(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002295
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】送風システム
(51)【国際特許分類】
B60N 2/56 20060101AFI20231228BHJP
B60H 1/00 20060101ALI20231228BHJP
A47C 7/74 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
B60N2/56
B60H1/00 101Z
B60H1/00 101U
A47C7/74 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022101399
(22)【出願日】2022-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】石川 琢也
(72)【発明者】
【氏名】山城 博幸
(72)【発明者】
【氏名】藤川 直樹
(72)【発明者】
【氏名】小野田 啓介
【テーマコード(参考)】
3B084
3B087
3L211
【Fターム(参考)】
3B084JA01
3B084JA03
3B084JA06
3B084JG02
3B087DE10
3L211BA05
3L211BA60
3L211EA01
3L211EA48
3L211GA03
(57)【要約】
【課題】乗員からの申告に基づいて送風制御を行うことにより、効果的に乗員をリフレッシュさせる。
【解決手段】送風システム(1)は、移動体(C)の乗員が存在する環境へ送風する送風部(100)と、送風部による送風を開始する送風開始タイミングを指定する送風開始指定部(103)と、送風部による送風を停止する送風停止タイミングを指定する送風停止指定部(104)と、送風開始指定部により指定された送風開始タイミングから送風停止指定部により指定された送風停止タイミングまで送風部による送風を制御する制御部(101)と、を備え、送風停止指定部は、乗員が予め申告した乗り物酔いの治り易さに関する情報に応じて、送風停止タイミングを指定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の乗員が存在する環境へ送風する送風部と、
前記送風部による送風を開始する送風開始タイミングを指定する送風開始指定部と、
前記送風部による送風を停止する送風停止タイミングを指定する送風停止指定部と、
前記送風開始指定部により指定された前記送風開始タイミングから前記送風停止指定部により指定された前記送風停止タイミングまで前記送風部による送風を制御する制御部と、を備え、
前記送風停止指定部は、前記乗員が予め申告した乗り物酔いの治り易さに関する情報に応じて、前記送風停止タイミングを指定することを特徴とする送風システム。
【請求項2】
前記送風停止指定部は、
前記乗員が前記乗り物酔いから治り易いと申告したとき、前記送風開始タイミングから第1時間経過したタイミング以後、所定時間経過したタイミングに前記送風停止タイミングを指定し、
前記乗員が前記乗り物酔いから治り難いと申告したとき、前記送風開始タイミングから前記第1時間よりも長い第2時間経過したタイミング以後、前記所定時間経過したタイミングに前記送風停止
タイミングを指定することを特徴とする請求項1に記載の送風システム。
【請求項3】
前記送風停止指定部は、
前記乗員が前記乗り物酔いの治り易さに関する情報を申告しなかったとき、前記送風開始タイミングから前記第1時間よりも長く前記第2時間よりも短い第3時間経過したタイミング以後、前記所定時間経過したタイミングに前記送風停止タイミングを指定することを特徴とする請求項2に記載の送風システム。
【請求項4】
前記送風停止指定部は、
前記送風開始タイミングから前記第1時間、前記第2時間、または前記第3時間経過したタイミング後、送風量を減らして前記所定時間送風したタイミングに前記送風停止タイミングを指定することを特徴とする請求項3に記載の送風システム。
【請求項5】
前記送風開始指定部は、前記移動体の移動開始から第4時間経過後に前記送風開始タイミングを指定することを特徴とする請求項1に記載の送風システム。
【請求項6】
前記乗員が申告した前記乗り物酔いの治り易さに関する情報を、前記乗員の認証用の情報と併せて記憶する記憶部を更に備え、
前記送風停止指定部は、前記認証用の情報により認証された前記乗員について、前記記憶部に記憶された当該乗員の前記乗り物酔いの治り易さに関する情報に応じて、前記送風停止タイミングを指定する請求項1に記載の送風システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、送風システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、赤外線センサによって検出された乗員の皮膚温度に基づいて、乗員に向けた気流を調整可能なネックファンが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、皮膚温度等のような乗員の生体情報に基づいて送風を行うことにより乗員をリフレッシュさせる場合、生体情報の検出精度が充分でなく、乗員の自己認識に合わせた送風制御ができないことがある。
【0005】
本開示の一態様は、乗員からの申告に基づいて送風制御を行うことにより、効果的に乗員をリフレッシュさせるシステムの実現を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本開示の一態様に係る送風システムは、移動体の乗員が存在する環境へ送風する送風部と、前記送風部による送風を開始する送風開始タイミングを指定する送風開始指定部と、前記送風部による送風を停止する送風停止タイミングを指定する送風停止指定部と、前記送風開始指定部により指定された前記送風開始タイミングから前記送風停止指定部により指定された前記送風停止タイミングまで前記送風部による送風を制御する制御部と、を備え、前記送風停止指定部は、前記乗員が予め申告した乗り物酔いの治り易さに関する情報に応じて、前記送風停止タイミングを指定する。
【0007】
上記の構成によれば、予め申告された乗り物酔いの治り易さに関する情報に基づいて送風制御を行うことにより、乗り物酔い等が発症した乗員を効果的にリフレッシュさせることができる。
【0008】
本開示の態様2に係る送風システムは、前記送風停止指定部は、前記乗員が前記乗り物酔いから治り易いと申告したとき、前記送風開始タイミングから第1時間経過したタイミング以後、所定時間経過したタイミングに前記送風停止タイミングを指定し、前記乗員が前記乗り物酔いから治り難いと申告したとき、前記送風開始タイミングから前記第1時間よりも長い第2時間経過したタイミング以後、前記所定時間経過したタイミングに前記送風停止タイミングを指定する。
【0009】
上記の構成によれば、乗り物酔いから治り難いと申告されている場合には、乗り物酔いから治り易いと申告されている場合よりも長い時間送風するため、乗員の申告どおりに効果的に乗員をリフレッシュさせることができる。
【0010】
本開示の態様3に係る送風システムは、前記送風停止指定部は、前記乗員が前記乗り物酔いの治り易さに関する情報を申告しなかったとき、前記送風開始タイミングから前記第1時間よりも長く前記第2時間よりも短い第3時間経過したタイミング以後、前記所定時間経過したタイミングに前記送風停止タイミングを指定する。
【0011】
上記の構成によれば、予め申告された前記乗り物酔いの治り易さに関する情報がない場合、すなわち、乗り物酔いの治り易さについて乗員が自己認識していない場合、第1時間よりも長く第2時間よりも短い第3時間経過したタイミング以降に送風を停止することにした。そのため、乗員による申告がない場合であっても、効果的に乗員をリフレッシュさせることができる。
【0012】
本開示の態様4に係る送風システムは、前記送風停止指定部は、前記送風開始タイミングから前記第1時間、前記第2時間、または前記第3時間経過したタイミング後、送風量を減らして前記所定時間送風したタイミングに前記送風停止タイミングを指定する。
【0013】
上記の構成によれば、送風開始タイミングから第1時間、第2時間、または第3時間経過したタイミング後に、送風量を減らして所定時間送風することにした。そのため、電力等のエネルギーを節約することができるだけでなく、リフレッシュされた乗員が感じる煩わしさを低減させることができる。
【0014】
本開示の態様5に係る送風システムは、前記送風開始指定部は、前記移動体の移動開始から第4時間経過後に前記送風開始タイミングを指定する。
【0015】
上記の構成によれば、移動体の移動開始からの時間経過に基づいて自動で送風を開始するため、入力操作等が困難なほど乗員が弱っている場合でも当該乗員をリフレッシュさせることができる。
【0016】
本開示の態様6に係る送風システムは、前記乗員が申告した前記乗り物酔いの治り易さに関する情報を、前記乗員の認証用の情報と併せて記憶する記憶部を更に備え、前記送風停止指定部は、前記認証用の情報により認証された前記乗員について、前記記憶部に記憶された当該乗員の前記乗り物酔いの治り易さに関する情報に応じて、前記送風停止タイミングを指定する。
【0017】
上記の構成によれば、乗員の個人認証を行い、記憶部から当該乗員の乗り物酔いの治り易さに関する情報に基づいて送風停止タイミングを指定することにしたため、乗員の特性に合わせてより効果的に乗員をリフレッシュさせることができる。
【0018】
本開示の各態様に係る送風システムは、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記送風システムが備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより上記送風システムをコンピュータにて実現させる送風システムの制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本開示の範疇に入る。
【発明の効果】
【0019】
本開示の一態様によれば、乗員からの申告に基づいて送風制御を行うことにより、効果的に乗員をリフレッシュさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本開示の一実施形態に係る送風システムの機能構成の説明に用いるブロック図である。
【
図2】本開示の一実施形態に係る送風システムに備わる送風部の一例を示す図である。
【
図3】本開示の一実施形態に係る送風システムの作動例を示す図である。
【
図4】本開示の一実施形態に係る送風システムの作動に関するフローチャートの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本開示の一実施形態について、
図1から
図4を参照して詳細に説明する。
図1は、本開示の一実施形態に係る送風システムの機能構成の説明に用いるブロック図である。
図1に示す送風システム1は、移動体の一例である車両Cに搭載され、送風装置10と、スイッチ20と、入力装置30と、車両通信ネットワーク40とを備える。送風装置10は、送風部100と、制御部101と、記憶部102と、送風開始指定部103と、送風停止指定部104とを有する。送風部100は、乗員が存在する車両Cの車内環境へ送風する。送風部100の構成例については、
図2を用いて後述する。
【0022】
制御部101は、例えば、例えばECU(Electronic Control Unit)であって、記憶部102に記憶されている制御プログラムを実行することにより、送風部100を制御する。
【0023】
記憶部102は、制御プログラムを記憶する不揮発性の記憶部の他、プログラム実行時に作業領域として利用される揮発性の記憶部を含む。記憶部102には、車両Cの乗員について、乗り物酔いの治り易さに関する情報が記憶されている。乗り物酔いの治り易さに関する情報とは、乗り物酔いを発症したときに乗員が治り易いと自己認識しているか、治り難いと自己認識しているかを表す情報である。乗り物酔いが治り易いとは、乗り物酔いを発症したとしても、車両C内で安静にしていれば治ることをいう。一方、乗り物酔いが治り難いとは、車両C内で安静にしていたとしても、乗り物酔いが治らないことをいう。乗り物酔いの治り易さに関する情報は、スイッチ20または入力装置30を用いた、車両Cに乗っている乗員の申告により予め記憶部102に登録することができる。記憶部102に乗り物酔いの治り易さに関する情報を記憶させる乗員は、乗員本人でなくてよく、車両Cに乗っている代表者が登録することにしてもよい。
【0024】
スイッチ20は、例えば、車両Cの座席に設けられたシートスイッチ、インスツルメントパネルに設けられたエアコンのスイッチ等で構成される。車両Cの座席に設けられたシートスイッチには、座席のリクライニング機構を動かすためのスイッチ等が設けられている。
【0025】
入力装置30は、例えば、車両Cに搭載されたナビゲーションシステムのタッチパネル、オーディオシステムの表示部および操作スイッチ等、表示部を有する入力装置で構成される。
【0026】
送風開始指定部103は、例えば、制御部101が記憶部102に記憶されている制御プログラムを実行することにより実現される。なお、送風開始指定部103は、制御部101とは異なる制御装置で実現されることにしてもよい。送風開始指定部103は、送風部100による送風を開始する送風開始タイミングTSTARTを指定する。送風開始指定部103は、車両通信ネットワーク40を介して、スイッチ20からその出力信号を取得する。例えば、送風開始指定部103は、乗員により、スイッチ20がオンされると、送風開始タイミングTSTARTを示す信号を制御部101へ出力する。制御部101は、送風開始指定部103の出力信号に基づいて、送風部100に送風を開始させる。
【0027】
送風停止指定部104は、例えば、制御部101が記憶部102に記憶されている制御プログラムを実行することにより実現される。なお、送風停止指定部104は、制御部101とは異なる制御装置で実現されることにしてもよい。送風停止指定部104は、送風部100による送風を停止する送風停止タイミングTSTOPを指定する。送風停止指定部104は、車両通信ネットワーク40を介してスイッチ20からその出力信号を取得する。例えば、送風停止指定部104は、乗員により、スイッチ20がオフされると、送風停止タイミングTSTOPを示す信号を制御部101へ出力する。制御部101は、送風停止指定部104の出力信号に基づいて、送風部100に送風を停止させる。また、送風停止指定部104は、送風開始タイミングTSTARTから所定時間経過後を送風停止タイミングTSTOPに指定する。
【0028】
図2を用いて、送風部100の一例を示す。
図2には、車両Cの座席Sの概略断面
図151と、座席SのヘッドレストHRの斜視
図150との一例が図示されている。斜視
図150に例示されるブロワ100Aは、送風部100の一例である。ヘッドレストHRは、前部クッション50と、後部51とを有する。後部51は、内部が空洞52となっている。ブロワ100Aは、その空洞52の内側に装着される。ブロワ100Aは、空洞52の内側の空気を吸気し、前部クッション50の下部等に設けられた吹出口53から送風される。
【0029】
概略断面
図151の送風機100Bおよび100Cは、送風部100の一例である。送風機100Bは、座席Sのリクライン部RECの内側に装着される。送風機100Cは、座席Sのシートボトム部BTMの内側に装着される。送風機100Bおよび100Cは、SVS(Seat Ventilation System)を構成し、座席Sの周辺環境に向けて送風する。送風機100Bは、送り出す風の温度を調整する風温調整機能を有する。
【0030】
図1の送風システム1は、斜視
図150のブロワ100Aおよび概略断面
図151の送風機100Bの一方または両方を備えることにしてもよく、エアコン等、他の送風部100を備えることにしてもよい。
【0031】
送風システム1は、送風部100からの送風により、車両Cの乗員をリフレッシュさせる機能を有する。ここで、乗員のリフレッシュには、乗り物酔いを発症した乗員を回復させることの他に、乗員を落ち着かせること、運転者等から眠気を除くことなどを含むものとする。
【0032】
図3および
図4を用いて、車両Cの乗員をリフレッシュさせる機能を実現させるための制御部101による送風システム1の作動例について説明する。
図3は、乗員をリフレッシュさせるための送風制御例を示す図である。
図4は、制御部101による送風システム1の作動例を示すフローチャートである。
【0033】
図3に示すとおり、制御部101は、送風部100の送風量を「強」、「弱」、「OFF」の少なくとも3種類に設定することができる。
【0034】
図3中のT
STARTは、送風開始指定部103により指定された送風開始タイミングである。また、
図3中のT
STOPは、送風停止指定部104により指定された送風停止タイミングである。
【0035】
送風システム1の作動を開始する前に、制御部101は、車両Cの乗員について、乗り物酔いの治り易さに関する情報の登録を受け付ける。例えば、制御部101は、乗員が車両Cに乗った際に、入力装置30を介した乗り物酔いの治り易さに関する登録情報の入力を受け付け、その登録情報を記憶部102へ記憶させる。
【0036】
車両Cの乗員が入力装置30を用いて、乗り物酔いから治り易いと申告したときは、記憶部102に「乗り物酔いが治り易い」ことを示す情報、例えばフラグ「0」が記憶される。また、車両Cの乗員が入力装置30を用いて、乗り物酔いから治り難いと申告したときは、記憶部102に「乗り物酔いが治り難い」ことを示す情報、例えばフラグ「1」が記憶される。
【0037】
図4のS200において、制御部101は、送風開始タイミングT
STARTになったか否かを判定する。例えば、スイッチ20がオンされると、制御部101は、送風開始指定部103から送風開始タイミングT
STARTを示す信号を受信し、送風開始タイミングT
STARTになったと判定し(S200:YES)、S201に進む。スイッチ20がオンされていないときは、送風開始指定部103から送風開始タイミングT
STARTを示す信号を受信していないため(S200:NO)、制御部101は、
図4の作動を終了させる。制御部101は、
図4の作動を終了後、所定の実行周期で
図4の作動を繰り返し開始する。制御部101は、
図4の作動をしていない間、送風部100を用いた他の作動を実行することができる。
【0038】
制御部101は、
図3に示すように、送風開始タイミングT
STARTになると、送風部100の送風量を「強」に設定する(
図4のS201)。制御部101は、送風部100の送風量を「強」に設定した後、
図4のS202へ進む。
【0039】
S202では、制御部101は、記憶部102に車両Cの乗員について、乗り物酔いの治り易さに関する登録情報があるか否か判定する。制御部101は、記憶部102に乗り物酔いの治り易さに関する登録情報があり(S202:YES)、その情報が「乗り物酔いが治り易い」ことを示す情報である場合には(S203:YES)、時間T
STRONGを所定の第1時間T1に設定する(S204)。時間T
STRONGは、
図3に示すとおり、送風量「強」の状態で送風する時間である。第1時間T1は、例えば、1~5分の範囲内の時間に定められている。
【0040】
制御部101は、記憶部102に乗り物酔いの治り易さに関する登録情報があり(
図4のS202:YES)、その情報が「乗り物酔いが治り難い」ことを示す情報である場合には(S203:NO)、時間T
STRONGを所定の第2時間T2に設定する(S205)。第2時間T2は、第1時間T1より長い時間であって、例えば、11~15分の範囲内の時間に定められている。
【0041】
制御部101は、記憶部102に乗り物酔いの治り易さに関する登録情報がない場合、例えば、乗り物酔いの治り易さについて乗員が認識していない場合等に「乗り物酔いの治り易さ」に関する情報を乗員が登録しなかった場合には(S202:NO)、時間TSTRONGを所定の第3時間T3に設定する(S206)。第3時間T3は、第1時間T1より長く、かつ、第2時間T2より短い時間であって、例えば、6~10分の範囲内の時間に定められている。
【0042】
図4のS204、S205またはS206において、時間T
STRONGが設定されると、制御部101は、送風部100による送風を開始し(S207)、S208に進む。S208において、制御部101は、S207において送風を開始した送風開始タイミングT
STARTから時間T
STRONGが経過していない間は(S208:NO)、
図3に示すように、送風部100により送風量「強」の送風を継続する。
【0043】
図4のS207において送風開始タイミングT
STARTから時間T
STRONGが経過した設定変更タイミングT
SHIFTになると(S208:YES)、送風部100の送風量を「弱」に設定する(S209)。送風部100の送風量を「弱」に設定するとき、
図3に示すように、送風部100の送風量の設定を、送風量「弱」の設定値に向けて徐々に小さくする。送風部100は、送風量「弱」の設定値に向けて徐々に送風量を減らしている間は、その設定値に応じた送風を行い、送風量「弱」に到達した後は、送風量「弱」の送風を行う。このようにすることで、乗員をリフレッシュさせる成功率が向上するだけでなく、充分リフレッシュされた乗員が風の強さに煩わしさを感じる可能性を低減することができる。
【0044】
車両Cの乗員がスイッチ20をオフにすると(S210:YES)、送風停止指定部104により送風停止タイミングT
STOPが指定され、制御部101は、送風部100の送風量を「OFF」に設定し、送風を終了させ(S212)、
図4の作動を終了させる。
【0045】
また、車両Cの乗員がスイッチ20をオフにしていない場合でも(S210:NO)、
図3に示すように、S207において送風開始タイミングT
STARTから時間T
STRONG(第1時間T1、第2時間T2または第3時間T3)が経過した設定変更タイミングT
SHIFT(S208:YES)から所定時間T
WEAKが経過すると(S211:YES)、送風停止指定部104により送風停止タイミングT
STOPが指定され、制御部101は、送風部100の送風量を「OFF」に設定し、送風を終了させ(S212)、
図4の作動を終了させる。
【0046】
すなわち、送風停止指定部104は、車両Cの乗員がスイッチ20をオフにしていない場合でも、送風開始タイミングTSTARTから所定時間TSTRONG+TWEAK経過するタイミングを送風停止タイミングTSTOPに指定する。このとき、送風停止指定部104が指定する送風停止タイミングTSTOPは、時間TSTRONGに基づいている。すなわち、送風停止指定部104は、記憶部102に記憶された、乗員が予め申告した乗り物酔いの治り易さに関する登録情報に応じて、送風停止タイミングTSTOPを指定することができる。
【0047】
所定時間TSTRONG+TWEAKは、車両Cの乗員が乗り物酔いから治り易いと申告しているときの時間T1+TWEAKより、車両Cの乗員が乗り物酔いから治り難いと申告しているときの時間T2+TWEAKの方が、T2-T1だけ長くなる。
【0048】
また、所定時間TSTRONG+TWEAKは、車両Cの乗員が乗り物酔いから治り易いか否かについて申告していない場合等、記憶部102に乗り物酔いの治り易さに関する登録情報を乗員が登録しなかったときの時間T3+TWEAKは、時間T1+TWEAKよりも長く、時間T2+TWEAKよりも短くなる。
【0049】
このように、制御部101は、送風開始指定部103により指定された送風開始タイミング送風開始タイミングTSTARTから送風停止指定部104により指定された送風停止タイミングTSTOPまで、送風部100を制御する。
また、送風部100からの送風を自動で停止させることにより、電力などのエネルギーを節約することができる。
【0050】
〔作用効果〕
以上のように、送風システム1は、車両Cの内側へ送風する送風部100と、送風部100による送風を開始する送風開始タイミングTSTARTを指定する送風開始指定部103と、送風部100による送風を停止する送風停止タイミングTSTOPを指定する送風停止指定部104と、送風開始指定部103により指定された送風開始タイミングTSTARTから送風停止指定部104により指定された送風停止タイミングTSTOPまで送風部100による送風を制御する制御部101と、を備え、送風停止指定部104は、乗員が予め申告した乗り物酔いの治り易さに関する情報に応じて、送風停止タイミングTSTOPを指定する。そのため、送風システム1は、予め申告された乗り物酔いの治り易さに関する情報に基づいて送風制御を行うことにより、乗り物酔い等が発症した乗員を効果的にリフレッシュさせることができる。また、送風システム1は、検出精度が充分でない生体情報によらず送風停止タイミングTSTOPとを指定することができるため、安定して作動させることができる。
【0051】
〔変形例〕
上記の実施形態では、制御部101は、送風量「強」の送風を開始したタイミング(S207)から時間TSTRONGが経過した後(S208:YES)、送風部100の送風量を「弱」に設定することにした(S209)。しかし、送風量「弱」の送風はしないことにしてもよい。すなわち、送風量「強」の送風を開始したタイミング(S207)から時間TSTRONGが経過した後(S208:YES)、直ちに送風量を「OFF」に設定することにしてもよい。
【0052】
また、上記の実施形態では、制御部101は、送風部100の送風量を「弱」に設定するとき(S209)、
図3に示すように、送風部100の送風量の設定を、送風量「弱」の設定値に向けて徐々に小さくすることにした。しかし、送風量「強」の送風を開始した送風開始タイミングT
START(S207)から時間T
STRONGが経過した後(S208:YES)、直ちに送風量を「弱」に設定することにしてもよい。
【0053】
上記の実施形態では、乗り物酔いの治り易さに関する情報は、記憶部102にフラグとして記憶されることとしたが、乗り物酔いの治り易さに関する情報のデータ形式はこれだけに限定されない。例えば、乗り物酔いの治り易さを3段階以上で評価した値を乗員に申告させることにしてもよい。この場合、時間TSTRONGは、乗員が申告した数値に比例させることにしてもよい。また、送風開始タイミングTSTARTから時間TSTRONG経過するまでの間における送風部100の送風量を、乗員が申告した数値に比例させることにしてもよい。
【0054】
また、乗り物酔いの治り易さに関する情報を、乗員を認証するための認証用データと併せて記憶部102に記憶させることにしてもよい。例えば、乗員の顔情報または音声情報と併せて乗り物酔いの治り易さに関する情報を記憶部102に記憶させることにしてもよい。乗り物酔いの治り易さに関する情報を認証用データと併せて記憶部102に記憶させる場合は、送風システム1には、顔認証や音声認証のために、乗員の顔を撮影可能なカメラ、乗員の音声を集音する集音部等を備えさせる。具体的には、制御部101は、カメラで撮影された乗員の顔画像と、記憶部102に記憶された乗員の顔情報とを照合することにより、乗員を認証する。そして、認証された乗員について記憶部102から乗り物酔いの治り易さに関する情報を取得する。
【0055】
上記の実施の形態では、送風装置10は、送風部100と、制御部101と、記憶部102と、送風開始指定部103と、送風停止指定部104とを備えることにした。しかし、送風部100以外の構成要素は、送風装置10の外部に備わることにしてもよい。例えば、制御部101と記憶部102は、車両Cの内部に設けられた他のECUに設けることにしてもよいし、電気通信回線を介して接続された外部サーバに設けることにしてもよい。また、制御部101および記憶部102は、送風部100と一体化させた構成としてもよい。送風開始指定部103と送風停止指定部104とは、同じ構成要素で実現してもよく、制御部101に含まれることにしてもよい。
【0056】
上記の実施の形態では、送風開始指定部103は、スイッチ20の出力信号に基づいて送風開始タイミングTSTARTを指定することにした。しかし、送風開始タイミングTSTARTを指定する方法は、これだけに限られない。例えば、送風開始指定部103は、車両Cの走行開始から所定の第4時間T4経過後を送風開始タイミングTSTARTに指定することにしてもよい。第4時間T4は、例えば、30分である。車両Cが走行開始したタイミングに関する情報は、例えば、車輪速センサ等から信号が入力される車両制御装置から取得することにしてもよいし、GPS信号等に基づいて車両Cの位置を検出するナビゲーションシステム等から取得することにしてもよい。
【0057】
また、第4時間T4は、乗員が申告した乗り物酔いの治り易さに関する情報、車両Cの制御システムから取得した車両Cの揺れ、速度および加速度等の情報、車両Cが走行中の道に関する情報等に基づいて変化させることにしてもよい。例えば、車両Cの乗員について、乗り物酔いが治り難いことを示す情報が記憶されている場合は、送風開始タイミングTSTARTを早めることにしてもよい。また、車両Cの揺れや速度変化の平均が所定の閾値を超える場合、または車両Cが舗装されていない道路を走行している場合には、送風開始タイミングTSTARTを早めることにしてもよい。
【0058】
上記送風部100に冷却機能を追加して冷風を行ってもよい。この冷却機能は、例えばペルチェデバイスなどである。
【0059】
上記の実施形態および各変形例では、送風システム1は、車両Cに搭載されることにしたが、これに限られない。例えば、車両C以外の移動体、例えば、列車、船舶、航空機等に備わることにしてもよい。
【0060】
〔ソフトウェアによる実現例〕
送風システム(以下、「システム」と呼ぶ)の機能は、当該システムとしてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、当該システムの各制御ブロック(特に制御部101、送風開始指定部103、送風停止指定部104)としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。
【0061】
この場合、上記システムは、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により上記プログラムを実行することにより、上記各実施形態で説明した各機能が実現される。
【0062】
上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、上記装置が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して上記装置に供給されてもよい。
【0063】
また、上記各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本開示の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0064】
本開示は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0065】
C 車両(移動体)
1 送風システム
10 送風装置
20 スイッチ
30 入力装置
40 車両通信ネットワーク
100 送風部
100A ブロワ
100B 送風機
100C 送風機
101 制御部
102 記憶部
103 送風開始指定部
104 送風停止指定部
T1 第1時間
T2 第2時間
T3 第3時間
T4 第4時間