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  • 特開-糸付着装置 図1
  • 特開-糸付着装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022928
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】糸付着装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 65/02 20060101AFI20240214BHJP
【FI】
B29C65/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022126382
(22)【出願日】2022-08-08
(71)【出願人】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】立居 卓志
【テーマコード(参考)】
4F211
【Fターム(参考)】
4F211AA04
4F211AA24
4F211AA29
4F211AC02
4F211AC03
4F211AD03
4F211AD16
4F211AG14
4F211AH20
4F211AP08
4F211AR07
4F211AR09
4F211AR14
4F211TA13
4F211TC21
4F211TD20
4F211TJ11
4F211TJ14
4F211TN09
4F211TQ03
(57)【要約】
【課題】作業性を向上させつつ省スペース化が可能となる技術を提供する。
【解決手段】糸付着装置1は、糸供給部2から繰り出される細糸Sを、所定の方向に移動するゴムシートGの表面g1に付着させる装置である。糸付着装置1は、ゴムシートGの表面g1に対して離間した離間位置と、ゴムシートGの表面g1との間に介在する細糸Sを表面g1に付着させる押圧位置と、の間を移動可能な押圧ローラ8aと、糸供給部2からの細糸Sが導入される導入口4a、及び、押圧ローラ8aの近傍へ細糸Sを排出する排出口4bを有する管路4と、細糸Sを導入口4aから排出口4bまで搬送するための気流を管路4内に発生させる気流発生部6と、を備える。排出口4bは、離間位置の押圧ローラ8aと表面g1との間の空間へ向けて前記気流を排出することで、細糸Sを前記空間へ誘導する誘導気流を形成する形成部4b2を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
糸供給部から繰り出される細糸を、所定の方向に移動するゴムシートの表面に付着させる糸付着装置であって、
前記ゴムシート表面に対して離間した離間位置と、前記ゴムシート表面との間に介在する前記細糸を前記ゴムシート表面に付着させる押圧位置と、の間を移動可能な押圧ローラと、
前記糸供給部からの前記細糸が導入される導入口、及び、前記押圧ローラの近傍へ前記細糸を排出する排出口を有する管路と、
前記細糸を前記導入口から前記排出口まで搬送するための気流を前記管路内に発生させる気流発生部と、
を備え、
前記排出口は、前記離間位置の前記押圧ローラと前記ゴムシート表面との間の空間へ向けて前記気流を排出することで、前記細糸を前記空間へ誘導する誘導気流を形成する形成部を備える
糸付着装置。
【請求項2】
前記押圧ローラの下流側に配置され、前記ゴムシート表面に付着した前記細糸を押圧する高温ローラをさらに備える
請求項1に記載の糸付着装置。
【請求項3】
前記形成部と、前記押圧ローラとの間に設けられ、前記排出口から排出される前記細糸を挟持する挟持部をさらに備える
請求項1又は2に記載の糸付着装置。
【請求項4】
前記糸供給部と前記導入口との間に配置され前記細糸が巻き掛けられるガイドローラと、
前記ガイドローラの回転を検出する検出部と、をさらに備える
請求項1又は2に記載の糸付着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、糸付着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空気入りタイヤの製造工程は、タイヤの部品として用いられるゴムシートに、識別糸等の細糸を付着させる工程を含むことがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-84709号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ゴムシートに細糸を付着させる工程において、細糸はローラを用いてゴムシート表面に押圧される。ゴムシート表面に押圧された細糸は、ゴムシートの粘着力又はローラによる加熱によってゴムシート表面に付着する。
前記工程では、まず、糸供給部から延びる細糸の先端をゴムシート表面とローラとの間に誘導し、細糸をゴムシートとローラとの間に介在させる。その後、ゴムシートを一定の方向に移動させつつ、ローラによって細糸をゴムシート表面に押圧する。先端がゴムシート表面に付着することで、細糸はゴムシートの移動に伴って糸供給部から繰り出される。
【0005】
ここで、細糸は、一般に柔軟である。このため、作業者が手作業で細糸の先端をゴムシート表面とローラとの間に誘導する必要があり、作業性が良好であるとは言えなかった。
さらに、細糸を当該細糸が繰り出される糸供給部からローラ近傍まで案内するためには、多数の搬送ロールを設置する必要があり、細糸の搬送経路を設けるために多くのスペースを要するという問題も有していた。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、作業性を向上させつつ省スペース化が可能となる技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る装置は、糸供給部から繰り出される細糸を、所定の方向に移動するゴムシートの表面に付着させる糸付着装置である。糸付着装置は、前記ゴムシート表面に対して離間した離間位置と、前記ゴムシート表面との間に介在する前記細糸を前記ゴムシート表面に付着させる押圧位置と、の間を移動可能な押圧ローラと、前記糸供給部からの前記細糸が導入される導入口、及び、前記押圧ローラの近傍へ前記細糸を排出する排出口を有する管路と、前記細糸を前記導入口から前記排出口まで搬送するための気流を前記管路内に発生させる気流発生部と、を備える。前記排出口は、前記離間位置の前記押圧ローラと前記ゴムシート表面との間の空間へ向けて前記気流を排出することで、前記細糸を前記空間へ誘導する誘導気流を形成する形成部を備える。
【0008】
上記構成によれば、押圧ローラとゴムシート表面との間の空間に細糸を誘導する誘導気流を形成する形成部を有するので、作業者が細糸を前記空間へ手作業で誘導する必要がなく、作業性を向上させることができる。
さらに、細糸は、管路によって糸供給部からゴムシートの位置まで搬送、誘導されるので、例えば、細糸を搬送ロール等で搬送する場合と比較して、省スペース化が可能となる。
このように、上記構成によれば、作業性を向上させることができる上に省スペース化が可能となる。
【0009】
上記糸付着装置において、前記押圧ローラの下流側に配置され、前記ゴムシート表面に付着した前記細糸を押圧する高温ローラをさらに備えていてもよい。
この場合、細糸をゴムシート表面により強固に付着させることができる。
【0010】
上記糸付着装置において、前記形成部と、前記押圧ローラとの間に設けられ、前記排出口から排出される前記細糸を挟持する挟持部をさらに備えていてもよい。
この場合、細糸を付着させる必要が無くなった場合に、挟持部によって細糸を挟持させることでゴムシートの移動によって細糸に作用する張力により細糸を切断し細糸の付着工程を停止させることができる。
【0011】
上記糸付着装置において、前記糸供給部と前記導入口との間に配置され前記細糸が巻き掛けられるガイドローラと、前記ガイドローラの回転を検出する検出部と、をさらに備えていてもよい。
この場合、検出部による出から細糸の供給が行われているか否かをモニタすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、作業性を向上させつつ省スペース化が可能となる。
ができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、実施形態に係る糸付着装置を示す図である。
図2図2は、図1の要部斜視図である。
図3図3は、糸付着装置の動作を説明するための図であり、図3(a)は、細糸の先端が排出口に到達したときの状態を示しており、図3(b)は、押圧ローラ及び高温ローラの位置を離間位置から押圧位置へ移動させたときの状態を示しており、図3(c)は、高温ローラを押圧位置に配置し、押圧ローラを離間位置に配置した状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、好ましい実施形態について図面を参照しつつ説明する。
〔糸付着装置の構成について〕
図1は、実施形態に係る糸付着装置を示す図である。
実施形態に係る糸付着装置1は、糸供給部2から繰り出される細糸Sを搬送し、ゴムシートGの表面g1に付着させる装置である。
細糸Sは、例えば、有機繊維を含む。この有機繊維としては、ポリエチレン繊維、ポリエステル繊維、及びナイロン繊維が挙げられる。また、細糸Sは、前記有機繊維とステンレス繊維とを含むものであってもよい。より具体的に、細糸Sは、ポリエチレン繊維にステンレス繊維を混ぜたものである。
糸供給部2は、例えば、細糸Sが巻き付けられたボビンを含む。
帯状のゴムシートGは、送りロールRに巻き掛けられる。ゴムシートGは、送りロールRの回転によって、図中矢印に示すように下方向(所定の方向)へ移動する。
【0015】
糸付着装置1は、管路4と、気流発生部6と、第1ローラ装置8と、第2ローラ装置10と、ガイドローラ12と、挟持装置16と、を備える。
管路4は、金属や樹脂等からなる筒状の長尺部材である。管路4は、導入口4aと、排出口4bとを有する。導入口4aと、排出口4bとは連通している。
導入口4aは、管路4の一端側に設けられる。導入口4aは、糸供給部2の近傍に配置される。導入口4aには、糸供給部2から繰り出される細糸Sが導入される。
排出口4bは、管路4の他端側に設けられる。排出口4bは第1ローラ装置8の近傍に配置される。排出口4bからは、導入口4aから導入された細糸Sが排出される。
【0016】
気流発生部6は、本体部6aと、空気供給路6bと、電磁弁6cとを備える。気流発生部6は、気流を管路4内に発生させる機能を有する。空気供給路6bは、外部のコンプレッサ等が発生した圧縮空気を本体部6aに供給するための配管である。よって、空気供給路6bの一端はコンプレッサに接続される。空気供給路6bの他端は本体部6aに接続される。
【0017】
本体部6aは、バキュームフロー等と呼ばれる吸引装置である。本体部6aは、管路4に設けられている。本体部6aは、空気供給路6bから供給される圧縮空気によって導入口4aから排出口4bへ向かって流れる気流を管路4内に発生させる。細糸Sは、この気流によって導入口4aから排出口4bまで搬送される。つまり、管路4は、細糸Sの搬送経路を構成する。
電磁弁6cは、空気供給路6bに設けられる。電磁弁6cは、本体部6aに与えられる圧縮空気を断続する機能を有する。電磁弁6cを断続させることで、本体部6aに管路4内の気流を発生させたり、停止させたりすることができる。
電磁弁6cは、糸付着装置1を操作する作業者、又は図示しない制御装置によって制御される。
【0018】
図1に示すように、ガイドローラ12は、糸供給部2と、導入口4aとの間に設けられる。ガイドローラ12には、細糸Sが巻き掛けられる。ガイドローラ12は、巻き掛けられた細糸Sを糸供給部2から導入口4aへ案内する。ガイドローラ12は、細糸Sが糸供給部2から繰り出されるのに応じて回転する。よって、ガイドローラ12の回転状態は、細糸Sの供給状態を示している。ガイドローラ12が停止していれば、細糸Sの供給は停止状態である。ガイドローラ12が所定の回転数で回転していればその回転数に応じた供給量で細糸Sが供給される。
【0019】
ガイドローラ12の回転は、検出部14によって検出される。検出部14は、例えば、ガイドローラ12に取り付けられた回転検出センサである。
検出部14は、前記制御装置に接続される。前記制御装置は、検出部14からの出力が与えられると、ガイドローラ12の回転状態を外部へ出力する。作業者は、制御装置が出力するガイドローラ12の回転状態から細糸Sの供給が行われているか否かをモニタすることができる。
【0020】
第1ローラ装置8は、送りロールRの外周側に配置されている。第1ローラ装置8は、押圧ローラ8aと、アクチュエータ8bとを有する。
押圧ローラ8aは、円筒状の部材である。押圧ローラ8aは、回転自在にアクチュエータ8bに保持される。押圧ローラ8aは、前記押圧ローラ8aの中心軸と送りロールRの中心軸とが平行となるように、アクチュエータ8bに保持される。
【0021】
アクチュエータ8bは、シャフト8b1を出退させることで、押圧ローラ8aを送りロールRの径方向に沿って移動させる。
アクチュエータ8bは、押圧ローラ8aを離間位置と、押圧位置との間で移動させることができる。
離間位置とは、押圧ローラ8aがゴムシートGの表面g1に対して離間した位置である。押圧位置とは、ゴムシートGの表面g1との間に介在する細糸Sを表面g1に付着させる位置である。押圧位置では、押圧ローラ8aの表面と、ゴムシートGの表面g1とは接触する。
アクチュエータ8bは、作業者又は前記制御装置によって制御される。
【0022】
第2ローラ装置10は、送りロールRの外周側に配置されている。第2ローラ装置10は、ゴムシートGの移動方向を基準としたときに、第1ローラ装置8の下流側に配置されている。
第2ローラ装置10は、高温ローラ10aと、アクチュエータ10bとを有する。
高温ローラ10aは、円筒状の部材である。高温ローラ10aは、回転自在にアクチュエータ10bに保持される。高温ローラ10aは、前記高温ローラ10aの中心軸と送りロールRの中心軸とが平行となるように、アクチュエータ10bに保持される。
また、第2ローラ装置10は、ヒータ10cを有する。ヒータ10cは、高温ローラ10aを加熱する機能を有する。
押圧ローラ8aは常温で用いられる一方、高温ローラ10aは、ヒータ10cによって、例えば、約90度に加熱されて用いられる。
【0023】
アクチュエータ10bは、シャフト10b1を出退させることで、高温ローラ10aを送りロールRの径方向に沿って移動させる。
アクチュエータ10bは、高温ローラ10aを離間位置と、押圧位置との間で移動させることができる。
離間位置とは、高温ローラ10aがゴムシートGの表面g1に対して離間した位置である。押圧位置とは、ゴムシートGの表面g1との間に介在する細糸Sを表面g1に付着させる位置である。押圧位置では、高温ローラ10aの表面と、ゴムシートGの表面g1とは接触する。
アクチュエータ10bは、作業者又は前記制御装置によって制御される。
【0024】
図1に示すように、挟持装置16(挟持部)は、管路4の排出口4bと、第1ローラ装置8との間に設けられる。
図2は、図1の要部斜視図である。なお、図2では、理解を容易にするために、ローラ装置8,10についてはローラ8a,10aのみを示している。
図1及び図2に示すように、挟持装置16は、ブラケット16aと、アクチュエータ16bと、一対の挟持部材16cと、を有する。
ブラケット16aは、アクチュエータ16bと糸付着装置1周辺のフレーム等とを連結する棒状の部材である。ブラケット16aは、アクチュエータ16b及び一対の挟持部材16cを所定の位置に支持する。
【0025】
一対の挟持部材16cは、上下方向に沿って互いに平行に配置された棒状の部材である。一対の挟持部材16cは、送りロールRの中心軸に平行な方向に沿って並べられている。
一対の挟持部材16cは、排出口4bに隣接配置されている。また、一対の挟持部材16cは、排出口4bから排出される細糸Sの側方に配置される。つまり、排出口4bから排出される細糸Sは、一対の挟持部材16cの間を通過する。
【0026】
一対の挟持部材16cは、アクチュエータ16bに取り付けられている。
アクチュエータ16bは、一対の挟持部材16c同士が接触又は離間するように一対の挟持部材16cを送りロールRの中心軸に平行な方向に沿って移動させる機能を有する。
アクチュエータ16bは、一対の挟持部材16c同士を接触させることで、一対の挟持部材16cに細糸Sを挟持させることができる。
アクチュエータ16bは、作業者又は前記制御装置によって制御される。
【0027】
図1及び図2に示すように、排出口4bは、排出口本体4b1と、形成部4b2と、を有する。
形成部4b2は、管路4の他端側である排出口本体4b1に設けられている。
形成部4b2は、押圧ローラ8aとゴムシートGの表面g1との間の空間へ向けて管路4内の気流を排出するノズルである。なお、形成部4b2は、排出口本体4b1に一体で設けられてもよいし、別体で設けられていてもよい。
形成部4b2の先端に設けられた開口4b21からは、管路4内の気流とともに、細糸Sが排出される。
【0028】
形成部4b2は、管路4内の気流を開口4b21から排出することで、押圧ローラ8aとゴムシートGの表面g1との間の空間へ向かって流れる誘導気流を形成する。
開口4b21から排出される細糸Sは、誘導気流によって、離間位置の押圧ローラ8aとゴムシートGの表面g1との間の空間へ誘導される。
また、誘導気流によって誘導される細糸Sは、一対の挟持部材16c同士の間を通過しつつ前記空間へ誘導される。
【0029】
形成部4b2は、誘導気流が送りロールR及び押圧ローラ8aの接線に平行な方向に沿って形成されるように設けられる。これにより、押圧ローラ8aが細糸SをゴムシートGに対して効率よく押圧することができる位置に細糸Sを誘導することができる。
【0030】
〔糸付着工程について〕
次に、糸付着装置1を用いた糸付着工程について説明する。
糸付着装置1を用いてゴムシートGに細糸Sを付着させる糸付着工程では、まず、気流発生部6の電磁弁6cを開放することで、管路4内に気流を発生させる。
次いで、糸供給部2から細糸Sを繰り出し、細糸Sをガイドローラ12に巻き掛けた上で、細糸Sの先端を管路4の導入口4aへ挿入し、細糸Sを管路4内に導入する。
その後、管路4内の細糸Sは気流によって搬送され、細糸Sの先端が排出口4bに到達する。
【0031】
図3は、糸付着装置1の動作を説明するための図であり、図3(a)は、細糸Sの先端S1が排出口4bに到達したときの状態を示している。
図3(a)に示すように、排出口4bに到達した細糸Sの先端S1は、誘導気流によって、押圧ローラ8aとゴムシートGの表面g1との間の空間へ誘導される。
このとき、第1ローラ装置8の押圧ローラ8aの位置、及び第2ローラ装置10の高温ローラ10aの位置は、離間位置である。
【0032】
先端S1が押圧ローラ8aとゴムシートGの表面g1との間の空間へ誘導されると、作業者は、第1ローラ装置8及び第2ローラ装置10を動作させ、押圧ローラ8a及び高温ローラ10aの位置を離間位置から押圧位置へ移動させる。
図3(b)は、押圧ローラ8a及び高温ローラ10aの位置を離間位置から押圧位置へ移動させたときの状態を示している。
図3(b)では、ゴムシートGの表面g1と、押圧ローラ8aとは接触している。また、ゴムシートGの表面g1と、高温ローラ10aとは接触している。
【0033】
押圧ローラ8aは、押圧ローラ8aとゴムシートGの表面g1との間の空間へ誘導された細糸Sの先端S1を押圧することで、ゴムシートGの粘着力のみに依存して細糸Sを表面g1に付着させる。
押圧ローラ8aによって表面g1に付着された細糸S(の先端S1)は、ゴムシートGの移動に伴って、高温ローラ10aの位置に到達する。
高温ローラ10aの位置に到達すると、細糸Sは、高温ローラ10aによって再度押圧される。
高温ローラ10aは、押圧ローラ8aよりも高温で細糸Sを押圧するので、細糸Sを表面g1により強固に付着させることができる。
【0034】
細糸Sの先端S1を表面g1に付着させると、気流発生部6は停止される。細糸Sの先端S1が表面g1に付着すれば、ゴムシートGの移動によって、細糸Sは引っ張られ、糸供給部2から繰り出される。細糸Sは、ゴムシートGによって引っ張られることで、管路4内を通過して、ゴムシートG及び第2ローラ装置10の位置まで継続的に搬送、供給される。このように、管路4内の気流が無くても細糸Sは搬送されるので、気流発生部6は停止される。
【0035】
細糸Sの先端S1が表面g1に付着すれば、第1ローラ装置8を動作させ、押圧ローラ8aを押圧位置から離間位置へ移動させる。
図3(c)は、高温ローラ10aを押圧位置に配置し、押圧ローラ8aを離間位置に配置した状態を示している。
押圧ローラ8aは、高温ローラ10aに細糸Sを付着させるために、細糸Sを仮に付着させるためのローラである。このため、高温ローラ10aによる付着が開始されると、作業者又は前記制御装置は、押圧ローラ8aを押圧位置から離間位置へ移動させる。
図3(c)に示す状態で、糸付着工程は継続的に実行される。
【0036】
細糸Sを付着させる必要が無くなった場合、図3(c)に示す状態のときに、挟持装置16を動作させ、一対の挟持部材16cによって細糸Sを挟持する。
一対の挟持部材16cによって挟持された細糸Sは、それ以上の繰り出しが停止される。その一方、細糸SにはゴムシートGの移動によって張力が与えられる。この結果、細糸Sは、一対の挟持部材16cよりも下流側の部分で断裂する。細糸Sを断裂させることで、糸付着工程を停止させることができる。
【0037】
上記構成の糸付着装置1によれば、押圧ローラ8aとゴムシートGの表面g1との間の空間に細糸Sを誘導する誘導気流を形成する形成部4b2を有するので、作業者が細糸Sを前記空間へ手作業で誘導する必要がなく、作業性を向上させることができる。
さらに、細糸Sは、管路4によって糸供給部2からゴムシートG及び第2ローラ装置10の位置まで搬送、誘導されるので、例えば、細糸Sを搬送ロール等で搬送する場合と比較して、省スペース化が可能となる。
このように、上記構成によれば、作業性を向上させることができる上に省スペース化が可能となる。
【0038】
今回開示した実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。
上記実施形態では、気流発生部6を1つ有する場合を例示したが、気流発生部6は、管路4に対して複数設けてもよい。この場合、管路4の長さをより延長した場合においても、気流の流速が低下するのを抑制でき、細糸Sの搬送が可能な気流を維持することができる。
本発明の権利範囲は、上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された構成と均等の範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0039】
1 糸付着装置
2 糸供給部
4 管路
4a 導入口
4b 排出口
4b1 排出口本体
4b2 形成部
4b21 開口
6 気流発生部
6a 本体部
6b 空気供給路
6c 電磁弁
8 第1ローラ装置
8a 押圧ローラ
8b アクチュエータ
8b1 シャフト
10 第2ローラ装置
10a 高温ローラ
10b アクチュエータ
10b1 シャフト
10c ヒータ
12 ガイドローラ
14 検出部
16 挟持装置
16a ブラケット
16b アクチュエータ
16c 挟持部材
G ゴムシート
R 送りロール
S 細糸
S1 先端
g1 表面
図1
図2
図3