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特開2024-22935送風機構及び送風機構を備えた風力発電装置
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  • 特開-送風機構及び送風機構を備えた風力発電装置 図1
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  • 特開-送風機構及び送風機構を備えた風力発電装置 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022935
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】送風機構及び送風機構を備えた風力発電装置
(51)【国際特許分類】
   F03D 1/04 20060101AFI20240214BHJP
   F03D 7/02 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
F03D1/04 A
F03D7/02
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022126390
(22)【出願日】2022-08-08
(71)【出願人】
【識別番号】522316087
【氏名又は名称】谷口 允宏
(71)【出願人】
【識別番号】522316098
【氏名又は名称】谷口 崇敬
(71)【出願人】
【識別番号】522316618
【氏名又は名称】松田 明彦
(74)【代理人】
【識別番号】100172225
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 宏行
(72)【発明者】
【氏名】谷口 允宏
(72)【発明者】
【氏名】谷口 崇敬
(72)【発明者】
【氏名】松田 明彦
【テーマコード(参考)】
3H178
【Fターム(参考)】
3H178AA03
3H178AA40
3H178AA43
3H178BB35
3H178BB46
3H178DD12Z
3H178DD29X
3H178DD52X
3H178DD54X
3H178EE02
3H178EE16
3H178EE23
(57)【要約】
【課題】強風による悪影響を効果的に低減するとともに、さまざまな方向からの風によって送風、発電することのできる送風機構及び送風機構を備えた風力発電装置を提供することを目的とする。
【解決手段】送風機構は、垂直な軸まわりに水平回転するブレード3と、上面が開口しブレード3を収容する収容部4と、外気を収容部4に供給する複数の外気供給部と、外気供給部を通じて収容部4に供給する風量を調整する風量調整部と、を備え、複数の外気供給部は平面視して、収容部4の周囲に配置される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直な軸まわりに水平回転するブレードと、
上面が開口し前記ブレードを収容する収容部と、
外気を前記収容部に供給する複数の外気供給部と、
前記外気供給部を通じて前記収容部に供給する風量を調整する風量調整部と、を備え、
複数の前記外気供給部は平面視して、前記収容部の周囲に配置される、送風機構。
【請求項2】
前記外気供給部は、複数の外気取り込み口と、複数の前記外気取り込み口から取り入れた外気が集められる集風部と、前記収容部と連通し前記集風部に集められた外気を前記収容部に供給する管路と、を備える、請求項1に記載の送風機構。
【請求項3】
前記風量調整部は、前記外気取り込み口を開閉自在な第1のシャッター部材と、前記管路と前記収容部の連結口を開閉自在な第2のシャッター部材と、前記外気取り込み口の近傍における風速を計測する風速センサと、前記風速センサによる検知結果に基づいて前記シャッター部材を制御する制御部と、を備えた請求項1または2に記載の送風機構。
【請求項4】
複数の前記外気供給部は、前記管路と接続された連結管を介して連結されている、請求項1または2に記載の送風機構。
【請求項5】
請求項1または2の何れかに記載の送風機構を備えた風力発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送風機構及び送風機構を備えた風力発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、風力発電装置に風車を用いるものが多いが、台風や強風などによって風車のブレードの破片の飛散や、ブレードの破片の他部品への衝突などの事故を引き起こす可能性がある。その結果、風力発電装置の故障や運転停止などに繋がる。そこで特許文献1には、ブレードの異常を判定する異常判定装置、風力発電装置、およびその異常判定方法についての開示がされている。また、特許文献1の風力発電装置は、風車のような機構であるので、ある一定方向の風であれば、効率的に電力を発電することができると言える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-148196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、いくら異常判定が効果的にできたとしても、根本的に、特許文献1の構造の風力発電装置では、強風による破損や事故の防止が難しい。また、季節や時間によってさまざまな方向に風向きが変わる場所では、効率的な発電も難しい。
【0005】
そこで本発明は、強風による悪影響を効果的に低減するとともに、さまざまな方向からの風によって送風、発電することのできる送風機構及び送風機構を備えた風力発電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の送風機構は、垂直な軸まわりに水平回転するブレードと、上面が開口し前記ブレードを収容する収容部と、外気を前記収容部に供給する複数の外気供給部と、前記外気供給部を通じて前記収容部に供給する風量を調整する風量調整部と、を備え、複数の前記外気供給部は平面視して、前記収容部の周囲に配置される。
【0007】
本発明の風力発電装置は、請求項1または2の何れかに記載の送風機構を備えた。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、強風による悪影響を効果的に低減するとともに、さまざまな方向からの風によって送風、発電することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施の形態の送風機構及び送風機構を備えた風力発電装置を上から見た説明図
図2】本発明の一実施の形態の送風機構及び送風機構を備えた風力発電装置の図1におけるA-A’断面の説明図
図3】本発明の一実施の形態の送風機構及び送風機構を備えた風力発電装を横から見た説明図
図4】本発明の一実施の形態の送風機構及び送風機構を備えた風力発電装の一部の構成を示す図
図5】本発明の一実施の形態の送風機構及び送風機構を備えた風力発電装の制御部のフロー図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に図を用いて、本発明の一実施の形態を詳細に説明する。以下で述べる構成、形状等は説明のための例示であって送風機、風力発電装置などの仕様に応じ、適宜変更が可能である。以下では、全ての図面において対応する要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0011】
図1は、本発明の一実施の形態の送風機構及び送風機構を備えた風力発電装置を上から見た説明図である。図2は、図1におけるA-A’断面の説明図である。図3は、本発明の一実施の形態の送風機構及び送風機構を備えた風力発電装を横から見た説明図である。図4は、本発明の一実施の形態の送風機構及び送風機構を備えた風力発電装の一部の構成図である。
【0012】
図1~4において、風力発電装置1は、送風機構2を備える。送風機構2は、垂直な軸まわりに水平回転するブレード3と、上面が開口しブレード3を収容する収容部4と、外気を収容部4に供給する複数の外気供給部と、この外気供給部を通じて収容部4に供給する風量を調整する風量調整部と、を備える。外気供給部は、少なくとも1つの外気取り込み口5を備え、集風部6、管路7を含んでも良い。
【0013】
風量調整部は、少なくとも1つのシャッター部材8を備え、風速センサ9、制御部10を含んでも良い。制御部10はシャッター部材8と風速センサ9の制御を行うと良い。制御部10は、図4のように、ブレード3の回転制御を行なっても良いし、それぞれの構成要素の1つまたは複数に、個別の制御部10を設けても良い。
【0014】
複数の外気供給部は平面視して、収容部4の周囲に配置される。風力発電装置1は、図2の増速機21、発電機22、送電線23を含むと良いが、制御部10が、増速機21、発電機22、送電線23を制御しても良い。
【0015】
ブレード3は、一般的な風力発電用の3枚羽のブレードである。ブレード3を含む風車の種類は、プロペラ型、セルウィング型、オランダ型、多翼型といった水平軸型や、ダリウス型、ジャイロミル型、直線翼型、サボニウス型、バドル型、クロスフロー型、S型ローター型と入った垂直型であっても良い。ブレード3の回転数(最大回転数)や回転の有無については、制御部10が制御しても良い。ブレード3の羽は、少なくとも1つあれば良いが、安定性のある3枚羽が好ましい。
【0016】
収容部4は、ブレード3を少なくとも一つ収容する。図2のように、水平に回転する3つのブレード3を垂直方向において重なるように配置しても良い。上部には開口部が設けられるとよく、図1では、収容部4の上部の一部に貫通孔11が設けられおり、ブレード3によって送り出される風を外側に向かって通すことができる。もちろん、貫通孔11を設けるのではなく、上部をすべて開口させても良い。
【0017】
図1~3において、外気取り込み口5は、四方それぞれに3列3行で9つずつ設けられている。外気取り込み口5は、送風機構2を上から見て、少なくとも二方向(図1~3では四方向)から収容部4を囲むように設けられ、各方向において、少なくとも1つ(図1~3では9つ)設けられると良い。
【0018】
図2のように、外気取り込み口5はテーパー形状にしてもよく、それによって取り込まれる外気の風速が外気取り込み口5を通る間に上がって、風力発電の効果を上げることができる。もちろん、断面積が一定である筒状形状にしても良い。
【0019】
外気取り込み口5を収容部4の周りの少なくとも二方向、好ましくは三方向以上に設けることによって、風力発電装置1(送風機構2)は、一方向の風だけではなく、多方向からの風を効果的に風力発電に活かすことができる。
【0020】
外気取り込み口5から取り込まれた風は、集風部6、管路7、連結管12、シャッター部材8を通って、収容部4に入る。その風がブレード3を回転させることで、風力発電が可能となる。
【0021】
集風部6は、各方向に設けられる1つまたは複数の外気取り込み口5から取り込まれた風(外気)を集める場所、空間である。図3のように、外気取り込み口5は集風部6のある一面に並んで設けられるようにしても良い。ある一面とは、収容部4側の側面を内側面とすると、収容部4とは反対に設けられる外側面であると良い。それによって、風力発電装置1(送風機構2)の周りを吹く風を効果的に取り込むことができる。
【0022】
管路7は、集風部6で集風された風(外気)を収容部4に供給する。管路7は、収容部4と連通する。連結管12は、複数の管路7を接続することで、複数の外気供給部(少なくとも外気取り込み口5を含む)を連結している状態である。
【0023】
複数の管路7を通る風の風量や風速は、複数の管路7を連結する連結管12によって、平均化されやすくなる。各方向からの風の風量や風速が平均化されることで、ブレード3を効率的に回転させることができる。この時、必ずしも必要ではないが、管路7と収容部4の間にシャッター部材13を設けても良い。
【0024】
シャッター部材13は図2に示す矢印a方向に移動することで、管路7と収容部4の連結口を開閉自在とする。これによって、シャッター部材13だけを閉じることで、例えば強風の際に、各方向に設けられる1つまたは複数の外気取り込み口5からの風を収容部4に送り込むのを簡単に防止することができ、収容部4に送り込まれる風量を早急に制御することができる。
【0025】
シャッター部材8は図2に示す矢印b方向に移動することで、外気取り込み口5を開閉自在とし、各外気取り込み口5に設けられるとよく、外気取り込み口5それぞれからの風を集風部6に取り込むかどうか制御することができる。シャッター部材8を開けておくことで、外気取り込み口5から風を集風部6に取り込むことができる。また、シャッター部材8を閉じることで、外気取り込み口5から風を集風部6に取り込むことを防ぐことができる。
【0026】
シャッター部材8とシャッター部材13は、その名称を「シャッター」部材としているが、その構成は「シャッター」に限られず、外気取り込み口5からの風量を0%~100%においてコントロールできるものであれば、別の構成であっても良い。また、シャッター部材8は、必ずしもすべての外気取り込み口5に取り付ける必要はない。
【0027】
シャッター部材8は、各外気取り込み口5に設けられることで、収容部4に取り込む風量を細かく制御することができる。一方のシャッター部材13は、管路7と収容部4の連結口に設けられるので、例えば台風の時など収容部4に取り込む風量を急いでゼロにしたい時などにいち早くシャッター部材13さえ閉めれば良い。
【0028】
風速センサ9は、風力発電装置1(送風機構2)の周りを吹く風の速度をセンシング(計測)する。特に、外気取り込み口5の近傍における風速を計測する。風速センサ9は複数設けられ、各方向(図1においては四方向ある)の外気取り込み口5の近傍にそれぞれ配置されると良い。それによって、各方向から風の風速を検知することができる。
【0029】
ある風速センサ9で検出された風の速度が予め決められた閾値よりも速い場合は、その風速センサ9が設けられている側の方向において強風である可能性が高いので、その方向において少なくとも一つのシャッター部材8を閉じることで、風を集風部6に取り込むことを防ぐことができる。
【0030】
例えば、北方向に設置された風速センサ9で検出された風の速度が予め決められた閾値よりも速い場合は、北方向において強風である可能性が高いので、北方向において少なくとも一つのシャッター部材8を閉じることで、風を集風部6に取り込むことを防ぐことができる。それによって、ブレード3などの破損や故障などを防ぐことができる。なお、すべての風速センサ9で検出された風の速度が予め決められた閾値よりも低い場合は、例えばすべてのシャッター部材8を開けておくと良い。
【0031】
制御部10は、図4、5の通り、風速センサ9の検知結果(計測値などの情報)を使い、ブレード3の回転、シャッター部材8の開閉を制御すると良い。ここで、制御部10におけるシャッター部材8の開閉の制御について、図5を用いて説明する。図5は、本発明の一実施の形態の送風機構及び送風機構を備えた風力発電装の制御部のフロー図である。
【0032】
S(ステップ)101において、制御部10は、各風速センサ9から、風速の計測値を受信する。S102において、制御部10は、その計測値それぞれが閾値以上であるか閾値未満であるかを判断する(閾値よりも大きいか、閾値以下であるか、の判断であっても良い)。もしどの風速センサ9の計測値も閾値未満(NO)であれば、S103において、すべてのシャッター部材8は全開状態である。
【0033】
元々すべてのシャッター部材8が全開であれば、制御部10はシャッター部材8に何も情報を送信しなくても良いし、シャッター部材8に「開」を意図する情報を送信しても良い。一方、もしこれまで少なくとも1つのシャッター部材8が閉じていたのであれば、少なくともその閉じていたシャッター部材8に「開」を意図する情報を送信する。当然、すべてのシャッター部材8に、「開」を意図する情報を送信してもよい。
【0034】
S102において、少なくとも一つの風速センサ9の計測値が閾値以上であると判断する(YES)と、制御部10はS104において、複数あるうちのどのシャッター部材8を閉じるかを決定する。すなわち、閉じるシャッター部材8の場所と数をそれぞれ決定する。特に、閾値以上であると判断された風速センサ9の近傍のシャッター部材8が閉めるシャッター部材8と選ばれると良い。そして、閉じると決定されたシャッター部材8に、「閉」を意図する情報を送信する。
【0035】
制御部10が用いる風速センサ9の計測値に対する閾値は、複数あっても良い。例えば、閾値Aより風速が低ければ、すべてのシャッター部材8は開けた状態となり、閾値A以上閾値B未満であれば、3割のシャッター部材8を閉めて7割のシャッター部材8を開ける。そして、閾値B以上閾値C未満であれば、5割のシャッター部材8を閉めて5割のシャッター部材8を開ける。このように、複数の閾値を用いて、それぞれのシャッター部材8の開閉を判断しても良い。なお、閾値は、例えば風速25m/s、30m/s、45m/sなどとすると良い。なお、図5のS102やS104の判断は、人が行っても良い。
【0036】
また、制御部10は、風力発電装置1に含まれる増速機21、発電機22、送電線23を制御しても良い。風力発電装置1は、送風機構2、増速機21、発電機22、送電線23を備えると良い。
【0037】
増速機21は、必ずしも風力発電装置1に必要ではないが、風を受けて回転しているブレード3の回転数を上げる(例えば、数十倍に増速することができる)。例えば、増速機21は、ギアを用いてブレード3の回転を発電に必要な回転数まで増幅させる。風によって生み出されたブレード3の回転速度をさらに増やすことで、発電効率を向上させることができる。
【0038】
ブレード3の回転によって発電機22も回転することで、ブレード3の回転運動(回転エネルギー)を電気に変換する。この生成された電気は、送電線23を使って、変電設備などに送られる。風力発電装置1は、送風機構2、増速機21、発電機22、送電線23を備えることで、強風による悪影響を効果的に低減するとともに、さまざまな方向からの風によって送風、発電することができる。
【0039】
本発明の実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定しない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
強風による悪影響を効果的に低減するとともに、さまざまな方向からの風によって送風、発電することのできる送風機構及び送風機構を備えた風力発電装置を提供する。
【符号の説明】
【0041】
1 風力発電装置
2 送風機構
3 ブレード
4 収容部
5 外気取り込み口
6 集風部
7 管路
8 シャッター部材
9 風速センサ
10 制御部
11 貫通孔
12 連結管
13 シャッター部材
21 増速機
22 発電機
23 送電線
図1
図2
図3
図4
図5