(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022870
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】紙葉類取扱装置
(51)【国際特許分類】
G07D 11/12 20190101AFI20240214BHJP
【FI】
G07D11/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022126289
(22)【出願日】2022-08-08
(71)【出願人】
【識別番号】000237639
【氏名又は名称】富士通フロンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】木津 亮一
(72)【発明者】
【氏名】小高 哲也
(72)【発明者】
【氏名】山田 知弘
【テーマコード(参考)】
3E141
【Fターム(参考)】
3E141AA01
3E141BA08
3E141FC05
(57)【要約】
【課題】紙葉類取扱装置において、簡素な構成で複数の収納庫を引き出すことができるようにする。
【解決手段】紙葉類取扱装置の一例である自動取引装置1は、装置側レール本体11を有する装置筐体10と、紙葉類の一例である紙幣Bを収納する複数の収納庫の一例であるスタッカ21~24と、装置側レール本体11に対して引き出し可能に固定された収納庫側レール本体31を有する収納庫側スライドレール部30とを備える。複数のスタッカ21~24は、それぞれが収納庫側スライドレール部30に対して取り付けられている。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置側レール本体を有する装置筐体と、
紙葉類を収納する複数の収納庫と、
前記装置側レール本体に対して引き出し可能に固定された収納庫側レール本体を有する収納庫側スライドレール部とを備え、
前記複数の収納庫は、それぞれが前記収納庫側スライドレール部に対して取り付けられている
ことを特徴とする紙葉類取扱装置。
【請求項2】
前記複数の収納庫のそれぞれは、当該収納庫の内部機構を駆動する駆動部を有する
ことを特徴とする請求項1記載の紙葉類取扱装置。
【請求項3】
前記複数の収納庫のそれぞれは、前記収納庫側スライドレール部の上面に固定される水平な固定面を含む固定具を有する
ことを特徴とする請求項1又は2記載の紙葉類取扱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引き出し可能な複数の収納庫を備える紙葉類取扱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ATM(Automated Teller Machine)等の自動取引装置において、紙幣を収納する複数の収納庫が引き出し可能に配置される装置が知られている。
【0003】
例えば、複数の収納庫がトレイに搭載され、このトレイがレールによって支持されて引き出し可能な紙幣取扱装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、複数の収納庫が水平基台に着脱可能に設置され、この水平基台を有する引き出し枠が引き出し可能に配置された紙幣収納・払出装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011-081484号公報
【特許文献2】特開平05-159129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述のように複数の収納庫がトレイに搭載されたり水平基台に着脱可能に設置されたりする場合、トレイや水平基台などが配置される分、引き出し対象の重量の増加や、部品費の高騰を招く。また、トレイや水平基台に対応した構成を有する収納庫を用いる必要があり、汎用性が低くなる。
【0007】
なお、引き出し対象の重量が増加すると、引き出しの作業性が悪化したり、耐荷重が大きいスライドレールを用意する必要が生じたりする。
【0008】
本発明の目的は、簡素な構成で複数の収納庫を引き出すことができる紙葉類取扱装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
1つの態様では、紙葉類取扱装置は、装置側レール本体を有する装置筐体と、紙葉類を収納する複数の収納庫と、前記装置側レール本体に対して引き出し可能に固定された収納庫側レール本体を有する収納庫側スライドレール部とを備え、前記複数の収納庫は、それぞれが前記収納庫側スライドレール部に対して取り付けられている。
【発明の効果】
【0010】
前記態様によれば、簡素な構成で複数の収納庫を引き出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】自動取引装置の内部構造を示す左側面図である。
【
図4】スタッカの各部を説明するための正面図である。
【
図5】スタッカの装着を説明するための斜視図(その1)である。
【
図6】スタッカの装着を説明するための斜視図(その2)である。
【
図7】スタッカの装着を説明するための斜視図(その3)である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施の形態に係る紙葉類取扱装置について、自動取引装置1を一例として、図面を参照しながら説明する。
【0013】
図1は、自動取引装置1の内部構造を示す左側面図である。
【0014】
なお、
図1及び後述する
図2~
図7に示す前後、左右、及び上下の各方向は、自動取引装置1の顧客側を前方とし、顧客側から見て左を左方向、右を右方向とした場合の一例である。例えば、前後方向及び左右方向が水平方向であり、上下方向が鉛直方向である。
【0015】
図1に示す自動取引装置1は、例えばATM、BRU(Bill Recycle Unit)、CD(Cash Dispenser)、TCR(Teller Cash Recycler)などであり、装置筐体10と、スタッカ21~24と、カセット25,26と、収納庫側スライドレール部30と、入出金部41と、鑑別部42と、一時保留部43と、ターン部44と、リジェクト庫45,46とを備える。また、後述する
図5~
図7に示すように、自動取引装置1は、右側面板27及び連結片28,29を備える。
【0016】
装置筐体10は、自動取引装置1の各部を収容する筐体である。装置筐体10のうちスタッカ21~24及びカセット25,26を収容する収容空間の左右下部には、左右一対の装置側レール本体11(
図1に左側のみ図示)が引き出し方向である前後方向に延びるように配置されている。スタッカ21~24及びカセット25,26は、自動取引装置1の前方及び後方のうち一方のみに引き出し可能であってもよいし、前方及び後方の両方に引き出し可能であってもよい。なお、装置筐体10は、入出金部41、鑑別部42等を収容する上部分と、スタッカ21~24及びカセット25,26を収容する下部分との2つに分離して設けられていてもよい。
【0017】
スタッカ21~24は、紙幣Bを収納する複数の収納庫の一例であり、前後方向に並んで配置されている。例えば、スタッカ21~24は、顧客から入金される紙幣Bや、顧客に出金する紙幣Bを、金種別に分けて収納する収納庫である。なお、紙幣Bは、紙葉類の一例である。
【0018】
スタッカ21~24は、互いに同一の構成とすることができる。そのため、
図2~
図4では、スタッカ21を例に説明する。
【0019】
図2及び
図3に示すように、スタッカ21は、右側面に3つのモータ21a,21b,21cを有する。これらのモータ21a,21b,21cは、スタッカ21の内部機構を駆動する駆動部の一例である。
【0020】
図4に示すように、スタッカ21の内部機構としては、モータ21a(
図4では1つのみ図示)の出力軸と噛み合う駆動ギア21fや、この駆動ギア21fから動力が伝達されて回転する搬送ローラ、動力が伝達されて昇降する紙幣Bの積載台などである。
【0021】
図3及び
図4に示す固定具21dは、スタッカ21の左側面に取り付けられ、収納庫側スライドレール部30(
図7に示すレール支持部32)の上面に固定される水平な固定面を含む。
図4に示すように、固定具21dは、水平な固定面において、例えば2本のネジ21gなどの固定部材によって左側の収納庫側スライドレール部30の上面に固定される。なお、固定具21dは、平面視及び左側面視の両方でU字形状に近い形状を呈する。
【0022】
図2に示す位置決めピン21eは、スタッカ21の右側面から水平に突出するように設けられている。位置決めピン21eは、スタッカ21の位置決めのために、
図5に示す後述するピン受け入れガイド27aに上方から挿入される。
【0023】
図1に示すカセット25,26は、スタッカ21~24の後方において、スタッカ21~24とともに前後方向に並んで配置されている。例えば、カセット25,26は、外部から紙幣Bを補充したり、スタッカ21~24で一杯になった紙幣Bを回収したりする収納庫である。
【0024】
なお、本実施の形態では、カセット25,26は、スタッカ21~24とは異なり、収納庫側スライドレール部30には直接的に取り付けられず、収納庫側スライドレール部30に取り付けられた図示しないホルダなどによって前後左右を保持されている。例えば、カセット25,26は、上記のホルダによってガイドされることで、上面に設けられた持ち手部分を作業者が持った状態で、上方から挿入されるだけで装着され、持ち上げるだけで取り出される。このように、スタッカ21~24が固定式であるのに対し、カセット25,26は、容易に着脱可能に配置されている。
【0025】
図5に示す右側面板27は、右側の収納庫側スライドレール部30に取り付けられ、前後左右に広がる矩形板状を呈する。右側面板27の上部には、上述のスタッカ21~24の位置決めピン21eが上方から挿入されるピン受け入れガイド27a,27b,27c,27dが上方に突出するように固定されている。なお、右側面板27には、スタッカ21~24、カセット25,26などの各部を制御する制御部が配置されるとよい。
【0026】
連結片28は、左右の収納庫側スライドレール部30を、収納庫側スライドレール部30の前端において連結する。また、連結片29は、左側から右側に向かって上方に斜めに配置され、左側の収納庫側スライドレール部30と右側面板27とを連結する。なお、左右の収納庫側スライドレール部30は、スタッカ21~24よりも前方に位置する連結片28と、スタッカ21~24よりも後方に位置する、上述のカセット25,26を保持するホルダとによって連結されており、スタッカ21~24の底面は、中空部分となっている。
【0027】
図1に示す収納庫側スライドレール部30は、収納庫側レール本体31と、レール支持部32とを有する。なお、収納庫側スライドレール部30は、例えば、スタッカ21~24及びカセット25,26の左側と右側とに左右一対で配置されている。
【0028】
収納庫側レール本体31は、装置筐体10の装置側レール本体11に対して前後方向に引き出し可能に固定されている。
【0029】
レール支持部32は、収納庫側レール本体31の内側(スタッカ21~24側)に固定され、収納庫側レール本体31と同様に、引き出し方向である前後方向と、上下方向とに拡がり、前後方向に細長い矩形板状を呈する。レール支持部32は、簡素化の観点から、収納庫側レール本体31や装置側レール本体11とほぼ同程度の大きさであるとよい。
【0030】
入出金部41は、自動取引装置1の前面上部に配置されている。入出金部41は、入金の取引が行われるときに紙幣Bの受け入れを行い、出金の取引が行われるときに紙幣Bの払い出しを行う。
【0031】
鑑別部42は、入出金を行う搬送路に設置され、この搬送路を紙幣Bが通過するときに、紙幣Bの真贋、金種、正損、裏表、重なりなどを鑑別する。
【0032】
一時保留部43は、入金取引の際に顧客が入金し、鑑別部42で鑑別された紙幣Bを一時的に保持する。一時保留部43によって一時的に保持された紙幣Bは、取引完了後にスタッカ21~24に収納される。
【0033】
ターン部44は、入金された紙幣Bが表裏混合状態にあるときにそれらを表だけ又は裏だけに整列した状態にするために、紙幣Bの表裏を反転させる。
【0034】
リジェクト庫45,46は、スタッカ21~24から繰り出された紙幣Bのうち、鑑別部42が流通券として不適当であると判定した不良の紙幣Bを収納する。不良の紙幣Bとしては、例えば、破れていたり、斜行していたり、部分的に欠損していたり、ひどく汚れていたりした場合などの紙幣Bが該当し、これらの紙幣Bは、出金されることなく、リジェクト庫45,46にて回収される。
【0035】
ここで、
図5~
図7を参照しながら、上述の説明と重複する事項については適宜省略しながら、スタッカ21~24の装着を説明する。なお、
図5~
図7では、収納庫側スライドレール部30の収納庫側レール本体31及び装置筐体10の装置側レール本体11は図示を省略する。
【0036】
スタッカ24は、作業者の手動で、
図5に示す上方の位置から、
図6に示すカセット25の前部の取り付け位置へ下降する。このとき、スタッカ24の図示しない位置決めピン(
図2に示す位置決めピン21e参照)が
図5に示すピン受け入れガイド27dに挿入されることでスタッカ24の位置が定まる。また、スタッカ24は、
図4に示すように右側の収納庫側スライドレール部30の下端からスタッカ24(
図4ではスタッカ21)側に水平に突出する部分に載置されるとよい。
【0037】
そして、スタッカ24は、固定具24dの水平な固定面において、例えば2本のネジ(
図4に示すネジ21g参照)によって左側の収納庫側スライドレール部30の上面(具体的にはレール支持部32の上面)に固定される。これにより、スタッカ24が収納庫側スライドレール部30に対して取り付けられる。なお、スタッカ24の収納庫側スライドレール部30に対する取り付けの前後には、スタッカ24のセンサなどの電気部品への電力供給のための配線接続のために、スタッカ24側の配線と装置筐体10側の図示しない配線(例えば、右側面板27に配置された制御部から延びる配線)とがコネクタ接続などによって接続されるとよい。
【0038】
図7に示すように、スタッカ24と同様に、スタッカ21~23のそれぞれも収納庫側スライドレール部30に対して取り付けられる。なお、スタッカ21~24は、固定式であるため、例えば、モータ21a~21cの修理などのメンテナンス時などに取り外され、通常、紙幣Bの回収や補充のためには取り外されない。
【0039】
なお、本実施の形態では、それぞれが収納庫側スライドレール部30に取り付けられる複数の収納庫の一例として、4つのスタッカ21~24を例に説明したが、収納庫の数は任意である。また、カセット25,26などの他の収納庫がそれぞれ収納庫側スライドレール部30に取り付けられてもよい。
【0040】
また、本実施の形態では、スタッカ21~24が左側の収納庫側スライドレール部30のみに取り付けられるが、右側の収納庫側スライドレール部30のみに又は左右両側の収納庫側スライドレール部30に取り付けられてもよい。また、スタッカ21~24は、収納庫側スライドレール部30のうち、レール支持部32ではなく収納庫側レール本体31に取り付けられてもよい。この場合、レール支持部32が省略されてもよい。
【0041】
以上説明した本実施の形態では、紙葉類取扱装置の一例である自動取引装置1は、装置側レール本体11を有する装置筐体10と、紙幣B(紙葉類の一例)を収納する複数の収納庫の一例であるスタッカ21~24と、装置側レール本体11に対して引き出し可能に固定された収納庫側レール本体31を有する収納庫側スライドレール部30とを備える。複数のスタッカ21~24は、それぞれが収納庫側スライドレール部30に対して取り付けられている。
【0042】
このように、スタッカ21~24がそれぞれ収納庫側スライドレール部30に対して取り付けられることによって、スタッカ21~24が、スタッカ21~24を取り囲むフレームや、スタッカ21~24を保持するホルダなどの部材に取り付けられ、これらの部材が収納庫側スライドレール部30に対して取り付けられる態様と比較して、上記のフレームやホルダなどの部材を省略することができる。よって、本実施の形態によれば、簡素な構成で複数のスタッカ21~24を引き出すことができる。これにより、引き出し対象の重量を小さくすることができ、部品費の高騰を回避することができる。また、スタッカ21~24が直接的に収納庫側スライドレール部30に取り付けられるため、フレームやホルダが配置される場合と比較して、スタッカ21~24の形状などの自由度が高まり、汎用性が高まる。更には、引き出し対象の重量を小さくすることができることで、引き出しの作業性が向上したり、耐荷重が小さい収納庫側スライドレール部30や装置側レール本体11を用いたりすることができる。
【0043】
また、本実施の形態では、複数のスタッカ21~24のそれぞれは、内部機構(駆動ギア21f等)を駆動する駆動部の一例であるモータ21a,21b,21cを有する。
【0044】
そのため、例えば、駆動部が上記のフレームなどのスタッカ21~24とは別部材に配置され、スタッカ21~24が駆動部に噛み合うギアのみを有する態様と比較して、モータ21a,21b,21cが故障した際に対象のスタッカ21~24のみを交換することで対応することができるため、上記のフレームごと引き出し対象全体を取り外したり交換したりするのを回避することができる。したがって、保守が容易になる。
【0045】
また、本実施の形態では、複数のスタッカ21~24のそれぞれは、収納庫側スライドレール部30(レール支持部32)の上面に固定される水平な固定面を含む固定具21dを有する。
【0046】
これにより、引き出された状態の収納庫側スライドレール部30に対して上から簡単にスタッカ21~24を取り付けることができるため、より一層、作業性や保守性が向上する。
【0047】
なお、本発明は、上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階でのその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施の形態に示される全構成要素を適宜組み合わせてもよい。このように、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において発明の種々の変形や応用が可能である。
【符号の説明】
【0048】
1 自動取引装置
10 装置筐体
11 装置側レール本体
21~24 スタッカ
21a,21b,21c,24c モータ
21d,22d,23d,24d 固定具
21e 位置決めピン
21f 駆動ギア
21g ネジ
25,26 カセット
27 右側面板
27a,27b,27c,27d ピン受け入れガイド
28,29 連結片
30 収納庫側スライドレール部
31 収納庫側レール本体
32 レール支持部
41 入出金部
42 鑑別部
43 一時保留部
44 ターン部
45,46 リジェクト庫
B 紙幣