(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022898
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】棚設定方法、棚設定プログラムおよび搬送システム
(51)【国際特許分類】
B65G 1/14 20060101AFI20240214BHJP
【FI】
B65G1/14 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022126343
(22)【出願日】2022-08-08
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】栄元 雄山
(72)【発明者】
【氏名】諏訪部 智之
【テーマコード(参考)】
3F022
【Fターム(参考)】
3F022AA15
3F022FF01
3F022LL07
3F022MM17
3F022PP04
(57)【要約】
【課題】物品を効率良く搬送できる棚設定方法、棚設定プログラムおよび搬送システム搬送システムを提供する。
【解決手段】実施形態によれば、棚設定方法は、搬送システムに用いる物品を載置する棚に対する設定方法であって、棚における物品を載置する物品載置領域のレイアウトの変更を受け付け、物品を載置する物品載置領域のレイアウトを変更する対象となる棚を識別する棚識別情報を取得し、棚識別情報で特定される棚における変更後のレイアウトを示すレイアウト情報を取得し、取得したレイアウト情報に基づいて前記識別情報で特定される棚の設定情報を更新する。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送システムに用いる物品を載置する棚に対する棚設定方法であって、
前記棚における物品を載置する物品載置領域のレイアウトの変更を受け付け、
物品を載置する物品載置領域のレイアウトを変更する対象となる棚を識別する棚識別情報を取得し、
前記棚識別情報で特定される棚における変更後のレイアウトを示すレイアウト情報を取得し、
取得した前記レイアウト情報に基づいて前記棚識別情報で特定される棚の設定情報を更新する、
棚設定方法。
【請求項2】
前記棚は、作業エリアに搬送される搬送棚である、
請求項1に記載の棚設定方法。
【請求項3】
前記搬送棚は、物品が載置される物品載置領域に対応する位置に当該物品載置領域の識別情報が表示され、
さらに、前記変更後のレイアウトによって前記搬送棚に配置される各物品載置領域の識別情報を取得し、
前記変更後のレイアウトによって前記搬送棚に配置される各物品載置領域の識別情報を含む情報を前記搬送棚の設定情報として更新する、
請求項2に記載の棚設定方法。
【請求項4】
前記搬送棚は、仕切り部材によって物品載置領域が形成され、
前記仕切り部材の移動に応じた変更後のレイアウトを示すレイアウト情報を取得する、
請求項3に記載の棚設定方法。
【請求項5】
物品載置領域の識別情報は、前記仕切り部材に表示される、
請求項4に記載の棚設定方法。
【請求項6】
前記仕切り部材の移動を検知する仕切り位置検知部による検知結果に基づく変更後のレイアウトを示すレイアウト情報を取得する、
請求項4又は5に記載の棚設定方法。
【請求項7】
前記棚は、仕分けられた物品が載置される仕分け棚である、
請求項1に記載の棚設定方法。
【請求項8】
前記仕分け棚は、複数のボタンを有し、
さらに、前記変更後のレイアウトによって前記仕分け棚に配置される各物品載置領域に応じて前記複数のボタンをそれぞれ有効又は無効のいずれかに設定する、
請求項7に記載の棚設定方法。
【請求項9】
前記仕分け棚は、引き出された場合に物品載置領域となるトレイを上方に移動させる引き出しを複数並べた棚段を有し、
前記仕分け棚における隣り合う引き出しの連結によるレイアウトの変更を受け付ける、
請求項7に記載の棚設定方法。
【請求項10】
搬送システムに用いる制御装置に、
棚における物品を載置する物品載置領域のレイアウトの変更を受け付ける機能と、
物品を載置する物品載置領域のレイアウトを変更する対象となる棚を識別する棚識別情報を取得する機能と、
前記棚識別情報で特定される棚における変更後のレイアウトを示すレイアウト情報を取得する機能と、
取得した前記レイアウト情報に基づいて前記棚識別情報で特定される棚の設定情報を更新する更新機能と、
を実現させる棚設定プログラム。
【請求項11】
さらに、前記変更後のレイアウトによって配置される各物品載置領域の識別情報を取得する機能を有し、
前記更新機能は、前記変更後のレイアウトによって配置される各物品載置領域の識別情報を含む情報を前記棚の設定情報として更新する、
請求項10に記載の棚設定プログラム。
【請求項12】
前記棚は、複数のボタンを有し、
さらに、前記変更後のレイアウトによって配置される各物品載置領域の位置に応じて前記複数のボタンをそれぞれ有効又は無効のいずれかに設定する、
請求項10に記載の棚設定プログラム。
【請求項13】
クライアント装置と制御装置と有する搬送システムであって、
前記クライアント装置は、
棚における物品を載置する物品載置領域のレイアウトの変更指示を入力する操作部と、
前記制御装置と通信する第1の通信インターフェースと、
前記操作部に入力された変更指示によって変更されるレイアウトを示すレイアウト情報を前記制御装置へ送信する第1のプロセッサと、を有し、
前記制御装置は、
前記クライアント装置と通信する第2の通信インターフェースと、
前記第2の通信インターフェースにより前記クライアント装置から取得する変更後のレイアウトを示すレイアウト情報に基づいて前記棚の設定情報を更新する第2のプロセッサと、を有する、
搬送システム。
【請求項14】
前記棚は、作業エリアに搬送される搬送棚である、
請求項13に記載の搬送システム。
【請求項15】
前記棚は、仕分けられた物品が載置される仕分け棚である、
請求項13に記載の搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、搬送設定方法、棚設定プログラムおよび搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、物流センタや倉庫などにおいて自動搬送車を用いて搬送する物品を仕分ける搬送システムが実現されている。搬送システムは、自動搬送車によって物品を格納する搬送棚(POD)をステーションに搬送する。ステーションでは、オペレータ又はロボットが自動搬送車によって搬送された搬送棚から物品をピッキングし、物品を仕分け棚(DAS)に配置したトレイ上に仕分ける。
【0003】
従来の搬送システムでは、搬送棚における物品を載置する間口(物品の載置領域)のサイズが最初に登録した状態から変更できないため、あまり使わないサイズの間口に商品が配置されず、搬送棚の間口の稼働率が低下してしまう問題がある。また、従来の搬送システムでは、出庫に使用する仕分け棚のトレイ(物品の載置領域)も最初に登録した状態から変更できないため、大きな商品が隣のトレイにまではみ出てしまうことなどによって保管効率が低下しまうという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の課題を解決するため、物品を効率良く搬送できる棚設定方法、棚設定プログラムおよび搬送システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、棚設定方法は、搬送システムに用いる物品を載置する棚に対する設定方法であって、棚における物品を載置する物品載置領域のレイアウトの変更を受け付け、物品を載置する物品載置領域のレイアウトを変更する対象となる棚を識別する棚識別情報を取得し、棚識別情報で特定される棚における変更後のレイアウトを示すレイアウト情報を取得し、取得したレイアウト情報に基づいて前記識別情報で特定される棚の設定情報を更新する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態に係る搬送システム全体の構成例を概略的に示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る搬送システムにおける制御系の構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る搬送システムにおける制御装置としてのWCS(倉庫制御システム)の構成例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る搬送システムにおけるクライアント装置の構成例を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る搬送システムにおける搬送棚のレイアウトの例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る搬送システムにおける搬送棚に設置する仕切り部材を任意の位置に移動可能とした棚段の例を示す図である、
【
図7】
図7は、実施形態に係る搬送システムにおける搬送棚の仕切り部材に各間口に対応する間口コードを表示した例を示す図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る搬送システムにおける搬送棚の上下の棚段をまとめた1つの棚段におけるレイアウトの例を示す図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係る搬送システムにおける搬送棚のレイアウトを変更する場合のクライアント装置の動作例を説明するためのフローチャートである。
【
図10】
図10は、実施形態に係る搬送システムにおける搬送棚のレイアウトを変更する場合におけるWCSの動作例を説明するためのフローチャートである。
【
図11】
図11は、実施形態に係る搬送システムにおける仕分け棚のレイアウトの例を示す図である。
【
図12】
図12(a)および(b)は、実施形態に係る搬送システムにおける仕分け棚の最下段に設けた引き出しの構成例を示す図である。
【
図13】
図13は、実施形態に係る搬送システムにおける仕分け棚が備える隣り合う引き出しを連結するための構成例を示す図である。
【
図14】
図14は、実施形態に係る搬送システムにおける仕分け棚の連結させた引き出し中のトレイを連結させた例を示す図である。
【
図15】
図15は、実施形態に係る搬送システムにおける仕切り棚のレイアウトを変更する場合のクライアント装置の動作例を説明するためのフローチャートである。
【
図16】
図16は、実施形態に係る搬送システムにおける仕分け棚のレイアウトを変更する場合におけるWCSの動作例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、実施形態に係る搬送システム1全体の構成例を概略的に示す図である。
図1に示す構成例において、搬送システム1は、ステーション(作業エリア)P、クライアント装置2、仕分け棚(DAS)3、複数のAGV7、および、複数の搬送棚(POD、AGV棚)8などを備える。
【0009】
実施形態に係る搬送システム1は、物流センタ又は倉庫などにおいて棚からピッキングする物品を仕分ける作業を制御および管理するためのシステムである。搬送システム1は、自動搬送車(automated guided vehicle(AGV))7を用いて搬送棚(POD、AGV棚)8をステーションPに搬送する。搬送システム1は、ステーションPにおいて搬送棚8からピッキングする物品を仕分け棚(DAS)3に仕分ける作業を制御(管理)する。
【0010】
ステーションPには、クライアント装置2が設置される。ステーションPにおいて、オペレータがクライアント装置2を用いて作業を実行する。また、ステーションPには、ロボットが設置されるものであってもよい。搬送システム1は、AGV7を制御する。搬送システム1の制御に応じて、AGV7は、物品が載置された搬送棚8をステーションPに搬送する。各ステーションPにおいて、オペレータ又はロボットは、AGV7が搬送する搬送棚8にある物品をピッキングし、ピッキングした物品を仕分け棚(DAS)3に格納する。
【0011】
搬送システム1は、作業エリアであるステーションPに設置されているクライアント装置2に物品処理スケジュール等を表示させる。オペレータは、ステーションPに設置されているクライアント装置2に表示される物品処理スケジュール等を目視確認して物品の格納又はピッキングなどの作業を実施する。また、搬送システム1は、ステーションPに配置したロボットの稼働を停止してオペレータに物品の格納又はピッキングなどの作業を実施させることもできる。
【0012】
また、クライアント装置2は、オペレータからの種々の指示が入力される。例えば、クライアント装置2は、オペレータによる物品のピッキングが完了したことを示す操作指示が入力される。また、クライアント装置2は、オペレータによる搬送棚8の設定を変更する指示、および、仕分け棚3の設定を変更する指示が入力される。クライアント装置2は、オペレータが入力する指示を上位装置であるWCS11(
図2参照)へ供給する。なお、クライアント装置2は、ステーションPに設置されたコンピュータであっても良いし、オペレータに割り当てられた無線通信端末であっても良い。
【0013】
また、搬送システム1は、当該システムが稼働する物流センタや倉庫に設置する複数のカメラを備えても良い。また、複数のカメラのうち1又は数台を固定式カメラとし、残りを移動式カメラとしてもよい。固定式カメラは、例えば天井、壁面、およびステーションPに対する上面と側面等に固定され、物品を処理する倉庫全体および倉庫内の所定エリアを撮影した撮影データをリアルタイムに出力する。撮影データは、撮影日時データ(撮影時刻含む)および撮影画像データを含む。撮影画像データは、静止画データおよび動画データである。また、固定式カメラは、上下左右に回動してもよい。固定式カメラが、上下左右に回動することにより、広範囲に倉庫内を監視することができる。
【0014】
DAS3は、ステーションPに設置される。DAS3は、物品を載置(又は格納)する物品載置領域となるトレイ4を配置する。DAS3に配置した各トレイ4には、それぞれ仕分けされた物品が載置される。DAS3は、物品配置領域としてのトレイのレイアウトが変更可能である。DAS3は、物品からコード等を読み取る端末を備えるものであってもよい。
【0015】
また、DAS3は、表示器D(
図11等を参照)およびボタンB(
図11等を参照)を備える。表示器Dは対応する位置にあるトレイ4に載置された物品の数などを表示する。ボタンBはスキャナー等で商品のバーコードをスキャンし、所定の個数回スキャンされたときに、ボタンが点灯または点滅する。また、点灯または点滅したボタンBが押されると、システムに出庫が完了したことを通知する。表示器DおよびボタンBは、例えば、DAS3に配置する各トレイ4の所定の初期位置に対応する位置にそれぞれ設けられる。表示器DおよびボタンBは、DAS3におけるトレイ4のレイアウトが変更された場合、トレイ4のレイアウトに応じて有効(アクティブ)にしたり無効(非アクティブ)にしたりされる。
【0016】
AGV(自動搬送装置)7は、後述するWCS11からの制御信号に基づき動作する。例えば、AGV7は、指定された積み込み位置へ向かって走行し、指定された積み込み位置の搬送棚8を持ち上げる。AGV7は、指定された積み降ろし位置へ向かって走行し、指定されたステーションに移動する。ステーションでの作業が完了すると、AGV7は、搬送棚8を積み降ろし位置へ搬送し、積み下ろし位置で搬送棚8を降ろす。なお、AGV7は、作業が完了した搬送棚をもとの位置に必ず戻さなくてもよく、棚置きエリア内であればどこに戻しても良い。
【0017】
搬送棚8は、物品を載置する棚である。搬送棚8は、例えば、四本の支柱で直立する。搬送棚8の棚下の高さは(床面から棚底までの高さ)、AGV7の高さよりも高い。これにより、AGV7は、搬送棚8の棚下に潜り込むことができる。棚下に潜り込んだAGV7は、プッシャーにより床面から支柱の先端が数センチ離れる程度に搬送棚8を持ち上げて、搬送棚8を持ち上げた状態で走行する。このようにしてAGV7は、搬送棚8を搬送する。
【0018】
搬送棚8は、複数の棚段(BIN)を有する。各棚段は、搬送棚8を形成する四本の支柱に取り付けた棚板によって形成される。本実施形態において、搬送棚8における一部又は全ての棚板は取り外し可能としても良い。搬送棚8における各棚段には、物品を載置する物品載置領域としての間口5が形成される。各棚段における間口5は、例えば、仕切り部材6により形成される。搬送棚8における仕切り部材6は、設置位置が移動可能に構成される。搬送棚8は、移動可能な仕切り部材6により棚段における間口5のレイアウト(大きさおよび位置)を変更できる。
【0019】
例えば、仕切り部材6は、棚段における所定位置又は任意の位置に設置したり、取り外したりできる構成とする。また、搬送棚8は、棚段(棚板)上における物品を載置する面に沿って仕切り部材6を移動可能とする機構を設けても良い。さらには、搬送棚8は、棚段(棚板)上の仕切り部材6がWCS11又はクライアント装置2からの制御に応じて移動可能とする機構を設けても良い。また、搬送棚8は、仕切り部材6の位置を検出する仕切り位置検知部を設けても良い。
【0020】
また、搬送棚8は、各間口5に対応する位置に間口を識別するための識別情報(間口識別情報と称する)を表示する。間口識別情報は、例えば、カードなどの記録媒体に表示(記載)されたバーコードや2次元コードなどのコードで示される。間口識別情報を示すコード(以下、間口コードとも称する)は、固定式カメラ又は移動式カメラ等で構成されるコードリーダ28(
図3参照)で読み取り可能な情報であるものとする。
【0021】
搬送棚8は、間口5のレイアウトが変更される場合、各間口5の位置に応じて間口コードの表示位置を移動可能とする構成を有する。例えば、間口コードは、搬送棚8における棚板又は仕切り部材6などの任意の位置にセット(例えば、貼り付け)可能な媒体(例えば、カード)に表示するようにしても良い。また、搬送棚8は、各間口5を形成する仕切り部材6の移動に応じて間口コードの表示位置が移動(例えば、仕切り部材6の移動に従動)する構成を備えるものとしても良い。
【0022】
次に、実施形態に係る搬送システム1における制御系(制御システム)の構成例について説明する。
図2は、実施形態に係る搬送システム1における制御系の構成例を示すブロック図である。
図2に示すように、搬送システム1の制御系は、クライアント装置2、DAS3、AGV7、WCS11、WES12、およびWMS13などを備える。搬送システム1の制御系において、WCS11は、クライアント装置2、DAS3、AGV7、およびWES12に接続する。
【0023】
WMS(Warehouse Management System)13は、倉庫管理システムと呼ばれる。WMS13は、1又は複数のコンピュータで実現可能である。WMS13は、搬送棚8から物品をピッキングすることを指示する出庫オーダをWES12に送信する。また、WMS13は、搬送棚8に物品を入庫することを指示する入庫オーダをWES12に送信するものであってもよい。
【0024】
WES(Warehouse Execution System)12は、倉庫運用管理システムと呼ばれる。WES12は、1又は複数のコンピュータで実現可能である。WES12は、WMS13およびWCS11に通信接続される。WES12は、WMS13からの出庫オーダなどに基づいてWCS11に制御指示を送る。
【0025】
WCS(Warehouse Control System)11は、倉庫制御システムと呼ばれる。WCS11は、制御装置あるいは情報処理装置である。WCS11は、1又は複数のコンピュータで実現可能である。WCS11は、WES12に通信接続されるとともに、データベース14、クライアント装置2、DAS3およびAGV7などにも通信接続される。WCS11は、WES12からの制御指示に応じて、クライアント装置2、DAS3およびAGV7を動作させる制御を実行する。また、WCS11は、DAS3および搬送棚8の設定を示す情報(設定情報)を格納するデータベース14に接続する。
【0026】
データベース14は、記憶装置を備え、WCS11と通信機能を有する装置であるものとする。例えば、データベース14は、1又は複数のコンピュータで実現可能である。データベース14は、後述する設定情報などの搬送システム1に用いる種々の情報を記憶する。なお、データベース14は、WCS11が備える記憶装置に設けられるものであっても良い。
【0027】
図3は、実施形態に係る搬送システム1におけるクライアント装置2の構成例を示すブロック図である。
図3に示すように、クライアント装置2は、プロセッサ21、ROM22、RAM23、NVM24、通信部25、操作部26、表示部27、およびコードリーダ28などを備える。
【0028】
プロセッサ21は、ROM22、RAM23、NVM24、通信部25、操作部26、表示部27およびコードリーダ28とデータバスなどを介して互いに接続する。
なお、クライアント装置2は、
図3が示すような構成の他に必要に応じた構成を具備したり、特定の構成が除外されたりしてもよい。
【0029】
プロセッサ(第1のプロセッサ)21は、クライアント装置2全体の動作を制御する機能を有する。プロセッサ21は、内部キャッシュおよび各種のインターフェースなどを備えてもよい。プロセッサ21は、内部メモリ、ROM22又はNVM24が記憶するプログラムを実行することにより種々の処理を実現する。
なお、プロセッサ21がプログラムを実行することにより実現する各種の機能のうち一部は、ハードウエア回路により実現されるものであってもよい。この場合、プロセッサ21は、ハードウエア回路により実行される機能を制御する。
【0030】
ROM22は、制御プログラムおよび制御データなどが予め記憶された不揮発性のメモリである。ROM22に記憶される制御プログラムおよび制御データは、搬送システム1におけるクライアント装置2の仕様に応じて予め組み込まれる。
RAM23は、揮発性のメモリである。RAM23は、プロセッサ21の処理中のデータなどを一時的に格納する。RAM23は、プロセッサ21からの命令に基づいて、実行すべきプログラムを格納する。また、RAM23は、プログラムを実行するために必要なデータおよびプログラムによる処理の実行結果などを格納してもよい。
【0031】
NVM24は、データの書き込みおよび書き換えが可能な不揮発性のメモリである。例えば、NVM24は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)又はフラッシュメモリなどから構成される。NVM24は、クライアント装置2の動作としてプロセッサ21に実行させるプログラムを格納する。また、NVM24は、種々のデータなどを格納する。
【0032】
通信部(第1の通信インターフェース)25は、WCS11などとデータ通信を実行するための通信インターフェースで構成される。例えば、通信部25は、ネットワークなどを介してWCS11に通信接続するネットワークインターフェースであっても良い。通信部25は、有線又は無線のLAN(Local Area Network)接続をサポートするインターフェースであっても良い。
【0033】
操作部26は、オペレータからの種々の指示の入力を受け付ける。操作部26は、入力された操作を示す信号をプロセッサ21へ送信する。例えば、操作部26は、キーボード、マウス、又はタッチパネルなどにより構成される。
【0034】
表示部27は、プロセッサ21からの指示に応じて画像を表示する。例えば、表示部27は、液晶ディスプレイなどにより構成される。なお、操作部26がタッチパネルから構成される場合、表示部27は、操作部26としてのタッチパネルと一体的に形成されるものであってもよい。
【0035】
コードリーダ28は、コードを読み取る。コードリーダ28は、カメラなどにより構成される。コードリーダ28は、搬送棚8に表示される間口識別情報を示すコードを読み取る。
【0036】
次に、実施形態に係る搬送システム1における制御装置としてのWCS11の構成について説明する。
図4は、実施形態に係る搬送システム1におけるWCS11の構成例を示すブロック図である。
図4に示すように、WCS11は、プロセッサ31、ROM32、RAM33、NVM34、通信部35、クライアント装置インターフェース36、DASインターフェース37、AGVインターフェース38およびDBインターフェース39などを備える。
【0037】
プロセッサ(第2のプロセッサ)31は、ROM32、RAM33、NVM34、通信部35、クライアント装置インターフェース36、DASインターフェース37、AGVインターフェース38およびデータベース(DB)インターフェース39とデータバスなどを介して互いに接続する。
なお、WCS11は、
図4が示すような構成の他に必要に応じた構成を具備したり、特定の構成が除外されたりしてもよい。
【0038】
プロセッサ31は、WCS11全体の動作を制御する機能を有する。プロセッサ31は、内部キャッシュおよび各種のインターフェースなどを備えてもよい。プロセッサ31は、内部メモリ、ROM32又はNVM34が記憶するプログラムを実行することにより種々の処理を実現する。
【0039】
なお、プロセッサ31がプログラムを実行することにより実現する各種の機能のうち一部は、ハードウエア回路により実現されるものであってもよい。この場合、プロセッサ31は、ハードウエア回路により実行される機能を制御する。
【0040】
ROM32は、制御プログラムおよび制御データなどが記憶された不揮発性のメモリである。ROM32に記憶される制御プログラムおよび制御データは、WCS11の仕様に応じて予め組み込まれる。
【0041】
RAM33は、揮発性のメモリである。RAM33は、プロセッサ31の処理中のデータなどを一時的に格納する。RAM33は、プロセッサ31からの命令に基づき種々のプログラムを格納する。また、RAM33は、プログラムの実行に必要なデータおよびプログラムの実行結果などを格納してもよい。
【0042】
NVM34は、データの書き込みおよび書き換えが可能な不揮発性のメモリである。例えば、NVM34は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)又はフラッシュメモリなどから構成される。NVM34は、WCS11の運用用途に応じてプログラムおよび種々のデータなどを格納する。
【0043】
通信部(第2の通信インターフェース)35は、WES12などとデータを送受信するためのインターフェースである。例えば、通信部35は、ネットワークなどを介してWES12に接続する。通信部35は、有線又は無線のLAN(Local Area Network)接続をサポートするインターフェースであっても良い。
【0044】
クライアント装置インターフェース36は、クライアント装置2とデータを送受信するためのインターフェースである。クライアント装置インターフェース36は、ネットワークなどを介してクライアント装置2に接続する。例えば、クライアント装置インターフェース36は、有線又は無線のLAN接続をサポートする。
【0045】
DASインターフェース37は、DAS3とデータを送受信するためのインターフェースである。DASインターフェース37は、ネットワークなどを介してDAS3に接続する。例えば、DASインターフェース37は、有線又は無線のLAN接続をサポートする。
【0046】
AGVインターフェース38は、AGV7とデータを送受信するためのインターフェースである。AGVインターフェース38は、ネットワークなどを介してAGV7に接続する。例えば、AGVインターフェース38は、AGV7と無線通信する通信インターフェースである。
【0047】
DBインターフェース39は、データベース14とデータを送受信するためのインターフェースである。DBインターフェース39は、ネットワークなどを介してデータベース14に接続する。例えば、DBインターフェース39は、有線又は無線のLAN接続をサポートする通信インターフェースである。プロセッサ31は、DBインターフェース39を介してデータベース14にアクセスする。
【0048】
データベース14は、搬送システム1における処理結果や設定情報などを記憶する。本実施形態において、データベース14は、搬送棚8における間口5の設定(レイアウトの設定)に関する設定情報および仕分け棚3におけるトレイ4の設定に関する設定情報などを記憶するものとする。データベース14は、WCS11が備える記憶装置に設けるようにしても良い。
【0049】
なお、通信部35、クライアント装置インターフェース36、DASインターフェース37、AGVインターフェース38およびDBインターフェース39(又は、これらの一部)は、一体的に構成されるものであってもよい。
また、データベース14は、WCS11の外部にある装置に限定されるものではなく、WCS11が備える記憶装置に設けても良い。
また、WCS11は、オペレータが種々の指示を入力するための操作部および情報を表示する表示部を備えるユーザインターフェースを有するものであっても良い。
【0050】
次に、実施形態に係る搬送システム1における搬送棚8について説明する。
搬送棚8は、
図1に示すように、仕切り部材6により形成される間口5に物品が配置される。本実施形態において、搬送棚8は、仕切り部材6の位置が移動可能である。搬送システム1は、運用中であっても搬送棚8の棚段における間口5のレイアウトの変更を受け付ける。
【0051】
搬送棚8は、仕切り部材6が各棚段の所定位置に設置したり取り外したりできる構成としても良いし、仕切り部材6が任意の位置に移動できるよう機構を備えるようにしても良い。搬送棚8は、仕切り部材6の位置を変更する場合、間口5のレイアウトの変更に応じて間口コードの表示位置が変更されたり間口コードが変更されたりする。また、WCS11は、搬送棚8における間口5のレイアウトの変更および間口コードに変更を受け付け、指定されるレイアウト変更および間口コードの変更に応じてデータベース14が記憶する搬送棚8の設定情報を更新する。
【0052】
図5は、搬送棚8の棚段における間口5のレイアウトの例を示す図である。
図5は、棚段における間口5のレイアウトの例として、3つのレイアウトL1、L2、L3を示す。ここでは、オペレータが搬送棚8の棚段における仕切り部材6を移動させることにより間口のレイアウトを変更するものとする。
【0053】
第1のレイアウトL1は、4つの仕切り部材6a、6b、6c、6dを用いて3つの間口511、512、513を形成し、各間口511、512、513の間口識別情報を示す間口コードをそれぞれに対応する位置に配置する。第2のレイアウトL2は、3つの仕切り部材6a、6b(又は6c)、6dを用いて2つの間口521、522を形成し、各間口521、522の間口識別情報を示す間口コードをそれぞれに対応する位置に配置する。第3のレイアウトL3は、2つの仕切り部材6a、6dを用いて1つの間口531を形成し、間口531の間口識別情報を示す間口コードを間口531に対応する位置に配置する。
図5に示す例において、間口識別情報を示す間口コードは、例えば、カードなどの媒体に表示(印刷)されるものとし、間口コードが表示された媒体が棚板などに配置されるものとする。
【0054】
第1のレイアウトL1から第2のレイアウトL2に変更する場合、オペレータは、仕切り部材6b、6cを取り外し、仕切り部材6b(又は6c)を
図5に示す位置に取り付ける。これにより、棚段は、仕切り部材6aと仕切り部材6b(又は6c)と形成される間口521と、仕切り部材6aと仕切り部材6dとで形成される間口522とからなる第2のレイアウトL2に変更される。
【0055】
第1のレイアウトL1から第2のレイアウトL2に変更する場合、オペレータは、さらに、各間口521、522の間口コードを各間口に対応する位置に配置する。すなわち、オペレータは、第2のレイアウトL2の間口521、522に対応する位置に間口521、522の間口コードを配置する作業を実施する。
間口521、522に対応する各間口コードは、新規に発行するようにしても良い。間口521、522に対応する各間口コードを新規発行する場合、オペレータは、新規に発行された間口コードを表示した媒体を各間口521、522に対応する位置に配置する。
【0056】
また、間口521、522に対応する各間口コードは既存の間口コード(第1のレイアウトL1における間口コード)を流用しても良い。例えば、間口511の間口コードを間口521の間口コードに利用し、間口513(又は512)の間口コードを間口522の間口コードとして利用するように設定を変更すれば良い。この場合、間口521の間口コードの表示位置は、第1のレイアウトL1における間口511の間口コードの表示位置としても良いし、間口512の中央付近に移動するようにしても良い。同様に、間口522の間口コードの表示位置は、第1のレイアウトL1における間口512の間口コードの表示位置としても良いし、間口512の中央付近に移動するようにしても良い。
【0057】
第1のレイアウトL1(又は第2のレイアウトL2)から第3のレイアウトL3に変更する場合、オペレータは、仕切り部材6b、6cを取り外す。これにより、棚段は、仕切り部材6aと仕切り部材6dとで形成される間口531からなる第3のレイアウトL3に変更される。なお、オペレータは、仕切り部材6bおよび6cを仕切り部材6a又は6dに重ねて配置することにより、間口531からなる第3のレイアウトL3に変更するようにしても良い。
【0058】
第1のレイアウトL1から第3のレイアウトL3に変更する場合、オペレータは、さらに、間口531の間口コードを間口531に対応する位置に配置する。すなわち、オペレータは、第3のレイアウトL3の間口531に対応する位置に間口531の間口コードを配置する作業を実施する。
間口531の間口コードは、新規に発行するようにしても良い。間口531の間口コードを新規発行する場合、オペレータは、新規に発行された間口コードを表示した媒体を各間口531に対応する位置に配置する。
【0059】
間口531の間口コードは、既存の間口コード(第1のレイアウトL1における間口コード)を流用しても良い。例えば、間口531の間口コードは第1のレイアウトL1における間口512の間口コードに利用するように設定を変更すれば良い。この場合、間口531の間口コードの表示位置は、第1のレイアウトL1における間口512の間口コードの表示位置とし、第1のレイアウトL1における間口511および513の間口コードを削除するようにしても良い。
【0060】
搬送棚8の棚段におけるレイアウトを変更する場合、オペレータは、上述したように仕切り部材6および間口コードを移動又は変更させる作業とともに、変更後のレイアウトおよび各間口の間口コードが示す間口識別情報を登録(更新)する指示(更新指示)を入力する。例えば、オペレータは、クライアント装置2の操作部26を用いて更新したレイアウトを示す情報(レイアウト情報)を入力し、更新後の各間口の間口コードが示す間口識別情報をコードリーダ28により入力する。
【0061】
クライアント装置2のプロセッサ21は、オペレータの操作によって入力された変更後のレイアウトを示すレイアウト情報および更新後の各間口の間口識別情報をWCS11へ送信する。WCS11のプロセッサ31は、クライアント装置2でオペレータが入力した変更後のレイアウト情報と更新後の各間口の間口識別情報とを取得する。WCS11のプロセッサ31は、クライアント装置2から取得した変更後のレイアウト情報と更新後の各間口の間口識別情報とに応じてデータベース14に記憶している当該搬送棚8に関する設定情報を更新する。
【0062】
また、クライアント装置2は、レイアウトの更新指示として、予め用意されている複数のレイアウトから1つのレイアウトをオペレータに選択させるようにしても良い。例えば、クライアント装置2のプロセッサ21は、表示部27に選択可能なレイアウトの候補を示す画像(イラストなど)を表示し、表示部27に表示したレイアウトの候補から変更後のレイアウトを操作部26によって選択される。
【0063】
具体例として、クライアント装置2は、
図5に示す3つのレイアウトL1、L2、L3から変更したいレイアウトをオペレータに選択させるようにしても良い。この場合、プロセッサ21は、表示部27に3つのレイアウトL1、L2、L3を示す画像(イラストなど)を表示し、表示部27に表示した3つのレイアウトL1、L2、L3から操作部26によって1つのレイアウトが選択されるようにしても良い。これにより、オペレータは、画像で表示された複数のレイアウトから所望の1つのレイアウトを選択すればよいため、簡単にレイアウトの変更を指示できる。
【0064】
また、仕切り部材6が任意の位置に移動可能である場合、クライアント装置2は、レイアウトの更新指示として、変更後の各仕切り部材6の位置をオペレータに指示させるようにしても良い。
図6は、搬送棚8において仕切り部材6b、6cを任意の位置に移動可能とした棚段の例を示す図である、
図6に示すように仕切り部材6b、6cが任意の位置に移動可能である場合、プロセッサ21は、例えば、表示部27に
図6に示すような棚段の画像(イラストなど)を表示し、表示部27に表示した棚段の画像における仕切り部材6b、6cの位置を操作部26によって指示されるようにしても良い。これにより、オペレータは、任意の位置に仕切り部材6を移動させることで形成される自由度の高いレイアウトへの変更を指示することができる。
【0065】
なお、搬送棚8には移動可能とする仕切り部材6の位置を検知する仕切り位置検知部を設け、クライアント装置2は、仕切り位置検知部が検知する仕切り部材6の位置を示す情報を取得するようにしても良い。この場合、クライアント装置2のプロセッサ21は、検知部が検知した仕切り部材の位置を示す画像を表示部27に表示し、表示部27に表示したレイアウトへの変更を操作部26を用いてオペレータに確認(指示)させるようにしても良い。これにより、オペレータは、任意の位置に仕切り部材6を移動させることで形成される自由度の高いレイアウトへの変更を簡単に指示することができる。
また、上述した仕切り位置検知部は、赤外線センサなどの光学的なセンサ(光学センサ)を用いて仕切り部材6の位置を検知する構成で実現しても良い。例えば、光学センサを用いた仕切り位置検知部としては、奥の棚板に仕切り部材6を検知する光学センサを複数個並べて設置し、仕切り部材6を検知した光学センサの位置に基づいて仕切り部材6の位置を検知する構成しても良い。また、光学センサを用いた仕切り位置検知部の構成としては、棚の側方に設けた発光部からの光(例えば、赤外線)を反射する素材を仕切り部材6に設け、仕切り部材6からの反射光を読み取ることにより仕切り部材6の位置を検知する構成としても良い。
また、上述した仕切り位置検知部は、仕切り部材6によって生じるひずみを検知するセンサ(ひずみセンサ)を用いて仕切り部材6の位置を検知するものであっても良い。例えば、ひずみセンサを用いた仕切り位置検知部としては、ひずみセンサを棚の底面に設置し、仕切り部材6による重さをひずみセンサで検知することにより仕切り部材6の位置を特定するものとしても良い。
【0066】
また、搬送システム1において、WCS11は、搬送棚8におけるレイアウトの変更を受け付ける。WCS11は、棚段のレイアウトの変更指示を受け付けた場合、変更後のレイアウトにおける各間口5の間口識別情報をクライアント装置2に要求する。クライアント装置2のプロセッサ21は、搬送棚8におけるレイアウトを変更する場合、変更後のレイアウトにおける各間口に対応して設置した間口コードをコードリーダ28により読み取る。
【0067】
例えば、クライアント装置2のプロセッサ21は、レイアウト変更後の各間口に対して設置した間口コードの読み取りを案内する案内画面を表示部27に表示する。オペレータは、表示部27に表示された案内に応じて各間口に設置した間口コードをコードリーダ28により読み取らせる。プロセッサ21は、コードリーダ28によって読み取った間口コードが示す間口識別情報をWCS11へ供給する。
【0068】
これにより、WCS11は、棚段のレイアウトの変更指示を受け付けた場合、変更後のレイアウトにおける各間口5の間口識別情報を取得する。WCS11は、変更後のレイアウトと変更後のレイアウトにおける各間口の間口識別情報とを取得すると、変更後のレイアウトと変更後の各間口の間口識別情報とを示す搬送棚8の設定情報をデータベース14に登録(更新)する。
【0069】
次に、搬送棚8の棚段における間口コードの他の表示例について説明する。
図5又は
図6では、間口識別情報を示す間口コードを搬送棚8の棚板部分に表示する例を示したが、間口識別情報を示す間口コードは、仕切り部材6に表示するようにしても良い。
【0070】
図7は、搬送棚8の棚段において各間口の間口コードを仕切り部材6に表示した例を示す図である。
図7に示す例において、コードc1は仕切り部材6aに貼り付けられ、仕切り部材6aで形成される間口の間口識別情報を示す。コードc2は仕切り部材6bに貼り付けられ、仕切り部材6bで形成される間口の間口識別情報を示す。コードc3は仕切り部材6cに貼り付けられ、仕切り部材6cで形成される間口の間口識別情報を示すものとする。ここで、仕切り部材6bおよび6cが横方向(物品の載置面に沿って仕切り部材6a又は6dの方向)へ移動可能であるものとする。
【0071】
ここで、
図7に示すレイアウトは、
図5に示す第1のレイアウトL1であるものとする。
図7に示す仕切り部材6cを仕切り部材6dに重ね合わせ、かつ、仕切り部材6bを中央に移動させると、
図5に示す第2のレイアウトL2が設定できる。この場合、仕切り部材6cに設けたコードc3が読み取り不可となり、仕切り部材6bに設けたコードc2と仕切り部材6aに設けたコードc1とが読み取り可能な状態となる。仕切り部材6aに設けたコードc1を間口521の間口コードとし、コードc2を間口522の間口コードとすれば、間口コードを表示する媒体の移動(貼り替えなど)作業を実施しなくても、変更後のレイアウトにおける各間口に対する間口コードを設定できる。
【0072】
なお、仕切り部材6bを仕切り部材6aに重ね合わせ、かつ、仕切り部材6cを中央に移動させることにより、
図5に示す第2のレイアウトL2が設定しても良い。この場合、仕切り部材6bに設けたコードc2を間口521の間口コードとし、コードc3を間口522の間口コードとすれば、間口コードを表示する媒体の移動(貼り替えなど)作業を実施しなくても、変更後のレイアウトにおける各間口に対する間口コードを設定できる。
【0073】
また、
図7に示す仕切り部材6bおよび6cを仕切り部材6dに重ね合わせると、
図5に示す第3のレイアウトL3が設定できる。この場合、仕切り部材6bおよび6cに設けたコードc2およびc3が読み取り不可となり、仕切り部材6aに設けたコードc1が読み取り可能な状態となる。仕切り部材6aに設けたコードc1を間口531の間口コードとすれば、間口コードを表示する媒体の移動(貼り替えなど)作業を実施しなくても、変更後のレイアウトにおける間口531に対する間口コードを設定できる。
【0074】
また、
図7に示す仕切り部材6bおよび6cを仕切り部材6aに重ね合わせることにより、
図5に示す第3のレイアウトL3を設定しても良い。この場合、仕切り部材6cに設けたコードc3を間口531の間口コードとすれば、間口コードを表示する媒体の移動(貼り替えなど)作業を実施しなくても、変更後のレイアウトにおける間口531に対する間口コードを設定できる。
【0075】
次に、搬送棚8における上下の棚段をまとめて1つの棚段としたレイアウトに変更する例について説明する。
図8は、搬送棚8における上下の棚段をまとめた1つの棚段におけるレイアウトに変更した例を示す図である。
図8に示す例において、上段のレイアウトL11は、仕切り部材6a1と仕切り部材6b1とで形成される間口611と仕切り部材6b1と仕切り部材6d1とで形成される間口612とを有する。下段のレイアウトL12は、仕切り部材6a2と仕切り部材6b2とで形成される間口621と仕切り部材6b2と仕切り部材6d2とで形成される間口622とを有する。
【0076】
レイアウトL21は、間口611と間口621とを合わせた領域が間口631に変更され、仕切り部材6A3と仕切り部材6B3とで形成される間口631と仕切り部材6B3と仕切り部材6D3とで形成される間口632とを有する。レイアウトL21において、間口631は、間口611と間口621とを合わせた領域となり、間口632は、間口612と間口622とを合わせた領域となる。つまり、レイアウトL21において、間口631および間口632は、上下2段分の高さを有する間口となる。
【0077】
搬送棚8は、一部の棚段を取り外し可能な構成とすることにより上下の棚段をまとめたレイアウトの変更が可能となる。
図8に示す例では、レイアウトL11が形成される上段の棚板を取り外すことにより上下2段分を1段としたレイアウトL21に変更可能となる。また、レイアウトL21は、上下2段分の棚段に変更する場合、仕切り部材6a1、6b1、6d1、6a2、6b2、6d2よりも高さが高い仕切り部材6A3、6B3、6D3に取り替えるようにしても良い。また、レイアウトL21は、下段の仕切り部材である仕切り部材6a2、6b2、6d2を仕切り部材6A3、6B3、6Dとして間口631、632を形成するようにしても良い。
【0078】
また、レイアウトL21において、間口631が間口621に対応する位置となるため、間口631の間口コードは、間口621の間口コードを用いる。また、間口632が間口622に対応する位置となるため、間口632の間口コードは、間口622の間口コードを用いる。
【0079】
次に、搬送棚8におけるレイアウトを変更する場合におけるクライアント装置2の動作例について説明する。
図9は、搬送棚8におけるレイアウトを変更する場合におけるクライアント装置2の動作例を説明するためのフローチャートである。
クライアント装置2のプロセッサ21は、オペレータによる操作部26へ指示入力を受け付ける。オペレータは、搬送棚8におけるレイアウトを変更する場合、操作部26を用いてレイアウト変更の対象となる搬送棚(POD)8を指定する(ST10)。
【0080】
プロセッサ21は、レイアウト変更の対象となる搬送棚8が指定されると、WCS11に対象となる搬送棚8に対するレイアウト変更を要求する(ST11)。例えば、プロセッサ21は、レイアウト変更の要求とともにオペレータが指定した搬送棚の識別情報(棚識別情報)を通信部25によりWCS11へ送信する。
【0081】
プロセッサ21は、指定された搬送棚8に対するレイアウト変更がWCS11により許可されると、レイアウトを変更する棚段(BIN)の指定を受け付ける(ST12)。オペレータは、操作部26を用いてレイアウトを変更する棚段を指定する。プロセッサ21は、操作部26により指定された棚段を示す情報(棚段情報)をWCS11へ送信する。これに対して、プロセッサ21は、WCS11から搬送棚の設定情報に基づく指定における棚段における現在のレイアウト情報を取得するようにしても良い。
【0082】
プロセッサ21は、棚段が指定されると、指定された棚段に対するレイアウトの指定を受け付ける(ST13)。プロセッサ21は、レイアウトの変更指示を種々の形態で受け付けることが可能である。例えば、プロセッサ21は、所定の複数種類のレイアウトから変更したいレイアウトを選択させることによりレイアウトの変更指示を受け付けるようにしても良いし、仕切り部材の位置の指定によりレイアウトの変更指示を受け付けるようにしても良い。また、プロセッサ21は、WCS11から指定した棚段の現在のレイアウト情報を取得した場合、現在のレイアウト情報に基づく現在のレイアウトを示す画像を表示部27に表示した状態でレイアウトの変更指示を受け付けるようにしても良い。
【0083】
オペレータは、操作部26によりレイアウトの変更指示を入力するとともに、変更指示するレイアウトに応じて搬送棚8の仕切り部材6の位置を移動させる作業を実施する。オペレータは、搬送棚8の仕切り部材6を移動させる作業を完了すると、仕切り位置の移動完了を操作部26により指示入力する。プロセッサ21は、操作部26により仕切り位置の移動完了の指示を受け付ける(ST14)。プロセッサ21は、レイアウトの指定および仕切り位置の移動が完了すると、変更後のレイアウトを示すレイアウト情報をWCS11へ送信する(ST15)。
【0084】
なお、搬送棚8は、クライアント装置2又はWCS11からの指示に応じて仕切り部材6の位置を移動させる仕切り移動機構を備えるようにしても良い。この場合、クライアント装置2又はWCS11は、オペレータが操作部26を用いて指定するレイアウトに応じて仕切り部材6を移動させるための制御信号を搬送棚8の仕切り移動機構に供給し、仕切り移動機構により仕切り部材6を指定のレイアウトに応じた位置に移動させる。これにより、レイアウトに応じた仕切り部材6の移動が完了すると、プロセッサ21は、仕切り位置の移動が完了したと判断するようにすれば良い。
【0085】
また、プロセッサ21は、レイアウトの指定および仕切り位置の移動が完了すると、変更後のレイアウトにおける各間口に対する間口コードをコードリーダ28により読み取る(ST16)。プロセッサ21は、コードリーダ28が各間口に対する間口コードを読み取ることにより取得する各間口に対する間口識別情報をWCS11へ送信する。
【0086】
プロセッサ21は、変更後のレイアウト情報と変更後の各間口に対する間口識別情報とを送信した後、WCS11からレイアウトの変更完了(変更後の設定完了)の通知を受けた場合にレイアウトの変更が完了したものとする。
【0087】
次に、実施形態に係る搬送システム1において搬送棚8におけるレイアウトを変更する場合におけるWCS11の動作例について説明する。
図10は、搬送棚8におけるレイアウトを変更する場合におけるWCS11の動作例を説明するためのフローチャートである。
WCS11のプロセッサ31は、搬送システム1の運用中において、クライアント装置インターフェース36によりクライアント装置2との通信状態を確保している。WCS11のプロセッサ31は、オペレータが搬送棚8におけるレイアウトを変更する場合、クライアント装置2からレイアウト変更の要求とともにレイアウト変更の対象となる搬送棚8を示す棚の識別情報(棚識別情報)を取得する(ST20)。
【0088】
プロセッサ31は、レイアウト変更の対象となる搬送棚の識別情報を取得すると、搬送棚の識別情報によって特定される搬送棚8がレイアウト変更可能な状態であることを確認する。プロセッサ31は、指定された搬送棚8がレイアウト変更可能な状態であること確認すると、クライアント装置2に対してレイアウト変更を許可し、当該搬送棚8に対するレイアウト変更を受け付ける(ST21)。
【0089】
プロセッサ31は、レイアウト変更を許可した後、当該搬送棚8においてレイアウトが変更される棚段(BIN)を示す情報(棚段情報)をクライアント装置2から取得する(ST22)。ここで、プロセッサ31は、指定された棚段における現在のレイアウト情報をデータベース14から取得し、現在のレイアウト情報をクライアント装置2へ供給するようにしても良い。
【0090】
プロセッサ31は、レイアウトを変更する棚段が指定された後、指定された棚段に対する変更後のレイアウトを示すレイアウト情報をクライアント装置2から取得する(ST23)。変更後のレイアウトを示すレイアウト情報を取得すると、プロセッサ31は、変更後のレイアウトにおける各間口に対する間口識別情報をクライアント装置2から取得する(ST24)。
【0091】
例えば、プロセッサ31は、クライアント装置2から取得するレイアウト情報に基づいて変更後のレイアウトにおける各間口の間口識別情報をクライアント装置2に要求し、要求に応じてクライアント装置2のコードリーダ28による読み取る間口識別情報を取得するようにしても良い。具体例として、プロセッサ31は、変更後のレイアウトにおいて2つの間口がある場合、一方の間口の識別情報を取得した後に他方の間口の識別情報を取得するようにしても良い。
【0092】
プロセッサ31は、クライアント装置2から変更後のレイアウト情報と変更後の各間口に対する間口識別情報とを取得すると、変更後のレイアウト情報と変更後の各間口の間口識別情報とを示す設定情報を指定された搬送棚の設定情報としてデータベース14に登録(更新)する(ST25)。プロセッサ31は、変更後のレイアウト情報と変更後の各間口の間口識別情報と含む設定情報の登録が完了すると、クライアント装置2にレイアウトの変更が完了したことを通知し、一連に処理を終了する。
【0093】
以上のように、実施形態に係る搬送システムでは、搬送棚におけるレイアウトを変更する場合、クライアント装置には、対象とする搬送棚および棚段が指定され、変更後のレイアウト情報と変更後の各間口の識別情報とが入力される。クライアント装置は、入力された変更後のレイアウト情報と変更後の各間口の識別情報とをWCSへ装置する。WCSは、棚段のレイアウトの変更指示を受け付け、変更後のレイアウト情報および各間口の識別情報を含む設定情報をデータベースに登録する。
【0094】
これにより、実施形態に係る搬送システムによれば、稼働中であっても搬送棚におけるレイアウトを変更することができ、実際の運用に応じた搬送棚の設定を適宜実施することできる。この結果として、搬送棚における各間口の稼働率を上げることができ、搬送システム全体としても物品を効率良く処理できる。
【0095】
次に、実施形態に係る搬送システム1における仕分け棚(DAS)3について説明する。
仕分け棚3は、
図1に示すように、各棚段に仕分けられた物品が載置される物品載置領域としてのトレイ4が設定される。本実施形態において、仕分け棚3は、物品載置領域としてのトレイ4のレイアウトが変更可能である。搬送システム1は、運用中であっても仕分け棚3の棚段におけるトレイ4のレイアウトの変更を受け付ける。
【0096】
仕分け棚3の各棚段には、所定の位置に表示器DとボタンBとが設けられる。仕分け棚3の各棚段に設けられる表示器DとボタンBとは、各棚段におけるトレイ4のレイアウトの変更に応じて有効又は無効のいずれかに設定される。仕分け棚3における表示器DおよびボタンBの有効又は無効は、WCS11からの指示に応じて設定されるようにしても良いし、オペレータの作業によって設定されるようにしても良い。
【0097】
WCS11は、仕分け棚3におけるトレイ4のレイアウトの変更を受け付け、指定される変更後のレイアウトに応じてデータベース14が記憶する仕分け棚3の設定情報を更新する。また、WCS11は、仕分け棚3におけるトレイ4のレイアウトの変更に応じて当該仕分け棚3における表示器DおよびボタンBの有効又は無効の設定を指示するようにしても良い。
【0098】
図11は、仕分け棚3の棚段におけるトレイ4のレイアウトの例を示す図である。
図11は、仕分け棚3の棚段におけるトレイ4のレイアウトの例として、3つのレイアウトT1、T2、T3を示す。ここでは、オペレータが仕分け棚3の棚段における物品載置領域であるトレイ4のレイアウトを変更するものとする。
第1のレイアウトT1は、1つの棚段にトレイ411、412、413を配置する。第1のレイアウトT1は、各トレイ411、412、413に対応する位置にある表示器D1、D2、D3およびボタンB1、B2、B3が有効となる。
【0099】
第2のレイアウトT2は、1つの棚段に2つのトレイ421、422を配置する。第2のレイアウトT2において、トレイ421は、第1のレイアウトT1におけるトレイ411と412とを合わせた領域に配置し、トレイ422は第1のレイアウトT1におけるトレイ413の領域に配置する。また、第2のレイアウトT2は、表示器D2およびボタンB2を無効とし、トレイ421に対応する位置の表示器D1およびボタンB1とトレイ422に対応する位置の表示器D3およびボタンB3とを有効とする。
【0100】
第3のレイアウトT3は、1つの棚段に1つのトレイ431を配置する。第3のレイアウトT3において、トレイ431は、第1のレイアウトT1におけるトレイ411、412および413を合わせた領域に配置される。また、第3のレイアウトT3は、表示器D2、D3およびボタンB2、B3を無効とし、トレイ431に対応する位置の表示器D1およびボタンB1を有効とする。
【0101】
仕分け棚3の棚段におけるレイアウトを変更する場合、オペレータは、仕分け棚3におけるレイアウトの更新指示を入力する。例えば、オペレータは、クライアント装置2の操作部26を用いて更新対象とする仕分け棚3の棚段を指定し、指定した棚段に適用するレイアウトを指定する。
【0102】
ここで、クライアント装置2は、レイアウトの更新指示として、予め用意されている複数のレイアウトから1つのレイアウトをオペレータに選択させるようにしても良い。例えば、クライアント装置2のプロセッサ21は、表示部27に選択可能なレイアウトの候補を示す画像(イラストなど)を表示し、表示部27に表示したレイアウトの候補から変更後のレイアウトを操作部26によって選択される。
【0103】
具体例として、クライアント装置2は、
図11に示すような3つのレイアウトT1、T2、T3から変更したいレイアウトをオペレータに選択させるようにしても良い。この場合、プロセッサ21は、表示部27に3つのレイアウトT1、T2、T3を示す画像(イラストなど)を表示し、表示部27に表示した3つのレイアウトT1、T2、T3から操作部26によって適用する1つのレイアウトが選択されるようにしても良い。これにより、オペレータは、画像で表示された複数のレイアウトから所望の1つのレイアウトを選択すればよいため、簡単にレイアウトの変更を指示できる。
【0104】
クライアント装置2のプロセッサ21は、レイアウトの更新指示が入力されると、オペレータの操作によって入力された変更後のレイアウトを示すレイアウト情報をWCS11へ送信する。WCS11のプロセッサ31は、クライアント装置2でオペレータが入力した変更後のレイアウト情報を受け付け、受け付けた変更後のレイアウト情報に応じて当該仕分け棚3における各表示器Dおよび各ボタンBを有効又は無効に設定する。WCS11のプロセッサ31は、変更後のレイアウトに応じて表示器DおよびボタンBの設定を行うと、変更後のレイアウト情報に応じてデータベース14に記憶している仕分け棚3に関する設定情報を更新する。
【0105】
次に、仕分け棚3の他の構成例として仕分け棚3の最下段に設けた引き出しの中にトレイを配置する構成例について説明する。
【0106】
図12(a)および(b)は、仕分け棚3の最下段に設けた引き出しの中に物品を配置するトレイを配置した構成例を示す図である。
図12(a)および(b)に示す構成例において、仕分け棚3は、3段で構成される。
図12(a)に示す例では、仕分け棚3の最下段に、複数の引き出し71、72、73、74が並べて設置される。
【0107】
各引き出し71、72、73、74の中には、それぞれにトレイ4(471、472、473、474)が配置される。各引き出し71、72、73、74は、引き出し中に配置されたトレイ4を上下させる上下機構81を有する。上下機構81は、引き出し71、72、73、74の動きに応じてトレイ4を上下させる。上下機構81は、
図12(b)に示すように、引き出し71、72、73、74が仕分け棚3から引き出された場合にトレイ4を上方に移動させる。また、上下機構81は、引き出し71、72、73、74が
図12の(b)に示す状態から棚の中に押し込まれた場合にトレイ4を下方に移動させる。上下機構81は、トレイに置かれた商品を棚の中に収納したり、棚の中から引き出したりできるようにトレイを上下させるものであれば良い。
【0108】
図12に示す仕分け棚3は、最下段の引き出し71、72、73、74を引き出すことにより物品を載置するためのトレイ4が上方に移動する。このため、オペレータは、最下段のトレイ4に仕分けた物品を配置する作業において上下方向の移動(運動)量が少なくなる。これにより、オペレータは、最下段に物品を載置する場合であっても、かがんだりしゃがんだりする必要がなく、身体的な負荷を軽減される。また、オペレータの作業負荷が軽減されるため、オペレータによる作業効率の低下を防ぐこともできる。
【0109】
また、
図12に示す仕分け棚3において、最下段の引き出し71、72、73、74は、隣り合う引き出しと連結する構成を有する。すなわち、
図12に示す仕分け棚3の最下段においても、物品を配置する物品載置領域としてのトレイ4のレイアウトを変更することが可能である。
【0110】
図13は、仕分け棚3における隣り合う引き出しを連結するための構成例として、
図12に示す引き出し71と引き出し72とを連結させた例を示す図である。また、
図14は、引き出し71と引き出し72とを連結する場合に引き出し71の中のトレイ471と引き出し72の中のトレイ472とを連結させた例を示す図である。
【0111】
仕分け棚3は、最下段においてトレイ471とトレイ472とを合わせたサイズの物品載置領域を有するレイアウトに変更する場合、引き出し71と引き出し72とが連結される。
図13に示す例において、引き出し71と引き出し72とは、連結具91により連結される。連結具91は、連結する引き出し71と引き出し72とが同時に動作するように固定する。すなわち、連結具91により連結される引き出し71と引き出し72とは、同時に引き出されたり押し込まれたりする。なお、連結具91は、
図13に示す形状に限定されるものではなく、隣り合う引き出しが同時に動作するように連結(固定)するものであれば良い。
【0112】
引き出し71と引き出し72とを連結する場合、引き出し71に設けた表示器D71およびボタンB71と引き出し72に設けた表示器D72およびボタンB72とは、いずれか一方が有効に設定され、他方が無効に設定される。
図13に示す例では、表示器D71およびボタンB71が有効に設定され、表示器D72およびボタンB72が無効に設定されている。この場合、連結した引き出し71のトレイ471と引き出し72のトレイ472とを合わせた物品載置領域に関する情報(物品数などの情報)が表示器D71に表示される。ボタンB71は、当該物品載置領域の物品のバーコードが所定の個数回スキャンされたときに点灯または点滅され、点灯または点滅したボタンBが押された場合に出庫が完了したことが通知される。
【0113】
また、レイアウトを変更するために引き出し71と引き出し72とを連結する場合、トレイ471とトレイ472とは、連結させてトレイ471とトレイ472とを合わせたサイズのトレイ4としても良いし、トレイ471とトレイ472とを合わせたサイズの別のトレイに置き換えても良い。
【0114】
図14は、トレイ471とトレイ472とを連結具92(92a、92b、92c)により連結した例を示す図である。連結具92(92a、92b、92c)は、トレイ471とトレイ472とを連結する。連結具92(92a、92b、92c)により連結したトレイ471とトレイ472とは、連結された引き出し71と引き出し72とからなる引き出しの中にセットされることによりトレイ471とトレイ472とを合わせたサイズのトレイ4として機能する。
【0115】
次に、仕切り棚3におけるレイアウトを変更する場合におけるクライアント装置2の動作について説明する。
図15は、仕切り棚3におけるレイアウトを変更する場合におけるクライアント装置2の動作例を説明するためのフローチャートである。
クライアント装置2のプロセッサ21は、搬送システム1の稼働中において、オペレータによる操作部26へ指示入力を受け付ける。オペレータは、仕切り棚3におけるレイアウトを変更する場合、操作部26を用いてレイアウト変更の対象となる仕切り棚(DAS)3を指定する(ST30)。
【0116】
プロセッサ21は、レイアウト変更の対象となる仕分け棚3が指定されると、WCS11に対象となる仕分け棚3に対するレイアウト変更を要求する(ST31)。例えば、プロセッサ21は、レイアウト変更の要求とともにオペレータが指定した仕分け棚の識別情報(棚識別情報)を通信部25によりWCS11へ送信する。
【0117】
プロセッサ21は、指定された仕分け棚3に対するレイアウト変更がWCS11により許可されると、レイアウトを変更する棚段の指定を受け付ける(ST32)。オペレータは、操作部26を用いてレイアウトを変更する棚段を指定する。プロセッサ21は、レイアウトを変更する棚段が指定されると、指定された棚段を示す情報(棚段情報)をWCS11へ送信する。ここで、プロセッサ21は、指定された棚段における現在のレイアウトを示す情報を表示部27に表示するようにしても良い。
【0118】
プロセッサ21は、棚段が指定されると、指定された棚段に対するレイアウトの指定を受け付ける(ST33)。プロセッサ21は、レイアウトの変更指示は、種々の形態で受け付けることが可能である。例えば、プロセッサ21は、所定の複数種類のレイアウトから変更したいレイアウトを選択させることによりレイアウトの変更指示を受け付けるようにしても良いし、物品を載置する領域として結合又は分離するトレイを選択することによりレイアウトの変更指示を受け付けるようにしても良い。
【0119】
また、
図12に示すような引き出し71、72、73、74が設けられた最下段のレイアウトを変更する場合、オペレータは、操作部26によりレイアウトの変更指示を入力するとともに、変更するレイアウトに応じて引き出しの連結又は連結解除の作業を実施する。例えば、引き出し71と引き出し72とを連結する場合、オペレータは、操作部26によりレイアウトの変更指示を入力するとともに、引き出し71と引き出し72とを連結具91を用いて連結する作業を実施する。また、オペレータは、引き出し71のトレイ471と引き出し72のトレイ472とを連結する作業を実行するようにして良い。
【0120】
プロセッサ21は、オペレータによるレイアウトの指定およびレイアウト変更の伴う作業が完了すると、変更後のレイアウトを示すレイアウト情報をWCS11へ送信する(ST34)。プロセッサ21は、変更後のレイアウト情報を送信した後、WCS11からレイアウトの変更完了(変更後の設定完了)の通知を受けた場合にレイアウトの変更が完了したものとする。
【0121】
次に、実施形態に係る搬送システム1において仕分け棚3におけるレイアウトを変更する場合におけるWCS11の動作について説明する。
図16は、仕分け棚3におけるレイアウトを変更する場合におけるWCS11の動作例を説明するためのフローチャートである。
WCS11のプロセッサ31は、搬送システム1の運用中において、クライアント装置インターフェース36によりクライアント装置2との通信状態を確保している。WCS11のプロセッサ31は、オペレータが仕分け棚3におけるレイアウトを変更する場合、クライアント装置2からレイアウト変更の要求とともにレイアウト変更の対象となる仕分け棚3を示す仕分け棚の識別情報(棚識別情報)を取得する(ST40)。
【0122】
プロセッサ31は、レイアウト変更の対象となる仕分け棚の識別情報を取得すると、仕分け棚の識別情報によって特定される仕分け棚3がレイアウト変更可能な状態であることを確認する。プロセッサ31は、指定された仕分け棚3がレイアウト変更可能な状態であること確認すると、クライアント装置2に対してレイアウト変更を許可し、当該仕分け棚3に対するレイアウト変更に関する情報を受け付ける(ST41)。
【0123】
プロセッサ31は、レイアウト変更を許可した後、当該仕分け棚3においてレイアウトが変更される棚段を示す情報(棚段情報)をクライアント装置2から取得する(ST42)。ここで、プロセッサ31は、指定された棚段における現在のレイアウトを示すレイアウト情報をデータベース14から取得し、現在のレイアウト情報をクライアント装置2へ供給するようにしても良い。
【0124】
プロセッサ31は、レイアウトを変更する棚段が指定された後、指定された仕分け棚3の棚段における変更後のレイアウトを示すレイアウト情報をクライアント装置2から取得する(ST43)。
【0125】
また、プロセッサ31は、変更後のレイアウトを示すレイアウト情報を取得すると、変更後のレイアウトに応じて仕分け棚3における各表示器Dおよび各ボタンBを有効又は無効に設定する処理を実行する(ST44)。例えば、WCS11が仕分け棚3における表示器DおよびボタンBの有効又は無効を制御(設定)するものとする。この場合、WCS11のプロセッサ31は、取得した変更後のレイアウト情報に基づいて仕分け棚3における各表示器Dおよび各ボタンBの有効又は無効を判断し、その判断結果に基づいて当該仕分け棚3における各表示器Dおよび各ボタンBの有効又は無効を設定する。
【0126】
なお、仕分け棚3における表示器DおよびボタンBは、クライアント装置2から有効又は無効が設定されるようにしても良い。この場合、WCS11は、仕分け棚3における表示器DおよびボタンBの有効又は無効を示す情報をクライアント装置2へ送信し、クライアント装置2のプロセッサ21は、WCS11から取得した情報に基づいて仕分け棚3における表示器DおよびボタンBを設定する。また、クライアント装置2のプロセッサ21は、変更後のレイアウトに応じて仕分け棚3における表示器DおよびボタンBの有効又は無効を判断し、その判断に従って仕分け棚3における表示器DおよびボタンBの設定を行うようにしても良い。
【0127】
また、プロセッサ31は、クライアント装置2から変更後のレイアウト情報を取得すると、変更後のレイアウト情報を示す設定情報を指定された仕分け棚3の設定情報としてデータベース14に登録(更新)する(ST45)。プロセッサ31は、変更後のレイアウト情報を含む仕分け棚の設定情報の登録が完了すると、クライアント装置2にレイアウトの変更が完了したことを通知し、一連に処理を終了する。
【0128】
以上のように、実施形態に係る搬送システムでは、仕分け棚におけるレイアウトを変更する場合、クライアント装置で指定入力される変更後のレイアウトを示すレイアウト情報をWCSへ装置する。WCSは、指定される仕分け棚の棚段におけるレイアウトの変更指示を受け付け、変更後のレイアウトを示すレイアウト情報を含む仕分け棚の設定情報をデータベースに登録する。
【0129】
これにより、実施形態に係る搬送システムによれば、稼働中であっても仕分け棚におけるレイアウトを変更することができ、実際の運用に応じた仕分け棚の設定を適宜実施することできる。この結果として、仕分け棚における各トレイの稼働率を上げることができ、搬送システム全体としても物品を効率良く処理できる。
【0130】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0131】
2…クライアント装置、3…DAS、4…トレイ(物品載置領域)、5…間口(物品載置領域)、6…仕切り部材、7…AGV、8…搬送棚、11…WCS、12…WES、13…WMS、21…プロセッサ、22…ROM、23…RAM、24…NVM、25…通信部、26…操作部、27…表示部、28…コードリーダ、31…プロセッサ、32…ROM、33…RAM、34…NVM、35…通信部、36…クライアント装置インターフェース、37…DASインターフェース、38…AGVインターフェース、39…データベースインターフェース、71、72、73、74…引き出し、D…表示器、B…ボタン、81…上下機構、91…連結具、92(92a、92b、92c)…連結具。