(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022948
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】蔓切り装置および蔓切り装置を備えた作業機
(51)【国際特許分類】
A01D 23/02 20060101AFI20240214BHJP
【FI】
A01D23/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022126410
(22)【出願日】2022-08-08
(71)【出願人】
【識別番号】592170558
【氏名又は名称】訓子府機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】松田 謙
【テーマコード(参考)】
2B072
【Fターム(参考)】
2B072AA02
2B072AA10
2B072DA05
2B072DA12
2B072DA20
2B072GA12
(57)【要約】 (修正有)
【課題】蔓の一部分のみを切断する蔓切り装置を提供すること。
【解決手段】ガイド61と切断装置41を備え、前記ガイド61は、前記ガイド61の先端部が、樹脂より硬い材料で構成されており、途中から樹脂部となっているものであって、蔓を地表から所定の高さにある前記切断装置41まで導くものであり、前記切断装置41は、前記ガイド61の下流に設けられている蔓切り装置。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガイドと切断装置を備え、
前記ガイドは、
前記ガイドの先端部が、樹脂より硬い材料で構成されており、途中から樹脂部となっているものであって、
蔓を地表から所定の高さにある前記切断装置まで導くものであり、
前記切断装置は、前記ガイドの下流に設けられている蔓切り装置。
【請求項2】
前記ガイドは、進行方向と同じ方向に延びており、前記樹脂部を構成する樹脂は、ポリオレフィン系樹脂である請求項1記載の蔓切り装置。
【請求項3】
前記ガイドは、前記ガイドの先端部が、樹脂より硬い金属材料で構成された先端筒状部材となっており、前記樹脂部は前記先端筒状部材に呑み込まれていることで、途中から前記樹脂部となっている請求項1記載の蔓切り装置。
【請求項4】
前記切断装置は、回転刃であり、水平軸回りに回転する請求項1記載の蔓切り装置。
【請求項5】
前記回転刃は、モータで駆動されており、
前記モータは、前記回転刃の側方に設置されており、前記回転刃と駆動連結されている請求項4記載の蔓切り装置。
【請求項6】
前記ガイドの下方には、接地体が取り付けられており、前記接地体を基準にして前記ガイドの先端部の高さを調整自在に構成した請求項1記載の蔓切り装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか記載の蔓切り装置を備えた作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蔓を切断する蔓切り装置に関する。例えば、蔓の切断は、カボチャなどの蔓性作物の収穫前などに行われる作業である。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1のような、甘藷用蔓切り機があった。特許文献1の装置は、フレール刃を備え、甘藷の茎葉を切断する装置である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
甘藷は蔓性植物であるが、同時に、主な可食部分が地下にある塊茎植物でもある。フレール刃で茎葉を裁断して蔓切りを行っても、地下にある可食部分に傷がつくことはない。このため、甘藷の蔓切りは、特段の注意を払うことなく行うことができた。
しかしながら、蔓性植物の中には、カボチャのように地表に可食部が育つ植物がある。このような植物に対して、フレール刃を用いて茎葉を裁断することはできない。可食部分のカボチャの実もフレール刃で裁断されてしまうからである。
そこで、蔓の一部分のみを切断する蔓切り装置が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、次の手段を採用することで課題を解決した。
ガイドと切断装置を備え、前記ガイドは、前記ガイドの先端部が、樹脂より硬い材料で構成されており、途中から樹脂部となっているものであって、蔓を地表から所定の高さにある前記切断装置まで導くものであり、前記切断装置は、前記ガイドの下流に設けられている蔓切り装置。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、可食部分を傷つけることなく蔓性作物の茎葉の一部のみを効率的に切断できるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、蔓切り装置を備えた作業機の斜視図である。
【
図2】
図2は、蔓切り装置が備える各部の説明図であり、
図2(A)は平面図、
図2(B)は正面図である。
【
図6】
図6は、高さ調整部およびガイドの説明図であり、
図5(A)はガイド部の拡大斜視図、
図5(B)はガイド部から接地体(ソリ)を取り外した状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。以下の説明で、異なる図における同一符号は同一機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。
本明細書でいう右・左とは、トラクタTの座席から観て右・左を意味する。また、前、後ろとは、トラクタTの進行方向を前とする。
【0009】
(実施例)
【0010】
図1は、蔓切り装置2を備えた作業機の斜視図である。実施例の蔓切り装置2は、トラクタTの前部に設けられた連結部1に取り付けられている。連結部1は、装着リンク11と横機枠13で構成されている。装着リンク11は、先端に横機枠13が取り付けられている。装着リンク11に設けられた昇降シリンダ12は、装着リンク11を伸び縮みさせ横機枠13を昇降させる。
横機枠13は、中空部を有する型材である。横機枠13の両端にある開放端は、中空部に一回り小さい型材を呑み込んでおり、一回り小さい型材を伸縮させることで、横機枠13の左右幅を調節できる左右幅調整部131となっている。
実施例の蔓切り装置2は、横機枠13の左に1台、右に1台の計2台の蔓切り装置2が配置されている。左右幅調整部131を用いて、畝の幅と同じになるように2台の蔓切り装置2の間隔が調整されている。畝を超えて隣の畝まで伸びる蔓は、蔓切り装置2により切断される。
【0011】
[蔓切り装置]
図2は、蔓切り装置が備える各部の説明図であり、
図2(A)は平面図、
図2(B)は正面図である。
蔓切り装置2は、大きく分けて機枠部3と切断部4とガイド部6で構成されており、各部はこの順に並んで配置されている。
【0012】
[機枠部]
機枠部3は、後方側を横機枠13と連結されており、蔓切り装置2を支えるものである。機枠部3の構造は、切断部4などを支えることができれば、適宜な構造でよい。実施例では、地表面の不陸(凹凸)に追随するよう上下するような機構が採用されている。
分草体31は、機枠部3の下方であって左右に一対あり、収穫物(カボチャなど)をトラクタTの車輪が踏まぬように左右に押しやるものである。分草体31は、実施例では、機枠部3に取り付けられているが、切断部4に取り付けられていてもよく、何に取り付けるかは適宜である。
【0013】
図2(A)に図示されているように、分草体31は、側方カバー45の後方に配置されている。分草体31は、側方カバー45で側方に押し出された蔓や収穫物を更に側方に押し出すように作用する。
図1に図示されているように、実施例の分草体31は2本の棒材を縦に並べた形状となっている。分草体31は、構造、形状、材質等を問わない。
【0014】
[切断部]
図3は、
図1の円で囲ったA領域の拡大図である。
図3は、主に切断部4の構造を図示している。
機枠部3の前方に接続部47があり、接続部47は、機枠部3と切断部4を連結している。
切断部4は、切断装置41を備えており、実施例の切断装置41は回転刃となっている。切断装置(回転刃)41は、水平軸回りに回転するものであり、左右方向に送られて来る蔓を切断する。
切断装置(回転刃)41の回転軸には、駆動装置(モータ)42が直接取り付けられている。駆動装置(モータ)42が切断装置(回転刃)41に極めて近接して配置されているため、複雑かつ大がかりな動力伝達部材を別途設けなくとも、切断装置(回転刃)41を駆動できる。
駆動装置(モータ)42は、電気駆動でも流体圧駆動でもよく、駆動源の種類は問わない。
実施例では、切断装置41に回転刃を採用したが、往復駆動する刈刃であってもよい。
【0015】
切断装置(回転刃)41の周囲は、保護フレーム43で囲われており、不注意に切断装置(回転刃)41に触れることが無いように配慮されている。また、保護フレーム43は、切断済みの蔓が切断装置(回転刃)41に絡みつくことを防止する。
蔓押さえフレーム431と安全フレーム432は、保護フレーム43の機能と共に、蔓押さえ作用や安全性を特に高める機能を有する。蔓押さえフレーム431は、ガイド部6でガイドされてきた蔓を上から切断装置(回転刃)41側に押さえる作用を果たす。蔓押さえフレーム431は、蔓が切断装置(回転刃)41の上を乗り越えて行くことを防ぎ、蔓をスムーズに切断することに寄与する。他方、安全フレーム432は、切断装置(回転刃)41側に手などが入らないようにするものであり、もっぱら安全性を確保する作用がある。保護フレーム43は、目的に応じ適宜増やしたり減らしたりできる。保護フレーム43は、切断装置(回転刃)41の周囲に、他の部材を配置することなどで代替えすることもできる。
【0016】
切断部4の側面は、側方カバー45で覆われている。
図2から分かるように、側方カバー45は、左右両側面を覆っている。蔓が切断装置(回転刃)41に絡まるとトラブルを誘発するため、側方カバー45は蔓が切断部4の内部に入ることを防ぐ。また、側方カバー45は、前方から後方に向かって広がるように斜めに配設されている。切断された蔓は、側方カバー45に誘導され左右に押しやられる。ガイドされる蔓の近傍にカボチャが付いていた場合、側方カバー45は、カボチャを側方に誘導しながら、より蔓切り装置2から離れるように押しやる作用をもたらす。側方カバー45の後方には、分草体31があるため、カボチャはさらに側方に押しやられる。これにより、ガイドされる蔓の近傍にあるカボチャは、最終的にトラクタTの車輪から離れた場所に押しやられる。
【0017】
切断部4の底面は、ソリ体46が取り付けられており、底面を塞いでいる。ソリ体46は圃場に接地して、蔓切り装置2が過剰に地面に沈むことを防ぐ。特に、圃場がぬかるんでいるなどの時には、蔓切り装置2が刺さるように地面に沈み込むトラブルが起き得る。ソリ体46は後述するガイド部6の接地体(ソリ)64と併せて、このようなトラブルを防ぐのに寄与する。さらに、ソリ体46は蔓切り装置2の地表面からの高さを決める作用を備えており、接地することで地表から切断装置(回転刃)41の高さを一定に保つ。具体的な構造は説明しないが、実施例のソリ体46は、高さを調整できるようになっており、切断部4の地表に対する高さを変えることができる。副次的な効果として、ソリ体46は、泥、葉、蔓などが切断部4の底部から内部に侵入することを防いでいる。
【0018】
[ガイド部]
ガイド部6は、蔓切り装置2の最も前方に位置する部材である。
図4は、
図1の円で囲ったB領域の拡大図である。
下方バー65と面材62は、切断部4側に固定されている。ガイド61は、蔓を持ち上げ所定の高さにある切断装置(回転刃)41まで導くものである。
ガイド61は、先端筒状部材621、樹脂部613及び後部取付部材622で構成されている。
【0019】
図5は、ガイド部6の分解図である。また、
図6は、高さ調整部およびガイド部6の説明図であり、
図6(A)はガイド部6の拡大斜視図、
図6(B)はガイド部6から接地体(ソリ)64を取り外した状態の斜視図である。
トラクタTの進行に伴いガイド61の上面を蔓が、滑り誘導されるようになっている。
ガイド61の先端部611は、尖っている。ガイド61は、金属製の面材62で支えられている。面材62は、
図5で示されているようにガイド61の一部を構成する先端筒状部材621を備えている。そして、面材62の後部は、ガイド61の樹脂部613を取り付けるための後部取付部材622を固定できるようになっている。
図6(A)や
図6(B)のハッチングの領域が、先端筒状部材621と後部取付部材622である。
ガイド61は、先端部611が樹脂より硬い材料である金属材料で構成された先端筒状部材621となっている。ガイド61の先端部611は、地中に差し込まれるため最も耐久性が求められる部分であり、金属材料で構成することでガイド61の耐久性を高めることができる。
【0020】
(樹脂部)
一般的に樹脂製のガイド61は、金属製のガイド61よりコストが安く有利である。また、樹脂製のガイド61は、金属製のガイド61に比べると摩擦係数が小さく、ガイド61として有利な特性を備えている。しかしながら、樹脂製のガイド61は、耐久性が金属に比べて劣る。
他方、ガイド61をすべて金属材料で構成することは、摩擦抵抗が高くなり蔓が途中で引っかかるなど好ましくないことが起きる。金属材料のガイド61は、錆び等により、摩擦抵抗が次第に高くなる。ガイド61の途中で、蔓が滑らず止まると、後から送られて来る蔓と合わさり蔓の塊ができることがある。塊となった蔓は、しばらくすると動き出し切断装置(回転刃)41に向かって動き出すが、塊が大きくなりすぎたり、複雑に絡んだりすることで上下方向に広がり、切断されないまま保護フレーム43に引っかかることが起き得る。また、一部でも切断されていない蔓が切断装置(回転刃)41近くに留まると、次から次へと送られて来る蔓が切断装置(回転刃)41の手前で絡まって行く。このような事象が積み重なるとトラブルに発展し、作業者は、作業を中断しなくてはならなくなる。
実施例のガイド61の樹脂部613は、摩擦係数を下げ、このようなトラブルの発生を予防する。
【0021】
ガイド61は、先端筒状部材621に続き、途中から摩擦係数の小さい樹脂部613となっていることで、スムーズに蔓を誘導することができる。
様々な樹脂を使うことができるが、中でもポリオレフィン系樹脂は、熱可塑性樹脂のため成形性が良好であり、かつ、柔軟性も兼ね備えており、強い衝撃を受けても欠けてしまうことが少ないので特に好ましい。実施例では、ポリエチレン樹脂を採用している。高密度ポリエチレンは、分子量が大きいため堅牢である。他方、低密度ポリエチレンは柔軟性がある。ポリエチレン樹脂は、低密度、中密度、高密度、直鎖低密度などの様々な種類のポリエチレン樹脂があり、望む種類の選択が可能である。また、樹脂部613は、異なる種類や分子量のポリエチレン樹脂をブレンドすることで、望む特性にすることができる。また、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレンの3種類の樹脂をブレンド(混合)したABS樹脂などのポリマーブレンド樹脂であってもよい。ポリブタジエン樹脂は、プラスチックをゴムの中間的な性質を有し、これを添加することで柔軟性を付加することができる。さらに、共重合樹脂などであってもよい。
【0022】
(先端筒状部材)
面材62の先端には、樹脂部613を呑み込む先端筒状部材621が溶着されている。樹脂部613は、先端筒状部材621に挿入されることで装着される。先端筒状部材621は、先端が尖っており、土壌に刺さるのに都合が良いようになっている。先端筒状部材621はガイド61の先端部611でもあり、ガイド61の一部を構成する部材である。先端筒状部材621は、地表と接触するため、樹脂より硬い材料、たとえば、金属で構成されている。そのため、ガイド61の先端部611は、地表面と激しく接触するが損傷することが無い。
【0023】
実施例のガイド61の後端部612は、金属製の後部取付部材622となっている。後部取付部材622は、樹脂部613の最後部を包み込み、面材62と締結固定されている。実施例では、後部取付部材622により樹脂部613の最後部を固定しているが、適宜な取り付け手法を適用することができ、実施例はその一例に過ぎない。
【0024】
ガイド61の後端部612の位置は、地表から所定の高さにある切断装置(回転刃)41の近接位置であって、切断装置(回転刃)41との間に、わずかなすき間を空けた位置に設けられている。ガイドされた蔓は、ガイド(ガイド棒)61の先端部611でピックアップされ、傾斜した摩擦抵抗の少ない樹脂製のガイド(ガイド棒)61を登り、後端部612から切断装置(回転刃)41に向かって送り出される。また、ガイド(ガイド棒)61の後端部612(後部取付部材622)は、スムーズに蔓が切断装置(回転刃)41に蔓を受け渡されるように面取りされている。
【0025】
(面材)
面材62は略直角三角形の形状をしており、上述したように面材62の斜辺には、ガイド61が取り付けられている。
図5や
図6(B)に図示されているように、面材62は、下方に下方バー65が溶着されており、面材62が変形しないように強度の向上が図られている。
面材62の後側には締結孔623が、前側には軸孔624が設けられている。
【0026】
(ガイドの先端部の高さ調整)
図6(A)に図示されているように、高さ調整板63は、下方に接地体(ソリ)64があり、高さ調整板63と接地体(ソリ)64は溶接などで一体化されている。
高さ調整板63の後側には、長孔631が設けられている。また、高さ調整板63の後側には、軸挿通孔634が設けられている。軸挿通孔634は面材62の軸孔624と位置合わせされ、軸633が挿通されている。軸633を中心に面材62と高さ調整板63を回動することができる。
【0027】
高さ調整板63は接地体(ソリ)64で支えられており、地表から常に同じ高さ位置を保つ。高さ調整板63は、長孔631から面材62に設けた締結孔623を通して高さ調整ボルト635を挿通し締結することができる。高さ調整板63は、面材62と所定の位置関係で固定され、接地体(ソリ)64を基準にして、ガイド61の先端部611の高さを調整することができる。
軸633の位置は、
図5に示されているようにガイド部6の全長の略半分の位置にある。軸633を中心に面材62の斜辺に固定されたガイド61は回動し、ガイド61の先端部611の位置が上下する。蔓を確実にピックアップするため、作業時には先端部611が地表より下に位置するように、接地体(ソリ)64を基準にして、先端部611の高さが調整される。
【0028】
なお、本発明は、カボチャのみならず、サツマイモなど蔓性作物全般に適用できるものであり、作物の種類や圃場の条件等に応じて適切なガイド61の高さがあることは言うまでもない。作物の種類によっては、先端部611は、地表より上に調整されていてもよい。
【0029】
実施例では、高さ調整板63と面材62の間にスペーサ66が挟まれている。スペーサ66は、下方バー65が面材62の幅より広いため、面材62と高さ調整板63が平行な面となるように取り付けられている。スペーサ66は、ガイド61の先端部611の高さ調整に必須なものではない。
【0030】
実施例は、高さ調整板63と面材62を軸633で繋ぎ、互いに回動させることでガイド61の先端部611の高さを変更するものであった。地中に深く先端部611を差し込む際は、上記回動に伴い、ガイド61の先端部611の地中への進入角度も大きくなるものであった。
地中への進入角度が大きくなると、ガイド61に負荷がかかる。そこで、樹脂部613が先端筒状部材621に呑み込まれることを利用した変形例が可能である。先端筒状部材621に挿入された樹脂部613の呑み込み長さを伸ばしたり縮めたりすることで、先端部611は伸び縮みし、先端部611の高さを変更できる。この場合、進入角度は、面材62の斜辺角度のままとなり、進入角度が変化することはない。
【0031】
実施例では、接地体(ソリ)64を備えた高さ調整板63を使って、ガイド61の先端部611の高さを調整自在にした。接地体64は車輪でもよい。接地体64は、接地することで、高さの基準となるものであり、接地する部材であればよく、接地体64の構造に制限はない。
また、面材62や高さ調整板63は、高さを調整するために必須なものではない。代替え手段は、面材62や高さ調整板63に代えて支持棒を採用し、支持棒に高さ調整自在なゲージ輪(接地体)を取り付けた方式であってもよい。
さらに、トラクタTとの装着リンク11の昇降シリンダ12は、大きな範囲で高さ調節することができる。実施例は、微調整として前述の高さ調整が採用されている。
【0032】
(作業機)
実施例は、
図1に図示したように2台の蔓切り装置2をトラクタTの前方に装架したものであった。蔓切り装置2を適宜な走行車両に取り付けて蔓切り専用の作業機とすることも可能である。
【0033】
(他の作業機との組み合わせ)
カボチャは、蔓は地表を這い、蔓から上方に向けて茎が伸び、茎の先端に地表を覆うように葉が広がる。カボチャの実は、成長に伴い重量が増加し地表に接地する。このため繁茂した蔓や葉に覆われたカボチャの実は、発見しにくくなって行く。さらに、収穫直前の畝溝は、繁茂した蔓や葉が敷き詰められた状態にある。作業者が、トラクタTを走らせると、畝溝にあった実がタイヤで踏みつぶされるロスが発生するとともに、蔓がトラクタTに引っかかり蔓を引きずることもあった。引きずられた蔓がさらに、他の蔓に絡み合い、トラクタTの走行に著しい支障をきたすこともあった。
収穫したカボチャ積み込みのためコンテナを牽引するトラクタTを支障なく走行させるため、事前に畝溝にあるカボチャをどけたり、蔓の一部を切断したりする作業は、手作業で行うしかなかった。
【0034】
そこで、トラクタTの前方に実施例の蔓切り機2を装架し、トラクタTの後方に、高刈り可能なフレール刃を備えた刈払い装置を装架する作業機の組み合わせ態様があり得る。この組み合わせの作業機は、前に装架した蔓切り装置2で蔓切断の前処理を行い走行上の支障を無くし、後に装架した刈払い装置で実を覆う茎葉を除去する。1回の作業で。カボチャの実は畝溝から横に押しやられ、畝上の実も葉が刈り払われて露出し、その後の収穫作業効率が劇的に向上することが確認された。
カボチャの収穫作業は機械化が進んでおらず、手作業で行うことが多い中、実施例の蔓切り装置2は、収穫作業の支援を行うことで作業者の負担を軽減できる。
【0035】
さらに、実施例の蔓切り装置2により事前に蔓が切断されているため、コンテナを運ぶなど、後の作業のためトラクタTが畝溝を走行しても、蔓がトラクタTに絡まることもない。畝溝にあったカボチャの実は、分草体31などにより畝溝外(畝側)に動かされるため、トラクタTの車輪で踏みつぶされることがない。
【0036】
なお、以上の作業例は一例であり、蔓性作物全般に本発明の蔓切り装置2が適用できることは言うまでもない。
【0037】
具体的な構成は、前述の実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【0038】
また、前述の多様な態様は、その目的および構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0039】
1 連結部
11 装着リンク
12 昇降シリンダ
13 横機枠
131 左右幅調整部
2 蔓切り装置
3 機枠部
31 分草体
4 切断部
41 切断装置(回転刃)
42 駆動装置(モータ)
43 保護フレーム
431 蔓押さえフレーム
432 安全フレーム
45 側方カバー
46 ソリ体
47 接続部
6 ガイド部
61 ガイド
611 先端部
612 後端部
613 樹脂部
62 面材
621 先端筒状部材
622 後部取付部材
623 締結孔
624 軸孔
63 高さ調整板
631 長孔
634 軸挿通孔
633 軸
635 調整ボルト
64 接地体(ソリ)
65 下方バー
66 スペーサ
T トラクタ