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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022885
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】車両用収容装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/10 20160101AFI20240214BHJP
   B60R 7/04 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
H02J50/10
B60R7/04 T
B60R7/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022126324
(22)【出願日】2022-08-08
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】祖父江 弘
(72)【発明者】
【氏名】向井 貴大
【テーマコード(参考)】
3D022
【Fターム(参考)】
3D022CA01
3D022CA07
3D022CC08
3D022CC18
(57)【要約】
【課題】無線給電器側への液体の進入及び異音の発生を抑制できる車両用収容装置を提供する。
【解決手段】車両用収容装置11は、給電用開口部23が形成された右壁21を有するとともに右壁21の内側に電子機器22を収容する収容部12と、給電用開口部23に嵌め込まれて給電用開口部23を塞ぐ樹脂パネル13と、右壁21の外側から樹脂パネル13越しに電子機器22に対して無線給電を行う無線給電器14と、を備える。無線給電器14における右壁21側の面と、右壁21及び樹脂パネル13との間には、積層体16が配置されている。積層体16は、接着層と、接着層に積層された樹脂層と、樹脂層における接着層側とは反対側の面に積層された可撓性のクッション層とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給電用開口部が形成された側壁を有するとともに前記側壁の内側に電子機器を収容する収容部と、
前記給電用開口部に嵌め込まれて前記給電用開口部を塞ぐ樹脂パネルと、
前記側壁の外側から前記樹脂パネル越しに前記電子機器に対して無線給電を行う無線給電器と、
を備えた車両用収容装置であって、
前記無線給電器における前記側壁側の面と、前記側壁及び前記樹脂パネルとの間には、積層体が配置され、
前記積層体は、接着層と、前記接着層に積層された樹脂層と、前記樹脂層における前記接着層側とは反対側の面に積層された可撓性のクッション層とを備えていることを特徴とする車両用収容装置。
【請求項2】
前記積層体は、前記無線給電器を回り込んで前記無線給電器における前記側壁側の面とは反対側の面まで延びていることを特徴とする請求項1に記載の車両用収容装置。
【請求項3】
前記側壁の上端に接触するとともに前記無線給電器を上側から覆うカバー部材を備え、
前記積層体は、前記カバー部材と前記側壁との境界部分を覆うように配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用収容装置。
【請求項4】
前記無線給電器は、前記側壁側に開口部を有する有底箱状のケースと、前記開口部を塞ぐように前記ケースに嵌め込まれた蓋体とを備え、
前記積層体は、前記ケースと前記蓋体との境界部分を覆うように配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用収容装置。
【請求項5】
前記樹脂層は、ポリエチレンテレフタレート製のフィルムによって構成され、
前記クッション層は、不織布によって構成され、
前記接着層は、両面粘着テープによって構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用収容装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収容部に収容された電子機器に無線給電を行うことができる車両用収容装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の車両用収容装置として、例えば特許文献1に示すワイヤレス給電装置が知られている。こうしたワイヤレス給電装置は、有底矩形箱状をなすホルダケースと、ホルダケースの背面壁部の外面に取り付けられた電磁誘導方式の給電器とを備えている。ワイヤレス給電装置は、ホルダケース内に収容されたスマートフォンなどの電子機器に対して給電器によって無線給電を行う。
【0003】
こうした無線給電の普及を目的として、電磁誘導方式を主体とした非接触電力伝送方式の標準化団体であるWPC(Wireless Power Consortium)が設立された。WPCは、国際規格であるQi(「チー」と読む)規格を策定した。Qi規格に基づいた無線給電は、送信コイルと受信コイルとの間の電磁誘導を利用したものである。Qi規格のロゴを製品に表示するためには、WPCによるQi認証が必要となる。
【0004】
上述のようなワイヤレス給電装置のQi認証を受ける場合、ホルダケース全体のQi認証と、給電器のQi認証とを受ける必要がある。この場合、ホルダケースが複数種類あると、その全てのホルダケースについてそれぞれQi認証を受ける必要がある。このため、Qi認証を受ける部品数を減らすべく、次のようにすることが考えられる。
【0005】
すなわち、まず、共通の樹脂パネルのQi認証を受ける。その後、ホルダケースの側壁における給電器と対応する側壁の一部に開口部を設けるとともに、当該開口部にQi認証を受けた上述の別部材の樹脂パネルを嵌め込んで塞ぐようにする。このようにすれば、ホルダケースが複数種類あっても、ホルダケースの側壁における給電器と対応する側壁の一部にQi認証を受けた樹脂パネルを嵌め込むための開口部を形成するだけで、ホルダケースの種類毎にQi認証を受ける必要がなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2022-13299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述のようにホルダケースの側壁における給電器と対応する側壁の一部にQi認証を受けた樹脂パネルを嵌め込むようにすると、次のような問題がある。すなわち、ホルダケースの側壁における開口部の周縁部と樹脂パネルの周縁部との間に隙間が形成されるので、当該隙間から水などの液体が給電器側へ進入するおそれがある。
【0008】
加えて、給電器と樹脂パネルとの間や給電器とホルダケースの側壁との間にも隙間が形成される。このため、車両の運転に伴って発生する振動によって給電器が樹脂パネルやホルダケースの側壁などに繰り返し当たって異音が発生するおそれがある。したがって、給電器側への液体の進入及び異音の発生を抑制できる車両用収容装置が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下、上記課題を解決するための車両用収容装置の各態様を記載する。
[態様1]給電用開口部が形成された側壁を有するとともに前記側壁の内側に電子機器を収容する収容部と、前記給電用開口部に嵌め込まれて前記給電用開口部を塞ぐ樹脂パネルと、前記側壁の外側から前記樹脂パネル越しに前記電子機器に対して無線給電を行う無線給電器と、を備えた車両用収容装置であって、前記無線給電器における前記側壁側の面と、前記側壁及び前記樹脂パネルとの間には、積層体が配置され、前記積層体は、接着層と、前記接着層に積層された樹脂層と、前記樹脂層における前記接着層側とは反対側の面に積層された可撓性のクッション層とを備えていることを特徴とする車両用収容装置。
【0010】
一般に、樹脂層は液体を通さない機能を有するとともにクッション層は衝撃及び振動を吸収する機能を有する。上記構成によれば、無線給電器における側壁側の面と、側壁及び樹脂パネルとの間に積層体が配置されている。このため、収容部に水などの液体がかかった場合に、積層体における樹脂層によって、側壁の内側から樹脂パネルと側壁との境界部分の隙間を通って側壁の外側にある無線給電器側へ液体が進入することを抑制できる。加えて、積層体におけるクッション層により、車両の運転等に伴って発生する振動に伴う無線給電器の振動が吸収される。このため、無線給電器が振動しながら側壁及び樹脂パネルに繰り返し当たって異音が発生することを抑制できる。したがって、無線給電器側への液体の進入及び異音の発生を抑制できる。
【0011】
[態様2]前記積層体は、前記無線給電器を回り込んで前記無線給電器における前記側壁側の面とは反対側の面まで延びていることを特徴とする[態様1]に記載の車両用収容装置。
【0012】
上記構成によれば、無線給電器における側壁側の面とは反対側の面と当該面に近い他の部品との間に積層体を介在させることができる。このため、車両の運転等に伴って発生する振動によって無線給電器における側壁側の面とは反対側の面が当該面に近い他の部品に当たって異音を発生することを、積層体のクッション層によって抑制できる。
【0013】
[態様3]前記側壁の上端に接触するとともに前記無線給電器を上側から覆うカバー部材を備え、前記積層体は、前記カバー部材と前記側壁との境界部分を覆うように配置されていることを特徴とする[態様1]または[態様2]に記載の車両用収容装置。
【0014】
上記構成によれば、積層体がカバー部材と側壁との境界部分を覆っている。このため、収容部に水などの液体がかかった場合に、積層体における樹脂層によって、側壁の内側からカバー部材と側壁との境界部分の隙間を通って側壁の外側にある無線給電器側へ液体が進入することを抑制できる。
【0015】
[態様4]前記無線給電器は、前記側壁側に開口部を有する有底箱状のケースと、前記開口部を塞ぐように前記ケースに嵌め込まれた蓋体とを備え、前記積層体は、前記ケースと前記蓋体との境界部分を覆うように配置されていることを特徴とする[態様1]~[態様3]のうちいずれか一つに記載の車両用収容装置。
【0016】
上記構成によれば、積層体がケースと蓋体との境界部分を覆っている。このため、側壁よりも無線給電器側に水などの液体が進入した場合に、積層体における樹脂層によって、ケースと蓋体との境界部分の隙間から無線給電器の内部へ液体が進入することを抑制できる。
【0017】
[態様5]前記樹脂層は、ポリエチレンテレフタレート製のフィルムによって構成され、前記クッション層は、不織布によって構成され、前記接着層は、両面粘着テープによって構成されていることを特徴とする[態様1]~[態様4]のうちいずれか一つに記載の車両用収容装置。
【0018】
上記構成によれば、樹脂層をポリエチレンテレフタレート製のフィルムによって構成することで、樹脂層をクッション層に対して溶着した際に、樹脂層が溶けてより薄くなる。クッション層を不織布によって構成することで、クッション層をゴムや発泡ウレタンなどによって構成する場合に比べて、クッション層を薄くできる。したがって、積層体の薄型化に寄与でき、ひいては省スペース化に寄与できる。加えて、接着層を両面粘着テープによって構成することで、接着層を接着剤によって構成する場合に比べて、積層体を所望の位置に容易に接着できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、無線給電器側への液体の進入及び異音の発生を抑制できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】一実施形態の車両用収容装置の斜視図である。
図2図1の2-2線矢視断面拡大図である。
図3図2の要部拡大図である。
図4】積層体の一部を示す断面拡大模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、車両用収容装置の一実施形態を図面に従って説明する。以下の記載に関しては、車両の前進方向を前方とするとともに後進方向を後方として説明する。また、上下方向は車両の上下方向を意味するとともに、車幅方向は車両の左右方向を意味するものとする。
【0022】
<車両用収容装置11>
図1及び図2に示すように、車両用収容装置11は、例えば、車室内において運転席と助手席との間に配置されたセンターコンソールに組み込まれるようにして設けられている。車両用収容装置11は、収容部12と、樹脂パネル13と、無線給電器14と、カバー部材15と、積層体16とを備えている。
【0023】
<収容部12>
収容部12は、樹脂によって構成されるとともに、上端が開口した前後方向に延びる有底矩形箱状をなしている。つまり、収容部12は、底壁17と、前壁18と、後壁19と、左壁20と、側壁の一例としての右壁21とを有している。底壁17、前壁18、後壁19、左壁20、及び右壁21の内側の空間、すなわち収容部12の内部には、例えばスマートフォンなどの矩形板状の電子機器22が収容される。電子機器22は、無線給電に対応している。
【0024】
右壁21の中央部には、矩形状の給電用開口部23が形成されている。すなわち、右壁21は、中央部に給電用開口部23を有している。給電用開口部23には、矩形状の樹脂パネル13が嵌め込まれている。すなわち、給電用開口部23は、樹脂パネル13によって塞がれている。右壁21と樹脂パネル13とは、互いに厚さが同じになっている。右壁21における給電用開口部23の周縁部には、厚さを半分にした第1薄肉部24が形成されている。
【0025】
樹脂パネル13の周縁部には、厚さを半分にした第2薄肉部25が形成されている。第1薄肉部24と第2薄肉部25とは、互いに対応している。給電用開口部23に樹脂パネル13が嵌め込まれた状態では、第1薄肉部24と第2薄肉部25とが互いに重なり合う。収容部12は、右側へ20°程度傾斜した状態で配置されている。したがって、電子機器22を収容部12内に収容して右壁21の中央部に立て掛けた状態にすると、その状態が重力によって維持される。すなわち、この場合、電子機器22は、重力により一方の面が右壁21の内面及び樹脂パネル13の内面に接触した状態で維持される。
【0026】
<無線給電器14>
図1及び図2に示すように、無線給電器14は、右壁21の中央部の右側に配置されている。すなわち、無線給電器14は、樹脂パネル13の右側に配置されている。無線給電器14は、右壁21の右側(外側)から樹脂パネル13越しに右壁21の内側に収容された電子機器22に対して電磁誘導方式で無線給電を行う。つまり、無線給電器14は、その送信コイル(図示略)と電子機器22の受信コイル(図示略)との間の電磁誘導を利用して電子機器22に対して給電を行う。
【0027】
無線給電器14は、右壁21側に開口部26を有する有底箱状のケース27と、開口部26を塞ぐようにケース27に嵌め込まれた矩形板状の蓋体28と、ケース27内に収容された給電器本体29とを備えている。給電器本体29は、上述の送信コイル(図示略)などを備えている。ケース27は、例えばアルミニウムなどの金属によって構成されている。蓋体28は、樹脂によって構成されている。蓋体28は、樹脂パネル13よりも大きい。
【0028】
無線給電器14の右側には、支持板30が配置されている。支持板30の上端部には、無線給電器14側となる左側に突出するように略L字状に屈曲された屈曲部31が設けられている。無線給電器14の上端の高さは、支持板30の上端の高さよりも若干低くなっているとともに、収容部12の右壁21の上端の高さよりも若干高くなっている。
【0029】
<カバー部材15>
図1図3に示すように、カバー部材15は、樹脂によって構成されている。カバー部材15は、前後方向に延びるとともに、断面視で略逆U字状をなしている。カバー部材15は、上壁32と、上壁32の左端から下方に延出する板状の左延出部33と、上壁32の右端から下方に延出する板状の右延出部34とを有している。カバー部材15は、無線給電器14を上側から覆うように配置されている。
【0030】
カバー部材15は、左延出部33の下端が収容部12の右壁21の上端に接触するとともに右延出部34が支持板30の屈曲部31と係合した状態で固定されている。左延出部33の右面と右壁21の外面(右面)とは、面一になっている。カバー部材15の上壁32は、支持板30の上端の高さよりも若干高い位置にある。すなわち、カバー部材15の上壁32と、支持板30の上端との間には、隙間が形成されている。
【0031】
<積層体16>
図2図4に示すように、積層体16は、薄いシート状をなしている。積層体16は、無線給電器14における右壁21側の面と、右壁21及び樹脂パネル13との間に配置されている。積層体16は、三層構造になっている。すなわち、積層体16は、接着層35と、接着層35に積層された樹脂層36と、樹脂層36における接着層35側とは反対側の面に積層された可撓性のクッション層37とを備えている。積層体16において、樹脂層36は水などの液体を通さない機能を有するとともにクッション層37は衝撃や振動を吸収する機能を有する。
【0032】
本例において、樹脂層36は、ポリエチレンテレフタレート製のフィルムによって構成されている。本例において、クッション層37は、不織布によって構成されている。本例において、接着層35は、アクリル製の両面粘着テープによって構成されている。樹脂層36は、クッション層37に対して溶着されている。樹脂層36におけるクッション層37側とは反対側の面には、接着層35における一方側の面が接着されている。
【0033】
積層体16は、無線給電器14における右壁21側の面の全体を覆った状態で接着層35によって無線給電器14に接着されている。したがって、積層体16は、無線給電器14におけるケース27と蓋体28との境界部分38を覆うように配置されている。積層体16の下端部は、無線給電器14の下面の一部を覆うように屈曲されている。積層体16の上端部は、無線給電器14の上面を回り込んで無線給電器14における右壁21側の面とは反対側の面まで延びている。積層体16の上端部は、無線給電器14における支持板30の屈曲部31と対向する領域を覆っている。
【0034】
積層体16は、カバー部材15の左延出部33の右面、収容部12の右壁21の外面、及び樹脂パネル13の外面にクッション層37が接触している。したがって、積層体16は、カバー部材15の左延出部33と収容部12の右壁21との境界部分39、及び樹脂パネル13と収容部12の右壁21との境界部分40を覆うように配置されている。
【0035】
<車両用収容装置11の作用>
次に、車両用収容装置11の作用について説明する。
図2図4に示すように、収容部12における特に右壁21の内面側に液体の一例として水がかかった場合、当該水は樹脂パネル13と右壁21との境界部分40の隙間及びカバー部材15の左延出部33と右壁21との境界部分39の隙間に進入することがある。この点、本実施形態の車両用収容装置11では、これらの隙間が右壁21の外面側から積層体16によって塞がれている。このため、右壁21の内面側の水がこれらの隙間から右壁21の外面側の積層体16へ流れても、積層体16における止水機能を有した樹脂層36によって止水される。したがって、右壁21の内面側から無線給電器14側への水の進入が積層体16の樹脂層36によって抑制される。
【0036】
さらに、積層体16は、無線給電器14におけるケース27と蓋体28との境界部分38を覆っている。このため、右壁21の内面側から外面側へ進入した水が無線給電器14のケース27と蓋体28との境界部分38の隙間から無線給電器14の内部へ進入することが積層体16の樹脂層36によって抑制される。
【0037】
また、車両の運転を行うと、当該運転に伴って振動が発生する。こうした振動に伴って無線給電器14が振動した状態で無線給電器14の周辺部品である右壁21、樹脂パネル13、カバー部材15、及び支持板30に直接接触すると、異音が発生する。この点、本実施形態の車両用収容装置11では、無線給電器14と上記周辺部品との間に積層体16が介在している。
【0038】
このため、無線給電器14は、上記周辺部品に接触する場合、積層体16を介する。したがって、無線給電器14は、振動した状態で積層体16を介して上記周辺部品に接触した場合、積層体16のクッション層37によって振動が吸収される。この結果、無線給電器14が振動して上記周辺部品に繰り返し当たって異音が発生することが積層体16のクッション層37によって抑制される。よって、無線給電器14が振動した状態で積層体16を介して上記周辺部品に接触しても問題ないので、無線給電器14と上記周辺部品との間隔を狭くでき、ひいては省スペース化に寄与できる。
【0039】
<実施形態の効果>
以上詳述した実施形態によれば、次のような効果が発揮される。
(1)車両用収容装置11は、給電用開口部23が形成された右壁21を有するとともに右壁21の内側に電子機器22を収容する収容部12と、給電用開口部23に嵌め込まれて給電用開口部23を塞ぐ樹脂パネル13と、右壁21の外側から樹脂パネル13越しに電子機器22に対して無線給電を行う無線給電器14と、を備える。無線給電器14における右壁21側の面と、右壁21及び樹脂パネル13との間には、積層体16が配置されている。積層体16は、接着層35と、接着層35に積層された樹脂層36と、樹脂層36における接着層35側とは反対側の面に積層された可撓性のクッション層37とを備える。
【0040】
一般に、樹脂層36は液体を通さない機能を有するとともにクッション層37は衝撃及び振動を吸収する機能を有する。上記構成によれば、無線給電器14における右壁21側の面と、右壁21及び樹脂パネル13との間に積層体16が配置されている。このため、収容部12に水などの液体がかかった場合に、積層体16における樹脂層36によって、右壁21の内側から樹脂パネル13と右壁21との境界部分40の隙間を通って右壁21の外側にある無線給電器14側へ液体が進入することを抑制できる。加えて、積層体16におけるクッション層37により、車両の運転等に伴って発生する振動に伴う無線給電器14の振動が吸収される。このため、無線給電器14が振動しながら右壁21及び樹脂パネル13に繰り返し当たって異音が発生することを抑制できる。したがって、無線給電器14側への液体の進入及び異音の発生を抑制できる。
【0041】
(2)車両用収容装置11において、積層体16は、無線給電器14を回り込んで無線給電器14における右壁21側の面とは反対側の面まで延びている。
上記構成によれば、無線給電器14における右壁21側の面とは反対側の面と当該面に近い他の部品(本例では支持板30の屈曲部31)との間に積層体16を介在させることができる。このため、車両の運転等に伴って発生する振動によって無線給電器14における右壁21側の面とは反対側の面が当該面に近い他の部品に当たって異音を発生することを、積層体16のクッション層37によって抑制できる。
【0042】
(3)車両用収容装置11は、右壁21の上端に接触するとともに無線給電器14を上側から覆うカバー部材15を備える。積層体16は、カバー部材15と右壁21との境界部分39を覆うように配置されている。
【0043】
上記構成によれば、積層体16がカバー部材15と右壁21との境界部分39を覆っている。このため、収容部12に水などの液体がかかった場合に、積層体16における樹脂層36によって、右壁21の内側からカバー部材15と右壁21との境界部分39の隙間を通って右壁21の外側にある無線給電器14側へ液体が進入することを抑制できる。
【0044】
(4)車両用収容装置11において、無線給電器14は、右壁21側に開口部26を有する有底箱状のケース27と、開口部26を塞ぐようにケース27に嵌め込まれた蓋体28とを備える。積層体16は、ケース27と蓋体28との境界部分38を覆うように配置されている。
【0045】
上記構成によれば、積層体16がケース27と蓋体28との境界部分38を覆っている。このため、右壁21よりも無線給電器14側に水などの液体が進入した場合に、積層体16における樹脂層36によって、ケース27と蓋体28との境界部分38の隙間から無線給電器14の内部へ液体が進入することを抑制できる。
【0046】
(5)車両用収容装置11において、樹脂層36は、ポリエチレンテレフタレート製のフィルムによって構成されている。クッション層37は、不織布によって構成されている。接着層35は、両面粘着テープによって構成されている。
【0047】
上記構成によれば、樹脂層36をポリエチレンテレフタレート製のフィルムによって構成することで、樹脂層36をクッション層37に対して溶着した際に、樹脂層36が溶けてより薄くなる。クッション層37を不織布によって構成することで、クッション層37をゴムや発泡ウレタンなどによって構成する場合に比べて、クッション層37を薄くできる。したがって、積層体16の薄型化に寄与でき、ひいては省スペース化に寄与できる。加えて、接着層35を両面粘着テープによって構成することで、接着層35を接着剤によって構成する場合に比べて、積層体16を所望の位置に容易に接着できる。
【0048】
<変更例>
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。また、上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0049】
・樹脂層36は、ポリエチレンテレフタレート製のフィルムに限らず、例えばポリプロピレン製のフィルムなどによって構成してもよい。
・クッション層37は、不織布に限らず、例えば発泡ウレタンなどによって構成してもよい。
【0050】
・接着層35は、両面粘着テープに限らず、例えば接着剤などによって構成してもよい。
・積層体16は、必ずしもケース27と蓋体28との境界部分38を覆うように配置される必要はない。
【0051】
・積層体16は、必ずしもカバー部材15と右壁21との境界部分39を覆うように配置される必要はない。
・カバー部材15は、省略してもよい。
【0052】
・積層体16は、必ずしも無線給電器14を回り込んで無線給電器14における右壁21側の面とは反対側の面まで延びている必要はない。
・積層体16は、無線給電器14における右壁21側の面を部分的に覆った状態で接着層35によって無線給電器14に接着してもよい。
【0053】
・積層体16は、無線給電器14の全体を覆うように配置してもよい。
・車両用収容装置11は、センターコンソールに限らず、ドアトリムやインストルメントパネルなどに設けてもよい。
【符号の説明】
【0054】
11…車両用収容装置
12…収容部
13…樹脂パネル
14…無線給電器
15…カバー部材
16…積層体
17…底壁
18…前壁
19…後壁
20…左壁
21…側壁の一例としての右壁
22…電子機器
23…給電用開口部
24…第1薄肉部
25…第2薄肉部
26…開口部
27…ケース
28…蓋体
29…給電器本体
30…支持板
31…屈曲部
32…上壁
33…左延出部
34…右延出部
35…接着層
36…樹脂層
37…クッション層
38,39,40…境界部分
図1
図2
図3
図4