(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022877
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】保持装置
(51)【国際特許分類】
G03B 17/56 20210101AFI20240214BHJP
H05K 7/12 20060101ALI20240214BHJP
F16M 13/00 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
G03B17/56 A
H05K7/12 S
F16M13/00 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022126307
(22)【出願日】2022-08-08
(71)【出願人】
【識別番号】517255566
【氏名又は名称】株式会社エクサウィザーズ
(71)【出願人】
【識別番号】522281866
【氏名又は名称】アンビト株式会社
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 智紀
(72)【発明者】
【氏名】若狭 達也
【テーマコード(参考)】
2H105
4E353
【Fターム(参考)】
2H105AA02
2H105AA06
4E353AA21
4E353BB06
4E353DD02
4E353DD05
4E353DD15
4E353GG24
(57)【要約】
【課題】 装置を固定部位に容易に保持させることができる保持装置を得る。
【解決手段】
一実施形態にかかる保持装置は、装置を保持する装置保持部と、固定部位に取り付けられる固定ガイド部と、前記装置保持部と結合されかつ前記固定ガイド部と嵌合する嵌合部を備えた嵌合本体部と、を有している。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置を保持する装置保持部と、
固定部位に取り付けられる固定ガイド部と、
前記装置保持部と結合されかつ前記固定ガイド部と嵌合する嵌合部を備えた嵌合本体部と、
を有する保持装置。
【請求項2】
前記嵌合部は、前記固定ガイド部に対して前記嵌合本体部を一方向に沿って摺動可能とさせた第1摺動案内部と、前記嵌合本体部を前記第1摺動案内部に沿って摺動させた際に所定の位置にて前記固定ガイド部に係止する第1係止部と、を有している、
請求項1に記載の保持装置。
【請求項3】
前記嵌合部は、前記固定ガイド部に対して前記嵌合本体部を前記第1摺動案内部による摺動方向とは異なる方向に沿って摺動可能とさせた第2摺動案内部と、前記嵌合本体部を前記第2摺動案内部に沿って摺動させた際に所定の位置にて前記固定ガイド部に係止する第2係止部と、を有している、
請求項2に記載の保持装置。
【請求項4】
前記装置保持部は、所定の方向視にて前記装置、前記固定ガイド部及び前記嵌合本体部を覆うように設けられた背板部を有している、
請求項1又は請求項2に記載の保持装置。
【請求項5】
前記装置保持部は、所定の方向視にて前記装置、前記固定ガイド部及び前記嵌合本体部を覆うように設けられた背板部を有している、
請求項3に記載の保持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
引用文献1には、撮像装置が着脱可能なケーシングが開示されている。この文献に開示されたケーシングは、スマートフォン等の撮像可能な電子機器を内部に着脱可能に保持すると共に、外部から押下げ可能なシャッターボタンを有している。これにより、撮像装置をハウジングに装着した状態で撮影が可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1に記載された構成の場合、撮像装置を建物の壁や家具等の固定部位に固定した状態での撮影、いわゆる定点観測的な撮影をしたい場合のことを考慮していない。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮し、装置を固定部位に容易に保持させることができる保持装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の保持装置は、装置を保持する装置保持部と、固定部位に取り付けられる固定ガイド部と、前記装置保持部と結合されかつ前記固定ガイド部と嵌合する嵌合部を備えた嵌合本体部と、を有している。
【0007】
請求項1に記載の保持装置によれば、装置保持部と固定ガイド部と嵌合本体部とを有している。嵌合本体部は、固定部位に取り付けられた固定ガイド部に嵌合する嵌合部を備えており、装置保持部と結合されている。したがって、装置を保持する装置保持部が嵌合本体部及び固定ガイド部を介して固定部位に固定される。
【0008】
請求項2に記載の保持装置は、請求項1に記載の発明において、前記嵌合部は、前記固定ガイド部に対して前記嵌合本体部を一方向に沿って摺動可能とさせた第1摺動案内部と、前記嵌合本体部を前記第1摺動案内部に沿って摺動させた際に所定の位置にて前記固定ガイド部に係止する第1係止部と、を有している。
【0009】
請求項2に記載の保持装置によれば、嵌合部は、第1摺動案内部と第1係止部とを有している。第1摺動案内部は、固定ガイド部に対して嵌合本体部を一方向に沿って摺動可能としていることから、嵌合部ひいては装置保持部を固定部位に対して一方向に摺動させることで位置の調整が可能となる。また、第1係止部は、嵌合本体部を第1摺動案内部に沿って摺動させた際に所定の位置にて固定ガイド部に係止することから、嵌合部ひいては装置保持部が固定ガイド部に対して不用意に摺動してしまうのを抑制することができる。これにより、固定位置の調整と安定的な固定とを両立させることができる。
【0010】
請求項3に記載の保持装置は、請求項2に記載の発明において、前記嵌合部は、前記固定ガイド部に対して前記嵌合本体部を前記第1摺動案内部による摺動方向とは異なる方向に沿って摺動可能とさせた第2摺動案内部と、前記嵌合本体部を前記第2摺動案内部に沿って摺動させた際に所定の位置にて前記固定ガイド部に係止する第2係止部と、を有している。
【0011】
請求項3に記載の保持装置によれば、嵌合部は、第2摺動案内部と第2係止部とを有している。第2摺動案内部は、固定ガイド部に対して嵌合本体部を第1摺動案内部による摺動方向(以下、単に「一方向」と称する。)とは異なる方向に沿って摺動可能としていることから、嵌合部ひいては装置保持部を固定部位に対して一方向とは異なる方向に摺動させることで位置の調整が可能となる。また、第2係止部は、嵌合本体部を第2摺動案内部に沿って摺動させた際に所定の位置にて固定ガイド部に係止することから、嵌合部ひいては装置保持部が固定ガイド部に対して不用意に摺動してしまうのを抑制することができる。これにより、固定位置の調整幅がさらに拡大されると共に、安定的な固定をさせることができる。
【0012】
請求項4及び請求項5に記載の保持装置は、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の発明において、前記装置保持部は、所定の方向視にて前記装置、前記固定ガイド部及び前記嵌合本体部を覆うように設けられた背板部を有している。
【0013】
請求項4及び請求項5に記載の保持装置によれば、装置保持部は、所定の方向視にて装置、固定ガイド部及び嵌合本体部を覆うように設けられた背板部を有していることから、所定の方向視からの見た目がすっきりとした様となる。これにより、外観意匠性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、装置を固定部位に容易に保持させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1実施形態に係る保持装置を示す分解斜視図である。
【
図2】第1実施形態に係る保持装置を所定の方向視にて見た状態を示す図である。
【
図3】第1実施形態に係る保持装置における装置保持部及び嵌合本体部を示す斜視図である。
【
図4】第1実施形態に係る保持装置における固定ガイド部を示す斜視図である。
【
図5】(a)は第1実施形態に係る保持装置の第1係止部にて係止する際の初期段階を、(b)は第1係止部にて係止する際の中期段階を、(c)は第1係止部にて係止する際の最終段階を、(d)は(c)の段階を異なる方向視から見た状態を示す図である。
【
図6】
図5(d)におけるA-A線に沿って切断した状態を示す概略拡大断面図である。
【
図7】
図5(b)の状態にて
図5(d)におけるB-B線に沿って切断した状態を示す概略拡大断面図である。
【
図8】
図5(c)の状態にて
図5(d)におけるB-B線に沿って切断した状態を示す概略拡大断面図である。
【
図9】(a)は第1実施形態に係る保持装置の第2係止部の一部にて係止する際の初期段階を、(b)は第2係止部の一部にて係止する際の中期段階を、(c)は第2係止部の一部にて係止する際の最終段階を、(d)は(c)の段階を異なる方向視から見た状態を示す図である。
【
図10】(a)は第1実施形態に係る保持装置の第2係止部のその他一部にて係止する際の初期段階を、(b)は第2係止部のその他一部にて係止する際の中期段階を、(c)は第2係止部のその他一部にて係止する際の最終段階を、(d)は(c)の段階を異なる方向視から見た状態を示す図である。
【
図11】第2実施形態に係る保持装置を所定の方向視とは反対側から見た状態を示す図である。
【
図12】
図11におけるC-C線に沿って切断した状態を示す概略拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態)
以下、
図1~
図10を用いて、本発明に係る保持装置10の第1実施形態について説明する。なお、各図に適宜記す矢印X、矢印Y、矢印Zは、装置の幅方向、装置の奥行方向、装置の上下方向をそれぞれ示している。
【0017】
(全体構成)
保持装置10は、装置としての撮像装置12(
図3参照)を保持した状態で建物内の固定部位としての壁部14に固定するための装置である。保持装置10は、壁部14における建物内の様子の撮像に適した位置に固定することで、撮像装置12により建物内の様子を定点観測的に適切な撮影をすることができる。
【0018】
保持装置10は、
図3に示されるように、内部に撮像装置12を収容した状態にて保持する。撮像装置12は、一例として、スマートフォンや携帯端末であるが、これに限らず、その他の装置であってもよい。
【0019】
保持装置10は、装置保持部16と、固定ガイド部18(
図1参照)と、嵌合本体部20とを有している。装置保持部16と嵌合本体部20とは、互いに締結されることで一体的に構成されている。一方、固定ガイド部18は、予め締結具22を介して壁部14に締結されている。嵌合本体部20と固定ガイド部18とは、着脱可能な構成とされている(詳細は後述する)。
【0020】
(装置保持部)
装置保持部16は、背板部24と、保持部26と、結合部28とを有している。背板部24は、略矩形板状に形成されており、一例として樹脂製とされている。この背板部24は、板厚方向がY方向とされかつ板厚方向視にて長手方向がX方向に沿うように配置されている。背板部24は、Y方向視にて撮像装置12と背板部24に取り付けられた嵌合本体部20とが覆われる(略隠れる)サイズに設定されている。なお、Y方向に沿ってかつ壁部14側へ見た視線方向が請求項4に記載の「所定の方向視」に相当する。
【0021】
背板部24には、レンズ用穴部30と、固定ガイド逃げ部32とが設けられている。レンズ用穴部30は、撮像装置12のレンズ34(
図2参照)に対応した位置及び形状に形成されており、板厚方向に貫通された貫通孔とされている。なお、本実施形態では、レンズ用穴部30は、撮像装置12のレンズ34と、フラッシュ発光部36と、センサ部38とを外部へ開放する形状に形成されている。
【0022】
固定ガイド逃げ部32は、
図3に示されるように、背板部24の外縁部40における嵌合本体部20に形成された嵌合部42(詳細は後述)に対応した位置に形成されている。固定ガイド逃げ部32は、板厚方向視にて外縁部40の外方側へ向けて開放された略U字状に形成された切欠きとされている。また、固定ガイド逃げ部32のZ方向の寸法は、固定ガイド部18の爪部44(
図4参照、詳細は後述)のZ方向の寸法よりも大きく設定されている。
【0023】
保持部26は、背板部24板厚方向にて壁部14側に設けられている。この保持部26は、保持本体部46と、操作用逃げ部48と、接続具逃げ部50とが設けられている。保持本体部46は、背板部24の壁部14側の面から板厚方向に沿って壁部14側へ突出された略壁状に形成されており、撮像装置12の4つの外周側面12A、12B、12C、12Dにそれぞれ当接するように配置されている。つまり、保持本体部46は、撮像装置12の外周側面12A、12B、12C、12Dと間に生じる摩擦力を利用して撮像装置12を保持している。
【0024】
操作用逃げ部48は、撮像装置12の操作部60に対応した位置に設けられている。操作用逃げ部48は、操作部60に対してY方向に直交する方向にて所定の寸法分離間した空間とされている。なお、当該「所定の寸法」は、本実施形態では手の親指が入る程度の寸法に設定されている。
【0025】
接続具逃げ部50は、撮像装置12における接続端子64及びケーブル66(
図11参照)等の接続具に対応した位置に保持本体部46を切欠くように設けられた空間とされている。これにより、接続具と保持本体部46との干渉が抑制されている。
【0026】
結合部28は、背板部24における保持本体部46の下方側に設けられている。結合部28には、結合部28に対してY方向にて壁部14側に配置された嵌合本体部20が図示しない締結具を介して結合されている。したがって、嵌合本体部20と結合部28ひいては装置保持部16とは一体的に構成されている。
【0027】
(固定ガイド部)
図4に示されるように、固定ガイド部18は、壁部14の任意の位置に予め取り付けられている。固定ガイド部18は、Y方向視にてX方向を長手方向とする略矩形状に形成されており、基部68と、爪部44と、壁部締結部70と、係止凸部72と、を有している。
【0028】
基部68は、Y方向を板厚方向とする板状部材により構成されており、X方向外方側の端部74には、R形状が形成されている。このR形状は、基部68における壁部14と反対側の面がX方向にて基部外側から基部内側へ向かうに連れて板厚が増加するように湾曲されている。
【0029】
爪部44は、Z方向に対向して一対設けられており、基部68における壁部14と反対側の面からY方向に沿って壁部14と反対側へ突出するように形成されている。具体的には、爪部44は、延設部76と爪本体部78とを有しており、延設部76は、略Z方向を板厚方向とする板状部材とされかつ基部68の一方側の端部74から他方側の端部74に亘ってX方向に沿って延設されている。また、延設部76のX方向における端部80は、R形状に形成されている。
【0030】
爪本体部78は、略Y方向を板厚方向とする板状部材とされかつ延設部76のY方向外側(壁部14と反対側)の端部82から略Z方向に沿って基部内側へ向けて突出するように形成されている。なお、爪本体部78は、延設部76における端部80以外の範囲に設けられている。
【0031】
壁部締結部70は、基部68における端部74の近傍かつ基部68のZ方向略中央に設けられており(本実施形態では2つ)、基部68の板厚方向にて貫通された図示しない貫通孔を有している。当該貫通孔に締結部材84を挿入し壁部14へ締結することで、固定ガイド部18が壁部14に固定されている。なお、上述の例では、締結部材84により固定ガイド部18が壁部14に固定されている構成とされているが、これに限らず、基部68の壁部14側の面に両面テープを取り付けて、当該両面テープを介して固定ガイド部18を壁部14に固定する構成としてもよい。また、両面テープ以外にも、接着剤やフック金具などその他の部材を利用して固定ガイド部18を壁部14に固定する構成としてもよい。さらに、固定ガイド部18を、両面テープを介して壁部14に固定する際は、基部68の壁部14側の面に両面テープの厚みを吸収することができる図示しない段差部を形成してもよい。
【0032】
係止凸部72は、Y方向視にて基部68における中心部に設けられており、係止凸本体部86と、弾性部88とを有している。係止凸本体部86は、Y方向視にて円環状に形成されていると共に、弾性部88のみを介して基部68に支持されている。つまり、係止凸本体部86は、弾性部88以外は基部68と離間されている。また、係止凸本体部86は、Y方向にて基部68における壁部14と反対側の面よりも若干突出すると共に、外縁部90にはR形状が形成されている(
図8参照)。
【0033】
弾性部88は、係止凸本体部86を間に配置した一対の弾性本体部92を含んで構成されている。弾性本体部92は、Y方向視にてX方向を長手方向とする略矩形状に形成されていると共に、長手方向の一方側の端部94が基部68と結合されかつ他方側の端部96が係止凸本体部86に結合されている。つまり、弾性本体部92は、端部94以外は基部68と離間されている。換言すると、係止凸本体部86は、X方向にて延設された弾性本体部92により基部68に対してY方向に弾性可能に支持されている。弾性本体部92のZ方向の寸法は、係止凸本体部86のZ方向の寸法以下に設定されていると共に、端部94における基部68との結合部位は、R形状が形成されている(図中W参照)。
【0034】
(嵌合本体部)
図3に示されるように、嵌合本体部20は、Y方向視にてX方向を長手方向とする略矩形箱状に形成されている。なお、嵌合本体部20における壁部14と略対向する側面98は、壁部14と略平行な第1構成側面98Aと、第1構成側面98Aに対して壁部14と反対方向へ所定の角度傾けられておりかつX方向にて一対の第2構成側面98Bと、第2構成側面98Bに対して壁部14と反対方向へ所定の角度傾けられておりかつX方向にて一対の第3構成側面98Cと、を含んで構成されている。第3構成側面98CにおけるX方向での嵌合本体部20の外方側の端部100は、嵌合本体部20における側面98のY方向での反対側の面である側面102(
図7参照)の嵌合本体部20の外方側の端部104に結合されている。つまり、嵌合本体部20は、Z方向視にて略D字状に形成されている。
【0035】
嵌合本体部20は、Z方向の寸法が、固定ガイド部18の一方側の延設部76におけるZ方向内側の面から他方側の延設部76におけるZ方向内側の面(
図4参照)までの寸法と略同一とされている。これにより、嵌合部42に固定ガイド部18の爪部44が係合された際(詳細は後述)の嵌合本体部20惹いては保持装置10のZ方向での変位を規制することができる。
【0036】
嵌合本体部20は、嵌合部42を有している。この嵌合部42は、第1嵌合部106と第2嵌合部108とを含んで構成されている。第1嵌合部106は、第1摺動案内部110と、第1係止部111とを含んで構成されている。第1摺動案内部110は、嵌合本体部20におけるZ方向での上側面112と、上側面112とZ方向にて対向する下側面(不図示)とに設けられており、上側面112及び下側面におけるY方向での壁部14側の端部近傍かつ第1構成側面98A対応した位置にX方向に沿って延設されている。なお、下側面における第1摺動案内部110は、上側面112における第1摺動案内部110と略同一の構造(上下対称の構造)とされているため、以下、上側面112における第1摺動案内部110の構造についてのみ説明する。
【0037】
第1摺動案内部110は、延設方向に直交する断面形状がZ方向にて上方側へ開放された略U字状に形成されている(
図6参照)。第1摺動案内部110のZ方向の寸法は、固定ガイド部18の爪本体部78におけるZ方向の寸法と略同一とされていると共に、第1摺動案内部110のY方向の寸法は、固定ガイド部18の爪本体部78におけるY方向の寸法と略同一とされている。したがって、第1摺動案内部110内へ爪本体部78の挿入が可能とされている。これにより、第1摺動案内部110内へ爪本体部78を挿入(係合)した際の嵌合本体部20惹いては保持装置10のY方向での変位を規制することができると共に、一方向(本実施形態では、X方向)に摺動可能とされている。
【0038】
第1摺動案内部110のX方向における端部114は、第2構成側面98Bに設けられている。この端部114には、
図5(a)に示されるように、ガイド部116が形成されており、ガイド部116は固定ガイド部18の爪本体部78を第1摺動案内部110内に挿入する際に爪本体部78が引っ掛かり難くなるようにR形状が付与されている。
【0039】
図3に示されるように、第1係止部111は、複数(本実施形態では3つ)の第1凹部118により構成されている。この第1凹部118はY方向視にて円形に形成されており、直径が固定ガイド部18の係止凸本体部86(
図4参照)の直径よりも大きく設定されている。これにより、
図5(b)に示されるように、固定ガイド部18の爪本体部78を第1摺動案内部110内に挿入させて嵌合本体部20をX方向に沿って図中矢印方向に移動(摺動)させた際は、
図7に示されるように、固定ガイド部18の係止凸本体部86が嵌合本体部20の第1構成側面98Aと干渉してY方向に弾性変位する。つまり、係止凸本体部86は、Y方向かつ壁部14と反対側へ弾性力が付与された状態となる。そのまま嵌合本体部20を図中矢印方向に移動させると、
図8に示されるように、第1凹部118内に係止凸本体部86が弾性力を利用して入り込むことで、第1凹部118と係止凸本体部86とが係合される。これにより、第1摺動案内部110内へ爪本体部78を挿入(係合)した際の嵌合本体部20惹いては保持装置10のX方向での変位を規制することができる。一例として、3つのうち中央の第1凹部118に係止凸本体部86を係合させた際は、
図5(c)に示されるように、固定ガイド部18のX方向の略中心と嵌合本体部20のX方向の略中央とが一致した位置関係となり、この状態で固定(X方向、Y方向及びZ方向の移動が制限)される(
図5(d)も参照)。
【0040】
第1凹部118の壁部14側の端部120には、R形状が形成されている。これにより、第1凹部118と係止凸本体部86との係合を解除させようとして嵌合本体部20をX方向に沿って所定の荷重以上の荷重を加えて移動させる際に、円滑に第1凹部118内から係止凸本体部86を移動させることができる。なお、前述の「所定の荷重」とは、係止凸本体部86をY方向にて弾性変位させるために必要な荷重をいう。
【0041】
第2嵌合部108は、第2内側嵌合部122と第2外側嵌合部124とを含んで構成されている。第2内側嵌合部122は、第1嵌合部106とX方向にて隣接した位置に設けられている。第2内側嵌合部122は、第2摺動案内部としての第2内側摺動案内部126と、第2係止部としての第2内側係止部127とを含んで構成されている。第2内側摺動案内部126は、嵌合本体部20におけるZ方向での上側面112と、上側面112とZ方向にて対向する下側面(不図示)とに設けられており、上側面112及び下側面におけるY方向での壁部14側の端部近傍かつ第2構成側面98Bと対応した位置に略X方向に沿って延設されている。なお、下側面における第2内側摺動案内部126は、上側面112における第2内側摺動案内部126と略同一の構造(上下対称の構造)とされているため、以下、上側面112における第2内側摺動案内部126の構造についてのみ説明する。
【0042】
第2内側摺動案内部126は、第1摺動案内部110と同様に、延設方向に直交する断面形状がZ方向にて上方側へ開放された略U字状に形成されている。第2内側摺動案内部126のZ方向の寸法は、固定ガイド部18の爪本体部78におけるZ方向の寸法と略同一とされていると共に、第2内側摺動案内部126の延設方向と直交する断面視(
図6参照)にて幅方向の寸法は、固定ガイド部18の爪本体部78におけるY方向の寸法と略同一とされている。したがって、第2内側摺動案内部126内へ爪本体部78の挿入が可能とされている。これにより、第2内側摺動案内部126内へ爪本体部78を挿入(係合)した際の嵌合本体部20惹いては保持装置10のY方向での変位を規制することができると共に、一方向(本実施形態では、X方向)に摺動可能とされている。
【0043】
第2内側摺動案内部126の延設方向における端部128は、第1構成側面98A及び第3構成側面98Cとそれぞれに設けられている。この端部128には、
図9(a)に示されるように、ガイド部130が形成されており、ガイド部130は固定ガイド部18の爪本体部78を第2内側摺動案内部126内に挿入する際に爪本体部78が引っ掛かり難くなるようにR形状が付与されている。
【0044】
図3に示されるように、第2内側係止部127は、第2内側凹部132により構成されている。この第2内側凹部132は、第2構成側面98Bの面直方向視にて略円形に形成されており、直径が固定ガイド部18の係止凸本体部86の直径よりも大きく設定されている。これにより、
図9(b)に示されるように、固定ガイド部18の爪本体部78を第2内側摺動案内部126内に挿入させて嵌合本体部20をX方向に沿って図中矢印方向に移動させた際は、前述した第1嵌合部106の場合と同様に、固定ガイド部18の係止凸本体部86が嵌合本体部20の第2構成側面98Bと干渉してY方向に弾性変位する。つまり、係止凸本体部86は、Y方向の壁部14と反対側へ弾性力が付与された状態となる。そのまま嵌合本体部20を図中矢印方向に移動(摺動)させると、第2内側凹部132内に係止凸本体部86が弾性力を利用して入り込むことで、第2内側凹部132と係止凸本体部86とが係合される。これにより、第2内側摺動案内部126内へ爪本体部78を挿入(係合)した際の嵌合本体部20惹いては保持装置10のX方向での変位を規制することができる。なお、第2内側嵌合部122は、第1構成側面98Aに対して壁部14と反対方向へ所定の角度傾けられている第2構成側面98Bに対応した位置に設けられていることから、第2内側凹部132に係止凸本体部86を係合させた際は、
図9(c)に示されるように、第1嵌合部106にて係止させた状態とは異なる方向(具体的にはZ方向を軸として所定の角度回転させた向き)へ撮像装置12を向けて固定(X方向、Y方向及びZ方向の移動が制限)される(
図9(d)も参照)。
【0045】
第2内側凹部132の壁部14側の端部136には、第1凹部118と同様に、R形状が形成されている。これにより、第2内側凹部132と係止凸本体部86との係合を解除させようとして嵌合本体部20をX方向に沿って所定の荷重以上の荷重を加えて移動させる際に、円滑に第2内側凹部132内から係止凸本体部86を移動させることができる。
【0046】
第2外側嵌合部124は、第2内側嵌合部122とX方向にて隣接した位置に設けられている。第2外側嵌合部124は、第2摺動案内部としての第2外側摺動案内部140と、第2係止部としての第2外側係止部141とを含んで構成されている。第2外側摺動案内部140は、嵌合本体部20におけるZ方向での上側面112と、上側面112とZ方向にて対向する下側面(不図示)とに設けられており、上側面112及び下側面におけるY方向での壁部14側の端部近傍かつ第3構成側面98Cと対応した位置に略X方向に沿って延設されている。なお、下側面における第2外側摺動案内部140は、上側面112における第2外側摺動案内部140と略同一の構造(上下対称の構造)とされているため、以下、上側面112における第2外側摺動案内部140の構造についてのみ説明する。
【0047】
第2外側摺動案内部140は、第1摺動案内部110と同様に、延設方向に直交する断面形状がZ方向にて上方側へ開放された略U字状に形成されている。第2外側摺動案内部140のZ方向の寸法は、固定ガイド部18の爪本体部78におけるZ方向の寸法と略同一とされていると共に、第2外側摺動案内部140の延設方向と直交する断面視にて幅方向の寸法は、固定ガイド部18の爪本体部78におけるY方向の寸法と略同一とされている。したがって、第2外側摺動案内部140内へ爪本体部78の挿入が可能とされている。これにより、第2外側摺動案内部140内へ爪本体部78を挿入(係合)した際の嵌合本体部20惹いては保持装置10のY方向での変位を規制することができると共に、一方向(本実施形態では、X方向)に摺動可能とされている。
【0048】
第2外側摺動案内部140の延設方向における端部142は、第2構成側面98B及び装置保持部16の固定ガイド逃げ部32に対応した位置とそれぞれに設けられている。この端部142には、
図10(a)に示されるように、ガイド部144が形成されており、ガイド部144は固定ガイド部18の爪本体部78を第2外側摺動案内部140内に挿入する際に爪本体部78が引っ掛かり難くなるようにR形状が付与されている。
【0049】
図3に示されるように、第2外側係止部141は、第2外側凹部146により構成されている。この第2外側凹部146は、第3構成側面98Cの面直方向視にて略円形に形成されており、直径が固定ガイド部18の係止凸本体部86の直径よりも大きく設定されている。これにより、
図10(b)に示されるように、固定ガイド部18の爪本体部78を第2外側摺動案内部140内に挿入させて嵌合本体部20をX方向に沿って図中矢印方向に移動させた際は、前述した第1嵌合部106の場合と同様に、固定ガイド部18の係止凸本体部86が嵌合本体部20の第3構成側面98Cと干渉してY方向に弾性変位する。つまり、係止凸本体部86は、Y方向の壁部14と反対側へ弾性力が付与された状態となる。そのまま嵌合本体部20を図中矢印方向に移動(摺動)させると、第2外側凹部146内に係止凸本体部86が弾性力を利用して入り込むことで、第2外側凹部146と係止凸本体部86とが係合される。これにより、第2外側摺動案内部140内へ爪本体部78を挿入(係合)した際の嵌合本体部20惹いては保持装置10のX方向での変位を規制することができる。なお、第2外側嵌合部124は、第1構成側面98Aに対して壁部14と反対方向へ第2構成側面98Bとは異なる所定の角度傾けられている第3構成側面98Cに対応した位置に設けられていることから、第2外側凹部146に係止凸本体部86を係合させた際は、
図10(c)に示されるように、第1係止部111及び第2内側係止部127にて係止させた状態とは異なる方向(具体的にはZ方向を軸として第2内側係止部127による係止時とは異なる所定の角度回転させた向き)へ撮像装置12を向けて固定(X方向、Y方向及びZ方向の移動が制限)される(
図10(d)も参照)。
【0050】
第2外側凹部146の壁部14側の端部148には、第1凹部118と同様に、R形状が形成されている。これにより、第2外側凹部146と係止凸本体部86との係合を解除させようとして嵌合本体部20をX方向に沿って所定の荷重以上の荷重を加えて移動させる際に、円滑に第2外側凹部146内から係止凸本体部86を移動させることができる。
【0051】
<第1実施形態の作用・効果>
次に、第1実施形態の作用並びに効果を説明する。
【0052】
本実施形態では、
図1に示されるように、装置保持部16と固定ガイド部18と嵌合本体部20(
図3参照)とを有している。嵌合本体部20は、壁部14に取り付けられた固定ガイド部18に嵌合する嵌合部42を備えており、装置保持部16と結合されている。したがって、撮像装置12を保持する装置保持部16が嵌合本体部20及び固定ガイド部18を介して壁部14に固定される。これにより、撮像装置12を壁部14(固定部位)に容易に保持させることができる。
【0053】
また、嵌合部42は、第1摺動案内部110と第1係止部111とを有している。第1摺動案内部110は、固定ガイド部18に対して嵌合本体部20を一方向に沿って摺動可能としていることから、嵌合部42ひいては装置保持部16を壁部14に対して一方向に摺動させることで位置の調整が可能となる。また、第1係止部111は、嵌合本体部20を第1摺動案内部110に沿って摺動させた際に所定の位置にて固定ガイド部18に係止することから、嵌合部42ひいては装置保持部16が固定ガイド部18に対して不用意に摺動してしまうのを抑制することができる。これにより、固定位置の調整と安定的な固定とを両立させることができる。
【0054】
さらに、嵌合部42は、第2内側摺動案内部126と、第2内側係止部127と、第2外側摺動案内部140と、第2外側係止部141とを有している。第2内側摺動案内部126と第2外側摺動案内部140とは、固定ガイド部18に対して嵌合本体部20を第1摺動案内部110による摺動方向とは異なる方向に沿って摺動可能としていることから、嵌合部42ひいては装置保持部16を壁部14に対して一方向とは異なる方向に摺動させることで位置の調整が可能となる。また、第2内側係止部127と第2外側係止部141とは、嵌合本体部20を第2内側摺動案内部126又は第2外側摺動案内部140に沿って摺動させた際に所定の位置にて固定ガイド部18に係止することから、嵌合部42ひいては装置保持部16が固定ガイド部18に対して不用意に摺動してしまうのを抑制することができる。これにより、固定位置の調整幅がさらに拡大されると共に、安定的な固定をさせることができる。
【0055】
さらにまた、装置保持部16は、所定の方向視にて撮像装置12、固定ガイド部18及び嵌合本体部20を覆うように設けられた背板部24を有していることから、所定の方向視からの見た目がすっきりとした様となる。これにより、外観意匠性を向上させることができる。
【0056】
(第2実施形態)
次に、
図11、
図12を用いて、本発明の第2実施形態に係る保持装置について説明する。なお、前述した第1実施形態等と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
【0057】
この第2実施形態に係る保持装置200は、基本的な構成は第1実施形態と同様とされ、背板部202に凸部204が設けられている点に特徴がある。
【0058】
すなわち、
図11に示されるように、保持装置200は、装置保持部206と、固定ガイド部18(
図1参照)と、嵌合本体部20とを有している。装置保持部206と嵌合本体部20とは、互いに締結されることで一体的に構成されている。
【0059】
(装置保持部)
装置保持部206は、背板部202と、保持部203と、結合部28とを有している。背板部202は、略矩形板状に形成されており、一例として樹脂製とされている。この背板部202は、板厚方向がY方向とされかつ板厚方向視にて長手方向がX方向に沿うように配置されている。背板部202は、所定の方向視にて撮像装置12と背板部24に取り付けられた嵌合本体部20とが覆われる(略隠れる)サイズに設定されている。
【0060】
背板部202には、レンズ用穴部30と、固定ガイド逃げ部32と、凸部204とが設けられている。凸部204は、背板部202の壁部14側の面に設けられていると共に、複数(本実施形態では24)の凸本体部208を有している。凸本体部208は、Y方向視にて円環状に形成されていると共に、
図12に示されるように、Y方向に沿って壁部14側へ突出している。この突出量は、一例として、撮像装置12を装置保持部206内に保持させた状態での接続端子64及びケーブル66等の接続具(
図11参照)と背板部202との干渉が抑制される程度に設定されている。
【0061】
<第2実施形態の作用・効果>
次に、第2実施形態の作用並びに効果を説明する。
【0062】
上記構成によっても、背板部202に凸部204が設けられている点以外は第1実施形態の保持装置10と同様に構成されているので、第1実施形態と同様の効果が得られる。また、背板部202に凸部204が設けられていることで、撮像装置12を装置保持部206内に保持させた状態での接続端子64及びケーブル66等の接続具と背板部202との干渉を抑制することができる。また、撮像装置12と背板部202との間に空間が形成されることから、撮像装置12の排熱を円滑に行うことが可能となる。
【0063】
なお、上述した第2本実施形態では、凸部204は複数の凸本体部208により構成されているが、これに限らず、単体の凸本体部208により構成されてもよい。また、凸本体部208は、Y方向視にて円環状に形成されているが、これに限らず、その他形状としてもよい。
【0064】
また、上述した第1、第2本実施形態では、装置として撮像装置12が保持される構成とされているが、これに限らず、センサやディスプレイ等その他の装置を保持する構成としてよい。
【0065】
さらに、固定部位として壁部14に固定ガイド部18を取り付ける構成とされているが、これに限らず、ドア等の建具、床、天井、ホワイトボード等の家具等に固定ガイド部18を取り付ける構成としてもよい。
【0066】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。また、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0067】
10 保持装置
12 撮像装置(装置)
14 壁部(固定部位)
16 装置保持部
18 固定ガイド部
20 嵌合本体部
24 背板部
42 嵌合部
110 第1摺動案内部
111 第1係止部
126 第2内側摺動案内部(第2摺動案内部)
127 第2内側係止部(第2係止部)
140 第2外側摺動案内部(第2摺動案内部)
141 第2外側係止部(第2係止部)
200 保持装置