(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022893
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】栽培システム
(51)【国際特許分類】
A01G 18/60 20180101AFI20240214BHJP
A01G 9/24 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
A01G18/60
A01G9/24 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022126333
(22)【出願日】2022-08-08
(71)【出願人】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】坂 幸憲
【テーマコード(参考)】
2B011
2B029
【Fターム(参考)】
2B011AA02
2B011AA04
2B011AA07
2B011CA01
2B011CA10
2B029MA01
2B029MA06
2B029MA08
2B029SA01
2B029SF08
2B029TA02
2B029TA05
(57)【要約】
【課題】初期投資費用及び維持費用を抑制できる栽培システムを提供すること。
【解決手段】茸栽培システム10は、多段式の複数の栽培棚11と、栽培室13の温度及び湿度を調整する室内用空調装置16と、栽培空間17の温度、湿度、及びCO
2濃度を調整するための調整空気を調整する棚用空調設備60と、を備えている。また、茸栽培システム10は、分岐管71cを有する風導管71と、送風機72と、送風配管73と、複数本の送風ノズル74と、を備えている。栽培棚11は、栽培空間17と栽培棚11の外部とを連通する排出口52を備えている。送風ノズル74は、栽培空間17内に配置され、栽培空間17内に調整空気を送り込む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物の栽培室に設置される複数の栽培棚であって、栽培物が配置される栽培空間を上下方向に複数有する多段式の栽培棚と、
前記栽培室の温度及び湿度を調整する室内用空調装置と、
前記栽培空間の温度、湿度、及びCO2濃度を調整するための調整空気を調整する棚用空調設備と、
前記棚用空調設備によって調整された前記調整空気が導入されるとともに、前記調整空気を前記複数の栽培棚の各々に分配する分岐管を有する風導管と、
各分岐管に連通し、前記調整空気を送り出す送風機と、
前記送風機に接続され、前記栽培棚の上下方向に延びる送風配管と、
前記送風配管に接続され、前記複数の栽培空間の各々に前記調整空気を送り込む複数本の送風ノズルと、を備え、
前記栽培棚は、
水平方向に延びる区画板であって、前記栽培物が載置される区画板と、
前記栽培空間を側方から取り囲む遮蔽板と、
前記遮蔽板と前記区画板との間に開口し、かつ前記栽培空間と前記栽培棚の外部とを連通する排出口と、を備え、
前記送風ノズルは、前記栽培空間内に配置され、前記調整空気を前記栽培空間内に送り込むことを特徴とする栽培システム。
【請求項2】
前記栽培室に外気を供給する給気装置、及び前記栽培室を排気する排気装置の少なくとも一方を含む換気設備と、前記室内用空調装置、前記棚用空調設備、及び前記換気設備の稼働を制御する制御装置と、を備える請求項1に記載の栽培システム。
【請求項3】
前記棚用空調設備を複数備え、前記棚用空調設備毎に前記調整空気の温度、湿度、及びCO2濃度を異ならせ、前記栽培空間の温度、湿度、及びCO2濃度を異ならせた前記栽培棚を複数備え、前記栽培棚の温度、湿度、及びCO2濃度に応じて、個別に前記棚用空調設備から前記風導管の前記分岐管、前記送風機、前記送風配管及び前記送風ノズルを介して前記栽培空間内に前記調整空気を送り込む請求項1又は請求項2に記載の栽培システム。
【請求項4】
前記栽培物は茸類であり、
前記排出口は、前記栽培空間において前記遮蔽板の下端縁よりも下方で前記栽培空間と前記栽培棚の外部とを連通している請求項1又は請求項2に記載の栽培システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、栽培システムに関する。
【背景技術】
【0002】
工場跡等の地上構造物、ビルの空室、空き倉庫に栽培システムを導入して栽培物を栽培する。例えば、特許文献1に開示される植物栽培システムは、構造物と、植物栽培装置と、室内空調手段と、を備えている。
【0003】
植物栽培装置は、外郭構成部材と、植物栽培ラインと、を備えている。外郭構成部材は、構造物内に設置されている。外郭構成部材は、構造物の内壁から離れている。外郭構成部材の内部には、機器設置室が設けられている。室内空調手段は、機器設置室内を空調可能である。
【0004】
植物栽培ラインは、外郭構成部材内に設置されている。植物栽培ラインは、育成空間構成部材と、育成空間空調手段と、水耕栽培手段と、を備えている。育成空間構成部材は、内部に植物を育成する育成空間を画定する。育成空間は、上下方向へ複数段に区切られている。水耕栽培手段は、区切られた各空間に設置されている。育成空間空調手段は、育成空間内を空調可能である。
【0005】
植物栽培システムでは、育成空間空調手段によって、育成空間内の温度及び湿度が調節される。育成空間構成部材の外部たる機器設置室は、構造物内から遮蔽されているとともに、機器設置室は室内空調手段によって空調されている。このため、育成空間は、植物栽培装置が設置された位置の周囲環境の影響を受けにくい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
育成空間内に区切られた各段で植物の栽培条件を異ならせないため、育成空間内に温度差及び湿度差が生じないように、育成空間内全体を一括して空調する必要がある。このような空調のため、特許文献1の育成空間空調手段は、大規模かつ高性能なものが必要となる。その結果、特許文献1においては、初期投資費用及び維持費用が嵩む。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題点を解決するための栽培システムの各態様を記載する。
[態様1]構造物の栽培室に設置される複数の栽培棚であって、栽培物が配置される栽培空間を上下方向に複数有する多段式の栽培棚と、前記栽培室の温度及び湿度を調整する室内用空調装置と、前記栽培空間の温度、湿度、及びCO2濃度を調整するための調整空気を調整する棚用空調設備と、前記棚用空調設備によって調整された前記調整空気が導入されるとともに、前記調整空気を前記複数の栽培棚の各々に分配する分岐管を有する風導管と、各分岐管に連通し、前記調整空気を送り出す送風機と、前記送風機に接続され、前記栽培棚の上下方向に延びる送風配管と、前記送風配管に接続され、前記複数の栽培空間の各々に前記調整空気を送り込む複数本の送風ノズルと、を備え、前記栽培棚は、水平方向に延びる区画板であって、前記栽培物が載置される区画板と、前記栽培空間を側方から取り囲む遮蔽板と、前記遮蔽板と前記区画板との間に開口し、かつ前記栽培空間と前記栽培棚の外部とを連通する排出口と、を備え、前記送風ノズルは、前記栽培空間内に配置され、前記調整空気を前記栽培空間内に送り込むことを特徴とする栽培システム。
【0009】
[態様2]前記栽培室に外気を供給する給気装置、及び前記栽培室を排気する排気装置の少なくとも一方を含む換気設備と、前記室内用空調装置、前記棚用空調設備、及び前記換気設備の稼働を制御する制御装置と、を備えている[態様1]に記載の栽培システム。
【0010】
[態様3]前記棚用空調設備を複数備え、前記棚用空調設備毎に前記調整空気の温度、湿度、及びCO2濃度を異ならせ、前記栽培空間の温度、湿度、及びCO2濃度を異ならせた前記栽培棚を複数備え、前記栽培棚の温度、湿度、及びCO2濃度に応じて、個別に前記棚用空調設備から前記風導管の前記分岐管、前記送風機、前記送風配管及び前記送風ノズルを介して前記栽培空間内に前記調整空気を送り込む[態様1]又は[態様2]に記載の栽培システム。
【0011】
[態様4]前記栽培物は茸類であり、前記排出口は、前記栽培空間において前記遮蔽板の下端縁よりも下方で前記栽培空間と前記栽培棚の外部とを連通している[態様1]~[態様3]のいずれか一つに記載の栽培システム。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、初期投資費用及び維持費用を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1の実施形態の茸栽培システムを模式的に示す斜視図である。
【
図2】第1の実施形態の茸栽培システムを示す奥行方向に沿った断面図である。
【
図3】第1の実施形態の茸栽培システムを示す幅方向に沿った断面図である。
【
図7】第2の実施形態の植物栽培システムの奥行方向に沿った断面図である。
【
図8】第2の実施形態の植物栽培システムの幅方向に沿った断面図である。
【
図9】別例の茸栽培システムを模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に説明する栽培システムで栽培する栽培物は、レタス、ほうれん草、バジル、青じそ等の葉物野菜や、いちご、わさび、バラ、カーネーション等の被子植物、シイタケ、マイタケ、きくらげ等の茸類等である。
【0015】
(第1の実施形態)
以下、栽培システムの中で、シイタケの菌床栽培の設備を備えた茸栽培システムを具体化した第1の実施形態を
図1~
図6にしたがって説明する。
【0016】
<茸栽培システム>
図1~
図3に示すように、栽培システムの一例である茸栽培システム10は、既設の地上の構造物12内に設けられている。構造物12内には、栽培室13と、空調室14と、が設けられている。空調室14は、栽培室13と別室である。栽培室13と空調室14との間には隔壁15がある。隔壁15には風導口15aが形成されている。風導口15aは、隔壁15を壁厚方向に貫通している。
【0017】
<室内用空調装置及び室内用換気設備>
茸栽培システム10は、室内用空調装置16及び室内用換気設備20を備えている。室内用空調装置16及び室内用換気設備20は、栽培室13内に設置されている。室内用空調装置16は、設定温度を20℃~27℃の範囲で設定できる一般的なエアコンである。室内用空調装置16は、生産工場や商業ビルの室内や倉庫内、学校の教室などで用いられているもので、中温用エアコンよりも安価で、空倉庫や旧校舎を有効に利用する場合には、即在のエアコンを利用する。なお、中温用エアコンとは、植物工場の空調環境を制御するために用いられるもので、植物の栽培に適した温度環境に維持管理するために、設定温度を10℃から設定できるエアコンである。室内用空調装置16は、栽培室13の温度及び湿度を調整する。
【0018】
室内用換気設備20は、栽培室13に外気を給気する給気装置、及び栽培室13を排気する排気装置の両方を含んでいる。なお、「外気」は、構造物12の外である室外Sの空気である。室内用空調装置16は、室内用換気設備20による栽培室13の排気、及び栽培室13への給気の少なくとも一方が行われたときであっても栽培室13の温度及び湿度を調整する。そして、室内用空調装置16のみにより、栽培室13の温度及び湿度が調整される。又は室内用空調装置16と室内用換気設備20とにより、栽培室13の温度、湿度、及びCO2濃度が調整される。
【0019】
<栽培棚>
図3~
図5に示すように、茸栽培システム10は、複数の栽培棚11を備えている。複数の栽培棚11は、栽培室13に設置されている。複数の栽培棚11の各々は、区画板30を複数有している。複数の区画板30の各々は、水平方向に延びる細長板状である。複数の区画板30の各々は、区画板30の板厚方向を上下方向Zとして栽培棚11に設置されている。複数の栽培棚11は、各区画板30の長辺方向を複数の栽培棚11同士で一致させるとともに、各区画板30の短辺方向を複数の栽培棚11同士で一致させて並べられている。栽培室13において、区画板30の短辺の延びる方向を幅方向Xとする。幅方向Xは、複数の栽培棚11が並べられた方向と一致する。栽培室13において、区画板30の長辺の延びる方向を奥行方向Yとする。奥行方向Yは幅方向Xと直交する。なお、幅方向X及び奥行方向Yは、水平方向である。複数の栽培棚11は、幅方向Xに等間隔おきに設置されている。
【0020】
栽培棚11には、複数の栽培空間17が画定されている。複数の栽培空間17の各々は、上下方向Zに隣り合う一対の区画板30の間に画定されている。このため、複数の栽培空間17は、栽培棚11の上下方向Zに並んでいる。したがって、栽培棚11は、栽培空間17を上下方向Zに複数有する多段式である。複数の栽培空間17の各々は、栽培棚11の各段において、栽培棚11の奥行方向Yの両端の間で延びる。複数の栽培空間17の各々において、1つの栽培空間17を画定する一対の区画板30のうち、下側の区画板30には、栽培物としての菌床19が載置される。「菌床」は、鋸屑、米ヌカ、栄養剤等からなる培地を袋詰めして殺菌した後、その培地に茸の種菌を植え付けた物をいう。菌床19は、茸類の一例であるシイタケの菌床である。菌床19は、栽培空間17の区画板30に配置されている。
【0021】
シイタケの菌床栽培の栽培工程は、袋詰めされた培地に種菌を植え付けた密閉菌床を温度20℃前後、湿度60~70%、CO2濃度2000ppm以下で管理して培養する培養期間と、培養期間の経過後に密閉菌床を袋から出し、むき出し状態の育成菌床を温度10~25℃、湿度80%前後、CO2濃度2000ppm以下で管理して育成する育成期間と、育成菌床より発生したシイタケを収穫する収穫日と、収穫後に再びむき出し状態の育成菌床を温度10~25℃、湿度80%前後、CO2濃度2000ppm以下で管理して育成する育成期間と、再度、育成菌床より発生したシイタケを収穫する収穫日と、を有する。したがって、シイタケの菌床栽培の栽培工程は、培養期間→育成期間→1回目収穫日→育成期間→2回目収穫日→育成期間→3回目収穫日→菌床19廃棄の流れとなる。よって、「菌床19」には、袋詰めされている密閉菌床と、むき出し状態の育成菌床とがある。
【0022】
複数の栽培棚11の各々は、散水装置21を複数備えている。散水装置21は、栽培棚11の各栽培空間17に配置されている。1つの栽培空間17に配置される散水装置21の数は1つでもよいし、複数でもよい。散水装置21は、栽培空間17の全体にわたって散水する。むき出し状態の育成菌床の外周は、育成菌床を乾燥させないように十分な水分補給が重要となる。散水装置21の散水により、育成菌床に給水される。なお、育成菌床に対する給水は、育成菌床に給水できれば、散水装置21による散水以外の方法でもよく、例えば、育成菌床に対する給水は、育成菌床を水槽に浸漬させて行ってもよい。
【0023】
<第1~第4遮蔽板>
図2、
図4及び
図5に示すように、複数の栽培棚11の各々は、第1遮蔽板41、第2遮蔽板42、第3遮蔽板43、及び第4遮蔽板44を有している。第1~第4遮蔽板41~44の各々は、例えば、保温性を有する反射シートである。第1~第4遮蔽板41~44は、各栽培空間17を側方から取り囲む。複数の栽培空間17の各々は、第1~第4遮蔽板41~44によって個別に取り囲まれている。
【0024】
第1遮蔽板41は、栽培棚11の各段において栽培棚11の幅方向Xの両側のうちの一方側に配置されているとともに、第2遮蔽板42は、栽培棚11の各段において栽培棚11の幅方向Xの他方側に配置されている。
【0025】
1つの栽培空間17を画定する一対の区画板30のうち、上側の区画板30を上側区画板とするとともに、下側の区画板30を下側区画板とする。この下側区画板には菌床19が載置される。第1遮蔽板41及び第2遮蔽板42は、上下方向Zにおいて、下側区画板よりも上側区画板に近付けて配置されている。第1遮蔽板41及び第2遮蔽板42の上端縁の各々は、上側区画板に対して幅方向Xに重なる。第1遮蔽板41及び第2遮蔽板42の下端縁の各々は、下側区画板から上方に少し離れている。
【0026】
栽培棚11を幅方向Xに見て、第1遮蔽板41の下端縁と下側区画板の上端縁との間と、第2遮蔽板42の下端縁と下側区画板の上端縁との間には隙間が生じている。それら隙間は、排出口52として開口している。排出口52は、第1遮蔽板41の下端縁よりも下方と、第2遮蔽板42の下端縁よりも下方で、栽培空間17と栽培棚11の外部とを連通している。排出口52は、栽培棚11の奥行方向Y全体にわたって開口している。各栽培空間17の幅方向Xの両側は、排出口52を除いて第1遮蔽板41と第2遮蔽板42とによって遮蔽されている。
【0027】
栽培棚11の各段において、第3遮蔽板43と第4遮蔽板44とは奥行方向Yに対向している。第3遮蔽板43の下端縁及び第4遮蔽板44の下端縁は、下側区画板に対して奥行方向Yに重なる。第3遮蔽板43の上端縁及び第4遮蔽板44の上端縁は、上側区画板に対して奥行方向Yに重なる。各栽培空間17の奥行方向Yの両側は、第3遮蔽板43と第4遮蔽板44とによって遮蔽されている。各栽培空間17は、第1~第4遮蔽板41~44によって画成された個別の空間である。そして、各栽培空間17は、第1~第4遮蔽板41~44によって栽培室13から隔てられている。
【0028】
図1及び
図2に示すように、茸栽培システム10は、棚用空調設備60と、送風設備70と、を備えている。
<棚用空調設備>
棚用空調設備60は、構造物12の空調室14に設置されている。棚用空調設備60は、棚用空調装置61と、加湿器62と、空調室用換気設備65と、を備えている。棚用空調装置61は、設定温度を10℃から設定できる中温用エアコンである。棚用空調装置61は、空調室14の温度及び湿度を調整する。加湿器62は、空調室14を加湿する。空調室14の温度及び湿度は、棚用空調装置61のみ、加湿器62のみ、又は棚用空調装置61と加湿器62によって調整される。
【0029】
空調室用換気設備65は、構造物12の空調室14に設置されている。空調室用換気設備65は、空調室14に外気を供給する給気装置、及び空調室14を排気する排気装置の両方を含んでいる。外気のCO2濃度は、400ppm前後であるため、空調室14内のCO2濃度が2000ppm程度と高い場合、400ppmの外気を空調室14に給気し、2000ppmの空調室14内の空気を排気することで、空調室14内のCO2濃度は低くなる。空調室用換気設備65による空調室14の排気、及び空調室14への給気の少なくとも一方が行われると、空調室14は換気され、CO2濃度は低くなる。したがって、空調室用換気設備65による空調室14の排気、及び空調室14への給気の少なくとも一方が行われたとき、棚用空調設備60は、空調室14のCO2濃度を所望する値に調整する。そして、棚用空調装置61と、加湿器62と、空調室用換気設備65と、により、空調室14の温度、湿度、及びCO2濃度が調整される。以下、菌床19の培養や育成に適した温度、湿度、及びCO2濃度の空気を[調整空気]と記載する。そして、棚用空調設備60は、栽培空間17の温度、湿度、及びCO2濃度を調整するための調整空気を空調室14で調整する。
【0030】
<送風設備>
送風設備70は、調整空気を空調室14から各栽培棚11に送る。送風設備70は、風導管71と、複数の送風機72と、複数本の送風配管73と、複数本の送風ノズル74と、を備えている。送風設備70は、送風設備用加湿器75を備えていてもよい。
【0031】
<風導管>
風導管71は、1本の主管71aと、1本の延長管71bと、複数本の分岐管71cと、を備えている。主管71aの第1端は、隔壁15に接続されているとともに、主管71aの第2端には延長管71bが接続されている。主管71aの軸線は、奥行方向Yに延びている。主管71aの第1端は風導口15aに連通しているとともに、主管71aの第2端は延長管71bに連通している。延長管71bの軸線は、主管71aの軸線に直交して幅方向Xに延びている。延長管71bは、主管71aを中心にして幅方向Xの両側に延びている。
【0032】
複数本の分岐管71cの各々の第1端は、延長管71bに接続されているとともに、第2端は閉じられている。各分岐管71cの第1端は、延長管71bに連通している。複数の分岐管71cの各々は、栽培棚11の天井面に配置されている。栽培棚11の天井面は、栽培棚11の上端に配置された区画板30によって形成されている。そして、空調室14で調整された調整空気は、風導口15aを通じて主管71aの第1端から風導管71に導入される。風導管71に流れ込んだ調整空気は、主管71aを流れて延長管71bに流れ込む。延長管71bに流れ込んだ調整空気は、各分岐管71cに流れ込む。したがって、風導管71は、棚用空調設備60によって調整された調整空気が導入されるとともに、調整空気を栽培棚11の各々に分配する分岐管71cを有する。
【0033】
<送風機>
送風機72は、各分岐管71cに連通している。各分岐管71cには、4つの送風機72が連通している。なお、分岐管71cに連通する送風機72の数は、栽培棚11の奥行方向Yへの長さに応じて変更してもよい。奥行方向Yへの栽培棚11の長さが短いほど、分岐管71cに連通する送風機72の数は少なくなる。逆に、奥行方向Yへの栽培棚11の長さが長いほど、分岐管71cに連通する送風機72の数は多くなる。分岐管71cに連通する4つの送風機72は、奥行方向Yへ等間隔を空けて設置されている。なお、送風機72は、分岐管71cの内部に設置して分岐管71cと連通させることで、調整空気を送り出してもよい。
【0034】
<送風配管>
図3及び
図4に示すように、送風配管73は、送風機72に接続されている。送風配管73は、栽培棚11の内側、具体的には、第1遮蔽板41の内面側に配置されている。このため、送風配管73は、各栽培空間17の中に配置されている。送風配管73は、第1遮蔽板41の内面に沿うように栽培棚11の上下方向Z全体に亘って延びている。また、送風配管73は、下端の区画板30を除いて区画板30を上下方向Zに貫通している。複数本の送風配管73は、奥行方向Yに等間隔を空けて配置されている。そして、送風機72は、分岐管71cに送り込まれた調整空気を送風配管73に送り出す。
【0035】
<送風ノズル>
送風ノズル74は、送風配管73に接続されている。複数の送風配管73の各々には、送風ノズル74が複数本接続されている。複数本の送風ノズル74の各々は、送風配管73から奥行方向Yに延びる。
【0036】
図5に示すように、送風ノズル74は、栽培棚11の内側、具体的には、第1遮蔽板41の内面側に配置されている。送風ノズル74は、各栽培空間17内に配置されている。送風ノズル74は、各栽培空間17に1本ずつ設置されている。送風ノズル74は、栽培空間17の上側区画板に近付けて、当該上側区画板の下方に設置されている。そして、送風ノズル74からは、送風配管73に送り込まれた調整空気が噴出する。送風ノズル74から噴出した調整空気は、栽培空間17に送り込まれる。したがって、送風ノズル74は、調整空気を栽培空間17内に送り込む。
【0037】
上記したように、送風配管73は奥行方向Yへ等間隔おきに配置されている。送風ノズル74は、各送風配管73に接続されている。したがって、各栽培空間17には、複数の送風ノズル74によって等間隔を空けて調整空気が送り込まれる。このため、各栽培空間17の奥行方向Yの全体に亘って、調整空気が送り込まれる。
【0038】
<送風設備用加湿器>
図2に示すように、送風設備用加湿器75は、各分岐管71cに設置されている。送風設備用加湿器75は、分岐管71cの両端のうち、延長管71b寄りの第1端に近付けて設置されている。送風設備用加湿器75は、分岐管71cに送り込まれた調整空気を加湿する。
【0039】
<制御装置>
図6に示すように、茸栽培システム10は、制御装置80を備えている。制御装置80は、室内用空調装置16、棚用空調装置61、加湿器62、室内用換気設備20、空調室用換気設備65、及び送風設備用加湿器75の稼働を制御する。制御装置80は、室内用空調コントローラ81と、棚用空調コントローラ82と、換気コントローラ83と、統括コントローラ84と、を備えている。
【0040】
室内用空調コントローラ81は、室内用空調装置16に制御信号を出力する。棚用空調コントローラ82は、棚用空調装置61、加湿器62、及び送風設備用加湿器75に制御信号を出力する。換気コントローラ83は、室内用換気設備20及び空調室用換気設備65に制御信号を出力する。統括コントローラ84は、室内用空調コントローラ81、棚用空調コントローラ82及び換気コントローラ83に制御信号を出力する。統括コントローラ84は、室内用空調コントローラ81、棚用空調コントローラ82、及び換気コントローラ83を統括的に制御する。
【0041】
室内用空調コントローラ81、棚用空調コントローラ82、換気コントローラ83及び統括コントローラ84の各々は、プロセッサと、記憶部と、を備えている。プロセッサとしては、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、又はDSP(Digital Signal Processor)が用いられる。記憶部は、RAM(Random Access Memory)、及びROM(Read Only Memory)を含む。記憶部は、処理をプロセッサに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。記憶部、即ち、コンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。各コントローラ81,82,83,84は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェア回路によって構成されていてもよい。処理回路である各コントローラ81,82,83,84は、コンピュータプログラムに従って動作する1つ以上のプロセッサ、ASICやFPGA等の1つ以上のハードウェア回路、或いは、それらの組み合わせを含み得る。
【0042】
茸栽培システム10は、室内用温度センサ91と、室内用湿度センサ92と、外気温センサ93と、棚用温度センサ94と、棚用湿度センサ95と、棚用CO2濃度センサ96と、室内用CO2濃度センサ97と、を備えている。室内用温度センサ91、室内用湿度センサ92、外気温センサ93、棚用温度センサ94、棚用湿度センサ95、棚用CO2濃度センサ96、及び室内用CO2濃度センサ97の各々は、制御装置80に電気的に接続されている。
【0043】
室内用温度センサ91は、栽培室13の温度を検出する。室内用温度センサ91により検出された温度に関する情報は、制御装置80に入力される。室内用湿度センサ92は、栽培室13の湿度を検出する。室内用湿度センサ92により検出された湿度に関する情報は、制御装置80に入力される。外気温センサ93は、室外Sの外気温を検出する。外気温センサ93により検出された外気温に関する情報は、制御装置80に入力される。室内用CO2濃度センサ97は、栽培室13のCO2濃度を検出する。室内用CO2濃度センサ97により検出されたCO2濃度に関する情報は、制御装置80に入力される。
【0044】
棚用温度センサ94は、栽培空間17の温度を検出する。棚用温度センサ94により検出された温度に関する情報は、制御装置80に入力される。棚用温度センサ94は、菌床19の培養状態を観測するため、袋詰め状態の密閉菌床の培地の中の温度を測定する。密閉菌床の培養状態を観測するため、棚用温度センサ94は、密閉菌床の培地の中に差し込んだ温度センサで検出してもよいし、密閉菌床を収容した袋の外から赤外線カメラで培地の表面温度を検出してもよい。
【0045】
棚用湿度センサ95は、栽培空間17の湿度を検出する。棚用湿度センサ95により検出された湿度に関する情報は、制御装置80に入力される。棚用CO2濃度センサ96は、栽培空間17のCO2濃度を検出する。棚用CO2濃度センサ96により検出されたCO2濃度に関する情報は、制御装置80に入力される。
【0046】
統括コントローラ84の記憶部には、空調プログラムが記憶されている。空調プログラムは、栽培空間17の温度、湿度、及びCO2濃度を菌床19の培養と育成に適した値に調整するために、室内用空調コントローラ81、棚用空調コントローラ82、及び換気コントローラ83を制御するプログラムである。
【0047】
統括コントローラ84は、室内用温度センサ91、室内用湿度センサ92、外気温センサ93、棚用温度センサ94、棚用湿度センサ95、棚用CO2濃度センサ96、及び室内用CO2濃度センサ97の検出結果に基づいて、空調プログラムに従って室内用空調コントローラ81、棚用空調コントローラ82、及び換気コントローラ83に制御指令を出力する。
【0048】
空調プログラムに従った制御指令に基づき、室内用空調コントローラ81は、室内用空調装置16の稼働を制御する。また、空調プログラムに従った制御指令に基づき、棚用空調コントローラ82は、棚用空調装置61、加湿器62及び送風設備用加湿器75の稼働を制御する。また、空調プログラムに従った制御指令に基づき、換気コントローラ83は、室内用換気設備20及び空調室用換気設備65の稼働を制御する。
【0049】
<茸栽培システムの空調>
次に、茸栽培システム10による栽培室13及び栽培空間17の空調を説明する。
<栽培室の温度及び湿度の調整>
統括コントローラ84は、栽培室13の温度、湿度、及びCO2濃度を所定の値に調整するための制御を行う。栽培室13の温度は、外気温と、栽培空間17の温度との差が大きくなり過ぎないような温度に調整される。また、栽培室13の湿度は、室外Sの湿度と、栽培空間17の湿度との差が大きくなり過ぎないような湿度に調整される。栽培室13の温度及び湿度は、一定に維持される。
【0050】
上記調整の際、統括コントローラ84は、室内用空調コントローラ81に制御指令を出力する。室内用空調コントローラ81は、室内用温度センサ91及び室内用湿度センサ92の検出結果に基づいて、室内用空調装置16を稼働させる。
【0051】
また、統括コントローラ84は、栽培室13の換気を伴って栽培室13の温度及び湿度を調整する場合は、室内用空調コントローラ81及び換気コントローラ83に制御指令を出力する。室内用空調コントローラ81は、室内用温度センサ91、室内用湿度センサ92及び外気温センサ93の検出結果に基づいて、室内用空調装置16を稼働させる。また、換気コントローラ83は、室内用CO2濃度センサ97の検出結果に基づいて、室内用換気設備20を稼働させる。室内用換気設備20は、室外Sから外気を栽培室13に給気させるとともに、栽培室13の空気を栽培室13から排気させる。
【0052】
ここで、室外Sの外気温が高い場合、室内用空調コントローラ81は、室内用空調装置16の温度設定を調整して、栽培室13の温度を下げるようにする。その結果、外気と、栽培室13の空気とから、栽培室13の温度が所望する値に調整される。一方、室外Sの外気温が低い場合、室内用空調コントローラ81は、室内用空調装置16の温度設定を調整して、栽培室13の温度を上げるようにする。その結果、外気と、栽培室13の空気とから、栽培室13の温度が所望する値に調整される。なお、換気に伴って栽培室13の湿度が下がった場合、棚用空調コントローラ82によって棚用空調装置61及び加湿器62を稼働させて栽培室13の湿度を上げる。
【0053】
<栽培室のCO2濃度の調整>
栽培室13のCO2濃度は、菌床19の培養や育成に適したCO2濃度に調整される。統括コントローラ84は、栽培室13のCO2濃度を調整するため、換気コントローラ83に制御指令を出力する。換気コントローラ83は、室内用CO2濃度センサ97の検出結果に基づいて、室内用換気設備20を稼働させる。
【0054】
具体的には、菌床19からは大量のCO2ガスが発生する。室内用CO2濃度センサ97によって検出されたCO2濃度が所定値を越えると、統括コントローラ84は、換気コントローラ83に制御指令を出力する。換気コントローラ83は、室内用換気設備20を稼働させる。すると、栽培室13の空気は、室内用換気設備20によって栽培室13から室外Sへ排気されると同時に、室外Sの外気が栽培室13に給気される。その結果、栽培室13のCO2濃度が低下する。そして、室内用CO2濃度センサ97によって検出されたCO2濃度が基準値にまで低下すると、換気コントローラ83は、室内用換気設備20の稼働を停止させる。
【0055】
上記のように、栽培室13を換気してCO2濃度を低下させるにあたり、外気温に応じて、統括コントローラ84は、室内用空調コントローラ81による室内用空調装置16の制御を異ならせる。
【0056】
栽培室13に比べて外気温が高い場合、室内用換気設備20によって換気すると、栽培室13には暖かい空気が給気される。このため、統括コントローラ84は、換気コントローラ83によって室内用換気設備20を稼働させる前に、室内用空調コントローラ81によって室内用空調装置16の温度設定を調整して、栽培室13の温度を調整する。具体的には、室内用空調コントローラ81は、室内用空調装置16の温度を、換気前よりも低い温度に調整する。これにより、栽培室13の温度は、換気前よりも低い温度になる。
【0057】
逆に、栽培室13に比べて外気温が低い場合、室内用換気設備20によって換気すると、栽培室13には冷たい空気が給気される。このため、統括コントローラ84は、換気コントローラ83によって室内用換気設備20を稼働させる前に、室内用空調コントローラ81によって室内用空調装置16の温度設定を調整して、栽培室13の温度を調整する。具体的には、室内用空調コントローラ81は、室内用空調装置16の温度を換気前よりも高い温度に調整する。これにより、栽培室13の温度は、換気前よりも高い温度になる。
【0058】
これらにより、栽培室13が換気されても、栽培室13の温度は換気前の温度に維持される。このため、栽培室13のCO2濃度の低減のために栽培室13が換気されても、栽培室13の温度の変動が小さく抑えられる。
【0059】
<栽培空間の空調>
統括コントローラ84は、栽培空間17の温度、湿度、及びCO2濃度を所定の値に調整するための制御を行う。栽培空間17の温度、湿度、及びCO2濃度は、菌床19の培養や育成に適したそれぞれの温度、湿度、及びCO2濃度に調整される。
【0060】
上記調整の際、統括コントローラ84は、棚用空調コントローラ82に制御指令を出力する。棚用空調コントローラ82は、棚用温度センサ94、棚用湿度センサ95、及び棚用CO2濃度センサ96の検出結果に基づいて、棚用空調装置61、空調室用換気設備65、加湿器62及び送風設備用加湿器75を稼働させる。
【0061】
統括コントローラ84は、空調室14の換気を伴って空調室14の温度、湿度、及びCO2濃度を調整しつつ、栽培空間17の温度、湿度、及びCO2濃度を調整する場合、棚用空調コントローラ82及び換気コントローラ83に制御指令を出力する。このとき、棚用空調コントローラ82は、棚用空調装置61、加湿器62及び送風設備用加湿器75を稼働させるとともに、換気コントローラ83は、空調室用換気設備65を稼働させる。空調室用換気設備65は、室外Sから外気を空調室14に給気させるとともに、空調室14の空気を空調室14から排気させる。
【0062】
ここで、室外Sの外気温が高い場合、棚用空調コントローラ82は、棚用空調装置61の温度設定を調整して、空調室14の温度を下げるようにする。その結果、外気と、空調室14の空気とから、空調室14の温度が所望する値に調整されるとともに、栽培空間17の温度が所望する値に調整される。一方、室外Sの外気温が低い場合、棚用空調コントローラ82は、棚用空調装置61の温度設定を調整して、空調室14の温度を上げるようにする。その結果、外気と、空調室14の空気とから、空調室14の温度が所望する値に調整されるとともに、栽培空間17の温度が所望する値に調整される。
【0063】
なお、一般に、室外Sの湿度は、栽培空間17より低いため、棚用空調コントローラ82は、加湿器62を常に稼働させて、空調室14及び栽培空間17の湿度を所望する湿度に維持するようにする。また、棚用空調コントローラ82は、送風設備用加湿器75を稼働させて、栽培空間17の湿度を所望する湿度に維持するようにしてもよい。
【0064】
そして、統括コントローラ84は、室内用空調コントローラ81、棚用空調コントローラ82、及び換気コントローラ83を統括的に制御するとともに、室内用空調装置16、棚用空調装置61、加湿器62、送風設備用加湿器75、室内用換気設備20及び空調室用換気設備65を連動させる。これにより、栽培室13の温度、湿度、及びCO2濃度と、栽培空間17の温度、湿度、及びCO2濃度が所望する値に調整される。
【0065】
<実施形態の作用>
茸栽培システム10では、室内用空調装置16や室内用換気設備20によって、栽培室13の温度、湿度、及びCO2濃度が調整される。これにより、室外Sの温度、湿度、及びCO2濃度と、栽培空間17の温度、湿度、及びCO2濃度との差が小さく抑えられる。
【0066】
また、棚用空調装置61、加湿器62、送風設備用加湿器75及び空調室用換気設備65によって、空調室14の空気は、菌床19の培養や育成のそれぞれに適した温度、湿度、及びCO2濃度に調整される。
【0067】
そして、空調室14で調整された調整空気は、風導口15aを通じて風導管71の主管71aに導入される。主管71aに流れ込んだ調整空気は、延長管71bを経て各分岐管71cに流れ込む。各分岐管71cに連通している複数の送風機72の各々は、送風配管73に調整空気を送り出す。送風配管73に送り出された調整空気は、各送風ノズル74から噴出する。送風ノズル74から噴出した調整空気は、栽培空間17に送り込まれる。栽培空間17に送り込まれた調整空気は、排出口52を通じて栽培空間17の外へ排出される。その結果、栽培空間17毎に、温度、湿度、及びCO2濃度が菌床19の培養や育成の各々に適した温度、湿度、及びCO2濃度に調整される。
【0068】
<第1の実施形態の効果>
第1の実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1-1)茸栽培システム10において、栽培室13の温度及び湿度は、室内用空調装置16によって調整されるとともに、栽培空間17の温度、湿度、及びCO2濃度は、棚用空調設備60によって調整される。そして、栽培室13の温度及び湿度を調整することで、栽培空間17の温度及び湿度に及ぶ室外Sの温度及び湿度の影響を低く抑えることができる。その結果、栽培空間17の環境を、菌床19の培養や生育に適した環境に維持管理できる。
【0069】
また、調整空気が、風導管71、送風機72、送風配管73及び送風ノズル74を介して栽培空間17へ送り込まれる。このとき、栽培空間17は、第1~第4遮蔽板41~44によって囲まれた個別の空間である。このため、上下方向Zに複数ある栽培空間17の各々を、調整空気によって個別に空調できる。その結果、栽培棚11の複数の栽培空間17同士で温度差、湿度差、及びCO2濃度差が生じることを抑制できる。
【0070】
その結果として、例えば、棚用空調装置61だけで、上下方向Zに複数ある栽培空間17を一括して空調する場合と比べると、棚用空調装置61を小規模化できる。よって、茸栽培システム10の初期投資費用及び維持費用を抑えることができる。
【0071】
(1-2)棚用空調装置61は、中温用エアコンを採用しているが、棚用空調装置61だけで、上下方向Zに複数ある栽培空間17を一括して空調する場合と比べると、中温用エアコンでも小規模なものを採用できる。
【0072】
(1-3)栽培棚11において、複数の栽培空間17の各々は、第1~第4遮蔽板41~44によって取り囲まれている。また、複数の栽培空間17の各々には、排出口52が設けられている。そして、送風ノズル74から栽培空間17に調整空気が送り込まれると、調整空気は、栽培空間17の上方から下方に向けて流れ、排出口52を通じて栽培空間17から排気される。このため、栽培空間17に空気が滞留することを抑制できる。その結果、栽培空間17の温度、湿度、及びCO2濃度を、調整空気に基づく温度、湿度、及びCO2濃度に調整できる。
【0073】
(1-4)室内用空調装置16による空調は、室外Sと栽培空間17との温度差及び湿度差を小さくできる程度に実施できればよい。このため、室内用空調装置16としては、設定温度を20℃~27℃の範囲で設定できる一般的なエアコンを使用できる。よって、室内用空調装置16として、中温用エアコンよりも安価なエアコンを使用できるため、室内用空調装置16の初期投資費用及び維持費用を低く抑えることができる。
【0074】
(1-5)栽培空間17は、第1~第4遮蔽板41~44によって、栽培室13から隔てられている。このため、栽培室13の温度、湿度、及びCO2濃度の影響を受けた、栽培空間17の温度、湿度、及びCO2濃度の変動を小さくできる。
【0075】
(1-6)風導管71の分岐管71cには、送風設備用加湿器75が設置されている。送風設備用加湿器75により、延長管71bから分岐管71cに送り込まれた調整空気を加湿できる。このため、栽培棚11の送風ノズル74から噴出する調整空気も加湿されている。よって、分岐管71cに送風設備用加湿器75を設けることにより、栽培空間17を加湿しやすい。
【0076】
(1-7)送風ノズル74は栽培空間17内の上方に配置されている。そして、送風ノズル74は、調整空気を栽培空間17内に送り込む。排出口52は、栽培空間17において第1遮蔽板41の下端縁及び第2遮蔽板42の下端縁よりも下方で栽培空間17と外部とを連通する。菌床19から発生するCO2ガスは、空気より重いため、栽培空間17の下方に滞留する。そして、送風ノズル74から栽培空間17に調整空気が流れ込むと、調整空気は、栽培空間17の上方から下方の排出口52へ流れる。このため、栽培空間17に滞留したCO2ガスを排出口52から排出しやすい。その結果、栽培空間17に充満したCO2ガスを栽培空間17から効率よく排出しつつ、調整空気の無駄な排出を抑制できるため、栽培空間17の温度、湿度、及びCO2濃度を維持管理できる。
【0077】
(1-8)栽培室13のCO2濃度が上昇した場合、統括コントローラ84は、換気コントローラ83によって室内用換気設備20を稼働させる。すると、栽培室13の空気を室外Sへ排気してCO2濃度を低下できる。そして、室内用換気設備20による換気の際、外気温に応じて、室内用空調装置16の温度設定を調整することにより、栽培室13の温度の変動を小さく抑えることができる。したがって、室内用換気設備20によって栽培室13を換気しつつも、栽培空間17の温度への影響を低く抑えることができる。
【0078】
(1-9)室内用換気設備20によって栽培室13を換気できるとともに、空調室用換気設備65によって空調室14を換気できる。この換気に伴って栽培室13や空調室14の空調ができたとき、室内用空調装置16や棚用空調装置61を稼働させずに済む。その結果、栽培室13や空調室14の空調に要する費用を低減できる。
【0079】
(1-10)栽培室13と栽培空間17とは第1~第4遮蔽板41~44によって隔てられている。そして、空調室14で調整された調整空気が、送風設備70を介して栽培空間17に個別に送り込まれる。このため、栽培室13を換気しても、栽培空間17の温度、湿度、及びCO2濃度の変動を抑えることができる。また、空調室14を換気しても、空調室14で調整された調整空気が、送風設備70を介して栽培空間17に個別に送り込まれる。このため、栽培空間17の温度、湿度、及びCO2濃度の変動を抑えることができる。
【0080】
(第2の実施形態)
次に、栽培システムの中で植物栽培システムを具体化した第2の実施形態を
図7~
図8にしたがって説明する。なお、第2の実施形態において、第1の実施形態と同様の部分についてはその詳細な説明を省略する。
【0081】
図7及び
図8に示すように、栽培システムの一例である植物栽培システム100は、植物栽培工場102に設けられている。植物栽培工場102内には、栽培室13と、空調室14と、が設けられている。栽培室13及び空調室14について、第1の実施形態と異なる部分について説明を行うとともに、同様な部分についての説明を省略する。
【0082】
<栽培物>
栽培物としての植物108は、レタス、ほうれん草、バジル、青じそ等の葉物野菜や、いちご、わさび、バラ、カーネーション等の被子植物である。栽培棚11には、栽培容器109が収容されている。栽培容器109には、植物108が固定されている。栽培容器109は、例えば、栽培パレットである。なお、栽培容器109は、植物108に供給する養液を送るための樋110を備えていてもよい。
【0083】
植物栽培システム100を幅方向Xに見て、第1遮蔽板41の上端縁と上側区画板の下端縁との間と、第2遮蔽板42の上端縁と上側区画板の下端縁との間には隙間が生じている。それら隙間は、排出口52として開口している。送風ノズル74は、栽培空間17の下側区画板に近付けて、当該下側区画板の上方に設置されている。
【0084】
<栽培棚の照明装置>
複数の栽培棚11の各々は、照明装置22を備えている。照明装置22は、植物108に対して光を照射する。照明装置22は、栽培棚11の各段において、各栽培空間17の上方に配置されている。照明装置22は、例えば、発光ダイオード(LED)や蛍光灯、水銀灯等からなる。照明装置22は、植物108の光合成に必要な所定波長の光を植物108に向けて照射する。なお、照明装置22の配置、照明装置22の種類、光の波長は、植物108の種類や、栽培容器109の配置に応じて適宜変更してもよい。
【0085】
<植物栽培システム>
植物栽培システム100は、第1の実施形態と同様に、室内用空調装置16と、図示しない室内用換気設備20と、棚用空調設備60と、送風設備70と、図示しない制御装置80と、を備えている。
【0086】
植物栽培システム100の棚用空調設備60は、棚用空調装置61と加湿器62と空調室用換気設備65に加え、CO2ガス供給装置63と、除湿器64と、を備えている。CO2ガス供給装置63は、空調室14にCO2ガスを供給する。除湿器64は、空調室14を除湿する。棚用空調設備60は、棚用空調装置61、加湿器62、CO2ガス供給装置63、除湿器64及び空調室用換気設備65によって、空調室14の温度、湿度、及びCO2濃度を調整する。
【0087】
加湿器62は、エチレンガス除去装置62aを備えている。エチレンガス除去装置62aは、エチレンガスを空気中から除去する。
図示しないが、制御装置80には、CO2ガス供給装置63及び除湿器64が電気的に接続されている。棚用空調コントローラ82は、統括コントローラ84からの制御指令に応じてCO2ガス供給装置63や除湿器64の稼働を制御する。
【0088】
植物108は、CO2を用いて光合成を行うため、栽培空間17のCO2濃度は低下する。棚用CO2濃度センサ96によって検出されたCO2濃度が低下すると、棚用空調コントローラ82は、CO2ガス供給装置63を稼働させて、空調室14のCO2濃度を所望する値に調整する。そして、CO2濃度の高められた調整空気が空調室14から栽培空間17に供給される。
【0089】
照明装置22は、点灯と消灯とを切り換える。そして、植物栽培システム100では、照明装置22を点灯させて植物108に光を照射させたり、照明装置22を消灯させたりする。これにより、植物栽培システム100では、植物108が光合成を行う昼の時間である明期と、植物108が光合成を行わない夜の時間である暗期と、を人工的に作り出している。
【0090】
<第2の実施形態の作用>
明期には、植物108に光合成させるため、照明装置22から光が照射される。このため、栽培室13の温度は、照明装置22の発熱によって上昇する。栽培室13の温度に比べて外気温が低い場合であれば、栽培室13の換気を伴って栽培室13の温度を調整するため、統括コントローラ84は、換気コントローラ83に制御指令を出力する。換気コントローラ83は、室内用換気設備20を稼働させて、室外Sから外気を栽培室13に給気させるとともに、栽培室13の空気を栽培室13から排気させる。外気温は、栽培室13の温度に比べて低いため、外気を栽培室13に給気することで、栽培室13の温度を低下させることができる。
【0091】
換気のみで栽培室13の温度が所望する値に調整されれば、統括コントローラ84は、室内用空調コントローラ81を制御しなくてもよい。この場合、室内用空調装置16は稼働されない。一方、換気のみで栽培室13の温度が所望する値に調整されない場合は、統括コントローラ84は、室内用空調コントローラ81を制御して、室内用空調装置16の温度設定を調整する。統括コントローラ84は、外気温センサ93の検出結果、及び室内用温度センサ91の検出結果に応じて、室内用空調装置16を稼働させる。具体的には、栽培室13の温度が所望する値になるように、室内用空調コントローラ81は、室内用空調装置16の温度設定を調整して、栽培室13の温度が所望する値となるようにする。
【0092】
明期において、栽培空間17の温度が上昇した場合、棚用空調コントローラ82は、棚用空調装置61を稼働させて栽培空間17の温度を下げるように調整する。
また、明期において、植物108の蒸散により、栽培空間17の湿度は上昇する。この場合、棚用空調装置61を稼働させて栽培空間17の温度を下げるように調整する際、栽培空間17の温度低下に伴って栽培空間17の湿度を低下させる。この場合、統括コントローラ84は、棚用空調コントローラ82に制御指令を出力する。棚用空調コントローラ82は、除湿器64を稼働させて栽培室13を除湿させる。
【0093】
また、明期において、植物108の蒸散により、栽培室13の湿度は上昇する。この場合、換気によって栽培室13の湿度を調整してもよい。外気の湿度が栽培室13の湿度より低ければ、栽培室13の換気を伴って栽培室13の湿度を調整する。このとき、統括コントローラ84は、換気コントローラ83に制御指令を出力する。換気コントローラ83は、室内用換気設備20を稼働させて、室外Sから外気を栽培室13に給気させるとともに、栽培室13の空気を栽培室13から排気させる。乾燥した外気を栽培室13に給気することで、栽培室13の湿度を低下させることができる。
【0094】
また、暗期には、照明装置22が消灯する。暗期には、照明装置22による発熱が無いため、室内用空調装置16及び棚用空調装置61による空調が停止する。このため、栽培室13の湿度は上昇する。暗期において、外気の湿度が栽培室13の湿度より低ければ、栽培室13の換気を伴って栽培室13の湿度を調整する。このとき、統括コントローラ84は、換気コントローラ83に制御指令を出力する。換気コントローラ83は、室内用換気設備20を稼働させて、室外Sから外気を栽培室13に給気させるとともに、栽培室13の空気を栽培室13から排気させる。乾燥した外気を栽培室13に給気することで、栽培室13の湿度を低下させることができる。
【0095】
なお、換気のみで栽培室13の湿度が所望する値に調整されれば、統括コントローラ84は、室内用空調コントローラ81を制御しなくてもよい。この場合、室内用空調装置16は稼働されない。一方、換気のみで栽培室13の湿度が所望する値に調整されない場合は、統括コントローラ84は、棚用空調コントローラ82を制御して、除湿器64を稼働させる。統括コントローラ84は、棚用湿度センサ95の検出結果に応じて、除湿器64を稼働させる。具体的には、栽培室13の湿度が所望する値になるように、棚用空調コントローラ82は、除湿器64を稼働させて、栽培室13を除湿して、栽培室13の湿度が所望する値となるようにする。
【0096】
また、暗期において、植物108の蒸散により、栽培空間17の湿度は上昇する。この場合、統括コントローラ84は、棚用空調コントローラ82に制御指令を出力する。棚用空調コントローラ82は、除湿器64を稼働させて栽培空間17を除湿させる。
【0097】
したがって、統括コントローラ84は、室内用空調コントローラ81、棚用空調コントローラ82、及び換気コントローラ83を統括的に制御するとともに、室内用空調装置16、棚用空調装置61、加湿器62、除湿器64、室内用換気設備20及び空調室用換気設備65を連動させる。これにより、栽培室13の温度、湿度、CO2濃度と、栽培空間17の温度、湿度、及びCO2濃度が所望する値に調整される。
【0098】
<第2の実施形態の効果>
従って、第2の実施形態によれば、第1の実施形態の(1-1)~(1-6)、(1-9)及び(1-10)に記載の効果に加えて以下の効果を得ることができる。
【0099】
(2-1)室内用換気設備20によって栽培室13に外気を給気することで、照明装置22が点灯する明期において、室内用空調装置16及び棚用空調装置61を稼働させなくても栽培室13の温度上昇を抑制できる。このため、植物栽培システム100の稼働費用を抑制できる。また、室内用換気設備20によって栽培室13に外気を給気することで、除湿器64を用いなくても栽培室13の湿度を低下できる。このため、植物栽培システム100の稼働費用を抑制できる。
【0100】
(2-2)エチレンガス除去装置62aにより、植物108の栽培に影響を及ぼすエチレンガスを除去できる。
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施できる。
【0101】
・
図9に示すように、茸栽培システム10は、2つの空調室14として、第1空調室141と、第2空調室142が設けられていてもよい。そして、第1空調室141は、第1棚用空調設備601と、第1送風設備701と、を備えている。第2空調室142は、第2棚用空調設備602と、第2送風設備702と、を備えている。第1棚用空調設備601と、第1送風設備701と、を用いて第1栽培棚111の栽培空間17の温度、湿度、及びCO
2濃度を調整する。また、第2棚用空調設備602と、第2送風設備702と、を用いて第2栽培棚112の栽培空間17の温度、湿度、及びCO
2濃度を調整する。
【0102】
第1栽培棚111の栽培物は、菌床19の中でも袋に詰められている密閉菌床である。そして、第1栽培棚111では、密閉菌床の培養が行われるため、栽培空間17の温度、湿度、及びCO2濃度は一定値に調整される。第2栽培棚112の栽培物は、菌床19の中でもむき出し状態の育成菌床である。そして、第2栽培棚112では、育成菌床の育成が行われるため、栽培空間17の温度、湿度、及びCO2濃度は、密閉菌床の培養期間とは異なり、育成期間に適した温度変化と、湿度、及びCO2濃度に変更される。
【0103】
第1棚用空調設備601は、密閉菌床の培養に適した調整空気を調整する。第2棚用空調設備602は、育成菌床の育成に適した調整空気を調整する。したがって、茸栽培システム10は、棚用空調設備を複数備えている。また、茸栽培システム10は、棚用空調設備601,602毎に調整空気の温度、湿度、及びCO2濃度を異ならせている。茸栽培システム10は、栽培空間17の温度、湿度、及びCO2濃度を異ならせた栽培棚111,112を複数備えている。そして、栽培棚111,112の温度、湿度、及びCO2濃度に応じて、個別に棚用空調設備601,602から風導管71の分岐管71c、送風機72、送風配管73及び送風ノズル74を介して栽培空間17に調整空気を送り込む。これにより、栽培物の栽培環境が異なっていても、個別に栽培できる。
【0104】
・室内用換気設備20及び空調室用換気設備65は、給気装置のみ又は排気装置のみを備えていてもよい。
・各実施形態において、第1~第4遮蔽板41~44は、反射シート以外の板であってもよい。
【0105】
・各実施形態において、分岐管71cや送風機72の設置される位置は、各栽培棚11の天井面に限らず、適宜変更してもよい。この場合であっても、送風配管73は送風機72から延びるとともに、栽培棚11の上下方向Zの全体に延びる。
【0106】
・各実施形態において、栽培棚11の1つずつに空調室14と、棚用空調設備60と、送風設備70とを設けてもよい。
・各実施形態において、栽培空間17の底となる区画板30上には、栽培物を奥行方向Yに運搬するためのコンベアが設置されていてもよい。
【0107】
・制御装置80は、AI技術を利用して、室内用空調装置16、棚用空調装置61、加湿器62、CO2ガス供給装置63、除湿器64、送風設備用加湿器75、室内用換気設備20、及び空調室用換気設備65の稼働を制御するようにしてもよい。
【0108】
例えば、菌床19や植物108の状態を画像で予め取得するとともに、制御装置80に予め記憶させておく。また、制御装置80には、菌床19や植物108の状態を撮像した画像と、画像に紐付けた育成条件(温度、湿度、CO2濃度)を教師データとして学習させておく。そして、制御装置80は、菌床19や植物108の画像から、菌床19や植物108の育成条件を判定する。制御装置80の判定に基づき、統括コントローラ84は、各コントローラ81~83を制御して、室内用空調装置16、棚用空調装置61、加湿器62、CO2ガス供給装置63、除湿器64、送風設備用加湿器75、室内用換気設備20、及び空調室用換気設備65の稼働を制御するようにしてもよい。
【0109】
・室内用換気設備20及び空調室用換気設備65は、熱交換器を備えていてもよい。室内用換気設備20及び空調室用換気設備65によって外気を取り込むとき、栽培室13や空調室14の温度に合わせて、外気と熱交換器との間で熱交換をさせる。これにより、取り込む外気温を栽培室13や空調室14の温度に近付けることができる。その結果、換気に伴う栽培室13や空調室14の温度変動を抑えることができる。よって、換気だけで栽培室13や空調室14の空調ができるため、室内用空調装置16や棚用空調装置61を稼働させずに済む。その結果、栽培室13や空調室14の空調に要する費用を低減できる。
【0110】
・栽培システムは、栽培室13内で、種類の異なる栽培物を栽培してもよい。例えば、栽培室13内で、菌床19と植物108とを栽培してもよい。この場合、菌床19から発生するエチレンガスは、植物108の生育に影響を及ぼすため、加湿器62にエチレンガス除去装置62aを設置して、エチレンガスを除去するようにする。
【0111】
・栽培室13内に加湿器62を設置してもよい。
上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想について記載する。
・前記制御装置は、室内用空調装置、棚用空調設備、及び換気設備を連動させて、栽培室の温度及び湿度と、栽培空間の温度、湿度、及びCO2濃度を調整する。
【符号の説明】
【0112】
10…茸栽培システム、11…栽培棚、12…構造物、13…栽培室、16…室内用空調装置、17…栽培空間、19…栽培物としての菌床、20…室内用換気設備、30…区画板、41~44…第1~第4遮蔽板、51…導入口、60…棚用空調設備、65…空調室用換気設備、71…風導管、71c…分岐管、72…送風機、73…送風配管、74…送風ノズル、80…制御装置、100…植物栽培システム、102…構造物としての植物栽培工場、108…栽培物としての植物、111…第1栽培棚、112…第2栽培棚、601…第1棚用空調設備、602…第2棚用空調設備。