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特開2024-22965情報提示装置、情報提示システム及び情報提示方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022965
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】情報提示装置、情報提示システム及び情報提示方法
(51)【国際特許分類】
   G09F 27/00 20060101AFI20240214BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
G09F27/00 G
G09G5/00 550C
G09G5/00 510Q
G09F27/00 J
G09F27/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022126439
(22)【出願日】2022-08-08
(71)【出願人】
【識別番号】504171134
【氏名又は名称】国立大学法人 筑波大学
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100181722
【弁理士】
【氏名又は名称】春田 洋孝
(72)【発明者】
【氏名】善甫 啓一
(72)【発明者】
【氏名】倉友 乃康
【テーマコード(参考)】
5C182
【Fターム(参考)】
5C182AA02
5C182AA03
5C182AB11
5C182AB25
5C182BA14
5C182BA54
5C182BA55
5C182BA66
5C182BA75
5C182DA02
5C182DA65
(57)【要約】
【課題】所定の興味を有すると考えられる顧客に対して、情報を効果的に提供する。
【解決手段】情報提示装置は、人物が撮像された画像を取得する画像取得部と、前記画像に基づいて取得された前記人物に関する情報であり、前記人物の位置に応じた情報が少なくとも含まれる人物情報を取得する人物情報取得部と、取得された前記人物情報に基づいた音量の音情報を出力する音情報出力部とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人物が撮像された画像を取得する画像取得部と、
前記画像に基づいて取得された前記人物に関する情報であり、前記人物の位置に応じた情報が少なくとも含まれる人物情報を取得する人物情報取得部と、
取得された前記人物情報に基づいた音量の音情報を出力する音情報出力部と
を備える情報提示装置。
【請求項2】
前記人物情報は、前記人物が所定の領域内に存在するか否かの情報を含み、
前記音情報出力部は、前記人物が所定の領域内に存在する場合、前記人物に対し前記音情報を出力する
請求項1に記載の情報提示装置。
【請求項3】
前記音情報出力部は、前記人物に対し前記音情報を出力する第1の出力と、前記第1の出力を行った結果に応じた第2の出力とを行い、
前記人物情報取得部は、前記第1の出力が行われた結果として行われた前記人物の行動に関する情報を取得し、
前記第2の出力は、前記第1の出力が行われた結果として行われた前記人物の行動に関する情報に基づいた音量により行われる
請求項1又は請求項2に記載の情報提示装置。
【請求項4】
前記第1の出力が行われた結果として行われた前記人物の行動に関する情報とは、前記人物の顔の向きに関する情報である
請求項3に記載の情報提示装置。
【請求項5】
前記第1の出力の音量は、前記第2の出力の音量よりも小さい
請求項3に記載の情報提示装置。
【請求項6】
前記音情報出力部により出力される前記音情報は、パラメトリックスピーカーにより、前記人物情報に含まれる前記人物の位置に応じて出力される
請求項1又は請求項2に記載の情報提示装置。
【請求項7】
取得された前記人物情報に基づいた映像情報を出力する映像情報出力部を更に備え、
前記音情報出力部により出力される前記音情報と、前記映像情報出力部により出力される前記映像情報とは、互いに連動するものである
請求項1又は請求項2に記載の情報提示装置。
【請求項8】
映像情報を出力する映像情報出力部と、
人物が撮像された画像を取得する画像取得部と、
前記人物が所定の領域内に存在するか否かの情報を含む人物情報を取得する人物情報取得部と、
取得された前記人物情報に基づき、前記人物が所定の領域内に存在する場合、前記人物に対し音情報を出力する音情報出力部とを備え、
前記音情報は、前記映像情報に関連しないものである
情報提示装置。
【請求項9】
映像情報を出力する映像情報出力部と、
人物が撮像された画像を取得する画像取得部と、
前記画像に基づいて取得された前記人物に関する情報であり、前記映像情報に対する前記人物の興味度を示す情報が少なくとも含まれる人物情報を取得する人物情報取得部と、
取得された前記人物情報に基づいた音情報を出力する音情報出力部とを備え、
前記音情報の音量は、前記興味度に応じて決定される
情報提示装置。
【請求項10】
人物が撮像された画像を撮像する撮像装置と、
前記撮像装置により撮像された前記画像を取得し、取得した前記画像に基づいて前記音情報を出力する請求項1又は請求項2に記載の情報提示装置と、
前記情報提示装置により出力された前記音情報に応じた音を出力する音情報出力装置と
を備える情報提示システム。
【請求項11】
人物が撮像された画像を取得する画像取得工程と、
前記画像に基づいて取得された前記人物に関する情報であり、前記人物の位置に応じた情報が少なくとも含まれる人物情報を取得する人物情報取得工程と、
取得された前記人物情報に基づいた音量の音情報を出力する音情報出力工程と
を有する情報提示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報提示装置、情報提示システム及び情報提示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、店舗等に設置されるデジタルサイネージに映像を表示し、音情報を出力することにより、顧客に情報を伝達するための技術があった。このような技術分野においては、様々な属性の顧客に対して販売促進情報を効果的に提供するための技術が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-168169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような従来技術によれば、カメラにより撮像された画像情報に基づいて、デジタルサイネージによる情報提供を行う。従来技術によれば、撮像された画像情報を解析し、顧客の属性等を判定し、予め用意された映像を判定された顧客の属性等に応じて表示する。このような従来技術を用いることにより、デジタルサイネージの近傍に位置する顧客の属性等に応じた情報を提示することができるようになり、販売促進情報を効果的に提供することができるようになる。
【0005】
しかしながら、上述したような従来技術によれば、顧客が自ら情報を取得することを前提としており、販売促進情報等のコンテンツを配信することには不向きである。また、デジタルサイネージから連続して音情報を出力するため、情報を要しない人にとっては不快に感じる場合があった。また、より効果的な広告効果を期待するため音量を大きくした場合、騒音となる場合があった。さらに、騒音被害を懸念するあまり音量を小さくした場合、十分な広告効果が得られないといった問題があった。
【0006】
そこで本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、所定の興味を有すると考えられる顧客に対して、情報を効果的に提供することが可能な技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の一態様は、人物が撮像された画像を取得する画像取得部と、前記画像に基づいて取得された前記人物に関する情報であり、前記人物の位置に応じた情報が少なくとも含まれる人物情報を取得する人物情報取得部と、取得された前記人物情報に基づいた音量の音情報を出力する音情報出力部とを備える情報提示装置である。
【0008】
(2)本発明の一態様は、上記(1)に記載の情報提示装置において、前記人物情報は、前記人物が所定の領域内に存在するか否かの情報を含み、前記音情報出力部は、前記人物が所定の領域内に存在する場合、前記人物に対し前記音情報を出力するものである。
【0009】
(3)本発明の一態様は、上記(1)又は(2)に記載の情報提示装置において、前記音情報出力部は、前記人物に対し前記音情報を出力する第1の出力と、前記第1の出力を行った結果に応じた第2の出力とを行い、前記人物情報取得部は、前記第1の出力が行われた結果として行われた前記人物の行動に関する情報を取得し、前記第2の出力は、前記第1の出力が行われた結果として行われた前記人物の行動に関する情報に基づいた音量により行われるものである。
【0010】
(4)本発明の一態様は、上記(1)から(3)のいずれかに記載の情報提示装置において、前記第1の出力が行われた結果として行われた前記人物の行動に関する情報とは、前記人物の顔の向きに関する情報である。
【0011】
(5)本発明の一態様は、上記(1)から(4)のいずれかに記載の情報提示装置において、前記第1の出力の音量は、前記第2の出力の音量よりも小さいものである。
【0012】
(6)本発明の一態様は、上記(1)から(5)のいずれかに記載の情報提示装置において、前記音情報出力部により出力される前記音情報は、パラメトリックスピーカーにより、前記人物情報に含まれる前記人物の位置に応じて出力されるものである。
【0013】
(7)本発明の一態様は、上記(1)から(6)のいずれかに記載の情報提示装置において、取得された前記人物情報に基づいた映像情報を出力する映像情報出力部を更に備え、前記音情報出力部により出力される前記音情報と、前記映像情報出力部により出力される前記映像情報とは、互いに連動するものである。
【0014】
(8)本発明の一態様は、映像情報を出力する映像情報出力部と、人物が撮像された画像を取得する画像取得部と、前記人物が所定の領域内に存在するか否かの情報を含む人物情報を取得する人物情報取得部と、取得された前記人物情報に基づき、前記人物が所定の領域内に存在する場合、前記人物に対し音情報を出力する音情報出力部とを備え、前記音情報は、前記映像情報に関連しないものである情報提示装置である。
【0015】
(9)本発明の一態様は、映像情報を出力する映像情報出力部と、人物が撮像された画像を取得する画像取得部と、前記画像に基づいて取得された前記人物に関する情報であり、前記映像情報に対する前記人物の興味度を示す情報が少なくとも含まれる人物情報を取得する人物情報取得部と、取得された前記人物情報に基づいた音情報を出力する音情報出力部とを備え、前記音情報の音量は、前記興味度に応じて決定される情報提示装置である。
【0016】
(10)本発明の一態様は、人物が撮像された画像を撮像する撮像装置と、前記撮像装置により撮像された画像を取得し、取得した画像に基づいて音情報を出力する上述した(1)から(9)のいずれかに記載の情報提示装置と、前記情報提示装置により出力された前記音情報に応じた音を出力する音情報出力装置とを備える情報提示システムである。
【0017】
(11)本発明の一態様は、人物が撮像された画像を取得する画像取得工程と、前記画像に基づいて取得された前記人物に関する情報であり、前記人物の位置に応じた情報が少なくとも含まれる人物情報を取得する人物情報取得工程と、取得された前記人物情報に基づいた音量の音情報を出力する音情報出力工程とを有する情報提示方法である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、所定の興味を有すると考えられる顧客に対して、情報を効果的に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本実施形態に係る情報提示システムの概要ついて説明するための図である。
図2】本実施形態に係る情報提示装置の機能構成の一例を示す機能構成図である。
図3】本実施形態に係る情報提示装置の一連の動作を示すフローチャートである。
図4】本実施形態に係る音情報出力装置と対象人物との位置関係を説明するための図である。
図5】本実施形態に係る情報提示装置と対象人物との位置関係を説明するための図である。
図6】本実施形態に係る情報提示装置により判定された興味度について説明するための図である。
図7】本実施形態に係る情報提示装置により出力される音情報の音量について説明するための図である。
図8】本実施形態に係る対象人物の位置と音情報出力装置の向きとの関係を説明するための図である。
図9】本実施形態に係る情報提示装置の内部構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[実施形態]
以下、本発明の実施形態に係る情報提示システム1について、図面を参照しながら説明する。以下において説明する実施形態は一例に過ぎず、本発明が適用される実施形態は、以下の実施形態に限定されない。
【0021】
まず、以下に説明する実施形態の前提となる事項について説明する。本実施形態に係る情報提示システム1は、不特定多数の人物が存在する場所に適用されることが好適である。不特定多数の人物が存在する場所とは、電車、駅構内、歩道等の公共空間であってもよいし、ショッピングモール等の店舗やスタジアム等の屋内空間であってもよい。また、情報提示システム1は、人物が近傍を往来する場所に適用されることが好適である。なお、情報提示システム1は、特定多数の人物が近傍に存在する場所に適用されてもよいし、少数の人物が近傍に存在する場所に適用されてもよい。情報提示システム1の近傍に存在する人物とは、情報提示システム1が情報を提示する対象となる人物である。
【0022】
情報提示システム1は、少なくとも聴覚的に認知可能な音情報を用いて、人物に対して情報を提示する。情報提示システム1は、音情報に加えて、視覚的に認知可能な映像情報等により人物に対して情報を提示してもよい。また、情報提示システム1は、音情報及び映像情報の両方により、人物に対して情報を提示してもよい。以下の実施形態においては、情報提示システム1が音情報及び映像情報の両方により、人物に対して情報を提示する場合の一例について説明する。
【0023】
情報提示システム1は、当該システムが設置された近傍に存在する人物に対して情報を提示する。情報提示システム1により提示される情報は、音情報により伝達可能な情報であればよい。情報提示システム1により提示される情報の一例としては、例えば、物品の販売促進のための広告情報等を例示することができる。その他の一例として、映画や音楽等のコンテンツの販売促進のための広告情報等を例示することができる。なお、情報提示システム1により提示される情報は、広告情報等に限定されず、少なくとも音情報により伝達可能な情報全般を広く含む。
【0024】
図1は、本実施形態に係る情報提示システムの概要ついて説明するための図である。同図を参照しながら、情報提示システム1の概要について説明する。情報提示システム1は、情報提示装置10と、撮像装置20と、音情報出力装置30と、表示装置40とを備える。情報提示システム1は、情報提示装置10の近傍に存在する人物Pに対して、情報を提示する。特に、情報提示システム1は、情報提示装置10の近傍に存在する人物Pのうち、範囲ARに存在する人物Pに対して情報を提示する。図示する一例において、範囲AR内に存在する人物Pを第1人物P1と記載し、範囲AR外に存在する人物Pを第2人物P2と記載する。範囲ARは、例えば表示装置40の中心点cから半径rの範囲として予め定められていてもよい。また、範囲ARは、撮像装置20の画角等に応じて任意に定められてもよい。
【0025】
撮像装置20は、表示装置40の近傍に備えられる。撮像装置20は、表示装置40の近傍に存在する人物Pを撮像する。撮像装置20は、具体的には、動画又は連続的な静止画を撮像可能なカメラ又はビデオカメラである。撮像装置20の画角及び撮像角度は一定に固定されていてもよいし、人物Pの移動等に応じて適宜変更されてもよい。撮像装置20の画角及び撮像角度は人物Pを追従するよう構成されていてもよい。撮像装置20は、撮像した画像が含まれる情報を画像情報PIとして情報提示装置10に提供する。
【0026】
情報提示装置10は、撮像装置20から画像情報PIを取得する。情報提示装置10は、取得した画像情報PIに含まれる画像を解析する。情報提示装置10は、画像情報の解析により、少なくとも当該画像に撮像された人物Pが存在する位置を特定する。人物Pが存在する位置は、三次元空間上の位置座標により特定されてもよい。情報提示装置10は、人物Pが存在する位置に対して音情報を出力する。すなわち情報提示装置10は、撮像装置20により撮像された画像を取得し、取得した画像を解析した結果に基づいて音情報SIを出力する。
【0027】
また、情報提示装置10は、画像情報の解析により、人物Pの興味度に関する解析をしてもよい。興味度に関する解析とは、情報提示システム1の視覚的又は聴覚的な出力に対して、人物Pが興味を示したか否かの情報であったり、示された興味の度合いに関する情報であったりしてもよい。情報提示装置10は、解析された興味度に応じた出力を行ってもよい。人物Pにより示される興味は、例えば人物Pの行動や表情等から解析されてもよい。
【0028】
更に、情報提示装置10は、表示装置40に対して映像情報VIを出力する。映像情報VIの内容としては、例えば物品の販売促進のための広告情報等や、映画音楽等のコンテンツの販売促進のための広告情報等を例示することができる。映像情報VIは、音情報SIと連動するものであってもよい。
【0029】
音情報SI及び映像情報VIは、解析された人物Pの興味度に応じて内容が決定されてもよい。例えば、人物Pが、情報提示システム1により提示された所定の視覚的又は聴覚的な出力に対して特定の興味度を示した場合には、当該提示された情報を引き続き提示してもよい。また、人物Pが、情報提示システム1により提示された所定の視覚的又は聴覚的な出力に対して特定の興味度を示さなかった場合には、当該提示された情報とは異なる情報を提示してもよい。
【0030】
また、出力される音情報SI及び映像情報VIは、予め不図示の記憶部に記憶されていてもよい。この場合、出力される音情報SI及び映像情報VIは、解析された人物Pの興味度等に応じて選択されてもよい。また、出力される音情報SI及び映像情報VIは、情報提示装置10により生成されてもよい。この場合、出力される音情報SI及び映像情報VIは、解析された人物Pの興味度等に応じて生成されてもよい。
【0031】
また、情報提示装置10は、画像情報の解析により、人物Pの属性を解析してもよい。人物Pの属性とは、人物Pの性別、年齢、身長や体形等の外見的特徴又は感情等であってもよい。音情報SI及び映像情報VIは、解析された人物Pの興味度に応じて内容が決定されてもよい。例えば、情報提示装置10は、人物Pの性別や年齢に応じた視覚的及び聴覚的なコンテンツを予め記憶しておき、解析された結果に基づいて、対応するコンテンツを出力してもよい。
【0032】
音情報出力装置30は、表示装置40の近傍に備えられる。音情報出力装置30は、情報提示装置10から音情報SIを取得する。音情報出力装置30は、情報提示装置10により出力された音情報SIに応じた音をユーザに対して出力する。音情報出力装置30は、特定の人物Pに対して選択的に音を出力可能な程度の指向性を有するパラメトリックスピーカーであってもよい。
【0033】
本実施形態に係る音情報出力装置30は、立体音響システムを構成するため、第1音情報出力装置31及び第2音情報出力装置32を備えていてもよい。第1音情報出力装置31は情報提示装置10から第1音情報SI1を取得し、第2音情報出力装置32は情報提示装置10から第2音情報SI2を取得する。第1音情報出力装置31は、取得した第1音情報SI1に応じて特定の人物Pに対して選択的に音を出力する。また、第2音情報出力装置32は、取得した第2音情報SI2に応じて、第1音情報出力装置31の出力対象と同一の人物Pに対して選択的に音を出力する。第1音情報SI1の音量と、第2音情報SI2の音量とは、人物Pの位置や、提示する情報等に応じて互いに異なっていてもよい。
【0034】
なお、情報提示システム1は、複数の音情報出力装置30を有していてもよい。図示する一例では、情報提示システム1が1つの音情報出力装置30を有している場合について説明しているが、情報提示システム1は、例えばN個(Nは1以上の自然数)の音情報出力装置30を備えていてもよい。情報提示システム1がN個の音情報出力装置30を備える場合、N人の人物Pに対して、それぞれ異なる情報を提示することができる。N個の音情報出力装置30は、立体音響システムを構成するためそれぞれ第1音情報出力装置31と第2音情報出力装置32とを備えていてもよい。
【0035】
表示装置40は、情報提示装置10により出力された情報を、人物Pに対して視覚的に提示する。具体的には、表示装置40は、情報提示装置10により出力された映像情報VIに基づいた表示を行う。表示装置40は、例えば液晶ディスプレイ、有機EL(Electroluminescence)ディスプレイ等であってもよい。
【0036】
図2は、本実施形態に係る情報提示装置の機能構成の一例を示す機能構成図である。同図を参照しながら、情報提示装置10の機能構成の一例について説明する。情報提示装置10は、画像取得部11と、人物情報解析部12と、人物情報取得部13と、音情報出力部14と、映像情報出力部15とを含んで構成される。これらの各機能部は、例えば、電子回路を用いて実現されてもよい。また、各機能部は、必要に応じて、半導体メモリや磁気ハードディスク装置などといった記憶手段を内部に備えていてもよい。また、これらの各機能部は、コンピュータ及びソフトウェアによって実現されるように構成されていてもよい。
【0037】
画像取得部11は、撮像装置20から画像情報PIを取得する。画像情報PIに含まれる画像は、静止画であってもよいし、動画であってもよい。画像情報PIには、表示装置40の近傍に人物Pが撮像されている。すなわち画像取得部11は、人物が撮像された画像を取得する。画像取得部11は、取得した画像情報PIを、人物情報解析部12に出力する。
【0038】
人物情報解析部12は、画像取得部11から画像情報PIを取得する。人物情報解析部12は、取得した画像情報PIに基づき、画像解析を行う。人物情報解析部12は画像解析により、少なくとも当該画像に撮像された人物Pが存在する位置を特定する。人物Pが存在する位置は、三次元空間における位置座標で特定されてもよいし、所定の点からの距離及び角度により行われてもよい。所定の点とは、撮像装置20、音情報出力装置30又は表示装置40のいずれかが設置された点であってもよい。人物情報解析部12は、解析した結果を人物情報HIとして人物情報取得部13に出力する。
【0039】
また、人物情報解析部12は、人物Pの興味度に関する解析をしてもよい。人物Pの興味度に関する解析は、例えば、音情報出力装置30又は表示装置40により情報の提示が行われた後に行われる。興味度に関する解析は、例えば人物Pの顔の向き等により行われてもよい。具体的には、人物Pに情報が提示された後、人物Pの顔の向きが表示装置40を向くようであれば、人物Pの興味度は高いということができる。また、人物Pに情報が提示された後、人物Pが表示装置40に近寄った場合においても、人物Pの興味度は高いということができる。逆に、人物Pに情報が提示された後、人物Pの顔の向きが表示装置40を向かなかったり、人物Pが表示装置40に近寄らなかったりした場合は、人物Pの興味度は低いということができる。
【0040】
なお、人物情報解析部12は、提示した情報に対する人物Pの興味度を、所定の数値により判定してもよい。また、人物情報解析部12は、提示した情報に対する人物Pの興味度を、複数段階で判定してもよい。人物情報解析部12が興味度に関する解析を行う場合、人物情報解析部12は、人物の興味度を示す情報が少なくとも含まれる情報を人物情報HIとして人物情報取得部13に出力する。
【0041】
なお、人物情報解析部12は、情報提示装置10とは異なる装置に備えられていてもよい。人物情報解析部12は、例えば、Webアプリケーションにより実現されてもよい。人物情報解析部12がWebアプリケーションにより実現される場合、人物情報解析部12は、イーサネット等の所定の通信ネットワークにより情報提示装置10と接続されてもよい。
【0042】
人物情報取得部13は、人物情報解析部12から人物情報HIを取得する。人物情報HIには、撮像装置20により撮像された画像に基づいて取得された人物Pに関する情報が含まれる。また、人物情報HIには、人物Pの位置に応じた情報が少なくとも含まれる。人物Pの位置に応じた情報とは、例えば人物Pが存在する位置に関する情報であってもよく、人物Pが予め定められた所定の領域内に存在するか否かの情報を含んでいてもよい。人物情報取得部13は、取得した人物情報HIを、音情報出力部14及び映像情報出力部15に出力する。
【0043】
音情報出力部14は、人物情報取得部13から人物情報HIを取得する。音情報出力部14は、取得した人物情報HIに基づいた音情報SIを出力する。音情報出力部14は、例えば、取得した人物情報HIに基づいた音量の音情報SIを出力する。音情報出力部14は、予め定められた表を参照することにより、出力する音情報SIの種類や音量等を選択してもよい。例えば、音情報出力部14は、表示装置40から人物Pまでの距離と音量とが対応付けられた表を参照することにより、音情報SIの音量を選択してもよい。
【0044】
なお、音情報出力装置30がパラメトリックスピーカーである場合、音情報出力部14は、人物情報HIに含まれる人物Pの位置情報に応じて音情報SIを出力する。すなわち、音情報出力部14により出力される音情報SIは、パラメトリックスピーカーである音情報出力装置30により、人物情報HIに含まれる人物の位置に応じて出力される。
【0045】
また、立体音響システムを実現するため、音情報SIには、第1音情報SI1及び第2音情報SI2が含まれていてもよい。音情報出力装置30が第1音情報出力装置31及び第2音情報出力装置32を備える場合、第1音情報出力装置31には第1音情報SI1が、第2音情報出力装置32には第2音情報SI2が出力される。第1音情報SI1及び第2音情報SI2の音量は、表示装置40の中心点cに対する人物Pの存在位置に応じて調整されてもよい。なお、第1音情報SI1とは、例えば人物Pの右耳に対して出力される音情報であって、第2音情報SI2とは、例えば人物Pの左耳に対して出力される音情報であってもよい。
【0046】
情報提示システム1に複数の音情報出力装置30が含まれる場合、音情報出力部14は、複数の音情報出力装置30それぞれに対して音情報SIを出力する。例えば情報提示システム1にN個の音情報出力装置30が含まれる場合、音情報出力部14は、N個(Nは1以上の自然数)の音情報出力装置30に対して、それぞれ音情報SI-1乃至音情報SI-Nを出力してもよい。音情報SI-1乃至音情報SI-Nは、異なる人物に対してそれぞれ出力される。音情報SI-1乃至音情報SI-Nには、それぞれ第1音情報SI1及び第2音情報SI2が含まれていてもよい。
【0047】
なお、音情報出力部14は、取得した人物情報HIに基づいた内容の音情報SIを出力してもよい。人物情報HIに基づいた内容の音情報SIとは、例えば人物Pの属性に応じた内容の広告情報等であってもよい。例えば人物情報HIに対象の人物Pの性別が含まれる場合、音情報出力部14は、予め性別ごとに定められた音情報SIのいずれかを選択して出力してもよい。また、人物情報HIに基づいた内容の音情報SIとは、例えば人物Pの興味度に応じた内容の広告情報等であってもよい。
【0048】
映像情報出力部15は、人物情報取得部13から人物情報HIを取得する。映像情報出力部15は、取得した人物情報HIに基づいた内容の映像情報VIを出力する。人物情報HIに基づいた内容の映像情報VIとは、例えば人物Pの属性に応じた内容の広告情報等であってもよい。例えば人物情報HIに対象の人物Pの性別が含まれる場合、映像情報出力部15は、予め性別ごとに定められた映像情報VIのいずれかを選択して出力してもよい。また、人物情報HIに基づいた内容の映像情報VIとは、例えば人物Pの興味度に応じた内容の広告情報等であってもよい。
【0049】
また、情報提示装置10により人物Pに提示されるコンテンツは、その構成要素として音情報SIと映像情報VIとを有していてもよい。換言すれば、情報提示装置10により人物Pに提示される音と映像とは、互いに連動したものであってもよい。すなわち、音情報出力部14により出力される音情報SIと、映像情報出力部15により出力される映像情報VIとは、互いに連動するものであってもよい。
【0050】
図3は、本実施形態に係る情報提示装置の一連の動作を示すフローチャートである。同図を参照しながら、情報提示装置10の一連の動作の一例について説明する。図示する一例において、情報提示装置10により人物Pに対して出力される音情報SIは、第1の出力と、第2の出力とに区別して記載することができる。第2の出力は、第1の出力が行われた後、第1の出力を行った結果に応じて行われる。以下、情報提示装置10の一連の動作の前提として、第1の出力と第2の出力についてそれぞれ詳細に説明する。
【0051】
第1の出力とは、所定の範囲AR内に存在すると判定された人物Pである第1人物P1に、所定の音を「呼び水」のように短時間発信する出力である。第1の出力により、表示装置40が表示する広告情報に気が付いていない人物Pに対して、存在を知らしめるための出力である。所定の範囲AR内に存在すると判定された人物Pは、潜在顧客であるということもできる。すなわち、第1の出力とは、表示装置40に気が付いていない潜在顧客を、表示装置40の近傍に呼び寄せるための出力であるということもできる。
【0052】
第2の出力とは、潜在顧客の注目度に応じた出力音量調節システムにより、効果的な音量で情報を人物Pに提供するための出力である。第2の出力により、情報提示システム1は、広告効果を損なうことなく、人物Pに情報を提示することができる。また、情報提示システム1により人物Pに対して出力される音は、パラメトリックスピーカーにより出力される。したがって、本実施形態によれば、騒音を抑制し、快適性を維持したまま人物Pに情報を提示することができる。
【0053】
なお、第1の出力は、表示装置40が表示する広告情報に気が付いていない顧客に対して、存在を知らしめるための出力であり、第2の出力は、潜在顧客の注目度に応じた効果的な音量で情報を人物Pに提供するための出力であるため、第1の出力により出力される第1音情報SI1と第2の出力により出力される第2音情報SI2とは、互いに関連しないものであってもよい。また、第1の出力により出力される第1音情報SI1は、映像情報VIと関連しないものであってもよい。
【0054】
また、第1の出力は、第2の出力の前提となる、いわば予告のようなコンテンツであってもよい。この場合、第1の出力と第2の出力とは互いに関連するものであってもよい。一例としては、第1の出力の続きとして、連続的に第2の出力が行われてもよい。すなわち、人物Pからすると、第1の出力と第2の出力とは、区別できないものであってもよい。第2の出力は、映像情報VIに連動したものであるため、この場合、第1音情報SI1、第2音情報SI2及び映像情報VIは、いずれも連動したものとなる。
【0055】
(ステップS110)まず、情報提示装置10は、撮像装置20により撮像された画像に基づき、特定の領域(範囲AR)内に人物Pが存在するか否かを判定する。当該判定は、所定の周期毎に行われてもよい。所定の周期とは、例えば1秒ごと等であってもよい。また、当該判定は、人物Pに対して既に出力を行っている音情報出力装置30の有無に応じて行われてもよい。例えば情報提示システム1に備えられた音情報出力装置30の数に対して、同様の数の人物Pに対して既に出力が行われている状況では、新たな潜在顧客が存在したとしても情報を提示することができない、そのような場合には、情報提示装置10は、ステップS110を行わなくてもよい。情報提示装置10は、特定の領域内に人物Pが存在する場合(すなわち、ステップS110;YES)、処理をステップS120に進める。情報提示装置10は、特定の領域内に人物Pが存在しない場合(すなわち、ステップS110;NO)、ステップS110を繰り返す。
【0056】
(ステップS120)特定の領域内に人物Pが存在する場合、情報提示装置10は、当該人物Pに対し第1の出力を行う。具体的には、音情報出力部14は、音情報出力装置30に対して音情報SIを出力することにより、人物Pが存在する位置に向けて鋭い指向性の音を出力し、人物Pに向けて第1の出力を行う。
【0057】
(ステップS130)次に、情報提示装置10は、興味度の判定を行う。興味度とは、第1の出力がされた結果として、人物Pが第1の出力に対してどの程度の興味を示したかを示す度合いである。興味度は、例えば1から10等の数段階により判定されてもよい。興味度の判定は、人物情報解析部12により行われる。興味度の判定を行うために、まず、人物情報取得部13は、第1の出力が行われた結果として行われた人物Pの行動に関する情報を取得する。興味度の判定は、第1の出力が行われた結果として行われた人物Pの行動に関する情報に応じて行われる。興味度の判定は、例えば人物の顔の向きや、表情、人物の位置の変化等に基づいて行われてもよい。すなわち、人物情報取得部13により取得される、第1の出力が行われた結果として行われた人物Pの行動に関する情報とは、人物Pの顔の向きに関する情報であってもよい。
【0058】
(ステップS140)次に、情報提示装置10は、判定された興味度が所定の閾値以上であるか否かの判定を行う。例えば興味度が1から10の10段階により判定される場合、閾値は3等であってもよい。情報提示装置10は、判定された興味度が所定の閾値以上である場合(すなわち、ステップS140;YES)、処理をステップS150に進める。情報提示装置10は、判定された興味度が所定の閾値以上でない場合(すなわち、ステップS140;NO)、処理をステップS160に進める。
【0059】
(ステップS150)次に、情報提示装置10は、第1の出力を行った人物Pに対して引き続き第2の出力を行う。第2の出力はステップS130で判定された興味度に応じた音量により行われてもよい。興味度に応じた音量とは、興味度が低い場合(すなわち人物が第1の出力に対してあまり興味を有していないと判定された場合)は小さな音であり、興味度が高い場合(すなわち人物が第1の出力に対して興味を有していると判定された場合)は大きな音であってもよい。すなわち、第2の出力は、第1の出力が行われた結果として行われた人物Pの行動に関する情報に基づいた音量により行われてもよい。
【0060】
(ステップS160)人物が興味を有していないと認められる場合、情報提示装置10は、音情報の出力を停止する。情報の提示を不要とする人物に対して音情報の出力を停止することにより、情報提示装置10は、情報提示に対して当該人物が抱くかもしれない不快感を軽減することができる。
【0061】
なお、情報提示装置10は、ステップS150により第2の出力が行われた後、再びステップS130乃至ステップS160を繰り返してもよい。情報提示装置10は、ステップS130乃至ステップS160を繰り返すことにより、人物が示す興味に応じた音量で情報を提示し続けることができる。
【0062】
なお、上述したステップS110乃至ステップS160の各ステップは、情報提示装置10が備える音情報出力装置30の数に応じて複数並行して行われてもよい。すなわち、情報提示装置10が複数の音情報出力装置30を備える場合、音情報出力装置30の数に応じて、情報を提示することができる対象となる人物Pの数も増えるため、音情報出力装置30の数に応じて処理が並行して行われてもよい。
【0063】
図4は、本実施形態に係る音情報出力装置と対象人物との位置関係を説明するための図である。同図を参照しながら音情報出力装置30と、音情報出力装置30が音情報を出力する対象となる人物Pとの位置関係について説明する。同図に示す一例において、音情報出力装置30は、立体音響システムを実現するため、第1音情報出力装置31及び第2音情報出力装置32を備える。同図を参照しながら説明する装置の配置位置は一例であって、本実施形態を限定するものではない。以下の説明において、各装置及び人物Pの位置関係等を、x軸、y軸及びz軸の三次元直交座標系によって説明する場合がある。
【0064】
第1音情報出力装置31と第2音情報出力装置32は、その間に表示装置40を挟み、x方向に互いに0.8[m(メートル)]程度離れて設置される。第1音情報出力装置31及び第2音情報出力装置32は、それぞれ範囲AR内に存在する人物Pである第1人物P1に対して上下方向(z方向)及び左右方向(x方向)に回転可能に配置されている。図示する一例では、y方向において、表示装置40、第1音情報出力装置31及び第2音情報出力装置32から1.0[m]離れた位置に第1人物P1が存在している。
【0065】
ここで、従来のステレオ再生では、第1人物P1、第1音情報出力装置31及び第2音情報出力装置32の理想的な位置関係は、図示するように第1人物P1、第1音情報出力装置31及び第2音情報出力装置32を頂点とする二等辺三角形であった。この場合、第1人物P1は二等辺三角形の頂点に位置し,第1人物P1は2つの音情報出力装置30と対向する。従来技術によれば、第1人物P1が理想的な位置から外れると、第1人物P1の両耳の間にレベル差と位相差が生じる。このような場合、立体音像の知覚に影響を及ぼす場合がある。また、第1人物P1が表示装置40の方向を正面視していない場合(すなわち第1人物P1の顔がy方向を向いていない場合)においても同様の影響が及ぶ場合がある。第1人物P1の顔の向きを、姿勢P-11、姿勢P-12及び姿勢P-13として示す。姿勢P-11は、表示装置40の正面視から左45度の方向を向いている姿勢である。姿勢P-12は、表示装置40を正面視している姿勢である。姿勢P-13は、表示装置40の正面視から右45度の方向を向いている姿勢である。
【0066】
本実施形態によれば、第1音情報出力装置31及び第2音情報出力装置32からそれぞれ出力される音量や位相等を調整することにより、第1人物P1の位置や姿勢に関係なく、実空間で立体音響を表現する。具体的には、画像情報PIの解析により、人物情報解析部12は、第1人物P1の左右の耳の位置座標をそれぞれ検出し、その空間座標を演算する。人物情報解析部12は、検出した左右の耳の位置座標を含む人物情報HIを出力する。音情報出力部14は、人物情報HIに含まれる左右の耳の位置座標に基づき、第1音情報SI1及び第2音情報SI2を出力する。左右の耳の位置座標に応じて、音情報出力装置30の出力に遅延をかけ、位置合わせを行う。当該遅延により、第1人物P1に届く音の位相が揃う。さらに、また、姿勢P-11乃至姿勢P-13に示したような顔の向きや位置の変化は、立体音像を変化させる。したがって、音情報出力部14は、これらの変化にも応じて異なる音情報を出力する。
【0067】
次に図5から図8を参照しながら、人物Pの移動に伴う興味度の変化と、音情報出力装置30により出力される音情報SIの変化の一例について説明する。図示する一例では、人物Pが表示装置40に近づき、離れていく一連の流れについて説明する。また、情報提示システム1により提示された情報に興味がある人物Pと、興味がない人物Pの両方の場合について説明する。
【0068】
図5は、本実施形態に係る情報提示装置と対象人物との位置関係を説明するための図である。まず、同図を参照しながら、人物Pの移動に伴う位置の変化について説明する。同図には、時刻t1乃至時刻t6における人物Pの移動と顔の向きの変化が示されている。また、同図には、情報提示システム1により提示された情報に興味がある人物Pと、興味がない人物Pの両方の場合についての移動と、顔の向きの変化とが示されている。同図には、表示装置40の位置を模式的に示す。
【0069】
時刻t1乃至時刻t3において、情報提示システム1により提示された情報に興味がある人物Pと、興味がない人物Pの移動と、顔の向きの変化とは、いずれも共通する。時刻t1における人物Pの姿勢を姿勢P-21として、時刻t2における人物Pの姿勢を姿勢P-22として、時刻t3における人物Pの姿勢を姿勢P-23として示す。
【0070】
時刻t1において、人物Pは、表示装置40から離れた地点を歩いている。人物Pは、時刻t1の時点では表示装置40の存在に気が付いていない。また、時刻t1において、音情報出力装置30は音情報を出力しない。
【0071】
時刻t2において、情報提示システム1による第1の出力が行われる。第1の出力とは、人物Pに対して、表示装置40への注意を喚起するために行われる、呼び水的な役割を有する音情報の出力である。すなわち、第1の出力が行われた結果、人物Pは、表示装置40の存在に気が付く。
【0072】
時刻t3は、人物Pが表示装置40の存在に気が付いた時点を示している。したがって、この時点においては、提示内容に対する興味の有無にかかわらず、人物Pは、表示装置40の方向を見ている。第1の出力は、一定期間行われた後、停止される。一定期間とは、1秒から数秒程度であってもよい。
【0073】
時刻t4において所定の興味を示した人物Pの姿勢を姿勢P-24、所定の興味を示さなかった人物Pの姿勢を姿勢P-24Aとして示す。時刻t4において、所定の興味を示した人物Pは、表示装置40に注目し(すなわち、人物Pの顔が表示装置40を向き)、場合によっては表示装置40に近づく。また、時刻t4において、所定の興味を示さなかった人物Pは、表示装置40に注目することをせず、表示装置40に近寄らない。
【0074】
時刻t5において所定の興味を示した人物Pの姿勢を姿勢P-25、所定の興味を示さなかった人物Pの姿勢を姿勢P-25Aとして示す。時刻t5において、所定の興味を示した人物Pは、表示装置40の提示内容に惹かれ、場合によっては商品をカートに入れる等の購買行動をとる場合がある。また、時刻t5において、所定の興味を示さなかった人物Pは、表示装置40に注目することをせず、表示装置40から立ち去っていく。
【0075】
時刻t6において所定の興味を示した人物Pの姿勢を姿勢P-26、所定の興味を示さなかった人物Pの姿勢を姿勢P-26Aとして示す。時刻t6において、所定の興味を示していた人物Pは、表示装置40から立ち去っていく。また、時刻t6において、所定の興味を示さなかった人物Pは、表示装置40に注目することをせず、立ち去っていく。
【0076】
図6は、本実施形態に係る情報提示装置により判定された興味度について説明するための図である。同図を参照しながら、図5に示した時刻t1乃至時刻t6における人物Pの興味度について説明する。同図には、横軸を時刻tに対応する人物Pの変化とし、縦軸を当該人物Pの興味度として示す。所定の興味を示した人物Pの興味度を線W11により、所定の興味を示さなかった人物Pの興味度を線W12により示す。
【0077】
線W11に示すように、時刻t2から時刻t3にかけて、興味度が徐々に上昇して行く。すなわち、情報提示装置10による第1の出力がされたことにより、人物Pが表示装置40に興味を持ったことが分かる。また、線W11に示すように、上昇した興味度は、時刻t4において一定となり、時刻t5において一段階下がる。また、時刻t6以降、興味度は減少していく。なお、線W12については、興味度が常に低い。
【0078】
図7は、本実施形態に係る情報提示装置により出力される音情報の音量について説明するための図である。同図を参照しながら、本実施形態に係る情報提示装置10により出力される音情報の音量と、従来技術による音情報の音量とを説明する。同図には、横軸を時刻tに対応する人物Pの変化とし、縦軸を音量として示す。本実施形態に係る情報提示装置10により出力される音情報の音量を線W21及び線W22により示す。線W21は、所定の興味を示した人物Pに対して出力される音情報を示し、図6における線W11に対応する。線W22は、所定の興味を示さなかった人物Pに対して出力される音情報を示し、図6における線W12に対応する。また、従来技術による音情報の音量を線W23により示す。
【0079】
線W23により示されるように、従来技術による音情報の音量は、常に大きく、略一定である。一方、線W21及び線W22により示されるように、本実施形態に係る情報提示装置10により出力される音情報の音量は、人物Pの興味度に応じて異なり、全体的に従来技術と比較して小さい。これは、従来技術によれば、拡声器のような大音量スピーカを用いていたのに対し、本実施形態に係る音情報出力装置30は、鋭い指向性を有し、特定の人物に対して出力されるためである。
【0080】
時刻t2に示すように、第一の出力の音量については、人物Pの興味度にかかわらず同様である。時刻t3以降、人物Pの興味度に応じた第2の出力が行われる。線W21に示すように、第1の出力に対し興味を示した人物Pに対しては、所定の音量により第2の出力が行われる。また、線W22に示すように、第1の出力に対し興味を示さなかった人物Pに対しては、第2の出力が行われない。
【0081】
本実施形態に係る第2の出力は、人物Pの興味度の変化に応じて変化する。すなわち、情報提示装置10により情報が提示されている間、撮像装置20は人物Pを撮像し続け、人物情報解析部12により人物Pの興味度が解析され続ける。情報提示装置10は、変化する興味度に応じて情報を提示する。一例として、情報提示装置10は、変化する興味度に応じて異なる音量により音情報を出力する。具体的には、線W21に示された時刻t3から時刻t6における音量をみてみると、時6に示したW11と同様の軌跡をたどっている。すなわち、第2の出力の音量は、興味度に応じて変化する。
【0082】
なお、図示する一例では、第1の出力の音量と、第2の出力の最大音量は、略同程度となっている。しかしながら、第2の出力の音量は、第1の出力の音量より大きくなってもよい。第1の出力は、人物Pに対して呼びかけを行うためのものであり、最低限でよいためである。これに対し、第2の出力は、提示されている情報に興味を有している人物Pに対して行うものであるため、適切な音量で行うことが望ましい。したがって、第1の出力の音量は、第2の出力の音量よりも小さくてよい。
【0083】
図8は、本実施形態に係る対象人物の位置と音情報出力装置の向きとの関係を説明するための図である。同図を参照しながら、音情報出力装置30の回転について説明する。本実施形態に係る音情報出力装置30は、人物Pが存在する位置座標に応じて回転し、人物Pが存在する位置座標に向けて音情報を出力する。同図には、図4に示したz方向を軸とした場合の回転角度θAZを、線W31により示す。図8(A)乃至図8(E)は、音情報出力装置30を表示装置40の正面から見た姿勢を示す。図8(A)乃至図8(E)は、それぞれ時刻t2乃至時刻t6に対応する音情報出力装置30の姿勢を示す。
【0084】
図8(A)乃至図8(C)に示すように、時刻t2乃至時刻t4においては、回転角度θAZが負の値となり、音情報出力装置30は人物Pの方向を追従している。また、図8(D)乃至図8(E)に示すように、時刻t5乃至時刻t6においては、回転角度θAZが正の値となり、音情報出力装置30は人物Pの方向を追従している。なお、図8(C)に示すように、人物Pが音情報出力装置30の近傍に近寄ってきた場合は、図4に示すx方向を軸として回転することにより、人物Pの耳の位置に対して、音情報を出力してもよい。
【0085】
なお、図8を参照しながら説明した音情報の出力方法は一例であり、本実施形態を限定するものではない。例えば、上述したようなスピーカの音情報出力面が向く方向を物理的に回転させる一例に代えて、アレー信号処理による指向性の操作を行ってもよい。人物の位置の変化に応じた音情報の出力は、ハードウェアの物理的な駆動を伴うことなく、スイートスポット(音場収束点)を操作することにより実現することが可能である。例えば、指向性の操作は、モータ駆動等のハードウェア制御に代えて(又は加えて)、アレー信号処理等のソフトウェア制御によって行われてもよい。
【0086】
図9は、本実施形態に係る情報提示装置10の内部構成の一例を示すブロック図である。情報提示装置10の少なくとも一部の機能は、コンピュータを用いて実現され得る。図示するように、そのコンピュータは、中央処理装置901と、RAM902と、入出力ポート903と、入出力デバイス904や905等と、バス906と、を含んで構成される。コンピュータ自体は、既存技術を用いて実現可能である。中央処理装置901は、RAM902等から読み込んだプログラムに含まれる命令を実行する。中央処理装置901は、各命令にしたがって、RAM902にデータを書き込んだり、RAM902からデータを読み出したり、算術演算や論理演算を行ったりする。RAM902は、データやプログラムを記憶する。RAM902に含まれる各要素は、アドレスを持ち、アドレスを用いてアクセスされ得るものである。なお、RAMは、「ランダムアクセスメモリー」の略である。入出力ポート903は、中央処理装置901が外部の入出力デバイス等とデータのやり取りを行うためのポートである。入出力デバイス904や905は、入出力デバイスである。入出力デバイス904や905は、入出力ポート903を介して中央処理装置901との間でデータをやりとりする。バス906は、コンピュータ内部で使用される共通の通信路である。例えば、中央処理装置901は、バス906を介してRAM902のデータを読んだり書いたりする。また、例えば、中央処理装置901は、バス906を介して入出力ポートにアクセスする。
【0087】
[実施形態のまとめ]
以上説明した実施形態によれば、情報提示装置10は、画像取得部11を備えることにより人物Pが撮像された画像を取得し、人物情報取得部13を備えることにより人物の位置に応じた情報が少なくとも含まれる人物情報HIを取得し、音情報出力部14を備えることにより人物情報HIに基づいた音量の音情報SIを出力する。すなわち、情報提示装置10は、人物Pを撮像した情報に基づいて解析された情報に応じた音情報SIを出力する。当該音情報SIは、例えば、人物Pの興味度に応じた音量等により行われてもよい。すなわち、情報提示装置10は、興味を有すると判定された顧客に対しては相応の音量で情報を出力し、興味を有さないと判定された顧客に対しては出力を行わない。したがって、情報提示装置10によれば、所定の興味を有すると考えられる顧客に対して、情報を効果的に提供することができる。また、本実施形態によれば、興味を有しない顧客に対しては情報を出力しないため、過剰な音情報の提供により不快にさせることがない。
【0088】
また、以上説明した実施形態によれば、人物情報HIは、人物Pが所定の領域内に存在するか否かの情報を含み、音情報出力部14は、人物P所定の領域内に存在する場合、人物Pに対し音情報SIを出力する(すなわち、第1の出力をする)。当該音情報SIの出力は、潜在顧客に対して表示装置40への注意を喚起するための呼び水的な出力である。したがって、本実施形態によれば、情報提示装置10は、潜在顧客に対して表示装置40への注意を喚起することができる。よって、本実施形態によれば、従来では表示装置40に気が付かず通り過ぎていた人物Pに対しても情報を提示することができる。
【0089】
また、以上説明した実施形態によれば、音情報出力部14は、第1の出力を行うことにより、人物Pに対し音情報SIを出力することで、潜在顧客に対して表示装置40への注意を喚起する。また、音情報出力部14は、第1の出力を行った結果に応じた第2の出力を行う。第2の出力とは、第1の出力が行われた結果として行われた人物Pの行動に関する情報に基づいた音量により行われる。当該機能を実現するため、画像取得部11は、第1の出力が行われた後の人物Pを撮像し、人物情報解析部12は、撮像された結果に基づいた解析を行い、人物情報取得部13は、第1の出力が行われた結果として行われた人物Pの行動に関する情報を取得する。音情報出力部14は、人物情報取得部13により取得された情報に基づいた音情報SIを出力する。したがって、本実施形態によれば、興味がある人だけに情報を提示することができる。よって、本実施形態によれば、興味を有しない顧客に対しては情報を出力しないため、過剰な音情報の提供により不快にさせることがない。
【0090】
また、以上説明した実施形態によれば、第1の出力が行われた結果として行われた人物Pの行動に関する情報とは、人物Pの顔の向きに関する情報である。すなわち、本実施形態によれば、顔の向きに応じて興味度を判定する。したがって、本実施形態によれば、容易に興味度を判定することができる。
【0091】
また、以上説明した実施形態によれば、第1の出力の音量は、第2の出力の音量よりも小さい。したがって、情報提示装置10は、最低限の音量で潜在顧客に対して呼び水的な音情報を出力し、興味があると推定された人物Pに対しては、適切な音量で音情報SIを出力する。したがって、本実施形態によれば、所定の興味を有すると考えられる顧客に対して、情報を効果的に提供することができる。
【0092】
また、以上説明した実施形態によれば、音情報出力部14により出力される音情報SIは、パラメトリックスピーカーにより、人物情報HIに含まれる人物Pの位置に応じて出力される。すなわち、本実施形態によれば、音情報出力装置30は鋭い指向性を有するパラメトリックスピーカーであり、特定された人物Pの位置に対して出力される。したがって、本実施形態によれば、表示装置40の近傍に複数の人物が存在する場合であっても、対象の人物P以外には情報を提示しない。よって、本実施形態によれば、所定の興味を有すると考えられる顧客に対して、情報を効果的に提供することができる。
【0093】
また、以上説明した実施形態によれば、映像情報出力部15を備えることにより人物情報HIに基づいた映像情報VIを出力する。また、音情報SIと映像情報VIとは、互いに連動するものである。すなわち、本実施形態によれば、音と映像とが互いに連動する。音と映像とが互いに連動することにより、よりリッチな情報を提示することができる。また、立体音響システムを用いた音と、映像とが連動することにより、第1の出力と第2の出力とが連動し、より効果的な情報の提示を行うことができる。
【0094】
なお、上述した実施形態における情報提示システム1が備える各部の機能全体あるいはその一部は、これらの機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現しても良い。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0095】
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶部のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでも良い。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0096】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0097】
1…情報提示システム、10…情報提示装置、11…画像取得部、12…人物情報解析部、13…人物情報取得部、14…音情報出力部、15…映像情報出力部、20…撮像装置、30…音情報出力装置、31…第1音情報出力装置、32…第2音情報出力装置、40…表示装置、P…人物、P1…第1人物、P2…第2人物、AR…範囲、c…中心点、r…半径、PI…画像情報、SI…音情報、SI1…第1音情報、SI2…第2音情報、HI…人物情報、VI…映像情報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9