケーション内でのみで利用可能なポイントなどでは、市場における価値が把握しにくいため、各ポイントの価値を予めアプリケーションの提供者が任意に設定している場合がある。このため、特許文献1の技術を用いても各ポイント間の変換率を適切に決定することができない。
【0006】
そこで、本発明は、或るアプリケーションで利用可能なポイントを、他のアプリケーションで利用可能なポイントに、より適切に変換することを可能にする技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1つの態様は、
N名(N≧2)のユーザに提供されている複数のアプリケーションのうち、第1のアプリケーションにおいて利用可能な第1のポイントを第2のアプリケーションにおいて利用可能な第2のポイントに変換する指示を受け付ける受付部と、
前記受付部により前記指示が受け付けられると、前記第1のアプリケーションの利用率と前記第2のアプリケーションの利用率との少なくともいずれかに基づき、前記第1のポイントから前記第2のポイントへの変換を制御する制御部と、
を有することを特徴とする情報処理装置である。
【0008】
これによれば、情報処理装置は、ポイントの変換をアプリケーションの利用率に基づき動的に制御する。このため、アプリケーションの利用率に基づき、ポイントの変換によってポイントの価値が向上したり、低下したりする。従って、例えば、第1のアプリケーションの第1のポイントから利用率の低い第2のアプリケーションの第2のポイントに変換する際に、ポイントの価値が向上するような変換が行われれば、利用率の低いアプリケーションの利用を促進するためのポイント変換が可能になる。また、例えば、第1のアプリ
ケーションの第1のポイントから利用率の低い第2のアプリケーションの第2のポイントに変換する際に、ポイントの価値が低下するような変換が行われれば、利用率の低いアプリケーションの利用を抑制するためのポイント変換が可能になる。よって、第1のアプリケーションで利用可能なポイントを、第2のアプリケーションで利用可能なポイントに、より適切に変換することを可能にする。なお、アプリケーションとは、各従業員の端末にインストールして利用されるアプリケーションであってもよいし、各従業員の端末にインストールすることなくウェブサイト上で動作するようなアプリケーション(WEBアプリケーション)であってもよい。
【0009】
上記構成において、前記制御部は、第1の比率に応じた変換率で、前記第1のポイントを前記第2のポイントに変換するように制御し、前記第1の比率とは、前記第1のアプリケーションの利用率、前記第2のアプリケーションの利用率、前記第2のアプリケーションの利用率に対する前記第1のアプリケーションの利用率の比率、前記第2のアプリケーションの利用率に対する基準値の比率、または、前記基準値に対する前記第1のアプリケーションの利用率の比率であってもよい。
【0010】
このとき、第1の比率が、前記第1のアプリケーションの利用率または前記第2のアプリケーションの利用率であれば、ポイントの変換を容易に行うことが可能になる。一方で、第1の比率が、前記第2のアプリケーションの利用率に対する前記第1のアプリケーションの利用率の比率であれば、2つのアプリケーションの相対的な利用率に応じて、適切にポイントを変換することが可能になる。つまり、2つのアプリケーションのうち利用率の高いアプリケーションの利用を促進する(または、抑制する)こと、または、2つのアプリケーションのうち利用率の低いアプリケーションの利用を促進する(または、抑制する)ことが可能になる。一方で、第1の比率が、前記第2のアプリケーションの利用率に対する基準値の比率、または、前記基準値に対する前記第1のアプリケーションの利用率の比率であれば、アプリケーションの絶対的な利用率に応じて、適切にポイントを変換することが可能になる。つまり、より利用率の高いアプリケーションの利用を促進する(または、抑制する)こと、または、より利用率の低いアプリケーションの利用を促進する(または、抑制する)ことが可能になる。
【0011】
上記構成において、前記制御部は、前記第2のポイントの1ポイントあたりの予め定められた価値に対する前記第1のポイントの1ポイントあたりの予め定められた価値の比率である第2の比率および前記第1の比率に応じた変換率で、前記第1のポイントを前記第2のポイントに変換するように制御してもよい。これによれば、第1のポイントと第2のポイントの予め定められた価値にも基づき変換が行われるため、変換によって大幅にポイントの価値が向上してしまうことや低下してしまうことを防ぐことができる。
【0012】
上記構成において、前記制御部は、前記第1の比率が閾値以下である場合には、予め定まった特定の倍率と前記第2の比率とに応じた変換率で、前記第1のポイントを前記第2のポイントに変換するように制御してもよい。
【0013】
上記構成において、前記基準値は、前記複数のアプリケーションの利用率の平均であってもよい。
【0014】
上記構成において、前記制御部は、前記第1のポイントから前記第2のポイントへの変換を行う場合には、前記第1のポイントのうち前記変換に用いるポイントに相当する金銭を、特定の者に支払うように、前記第1のアプリケーションの提供者に要求してもよい。これによれば、ポイントの変換により生じる債務の消滅を考慮して、適切にポイントの変換を制御することができる。
【0015】
上記構成において、前記制御部は、前記第1のポイントから前記第2のポイントへの変換を行う場合であっても、前記第1のアプリケーションの利用者の健康改善の効果指標が基準よりも高い場合には、前記第1のポイントのうち前記変換に用いるポイントに相当する額を割引率に応じて減額した額の金銭を、前記特定の者に支払うように、前記第1のアプリケーションの提供者に要求し、前記基準は、前記複数のアプリケーションそれぞれの利用者の健康改善の効果指標の平均であってもよい。これによれば、健康改善の効果が高い第1のアプリケーションの第1のポイントが第2のポイントに変換された場合に第1のアプリケーションの提供者が支払うべき金額が減少する。このため、各アプリケーションの提供者が当該アプリケーションの健康改善の効果を向上させることを促進することができる。
【0016】
上記構成において、前記制御部は、前記N名に対するアプリケーションの特定の機能の利用者の数の比率を、前記アプリケーションの利用率として判定してもよい。
【0017】
なお、本発明は、上述した機能および処理の少なくとも一部を含む情報処理方法(コンピュータが実行する情報処理方法)、情報処理システム、支援装置、支援方法、変換装置、変換方法、ポイント管理装置、ポイント管理方法、電子機器、電子機器の制御方法、サーバ、またはサーバの制御方法と捉えることができる。また、本発明は、情報処理装置の各部(情報処理方法の各ステップ)をコンピュータに実行させるプログラム、または、当該プログラムを非一時的に記憶した記憶媒体などとして捉えることもできる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、或るアプリケーションで利用可能なポイントを、他のアプリケーションで利用可能なポイントに、より適切に変換できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る支援システムの概要図である。
【
図2】
図2は、実施形態1に係るヘルスケアアプリの設定処理のフローチャートである。
【
図3】
図3は、実施形態1に係る連携停止の処理のフローチャートである。
【
図4】
図4は、実施形態1に係るデータ連携処理のフローチャートである。
【
図5】
図5は、実施形態1に係るデータ連携の例を説明する図である。
【
図6】
図6は、実施形態1に係る情報処理装置の内部構成図である。
【
図7】
図7は、実施形態1に係る変換制御処理のフローチャートである。
【
図8】
図8は、実施形態1に係るポイントの変換を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る実施形態を、添付の図面を参照して説明する。なお、各実施形態は矛盾の生じない限り任意に組み合わせることが可能である。
【0021】
<実施形態1>
以下では、実施形態1に係る支援システム1(情報処理システム)について説明する。支援システム1は、企業(団体;提供者)が、企業に属するN名(N≧2)の従業員(構成員;利用者)に対して健康に関するアプリケーション(以下、「ヘルスケアアプリ」と呼ぶ)を提供するサービス(以下、「カフェテリアサービス」と呼ぶ)を支援するシステムである。ヘルスケアアプリとは、例えば、健康状態などの健康に関する事項の管理(測定または記録など)をするアプリケーションである。具体的には、ヘルスケアアプリとは、従業員の食事、運動、睡眠、精神状態または体組成(体脂肪率、筋肉量、基礎代謝量、内臓脂肪レベル、推定骨量、または体水分率など)などの管理をするアプリケーションである。なお、アプリケーションとは、実施形態1では、各従業員の端末にインストールし
て利用されるアプリケーションであるとする。しかし、アプリケーションとは、各従業員の端末にインストールすることなくウェブサイト上で動作するようなアプリケーション(WEBアプリケーション)であってもよい。
【0022】
ここで、各従業員は、企業が予め登録した複数のヘルスケアアプリの中から1または複数のヘルスケアアプリを選択することによって、選択した1または複数のヘルスケアアプリの特定の機能(有料機能)を利用することが可能になる。また、企業は、予め特定のプラットフォーム上に登録されたM個(M≧2)のヘルスケアアプリのうちから、従業員が選択可能なアプリケーション(以下、「登録アプリ」と呼ぶ)として複数のヘルスケアアプリを登録しておくことができる。なお、複数のヘルスケアアプリそれぞれには、当該ヘルスケアアプリにおいてのみ利用可能なポイント(以下、「アプリポイント」と呼ぶ)が当該ヘルスケアを利用する従業員(以下「利用者」と呼ぶ)に付与される。なお、以下では、利用者とは、ヘルスケアアプリの特定の機能(有料機能)を利用する従業員(カフェテリアサービスと連携されたヘルスケアアプリを利用する従業員)のことを示すが、ヘルスケアアプリのいずれかの機能を利用する従業員であってもよい。
【0023】
実施形態1では、支援システム1は、第1のヘルスケアアプリにおいて利用可能な第1のアプリポイントから第2のヘルスケアアプリにおいて利用可能な第2のアプリポイントに変換する際のポイントの変換を制御する。具体的には、支援システム1は、第1のヘルスケアアプリの利用率と第2のヘルスケアアプリの利用率に基づき、アプリポイントの変換率を決定する。ヘルスケアアプリの利用率とは、実施形態1では、企業の全従業員の数に対するヘルスケアアプリの利用者の数の割合であるとする。なお、各アプリポイントにおいて、1ポイントあたりの価値は予め当該ヘルスケアアプリの運営会社によって設定されているものとする。例えば、第1のアプリポイントの1ポイントあたりの価値は、10円であると予め設定されている。
【0024】
例えば、利用率がX%であるヘルスケアアプリの第1のアプリポイントと、利用率がX%よりも少ないヘルスケアアプリの第2のアプリポイントとで、1ポイントあたりの価値が同価値に設定されている場合を想定する。この場合に、支援システム1は、第1のアプリポイントを第2のアプリポイントに変換する場合に、変換率を1よりも高くする。これによれば、第1のアプリポイントから第2のアプリポイントへの変換によって、アプリポイントの価値(設定上の価値)が増えるため、第2のアプリポイントが利用可能なヘルスケアアプリの利用を促進することができる。
【0025】
(支援システムの概要)
図1を参照して、支援システム1の概要を説明する。支援システム1は、情報処理装置10、企業端末20、複数の従業員端末30、複数の運営会社サーバ40を有する。これらの構成は、ネットワーク50を介して、互いに通信可能である。
【0026】
情報処理装置10は、従業員に対してカフェテリアサービスを提供する。情報処理装置10には、予めM個(M≧2)のヘルスケアアプリが登録されている。企業は、M個のヘルスケアアプリの中から任意に登録アプリを決定することができる。情報処理装置10は、例えば、サーバなどの電子機器である。
【0027】
企業端末20は、カフェテリアサービスに関する設定を企業が行うための端末である。企業端末20は、企業による指示に従って、情報処理装置10に登録されたM個のヘルスケアアプリの中から、任意の数のヘルスケアアプリを登録アプリとして登録する。このため、複数の企業がカフェテリアサービスを利用する場合には、企業ごとに登録アプリが異なる。企業端末20は、PC(パーソナルコンピュータ)、スマートフォン、またはタブレット端末などの電子機器である。
【0028】
従業員端末30は、ヘルスケアアプリを各従業員が利用するために用いる端末である。各従業員は、自身が有する従業員端末30を用いて複数の登録アプリから任意の登録アプリを選択して、選択した登録アプリを自身が利用可能な状態に設定する。従業員端末30は、PC(パーソナルコンピュータ)、スマートフォン、またはタブレット端末などの電子機器である。なお、実施形態1では、登録アプリの利用とは、特段の説明がない限り、登録アプリのうちの特定の機能(有料機能;カフェテリアサービスと連携した機能)の利用であるとするが、登録アプリのうちのいずれかの機能の利用であってもよい。このため、登録アプリが利用可能な状態とは、登録アプリのうちの特定の機能が利用可能な状態のことであるとするが、登録アプリのうちのいずれかの機能が利用可能な状態であってもよい。
【0029】
運営会社サーバ40は、各ヘルスケアアプリを提供する運営会社が有するサーバである。運営会社サーバ40は、ネットワーク50を介して、対応するヘルスケアアプリのサービス(機能)を、当該ヘルスケアアプリを利用する従業員の従業員端末30に提供する。
【0030】
なお、従業員端末30におけるヘルスケアアプリに格納されたデータ(ヘルスケアアプリによって測定されたデータ)は、ネットワーク50を介して、当該ヘルスケアアプリを提供する運営会社の運営会社サーバ40および情報処理装置10に送信される。これによって、情報処理装置10は、各従業員の各ヘルスケアアプリの利用状態(利用状況)を把握することができる。
【0031】
(ヘルスケアアプリの設定処理)
図2のフローチャートを参照して、支援システム1において、或る1人の従業員(以下、「ユーザ」と呼ぶ)が1個のヘルスケアアプリを利用可能な状態に設定する処理について説明する。なお、
図2のフローチャートの開始時点において、ユーザの従業員端末30には、カフェテリアサービスを利用するためのアプリケーション(以下、「カフェテリアアプリ」と呼ぶ)が導入されている(インストールされている)ものとする。
【0032】
ステップS1001において、従業員端末30は、ユーザがカフェテリアアプリのログインを行ったか否かを判定する。カフェテリアアプリのログインが行われていないと判定された場合には、ステップS1001の処理が繰り返される。カフェテリアアプリのログインが行われていたと判定された場合には、ステップS1002において、従業員端末30は、カフェテリアアプリにおいて、ユーザが現在の健康状態において不調に感じるカテゴリ(不調カテゴリ)を選択するための選択画面を表示する。カテゴリとは、例えば、血圧、体重、体脂肪、または尿酸値などのユーザが気になる可能性のある健康に関する項目である。
【0033】
ステップS1003において、従業員端末30は、ユーザがいずれかの不調カテゴリを選択したか否かを判定する。不調カテゴリが選択されていないと判定された場合には、ステップS1003の処理が繰り返される。不調カテゴリが選択されたと判定された場合には、選択された不調カテゴリを従業員端末30が情報処理装置10に通知した後に、ステップS1004に進む。
【0034】
なお、ステップS1003において、従業員端末30は、ユーザの操作によらずに、ユーザの健康状態に基づき(例えば、AIなどを用いて)、不調カテゴリを選択してもよい。例えば、従業員端末30は、ユーザの健康診断の結果などを参照して、ユーザの測定値が他の従業員の測定値の平均値よりも一定以上劣っているカテゴリを不調カテゴリとして選択する。
【0035】
ステップS1004において、情報処理装置10は、選択された不調カテゴリに関連するヘルスケアアプリの一覧(登録アプリに含まれるヘルスケアアプリの一覧)を従業員端末30に通知する。その後、ステップS1005において、従業員端末30は、通知されたヘルスケアアプリの一覧を表示する。なお、従業員端末30は、ユーザからの操作に応じて、ヘルスケアアプリの一覧の表示を、ヘルスケアアプリ個々の詳細情報の表示に切り替えてもよい。
【0036】
ステップS1006において、従業員端末30は、ヘルスケアアプリ(ユーザが利用を希望するヘルスケアアプリ)をユーザが選択したか否かを判定する。ヘルスケアアプリが選択されていないと判定された場合には、ステップS1006の処理が繰り返される。ヘルスケアアプリが選択されたと判定された場合には、ステップS1007にて、従業員端末30は、選択されたヘルスケアアプリ(以下、「選択アプリ」と呼ぶ)をダウンロードする(インストールする)。そして、ステップS1008にて、従業員端末30は、選択アプリのアカウントを登録して、その選択アプリの運営会社サーバ40にアカウントを通知する。このとき、従業員端末30は、ユーザの操作に応じてアカウントを登録してもよいし、従業員端末30に格納されている情報に応じてアカウントを登録してもよい。なお、実施形態1では、アカウントが登録されると、ユーザは、従業員端末30を用いて、選択アプリの無料機能(無料で提供されている機能)を利用することが可能になる。
【0037】
ステップS1009において、従業員端末30は、選択アプリとカフェテリアサービス(カフェテリアアプリ)とをユーザに関して連携させるための設定を行う。例えば、従業員端末30は、選択アプリとカフェテリアサービスとを連携させることについての同意をユーザから得る。ステップS1010において、選択アプリの運営会社サーバ40は、ユーザのアカウントを認証する。ステップS1011において、運営会社サーバ40は、選択アプリとカフェテリアサービス(カフェテリアアプリ)とをユーザに関して連携させるための情報(連携情報)を情報処理装置10に提供する。ステップS1012において、情報処理装置10は、連携情報に基づき、選択アプリとカフェテリアサービスとをユーザに関して連携させる。
【0038】
ステップS1013において、従業員端末30は、選択アプリの有料機能の利用の申し込みを運営会社サーバ40(選択アプリの運営会社サーバ40)に対して行う。ステップS1014において、情報処理装置10は、カフェテリアサービスにおいて利用可能なポイント(利用ポイント)が不足しているか否かを判定する。実施形態1では、ユーザには利用ポイントが付与されており、ユーザは、その利用ポイントから選択アプリに紐づけられた(設定された)ポイントを消費することによって選択アプリの有料機能(カフェテリアサービスと連携した機能)を利用可能に設定することができる。このため、選択アプリの有料機能を利用可能に設定するための利用ポイントがユーザに残っていない場合には、情報処理装置10は、利用ポイントが不足していると判定する。利用ポイントが不足していると判定された場合には、ステップS1015に進む。利用ポイントが不足していないと判定された場合には、ステップS1017に進む。
【0039】
ステップS1015において、情報処理装置10は、選択アプリの有料機能の利用が可能でないこと(ユーザの利用ポイントが不足している)を示すメッセージ(利用超過メッセージ)を従業員端末30に送信する。ステップS1016において、従業員端末30は、利用超過メッセージをユーザに通知する。
【0040】
ステップS1017において、運営会社サーバ40は、選択アプリにおける有料機能をユーザに提供可能な状態に設定する。ステップS1017の処理が終了すると、ユーザは、選択アプリにおける有料機能および無料機能の両方を利用することが可能になる。
【0041】
なお、選択アプリとカフェテリアサービスが連携することによって、運営会社サーバ40は、どの従業員がカフェテリアサービスと連携して選択アプリの利用をしているのかを把握することができる。このため、運営会社は、カフェテリアサービスと連携して選択アプリを利用している従業員の数に応じて選択アプリの利用料を算出して、その利用料を企業に請求することができる。
【0042】
(連携停止の処理)
図3のフローチャートを参照して、選択アプリとカフェテリアサービスとのユーザに関する連携(以下、「カフェテリア連携」と呼ぶ)を停止する処理について説明する。ここで、カフェテリア連携がされたヘルスケアアプリ(以下、「連携アプリ」と呼ぶ)が取得したユーザのデータ(例えば、体重の測定値など)は、カフェテリアアプリを管理する情報処理装置10に定期的に共有されるものとする。
【0043】
ステップS2001において、従業員端末30は、カフェテリアアプリにおいて、選択アプリのアカウントを停止する操作(停止操作)をユーザから受け付けたか否かを判定する。停止操作をユーザから受け付けていないと判定された場合には、ステップS2006に進む。停止操作をユーザから受け付けたと判定された場合には、ステップS2002において、従業員端末30は、選択アプリのアカウントの停止指示(アカウント停止指示)を運営会社サーバ40に通知する。
【0044】
ステップS2003において、運営会社サーバ40は、選択アプリのユーザのアカウントを停止(削除)する。これによって、ユーザは、選択アプリにおける無料機能および有料機能の両方の機能の利用ができなくなる。ステップS2004において、情報処理装置10は、カフェテリア連携を停止する。
【0045】
ステップS2005において、従業員端末30は、ユーザが選択アプリを評価するための画面(アプリ評価画面)を表示する。ユーザは、アプリ評価画面において選択アプリの評価を入力してもよいし、入力せずにアプリ評価画面を閉じてもよい。
【0046】
ステップS2006において、従業員端末30は、選択アプリにおいて、カフェテリア連携を停止する操作(連携停止操作)をユーザから受け付けたか否かを判定する。カフェテリア連携を停止する操作を受け付けていないと判定された場合には、本フローチャートの処理が終了する。カフェテリア連携を停止する操作を受け付けたと判定された場合には、ステップS2007に進む。
【0047】
ステップS2007において、従業員端末30は、カフェテリア連携を停止する指示(連携停止指示)を情報処理装置10に通知する。ステップS2008において、情報処理装置10は、カフェテリア連携を停止する。ステップS2009において、運営会社サーバ40は、ユーザへの選択アプリの有料機能の提供を終了する設定をする。これによって、ユーザは、選択アプリのアカウントを継続して有する一方で、選択アプリの有料機能の利用ができなくなる。ステップS2010において、従業員端末30は、ユーザが選択アプリを評価するための画面(アプリ評価画面)を表示する。
【0048】
(データ連携処理)
図4のフローチャートを参照して、複数のヘルスケアアプリおよび外部サービスの間においてユーザに関するデータの連携(以下、「データ連携」と呼ぶ)を行わせる処理について説明する。外部サービスとは、情報処理装置10に登録されたヘルスケアアプリ以外のサービスであって、例えば、ヘルスケアアプリによって測定された値から健康状態を判定するサービス、またはヘルスケアアプリによって測定された値を保存するサービスなどである。なお、
図4のフローチャートにおいて、従業員端末30により行われる各処理は
、カフェテリアアプリを用いて行うことができる。
【0049】
ステップS3001において、従業員端末30は、データ連携を行う外部サービスがユーザによって選択されたか否かを判定する。外部サービスが選択されていないと判定された場合には、ステップS3009に進む。外部サービスが選択されたと判定された場合には、ステップS3002において、従業員端末30は、外部サービスを利用する申し込みを外部サーバに対して行う。ステップS3003およびステップS3004において、外部サーバおよび情報処理装置10は、ユーザによる外部サービスの利用を開始するための処理を行う。これによって、ユーザは、外部サービスを利用することが可能になる。
【0050】
ステップS3005において、従業員端末30は、外部サーバ(外部サービス)に提供するデータ(連携データ)がユーザによって選択されたか否かを判定する。ここでは、ユーザは、例えば、特定の選択アプリで測定されるデータを連携データとして選択したり、または、特定の健康状態のカテゴリ(例えば、血圧または体重など)に関するデータを連携データとして選択したりする。連携データが選択されていないと判定された場合には、ステップS3009に進む。連携データが選択された判定された場合には、ステップS3006に進む。
【0051】
ステップS3006において、従業員端末30は、選択した連携データに関するデータ連携の同意をユーザから得たか否かを判定する。データ連携の同意が得られていないと判定された場合には、ステップS3009に進む。データ連携の同意が得られたと判定された場合には、ステップS3007において情報処理装置10は、連携データを外部サーバに提供して、ステップS3008において外部サーバが連携データを受領する。これによって、外部サーバは、連携データを用いたサービス(例えば、ユーザの健康状態の分析サービス)などをユーザに提供可能になる。なお、ステップS3007およびS3008の処理は、1度行われた後においても、定期的に(例えば、1時間に1回)行われる。
【0052】
ステップS3009において、従業員端末30は、カフェテリア連携がされている(または、ユーザが有料機能を利用可能な状態にある)連携アプリの一覧を表示する指示をユーザから受け付けたか否かを判定する。連携アプリの一覧を表示する指示を受け付けていないと判定された場合には、ステップS3012に進む。連携アプリの一覧を表示する指示を受け付けたと判定された場合には、ステップS3010において情報処理装置10が連携アプリの一覧の情報を従業員端末30に送信し、ステップS3011において従業員端末30は連携アプリの一覧を表示する。
【0053】
ステップS3012において、従業員端末30は、データ連携を行う連携アプリがユーザにより選択されたか否かを判定する。連携アプリが選択されていないと判定された場合には、本フローチャートの処理が終了する。連携アプリが選択されたと判定された場合には、ステップS3013において、従業員端末30は、選択された連携アプリに提供するデータ(連携データ)がユーザによって選択されたか否かを判定する。連携データが選択されていないと判定された場合には、ステップS3012に進む。連携データが選択されたと判定された場合には、ステップS3014に進む。
【0054】
ステップS3014において、従業員端末30は、選択した連携データに関するデータ連携の同意をユーザから得たか否かを判定する。データ連携の同意が得られていないと判定された場合には、ステップS3012に進む。データ連携の同意が得られたと判定された場合には、ステップS3015において、情報処理装置10は、選択された連携アプリの運営会社サーバ40に連携データを提供する。ステップS3016において、運営会社サーバ40は、連携データを受領する。これによって、ユーザにより選択された連携アプリは、連携データを用いたサービスなどをユーザに提供可能になる。なお、ステップS3
015およびS3016の処理は、1度行われた後においても、定期的に(例えば、1時間に1回)行われる。
【0055】
図5を参照して、食事管理アプリに記録されたユーザの1日の総カロリーのデータを、歩数記録アプリに提供する例を説明する。ここで、食事管理アプリおよび歩数記録アプリはともに、連携アプリであるとする。
【0056】
まず、(1)ユーザは、従業員端末30を用いて、食事管理アプリに1日の食事を記録する。(2)すると、従業員端末30は、食事管理アプリ上でユーザの1日の総カロリーを算出する。(3)従業員端末30は、1日の総カロリーの情報を食事管理アプリから、カフェテリアアプリに提供する。
【0057】
その後、(4)ユーザは、従業員端末30を用いて、カフェテリアアプリにおいて、食事管理アプリが記録した1日の総カロリーのデータを、歩数記録アプリに提供することを同意する(ステップS3012~S3014)。(5)従業員端末30は、情報処理装置10を介して、1日の総カロリーのデータを、カフェテリアアプリから歩数記録アプリに提供する(ステップS3015)。(6)従業員端末30は、歩数記録アプリ上で、1日の総カロリーに基づき、当該カロリーを消費するために必要な歩数(必要活動量)を算出して、当該歩数を表示する。これによって、ユーザは、自身の食事の状況から、1日の運動の目安を把握することができる。
【0058】
(情報処理装置の内部構成)
図6の構成図を参照して、情報処理装置10の内部構成について説明する。情報処理装置10は、制御部101、記憶部102、利用状態取得部103、健康状態取得部104、受付部105、変換制御部106を有する。
【0059】
制御部101は、プログラムに従って、情報処理装置10の各構成を制御する。
【0060】
記憶部102は、各従業員が利用しているヘルスケアアプリが取得したデータを格納する。また、記憶部102は、各従業員の健康状態(企業が予め入力した各従業員の健康診断の結果、または健康に関するアンケートに各従業員が回答した結果など)の情報を格納していてもよい。
【0061】
利用状態取得部103は、M個のヘルスケアアプリそれぞれの各従業員の利用状態の情報を取得する。利用状態とは、利用可能な状態にされている(カフェテリア連携がされている)か否か、利用日時(ログイン日時)、利用回数(ログイン回数)、利用頻度、各機能の利用回数、または、各機能において測定値が測定された回数などの状態である。利用状態取得部103は、各従業員の利用状態の情報を、当該従業員の従業員端末30から取得してもよいし、ヘルスケアアプリを管理する運営会社サーバ40から取得してもよい。
【0062】
健康状態取得部104は、各従業員の健康状態の情報を取得する。健康状態の情報は、例えば、体重、BMI、血圧、血液(ヘモグロビン、コレステロール)、体脂肪率、および食事内容(PFCバランス、糖質摂取量、脂質摂取量)などの少なくとも1つのカテゴリの情報(指標)を含む。
【0063】
受付部105は、1個のヘルスケアアプリ(以下、「変換元アプリ」と呼ぶ)のアプリポイントを、他の1個のヘルスケアアプリ(以下、「変換先アプリ」と呼ぶ)のアプリポイントに変換する指示を、各従業員から受け付ける。また、変換元アプリのアプリポイントを「変換元アプリポイント」と呼び、変換先アプリのアプリポイントを「変換先アプリポイント」と呼ぶ。
【0064】
変換制御部106は、変換元アプリポイントから変換先アプリポイントへのポイントの変換を制御する。実施形態1では、変換制御部106は、
図8に示すように、調整倍率およびレート比に応じた変換率で、変換元アプリポイントを変換先ポイントに変換する。変換制御部106は、変換元アプリポイントの利用率と、変換先アプリの利用率とに基づき、ポイントの調整倍率を制御する。レート比とは、変換先アプリポイントの1ポイントあたりの価値に対する変換元アプリポイントの1ポイントあたりの価値の比率である。なお、M個の全てのヘルスケアアプリにおいて1ポイントあたりの価値が同一である場合や、M個のいずれかのヘルスケアアプリにおいて1ポイントあたりの価値が設定されていない場合には、レート比は1に固定されていてもよい。つまり、このような場合には、変換率は、調整倍率と同じ値であってもよい。
【0065】
例えば、
図8に示すように、レート比が10であり、調整倍率が1.2であり、かつ、変換元アプリポイントの100ポイント分を変換先アプリに変換する場合を想定する。この場合には、調整倍率(=1.2)とレート比(=10)を乗算した値である変換率(=12)を、100ポイントに乗算することによって得られる1200ポイント(=100ポイント×12)が変換先アプリポイントとして算出される。
【0066】
また、上記のポイントの変換が行われると、
図8の例では、当該変換元アプリの運営会社(提供者)は、変換元アプリポイントの100ポイント分について変換元アプリ上でサービス(または商品など)を提供する必要(債務)がなくなる。このため、変換制御部106は、通常、変換元アプリの100ポイントに相当する1000円を企業に支払うように、変換元アプリの運営会社に要求する。そして、企業は、ポイントの変換によって新たにサービスの提供する債務を負うことになる変換先アプリの運営会社に、その1000円を支払う。一方、割引率が設定されている場合には、変換制御部106は、変換元アプリの100ポイント分に相当する1000円を割引率に応じて減額した額の金銭を、企業に支払うように変換元アプリの運営会社に要求する。なお、金銭の受け渡しを行う者は、企業である必要はなく、例えば、特定の仲介業者や管理業者であってもよい。
【0067】
なお、情報処理装置10は、CPU(プロセッサ;制御装置)またはメモリ、ストレージを備えるコンピュータにより構成することができる。この場合には、
図6に示す構成は、ストレージに格納されたプログラムをメモリにロードし、CPUが当該プログラムを実行することによって実現されるものである。あるいは、情報処理装置10における構成の全部または一部を、ASICやFPGAなどで構成してもよい。あるいは、構成の全部または一部を、クラウドコンピューティングや分散コンピューティングにより実現してもよい。
【0068】
(変換制御処理)
図7のフローチャートを参照して、変換元アプリポイントを変換先アプリポイントに変換する際の処理(変換制御処理)について説明する。なお、
図7のフローチャートの開始時点において、受付部105が、変換元アプリポイントのうちの特定の従業員が指定したポイント数(以下、「指定ポイント数」と呼ぶ)だけ、変換先アプリポイントへ変換する指示を特定の従業員から受け付けているものとする。
【0069】
ステップS4001において、変換制御部106は、変換先アプリの利用率Num2に対する変換元アプリの利用率Num1の比率(=Num1/Num2)を算出する。以下、この比率を、「アプリ利用比率R」と呼ぶ。なお、ステップS4001における或るヘルスケアアプリの「利用率」とは、例えば、特定の従業員が属する企業の全従業員の数に対する当該全従業員のうちの当該ヘルスケアアプリの利用者の数の比率である。或るヘルスケアアプリの「利用率」とは、カフェテリアサービスを利用する複数の企業(例えば、
全企業)の全従業員の数に対する当該全従業員のうちの当該ヘルスケアアプリの利用者の数の比率であってもよい。また、或るヘルスケアアプリの「利用率」は、特定の従業員が属する企業の全従業員の数(または、全従業員のうちの当該ヘルスケアアプリの利用者の数)に対する当該全従業員のうちのヘルスケアアプリを現時点で(例えば、直近24時間以内において)動作させている利用者の数の割合であってもよい。さらに、ヘルスケアアプリの「利用率」の代わりに、当該利用者の数に対する当該ヘルスケアアプリのデータを他のヘルスケアアプリのいずれかに提供するデータ連携を行っている者の数の比率を用いてもよい。
【0070】
そして、ステップS4001において、変換制御部106は、アプリ利用比率Rが閾値以上であるか否かを判定する。アプリ利用比率Rが閾値以上であると判定された場合には、ステップS4003に進む。アプリ利用比率Rが閾値未満であると判定された場合には、ステップS4002に進む。例えば、変更先アプリと同等またはそれよりも変更元アプリが利用されているか否かを判定するために、閾値は、1である。なお、閾値は、特定の者により任意に変更可能であってもよい。
【0071】
ステップS4002において、変換制御部106は、調整倍率を、予め設定された特定の倍率に設定する。特定の倍率とは、1であってもよいし、企業が任意に設定した倍率であってもよい。
【0072】
ステップS4003において、変換制御部106は、調整倍率を、アプリ利用比率Rに応じた倍率に設定する。例えば、変換制御部106は、アプリ利用比率Rが大きいほど、調整倍率を大きな値に設定する。または、アプリ利用比率Rに対応する調整倍率を示すようなLUT(ルックアップテーブル)などが予め記憶部102に格納されており、変換制御部106は、LUTを参照して、調整倍率を設定してもよい。LUTは、例えば、アプリ利用比率Rが1~2であれば調整倍率が1.5に設定されるようなテーブルであり、アプリ利用比率Rが3以上であれば調整倍率が2に設定されるようなテーブルである。
【0073】
ステップS4004において、変換制御部106は、レート比(変換先アプリポイントの1ポイントあたりの金銭価値に対する、変換元アプリポイントの1ポイントあたりの金銭価値の比率)および調整倍率に応じた変換率で、変換元アプリポイントの指定ポイント数を変換先アプリポイントに変換する。具体的には、変換制御部106は、指定ポイント数に対してレート比および調整倍率を乗算したポイント数を、変換先アプリポイントとして利用可能にする。
【0074】
ステップS4005において、変換制御部106は、変換元アプリの利用者の健康改善(変換元アプリによる健康改善)の効果指標の代表値(平均値、中央値、または最頻値)が基準よりも高いか否かを判定する。例えば、各従業員の健康状態は、全カテゴリの状態を総合的に評価する点数(評価点)によって表されている。カテゴリは、例えば、体重、BMI、血圧、血液(ヘモグロビン、コレステロール)、体脂肪率、または食事内容(PFCバランス、糖質摂取量、脂質摂取量)などであり得る。そして、健康改善の効果指標とは、例えば、特定期間(例えば、直近3か月など)における評価点の変化量である。この場合には、基準とは、M個のヘルスケアアプリのそれぞれの利用者の健康改善の効果指標(効果指標の代表値)の平均であってもよい。また、基準とは、ユーザが予め設定した値であってもよい。
【0075】
なお、健康改善の指標は、例えば、ヘルスケアアプリの利用者のアンケート等への回答に応じた評価であってもよい。例えば、健康改善の指標は、ヘルスケアアプリの利用によって健康がどのくらい改善されたと感じたか、または、ヘルスケアアプリの満足度を10段階で利用者が評価した値である。
【0076】
また、各ヘルスケアアプリには、当該ヘルスケアアプリの利用により健康改善が見込まれるカテゴリが予め設定されていてもよい。例えば、歩数記録アプリや食事管理アプリには、体重や血圧値などのカテゴリが設定されている。睡眠記録アプリには、疲労度合いなどのカテゴリが設定されている。この場合には、効果指標は、例えば、体重の変化量、最高血圧値の変化量、または体脂肪率の変化量などであり得る。つまり、例えば、歩数記録アプリにはカテゴリとして体重が設定されており、歩数記録アプリにおける効果指標は体重の変化量である。この場合には、基準とは、変換元アプリと同一のカテゴリが定められた他の複数のヘルスケアアプリの当該カテゴリの効果指標の平均であってよい。
【0077】
ステップS4005において、変換元アプリの利用者の健康改善の効果指標の代表値(平均値、中央値、または最頻値)が基準以下であると判定された場合には、ステップS4007に進む。変換元アプリの利用者の健康改善の効果指標の代表値が基準よりも高いと判定された場合には、ステップS4006に進む。
【0078】
ステップS4006において、変換制御部106は、変換元アプリの運営会社(提供者)に支払いを請求する場合における、支払い額の割引率を決定する。このとき、変換制御部106は、割引率を、予め定めた特定の割引率に決定してもよいし、変換元アプリの利用者の健康改善の効果指標の代表値に応じて割引率を決定してもよい。例えば、変換制御部106は、変換元アプリを利用する従業員の健康改善の効果指標の代表値が高いほど、高い割引率を決定してもよい。
【0079】
ステップS4007において、変換制御部106は、指定ポイント数に相当する額の金銭(金額)を支払うように、変換元アプリの運営会社に要求する。なお、ステップS4006において割引率が決定されている場合には、変換制御部106は、指定ポイント数に相当する額を割引率に応じて減額した額の金銭を支払うように、変換元アプリの運営会社に要求する。例えば、指定ポイントに相当する額が1000円であり、かつ、割引率が30%であれば、変換制御部106は、1000円の30%を割り引いた700円を支払うように、変換元アプリの運営会社に要求する。変換制御部106は、例えば、変換元アプリの運営会社の運営会社サーバ40に対して支払いの指示を送付することによって、変換元アプリの運営会社に金銭の支払いを要求する。
【0080】
このように、実施形態1では、情報処理装置10は、変換元アプリの利用率と変換先アプリの利用率に基づき、変換率を調整するための調整倍率を決定する。このため、例えば、利用率の低いヘルスケアアプリをより多くの従業員に利用してもらえるように、2つのヘルスケアアプリ間の変換率を調整することができる。よって、例えば、N名の従業員がM個のヘルスケアアプリを満遍なく利用するように調整することが可能になる。
【0081】
従って、実施形態1によれば、或るアプリケーションで利用可能なポイントを、他のアプリケーションで利用可能なポイントに、より適切に変換することができる。
【0082】
なお、ステップS4001の処理が行われずに、
図7のフローチャートが開始するとステップS4003に進んでもよい。また、ステップS4003において、変換制御部106は、アプリ利用比率Rが大きいほど、調整倍率を大きな値に設定するのではなくて、アプリ利用比率Rが大きいほど、調整倍率を小さな値に設定してもよい。これによれば、利用率の高いヘルスケアアプリをより多くの従業員に利用してもらえるように、2つのヘルスケアアプリ間の変換率を調整することができる。この場合には、例えば、利用率の低いヘルスケアアプリの利用者の数が減ることが考えられるため、企業が登録アプリとして登録すべきヘルスケアアプリの数を減らす(絞る)ことが容易になる。
【0083】
なお、カフェテリアアプリ自体が、カフェテリアアプリにおいて利用可能なポイント(以下、「カフェテリアポイント」と呼ぶ)を従業員に付加する場合がある。この場合には、カフェテリアポイント(共通ポイント)を他のアプリポイントに変換することや、他のアプリポイントをカフェテリアポイントに変換することが考えられる。つまり、変更元アプリまたは変更先アプリは、カフェテリアアプリである可能性がある。なお、カフェテリアポイントは、
図2を用いて説明した「利用ポイント」と同一であってもよいし、別のポイントであってもよい。
【0084】
そこで、変更先アプリがカフェテリアアプリである場合には、ステップS4001におけるアプリ利用比率Rは、例えば、基準値SVに対する変換元アプリの利用率Num1の比率(=Num1/SV)であってもよい。なお、変更元アプリと変更先アプリとのいずれもがヘルスケアアプリである場合であっても、アプリ利用比率Rは、基準値SVに対する変換元アプリの利用率Num1の比率であってもよい。基準値SVは、例えば、M個のヘルスケアアプリそれぞれの利用者の数の平均値(または、中央値)である。この場合には、M個のヘルスケアアプリの平均と同等またはそれよりも変更元アプリが利用されているか否かを判定するために、ステップS4001における閾値は、例えば、1である。また、基準値SVは、特定の者が予め定めた値であってもよい。基準値SVは、例えば、0.5や1であってもよい。
【0085】
一方で、変更元アプリがカフェテリアアプリである場合には、ステップS4001におけるアプリ利用比率Rは、変換先アプリの利用率Num2に対する基準値SVの比率(=SV/Num2)であってもよい。この場合には、例えば、ステップS4005~S4007の処理は行われない。なお、変更元アプリと変更先アプリとのいずれもがヘルスケアアプリである場合であっても、アプリ利用比率Rは、変換先アプリの利用率Num2に対する基準値SVの比率であってもよい。なお、上述のように、基準値SVは、例えば、M個のヘルスケアアプリそれぞれの利用者の数の平均値(または、中央値)である。この場合には、変更先アプリと同等またはそれよりも、平均的なヘルスケアアプリが利用されているか否かを判定するために、ステップS4001における閾値は、例えば、1である。
【0086】
また、アプリ利用比率Rは、変換元アプリの利用率Num1または変換先アプリの利用率Num2であってもよい。
【0087】
なお、上記の各実施形態における「ヘルスケアアプリ」は、矛盾が生じない限り「任意のアプリケーション」に読み替えてもよい。例えば、「ヘルスケアアプリ」の代わりに、「勉強または仕事を管理するアプリケーション」を用いてもよい。この場合には、「健康状態」の代わりに、例えば、「勉強または仕事の進捗度合い」を用いてもよい。
【符号の説明】
【0088】
1:支援システム、10:情報処理装置、20:企業端末、
30:従業員端末、40:運営会社サーバ、
101:制御部、102:記憶部、103:利用状態取得部、
104:健康状態取得部、105:受付部、106:変換制御部