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特開2024-22926コーナーサンドイッチパネルの製造方法
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  • 特開-コーナーサンドイッチパネルの製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022926
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】コーナーサンドイッチパネルの製造方法
(51)【国際特許分類】
   E04C 2/30 20060101AFI20240214BHJP
   E04C 2/292 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
E04C2/30 B
E04C2/292
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022126380
(22)【出願日】2022-08-08
(71)【出願人】
【識別番号】000207436
【氏名又は名称】日鉄鋼板株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古河 春樹
(72)【発明者】
【氏名】原田 清一
(72)【発明者】
【氏名】藤原 誠司
(72)【発明者】
【氏名】萬谷 憲治
【テーマコード(参考)】
2E162
【Fターム(参考)】
2E162BA09
2E162CB03
2E162CB05
2E162CB08
2E162DA09
(57)【要約】
【課題】平板状のサンドイッチパネルを屈曲したコーナーサンドイッチパネルへとより加工しやすいコーナーサンドイッチパネルの製造方法を提供する。
【解決手段】コーナーサンドイッチパネル1の製造方法は、切除工程と折り曲げ工程を備える。切除工程では、金属外皮2,3の間に芯材4を挟んだ平板状のサンドイッチパネル5の、金属外皮2の一部と芯材4の一部を切除する。折り曲げ工程では、切除後のサンドイッチパネル5を折り曲げて、屈曲したコーナーサンドイッチパネル1を形成する。芯材4は、金属外皮2に対向する第一部材4aと、第一部材4aとは別の部材であり、金属外皮3に対向する第二部材4bと、を含む。切除工程は、金属外皮2に対してサンドイッチパネル5の厚み方向に刃を入れて、金属外皮2の一部と芯材4の第一部材4aを切除する第一工程と、芯材4の第二部材4bに刃を入れて切除する第二工程とを、含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する第一金属外皮と第二金属外皮の間に芯材を挟んだ平板状のサンドイッチパネルの、前記第一金属外皮の一部と前記芯材の一部を切除する切除工程と、
切除後の前記サンドイッチパネルを折り曲げて、屈曲したコーナーサンドイッチパネルを形成する折り曲げ工程と、を備えたコーナーサンドイッチパネルの製造方法であって、
前記芯材は、前記第一金属外皮に対向する第一部材と、前記第一部材とは別の部材であり、前記第二金属外皮に対向する第二部材と、を含み、
前記切除工程は、
前記第一金属外皮に対して前記サンドイッチパネルの厚み方向に刃を入れて、前記第一金属外皮の前記一部と前記芯材の前記第一部材を切除する第一工程と、
前記芯材の前記第二部材に刃を入れて切除する第二工程とを、含む、
コーナーサンドイッチパネルの製造方法。
【請求項2】
前記第二工程は、前記厚み方向に対して交差する方向に刃を入れて、前記第二部材にV字状の溝を形成する工程である、
請求項1に記載のコーナーサンドイッチパネルの製造方法。
【請求項3】
前記第二部材のうち前記溝が形成される部分は、前記第二金属外皮に対して非接着である、
請求項2に記載のコーナーサンドイッチパネルの製造方法。
【請求項4】
前記折り曲げ工程の後に行う充填工程を更に備え、
前記充填工程では、前記第一部材の切除によって形成された空間に、他の芯材を挿入して、前記空間を埋める、
請求項1に記載のコーナーサンドイッチパネルの製造方法。
【請求項5】
前記充填工程の後に行う補強工程を更に備え、
前記補強工程では、前記他の芯材を覆うように、前記第一金属外皮に補強材を取り付ける、
請求項4に記載のコーナーサンドイッチパネルの製造方法。
【請求項6】
前記第一部材は、前記第一金属外皮に接着されている、
請求項1に記載のコーナーサンドイッチパネルの製造方法。
【請求項7】
前記第二金属外皮は、前記厚み方向に前記芯材を覆う本体部と、前記厚み方向に対して直交する方向に前記芯材を覆う側壁部と、を有し、
前記側壁部の一部は、切欠きと、前記切欠きを挟むように位置し、前記サンドイッチパネルを折り曲げた状態において互いに重なり合う一対の重ね部と、を有する、
請求項1に記載のコーナーサンドイッチパネルの製造方法。
【請求項8】
前記第一部材は、発泡材を含み、
前記第二部材は、繊維状無機材を含む、
請求項1に記載のコーナーサンドイッチパネルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コーナーサンドイッチパネルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、周知の平坦なサンドイッチパネルの一部をVカットした後、折り曲げることで、屈曲したサンドイッチパネルを製造することが記載されている。平坦なサンドイッチパネルは、金属板により形成される外皮部及び内皮部と、外皮部及び内皮部の間に配置され、外皮部及び内皮部に接着された皮間部とを有している。平坦なサンドイッチパネルは、内皮部の一部と皮間部の一部がVカットされて切除される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第7072101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の製造方法のように、金属板により形成される内皮部に対して、V字状、つまり、斜めに狙った角度で刃を入れる作業は、行いにくいという問題があった。また、この場合、内皮部及び皮間部に対して、刃を長く入れる必要があるため、施工に時間がかかるという問題があった。また、このように刃を入れる長さが長いと、皮間部を厚み方向の全長にわたって切断することが難しいという問題があった。したがって、特許文献1に記載の製造方法では、屈曲したサンドイッチパネルを製造するにあたって、作業性の面で向上の余地があった。
【0005】
上記事情に鑑みて、本開示は、平板状のサンドイッチパネルを屈曲したコーナーサンドイッチパネルへとより加工しやすいコーナーサンドイッチパネルの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係るコーナーサンドイッチパネルの製造方法は、切除工程と折り曲げ工程とを備える。前記切除工程では、互いに対向する第一金属外皮と第二金属外皮の間に芯材を挟んだ平板状のサンドイッチパネルの、前記第一金属外皮の一部と前記芯材の一部を切除する。前記折り曲げ工程では、切除後の前記サンドイッチパネルを折り曲げて、屈曲したコーナーサンドイッチパネルを形成する。前記芯材は、前記第一金属外皮に対向する第一部材と、前記第一部材とは別の部材であり、前記第二金属外皮に対向する第二部材と、を含む。前記切除工程は、前記第一金属外皮に対して前記サンドイッチパネルの厚み方向に刃を入れて、前記第一金属外皮の前記一部と前記芯材の前記第一部材を切除する第一工程と、前記芯材の前記第二部材に刃を入れて切除する第二工程とを、含む。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一態様に係るコーナーサンドイッチパネルの製造方法では、平板状のサンドイッチパネルを屈曲したコーナーサンドイッチパネルへとより加工しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1Aから図1Dは、本開示の一実施形態のコーナーサンドイッチパネルの製造方法を簡略的に示す断面図である。図1Aは、切除工程の第一工程を示す図であり、図1B及び図1Cは、切除工程の第二工程を示す図であり、図1Dは、折り曲げ工程を示す図である。
図2図2A及び図2Bは、図1Dの後に行う製造方法を簡略的に示す断面図である。図2Aは、充填工程を示す図であり、図2Bは、補強工程を示す図である。
図3図3A及び図3Bは、同上の製造方法を概略的に示す正面図である。図3Aは、製造方法の切除工程の第三工程を示す図であり、図3Bは、製造方法の折り曲げ工程を示す図である。
図4図4Aは、同上のコーナーサンドイッチパネルを製造するための平板状のサンドイッチパネルの一例を示す斜視図であり、図4Bは、図4AのA-A線における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(一実施形態)
1.概要
図1Aから図1Dに示す一実施形態のコーナーサンドイッチパネル1(以下「コーナーパネル1」という)の製造方法は、切除工程と折り曲げ工程とを備える。切除工程では、互いに対向する第一金属外皮2と第二金属外皮3の間に芯材4を挟んだ平板状のサンドイッチパネル5の、第一金属外皮2の一部と芯材4の一部を切除する。折り曲げ工程では、切除後のサンドイッチパネル5を折り曲げて、屈曲したコーナーパネル1を形成する。芯材4は、第一金属外皮2に対向する第一部材4aと、第一部材4aとは別の部材であり、かつ第二金属外皮3に対向する第二部材4bと、を含む。切除工程は、第一金属外皮2に対してサンドイッチパネル5の厚み方向に刃を入れて、第一金属外皮2の一部と芯材4の第一部材4aを切除する第一工程と、芯材4の第二部材4bに刃を入れて切除する第二工程とを、含む。
【0010】
上記構成を備える一実施形態のコーナーパネル1の製造方法では、第一工程において、第一金属外皮2に対してサンドイッチパネル5の厚み方向に刃を入れて、第一金属外皮2を切断できるため、第一金属外皮2の切断が容易に行える。またこのとき、第一金属外皮2及び芯材4に対して刃を深く入れやすくて、芯材4の第一部材4aの切断も行いやすい。またこの製造方法では、第一部材4aが第二部材4bとは別の部材であるため、切断後の第一部材4aを取り除きやすい。加えてこの製造方法では、第一工程の後に行う第二工程では、第二部材4bのみを切断すればよいため、刃を入れる深さを浅くできて、第二部材4bの切断も容易に行える。したがって、この製造方法では、平板状のサンドイッチパネル5を屈曲したコーナーパネル1へとより加工しやすい。
【0011】
2.詳細
続いて、図1Aから図1D図2A図2B、及び図3A,Bに示す本実施形態のコーナーパネル1の製造方法について更に詳しく説明する。この製造方法は、平板状のサンドイッチパネル5の一部を切除して折り曲げることで、屈曲したコーナーパネル1を製造する方法である。
【0012】
2―1.サンドイッチパネル
図1A図4A、及び図4Bに示すように、サンドイッチパネル5は、互いに対向する第一金属外皮2と第二金属外皮3の間に芯材4を挟んだ平板状のパネルである。以下では、図1Aに示す平置き状態、つまり、サンドイッチパネル5の厚み方向が上下方向に対して平行であり、第二金属外皮3がサンドイッチパネル5の下面を構成する状態を基準として、サンドイッチパネル5の各構成について詳しく説明する。図4AのB-B線における断面が、図1Aに示されている。
【0013】
サンドイッチパネル5は、例えばビル等の建物の外壁として用いられる。サンドイッチパネル5は、例えば、長さ(前後方向の長さ)が、0.5~6.0mであり、幅(左右方向の長さ)が、0.2~1.5mであり、厚み(上下方向の長さ)が、50~150mmである。
【0014】
芯材4は、その全体形状が、矩形の板状である。本実施形態では、芯材4は、第一金属外皮2に対向する第一部材4aと、第一部材4aとは別の部材であり、かつ第二金属外皮3に対向する第二部材4bと、を含む。芯材4は更に、第一部材4a及び第二部材4bに対して、サンドイッチパネル5の幅方向(左右方向)に並ぶ第三部材4cを含む。
【0015】
第一部材4aと第二部材4bは、芯材4のうち、切除工程において切除される予定の部分に配置されている。第一部材4aと第二部材4bは、サンドイッチパネル5の幅方向の中央部に位置している。第一部材4aと第二部材4bは、サンドイッチパネル5の厚み方向に並んでいる。第三部材4cは、第一部材4a及び第二部材4bを挟むように、サンドイッチパネル5の幅方向の両端部にそれぞれ位置している。第一部材4aと第二部材4bと第三部材4cはいずれも、サンドイッチパネル5の長さ方向の全長にわたる長さを有する。
【0016】
サンドイッチパネル5の厚み方向(上下方向)において、第一部材4aの長さと第二部材4bの長さの合計は、第三部材4cの長さと同じである。
【0017】
本実施形態では、第一部材4aと第二部材4bと第三部材4cはいずれも、ロックウールやグラスウールなどの繊維状無機材をバインダー等でブロック状に固めたブロック体で構成されている。第一部材4aと第二部材4bは、第三部材4cをサンドイッチパネル5の厚み方向において半割りしたものと、ほぼ同じ構造である。
【0018】
本実施形態では、第一部材4aと第二部材4bのそれぞれは、サンドイッチパネル5の幅方向(左右方向)に並ぶ複数(詳しくは3つ)のパーツによって形成されている。第三部材4cは、サンドイッチパネル5の幅方向に並ぶ複数のパーツによって形成されている。第一部材4a、第二部材4b、及び第三部材4cを構成する複数のパーツは、全体形状が1枚の矩形板をなすように並べられている。
【0019】
本実施形態では、第一部材4aは、第一金属外皮2側を向く面(つまり上面)が第一金属外皮2に接着されており、第二部材4bは、第二金属外皮3側を向く面(つまり下面)が第二金属外皮3に接着されている。第三部材4cは、第一金属外皮2側を向く面(つまり上面)が第一金属外皮2に接着されており、かつ第二金属外皮3側を向く面(つまり下面)が第二金属外皮3に接着されている。
【0020】
第一部材4aと第二部材4bは、本実施形態では、互いに仮止めされている。第一部材4aと第二部材4bの仮止めは、例えば、接着剤、タッカー等によって行われている。ここで、第一部材4aと第二部材4bとの固定強度は、第一部材4aの第一金属外皮2に対する接着強度や、第二部材4bの第二金属外皮3に対する接着強度よりも弱い。これにより、第一部材4aと第二部材4bは、分離しやすくなっている。
【0021】
本実施形態では、第二部材4bの一部(詳しくは、第二工程において切除される部分)は、第二金属外皮3に対して非接着である。
【0022】
第一金属外皮2と第二金属外皮3のそれぞれは、金属板をロール加工やプレス加工などにより所望の形状に成形することによって得られる。金属板は、例えば、厚みが0.23~6.0mmである。金属板は、塗装鋼板、亜鉛めっき鋼板、アルミニウム-亜鉛合金めっき鋼板、ガルバリウム鋼板(登録商標)、エスジーエル(登録商標)鋼板等であるが、これらに限定されない。第一金属外皮2は、サンドイッチパネル5を外壁材として用いる際に、屋内側を向く外皮であり、第二金属外皮3は、屋外側を向く外皮である。
【0023】
第一金属外皮2は、芯材4の上面を覆う矩形板状の本体部20と、芯材4の左右の側面を覆う左右の側壁部21と、を有する。左右の側壁部21は、本体部20の左右の縁から下側に突出している。なお、第一金属外皮2は、芯材4の前後の側面を覆う部分を有していない。
【0024】
第二金属外皮3は、上側に向けて開口した矩形の箱状である。第二金属外皮3は、芯材4の下面を覆う矩形板状の本体部30と、芯材4の4つの側面を覆う4つの側壁部31と、を有する。4つの側壁部31は、芯材4の前後の側面を覆う前後の側壁部31aと、芯材4の左右の側面を覆う左右の側壁部31bと、を有する。
【0025】
前後の側壁部31aは、本体部30の前後の縁から上側に略直角に突出し、左右の側壁部31bは、本体部30の左右の縁から上側に略直角に突出している。前後の側壁部31aのそれぞれは、矩形の平板状である。
【0026】
金属外皮2,3のそれぞれは、本体部20,30が芯材4の上下の面に接着されて、芯材4と一体化している。
【0027】
以上説明した本実施形態のサンドイッチパネル5は、芯材4が第三部材4cのみで構成される従来のサンドイッチパネルを製造する製造設備で製造することができる。この製造設備で、第二金属外皮3の本体部30への接着剤の塗布領域の調整と、本体部30の上に載せる芯材4の調整を行うことで、サンドイッチパネル5を製造することができる。つまり、本実施形態のサンドイッチパネル5は、既存の製造設備を用いて製造することができる。
【0028】
2-2.コーナーパネルの製造方法
続いて、上述した平板状のサンドイッチパネル5の一部を切除して折り曲げることで、屈曲したコーナーパネル1を製造するコーナーパネル1の製造方法について説明する。
【0029】
この製造方法は、切除工程と折り曲げ工程とを備える。切除工程では、サンドイッチパネル5の第一金属外皮2の一部と芯材4の一部を切除する。折り曲げ工程では、切除後のサンドイッチパネル5を折り曲げて、屈曲したコーナーパネル1を形成する。この製造方法は更に、折り曲げ工程の後に行う充填工程と、充填工程の後に行う補強工程とを備える。
【0030】
切除工程は、第一金属外皮2に対してサンドイッチパネル5の厚み方向に刃を入れて、第一金属外皮2の一部と芯材4の第一部材4aを切除する第一工程と、芯材4の第二部材4bに刃を入れて切除する第二工程とを、含む。本実施形態では、切除工程は、第一工程と第二工程の間に行われる第三工程を更に含む。
【0031】
より詳しくは、第一工程では、図1Aに示すように、丸鋸等の電動工具を用いて、第一金属外皮2の一部と芯材4の第一部材4aを切断する。第一工程では、第一金属外皮2の本体部20に対して、真上から、つまり本体部20に対して垂直に、丸鋸の刃を入れて、本体部20の一部と第一部材4aを切断する。丸鋸としては、例えば、第一部材4aの下面まで至る長さの刃を有するものが用いられる。丸鋸は、第二部材4bに至る長さの刃を有するものであってもよい。なお、本体部20の切断は、丸鋸で行い、第一部材4aの切断は、セイバーソー等の往復式のこぎりで行ってもよい。
【0032】
第一工程では、本体部20を前後方向の全長にわたって切断する。本体部20は、左右方向に間隔をおいた2箇所が切断される。本体部20には、互いに略平行な2本の切断跡6が形成される。本実施形態では、第一部材4aの左右方向の一端部(右端部)と、第三部材4cの一部のそれぞれに、切断跡6が形成される。
【0033】
本体部20及び芯材4に2本の切断跡6を形成した後、本体部20のうち2本の切断跡6の間の部分を取り除く。本体部20の一部を取り除くことで、本体部20の一部に接着された第一部材4aが共に取り除かれる。これにより、第一工程では、第一金属外皮2の一部と芯材4の第一部材4aとが切除される。本実施形態では、第一工程の後、第三部材4cのうち、切断跡6よりもパネル幅方向内側の部分40を、カッター等を用いて手作業で切除する。
【0034】
次いで、第三工程では、図3Aに示すように、丸鋸等の電動工具を用いて、第二金属外皮3の前後の側壁部31aのそれぞれに刃を入れて、V字状の切欠き310を形成する。V字状の切欠き310は、第二部材4bに形成される溝41よりも幅狭に設けられる。そのため、第二金属外皮3の前後の側壁部31aには、切欠き310を挟むように一対の重ね部311が形成される。一対の重ね部311は、第二部材4bに形成される溝41の一対の傾斜した側面410よりもパネル幅方向内側に突出する。
【0035】
次いで、第二工程では、図1B図1Cに示すように、第二部材4bに刃を入れて切除する。本実施形態では、第二工程は、第二部材4bに対して、サンドイッチパネル5の厚み方向に対して交差する方向に刃を入れて、第二部材4bにV字状の溝41を形成する工程である。
【0036】
より詳しくは、第二工程では、例えば、鋼板を折り曲げて形成した専用の切除具7を用いて手作業で、第二部材4bの左右方向に間隔をおいた2箇所を切断する。第二部材4bには、第二金属外皮3の本体部30に近い部分ほど間の間隔が狭くなるように、2本の切断跡8が形成される。第二部材4bのうち、2本の切断跡8の下端の間の部分が、第二金属外皮3の本体部30に対して未接着な部分である。
【0037】
第二部材4bのうち、2本の切断跡8の間の部分を取り除くことで、第二部材4bにはV字状の溝41が形成される。このとき、第二部材4bのうち、2本の切断跡8の間の部分は、第二金属外皮3に対して未接着であるため、簡単に取り除くことができる。
【0038】
切除工程が終わったら、折り曲げ工程を行う。折り曲げ工程では、図1Dに示すように、第二金属外皮3の本体部30のうち、溝41の底面のパネル幅方向の中間地点を中心にして、本体部30を折り曲げる。本実施形態では、曲げ加工機のパンチを、本体部30のうち溝41の底面の中間地点に真上から押し当てることで、第二金属外皮3の本体部30を略90度に折り曲げる。
【0039】
このとき、第二金属外皮3の前後の側壁部31aの一対の重ね部311のうちの一方を他方よりも前後方向外側に位置させた状態で、本体部30を折り曲げる。これにより、選択した一方の重ね部311を、他方の重ね部311の外側に重ねることができる。
【0040】
なお、折り曲げ工程では、第二金属外皮3の前後の側壁部31aの一対の重ね部311の間に、板状のガイド部材を挟みながら、本体部30を折り曲げることで、選択した一方の重ね部311を、他方の重ね部311の外側に重ねることもできる。この場合、ガイド部材は、本体部30を折り曲げた後、一対の重ね部311の間から取り除く。
【0041】
折り曲げ工程が終わったら、充填工程を行う。充填工程では、図2Aに示すように、芯材4の第一部材4aと第三部材4cの切除によって形成された空間に、他の芯材10を挿入して、この空間を他の芯材10で埋める。
【0042】
他の芯材10は、例えば、芯材4の第二部材4bに対してシール剤を介して接着される。他の芯材10は、本実施形態では、芯材4の第二部材4b及び第三部材4cと同じ材質である。他の芯材10は、前後方向の長さが、芯材4と同じである。
【0043】
本実施形態では、他の芯材10は、第一部材4aの切除によって形成された空間を埋める第一芯材10aと、第三部材4cの切除によって形成された空間を埋める第二芯材10bとを含む。なお、他の芯材10は、第二部材4bの溝41の一対の傾斜した側面410間の空間を埋める芯材を更に含んでもよい。
【0044】
充填工程が完了したら、補強工程を行う。補強工程では、図2Bに示すように、他の芯材10を覆うように、第一金属外皮2の本体部20に補強材11を取り付ける。本実施形態では、補強材11は、鋼板をL字状に折り曲げたものである。補強材11は、前後方向の長さが、本体部20と同じである。補強材11は、例えば、リベット留めによって本体部20に固定される。
【0045】
以上説明した、切除工程、折り曲げ工程、充填工程、及び補強工程をこの順に、平板状のサンドイッチパネル5に対して行うことで、図2Bに示す屈曲したコーナーパネル1が形成される。
【0046】
3.作用効果
以上説明した本実施形態のコーナーパネル1の製造方法では、第一金属外皮2の本体部20に直角に刃を入れて切断できるため、第一金属外皮2の切断が容易に行える。またこのとき、第一金属外皮2及び芯材4に対して刃を深く入れやすくて、芯材4の第一部材4aの切断も行いやすい。またこの製造方法では、第一部材4aが第二部材4bとは別の部材であるため、切断後の第一部材4aを取り除きやすい。加えてこの製造方法では、第一工程の後に行う第二工程では、第二部材4bのみを切断すればよいため、刃を入れる深さを浅くできて、第二部材4bの切断も容易に行える。したがって、この製造方法では、平板状のサンドイッチパネル5を屈曲したコーナーパネル1へとより加工しやすい。
【0047】
また、本実施形態のコーナーパネル1の製造方法では、第二部材4bにV字状の溝41を形成するため、溝41を矩形状等のその他の形状に形成する場合に比べて第二部材4bの切除量を抑えることができる。
【0048】
また、本実施形態のコーナーパネル1の製造方法では、第二部材4bのうち溝41が形成される部分は、第二金属外皮3に対して非接着であるため、上記部分を切断した後、この部分を取り除きやすい。また、第二部材4bに対して刃を入れた際に、刃が接着剤に当たって第二部材4bの切断の妨げとなることを抑制できる。
【0049】
また、本実施形態のコーナーパネル1の製造方法では、充填工程において、第一部材4a及び第三部材4cの切除によって形成された空間に、他の芯材10を挿入して、前記空間を埋めることができる。そのため、コーナーパネル1の金属外皮2,3の内側に、芯材が充填されない空間が生じることを抑制できて、耐火性を確保しやすい。
【0050】
また、本実施形態のコーナーパネル1の製造方法では、補強工程において、他の芯材10を覆うように、第一金属外皮2の本体部20に補強材11を取り付けることができる。そのため、補強材11によって他の芯材10が露出することを防ぐことができ、かつ補強材11によって一部切除された第一金属外皮2の本体部20を補強することができる。
【0051】
また、本実施形態のコーナーパネル1の製造方法では、第一部材4aは、第一金属外皮2の本体部20に接着されているため、切断後の本体部20の一部を取り除く際に、本体部20と一緒に第一部材4aを取り除くことができて、作業性の向上が図れる。
【0052】
また、一本実施形態のコーナーパネル1の製造方法では、第二金属外皮3の側壁部31の一部が、切欠き310と、切欠き310を挟むように位置する一対の重ね部311と、を有する。そして、サンドイッチパネル5を折り曲げた状態において、一対の重ね部311が互いに重なり合う。そのため、コーナーパネル1の前後の端面における止水性の向上を図ることができる。
【0053】
4.変形例
以上説明した本実施形態のコーナーパネル1の製造方法の変形例について説明する。なお、以下に示す各変形例は適宜組み合わせ可能である。
【0054】
サンドイッチパネル5は、図1A図4A及び図4Bに示す構造に限定されない。サンドイッチパネル5は、互いに対向する金属外皮2,3の間に芯材4を有し、かつ芯材4が第一部材4aと第二部材4bを含むものであればよい。例えば、芯材4は、第三部材4cを含まず、第一部材4aと第二部材4bが、サンドイッチパネル5の幅方向の全体にわたって位置してもよい。
【0055】
また、芯材4の第一部材4aは、第二部材4bとは別の部材であればよく、第二部材4bとは材質が異なってもよい。第一部材4aは、例えば、ウレタンフォーム、フェノールフォーム等の発泡材で形成されてもよい。また、第二部材4bは、切除される予定の部分だけ、上記発泡材で形成されてもよい。なお、第一部材4aは、発泡材に限らず、第二部材4bや第三部材4cよりも安価な他の材料で形成されたものであってもよい。また、第二部材4bの切除予定部分も同様である。また、第一部材4aと第二部材4bとは、互いに別の部材であればよく、接着剤等で仮固定されていなくてもよい。
【0056】
また、切除工程の第二工程は、芯材4の第二部材4bに刃を入れて切除する工程であればよく、溝41の形状は、V字状に限定されない。例えば、溝41は、矩形状に設けてもよい。
【0057】
また、第二部材4bのうち溝41が形成される部分は、第二金属外皮3に対して接着されていてもよい。
【0058】
また、本実施形態の製造方法は、折り曲げ工程の後に行う充填工程を備えなくてもよい。切除工程では、サンドイッチパネル5を折り曲げた状態において、金属外皮2,3間に空いた空間が形成されないように、芯材4を切除してもよい。
【0059】
また、第二金属外皮3は、サンドイッチパネル5の厚み方向に対して直交する方向に芯材4を覆う側壁部31を有さなくてもよく、また、側壁部31の一部は、切欠き310と、一対の重ね部311と、を有さなくてもよい。
【0060】
(まとめ)
以上説明した一実施形態及びその変形例のように、第一態様のコーナーパネル1の製造方法は、下記の構成を備える。
【0061】
すなわち、第一態様のコーナーパネル1の製造方法は、切除工程と折り曲げ工程とを備える。切除工程では、互いに対向する第一金属外皮2と第二金属外皮3の間に芯材4を挟んだ平板状のサンドイッチパネル5の、第一金属外皮2の一部と芯材4の一部を切除する。折り曲げ工程では、切除後のサンドイッチパネル5を折り曲げて、屈曲したコーナーパネル1を形成する。芯材4は、第一金属外皮2に対向する第一部材4aと、第一部材4aとは別の部材であり、第二金属外皮3に対向する第二部材4bと、を含む。切除工程は、第一金属外皮2に対してサンドイッチパネル5の厚み方向に刃を入れて、第一金属外皮2の一部と芯材4の第一部材4aを切除する第一工程と、芯材4の第二部材4bに刃を入れて切除する第二工程とを、含む。
【0062】
上記構成を備える第一態様のコーナーパネル1の製造方法では、第一工程において、第一金属外皮2に対してサンドイッチパネル5の厚み方向に刃を入れて、第一金属外皮2を切断できるため、第一金属外皮2の切断が容易に行える。またこのとき、第一金属外皮2及び芯材4に対して刃を深く入れやすくて、芯材4の第一部材4aの切断も行いやすい。またこの製造方法では、第一部材4aが第二部材4bとは別の部材であるため、切断後の第一部材4aを取り除きやすい。加えてこの製造方法では、第一工程の後に行う第二工程では、第二部材4bのみを切断すればよいため、刃を入れる深さを浅くできて、第二部材4bの切断も容易に行える。したがって、この製造方法では、平板状のサンドイッチパネル5を屈曲したコーナーパネル1へとより加工しやすい。
【0063】
また、上述した一実施形態及びその変形例のように、第二態様のコーナーパネル1の製造方法は、第一態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0064】
すなわち、第二態様のコーナーパネル1の製造方法では、第二工程は、前記厚み方向に対して交差する方向に刃を入れて、第二部材4bにV字状の溝41を形成する工程である。
【0065】
上記構成を備える第二態様のコーナーパネル1の製造方法では、第二部材4bにV字状の溝41を形成することで、サンドイッチパネル5の折り曲げのために必要な切除量を出来るだけ抑えることができる。
【0066】
また、上述した一実施形態及びその変形例のように、第三態様のコーナーパネル1の製造方法は、第二態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0067】
すなわち、第三態様のコーナーパネル1の製造方法では、第二部材4bのうち溝41が形成される部分は、第二金属外皮3に対して非接着である。
【0068】
上記構成を備える第三態様のコーナーパネル1の製造方法では、切除工程の第二工程において、第二部材4bのうち溝41が形成される部分を切除した後、この部分を取り除きやすい。また、第二部材4bに対して刃を入れた際に、刃が接着剤に当たって第二部材4bの切断の妨げとなることを抑制できる。
【0069】
また、上述した一実施形態及びその変形例のように、第四態様のコーナーパネル1の製造方法は、第一から第三のいずれか1つの態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0070】
すなわち、第四態様のコーナーパネル1の製造方法は、折り曲げ工程の後に行う充填工程を更に備える。充填工程では、第一部材4aの切除によって形成された空間に、他の芯材10を挿入して、前記空間を埋める。
【0071】
上記構成を備える第四態様のコーナーパネル1の製造方法では、第一部材4aの切除によって形成された空間を、他の芯材10で埋めることができて、コーナーパネル1の内側に、芯材が充填されない空間が生じることを抑制できる。
【0072】
また、上述した一実施形態及びその変形例のように、第五態様のコーナーパネル1の製造方法は、第四態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0073】
すなわち、第五態様のコーナーパネル1の製造方法は、充填工程の後に行う補強工程を更に備える。補強工程では、他の芯材10を覆うように、第一金属外皮2に補強材11を取り付ける。
【0074】
上記構成を備える第五態様のコーナーパネル1の製造方法では、補強材11によって他の芯材10が露出することを防ぐことができ、かつ補強材11によって一部切除された第一金属外皮2を補強することができる。
【0075】
また、上述した一実施形態及びその変形例のように、第六態様のコーナーパネル1の製造方法は、第一から第五のいずれか1つの態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0076】
すなわち、第六態様のコーナーパネル1の製造方法では、第一部材4aは、第一金属外皮2に接着されている。
【0077】
上記構成を備える第六態様のコーナーパネル1の製造方法では、切断後の第一金属外皮2の一部を取り除く際に、第一金属外皮2と一緒に第一部材4aを取り除くことができる。
【0078】
また、一実施形態及びその変形例のように、第七態様のコーナーパネル1の製造方法は、第一から第六のいずれか1つの態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0079】
すなわち、第七態様のコーナーパネル1の製造方法では、第二金属外皮3は、前記厚み方向に芯材4を覆う本体部30と、前記厚み方向に対して直交する方向に芯材4を覆う側壁部31と、を有する。側壁部31の一部は、切欠き310と、切欠き310を挟むように位置し、サンドイッチパネル5を折り曲げた状態において互いに重なり合う一対の重ね部311と、を有する。
【0080】
上記構成を備える第七態様のコーナーパネル1の製造方法では、サンドイッチパネル5を折り曲げた状態において、第二金属外皮3の側壁部31の一対の重ね部311が互いに重なり合うため、止水性の向上を図ることができる。
【0081】
また、一実施形態の変形例のように、第八態様のコーナーパネル1の製造方法は、第一から第七のいずれか1つの態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0082】
すなわち、第八態様のコーナーパネル1の製造方法では、第一部材4aは、発泡材を含み、第二部材4bは、繊維状無機材を含む。
【0083】
上記構成を備える第八態様のコーナーパネル1の製造方法では、芯材4のうち、切除される部分を軽量で安価な発泡材で形成できるため、第一部材4aの除去作業が簡単に行えるうえ、コーナーパネル1の製造コストを抑えることができる。
【0084】
以上、本開示を添付図面に示す実施形態に基づいて説明したが、本開示は上記の各実施形態に限定されるものではなく、本開示の意図する範囲内であれば、適宜の設計変更が可能である。
【符号の説明】
【0085】
1 コーナーサンドイッチパネル
2 第一金属外皮
3 第二金属外皮
30 本体部
31 側壁部
310 切欠き
311 重ね部
4 芯材
4a 第一部材
4b 第二部材
41 溝
5 サンドイッチパネル
10 他の芯材
11 補強材
図1
図2
図3
図4