(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022878
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】光コネクタ構造及びそれを有する光ファイバケーブル
(51)【国際特許分類】
G02B 6/26 20060101AFI20240214BHJP
【FI】
G02B6/26
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022126308
(22)【出願日】2022-08-08
(71)【出願人】
【識別番号】000003263
【氏名又は名称】三菱電線工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浦松 知史
(72)【発明者】
【氏名】田中 正俊
(72)【発明者】
【氏名】八若 正義
(72)【発明者】
【氏名】石田 智彦
(72)【発明者】
【氏名】北澤 敏幸
【テーマコード(参考)】
2H137
【Fターム(参考)】
2H137AA13
2H137AB06
2H137BA01
2H137BB08
2H137BC71
2H137CA22A
2H137CA22E
2H137CA45
2H137CA78
2H137CC11
2H137CC22
2H137DB01
2H137DB02
2H137DB08
2H137EA04
2H137HA01
(57)【要約】
【課題】青色レーザ光の伝送による破損が抑制される光コネクタ構造を提供する。
【解決手段】光コネクタ構造Cは、青色レーザ光伝送用の光ファイバ10と、その端部に取り付けられた光コネクタ20とを備える。光コネクタ20には、青色レーザ光の導光端部24を覆う筒状の保護部材22が設けられているとともに、保護部材22の表面が銀で形成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
青色レーザ光伝送用の光ファイバと、前記光ファイバの端部に取り付けられた光コネクタと、を備えた光コネクタ構造であって、
前記光コネクタには、青色レーザ光の導光端部を覆う筒状の保護部材が設けられているとともに、前記保護部材の表面が銀で形成されている光コネクタ構造。
【請求項2】
請求項1に記載された光コネクタ構造において、
前記保護部材は、筒状の部材本体と、その表面を被覆する銀メッキ層と、を有する光コネクタ構造。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された光コネクタ構造において、
前記保護部材の表面が光沢面である光コネクタ構造。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載された光コネクタ構造において、
前記導光端部が前記光ファイバの先端が接続されたブロック状部材で構成されている光コネクタ構造。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載された光コネクタ構造が端部に設けられた光ファイバケーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光コネクタ構造及びそれを有する光ファイバケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
通常、光ファイバケーブルでは、光ファイバの端部に光コネクタが取り付けられている。特許文献1には、レーザ光伝送用の光ファイバケーブルにおいて、光ファイバの先端が光コネクタ内の導光端部を構成する石英ブロック(ブロック状部材)に融着され、その石英ブロックが筒状の保護チューブで覆われて保護された構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、青色レーザ光の伝送に伴う破損が抑制される光コネクタ構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、青色レーザ光伝送用の光ファイバと、前記光ファイバの端部に取り付けられた光コネクタとを備えた光コネクタ構造であって、前記光コネクタには、青色レーザ光の導光端部を覆う筒状の保護部材が設けられているとともに、前記保護部材の表面が銀で形成されている。
【0006】
本発明は、本発明の光コネクタ構造を有する光ファイバケーブルである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、光コネクタに青色レーザ光の導光端部を覆う筒状の保護部材が設けられており、その表面が青色レーザ光の吸収率が低い銀で形成されているので、青色レーザ光の伝送に伴う破損を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る光コネクタ構造の断面図である。
【
図2】実施形態に係る光コネクタ構造の変形例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。
【0010】
図1は、実施形態に係る光コネクタ構造Cを示す。この光コネクタ構造Cは、青色レーザ光伝送用の光ファイバケーブルにおける一方又は両方の端部に設けられるものである。
【0011】
実施形態に係る光コネクタ構造Cは、青色レーザ光伝送用の光ファイバ10と、その端部に取り付けられた光コネクタ20とを備える。ここで、青色レーザ光とは、波長360nm以上480nm以下のレーザ光である。
【0012】
光ファイバ10は、裸ファイバ11と、それを被覆するジャケット12とを有する。光ファイバ10の外径は、例えば1.3mmである。
【0013】
裸ファイバ11は、相対的に高屈折率なコア111とそれを被覆する相対的に低屈折率のクラッド112とを有する。コア111は、例えば純粋石英で形成されている。クラッド112は、例えば屈折率を低下させるドーパントがドープされた石英で形成されている。裸ファイバ11の外径は、例えば500μmである。コア111の直径は、例えば100μmである。なお、裸ファイバ11は、クラッド112の外側を更に被覆するサポート層を有していてもよい。
【0014】
ジャケット12は、例えば樹脂材料で形成されている。ジャケット12は、紫外線硬化性樹脂や熱硬化性樹脂等で形成された単一層で構成されていてもよい。また、ジャケット12は、例えばシリコーン樹脂の内側バッファ層とそれを被覆するナイロン樹脂或いはフッ素樹脂の外側被覆層との二層で構成されていてもよい。
【0015】
光ファイバ10における光コネクタ20が取り付けられた端部は、先端側のジャケット12で被覆されていないファイバ露出部分101と、そのファイバ露出部分101の後方側のジャケット12で被覆されたジャケット被覆部分102とを含む。
【0016】
ファイバ露出部分101は、ジャケット12が剥離されて裸ファイバ11が露出しており、ジャケット被覆部分102の先端から露出するように設けられている。ファイバ露出部分101の露出した裸ファイバ11の外周面には、モードストリッパ13が設けられている。ここで、モードストリッパ13とは、クラッド112を伝搬するクラッドモード光を外部に放出するための表面加工形態である。このモードストリッパ13は、例えば裸ファイバ11の外周面にエッチング処理を施すことにより形成することができる。
【0017】
光コネクタ20は、筒状のコネクタ本体21と、その先端部に設けられた筒状の保護部材22とを有する。
【0018】
コネクタ本体21は、例えば、アルミニウムやステンレス等の金属で形成されている。コネクタ本体21の内部には、その中央部に長さ方向に延びる内径が大きい円筒孔のファイバ収容部211が設けられているとともに、その後方に連続して内径が小さい円筒孔のファイバ嵌入部212が同軸に設けられている。ファイバ収容部211の先端側には、ファイバ収容部211に連続するように、中央に開口を有する仕切壁213を介して、先端側が開口した円筒状のブロック収容部214が同軸に設けられている。仕切壁213の開口には、円筒状のファイバ保持部材23が内嵌めされている。ブロック収容部214には、円柱状の石英ブロック24の後方側の部分が内嵌め状態に収容されている。石英ブロック24の残りの先端側の部分は、ブロック収容部214から突出している。
【0019】
保護部材22は、後方側の端部の内周面に設けられた雌ネジが、ブロック収容部214の外周面に設けられた雄ネジに螺合してコネクタ本体21に物理的に取り付けられるとともに、石英ブロック24を覆うように設けられている。この保護部材22により、光ファイバケーブルの取り扱い時に、石英ブロック24が他部品に衝突するのを回避することができる。また、石英ブロック24に傷や欠損が生じるのを抑制することができる。さらに、石英ブロック24への異物の付着を抑制することができる。
【0020】
保護部材22は、金属材料で形成された部材本体221と、その表面全体を被覆する銀メッキ層222とを有する。したがって、保護部材22は、その表面が銀で形成されている。銀メッキ層222の厚さは、例えば5μmである。
【0021】
部材本体221を形成する金属材料としては、例えばスレンレスやアルミニウム等が挙げられる。部材本体221を形成する金属材料は、耐熱性及び高強度の観点から、ステンレスであることが好ましい。
【0022】
銀メッキ層222を形成する銀は、添加物を含んでいてもよい。その場合、保護部材22の表面が光沢面となり、青色レーザ光の反射率が高くなるので、後述するように保護部材22に青色レーザ光が照射されても、保護部材22の破損を抑制することができる。また、添加物を含む銀は、硬くて耐摩耗性が優れるので、コネクタ本体21に保護部材22をネジ止めする際に、銀メッキ層222が剥離するのを抑制することができる。なお、銀メッキ層222を形成する銀が純銀であり、保護部材22の表面が無光沢面であってもよい。
【0023】
実施形態に係る光コネクタ構造Cでは、光ファイバ10の端部が光コネクタ20の後方から挿通されている。光コネクタ20内において、ファイバ露出部分101は、その先端が石英ブロック24に融着接続されるとともに、先端部がファイバ保持部材23に内嵌めされ、且つ残りの後方側の部分がファイバ収容部211を長さ方向に延びるように設けられている。ジャケット被覆部分102は、心線嵌入部212に内嵌めされて保持されるように設けられている。そして、この光コネクタ構造Cでは、石英ブロック24の先端側の端面に入射した青色レーザ光を光ファイバ10に入力して伝送する。或いは、光ファイバ10により伝送した青色レーザ光を石英ブロック24の先端側の端面から出射する。したがって、石英ブロック24が青色レーザ光の導光端部、つまり、青色レーザ光の入射端部又は出射端部を構成する。
【0024】
ところで、例えば、石英ブロック24から出射された青色レーザ光が加工物で反射し、その反射光の青色レーザ光が光コネクタ20の保護部材22に照射されると、そのハイパワーにより保護部材22の変形や劣化を招くことが懸念される。しかしながら、上記構成の実施形態に係る光コネクタ構造Cによれば、光コネクタ20に青色レーザ光の導光端部を構成する石英ブロック24を覆う筒状の保護部材22が設けられており、その表面が青色レーザ光の吸収率が低い銀で形成されているので、青色レーザ光の伝送に伴う破損を抑制することができる。
【0025】
上記実施形態では、部材本体221が銀メッキ層222で被覆された保護部材22の構成としたが、特にこれに限定されるものではなく、保護部材22が銀で形成された構成であってもよい。
【0026】
上記実施形態では、石英ブロック24が導光端部である構成したが、特にこれに限定されるものではなく、光ファイバ10の端部が導光端部である構成であってもよい。
【0027】
上記実施形態では、石英ブロック24の先端側の端面が保護部材22内で露出した構成としたが、特にこれに限定されるものではなく、
図2に示すように、保護部材22に、石英ブロック24の先端側の端面を覆うように保護ガラス223が内嵌めされた構成であってもよい。これにより、石英ブロック24の先端側の端面への異物の付着を規制することができる。保護ガラス223には、一方又は両方の面に反射防止膜(ARコート)が設けられていることが好ましい。なお、この場合、保護ガラス223が導光端部を構成する。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は、光コネクタ構造及びそれを有する光ファイバケーブルの技術分野について有用である。
【符号の説明】
【0029】
C 光コネクタ構造
10 光ファイバ
101 ファイバ露出部分
102 ジャケット被覆部分
11 裸ファイバ
111 コア
112 クラッド
12 ジャケット
20 光コネクタ
21 コネクタ本体
211 ファイバ収容部
212 ファイバ嵌入部
213 仕切壁
214 ブロック収容部
22 保護部材
221 部材本体
222 銀メッキ層
223 保護ガラス
23 ファイバ保持部材
24 石英ブロック(ブロック状部材)