(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022943
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】含フッ素ポリマーおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
C08F 12/08 20060101AFI20240214BHJP
【FI】
C08F12/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022126403
(22)【出願日】2022-08-08
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 1. 第24回ヨウ素学会シンポジウム予稿集の▲9▼ 発行日 : 令和3年9月3日 2. 第24回ヨウ素学会シンポジウム 開催日 : 令和3年9月10日 3. 第70回高分子討論会予稿集の2Pc017 発行日 : 令和3年8月18日 4. 第70回高分子討論会 開催日 : 令和3年9月7日 5. 令和3年度 お茶の水女子大学修士論文審査会要旨 発行日 : 令和4年2月10日 6. 令和3年度 お茶の水女子大学修士論文審査会 開催日 : 令和4年2月10日 7. フォトポリマー懇話会第249講演会要旨 発行日 : 令和4年6月10日 8. フォトポリマー懇話会第249講演会 開催日 : 令和4年6月10日
(71)【出願人】
【識別番号】305013910
【氏名又は名称】国立大学法人お茶の水女子大学
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132252
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 環
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【弁理士】
【氏名又は名称】式見 真行
(74)【代理人】
【識別番号】100206324
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 明子
(72)【発明者】
【氏名】神原 將
(72)【発明者】
【氏名】矢島 知子
【テーマコード(参考)】
4J100
【Fターム(参考)】
4J100AB02P
4J100AB08P
4J100AM19P
4J100CA01
4J100CA27
4J100DA04
4J100FA03
4J100FA19
4J100FA28
4J100JA46
4J100JA50
4J100JA57
(57)【要約】
【課題】本開示は、多種多様な構造を有するポリマーを提供することを目的とし、好ましくは、末端に機能を有するポリマーを提供することを目的とする。また、本開示は、かかるポリマーの製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本開示の含フッ素ポリマーは、以下の式(I):
R1-X1-(RF1)r-CF2-(CH2-CR5R6)n1-T1 (I)
で表される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式(I):
R1-X1-(RF1)r-CF2-(CH2-CR5R6)n1-T1 (I)
[式(I)中、
RF1は、-(Rf)p-RF-(O)q-を表し、
Rfは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキレン基を表し、
RFは、2価のフルオロ(ポリ)エーテル基を表し、
X1は、1個またはそれ以上のハロゲン原子により置換されていてもよいC1-16アルキレン基または単結合を表し、
R1は、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC6-20芳香族炭化水素基、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいシルセスキオキサン残基、-COOR2、-OR2、-SO2R3、-CR4=CR4
2または臭素原子を表し、
R2は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基または水素原子を表し、
R3は、1個またはそれ以上のハロゲン原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基、フッ素原子または水素原子を表し、
R4は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子またはフッ素原子を表し、
R5は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-4アルキル基、フッ素原子または水素原子を表し、
R6は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC6-20芳香族炭化水素基、-CO-OR7および-CO-NR8R9から選ばれる1種を表し、
R7は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基または水素原子を表し、
R8は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基または水素原子を表し、
R9は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基または水素原子を表し、
または、R8およびR9は、それらが結合する窒素原子と一緒になって、モルホリン環を形成していてもよく、
T1は、末端基を表し、
pは、0または1であり、
qは、0または1であり、
rは、0または1であり、
n1は、1以上の整数を表す。]
で表される含フッ素ポリマー。
【請求項2】
前記式(I)が、
以下の式(I-a):
R1-X1-RF1-CF2-(CH2-CR5R6)n1-T1 (I-a)
[式(I-a)中、
RF1は、-(Rf)p-RF-(O)q-を表し、
Rfは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキレン基を表し、
RFは、2価のフルオロ(ポリ)エーテル基を表し、
X1は、1個またはそれ以上のハロゲン原子により置換されていてもよいC1-16アルキレン基または単結合を表し、
R1は、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC6-20芳香族炭化水素基、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいシルセスキオキサン残基、-COOR2、-OR2、-SO2R3、-CR4=CR4
2または臭素原子を表し、
R2は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基または水素原子を表し、
R3は、1個またはそれ以上のハロゲン原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基、フッ素原子または水素原子を表し、
R4は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子またはフッ素原子を表し、
R5は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-4アルキル基、フッ素原子または水素原子を表し、
R6は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC6-20芳香族炭化水素基、-CO-OR7および-CO-NR8R9から選ばれる1種を表し、
R7は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基または水素原子を表し、
R8は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基または水素原子を表し、
R9は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基または水素原子を表し、
または、R8およびR9は、それらが結合する窒素原子と一緒になって、モルホリン環を形成していてもよく、
T1は、末端基を表し、
pは、0または1であり、
qは、0または1であり、
n1は、1以上の整数を表す。]
で表される、請求項1に記載の含フッ素ポリマー。
【請求項3】
前記式(I)が、
以下の式(I-b):
R1-X1-CF2-(CH2-CR5R6)n1-T1 (I-b)
[式(I-b)中、
X1は、1個またはそれ以上のハロゲン原子により置換されていてもよいC1-16アルキレン基または単結合を表し、
R1は、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC6-20芳香族炭化水素基、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいシルセスキオキサン残基、-COOR2、-OR2、-SO2R3、-CR4=CR4
2または臭素原子を表し、
R2は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基または水素原子を表し、
R3は、1個またはそれ以上のハロゲン原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基、フッ素原子または水素原子を表し、
R4は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子またはフッ素原子を表し、
R5は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-4アルキル基、フッ素原子または水素原子を表し、
R6は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC6-20芳香族炭化水素基、-CO-OR7および-CO-NR8R9から選ばれる1種を表し、
R7は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基または水素原子を表し、
R8は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基または水素原子を表し、
R9は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基または水素原子を表し、
または、R8およびR9は、それらが結合する窒素原子と一緒になって、モルホリン環を形成していてもよく、
T1は、末端基を表し、
n1は、1以上の整数を表す。]
で表される、請求項1に記載の含フッ素ポリマー。
【請求項4】
以下の式(I-1a):
R31-X1-(RF1)r-CF2-(CH2-CR5R6a)n1-T1a (I-1a)
[式(I-1a)中、
RF1は、-(Rf)p-RF-(O)q-を表し、
Rfは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキレン基を表し、
RFは、2価のフルオロ(ポリ)エーテル基を表し、
X1は、1個またはそれ以上のハロゲン原子により置換されていてもよいC1-16アルキレン基または単結合を表し、
R31は、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC6-20芳香族炭化水素基、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいシルセスキオキサン残基、-COOR2、-OR2、-SO2R3、-CR4=CR4
2、フッ素原子または臭素原子を表し、
R2は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基または水素原子を表し、
R3は、1個またはそれ以上のハロゲン原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基、フッ素原子または水素原子を表し、
R4は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子またはフッ素原子を表し、
R5は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-4アルキル基、フッ素原子または水素原子を表し、
R6aは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC6-20芳香族炭化水素基を表し、
T1aは、末端基を表し、
pは、0または1であり、
qは、0または1であり、
rは、0または1であり、
n1は、1以上の整数を表す。]
または、
以下の式(I-2a):
T2a-(CR5R6a-CH2)n1-CF2-R32-(CF2)s-(CH2-CR5R6a)n1-T2a (I-2a)
[式(I-2a)中、
R5、R6aおよびn1は、各出現においてそれぞれ独立して、上記と同意義であり、
R32は、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキレン基を表し、
T2aは、末端基を表し、
sは、0または1である。]
で表される含フッ素ポリマーの製造方法であって、
以下の式(II-1):
R31-X1-(RF1)r-CF2-I (II-1)
[式(II-1)中、R31、X1、RF1およびrは、上記と同意義である。]
または、
以下の式(II-2):
I-CF2-R32-(CF2)s-I (II-2)
[式(II-2)中、R32およびsは、上記と同意義である。]
で表される化合物と、
以下の式(III-a):
CH2=CR5R6a (III-a)
[式(III-a)中、R5およびR6aは、上記と同意義である。]
で表される化合物とを、50℃以上の反応温度で、アミン化合物の存在下、光照射下で反応させることを含む、製造方法。
【請求項5】
以下の式(I-1b):
R31-X1-(RF1)r-CF2-(CH2-CR5R6b)n1-T1b (I-1b)
[式(I-1b)中、
RF1は、-(Rf)p-RF-(O)q-を表し、
Rfは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキレン基を表し、
RFは、2価のフルオロ(ポリ)エーテル基を表し、
X1は、1個またはそれ以上のハロゲン原子により置換されていてもよいC1-16アルキレン基または単結合を表し、
R31は、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC6-20芳香族炭化水素基、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいシルセスキオキサン残基、-COOR2、-OR2、-SO2R3、-CR4=CR4
2、フッ素原子または臭素原子を表し、
R2は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基または水素原子を表し、
R3は、1個またはそれ以上のハロゲン原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基、フッ素原子または水素原子を表し、
R4は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子またはフッ素原子を表し、
R5は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-4アルキル基、フッ素原子または水素原子を表し、
R6bは、各出現においてそれぞれ独立して、-CO-OR7および-CO-NR8R9から選ばれる1種を表し、
R7は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基または水素原子を表し、
R8は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基または水素原子を表し、
R9は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基または水素原子を表し、
または、R8およびR9は、それらが結合する窒素原子と一緒になって、モルホリン環を形成していてもよく、
T1bは、末端基を表し、
pは、0または1であり、
qは、0または1であり、
rは、0または1であり、
n1は、1以上の整数を表す。]
または、
以下の式(I-2b):
T2b-(CR5R6b-CH2)n1-CF2-R32-(CF2)s-(CH2-CR5R6b)n1-T2b (I-2b)
[式(I-2b)中、
R5、R6bおよびn1は、各出現においてそれぞれ独立して、上記と同意義であり、
R32は、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキレン基を表し、
T2bは、末端基を表し、
sは、0または1である。]
で表される含フッ素ポリマーの製造方法であって、
以下の式(II-1):
R31-X1-(RF1)r-CF2-I (II-1)
[式(II-1)中、R31、X1、RF1およびrは、上記と同意義である。]
または、
以下の式(II-2):
I-CF2-R32-(CF2)s-I (II-2)
[式(II-2)中、R32およびsは、上記と同意義である。]
で表される化合物と、
以下の式(III-b):
CH2=CR5R6b (III-b)
[式(III-b)中、R5およびR6bは、上記と同意義である。]
で表される化合物とを、アミン化合物の存在下、光照射下で反応させることを含む、製造方法。
【請求項6】
以下の式(IV):
H2C=CH-R10-CH=CH2 (IV)
[式(IV)中、
R10は、C1-16アルキレン基を表す。]
で表される化合物と、
以下の式(V):
I-CF2-Rf3-CF2-I (V)
[式(V)中、
Rf3は、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキレン基を表す。]
で表される化合物とを、アミン化合物の存在下、光照射下で反応させて、
以下の式(VI):
I-CF2-Rf3-CF2-[CH2-CHI-R10-CHI-CH2-CF2-Rf3-CF2]t-I (VI)
[式(VI)中、Rf3およびR10は、上記と同意義であり、
tは、1以上の整数を表す。]
で表される化合物を得ること;および、
前記式(VI)で表される化合物と、
以下の式(III):
CH2=CR5R6 (III)
[式(III)中、
R5は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-4アルキル基、フッ素原子または水素原子を表し、
R6は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC6-20芳香族炭化水素基、-CO-OR7および-CO-NR8R9から選ばれる1種を表し、
R7は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基または水素原子を表し、
R8は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基または水素原子を表し、
R9は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基または水素原子を表し、
または、R8およびR9は、それらが結合する窒素原子と一緒になって、モルホリン環を形成していてもよい。]
で表される化合物とを、アミン化合物の存在下、光照射下で反応させて、
以下の式(VII):
T4-(CR5R6-CH2)n2-CF2-Rf3-CF2-[CH2-CHI-R10-CHI-CH2-CF2-Rf3-CF2]t-(CH2-CR5R6)n3-T4 (VII)
[式(VII)中、
Rf3、R5、R6、R10およびtは、上記と同意義であり、
T4は、各出現においてそれぞれ独立して、末端基を表し、
n2は、1以上の整数を表し、
n3は、1以上の整数を表す。]
で表される化合物を得ることを含む、製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、含フッ素ポリマーおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリマーの製造方法として、ラジカル重合法が知られている。かかるラジカル重合法として、安定フリーラジカル重合法(例えば、ニトロキシドを介したラジカル重合法)、原子移動ラジカル重合法、可逆的付加開裂連鎖移動重合法、有機テルル媒介リビングラジカル重合法、ヨウ素移動重合法が挙げられる。ヨウ素移動重合法は、有機ヨウ素化合物を連鎖移動剤として用いる重合法であり、重金属触媒を用いる必要がなく、悪臭の発生も抑えられ、さらにコスト面でも利点がある。そのため、クリーンさが求められる半導体産業や食品・衛生・医療分野への適用が期待されている。
【0003】
非特許文献1には、(CF3)2CFI、I(CF2)4I等を連鎖移動剤として用い、ヨウ素移動重合を実施したことが記載されている。
【0004】
非特許文献2には、連鎖移動剤として、ヨウ素原子に直接結合する炭素原子に、-CONH-、-CN、-CO-O-、-SO2-等の基が結合している化合物を用いることなどが記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】建元正祥,日本ゴム協会誌,1993,66巻,9号,p.673-682.
【非特許文献2】T. Miyajima, Y. Matsubara, H. Komatsu, M. Miyamoto, K. Suzuki, "Development of a superabsorbent polymer using iodine transfer polymerization," Polym J, 52, 365-373(2020).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ポリマーを応用するに際して、より多種多様な構造を有することが求められている。かかるポリマーの例として、末端に反応性基を有するポリマーや、含フッ素ポリマーブロックとフッ素非含有ポリマーブロックとを併せ持つブロックポリマー等が挙げられる。
【0007】
本開示は、多種多様な構造を有するポリマーを提供することを目的とし、好ましくは、末端に機能を有するポリマーを提供することを目的とする。また、本開示は、かかるポリマーの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[1]
以下の式(I):
R1-X1-(RF1)r-CF2-(CH2-CR5R6)n1-T1 (I)
[式(I)中、
RF1は、-(Rf)p-RF-(O)q-を表し、
Rfは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキレン基を表し、
RFは、2価のフルオロ(ポリ)エーテル基を表し、
X1は、1個またはそれ以上のハロゲン原子により置換されていてもよいC1-16アルキレン基または単結合を表し、
R1は、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC6-20芳香族炭化水素基、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいシルセスキオキサン残基、-COOR2、-OR2、-SO2R3、-CR4=CR4
2または臭素原子を表し、
R2は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基または水素原子を表し、
R3は、1個またはそれ以上のハロゲン原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基、フッ素原子または水素原子を表し、
R4は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子またはフッ素原子を表し、
R5は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-4アルキル基、フッ素原子または水素原子を表し、
R6は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC6-20芳香族炭化水素基、-CO-OR7および-CO-NR8R9から選ばれる1種を表し、
R7は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基または水素原子を表し、
R8は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基または水素原子を表し、
R9は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基または水素原子を表し、
または、R8およびR9は、それらが結合する窒素原子と一緒になって、モルホリン環を形成していてもよく、
T1は、末端基を表し、
pは、0または1であり、
qは、0または1であり、
rは、0または1であり、
n1は、1以上の整数を表す。]
で表される含フッ素ポリマー。
[2]
前記式(I)が、
以下の式(I-a):
R1-X1-RF1-CF2-(CH2-CR5R6)n1-T1 (I-a)
[式(I-a)中、
RF1は、-(Rf)p-RF-(O)q-を表し、
Rfは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキレン基を表し、
RFは、2価のフルオロ(ポリ)エーテル基を表し、
X1は、1個またはそれ以上のハロゲン原子により置換されていてもよいC1-16アルキレン基または単結合を表し、
R1は、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC6-20芳香族炭化水素基、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいシルセスキオキサン残基、-COOR2、-OR2、-SO2R3、-CR4=CR4
2または臭素原子を表し、
R2は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基または水素原子を表し、
R3は、1個またはそれ以上のハロゲン原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基、フッ素原子または水素原子を表し、
R4は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子またはフッ素原子を表し、
R5は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-4アルキル基、フッ素原子または水素原子を表し、
R6は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC6-20芳香族炭化水素基、-CO-OR7および-CO-NR8R9から選ばれる1種を表し、
R7は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基または水素原子を表し、
R8は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基または水素原子を表し、
R9は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基または水素原子を表し、
または、R8およびR9は、それらが結合する窒素原子と一緒になって、モルホリン環を形成していてもよく、
T1は、末端基を表し、
pは、0または1であり、
qは、0または1であり、
n1は、1以上の整数を表す。]
で表される、[1]に記載の含フッ素ポリマー。
[3]
前記式(I)が、
以下の式(I-b):
R1-X1-CF2-(CH2-CR5R6)n1-T1 (I-b)
[式(I-b)中、
X1は、1個またはそれ以上のハロゲン原子により置換されていてもよいC1-16アルキレン基または単結合を表し、
R1は、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC6-20芳香族炭化水素基、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいシルセスキオキサン残基、-COOR2、-OR2、-SO2R3、-CR4=CR4
2または臭素原子を表し、
R2は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基または水素原子を表し、
R3は、1個またはそれ以上のハロゲン原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基、フッ素原子または水素原子を表し、
R4は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子またはフッ素原子を表し、
R5は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-4アルキル基、フッ素原子または水素原子を表し、
R6は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC6-20芳香族炭化水素基、-CO-OR7および-CO-NR8R9から選ばれる1種を表し、
R7は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基または水素原子を表し、
R8は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基または水素原子を表し、
R9は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基または水素原子を表し、
または、R8およびR9は、それらが結合する窒素原子と一緒になって、モルホリン環を形成していてもよく、
T1は、末端基を表し、
n1は、1以上の整数を表す。]
で表される、[1]に記載の含フッ素ポリマー。
[4]
以下の式(I-1a):
R31-X1-(RF1)r-CF2-(CH2-CR5R6a)n1-T1 (I-1a)
[式(I-1a)中、
RF1は、-(Rf)p-RF-(O)q-を表し、
Rfは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキレン基を表し、
RFは、2価のフルオロ(ポリ)エーテル基を表し、
X1は、1個またはそれ以上のハロゲン原子により置換されていてもよいC1-16アルキレン基または単結合を表し、
R31は、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC6-20芳香族炭化水素基、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいシルセスキオキサン残基、-COOR2、-OR2、-SO2R3、-CR4=CR4
2、フッ素原子または臭素原子を表し、
R2は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基または水素原子を表し、
R3は、1個またはそれ以上のハロゲン原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基、フッ素原子または水素原子を表し、
R4は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子またはフッ素原子を表し、
R5は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-4アルキル基、フッ素原子または水素原子を表し、
R6aは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC6-20芳香族炭化水素基を表し、
T1は、末端基を表し、
pは、0または1であり、
qは、0または1であり、
rは、0または1であり、
n1は、1以上の整数を表す。]
または、
以下の式(I-2a):
T2a-(CR5R6a-CH2)n1-CF2-R32-(CF2)s-(CH2-CR5R6a)n1-T1 (I-2a)
[式(I-2a)中、
R5、R6aおよびn1は、各出現においてそれぞれ独立して、上記と同意義であり、
R32は、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキレン基を表し、
T2aは、末端基を表し、
sは、0または1である。]
で表される含フッ素ポリマーの製造方法であって、
以下の式(II-1):
R31-X1-(RF1)r-CF2-I (II-1)
[式(II-1)中、 R31、X1、RF1およびrは、上記と同意義である。]
または、
以下の式(II-2):
I-CF2-R32-(CF2)s-I (II-2)
[式(II-2)中、R32およびsは、上記と同意義である。]
で表される化合物と、
以下の式(III-a):
CH2=CR5R6a (III-a)
[式(III-a)中、R5およびR6aは、上記と同意義である。
]
で表される化合物とを、50℃以上の反応温度で、アミン化合物の存在下、光照射下で反応させることを含む、製造方法。
[5]
以下の式(I-1b):
R31-X1-(RF1)r-CF2-(CH2-CR5R6b)n1-T1 (I-1b)
[式(I-1b)中、
RF1は、-(Rf)p-RF-(O)q-を表し、
Rfは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキレン基を表し、
RFは、2価のフルオロ(ポリ)エーテル基を表し、
X1は、1個またはそれ以上のハロゲン原子により置換されていてもよいC1-16アルキレン基または単結合を表し、
R31は、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC6-20芳香族炭化水素基、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいシルセスキオキサン残基、-COOR2、-OR2、-SO2R3、-CR4=CR4
2、フッ素原子または臭素原子を表し、
R2は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基または水素原子を表し、
R3は、1個またはそれ以上のハロゲン原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基、フッ素原子または水素原子を表し、
R4は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子またはフッ素原子を表し、
R5は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-4アルキル基、フッ素原子または水素原子を表し、
R6bは、各出現においてそれぞれ独立して、-CO-OR7および-CO-NR8R9から選ばれる1種を表し、
R7は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基または水素原子を表し、
R8は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基または水素原子を表し、
R9は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基または水素原子を表し、
または、R8およびR9は、それらが結合する窒素原子と一緒になって、モルホリン環を形成していてもよく、
T1は、末端基を表し、
pは、0または1であり、
qは、0または1であり、
rは、0または1であり、
n1は、1以上の整数を表す。]
または、
以下の式(I-2b):
T2b-(CR5R6b-CH2)n1-CF2-R32-(CF2)s-(CH2-CR5R6b)n1-T2b (I-2b)
[式(I-2b)中、
R5、R6bおよびn1は、各出現においてそれぞれ独立して、上記と同意義であり、
R32は、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキレン基を表し、
T2bは、末端基を表し、
sは、0または1である。]
で表される含フッ素ポリマーの製造方法であって、
以下の式(II-1):
R31-X1-(RF1)r-CF2-I (II-1)
[式(II-1)中、R31、X1、RF1およびrは、上記と同意義である。]
または、
以下の式(II-2):
I-CF2-R32-(CF2)s-I (II-2)
[式(II-2)中、R32およびsは、上記と同意義である。]
で表される化合物と、
以下の式(III-b):
CH2=CR5R6b (III-b)
[式(III-b)中、R5およびR6bは、上記と同意義である。]
で表される化合物とを、アミン化合物の存在下、光照射下で反応させることを含む、製造方法。
[6]
以下の式(IV):
H2C=CH-R10-CH=CH2 (IV)
[式(IV)中、
R10は、C1-16アルキレン基を表す。]
で表される化合物と、
以下の式(V):
I-CF2-Rf3-CF2-I (V)
[式(V)中、
Rf3は、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキレン基を表す。]
で表される化合物とを、アミン化合物の存在下、光照射下で反応させて、
以下の式(VI):
I-CF2-Rf3-CF2-[CH2-CHI-R10-CHI-CH2-CF2-Rf3-CF2]t-I (VI)
[式(VI)中、Rf3およびR10は、上記と同意義であり、
tは、1以上の整数を表す。]
で表される化合物を得ること;および、
前記式(VI)で表される化合物と、
以下の式(III):
CH2=CR5R6 (III)
[式(III)中、
R5は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-4アルキル基、フッ素原子または水素原子を表し、
R6は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC6-20芳香族炭化水素基、-CO-OR7および-CO-NR8R9から選ばれる1種を表し、
R7は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基または水素原子を表し、
R8は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基または水素原子を表し、
R9は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基または水素原子を表し、
または、R8およびR9は、それらが結合する窒素原子と一緒になって、モルホリン環を形成していてもよい。]
で表される化合物とを、アミン化合物の存在下、光照射下で反応させて、
以下の式(VII):
T4-(CR5R6-CH2)n2-CF2-Rf3-CF2-[CH2-CHI-R10-CHI-CH2-CF2-Rf3-CF2]t-(CH2-CR5R6)n3-T4 (VII)
[式(VII)中、
Rf3、R5、R6、R10およびtは、上記と同意義であり、
T4は、各出現においてそれぞれ独立して、末端基を表し、
n2は、1以上の整数を表し、
n3は、1以上の整数を表す。]
で表される化合物を得ることを含む、製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、多種多様な構造を有するポリマーを提供し得、好ましくは、末端に機能を有するポリマーを提供し得る。また、本開示によれば、かかるポリマーの製造方法を提供し得る。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(含フッ素ポリマー)
本開示の含フッ素ポリマーは、
以下の式(I):
R1-X1-(RF1)r-CF2-(CH2-CR5R6)n1-T1 (I)
[式(I)中、
RF1は、-(Rf)p-RF-(O)q-を表し、
Rfは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキレン基を表し、
RFは、2価のフルオロ(ポリ)エーテル基を表し、
X1は、1個またはそれ以上のハロゲン原子により置換されていてもよいC1-16アルキレン基または単結合を表し、
R1は、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC6-20芳香族炭化水素基、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいシルセスキオキサン残基、-COOR2、-OR2、-SO2R3、-CR4=CR4
2または臭素原子を表し、
R2は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基または水素原子を表し、
R3は、1個またはそれ以上のハロゲン原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基、フッ素原子または水素原子を表し、
R4は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子またはフッ素原子を表し、
R5は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-4アルキル基、フッ素原子または水素原子を表し、
R6は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC6-20芳香族炭化水素基、-CO-OR7および-CO-NR8R9から選ばれる1種を表し、
R7は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基または水素原子を表し、
R8は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基または水素原子を表し、
R9は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基または水素原子を表し、
または、R8およびR9は、それらが結合する窒素原子と一緒になって、モルホリン環を形成していてもよく、
T1は、末端基を表し、
pは、0または1であり、
qは、0または1であり、
rは、0または1であり、
n1は、1以上の整数を表す。]
で表される。
【0011】
本開示によれば、多種多様な構造を有するポリマーを提供し得、好ましくは、末端に機能を有するポリマーを提供し得る。特に、末端に反応性基を有するポリマーや、含フッ素ポリマーブロックと、フッ素非含有ポリマーブロックとを併せ持つポリマーを提供し得る。
【0012】
RF1は、-(Rf)p-RF-(O)q-を表す。
【0013】
Rfは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキレン基を表す。
【0014】
上記1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-6アルキレン基における「C1-6アルキレン基」は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは、直鎖または分枝鎖のC1-3アルキレン基であり、より好ましくは直鎖のC1-3アルキレン基である。
【0015】
上記Rfは、好ましくは、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されているC1-6アルキレン基であり、より好ましくはC1-6パーフルオロアルキレン基であり、さらに好ましくはC1-3パーフルオロアルキレン基である。
【0016】
上記C1-6パーフルオロアルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは、直鎖または分枝鎖のC1-3パーフルオロアルキレン基であり、より好ましくは直鎖のC1-3パーフルオロアルキレン基、具体的には-CF2-、-CF2CF2-、またはCF2CF2CF2-である。
【0017】
RFは、2価のフルオロ(ポリ)エーテル基を表す。本開示において、フルオロ(ポリ)エーテル基は、フルオロエーテル基および/またはフルオロポリエーテル基を意味する。本開示の含フッ素ポリマーは、RFを含むことで、フルオロ(ポリ)エーテル基の性質が付与され得、柔軟性、耐熱性、摩擦特性、防汚性、撥水撥油性が良好となり得る。
【0018】
RFは、好ましくは、式:
-(OC4F8)c-(OC3RFa
6)d-(OC2F4)e-(OCF2)f-
[式中:
RFaは、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子または塩素原子であり、
c、d、e及びfは、それぞれ独立して、0~200の整数であって、c、d、e及びfの和は1以上である。c、d、eまたはfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。ただし、すべてのRFaが水素原子または塩素原子である場合、c、e及びfの少なくとも1つは、1以上である。]
で表される基(以下、「PFPE」で表される基ともいう)である。
【0019】
RFaは、好ましくは、水素原子またはフッ素原子であり、より好ましくは、フッ素原子である。ただし、すべてのRFaが水素原子または塩素原子である場合、c、e及びfの少なくとも1つは、1以上である。
【0020】
c、d、e及びfは、好ましくは、それぞれ独立して、0~100の整数であってもよい。
【0021】
c、d、e及びfの和は、好ましくは5以上であり、より好ましくは10以上であり、例えば15以上または20以上であってもよい。c、d、e及びfの和は、好ましくは200以下、より好ましくは100以下、さらに好ましくは60以下であり、例えば50以下または30以下であってもよい。
【0022】
これら繰り返し単位は、直鎖状であっても、分枝鎖状であってもよい。例えば、-(OC4F8)-は、-(OCF2CF2CF2CF2)-、-(OCF(CF3)CF2CF2)-、-(OCF2CF(CF3)CF2)-、-(OCF2CF2CF(CF3))-、-(OC(CF3)2CF2)-、-(OCF2C(CF3)2)-、-(OCF(CF3)CF(CF3))-、-(OCF(C2F5)CF2)-及び-(OCF2CF(C2F5))-のいずれであってもよい。-(OC3F6)-(即ち、上記式中、RFaはフッ素原子である)は、-(OCF2CF2CF2)-、-(OCF(CF3)CF2)-及び-(OCF2CF(CF3))-のいずれであってもよく、-(OCF(CF3)CF2)-及び-(OCF2CF(CF3))-のいずれかであることが好ましい。-(OC2F4)-は、-(OCF2CF2)-及び-(OCF(CF3))-のいずれであってもよい。
【0023】
一の態様において、RFは、各出現においてそれぞれ独立して、下記式(f1)で表される基である。
-(OC3F6)d-(OCF2)f- (f1)
[式中、dは、0~200の整数であり、fは1~200の整数である。];
【0024】
上記式(f1)におけるOC3F6は、好ましくは、(OCF2CF2CF2)、(OCF(CF3)CF2)または(OCF2CF(CF3))であり、より好ましくは、(OCF2CF(CF3))である。
上記式(f1)において、dは、好ましくは0~100、より好ましくは0~50、さらに好ましくは0~10の整数である。一の態様において、dは0である。別の態様において、dは、好ましくは1~100、より好ましくは2~50、さらに好ましくは3~10である。
上記式(f1)において、fは、好ましくは1~100、より好ましくは1~10、さらに好ましくは1~5、いっそう好ましくは1~3である。一の態様において、fは1である。
【0025】
pは、0または1である。一の態様において、pは0である。別の態様において、pは1である。
【0026】
qは、0または1である。一の態様において、qは0である。別の態様において、qは1である。
【0027】
rは、0または1である。一の態様において、rは0である。別の態様において、rは1である。
【0028】
X1は、1個またはそれ以上のハロゲン原子により置換されていてもよいC1-16アルキレン基または単結合を表す。
【0029】
上記1個またはそれ以上のハロゲン原子により置換されていてもよいC1-16アルキレン基における「C1-16アルキレン基」は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは、直鎖または分枝鎖のC1-10アルキレン基であり、より好ましくは、直鎖または分枝鎖のC1-5アルキレン基であり、一の態様において、分枝鎖のC2-4アルキレン基であることが好ましく、別の態様において、直鎖のC2-5アルキレン基であることが好ましい。
【0030】
上記1個またはそれ以上のハロゲン原子により置換されていてもよいC1-16アルキレン基におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、好ましくはフッ素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
【0031】
上記1個またはそれ以上のハロゲン原子により置換されていてもよいC1-16アルキレン基は、好ましくは、-CF2-、-CF2CF2-、-CF(CF3)-、-CF2CF2CF2-、-CF2CF(CF3)-、-CF2CF2CF2CF2-、-CF2CF2CF2CF2CF2-または-CHI-CH2-CF2CF2CF2-であり、より好ましくは-CF2CF2-、-CF(CF3)-、-CF2CF(CF3)-、-CF2CF2CF2CF2CF2-または-CHI-CH2-CF2CF2CF2-である。
【0032】
X1は、好ましくは、1個またはそれ以上のハロゲン原子により置換されていてもよい直鎖または分枝鎖のC1-10アルキレン基または単結合であり、より好ましくは、フッ素原子およびヨウ素原子から選ばれる1種の1個またはそれ以上により置換されていてもよい直鎖または分枝鎖のC1-6アルキレン基または単結合である。
【0033】
R1は、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC6-20芳香族炭化水素基、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいシルセスキオキサン残基、-COOR2、-OR2、-SO2R3、-CR4=CR4
2または臭素原子を表す。
【0034】
上記1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC6-20芳香族炭化水素基における「C6-20芳香族炭化水素基」は、単環であっても多環であってもよく、多環の場合、2以上の環は、縮合環を形成していなくともよく、縮合環を形成していてもよい。1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC6-20芳香族炭化水素基における「C6-20芳香族炭化水素基」は、好ましくはC6-15芳香族炭化水素基であり、より好ましくはC6-10芳香族炭化水素基であり、さらに好ましくはフェニル基である。
【0035】
上記1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC6-20芳香族炭化水素基における置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;C1-4アルキル基;C1-4アルコキシ基;R20-O-CO-(ただし、R20は、C1-4アルキル基を表す)が挙げられ、好ましくはハロゲン原子であり、特に好ましくはフッ素原子である。R20は、直鎖または分枝鎖であってよい。
【0036】
上記1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC6-20芳香族炭化水素基は、好ましくは、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC6-10芳香族炭化水素基であり、より好ましくは、1個またはそれ以上の置換基を有するC6-10芳香族炭化水素基であり、さらに好ましくは、ハロゲン原子により置換されたフェニル基である。
【0037】
1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいシルセスキオキサン残基における「シルセスキオキサン残基」は、シルセスキオキサンにおけるSi上の置換基が1つ脱離した1価の基であり、カゴ型構造、ハシゴ型構造、ランダム構造のいずれを有していてもよい。
【0038】
1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいシルセスキオキサン残基における置換基は、好ましくは、1個またはそれ以上のハロゲン原子により置換されていてもよいC1-10アルキル基、フェニル基;-R21-(CH2-CR5R6)n10-T10であり、より好ましくは、1個またはそれ以上のハロゲン原子により置換されていてもよいC1-6アルキル基;-R21-(CH2-CR5R6)n10-T10である。
R21は、1個またはそれ以上のハロゲン原子により置換されていてもよいC1-10アルキル基を表し、R5およびR6は、上記と同意義であり、n10は、1以上の整数を表す。
【0039】
上記シルセスキオキサン残基の置換基としての、1個またはそれ以上のハロゲン原子により置換されていてもよいC1-10アルキル基における「C1-10アルキル基」は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは、直鎖または分枝鎖のC1-6アルキル基であり、より好ましくは、イソブチル基である。
【0040】
上記シルセスキオキサン残基の置換基としての、1個またはそれ以上のハロゲン原子により置換されていてもよいC1-10アルキル基におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、好ましくはフッ素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
【0041】
上記シルセスキオキサン残基の置換基としての、1個またはそれ以上のハロゲン原子により置換されていてもよいC1-10アルキル基は、好ましくは、-CHI-CH2-CF2CF2CF2-Iである。
【0042】
R21は、1個またはそれ以上のハロゲン原子により置換されていてもよいC1-10アルキル基を表す。かかる1個またはそれ以上のハロゲン原子により置換されていてもよいC1-10アルキル基における「C1-10アルキル基」は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは、直鎖または分枝鎖のC1-8アルキル基であり、より好ましくは、直鎖のC1-6アルキル基である。
【0043】
上記シルセスキオキサン残基の置換基としての、1個またはそれ以上のハロゲン原子により置換されていてもよいC1-10アルキル基におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、好ましくはフッ素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
【0044】
上記シルセスキオキサン残基の置換基としての、1個またはそれ以上のハロゲン原子により置換されていてもよいC1-10アルキル基は、好ましくは、-CHI-CH2-CF2CF2CF2-Iである。
【0045】
上記1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいシルセスキオキサン残基における置換基としては、フェニル基、イソブチル基が好ましい。
【0046】
n10は、1以上の整数を表し、好ましくは5以上2,000以下であり得、より好ましくは10以上1,000以下であり得る。
【0047】
R2は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基または水素原子を表し、好ましくは、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基である。
【0048】
上記1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基における「C1-16アルキル基」は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは、直鎖または分枝鎖のC1-10アルキル基であり、より好ましくは、直鎖または分枝鎖のC1-5アルキル基であり、特に好ましくはC1-2アルキル基である。
【0049】
上記1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基は、好ましくは、メチル基、エチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基である。
【0050】
R3は、1個またはそれ以上のハロゲン原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基、フッ素原子、または水素原子を表す。
【0051】
上記1個またはそれ以上のハロゲン原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基における「C1-16アルキル基」は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは、直鎖または分枝鎖のC1-10アルキル基であり、より好ましくは、直鎖または分枝鎖のC1-5アルキル基であり、特に好ましくはC1-2アルキル基である。
【0052】
上記1個またはそれ以上のハロゲン原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、好ましくはフッ素原子が挙げられる。
【0053】
R3は、好ましくは、1個またはそれ以上のハロゲン原子により置換されていてもよいC1-5アルキル基またはフッ素原子であり、より好ましくは、フッ素原子である。
【0054】
R4は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子またはフッ素原子を表す。一の態様において、R4は、水素原子であり、別の態様において、R4は、フッ素原子である。
【0055】
R1は、好ましくは、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC6-20芳香族炭化水素基、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいシルセスキオキサン残基、-OR2、-SO2R3、-CR4=CR4
2または臭素原子であり、より好ましくは1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC6-20芳香族炭化水素基、-OR2、-SO2R3または-CR4=CR4
2である。
【0056】
R5は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-4アルキル基、フッ素原子または水素原子を表す。
【0057】
上記1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-4アルキル基における「C1-4アルキル基」は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは、直鎖または分枝鎖のC1-3アルキル基であり、より好ましくはC1-2アルキル基である。
【0058】
上記1個またはそれ以上のハロゲン原子により置換されていてもよいC1-4アルキル基は、好ましくは、メチル基、エチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基である。
【0059】
R5は、好ましくは、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-2アルキル基または水素原子であり、より好ましくは、水素原子である。
【0060】
R6は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC6-20芳香族炭化水素基、-CO-OR7および-CO-NR8R9から選ばれる1種を表す。
【0061】
上記1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC6-20芳香族炭化水素基における「C6-20芳香族炭化水素基」は、単環であっても多環であってもよく、多環の場合、2以上の環は、縮合環を形成していなくともよく、縮合環を形成していてもよい。1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC6-20芳香族炭化水素基における「C6-20芳香族炭化水素基」は、好ましくはC6-15芳香族炭化水素基であり、より好ましくはC6-10芳香族炭化水素基であり、さらに好ましくはフェニル基である。
【0062】
上記1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC6-20芳香族炭化水素基における置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;C1-10アルキル基;C1-10アルコキシ基;R22-O-CO-(ただし、R22は、C1-4アルキル基を表す)が挙げられる。上記C1-10アルキル基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは直鎖または分枝鎖のC1-5アルキル基であり、より好ましくは分子鎖のC1-5アルキル基である。上記C1-10アルコキシ基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは直鎖または分枝鎖のC1-5アルコキシ基であり、より好ましくは分枝鎖のC1-5アルコキシ基である。
R22で表されるアルキル基は、直鎖であっても分枝鎖であってもよい。
上記置換基は、好ましくはハロゲン原子、C1-5アルキル基、C1-5アルコキシ基およびR22-O-CO-から選ばれる1種であり、より好ましくはフッ素原子、塩素原子、C1-5アルキル基、C1-5アルコキシ基およびR22-O-CO-から選ばれる1種であり、さらに好ましくはフッ素原子である。
【0063】
上記1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC6-20芳香族炭化水素基は、好ましくは1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC6-10芳香族炭化水素基であり、さらに好ましくは1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいフェニル基であり、いっそう好ましくはフェニル基またはペンタフルオロフェニル基である。上記1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC6-20芳香族炭化水素基は、一の態様において、好ましくは置換基を有するC6-10芳香族炭化水素基であり、より好ましくはペンタフルオロフェニル基であり、別の態様において、好ましくは置換基を有しないC6-10芳香族炭化水素基であり、より好ましくはフェニル基である。
【0064】
R7は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基または水素原子を表す。
【0065】
上記1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基における「C1-16アルキル基」は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは、直鎖または分枝鎖のC1-10アルキル基であり、より好ましくはC1-8アルキル基である。
【0066】
上記1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基は、好ましくはC1-8アルキル基であり、より好ましくは、メチル基またはブチル基である。
【0067】
R7は、好ましくは、フッ素原子により置換されていてもよいC1-10アルキル基または水素原子であり、より好ましくは、C1-8アルキル基または水素原子である。
【0068】
R8は、各出現において、それぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基または水素原子を表す。
【0069】
上記1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基における「C1-16アルキル基」は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは、直鎖または分枝鎖のC1-10アルキル基であり、より好ましくはC1-4アルキル基である。
【0070】
上記1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基は、好ましくはC1-4アルキル基であり、より好ましくは、メチル基またはエチル基である。
【0071】
R8は、好ましくは、フッ素原子により置換されていてもよいC1-10アルキル基または水素原子であり、より好ましくはC1-8アルキル基であり、さらに好ましくはC1-4アルキル基である。
【0072】
R9は、各出現において、それぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基または水素原子を表す。
【0073】
上記1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基における「C1-16アルキル基」は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは、直鎖または分枝鎖のC1-10アルキル基であり、より好ましくはC1-4アルキル基である。
【0074】
上記1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基は、好ましくはC1-4アルキル基であり、より好ましくは、メチル基またはエチル基である。
【0075】
R9は、好ましくは、フッ素原子により置換されていてもよいC1-10アルキル基または水素原子であり、より好ましくはC1-8アルキル基であり、さらに好ましくはC1-4アルキル基である。
【0076】
R8およびR9は、それらが結合する窒素原子と一緒になって、モルホリン環を形成していてもよい。
【0077】
R6は、好ましくは、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC6-20芳香族炭化水素基および-CO-NR8R9から選ばれる1種であり、より好ましくは、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC6-10芳香族炭化水素基および-CO-NR8R9から選ばれる1種であり、一の態様において、さらに好ましくは、1個またはそれ以上の置換基を有するC6-10芳香族炭化水素基および-CO-NR8R9から選ばれる1種であり、別の態様において、さらに好ましくは置換基を有しないC6-10芳香族炭化水素基および-CO-NR8R9から選ばれる1種である。
【0078】
T1は、末端基を表す。本開示は、特定の理論に限定して解釈されるべきではないが、末端基の構造については、以下のように考えられる。すなわち、本開示の含フッ素ポリマーは、後述する式(II-1)、(II-2)で表される化合物の末端のヨウ素原子が引き抜かれて開始ラジカル種が発生し、この開始ラジカル種がモノマーに付加することで、ラジカル重合反応が開始および進行することにより製造されると考えられる。かかるラジカル重合反応の停止は、成長末端のラジカル種(ポリマー活性種)が再度ヨウ素原子にキャップされること、ポリマー活性種同士が再結合すること、ポリマー活性種同士で水素ラジカルの受渡しが起こり、末端水素体及び内部オレフィン体が生成する不均化反応が起こることなどにより生じ得るが、これらに限定されない。末端基は、かかる停止反応に由来する基であり、代表的にはヨウ素原子、水素原子、-CH=CHR6、-CH2-CR6=CH2、-(CR5R6-CH2)n1-CF2-(RF1)r-X1-R1であり得る。RF1、X1、R1、R5、R6、n1およびrは、上記と同意義である。
【0079】
n1は、1以上の整数を表し、好ましくは5以上2,000以下であり得、より好ましくは10以上1,000以下であり得る。
【0080】
一態様において、上記式(I)で表される化合物は、フルオロ(ポリ)エーテル基を有することが好ましい。すなわち、上記式(I)は、
下記式(I-a):
R1-X1-RF1-CF2-(CH2-CR5R6)n1-T1 (I-a)
[式(I-a)中、X1、RF1、R1、R5、R6、T1およびn1は、上記と同意義である。]
で表されることが好ましい。
【0081】
式(I-a)において、R1は、-COOR2、-OR2、-SO2R3、-CR4=CR4
2または臭素原子であることが好ましい。
式(I-a)において、X1は、1個またはそれ以上のハロゲン原子により置換されていてもよい直鎖または分枝鎖のC1-10アルキレン基または単結合であることが好ましく、1個または以上のフッ素原子により置換されている直鎖または分枝鎖のC1-6アルキレン基または単結合であることがより好ましい。
式(I-a)において、RF1は、-(OC3F6)d-(OCF2)f-または-(OCF2)f-であることが好ましい。
式(I-a)において、R5は、水素原子であることが好ましい。
式(I-a)において、R6は、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC6-20芳香族炭化水素基および-CO-NR8R9から選ばれる1種であることが好ましい。
【0082】
別の態様において、上記式(I)で表される化合物は、フルオロ(ポリ)エーテル基を有せず、末端に官能基を有することが好ましい。すなわち、上記式(I)は、
下記式(I-b):
R1-X1-CF2-(CH2-CR5R6)n1-T1 (I-b)
[式(I-b)中、X1、R1、R5、R6、T1およびn1は、上記と同意義である。]
で表されることが好ましい。
【0083】
式(I-b)において、R1は、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC6-20芳香族炭化水素基、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいシルセスキオキサン残基、-COOR2、-CR4=CR4
2または臭素原子であることが好ましい。
式(I-b)において、X1は、1個またはそれ以上のハロゲン原子により置換されていてもよい直鎖または分枝鎖のC1-10アルキレン基または単結合であることが好ましく、フッ素原子およびヨウ素原子から選ばれる1種以上の1個またはそれ以上により置換されている直鎖または分枝鎖のC1-6アルキレン基または単結合であることがより好ましい。
式(I-b)において、R5は、水素原子であることが好ましい。
式(I-b)において、R6は、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC6-20芳香族炭化水素基および-CO-NR8R9から選ばれる1種であることが好ましい。
【0084】
一の好ましい態様において、式(I)中、R1は、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC6-20芳香族炭化水素基であり;X1は、単結合であり;rは、0であり;R5は、水素原子であり;R6は、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC6-20芳香族炭化水素基および-CO-NR8R9から選ばれる1種であり得る。
【0085】
別の好ましい態様において、式(I)中、R1は、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいシルセスキオキサン残基であり;X1は、-CHI-CH2-CF2CF2CF2-であり;rは、0であり;R5は、水素原子であり;R6は、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC6-20芳香族炭化水素基および-CO-NR8R9から選ばれる1種であり得る。
【0086】
さらに別の好ましい態様において、式(I)中、R1は、-COOR2であり;X1は、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されている直鎖または分枝鎖のC1-6アルキレン基または単結合であり;rは、0または1であり;RF1は、-(OC3F6)d-(OCF2)f-であり;R5は、水素原子であり;R6は、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC6-20芳香族炭化水素基および-CO-NR8R9から選ばれる1種であり得る。
【0087】
さらに別の好ましい態様において、式(I)中、R1は、-OR2であり;X1は、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されている直鎖または分枝鎖のC1-6アルキレン基であり;rは、1であり;RF1は、-OCF2-であり;R5は、水素原子であり;R6は、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC6-20芳香族炭化水素基および-CO-NR8R9から選ばれる1種であり得る。
【0088】
さらに別の好ましい態様において、式(I)中、R1は、-SO2R3であり;X1は、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されている直鎖または分枝鎖のC1-6アルキレン基であり;rは、1であり;RF1は、-OCF2-であり;R5は、水素原子であり;R6は、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC6-20芳香族炭化水素基および-CO-NR8R9から選ばれる1種であり得る。
【0089】
さらに別の好ましい態様において、式(I)中、R1は、-CR4=CR4
2であり;X1は、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されている直鎖または分枝鎖のC1-6アルキレン基または単結合であり;rは、0または1であり、RF1は、-OCF2-であり;R5は、水素原子であり;R6は、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC6-20芳香族炭化水素基および-CO-NR8R9から選ばれる1種であり得る。
【0090】
さらに別の好ましい態様において、式(I)中、R1は、臭素原子であり;X1は、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されている直鎖または分枝鎖のC1-6アルキレン基または単結合であり;rは、0または1であり、RF1は、-OCF2-であり;R5は、水素原子であり;R6は、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC6-20芳香族炭化水素基および-CO-NR8R9から選ばれる1種であり得る。
【0091】
また、さらに別の好ましい態様において、式(I)中、R1は、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC6-20芳香族炭化水素基、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいシルセスキオキサン残基、-COOR2、-OR2、-SO2R3、-CR4=CR4
2または臭素原子であり;X1は、1個またはそれ以上のハロゲン原子により置換されていてもよいC1-16アルキレン基または単結合であり;rは、1であり;RF1は-(OC4F8)c-(OC3RFa
6)d-(OC2F4)e-(OCF2)f-であって、OC3F6は(OCF(CF3)CF2)または(OCF2CF(CF3))であり;R5は、水素原子であり;R6は、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC6-20芳香族炭化水素基、-CO-OR7および-CO-NR8R9から選ばれる1種であり得る。
【0092】
さらに別の好ましい態様において、式(I)中、R1は、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC6-20芳香族炭化水素基、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいシルセスキオキサン残基、-COOR2、-OR2、-SO2R3、-CR4=CR4
2または臭素原子を表し;X1は、1個またはそれ以上のハロゲン原子により置換されていてもよいC1-16アルキレン基または単結合を表し;rは、1であり;RF1は-(OC4F8)c-(OC3RFa
6)d-(OC2F4)e-(OCF2)f-であって、OC3F6は(OCF2CF2CF2)であり;R5は、水素原子であり;R6は、-CO-NR8R9であり得る。
【0093】
本開示の含フッ素ポリマーの数平均分子量は、好ましくは1,000以上1,000,000以下、より好ましくは2,000~500,000以下、さらに好ましくは2,000~200,000以下であり得る。
【0094】
本開示において、数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィにより測定することができ、ポリスチレンまたはポリメチルメタクリレートを標準試料とした換算値であってよい。具体的に、標準試料は、含フッ素ポリマーの構造に応じて選択でき、一の態様において、R6が、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC6-20芳香族炭化水素基の場合は、ポリスチレンを標準試料としてよく、別の態様において、R6が、-CO-OR7および-CO-NR8R9から選ばれる1種以上である場合は、ポリメチルメタクリレートを標準試料としてよい。
【0095】
(含フッ素ポリマーの製造方法1)
本開示には、
以下の式(I-1a):
R31-X1-(RF1)r-CF2-(CH2-CR5R6a)n1-T1a (I-1a)
[式(I-1a)中、
RF1は、-(Rf)p-RF-(O)q-を表し、
Rfは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキレン基を表し、
RFは、2価のフルオロ(ポリ)エーテル基を表し、
X1は、1個またはそれ以上のハロゲン原子により置換されていてもよいC1-16アルキレン基または単結合を表し、
R31は、1個またはそれ以上のハロゲン原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC6-20芳香族炭化水素基、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいシルセスキオキサン残基、-COOR2、-OR2、-SO2R3、-CR4=CR4
2、フッ素原子または臭素原子を表し、
R2は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基または水素原子を表し、
R3は、1個またはそれ以上のハロゲン原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基、フッ素原子または水素原子を表し、
R4は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子またはフッ素原子を表し、
R5は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-4アルキル基または水素原子を表し、
R6aは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC6-20芳香族炭化水素基を表し、
T1aは、末端基を表し、
pは、0または1であり、
qは、0または1であり、
rは、0または1であり、
n1は、1以上の整数を表す。]
または、
以下の式(I-2a):
T2a-(CR5R6a-CH2)n1-CF2-R32-(CF2)s-(CH2-CR5R6a)n1-T2a (I-2a)
[式(I-2a)中、
R5、R6aおよびn1は、各出現においてそれぞれ独立して、上記と同意義であり、
R32は、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキレン基を表し、
T2aは、末端基を表し、
sは、0または1である。]
で表される含フッ素ポリマーの製造方法であって、
以下の式(II-1):
R31-X1-(RF1)r-CF2-I (II-1)
[式(II-1)中、R31、X1、RF1およびrは、上記と同意義である。]
または、
以下の式(II-2):
I-CF2-R32-(CF2)s-I (II-2)
[式(II-2)中、R32およびsは、上記と同意義である。]
で表される化合物と、
以下の式(III-a):
CH2=CR5R6a (III-a)
[式(III-a)中、R5およびR6aは、上記と同意義である。]
で表される化合物とを、50℃以上の反応温度で、アミン化合物の存在下、光照射下で反応させることを含む、製造方法も含まれる。
【0096】
また、本開示には、
以下の式(I-1b):
R31-X1-(RF1)r-CF2-(CH2-CR5R6b)n1-T1b (I-1b)
[式(I-1b)中、
RF1は、-(Rf)p-RF-(O)q-を表し、
Rfは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキレン基を表し、
RFは、2価のフルオロ(ポリ)エーテル基を表し、
X1は、1個またはそれ以上のハロゲン原子により置換されていてもよいC1-16アルキレン基または単結合を表し、
R31は、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC6-20芳香族炭化水素基、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいシルセスキオキサン残基、-COOR2、-OR2、-SO2R3、-CR4=CR4
2、フッ素原子または臭素原子を表し、
R2は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基または水素原子を表し、
R3は、1個またはそれ以上のハロゲン原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基、フッ素原子または水素原子を表し、
R4は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子またはフッ素原子を表し、
R5は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-4アルキル基、フッ素原子または水素原子を表し、
R6bは、各出現においてそれぞれ独立して、-CO-OR7および-CO-NR8R9から選ばれる1種を表し、
R7は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基または水素原子を表し、
R8は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基または水素原子を表し、
R9は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基または水素原子を表し、
または、R8およびR9は、それらが結合する窒素原子と一緒になって、モルホリン環を形成していてもよく、
T1bは、末端基を表し、
pは、0または1であり、
qは、0または1であり、
rは、0または1であり、
n1は、1以上の整数を表す。]
または、
以下の式(I-2b):
T2b-(CR5R6b-CH2)n1-CF2-R32-(CF2)s-(CH2-CR5R6b)n1-T2b (I-2b)
[式(I-2b)中、
R5、R6bおよびn1は、各出現においてそれぞれ独立して、上記と同意義であり、
R32は、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキレン基を表し、
T2bは、末端基を表し、
sは、0または1である。]
で表される含フッ素ポリマーの製造方法であって、
以下の式(II-1):
R31-X1-(RF1)r-CF2-I (II-1)
[式(II-1)中、R31、X1、RF1およびrは、上記と同意義である。]
または、
以下の式(II-2):
I-CF2-R32-(CF2)s-I (II-2)
[式(II-2)中、R32およびsは、上記と同意義である。]
で表される化合物と、
以下の式(III-b):
CH2=CR5R6b (III-b)
[式(III-b)中、R5およびR6bは、上記と同意義である。]
で表される化合物とを、アミン化合物の存在下、光照射下で反応させることを含む、製造方法も含まれる。
【0097】
本開示の製造方法によれば、多種多様なポリマーを提供し得、好ましくは、末端に機能を有するポリマーを提供し得る。特に、末端に反応性基を有するポリマーや、含フッ素ポリマーブロックと、フッ素非含有ポリマーブロックとを併せ持つポリマーを提供し得る。本開示の製造方法では、末端に-CF2-Iを有する含フッ素化合物を開始剤として用い、触媒としてアミン化合物を用いているため、重金属触媒や高価な原料を用いる必要がない。そのため、高いレベルのクリーンさを保ったまま、バリエーション豊かなポリマー材料をデザインし得る。
【0098】
式(I-1a)、(I-1b)、(I-2a)、(I-2b)、(II-1)、(II-2)および式(III)において、RF1、X1、R2、R3、R4、R5、R7、R8、R9、n1、p、qおよびrは上記と同意義である。
【0099】
R31は、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC6-20芳香族炭化水素基、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいシルセスキオキサン残基、-COOR2、-OR2、-SO2R3、-CR4=CR4
2、フッ素原子または臭素原子を表す。R31における1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC6-20芳香族炭化水素基、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいシルセスキオキサン残基、-COOR2、-OR2、-SO2R3、-CR4=CR4
2は、R1における1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC6-20芳香族炭化水素基、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいシルセスキオキサン残基、-COOR2、-OR2、-SO2R3、-CR4=CR4
2と同意義である。ただし、R31とR1とは、同一であっても異なっていてもよい。
【0100】
上記1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基における「C1-16アルキル基」は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは、直鎖または分枝鎖のC1-10アルキル基であり、より好ましくは、直鎖または分枝鎖のC1-5アルキル基である。
【0101】
上記1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基は、好ましくは、-CH3、-CH2CH3、-CF3、-CF2CF3、-C5F11である。
【0102】
R31は、好ましくは、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC6-20芳香族炭化水素基、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいシルセスキオキサン残基、-COOR2、-OR2、-SO2R3または-CR4=CR4
2であり、より好ましくは1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC6-20芳香族炭化水素基、-COOR2、-OR2、-SO2R3または-CR4=CR4
2である。
【0103】
R32は、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキレン基を表す。
【0104】
上記1個またはそれ以上のフッ素により置換されていてもよいC1-16アルキレン基における「C1-16アルキレン基」は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは、直鎖または分枝鎖のC1-10アルキレン基であり、より好ましくは、直鎖または分枝鎖のC1-5アルキレン基であり、一の態様において、分枝鎖のC2-4アルキレン基であることが好ましく、別の態様において、直鎖のC2-5アルキレン基であることが好ましい。
【0105】
R32は、好ましくは、-CF2-、-CF2CF2-、-CF(CF3)-、-CF2CF2CF2-、-CF2CF(CF3)-、-CF2CF2CF2CF2-または-CF2CF2CF2CF2CF2-である。
【0106】
R6aは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC6-20芳香族炭化水素基を表し、R6で表される1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC6-20芳香族炭化水素基と同意義である。
【0107】
上記1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC6-20芳香族炭化水素基における「C6-20芳香族炭化水素基」は、好ましくはC6-15芳香族炭化水素基であり、より好ましくはC6-10芳香族炭化水素基であり、さらに好ましくはフェニル基である。
【0108】
上記1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC6-20芳香族炭化水素基における置換基としては、R6で表されるC6-20芳香族炭化水素基が有していてもよい置換基と同様の基が挙げられ、具体的には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;C1-10アルキル基;C1-10アルコキシ基;R22-O-CO-(ただし、R22は、上記と同意義である)が挙げられる。
上記置換基は、好ましくはハロゲン原子、C1-5アルキル基、C1-5アルコキシ基およびR22-O-CO-から選ばれる1種であり、より好ましくはフッ素原子、塩素原子、C1-5アルキル基、C1-5アルコキシ基およびR22-O-CO-から選ばれる1種であり、さらに好ましくはフッ素原子である。
【0109】
R6aは、好ましくは1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC6-10芳香族炭化水素基であり、さらに好ましくは1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいフェニル基であり、いっそう好ましくはフェニル基またはペンタフルオロフェニル基である。R6aは、一の態様において、好ましくは置換基を有するC6-10芳香族炭化水素基であり、より好ましくはペンタフルオロフェニル基であり、別の態様において、好ましくは置換基を有しないC6-10芳香族炭化水素基であり、より好ましくはフェニル基である。
【0110】
R6bは、各出現においてそれぞれ独立して、-CO-OR7および-CO-NR8R9から選ばれる1種を表す。R7、R8およびR9は、上記と同意義である。R6bは、好ましくは、-CO-NR8R9であり得る。
【0111】
T1aは、末端基を表し、代表的には、ヨウ素原子、水素原子、-CH=CHR6a、-CH2-CR6a=CH2、-(CR5R6a-CH2)n1-CF2-(RF1)r-X1-R31であり得る。RF1、X1、R1、R5、R6a、n1およびrは、上記と同意義である。
【0112】
T1bは、末端基を表し、代表的には、ヨウ素原子、水素原子、-CH=CHR6b、-CH2-CR6b=CH2、-(CR5R6b-CH2)n1-CF2-(RF1)r-X1-R31であり得る。RF1、X1、R1、R5、R6b、n1およびrは、上記と同意義である。
【0113】
T2aは、末端基を表し、代表的には、ヨウ素原子、水素原子、-CH=CHR6a、-CH2-CR6a=CH2、-〔(CR5R6a-CH2)n1-CF2-R32-(CF2)s-(CH2-CR5R6a)n1〕n3-T3aであり得る。ただし、R5、R6a、R32、n1は上記と同意義であり、n3は、1以上の整数であって、好ましくは1~3、より好ましくは1または2、一態様において、好ましくは1、別の態様において、好ましくは2であり、T3aは末端基であって、ヨウ素原子、水素原子または-CH=CHR6a、-CH2-CR6a=CH2であり得る。
【0114】
T2bは、末端基を表し、代表的には、ヨウ素原子、水素原子、-CH=CHR6b、-CH2-CR6b=CH2、-〔(CR5R6b-CH2)n1-CF2-R32-(CF2)s-(CH2-CR5R6b)n1〕n3-T3bであり得る。ただし、R5、R6b、R32、n1は上記と同意義であり、n3は、1以上の整数であって、好ましくは1~3、より好ましくは1または2、一態様において、好ましくは1、別の態様において、好ましくは2であり、T3bは末端基であって、ヨウ素原子、水素原子または-CH=CHR6b、-CH2-CR6b=CH2であり得る。
【0115】
sは、0または1である。一態様において、sは、0である。別の態様において、sは、1である。
【0116】
式(III)で表される化合物は、式(II)で表される化合物1モルに対して、例えば2モル以上1,000モル以下、好ましくは10モル以上500モル以下、さらに好ましくは20モル以上300モル以下であり得る。
【0117】
上記アミン化合物(1)としては、第3級アミン化合物が好ましく、例えば、トリ(tert-ブチル)アミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン等のトリアルキルアミン;N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン等のテトラアルキルアルキレンジアミン;N,N,N’,N”,N”-ペンタメチルジエチレントリアミン等のペンタアルキルアルキレントリアミン;N-メチルピロリジン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン等の第3級環状アミン化合物等が挙げられる。
【0118】
上記アミン化合物(1)は、式(II)で表される化合物1モルに対して、好ましくは0.01モル以上、より好ましくは0.1モル以上5モル以下、さらに好ましくは0.3モル以上3モル以下であり得る。
【0119】
上記光照射における光は、好ましくは可視光であり、例えば360nm以上830nm以下、さらに400nm以上760nm以下の波長の光であってよく、複数の波長の光を含んでいてよい。上記光照射における光は、好ましくは白色光であり得る。
かかる光照射は、白色LEDの光を照射することにより実施され得る。
【0120】
上記式(II)で表される化合物と、上記式(III-a)で表される化合物との反応は、加熱下で実施されることが好ましい。かかる反応温度は、50℃以上であり、より好ましくは60℃以上80℃以下であり得る。
また、上記式(II)で表される化合物と、上記式(III-b)で表される化合物との反応は、室温で実施されてもよく、加熱下で実施されることが好ましい。かかる反応温度は、例えば、0℃以上80℃以下であり得、好ましくは10℃以上70℃以下であり得る。
【0121】
上記の反応は、無溶媒下で行ってもよく、溶媒中で行ってもよい。かかる溶媒としては、特に限定されないが、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、ジクロロペンタフルオロプロパン(HCFC-225)、炭素数5~12のパーフルオロ脂肪族炭化水素(例えば、パーフルオロヘキサン、パーフルオロメチルシクロヘキサンおよびパーフルオロ-1,3-ジメチルシクロヘキサン);ポリフルオロ芳香族炭化水素(例えば、ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン);ポリフルオロ脂肪族炭化水素(例えば、C6F13CH2CH3(例えば、旭硝子株式会社製のアサヒクリン(登録商標)AC-6000)、1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタン(例えば、日本ゼオン株式会社製のゼオローラ(登録商標)H);ヒドロフルオロエーテル(HFE)(例えば、パーフルオロプロピルメチルエーテル(C3F7OCH3)(例えば、住友スリーエム株式会社製のNovec(商標)7000)、パーフルオロブチルメチルエーテル(C4F9OCH3)(例えば、住友スリーエム株式会社製のNovec(商標)7100)、パーフルオロブチルエチルエーテル(C4F9OC2H5)(例えば、住友スリーエム株式会社製のNovec(商標)7200)、パーフルオロヘキシルメチルエーテル(C2F5CF(OCH3)C3F7)(例えば、住友スリーエム株式会社製のNovec(商標)7300)などのアルキルパーフルオロアルキルエーテル(パーフルオロアルキル基およびアルキル基は直鎖または分枝状であってよい)、あるいはCF3CH2OCF2CHF2(例えば、旭硝子株式会社製のアサヒクリン(登録商標)AE-3000));芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン);スルホン系溶媒(例えば、ジメチルスルホン、スルフォラン);エーテル系溶媒(例えば、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、2-メチルテトラヒドロフラン、4-メチルテトラヒドロピラン、モノグリム、ジグリム、トリグリム、テトラグリム);アセトニトリル;ニトロメタン;アミド系溶媒(N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、N,N’-ジメチルプロピレン尿素、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン);エステル系溶媒(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル);ケトン系溶媒(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン)等が挙げられる。
【0122】
上記の反応における反応時間は、例えば、0.1~72時間、好ましくは0.5~30時間であり得る。具体的に、式(II)で表される化合物と、上記式(III-a)で表される化合物との反応時間は、例えば10~72時間、好ましくは20~30時間であり得る。また、上記式(II)で表される化合物と、上記式(III-b)で表される化合物との反応時間は、例えば0.1~10時間、好ましくは0.5~5時間であり得る。
【0123】
(含フッ素ポリマーの製造方法2)
本開示には、下記式(VII):
T4-(CR5R6-CH2)n2-CF2-Rf3-CF2-[CH2-CHI-R10-CHI-CH2-CF2-Rf3-CF2]t-(CH2-CR5R6)n3-T4 (VII)
[式(VII)中、
Rf3は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキレン基を表し、
R5は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-4アルキル基または水素原子を表し、
R6は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC6-20芳香族炭化水素基、-CO-OR7および-CO-NR8R9から選ばれる1種を表し、
R7は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基または水素原子を表し、
R8は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基または水素原子を表し、
R9は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基または水素原子を表し、
または、R8およびR9は、それらが結合する窒素原子と一緒になって、モルホリン環を形成していてもよく、
R10は、C1-16アルキレン基を表し、
T4は、各出現においてそれぞれ独立して、末端基を表し、
n2は、1以上の整数を表し、
n3は、1以上の整数を表す。]
で表されるで表される化合物の製造方法であって、
以下の式(IV):
H2C=CH-R10-CH=CH2 (IV)
[式(IV)中、
R10は、C1-16アルキレン基を表す。]
で表される化合物と、
以下の式(V):
I-CF2-Rf3-CF2-I (V)
[式(V)中、
Rf3は、フッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキレン基を表す。]
で表される化合物とを、アミン化合物の存在下、光照射下で反応させて、
以下の式(VI):
I-CF2-Rf3-CF2-[CH2-CHI-R10-CHI-CH2-CF2-Rf3-CF2]t-I (VI)
[式(VI)中、Rf3およびR10は、上記と同意義であり、tは1以上の整数である。
で表される化合物を得ること(以下、「1段階目の反応」ともいう);および、
前記式(VI)で表される化合物と、
以下の式(III):
CH2=CR5R6 (III)
[式(III)中、
R5は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-4アルキル基または水素原子を表し、
R6は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC6-20芳香族炭化水素基、-CO-OR7および-CO-NR8R9から選ばれる1種を表し、
R7は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基または水素原子を表し、
R8は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基または水素原子を表し、
R9は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基または水素原子を表し、
または、R8およびR9は、それらが結合する窒素原子と一緒になって、モルホリン環を形成していてもよい。]
で表される化合物とを、アミン化合物の存在下、光照射下で反応させて、上記式(VII)で表される化合物を得ること(以下、「2段階目の反応」ともいう)を含む製造方法も含まれる。
【0124】
本開示の製造方法では、1段階目の反応および2段階目の反応のいずれにおいても、両末端に-CF2-Iを有するフッ素化合物を開始剤として用い、触媒としてアミン化合物を用いており、特に、1段階目の反応で得られた両末端に-CF2-Iを有する化合物を、2段階目の反応における開始剤として用いている。そのため、1段階目の反応と2段階目の反応とをワンポットで実施することができ、実用上の利点がある。
【0125】
R5、R6、R7、R8およびR9は、上記と同意義である。
【0126】
R10は、C1-16アルキレン基を表す。かかるC1-16アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは、直鎖または分枝鎖のC1-10アルキレン基であり、より好ましくは、直鎖のC2-8アルキレン基である。
【0127】
Rf3は、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキレン基を表す。
【0128】
上記1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキレン基における「C1-16アルキレン基」は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは、直鎖または分枝鎖のC1-10アルキレン基であり、より好ましくは、直鎖のC2-8アルキレン基である。
【0129】
T4は、末端基を表す。本開示は、特定の理論に限定して解釈されるべきではないが、かかる末端基の構造については、以下のように考えられる。上記製造方法では、式(VI)で表される化合物の末端のヨウ素原子が引き抜かれて開始ラジカル種が発生し、この開始ラジカル種がモノマーに付加することで、ラジカル重合反応が開始および進行すると考えられる。かかるラジカル重合反応の停止は、ヨウ素原子による成長末端(ポリマー活性種)のキャップ、ポリマー活性種同士の再結合、ポリマー活性種同士の水素ラジカルの受渡しによる不均化反応により生じ得るが、これらに限定されない。上記末端基は、かかる停止反応に由来する基であり、代表的にはヨウ素原子、水素原子、-CH=CHR6、-CH2-CR6=CH2または-〔-(CR5R6-CH2)n2-CF2-Rf3-CF2-{CH2-CHI-R10-CHI-CH2-CF2-Rf3-CF2}t-(CH2-CR5R6)n2-〕n4-T5であり得る。
ただし、R5、R6、R10、Rf3、n2は上記と同意義であり、n4は、1以上の整数であって、好ましくは1~3、より好ましくは1または2、一の態様において、好ましくは1、別の態様において、好ましくは2であり、T5は末端基であって、代表的には、ヨウ素原子、水素原子、-CH=CHR6または-CH2-CR6=CH2であり得る。
【0130】
tは、1以上の整数を表し、好ましくは1以上50以下、より好ましくは3以上20以下であり得る。
n2は、1以上の整数を表し、好ましくは5以上2,000以下であり得、より好ましくは10以上1,000以下であり得る。
n3は、1以上の整数を表し、好ましくは5以上2,000以下であり得、より好ましくは10以上1,000以下であり得る。
【0131】
上記1段階目の反応に用いるアミン化合物(以下、「アミン化合物(2)」ともいう)、および、上記2段階目の反応に用いるアミン化合物(以下、「アミン化合物(3)」ともいう)とは、同一であっても異なっていてもよい。一の態様において、アミン化合物(2)とアミン化合物(3)とは同一である。アミン化合物(2)とアミン化合物(3)とが同一であると、上記式(IV)で表される化合物と、上記式(V)で表される化合物との反応、および、上記式(VI)で表される化合物と、上記式(III)で表される化合物との反応を、ワンポットで実施できる。別の態様において、アミン化合物(2)とアミン化合物(3)とは異なる。
【0132】
上記アミン化合物(2)およびアミン化合物(3)としては、上記アミン化合物(1)と同様の化合物を用いることができ、第3級アミン化合物が好ましく、例えば、トリ(tert-ブチル)アミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン等のトリアルキルアミン;N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン等のテトラアルキルアルキレンジアミン;N,N,N’,N”,N”-ペンタメチルジエチレントリアミン等のペンタアルキルアルキレントリアミン等が挙げられる。
【0133】
上記アミン化合物(2)は、式(V)で表される化合物に含まれる-CF2-I 1モルに対して、好ましくは0.01モル以上、より好ましくは0.1モル以上5モル以下、さらに好ましくは0.3モル以上3モル以下であり得る。
上記アミン化合物(3)は、式(VI)で表される化合物に含まれる-CF2-I 1モルに対して、好ましくは0.01モル以上、より好ましくは0.1モル以上5モル以下、さらに好ましくは0.3モル以上3モル以下であり得る。
【0134】
上記1段階目および2段階目の反応における光照射の条件は、同一であっても異なっていてもよい。1段階目および2段階目の光照射における光は、それぞれ独立して、好ましくは可視光であり、例えば360nm以上830nm以下、さらに400nm以上760nm以下の波長の光であってよく、複数の波長の光を含んでいてよい。上記光照射における光は、好ましくは白色光であり得る。
かかる光照射は、白色LEDの光を照射することにより実施され得る。
【0135】
上記1段階目の反応、および、上記2段階目の反応の際の反応温度は、同一であっても異なっていてもよい。1段階目の反応は、室温下、加熱または冷却下で実施されてもよく、室温で実施されることが好ましい。1段階目の反応温度は、例えば0℃以上80℃以下、好ましくは10℃以上80℃以下であり得る。2段階目の反応は、室温で実施されてもよく、加熱下で実施されることが好ましい。2段階目の反応における反応温度は、例えば、50℃以上であることが好ましく、より好ましくは60℃以上80℃以下であり得る。
【0136】
上記1段階目および2段階目の反応は、無溶媒下で行ってもよく、溶媒中で行ってもよい。1段階目および2段階目の反応における反応溶媒は、同一であっても異なっていてもよい。一の態様において、1段階目および2段階目の反応における反応溶媒は、同一である。これらの反応溶媒が同一であると、1段階目および2段階目の反応をワンポットで実施することが容易になり得る。別の態様において、2段階目および2段階目の反応における反応溶媒は、異なる。
1段階目および2段階目における溶媒は、特に限定されないが、それぞれ独立して、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、ジクロロペンタフルオロプロパン、炭素数5~12のパーフルオロ脂肪族炭化水素(例えば、パーフルオロヘキサン、パーフルオロメチルシクロヘキサンおよびパーフルオロ1,3-ジメチルシクロヘキサン)、トルエン、ジメチルスルホン、モノグリム、アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド、酢酸エチル、アセトン、メチルイソブチルケトンが挙げられる。
【0137】
1段階目および2段階目における反応時間は、それぞれ独立して、例えば、1~72時間、好ましくは1~30時間であり得る。
【実施例0138】
以下の実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0139】
(実施例1)
開始剤である1,6-ジヨードペルフルオロヘキサン(1a)(0.2mmоl)のジクロロメタン溶液(33vоl%)に対し、スチレンを100当量、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)を1当量添加し、凍結脱気後、アルゴン雰囲気下、白色LEDによる光照射と攪拌を70℃で24時間行った。得られた濃縮前の反応混合物の1H NMR測定を行ったところ、スチレンの転化率は61%であり、1,6-ジヨードペルフルオロヘキサン(1a)は完全に消費されていることを確認した。また反応混合物のGPC測定を行ったところMn=1.6×104、Mw/Mn=2.19であった。さらにメタノールを貧溶媒とした再沈殿による精製を行い、メタノール不溶分として、単離収率55%でポリスチレン(1a-PSt)を得た。
【0140】
【0141】
ただし、Tは、主として以下の基を含む。式中、*は結合手を表す。
【0142】
【0143】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.31-6.87 (3H, br, C6H5), 6.87-6.22 (2H, br, C6H5), 2.31-1.68 (br, CHCH2), 1.68-1.14 (br, CHCH2). 19F NMR (376 MHz, CDCl3) δ -113.0 (br, CF2), -122.2 (s, CF2), -124.2 (s, CF2).
【0144】
(実施例2)
開始剤として1,6-ジヨードペルフルオロヘキサン(1a)に代えて、ヨウ化ペルフルオロイソプロピル(1b)を用いた以外は、実施例1と同様に実験を行った。その結果、ヨウ化ペルフルオロイソプロピル(1b)は完全消費されており、得られた濃縮前の反応混合物の1H NMR測定を行ったところ、スチレンの転化率は36%であった。また反応混合物のGPC測定(移動相:テトラヒドロフラン(THF)、標準試料:ポリスチレン、検出器:UV検出器)を行ったところ、Mn=9.9×103、Mw/Mn=3.26であった。再沈殿を行ったところ、メタノール不溶分として、単離収率34%でポリスチレン(1b-PSt)が得られた。
【0145】
【0146】
ただし、Tは、主として以下の基を含む。式中、*は結合手を表す。
【0147】
【0148】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.20-6.85 (3H, br, C6H5), 6.85-6.31 (2H, br, C6H5), 2.26-1.68 (br, CHCH2), 1.68-1.14 (br, CHCH2). 19F NMR (376 MHz, CDCl3) δ -76.6 (br, CF3), -184.9 (s, CF).
【0149】
(実施例3)
開始剤として1,6-ジヨードペルフルオロヘキサン(1a)に代えて、ヨードジフルオロ酢酸エチル(1c)を用いた以外は、実施例1と同様に実験を行った。その結果、ヨードジフルオロ酢酸エチル(1c)は完全消費されており、得られた濃縮前の反応混合物の1H NMR測定を行ったところ、スチレンの転化率は61%であった。また反応混合物のGPC測定(移動相:テトラヒドロフラン(THF)、標準試料:ポリスチレン、検出器:UV検出器)を行ったところ、Mn=5.7×103、Mw/Mn=3.22であった。再沈殿を行ったところ、メタノール不溶分として、単離収率53%でポリスチレン(1c-PSt)が得られた。
【0150】
【0151】
ただし、Tは、主として以下の基を含む。式中、*は結合手を表す。
【0152】
【0153】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.34-6.89 (3H, br, C6H5), 6.89-6.28 (2H, br, C6H5), 2.11-1.68 (br, CHCH2), 1.68-1.12 (br, CHCH2). 19F NMR (376 MHz, CDCl3) δ -100.3 (d, J = 265.9 Hz, CF), -107.0 (d, J = 231.2 Hz, CF).
【0154】
(実施例4)
開始剤として1,6-ジヨードペルフルオロヘキサン(1a)に代えて、ヨウ化物(1d)を用いた以外は、実施例1と同様に実験を行った。その結果、ヨウ化物(1d)は完全消費されており、得られた濃縮前の反応混合物の1H NMR測定を行ったところ、スチレンの転化率は82%であった。また反応混合物のGPC測定(移動相:テトラヒドロフラン(THF)、標準試料:ポリスチレン、検出器:UV検出器)を行ったところ、Mn=1.5×104、Mw/Mn=3.03であった。再沈殿を行ったところ、メタノール不溶分として、単離収率69%でポリスチレン(1d-PSt)が得られた。また、19F NMR測定より、ポリスチレン(1d-PSt)には、ヨウ化物(1d)由来の[Br-CF2-]骨格が含まれていることを確認した。
【0155】
【0156】
ただし、Tは、主として以下の基を含む。式中、*は結合手を表す。
【0157】
【0158】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.40-6.86 (3H, br, C6H5), 6.86-6.29 (2H, br, C6H5), 2.31-1.68 (br, CHCH2), 1.68-1.14 (br, CHCH2). 19F NMR (376 MHz, CDCl3) δ -69.6 (s, CF2Br), -86.7 (s, CF2), -88.8 (s, CF2), -116.7 (br, CF2).
【0159】
(実施例5)
開始剤として1,6-ジヨードペルフルオロヘキサン(1a)に代えて、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8-ドデカフルオロ-8-ヨード-1-オクテン(1e)を用いた以外は、実施例1と同様に実験を行った。その結果、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8-ドデカフルオロ-8-ヨード-1-オクテン(1e)の[-CF2I]構造は完全消費されており、得られた濃縮前の反応混合物の1H NMR測定を行ったところ、スチレンの転化率は71%であった。また反応混合物のGPC測定(移動相:テトラヒドロフラン(THF)、標準試料:ポリスチレン、検出器:UV検出器)を行ったところ、Mn=9.6×103、Mw/Mn=2.17であった。再沈殿を行ったところ、メタノール不溶分として、単離収率65%でポリスチレン(1e-PSt)が得られた。また、1H NMR測定より、ポリスチレン(1e-PSt)には、ヨウ化物(1e)由来の[CH2=CH-]骨格が含まれていることを確認した。
【0160】
【0161】
ただし、Tは、主として以下の基を含む。式中、*は結合手を表す。
【0162】
【0163】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.25-6.78 (3H, br, C6H5), 6.78-6.22 (2H, br, C6H5), 5.92 (br, CH2=CH ), 5.72 (br, CH2=CH), 2.30-1.68 (br, CHCH2), 1.68-1.14 (br, CHCH2). 19F NMR (376 MHz, CDCl3) δ -113.2 (br, CF2), -114.4 (s, CF2), -122.2 (s, CF2), -122.4 (s, CF2), -124.3 (s, CF2CF2CF2CF2).
【0164】
(実施例6)
開始剤として1,6-ジヨードペルフルオロヘキサン(1a)に代えて、1-(2-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロエトキシ)-1,2,2-トリフルオロエテン(1f)を用いた以外は、実施例1と同様に実験を行った。その結果、1-(2-ブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロエトキシ)-1,2,2-トリフルオロエテン(1f)の[-CF2I]構造は完全消費されており、得られた濃縮前の反応混合物の1H NMR測定を行ったところ、スチレンの転化率は16%であった。また反応混合物のGPC測定(移動相:テトラヒドロフラン(THF)、標準試料:ポリスチレン、検出器:UV検出器)を行ったところ、Mn=1.2×104、Mw/Mn=4.55であった。再沈殿を行ったところ、メタノール不溶分として、単離収率15%でポリスチレン(1f-PSt)が得られた。また、19F NMR測定より、ポリスチレン(1f-PSt)には、ヨウ化物(1f)由来の[CF2=CF-O-CF2-]骨格が含まれていることを確認した。
【0165】
【0166】
ただし、Tは、主として以下の基を含む。式中、*は結合手を表す。
【0167】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.20-6.88 (3H, br, C6H5), 6.88-6.27 (2H, br, C6H5), 2.18-1.68 (br, CHCH2), 1.68-1.18 (br, CHCH2). 19F NMR (376 MHz, CDCl3) δ -90.6 (s, OCF2CF2), -114.5--114.7 (m, CF2=CF), -116.5--116.6 (br, OCF2CF2), -123.0--123.2 (m, CF2=CF), -134.8--134.9 (m, CF2=CF).
【0168】
(実施例7)
開始剤として1,6-ジヨードペルフルオロヘキサン(1a)に代えて、ヨウ化ペルフルオロベンジル(1g)を用いた以外は、実施例1と同様に実験を行った。その結果、ヨウ化ペルフルオロベンジル(1g)の[-CF2I]構造は完全消費されており、得られた濃縮前の反応混合物の1H NMR測定を行ったところ、スチレンの転化率は58%であった。また反応混合物のGPC測定(移動相:テトラヒドロフラン(THF)、標準試料:ポリスチレン、検出器:UV検出器)を行ったところ、Mn=1.2×104、Mw/Mn=4.55であった。再沈殿を行ったところ、メタノール不溶分として、単離収率53%でポリスチレン(1f-PSt)が得られた。
【0169】
【0170】
ただし、Tは、主として以下の基を含む。式中、*は結合手を表す。
【0171】
【0172】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.22-6.85 (3H, br, C6H5), 6.85-6.29 (2H, br, C6H5), 2.21-1.68 (br, CHCH2), 1.68-1.20 (br, CHCH2). 19F NMR (376 MHz, CDCl3) δ -79.9 (t, J = 265.9 Hz, CF2), -94.6 (d, J = 10.0 Hz, CF2), -140.5 (s, Ph-F), -151.9 (s, Ph-F), -161.9 (s, Ph-F).
【0173】
(実施例8)
開始剤であるヨウ化物(1h)(0.2mmоl)の1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン(33vоl%)に対し、スチレンを100当量、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミンを1当量添加し、凍結脱気後、アルゴン雰囲気下、白色LEDによる光照射と攪拌を70℃で24時間行った。得られた濃縮前の反応混合物のNMR測定を行ったところ、得られた濃縮前の反応混合物の1H NMR測定を行ったところ、スチレンの転化率は53%であり、ヨウ化物(1h)の[-CF2I]構造は完全に消費されていることを確認した。また反応混合物のGPC測定(移動相:テトラヒドロフラン(THF)、標準試料:ポリスチレン、検出器:UV検出器)を行ったところMn=1.6×104、Mw/Mn=2.78であった。さらにメタノールを貧溶媒とした再沈殿による精製を行い、メタノール不溶分として、単離収率52%でポリスチレン(1h-PSt)を得た。
【0174】
【0175】
ただし、Tは、主として以下の基を含む。式中、*は結合手を表す。
【0176】
【0177】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.24-6.89 (3H, br, C6H5), 6.89-6.32 (2H, br, C6H5), 2.23-1.72 (br, CHCH2), 1.72-1.19 (br, CHCH2). 19F NMR (376 MHz, CDCl3) δ -80.4 (s, CF3 CF2O), -83.7 (s, CF3CF2O), -86.4 (s, OCF2), -87.3 (s, CCF3F), -89.1 (s, OCF2CF2), -117.0 (br, OCF2CF2), -146.3 (s, CF).
【0178】
(実施例9)
分子量が約1000であるPFPE骨格を有するヨウ化物(1i)(0.2mmоl)を1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンに溶解させた溶液(33vоl%)に対し、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン1当量、スチレン100当量を添加し、凍結脱気後、アルゴン雰囲気下、白色LEDによる光照射と攪拌を70℃で24時間行った。得られた濃縮前の反応混合物の1H NMR測定を行ったところ、スチレンの転化率は76%であった。また反応混合物のGPC測定(移動相:テトラヒドロフラン(THF)、標準試料:ポリスチレン、検出器:UV検出器)を行ったところ、Mn=3.1×104、Mw/Mn=3.09であった。さらにメタノールを貧溶媒とした再沈殿による精製を行ったところ、メタノール不溶分として、単離収率79%で、末端にPFPE骨格を有するポリスチレン(1i-PSt)を得た。
【0179】
【0180】
ただし、Tは、主として以下の基を含む。式中、*は結合手を表す。
【0181】
【0182】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.21-6.89 (3H, br, C6H5), 6.89-6.23 (2H, br, C6H5), 3.78 (s, C(O)OCH3), 2.26-1.67 (br, CHCH2), 1.67-1.14 (br, CHCH2). 19F NMR (376 MHz, CDCl3) δ -80.1--82.1 (br, CF3), -83.3--86.8 (m, CF2), -116.7 (br, CF2), -137.7 (s, CF), -144.9--146.8 (br, CF).
【0183】
(実施例10)
スチレンの添加量を100当量から50当量に減らす以外は、実施例9と同様に実験を行った。得られた濃縮前の反応混合物の1H NMR測定を行ったところ、スチレンの転化率は73%であった。また反応混合物のGPC測定(移動相:テトラヒドロフラン(THF)、標準試料:ポリスチレン、検出器:UV検出器)を行ったところ、Mn=1.4×104、Mw/Mn=3.72であった。再沈殿を行ったところ、メタノール不溶分として、単離収率67%でポリスチレン(1i-PSt)が得られた。
【0184】
【0185】
ただし、Tは、主として以下の基を含む。式中、*は結合手を表す。
【0186】
【0187】
(実施例11)
1分子中に[-CF2I]骨格を8つ持つPOSS化合物(1j)(0.01mmоl)のジクロロメタン溶液(33vоl%)に対して、TMEDAを1当量、スチレンを25当量添加し、凍結脱気後、アルゴン雰囲気下、白色LEDによる光照射と攪拌を70℃で8時間行った。得られた濃縮前の反応混合物の1H NMR測定を行ったところ、スチレンの転化率は85%、[-CF2I]骨格の消費率は92%であった。また、メタノールへの再沈殿による精製を行い、GPC測定(移動相:テトラヒドロフラン(THF)、標準試料:ポリスチレン、検出器:UV検出器)を行ったところ、Mn=2.0×104、Mw/Mn=4.31のポリスチレン(1j-PSt)をメタノール不溶分として、単離収率57%で得られた。
【0188】
【0189】
ただし、Tは、主として以下の基を含む。式中、*は結合手を表す。
【0190】
【0191】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.27-6.85 (3H, br, C6H5), 6.85-6.21 (2H, br, C6H5), 2.17-1.68 (br, CHCH2), 1.68-1.14 (br, CHCH2). 19F NMR (376 MHz, CDCl3) δ -113.1 (16F, br), -115.3 (16F, br), -123.8 (16F, br), -123.9 (16F, br).
【0192】
(合成例1)
1,9-デカジエンのジクロロメタン溶液に対し、1,6-ジヨードペルフルオロヘキサン(1a)を1.2当量、TMEDAを5mol%添加し、凍結脱気後、アルゴン雰囲気下、白色LEDによる光照射と攪拌を行った。得られた反応混合物を水/メタノール(2/1)混合溶媒に再沈殿することで目的のポリマー(1k)が得られた。NMR測定から、ポリマーの末端には[-CF2I]構造を持つことが確かめられた(オレフィン骨格や[-CF2H]骨格は観測されなかった)。また、GPC測定を行ったところ、Mn=4.7×103、Mw/Mn=1.77であった。
【0193】
【0194】
(実施例12)
両末端に[-CF2I]骨格を有する高分子開始剤(1k)(0.05mmоl)のジクロロメタン溶液(33vоl%)に対し、スチレン50当量、触媒としてN,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン1当量を添加し、凍結脱気後、アルゴン雰囲気下、白色LEDによる光照射と攪拌を70℃で24時間行った。反応混合物のNMR測定からスチレンの転化率は99%であり、開始末端である[-CF2I]骨格が完全に消費されていることを確認した。この反応混合物に対しメタノールを貧溶媒とした再沈殿を行ったところ、目的とするトリブロックポリマー(1k-PSt)が得られた。このポリマーのGPC測定(移動相:テトラヒドロフラン(THF)、標準試料:ポリスチレン、検出器:UV検出器)を行ったところ、Mn=1.7×104、Mw/Mn=1.95であった。
【0195】
【0196】
ただし、Tは、各出現においてそれぞれ独立して、主として以下の基を含む。式中、*は結合手を表す。
【0197】
【0198】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.17-7.08 (3H, br, C6H5), 6.79-6.38 (2H, br, C6H5), 4.34-4.32 (m, CHI), 2.91-2.78 (m, CHICH2CF2), 2.29-1.69 (br, CHCH2), 1.69-1.11 (br, CHCH2).19F NMR (376 MHz, CDCl3) δ -112.2 (d, J = 277.4 Hz, CF2), -113.3 (br, CF2)), -115.20 (d, J = 265.9 Hz, CF2), -122.25 (s), CF2), -124.28 (s, CF2).
【0199】
(実施例13)
スチレンの添加量を30当量に変更した以外は、実施例12と同様に実験を行った。反応混合物の1HNMR測定からスチレンの転化率は86%であり、開始末端である[-CF2I]骨格が完全に消費されていることを確認した。この反応混合物に対しメタノールを貧溶媒とした再沈殿を行ったところ、目的とするトリブロックポリマー(1k-PSt)が得られた。このポリマーのGPC測定(移動相:テトラヒドロフラン(THF)、標準試料:ポリスチレン、検出器:UV検出器)を行ったところ、Mn=1.2×104、Mw/Mn=1.37であった。
【0200】
【0201】
ただし、Tは、各出現においてそれぞれ独立して、主として以下の基を含む。式中、*は結合手を表す。
【0202】
【0203】
(比較例1)ヨウ素移動重合との比較
両末端にヨウ素を有する原料ポリマー(1k)(0.05mmоl、Mn=4.7×103、Mw/Mn=1.77)のアセトニトリル溶液(33vоl%)に対し、スチレンを100当量、AIBNを10mоl%添加し、凍結脱気後、アルゴン雰囲気下、攪拌を70℃で24時間行った。メタノールを貧溶媒とした再沈殿を行ったところ51%の収率でポリマーが得られた。このポリマーのGPC測定(移動相:テトラヒドロフラン(THF)、標準試料:ポリスチレン、検出器:UV検出器)を行ったところ、Mn=9.5×103、Mw/Mn=1.47であった。しかしながら、得られたポリマーのNMR測定を行ったところ、原料ポリマー(1k)の開始末端[-CF2I]骨格の内の15%が反応せずに残存していることが確認された。つまり、得られたポリマーは、トリブロックポリマーが72%、ジブロックポリマーが26%、原料ポリマーが2%含まれる混合物であると考えられる。この結果から、原料ポリマーの末端[-CF2I]骨格を完全に反応させる観点においては、本発明の重合法が(アミン化合物を触媒として用いない)ヨウ素移動重合法よりも優れているといえる。
【0204】
【0205】
(比較例2)
【0206】
開始剤として1,6-ジヨードペルフルオロヘキサン(1a)に代えて、ヨウ化物(1l)を用いた以外は、実施例1と同様に実験を行った。その結果、重合は全く進行せず、ヨウ化物(1l)の[-CHI-]骨格が残存していることを確認した。この結果から、実施例12及び13におけるラジカル重合は、原料ポリマー主鎖内部の[-CHI-]骨格ではなく、末端の[-CF2I]骨格から開始されていることが確認された。
【0207】
【0208】
(実施例14)
1,9-デカジエン(0.4mmоl)のジクロロメタン溶液(4mL)に対し、TMEDAを5 mol%、ドデカフルオロ1,6-ジヨードヘキサン(1a)を1.2当量添加し、凍結脱気後、アルゴン雰囲気下、白色LEDによる光照射と攪拌を4時間行った。また反応終了時に溶液を一部抜き出し、NMRおよびGPC測定(移動相:テトラヒドロフラン(THF)、標準試料:ポリスチレン、検出器:UV検出器)を行った(Step1)。反応終了後、溶媒を留去した。重合度6~7の高分子開始剤(1l)が生成したと仮定して算出した系中の[-CF2I]骨格(0.067mmоl)の存在量を基準としてスチレン71当量、TMEDA0.71当量、ジクロロメタン0.55mLを添加し、凍結脱気後、アルゴン雰囲気下、白色LEDによる光照射と攪拌を70℃下でさらに16時間行った(Step2)。得られた反応混合物の1H NMR測定から、スチレンの転化率は73%であった。またこの混合物に対しメタノールを貧溶媒とした再沈殿を行い、単離収率69%でブロックポリマーが得られた。得られたポリマーのGPC測定(移動相:テトラヒドロフラン(THF)、標準試料:ポリスチレン、検出器:UV検出器)の結果、Mn=1.6×104、Mw/Mn=1.88であった。また、19F NMR測定の結果から、原料ポリマーの開始末端[-CF2I]骨格は完全に消費されており、得られたポリマーに、ジブロックポリマーや原料ポリマーは含まれていないことが確認された。
【0209】
【0210】
ただし、Tは、各出現においてそれぞれ独立して、主として以下の基を含む。式中、*は結合手を表す。
【0211】
【0212】
(実施例15)
ヨウ化ペルフルオロヘキシル(1m)(0.2mmоl)のジクロロメタン溶液(33vоl%)に対し、4-(tert-ブトキシ)スチレン(2a)を100当量、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)を1当量添加し、凍結脱気後、アルゴン雰囲気下、白色LEDによる光照射と攪拌を70℃で24時間行った。得られた濃縮前の反応混合物のNMR測定を行い、対応するポリ置換スチレン類(1h-PSt(2a))が生成していることを確認した。また反応混合物のGPC測定(移動相:テトラヒドロフラン(THF)、標準試料:ポリスチレン、検出器:UV検出器)を行ったところMn=1.2×104、Mw/Mn=3.00であった。さらにメタノールを貧溶媒とした再沈殿による精製を行い、メタノール不溶分として、単離収率51%でポリスチレン類(1m-PSt(2a))を得た。
【0213】
【0214】
ただし、Tは、主として以下の基を含む。式中、*は結合手を表す。
【0215】
【0216】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 6.77-6.64 (2H, br, C6H4), 6.46-6.35 (2H, br, C6H4), 1.67-0.91 (br, CHCH2), 1.49-0.90 (11H, br, CHCH2, tBu). 19F NMR (376 MHz, CDCl3) δ: -81.2 (s, CF3), -113.1 (br, CF2), -122.3 (s, CF2), -123.4 (s, CF2), -124.0 (s, CF2), -126.6 (s, CF2).
【0217】
(実施例16)
モノマーとして4-(tert-ブトキシ)スチレン(2a)に代えて、4-(tert-ブチル)スチレン(2b)を用いた以外は、実施例15と同様に実験を行った。その結果、4-(tert-ブチル)スチレン(2b)の転化率は72%であった。また反応混合物のGPC測定(移動相:テトラヒドロフラン(THF)、標準試料:ポリスチレン、検出器:UV検出器)を行ったところ、Mn=1.1×104、Mw/Mn=3.85であった。再沈殿を行ったところ、メタノール不溶分として、単離収率34%で対応するポリスチレン類(1m-PSt(2b))が得られた。
【0218】
【0219】
ただし、Tは、主として以下の基を含む。式中、*は結合手を表す。
【0220】
【0221】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.25-6.81 (2H, br, C6H4), 6.81-6.05 (2H, br, C6H4), 2.25-1.63 (br, CHCH2), 1.49-0.60 (11H, br, CHCH2, tBu).
19F NMR (376 MHz, CDCl3) δ: -81.2 (s, CF3), -113.1 (br, CF2), -122.3 (s, CF2), -123.4 (s, CF2), -124.0 (s, CF2), -126.6 (s, CF2).
【0222】
(実施例17)
モノマーとして4-(tert-ブトキシ)スチレン(2a)に代えて、4-フルオロスチレン(2c)を用いた以外は、実施例15と同様に実験を行った。その結果、4-フルオロスチレン(2c)の転化率は65%であった。また反応混合物のGPC測定(移動相:テトラヒドロフラン(THF)、標準試料:ポリスチレン、検出器:UV検出器)を行ったところ、Mn=5.6×104、Mw/Mn=3.93であった。再沈殿を行ったところ、メタノール不溶分として、単離収率44%でポリスチレン類(1m-PSt(2c))が得られた。
【0223】
【0224】
ただし、Tは、主として以下の基を含む。式中、*は結合手を表す。
【0225】
【0226】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 6.95-6.64 (2H, br, C6H4), 6.49-6.22 (2H, br, C6H4), 1.64-1.52 (br, CHCH2), 1.52-1.20 (br, CHCH2). 19F NMR (376 MHz, CDCl3) δ -81.2 (s, CF3), -113.1 (br, CF2), -116.9 (br, Ph-F), -122.3 (s, CF2), -123.4 (s, CF2), -124.1 (s, CF2), -126.6 (s, CF2).
【0227】
(実施例18)
モノマーとして4-(tert-ブトキシ)スチレン(2a)に代えて、4-クロロスチレン(2d)を用いた以外は、実施例15と同様に実験を行った。その結果、4-クロロスチレン(2d)の転化率は99%であった。また反応混合物のGPC測定(移動相:テトラヒドロフラン(THF)、標準試料:ポリスチレン、検出器:UV検出器)を行ったところ、Mn=3.9×104、Mw/Mn=3.17であった。再沈殿を行ったところ、メタノール不溶分として、単離収率85%でポリスチレン類(1m-PSt(2d))が得られた。
【0228】
【0229】
ただし、Tは、主として以下の基を含む。式中、*は結合手を表す。
【0230】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.16-6.87 (2H, br, C6H4), 6.54-6.23 (2H, br, C6H4), 1.98-1.52 (br, CHCH2), 1.52-1.11 (br, CHCH2). 19F NMR (376 MHz, CDCl3) δ -81.1 (s, CF3), -112.9 (br, CF2), -122.2 (s, CF2), -123.3 (s, CF2), -124.0 (s, CF2), -126.6 (s, CF2).
【0231】
(実施例19)
モノマーとして4-(tert-ブトキシ)スチレン(2a)に代えて、4-アセトキシスチレン(2e)を用いた以外は、実施例15と同様に実験を行った。その結果、4-アセトキシスチレン(2e)の転化率は76%であった。また反応混合物のGPC測定(移動相:テトラヒドロフラン(THF)、標準試料:ポリスチレン、検出器:UV検出器)を行ったところ、Mn=2.4×104、Mw/Mn=3.28であった。再沈殿を行ったところ、メタノール不溶分として、単離収率35%でポリスチレン類(1m-PSt(2e))が得られた。
【0232】
【0233】
ただし、Tは、主として以下の基を含む。式中、*は結合手を表す。
【0234】
【0235】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 6.95-6.63 (2H, br, C6H4), 6.63-6.21 (2H, br, C6H4), 2.37-2.16 (br, OCOCH3), 2.04-1.62 (br, CHCH2), 1.62-1.09 (br, CHCH2). 19F NMR (376 MHz, CDCl3) δ -81.2 (s, CF3), -113.0 (br, CF2), -122.3 (s, CF2), -123.4 (s, CF2), -124.1 (s, CF2), -126.6 (s, CF2).
【0236】
(実施例20)
ヨウ化ペルフルオロヘキシル(1m)(0.2mmоl)の1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン溶液(33vоl%)に対し、2,3,4,5,6-ペンタフルオロスチレン(2f)を100当量、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミンを1当量添加し、凍結脱気後、アルゴン雰囲気下、白色LEDによる光照射と攪拌を70℃で24時間行った。得られた濃縮前の反応混合物のNMR測定を行ったところ、2,3,4,5,6-ペンタフルオロスチレン(2f)の転化率は63%であり、対応するポリスチレン類(1m-PSt(2f))が生成していることを確認した。また反応混合物のGPC測定(移動相:テトラヒドロフラン(THF)、標準試料:ポリスチレン、検出器:UV検出器)を行ったところMn=2.5×104、Mw/Mn=1.82であった。さらにメタノールを貧溶媒とした再沈殿による精製を行い、メタノール不溶分として、単離収率63%でポリスチレン(1m-PSt(2f))を得た。
【0237】
【0238】
ただし、Tは、主として以下の基を含む。式中、*は結合手を表す。
【0239】
【0240】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 2.63-2.29 (br, CHCH2), 2.29-1.74 (br, CHCH2). 19F NMR (376 MHz, CDCl3) δ -79.8 (s, CF3), -112.7 (br, CF2), -120.7 (s, CF2), -121.8 (s, CF2), -122.5 (s, CF2), -125.1 (s, CF2), -142.0 (2F, br, Ph-F), -153.4 (1F, br, Ph-F), -160.3 (2F, br, Ph-F).
【0241】
(比較例3) ヨウ化物非存在下でのスチレンの重合実験
N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)(0.2mmоl)のジクロロメタン溶液(33vоl%)に対し、スチレンを100当量添加し、凍結脱気後、アルゴン雰囲気下、白色LEDによる光照射と攪拌を70℃で24時間行った。得られた濃縮前の反応混合物のNMR測定を行ったところ、スチレンの転化率は7%であり、重合はほとんど進行しなかった。GPC測定(移動相:テトラヒドロフラン(THF)、標準試料:ポリスチレン、検出器:UV検出器)を実施したところ、Mn=8.0×105、Mw/Mn=1.34であった。また、開始剤を添加していないため、少量得られたポリスチレンにおいても、末端に機能性骨格は存在しなかった。この結果から、本発明におけるスチレン類の重合において、開始剤としてヨウ化物の添加が必須であることが確かめられた。
【0242】
【0243】
(比較例4)アミン触媒非存在下でのスチレンの重合実験
ヨウ化ペルフルオロヘキシル(1m)(0.2mmоl)のジクロロメタン溶液(33vоl%)に対し、スチレンを100当量添加し、凍結脱気後、アルゴン雰囲気下、白色LEDによる光照射と攪拌を70℃で24時間行った。得られた濃縮前の反応混合物のNMR測定を行ったところ、スチレンの転化率は5%であり、重合はほとんど進行しなかった。GPC測定(移動相:テトラヒドロフラン(THF)、標準試料:ポリスチレン、検出器:UV検出器)を実施したところ、Mn=5.8×103、Mw/Mn=1.39であった。この結果から、本発明におけるスチレン類の重合において、重合触媒としてアミン化合物の添加が必須であることが確かめられた。
【0244】
【0245】
(比較例5) 暗所下でのスチレンの重合実験
ヨウ化ペルフルオロヘキシル(1m)(0.2mmоl)のジクロロメタン溶液(33vоl%)に対し、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)1当量、スチレン100当量を添加し、凍結脱気後、アルゴン雰囲気下、暗所下において、70℃での攪拌を24時間行った。しかしながら重合は全く進行せず、本発明におけるスチレン類の重合において、光照射が必須であることが確かめられた。
【0246】
【0247】
(比較例6) 室温下でのスチレンの重合実験
ヨウ化ペルフルオロヘキシル(1m)(0.2mmоl)のジクロロメタン溶液(33vоl%)に対し、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)1当量、スチレン100当量を添加し、凍結脱気後、アルゴン雰囲気下、白色LEDによる光照射と攪拌を、室温下で48時間行った。しかしながらスチレンの転化率は3%であり、重合はほとんど進行しなかった。GPC測定(移動相:テトラヒドロフラン(THF)、標準試料:ポリスチレン、検出器:UV検出器)を実施したところ、Mn=2.4×103、Mw/Mn=1.34であった。この結果から、本発明におけるスチレン類の重合において、加熱操作が好ましいことが確かめられた。
【0248】
【0249】
(実施例21)
開始剤であるヨウ化ペルフルオロヘキシル(1m)(0.2mmоl)のジクロロメタン溶液(33vоl%)に対し、スチレンを100当量、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)を1当量添加し、凍結脱気後、アルゴン雰囲気下、白色LEDによる光照射と攪拌を70℃で24時間行った。得られた濃縮前の反応混合物のNMR測定を行ったところ、ヨウ化ペルフルオロヘキシル(1m)は完全に消費されており、スチレンの転化率89%でポリスチレン(1m-PSt)が得られた。また反応混合物のGPC測定(移動相:テトラヒドロフラン(THF)、標準試料:ポリスチレン、検出器:UV検出器)を行ったところMn=1.3×104、Mw/Mn=2.80であった。
【0250】
【0251】
ただし、Tは、主として以下の基を含む。式中、*は結合手を表す。
【0252】
【0253】
(実施例22)
TMEDAの添加量を0.5当量に減らしたこと以外は、実施例21と同様に実験を行った。得られた濃縮前の反応混合物のNMR測定を行ったところ、ヨウ化ペルフルオロヘキシル(1m)の消費率は98%、スチレンの転化率が23%で対応するポリスチレン(1m-PSt)が得られた。また反応混合物のGPC測(移動相:テトラヒドロフラン(THF)、標準試料:ポリスチレン、検出器:UV検出器)定を行ったところMn=2.1×103、Mw/Mn=2.80であった。
【0254】
【0255】
ただし、Tは、主として以下の基を含む。式中、*は結合手を表す。
【0256】
【0257】
(実施例23)
TMEDAの添加量を2当量に増やしたこと以外は、実施例21と同様に実験を行った。得られた濃縮前の反応混合物のNMR測定を行ったところ、ヨウ化ペルフルオロヘキシル(1m)は完全に消費されており、スチレンの転化率が85%で対応するポリスチレン(1m-PSt)が得られた。また反応混合物のGPC測定(移動相:テトラヒドロフラン(THF)、標準試料:ポリスチレン、検出器:UV検出器)を行ったところMn=1.2×104、Mw/Mn=3.64であった。
【0258】
【0259】
ただし、Tは、主として以下の基を含む。式中、*は結合手を表す。
【0260】
【0261】
(実施例24)
添加するアミン触媒をTMEDAからトリブチルアミン(TBA)に代えたこと以外は実施例21と同様に実験を行った。得られた濃縮前の反応混合物のNMR測定を行ったところ、ヨウ化ペルフルオロヘキシル(1m)は完全に消費されており、スチレンの転化率が33%で対応するポリスチレン(1m-PSt)が得られた。また反応混合物のGPC測定(移動相:テトラヒドロフラン(THF)、標準試料:ポリスチレン、検出器:UV検出器)を行ったところMn=3.4×103、Mw/Mn=1.66であった。
【0262】
【0263】
ただし、Tは、主として以下の基を含む。式中、*は結合手を表す。
【0264】
【0265】
(実施例25)
添加するアミン触媒をTMEDAからジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)に代えたこと以外は参考例9と同様に実験を行った。得られた濃縮前の反応混合物のNMR測定を行ったところ、ヨウ化ペルフルオロヘキシル(1m)は完全に消費されており、スチレンの転化率が99%で対応するポリスチレン(1m-PSt)が得られた。また反応混合物のGPC測定(移動相:テトラヒドロフラン(THF)、標準試料:ポリスチレン、検出器:UV検出器)を行ったところMn=9.2×103、Mw/Mn=3.44であった。
【0266】
【0267】
ただし、Tは、主として以下の基を含む。式中、*は結合手を表す。
【0268】
【0269】
(実施例26)
添加するアミン触媒をTMEDAからN,N,N’,N’’,N’’-ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)に代えたこと以外は参考例9と同様に実験を行った。得られた濃縮前の反応混合物のNMR測定を行ったところ、ヨウ化ペルフルオロヘキシル(1m)は完全に消費されており、スチレンの転化率が99%で対応するポリスチレン(1m-PSt)が得られた。また反応混合物のGPC測定(移動相:テトラヒドロフラン(THF)、標準試料:ポリスチレン、検出器:UV検出器)を行ったところMn=1.3×104、Mw/Mn=3.74であった。
【0270】
【0271】
ただし、Tは、主として以下の基を含む。式中、*は結合手を表す。
【0272】
【0273】
(実施例27)
使用する重合溶媒をジクロロメタンからジメチルスルホキシド(DMSO)に代えたこと以外は参考例9と同様に実験を行った。得られた濃縮前の反応混合物のNMR測定を行ったところ、ヨウ化ペルフルオロヘキシル(1m)は完全に消費されており、スチレンの転化率が88%で対応するポリスチレン(1m-PSt)が得られた。また反応混合物のGPC測定(移動相:テトラヒドロフラン(THF)、標準試料:ポリスチレン、検出器:UV検出器)を行ったところMn=1.3×104、Mw/Mn=4.25であった。
【0274】
【0275】
ただし、Tは、主として以下の基を含む。式中、*は結合手を表す。
【0276】
【0277】
(実施例28)
使用する重合溶媒をジクロロメタンからアセトニトリルに代えたこと以外は実施例21と同様に実験を行った。得られた濃縮前の反応混合物のNMR測定を行ったところ、ヨウ化ペルフルオロヘキシル(1m)は完全に消費されており、スチレンの転化率が75%で対応するポリスチレン(1m-PSt)が得られた。また反応混合物のGPC測定(移動相:テトラヒドロフラン(THF)、標準試料:ポリスチレン、検出器:UV検出器)を行ったところMn=1.1×104、Mw/Mn=3.32であった。
【0278】
【0279】
ただし、Tは、主として以下の基を含む。式中、*は結合手を表す。
【0280】
【0281】
(実施例29)
使用する重合溶媒をジクロロメタンから1,2-ジクロロエタンに代えたこと以外は実施例21と同様に実験を行った。得られた濃縮前の反応混合物のNMR測定を行ったところ、ヨウ化ペルフルオロヘキシル(1m)は完全に消費されており、スチレンの転化率が36%で対応するポリスチレン(1m-PSt)が得られた。また反応混合物のGPC測定(移動相:テトラヒドロフラン(THF)、標準試料:ポリスチレン、検出器:UV検出器)を行ったところMn=6.4×103、Mw/Mn=1.98であった。
【0282】
【0283】
ただし、Tは、主として以下の基を含む。式中、*は結合手を表す。
【0284】
【0285】
(実施例30)
重合時間を16時間に短縮したこと以外は実施例29と同様に実験を行った。得られた濃縮前の反応混合物のNMR測定を行ったところ、ヨウ化ペルフルオロヘキシル(1m)の96%消費されており、スチレンの転化率が21%で対応するポリスチレン(1m-PSt)が得られた。また反応混合物のGPC測定(移動相:テトラヒドロフラン(THF)、標準試料:ポリスチレン、検出器:UV検出器)を行ったところMn=6.5×103、Mw/Mn=1.84であった。
【0286】
【0287】
ただし、Tは、主として以下の基を含む。式中、*は結合手を表す。
【0288】
【0289】
(実施例31)
使用する重合溶媒を1,2-ジクロロエタンからトルエンに代えたこと以外は実施例30と同様に実験を行った。得られた濃縮前の反応混合物のNMR測定を行ったところ、ヨウ化ペルフルオロヘキシル(1m)の91%消費されており、スチレンの転化率が36%で対応するポリスチレン(1m-PSt)が得られた。また反応混合物のGPC測定(移動相:テトラヒドロフラン(THF)、標準試料:ポリスチレン、検出器:UV検出器)を行ったところMn=5.9×103、Mw/Mn=2.04であった。
【0290】
【0291】
ただし、Tは、主として以下の基を含む。式中、*は結合手を表す。
【0292】
【0293】
(実施例32)
ジクロロメタンを加えずに無溶媒条件下としたこと以外は、実施例21と同様に実験を行った。得られた濃縮前の反応混合物のNMR測定を行ったところ、ヨウ化ペルフルオロヘキシル(1m)の97%が消費されており、スチレンの転化率98%でポリスチレン(1m-PSt)が得られた。また反応混合物のGPC測定(移動相:テトラヒドロフラン(THF)、標準試料:ポリスチレン、検出器:UV検出器)を行ったところMn=1.6×104、Mw/Mn=2.36であった。
【0294】
【0295】
ただし、Tは、主として以下の基を含む。式中、*は結合手を表す。
【0296】
【0297】
(実施例33)
溶液濃度を50vоl%になる様にジクロロメタンを加えたこと以外は、実施例21と同様に実験を行った。得られた濃縮前の反応混合物のNMR測定を行ったところ、ヨウ化ペルフルオロヘキシル(1m)の75%が消費されており、スチレンの転化率47%でポリスチレン(1m-PSt)が得られた。また反応混合物のGPC測定(移動相:テトラヒドロフラン(THF)、標準試料:ポリスチレン、検出器:UV検出器)を行ったところMn=5.2×103、Mw/Mn=2.16であった。
【0298】
【0299】
ただし、Tは、主として以下の基を含む。式中、*は結合手を表す。
【0300】
【0301】
(実施例34)
溶液濃度を75vоl%になる様にジクロロメタンを加えたこと以外は、実施例21と同様に実験を行った。得られた濃縮前の反応混合物のNMR測定を行ったところ、ヨウ化ペルフルオロヘキシル(1m)の72%が消費されており、スチレンの転化率25%でポリスチレン(1m-PSt)が得られた。また反応混合物のGPC測定(移動相:テトラヒドロフラン(THF)、標準試料:ポリスチレン、検出器:UV検出器)を行ったところMn=6.1×103、Mw/Mn=2.64であった。
【0302】
【0303】
ただし、Tは、主として以下の基を含む。式中、*は結合手を表す。
【0304】
【0305】
(実施例35)
ヨウ化ペルフルオロイソプロピル(1b)(0.2mmоl)のジクロロメタン溶液(33vоl%)に対し、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)を1当量、N,N-ジメチルアクリルアミド(DMAA)を100当量添加し、凍結脱気後、アルゴン雰囲気下、白色LEDによる光照射と攪拌を室温下で1.5時間行った。得られた反応混合物のNMR測定を行ったところ、DMAAの転化率は88%であった。またcrudeのGPC測定(移動相:テトラヒドロフラン(THF)、標準試料:ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、検出器:RI検出器)を行い、Mn=1.0×104、Mw/Mn=1.15の値を示すポリ(N,N-ジメチルアクリルアミド)(1b-PDMAA)が得られたことが分かった。
【0306】
【0307】
ただし、Tは、主として以下の基を含む。式中、*は結合手を表す。
【0308】
【0309】
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 3.30-2.76 (br, N(CH3)2), 2.76-2.29 (br, CHCH2), 1.95-1.04 (br, CHCH2). 19F NMR (471 MHz, CDCl3) δ -113.6 (br, CF2), -114.3 (s, CF2), -122.1 (d, J = 76.3 Hz, CF2), -124.2 (s, CF2).
【0310】
(実施例36)
開始剤をヨウ化ペルフルオロイソプロピル(1b)からヨウ化物(1d)に変更し、重合時間を17時間としたこと以外は、実施例35と同様に実験を行った。得られた反応混合物のNMR測定を行ったところ、DMAAの転化率は94%であった。またcrudeのGPC測定(移動相:テトラヒドロフラン(THF)、標準試料:ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、検出器:RI検出器)を行い、Mn=1.2×104、Mw/Mn=1.11の値を示すポリ(N,N-ジメチルアクリルアミド)(1d-PDMAA)が得られたことが分かった。また、19F NMR測定より、ポリスチレン(1d-PDMAA)には、ヨウ化物(1d)由来の[Br-CF2-]が含まれていることを確認した。
【0311】
【0312】
ただし、Tは、主として以下の基を含む。式中、*は結合手を表す。
【0313】
【0314】
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 3.21-2.78 (br, N(CH3)2), 2.76-2.23 (br, CHCH2), 1.94-1.12 (br, CHCH2). 19F NMR (471 MHz, CDCl3) δ -69.9 (s, CF2Br), -86.6 (s, CF2), -86.9 (s, CF2), -113.7 (br, CF2).
【0315】
(実施例37)
開始剤を、ヨウ化ペルフルオロイソプロピル(1b)から3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8-ドデカフルオロ-8-ヨード-1-オクテン(1e)に変更し、重合時間を24時間としたこと以外は、実施例35と同様に実験を行った。得られた反応混合物のNMR測定を行ったところ、DMAAの転化率は97%であった。またcrudeのGPC測定(移動相:テトラヒドロフラン(THF)、標準試料:ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、検出器:RI検出器)を行い、Mn=1.9×104、Mw/Mn=1.30の値を示すポリ(N,N-ジメチルアクリルアミド)(1e-PDMAA)が得られたことが分かった。また、1H NMR測定より、ポリスチレン(1e-PDMAA)には、ヨウ化物(1e)由来の[CH2=CH-]が含まれていることを確認した。
【0316】
【0317】
ただし、Tは、主として以下の基を含む。式中、*は結合手を表す。
【0318】
【0319】
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 5.98 (br, CH2=CH ), 5.82 (br, CH2=CH), 3.30-2.76 (br, N(CH3)2), 2.76-2.29 (br, CHCH2), 1.95-1.04 (br, CHCH2). 19F NMR (471 MHz, CDCl3) δ -113.6 (br, CF2), -114.3 (s, CF2), -122.1 (s, CF2), -122.3 (s, CF2), -124.2 (s, CF2CF2CF2CF2).
-113.2 (br, CF2), -114.4 (s, CF2), -122.2 (s, CF2), -122.4 (s, CF2), -124.3 (s, CF2CF2CF2CF2)
【0320】
(実施例38)
開始剤を、ヨウ化ペルフルオロイソプロピル(1b)から3,3,4,4,5,5,6,6-ドデカフルオロ-6-ヨード-1-ヘキセン(1n)に変更し、重合時間を24時間としたこと以外は、実施例35と同様に実験を行った。得られた反応混合物のNMR測定を行ったところ、DMAAの転化率は98%であった。またcrudeのGPC測定(移動相:テトラヒドロフラン(THF)、標準試料:ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、検出器:RI検出器)を行い、Mn=1.9×104、Mw/Mn=1.14の値を示すポリ(N,N-ジメチルアクリルアミド)(1n-PDMAA)が得られたことが分かった。また、1H NMR測定より、ポリスチレン(1n-PDMAA)には、ヨウ化物(1n)由来の[CH2=CH-]が含まれていることを確認した。
【0321】
【0322】
ただし、Tは、主として以下の基を含む。式中、*は結合手を表す。
【0323】
【0324】
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 5.93 (br, CH2=CH ), 5.78 (br, CH2=CH), 3.21-2.77 (br, N(CH3)2), 2.75-2.25 (br, CHCH2), 1.93-1.11 (br, CHCH2). 19F NMR (471 MHz, CDCl3) δ -113.1 (br, CF2), -114.4 (s, CF2), -123.2 (s, CF2), -124.0 (s, CF2).
【0325】
(実施例39)
開始剤を、ヨウ化ペルフルオロイソプロピル(1b)からヨウ化ペルフルオロベンジル(1g)に変更し、重合時間を17時間としたこと以外は、実施例35と同様に実験を行った。得られた反応混合物のNMR測定を行ったところ、DMAAの転化率は98%であった。またcrudeのGPC測定(移動相:テトラヒドロフラン(THF)、標準試料:ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、検出器:RI検出器)を行い、Mn=1.9×104、Mw/Mn=1.14の値を示すポリ(N,N-ジメチルアクリルアミド)(1g-PDMAA)が得られたことが分かった。
【0326】
【0327】
ただし、Tは、主として以下の基を含む。式中、*は結合手を表す。
【0328】
【0329】
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 3.25-2.77 (br, N(CH3)2), 2.75-2.31 (br, CHCH2), 1.90-1.14 (br, CHCH2). 19F NMR (471 MHz, CDCl3) δ -80.1 (d, J = 267.8 Hz, CF2), -95.7 (d, J = 275.6 Hz, CF2), -141.2 (s, Ph-F), -151.5 (s, Ph-F), -162.5 (s, Ph-F).
【0330】
(実施例40)
開始剤を、ヨウ化ペルフルオロイソプロピル(1b)からヨウ化物(1h)に変更し、重合時間を24時間としたこと以外は、実施例35と同様に実験を行った。得られた反応混合物のNMR測定を行ったところ、DMAAの転化率は86%であった。またcrudeのGPC測定(移動相:テトラヒドロフラン(THF)、標準試料:ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、検出器:RI検出器)を行い、Mn=1.7×104、Mw/Mn=1.10の値を示すポリ(N,N-ジメチルアクリルアミド)(1h-PDMAA)が得られたことが分かった。
【0331】
【0332】
ただし、Tは、主として以下の基を含む。式中、*は結合手を表す。
【0333】
【0334】
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 3.21-2.77 (br, N(CH3)2), 2.76-2.34 (br, CHCH2), 1.91-1.15 (br, CHCH2). 19F NMR (471 MHz, CDCl3) δ -80.3 (s, CF3CF2O), -83.4 (s, CF3CF2O), -84.1 (s, OCF2), -87.1 (s, CCF3F), -88.9 (s, OCF2CF2), -118.1 (br, OCF2CF2), -145.9 (s, CF).
【0335】
(実施例41)
開始剤を、ヨウ化ペルフルオロイソプロピル(1b)からテトラフルオロ-2-(テトラフルオロ-2-ヨードエトキシ)エタンスルホン酸フッ化物(1o))に変更し、重合時間を17時間としたこと以外は、実施例35と同様に実験を行った。得られた反応混合物のNMR測定を行ったところ、DMAAの転化率は100%であった。またcrudeのGPC測定(移動相:テトラヒドロフラン(THF)、標準試料:ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、検出器:RI検出器)を行い、Mn=1.2×104、Mw/Mn=1.29の値を示すポリ(N,N-ジメチルアクリルアミド)(1o-PDMAA)が得られたことが分かった。
【0336】
【0337】
ただし、Tは、主として以下の基を含む。式中、*は結合手を表す。
【0338】
【0339】
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 3.20-2.79 (br, N(CH3)2), 2.79-2.23 (br, CHCH2), 1.93-1.09 (br, CHCH2). 19F NMR (471 MHz, CDCl3) δ 45.6 (s, SO2F), -82.9 (s, F2), -86.2 (s, F2), -118.2 (1F, s), -119.0 (1F, s).
【0340】
(実施例42)
分子量が約1000であり、末端に[-CF2I]骨格を有するパーフルオロポリエーテル(PFPE)(1p)(0.2mmоl)の1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン溶液(33vоl%)に対し、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)を1当量、N,N-ジメチルアクリルアミド(DMAA)を100当量添加し、凍結脱気後、アルゴン雰囲気下、白色LEDによる光照射と攪拌を室温下で1.5時間行った。得られた反応混合物のNMR測定を行ったところ、DMAAの転化率は99%であった。また得られたポリマーのGPC測定(移動相:テトラヒドロフラン(THF)、標準試料:ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、検出器:RI検出器)を行い、Mn=1.9×104、Mw/Mn=1.29の値を示すポリ(N,N-ジメチルアクリルアミド)(1p-PDMAA)が得られたことが分かった。
【0341】
【0342】
ただし、Tは、主として以下の基を含む。式中、*は結合手を表す。
【0343】
【0344】
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 3.78 (s, C(O)OCH3), 3.30-2.71 (br, N(CH3)2), 2.71-2.21 (br, CHCH2), 2.00-1.06 (br, CHCH2). 19F NMR (376 MHz, CDCl3) δ -80.4 (br, CF3), -84.4 (br, CF2), -144.8--146.5 (br, CF).
【0345】
(実施例43)
ヨウ化ペルフルオロヘキシル(1b)(0.2mmоl)のジクロロメタン溶液(33vоl%)に対し、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)を1当量、N,N-ジエチルアクリルアミド(3a)を100当量添加し、凍結脱気後、アルゴン雰囲気下、白色LEDによる光照射と攪拌を室温下で3時間行った。得られた反応混合物のNMR測定を行ったところ、N,N-ジエチルアクリルアミド(3a)の転化率は96%であった。またcrudeのGPC測定(移動相:テトラヒドロフラン(THF)、標準試料:ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、検出器:RI検出器)を行い、Mn=2.5×104、Mw/Mn=1.46の値を示すポリ(N,N-ジエチルアクリルアミド)(1m-PAA-3a)が得られたことが分かった。
【0346】
【0347】
ただし、Tは、主として以下の基を含む。式中、*は結合手を表す。
【0348】
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 3.73-2.98 (br, NCH2CH3), 2.89-2.25 (br, CHCH2), 2.03-0.91 (br, CHCH2, NCH2CH3). 19F NMR (471 MHz, CDCl3) δ -81.1 (s, CF3), -113.5 (br, CF2), -122.1 (s, CF2), -123.1 (s, CF2), -123.8 (s, CF2), -126.5 (s, CF2).
【0349】
(実施例44)
用いるモノマーをN,N-ジエチルアクリルアミド(3a)から4-アクリロイルモルホリン(3b)に変更した以外は、実施例43と同様に実験を行った。得られた反応混合物のNMR測定を行ったところ、4-アクリロイルモルホリン(3b)の転化率は69%であった。またcrudeのGPC測定(移動相:テトラヒドロフラン(THF)、標準試料:ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、検出器:RI検出器)を行い、Mn=5.4×104、Mw/Mn=1.74の値を示すポリ(4-アクリロイルモルホリン)(1m-PAA-3b)が得られたことが分かった。
【0350】
【0351】
ただし、Tは、主として以下の基を含む。式中、*は結合手を表す。
【0352】
【0353】
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 3.97-3.17 (br, NCH2CH2O), 2.76-2.28 (br, CHCH2), 1.91-1.12 (br, CHCH2). 19F NMR (471 MHz, CDCl3) δ -81.2 (s, CF3), -113.6 (br, CF2), -121.5 (s, CF2), -123.2 (s, CF2), -123.8 (s, CF2), -126.5 (s, CF2).
【0354】
(比較例7) 開始剤非存在下でのアクリルアミドの重合実験
N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)(0.2mmоl)のジクロロメタン溶液(33vоl%)に対し、N,N-ジメチルアクリルアミド(DMAA)を100当量添加し、凍結脱気後、アルゴン雰囲気下、白色LEDによる光照射と攪拌を室温下で1.5時間行った。しかしながら重合は進行せず、本発明におけるアクリルアミド類の重合において、ヨウ化物の添加が必須であることが確認された。
【0355】