(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022871
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】内視鏡用挿入ユニット
(51)【国際特許分類】
A61B 1/04 20060101AFI20240214BHJP
A61B 1/06 20060101ALI20240214BHJP
A61B 1/00 20060101ALI20240214BHJP
G02B 23/24 20060101ALI20240214BHJP
G02B 23/26 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
A61B1/04 530
A61B1/06 531
A61B1/00 716
G02B23/24 B
G02B23/26 B
G02B23/24 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022126290
(22)【出願日】2022-08-08
(71)【出願人】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 央
(74)【代理人】
【識別番号】100188891
【弁理士】
【氏名又は名称】丹野 拓人
(72)【発明者】
【氏名】近藤 正裕
(72)【発明者】
【氏名】大瀬 浩司
【テーマコード(参考)】
2H040
4C161
【Fターム(参考)】
2H040BA24
2H040CA03
2H040DA17
2H040GA02
4C161CC06
4C161FF21
4C161FF45
4C161JJ13
4C161LL02
4C161QQ06
4C161QQ07
(57)【要約】
【課題】挿入部の基端を容易に封止することが可能な、内視鏡用挿入ユニットを提供する。
【解決手段】内視鏡用挿入ユニットは、撮像素子と、先端部に前記撮像素子が収容される挿入部と、少なくとも一部が前記撮像素子に電気的に接続される複数の小ケーブルと、前記挿入部の基端に嵌合されるとともに、開口を有するシール部材と、前記複数の小ケーブルを一括して被覆するとともに前記開口から延出するシースと、を備える。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子と、
先端部に前記撮像素子が収容される挿入部と、
少なくとも一部が前記撮像素子に電気的に接続される複数の小ケーブルと、
前記挿入部の基端に嵌合されるとともに、開口を有するシール部材と、
前記複数の小ケーブルを一括して被覆するとともに前記開口から延出するシースと、
を備える、内視鏡用挿入ユニット。
【請求項2】
前記挿入部の前記先端部に収容される発光素子をさらに備え、
前記複数の小ケーブルには、前記撮像素子に電気的に接続される第1小ケーブルと、前記発光素子に電気的に接続される第2小ケーブルと、が含まれる、
請求項1に記載の内視鏡用挿入ユニット。
【請求項3】
前記発光素子に直接接続される複数の発光素子用ケーブルと、
前記複数の発光素子用ケーブルを前記第2小ケーブルに電気的に接続させる中継用基板と、
前記中継用基板を覆うポッティング材と、をさらに備える、
請求項2に記載の内視鏡用挿入ユニット。
【請求項4】
前記シースは、前記挿入部の内部において撓んでいる、
請求項1~3のいずれか一項に記載の内視鏡用挿入ユニット。
【請求項5】
前記シール部材と前記挿入部との間は接着されている、
請求項1~3のいずれか一項に記載の内視鏡用挿入ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡用挿入ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、撮像素子と、挿入部と、回路基板と、を備えた内視鏡用挿入ユニットが開示されている。撮像素子は、挿入部の先端部に配置され、被写体の撮像を行う。回路基板は、撮像素子を他の部材に対して電気的に接続する。回路基板の一部は、挿入部の基端から延出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
挿入部の内部への異物の侵入を防止するために、挿入部の基端を封止することが考えられる。特許文献1の構成においては、挿入部から回路基板が延出する部分をエポキシ樹脂などで封止しており、封止作業が難しい。
【0005】
本発明はこのような事情を考慮してなされ、挿入部の基端を容易に封止することが可能な、内視鏡用挿入ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様1に係る内視鏡用挿入ユニットは、撮像素子と、先端部に前記撮像素子が収容される挿入部と、少なくとも一部が前記撮像素子に電気的に接続される複数の小ケーブルと、前記挿入部の基端に嵌合されるとともに、開口を有するシール部材と、前記複数の小ケーブルを一括して被覆するとともに前記開口から延出するシースと、を備える。
【0007】
上記態様によれば、シースをシール部材の開口に挿通し、シール部材を挿入部の基端に嵌合することにより、挿入部の基端を容易に封止することができる。
【0008】
本発明の態様2は、態様1の内視鏡用挿入ユニットにおいて、前記挿入部の前記先端部に収容される発光素子をさらに備え、前記複数の小ケーブルには、前記撮像素子に電気的に接続される第1小ケーブルと、前記発光素子に電気的に接続される第2小ケーブルと、が含まれる。
【0009】
本発明の態様3は、態様2の内視鏡用挿入ユニットにおいて、前記発光素子に直接接続される複数の発光素子用ケーブルと、前記複数の発光素子用ケーブルを前記第2小ケーブルに電気的に接続させる中継用基板と、前記中継用基板を覆うポッティング材と、をさらに備える。
【0010】
本発明の態様4は、態様1から態様3のいずれか一つの内視鏡用挿入ユニットにおいて、前記シースは、前記挿入部の内部において撓んでいる。
【0011】
本発明の態様5は、態様1から態様4のいずれか一つの内視鏡用挿入ユニットにおいて、前記シール部材と前記挿入部との間は接着されている。
【発明の効果】
【0012】
本発明の上記態様によれば、挿入部の基端を容易に封止することが可能な、内視鏡用挿入ユニットを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】本実施形態に係る内視鏡用挿入ユニットの先端部の斜視図である。
【
図3】本実施形態に係る内視鏡用挿入ユニットの先端部の斜視図である。
【
図4】本実施形態に係る内視鏡用挿入ユニットの、長手方向における中央部の斜視図である。
【
図5】本実施形態に係る内視鏡用挿入ユニットの基端部の斜視図である。
【
図6】本実施形態に係る内視鏡用挿入ユニットの基端部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本実施形態の内視鏡、および当該内視鏡用挿入ユニットについて、図面に基づいて説明する。
図1に示すように、内視鏡1は、内視鏡用挿入ユニット2と、操作部3と、を備えている。なお、以下、内視鏡用挿入ユニット2を単に「挿入ユニット2」ともいう。挿入ユニット2は、被検体(例えば人体)の観察対象部位に挿入される。挿入ユニット2は、操作部3に嵌め込まれる。操作部3は、内視鏡1を把持および操作するための部位である。
【0015】
図2に示すように、挿入ユニット2は、挿入部10と、撮像素子20と、発光素子30と、ケーブル部40と、を備える。
【0016】
(方向定義)
本実施形態では、挿入部10の長手方向を単に「長手方向」ともいう。長手方向において、撮像素子20が配置された側を先端側といい、その反対側を基端側という。
【0017】
挿入部10は、挿入管11と、先端ケース12と、を備えている。
【0018】
挿入管11は、円筒状に形成されている。挿入管11は、硬質である。例えば、挿入管11の材質は、金属である。挿入管11は、軟質であってもよい。
【0019】
ケース12は、挿入管11の先端に取り付けられている。ケース12は、撮像素子20および発光素子30を収容する。
図3に示すように、ケース12は、カメラ収容部12aと、2つのライト収容部12bと、を有している。カメラ収容部12aおよびライト収容部12bは、ケース12の先端側の面に開口している。2つのライト収容部12bは、カメラ収容部12aを間に挟むように配置されている。
【0020】
撮像素子20は、ケース12内に配置される。撮像素子20は、被写体の撮像を行う。撮像素子20は、カメラ収容部12aに収容されている。撮像素子20としては、例えば、CMOS(相補型金属酸化膜半導体)などを用いることができる。
【0021】
発光素子30は、ケース12内に配置される。発光素子30は、光をケース12の前方へと照射する。本実施形態では、挿入ユニット2は、2つの発光素子30を有している。2つの発光素子30は、2つのライト収容部12bにそれぞれ収容されている。2つの発光素子30は、撮像素子20を間に挟むように配置されている。発光素子30としては、例えば、表面実装型の発光ダイオードなどを用いることができる。発光素子30の数は適宜変更してもよい。
【0022】
ケーブル部40は、撮像素子20および発光素子30を他の部材に対して電気的に接続する。
図2および
図4に示すように、ケーブル部40は、複数の第1小ケーブル41(小ケーブル)と、複数の発光素子用ケーブル42と、第2小ケーブル43(小ケーブル)と、中継用基板51と、シース44と、を有する。
【0023】
第1小ケーブル41は、撮像素子20に電気的に接続される。第1小ケーブル41の先端は、撮像素子20に接続されている。第1小ケーブル41の基端は、画像処理装置などに接続されている。第1小ケーブル41は、挿入管11に挿通されている。第1小ケーブル41は、撮像素子20から基端側に延びている。第1小ケーブル41は、例えば、同軸ケーブルである。本実施形態では、ケーブル部40は、2つの第1小ケーブル41を有している。第1小ケーブル41の数は適宜変更してもよい。
【0024】
発光素子用ケーブル42は、発光素子30に電気的に接続される。発光素子用ケーブル42の先端は、発光素子30に接続されている。発光素子用ケーブル42の基端は、中継用基板51に接続されている。発光素子用ケーブル42は、挿入管11に挿通されている。発光素子用ケーブル42は、撮像素子20から中継用基板51まで延びている。本実施形態では、ケーブル部40は、4つの発光素子用ケーブル42を有している。発光素子用ケーブル42の数は適宜変更してもよい。
【0025】
図4に示すように、中継用基板51は、挿入管11の、長手方向における中央部に配置される。中継用基板51は、複数の発光素子用ケーブル42を第2小ケーブル43に電気的に接続させる。中継用基板51は、複数の発光素子用ケーブル42を1つの第2小ケーブル43に集約するために用いられる。複数の発光素子用ケーブル42および第2小ケーブル43は、中継用基板51の電気回路に、はんだ付けにより接続される。
【0026】
第2小ケーブル43の先端は、中継用基板51に接続されている。第2小ケーブル43は、複数の発光素子用ケーブル42および中継用基板51を介して、発光素子30に電気的に接続される。第2小ケーブル43は、挿入管11に挿通されている。第2小ケーブル43は、中継用基板51から基端側に延びている。第2小ケーブル43は、例えば、同軸ケーブルである。
【0027】
中継用基板51は、ポッティング材53によって覆われている。ポッティング材53としては絶縁性を有する材質(例えば樹脂)を採用できる。ポッティング材53によって、中継用基板51のはんだ部などを保護することができる。
なお、ポッティング材53と挿入管11との間の隙間に、固定用樹脂を充填してもよい。この場合、中継用基板51を挿入管11に固定することができ、例えば第2小ケーブル43に張力が加わったとしてもその張力が発光素子用ケーブル42に伝わることを抑制できる。
【0028】
複数の第1小ケーブル41の基端部、および第2小ケーブル43の基端部は、シース44により一括して被覆される。シース44は、中継用基板51よりも基端側に設けられる。
図5および
図6に示すように、シース44は、挿入管11に挿通され、挿入管11の基端から延出する。シース44の断面形状は円形である。シース44の断面形状は楕円形であってもよい。
【0029】
シール部材60は、挿入管11の基端に嵌合される。挿入管11の基端は、シール部材60により封止される。これにより、挿入管11の内部への異物の侵入が防止される。シール部材60は、弾性を有する樹脂である。シール部材60は、挿入管11の内径と略同一の径を有する円筒形に形成されている。挿入管11とシール部材60との間は接着されている。
【0030】
シール部材60には、シース44が挿通される開口60aが形成されている。開口60aの径は、シース44の外径と略同一である。シース44は、開口60aから延出する。このとき、シース44のうち、挿入管11の内側に配置される部分(すなわち、シール部材60よりも先端側に位置する部分)は撓んでいる。シール部材60を長手方向から見たときに、開口60aは、シース44の位置に合わせて、シール部材60の中心からずれて(偏心して)設けられている。シール部材60を長手方向から見たときに、開口60aは、シール部材60の中心に設けられていてもよい。シール部材60は、Oリングでもよい。
【0031】
図6に示すように、挿入管11の基端部は、操作部3に嵌め込まれる。挿入管11と操作部3との間は、Oリング70により封止される。これにより、操作部3の内部への異物の侵入が防止される。
【0032】
次に、挿入ユニット2の製造方法について説明する。第1小ケーブル41、および発光素子用ケーブル42を挿入管11に挿通しつつ、撮像素子20および発光素子30をケース12に収容する。なお、中継用基板51により、発光素子用ケーブル42は第2小ケーブル43に予め電気的に接続されている。複数の第1小ケーブル41の基端部、および第2小ケーブル43の基端部をシース44により一括して被覆する。シース44をシール部材60の開口60aに挿通し、シール部材60を挿入管11の基端に嵌合する。このとき、シース44のうち、挿入管11の内側に配置される部分に、予め撓みを作っておく。この状態でシール部材60を挿入管11に、基端側から押し込むことにより、挿入管11の内部においてシース44を撓ませる。
【0033】
以上説明したように、本実施形態の内視鏡用挿入ユニット2は、撮像素子20と、先端部に撮像素子20が収容される挿入部10と、少なくとも一部が撮像素子20に電気的に接続される複数の小ケーブル41、43と、挿入部10の基端に嵌合されるとともに、開口60aを有するシール部材60と、複数の小ケーブル41、43を一括して被覆するとともに開口60aから延出するシース44と、を備える。
【0034】
このような構成によれば、シース44をシール部材60の開口60aに挿通し、シール部材60を挿入部10の基端に嵌合することにより、挿入部10の基端を容易に封止することができる。したがって、内視鏡用挿入ユニット2の製造が容易となる。
【0035】
また、内視鏡用挿入ユニット2は、挿入部10の先端部に収容される発光素子30をさらに備える。複数の小ケーブル41、43には、撮像素子20に電気的に接続される第1小ケーブル41と、発光素子30に電気的に接続される第2小ケーブル43と、が含まれる。この構成によれば、撮像素子20に電気的に接続される第1小ケーブル41と、発光素子30に電気的に接続される第2小ケーブル43とを設けることができる。第1小ケーブル41および第2小ケーブル43をシース44により一括して被覆するため、第1小ケーブル41および第2小ケーブル43が挿入部10の基端からそれぞれ延出する場合と比べて、挿入部10の基端の封止性が向上する。
【0036】
また、内視鏡用挿入ユニット2は、発光素子30に直接接続される複数の発光素子用ケーブル42と、複数の発光素子用ケーブル42を第2小ケーブル43に電気的に接続させる中継用基板51と、中継用基板51を覆うポッティング材53と、をさらに備える。この構成によれば、中継用基板51により、複数の発光素子用ケーブル42を第2小ケーブル43に集約することができる。また、ポッティング材53によって、中継用基板51のはんだ部などを保護することができる。
【0037】
また、シース44は、挿入部10の内部において撓んでいる。この構成によれば、内視鏡用挿入ユニット2の操作時などにシース44に張力が加わったとしても、その張力に対する余長が設けられているため、シース44、およびシース44により被覆される複数の小ケーブル41、43の損傷を抑制することができる。
【0038】
また、シール部材60と挿入部10との間は接着されている。この構成によれば、シール部材60が挿入部10から脱落することが防止でき、挿入部10の基端の封止性が向上する。
【0039】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0040】
例えば、中継用基板51は省略されていてもよい。この場合には、複数の発光素子用ケーブル42は、小ケーブルとして、第1小ケーブル41とともにシース44に被覆される。
また、中継用基板51を、複数の第1小ケーブル41に対して用いてもよい。すなわち、中継用基板51により、複数の第1小ケーブル41を1つの小ケーブルに集約してもよい。
【0041】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した実施形態や変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0042】
1…内視鏡 2…挿入ユニット 10…挿入部 20…撮像素子 30…発光素子 41…第1小ケーブル(小ケーブル) 42…発光素子用ケーブル 43…第2小ケーブル(小ケーブル) 44…シース 51…中継用基板 53…ポッティング材 60…シール部材 60a…開口