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特開2024-22860同軸差動スクリュープレス脱水機の運転方法、および同軸差動スクリュープレス脱水機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022860
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】同軸差動スクリュープレス脱水機の運転方法、および同軸差動スクリュープレス脱水機
(51)【国際特許分類】
   C02F 11/12 20190101AFI20240214BHJP
   C02F 11/00 20060101ALI20240214BHJP
   B01D 29/17 20060101ALI20240214BHJP
   B01D 37/04 20060101ALI20240214BHJP
   B30B 9/16 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
C02F11/12
C02F11/00 C ZAB
B01D29/30 501
B01D37/04
B30B9/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022126269
(22)【出願日】2022-08-08
(71)【出願人】
【識別番号】591030651
【氏名又は名称】水ing株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118500
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(74)【代理人】
【氏名又は名称】渡邉 勇
(72)【発明者】
【氏名】島本 仙
【テーマコード(参考)】
4D059
4D116
【Fターム(参考)】
4D059AA03
4D059BE02
4D059BE12
4D059BE15
4D059BE26
4D059CB07
4D059EA20
4D059EB20
4D116BB01
4D116BC27
4D116BC48
4D116BC71
4D116DD06
4D116KK04
4D116QA05C
4D116QA05F
4D116QC04
4D116QC20
4D116QC39
4D116VV12
(57)【要約】
【課題】第2スクリューの過トルクを確実に防止して、運転停止を回避することができる同軸差動スクリュープレス脱水機の運転方法を提供する。
【解決手段】本運転方法は、第1スクリュー1および第2スクリュー2を第1運転速度および第2運転速度でそれぞれ回転させることで汚泥を移送し、第2スクリュー2のトルクが所定のトルクしきい値以上である状態が所定の監視時間経過したときに、第1スクリュー1を第1運転速度よりも低い回転速度に減速させるか、または第1スクリュー1の回転を停止させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同軸上に配列された第1スクリューおよび第2スクリューを有し、汚泥の移送方向において前記第1スクリューは前記第2スクリューの上流に位置する同軸差動スクリュープレス脱水機の運転方法であって、
前記第1スクリューおよび前記第2スクリューを第1運転速度および第2運転速度でそれぞれ回転させることで汚泥を移送し、
前記第2スクリューのトルクが所定のトルクしきい値以上である状態が所定の監視時間経過したときに、前記第1スクリューを前記第1運転速度よりも低い回転速度に減速させるか、または前記第1スクリューの回転を停止させる、運転方法。
【請求項2】
前記第1スクリューを前記第1運転速度よりも低い回転速度に減速させ、または前記第1スクリューの回転を停止させた後、さらに設定時間が経過したときに、前記第1スクリューの回転速度を前記第1運転速度に戻す、請求項1に記載の運転方法。
【請求項3】
前記設定時間は、前記第2スクリューのスクリュー羽根の巻数と同じ回数だけ前記第2スクリューが回転するのに要する時間以下である、請求項2に記載の運転方法。
【請求項4】
前記第1スクリューの回転速度を前記第1運転速度に戻した後に、前記第2スクリューの回転を停止させるか、または前記第2スクリューを前記第2運転速度よりも低い回転速度に減速させ、
前記第2スクリューでの汚泥の圧力が所定の圧力しきい値に達した後、前記第2スクリューの回転速度を前記第2運転速度に戻す、請求項2に記載の運転方法。
【請求項5】
前記第2スクリューの回転を停止させている間、または前記第2スクリューを前記第2運転速度よりも低い回転速度で回転させている間、前記第1スクリューを前記第1運転速度よりも高い回転速度に増速させ、
前記第2スクリューでの汚泥の圧力が前記所定の圧力しきい値に達した後、前記第1スクリューの回転速度および前記第2スクリューの回転速度を、前記第1運転速度および前記第2運転速度にそれぞれ戻す、請求項4に記載の運転方法。
【請求項6】
前記第1スクリューを前記第1運転速度よりも低い回転速度に減速させた後、または前記第1スクリューの回転を停止させた後に、前記第2スクリューを前記第2運転速度よりも高い回転速度に増速させる、請求項1に記載の運転方法。
【請求項7】
前記第2スクリューを前記第2運転速度よりも高い回転速度に増速させた後、さらに設定時間が経過したときに、前記第2スクリューの回転を停止させるか、または前記第2スクリューを前記第2運転速度よりも低い回転速度に減速させる、請求項6に記載の運転方法。
【請求項8】
同軸上に配列された第1スクリューおよび第2スクリューを有し、汚泥の移送方向において前記第1スクリューは前記第2スクリューの上流に位置する同軸差動スクリュープレス脱水機の運転方法であって、
前記第1スクリューおよび前記第2スクリューを第1運転速度および第2運転速度でそれぞれ回転させることで汚泥を移送し、
前記第2スクリューのトルクが所定の第1トルクしきい値以上である状態が所定の第1監視時間経過したときに、前記第2スクリューを徐々に増速し、
前記第2スクリューを徐々に増速させている間に、前記第2スクリューのトルクが所定の第2トルクしきい値以上となったとき、前記第1スクリューを前記第1運転速度よりも低い回転速度に減速させるか、または前記第1スクリューの回転を停止させる、運転方法。
【請求項9】
同軸上に配列された第1スクリューおよび第2スクリューを有し、汚泥の移送方向において前記第1スクリューは前記第2スクリューの上流に位置する同軸差動スクリュープレス脱水機の運転方法であって、
前記第1スクリューおよび前記第2スクリューを第1運転速度および第2運転速度でそれぞれ回転させることで汚泥を移送し、
前記第2スクリューのトルクが所定の第1トルクしきい値以上である状態が所定の第1監視時間経過したときに、前記第2スクリューを徐々に増速し、
前記第2スクリューを徐々に増速させている間に、前記第2スクリューのトルクが前記所定の第1トルクしきい値以上である状態が所定の第2監視時間経過したときに、前記第1スクリューを前記第1運転速度よりも低い回転速度に減速させるか、または前記第1スクリューの回転を停止させる、運転方法。
【請求項10】
同軸差動スクリュープレス脱水機であって、
同軸上に配列された第1スクリューおよび第2スクリューと、
前記第1スクリューを回転させる第1スクリューモータと、
前記第2スクリューを回転させる第2スクリューモータと、
前記第1スクリューモータに可変周波数の電流を供給する第1インバータと、
前記第2スクリューモータに可変周波数の電流を供給する第2インバータと、
前記第1スクリューおよび前記第2スクリューの動作を制御する動作制御部を備え、
汚泥の移送方向において前記第1スクリューは前記第2スクリューの上流に位置し、
前記第2スクリューは、3巻未満のスクリュー羽根を有し、
前記動作制御部は、前記第2スクリューのトルクが所定のトルクしきい値以上である状態が所定の監視時間経過したときに、前記第1スクリューを前記第1運転速度よりも低い回転速度に減速させるか、または前記第1スクリューの回転を停止させるように構成されている、同軸差動スクリュープレス脱水機。
【請求項11】
前記第2スクリューでの汚泥の圧力を測定する汚泥圧力測定器をさらに備えている、請求項10に記載の同軸差動スクリュープレス脱水機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚泥の脱水に関し、特に、上水処理場、下水処理場、し尿処理場などの液体処理施設から排出される汚泥を脱水する同軸差動スクリュープレス脱水機の運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、上下水処理場、し尿処理場などの液体処理施設から排出される汚泥(液体含有物)を圧搾して、該汚泥から水を分離する(すなわち、脱水する)装置として、スクリュープレス脱水機が知られている。このスクリュープレス脱水機は、スクリーン(多孔板)から形成されたろ過筒と、ろ過筒の内部に配置されたスクリューとを備える。スクリューは、ろ過筒と同心状に配置されたスクリュー軸と、スクリュー軸の外面に固定されたスクリュー羽根を有している。スクリュー軸に連結された回転機構によって、スクリュー羽根を回転させることにより、ろ過筒に投入された汚泥を圧搾し、脱水する。ろ過筒の下流側開口端には、汚泥を堰き止める背圧板が配置され、この背圧板により、回転するスクリュー羽根により送られてくるケーキ(脱水された汚泥)を滞留させ、プラグケーキ(栓)を形成する。このプラグケーキが後から送り込まれるケーキに背圧を加えて、ケーキをさらに圧搾することにより、ろ過筒内の汚泥の含水率を低下させる。
【0003】
特許文献1には、同軸差動スクリュープレス脱水機が開示されている。このタイプのスクリュープレス脱水機は、ろ過筒内に直列に配列された第1スクリューと第2スクリューを備えている。これら第1スクリューと第2スクリューはそれぞれ別々の駆動装置によって異なる速度で回転することが可能である。したがって、第1スクリューと第2スクリューの回転速度を制御することで、背圧板を設けることなく、ろ過筒内にプラグケーキを形成し、ろ過筒内の汚泥を圧搾することができる。
【0004】
特許文献2には、第2スクリューの軸トルクを測定し、第2スクリュー軸の回転速度の制御を行う技術が記載されている。この特許文献2は、脱水ケーキ含水率が低下することによって、脱水ケーキを排出できなくなる問題を解決し、安定した連続運転を行うための技術を提案する。しかしながら、第2スクリューが過トルクになると、スクリュープレス脱水機の運転を停止しなければならないという問題は提示されていない。
【0005】
特許文献3には、トルクを一定の範囲内に収めるためにスクリュー軸の増速・減速を繰り返す技術が示されている。しかしながら、この特許文献3は、通常の一軸式のスクリュープレス脱水機に関するものであり、同軸差動スクリュープレス脱水機は記載されていない。そのため、第2スクリューの制御や第1スクリューを併せた制御については言及されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2018-51582号公報
【特許文献2】特開昭58-32599号公報
【特許文献3】特開昭58-54999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
同軸差動スクリュープレス脱水機においては、脱水ケーキの含水率が低下しすぎた際に第2スクリューのトルクが上昇してしまう。これは、脱水ケーキの硬さと、第1スクリューから送られるケーキの2つの原因によって生じる。特に、第2スクリューの巻き数が3巻未満の少ない同軸差動スクリュープレス脱水機においては、含水率の低下したケーキであっても排出できることが多い。そのため、排出限界よりも先に過トルクによる回転限界が先に来てしまう。そのため、過トルクを回避しつつ、最も含水率の低下したケーキをより多く出す運転制御方法が必要となる。
【0008】
過トルクとなった際にはスクリュープレス脱水機全体の運転を停止する必要がある。この時、スクリュープレス脱水機内で汚泥に加わる背圧を弱めることで、軸トルクを下げることは可能である。第2スクリューの回転速度を速めることで背圧を弱めつつ、硬くなったケーキの排出が行われる方法は、特許文献2に示されている。しかしながら、第2スクリューの回転速度を速めると第2スクリューのトルクが上昇してしまうため、過トルクのリスクが高まってしまう。そのため、余裕を持たせたトルクを閾値として運転する必要がある。その場合には脱水の不十分な状態から第2スクリューを増速させることになる。
【0009】
特許文献3に示されたスクリュー軸を繰り返し増速および減速する方法では、トルクが十分に下がっていない状態で増速を行う可能性があり、その際に過トルクで運転停止してしまうおそれがある。これらの特許文献に記載の方法では一時的に高いトルクになる可能性が高く、過トルクを回避する目的としては不十分である。
【0010】
そこで、本発明は、第2スクリューの過トルクを確実に防止して、運転停止を回避することができる同軸差動スクリュープレス脱水機の運転方法、および同軸差動スクリュープレス脱水機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一態様では、同軸上に配列された第1スクリューおよび第2スクリューを有し、汚泥の移送方向において前記第1スクリューは前記第2スクリューの上流に位置する同軸差動スクリュープレス脱水機の運転方法であって、前記第1スクリューおよび前記第2スクリューを第1運転速度および第2運転速度でそれぞれ回転させることで汚泥を移送し、前記第2スクリューのトルクが所定のトルクしきい値以上である状態が所定の監視時間経過したときに、前記第1スクリューを前記第1運転速度よりも低い回転速度に減速させるか、または前記第1スクリューの回転を停止させる、運転方法が提供される。
【0012】
一態様では、前記第1スクリューを前記第1運転速度よりも低い回転速度に減速させ、または前記第1スクリューの回転を停止させた後、さらに設定時間が経過したときに、前記第1スクリューの回転速度を前記第1運転速度に戻す。
一態様では、前記設定時間は、前記第2スクリューのスクリュー羽根の巻数と同じ回数だけ前記第2スクリューが回転するのに要する時間以下である。
一態様では、前記第1スクリューの回転速度を前記第1運転速度に戻した後に、前記第2スクリューの回転を停止させるか、または前記第2スクリューを前記第2運転速度よりも低い回転速度に減速させ、前記第2スクリューでの汚泥の圧力が所定の圧力しきい値に達した後、前記第2スクリューの回転速度を前記第2運転速度に戻す。
一態様では、前記第2スクリューの回転を停止させている間、または前記第2スクリューを前記第2運転速度よりも低い回転速度で回転させている間、前記第1スクリューを前記第1運転速度よりも高い回転速度に増速させ、前記第2スクリューでの汚泥の圧力が前記所定の圧力しきい値に達した後、前記第1スクリューの回転速度および前記第2スクリューの回転速度を、前記第1運転速度および前記第2運転速度にそれぞれ戻す。
【0013】
一態様では、前記第1スクリューを前記第1運転速度よりも低い回転速度に減速させた後、または前記第1スクリューの回転を停止させた後に、前記第2スクリューを前記第2運転速度よりも高い回転速度に増速させる。
一態様では、前記第2スクリューを前記第2運転速度よりも高い回転速度に増速させた後、さらに設定時間が経過したときに、前記第2スクリューの回転速度を前記第2運転速度に戻し、その後、前記第1スクリューの回転速度を前記第1運転速度に戻す。
一態様では、前記設定時間は、前記第2スクリューのスクリュー羽根の巻数と同じ回数だけ前記第2スクリューが回転するのに要する時間以下である。
一態様では、前記第1スクリューの回転速度を前記第1運転速度に戻した後に、前記第2スクリューの回転を停止させるか、または前記第2スクリューを前記第2運転速度よりも低い回転速度に減速させ、前記第2スクリューでの汚泥の圧力が所定の圧力しきい値に達した後、前記第2スクリューの回転速度を前記第2運転速度に戻す。
【0014】
一態様では、前記第2スクリューの回転を停止させている間、または前記第2スクリューを前記第2運転速度よりも低い回転速度で回転させている間、前記第1スクリューを前記第1運転速度よりも高い回転速度に増速させ、前記第2スクリューでの汚泥の圧力が前記所定の圧力しきい値に達した後、前記第1スクリューの回転速度および前記第2スクリューの回転速度を、前記第1運転速度および前記第2運転速度にそれぞれ戻す。
【0015】
一態様では、前記第2スクリューを前記第2運転速度よりも高い回転速度に増速させた後、さらに設定時間が経過したときに、前記第2スクリューの回転を停止させるか、または前記第2スクリューを前記第2運転速度よりも低い回転速度に減速させる。
一態様では、前記設定時間は、前記第2スクリューのスクリュー羽根の巻数と同じ回数だけ前記第2スクリューが回転するのに要する時間以下である。
一態様では、前記第2スクリューの回転を停止させた後、または前記第2スクリューを前記第2運転速度よりも低い回転速度に減速させた後、前記第1スクリューの回転速度を前記第1運転速度に戻す。
一態様では、前記第1スクリューの回転速度を前記第1運転速度に戻した後であって、かつ前記第2スクリューでの汚泥の圧力が所定の圧力しきい値に達した後、前記第2スクリューの回転速度を前記第2運転速度に戻す。
【0016】
一態様では、前記第2スクリューの回転を停止させた後、または前記第2スクリューを前記第2運転速度よりも低い回転速度に減速させた後、前記第1スクリューを前記第1運転速度よりも高い回転速度に増速させる。
一態様では、前記第2スクリューでの汚泥の圧力が前記所定の圧力しきい値に達した後、前記第1スクリューの回転速度および前記第2スクリューの回転速度を、前記第1運転速度および前記第2運転速度にそれぞれ戻す。
【0017】
一態様では、同軸上に配列された第1スクリューおよび第2スクリューを有し、汚泥の移送方向において前記第1スクリューは前記第2スクリューの上流に位置する同軸差動スクリュープレス脱水機の運転方法であって、前記第1スクリューおよび前記第2スクリューを第1運転速度および第2運転速度でそれぞれ回転させることで汚泥を移送し、前記第2スクリューのトルクが所定の第1トルクしきい値以上である状態が所定の第1監視時間経過したときに、前記第2スクリューを徐々に増速し、前記第2スクリューを徐々に増速させている間に、前記第2スクリューのトルクが所定の第2トルクしきい値以上となったとき、前記第1スクリューを前記第1運転速度よりも低い回転速度に減速させるか、または前記第1スクリューの回転を停止させる、運転方法が提供される。
【0018】
一態様では、同軸上に配列された第1スクリューおよび第2スクリューを有し、汚泥の移送方向において前記第1スクリューは前記第2スクリューの上流に位置する同軸差動スクリュープレス脱水機の運転方法であって、前記第1スクリューおよび前記第2スクリューを第1運転速度および第2運転速度でそれぞれ回転させることで汚泥を移送し、前記第2スクリューのトルクが所定の第1トルクしきい値以上である状態が所定の第1監視時間経過したときに、前記第2スクリューを徐々に増速し、前記第2スクリューを徐々に増速させている間に、前記第2スクリューのトルクが前記所定の第1トルクしきい値以上である状態が所定の第2監視時間経過したときに、前記第1スクリューを前記第1運転速度よりも低い回転速度に減速させるか、または前記第1スクリューの回転を停止させる、運転方法が提供される。
【0019】
一態様では、同軸差動スクリュープレス脱水機であって、同軸上に配列された第1スクリューおよび第2スクリューと、前記第1スクリューを回転させる第1スクリューモータと、前記第2スクリューを回転させる第2スクリューモータと、前記第1スクリューモータに可変周波数の電流を供給する第1インバータと、前記第2スクリューモータに可変周波数の電流を供給する第2インバータと、前記第1スクリューおよび前記第2スクリューの動作を制御する動作制御部と、前記第2スクリューでの汚泥の圧力を測定する汚泥圧力測定器を備え、汚泥の移送方向において前記第1スクリューは前記第2スクリューの上流に位置し、前記第2スクリューは、3巻未満のスクリュー羽根を有し、前記動作制御部は、前記第2スクリューのトルクが所定のトルクしきい値以上である状態が所定の監視時間経過したときに、前記第1スクリューを前記第1運転速度よりも低い回転速度に減速させるか、または前記第1スクリューの回転を停止させるように構成されている、同軸差動スクリュープレス脱水機が提供される。
【発明の効果】
【0020】
第1スクリューを減速または停止することで、第2スクリューのトルクを大幅に下げることができる。更にその状態で第2スクリューの回転速度を上げることで、短時間で硬いケーキの排出を行うことができる。また、第2スクリューのトルク低下後に一時的に第2スクリューを停止または減速することで、短時間で含水率の低いケーキを得ることができる。
【0021】
第2スクリューの段階的な増速を行うことで、過トルクリスクを下げつつ、ケーキ含水率を低く保つことが可能となる。更に、第1スクリューの停止または減速を併せることで、第2スクリューのトルクを確実に下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】同軸差動スクリュープレス脱水機の一実施形態を示す断面図である。
図2】同軸差動スクリュープレス脱水機の運転方法の一実施形態を説明するフローチャートである。
図3】同軸差動スクリュープレス脱水機の運転方法の他の実施形態を説明するフローチャートである。
図4】同軸差動スクリュープレス脱水機の運転方法のさらに他の実施形態を説明するフローチャートである。
図5】同軸差動スクリュープレス脱水機の運転方法のさらに他の実施形態を説明するフローチャートである。
図6】同軸差動スクリュープレス脱水機の運転方法のさらに他の実施形態を説明するフローチャートである。
図7】同軸差動スクリュープレス脱水機の運転方法のさらに他の実施形態を説明するフローチャートである。
図8】同軸差動スクリュープレス脱水機の運転方法のさらに他の実施形態を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、同軸差動スクリュープレス脱水機の一実施形態を示す断面図である。図1に示すように、同軸差動スクリュープレス脱水機は、同軸上に配列された第1スクリュー1および第2スクリュー2を有する。より具体的には、スクリュープレス脱水機は、円筒状のろ過筒5と、ろ過筒5内で、該ろ過筒5と同心状に配置され、汚泥を所定の移送方向Dに移送する第1スクリュー1および第2スクリュー2と、第1スクリュー1を回転させる第1スクリューモータ7と、第1スクリュー1とは独立に第2スクリュー2を回転させる第2スクリューモータ8と、第1スクリューモータ7に可変周波数の電流を供給する第1インバータ12と、第2スクリューモータ8に可変周波数の電流を供給する第2インバータ13と、第1スクリュー1および第2スクリュー2の動作を制御する動作制御部10を備えている。第1インバータ12および第2インバータ13は、動作制御部10に電気的に接続されている。
【0024】
動作制御部10は、少なくとも1台のコンピュータから構成されている。例えば、動作制御部10は、エッジサーバおよびクラウドサーバの組み合わせであってもよい。動作制御部10は、プログラムが格納された記憶装置10aと、これらプログラムに含まれる命令に従って演算を実行する演算装置10bを備えている。記憶装置10aは、ランダムアクセスメモリ(RAM)などの主記憶装置と、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)などの補助記憶装置を備えている。演算装置10bの例としては、CPU(中央処理装置)、GPU(グラフィックプロセッシングユニット)が挙げられる。ただし、動作制御部10の具体的構成はこれらの例に限定されない。
【0025】
投入口17からろ過筒5に投入された汚泥は、回転する第1スクリュー1および第2スクリュー2によりろ過筒5内で所定の移送方向Dに移送される。第1インバータ12と第2インバータ13の動作、すなわち第1スクリュー1の回転速度、および第2スクリュー2の回転速度および回転方向は、動作制御部10によって制御される。第1スクリュー1および第2スクリュー2は、同軸上に配列されており、汚泥の移送方向Dにおいて第1スクリュー1は第2スクリュー2の上流に位置する。
【0026】
動作制御部10は、第1インバータ12から第1スクリューモータ7に供給される電流に基づいて、第1スクリュー1のトルクを検出および監視するように構成されている。さらに、動作制御部10は、第2インバータ13から第2スクリューモータ8に供給される電流に基づいて、第2スクリュー2のトルクを検出および監視するように構成されている。一実施形態では、同軸差動スクリュープレス脱水機は、第1スクリュー1のトルクを直接検出するトルク検出器と、第2スクリュー2のトルクを直接検出するトルク検出器を備えてもよい。動作制御部10は、これらのトルク検出器から送られてくるトルク検出信号に基づいて、第1スクリュー1および第2スクリュー2のトルクを監視してもよい。
【0027】
第2スクリュー2は、第1スクリュー1とは独立に回転可能なように、第1スクリュー1に連結されている。第1スクリュー1および第2スクリュー2の全体は、ろ過筒5および排出室18をそれぞれ貫通して延びている。排出室18は、ろ過筒5に接続されている。脱水ケーキは、ろ過筒5から排出室18に排出される。
【0028】
第1スクリュー1は、汚泥の移送方向Dにおける下流側に向かってその径が徐々に大きくなる円錐台形状(テーパ形状)の第1スクリュー軸1Aと、第1スクリュー軸1Aの外面に固定された第1スクリュー羽根1Bとを有している。
【0029】
第2スクリュー2は、円筒形状の第2スクリュー軸2Aと、第2スクリュー軸2Aの外面に固定された第2スクリュー羽根2Bを有している。第2スクリュー2の軸方向の長さは、第1スクリュー1の軸方向の長さよりも短い。さらに、第2スクリュー羽根2Bのピッチは、第1スクリュー羽根1Bのピッチよりも小さい。さらに、第2スクリュー羽根2Bは、その巻数が3巻き未満である。
【0030】
第2スクリュー2の第2スクリュー軸2Aは、第1スクリュー軸1Aと同心状に配置される。第2スクリュー軸2Aの外径は第1スクリュー軸1Aの最大径と同一である。第2スクリュー軸2Aは、排出室18を貫通して延びている。
【0031】
閉塞壁19を貫通して延びる第1スクリュー軸1Aの上流側端部は、軸受21,22により回転可能に支持されている。第1スクリュー軸1Aは、第1スクリュー1を回転させるための第1スクリューモータ7に連結されている。第2スクリュー軸2Aは、第2スクリュー2を回転させるための第2スクリューモータ8に連結されている。
【0032】
本実施形態では、第2スクリュー羽根2Bの巻き方向(すなわち、螺旋方向)は、第1スクリュー羽根1Bの巻き方向とは逆である。したがって、投入口17から投入された汚泥を、排出室18へ送り出すときは、図1に示されるように、第2スクリュー2を第1スクリュー1とは逆方向に回転させる。
【0033】
第2スクリュー羽根2Bの巻き方向を、第1スクリュー羽根1Bの巻き方向と同一にしてもよい。この場合、投入口17から投入された汚泥を、排出室18へ送り出すときは、第2スクリュー2を第1スクリュー1と同方向に回転させることになる。
【0034】
図1に示すように、ろ過筒5は、第1スクリュー1が配置された脱水領域100Aと、第2スクリュー2が配置されたプラグ形成領域100Bとに分割される。脱水領域100Aで汚泥が移送される空間は、ろ過筒5の内面と、第1スクリュー羽根1Bと、第1スクリュー軸1Aとによって形成される。この移送空間の断面積は、汚泥の移送方向Dに沿って漸次減少する。したがって、投入口17から投入された汚泥がこの移送空間を第1スクリュー羽根1Bによって移送されるに従って、汚泥は圧搾され、脱水される。ろ過筒5を通過したろ液は、ろ過筒5の下方に配置されたろ液受け23によって集められる。ろ液受け23には、ドレイン24が接続されており、ろ液受け23によって集められたろ液は、ドレイン24を介してスクリュープレス脱水機から排出される。
【0035】
プラグ形成領域100Bで汚泥が移送される空間は、ろ過筒5の内面と、第2スクリュー羽根2Bと、第2スクリュー軸2Aとによって形成される。図1に示されるように、この移送空間の断面積は一定である。プラグ形成領域100Bでは、脱水領域100Aで脱水された汚泥からなる脱水ケーキによって、プラグケーキが形成される。
【0036】
動作制御部10は、第2スクリュー2を第1スクリュー1の回転方向とは逆方向に回転させ、第2スクリュー羽根2Bによってプラグケーキを少しずつ排出室18に送り出す(すなわち、排出する)。第2スクリュー2上のプラグケーキは、後続の脱水ケーキに背圧を加えながら、第2スクリューモータ8によって回転される第2スクリュー2の第2スクリュー羽根2Bによって排出室18に排出される。
【0037】
動作制御部10は、第2スクリュー2の回転速度を変更することによって、排出室18に排出されるプラグケーキの量を調整することができる。より具体的には、動作制御部10が第2スクリュー2の回転速度を低下させると、プラグケーキの排出量が減少し、動作制御部10が第2スクリュー2の回転速度を増加させると、プラグケーキの排出量が増加する。プラグケーキの排出量が減少すると、後続の脱水ケーキが脱水領域100Aに滞留して、該後続の脱水ケーキに加えられる背圧が増加する。したがって、動作制御部10が第2スクリュー2の回転速度を低下させることにより、後続の脱水ケーキの含水率を低下させることができる。
【0038】
同軸差動スクリュープレス脱水機は、第2スクリュー2での汚泥(または脱水ケーキ)の圧力を測定する汚泥圧力測定器25をさらに備えている。汚泥圧力測定器25は、ろ過筒5内に配置され、第2スクリュー2に隣接している。汚泥圧力測定器25は、動作制御部10に電気的に接続されており、汚泥の圧力の測定値は、動作制御部10に送られる。したがって、動作制御部10は、同軸差動スクリュープレス脱水機の運転中に、第2スクリューでの汚泥の圧力を監視することができる。
【0039】
次に、図1を参照して説明した同軸差動スクリュープレス脱水機の運転方法の一実施形態について図2に示すフローチャートを参照して説明する。
【0040】
ステップ101では、動作制御部10は、同軸差動スクリュープレス脱水機に定常運転を実行させる。具体的には、動作制御部10は、第1インバータ12および第2インバータ13に指令を与えて、第1スクリュー1および第2スクリュー2を第1運転速度および第2運転速度でそれぞれ回転させて、汚泥をろ過筒5内で矢印D(図1参照)で示す方向に移送する。第1スクリュー1および第2スクリュー2の第1運転速度および第2運転速度は、同軸差動スクリュープレス脱水機によって処理すべき汚泥の量に基づいて予め設定される。一例では、第1スクリュー1の第1運転速度は0.3min-1であり、第2スクリュー2の第2運転速度は0.1min-1である。
【0041】
ステップ102では、動作制御部10は、第2スクリュー2のトルクが所定のトルクしきい値以上である状態が所定の監視時間経過したか否かを判定する。トルクしきい値は、同軸差動スクリュープレス脱水機の緊急停止が必要な第2スクリュー2の過トルクよりも低い値である。監視時間は、第2スクリュー2のトルクが一時的に上昇するノイズを排除するために設定される。例えば、監視時間は、20秒である。第2スクリュー2のトルクが所定のトルクしきい値以上である状態が所定の監視時間経過していなければ、処理フローは上記ステップ101に戻る。
【0042】
ステップ103では、動作制御部10は、第2スクリュー2のトルクが所定のトルクしきい値以上である状態が所定の監視時間経過したときに、第1インバータ12に指令を与えて、第1スクリュー1を第1運転速度よりも低い回転速度に減速させるか、または第1スクリュー1の回転を停止させる。このような動作により、第1スクリュー1から第2スクリュー2に送られる汚泥の量が低減される。結果として、第2スクリュー2のトルクを大幅に低下させることができる。
【0043】
ステップ104では、動作制御部10は、上記ステップ103の後(すなわち第1スクリュー1を第1運転速度よりも低い回転速度に減速させ、または第1スクリュー1の回転を停止させた後)、さらに設定時間が経過するまで、第1スクリュー1および第2スクリュー2の状態をそのままに維持する。
ステップ105では、動作制御部10は、上記設定時間が経過したときに、第1インバータ12に指令を与えて第1スクリュー1の回転速度を第1運転速度に戻す。第1スクリュー1は、定常運転に復帰する。
【0044】
第1スクリュー1の回転速度を第1運転速度に戻すと、第2スクリュー2のトルクは高い値に戻ってしまうことがある。このため、第2スクリュー2のトルク、または第2スクリュー2での汚泥圧力に基づいて、第1スクリュー1の回転速度を第1運転速度に戻すタイミングを判断することは難しい。そこで、本実施形態では、上記設定時間は、第2スクリュー2のスクリュー羽根2Bの巻数と同じ回数だけ第2スクリュー2が回転するのに要する時間以下とされる。例えば、第2スクリュー2のスクリュー羽根2Bの巻数が2であれば、上記設定時間は、第2スクリュー2が0.5~2回だけ回転するのに要する時間である。第2スクリュー2が0.5~2回回転すれば、第1スクリュー1と第2スクリュー2との境界領域での汚泥は十分に減ると予想される。したがって、上記設定時間が経過したときに、第1スクリュー1の回転速度を第1運転速度に戻すことで、第2スクリュー2の過トルクのリスクを十分に低下させることができる。
【0045】
ただし、運転データを蓄積することで、第2スクリュー2のトルク、または第2スクリュー2での汚泥圧力に基づいて、第1スクリュー1の回転速度を第1運転速度に戻す最適なタイミングを決定することは可能である。そこで、一実施形態では、上記ステップ103で第1スクリュー1の回転速度を低下させた後、または第1スクリュー1の回転を停止させた後であって、かつ第2スクリュー2での汚泥の圧力が所定の圧力しきい値以下であるときに、動作制御部10は、第1スクリュー1の回転速度を第1運転速度に戻してもよい。他の実施形態では、上記ステップ103で第1スクリュー1の回転速度を低下させた後、または第1スクリュー1の回転を停止させた後であって、第2スクリュー2のトルクが所定の許容値以下であるときに、動作制御部10は、第1スクリュー1の回転速度を第1運転速度に戻してもよい。
【0046】
第1スクリュー1の回転速度を第1運転速度に戻した直後には、第2スクリュー2の周囲のケーキ含水率は高くなってしまう。そこで、ステップ106では、第1スクリュー1の回転速度を第1運転速度に戻した後に、動作制御部10は、第2インバータ13に指令を与えて、第2スクリュー2の回転を停止させるか、または第2スクリュー2を第2運転速度よりも低い回転速度に減速させる。このような動作により、第2スクリュー2での汚泥の圧力が上昇し、短時間で脱水ケーキの含水率を低下させることができる。
【0047】
動作制御部10は、第2スクリュー2での汚泥の圧力が所定の圧力しきい値に達した後に、第2スクリュー2の回転速度を第2運転速度に戻す。
具体的には、ステップ107では、動作制御部10は、図1に示す汚泥圧力測定器25によって測定された第2スクリュー2での汚泥の圧力を所定の圧力しきい値と比較し、第2スクリュー2での汚泥の圧力が所定の圧力しきい値以上か否かを判定する。
ステップ108では、第2スクリュー2での汚泥の圧力が所定の圧力しきい値以上であれば、動作制御部10は、第2インバータ13に指令を与えて、第2スクリュー2の回転速度を第2運転速度に戻す。
【0048】
次に、図1を参照して説明した同軸差動スクリュープレス脱水機の運転方法の他の実施形態について図3に示すフローチャートを参照して説明する。図3に示すフローチャートのステップ201~206は、図2を参照して説明した上記ステップ101~106と同じであるので、その重複する説明を省略する。
【0049】
本実施形態では、第2スクリュー2の回転を停止させている間、または第2スクリュー2を第2運転速度よりも低い回転速度で回転させている間、第1スクリュー1を第1運転速度よりも高い回転速度に増速させ、さらに第1スクリュー1の回転速度を第1運転速度に戻す。
【0050】
具体的には、上記ステップ206にて第2スクリュー2の回転を停止させるか、または第2スクリュー2を第2運転速度よりも低い回転速度に減速させた後、ステップ207では、動作制御部10は、第1インバータ12に指令を与えて、第1スクリュー1を第1運転速度よりも高い回転速度に増速させる。
ステップ208では、動作制御部10は、図1に示す汚泥圧力測定器25によって測定された第2スクリュー2での汚泥の圧力を所定の圧力しきい値と比較し、第2スクリュー2での汚泥の圧力が所定の圧力しきい値以上か否かを判定する。
ステップ209では、第2スクリュー2での汚泥の圧力が所定の圧力しきい値以上であれば、動作制御部10は、第1インバータ12および第2インバータ13に指令を与えて、第1スクリュー1の回転速度を第1運転速度に戻し、第2スクリュー2の回転速度を第2運転速度に戻す。第1スクリュー1の回転速度および第2スクリュー2の回転速度は、同時に第1運転速度および第2運転速度に戻してもよいし、異なるタイミングで第1運転速度および第2運転速度に戻してもよい。
【0051】
上記ステップ207~209の動作により、第2スクリュー2が停止または減速を行っている際に、第1スクリュー1の増速を行うことで、第2スクリュー2での汚泥の圧力を短時間で上昇させることができる。
【0052】
次に、図1を参照して説明した同軸差動スクリュープレス脱水機の運転方法のさらに他の実施形態について図4に示すフローチャートを参照して説明する。図4に示すフローチャートのステップ301~303は、図2を参照して説明した上記ステップ101~103と同じであるので、その重複する説明を省略する。
【0053】
ステップ303で第1スクリュー1を第1運転速度よりも低い回転速度に減速させた後、または第1スクリュー1の回転を停止させた後に、動作制御部10は、ステップ304にて、第2インバータ13に指令を与えて、第2スクリュー2を第2運転速度よりも高い回転速度に増速させる。第2スクリュー2を増速することで、汚泥の排出が促進されるので、第2スクリュー2のトルクを短時間で低下させることができる。
【0054】
ステップ305では、第2スクリュー2を第2運転速度よりも高い回転速度に増速させた後、さらに設定時間が経過するまで、動作制御部10は、第1スクリュー1および第2スクリュー2の状態をそのままに維持する。本実施形態では、設定時間は、第2スクリュー2のスクリュー羽根の巻数と同じ回数だけ第2スクリュー2が回転するのに要する時間以下である。例えば、第2スクリュー2のスクリュー羽根の巻数が2であれば、上記設定時間は、第2スクリュー2が0.5~2回だけ回転するのに要する時間である。
【0055】
ステップ306では、動作制御部10は、上記設定時間が経過したときに、第2インバータ13に指令を与えて第2スクリュー2の回転速度を第2運転速度に戻す。
ステップ307では、第2スクリュー2の回転速度を第2運転速度に戻した後、動作制御部10は、第1インバータ12に指令を与えて第1スクリュー1の回転速度を第1運転速度に戻す。第1スクリュー1は、定常運転に復帰する。第2スクリュー2の回転速度を第2運転速度に戻した後に、第1スクリュー1の回転速度を第1運転速度に戻す理由は、脱水ケーキの含水率の低下を防ぐためである。
【0056】
ステップ308~ステップ310は、図2を参照して説明した上記ステップ106~108と同じであるので、その重複する説明を省略する。
【0057】
図5は、図3を参照して説明した実施形態と、図4を参照して説明した実施形態とを組み合わせた一実施形態を示すフローチャートである。より具体的には、図5のステップ401~408は、図4のステップ301~308に相当し、図5のステップ409~411は、図3のステップ207~209に相当する。
【0058】
次に、図1を参照して説明した同軸差動スクリュープレス脱水機の運転方法のさらに他の実施形態について図6に示すフローチャートを参照して説明する。図6に示すフローチャートのステップ501~505は、図4を参照して説明した上記ステップ301~305と同じであるので、その重複する説明を省略する。
【0059】
ステップ505の設定時間が経過したとき、ステップ506では、動作制御部10は、第2インバータ13に指令を与えて、第2スクリュー2の回転を停止させるか、または第2スクリュー2を第2運転速度よりも低い回転速度に減速させる。このような動作により、第2スクリュー2での汚泥の圧力が上昇し、短時間で脱水ケーキの含水率を低下させることができる。
ステップ507では、動作制御部10は、第1インバータ12に指令を与えて、第1スクリュー1の回転速度を第1運転速度に戻す。
【0060】
ステップ508およびステップ509では、第2スクリュー2での汚泥の圧力が所定の圧力しきい値に達した後、動作制御部10は、第2インバータ13に指令を与えて、第2スクリュー2の回転速度を第2運転速度に戻す。
具体的には、ステップ508では、動作制御部10は、図1に示す汚泥圧力測定器25によって測定された第2スクリュー2での汚泥の圧力を所定の圧力しきい値と比較し、第2スクリュー2での汚泥の圧力が所定の圧力しきい値以上か否かを判定する。
ステップ509では、第2スクリュー2での汚泥の圧力が所定の圧力しきい値以上であれば、動作制御部10は、第2インバータ13に指令を与えて、第2スクリュー2の回転速度を第2運転速度に戻す。
【0061】
図7は、図3を参照して説明した実施形態と、図6を参照して説明した実施形態とを組み合わせた一実施形態を示すフローチャートである。より具体的には、図7のステップ601~606は、図6のステップ501~506に相当し、図7のステップ607~609は、図3のステップ207~209に相当する。
【0062】
次に、図1を参照して説明した同軸差動スクリュープレス脱水機の運転方法のさらに他の実施形態について図8に示すフローチャートを参照して説明する。この実施形態では、上述した実施形態における第1スクリュー1の減速または停止の前に、第2スクリュー2を増速させる。すなわち、第2スクリュー2のトルクが上昇しているときに、最初に第2スクリュー2を徐々に増速させる。第2スクリュー2を徐々に増速させる間に、第2スクリュー2のトルクが上昇傾向にあるときは、図2乃至図7を参照して説明した実施形態のいずれかに従って、第1スクリュー1を減速させるか、または第1スクリュー1の回転を停止させる。第2スクリュー2を徐々に増速させる理由は、第2スクリュー2を増速させた直後は、第2スクリューモータ8に一時的に大きな負荷が加わり、第2スクリュー2の過トルクが生じやすいからである。第2スクリュー2を徐々に増速させることで、第2スクリューモータ8への一時的な過負荷を低減することができる。以下、本実施形態について詳細に説明する。
【0063】
ステップ701では、動作制御部10は、同軸差動スクリュープレス脱水機に定常運転を実行させる。具体的には、動作制御部10は、第1インバータ12および第2インバータ13に指令を与えて、第1スクリュー1および第2スクリュー2を第1運転速度および第2運転速度でそれぞれ回転させて、汚泥をろ過筒5内で矢印D(図1参照)で示す方向に移送する。第1スクリュー1および第2スクリュー2の第1運転速度および第2運転速度は、同軸差動スクリュープレス脱水機によって処理すべき汚泥の量に基づいて予め設定される。一例では、第1スクリュー1の第1運転速度は0.3min-1であり、第2スクリュー2の第2運転速度は0.1min-1である。
【0064】
ステップ702では、動作制御部10は、第2スクリュー2のトルクが所定の第1トルクしきい値MH以上である状態が所定の第1監視時間T1を経過したか否かを判定する。第1トルクしきい値MHは、同軸差動スクリュープレス脱水機の緊急停止が必要な第2スクリュー2の過トルクよりも低い値である。第1監視時間T1は、第2スクリュー2のトルクが一時的に上昇するノイズを排除するために設定される。例えば、監視時間は、20秒である。第2スクリュー2のトルクが第1トルクしきい値MH以上である状態が第1監視時間T1を経過していなければ、処理フローは上記ステップ701に戻る。
【0065】
ステップ703では、第2スクリュー2のトルクが所定の第1トルクしきい値MH以上である状態が所定の第1監視時間T1を経過したときに、動作制御部10は、第2スクリュー2の現在の回転速度を増加させる。具体的には、動作制御部10は、第2インバータ13に指令を与えて、第2スクリュー2の現在の回転速度Rに増加分rを加えた回転速度で第2スクリュー2を回転させる。
【0066】
ステップ704では、動作制御部10は、第2スクリュー2のトルクが所定の第2トルクしきい値H以上であるか否かを判定する。第2トルクしきい値Hは、第1トルクしきい値MHよりも大きい。第2スクリュー2のトルクが所定の第2トルクしきい値H以上ということは、第2スクリュー2のトルクが上昇傾向にあることを意味する。そこで、第2スクリュー2のトルクが所定の第2トルクしきい値H以上であれば、動作制御部10は、第1インバータ12に指令を与えて、第1スクリュー1を第1運転速度よりも低い回転速度に減速させるか、または第1スクリュー1の回転を停止させる。より具体的には、処理フローは、上述した実施形態のステップ103,203,303,403,503,603のいずれかに移行し、動作制御部10は図2乃至図7を参照して説明した実施形態のいずれかの処理フローに従って制御動作を実行する。
【0067】
第2スクリュー2のトルクが第2トルクしきい値Hを超えていなければ、ステップ705において、動作制御部10は、第2スクリュー2のトルクが上記第1トルクしきい値MH以上である状態が所定の第2監視時間T2を経過したか否かを判定する。第2監視時間T2は、上記ステップ702の監視時間T1よりも長い。例えば、第2監視時間T2は120秒である。第2スクリュー2のトルクが上記第1トルクしきい値MH以上である状態が所定の第2監視時間T2を経過したということは、第2スクリュー2のトルクが上昇傾向にあることを意味する。そこで、第2スクリュー2のトルクが所定の第1トルクしきい値MH以上である状態が所定の第2監視時間T2を経過したときは、動作制御部10は、第1インバータ12に指令を与えて、第1スクリュー1を第1運転速度よりも低い回転速度に減速させるか、または第1スクリュー1の回転を停止させる。具体的には、上記ステップ704のYESの場合と同様に、処理フローは、上述した実施形態のステップ103,203,303,403,503,603のいずれかに移行し、動作制御部10は図2乃至図7を参照して説明した実施形態のいずれかの処理フローに従って制御動作を実行する。
【0068】
第2スクリュー2のトルクが上記第1トルクしきい値MH以上である状態が所定の第2監視時間T2を経過していなければ、ステップ706において、動作制御部10は、第2スクリュー2のトルクが所定の第3トルクしきい値M以下である状態が所定の第3監視時間T3を経過したか否かを判定する。第3トルクしきい値Mは、第1トルクしきい値MHおよび第2トルクしきい値Hよりも小さい。第3監視時間T3は、第1監視時間T1または第2監視時間T2よりも短い。例えば、第3監視時間T3は、5秒である。
【0069】
第2スクリュー2のトルクが所定の第3トルクしきい値M以下である状態が所定の第3監視時間T3を経過したときは、処理フローは上記ステップ701に戻る。第2スクリュー2の回転速度Rは、初期速度R0にリセットされてもよい。
第2スクリュー2のトルクが所定の第3トルクしきい値M以下である状態が所定の第3監視時間T3を経過していないときは、処理フローは上記ステップ703に戻る。動作制御部10は、第2スクリュー2の現在の回転速度Rに増加分rをさらに加算することで、第2スクリュー2の回転速度を更新する。そして、動作制御部10は、第2インバータ13に指令を与えて、第2スクリュー2を更新された回転速度(すなわちより高い回転速度)で第2スクリュー2を回転させる。
【0070】
このように、第2スクリュー2は徐々に(本実施形態では段階的に)増速されるので、第2スクリュー2の増速直後に第2スクリュー2が一時的に過トルクとなることを防止することができる。第2スクリュー2が徐々に増速される間に第2スクリュー2のトルクが増加傾向にある場合には、第1スクリュー1が減速または停止されるので、第2スクリュー2の過トルクを確実に防止することができる。
【0071】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうる。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。
【符号の説明】
【0072】
1 第1スクリュー
1A 第1スクリュー軸
1B 第1スクリュー羽根
2 第2スクリュー
2A 第2スクリュー軸
2B 第2スクリュー羽根
5 ろ過筒
7 第1スクリューモータ
8 第2スクリューモータ
10 動作制御部
12 第1インバータ
13 第2インバータ
17 投入口
18 排出室
19 閉塞壁
21,22 軸受
23 ろ液受け
24 ドレイン
25 汚泥圧力測定器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8