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特開2024-2292訓練装置、放流操作装置、訓練方法、および放流操作方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002292
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】訓練装置、放流操作装置、訓練方法、および放流操作方法
(51)【国際特許分類】
   G09B 9/00 20060101AFI20231228BHJP
   E02B 7/20 20060101ALI20231228BHJP
   G05B 23/02 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
G09B9/00 Z
E02B7/20 105
G05B23/02 301N
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022101395
(22)【出願日】2022-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】添田 淳哉
(72)【発明者】
【氏名】太田 亘
(72)【発明者】
【氏名】下里 康一
(72)【発明者】
【氏名】柴山 茜
(72)【発明者】
【氏名】坂根 尚
(72)【発明者】
【氏名】三上 真理子
【テーマコード(参考)】
2D019
3C223
【Fターム(参考)】
2D019AA46
3C223AA06
3C223BA01
3C223CC01
3C223DD01
3C223EB01
3C223FF05
3C223FF13
3C223FF15
3C223FF16
3C223FF24
3C223FF42
3C223GG01
3C223HH04
3C223HH08
(57)【要約】
【課題】実際に使用する情報に基づいて洪水時の訓練を実行すること。
【解決手段】実施形態に係る訓練装置であって、ダム諸量データおよび記憶部からダム諸量データに対応した複数の予測データを取得する取得部と、複数の予測データのうちの1つとダム諸量データを重ね合わせた重ね合わせデータを生成する重ね合わせ処理部と、重ね合わせデータを含む表示画面データを出力部に表示させるように制御する表示制御部と、を備える。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダム諸量データおよび記憶部から前記ダム諸量データに対応した複数の予測データを取得する取得部と、
前記複数の予測データのうちの1つと前記ダム諸量データを重ね合わせた重ね合わせデータを生成する重ね合わせ処理部と、
前記重ね合わせデータを含む表示画面データを出力部に表示させるように制御する表示制御部と、
を備える、訓練装置。
【請求項2】
前記取得部は、前記ダム諸量データに対応する行動指針表をさらに取得し、
前記表示制御部は、前記重ね合わされたデータと共に前記行動指針表を前記出力部に表示させるようにさらに制御する、請求項1に記載の訓練装置。
【請求項3】
前記取得部は、前記ダム諸量データに基づいて最もリスクの高いものから順に前記複数の予測データを取得する、請求項1に記載の訓練装置。
【請求項4】
前記取得部は、前記ダム諸量データに基づいて、現在の状況に最も近いデータから予測された予測データから順に前記複数の予測データを取得する、請求項1に記載の訓練装置。
【請求項5】
前記表示制御部は、切り替え信号を受信した場合、前記切り替え信号に対応する前記複数の予測データのうちの1つを前記ダム諸量データと重ね合わせて前記出力部に表示させるように制御する、請求項1に記載の訓練装置。
【請求項6】
前記表示制御部は、前記ダム諸量データおよび前記予測データを時系列的に表示させるように制御する、請求項1に記載の訓練装置。
【請求項7】
前記表示制御部は、前記行動指針表に基づいて、次に行うべき行動までの時間をカウントダウン形式で前記出力部に表示させるように制御する、請求項2に記載の訓練装置。
【請求項8】
前記ダム諸量データおよび行動指針表に基づいて、操作員が次にとるべき行動を判定し、前記判定結果に基づいて行動メッセージを生成する行動制御部をさらに備え、
前記表示制御部は、前記行動メッセージを前記出力部に表示させるようにさらに制御する、請求項2に記載の訓練装置。
【請求項9】
少なくともゲートの目標開度および放流方式を含む操作指令を受信し、前記操作指令が過放流となる制限値を超えているかどうかを判定し、前記制限値を超えていると判定した場合、警告メッセージを生成する条件判定部をさらに備え、
前記表示制御部は、前記警告メッセージを出力部にさらに表示させるように制御する、請求項1に記載の訓練装置。
【請求項10】
少なくともゲートの目標開度および放流方式を含む操作指令を受信し、前記操作指令が前記行動指針表に基づいた適切な操作指令であるかどうかを判定し、前記適切な操作指令でないと判定した場合、警告メッセージを生成する条件判定部をさらに備え、
前記表示制御部は、前記警告メッセージを出力部にさらに表示させるように制御する、請求項2に記載の訓練装置。
【請求項11】
操作員が必要な行動をとったことを示す実施信号を受信し、前記実施信号が前記行動指針表に対して適切な実施であるかどうかを判定し、前記適切な実施でないと判定した場合、警告メッセージを生成する誤り判定部をさらに備え、
前記表示制御部は、前記警告メッセージを出力部にさらに表示させるように制御する、請求項2に記載の訓練装置。
【請求項12】
ダム諸量データおよび記憶部から前記ダム諸量データに対応した複数の予測データを取得する取得部と、
前記複数の予測データのうちの1つと前記ダム諸量データを重ね合わせた重ね合わせデータを生成する重ね合わせ処理部と、
前記重ね合わせデータを含む表示画面データを出力部に表示させるように制御する表示制御部と、
を備える、放流操作装置。
【請求項13】
訓練装置の制御部が実行する訓練方法であって、
ダム諸量データおよび記憶部から前記ダム諸量データに対応した複数の予測データを取得することと、
前記複数の予測データのうちの1つと前記ダム諸量データを重ね合わせた重ね合わせデータを生成することと、
前記重ね合わせデータを含む表示画面データを出力部に表示させるように制御することと、
を備える、訓練方法。
【請求項14】
放流操作装置の制御部が実行する放流操作方法であって、
ダム諸量データおよび記憶部から前記ダム諸量データに対応した複数の予測データを取得することと、
前記複数の予測データのうちの1つと前記ダム諸量データを重ね合わせた重ね合わせデータを生成することと、
前記重ね合わせデータを含む表示画面データを出力部に表示させるように制御することと、
を備える、放流操作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、訓練装置、放流操作装置、訓練方法、および放流操作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ダム管理用制御処理設備(以下、「ダムコン」という)システムは、ダムの運用管理を支援するシステムである。ダムコンシステムにおける訓練機能は、例えば、国土交通省発行の非特許文献1に「訓練処理は、洪水時の業務を対象として、放流開始時における放流計画立案や放流方式移行時期の判断、ダムコンの機能が停止した際の対応などを操作員が習得するためのものである。」と記載されている。
【0003】
さらに非特許文献1に「本処理は、与えられた流入量に対して操作員が今後放流する各時刻の目標放流量を入力、または今後行う放流方式を選択して、この目標放流量や放流方式でダム操作を行った場合に、貯水池の挙動や流入量と放流量のすりつけ状況等がどのように変化するかをシミュレーションする機能を有すると共に、ダムコンの機能が停止した場合を想定して、操作員が手計算等によって対応するための訓練を行えるものとする。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-070637号公報
【特許文献2】特開2011-065354号公報
【特許文献3】特開2002-061158号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】国土交通省「ダム管理用制御処理設備 標準設計仕様書・同解説」平成28年8月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
非特許文献1では、「訓練処理」の具体的な機能または実現方法について具体的な記載がなく、最低限の機能についての説明があるのみである。また、実際の洪水時では、ダムコンシステムで取得可能な情報だけでなく、気象庁発表の予測雨量、各ダムで作成された行動指針表等にも基づいてゲート制御を操作員が実行する必要がある。しかしながら、非特許文献1では、ダムコンシステムで取得可能な情報に基づいてシミュレーションすることが開示されており、実際に行われる操作と異なっているという問題がある。
【0007】
そのため、非特許文献1に記載された訓練装置を用いて操作員が訓練をしたとしても実際の行動に即した訓練を実行できないという問題もある。
【0008】
この発明の課題は、上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、訓練装置において、実際に使用する情報に基づいて洪水時の訓練を実行することができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態に係る訓練装置は、ダム諸量データおよび記憶部から前記ダム諸量データに対応した複数の予測データを取得する取得部と、前記複数の予測データのうちの1つと前記ダム諸量データを重ね合わせた重ね合わせデータを生成する重ね合わせ処理部と、前記重ね合わせデータを含む表示画面データを出力部に表示させるように制御する表示制御部と、
を備えるものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態におけるダムコンシステムの概略構成の一例を示すブロック図である。
図2図2は、第1の実施形態における訓練装置の構成を示すブロック図である。
図3図3は、第1の実施形態における放流操作装置の示すブロック図である。
図4図4は、第1の実施形態の訓練装置の訓練処理手順の一例を示すフローチャートである。
図5図5は、出力部のディスプレイに表示される画面の一例を示した図である。
図6図6は、出力部のディスプレイに表示される画面の一例を示した図である。
図7図7は、第2の実施形態における訓練装置の構成を示すブロック図である。
図8図8は、第2の実施形態における訓練装置の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図9図9は、出力部のディスプレイに表示される警告メッセージの一例を示した図である。
図10図10は、第3の実施形態における訓練装置の構成を示すブロック図である。
図11図11は、第3の実施形態における訓練装置の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図12図12は、出力部のディスプレイに表示される警告メッセージの一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら訓練装置、放流操作装置、訓練方法、および放流操作方法について詳細に説明する。なお、以下の実施形態では、同一の番号を付した部分については同様の動作を行うものとして、重複する説明を省略する。例えば、複数の同一または類似の要素が存在する場合に、各要素を区別せずに説明するために共通の符号を用いることがあるし、各要素を区別して説明するために当該共通の符号に加えて枝番号を用いることもある。
【0012】
[第1の実施形態]
(構成)
図1は、実施形態におけるダムコンシステムの概略構成の一例を示すブロック図である。
【0013】
ダムコンシステムは、2つの放流操作装置1aおよび1bと、情報系LAN9に接続された訓練装置2および情報入力・提供装置3と、制御系LAN8に接続された入出力装置4、遠方手動操作装置5、機側盤6、およびゲート設備7と、を備える。
【0014】
放流操作装置1aおよび1bは、制御系LAN8および情報系LAN9に接続される。入出力装置4および遠方手動操作装置5は、一方で制御系LAN8に接続され、他方で機側盤6と接続される。機側盤6は、ゲート設備7と接続される。
【0015】
機側盤6は、例えばPLC(Programmable Logic Controller)として実現され、自動系機側盤PLC61および手動系機側盤PLC62を備える。
【0016】
放流操作装置1aおよび1bは、例えば、二重化された装置であり、産業用コンピュータ(Factory Automation PC:FA-PC)により実現される。ここで、以下の説明において区別する必要がない場合、放流操作装置1aおよび1bは、単に放流操作装置1と記載する。
【0017】
放流操作装置1は、図示していないテレメータ装置等をより、ダム湖の水位や、上流河川の水位、降雨量等のダム貯水位等のダム管理に必要な情報の収集し、表示を行うことができる。また、放流操作装置1は、操作員またはダム管理者の操作に応じて、起動指令、ゲートの開放指令、閉鎖指令、或いは目標開度などの操作指令を、制御系LAN8を介して入出力装置4に出力する。例えば、ゲート設備7が自動制御されている場合、放流操作装置1は、操作員からの目標開度の入力を受けると、目標開度を含む操作指令を入出力装置4に出力する。
【0018】
訓練装置2は、洪水時の業務を対象として、放流開始時における放流計画立案および放流方式移行時期の判断などを操作員が習得するための装置である。訓練装置2は、例えば、FA-PCとして実現される。訓練装置2は、様々な降雨量、ダムへの流入量の増減を想定することが可能であり、想定した値に対して、操作員が今後放流する各時刻の目標放流量を入力することが可能である。また、訓練装置2は、今後行う放流方式を選択して、この目標放流量および放流方式でダム操作を行った場合に、貯水池の挙動や流入量と放流量の対応状況等がどのように変化するかをシミュレーションする機能を有する。
【0019】
情報入力・提供装置3は、各種の観測装置から、流入量、降雨量等の、ダム管理に係わるデータを取得する装置である。情報入力・提供装置3は、FA-PCとして実現される。また、情報入力・提供装置3は、ネットワークを通じて、河川事務局、地方整備局等の外部機関に情報を送信する通信装置として機能して良い。
【0020】
入出力装置4は、機側盤6の自動系機側盤PLC61と放流操作装置1との間を中継する装置である。例えば、入出力装置4は、放流操作装置1から受信した操作指令を、機側盤6に送信する。また、入出力装置4は、機側盤6から受信した通知を放流操作装置1に送信する。
【0021】
遠方手動操作装置5は、機側盤6の手動系機側盤PLC62と放流操作装置1との間を中継する装置である。また、ゲート設備7を手動制御する場合、操作員が遠方手動操作装置5の操作部から開/閉/停止操作を行い、遠方手動操作装置5は、これらの操作に従って手動系機側盤PLC62に開/閉/停止指令を出力する。
【0022】
自動系機側盤PLC61は、入出力装置4から受信した操作指令に基づいて、ゲート設備7への駆動指令を出力する。また、自動系機側盤PLC61は、例えば、ゲート設備7に備えられた開度計からゲート設備7の開度について情報を受信して良い。
【0023】
手動系機側盤PLC62は、遠方手動操作装置5から受信した開/閉/停止指令に基づいて、ゲート設備7への駆動指令を出力する。また、例えば、手動系機側盤PLC62は、開度計からゲート設備7の開度について情報を受信して良い。
【0024】
ゲート設備7は、ダムに設置されるゲート設備であり、ダム貯留水の放流量調節等を行う。ゲート設備7は、機側盤6からの駆動指令に基づいて、ゲートを開ける、閉じる、または停止することが可能である。
【0025】
図2は、実施形態に係る訓練装置2の構成の一例を示すブロック図である。
図2に示すように、訓練装置2は、制御部21、プログラム記憶部22、データ記憶部23、通信インタフェース24、および入出力インタフェース25を備える。制御部21、プログラム記憶部22、データ記憶部23、通信インタフェース24、および入出力インタフェース25は、バスを介して互いに通信可能に接続されている。さらに通信インタフェース24は、情報系LAN9を通じて、放流操作装置1および情報入力・提供装置3と通信可能に接続される。また、入出力インタフェース25は、入力装置26および出力装置27と通信可能に接続される。
【0026】
制御部21は、訓練装置2を制御する。制御部21は、中央処理ユニット(CPU:Central Processing Unit)等のハードウェアプロセッサを備える。例えば、制御部21は、様々なプログラムを実行することが可能な集積回路であっても良い。
【0027】
プログラム記憶部22は、記憶媒体として、例えば、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等の随時書込みおよび読出しが可能な不揮発性メモリと、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性メモリとを組み合わせて使用することができる。プログラム記憶部22は、各種処理を実行するために必要なプログラムを格納している。すなわち、制御部21は、プログラム記憶部22に格納されたプログラムを読み出して実行することにより各種制御および動作を実現し得る。
【0028】
データ記憶部23は、記憶媒体として、例えば、HDD、メモリカード等の随時書込みおよび読出しが可能な不揮発性メモリと、RAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリとを組み合わせて使用したストレージである。データ記憶部23は、制御部21がプログラムを実行して各種処理を行う過程で取得および生成されたデータを記憶するために用いられる。
【0029】
通信インタフェース24は、1つ以上の有線または無線の通信モジュールを含む。例えば、通信インタフェース24は、情報系LAN9を介して放流操作装置1または情報入力・提供装置3等の外部装置と有線接続する通信モジュールを含む。すなわち、通信インタフェース24は、制御部21の制御の下、外部装置との間で通信を行い、各種情報を送受信することができるものであれば一般的な通信インタフェースで良い。
【0030】
入出力インタフェース25は、入力装置26および出力装置27等と接続される。入出力インタフェース25は、入力装置26および出力装置27との間で情報の送受信を可能にするインタフェースである。入出力インタフェース25は、通信インタフェース24と一体であってもよい。例えば、訓練装置2と、入力装置26または出力装置27の少なくとも1つとは、近距離無線技術等を使用して無線接続されており、当該近距離無線技術を用いて各種情報の送受信を実行してもよい。
【0031】
入力装置26は、例えば、操作員またはダム管理者が訓練装置2に対して各種指示を入力するためのキーボードやポインティングデバイス等を含む。また、入力装置26は、プログラム記憶部22またはデータ記憶部23に格納するべきデータを、USBメモリ等のメモリ媒体から読み出すためのリーダや、そのようなデータをディスク媒体から読み出すためのディスク装置を含んでも良い。
【0032】
出力装置27は、訓練装置2から操作員またはダム管理者に提示するべき出力データを表示するディスプレイ、およびディスプレイに表示された情報を印刷するプリンタ等を含む。
【0033】
続いて、制御部21のソフトウェア構成を更に詳細に説明する。
制御部21は、データ取得部211と、予測データ取得部212と、重ね合わせ処理部213と、行動指針表取得部214と、表示制御部215と、行動制御部216と、を備える。また、データ記憶部23は、予測データ記憶部231と、行動指針表記憶部232と、ダム諸量データ記憶部233と、を備える。
【0034】
データ取得部211は、ダム諸量データを取得する。データ取得部211は、ダムの貯水位、貯水量、流入量、放流量等を含むダム諸量データを後述するダム諸量データ記憶部233から取得する。ダム諸量データは、ダムのデータだけでなく、情報入力・提供装置3が取得可能な各種データを含んでよい。例えば、ダム諸量データは、情報入力・提供装置3が取得した河川の情報、ダム周辺の雨量等を含む。例えば、データ取得部211は、操作員に指定された期間におけるダム諸量データを取得しても良い。或いは、データ取得部211は、操作員が入力装置16に入力したダム諸量データを取得しても良い。なお、データ取得部211は、ダム周辺の情報がダム諸量データ記憶部233に記憶されていない場合、情報入力・提供装置3を介して、外部機関から必要なデータを取得して良い。
【0035】
予測データ取得部212は、予測データを取得する。例えば、予測データ取得部212は、予測データ記憶部231に記憶された予測データを取得する。予測データ取得部212は、ダム諸量データに基づいて、予測データ記憶部231に記憶された予測データから最もリスクの高い順に複数の予測データを取得して良い。或いは、予測データ取得部212は、ダム諸量データに基づいて、現在の状況に最も近いデータから予測された予測データから順に複数の予測データを取得しても良い。
【0036】
重ね合わせ処理部213は、複数の予測データのうちの1つとダム諸量データを重ね合わせて表示するための処理を行う。例えば、重ね合わせ処理部213は、出力装置27で表示するために受信した複数の予測データのうちの1つとダム諸量データとを重ね合わせる。そして、重ね合わせ処理部213は、重ね合わせたデータを表示制御部215に出力する。重ね合わされたデータは、後述する表示制御部によって、予測データのうちの1つおよびダム諸量データを表示し、タブで他の予測データに切り替え可能なような画面を表示することが可能なデータであって良い。
【0037】
行動指針表取得部214は、後述する行動指針表記憶部232から行動指針表を取得する。ここで、行動指針表は、ダムを管理する管理事業者ごとに決められたルールであり、ダムの状況および時間により運用者がどのような行動を行うかを示した表である。例えば、行動指針表は、起点となる時刻から何分後に操作員がどのような行動を実行する必要があるかが記載されている。起点となる時刻は、任意の時刻でよく、例えば、洪水警報が発令された日時、ダムの貯水量が既定の量を超えた日時等であって良い。すなわち、行動指針表は、ダム諸量データに対応した複数の行動指針表があって良い。行動指針表取得部214は、ダム諸量データ(すなわち現在のダムの状況)に応じて複数の行動指針表から適切な行動指針表を取得して良い。また、行動指針表取得部214は、操作員からの訓練開始の指示が入力された日時を起点として、行動指針表に行動すべき日時を入力して良い。
【0038】
表示制御部215は、表示画面データを生成する。表示制御部215は、重ね合わされたデータおよび行動指針表を出力装置27のディスプレイに表示するための表示画面データを生成し、生成した表示画面データを出力装置27に出力する。
【0039】
行動制御部216は、行動指針表、ダム諸量データ、および現在の時刻に基づいて、現在の状況および次に操作員がとるべき行動を判定する。そして、行動制御部216は、判定結果に基づいて操作員が行動すべきメッセージを生成する。また、生成した行動すべきメッセージは、表示制御部215により、出力装置27のディスプレイに表示される。
【0040】
図3は、実施形態に係る放流操作装置1の構成の一例を示すブロック図である。
図3に示すように、放流操作装置1は、制御部11、プログラム記憶部12、データ記憶部13、通信インタフェース14、および入出力インタフェース15を備える。制御部11、プログラム記憶部12、データ記憶部13、通信インタフェース14、および入出力インタフェース15は、バスを介して互いに通信可能に接続されている。さらに通信インタフェース14は、制御系LAN8および情報系LAN9を介して他の装置と通信可能に接続される。また、入出力インタフェース15は、入力装置16および出力装置17と通信可能に接続される。
【0041】
制御部11、プログラム記憶部12、データ記憶部13、入出力インタフェース15、入力装置16、および出力装置17は、図2を参照して説明した訓練装置2の制御部21、プログラム記憶部22、データ記憶部23、入出力インタフェース25、入力装置26、および出力装置27と同じハードウェア構成であって良い。そのためここでの重複した説明を省略する。
【0042】
通信インタフェース14は、1つ以上の有線または無線の通信モジュールを含む。例えば、通信インタフェース14は、制御系LAN8および情報系LAN9を介して外部装置と有線または無線接続する通信モジュールを含む。例えば、通信インタフェース14は、入出力装置4等の外部の装置と有線接続する有線通信モジュールを含んでも良い。すなわち、通信インタフェース14は、制御部11の制御の下、外部の装置との間で通信を行い、各種情報を送受信することができるものであれば一般的な通信インタフェースで良い。
【0043】
次に、制御部11のソフトウェア構成について、さらに詳細に説明する。
制御部11は、データ取得部111と、予測データ取得部112と、重ね合わせ処理部113と、行動指針表取得部114と、表示制御部115と、行動制御部116と、予測演算部117と、を備える。また、データ記憶部13は、予測データ記憶部131と、行動指針表記憶部132と、ダム諸量データ記憶部133と、を備える。
【0044】
データ取得部111、予測データ取得部112、重ね合わせ処理部113、行動指針表取得部114、表示制御部115、行動制御部116、行動指針表記憶部132は、図2を参照して説明した訓練装置2のデータ取得部211、予測データ取得部212、重ね合わせ処理部213、行動指針表取得部214、表示制御部215、行動制御部216、および行動指針表記憶部232とそれぞれ同様の構成を備えて良い。そのため、ここでの重複した説明を省略する。
【0045】
予測演算部117は、ダム諸量データ記憶部133に記憶されたダム諸量データまたはダムの各観測装置から取得したダム諸量データに基づいて予測データを演算する。予測データの演算方法は、一般的な方法であればよいため、ここでの詳細な説明を省略する。予測演算部117は、予測した予測データを予測データ記憶部131に記憶させる。また、予測演算部117は、通信インタフェース14および情報系LAN9を介して、予測データを送信して良い。訓練装置2の制御部21は、受信した予測データ記憶部231に予測データを記憶させる。
【0046】
(動作)
図4は、実施形態の訓練装置2の訓練処理手順の一例を示すフローチャートである。
訓練装置2の制御部21がプログラム記憶部22に格納されたプログラムを読み出して実行することにより、このフローチャートの動作が実現される。
【0047】
ここで、予測データ記憶部231は、予測演算部117によって予測された複数の予測データが記憶されているものとする。
【0048】
このフローチャートは、訓練装置2の動作のフローチャートとして説明するが、以下の動作は、放流操作装置1の制御部11が実行することも可能である。但し、訓練装置2で行った操作は、あくまでも訓練であるため実際にゲート設備の制御は行わないが、放流操作装置1で操作を行った場合は、制御部11が所定の雨量、ダム諸量のいずれかが所定の量を超えたと判定した場合には、以下の動作を開始して、ゲートの制御を実行することになる点が異なる。
【0049】
このフローチャートは、操作員またはダム管理者が訓練を開始するという入力を訓練装置に入力することにより開始する。
【0050】
ステップST101で、データ取得部211は、ダム諸量データを取得する。データ取得部211は、ダムの貯水位、貯水量、流入量、放流量等を含むダム諸量データをダム諸量データ記憶部233から取得する。
【0051】
ダム諸量データは、ダムのデータだけでなく、情報入力・提供装置3が取得可能な各種データを含んでよい。例えば、データ取得部211は、操作員に指定された期間におけるダム諸量データを取得しても良い。
【0052】
或いは、データ取得部211は、操作員が入力したダム諸量データを取得しても良い。ここで、操作員から取得するダム諸量データは、訓練に必要な各種データのうちのすべてであっても良いし一部であっても良い。なお、放流操作装置1が実行する場合、データ取得部111は、現時点でのダム諸量データを取得しても良い。
【0053】
さらに、データ取得部211は、降雨量等のデータがダム諸量データ記憶部233に記憶されていない場合、情報入力・提供装置3を介して、外部機関から必要なデータを取得して良い。データ取得部211は、取得したダム諸量データをデータ取得部211、重ね合わせ処理部213および行動制御部216に出力して良い。
【0054】
ステップST102で、予測データ取得部212は、予測データを取得する。例えば、データ取得部211は、予測データ記憶部231に記憶された複数の予測データを取得する。
【0055】
予測データ取得部212は、ダム諸量データに基づいて、予測データ記憶部231に記憶された予測データから最もリスクの高い順に複数の予測データを取得して良い。或いは、予測データ取得部212は、ダム諸量データに基づいて、現在の状況に最も近いデータから予測された予測データから順に複数の予測データを取得しても良い。なお、予測データ取得部は、複数の予測データを取得できない場合、少なくとも1つの予測データを取得すれば良い。
【0056】
そして、予測データ取得部212は、取得した予測データを重ね合わせ処理部213に出力する。
【0057】
ステップST103で、重ね合わせ処理部213は、重ね合わせデータを生成する。複数の予測データのうちの1つとダム諸量データを重ね合わせて表示するための処理を行う。例えば、重ね合わせ処理部213は、ダム諸量データと最もリスクの高い予測データを重ね合わせデータとして表示させるように処理して良い。そして、重ね合わせ処理部213は、重ね合わせデータを表示制御部215に出力する。
【0058】
ステップST104で、行動指針表取得部214は、行動指針表記憶部232から行動指針表を取得する。行動指針表取得部214は、行動指針表記憶部232から行動指針表を取得し、操作員からの訓練開始の指示が入力された日時を起点として、行動指針表に必要な日時を入力する。例えば、9時に操作員から訓練開始の指示を受信した場合、行動指針表取得部214は、9時を起点にして行動指針表の行動すべき日時を入力する。そして、行動指針表取得部214は、入力された行動指針表を表示制御部215に出力する。
【0059】
ステップST105で、表示制御部215は、表示画面データを生成する。表示制御部215は、重ね合わせデータおよび行動指針表を出力装置27のディスプレイに表示するための表示画面データを生成する。表示画面データは、例えば、重ね合わせデータおよび行動指針表を表示し、複数の予測データのうちのその他の予測データをタブによって切り替え可能な画面データであって良い。
【0060】
ステップST106で、表示制御部215は、表示画面データを出力装置27に出力する。
【0061】
図5は、出力装置27のディスプレイに表示される画面の一例を示した図である。
図5(1)に示すように、表示制御部215は、出力装置27のディスプレイに、ダム諸量データのうちの1つである、流入量・放流量と、予測データとを重ね合わせて表示するように制御する。これにより、操作員は、今後の流入量を予測しながら制御することが可能となる。
【0062】
さらに、ダム諸量データおよび予測データは、時系列的に表示されてもよい。ダム諸量データおよび予測データを単に数字で表示するのではなく、時系列的に表示することにより、過去の値、現在の値、および将来の値が視覚的に分かり易くなる。
【0063】
図5(2)に示すように、表示制御部215は、出力装置27のディスプレイに、複数の予測データを切り替えて表示することが可能なように制御する。図5の例では、「A」の予測データを流入量・放流量に重ね合わせて表示している例を示しているが、「B」等の予測データを流入量・放流量に重ね合わせて表示することも可能である。
【0064】
図5(3)に示すように、表示制御部215は、出力装置27のディスプレイに、行動指針表を表示するように制御する。また、現在の行うべき行動を強調表示(図5(3)の例では、斜線で表している)して良い。また、図5(3)の例では、1つのディスプレイ上に重ね合わせデータと共に行動指針表を表示する例を示しているが、出力装置27が複数のディスプレイを備えている場合、表示制御部215は、別々のディスプレイに重ね合わせデータと行動指針表を表示するように制御しても良い。このように、ディスプレイ上に重ね合わせデータと行動指針表を同時に表示することにより、運用者は、行動指針表と今後のダムの状況を比較しながら運用することが可能となり、直近で選択すべき放流方式を確認しながら運用することができる。
【0065】
図5(4)に示すように、表示制御部215は、出力装置27のディスプレイに、次回の行うべき行動のタイミングをカウントダウン表示するように制御する。表示制御部215は、行動指針表に基づいて、次の行うべき行動までの時間をカウントダウン形式で出力装置27に表示させるように制御する。これにより運用者は、ゲート制御の計画を確認しながら運用することができる。
【0066】
図4に戻り、ステップST107で、行動制御部216は、とるべき行動を判定する。行動制御部216は、行動指針表取得部214から受信した行動指針表、ダムの状況、および現在の時刻に基づいて、現在の状況および次に操作員がとるべき行動を判定する。例えば、行動制御部216は、行動指針表に基づいて、所定の時刻に操作員がある特定のゲート制御をする必要があると判定して良い。
【0067】
ステップST108で、行動制御部216は、行動すべきメッセージを生成する。行動制御部216は、判定結果に基づいて操作員が行動すべきメッセージを生成する。また、例えば、上述したように、操作員がある特定のゲート制御をする必要があると判定した場合、行動制御部216は、ゲート制御を行うための画面を表示する指示も生成し、行動すべきメッセージに当該指示を含めても良い。そして行動制御部216は、行動すべきメッセージを表示制御部215に出力する。
【0068】
ステップST109で、表示制御部215は、行動すべきメッセージを出力装置27のディスプレイに出力する。例えば、表示制御部215は、行動すべきメッセージに含まれたゲート制御を行うための画面を表示する指示に基づいて、ゲート制御を行うための画面情報を出力装置27のディスプレイに表示する。さらに、表示制御部215は、出力装置27のディスプレイに、当該画面上に行動すべきメッセージを表示するように制御する。
【0069】
図6は、出力装置27のディスプレイに表示される画面の一例を示した図である。
図6に示すように、表示制御部215は、ゲート制御、すなわち放流方式の選択をするための画面を出力装置27のディスプレイに表示するように制御する。さらに、表示制御部215は、放流方式のうちどの放流方式を選択すべきかおよびこの放流方式の説明を出力装置27のディスプレイに表示するように制御する。このようにすることにより、運用者は、メッセージ内容を確認しつつ、ゲート制御である放流方式を正しく選択することができる。
【0070】
図4に戻り、ステップST110で、行動制御部216は、すべての行動が実行されたかを判定する。行動制御部216は、行動指針表に記載されたすべての行動を実行したかどうかを判定する。例えば、行動制御部216は、行動指針表に基づいた運用者からの指示を受信したかどうかに基づいて判定して良い。或いは、行動制御部216は、行動指針表と現在の時刻に基づいて判定しても良い。すべての行動を実行したと判定した場合、処理は終了する。一方、すべての行動を実行していないと判定した場合、処理は、ステップST107に戻る。
【0071】
(第1の実施形態の作用効果)
以上説明した実施形態によれば、行動指針表に基づいて実際の行動に即した訓練を操作員が行うことができる。また、表示制御部215は、予測データをダム諸量データと重ね合わせた重ね合わせデータと、行動指針表とを併せて表示させる。これにより、操作員は、今後の流入量を予測しながらゲート制御を実行することができる。また、行動制御部216は、次に行うべき行動を判定し、判定結果に基づいて次の行動を操作員に伝える。これにより、操作員は、正しいゲート制御を行うことができる。
【0072】
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態について、説明する。第2の実施形態は、条件判定部217は、訓練装置における操作指令が、目標開度および放流方式により過放流になっていないかの条件判定を行う実施の形態である。
【0073】
(構成)
第2の実施形態におけるダムコンシステムの構成は、図1を参照して説明したダムコンシステムの構成と同じであって良いため、ここでの重複した説明を省略する。さらに、訓練装置2および放流操作装置1のハードウェア構成はそれぞれ、図2および図3を参照して説明した構成と同じであって良いため、ここでの重複した説明を省略する。
【0074】
図7は、第2の実施形態における訓練装置2の構成を示すブロック図である。
図7において、制御部21が条件判定部217およびゲート制御部218を備える点で第1の実施形態における訓練装置2のソフトウェア構成と異なる。
【0075】
条件判定部217は、操作指令を受信したかどうか判定する。操作員が行動指針表に従ってダムの放流量等を変更するためのゲートの目標開度、放流方式等を含む操作指令を受信したかどうか判定する。条件判定部217は、操作指令に含まれる目標開度および放流方式により、過放流になっていないかどうかを判定する。
【0076】
例えば、目標開度または放流方式が過放流になる可能性のある上限値を超えていた場合、条件判定部217は、適切な操作指令ではないと判定する。一方、目標開度または放流方式が過放流になる可能性のある上限値を超えていない場合、条件判定部217は、適切な操作指令であると判定する。また、条件判定部217は、行動指針表に基づいた操作指令であるかどうかを判定して良い。さらに、条件判定部217は、適切な操作指令でないことを操作員に知らせるための警告メッセージを生成する。
【0077】
表示制御部215は、第1の実施形態で説明した機能に加えて、出力装置27のディスプレイに警告メッセージを表示させるように制御して良い。
【0078】
(動作)
図8は、第2の実施形態における訓練装置2の処理手順の一例を示すフローチャートである。
訓練装置2の制御部21がプログラム記憶部22に格納されたプログラムを読み出して実行することにより、このフローチャートの動作が実現される。
【0079】
ステップST201~ステップST206は、図4を参照して説明したステップST101~ステップST106と同じであって良いため、ここでの重複した説明を省略する。
【0080】
ステップST207で、条件判定部217は、操作指令を受信したかどうか判定する。操作員が行動指針表に従ってダムの放流量等を変更するためのゲートの目標開度、放流方式等を含む操作指令を受信したかどうか判定する。操作指令を受信していない場合、ステップST207に戻る。すなわち、条件判定部217は、操作指令を受信するまで、ステップST207の判定処理を繰り返す。
【0081】
一方、操作指令を受信したと判定した場合、処理は、ステップST208に進む。
【0082】
ステップST208で、条件判定部217は、適切な操作指令であるかどうかを判定する。例えば、条件判定部217は、操作指令に含まれる目標開度および放流方式により、過放流になっていないかどうかを判定する。例えば、目標開度または放流方式が過放流になる可能性のある上限値を超えていた場合、条件判定部217は、適切な操作指令ではないと判定する。一方、目標開度または放流方式が過放流になる可能性のある上限値を超えていない場合、条件判定部217は、適切な操作指令であると判定する。
【0083】
適切な操作指令であると判定した場合、処理は、ステップST210に進む。一方、適切な操作指令でないと判定場合、処理は、ステップST209に進む。
【0084】
また、条件判定部217は、行動指針表に基づいた操作指令であるかどうかを判定して良い。例えば、操作指令が行動指針表に記載されていない異常な指令であった場合、条件判定部217は、適切な操作指令でないと判定して良い。
【0085】
ステップST209で、表示制御部215は、警告メッセージを出力する。適切な操作指令でないと判定した場合、条件判定部217は、操作指令が適切な行動でないことを操作員に知らせるための警告メッセージを生成する。警告メッセージは、適切な操作指令でないとした理由を含んでよい。
【0086】
そして、条件判定部217は、警告メッセージを表示制御部215に出力する。表示制御部215は、出力装置27のディスプレイに警告メッセージを出力し、当該警告メッセージをディスプレイに表示させるように制御する。
【0087】
そして、処理は、ステップST211に進む。すなわち、適切な操作指令でないと判定された場合、処理は、後述するゲート制御を実行しない。
【0088】
図9は、出力装置27のディスプレイに表示される警告メッセージの一例を示した図である。
図9に示すように、表示制御部215は、ゲート操作の設定ボタンを押したボタンの上などに「過放流の制限値を超えています。再計算が必要です。」等の理由を含む警告メッセージを表示するように制御して良い。
【0089】
ステップST210で、ゲート制御部218は、制御を実行する。適切な操作指令であると判定した場合、条件判定部217は、操作指令をゲート制御部218に出力する。ゲート制御部218は、操作指令に基づいてゲート制御を実行したとする情報を生成し、表示制御部215に出力する。表示制御部215は、当該情報に基づいてゲート制御が実行されたことを示す表示を出力装置27のディスプレイに表示するように制御して良い。
【0090】
一方、放流操作装置1でステップST210の処理が実行される場合、制御部11のゲート制御部は、通信インタフェース14、制御系LAN8、および機側盤6を通じて、ゲート設備7に操作指令を出力して良い。ゲート設備7は、当該操作指令に基づいてゲートの開閉を実行する。
【0091】
ステップST211で、条件判定部217は、すべての行動が実行されたかを判定する。条件判定部217は、行動指針表に記載されたすべての行動を実行したかどうかを判定する。例えば、条件判定部217は、行動指針表に基づいた運用者からの指示を受信したかどうかに基づいて判定して良い。或いは、条件判定部217は、行動指針表と現在の時刻に基づいて判定しても良い。すべての行動を実行したと判定した場合、処理は終了する。一方、すべての行動を実行していないと判定した場合、処理は、ステップST207に戻る。
【0092】
なお、ステップST211は、第1の実施形態と同様に行動制御部216が実行しても良いのは勿論である。
【0093】
(第2の実施形態の作用効果)
以上説明した実施形態によれば、条件判定部217は、操作指令が適切な行動であるかどうかを判定する。そして、誤っていると判定した場合、表示制御部215は、出力装置27のディスプレイに理由を付した警告メッセージを表示させるように制御する。この理由に従って、操作員は、適切な操作指令を再度入力することができ、正しいゲート制御を行うことができる。
【0094】
[第3の実施形態]
第3の実施形態では、実際には、各省庁等の関係部門に電話連絡を行う必要がある場合の操作を訓練する場合についての実施形態である。この場合、訓練装置2で実行する場合、電話連絡等を実際に行うわけには行けないため、電話連絡を行ったなどのボタンを押すことになる。第3の実施形態では、訓練の際、誤ったタイミングでこのボタンが押された際に警告メッセージを表示する例を説明する。そのため、この第3の実施形態は、訓練装置2で実行される。
【0095】
(構成)
第3の実施形態におけるダムコンシステムの構成は、図1を参照して説明したダムコンシステムの構成と同じであって良いため、ここでの重複した説明を省略する。さらに、訓練装置2および放流操作装置1のハードウェア構成はそれぞれ、図2および図3を参照して説明した構成と同じであって良いため、ここでの重複した説明を省略する。
【0096】
図10は、第3の実施形態における訓練装置2の構成を示すブロック図である。
図10における構成は、制御部21が誤り判定部219を備える点で第1の実施形態における訓練装置2の構成と異なる。
【0097】
誤り判定部219は、実施信号を受信したかどうか判定する。ここで、実施信号は、必要なタイミングで関係各所に何らかの連絡をしたこと等を示す信号である。すなわち、実施信号は、操作員が必要な行動をとったかどうかを示す信号である。例えば、実施信号は、放流操作装置1が実行する動作ではなく、操作員が実行する動作を模擬的に再現するために設けられたボタンを押した際に入力装置26から出力される信号である。
【0098】
誤り判定部219は、正しいタイミングで実施信号を受信したかどうかを判定する。誤り判定部219は、行動指針表に基づいて、正しいタイミングで実施信号を受信したかどうか判定する。
【0099】
例えば、行動指針表に記載されていない実施信号を受信した場合、誤り判定部219は、正しくないタイミングで実施信号を受信したと判定する。また、正しいタイミングで実施信号を受信していないと判定した場合、誤り判定部219は、警告メッセージを生成する。
【0100】
(動作)
図11は、第3の実施形態における訓練装置2の処理手順の一例を示すフローチャートである。
訓練装置2の制御部21がプログラム記憶部22に格納されたプログラムを読み出して実行することにより、このフローチャートの動作が実現される。
【0101】
ステップST301~ステップST306は、図4を参照して説明したステップST101~ステップST106と同じであって良いため、ここでの重複した説明を省略する。
【0102】
ステップST307で、誤り判定部219は、実施信号を受信したかどうか判定する。訓練において、操作員は、行動指針表に従って関係各所に電話連絡したとする実施ボタンを押す。入力装置26は、実施ボタンが押されたことに対応する実施信号を制御部21に出力して良い。
【0103】
誤り判定部219は、入力装置26から出力された実施信号を受信したかどうか判定する。ここで、実施信号は、操作員が必要な行動をとったことを示す信号である。実施信号を受信しないと判定した場合、処理は、ステップST310に進む。一方、実施信号を受信したと判定した場合、処理はステップST308に進む。
【0104】
ステップST308で、誤り判定部219は、正しいタイミングで実施信号を受信したかどうかを判定する。誤り判定部219は、行動指針表に基づいて、正しいタイミングで実施信号を受信したかどうか判定する。
【0105】
例えば、行動指針表に記載されていない実施信号を受信した場合、誤り判定部219は、正しくないタイミングで実施信号を受信したと判定する。この場合、処理は、ステップST309に進む。
【0106】
一方、現時刻における行動指針表に記載された行動に対応する実施信号を受信した場合、誤り判定部219は、実施信号を正しいタイミングで受信したと判定する。この場合、処理は、ステップST310に進む。
【0107】
ステップST309で、表示制御部215は、警告メッセージを出力する。正しいタイミングで実施信号を受信していないと判定した場合、誤り判定部219は、警告メッセージを生成し、当該警告メッセージを表示制御部215に出力する。表示制御部215は、出力装置27のディスプレイに警告メッセージを出力し、当該警告メッセージをディスプレイに表示させるように制御する。そして、処理は、ステップST310に進む。
【0108】
図12は、出力装置27のディスプレイに表示される警告メッセージの一例を示した図である。
図12に示すように、表示制御部215は、誤ったタイミングで押した実施ボタンの上などに「この操作は正しいタイミングではありません」等の警告メッセージを表示するように制御して良い。
【0109】
ステップST310~ステップST314は、図8を参照して説明したステップST207~ステップST211と同様の動作で良いため、ここでの重複した説明を省略する。
【0110】
(第3の実施形態の作用効果)
以上説明した実施形態によれば、訓練において、誤り判定部219は、実施ボタンが適切なタイミングで押されたかどうかを判定する。そして、誤っていると判定した場合、表示制御部215は、出力装置27のディスプレイに警告メッセージを表示させるように制御する。当該警告メッセージを表示させることにより、操作員は、実施ボタンが適切に押されていないことを知ることができる。
【0111】
[他の実施形態]
なお、この発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0112】
例えば、第1の実施形態、第2の実施形態、及び第3の実施形態は、組み合わせて実行することができる。
【0113】
また、例えば、表示制御部215は、次に行われるべきメッセージをディスプレイに表示させ、さらに誤った行動をとった場合、警告メッセージをディスプレイに表示させるように制御して良い。
【0114】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0115】
1、1a、1b…放流操作装置
11…制御部
111…データ取得部
112…予測データ取得部
113…重ね合わせ処理部
114…行動指針表取得部
115…表示制御部
116…行動制御部
117…予測演算部
12…プログラム記憶部
13…データ記憶部
131…予測データ記憶部
132…行動指針表記憶部
133…ダム諸量データ記憶部
14…通信インタフェース
15…入出力インタフェース
16…入力装置
17…出力装置
2…訓練装置
21…制御部
211…データ取得部
212…予測データ取得部
213…重ね合わせ処理部
214…行動指針表取得部
215…表示制御部
216…行動制御部
217…条件判定部
218…ゲート制御部
219…誤り判定部
22…プログラム記憶部
23…データ記憶部
231…予測データ記憶部
232…行動指針表記憶部
233…ダム諸量データ記憶部
24…通信インタフェース
25…入出力インタフェース
26…入力装置
27…出力装置
3…情報入力・提供装置
4…入出力装置
5…遠方手動操作装置
6…機側盤
61…自動系機側盤PLC
62…手動系機側盤PLC
7…ゲート設備
8…制御系LAN
9…情報系LAN
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12