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特開2024-22843管路の補修工法及びその補修工法に使用する部材
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  • 特開-管路の補修工法及びその補修工法に使用する部材 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022843
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】管路の補修工法及びその補修工法に使用する部材
(51)【国際特許分類】
   E03F 7/00 20060101AFI20240214BHJP
   E03F 3/04 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
E03F7/00
E03F3/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022126233
(22)【出願日】2022-08-08
(71)【出願人】
【識別番号】505389695
【氏名又は名称】首都高速道路株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】510273798
【氏名又は名称】首都高メンテナンス神奈川株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391013416
【氏名又は名称】ゴトウコンクリート株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082658
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 儀一郎
(72)【発明者】
【氏名】相川 智彦
(72)【発明者】
【氏名】高橋 成典
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 成禎
(72)【発明者】
【氏名】工藤 晃也
(72)【発明者】
【氏名】濱野 北斗
(72)【発明者】
【氏名】大島 美穂
(72)【発明者】
【氏名】内野 武人
(72)【発明者】
【氏名】富樫 純
(72)【発明者】
【氏名】松林 秀佳
【テーマコード(参考)】
2D063
【Fターム(参考)】
2D063BA03
2D063BA37
2D063EA03
2D063EA05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】金属プレート部材を設置して損傷部を覆う方法や円形水路の上部を切断・はつり・撤去し新しいプレキャスト蓋ブロックを設置する方法において、金属プレート部材は高価であるとともに錆びるなどの劣化が早いなどの課題もなく、またプレキャスト蓋ブロックによる補修のように切断・はつり・撤去作業に多大なコストと時間を要することのない管路の補修工法及びその補修工法に使用する部材を提供する。
【解決手段】内部に排水路を有し、上面に前記排水路内と外部とが連通する導入開口溝が設けられた既設の管路の前記導入開口溝近傍における上面壁破損箇所の補修工法であって、既設の管路上に設置された縁石上面壁を切断し、その後縁石を撤去し、縁石とほぼ同形状の縁石部と、縁石の係止壁とほぼ同形状に形成された係止壁部を一体的形状にして形成された補修ブロックを前記切断された上面壁上に設置し、連結部材を挿通し、補修ブロックのずれ止め作業を行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に排水路を有し、上面に前記排水路内と外部とが連通する導入開口溝が設けられた既設の管路の前記導入開口溝近傍における上面壁破損箇所の補修工法であって、
前記既設の管路上に設置された縁石の外側端面箇所から前記導入開口溝端部までの上面壁を切断し、その後縁石を撤去し、
次いで、予め製造され、縁石とほぼ同形状の縁石部と、縁石の導入開口溝側ずれ止めとして設けられた係止壁とほぼ同形状に形成された係止壁部を一体的形状にして形成された補修ブロックを前記切断された上面壁上に設置し、
補修ブロックの上面から前記上面壁に向かって連結部材を挿通し、前記補修ブロックのずれ止め作業を行う、
ことを特徴とする管路の補修工法。
【請求項2】
内部に排水路を有し、上面に前記排水路内と外部とが連通する導入開口溝が設けられた既設の管路の前記導入開口溝近傍における上面壁破損箇所の補修工法であって、
前記既設の管路上に設置された縁石の外側端面箇所から前記導入開口溝端部までの上面壁を切断し、その後縁石を撤去し、
次いで、予め製造され、縁石とほぼ同形状の縁石部と、縁石の導入開口溝側ずれ止めとして設けられた係止壁とほぼ同形状に形成された係止壁部を一体的形状にして形成された補修ブロックを前記切断された上面壁上に設置し、
補修ブロックの上面から前記上面壁に向かって連結部材を挿通し、前記補修ブロックのずれ止め作業を行い、
補修をしない既設の管路との接続につき、補修をしない既設の管路上の縁石と補修をした補修ブロックの縁石部の高さ及び補修をしない既設の管路上の係止壁の長さと補修をした補修ブロックの係止壁部の長さを同様にすべく調整した、
ことを特徴とする管路の補修工法。
【請求項3】
内部に排水路を有し、前記排水路と外部とを連通する導入開口溝を上面壁に有する管路の前記上面壁に設置される縁石とほぼ同形状の縁石部と、管路上に前記設置された縁石の導入開口溝側ずれ止めとして設けられた係止壁とほぼ同形状に形成された係止壁部が一体成形された、管路の補修工法に使用される補修ブロックの運搬具であり、
前記補修ブロックの縁石部上面に設けられた貫通孔内に係止する膨出部と先端にフック部を有する引っ掛け部材と、前記フック部に係止する基杆と基杆の両端に設けられた吊り上げ用ハンドル部材を有する吊り上げ部材を備え、
前記貫通孔内の膨出部の係止は、膨出部を回転させて膨出部端面を貫通孔内面に当接係止させる構成である、
ことを特徴とする運搬具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管路の補修工法及びその補修工法に使用する部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、路面に降った雨を集水しスムーズに排水させるために、道路の幅方向端側に円形などの水路が形成されたいわゆる管路が埋設されて敷設されている。
そして、前記円形などの形状をなす排水路が形成された管路は、図9に示すように、地中に埋設される排水路と、該排水路と地表の路面とを連通する路面に降った雨水を導入する導入開口溝を有している。さらに、前記管路の路面近傍の上部箇所には車道と歩道とを区分けするためのいわゆる縁石が設置されるが、その設置のため、縁石が載置する載置部が前記管路の上面に設けられる。
この載置部は図9などの図面に示される様に、前記導入開口溝を境にして歩道側の管路上面部に形成されるものとなる。
【0003】
しかしながら前記埋設され、敷設された管路は、経年劣化により、また頻繁に往来する車両の荷重により、さらには凍害などにより、管路の上部に損傷が発生することが多々生じていた。
特に、前記のように車道と反対側の歩道側の管路上部には縁石が設置されており、かかる個所では、前記縁石に車両が乗り上げるなど加重がかかる事態が多く起こるため、縁石が載置されている管路上面部側に荷重がかかり、この管路上面部に脱落損傷が比較的頻繁に発生していたのである。
【0004】
図示するように該箇所の管路上面部は、導入開口溝によって切り離されており、かつ円形状の排水路を形成しなければならないため、厚みのない突出片的な形状になっている。従って、縁石に車両が乗り上げるなど加重がかかる事態が起こると、厚みのない突出片的な歩道側の管路上面部は、特に導入開口溝付近が脱落損傷してしまうのである。そして、走行車両(特に2輪車)が前記脱落損傷個所に乗り上げた際には、前記縁石がグラつき状態であることも多々あって、事故を引き起こしかねないとの指摘もあった。
【0005】
このような事態に対処すべく、従来は、前記管路を撤去して新しい管路を敷設したり、脱落損傷した管路を現場打コンクリートで補修したりするような長時間の補修時間のかかる工法を行っていた。
【0006】
また前記工法のほかにも、様々な改良工法が考案されており、(実用新案登録第3194020、特許公開2016-044486など)さらには、金属プレート部材を設置して脱落損傷部を覆う方法や、管路の上部を切断・はつり・撤去しコンクリート製の新しいプレキャスト蓋ブロックを設置する方法も考えられるが、金属プレート部材は高価であるとともに錆びるなどの劣化が早いなどほかの課題が生じていた。
【0007】
プレキャスト蓋ブロックも高価であるばかりでなく、設置前の切断・はつり・撤去作業に多大なコストと時間を要するものであり、更に、はつり作業の際には、管路内部の鉄筋をも切断しなければならず、補修作業時間が延びてしまうとの課題もある。しかもプレキャスト蓋ブロックで補修を施した箇所と補修を施さない箇所との差が大きく。外観上の統一性が図れないとの課題があった
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実用新案登録第3194020号公報
【特許文献2】特開2016-044486号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、前記従来の課題に対処すべく創案されたものであって、管路を撤去して新設したり、現場打コンクリートで補修したりする長時間の補修時間と作業コストを要せず、また金属プレート部材を設置して損傷部を覆う方法や、円形水路の上部を切断・はつり・撤去しコンクリート製の新しいプレキャスト蓋ブロックを設置する方法において、金属プレート部材は高価であるとともに錆びるなどの劣化が早いなどの課題もなく、また、プレキャスト蓋ブロックによる補修のように高価であるばかりでなく、設置前の切断・はつり・撤去作業に多大なコストと時間を要することのない管路の補修工法及びその補修工法に使用する部材を提供することを目的とするものである。
【0010】
すなわち、本発明は、車道と反対側の歩道側に位置する円形水路型管路の上部に縁石が設置されている個所の有効な補修工法であり、補修施工する場所は、主に車両が頻繁に走行している高速道路上が多く、長時間の交通遮断規制が出来ない箇所での補修に適している。
【0011】
すなわち、前記高速道路上などでは、直ちに、既設管路上部の切断・撤去から、設置・解放までを完了しなければならないのであり、特に、昼間においては、交通遮断規制は行えないからである。
【0012】
そのために、既設管路の切断・はつり・撤去などの工程が少ない工法により、しかも短時間で完了し、交通遮断の解放ができ、かつ数時間中に長い管路箇所の補修工事が出来ることが必要なのである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、
内部に排水路を有し、上面に前記排水路内と外部とが連通する導入開口溝が設けられた既設の管路の前記導入開口溝近傍における上面壁破損箇所の補修工法であって、
前記既設の管路上に設置された縁石の外側端面箇所から前記導入開口溝端部までの上面壁を切断し、その後縁石を撤去し、
次いで、予め製造され、縁石とほぼ同形状の縁石部と、縁石の導入開口溝側ずれ止めとして設けられた係止壁とほぼ同形状に形成された係止壁部を一体的形状にして形成された補修ブロックを前記切断された上面壁上に設置し、
補修ブロックの上面から前記上面壁に向かって連結部材を挿通し、前記補修ブロックのずれ止め作業を行う、
ことを特徴とし、
または、
内部に排水路を有し、上面に前記排水路内と外部とが連通する導入開口溝が設けられた既設の管路の前記導入開口溝近傍における上面壁破損箇所の補修工法であって、
前記既設の管路上に設置された縁石の外側端面箇所から前記導入開口溝端部までの上面壁を切断し、その後縁石を撤去し、
次いで、予め製造され、縁石とほぼ同形状の縁石部と、縁石の導入開口溝側ずれ止めとして設けられた係止壁とほぼ同形状に形成された係止壁部を一体的形状にして形成された補修ブロックを前記切断された上面壁上に設置し、
補修ブロックの上面から前記上面壁に向かって連結部材を挿通し、前記補修ブロックのずれ止め作業を行い、
補修をしない既設の管路との接続につき、補修をしない既設の管路上の縁石と補修をした補修ブロックの縁石部の高さ及び補修をしない既設の管路上の係止壁の長さと補修をした補修ブロックの係止壁部の長さを同様にすべく調整した、
ことを特徴とし、
または、
内部に排水路を有し、前記排水路と外部とを連通する導入開口溝を上面壁に有する管路の前記上面壁に設置される縁石とほぼ同形状の縁石部と、管路上に前記設置された縁石の導入開口溝側ずれ止めとして設けられた係止壁とほぼ同形状に形成された係止壁部が一体成形された、管路の補修工法に使用される補修ブロックの運搬具であり、
前記補修ブロックの縁石部上面に設けられた貫通孔内に係止する膨出部と先端にフック部を有する引っ掛け部材と、前記フック部に係止する基杆と基杆の両端に設けられた吊り上げ用ハンドル部材を有する吊り上げ部材を備え、
前記貫通孔内の膨出部の係止は、膨出部を回転させて膨出部端面を貫通孔内面に当接係止させる構成である、
ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、管路を撤去して新設したり、現場打コンクリートで補修したりする長時間の補修時間と作業コストを要せず、また金属プレート部材を設置して損傷部を覆う方法や、円形水路の上部を切断・はつり・撤去しコンクリート製の新しいプレキャスト蓋ブロックを設置する方法において、金属プレート部材は高価であるとともに錆びるなどの劣化が早いなどの課題もなく、また、プレキャスト蓋ブロックによる補修のように高価であるばかりでなく、設置前の切断・はつり・撤去作業に多大なコストと時間を要することのない管路の補修工法及びその補修工法に使用する部材が提供できる。
【0015】
すなわち、本発明は、車道と反対側の歩道側に位置する円形水路型管路の上部に縁石が設置されている個所の有効な補修工法であり、補修施工する場所は、主に車両が頻繁に走行している高速道路上が多く、長時間の交通遮断規制が出来ない箇所での補修に適しているとの効果がある。
【0016】
すなわち、前記高速道路上などでは、直ちに、既設管路上部の切断・撤去から、設置・解放までを完了しなければならないのであり、特に、昼間においては、交通遮断規制は行えないからである。
【0017】
そのために、既設管路の切断・はつり・撤去などの工程が少ない工法により、しかも短時間で完了し、交通遮断の解放ができ、かつ数時間中に長い管路箇所の補修工事が出来ることが必要だからである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の構成を説明する説明図(1)である。
図2】本発明の構成を説明する説明図(2)である。
図3】吊り上げ部材の構成を説明する説明図である。
図4】引っ掛け部材の構成を説明する説明図である。
図5】補修ブロックの運搬方法を説明する説明図(1)である。
図6】補修ブロックの運搬方法を説明する説明図(2)である。
図7】補修ブロックの運搬方法を説明する説明図(3)である。
図8】補修ブロックの運搬方法を説明する説明図(4)である。
図9】従来例の構成を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明を図に示す実施例に基づいて説明する。
図9は従来例を示す図であり、符号1は既設の管路を示す。該既設の管路1は、路面3の幅方向端側に埋設されて敷設される。
【0020】
該既設の管路1は、内部に例えば略円形をなす排水路2が設けられ、既設の管路1の上面には幅方向略中間位置に路面3からの雨水を前記排水路2内に導入する導入開口溝4が設けられている。
【0021】
さらに、図2などに示す様に図に向かって導入開口溝4の左側部分は歩道20になっており、そのため導入溝開口溝4の左側上面部に縁石5が載置される。そして、載置された縁石5が導入開口溝4側へずれないよう係止壁6が前記上面部7に形成されている(図9参照)。
【0022】
該係止壁6は既設されている管路1と一体に形成される場合もあり、また管路1を敷設する際に現場打ちコンクリートによって管路上面部7に形成される場合もある。
【0023】
しかるに、前述したように、敷設された管路1は、経年劣化により、また頻繁に往来する車両の荷重により、さらには凍害などにより、管路1の上面部7、すなわち縁石5の載置箇所側の上面部7に脱落損傷が発生することが多々生じていたのである。
【0024】
特に、縁石5の載置箇所では、縁石5に車両が乗り上げるなど加重がかかる事態が多く起こる。すると、縁石5が載置されている管路1の上面部7に荷重がかかり、この上面部7あるいは係止壁6の脱落損傷が比較的頻繁に発生していたのである。
【0025】
図示するように該箇所の管路1の上面部7は、導入開口溝4によって切り離されており、かつ円形状の排水路2を形成しなければならないため、厚みのない突出片のような形状になっている。しかも上面部7の導入溝開口溝4側には縁石5のずれを止める係止壁6が前記上面部7と一体的に形成されており、縁石5に車両が乗り上げるなど加重がかかる事態が起こると、厚みのない突出片のような管路1の上面部7あるいは係止壁6は、脱落損傷してしまうのである。さらに、走行車両(特に2輪車)が前記損傷個所に乗り上げた際には、前記縁石がグラつき状態であることも多々あって、事故を引き起こしかねないのである。
しかも、該箇所での補修工事は前記したように短時間で行わなければならない。
【0026】
そこで本発明者らは本発明による補修工法を発明するに至った。図1にその概略を説明する構成図を示す。
まず、既設の管路1上に設置されている縁石5(図9参照)を撤去する。次いで、図1に示すように破損した上面部7をカットする。符号21はそのカット面である。
尚、該上面部7をカットしてから縁石5を撤去してもかまわないし、縁石5を撤去してから破損した上面部7をカットしても構わない。
いずれにせよ、破損箇所をカットすることで、上面部7の破損箇所がなくなる。次いで、前記上面部7に改良型の補修ブロック8を載置する。
【0027】
ここで、改良型の補修ブロック8は予め工場で製造されるものであり、それを施工現場まで運搬し、本件発明者らが別個発明した運搬具12を使用して所定の補修箇所に載置して補修作業ができる。
【0028】
この補修ブロック8は、従来の縁石5と同様の形状の縁石部9が形成されていると共に、従来縁石5が導入開口溝4側にずれないよう従来において縁石5の前方に設けられた係止壁6と同形状に形成した係止壁部10を一体的に生成して補修ブロック8というコンクリート製品とされている。
しかるに上面部7が脱落、破損した管路1の補修に関しては、補修の必要がない既設の管路1の外観形状に合わせて補修ブロック8を敷設する必要がある。
【0029】
すなわち、補修ブロック8は、該補修ブロック8における縁石部9の高さを既設の管路1上に設置された縁石5と同じ高さになるよう作製し、縁石斜面も同様の斜面になるよう作製してある。さらに係止壁部10も従来の係止壁6と同様の長さ、高さ及び形状に作製して前記縁石部9と一体化してあるのである。
上記のような補修ブロック8を使用することによって補修の必要がない既設の管路1の外観形状に合わせた補修が行える。
【0030】
ところで、本発明では前記敷設した補修ブロック8が導入開口溝4側にずれないように工夫されている。すなわち、縁石部9の上面には上下方向に貫通する貫通孔11が穿孔されている。そして該貫通孔11の下部開口に対応する既設の管路1の上面部7にも連通する取付穴22が穿設されるものとなる。
【0031】
ここで、前記貫通孔11の上部開口から棒状の連結部材19を挿入し、その先端側を前記の取付穴22内に差し込む。このように差し込んで連結した後、モルタルを充填して固化する。かかる施工により補修ブロック8の導入開口溝4側へのずれを完全に防止することが出来るものとなる。
尚、前記貫通孔11は補修ブロック8の長手方向に間隔をあけて複数個設け、前述した施工と同様の施工を貫通孔11毎に行うのが良い。
【0032】
次に補修ブロック8を補修箇所に運搬する運搬具12について説明する。
補修ブロック8はかなりの重量があり、1人の作業員では持ち上げて移動し、かつ位置決め敷設することができない。少なくとも2人の作業員による作業が必要となる。
そこで本件発明者らは本件補修工法に使用される部材である運搬具12についても発明した。
【0033】
図3に示す様に、運搬具12は、吊り上げ部材13と、引っ掛け部材14とを有する。
吊り上げ部材13は、長尺棒状の基杆14と、該基杆14の両端に接続されたハンドル部材15により構成される。また、引っ掛け部材14は、前述した貫通孔11の周面に係止する膨出部17と該膨出部17より上方に延出し、上端にフック部を有して構成される係止部18を有して構成されている。そして、この引っ掛け部材14は一対必要となる。
【0034】
補修ブロック8を持ち上げ、所定箇所の補修位置に位置決めして敷設するには、まず、一対の引っ掛け部材14の膨出部17側から、該引っ掛け部材14を補修ブロック8の貫通孔11内に挿入する(図5参照)。尚、前記貫通孔11の形状であるが、図8図2に示すように補修ブロック8の上面から下面に向かって孔の大きさが広がるよう形成されている。しかも貫通孔11の上面開口は、補修ブロック8の長手方向に向かって長辺が平行になるような長方形状に形成されている。
【0035】
従って、前記上面の長方形状開口に前記引っ掛け部材14の略直方体状をなす膨出部17を図5に示すように前記上面の長方形状開口に合わせて横方向に向けた状態にして挿入する。そして、挿入後、90度回転させてのである(図6 参照)。
【0036】
次に、図7に示す様に吊り上げ部材13の基杆15を一対の係止部18に係止させると共に、上方に持ち上げて運搬する。ここで、上方に持ち上げた際、90度回転した膨出部17が貫通孔11の内周面に係止し、抜けなくなっている(図8参照)。
【0037】
そして、作業員が前記ハンドル部材16を把持して所定の敷設場所まで運搬し、かつ補修ブロック8の微妙な位置合わせまで行うことが出来、最適な敷設箇所にスムーズに補修ブロックを8を敷設することが出来るものとなる。
補修ブロック8の敷設後は、一対の引っ掛け部材14につき、90度回転させることで前記貫通孔11から容易に抜出することが出来る。
【0038】
前記補修ブロック8を所定の敷設位置に設置した後、前記貫通孔11の上面開口から棒状の連結部材19を挿入し、その先端側を前記の取付穴内に差し込む。このように連結した後、即硬性の無収縮モルタルなどで充填して固化する。尚、前記連結部材19は差し筋などで構成されるが、差し筋ではなく、アンカーボルトにすることも可能である。
【0039】
かかる施工により補修ブロック8の導入開口溝4側へのずれを完全に防止することが出来るものとなる。
尚、前記貫通孔11は補修ブロック8の長手方向に間隔をあけて複数個設けておくのが良い。
【符号の説明】
【0040】
1 管路
2 排水路
3 路面
4 導入開口溝
5 縁石
6 係止壁
7 上面部
8 補修ブロック
9 縁石部
10 係止壁部
11 貫通孔
12 運搬具
13 吊り上げ部材
14 引っ掛け部材
15 基杆
16 ハンドル部材
17 膨出部
18 係止部
19 連結部材
20 歩道
21 カット面
22 取付穴

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9