(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022861
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 10/00 20180101AFI20240214BHJP
【FI】
G16H10/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022126272
(22)【出願日】2022-08-08
(71)【出願人】
【識別番号】514020389
【氏名又は名称】TIS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】染谷 真吾
(72)【発明者】
【氏名】菊地 英輔
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA15
(57)【要約】
【課題】企業を介して複数のアプリケーションを従業員が利用可能である場合に、より適切なアプリケーションを従業員が選択する可能性を向上させる。
【解決手段】健康に関するM個(M≧2)のアプリケーションのうち、特定の団体のN名(N≧1)の構成員それぞれにより選択されたアプリケーションを前記構成員による利用が可能な状態にするサービスに関する情報処理装置は、前記N名の構成員の前記M個のアプリケーションの利用状態を取得する取得部と、前記M個のアプリケーションの前記N名の構成員の利用状態に基づき、前記M個のアプリケーションのうちの少なくともいずれかのアプリケーションを選択する選択部と、前記選択部により選択されたアプリケーションの利用を促進するための行動、または、抑制するための行動を、前記特定の団体または前記N名の構成員に提案する通知部と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
健康に関するM個(M≧2)のアプリケーションのうち、特定の団体のN名(N≧1)の構成員それぞれにより選択されたアプリケーションを前記構成員による利用が可能な状態にするサービスに関する情報処理装置であって、
前記N名の構成員の前記M個のアプリケーションの利用状態を取得する取得部と、
前記M個のアプリケーションの前記N名の構成員の利用状態に基づき、前記M個のアプリケーションのうちの少なくともいずれかのアプリケーションを選択する選択部と、
前記選択部により選択されたアプリケーションの利用を促進するための行動、または、抑制するための行動を、前記特定の団体または前記N名の構成員に提案する通知部と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
アプリケーションの利用とは、前記アプリケーションのうちの前記サービスと連携した機能の利用である、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記N名の構成員とは、2名以上の構成員であって、
前記選択部は、前記N名の構成員のうちの特定の割合未満の構成員が利用可能な状態にあるアプリケーションを第1のアプリケーションとして選択し、
前記通知部は、前記第1のアプリケーションの利用を促進するための行動、または、抑制するための行動を、前記特定の団体に提案する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記通知部は、前記第1のアプリケーションを利用している複数の構成員の健康改善の効果指標の代表値に応じた行動を、前記特定の団体に提案する、
ことを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記通知部は、前記複数の構成員の健康改善の効果指標の代表値が特定の基準以上である場合には、前記第1のアプリケーションの利用を前記N名の構成員に促すことを前記特定の団体に提案する、
ことを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
各構成員は、選択したアプリケーションに設定されたポイントを、予め前記構成員に付与されたポイントから消費することによって、前記アプリケーションを利用可能になり、
前記複数の構成員の健康改善の効果指標の代表値が前記特定の基準以上である場合に、前記第1のアプリケーションに設定されたポイントを低減させる制御部をさらに有する、ことを特徴とする請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記通知部は、前記複数の構成員の健康改善の効果指標の代表値が特定の基準未満である場合には、前記N名の構成員それぞれが前記第1のアプリケーションを利用可能でない状態にすることを、前記特定の団体に提案する、
ことを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記N名の構成員とは、1名の特定の構成員であり、
前記通知部は、前記選択部により選択されたアプリケーションの利用を促進するための行動、または、抑制するための行動を、前記特定の構成員に提案する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記選択部は、前記特定の構成員が利用しているアプリケーションの利用状態に基づき前記特定の構成員の嗜好を解析して、前記嗜好に基づき前記M個のアプリケーションのう
ちの少なくともいずれかのアプリケーションを選択し、
前記通知部は、前記選択部により選択されたアプリケーションを利用することを、前記特定の構成員に提案する、
ことを特徴とする請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
健康に関するM個(M≧2)のアプリケーションのうち、特定の団体のN名(N≧1)の構成員それぞれにより選択されたアプリケーションを前記構成員による利用が可能な状態にするサービスに関する情報処理方法であって、
前記N名の構成員の前記M個のアプリケーションの利用状態を取得する取得ステップと、
前記M個のアプリケーションの前記N名の構成員の利用状態に基づき、前記M個のアプリケーションのうちの少なくともいずれかのアプリケーションを選択する選択ステップと、
前記選択ステップにおいて選択されたアプリケーションの利用を促進するための行動、または、抑制するための行動を、前記特定の団体または前記N名の構成員に提案する通知ステップと、
を有することを特徴とするコンピュータが実行する情報処理方法。
【請求項11】
請求項10に記載の情報処理方法の各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、人の健康を促進するための取り組みが活発化している。特許文献1では、ユーザの健康関連情報に基づき複数の健康指標に関する分析結果を特定して、健康状態の改善に努めるように促すアドバイスをユーザに行う情報処理方法が開示されている。
【0003】
また、企業では、従業員の健康を促進するために、健康に関する複数のアプリケーション(以下、「ヘルスケアアプリ」と呼ぶ)の中から従業員が任意に選択したものを利用可能にするサービスが提供されることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、各ヘルスケアアプリの効果を各従業員が把握することは現実的ではないため、各従業員は、複数のヘルスケアアプリのうちのいずれを利用したら、自身の健康促進に効果的であるのかを把握できない場合がある。また、企業にとっても、企業全体として従業員の健康促進をするために提案すべきヘルスケアアプリ(または提案すべきでないヘルスケアアプリ)を把握できない場合がある。
【0006】
特許文献1では、食事、運動、運動器具の購入、または飲食品の購入などに関するアドバイスが行われることの開示はあるが、このアドバイスに従った行動をするために好適なヘルスケアアプリを従業員は把握できない。このため、従業員は、健康を促進するために効果的なヘルスケアアプリを適切に選択できない場合があった。
【0007】
そこで、本発明は、企業を介して複数のアプリケーションを従業員が利用可能である場合に、より適切なアプリケーションを従業員が選択する可能性を向上させる技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1つの態様は、
健康に関するM個(M≧2)のアプリケーションのうち、特定の団体のN名(N≧1)の構成員それぞれにより選択されたアプリケーションを前記構成員による利用が可能な状態にするサービスに関する情報処理装置であって、
前記N名の構成員の前記M個のアプリケーションの利用状態を取得する取得部と、
前記M個のアプリケーションの前記N名の構成員の利用状態に基づき、前記M個のアプリケーションのうちの少なくともいずれかのアプリケーションを選択する選択部と、
前記選択部により選択されたアプリケーションの利用を促進するための行動、または、抑制するための行動を、前記特定の団体または前記N名の構成員に提案する通知部と、
を有することを特徴とする情報処理装置である。
【0009】
これによれば、特定の団体またはN名の構成員は、特定のアプリケーションの利用を促進するための行動、または、抑制するための行動を行う必要性があることを容易に把握す
ることができる。このため、特定の団体またはN名の構成員が提案された行動を行うことによって、情報処理装置により選択されたアプリケーションの利用を促進し、または、抑制される結果、N名の構成員が、より適切なアプリケーションを選択できるようになる。なお、アプリケーションとは、各従業員の端末にインストールして利用されるアプリケーションであってもよいし、各従業員の端末にインストールすることなくウェブサイト上で動作するようなアプリケーション(WEBアプリケーション)であってもよい。
【0010】
上記の情報処理装置において、アプリケーションの利用とは、前記アプリケーションのうちの前記サービスと連携した機能の利用であってもよい。
【0011】
上記の情報処理装置において、前記N名の構成員とは、2名以上の構成員であって、前記選択部は、前記N名の構成員のうちの特定の割合未満の構成員が利用可能な状態にあるアプリケーションを第1のアプリケーションとして選択し、前記通知部は、前記第1のアプリケーションの利用を促進するための行動、または、抑制するための行動を、前記特定の団体に提案してもよい。これによれば、特定の団体は、利用率の低いアプリケーションの利用を促進するための行動、または、抑制するための行動をする必要性を容易に把握することができる。
【0012】
上記の情報処理装置において、前記通知部は、前記第1のアプリケーションを利用している複数の構成員の健康改善の効果指標の代表値に応じた行動を、前記特定の団体に提案してもよい。
【0013】
上記の情報処理装置において、前記通知部は、前記複数の構成員の健康改善の効果指標の代表値が特定の基準以上である場合には、前記第1のアプリケーションの利用を前記N名の構成員に促すことを前記特定の団体に提案してもよい。提案された行動を特定の団体が行えば、N名の従業員は、健康改善に効果的なアプリケーションを容易に把握することが可能になるため、より適切なアプリケーションを選択できるようになる。
【0014】
上記の情報処理装置において、各構成員は、選択したアプリケーションに設定されたポイントを、予め前記構成員に付与されたポイントから消費することによって、前記アプリケーションを利用可能になり、前記複数の構成員の健康改善の効果指標の代表値が前記特定の基準以上である場合に、前記第1のアプリケーションに設定されたポイントを低減させる制御部をさらに有していてもよい。これによれば、提案された行動を特定の団体が行った場合には、N名の構成員は、少ないポイント消費で第1のアプリケーションの利用が可能になる。このため、N名の構成員の第1のアプリケーションを利用する意欲がより高まり、N名の構成員は、より適切なアプリケーションを選択することが可能になる。
【0015】
上記の情報処理装置において、前記通知部は、前記複数の構成員の健康改善の効果指標の代表値が特定の基準未満である場合には、前記N名の構成員それぞれが前記第1のアプリケーションを利用可能でない状態にすることを、前記特定の団体に提案してもよい。提案された行動を特定の団体が行えば、N名の従業員は、健康改善に効果的でないアプリケーションを利用(選択)できないようになるため、他のより適切なアプリケーションを選択できるようになる。
【0016】
上記の情報処理装置において、前記N名の構成員とは、1名の特定の構成員であり、前記通知部は、前記選択部により選択されたアプリケーションの利用を促進するための行動、または、抑制するための行動を、前記特定の構成員に提案してもよい。これによれば、特定の構成員は、特定のアプリケーションの利用を促進するための行動、または、抑制するための行動をする必要性を容易に把握することができる。
【0017】
上記の情報処理装置において、前記選択部は、前記特定の構成員が利用しているアプリケーションの利用状態に基づき前記特定の構成員の嗜好を解析して、前記嗜好に基づき前記M個のアプリケーションのうちの少なくともいずれかのアプリケーションを選択し、前記通知部は、前記選択部により選択されたアプリケーションを利用することを、前記特定の構成員に提案してもよい。これによれば、特定の構成員は、自身の嗜好に応じた適切なアプリケーションの利用が提案されるため、より適切なアプリケーションを選択することが可能になる。
【0018】
なお、本発明は、上述した機能および処理の少なくとも一部を含む情報処理方法、情報処理システム、支援装置、支援方法、通知装置、通知方法、電子機器、電子機器の制御方法、サーバ、またはサーバの制御方法と捉えることができる。また、本発明は、情報処理装置の各部(情報処理方法の各ステップ)をコンピュータに実行させるプログラム、または、当該プログラムを非一時的に記憶した記憶媒体などとして捉えることもできる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、企業を介して複数のアプリケーションを従業員が利用可能である場合に、より適切なアプリケーションを従業員が選択する可能性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る支援システムの概要図である。
【
図2】
図2は、実施形態1に係るヘルスケアアプリの設定処理のフローチャートである。
【
図3】
図3は、実施形態1に係る連携停止の処理のフローチャートである。
【
図4】
図4は、実施形態1に係るデータ連携処理のフローチャートである。
【
図5】
図5は、実施形態1に係るデータ連携の例を説明する図である。
【
図6】
図6は、実施形態1に係る情報処理装置の内部構成図である。
【
図7】
図7は、実施形態1に係る通知処理のフローチャートである。
【
図8】
図8は、実施形態2に係る通知処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る実施形態を、添付の図面を参照して説明する。なお、各実施形態は矛盾の生じない限り任意に組み合わせることが可能である。
【0022】
<実施形態1>
以下では、実施形態1に係る支援システム1(情報処理システム)について説明する。支援システム1は、企業(団体;提供者)が、企業に属する複数の従業員(構成員;利用者)に対して健康に関するアプリケーション(ヘルスケアアプリ)を提供するサービス(以下、「カフェテリアサービス」と呼ぶ)を支援するシステムである。ヘルスケアアプリとは、例えば、健康状態などの健康に関する事項の管理(測定または記録など)をするアプリケーションである。具体的には、ヘルスケアアプリとは、従業員の食事、運動、睡眠、精神状態または体組成(体脂肪率、筋肉量、基礎代謝量、内臓脂肪レベル、推定骨量、または体水分率など)などの管理をするアプリケーションである。なお、アプリケーションとは、実施形態1では、各従業員の端末にインストールして利用されるアプリケーションであるとする。しかし、アプリケーションとは、各従業員の端末にインストールすることなくウェブサイト上で動作するようなアプリケーション(WEBアプリケーション)であってもよい。
【0023】
ここで、各従業員は、企業が予め登録した複数のヘルスケアアプリの中から1または複数のヘルスケアアプリを選択することによって、選択した1または複数のヘルスケアアプリの特定の機能(有料機能)を利用することが可能になる。また、企業は、予め特定のプ
ラットフォーム上に登録されたM個(M≧2)のヘルスケアアプリのうちから、従業員が選択可能なアプリケーション(以下、「登録アプリ」と呼ぶ)として複数のヘルスケアアプリを登録しておくことができる。
【0024】
実施形態1では、支援システム1は、N名(N≧2)の従業員のヘルスケアアプリの利用状態に基づきM個のヘルスケアアプリのいずれかを選択して、選択したヘルスケアアプリの利用を促進し、または、抑制するための通知(利用を調整するための通知)を、企業に通知する。選択したヘルスケアアプリの利用を促進し、または、抑制するための通知とは、N名の従業員(構成員)によるヘルスケアアプリ(利用するヘルスケアアプリ)の選択に関する行動を提案(推奨)する通知である。例えば、この通知は、ヘルスケアアプリを登録アプリとして登録することを企業に提案する通知、または、ヘルスケアアプリの利用を従業員に促すことを企業に提案する通知などである。
【0025】
これによれば、企業は、どのアプリケーションに対してどのような行動をとればよいのかを容易に把握することができる。このため、企業は、より適切に、従業員の健康促進にとって効果的なヘルスケアアプリを登録アプリとして登録したり、逆に健康促進にとって効果的でないヘルスケアアプリを登録アプリから外したりすることができる。つまり、N名の従業員は、健康促進にとって、より効果的なヘルスケアアプリの中から、自身が利用するヘルスケアアプリを選択することができる。
【0026】
(支援システムの概要)
図1を参照して、支援システム1の概要を説明する。支援システム1は、情報処理装置10、企業端末20、複数の従業員端末30、複数の運営会社サーバ40を有する。これらの構成は、ネットワーク50を介して、互いに通信可能である。
【0027】
情報処理装置10は、従業員に対してカフェテリアサービスを提供する。情報処理装置10には、予めM個(M≧2)のヘルスケアアプリが登録されている。企業は、M個のヘルスケアアプリの中から任意に登録アプリを決定することができる。情報処理装置10は、例えば、サーバなどの電子機器である。
【0028】
企業端末20は、カフェテリアサービスに関する設定を企業が行うための端末である。企業端末20は、企業による指示に従って、情報処理装置10に登録されたM個のヘルスケアアプリの中から、任意の数のヘルスケアアプリを登録アプリとして登録する。このため、複数の企業がカフェテリアサービスを利用する場合には、企業ごとに登録アプリが異なる。企業端末20は、PC(パーソナルコンピュータ)、スマートフォン、またはタブレット端末などの電子機器である。
【0029】
従業員端末30は、ヘルスケアアプリを各従業員が利用するために用いる端末である。各従業員は、自身が有する従業員端末30を用いて複数の登録アプリから任意の登録アプリを選択して、選択した登録アプリを自身が利用可能な状態に設定する。従業員端末30は、PC(パーソナルコンピュータ)、スマートフォン、またはタブレット端末などの電子機器である。なお、実施形態1では、登録アプリの利用とは、特段の説明がない限り、登録アプリのうちの特定の機能(有料機能;カフェテリアサービスと連携した機能)の利用であるとするが、登録アプリのうちのいずれかの機能の利用であってもよい。このため、登録アプリが利用可能な状態とは、登録アプリのうちの特定の機能が利用可能な状態のことであるとするが、登録アプリのうちのいずれかの機能が利用可能な状態であってもよい。
【0030】
運営会社サーバ40は、各ヘルスケアアプリを提供する運営会社が有するサーバである。運営会社サーバ40は、ネットワーク50を介して、対応するヘルスケアアプリのサー
ビス(機能)を、当該ヘルスケアアプリを利用する従業員の従業員端末30に提供する。
【0031】
なお、従業員端末30におけるヘルスケアアプリに格納されたデータ(ヘルスケアアプリによって測定されたデータ)は、ネットワーク50を介して、当該ヘルスケアアプリを提供する運営会社の運営会社サーバ40および情報処理装置10に送信される。これによって、情報処理装置10は、各従業員の各ヘルスケアアプリの利用状態(利用状況)を把握することができる。
【0032】
(ヘルスケアアプリの設定処理)
図2のフローチャートを参照して、支援システム1において、或る1人の従業員(以下、「ユーザ」と呼ぶ)が1個のヘルスケアアプリを利用可能な状態に設定する処理について説明する。なお、
図2のフローチャートの開始時点において、ユーザの従業員端末30には、カフェテリアサービスを利用するためのアプリケーション(以下、「カフェテリアアプリ」と呼ぶ)が導入されている(インストールされている)ものとする。
【0033】
ステップS1001において、従業員端末30は、ユーザがカフェテリアアプリのログインを行ったか否かを判定する。カフェテリアアプリのログインが行われていないと判定された場合には、ステップS1001の処理が繰り返される。カフェテリアアプリのログインが行われていたと判定された場合には、ステップS1002において、従業員端末30は、カフェテリアアプリにおいて、ユーザが現在の健康状態において不調に感じるカテゴリ(不調カテゴリ)を選択するための選択画面を表示する。カテゴリとは、例えば、血圧、体重、体脂肪、または尿酸値などのユーザが気になる可能性のある健康に関する項目である。
【0034】
ステップS1003において、従業員端末30は、ユーザがいずれかの不調カテゴリを選択したか否かを判定する。不調カテゴリが選択されていないと判定された場合には、ステップS1003の処理が繰り返される。不調カテゴリが選択されたと判定された場合には、選択された不調カテゴリを従業員端末30が情報処理装置10に通知した後に、ステップS1004に進む。
【0035】
なお、ステップS1003において、従業員端末30は、ユーザの操作によらずに、ユーザの健康状態に基づき(例えば、AIなどを用いて)、不調カテゴリを選択してもよい。例えば、従業員端末30は、ユーザの健康診断の結果などを参照して、ユーザの測定値が他の従業員の測定値の平均値よりも一定以上劣っているカテゴリを不調カテゴリとして選択する。
【0036】
ステップS1004において、情報処理装置10は、選択された不調カテゴリに関連するヘルスケアアプリの一覧(登録アプリに含まれるヘルスケアアプリの一覧)を従業員端末30に通知する。その後、ステップS1005において、従業員端末30は、通知されたヘルスケアアプリの一覧を表示する。なお、従業員端末30は、ユーザからの操作に応じて、ヘルスケアアプリの一覧の表示を、ヘルスケアアプリ個々の詳細情報の表示に切り替えてもよい。
【0037】
ステップS1006において、従業員端末30は、ヘルスケアアプリ(ユーザが利用を希望するヘルスケアアプリ)をユーザが選択したか否かを判定する。ヘルスケアアプリが選択されていないと判定された場合には、ステップS1006の処理が繰り返される。ヘルスケアアプリが選択されたと判定された場合には、ステップS1007にて、従業員端末30は、選択されたヘルスケアアプリ(以下、「選択アプリ」と呼ぶ)をダウンロードする(インストールする)。そして、ステップS1008にて、従業員端末30は、選択アプリのアカウントを登録して、その選択アプリの運営会社サーバ40にアカウントを通
知する。このとき、従業員端末30は、ユーザの操作に応じてアカウントを登録してもよいし、従業員端末30に格納されている情報に応じてアカウントを登録してもよい。なお、実施形態1では、アカウントが登録されると、ユーザは、従業員端末30を用いて、選択アプリの無料機能(無料で提供されている機能)を利用することが可能になる。
【0038】
ステップS1009において、従業員端末30は、選択アプリとカフェテリアサービス(カフェテリアアプリ)とをユーザに関して連携させるための設定を行う。例えば、従業員端末30は、選択アプリとカフェテリアサービスとを連携させることについての同意をユーザから得る。ステップS1010において、選択アプリの運営会社サーバ40は、ユーザのアカウントを認証する。ステップS1011において、運営会社サーバ40は、選択アプリとカフェテリアサービス(カフェテリアアプリ)とをユーザに関して連携させるための情報(連携情報)を情報処理装置10に提供する。ステップS1012において、情報処理装置10は、連携情報に基づき、選択アプリとカフェテリアサービスとをユーザに関して連携させる。
【0039】
ステップS1013において、従業員端末30は、選択アプリの有料機能の利用の申し込みを運営会社サーバ40(選択アプリの運営会社サーバ40)に対して行う。ステップS1014において、情報処理装置10は、カフェテリアサービスにおいて利用可能なポイント(利用ポイント)が不足しているか否かを判定する。実施形態1では、ユーザには利用ポイントが付与されており、ユーザは、その利用ポイントから選択アプリに紐づけられた(設定された)ポイントを消費することによって選択アプリの有料機能(カフェテリアサービスと連携した機能)を利用可能に設定することができる。このため、選択アプリの有料機能を利用可能に設定するための利用ポイントがユーザに残っていない場合には、情報処理装置10は、利用ポイントが不足していると判定する。利用ポイントが不足していると判定された場合には、ステップS1015に進む。利用ポイントが不足していないと判定された場合には、ステップS1017に進む。
【0040】
ステップS1015において、情報処理装置10は、選択アプリの有料機能の利用が可能でないこと(ユーザの利用ポイントが不足している)を示すメッセージ(利用超過メッセージ)を従業員端末30に送信する。ステップS1016において、従業員端末30は、利用超過メッセージをユーザに通知する。
【0041】
ステップS1017において、運営会社サーバ40は、選択アプリにおける有料機能をユーザに提供可能な状態に設定する。ステップS1017の処理が終了すると、ユーザは、選択アプリにおける有料機能および無料機能の両方を利用することが可能になる。
【0042】
なお、選択アプリとカフェテリアサービスが連携することによって、運営会社サーバ40は、どの従業員がカフェテリアサービスと連携して選択アプリの利用をしているのかを把握することができる。このため、運営会社は、カフェテリアサービスと連携して選択アプリを利用している従業員の数に応じて選択アプリの利用料を算出して、その利用料を企業に請求することができる。
【0043】
(連携停止の処理)
図3のフローチャートを参照して、選択アプリとカフェテリアサービスとのユーザに関する連携(以下、「カフェテリア連携」と呼ぶ)を停止する処理について説明する。ここで、カフェテリア連携がされたヘルスケアアプリ(以下、「連携アプリ」と呼ぶ)が取得したユーザのデータ(例えば、体重の測定値など)は、カフェテリアアプリを管理する情報処理装置10に定期的に共有されるものとする。
【0044】
ステップS2001において、従業員端末30は、カフェテリアアプリにおいて、選択
アプリのアカウントを停止する操作(停止操作)をユーザから受け付けたか否かを判定する。停止操作をユーザから受け付けていないと判定された場合には、ステップS2006に進む。停止操作をユーザから受け付けたと判定された場合には、ステップS2002において、従業員端末30は、選択アプリのアカウントの停止指示(アカウント停止指示)を運営会社サーバ40に通知する。
【0045】
ステップS2003において、運営会社サーバ40は、選択アプリのユーザのアカウントを停止(削除)する。これによって、ユーザは、選択アプリにおける無料機能および有料機能の両方の機能の利用ができなくなる。ステップS2004において、情報処理装置10は、カフェテリア連携を停止する。
【0046】
ステップS2005において、従業員端末30は、ユーザが選択アプリを評価するための画面(アプリ評価画面)を表示する。ユーザは、アプリ評価画面において選択アプリの評価を入力してもよいし、入力せずにアプリ評価画面を閉じてもよい。
【0047】
ステップS2006において、従業員端末30は、選択アプリにおいて、カフェテリア連携を停止する操作(連携停止操作)をユーザから受け付けたか否かを判定する。カフェテリア連携を停止する操作を受け付けていないと判定された場合には、本フローチャートの処理が終了する。カフェテリア連携を停止する操作を受け付けたと判定された場合には、ステップS2007に進む。
【0048】
ステップS2007において、従業員端末30は、カフェテリア連携を停止する指示(連携停止指示)を情報処理装置10に通知する。ステップS2008において、情報処理装置10は、カフェテリア連携を停止する。ステップS2009において、運営会社サーバ40は、ユーザへの選択アプリの有料機能の提供を終了する設定をする。これによって、ユーザは、選択アプリのアカウントを継続して有する一方で、選択アプリの有料機能の利用ができなくなる。ステップS2010において、従業員端末30は、ユーザが選択アプリを評価するための画面(アプリ評価画面)を表示する。
【0049】
(データ連携処理)
図4のフローチャートを参照して、複数のヘルスケアアプリおよび外部サービスの間においてユーザに関するデータの連携(以下、「データ連携」と呼ぶ)を行わせる処理について説明する。外部サービスとは、情報処理装置10に登録されたヘルスケアアプリ以外のサービスであって、例えば、ヘルスケアアプリによって測定された値から健康状態を判定するサービス、またはヘルスケアアプリによって測定された値を保存するサービスなどである。なお、
図4のフローチャートにおいて、従業員端末30により行われる各処理は、カフェテリアアプリを用いて行うことができる。
【0050】
ステップS3001において、従業員端末30は、データ連携を行う外部サービスがユーザによって選択されたか否かを判定する。外部サービスが選択されていないと判定された場合には、ステップS3009に進む。外部サービスが選択されたと判定された場合には、ステップS3002において、従業員端末30は、外部サービスを利用する申し込みを外部サーバに対して行う。ステップS3003およびステップS3004において、外部サーバおよび情報処理装置10は、ユーザによる外部サービスの利用を開始するための処理を行う。これによって、ユーザは、外部サービスを利用することが可能になる。
【0051】
ステップS3005において、従業員端末30は、外部サーバ(外部サービス)に提供するデータ(連携データ)がユーザによって選択されたか否かを判定する。ここでは、ユーザは、例えば、特定の選択アプリで測定されるデータを連携データとして選択したり、または、特定の健康状態のカテゴリ(例えば、血圧または体重など)に関するデータを連
携データとして選択したりする。連携データが選択されていないと判定された場合には、ステップS3009に進む。連携データが選択された判定された場合には、ステップS3006に進む。
【0052】
ステップS3006において、従業員端末30は、選択した連携データに関するデータ連携の同意をユーザから得たか否かを判定する。データ連携の同意が得られていないと判定された場合には、ステップS3009に進む。データ連携の同意が得られたと判定された場合には、ステップS3007において情報処理装置10は、連携データを外部サーバに提供して、ステップS3008において外部サーバが連携データを受領する。これによって、外部サーバは、連携データを用いたサービス(例えば、ユーザの健康状態の分析サービス)などをユーザに提供可能になる。なお、ステップS3007およびS3008の処理は、1度行われた後においても、定期的に(例えば、1時間に1回)行われる。
【0053】
ステップS3009において、従業員端末30は、カフェテリア連携がされている(または、ユーザが有料機能を利用可能な状態にある)連携アプリの一覧を表示する指示をユーザから受け付けたか否かを判定する。連携アプリの一覧を表示する指示を受け付けていないと判定された場合には、ステップS3012に進む。連携アプリの一覧を表示する指示を受け付けたと判定された場合には、ステップS3010において情報処理装置10が連携アプリの一覧の情報を従業員端末30に送信し、ステップS3011において従業員端末30は連携アプリの一覧を表示する。
【0054】
ステップS3012において、従業員端末30は、データ連携を行う連携アプリがユーザにより選択されたか否かを判定する。連携アプリが選択されていないと判定された場合には、本フローチャートの処理が終了する。連携アプリが選択されたと判定された場合には、ステップS3013において、従業員端末30は、選択された連携アプリに提供するデータ(連携データ)がユーザによって選択されたか否かを判定する。連携データが選択されていないと判定された場合には、ステップS3012に進む。連携データが選択されたと判定された場合には、ステップS3014に進む。
【0055】
ステップS3014において、従業員端末30は、選択した連携データに関するデータ連携の同意をユーザから得たか否かを判定する。データ連携の同意が得られていないと判定された場合には、ステップS3012に進む。データ連携の同意が得られたと判定された場合には、ステップS3015において、情報処理装置10は、選択された連携アプリの運営会社サーバ40に連携データを提供する。ステップS3016において、運営会社サーバ40は、連携データを受領する。これによって、ユーザにより選択された連携アプリは、連携データを用いたサービスなどをユーザに提供可能になる。なお、ステップS3015およびS3016の処理は、1度行われた後においても、定期的に(例えば、1時間に1回)行われる。
【0056】
図5を参照して、食事管理アプリに記録されたユーザの1日の総カロリーのデータを、歩数記録アプリに提供する例を説明する。ここで、食事管理アプリおよび歩数記録アプリはともに、連携アプリであるとする。
【0057】
まず、(1)ユーザは、従業員端末30を用いて、食事管理アプリに1日の食事を記録する。(2)すると、従業員端末30は、食事管理アプリ上でユーザの1日の総カロリーを算出する。(3)従業員端末30は、1日の総カロリーの情報を食事管理アプリから、カフェテリアアプリに提供する。
【0058】
その後、(4)ユーザは、従業員端末30を用いて、カフェテリアアプリにおいて、食事管理アプリが記録した1日の総カロリーのデータを、歩数記録アプリに提供することを
同意する(ステップS3012~S3014)。(5)従業員端末30は、情報処理装置10を介して、1日の総カロリーのデータを、カフェテリアアプリから歩数記録アプリに提供する(ステップS3015)。(6)従業員端末30は、歩数記録アプリ上で、1日の総カロリーに基づき、当該カロリーを消費するために必要な歩数(必要活動量)を算出して、当該歩数を表示する。これによって、ユーザは、自身の食事の状況から、1日の運動の目安を把握することができる。
【0059】
(情報処理装置の内部構成)
図6の構成図を参照して、情報処理装置10の内部構成について説明する。情報処理装置10は、制御部101、記憶部102、利用状態取得部103、健康状態取得部104、選択部105、通知部106を有する。
【0060】
制御部101は、プログラムに従って、情報処理装置10の各構成を制御する。
【0061】
記憶部102は、各従業員が利用しているヘルスケアアプリが取得したデータを格納する。また、記憶部102は、各従業員の健康状態(企業が予め入力した各従業員の健康診断の結果、または健康に関するアンケートに各従業員が回答した結果など)の情報を格納していてもよい。
【0062】
利用状態取得部103は、M個のヘルスケアアプリそれぞれの各従業員の利用状態の情報を取得する。利用状態とは、利用可能な状態にされている(カフェテリア連携がされている)か否か、利用日時(ログイン日時)、利用回数(ログイン回数)、利用頻度、各機能の利用回数、または、各機能において測定値が測定された回数などの状態である。利用状態取得部103は、各従業員の利用状態の情報を、当該従業員の従業員端末30から取得してもよいし、ヘルスケアアプリを管理する運営会社サーバ40から取得してもよい。
【0063】
健康状態取得部104は、各従業員の健康状態の情報を取得する。健康状態の情報は、例えば、体重、睡眠、精神状態、BMI、血圧、血液(ヘモグロビン、コレステロール)、体脂肪率、および食事内容(PFCバランス、糖質摂取量、脂質摂取量)などの少なくとも1つのカテゴリの情報(指標)を含む。
【0064】
選択部105は、各従業員についての健康状態または/およびM個のヘルスケアアプリの利用状態に基づき、M個のヘルスケアアプリの中から少なくともいずれかヘルスケアアプリを選択する。
【0065】
通知部106は、選択部105が選択したヘルスケアアプリの利用を促進するための行動、または、抑制するための行動を、企業または特定の従業員に提案する行動(以下、「提案行動」と呼ぶ)として、企業(企業端末20)または特定の従業員(従業員端末30)に通知(提案)する。提案行動は、N名の従業員(構成員)によるヘルスケアアプリの選択に関する行動(具体的には、N名の従業員がより効果的なヘルスケアアプリを選択できるようにするための行動)である。提案行動は、例えば、ヘルスケアアプリを登録アプリとして登録すること、または、ヘルスケアアプリを登録アプリから解除することなどである。
【0066】
通知部106は、例えば、特定の従業員に通知(提案)を行う場合には、選択部105が選択したヘルスケアアプリに関して提案行動を示すような情報(文字または画像)を表示するように、従業員端末30のディスプレイを制御する。または、通知部106は、選択部105が選択したヘルスケアアプリに関して提案行動を示すような音声を発するように、従業員端末30のスピーカを制御してもよい。通知部106は、提案行動の通知を企業に行う場合にも、同様に、企業端末20を制御することにより通知を実現する。
【0067】
なお、情報処理装置10は、CPU(プロセッサ;制御装置)またはメモリ、ストレージを備えるコンピュータにより構成することができる。この場合には、
図6に示す構成は、ストレージに格納されたプログラムをメモリにロードし、CPUが当該プログラムを実行することによって実現されるものである。あるいは、情報処理装置10における構成の全部または一部を、ASICやFPGAなどで構成してもよい。あるいは、構成の全部または一部を、クラウドコンピューティングや分散コンピューティングにより実現してもよい。
【0068】
(通知処理)
図7のフローチャートを参照して、情報処理装置10が企業に対して、1個のヘルスケアアプリに関して企業に提案する行動(提案行動;通知)を通知する処理(通知処理)について説明する。
【0069】
ステップS4001において、利用状態取得部103は、企業の全従業員のうちのN名(N≧2)の従業員の各ヘルスケアアプリの利用状態(M個のヘルスケアアプリそれぞれの利用状態)を分析する。N名の従業員は、企業の全従業員であってもよいし、企業の全従業員のうちの特定の条件を満たす従業員(例えば、年齢または性別に応じた条件を満たす従業員)であってもよい。例えば、N名の従業員は、企業の全従業員のうちの、年齢が50歳~59歳のいずれかである男性の従業員であってもよい。
【0070】
そして、利用状態取得部103は、N名に対する有料機能を利用している従業員の人数の比(利用率)が閾値未満である1または複数のヘルスケアアプリを、M個のヘルスケアアプリの中から抽出する。つまり、利用状態取得部103は、N名の従業員のうちの特定の割合未満の従業員のみが利用する1または複数のヘルスケアアプリを抽出する。例えば、利用状態取得部103は、N名のうち10名未満の従業員しか有料機能を利用していない(アプリケーション連携を行っていない)1または複数のヘルスケアアプリを抽出する。なお、利用状態取得部103は、登録アプリとして登録されているヘルスケアアプリのみを抽出するようにする。なお、「N名に対する有料機能を利用している従業員の人数の比」の代わりに、「N名に対する現時点で(例えば、過去14日以内に)有料機能を起動している従業員の人数の比」や「有料機能を利用している従業員の人数に対する現時点で有料機能を起動している従業員の人数の比」を用いてもよい。
【0071】
ステップS4002において、選択部105は、利用状態取得部103により抽出された1または複数のヘルスケアアプリから、未だにステップS4003~S4005の対象にされていない1個のヘルスケアアプリ(以下、「対象アプリ」と呼ぶ)を選択する。つまり、利用状態取得部103により抽出された1または複数のヘルスケアアプリそれぞれについて、ステップS4003~S4005の処理が行われる。
【0072】
ステップS4003において、通知部106は、対象アプリの有料機能を利用している従業員(以下、「アプリ利用者」と呼ぶ)における、対象アプリに関連するカテゴリの健康改善の効果指標が基準未満であるか否かを判定する。ここで、各ヘルスケアアプリには、当該ヘルスケアアプリの利用により健康改善が見込まれるカテゴリが予め設定されているものとする。例えば、歩数記録アプリや食事管理アプリには、体重や血圧値などのカテゴリが設定される。睡眠記録アプリには、疲労度合いなどのカテゴリが設定される。カテゴリは、例えば、体重、BMI、血圧、血液(ヘモグロビン、コレステロール)、体脂肪率、または食事内容(PFCバランス、糖質摂取量、脂質摂取量)などであり得る。このため、効果指標は、例えば、体重の変化量、最高血圧値の変化量、または体脂肪率の変化量などであり得る。効果指標は、ヘルスケアアプリによって測定可能であってもよいし、アプリ利用者の健康診断の結果や人間ドックなどの結果から判定されてもよい。なお、効
果指標は、全カテゴリについての改善度合いを総合的に評価した点数であってもよい。なお、基準は、企業が任意に設定可能である。
【0073】
ステップS4003において、アプリ利用者の健康改善の効果指標の代表値(平均値、中央値、または最頻値)が基準未満であると判定された場合には、ステップS4005に進む。アプリ利用者の健康改善の効果指標の代表値が基準以上であると判定された場合には、ステップS4004に進む。
【0074】
ステップS4004において、通知部106は、対象アプリがN名の従業員に利用を促すべきヘルスケアアプリ(拡大候補アプリ)であることを、企業(企業端末20)に通知する。つまり、通知部106は、対象アプリの利用をN名の従業員に促すことを提案行動として企業に通知する(N名の従業員に対象アプリの利用を促すことを企業に提案する)。ここで、企業は、対象アプリの利用をN名の従業員に提案するために、例えば、対象アプリを利用した場合の特典を用意したり、対象アプリの広告(例えば、対象アプリの効果を表すような広告)を出したりする。
【0075】
なお、ステップS4004において、制御部101は、対象アプリの有料機能を利用するために消費するポイント(対象アプリに設定されたポイント)を低減するように設定してもよい。これによれば、各従業員は、少ないポイント消費で、対象アプリの有料機能を利用することが可能になる。このため、企業は、対象アプリの利用拡大を促すことができる。
【0076】
ステップS4005において、通知部106は、対象アプリが登録アプリの登録から外すべきヘルスケアアプリ(停止候補アプリ)であることを企業に通知する。つまり、通知部106は、対象アプリを登録アプリの登録から外すこと(N名の構成員それぞれが対象アプリを利用可能でないような状態にすること)を提案行動として企業に通知する(対象アプリを登録アプリから外すことを企業に提案する)。これによれば、従業員の健康改善に効果的でないヘルスケアアプリを、従業員が利用してしまう可能性を低減させることができる。
【0077】
ステップS4006において、選択部105は、利用状態取得部103により抽出された1または複数のヘルスケアアプリの全てが対象アプリとして選択されたか否かを判定する。抽出された1または複数のヘルスケアアプリの全てが対象アプリとして選択されたと判定された場合には、本フローチャートの処理が終了する。抽出された1または複数のヘルスケアアプリのいずれかが対象アプリとして選択されていないと判定された場合には、ステップS4002に進む。
【0078】
以上、実施形態1によれば、利用率が低く、かつ、健康改善の効果の高いヘルスケアアプリの利用を、各従業員に促すべきことが企業に通知される。また、利用率が低く、かつ、健康改善の効果の低いヘルスケアアプリを、登録アプリから外すべきことが企業に通知される。このため、企業は、ヘルスケアアプリに関してより適切な行動を容易に把握することができ、従業員の健康を促進するためのヘルスケアアプリの管理を容易に行うことができる。そして、N名の従業員は、健康促進にとって、より効果的なヘルスケアアプリの中から、自身が利用するヘルスケアアプリを選択することができる。つまり、N名の従業員が適切なヘルスケアアプリを選択する可能性が向上する。
【0079】
なお、
図7のフローチャートの処理に関わらず、情報処理装置10は、N名の従業員の利用状態に基づき1個のヘルスケアアプリを選択して、選択したヘルスケアアプリに関して企業に提案する行動を企業に通知するのであれば、任意の方法を取り得る。例えば、選択部105は、特定の期間(例えば、過去1年間)で最も多くの従業員に利用されたヘル
スケアアプリを選択して、通知部106は、選択されたヘルスケアアプリの利用をN名の従業員に促すことを提案行動として企業に通知してもよい。また、選択部105は、健康状態の特定のカテゴリ(例えば、血液または体重など)に関連する複数のヘルスケアアプリのうち最も利用率の高いヘルスケアアプリを選択して、通知部106は、選択されたヘルスケアアプリの利用をN名の従業員に促すことを提案行動として企業に通知してもよい。
【0080】
<実施形態2>
実施形態1では、情報処理装置10は、複数の従業員の各ヘルスケアアプリの利用状態に基づき、或るヘルスケアアプリに応じた行動を提案行動として企業に通知した。実施形態2では、情報処理装置10は、特定の従業員(1名の従業員)の各ヘルスケアアプリの利用状態に基づき、或るヘルスケアアプリに応じた行動を提案行動として当該特定の従業員に通知する。これによって、特定の従業員の個別の利用状態に応じた行動が通知されるため、特定の従業員は適切にヘルスケアアプリの利用を行うことが可能になる。
【0081】
図8のフローチャートを参照して、情報処理装置10が特定の従業員に対して、1または複数のヘルスケアアプリに関して特定の従業員に提案する行動(提案行動)を通知する処理(通知処理)について説明する。ここで、特定の従業員とは、企業によって選択された1名の従業員であってもよいし、企業の全従業員のうちからランダムに選ばれた1名であってもよい。また、企業の全従業員のそれぞれに、
図8のフローチャートの処理が行われてもよい。
【0082】
ステップS5001において、健康状態取得部104は、特定の従業員のM個のヘルスケアアプリそれぞれの利用状態(利用履歴)を分析する。
【0083】
ステップS5002において、選択部105は、特定の従業員のM個のヘルスケアアプリそれぞれの利用状態に基づき、特定の従業員のヘルスケアアプリに関する嗜好を判定(解析)する。ここで、ヘルスケアアプリに関する嗜好とは、ヘルスケアアプリのUI(ユーザインターフェース)の好み(例えば、図が多いか否かまたは、情報の入力方法などの好み)、運営会社の好み、または、測定可能な事項の好みなどである。ヘルスケアアプリに関する嗜好とは、ヘルスケアアプリが要求する事項(運動強度または運動方法)などであってもよい。
【0084】
例えば、各ヘルスケアアプリのUI、運営会社、測定可能な事項、または要求事項などの情報は、アプリ情報として記憶部102に予め格納されている。そして、選択部105は、特定の従業員のM個のヘルスケアアプリそれぞれの利用状態と、アプリ情報とに基づき、特定の従業員の嗜好を判定する。
【0085】
選択部105は、例えば、M個のヘルスケアアプリのうち最も利用時間の長いヘルスケアアプリの運営会社を特定の従業員が好むとして、嗜好を判定する。または、選択部105は、例えば、M個のヘルスケアアプリのうち利用時間の長い上位3つのヘルスケアアプリの共通部分を分析して、当該共通部分を特定の従業員が好むとして、嗜好を判定してもよい。また、選択部105は、AIを用いて、特定の従業員のM個のヘルスケアアプリそれぞれの利用状態に基づき、特定の従業員のヘルスケアアプリに関する嗜好を判定してもよい。
【0086】
ステップS5003において、選択部105は、特定の従業員が有料機能を利用していないヘルスケアアプリ(以下、「非利用アプリ」と呼ぶ)に、特定の従業員の嗜好に合致するヘルスケアアプリが含まれているか否かを判定する。例えば、選択部105は、アプリ情報を参照して、特定の従業員の嗜好に合致するヘルスケアアプリを検索して、特定の
従業員の嗜好に合致するヘルスケアアプリが非利用アプリに含まれているか否かを判定する。非利用アプリは、登録アプリであってもよいし、登録アプリでなくともよい。特定の従業員の嗜好に合致するヘルスケアアプリが非利用アプリに含まれていると判定された場合には、ステップS5004に進む。特定の従業員の嗜好に合致するヘルスケアアプリが非利用アプリに含まれていないと判定された場合には、ステップS5005に進む。
【0087】
ステップS5004において、選択部105は、特定の従業員の嗜好に合致すると判定された少なくとも1個のヘルスケアアプリを選択する。
【0088】
ステップS5005において、選択部105は、特定の従業員の嗜好と同一の嗜好または類似する嗜好の1または複数の他の従業員のいずれかが利用している少なくとも1個のヘルスケアアプリを選択する。ここでは、選択部105は、例えば、アプリ情報を参照して、少なくとも1個のヘルスケアアプリを選択する。
【0089】
ステップS5006において、通知部106は、選択されたヘルスケアアプリを、利用すべきヘルスケアアプリとして特定の従業員に提案する。つまり、通知部106は、選択されたヘルスケアアプリを利用すること(ヘルスケアアプリの有料機能が利用できるようにすること)を、提案行動として特定の従業員に通知する(選択されたヘルスケアアプリを利用することを特定の従業員に提案する)。
【0090】
以上、実施形態2によれば、特定の従業員の利用状態に応じた適切なヘルスケアアプリが選択されて、当該ヘルスケアアプリの利用を提案することなどが特定の従業員に通知される。このため、特定の従業員は、健康促進にとって、より効果的なヘルスケアアプリの中から、自身が利用するヘルスケアアプリを選択することができる。つまり、特定の従業員が適切なヘルスケアアプリを選択する可能性が向上する。
【0091】
なお、
図8のフローチャートの処理に関わらず、情報処理装置10は、特定の従業員のM個のヘルスケアアプリの利用状態に基づき1個のヘルスケアアプリを選択して、選択したヘルスケアアプリに関して提案する行動を特定の従業員に通知するのであれば、任意の方法を取り得る。例えば、選択部105は、利用可能であって、かつ、特定の期間(例えば、過去1年間)において最も利用していないヘルスケアアプリを選択する。この場合には、通知部106は、選択したヘルスケアアプリを利用することに、もしくは、アプリケーション提携を停止することを提案行動として通知する。
【0092】
なお、上記の各実施形態における「ヘルスケアアプリ」は、矛盾が生じない限り「任意のアプリケーション」に読み替えてもよい。例えば、「ヘルスケアアプリ」の代わりに、「勉強または仕事を管理するアプリケーション」を用いてもよい。この場合には、「健康状態」の代わりに、例えば、「勉強または仕事の進捗度合い」を用いてもよい。
【0093】
また、上記の各実施形態において、選択部105は、消費する利用ポイントにさらに基づき、ヘルスケアアプリを選択してもよい。例えば、選択部105は、選択する候補として複数のヘルスケアアプリが存在する場合には、その複数のヘルスケアアプリのうち、最も消費する利用ポイントの少ないヘルスケアアプリを選択してもよい。
【符号の説明】
【0094】
1:支援システム、10:情報処理装置、20:企業端末、
30:従業員端末、40:運営会社サーバ、
101:制御部、102:記憶部、103:利用状態取得部、
104:健康状態取得部、105:選択部、106:通知部