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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022951
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】乗物用照明装置
(51)【国際特許分類】
   B60Q 3/64 20170101AFI20240214BHJP
   B60Q 3/54 20170101ALI20240214BHJP
   B60Q 3/44 20170101ALI20240214BHJP
【FI】
B60Q3/64
B60Q3/54
B60Q3/44
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022126414
(22)【出願日】2022-08-08
(71)【出願人】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 篤彦
【テーマコード(参考)】
3K040
【Fターム(参考)】
3K040AA02
3K040CA05
3K040FA09
3K040GA04
3K040GB01
3K040GC01
3K040GC02
(57)【要約】
【課題】照明性能は確保しつつ、乗物室内側における存在感を抑えることが可能な乗物用照明装置を提供する。
【解決手段】導光体16が、レンズ部40と、レンズ部40から乗物室外側に向かって延びるとともに乗物室内外方向からの視点においてレンズ部40の外形形状より小さな断面形状の軸部42と、を有する構成とする。光源20を保持する保持体22が、導光体16のレンズ部40を通さず軸部42を通すことが可能な形状とされた板状部12の挿通孔12aを挿通した軸部42を、乗物室外側の端部42aを光源20に対向するように保持する導光体保持部32を有する構成とする。そして、挿通孔12aを挿通した軸部42を導光体保持部32が保持することで、レンズ部40と保持体22とによって板状部12を挟持する状態で、乗物用内装材の板状部12に対して取り付けられる構成とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗物用内装材の板状部に取り付けられる乗物用照明装置であって、
光源と前記光源を保持する保持体とを有し、前記板状部の乗物室外側に配された光源ユニットと、
透光性を有する材料からなり、入射された前記光源の光を乗物室に向けて出射する導光体と、
を備え、
前記導光体は、
前記板状部の乗物室内側に位置し、乗物室に向けて光を出射する部分であるレンズ部と、
前記レンズ部の乗物室外側面から乗物室外側に向けて延び出すとともに、乗物室内外方向からの視点において前記レンズ部の外形形状より小さな断面形状とされた軸部と、
を含んで構成され、
前記板状部は、前記レンズ部を通さず前記軸部を通すことが可能な形状とされた挿通孔を有し、
前記保持体は、前記軸部の乗物室外側の端部を前記光源に対向するように、前記導光体を前記軸部において保持する導光体保持部を有し、
前記挿通孔を挿通した前記軸部を前記導光体保持部が保持することで、前記レンズ部と前記保持体とによって前記板状部を挟持する状態で、前記乗物用内装材に対して取り付けられる乗物用照明装置。
【請求項2】
前記軸部は、前記レンズ部側の部分である基端部が、角柱形状とされ、
前記挿通孔は、前記基端部の断面形状と同じ形状とされている請求項1に記載の乗物用照明装置。
【請求項3】
前記軸部は、前記基端部の乗物室外側部分である先端部が、前記基端部の外寸より小さな外径の円柱状とされており、
前記先端部には、前記導光体保持部に係止される爪部が、径方向に突出して形成され、
前記爪部は、乗物室外側からの視点において、前記基端部の内側に収まる形状とされている請求項2に記載の乗物用照明装置。
【請求項4】
前記先端部には、前記軸部の軸線を挟んで互いに反対側となる位置に、一対の前記爪部が形成され、
前記基端部は、断面正方形の四角柱状とされ、
一対の前記爪部の各々は、乗物室外側からの視点において、前記基端部に対して正方形の対角線上に位置している請求項3に記載の乗物用照明装置。
【請求項5】
前記先端部には、径方向に突出するとともに乗物室内外方向に沿って延びる一対の突条が、前記軸部の軸線を挟んで互いに反対側となる位置に形成され、
前記導光体保持部には、乗物室内外方向に沿って延び、一対の前記突条が入り込む一対の溝部が形成され、
一対の前記突条は、乗物室外側からの視点において、前記基端部に対して、一対の前記爪部が配された対角線とは異なるもう1本の対角線上に位置している請求項4に記載の乗物用照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗物用照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
乗物には、ある一部分を局所的に照射するスポットランプが、乗物用内装材に対して設けられる場合がある。例えば、下記特許文献1には、乗物用内装材として車両(自動車)の天井材に設けられた乗物用照明装置が記載されている。この乗物用照明装置は、光源を、光を拡散させる透明なレンズ部材で覆う構成のもので、天井材に形成した開口に設けられる。そのために、レンズ部材と天井材の開口縁との間を塞ぐために、レンズの周囲を囲む円環状のベゼルが設けられる。例えば、下記特許文献1に記載の照明装置は、ベゼルとレンズとが一体的に形成された部材を、乗物室内側から、天井材の開口を覆うようにして取り付けられる構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4746625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の乗物用照明装置は、レンズの周囲をベゼルで囲んで、天井材の開口を塞ぐために、比較的大きな外径のものとなる。つまり、この照明装置は、乗物室内において、比較的大きな存在感が生まれ、意匠性を低下させる虞がある。
【0005】
本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、照明性能は確保しつつ、乗物室内側における存在感を抑えて乗物室内の意匠性の向上を図ることが可能な乗物用照明装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の乗物用照明装置は、
乗物用内装材の板状部に取り付けられる乗物用照明装置であって、
光源と前記光源を保持する保持体とを有し、前記板状部の乗物室外側に配された光源ユニットと、
透光性を有する材料からなり、入射された前記光源の光を乗物室に向けて出射する導光体と、
を備え、
前記導光体は、
前記板状部の乗物室内側に位置し、乗物室に向けて光を出射する部分であるレンズ部と、
前記レンズ部の乗物室外側面から乗物室外側に向けて延び出すとともに、乗物室内外方向からの視点において前記レンズ部の外形形状より小さな断面形状とされた軸部と、
を含んで構成され、
前記板状部は、前記レンズ部を通さず前記軸部を通すことが可能な形状とされた挿通孔を有し、
前記保持体は、前記軸部の乗物室外側の端部を前記光源に対向するように、前記導光体を前記軸部において保持する導光体保持部を有し、
前記挿通孔を挿通した前記軸部を前記導光体保持部が保持することで、前記レンズ部と前記保持体とによって前記板状部を挟持する状態で、前記乗物用内装材に対して取り付けられる構成とする。
【0007】
本願に開示の乗物用照明装置は、導光体が、光源から入射された光を乗物室内側に導光しつつ、レンズ部から乗物室内側に光を出射させる構成とされている。この導光体は、乗物室内側から、乗物用内装材に形成されたレンズ部より小さな挿通孔を挿通させて、乗物用内装材の乗物室外側に配された光源ユニットに組み付けられる。そして、光源ユニットの保持体とレンズ部とによって板状部を挟みこんで、当該乗物用照明装置が、乗物用内装材に組み付けられるのである。したがって、本願に開示の乗物用照明装置は、乗物室内側には、光が出射するレンズ部のみしか存在せず、乗物室内の意匠性の向上を図ることができる。
【0008】
上記構成において、前記軸部は、前記レンズ部側の部分である基端部が、角柱形状とされ、前記挿通孔は、前記基端部の断面形状と同じ形状とされている構成とすることができる。
【0009】
この構成の乗物用照明装置は、乗物用内装材に対して軸部が回転しないように構成されている。ひいては、当該乗物用照明装置自体の乗物用内装材に対する回転が防止され、乗物用内装材に対する取り付けを確実に行うことができる。
【0010】
上記構成において、前記軸部は、前記基端部の乗物室外側部分である先端部が、前記基端部の外寸より小さな外径の円柱状とされており、前記先端部には、前記導光体保持部に係止される爪部が、径方向に突出して形成され、前記爪部は、乗物室外側からの視点において、前記基端部の内側に収まる形状とされている構成とすることができる。
【0011】
この構成の乗物用内装材は、軸部の導光体保持部に対する固定構造が、爪部によって行われる構造となっている。その爪部が、軸部の基端部より外側に突出していないため、導光体を乗物室内側から挿入して、導光体保持部に固定する際に、軸部の爪部が、乗物用内装材に接触することがなく、当該乗物用照明装置の取り付け作業をスムースに行うことができる。
【0012】
上記構成において、前記先端部には、前記軸部の軸線を挟んで互いに反対側となる位置に、一対の前記爪部が形成され、前記基端部は、断面正方形の四角柱状とされ、一対の前記爪部の各々は、乗物室外側からの視点において、前記基端部に対して正方形の対角線上に位置している構成とすることができる。
【0013】
この構成の乗物用内装材は、導光体の軸部の形状に限定が加えられており、爪部が基端部の内側に収まる構成を、容易に実現できる。また、一対の爪部が導光体保持体によって係止されるため、より確実に板状部を挟持できる。
【0014】
上記構成において、前記先端部には、径方向に突出するとともに乗物室内外方向に沿って延びる一対の突条が、前記軸部の軸線を挟んで互いに反対側となる位置に形成され、前記導光体保持部には、乗物室内外方向に沿って延び、一対の前記突条が入り込む一対の溝部が形成され、一対の前記突条は、乗物室外側からの視点において、前記基端部に対して、一対の前記爪部が配された対角線とは異なるもう1本の対角線上に位置している構成とすることができる。
【0015】
この構成の乗物用内装材は、導光体を乗物室内側から挿入する際に、一対の突条と一対の溝部とによって、回転方向における位置が定まることになる。つまり、一対の突条と一対の溝部とが位置決め機構として機能し、爪部による係止が確実に行われる。したがって、この構成の乗物用照明装置によれば、取り付け作業がより容易になるとともに、導光体の導光体保持部への取り付けをより確実に行うことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、照明性能は確保しつつ、乗物室内側における存在感を抑えて乗物室内の意匠性の向上を図ることが可能な乗物用照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態である車両用照明装置が採用された車両の天井を示す斜視図
図2】実施形態の車両用照明装置の側面断面図(図1におけるII-II断面)
図3】実施形態の車両用照明装置の分解斜視図
図4図3に示す導光体の斜視図
図5図3に示す導光体の平面図
図6】光源ユニットに対して導光体が取り付けられた状態を示す斜視図
図7】導光体の軸部が導光体保持部に挿入された箇所の平面断面図(図6におけるVII-VII断面)
図8】実施形態の車両用照明装置の平面図
図9】導光体の軸部が導光体保持部に挿入された箇所の側面断面図(図8におけるIX-IX断面)
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態を図1から図9を用いて説明する。本実施形態では、乗物用照明装置として、車両用内装材(乗物用内装材)である車両(自動車)の天井材に取り付けられる車両用照明装置10を例示する。車両用照明装置10は、天井から乗員の手元等を局所的に照らすスポットライトである。なお、各図面の一部には、X軸、Y軸、およびZ軸を示しており、各軸方向が各図で共通した方向となるように描かれている。
【0019】
本実施形態の車両用照明装置10(以下、単に「照明装置10」と呼ぶ場合がある。)は、図1および図2に示すように、天井材の概して平板状の部分である板状部12に対して取り付けられている。本実施形態の照明装置10は、光源ユニット14と、導光体16と、を備えている。
【0020】
光源ユニット14は、光源であるLED20と、LED20を内部に収容する状態で保持する保持部としてのハウジング22と、LED20を車両の電源と接続するためのワイヤーハーネス24と、を含んで構成される。ハウジング22は、図3に示すように、LED20が実装されたLED基板26と、LED基板26におけるLED20が実装された面を覆うカバー28とからなり、それらLED基板26とカバー28とが、ボルト30によって締結されることで、LED20を内部に収容する状態で保持するものとなっている。このハウジング22は、下面側に、導光体16を保持する導光体保持部32を有している。この導光体保持部32については、後に詳しく説明することとする。
【0021】
導光体16は、ほぼ透明な合成樹脂材料、例えば、ポリカーボネートやアクリル樹脂等からなる。導光体16は、図4および図5に示すように、車室に向けて光を出射するレンズ部40と、そのレンズ部40の上面から上方に向かって延び出した軸部42とからなる。レンズ部40は、比較的小さな(例えば、指先程度の大きさの)円盤状に形成されている。軸部42は、そのレンズ部40の外形形状より小さな断面形状で上下方向に延びている。
【0022】
軸部42は、軸部42の主体となる光源ユニット14側(上側)の部分である軸部本体(先端部に相当する。)44が、円形の断面形状で概して円柱状とされている。それに対して、レンズ部40側(下側)の部分である基端部46は、正方形の断面形状で角柱状とされている。そして、本実施形態においては、図5に示すように、基端部46の断面形状における正方形の一辺の長さが、軸部本体44の断面形状における直径と同じ寸法とされている。
【0023】
軸部本体44には、一対の爪部50と、一対の突条52とが、形成されている。一対の爪部50の各々は、軸部本体44の先端(上端)に形成されている。爪部50の各々は、径方向に突出する概して山形形状のもののとされている。また、これら一対の爪部50は、この軸部本体44の軸線を挟んで互いに反対側となる位置に形成されている。詳しく言えば、一対の爪部50の各々は、上方からの視点において、正方形とされた基端部46の第1の対角線L1上に位置している。また、これら爪部50は、上方からの視点において、基端部46の外縁から外側に突出せず、その外縁の内側に収まる形状とされている。詳しく言えば、基端部46は、上方からの視点において、4つの角部46a,46b,46c,46dが、円柱状の軸部本体44から突出する形状となっており、それら4つの角部46a,46b,46c,46dのうち対角に位置する2つのもの46a,46cに、一対の爪部50の各々が収まる形状となっている。
【0024】
一対の突条52は、軸部本体44の外周面上に径方向に突出して、上端から下端まで上下方向に一定の幅で延びる形状のものとされている。この一対の突条52の各々も、一対の爪部50と同様に、軸部本体44の軸線を挟んで互いに反対側となる位置に形成されている。詳しく言えば、一対の突条52の各々は、上方からの視点において、正方形とされた基端部46の第2の対角線L2上に位置している。また、これら突条52は、上方からの視点において、基端部46の外縁から外側に突出せず、その外縁の内側に収まる形状とされている。詳しく言えば、基端部46は、上方からの視点において、4つの角部46a,46b,46c,46dのうち対角に位置する2つのもの46b,46dに、一対の突条52の各々が収まる形状となっている。
【0025】
次いで、ハウジング22が有する導光体保持部32について、図2図3図6および図7を参照しつつ説明する。導光体保持部32は、カバー28の本体部28aの下面から下方に向かって突出するように概して円筒状に形成されている。導光体保持部32は、円筒部60と、円筒部60の下端から径方向外側に張り出したフランジ部62と、を有する。また、導光体保持部32には、円筒部60の軸線を挟んで互いに反対側となる位置に、上下方向に延びて下方に向かって開口する一対のスリット64が形成されている。さらに、導光体保持部32には、一対のスリット64の間の周方向において中央となる位置に、導光体16の一対の爪部50を嵌合する一対の嵌合孔66が形成されいている。つまり、この一対の嵌合孔66も、導光体保持部32の軸線を挟んで互いに反対側となる位置に形成されている。なお、円筒部60の内部は、基端側(上方側)にも開口しており、上下方向に貫通する貫通孔60aとなっている。そして、カバー28に対してLED基板26を組み付けた状態において、LED基板26の下面に実装されたLED20は、その貫通孔60aに対向する位置に配されることになる。
【0026】
上記のような構造とされた導光体保持体32を有する光源ユニット14と、導光体16とを組み付ける構成について説明する。本実施形態の照明装置10は、図2に示すように、光源ユニット14と導光体16とによって、天井材の板状部12を挟み込んだ状態で、天井材に取り付けられる構成となっている。板状部12には、導光体16のレンズ部40を通さず軸部42を通すことが可能な形状とされた挿通孔12aが形成されている。具体的には、図3に示すように、挿通孔12aは、レンズ部40の外径より小さく、軸部42の基端部46より僅かに大きな正方形状の孔とされている。
【0027】
導光体16は、板状部12の車室内側から上記の挿通孔12aに挿し込まれて、板状部12の室外側(上方側)に配された光源ユニット14に対して組み付けられる。光源ユニット14は、挿通孔12aに対して、導光体保持部32の貫通孔60aが同軸的になるように位置させられた状態とされ、導光体16は、軸部42が、挿通孔12aを挿通して、貫通孔60aに挿し込まれる。軸部42を貫通孔60aに挿し込む際には、軸部42に形成された一対の突条52が、導光体保持部32の一対のスリット64に入り込む位置関係において挿入可能とされる。つまり、それら一対の突条52と、一対のスリット64とによって、導光体16の回転方向が位置決めされるようになっている。
【0028】
導光体16がさらに挿し込まれると(上方側に移動させられると)、軸部42に形成された一対の爪部50が、導光体保持部32に形成された一対の嵌合孔66に嵌まり込んで円筒部60において掛止される。この一対の爪部50が一対の嵌合孔66に嵌まり込んだ状態において、導光体16のレンズ部40と導光体保持部32のフランジ部62とによって、板状部12が挟持されている。より詳しく言えば、この状態においては、導光体16のレンズ部40と導光体保持部32のフランジ部62との各々から、板状部12を押さえ付けるような力が作用する程度に、導光体16は、軸部42において、導光体保持部32によってしっかりと保持される。
【0029】
そして、導光体16が導光体保持部32によって保持された状態において、図2に示すように、軸部42の先端42aが、LED20に近接して対向する状態となる。つまり、LED20の光は、軸部42の先端42aから入射し、軸部42によって導光され、レンズ部40の下面から車室に向けて出射されるようになっている。
【0030】
以上のように、本実施形態の照明装置10は、乗物用内装材である天井材の板状部12に取り付けられるものであって、光源であるLED20とそのLED20を保持する保持体としてのハウジング22とを有して板状部12の車室外側に配された光源ユニット14と、透光性を有する材料からなり入射されたLED20の光を車室に向けて出射する導光体16と、を備えている。その導光体16は、板状部12の車室内側に位置して車室に向けて光を出射する部分であるレンズ部40と、レンズ部40の車室外側面から車室外側に向けて延び出すとともに、車室内外方向からの視点においてレンズ部40の外形形状より小さな断面形状とされた軸部42と、を含んで構成され、板状部12は、レンズ部40を通さず軸部42を通すことが可能な形状とされた挿通孔12aを有し、ハウジング22は、軸部42の車室外側の端部42aをLED20に対向するように、導光体16を軸部42において保持する導光体保持部32を有している。そして、挿通孔12aを挿通した軸部42を導光体保持部32が保持することで、レンズ部40とハウジング22とによって板状部12を挟持する状態で、天井材に対して取り付けられる構成となっている。
【0031】
本実施形態の照明装置10は、上記のような構成によって、図1に示すように、車室内には、光が出射するレンズ部40のみしか存在せず、従来のベゼルを有する照明装置に比較して、乗物室内側における存在感を抑えることができる。したがって、本実施形態の照明装置10は、照明性能は確保しつつ、車室内の意匠性の向上を図ることができるのである。
【0032】
また、本実施形態の照明装置10において、軸部42は、レンズ部40側の部分である基端部46が、角柱形状とされ、挿通孔12aは、基端部46の断面形状と同じ形状とされている。
【0033】
そのような構成により、挿入された導光体16は、基端部46が挿通孔12aに嵌り合うため、板状部12に対して軸線まわりに回転しないようになっている。ひいては、この導光体16と組み付いた光源ユニット14が軸線まわりに回転しないようになっているのである。したがって、本実施形態の照明装置10は、板状部12に対してしっかりと固定されることになる。
【0034】
また、本実施形態の照明装置10において、軸部42は、基端部46の車室外側部分である先端部である軸部本体44が、基端部46の外寸より小さな外径の円柱状とされており、軸部本体44には、導光体保持部32に係止される爪部50が、径方向に突出して形成され、爪部50は、車室外側からの視点において、基端部46の内側に収まる形状とされている。
【0035】
そのような構成により、本実施形態の照明装置10は、導光体16を車室内側から挿入して、導光体保持部32に固定する際に、軸部42の爪部50が、天井材に接触することがなく、当該照明装置10の取り付け作業をスムースに行うことができる。
【0036】
また、本実施形態の照明装置10において、軸部本体44には、軸部42の軸線を挟んで互いに反対側となる位置に一対の爪部50が形成され、基端部46は、断面正方形の四角柱状とされ、一対の爪部50の各々は、車室外側からの視点において、基端部46に対して正方形の対角線L1上に位置している。
【0037】
このような構成によれば、一対の爪部50が基端部46の内側に収まる構成を、容易に実現できることとなる。また、一対の爪部50が導光体保持体32によって係止されるため、より確実に板状部12を挟持できる。
【0038】
また、本実施形態の照明装置10は、軸部本体44には、径方向に突出するとともに車室内外方向に沿って延びる一対の突条52が、軸部42の軸線を挟んで互いに反対側となる位置に形成され、導光体保持部32には、車室内外方向に沿って延び、一対の突条52が入り込む一対の溝部であるスリット64が形成され、一対の突条52は、車室外側からの視点において、基端部46に対して、一対の爪部50が配された対角線L1とは異なるもう1本の対角線L2上に位置している。
【0039】
このような構成により、本実施形態の照明装置10は、一対の突条52と一対のスリット64とが位置決め機構として機能し、爪部50による係止が確実に行われる。したがって、本照明装置10によれば、当該照明装置10の取り付け作業がより容易になるとともに、導光体16の導光体保持部32への取り付けをより確実に行うことができる。
【0040】
<他の実施形態>
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。例えば、次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0041】
(1)上記実施形態において、軸部42は基端部46が軸部本体44と異なる断面形状とされていたがそれに限定されない。また、基端部46の断面形状が正方形とされていたが、それに限定されない。例えば、軸部全体が、多角形の断面形状や長円形の断面形状とされ、板状部12の挿通孔がその形状に合わされることで、導光体の軸線まわりの回転を禁止することが可能である。また、挿通孔が、本実施形態における突条52が嵌り合うような形状とされることによって、導光体が軸線まわりに回転しないような構成とすることもできる。
【0042】
(2)上記実施形態においては、導光体保持部32がカバー28の本体部28aから下方に突出する形状とされていたが、それに限定されない。ハウジング22の内部に軸部42が挿入される部分を設けた構成であってもよい。
【0043】
(3)また、導光体保持部32が、軸部42を係止する構成も特に限定されず、種々の構成を採用可能である。
【0044】
(4)上記実施形態の照明装置10は、天井材に取り付けられていたが、それに限定されず、ピラーガーニッシュやサイドトリムなど、板状部がある他の車両用内装材に設けることも可能である。
【0045】
(5)上記実施形態において、本発明の乗物用照明装置は、車両(自動車)に提供されるものとされていたが、それに限定されず、本発明の乗物用照明装置は、種々の乗物において提供されるものに適用することができる。
【符号の説明】
【0046】
10…車両用照明装置〔乗物用照明装置〕、12…板状部、12a…挿通孔、14…光源ユニット、16…導光体、20…LED〔光源〕、22…ハウジング〔保持部〕、32…導光体保持部、40…レンズ部、42…軸部、44…軸部本体〔先端部〕、L1…第1の対角線、L2…第2の対角線、46…基端部、50…爪部、52…突条、64…スリット〔溝部〕
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9